説明

地図データ提供装置

【課題】 ユーザの生活圏に合った適切な地図データを提供する地図データの提供方法を提供すること。
【解決手段】
地図データ収録範囲の日本全国を、複数の分割パターンでそれぞれ複数の地方に分割する。複数の分割パターンで分割した地方は、お互いに重複しない。複数の分割パターンで分割したそれぞれの地方に対応した地図データを生成し、それぞれ記録媒体2に格納してユーザに提供する。ユーザは、任意の記録媒体2を購入することができ、ユーザの生活圏にあった分割パターンで分割された地方の地図データを選択することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置で使用する地図データの提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CD−ROMなどの記録媒体に記録された地図データを使用してナビゲーションを行うナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献1)。地図データを記録媒体で提供するとき、関東版、中部版、近畿版などに分割して提供される場合がある。
【0003】
【特許文献1】特開平8−292716号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、ナビゲーション装置のユーザは、自宅を中心とした生活圏でナビゲーション装置を使用する。各地方の境界付近に自宅があるユーザにとっては、生活圏は2つの地方にまたがる場合がある。このような場合に、地図データが関東地方や中部地方などの地方に分割して提供されると、ナビゲーション装置のユーザは、隣接する地方の地図データも併せて購入する必要がある。
【0005】
その結果、コストがかさむという問題が生じる。また、記録媒体を必要に応じて入れ替えなければいけないという問題が生じる。一方、全国版の地図データが提供される場合があるが、やはりコスト高である。また、全国版の地図データでは、詳細な地図データが提供されないという問題も生じる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、ナビゲーション装置で使用する地図データの提供方法に適用され、地図データを提供するエリアを、分割した区画がお互いに重複しない複数の分割パターンでそれぞれ複数の区画に分割し、複数の分割パターンで分割したそれぞれの区画に対応した地図データを生成し、複数の分割パターンで分割したそれぞれの区画に対応した地図データを、ユーザが任意に選択可能に提供することを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1に記載の地図データの提供方法において、複数の分割パターンで分割するそれぞれの区画は、生活上のつながりがある関係を考慮して決定することを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項1に記載の地図データの提供方法において、複数の分割パターンで分割するそれぞれの区画は、車両の交通量を考慮して決定することを特徴とするものである。
請求項4の発明は、請求項1に記載の地図データの提供方法において、複数の分割パターンで分割するそれぞれの区画の大きさは、ナビゲーション装置を利用するユーザの生活移動範囲を考慮して決定することを特徴とするものである。
請求項5の発明は、請求項1に記載の地図データの提供方法において、複数の分割パターンは、第1の分割パターンと、第1の分割パターンで分割する第1の区画が第1の主要都市を中心とした区画でありかつ第1の区画の境界に近い側に第2の主要都市があるとき、第2の主要都市を中心とした区画が生成される第2の分割パターンとを有することを特徴とするものである。
請求項6の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の地図データの提供方法において、複数の分割パターンで分割したそれぞれの区画に対応した地図データを、個別に記録媒体に格納して提供することを特徴とするものである。
請求項7の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の地図データの提供方法において、複数の分割パターンで分割したそれぞれの区画に対応した地図データを、個別に通信回線を介してナビゲーション装置へ提供することを特徴とするものである。
請求項8の発明は、請求項1から7のいずれかに記載の地図データの提供方法において、複数の分割パターンで分割したそれぞれの区画に対応して提供した地図データを、提供した区画単位で更新することを特徴とするものである。
請求項9の発明は、地図データ提供装置に適用され、請求項1から8のいずれかに記載の地図データの提供方法を実行することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、以上説明したように構成しているので、次のような効果を奏する。
