地図表示装置、車載ナビゲーション装置
【課題】地図を簡略化して表示しつつ、そのうち一部分については正確な道路形状を表示できる地図の表示方法を提供する。
【解決手段】通常の地図を簡略化した要約地図を表示した要約地図画面において、推奨経路２０上に設定される複数の表示対象点の上を、出発地から目的地まで虫メガネマーク３０を所定時間ごとに順次移動させる。このとき、虫メガネマーク３０の内側に含まれる範囲については、要約地図の替わりに元の要約前の地図を表示する。
【解決手段】通常の地図を簡略化した要約地図を表示した要約地図画面において、推奨経路２０上に設定される複数の表示対象点の上を、出発地から目的地まで虫メガネマーク３０を所定時間ごとに順次移動させる。このとき、虫メガネマーク３０の内側に含まれる範囲については、要約地図の替わりに元の要約前の地図を表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、道路地図を簡略化して表示する技術に関する。
【背景技術】
【０００２】
地図を表すための地図データに基づいて、本来の地図を簡略化する方法が知られている。たとえば、特許文献１に開示される装置では、地図データにおける道路形状に対して直線化や直交化などの処理を行い、さらに、マスクで規定した範囲内のランドマーク情報のみを表示することにより、本来の地図を簡略化する。このようにして簡略化された地図を表示することで、見やすい地図を提供する。
【０００３】
【特許文献１】特開平１１−２０２７６２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
特許文献１に開示される方法によって簡略化した地図を用いると、目的地までの推奨経路の全体像など、地図の大まかな形状について見やすく表示することができる。しかし、推奨経路上の重要な地点などについては、大まかな形状だけでなく正確な道路形状を知りたい場合がある。そのため、地図を簡略化して表示しつつ、そのうち一部分については正確な道路形状を表示できる地図の表示方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
請求項１の発明による地図表示装置は、地図を要約した要約地図を地図データに基づいて作成する要約地図作成手段と、要約地図作成手段により作成された要約地図を表示モニタに表示する要約地図表示手段と、要約地図からいずれかの部分を指定する指定手段と、指定手段により指定された部分については、要約地図に替えて、要約地図よりも詳細な地図を表示する詳細地図表示手段とを備えるものである。
請求項２の発明は、請求項１の地図表示装置において、詳細地図表示手段は、要約地図よりも詳細な地図として、要約前の地図を表示するものである。
請求項３の発明は、請求項１または２の地図表示装置において、要約地図上に複数の表示対象点を設定する表示対象点設定手段と、表示対象点設定手段により設定された複数の表示対象点を所定時間ごとに順次選択する選択手段とをさらに備え、指定手段は、要約地図のいずれかの部分として、選択手段により選択された表示対象点の周囲の所定範囲の部分を指定するものである。
請求項４の発明は、請求項３の地図表示装置において、要約地図には、出発地から設定された目的地までの推奨経路が含まれ、表示対象点設定手段は、その推奨経路上に複数の表示対象点を出発地から目的地まで順番に並べて設定し、選択手段は、その順番に従って複数の表示対象点を順次選択するものである。
請求項５の発明は、請求項４の地図表示装置において、表示対象点設定手段は、要約地図において推奨経路の形状が変化している形状変化点を、表示対象点として設定するものである。
請求項６の発明は、請求項４の地図表示装置において、表示対象点設定手段は、要約地図において自車両が曲がるべき誘導交差点に対応する誘導交差点対応点を、表示対象点として設定するものである。
請求項７の発明は、請求項１〜６のいずれかの地図表示装置において、詳細地図表示手段により表示された地図の縮尺を変更する縮尺変更手段をさらに備えるものである。
請求項８の発明による車載ナビゲーション装置は、請求項１〜７のいずれかの地図表示装置と、自車両の現在地を検出する自車位置検出手段と、自車位置検出手段により検出された現在地を出発地として、その出発地から設定された目的地までの推奨経路を探索する経路探索手段とを備えるものである。
【発明の効果】
【０００６】
本発明によれば、表示モニタに表示された要約地図からいずれかの部分を指定し、その部分については要約地図に替えて、要約地図よりも詳細な地図を表示することとした。このようにしたので、地図を簡略化した要約地図を表示しつつ、そのうち一部分については詳細な地図を用いて正確な道路形状を表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００７】
−第１の実施の形態−
本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を図１に示す。このナビゲーション装置は、車両に搭載されており、設定された目的地までの推奨経路を探索することにより、その推奨経路の道路地図を表示し、推奨経路に従って自車両を目的地まで案内する。また、推奨経路が探索されると、その推奨経路の全体について通常の地図を基に道路形状などを簡略化することにより、通常の地図を要約した地図（以下、要約地図という）を作成して、推奨経路全体についての要約地図を表示するものである。図１に示すナビゲーション装置１は、制御回路１１、ＲＯＭ１２、ＲＡＭ１３、現在地検出装置１４、画像メモリ１５、表示モニタ１６、入力装置１７、およびディスクドライブ１８を有している。ディスクドライブ１８には、地図データが記録されたＤＶＤ−ＲＯＭ１９が装填される。
【０００８】
制御回路１１は、マイクロプロセッサおよびその周辺回路からなり、ＲＡＭ１３を作業エリアとしてＲＯＭ１２に格納された制御プログラムを実行することにより、各種の処理や制御を行う。この制御回路１１において後で説明するような処理を実行することによって、ＤＶＤ−ＲＯＭ１９に記録された地図データに基づいて推奨経路が探索され、その推奨経路全体についての要約地図が作成されて、表示モニタ１６に表示される。
【０００９】
現在地検出装置１４は、自車両の現在地を検出する装置であり、たとえば、自車両の進行方位を検出する振動ジャイロ１４ａ、車速を検出する車速センサ１４ｂ、ＧＰＳ衛星からのＧＰＳ信号を検出するＧＰＳセンサ１４ｃ等からなる。ナビゲーション装置１は、この現在地検出装置１４により検出された自車両の現在地に基づいて、推奨経路を探索するときの経路探索開始点を決定すると共に、地図上に自車位置を表示することができる。
【００１０】
画像メモリ１５は、表示モニタ１６に表示するための画像データを一時的に格納する。この画像データは、地図を画像表示するための道路地図描画用データや各種の図形データ等からなり、制御回路１１において、ＤＶＤ−ＲＯＭ１９に記録されている地図データに基づいて作成される。この画像メモリ１５に格納された画像データを用いて、推奨経路全体の要約地図、または通常の地図のいずれかが表示モニタ１６に表示される。
【００１１】
入力装置１７は、ユーザが目的地の設定などを行うための各種入力スイッチを有し、これは操作パネルやリモコンなどによって実現される。ユーザは、表示モニタ１６に表示される画面指示に従って入力装置１７を操作することにより、地名や地図上の位置を指定して目的地を設定し、その目的地までの推奨経路の探索を開始することができる。
【００１２】
ディスクドライブ１８は、通常の道路地図を表示したり要約地図を作成したりするために用いられる地図データを、装填されたＤＶＤ−ＲＯＭ１９より読み出す。この地図データには、目的地までの推奨経路を演算するために用いられる経路計算データや、交差点名称、道路名称など、推奨経路に従って自車両を目的地まで案内するために用いられる経路誘導データ、道路を表す道路データ、さらには河川や鉄道、地図上の各種施設（ランドマーク）など、道路以外の地図形状を表す背景データなどが含まれている。
【００１３】
道路データにおいて、道路区間を表す最小単位はリンクと呼ばれており、各道路は複数のリンクによって構成されている。リンク同士を接続している点はノードと呼ばれ、このノードはそれぞれに位置情報（座標情報）を有している。このノードの位置情報によって、リンク形状、すなわち道路の形状が決定される。このような道路データに対して後で説明するようなディフォルメ処理を実行することにより、推奨経路の要約地図が作成される。なお、ここではＤＶＤ−ＲＯＭを用いた例について説明しているが、ＤＶＤ−ＲＯＭ以外の他の記録メディア、たとえばＣＤ−ＲＯＭやハードディスクなどより、地図データを読み出すこととしてもよい。
【００１４】
ユーザにより前述のようにして目的地が設定されると、ナビゲーション装置１は、現在地検出装置１４により検出された現在地を経路探索開始点として、目的地までの経路演算を前述の経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムにより行う。こうして目的地までの推奨経路が求められると、その推奨経路全体についての要約地図が作成されて、図２に示すような要約地図画面が表示モニタ１６に表示される。
【００１５】
図２の要約地図画面において表示されている推奨経路２０は、探索された推奨経路の全体を要約することにより、その道路形状が実際よりも簡略化されて表示されている。なお、このときの具体的な要約方法については後で説明する。推奨経路２０の出発地（経路探索開始点）には出発地マーク２１が表示され、目的地には目的地マーク２２が表示される。また、次に説明する虫メガネマーク３０、一時停止ボタン３１、再生ボタン３２、停止ボタン３３および倍率変更ボタン３４も、この要約地図画面に表示される。
【００１６】
虫メガネマーク３０は、要約された推奨経路２０からいずれかの一部分を指定する。指定された部分については、要約地図に替えて要約する前の地図が表示される。具体的には、図２に示すように虫メガネマーク３０の内側に含まれる範囲については、要約地図の替わりに元の要約前の地図が表示される。この虫メガネマーク３０は、推奨経路２０上に設定される複数の表示対象点の上を、出発地から目的地まで順番に所定時間ごとに自動的に移動していく。すなわち、出発地から目的地まで順番に並べて設定された複数の表示対象点が、その順番に従って所定時間ごとに順次選択される。そして、選択された表示対象点上を虫メガネマーク３０が移動することにより、その表示対象点の周囲の所定範囲の部分について、元の要約前の地図が表示される。
【００１７】
上記の表示対象点は、次のようにして推奨経路２０上に設定される。たとえば、要約地図画面において推奨経路２０が折れ曲がって形状が変化している点（以下、形状変化点という）や、元の要約前の推奨経路における誘導交差点に対応する点（以下、誘導交差点対応点という）などを、表示対象点として設定することができる。なお、ここでいう誘導交差点とは、自車両が推奨経路を走行するときに曲がるべき交差点のことを意味する。形状変化点は、通常は誘導交差点対応点でもある。
