地図表示装置
【課題】移動先地点が表示部の画面の枠外に存在している場合に、移動元地点と移動先地点との位置関係を把握できる態様で地図を表示する。
【解決手段】地図表示装置10は、地図データに基づいて表示部16の画面に表示された地図において、移動元領域抽出部20により、移動元地点を含む領域を移動元領域として抽出し、移動先領域抽出部21により、移動先地点を含む領域を移動先領域として抽出し、移動先領域位置変更部22により、移動元領域を表示部16の画面に表示した状態を維持しつつ表示部16の画面上における移動先領域の位置を変更し、縮尺変更部23により、移動元領域と移動先領域との間における地図の縮尺を変更して表示部16の画面に表示する。
【解決手段】地図表示装置10は、地図データに基づいて表示部16の画面に表示された地図において、移動元領域抽出部20により、移動元地点を含む領域を移動元領域として抽出し、移動先領域抽出部21により、移動先地点を含む領域を移動先領域として抽出し、移動先領域位置変更部22により、移動元領域を表示部16の画面に表示した状態を維持しつつ表示部16の画面上における移動先領域の位置を変更し、縮尺変更部23により、移動元領域と移動先領域との間における地図の縮尺を変更して表示部16の画面に表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図データに基づいて画面に地図を表示する地図表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車に搭載されるカーナビゲーションシステムに備えられる地図表示装置は、道路データや背景データなどを含む地図データに基づいて表示部の画面に地図を表示する(例えば、特許文献1,2参照)。
ところで、従来の地図表示装置では、移動先地点(例えば、車両の経路案内の目的地またはその周辺地点)が表示部の画面の枠外に存在している場合には、表示部に表示されている地図をスクロールすることで、当該移動先地点を表示部の画面の枠内に表示するようにしている。ところが、表示部に表示された地図をスクロールすると、移動元地点である車両の現在位置が表示部の画面の枠外に外れてしまい、移動元地点(車両の現在位置)と移動先地点との位置関係が把握できなくなる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−256338号公報
【特許文献2】特開2009−36881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の目的は、移動先地点が表示部の画面の枠外に存在している場合に、移動元地点と移動先地点との位置関係を把握できる態様で地図を表示することができる地図表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の地図表示装置によれば、地図データに基づいて表示部の画面に表示された地図において、移動元領域抽出手段は、移動元地点を含む領域を移動元領域として抽出し、移動先領域抽出手段は、移動先地点を含む領域を移動先領域として抽出する。移動先領域位置変更手段は、移動元領域抽出手段によって抽出された移動元領域を表示部の画面に表示した状態を維持しつつ、移動先領域抽出手段によって抽出された移動先領域の表示部の画面上における位置を変更する。縮尺変更手段は、移動元領域抽出手段によって抽出された移動元領域と、移動先領域位置変更手段によって表示部の画面における位置が変更された移動先領域との間における地図の縮尺を変更して表示部の画面に表示する。
これにより、移動先地点が表示部の画面の枠外に存在している場合には、その移動先地点が表示部の画面の枠内に表示されるように当該移動先地点を含む移動先領域の表示位置を移動させることで、移動元地点を含む移動元領域の地図を保持したまま、移動先地点を含む移動先領域の地図を同一画面上に表示することができる。従って、移動元地点と移動先地点との位置関係を把握できる態様で地図を表示することができる。
【0006】