地図データを提供するエリアを、分割した区画がお互いに重複しない複数の分割パターンでそれぞれ複数の区画に分割するようにしたので、ナビゲーション装置のユーザは、自己の生活圏に合った適切な区画の地図データを選択することができる。その結果、低コストで最適な必要最低限の地図データを取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
−地図データ提供システムの構成−
図1は、本実施の形態の地図データの提供システムを示す図である。車載用ナビゲーション装置1は、CD−ROMやDVD−ROMなどの記録媒体2から、地図データや検索データ(案内検索データ)などを読み取る。データ提供センタ9のサーバ6は、地図データベース7や検索データベース8から地図データや検索データを読み取り、地図データや検索データを記録媒体2を介してナビゲーション装置へ提供する。
【0009】
データ提供センタ9の地図データベース7や検索データベース8は、新旧すべての地図データや検索データなどを有しているためマザーデータのデータベースである。サーバ6は、地図データベース7や検索データベース8を使用して、地図データや検索データなどを有する記録媒体2を提供する。
【0010】
上記ではサーバ6が記録媒体2を提供するとしたが、実際には、サーバ6は、記録媒体2に格納すべき地図データのマスターデータを記録媒体製造工場(不図示)に提供する。記録媒体製造工場は、提供されたマスターデータを使用して記録媒体2を製造し、製造された記録媒体2は、車のディーラなどを介してナビゲーション装置1のユーザに提供される。
【0011】
ナビゲーション装置1は、携帯電話などの通信装置4と接続可能である。ナビゲーション装置1は、通信装置4を介して電話回線網5に接続し、さらに電話回線網5を介してサーバ6に接続することができる。従って、データ提供センタ9のサーバ6は、地図データや検索データを電話回線網5などの通信回線を通じて提供することもできる。さらに、サーバ6は、すでにナビゲーション装置1で保有する地図データや検索データの一部を更新する更新データを、電話回線網5を介してナビゲーション装置1に提供することができる。携帯電話4は、無線により電話回線網5に接続される。
【0012】
ナビゲーション装置1は、制御装置11と不揮発性メモリ12を有する。制御装置11は、マイクロプロセッサおよびその周辺回路から構成される。不揮発性メモリ12は、ナビゲーション装置1の内部に設けられたハードディスクや、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリである。不揮発性メモリ12は、ナビゲーション装置1の電源が落とされても、書きこまれたデータが消えない記憶装置であればどのようなものでもよい。
【0013】
図2は、車載用ナビゲーション装置1のブロック図である。ナビゲーション装置1は、制御装置11、不揮発性メモリ12、現在地検出装置13、DVD駆動装置14、メモリ15、通信インターフェース16、入力装置17、モニタ18などを有する。
【0014】
現在地検出装置13は車両の現在地を検出する現在地検出装置であり、例えば車両の進行方位を検出する方位センサや車速を検出する車速センサやGPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号を検出するGPSセンサ等から成る。DVD駆動装置14は、記録媒体2を搭載して地図データなどを読み込む装置である。本実施の形態では、記録媒体2はDVD−ROMとする。なお、CD−ROMや他の記録媒体であってもよい。
【0015】
メモリ15は、現在地検出装置13によって検出された車両位置情報等を格納したり、制御装置11が演算した推奨経路上のノード情報やリンク情報等を格納するメモリである。メモリ15は制御装置11のワーキングエリアである。通信インターフェース16は、通信装置4を接続するインターフェースである。通信インターフェース16を介して携帯電話の利用や、インターネットとの接続が可能である。
【0016】
モニタ18は、地図や推奨経路や各種情報を表示する表示装置である。モニタ18は、ナビゲーション装置本体の一部として一体に設けてもよいし、筐体としては別々に設けてもよい。さらに、モニタ18のみを、ナビゲーション装置本体とケーブルなどによって接続し、分離した位置に設けるようにしてもよい。入力装置17は、経路探索時に車両の目的地等を入力したりする入力装置である。検索キーを入力するときにも使用する。リモコンであってもよいし、モニタ18の画面上に設けられたタッチパネルなどで構成してもよい。
【0017】
制御装置11は、現在地検出装置13で検出された車両の現在地情報と記録媒体2や不揮発性メモリ12に格納された地図データや検索データなどを使用して、道路地図の表示、経路計算(経路探索)、経路誘導等の各種のナビゲーション処理を行う。なお、制御装置11が実行する各種の処理プログラムは、制御装置11内部に設けられたROM(不図示)に組み込まれている。
【0018】