【００１８】
さらに、表示対象点をより多くする、または少なくすることをユーザの操作によって決められるようにし、その操作に応じて表示対象点の設定条件を変えるようにしてもよい。たとえば、表示対象点をより多くするように操作された場合には、誘導交差点対応点の全てを表示対象点として設定し、逆により少なくするように操作された場合には、形状変化点のみを表示対象点に設定する。なお、これらの中間がユーザの操作によって指定された場合には、誘導交差点対応点のうち所定の条件を満たすものを表示対象点として設定すればよい。たとえば、推奨経路と交差する道路の道路種別が特定のもの（国道、県道など）である誘導交差点や、推奨経路が一定以上の角度で曲がっている誘導交差点などに対応する誘導交差点対応点を、表示対象点として設定することができる。このようにして、ユーザの操作に応じて、表示対象点を設定するときの設定条件を変えることができる。
【００１９】
一時停止ボタン３１、再生ボタン３２および停止ボタン３３は、虫メガネマーク３０の表示を制御するためにそれぞれ用いられる。ユーザは、入力装置１７の操作によって再生ボタン３２を押すことにより、図２の要約地図画面において虫メガネマーク３０を表示して、推奨経路２０上に設定された各表示対象点の周囲について、出発地から順に元の要約前の地図を所定時間ずつ表示することができる。また、再生ボタン３２を押した後に一時停止ボタン３１を押すと、虫メガネマーク３０の表示対象点間の移動が一時停止される。このときにもう一度一時停止ボタン３１を押すと、虫メガネマーク３０の移動を再開することができる。さらに、停止ボタン３３を押すと、虫メガネマーク３０が目的地まで移動していない場合であっても、図２の要約地図画面の表示を中止する。
【００２０】
倍率変更ボタン３４を用いると、虫メガネマーク３０内に表示されている元の要約前の地図の縮尺を変更することができる。ユーザは、倍率変更ボタン３４に配置されている「×１」、「×２」、「×４」または「×８」のいずれかの部分を入力装置１７の操作によって押すことにより、その倍率表示に応じて元の要約地図の地図縮尺を切り替え、その地図を拡大または縮小表示することができる。地図縮尺を変更した場合には、虫メガネマーク３０内の地図表示部分に合わせて、表示される地図の範囲が変化する。なお、これ以外の倍率を指定できるようにしてもよい。
【００２１】
以上説明したような要約地図画面が表示されることにより、推奨経路の全体像と各表示対象点の周囲についての元の要約前の地図が表示される。その後は、自車位置周辺について通常の地図が表示される。この地図上には、推奨経路がその表示形態、たとえば表示色などを変えることによって、他の道路とは区別して表されると共に、自車位置を示す自車位置マークが表示される。これにより、ユーザは地図上に推奨経路と自車位置を認識することができる。また、推奨経路に従って自車両が走行できるよう、ユーザに対して画像や音声などによる進行方向指示が行われる。このようにして、自車両の案内が目的地まで行われる。
【００２２】
上記の要約地図画面を表示するときに制御回路１１において実行される処理のフローチャートを図３に示す。このフローチャートは、ユーザによって目的地が入力されることにより実行される。ステップＳ１では、ユーザに入力された目的地により、経路探索の目的地を設定する。ステップＳ２では、経路探索開始点である自車両の現在地からステップＳ１において設定された目的地までの推奨経路を探索する。このとき、前述したように経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムにより経路演算が行われる。なお、自車両の現在地は現在地検出装置１４によって一定時間ごとに求められる。
【００２３】
ステップＳ３では、ステップＳ２において探索された推奨経路を対象として、要約地図の作成および表示処理を行う。これにより、図２の推奨経路２０が表示モニタ１６に表示される。なお、ステップＳ３の具体的な処理内容については、後で図４により説明する。ステップＳ４では、ステップＳ３によって表示された推奨経路２０上に、前述したようにして表示対象点を設定する。ステップＳ５では、図２に示す各ボタン、すなわち一時停止ボタン３１、再生ボタン３２、停止ボタン３３および倍率変更ボタン３４を、表示モニタ１６に表示する。ステップＳ５の処理が実行された結果、図２に示すような要約地図画面が表示される。なお、このときにはまだ虫メガネマーク３０は表示されない。
【００２４】
ステップＳ６では、ステップＳ５で表示された再生ボタン３２がユーザによって押されたか否かを判定する。押された場合には次のステップＳ７へ進む。ステップＳ７では、ステップＳ３の処理によって表示された推奨経路２０上に、図２の虫メガネマーク３０を表示する。このとき、出発地すなわち自車位置を最初の表示対象点とし、その最初の表示対象点上に虫メガネマーク３０を表示する。このステップＳ７を実行することによって表示される虫メガネマーク３０を用いて、以降の処理において要約地図からいずれか一部分を指定する。ステップＳ８では、ステップＳ７において表示した虫メガネマーク３０の内側に、その表示対象点の周囲にある所定の地図範囲について、通常の地図、すなわち元の要約前の地図を表示する。
【００２５】
ステップＳ９では、停止ボタン３３がユーザによって押されたか否かを判定する。押された場合には、図３の処理フローを終了して要約地図画面の表示を中止する。その後は、自車位置周辺についての通常の地図表示に移行する。停止ボタン３３が押されていない場合は、次のステップＳ１０へ進む。ステップＳ１０では、一時停止ボタン３１がユーザによって押されたか否かを判定する。押された場合はステップＳ１１へ進み、もう一度一時停止ボタン３１が押されるまでは先へ進まない。ステップＳ１０において一時停止ボタン３１が押されなかった場合、あるいはステップＳ１１においてもう一度一時停止ボタン３１が押された場合は、ステップＳ１２へ進む。
【００２６】
ステップＳ１２では、倍率変更ボタン３４がユーザによって押されたか否かを判定する。押された場合はステップＳ１３へ進み、押された倍率に応じて、虫メガネマーク３０内に表示されている元の要約前の地図の縮尺を切り替える。ステップＳ１３を実行した後は、ステップＳ１４へ進む。一方ステップＳ１２において倍率変更ボタン３４が押されていない場合は、ステップＳ１３を実行せずにステップＳ１４へ進む。
【００２７】
ステップＳ１４では、ステップＳ８において虫メガネマーク３０内に元の要約前の地図を表示してから、所定時間が経過したか否かを判定する。その表示から所定時間、たとえば５秒間経過していれば、次のステップＳ１５へ進む。所定時間経過していなければ、ステップＳ９へ戻って上記の処理を繰り返す。なお、ここでいう所定時間は、前述した虫メガネマーク３０が表示対象点上を順に移動していくときの所定時間と等しい。
【００２８】
ステップＳ１５では、ステップＳ４において複数設定された表示対象点の中から、次の表示対象点を選択する。このとき、前述したように表示対象点は推奨経路上に出発地から目的地まで順番に並べて設定されている。その並べられた順番に従って、次の表示対象点を選択する。ステップＳ１６では、ステップＳ１５において選択された次の表示対象点へ虫メガネマーク３０を移動する。このようにして、虫メガネマーク３０を表示対象点上に所定時間ごとに移動させる。
【００２９】
ステップＳ１７では、ステップＳ１６において虫メガネマーク３０を次の表示対象点へと移動させた結果、虫メガネマーク３０が目的地まで移動したか否かを判定する。目的地まで移動した場合は、図３の処理フローを終了して要約地図画面の表示を完了する。その後は、要約地図画面の表示を中止した場合と同様に、自車位置周辺についての通常の地図表示に移行する。一方、虫メガネマーク３０が目的地まで移動していない場合は、ステップＳ８へ戻って、移動後の表示対象点について通常の地図を虫メガネマーク３０内に表示した後、上記の処理を繰り返す。
【００３０】
以上説明したようにして、図２の要約地図画面が表示モニタ１６に表示され、その要約地図画面において推奨経路２０上に設定された表示対象点の周囲について、元の要約前の地図を表示することができる。
【００３１】
次に、ステップＳ３において実行される要約地図作成・表示処理について説明する。図４はこの要約地図作成・表示処理の内容を表すフローチャートであり、ステップＳ１１０のディフォルメ処理、ステップＳ１２０の水平化処理、ステップＳ１３０のランドマーク位置補正、ステップＳ１４０の要約地図表示、およびステップＳ１５０の出発地・目的地マーク表示の各ステップを有している。以下に、これらの各ステップの内容を順に説明していく。
【００３２】
ステップＳ１１０では、図３のステップＳ２において探索された推奨経路を要約対象とし、これに対してディフォルメ処理（直線化・直交化処理）を実行することにより、要約地図を作成する。このディフォルメ処理の具体的な内容については、後で説明する。
【００３３】
ステップＳ１２０では、作成された要約地図に対して、水平化処理を行う。この水平化処理とは、要約地図全体をその中心周りに回転することにより、出発地が画面の左上に、また目的地が画面の右下に位置するような向きに要約地図を向けることをいう。なお、この水平化処理は必要に応じて行えばよく、省略しても構わない。また、これ以外の向きに要約地図を向けるようにしてもよい。
【００３４】
ステップＳ１３０では、要約地図に対するランドマークの位置補正を行う。このランドマークの位置補正の内容は後で説明する。ステップＳ１４０では、ステップＳ１３０で位置を補正したランドマークを要約地図上に重ね合わせ、その要約地図を表示モニタ１６に表示する。
【００３５】
ステップＳ１５０では、ステップＳ１４０で表示した要約地図上に、図２の出発地マーク２１および目的地マーク２２を表示する。ステップＳ１５０を実行した後は図４の処理フローを終了して、図３のステップＳ４へ進む。以上説明したようにして、ステップＳ３の処理が実行されて、図２の推奨経路２０が表示モニタ１６に表示される。
【００３６】
ここで、図４のステップＳ１１０で実行される要約地図の作成方法を説明する。要約地図の作成は、設定した地図範囲内に対して、その地図データに基づいてディフォルメ処理と呼ばれる処理を実行することによって行われる。ディフォルメ処理の内容について、以下に説明する。図５および図６は、それぞれ本発明で要約地図を作成するときに利用されるディフォルメ処理の内容を説明するための詳細説明図である。図５では、ディフォルメ化処理（１）として、道路形状の直線化（構成点の間引き処理）について説明する。
【００３７】