請求項2の地図表示装置によれば、特別移動先地点記憶手段は、地図データに基づいて表示される地図における所定の地点を特別移動先地点として記憶する。特別移動先領域抽出手段は、特別移動先地点記憶手段に記憶されている特別移動先地点が表示部の画面の枠外に存在する場合に、当該特別移動先地点を含む領域を特別移動先領域として抽出する。そして、移動先領域位置変更手段は、移動元領域抽出手段によって抽出された移動元領域を表示部の画面に表示した状態を維持しつつ、特別移動先領域抽出手段によって抽出された特別移動先領域に含まれる特別移動先地点が表示部の画面の枠内に表示されるように表示部の画面上における当該特別移動先領域の位置を自動的に変更し、縮尺変更手段は、移動元領域抽出手段によって抽出された移動元領域と、移動先領域位置変更手段によって表示部の画面における位置が自動的に変更された特別移動先領域との間における地図の縮尺を変更して表示部に表示する。
これにより、所定の地点を特別移動先地点として記憶しておけば、その特別移動先地点が表示部の画面の枠外に存在する場合に、当該特別移動先地点が自動的に表示部の画面の枠内に表示されるようになり、しかも、移動元地点を含む移動元領域の地図を保持したまま、特別移動先地点を含む特別移動先領域の地図を同一画面上に表示することができる。従って、移動元地点と特別移動先地点との位置関係を把握できる態様で地図を表示することができる。
【0007】
請求項3の地図表示装置によれば、縮尺変更手段は、地図の縮尺を段階的に変更するように構成される。主要道路抽出手段は、地図データから主要道路を抽出する。道路幅変更手段は、主要道路抽出手段が抽出した主要道路の道路幅を、縮尺変更手段が段階的に変更した縮尺のうち最も大きい縮尺における当該主要道路の道路幅に合わせて変更する。
これにより、地図の縮尺を段階的に変更して表示する表示態様において、主要道路の道路幅は、段階的に異なることなく統一して表示される。これにより、道路の構成(道路の形状や道路幅など)を認識し易くできる。また、主要道路として抽出される道路は、その道路幅が最も大きい縮尺における道路幅に変更されて表示され、主要道路として抽出されない道路は、その道路幅が変更されることなく表示されることから、道路の種類を区別し易くできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るものであり、地図表示装置の構成を示すブロック図
【図2】制御装置による制御内容を示すフローチャート
【図3】移動先領域の位置を変更し地図の縮尺率を変更する前の状態における表示部の画面を示す図
【図4】移動先領域の位置を変更し地図の縮尺率を変更した後の状態における表示部の画面を示す図
【図5】制御装置による表示態様の一例を示す図(その1)
【図6】制御装置による表示態様の一例を示す図(その2)
【図7】制御装置による表示態様の一例を示す図(その3)
【図8】制御装置による表示態様の一例を示す図(その4)
【図9】制御装置による表示態様の一例を示す図(その5)
【図10】制御装置による表示態様の一例を示す図(その6)
【図11】制御装置による表示態様の一例を示す図(その7)
【図12】制御装置による表示態様の一例を示す図(その8)
【図13】制御装置による表示態様の一例を示す図(その9)
【図14】本発明の第2の実施形態に係る図1相当図
【図15】図2相当図
【図16】図3相当図
【図17】図4相当図
【図18】変形例に係る図3相当図
【図19】図4相当図
【図20】本発明の第3の実施形態に係る図1相当図
【図21】制御装置による制御内容の一部を示すフローチャート
【図22】制御装置による表示態様の一例を示す図(その10)
【図23】制御装置による表示態様の比較例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図1から図13を参照しながら説明する。
図1は、例えば自動車に搭載されるカーナビゲーションシステムに備えられた地図表示装置10の構成を概略的に示す機能ブロック図である。
地図表示装置10は、制御装置11、位置検出部12、地図データ入力部13、操作スイッチ部14、外部メモリ15、表示部16、音声コントローラ17、リモコンセンサ18、通信部19などを備えている。制御装置11は、図示しないCPU、ROMおよびRAMを有するマイクロコンピュータを主体として構成されている。地図表示装置10は、制御装置11のCPUにおいて制御プログラムを実行することにより、移動元領域抽出部20、移動先領域抽出部21、移動先領域位置変更部22、縮尺変更部23をソフトウェアによって仮想的に実現する。
【0010】