データ提供センタ9のサーバ6はコンピュータシステムであり、地図データベース7や検索データベース8を使用して、記録媒体2や電話回線網5を介して提供する地図データや検索データの生成をはじめ各種の処理を行う。サーバ6のコンピュータシステムは、汎用コンピュータやワークステーションやパソコンなど各種のコンピュータにより構成できる。
【0019】
次に、ナビゲーション装置1で使用される地図データおよび検索データについて説明する。
【0020】
−地図データ−
地図データは、地図に関する情報であり、背景(地図表示用)データ、道路(ロケータ用)データ、経路探索用データ(ネットワークデータ)、経路誘導用データ(交差点名称・道路名称・方面名称・方向ガイド施設情報など)などのデータ種別がある。背景データは、道路や道路地図の背景を表示するためのデータである。道路データは、車両の道路上の位置(現在地)の特定やマップマッチングなどに使用されるデータである。経路探索用データは、道路形状とは直接関係しない分岐情報などから成るデータであり、主に推奨経路を演算(経路探索)する際に用いられる。経路誘導用データは、交差点の名称などから成るデータであり、演算された推奨経路に基づき運転者等に推奨経路を誘導する際に用いられる。
【0021】
道路データ(ロケータ用データ)は、例えば道路をリンクとノードとリンク列という概念で表した場合のリンク列データである。ノードは交差点や道路上特に指定された点を言う。リンクはノード間の道路に該当し、リンク列は1本の道路を複数のリンクで表したものである。リンク列データは、公知な内容である。背景データは、例えば、ポリゴンやポリラインなどのデータである。道路の表示は、ポリラインなどのデータを使用して行う。
【0022】
本実施の形態の地図データは、後述する分割パターンで分割された地方単位でデータファイルを作成し管理される。
【0023】
−検索データ−
検索データは、所望の地点を地図上で設定するのではなく、検索して求めるときに使用されるデータである。例えば、経路探索の目的地を設定するときに、施設の名称や電話番号や住所などを入力することにより、その施設の位置を検索データを使用して求める。制御装置11は、検索データを使用して求めた地点を例えば目的地として設定し、経路探索などの処理を行う。
【0024】
検索データは、種別として、名称(読み)検索データ、電話番号検索データ、住所検索データなどがある。名称検索データは、施設名称により地図上の位置を特定するために使用されるデータであり、カテゴリ(ジャンル)ごとに後述する地方単位でデータファイルが作成されている。カテゴリには、例えば「駅」「空港」「フェリー」「デパート」「ホテル」などがある。各ファイルの中には、名称により検索できる検索木(ツリー)データと実体データが格納されている。
【0025】
電話番号検索データは、電話番号により地図上の位置を特定するために使用されるデータであり、後述する地方単位でデータファイルが作成されている。各ファイルの中には、電話番号により検索できる検索木データと実体データが格納されている。住所検索データは、住所により地図上の位置を特定するために使用されるデータであり、後述する地方単位でデータファイルが作成されている。各ファイルの中には、住所により検索できる検索木データと実体データが格納されている。上記各検索データの実体データは、各施設の名称情報、電話番号情報、住所情報、位置情報などのデータを有する。なお、検索データにおける位置情報とは、緯度経度などで特定される位置座標データである。
【0026】
−地図データの提供−
次に、本実施の形態の特徴である地図データの提供について説明する。図3は、本実施の形態における、地図データの分割の概念について説明する図である。図3は、地図収録全エリア51を、2つの分割パターン52、53で分割する様子を示す。地図収録全エリア51とは、例えば日本全国である。分割パターン52は、地図収録全エリア51を地方31から地方35の5つの地方に分割する。分割パターン53は、地図収録全エリア51を地方41から地方44の4つの地方に分割する。地方は、地図収録全エリア51を分割した区画とも言う。
【0027】
分割パターン52で分割する地方と分割パターン53で分割する地方は、お互いに重複しないように設定されている。例えば、地方32はエリア22とエリア23とから構成され、地方33はエリア24とエリア25とから構成されている。一方、地方42はエリア23とエリア24とから構成され、地方43はエリア25とエリア26とから構成されている。また、一の分割パターンで分割された隣接する地方間でも、地図データの容量を増やさないため、境界でのエリアの重複、すなわち地図データの重複はないものとする。
【0028】
複数の分割パターン52、53で分割された各地方に対応して、地図データが生成される。各地方の地図データは、ナビゲーション装置1のユーザが任意に選択可能なように、それぞれ記録媒体に格納され提供される。本実施の形態では、地方31から地方35に対応する5枚の記録媒体、地方41から地方44に対応する4枚の記録媒体が提供される。ナビゲーション装置1のユーザは、必要に応じて任意の地方を選択し、その地方の地図データが格納された記録媒体を購入する。