図５（ａ）に示す原図形が元の道路形状であるとすると、これに対して、（ｂ）に示すように、その両端点（第１端点、第２端点とする）を結んだ線（破線）に対する各点の垂線距離を計測し、そのうち最長の垂線距離ｄｍａｘを求める。そして、求められたｄｍａｘがあらかじめ設定された規定値ε以上ならば、対応する構成点を残す。つまり、（ｃ）に示すように、そのｄｍａｘに対応する点を新たな端点（第３端点とする）として追加して、第１端点と第３端点、および第３端点と第２端点とをそれぞれ結ぶ、破線で示す線を引く。なお、ここでいう点あるいは構成点とは、道路すなわちリンク列の形状を決定するためのものであって、道路データにおけるノードあるいは形状補間点（リンク形状を決めるためノード間に設定される点）に相当する。
【００３８】
このように、最長垂線距離ｄｍａｘがεよりも小さくなるまで、同様の処理を繰り返していく。そして、（ｄ）に示す状態でｄｍａｘ＜εとなったとする。このときに、隣接する端点相互を結んだ直線を引き、その直線の形状によって道路形状を表す。その結果、（ｅ）に示すような道路形状となる。このようにして、道路形状の直線化処理を行う。
【００３９】
図６では、ディフォルメ処理（２）として、道路形状の直交化について説明する。図６（ａ）に示す図形が元の道路形状であるとすると、これに対して、最初の折れ線の最初の点（Ｐ１）を通り、ｘ軸（地図の横方向）と平行な直線を求める。この直線を、破線で示す基準線とする。次に、（ｂ）に示すように、点Ｐ１と次の点Ｐ２を結ぶベクトル（リンク）Ｐ１Ｐ２について、基準線となす角θを求める。
【００４０】
次に、（ｃ）に示すように、ベクトル長を固定した状態で、θ’＝ｎ・Δθ（ｎは整数）となるように、ベクトルＰ１Ｐ２を、始点Ｐ１を中心に回転させる。これにより、終点Ｐ２を移動する。なお、角度Δθは、ベクトルＰ１Ｐ２を回転させるときの単位角度であり、たとえば４５°とする。この処理により、ベクトルＰ１Ｐ２と基準線とのなす角が、単位角度Δθ刻みで補正される。
【００４１】
次に、（ｄ）に示すように、点Ｐ２が移動した分（ｄｘ，ｄｙ）を、点Ｐ２の次の点に順次伝搬させていく。交差点の場合には、分岐させて伝搬させていく。これにより、他の点の位置が次々に移動する。
【００４２】
その後は、以上で説明したのと同様の処理を繰り返す。すなわち、（ｅ）に示すように、点Ｐ２を通るｘ軸と平行な直線を基準線とし、次のベクトルＰ２Ｐ３と基準線とのなす角θを求める。そして、（ｆ）に示すように、θ’＝ｎ・Δθとなるよう、始点Ｐ２を中心にベクトルＰ２Ｐ３を回転させ、終点Ｐ３を移動する。その後、（ｇ）に示すように、点Ｐ３が移動した移動分（ｄｘ、ｄｙ）を、Ｐ３の次の点に伝搬させていく。交差点の場合には分岐させて伝搬させていく。
【００４３】
このような処理を、全ての点に対して順次行うことにより、最終的に（ｈ）に示すような道路形状となる。このようにして、道路形状の直交化処理を行う。以上説明したようにして、道路形状の直線化および直交化処理を行うことにより、ディフォルメ処理が終了する。このディフォルメ処理を、設定した地図範囲内に対して行うことで、要約地図を作成することができる。
【００４４】
以上説明したようにして作成された要約地図上には、ディフォルメ処理を行う前の元の地図と同様に、各種施設などの位置を示すランドマークが表示される。しかし、ディフォルメ処理によって道路形状が簡略化されることにより、要約地図における道路の位置は、元の地図より変化する。そのため、要約地図上に元の位置のままランドマークを表示したのでは、道路とランドマークとの位置関係を正しく表すことができない。したがって、ディフォルメ処理を行った後には、ランドマークの位置補正を行うことが必要となる。その方法について、以下に説明する。
【００４５】
図７では、ステップＳ１３０で実行されるランドマークの位置補正の概要について説明する。図７（ａ）に示すように、ディフォルメ処理を行う前の地図では、ランドマークの位置と道路との微妙な位置関係が記述されている。この元の地図に対して、上記で説明したようなディフォルメ処理を行い、さらにランドマークの位置をそのままにして表示すると、たとえば（ｂ）に示すような要約地図となる。
【００４６】
（ｂ）に示す要約地図では、道路の位置のみが（ａ）に示す元の地図に対して変化しているため、元のランドマークと道路との位置関係が保たれていない。たとえば、地図の中央付近にある郵便局に着目すると、この郵便局は、（ａ）に示す元の地図と、（ｂ）に示す要約地図とで、互いに道路の反対側に位置している。そこで、このような不都合を是正するためにランドマークの位置補正を行い、その結果、（ｃ）に示す要約地図のように、道路とランドマークとの位置関係が、元の地図上での位置関係と近似するようにする。
【００４７】
次に、図８を用いて、ランドマークの位置補正の詳細アルゴリズムについて説明する。ランドマークの位置補正では、はじめに、図８（ａ）に示すように、要約前後での形状ベクトル間のペアリストの作成を行う。ここで、要約時に上記に説明したようなディフォルメ処理を行うことによって、道路の形状を表す形状ベクトルの構成点数が元のものから変化する。従って、ペアリストを作成するときには、このペアリストで関係付けられた形状ベクトル間の分岐点間の方向性が合致する必要がある。すなわち、ディフォルメ処理の前後で、それぞれの分岐点の位置に対して、１対１に対応関係が成立するようにする。
【００４８】
このようにしてペアリストを作成したら、その次に（ｂ）に示すように、各形状ベクトルのノルムと、対応する分岐点間の距離の割合を等価にする補正処理を行う。すなわち、要約する前の元の地図において、ランドマークが最近接する形状ベクトルのノルム値と、その形状ベクトルを含む道路経路における、そのランドマークから各分岐点までの距離の割合を測定する。この測定値により、ディフォルメ処理後の要約地図においても、上記のペアリストによって対応付けられる形状ベクトルに対して、そのノルム値と、ランドマークから分岐点間までの距離の割合が等価となるように、ランドマークの位置を計算する。そして、計算した位置にランドマークを表示する。
【００４９】
以上説明したランドマークの位置補正では、ディフォルメ処理によって通常の地図を要約地図に変換することにより道路の形状や距離が変わるので、対応するランドマーク（道沿いにある店等）も道路に合わせて座標を変換する必要がある。そのため、変換前のランドマークの位置についてのパラメータとして、そのランドマークが変換前の道路（リンク）の一方の端から全体の何％のところにあるか、道路のどちら側にあるか、道路から何メートル離れたところにあるかを求める。そして、変換後の対応する道路データに対して、これら３つのパラメータを用いて、変換後のランドマークの位置を決定する。これを、図９に示す具体例を用いて説明する。
【００５０】
図９（ａ）は、ディフォルメ処理する前の通常の地図におけるランドマーク位置の例を示す。地点Ａと地点Ｂとをつなぐ道路は、地点ＡとＡ１の間のリンク５１、地点Ａ１とＡ２の間のリンク５２、地点Ａ２とＡ３の間のリンク５３、および地点Ａ３とＢの間のリンク５４によって構成されており、その道路沿いにランドマーク６１が存在している。リンク５１〜５４のそれぞれの長さは、１５０ｍ、２００ｍ、３５０ｍおよび５００ｍであり、これらのリンクによって構成される地点ＡとＢをつなぐ道路は、その合計、すなわち１２００ｍの長さを有している。ランドマーク６１は、地点Ａ３から地点Ｂに向かって２００ｍ、すなわち地点Ａから９００ｍ地点の、道路の左側に位置している。また、ランドマーク６１の位置は道路から１０ｍ離れている。
【００５１】
このようなディフォルメ処理前のランドマーク位置について、上記に説明した３つのパラメータを求める。１つ目のパラメータ、すなわち、道路の一方の端（地点Ａ）からの距離の全体距離に対する割合は、９００／１２００＝０．７５（７５％）と求められる。２つ目のパラメータ、すなわち道路のどちら側にあるかは、地点ＡからＢに向かって道路の左側にあると求められる。３つ目のパラメータ、すなわち道路からの距離は、１０ｍと求められる。
【００５２】
図９（ｂ）は、ディフォルメ処理が実行された後の要約地図におけるランドマーク位置の例を示す。この要約地図では、地点Ａと地点Ｂとをつなぐ道路は１つのリンク５５によって表されており、その長さは１０００ｍである。この要約地図上にランドマーク６１を表示するとき、先に求めた３つのパラメータを用いて、変換後の位置を決定する。すなわち、地点Ａからの距離は、１つ目のパラメータを用いて、１０００×０．７５＝７５０ｍと求められる。また、２つ目のパラメータと３つ目のパラメータにより、地点Ａから見て道路（リンク５５）の左側であり、その道路から１０ｍ離れた位置が決定される。これらの条件を満たす位置にランドマーク６１を表示することにより、ランドマーク６１の位置補正が行われる。
【００５３】
上記に説明したような処理を行うことにより、要約地図においてランドマークの位置が補正され、道路とランドマークとの位置関係を要約前の元の地図に近似させることができる。その結果、図７（ａ）に示す元の地図のランドマーク位置に対して、要約地図におけるランドマーク位置を図７（ｃ）のようにすることができる。こうしてディフォルメ処理された地図上にランドマーク位置を表して、要約地図が作成される。
【００５４】
以上説明した第１の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
（１）探索された推奨経路について要約地図を作成して表示モニタ１６に表示し（ステップＳ３）、虫メガネマーク３０を表示して（ステップＳ７）、その虫メガネマーク３０によって要約地図からいずれかの部分を指定する。指定された部分については、要約地図に替えて元の要約前の地図を表示する（ステップＳ８）こととした。このようにしたので、地図を簡略化した要約地図を表示しつつ、そのうち一部分については詳細な要約前の地図を表示して、正確な道路形状を表示することができる。
【００５５】
（２）要約地図上に複数の表示対象点を設定する（ステップ４）。ステップＳ８を実行してから所定時間が経過すると（ステップＳ１４）、次の表示対象点を選択して（ステップＳ１５）、選択された表示対象点上に虫メガネマーク３０を移動させる（ステップＳ１６）。これにより、複数の表示対象点を所定時間ごとに順次選択して、その周囲の所定範囲の部分を要約地図から指定することとした。このようにしたので、複数の部分について所定時間ごとに元の要約前の地図を表示することができる。
【００５６】
（３）要約地図に含まれる推奨経路上に、複数の表示対象点を出発地から目的地まで順番に並べて設定し、その順番に従って、その複数の表示対象点を順次選択することとした。このようにしたので、推奨経路に沿って出発地から目的地まで元の要約前の地図を順次表示できる。
【００５７】
（４）要約地図における推奨経路上の形状変化点や誘導交差点対応点を表示対象点として設定することとしたので、自車両が実際に推奨経路を走行するときに正確な道路形状が必要とされる部分の周囲について、元の要約前の地図を表示することができる。
【００５８】
（５）倍率変更ボタン３４がユーザに押されることにより（ステップＳ１２）、虫メガネマーク３０内に表示されている元の要約前の地図の縮尺を変更する（ステップＳ１３）こととした。このようにしたので、ユーザは任意に元の要約前の地図縮尺を変更できる。