位置検出部12は、地図表示装置10を搭載した車両の現在位置を検出する。位置検出部12は、方位センサ31、ジャイロセンサ32(ジャイロスコープ)、距離センサ33およびGPS受信器34を有している。方位センサ31は、車両の方位を検出する。ジャイロセンサ32は、車両の回転角度を検出する。距離センサ33は、車両の走行距離を検出する。GPS受信器34は、GPS(Global Positioning System)により車両の現在位置を測位するために、図示しないGPS衛星から送信される電波を受信する。
地図データ入力部13は、地図データ記憶部35から地図データを取得する。地図データ記憶部35に記憶されている地図データは、複数のノードおよびノード同士をつなぐリンクにより形成された道路データ、背景データ、目印データ、マップマッチング用データ、目的地データ、交通情報を道路データに変換するためのテーブルデータなどの各種のデータを含んでいる。また、この地図データに含まれる道路データは、道路の種類(例えば、国道、高速道路、一般道路、細街路など)ごとに区別して記憶されている。この地図データには、地名、施設名、各地点や施設の所在地などの情報が含まれている。地図データ記憶部35に記憶されている地図データは、図示しないドライブ装置によって地図データ入力部13に読み取られる。地図データ記憶部35としては、例えばDVDやCDなどの大容量記憶媒体、メモリカードあるいはハードディスクドライブなどの記憶媒体が用いられる。
【0011】
操作スイッチ部14は、表示部16の画面の近傍に設けられているメカニカルスイッチ、および、表示部16の画面に設けられているタッチパネルスイッチ(この場合、静電容量式のタッチパネルスイッチ)など各種のスイッチ群から構成されている。ユーザは、操作スイッチ部14の各スイッチを用いて、車両の経路案内の目的地、表示部16の画面や表示態様の切り替え(例えば、地図縮尺の変更、メニュー画面の選択、経路の探索、経路案内の開始、現在位置の修正、音量の調整など)を行う各種コマンドの入力を行う。これにより、地図表示装置10は、ユーザの指示に従って作動する。
リモコンセンサ18は、リモコン36との間でコマンドなどの送受信を行う。リモコン36には、揺動操作および押し込み操作が可能な例えばレバー式の操作子(図示せず)や、複数の操作スイッチ(図示せず)が設けられている。リモコン36は、ユーザによる操作子や操作スイッチの操作に応じて、リモコンセンサ18を介して各種の指令信号を制御装置11に送信する。操作スイッチ部14およびリモコン36は、何れの操作によっても制御装置11へ同一の機能を実行させることができる。
【0012】
外部メモリ15は、例えば着脱可能なフラッシュメモリカードやハードディスクドライブによって構成されている。なお、外部メモリ15は、例えば地図表示装置10の制御装置11に設けられているRAMやEEPROM、あるいは地図データ記憶部35などと共用してもよい。
表示部16は、例えば液晶や有機ELなどのカラーディスプレイを有している。制御装置11は、地図データ入力部13から入力された地図データに基づいて、表示部16の画面に地図を表示する。制御装置11は、目的地までの経路案内を実行する場合には、表示部16の画面に経路案内用の画面(例えば図3参照)を表示する。この場合、制御装置11は、車両が案内経路に沿って走行可能とするために、車両の現在位置および進行方向を示す現在位置マーク(例えば図3に符号Nで示す)を道路に重ねて表示する。車両の現在位置の表示は、当該車両の走行に伴って表示部16の画面に表示された地図上を移動する。表示部16に表示された地図は、車両の現在位置に応じてスクロールされる。このとき、制御装置11は、車両の現在位置を道路上にあわせるマップマッチングを実施する。
【0013】
音声コントローラ17は、車載スピーカ37に接続している。音声コントローラ17は、制御装置11からの音声出力信号に基づいて、音声出力信号を車載スピーカ37へ出力する。車載スピーカ37から出力される音声は、経路案内に関する音声、操作説明に関する音声、盗難防止機能の動作中であることを報知する音声、音声認識結果に応じたトークバック音声などである。通信部19は、有線または無線の通信回線(図示せず)を経由して例えば情報センター(図示せず)との間で各種情報の通信を行う。
【0014】