【0029】
本実施の形態では、このように2つの分割パターン52、53で、地図収録全エリア51を分割し、分割した各地方の地図データを提供するので、次のようなメリットがある。例えば、エリア24とエリア25の境界付近に自宅が位置するユーザ54は、分割パターン52の地方33の地図データを購入すればよい。一方、地方33内ではあるが、エリア25とエリア26の境界側に自宅が位置するユーザ55は、分割パターン53の地方43の地図データを購入すればよい。
【0030】
もし、分割パターン52の地図データしか提供されていなければ、ユーザ55は、生活圏を考慮すると、地方33の地図データとともに地方34の地図データも必要となる。しかし、本実施の形態では、複数の分割パターンによる地図データが提供されているので、ユーザ55は、ユーザ54が購入した分割パターン52とは異なる他の分割パターン53による地方43の地図データのみを購入すればよい。
【0031】
これにより、ユーザ55は、地図データ取得のコスト的負担が軽減され、また、日常生活で車を使用しているときに、頻繁に記録媒体を入れ替えなければいけないという煩わしさからも開放される。なお、ユーザ54やユーザ55は、さらに遠方の地方の地図データを必要とする場合には、同一分割パターンの地方の地図データを順次追加していけばよい。
【0032】
図4、図5は、複数の分割パターンの一例を示す図である。図4の分割パターンでは、地方61は東京都を中心とした地方、地方62は名古屋市を中心とした地方、地方63は神戸市を中心とした地方である。図5の分割パターンでは、地方71は静岡市を中心とした地方、地方72は大阪市を中心とした地方などである。
【0033】
例えば、東京近辺に居住するユーザは、図4の分割パターンの地図データを選択し、そのうち地方61の地図データを購入すればよい。静岡市近辺に居住するユーザは、図5の分割パターンの地図データを選択し、そのうち地方71の地図データを購入すればよい。
【0034】
次に、分割パターンをどのように決定するかについて説明する。基本的には、主要都市を中心とした生活圏を考慮して決定する。生活圏とは、人の日常生活上のつながりのある範囲を言う。例えば、ある都市を中心とした場合、その都市からの交通量(車両の行き来)が一定量以上ある関係の都市までの範囲などを言う。人の移動量や物資の移動量なども考慮してもよい。
【0035】
なお、生活圏を考慮する場合、この生活圏は必ずしも定量的に判断できるものでもない。経験的に判断される場合もある。すなわち、複数の分割パターンを決定する場合、交通量や、人の移動量や、物資の移動量などの定量的なパラメータに加えて、経験的な定性的なパラメータも考慮し、総合的に決定すればよい。また、分割パターンで分割される地方(区画)の大きさは、データ容量や生活移動範囲を考慮して決定する。
【0036】
また、次の点も考慮する。ある分割パターンで、第1の主要都市を中心とした地方(区画)が決定されたとき、その地方の境界近辺(境界に近い側)に他の第2の主要都市が位置するとする。この場合には、第2の主要都市を中心とした地方(区画)が分割されるような他の分割パターンも持つこととする。図4の例では、名古屋市を中心とした地方62の境界近辺に静岡市が位置する。このような場合、静岡市を中心とした地方71が分割される図5の分割パターンも持つようにする。
【0037】
−通信回線を介して提供−
本実施の形態では、上述した通り、電話回線網5を介しても地図データの提供を受けることができる。図6は、地図データの提供に関するナビゲーション装置1とデータ提供センタ9との情報のやり取りを示す図である。ナビゲーション装置1の処理は、制御装置11が所定のプログラムを実行することにより行う。データ提供センタ9の処理は、サーバ6が所定のプログラムを実行することにより行う。図4のナビゲーション装置1側の処理は、ナビゲーション装置1のメニュー画面などで「地図データの取得」というメニューが選択されることにより開始する。
【0038】
ステップS1では、ナビゲーション装置1の制御装置11は、ユーザによる「地図データの取得」メニューの選択に伴い、地図データの取得処理を選択する。ステップS2では、ナビゲーション装置1の制御装置11は、地図データの取得地域をユーザに確認する。具体的には、「地図データを取得する地域を指定してください」のようなメッセージを、音声により出力したり、モニタ18上に表示したりする。ユーザは、入力装置17を使用して、地図データを取得したい地域、例えば都市名などを入力する。
【0039】
なお、制御装置11がモニタ18に全国地図を表示して、その全国地図上で地図データを取得したい地域を特定させるようにしてもよい。また、制御装置11が、複数の分割パターンと、それぞれの分割パターンで取得できる地方の一覧を表示し、その中から選択させるようにしてもよい。
【0040】