【００５９】
−第２の実施の形態−
本発明の第２の実施の形態について説明する。本実施形態は、第１の実施の形態とは異なり、出発地から目的地までの全経路について要約地図を表示するものではない。本実施形態では、推奨経路に従って自車両を目的地まで案内するときに、次の誘導交差点までの要約地図を表示する。この要約地図のうち第１の実施の形態で説明した虫メガネマークを用いてユーザが選んだ任意の一部分について、元の要約前の地図を表示できるようにしたものである。なお、本実施形態によるナビゲーション装置の構成は図１に示す第１の実施の形態のものと同じであるため、説明を省略する。
【００６０】
本実施形態において表示モニタ１６に表示される要約地図画面の例を図１０に示す。図１０（ａ）および（ｂ）に示している要約地図画面は、いずれも自車位置から次の誘導交差点を含む範囲について、探索された推奨経路を要約して表示したものである。この図において太線で示している部分の道路が、推奨経路を表している。これらの要約地図画面には、自車位置を示すための自車位置マーク４０が表示されている。
【００６１】
はじめは、（ａ）の虫メガネマーク表示前の要約地図画面が表示される。この画面には、虫メガネマークの表示を切り替えるための虫メガネアイコン４１が表示されている。ユーザが入力装置１７の操作によって虫メガネアイコン４１を押すと、（ｂ）の虫メガネマーク表示後の要約地図画面に切り替わる。この画面には、第１の実施の形態において説明した虫メガネマーク３０が表示されている。また、虫メガネマーク表示後の要約地図画面であることを示すために、虫メガネアイコン４１が反転表示されている。
【００６２】
（ｂ）の画面において、ユーザは入力装置１７を用いて方向入力の操作を行うことにより、虫メガネマーク３０を任意の位置に移動することができる。これにより、要約地図の中から選んだ任意の部分について、元の要約前の地図を表示することができる。さらに、（ｂ）の画面で反転表示されている虫メガネアイコン４１をもう一度押すと、再び（ａ）の画面に戻る。このようにして（ａ）と（ｂ）の画面を切り替え、虫メガネマーク３０の表示をオンオフすることができる。
【００６３】
本実施形態において上記の要約地図画面を表示するときに実行される処理のフローチャートを図１１に示す。なお図１１において、図３に示す第１の実施の形態の処理フローと同一内容の処理ステップについては、同一のステップ番号としている。以下の説明では、特に必要でない限り、この同一のステップ番号については説明を省略する。
【００６４】
ステップＳ３では、前述した要約地図の作成・表示処理を行うことにより、推奨経路の要約地図を表示する。このとき、第１の実施の形態とは異なり、自車位置と次の案内交差点を含むように要約地図の作成範囲を決定する。次のステップＳ５Ａでは、ステップＳ３によって表示された要約地図上に図１０の自車位置マーク４０を表示すると共に、虫メガネアイコン４１を表示する。これにより、図１０（ａ）の虫メガネマーク表示前の要約地図画面が表示モニタ１６に表示される。なお、図３のステップＳ４において実行している表示対象点の設定は、本実施形態では不要であるため実行しない。
【００６５】
ステップＳ６Ａでは、ステップＳ５Ａで表示された虫メガネアイコン４１がユーザによって押されたか否かを判定する。押された場合には、虫メガネアイコン４１を反転表示した後に、ステップＳ７およびＳ８を実行することにより、虫メガネマーク３０を表示して、その内側に通常の地図、すなわち元の要約前の地図を表示する。これにより、（ａ）の虫メガネマーク表示前の要約地図画面に切り替えて、（ｂ）の虫メガネマーク表示後の要約地図画面が表示モニタ１６に表示される。
【００６６】
ステップＳ９Ａでは、ユーザからの入力装置１７の操作によっていずれかの方向入力が行われたか否かを判定する。いずれかの方向が入力された場合にはステップＳ９Ｂへ進み、その入力方向に応じて虫メガネマーク３０を移動させる。ステップＳ９Ｂの実行後はステップＳ８へ戻り、ステップＳ８において移動後の虫メガネマーク３０の位置に応じて虫メガネマーク３０内の地図表示を更新した後、上記の処理を繰り返す。一方、ステップＳ９Ａにおいて方向入力がなかった場合は、ステップＳ１１Ａへ進む。
【００６７】
ステップＳ１１Ａでは、ユーザに押された虫メガネアイコン４１がもう一度押されたか否かを判定する。押された場合は、その反転表示を解除して通常の表示に戻した後、ステップＳ１１Ｂへ進む。ステップＳ１１Ｂでは、ステップＳ７において表示した虫メガネマーク３０を画面から消す。これにより、再び（ａ）の虫メガネマーク表示前の要約地図画面へと切り替えられる。ステップＳ１１Ｂを実行したら、ステップＳ６Ａへ戻って上記の処理を繰り返す。
【００６８】
なお、上記の説明において、ステップＳ３によって表示された要約地図は、所定の更新条件を満たした場合、たとえば自車両が誘導交差点に到達した場合や、自車位置が要約地図の範囲外となった場合などには、その表示内容が更新される。
【００６９】
以上説明したようにして、図１０の要約地図画面が表示モニタ１６に表示され、その要約地図画面においてユーザが選んだ任意の地点の周囲について、元の要約前の地図を表示することができる。
【００７０】
以上説明した第２の実施の形態によれば、第１の実施の形態と同様に、要約地図を作成して表示モニタ１６に表示し、虫メガネマーク３０を表示して、その虫メガネマーク３０によって要約地図から指定された部分について、要約地図に替えて元の要約前の地図を表示することとした。このようにしたので、第１の実施の形態と同様に、地図を簡略化した要約地図を表示しつつ、そのうち一部分については元の要約前の地図を表示して、正確な道路形状を表示することができる。
【００７１】
なお、上記の各実施の形態では、虫メガネマーク３０によって要約地図からその一部分を所定の範囲で指定し、その部分について元の要約前の地図を表示する例について説明したが、本発明はこの限りではない。たとえば、ユーザが要約地図上に任意の大きさで指定した範囲について、元の要約前の地図を表示するようにしてもよい。また、画面を分割し、あるいは別ウィンドウを表示するなどして、そこに元の要約前の地図を表示するようにしてもよい。
【００７２】
また、上記の各実施の形態において、虫メガネマーク３０内に表示する地図は元の要約前の地図でなくともよい。虫メガネマーク３０の外にあるときに表示される要約地図よりも詳細な地図であれば、どのような地図であってもよい。
【００７３】
上記の各実施形態では、ナビゲーション装置において、ＤＶＤ−ＲＯＭなどの記憶メディアより地図データを読み出して要約地図を作成する例について説明しているが、本発明はこの内容には限定されない。たとえば、携帯電話などによる無線通信を用いて、地図データを情報配信センターからダウンロードする通信ナビゲーション装置などにおいても、本発明を適用できる。
【００７４】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も、本発明の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【００７５】
【図１】本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図２】第１の実施の形態において表示される要約地図画面の例を示す図である。
【図３】第１の実施の形態において要約地図画面を表示するときに実行される処理のフローチャートである。
【図４】要約地図作成・表示処理において実行されるサブルーチン処理の内容を示すフローチャートである。
【図５】要約地図を作成するときに利用するディフォルメ化処理（１）の説明図である。
【図６】同じくディフォルメ化処理（２）の説明図である。
【図７】ランドマークの位置補正の概要の説明図である。
【図８】ランドマークの位置補正の詳細アルゴリズムの説明図である。
【図９】ランドマークの位置補正の具体例を示す図である。
【図１０】第２の実施の形態において表示される要約地図画面の例を示す図である。
【図１１】第１の実施の形態において要約地図画面を表示するときに実行される処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【００７６】
１ ナビゲーション装置
１１ 制御回路
１２ ＲＯＭ
１３ ＲＡＭ
１４ 現在地検出装置
１５ 画像メモリ
１６ 表示モニタ
１７ 入力装置
１８ ディスクドライブ
１９ ＤＶＤ−ＲＯＭ
２０ 推奨経路
３０ 虫メガネマーク
【技術分野】
【０００１】
本発明は、道路地図を簡略化して表示する技術に関する。
【背景技術】
【０００２】
地図を表すための地図データに基づいて、本来の地図を簡略化する方法が知られている。たとえば、特許文献１に開示される装置では、地図データにおける道路形状に対して直線化や直交化などの処理を行い、さらに、マスクで規定した範囲内のランドマーク情報のみを表示することにより、本来の地図を簡略化する。このようにして簡略化された地図を表示することで、見やすい地図を提供する。
【０００３】
【特許文献１】特開平１１−２０２７６２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
特許文献１に開示される方法によって簡略化した地図を用いると、目的地までの推奨経路の全体像など、地図の大まかな形状について見やすく表示することができる。しかし、推奨経路上の重要な地点などについては、大まかな形状だけでなく正確な道路形状を知りたい場合がある。そのため、地図を簡略化して表示しつつ、そのうち一部分については正確な道路形状を表示できる地図の表示方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
請求項１の発明による地図表示装置は、地図を要約した要約地図を地図データに基づいて作成する要約地図作成手段と、要約地図作成手段により作成された要約地図を表示モニタに表示する要約地図表示手段と、要約地図からいずれかの部分を指定する指定手段と、指定手段により指定された部分については、要約地図に替えて、要約地図よりも詳細な地図を表示する詳細地図表示手段とを備えるものである。
請求項２の発明は、請求項１の地図表示装置において、詳細地図表示手段は、要約地図よりも詳細な地図として、要約前の地図を表示するものである。
請求項３の発明は、請求項１または２の地図表示装置において、要約地図上に複数の表示対象点を設定する表示対象点設定手段と、表示対象点設定手段により設定された複数の表示対象点を所定時間ごとに順次選択する選択手段とをさらに備え、指定手段は、要約地図のいずれかの部分として、選択手段により選択された表示対象点の周囲の所定範囲の部分を指定するものである。
請求項４の発明は、請求項３の地図表示装置において、要約地図には、出発地から設定された目的地までの推奨経路が含まれ、表示対象点設定手段は、その推奨経路上に複数の表示対象点を出発地から目的地まで順番に並べて設定し、選択手段は、その順番に従って複数の表示対象点を順次選択するものである。