移動元領域抽出部20は、表示部16の画面に表示された地図(その周辺の領域を含む)において、移動元地点を含む領域を移動元領域として抽出する。移動先領域抽出部21は、表示部16の画面に表示された地図(その周辺の領域を含む)において、表示部16の画面の枠外に存在する移動先地点を含む領域を移動先領域として抽出する。移動先領域位置変更部22は、移動元領域抽出部20によって抽出された移動元領域を表示部16の画面に表示した状態を維持しつつ、移動先領域抽出部21によって抽出された移動先領域の表示部16の画面上における位置を変更する。縮尺変更部23は、移動元領域抽出部20によって抽出された移動元領域と、移動先領域位置変更部22によって表示部16の画面における位置が変更された移動先領域との間における地図の縮尺を変更して表示部16の画面に表示する。地図表示装置10の制御装置11は、これら移動元領域抽出部20、移動先領域抽出部21、移動先領域位置変更部22、縮尺変更部23によって、後述する制御を実行可能に構成されている。
【0015】
上記構成の地図表示装置10は、移動先地点(例えば、車両の経路案内の目的地またはその周辺地点)が表示部16の画面の枠外に存在している場合に、移動元地点である車両の現在位置と移動先地点との位置関係を把握できる態様で地図を表示することが可能である。次に、このような態様で地図を表示する場合の制御内容ついて説明する。図2は、地図表示装置10の制御装置11が実行する制御内容を示すフローチャートである。
【0016】
制御装置11は、図3に示すように、例えば目的地Gまでの経路案内時に表示部16の画面に経路案内用の地図を表示すると(ステップA1)、表示部16の画面に設けられているタッチパネルスイッチから接触信号(ユーザが表示部16の画面に触れたことを示す信号)が入力されたか否か、即ち、ユーザが表示部16の画面に指を接触させたか否かを判断する(ステップA2)。そして、制御装置11は、タッチパネルスイッチから接触信号が入力されたことを検知すると(ステップA2:YES)、表示部16の画面に表示された地図において、車両の現在位置Nを含む領域を移動元領域Asとして抽出するとともに(ステップA3)、表示部16の画面に表示された地図において、ユーザが指を接触させた地点Tを含む領域を移動先領域Agとして抽出する(ステップA4)。制御装置11が抽出した移動先領域Agのうち表示部16の画面の枠外に対応する部分には、図3に示すように目的地Gそのものが含まれる場合のほか、目的地Gは含まれないが当該目的地Gの周辺地点が含まれる場合がある。
なお、制御装置11が抽出する移動元領域Asおよび移動先領域Agの大きさや形状は、適宜変更可能であり、制御プログラムに予め設定しておいてもよいし、ユーザが操作スイッチ部14やリモコン36などを介して設定するようにしてもよい。
【0017】
次に、制御装置11は、表示部16の画面に設けられているタッチパネルスイッチから移動信号(ユーザが上記ステップA2において表示部16の画面に接触させた指をそのまま画面上を移動させたことを示す信号)が入力されたか否か、即ち、ユーザが画面に接触させた指をそのまま画面上を移動させたか否かを判断する(ステップA5)。
制御装置11は、タッチパネルスイッチから移動信号が入力されたことを検知すると(ステップA5:YES)、移動元領域Asを表示部16の画面に表示した状態を維持しつつ、入力された移動信号に基づいて、表示部16の画面上における移動先領域Agの表示位置を変更する(ステップA6)。
【0018】
ここで、図3に示すように、移動先地点である目的地Gが表示部16の画面の枠外に存在している場合には、ユーザは、目的地Gあるいは当該目的地Gの周辺地点を確認するために、表示部16の画面(例えば図3に示す地点T)に接触させた指を当該画面の中央側に引き寄せるように移動させる。従って、制御装置11は、このようなユーザによる指の移動に応じて、移動先領域Agを表示部16の画面の中央側に引き込むように移動させ、図4に示すように、目的地Gおよび当該目的地Gの周辺地点を表示部16の画面の枠内に表示する。
【0019】