ステップS3では、ナビゲーション装置1の制御装置11は、データ提供センタ9へ地図データ提供要求を行う。具体的には、まず通信インターフェース16を介して通信装置4である携帯電話に、データ提供センタ9の電話番号に電話させるように制御する。電話がつながると、地図データ提供要求を送信する。地図データ提供要求は、地図データの提供要求コマンドと提供してほしい地域の都市名を送信することにより行う。ナビゲーション装置1とデータ提供センタ9の間は、携帯電話のデジタルデータの通信機能を利用して行う。
【0041】
ステップS11では、データ提供センタ9のサーバ6は、ナビゲーション装置1から送信されてきた地図データ提供要求を受信する。ステップS12では、データ提供センタ9のサーバ6は、地図データ提供要求で送信されてきた都市名に基づき、地図データベース7を参照して、その都市が略中心にくるような地方およびその分割パターンを特定する。なお、地図データベース7には、予め決定された複数の分割パターンで分割された地方に関する情報と、その地方に対応した地図データが生成され格納されている。
【0042】
ステップS13では、データ提供センタ9のサーバ6は、特定された地方の地図データを地図データベース7から読み出す。ステップS14では、データ提供センタ9のサーバ6は、ステップS13で読み出された地方の地図データおよび特定された分割パターンに関する情報をナビゲーション装置1へ送信する。
【0043】
ステップS4では、ナビゲーション装置1の制御装置11は、地図データの格納処理を行う。具体的には、送信されてきた地図データファイルを不揮発性メモリ12へ格納し、ファイル管理テーブルを更新する。なお、本実施の形態では、地図データは上述した地方単位のファイル単位で管理されているため、送信されてきた地図データファイルをそのまま格納すればよい。
【0044】
−地図データの更新−
本実施の形態では、地図データは上述したように地方単位のファイル単位で管理されている。従って、ナビゲーション装置1ですでに保有している地図データは、この地方単位のファイルを更新することにより行われる。更新データは、記録媒体2を介して提供してもよいし、電話回線網5の通信回線を介して提供してもよい。提供された更新データは、その地方の都道府県の最新の地図データのファイルである。従って、提供された更新データファイルでもって古い地図データのファイルを上書きすればよい。
【0045】
以上のように構成する本実施の形態の地図データ提供システムは、次のような効果を奏する。
(1)地図収録全エリア51を複数の分割パターンで分割して地図データを提供する地方を決定するようにしたので、ユーザは自己の生活圏に合った適切な地方の地図データを選択することができる。その結果、低コストで最適な必要最低限の地図データを取得することができる。
(2)特に、従来の地図データが提供される地方の境界近辺に居住するユーザにとっては、1枚の記録媒体で自己の生活圏に合った適切な地図データを取得することができる。その結果、地図データ取得のコスト的負担が軽減されるとともに、日常生活で車を使用しているときに、頻繁に記録媒体を入れ替えなければいけないという煩わしさからも開放される。
(3)必要な地域の詳細な地図データを、最低限のコストで取得することができる。
(4)転居などで自宅位置が変更された場合でも、変更された自宅位置に合った適切な必要最低限の地図データを取得することができる。
(5)電話回線網5などの通信回線を介しても、適切に選択された分割パターンの地図データの取得をできるようにしたので、少ないコストで適切かつ必要最低限の地図データを取得することができる。
(6)地図データの更新も、上記のように分割された地方単位で行うことができるので、最新の地図データを、少ないコストで適切に取得することができる
【0046】
なお、上記実施の形態では、2つの分割パターンの例を説明したが、必ずしもこの内容に限定する必要はない。3つ以上の分割パターンであってもよい。ユーザのニーズに応じた最適な地方の地図データが提供できるように、適宜決定すればよい。
【0047】
上記実施の形態では、図3や図4のような地方に分割する例を説明したが、必ずしもこの内容に限定する必要はない。もっと小さい範囲の地方や区画に分割する場合であってもよい。ナビゲーション装置1を使用するユーザの生活圏を考慮し、適宜決定すればよい。
【0048】
上記実施の形態では、地図データを地方単位のデータファイルで管理する例を説明したが、必ずしもこの内容に限定する必要はない。例えば、該当地方内の都道府県や市区町村単位でデータファイルを管理してもよい。地方単位の地図データとは、それらのデータファイルを集合したものと考えればよい。
【0049】
上記実施の形態では、地図データの提供について説明した。本発明は、検索データの提供にも適用することができる。また、地図データという概念の中に、検索データも含めて考えるようにしてもよい。
【0050】
上記実施の形態では、ナビゲーション装置1とデータ提供センタ9とを電話回線網5で接続する例を説明したが、必ずしもこの内容に限定する必要はない。インターネットを介して接続するようにしてもよい。他の専用回線などを使用するようにしてもよい。
【0051】