請求項５の発明は、請求項４の地図表示装置において、表示対象点設定手段は、要約地図において推奨経路の形状が変化している形状変化点を、表示対象点として設定するものである。
請求項６の発明は、請求項４の地図表示装置において、表示対象点設定手段は、要約地図において自車両が曲がるべき誘導交差点に対応する誘導交差点対応点を、表示対象点として設定するものである。
請求項７の発明は、請求項１〜６のいずれかの地図表示装置において、詳細地図表示手段により表示された地図の縮尺を変更する縮尺変更手段をさらに備えるものである。
請求項８の発明による車載ナビゲーション装置は、請求項１〜７のいずれかの地図表示装置と、自車両の現在地を検出する自車位置検出手段と、自車位置検出手段により検出された現在地を出発地として、その出発地から設定された目的地までの推奨経路を探索する経路探索手段とを備えるものである。
【発明の効果】
【０００６】
本発明によれば、表示モニタに表示された要約地図からいずれかの部分を指定し、その部分については要約地図に替えて、要約地図よりも詳細な地図を表示することとした。このようにしたので、地図を簡略化した要約地図を表示しつつ、そのうち一部分については詳細な地図を用いて正確な道路形状を表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００７】
−第１の実施の形態−
本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を図１に示す。このナビゲーション装置は、車両に搭載されており、設定された目的地までの推奨経路を探索することにより、その推奨経路の道路地図を表示し、推奨経路に従って自車両を目的地まで案内する。また、推奨経路が探索されると、その推奨経路の全体について通常の地図を基に道路形状などを簡略化することにより、通常の地図を要約した地図（以下、要約地図という）を作成して、推奨経路全体についての要約地図を表示するものである。図１に示すナビゲーション装置１は、制御回路１１、ＲＯＭ１２、ＲＡＭ１３、現在地検出装置１４、画像メモリ１５、表示モニタ１６、入力装置１７、およびディスクドライブ１８を有している。ディスクドライブ１８には、地図データが記録されたＤＶＤ−ＲＯＭ１９が装填される。
【０００８】
制御回路１１は、マイクロプロセッサおよびその周辺回路からなり、ＲＡＭ１３を作業エリアとしてＲＯＭ１２に格納された制御プログラムを実行することにより、各種の処理や制御を行う。この制御回路１１において後で説明するような処理を実行することによって、ＤＶＤ−ＲＯＭ１９に記録された地図データに基づいて推奨経路が探索され、その推奨経路全体についての要約地図が作成されて、表示モニタ１６に表示される。
【０００９】
現在地検出装置１４は、自車両の現在地を検出する装置であり、たとえば、自車両の進行方位を検出する振動ジャイロ１４ａ、車速を検出する車速センサ１４ｂ、ＧＰＳ衛星からのＧＰＳ信号を検出するＧＰＳセンサ１４ｃ等からなる。ナビゲーション装置１は、この現在地検出装置１４により検出された自車両の現在地に基づいて、推奨経路を探索するときの経路探索開始点を決定すると共に、地図上に自車位置を表示することができる。
【００１０】
画像メモリ１５は、表示モニタ１６に表示するための画像データを一時的に格納する。この画像データは、地図を画像表示するための道路地図描画用データや各種の図形データ等からなり、制御回路１１において、ＤＶＤ−ＲＯＭ１９に記録されている地図データに基づいて作成される。この画像メモリ１５に格納された画像データを用いて、推奨経路全体の要約地図、または通常の地図のいずれかが表示モニタ１６に表示される。
【００１１】
入力装置１７は、ユーザが目的地の設定などを行うための各種入力スイッチを有し、これは操作パネルやリモコンなどによって実現される。ユーザは、表示モニタ１６に表示される画面指示に従って入力装置１７を操作することにより、地名や地図上の位置を指定して目的地を設定し、その目的地までの推奨経路の探索を開始することができる。
【００１２】
ディスクドライブ１８は、通常の道路地図を表示したり要約地図を作成したりするために用いられる地図データを、装填されたＤＶＤ−ＲＯＭ１９より読み出す。この地図データには、目的地までの推奨経路を演算するために用いられる経路計算データや、交差点名称、道路名称など、推奨経路に従って自車両を目的地まで案内するために用いられる経路誘導データ、道路を表す道路データ、さらには河川や鉄道、地図上の各種施設（ランドマーク）など、道路以外の地図形状を表す背景データなどが含まれている。
【００１３】
道路データにおいて、道路区間を表す最小単位はリンクと呼ばれており、各道路は複数のリンクによって構成されている。リンク同士を接続している点はノードと呼ばれ、このノードはそれぞれに位置情報（座標情報）を有している。このノードの位置情報によって、リンク形状、すなわち道路の形状が決定される。このような道路データに対して後で説明するようなディフォルメ処理を実行することにより、推奨経路の要約地図が作成される。なお、ここではＤＶＤ−ＲＯＭを用いた例について説明しているが、ＤＶＤ−ＲＯＭ以外の他の記録メディア、たとえばＣＤ−ＲＯＭやハードディスクなどより、地図データを読み出すこととしてもよい。
【００１４】
ユーザにより前述のようにして目的地が設定されると、ナビゲーション装置１は、現在地検出装置１４により検出された現在地を経路探索開始点として、目的地までの経路演算を前述の経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムにより行う。こうして目的地までの推奨経路が求められると、その推奨経路全体についての要約地図が作成されて、図２に示すような要約地図画面が表示モニタ１６に表示される。
【００１５】
図２の要約地図画面において表示されている推奨経路２０は、探索された推奨経路の全体を要約することにより、その道路形状が実際よりも簡略化されて表示されている。なお、このときの具体的な要約方法については後で説明する。推奨経路２０の出発地（経路探索開始点）には出発地マーク２１が表示され、目的地には目的地マーク２２が表示される。また、次に説明する虫メガネマーク３０、一時停止ボタン３１、再生ボタン３２、停止ボタン３３および倍率変更ボタン３４も、この要約地図画面に表示される。
【００１６】
虫メガネマーク３０は、要約された推奨経路２０からいずれかの一部分を指定する。指定された部分については、要約地図に替えて要約する前の地図が表示される。具体的には、図２に示すように虫メガネマーク３０の内側に含まれる範囲については、要約地図の替わりに元の要約前の地図が表示される。この虫メガネマーク３０は、推奨経路２０上に設定される複数の表示対象点の上を、出発地から目的地まで順番に所定時間ごとに自動的に移動していく。すなわち、出発地から目的地まで順番に並べて設定された複数の表示対象点が、その順番に従って所定時間ごとに順次選択される。そして、選択された表示対象点上を虫メガネマーク３０が移動することにより、その表示対象点の周囲の所定範囲の部分について、元の要約前の地図が表示される。
【００１７】
上記の表示対象点は、次のようにして推奨経路２０上に設定される。たとえば、要約地図画面において推奨経路２０が折れ曲がって形状が変化している点（以下、形状変化点という）や、元の要約前の推奨経路における誘導交差点に対応する点（以下、誘導交差点対応点という）などを、表示対象点として設定することができる。なお、ここでいう誘導交差点とは、自車両が推奨経路を走行するときに曲がるべき交差点のことを意味する。形状変化点は、通常は誘導交差点対応点でもある。
【００１８】
さらに、表示対象点をより多くする、または少なくすることをユーザの操作によって決められるようにし、その操作に応じて表示対象点の設定条件を変えるようにしてもよい。たとえば、表示対象点をより多くするように操作された場合には、誘導交差点対応点の全てを表示対象点として設定し、逆により少なくするように操作された場合には、形状変化点のみを表示対象点に設定する。なお、これらの中間がユーザの操作によって指定された場合には、誘導交差点対応点のうち所定の条件を満たすものを表示対象点として設定すればよい。たとえば、推奨経路と交差する道路の道路種別が特定のもの（国道、県道など）である誘導交差点や、推奨経路が一定以上の角度で曲がっている誘導交差点などに対応する誘導交差点対応点を、表示対象点として設定することができる。このようにして、ユーザの操作に応じて、表示対象点を設定するときの設定条件を変えることができる。
【００１９】
一時停止ボタン３１、再生ボタン３２および停止ボタン３３は、虫メガネマーク３０の表示を制御するためにそれぞれ用いられる。ユーザは、入力装置１７の操作によって再生ボタン３２を押すことにより、図２の要約地図画面において虫メガネマーク３０を表示して、推奨経路２０上に設定された各表示対象点の周囲について、出発地から順に元の要約前の地図を所定時間ずつ表示することができる。また、再生ボタン３２を押した後に一時停止ボタン３１を押すと、虫メガネマーク３０の表示対象点間の移動が一時停止される。このときにもう一度一時停止ボタン３１を押すと、虫メガネマーク３０の移動を再開することができる。さらに、停止ボタン３３を押すと、虫メガネマーク３０が目的地まで移動していない場合であっても、図２の要約地図画面の表示を中止する。
【００２０】
倍率変更ボタン３４を用いると、虫メガネマーク３０内に表示されている元の要約前の地図の縮尺を変更することができる。ユーザは、倍率変更ボタン３４に配置されている「×１」、「×２」、「×４」または「×８」のいずれかの部分を入力装置１７の操作によって押すことにより、その倍率表示に応じて元の要約地図の地図縮尺を切り替え、その地図を拡大または縮小表示することができる。地図縮尺を変更した場合には、虫メガネマーク３０内の地図表示部分に合わせて、表示される地図の範囲が変化する。なお、これ以外の倍率を指定できるようにしてもよい。
【００２１】
以上説明したような要約地図画面が表示されることにより、推奨経路の全体像と各表示対象点の周囲についての元の要約前の地図が表示される。その後は、自車位置周辺について通常の地図が表示される。この地図上には、推奨経路がその表示形態、たとえば表示色などを変えることによって、他の道路とは区別して表されると共に、自車位置を示す自車位置マークが表示される。これにより、ユーザは地図上に推奨経路と自車位置を認識することができる。また、推奨経路に従って自車両が走行できるよう、ユーザに対して画像や音声などによる進行方向指示が行われる。このようにして、自車両の案内が目的地まで行われる。
【００２２】