次に、制御装置11は、移動元領域Asと、表示部16の画面上における位置が変更された移動先領域Agとの間における地図の縮尺を変更して表示部16の画面に表示する(ステップA7)。そして、制御装置11は、移動元領域Asと移動先領域Agとの間の縮尺を変更した地図を表示部16の画面に表示した状態を、所定の条件に応じて保持する(ステップA8)。この所定の条件としては、様々な条件を設定することができる。例えば、タッチパネルスイッチからの操作信号の入力が検知されなくなったこと、即ち、ユーザがタッチパネルスイッチから指を離したことを、所定の条件として設定することができる。また、タッチパネルスイッチから異なる操作信号が入力されたこと、即ち、ユーザが移動先領域Agを画面の中央側に引き寄せるために接触させた指とは異なる指をタッチパネルスイッチに接触させたことを、所定の条件として設定してもよい。
【0020】
上記のステップA7における表示態様としては様々な態様を採用することができる。以下、この表示態様の例を図5から図13を参照しながら説明する。なお、図5から図12に示す数値は地図の縮尺率(地図の歪み量)を示す。また、各図に示す縮尺率は一例に過ぎず、適宜変更可能である。
図5に示す表示態様では、制御装置11は、移動元領域Asと移動先領域Agとの間における地図を複数の区画に区分し、各区画の縮尺を、移動先領域Agから移動元領域Asに向けて段階的に小さく設定する。また、図6に示す表示態様では、制御装置11は、移動元領域Asと移動先領域Agとの間における地図の縮尺を、移動先領域Agから移動元領域Asに向けて連続的(リニア)に小さく設定する。これらの表示態様によれば、特に目的地Gおよび当該目的地Gの周辺を示す移動先領域Ag内の地図を詳細に表示することができる。
【0021】
図7に示す表示態様では、制御装置11は、移動元領域Asと移動先領域Agとの間における地図を複数の区画に区分し、各区画の縮尺を、移動先領域Agから移動元領域Asに向けて段階的に大きく設定する。また、図8に示す表示態様では、制御装置11は、移動元領域Asと移動先領域Agとの間における地図の縮尺を、移動先領域Agから移動元領域Asに向けて連続的(リニア)に大きく設定する。これらの表示態様によれば、特に車両の現在位置Nおよび当該現在位置Nの周辺を示す移動元領域As内の地図を詳細に表示することができる。
図9に示す表示態様では、制御装置11は、移動元領域Asと移動先領域Agとの間における地図を複数の区画に区分し、各区画の縮尺を、移動先領域Agから画面の所定部分(この場合、中央部)にかけては段階的に小さく設定し、画面の所定部分(中央部)から移動元領域Asにかけては段階的に大きく設定する。また、図10に示す表示態様では、制御装置11は、移動元領域Asと移動先領域Agとの間における地図の縮尺を、移動先領域Agから画面の所定部分(この場合、中央部)にかけては連続的(リニア)に小さく設定し、画面の所定部分(中央部)から移動元領域Asにかけては連続的(リニア)に大きく設定する。これらの表示態様によれば、移動先領域Ag内の地図および移動元領域As内の地図の双方を詳細に表示することができる。
【0022】
図11に示す表示態様では、制御装置11は、移動元領域Asと移動先領域Agとの間における地図を複数の区画に区分し、各区画の縮尺を、移動先領域Agから画面の所定部分(この場合、中央部)にかけては段階的に大きく設定し、画面の所定部分(中央部)から移動元領域Asにかけては段階的に小さく設定する。また、図12に示す表示態様では、制御装置11は、移動元領域Asと移動先領域Agとの間における地図の縮尺を、移動先領域Agから画面の所定部分(この場合、中央部)にかけては連続的(リニア)に大きく設定し、画面の所定部分(中央部)から移動元領域Asにかけては連続的(リニア)に小さく設定する。これらの表示態様によれば、移動元領域Asと移動先領域Agとの間における地図を詳細に表示することができ、例えば車両の現在位置Nから目的地Gまでの案内経路あるいは当該案内経路の周辺の情報を詳細に得ることができる。
図13に示す表示態様では、制御装置11は、表示部16の画面に表示した移動元領域Asと移動先領域Agとの間の縮尺を変更した地図上に、複数のグリッド線gを重ねて表示する。制御装置11は、これらグリッド線gの間隔を、変更した地図の縮尺率に応じて設定する。このような表示態様によれば、表示部16の画面に表示された地図の各部分の縮尺率(各部分の歪み量)を容易に把握することができる。
【0023】