上記実施の形態では、ナビゲーション装置1側にDVD駆動装置14を搭載する例を説明したが、必ずしもこの内容に限定する必要はない。ハードディスクなどの不揮発性メモリ12のみを有し、地図データや検索データはすべて通信により取得するようにしてもよい。また、ナビゲーション装置1にICカードなどのスロットを設け、ICカードなどのリムーバブルメモリを使用して、検索データの更新データを提供するようにしてもよい。
【0052】
上記実施の形態では、車両に搭載するナビゲーション装置の例を説明したが、必ずしもこの内容に限定する必要はない。ポータブルなナビゲーション装置にも本発明は適用できる。また、携帯電話を利用したナビゲーションにも適用できる。この場合、各装置に適した分割区分の大きさや分割パターンが決定される。ナビゲーション機能を有した携帯電話では、携帯電話自体がナビゲーション装置と考えればよい。
【0053】
上記実施の形態では、ナビゲーション装置1やサーバ6が実行するプログラムは、すでに各装置に搭載されている例で説明をしたが、この内容に限定する必要はない。これらのプログラムを、DVDやCD−ROMなどの記録媒体で提供するようにしてもよい。この場合には、各装置がそれらの記録媒体からデータを読み込む装置が必要となる。また、それらのプログラムをインターネットなどに代表される通信回線などの伝送媒体を介して提供するようにしてもよい。すなわち、プログラムを、伝送媒体を搬送する搬送波上の信号に変換して送信することも可能である。
【0054】
上記実施の形態では、車両に搭載される専用ナビゲーション装置の例を説明したが、必ずしもこの内容に限定する必要はない。上述したナビゲーション装置1用の制御プログラムをパソコン上で実行させてナビゲーション装置を実現するようにしてもよい。その場合、現在地検出装置13などはパソコンの所定のI/Oポートなどに接続するようにすればよい。
【0055】
上記実施の形態では、地図データを、データ種別の区別なく地方単位で管理する例を説明したが、必ずしもこの内容に限定する必要はない。背景データ、道路データ、経路探索用データ、経路誘導用データなどのデータ種別に分けて、地方単位で管理するようにしてもよい。
【0056】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】ナビゲーション装置に使用する地図データの更新システムを示す図である。
【図2】車載用ナビゲーション装置のブロック図である。
【図3】本実施の形態における、地図データの分割の概念について説明する図である。
【図4】分割パターンの一例を示す図である。
【図5】分割パターンの一例を示す図である。
【図6】地図データの提供に関するナビゲーション装置とデータ提供センタとの情報のやり取りを示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1 ナビゲーション装置
2 記録媒体
4 通信装置
5 電話回線網
6 サーバ
7 地図データベース
8 検索データベース
11 制御装置
12 不揮発性メモリ
13 現在地検出装置
14 DVD駆動装置
15 メモリ
16 通信インターフェース
17 入力装置
18 モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーション装置で使用する地図データの提供方法であって、
地図データを提供するエリアを、分割した区画がお互いに重複しない複数の分割パターンでそれぞれ複数の区画に分割し、
前記複数の分割パターンで分割したそれぞれの区画に対応した地図データを生成し、
前記複数の分割パターンで分割したそれぞれの区画に対応した地図データを、ユーザが任意に選択可能に提供することを特徴とする地図データの提供方法。
【請求項2】
請求項1に記載の地図データの提供方法において、
前記複数の分割パターンで分割するそれぞれの区画は、生活上のつながりがある関係を考慮して決定することを特徴とする地図データの提供方法。
【請求項3】
請求項1に記載の地図データの提供方法において、
前記複数の分割パターンで分割するそれぞれの区画は、車両の交通量を考慮して決定することを特徴とする地図データの提供方法。
【請求項4】
請求項1に記載の地図データの提供方法において、
前記複数の分割パターンで分割するそれぞれの区画の大きさは、ナビゲーション装置を利用するユーザの生活移動範囲を考慮して決定することを特徴とする地図データの提供方法。
【請求項5】
請求項1に記載の地図データの提供方法において、
前記複数の分割パターンは、第1の分割パターンと、前記第1の分割パターンで分割する第1の区画が第1の主要都市を中心とした区画でありかつ前記第1の区画の境界に近い側に第2の主要都市があるとき、前記第2の主要都市を中心とした区画が生成される第2の分割パターンとを有することを特徴とする地図データの提供方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の地図データの提供方法において、