上記の要約地図画面を表示するときに制御回路１１において実行される処理のフローチャートを図３に示す。このフローチャートは、ユーザによって目的地が入力されることにより実行される。ステップＳ１では、ユーザに入力された目的地により、経路探索の目的地を設定する。ステップＳ２では、経路探索開始点である自車両の現在地からステップＳ１において設定された目的地までの推奨経路を探索する。このとき、前述したように経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムにより経路演算が行われる。なお、自車両の現在地は現在地検出装置１４によって一定時間ごとに求められる。
【００２３】
ステップＳ３では、ステップＳ２において探索された推奨経路を対象として、要約地図の作成および表示処理を行う。これにより、図２の推奨経路２０が表示モニタ１６に表示される。なお、ステップＳ３の具体的な処理内容については、後で図４により説明する。ステップＳ４では、ステップＳ３によって表示された推奨経路２０上に、前述したようにして表示対象点を設定する。ステップＳ５では、図２に示す各ボタン、すなわち一時停止ボタン３１、再生ボタン３２、停止ボタン３３および倍率変更ボタン３４を、表示モニタ１６に表示する。ステップＳ５の処理が実行された結果、図２に示すような要約地図画面が表示される。なお、このときにはまだ虫メガネマーク３０は表示されない。
【００２４】
ステップＳ６では、ステップＳ５で表示された再生ボタン３２がユーザによって押されたか否かを判定する。押された場合には次のステップＳ７へ進む。ステップＳ７では、ステップＳ３の処理によって表示された推奨経路２０上に、図２の虫メガネマーク３０を表示する。このとき、出発地すなわち自車位置を最初の表示対象点とし、その最初の表示対象点上に虫メガネマーク３０を表示する。このステップＳ７を実行することによって表示される虫メガネマーク３０を用いて、以降の処理において要約地図からいずれか一部分を指定する。ステップＳ８では、ステップＳ７において表示した虫メガネマーク３０の内側に、その表示対象点の周囲にある所定の地図範囲について、通常の地図、すなわち元の要約前の地図を表示する。
【００２５】
ステップＳ９では、停止ボタン３３がユーザによって押されたか否かを判定する。押された場合には、図３の処理フローを終了して要約地図画面の表示を中止する。その後は、自車位置周辺についての通常の地図表示に移行する。停止ボタン３３が押されていない場合は、次のステップＳ１０へ進む。ステップＳ１０では、一時停止ボタン３１がユーザによって押されたか否かを判定する。押された場合はステップＳ１１へ進み、もう一度一時停止ボタン３１が押されるまでは先へ進まない。ステップＳ１０において一時停止ボタン３１が押されなかった場合、あるいはステップＳ１１においてもう一度一時停止ボタン３１が押された場合は、ステップＳ１２へ進む。
【００２６】
ステップＳ１２では、倍率変更ボタン３４がユーザによって押されたか否かを判定する。押された場合はステップＳ１３へ進み、押された倍率に応じて、虫メガネマーク３０内に表示されている元の要約前の地図の縮尺を切り替える。ステップＳ１３を実行した後は、ステップＳ１４へ進む。一方ステップＳ１２において倍率変更ボタン３４が押されていない場合は、ステップＳ１３を実行せずにステップＳ１４へ進む。
【００２７】
ステップＳ１４では、ステップＳ８において虫メガネマーク３０内に元の要約前の地図を表示してから、所定時間が経過したか否かを判定する。その表示から所定時間、たとえば５秒間経過していれば、次のステップＳ１５へ進む。所定時間経過していなければ、ステップＳ９へ戻って上記の処理を繰り返す。なお、ここでいう所定時間は、前述した虫メガネマーク３０が表示対象点上を順に移動していくときの所定時間と等しい。
【００２８】
ステップＳ１５では、ステップＳ４において複数設定された表示対象点の中から、次の表示対象点を選択する。このとき、前述したように表示対象点は推奨経路上に出発地から目的地まで順番に並べて設定されている。その並べられた順番に従って、次の表示対象点を選択する。ステップＳ１６では、ステップＳ１５において選択された次の表示対象点へ虫メガネマーク３０を移動する。このようにして、虫メガネマーク３０を表示対象点上に所定時間ごとに移動させる。
【００２９】
ステップＳ１７では、ステップＳ１６において虫メガネマーク３０を次の表示対象点へと移動させた結果、虫メガネマーク３０が目的地まで移動したか否かを判定する。目的地まで移動した場合は、図３の処理フローを終了して要約地図画面の表示を完了する。その後は、要約地図画面の表示を中止した場合と同様に、自車位置周辺についての通常の地図表示に移行する。一方、虫メガネマーク３０が目的地まで移動していない場合は、ステップＳ８へ戻って、移動後の表示対象点について通常の地図を虫メガネマーク３０内に表示した後、上記の処理を繰り返す。
【００３０】
以上説明したようにして、図２の要約地図画面が表示モニタ１６に表示され、その要約地図画面において推奨経路２０上に設定された表示対象点の周囲について、元の要約前の地図を表示することができる。
【００３１】
次に、ステップＳ３において実行される要約地図作成・表示処理について説明する。図４はこの要約地図作成・表示処理の内容を表すフローチャートであり、ステップＳ１１０のディフォルメ処理、ステップＳ１２０の水平化処理、ステップＳ１３０のランドマーク位置補正、ステップＳ１４０の要約地図表示、およびステップＳ１５０の出発地・目的地マーク表示の各ステップを有している。以下に、これらの各ステップの内容を順に説明していく。
【００３２】
ステップＳ１１０では、図３のステップＳ２において探索された推奨経路を要約対象とし、これに対してディフォルメ処理（直線化・直交化処理）を実行することにより、要約地図を作成する。このディフォルメ処理の具体的な内容については、後で説明する。
【００３３】
ステップＳ１２０では、作成された要約地図に対して、水平化処理を行う。この水平化処理とは、要約地図全体をその中心周りに回転することにより、出発地が画面の左上に、また目的地が画面の右下に位置するような向きに要約地図を向けることをいう。なお、この水平化処理は必要に応じて行えばよく、省略しても構わない。また、これ以外の向きに要約地図を向けるようにしてもよい。
【００３４】
ステップＳ１３０では、要約地図に対するランドマークの位置補正を行う。このランドマークの位置補正の内容は後で説明する。ステップＳ１４０では、ステップＳ１３０で位置を補正したランドマークを要約地図上に重ね合わせ、その要約地図を表示モニタ１６に表示する。
【００３５】
ステップＳ１５０では、ステップＳ１４０で表示した要約地図上に、図２の出発地マーク２１および目的地マーク２２を表示する。ステップＳ１５０を実行した後は図４の処理フローを終了して、図３のステップＳ４へ進む。以上説明したようにして、ステップＳ３の処理が実行されて、図２の推奨経路２０が表示モニタ１６に表示される。
【００３６】
ここで、図４のステップＳ１１０で実行される要約地図の作成方法を説明する。要約地図の作成は、設定した地図範囲内に対して、その地図データに基づいてディフォルメ処理と呼ばれる処理を実行することによって行われる。ディフォルメ処理の内容について、以下に説明する。図５および図６は、それぞれ本発明で要約地図を作成するときに利用されるディフォルメ処理の内容を説明するための詳細説明図である。図５では、ディフォルメ化処理（１）として、道路形状の直線化（構成点の間引き処理）について説明する。
【００３７】
図５（ａ）に示す原図形が元の道路形状であるとすると、これに対して、（ｂ）に示すように、その両端点（第１端点、第２端点とする）を結んだ線（破線）に対する各点の垂線距離を計測し、そのうち最長の垂線距離ｄｍａｘを求める。そして、求められたｄｍａｘがあらかじめ設定された規定値ε以上ならば、対応する構成点を残す。つまり、（ｃ）に示すように、そのｄｍａｘに対応する点を新たな端点（第３端点とする）として追加して、第１端点と第３端点、および第３端点と第２端点とをそれぞれ結ぶ、破線で示す線を引く。なお、ここでいう点あるいは構成点とは、道路すなわちリンク列の形状を決定するためのものであって、道路データにおけるノードあるいは形状補間点（リンク形状を決めるためノード間に設定される点）に相当する。
【００３８】
このように、最長垂線距離ｄｍａｘがεよりも小さくなるまで、同様の処理を繰り返していく。そして、（ｄ）に示す状態でｄｍａｘ＜εとなったとする。このときに、隣接する端点相互を結んだ直線を引き、その直線の形状によって道路形状を表す。その結果、（ｅ）に示すような道路形状となる。このようにして、道路形状の直線化処理を行う。
【００３９】
図６では、ディフォルメ処理（２）として、道路形状の直交化について説明する。図６（ａ）に示す図形が元の道路形状であるとすると、これに対して、最初の折れ線の最初の点（Ｐ１）を通り、ｘ軸（地図の横方向）と平行な直線を求める。この直線を、破線で示す基準線とする。次に、（ｂ）に示すように、点Ｐ１と次の点Ｐ２を結ぶベクトル（リンク）Ｐ１Ｐ２について、基準線となす角θを求める。
【００４０】
次に、（ｃ）に示すように、ベクトル長を固定した状態で、θ’＝ｎ・Δθ（ｎは整数）となるように、ベクトルＰ１Ｐ２を、始点Ｐ１を中心に回転させる。これにより、終点Ｐ２を移動する。なお、角度Δθは、ベクトルＰ１Ｐ２を回転させるときの単位角度であり、たとえば４５°とする。この処理により、ベクトルＰ１Ｐ２と基準線とのなす角が、単位角度Δθ刻みで補正される。
【００４１】
次に、（ｄ）に示すように、点Ｐ２が移動した分（ｄｘ，ｄｙ）を、点Ｐ２の次の点に順次伝搬させていく。交差点の場合には、分岐させて伝搬させていく。これにより、他の点の位置が次々に移動する。
【００４２】
その後は、以上で説明したのと同様の処理を繰り返す。すなわち、（ｅ）に示すように、点Ｐ２を通るｘ軸と平行な直線を基準線とし、次のベクトルＰ２Ｐ３と基準線とのなす角θを求める。そして、（ｆ）に示すように、θ’＝ｎ・Δθとなるよう、始点Ｐ２を中心にベクトルＰ２Ｐ３を回転させ、終点Ｐ３を移動する。その後、（ｇ）に示すように、点Ｐ３が移動した移動分（ｄｘ、ｄｙ）を、Ｐ３の次の点に伝搬させていく。交差点の場合には分岐させて伝搬させていく。
【００４３】
このような処理を、全ての点に対して順次行うことにより、最終的に（ｈ）に示すような道路形状となる。このようにして、道路形状の直交化処理を行う。以上説明したようにして、道路形状の直線化および直交化処理を行うことにより、ディフォルメ処理が終了する。このディフォルメ処理を、設定した地図範囲内に対して行うことで、要約地図を作成することができる。
【００４４】
以上説明したようにして作成された要約地図上には、ディフォルメ処理を行う前の元の地図と同様に、各種施設などの位置を示すランドマークが表示される。しかし、ディフォルメ処理によって道路形状が簡略化されることにより、要約地図における道路の位置は、元の地図より変化する。そのため、要約地図上に元の位置のままランドマークを表示したのでは、道路とランドマークとの位置関係を正しく表すことができない。したがって、ディフォルメ処理を行った後には、ランドマークの位置補正を行うことが必要となる。その方法について、以下に説明する。