以上に説明したように本実施形態によれば、移動先地点である目的地Gが表示部16の画面の枠外に存在している場合には、その目的地Gあるいは当該目的地Gの周辺が表示部16の画面の枠内に表示されるように当該目的地Gを含む移動先領域Agの表示位置を移動させることで、移動元地点である車両の現在位置Nを含む移動元領域Asの地図を保持したまま、移動先地点である目的地Gを含む移動先領域Agの地図を同一画面上に表示することができる。従って、車両の現在位置N(移動元地点)と目的地G(移動先地点)との位置関係を把握できる態様で地図を表示することができる。
【0024】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について図14から図19を参照しながら説明する。本実施形態は、地図表示装置10の構成と制御装置11による制御内容が上述の第1の実施形態と異なる。以下、上述の第1の実施形態と異なる点のみを説明する。
図14に示すように、本実施形態では、地図表示装置10は、さらにデータベース41(特別移動先地点記憶手段に相当)を備えている。このデータベース41には、この場合、各種店舗(ファーストフード店、カフェ、レストラン、コンビニエンスストアなど)が特別移動先地点として記憶されている。なお、制御装置11は、例えば、車両の経路案内の目的地Gとして設定された店舗、車両が所定時間(少なくとも信号待ち時間よりも長い時間)停車した地点に存在する店舗、ユーザが操作スイッチ部14やリモコン36などを介して好みの店舗として入力した店舗などをデータベース41に記憶する。
また、地図表示装置10は、制御装置11のCPUにおいて制御プログラムを実行することにより、上述の第1の実施形態に示した移動先領域抽出部21に代わる特別移動先領域抽出部42をソフトウェアによって仮想的に実現する。
【0025】
特別移動先領域抽出部42は、データベース41に記憶されている特別移動先地点が表示部16の画面の枠外に存在する場合に、当該特別移動先地点を含む領域を特別移動先領域として抽出する。なお、本実施形態では、移動先領域位置変更部22は、移動元領域抽出部20によって抽出された移動元領域を表示部16の画面に表示した状態を維持しつつ、特別移動先領域抽出部42によって抽出された特別移動先領域に含まれる特別移動先地点が表示部16の画面の枠内に表示されるように表示部16の画面上における当該特別移動先領域の位置を自動的に変更する。また、縮尺変更部23は、移動元領域抽出部20によって抽出された移動元領域と、移動先領域位置変更部22によって表示部16の画面における位置が自動的に変更された特別移動先領域との間における地図の縮尺を変更して表示部16に表示する。地図表示装置10の制御装置11は、上述の移動元領域抽出部20、移動先領域位置変更部22、縮尺変更部23、および、これらデータベース41、特別移動先領域抽出部42によって、後述する制御を実行可能に構成されている。
【0026】
次に、本実施形態において制御装置11が実行する制御内容について説明する。図15は、地図表示装置10の制御装置11が実行する制御内容を示すフローチャートである。
本実施形態では、制御装置11は、図16に示すように、例えば目的地Gまでの経路案内時に表示部16の画面に経路案内用の地図を表示するとともに、当該画面の一部(この場合、右端部)に店舗群一覧表示バー43を表示する(ステップB1)。なお、制御装置11は、データベース41に記憶されている各種店舗を所定の項目(例えば、店舗の商号、店名、取扱い商品の種類など)ごとにグループ化した店舗群(この場合、店舗群A〜E)を作成する。そして、制御装置11は、これらグループ化した各店舗群を店舗群一覧表示バー43に、例えば接触操作(タッチ操作)や押圧操作によって選択可能なボタンとして表示する。
【0027】
次に、制御装置11は、地図データに基づいて、データベース41に記憶されている店舗の地図上における所在地(その店舗が存在する位置)を探索する(ステップB2)。
次に、制御装置11は、店舗群一覧表示バー43に表示した各店舗群のうち何れか1つが選択されたか否かを判断する(ステップB3)。なお、制御装置11は、タッチパネルスイッチから入力される選択信号(ユーザが店舗群に対応するボタンを選択したことを示す信号)に基づいて、店舗群一覧表示バー43において選択された店舗群を特定する。
【0028】