前記複数の分割パターンで分割したそれぞれの区画に対応した地図データを、個別に記録媒体に格納して提供することを特徴とする地図データの提供方法。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかに記載の地図データの提供方法において、
前記複数の分割パターンで分割したそれぞれの区画に対応した地図データを、個別に通信回線を介してナビゲーション装置へ提供することを特徴とする地図データの提供方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の地図データの提供方法において、
前記複数の分割パターンで分割したそれぞれの区画に対応して提供した地図データを、前記提供した区画単位で更新することを特徴とする地図データの提供方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の地図データの提供方法を実行する地図データ提供装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザからの要求に応じてナビゲーション装置で使用する地図データを提供する地図データ提供装置であって、
地図データを提供するエリアを、複数の分割パターンでそれぞれ複数の区画に分割し、前記複数の分割パターンで分割したそれぞれの区画に関する情報と、前記複数の分割パターンで分割したそれぞれの区画に対応した地図データを格納する地図データ格納手段と
都市名などの地域に関する情報を取得し、取得した地域に関する情報に基づき、前記複数の分割パターンの中から1つの分割パターンを特定する地図データ特定手段と、
前記地図データ特定手段により特定された分割パターンにより分割された区画の地図データを提供する地図データ提供手段とを備え、
前記地図データ特定手段は、前記取得した地域に関する情報に基づき、前記地図データ格納手段に格納された前記複数の分割パターンで分割したそれぞれの区画に関する情報を参照して、前記複数の分割パターンの中から、前記地域が区画の境界からより離れている区画を有する分割パターンを特定することを特徴とする地図データ提供装置。
【請求項2】
請求項1に記載の地図データ提供装置において、
前記複数の分割パターンでそれぞれ分割された区画は、1つの分割パターン内でお互いに重複しないことを特徴とする地図データ提供装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の地図データ提供装置において、
前記地図データ格納手段が格納する地図データにおいて、前記複数の分割パターンで分割するそれぞれの区画は、生活上のつながりがある関係を考慮して決定されていることを特徴とする地図データ提供装置
【請求項4】
請求項1または2に記載の地図データ提供装置において、
前記地図データ格納手段が格納する地図データにおいて、前記複数の分割パターンで分割するそれぞれの区画は、車両の交通量を考慮して決定されていることを特徴とする地図データ提供装置
【請求項5】
請求項1または2に記載の地図データ提供装置において、
前記地図データ格納手段が格納する地図データにおいて、前記複数の分割パターンで分割するそれぞれの区画の大きさは、ナビゲーション装置を利用するユーザの生活移動範囲を考慮して決定されていることを特徴とする地図データ提供装置
【請求項6】
請求項1または2に記載の地図データ提供装置において、
前記地図データ格納手段が格納する地図データにおいて、前記複数の分割パターンは、第1の分割パターンと、前記第1の分割パターンで分割する第1の区画が第1の主要都市を中心とした区画でありかつ前記第1の区画の境界に近い側に第2の主要都市があるとき、前記第2の主要都市を中心とした区画が生成される第2の分割パターンとを有することを特徴とする地図データ提供装置
【請求項7】
請求項1からのいずれかに記載の地図データ提供装置において、
前記地図データ提供手段は、前記複数の分割パターンで分割したそれぞれの区画に対応した地図データを、個別に記録媒体に格納して提供することを特徴とする地図データ提供装置
【請求項8】
請求項1からのいずれかに記載の地図データ提供装置において、
前記地図データ提供手段は、前記複数の分割パターンで分割したそれぞれの区画に対応した地図データを、個別に通信回線を介してナビゲーション装置へ提供することを特徴とする地図データ提供装置
【請求項9】
請求項1からのいずれかに記載の地図データ提供装置において、
前記地図データ提供手段は、前記複数の分割パターンで分割したそれぞれの区画に対応して提供した地図データを、前記提供した区画単位で更新する更新用地図データを提供することを特徴とする地図データ提供装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−3385(P2006−3385A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−176684(P2004−176684)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】