【００４５】
図７では、ステップＳ１３０で実行されるランドマークの位置補正の概要について説明する。図７（ａ）に示すように、ディフォルメ処理を行う前の地図では、ランドマークの位置と道路との微妙な位置関係が記述されている。この元の地図に対して、上記で説明したようなディフォルメ処理を行い、さらにランドマークの位置をそのままにして表示すると、たとえば（ｂ）に示すような要約地図となる。
【００４６】
（ｂ）に示す要約地図では、道路の位置のみが（ａ）に示す元の地図に対して変化しているため、元のランドマークと道路との位置関係が保たれていない。たとえば、地図の中央付近にある郵便局に着目すると、この郵便局は、（ａ）に示す元の地図と、（ｂ）に示す要約地図とで、互いに道路の反対側に位置している。そこで、このような不都合を是正するためにランドマークの位置補正を行い、その結果、（ｃ）に示す要約地図のように、道路とランドマークとの位置関係が、元の地図上での位置関係と近似するようにする。
【００４７】
次に、図８を用いて、ランドマークの位置補正の詳細アルゴリズムについて説明する。ランドマークの位置補正では、はじめに、図８（ａ）に示すように、要約前後での形状ベクトル間のペアリストの作成を行う。ここで、要約時に上記に説明したようなディフォルメ処理を行うことによって、道路の形状を表す形状ベクトルの構成点数が元のものから変化する。従って、ペアリストを作成するときには、このペアリストで関係付けられた形状ベクトル間の分岐点間の方向性が合致する必要がある。すなわち、ディフォルメ処理の前後で、それぞれの分岐点の位置に対して、１対１に対応関係が成立するようにする。
【００４８】
このようにしてペアリストを作成したら、その次に（ｂ）に示すように、各形状ベクトルのノルムと、対応する分岐点間の距離の割合を等価にする補正処理を行う。すなわち、要約する前の元の地図において、ランドマークが最近接する形状ベクトルのノルム値と、その形状ベクトルを含む道路経路における、そのランドマークから各分岐点までの距離の割合を測定する。この測定値により、ディフォルメ処理後の要約地図においても、上記のペアリストによって対応付けられる形状ベクトルに対して、そのノルム値と、ランドマークから分岐点間までの距離の割合が等価となるように、ランドマークの位置を計算する。そして、計算した位置にランドマークを表示する。
【００４９】
以上説明したランドマークの位置補正では、ディフォルメ処理によって通常の地図を要約地図に変換することにより道路の形状や距離が変わるので、対応するランドマーク（道沿いにある店等）も道路に合わせて座標を変換する必要がある。そのため、変換前のランドマークの位置についてのパラメータとして、そのランドマークが変換前の道路（リンク）の一方の端から全体の何％のところにあるか、道路のどちら側にあるか、道路から何メートル離れたところにあるかを求める。そして、変換後の対応する道路データに対して、これら３つのパラメータを用いて、変換後のランドマークの位置を決定する。これを、図９に示す具体例を用いて説明する。
【００５０】
図９（ａ）は、ディフォルメ処理する前の通常の地図におけるランドマーク位置の例を示す。地点Ａと地点Ｂとをつなぐ道路は、地点ＡとＡ１の間のリンク５１、地点Ａ１とＡ２の間のリンク５２、地点Ａ２とＡ３の間のリンク５３、および地点Ａ３とＢの間のリンク５４によって構成されており、その道路沿いにランドマーク６１が存在している。リンク５１〜５４のそれぞれの長さは、１５０ｍ、２００ｍ、３５０ｍおよび５００ｍであり、これらのリンクによって構成される地点ＡとＢをつなぐ道路は、その合計、すなわち１２００ｍの長さを有している。ランドマーク６１は、地点Ａ３から地点Ｂに向かって２００ｍ、すなわち地点Ａから９００ｍ地点の、道路の左側に位置している。また、ランドマーク６１の位置は道路から１０ｍ離れている。
【００５１】
このようなディフォルメ処理前のランドマーク位置について、上記に説明した３つのパラメータを求める。１つ目のパラメータ、すなわち、道路の一方の端（地点Ａ）からの距離の全体距離に対する割合は、９００／１２００＝０．７５（７５％）と求められる。２つ目のパラメータ、すなわち道路のどちら側にあるかは、地点ＡからＢに向かって道路の左側にあると求められる。３つ目のパラメータ、すなわち道路からの距離は、１０ｍと求められる。
【００５２】
図９（ｂ）は、ディフォルメ処理が実行された後の要約地図におけるランドマーク位置の例を示す。この要約地図では、地点Ａと地点Ｂとをつなぐ道路は１つのリンク５５によって表されており、その長さは１０００ｍである。この要約地図上にランドマーク６１を表示するとき、先に求めた３つのパラメータを用いて、変換後の位置を決定する。すなわち、地点Ａからの距離は、１つ目のパラメータを用いて、１０００×０．７５＝７５０ｍと求められる。また、２つ目のパラメータと３つ目のパラメータにより、地点Ａから見て道路（リンク５５）の左側であり、その道路から１０ｍ離れた位置が決定される。これらの条件を満たす位置にランドマーク６１を表示することにより、ランドマーク６１の位置補正が行われる。
【００５３】
上記に説明したような処理を行うことにより、要約地図においてランドマークの位置が補正され、道路とランドマークとの位置関係を要約前の元の地図に近似させることができる。その結果、図７（ａ）に示す元の地図のランドマーク位置に対して、要約地図におけるランドマーク位置を図７（ｃ）のようにすることができる。こうしてディフォルメ処理された地図上にランドマーク位置を表して、要約地図が作成される。
【００５４】
以上説明した第１の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
（１）探索された推奨経路について要約地図を作成して表示モニタ１６に表示し（ステップＳ３）、虫メガネマーク３０を表示して（ステップＳ７）、その虫メガネマーク３０によって要約地図からいずれかの部分を指定する。指定された部分については、要約地図に替えて元の要約前の地図を表示する（ステップＳ８）こととした。このようにしたので、地図を簡略化した要約地図を表示しつつ、そのうち一部分については詳細な要約前の地図を表示して、正確な道路形状を表示することができる。
【００５５】
（２）要約地図上に複数の表示対象点を設定する（ステップ４）。ステップＳ８を実行してから所定時間が経過すると（ステップＳ１４）、次の表示対象点を選択して（ステップＳ１５）、選択された表示対象点上に虫メガネマーク３０を移動させる（ステップＳ１６）。これにより、複数の表示対象点を所定時間ごとに順次選択して、その周囲の所定範囲の部分を要約地図から指定することとした。このようにしたので、複数の部分について所定時間ごとに元の要約前の地図を表示することができる。
【００５６】
（３）要約地図に含まれる推奨経路上に、複数の表示対象点を出発地から目的地まで順番に並べて設定し、その順番に従って、その複数の表示対象点を順次選択することとした。このようにしたので、推奨経路に沿って出発地から目的地まで元の要約前の地図を順次表示できる。
【００５７】
（４）要約地図における推奨経路上の形状変化点や誘導交差点対応点を表示対象点として設定することとしたので、自車両が実際に推奨経路を走行するときに正確な道路形状が必要とされる部分の周囲について、元の要約前の地図を表示することができる。
【００５８】
（５）倍率変更ボタン３４がユーザに押されることにより（ステップＳ１２）、虫メガネマーク３０内に表示されている元の要約前の地図の縮尺を変更する（ステップＳ１３）こととした。このようにしたので、ユーザは任意に元の要約前の地図縮尺を変更できる。
【００５９】
−第２の実施の形態−
本発明の第２の実施の形態について説明する。本実施形態は、第１の実施の形態とは異なり、出発地から目的地までの全経路について要約地図を表示するものではない。本実施形態では、推奨経路に従って自車両を目的地まで案内するときに、次の誘導交差点までの要約地図を表示する。この要約地図のうち第１の実施の形態で説明した虫メガネマークを用いてユーザが選んだ任意の一部分について、元の要約前の地図を表示できるようにしたものである。なお、本実施形態によるナビゲーション装置の構成は図１に示す第１の実施の形態のものと同じであるため、説明を省略する。
【００６０】
本実施形態において表示モニタ１６に表示される要約地図画面の例を図１０に示す。図１０（ａ）および（ｂ）に示している要約地図画面は、いずれも自車位置から次の誘導交差点を含む範囲について、探索された推奨経路を要約して表示したものである。この図において太線で示している部分の道路が、推奨経路を表している。これらの要約地図画面には、自車位置を示すための自車位置マーク４０が表示されている。
【００６１】
はじめは、（ａ）の虫メガネマーク表示前の要約地図画面が表示される。この画面には、虫メガネマークの表示を切り替えるための虫メガネアイコン４１が表示されている。ユーザが入力装置１７の操作によって虫メガネアイコン４１を押すと、（ｂ）の虫メガネマーク表示後の要約地図画面に切り替わる。この画面には、第１の実施の形態において説明した虫メガネマーク３０が表示されている。また、虫メガネマーク表示後の要約地図画面であることを示すために、虫メガネアイコン４１が反転表示されている。
【００６２】
（ｂ）の画面において、ユーザは入力装置１７を用いて方向入力の操作を行うことにより、虫メガネマーク３０を任意の位置に移動することができる。これにより、要約地図の中から選んだ任意の部分について、元の要約前の地図を表示することができる。さらに、（ｂ）の画面で反転表示されている虫メガネアイコン４１をもう一度押すと、再び（ａ）の画面に戻る。このようにして（ａ）と（ｂ）の画面を切り替え、虫メガネマーク３０の表示をオンオフすることができる。
【００６３】
本実施形態において上記の要約地図画面を表示するときに実行される処理のフローチャートを図１１に示す。なお図１１において、図３に示す第１の実施の形態の処理フローと同一内容の処理ステップについては、同一のステップ番号としている。以下の説明では、特に必要でない限り、この同一のステップ番号については説明を省略する。
【００６４】
ステップＳ３では、前述した要約地図の作成・表示処理を行うことにより、推奨経路の要約地図を表示する。このとき、第１の実施の形態とは異なり、自車位置と次の案内交差点を含むように要約地図の作成範囲を決定する。次のステップＳ５Ａでは、ステップＳ３によって表示された要約地図上に図１０の自車位置マーク４０を表示すると共に、虫メガネアイコン４１を表示する。これにより、図１０（ａ）の虫メガネマーク表示前の要約地図画面が表示モニタ１６に表示される。なお、図３のステップＳ４において実行している表示対象点の設定は、本実施形態では不要であるため実行しない。
【００６５】