制御装置11は、選択信号の入力を検知すると(ステップB3:YES)、ステップB2において探索した各店舗の所在地に基づいて、店舗群一覧表示バー43において選択された店舗群のうち車両の現在位置Nから最も近い位置に存在する店舗が、現時点で表示部16に表示されている画面の枠外に存在するか否かを判断する(ステップB4)。
【0029】
制御装置11は、車両の現在位置Nから最も近い位置に存在する店舗(この場合、店舗群Aに含まれる店舗a)が画面の枠外に存在すると判断すると(ステップB4:YES)、表示部16の画面に表示された地図において、車両の現在位置Nを含む領域を移動元領域Asとして抽出するとともに(ステップB5)、表示部16の画面に表示された地図において、車両の現在位置Nから最も近い位置に存在する店舗aを含む領域を特別移動先領域Aggとして抽出する(ステップB6)。なお、制御装置11が抽出する移動元領域Asおよび特別移動先領域Aggの大きさや形状は、上述の第1の実施形態と同様に適宜変更可能である。
【0030】
次に、制御装置11は、移動元領域Asを表示部16の画面に表示した状態を維持しつつ、特別移動先領域Aggに含まれる店舗aが表示部16の画面の枠内に表示されるように表示部16の画面上における当該特別移動先領域Aggの表示位置を自動的に変更する(ステップB7)。
ここで、図16に示すように、特別移動先地点である店舗aが表示部16の画面の枠外に存在している場合には、ユーザが店舗aあるいは当該店舗aの周辺地点を確認できるように、制御装置11は、店舗aを含む特別移動先領域Aggを表示部16の画面の中央側に引き込むように移動させ、図17に示すように、店舗aおよび当該店舗aの周辺地点を表示部16の画面の枠内に表示する。
【0031】
次に、制御装置11は、移動元領域Asと、表示部16の画面上における位置が変更された特別移動先領域Aggとの間における地図の縮尺を変更して表示部16の画面に表示する(ステップB8)。そして、制御装置11は、移動元領域Asと特別移動先領域Aggとの間の縮尺を変更した地図を表示部16の画面に表示した状態を保持する(ステップB9)。上記のステップB8における表示態様としては、上述の第1の実施形態と同様に、様々な態様を採用することができる。
なお、制御装置11は、車両の現在位置Nから最も近い位置に存在する店舗が画面の枠外に存在しないと判断した場合、即ち、車両の現在位置Nから最も近い位置に存在する店舗が画面の枠内に存在すると判断した場合(ステップB4:NO)には、この制御を終了する。即ち、制御装置11は、表示部16の画面における店舗の表示位置や地図の縮尺率を変更することなく、地図データに基づいて当該店舗をそのまま表示部16の画面に表示する。
【0032】
以上に説明したように本実施形態によれば、所定の地点である店舗をデータベース41に特別移動先地点として記憶しておけば、その店舗あるいは当該店舗の周辺が表示部16の画面の枠外に存在する場合に、その店舗あるいは当該店舗の周辺が自動的に表示部16の画面の枠内に表示されるようになり、しかも、移動元地点である車両の現在位置Nを含む移動元領域Asの地図を保持したまま、その店舗を含む特別移動先領域Aggの地図を同一画面上に表示することができる。従って、車両の現在位置N(移動元地点)と店舗(特別移動先地点)との位置関係を把握できる態様で地図を表示することができる。
【0033】
本実施形態では、ユーザが選択した店舗群に含まれる店舗のうち車両の現在位置Nから最も近い位置に存在する店舗を含む領域を特別移動先領域Aggとして抽出することで、例えば表示部16の画面の枠内から僅かに外れた位置に存在する店舗を画面の枠内に引き込んで表示する。しかも、その店舗と車両の現在位置Nとの位置関係を容易に把握できる態様で地図が表示される。従って、ユーザは、最短の所要時間および最短の走行距離で、行きたい店舗に到達することができる。
【0034】
本実施形態では、制御装置11は、各種店舗を、当該店舗にユーザが実際に立ち寄った回数とともにデータベース41に記憶するようにしてもよい。そして、店舗群一覧表示バー43には、ユーザが実際に立ち寄った回数が多い店舗を含む店舗群ほど上位に並べて表示するようにするとよい。なお、各店舗に立ち寄った回数は、例えば、その店舗が経路案内の目的地Gとして設定された回数、その店舗に車両が所定時間(少なくとも信号待ち時間よりも長い時間)停車した回数、ユーザが操作スイッチ部14やリモコン36などを介して好みの店舗として入力した回数などに基づいて特定することができる。