ステップＳ６Ａでは、ステップＳ５Ａで表示された虫メガネアイコン４１がユーザによって押されたか否かを判定する。押された場合には、虫メガネアイコン４１を反転表示した後に、ステップＳ７およびＳ８を実行することにより、虫メガネマーク３０を表示して、その内側に通常の地図、すなわち元の要約前の地図を表示する。これにより、（ａ）の虫メガネマーク表示前の要約地図画面に切り替えて、（ｂ）の虫メガネマーク表示後の要約地図画面が表示モニタ１６に表示される。
【００６６】
ステップＳ９Ａでは、ユーザからの入力装置１７の操作によっていずれかの方向入力が行われたか否かを判定する。いずれかの方向が入力された場合にはステップＳ９Ｂへ進み、その入力方向に応じて虫メガネマーク３０を移動させる。ステップＳ９Ｂの実行後はステップＳ８へ戻り、ステップＳ８において移動後の虫メガネマーク３０の位置に応じて虫メガネマーク３０内の地図表示を更新した後、上記の処理を繰り返す。一方、ステップＳ９Ａにおいて方向入力がなかった場合は、ステップＳ１１Ａへ進む。
【００６７】
ステップＳ１１Ａでは、ユーザに押された虫メガネアイコン４１がもう一度押されたか否かを判定する。押された場合は、その反転表示を解除して通常の表示に戻した後、ステップＳ１１Ｂへ進む。ステップＳ１１Ｂでは、ステップＳ７において表示した虫メガネマーク３０を画面から消す。これにより、再び（ａ）の虫メガネマーク表示前の要約地図画面へと切り替えられる。ステップＳ１１Ｂを実行したら、ステップＳ６Ａへ戻って上記の処理を繰り返す。
【００６８】
なお、上記の説明において、ステップＳ３によって表示された要約地図は、所定の更新条件を満たした場合、たとえば自車両が誘導交差点に到達した場合や、自車位置が要約地図の範囲外となった場合などには、その表示内容が更新される。
【００６９】
以上説明したようにして、図１０の要約地図画面が表示モニタ１６に表示され、その要約地図画面においてユーザが選んだ任意の地点の周囲について、元の要約前の地図を表示することができる。
【００７０】
以上説明した第２の実施の形態によれば、第１の実施の形態と同様に、要約地図を作成して表示モニタ１６に表示し、虫メガネマーク３０を表示して、その虫メガネマーク３０によって要約地図から指定された部分について、要約地図に替えて元の要約前の地図を表示することとした。このようにしたので、第１の実施の形態と同様に、地図を簡略化した要約地図を表示しつつ、そのうち一部分については元の要約前の地図を表示して、正確な道路形状を表示することができる。
【００７１】
なお、上記の各実施の形態では、虫メガネマーク３０によって要約地図からその一部分を所定の範囲で指定し、その部分について元の要約前の地図を表示する例について説明したが、本発明はこの限りではない。たとえば、ユーザが要約地図上に任意の大きさで指定した範囲について、元の要約前の地図を表示するようにしてもよい。また、画面を分割し、あるいは別ウィンドウを表示するなどして、そこに元の要約前の地図を表示するようにしてもよい。
【００７２】
また、上記の各実施の形態において、虫メガネマーク３０内に表示する地図は元の要約前の地図でなくともよい。虫メガネマーク３０の外にあるときに表示される要約地図よりも詳細な地図であれば、どのような地図であってもよい。
【００７３】
上記の各実施形態では、ナビゲーション装置において、ＤＶＤ−ＲＯＭなどの記憶メディアより地図データを読み出して要約地図を作成する例について説明しているが、本発明はこの内容には限定されない。たとえば、携帯電話などによる無線通信を用いて、地図データを情報配信センターからダウンロードする通信ナビゲーション装置などにおいても、本発明を適用できる。
【００７４】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も、本発明の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【００７５】
【図１】本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図２】第１の実施の形態において表示される要約地図画面の例を示す図である。
【図３】第１の実施の形態において要約地図画面を表示するときに実行される処理のフローチャートである。
【図４】要約地図作成・表示処理において実行されるサブルーチン処理の内容を示すフローチャートである。
【図５】要約地図を作成するときに利用するディフォルメ化処理（１）の説明図である。
【図６】同じくディフォルメ化処理（２）の説明図である。
【図７】ランドマークの位置補正の概要の説明図である。
【図８】ランドマークの位置補正の詳細アルゴリズムの説明図である。
【図９】ランドマークの位置補正の具体例を示す図である。
【図１０】第２の実施の形態において表示される要約地図画面の例を示す図である。
【図１１】第１の実施の形態において要約地図画面を表示するときに実行される処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【００７６】
１ ナビゲーション装置
１１ 制御回路
１２ ＲＯＭ
１３ ＲＡＭ
１４ 現在地検出装置
１５ 画像メモリ
１６ 表示モニタ
１７ 入力装置
１８ ディスクドライブ
１９ ＤＶＤ−ＲＯＭ
２０ 推奨経路
３０ 虫メガネマーク
【特許請求の範囲】
【請求項１】
地図を要約した要約地図を地図データに基づいて作成する要約地図作成手段と、
前記要約地図作成手段により作成された要約地図を表示モニタに表示する要約地図表示手段と、
前記要約地図からいずれかの部分を指定する指定手段と、
前記指定手段により指定された部分については、前記要約地図に替えて、前記要約地図よりも詳細な地図を表示する詳細地図表示手段とを備えることを特徴とする地図表示装置。
【請求項２】
請求項１の地図表示装置において、
前記詳細地図表示手段は、前記要約地図よりも詳細な地図として、要約前の地図を表示することを特徴とする地図表示装置。
【請求項３】
請求項１または２の地図表示装置において、
前記要約地図上に複数の表示対象点を設定する表示対象点設定手段と、
前記表示対象点設定手段により設定された複数の表示対象点を所定時間ごとに順次選択する選択手段とをさらに備え、
前記指定手段は、前記いずれかの部分として、前記選択手段により選択された表示対象点の周囲の所定範囲の部分を指定することを特徴とする地図表示装置。
【請求項４】
請求項３の地図表示装置において、
前記要約地図には、出発地から設定された目的地までの推奨経路が含まれ、
前記表示対象点設定手段は、その推奨経路上に複数の表示対象点を出発地から目的地まで順番に並べて設定し、
前記選択手段は、その順番に従って前記複数の表示対象点を順次選択することを特徴とする地図表示装置。
【請求項５】
請求項４の地図表示装置において、
前記表示対象点設定手段は、前記要約地図において前記推奨経路の形状が変化している形状変化点を、前記表示対象点として設定することを特徴とする地図表示装置。
【請求項６】
請求項４の地図表示装置において、
前記表示対象点設定手段は、前記要約地図において自車両が曲がるべき誘導交差点に対応する誘導交差点対応点を、前記表示対象点として設定することを特徴とする地図表示装置。
【請求項７】
請求項１〜６のいずれかの地図表示装置において、
前記詳細地図表示手段により表示された地図の縮尺を変更する縮尺変更手段をさらに備えることを特徴とする地図表示装置。
【請求項８】
請求項１〜７のいずれかの地図表示装置と、
自車両の現在地を検出する自車位置検出手段と、
前記自車位置検出手段により検出された現在地を出発地として、その出発地から設定された目的地までの推奨経路を探索する経路探索手段とを備えることを特徴とする車載ナビゲーション装置。
【請求項１】
地図を要約した要約地図を地図データに基づいて作成する要約地図作成手段と、
前記要約地図作成手段により作成された要約地図を表示モニタに表示する要約地図表示手段と、
前記要約地図からいずれかの部分を指定する指定手段と、
前記指定手段により指定された部分については、前記要約地図に替えて、前記要約地図よりも詳細な地図を表示する詳細地図表示手段とを備えることを特徴とする地図表示装置。
【請求項２】
請求項１の地図表示装置において、
前記詳細地図表示手段は、前記要約地図よりも詳細な地図として、要約前の地図を表示することを特徴とする地図表示装置。
【請求項３】
請求項１または２の地図表示装置において、
前記要約地図上に複数の表示対象点を設定する表示対象点設定手段と、
前記表示対象点設定手段により設定された複数の表示対象点を所定時間ごとに順次選択する選択手段とをさらに備え、
前記指定手段は、前記いずれかの部分として、前記選択手段により選択された表示対象点の周囲の所定範囲の部分を指定することを特徴とする地図表示装置。
【請求項４】
請求項３の地図表示装置において、
前記要約地図には、出発地から設定された目的地までの推奨経路が含まれ、
前記表示対象点設定手段は、その推奨経路上に複数の表示対象点を出発地から目的地まで順番に並べて設定し、
前記選択手段は、その順番に従って前記複数の表示対象点を順次選択することを特徴とする地図表示装置。
【請求項５】
請求項４の地図表示装置において、
前記表示対象点設定手段は、前記要約地図において前記推奨経路の形状が変化している形状変化点を、前記表示対象点として設定することを特徴とする地図表示装置。
【請求項６】
請求項４の地図表示装置において、
前記表示対象点設定手段は、前記要約地図において自車両が曲がるべき誘導交差点に対応する誘導交差点対応点を、前記表示対象点として設定することを特徴とする地図表示装置。
【請求項７】
請求項１〜６のいずれかの地図表示装置において、
前記詳細地図表示手段により表示された地図の縮尺を変更する縮尺変更手段をさらに備えることを特徴とする地図表示装置。
【請求項８】
請求項１〜７のいずれかの地図表示装置と、
自車両の現在地を検出する自車位置検出手段と、
前記自車位置検出手段により検出された現在地を出発地として、その出発地から設定された目的地までの推奨経路を探索する経路探索手段とを備えることを特徴とする車載ナビゲーション装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【公開番号】特開２００６−３９３８７（Ｐ２００６−３９３８７Ａ）
【公開日】平成１８年２月９日（２００６．２．９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００４−２２１９１０（Ｐ２００４−２２１９１０）
【出願日】平成１６年７月２９日（２００４．７．２９）
【出願人】（５９１１３２３３５）株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１８年２月９日（２００６．２．９）
【国際特許分類】
【出願日】平成１６年７月２９日（２００４．７．２９）
【出願人】（５９１１３２３３５）株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Ｆターム（参考）】
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