また、制御装置11は、ユーザが選択した店舗群に含まれる店舗のうち車両の現在位置Nから最も近い位置に存在する店舗を含む領域を特別移動先領域Aggとして抽出するのではなく、例えばユーザが選択した店舗群に含まれる店舗のうち案内経路の進行方向上に存在する店舗を含む領域を特別移動先領域Aggとして抽出するように構成してもよい。
【0035】
また、データベース41に、例えば車両が通行する上で注意が必要となる地点(急カーブ、道幅が狭くなる地点、制限速度が変わる地点、事故多発地点、工事中の地点など)を特別移動先地点として記憶するようにしてもよい。この場合、例えば図18に示すように、制御装置11は、表示部16に表示されている画面の枠外に急カーブCが存在する場合に、当該急カーブCを含む領域を特別移動先領域Aggとして抽出する。そして、図19に示すように、制御装置11は、車両の現在位置Nを含む移動元領域Asを表示部16の画面に表示した状態を維持しつつ、特別移動先領域Aggに含まれる急カーブCが表示部16の画面の枠内に表示されるように表示部16の画面上における当該特別移動先領域Aggの表示位置を自動的に移動させる。そして、制御装置11は、移動元領域Asと、表示部16の画面上における位置が変更された特別移動先領域Aggとの間における地図の縮尺を変更して表示部16の画面に表示する。この場合、制御装置11は、急カーブC部分を視覚的に警告表示(点灯表示や点滅表示)したり、急カーブC部分に警告内容を示すテキストボックスを表示したり、あるいは、車載スピーカ37を用いて聴覚的に警告する構成とするとよい。
【0036】
また、特別移動先地点としては種々の地点を設定することができる。例えば、制御装置11は、図示しない情報センターから通信部19を介して気象情報を取得し、当該気象情報に基づいて気象条件が劣悪な領域(例えば大雨や強風の領域など)を特別移動先領域Aggとして抽出し、車両の現在位置Nを含む移動元領域Asを表示部16の画面に表示した状態を維持しつつ、当該特別移動先領域Aggを表示部16の画面の枠内に自動的に移動させるようにしてもよい。この場合も、制御装置11は、車両の現在位置Nを含む移動元領域Asと、気象条件が劣悪な領域を含む特別移動先領域Aggとの間における地図の縮尺を変更して表示部16の画面に表示する。
【0037】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について図20から図23を参照しながら説明する。本実施形態は、地図表示装置10の構成と制御装置11による制御内容が上述の実施形態と異なる。以下、上述の実施形態と異なる点のみを説明する。
本実施形態は、移動元領域Asと移動先領域Agとの間における地図を複数の区画に区分し各区画の縮尺を段階的に変更する表示態様(例えば、図5などに示す表示態様)について、さらに改良を加えた実施形態である。即ち、各区画の縮尺を段階的に変更する表示態様では、図23に示すように、縮尺の異なる複数の区画に跨っている道路(例えば、区画D1〜D5に跨る高速道路R1や案内経路R2など)の道路幅が、縮尺が小さく設定された区画(例えば、区画D4,D5)では狭く表示され、縮尺が大きく設定された区画(例えば、区画D1,D2)では広く表示される。つまり、同一の道路であっても、その道路幅が区画ごとに異なって表示されてしまい、道路の構成(道路の形状や道路幅など)が認識し難くなる場合がある。また、縮尺が大きく設定された区画に存在する道路(例えば、区画D1に存在する本来は道路幅の狭い細街路r1など)の道路幅が、縮尺が小さく設定された区画に存在する道路(例えば、区画D5に存在する本来は道路幅の広い高速道路R1、案内経路R2、国道R3,R4など)の道路幅よりも広く表示されたり、一方、縮尺が小さく設定された区画に存在する道路(例えば、区画D2〜D5に跨る本来は道路幅の広い高速道路R1、案内経路R2、国道R3,R4など)の道路幅が、縮尺が大きく設定された区画に存在する道路(例えば、区画D1に存在する本来は道路幅の狭い細街路r1など)の道路幅よりも狭く表示されてしまう場合がある。このような場合、表示される道路幅に基づいてその道路の種類を区別することが困難となる。
【0038】
そこで、本実施形態では、図20に示すように、地図表示装置10は、制御装置11のCPUにおいて制御プログラムを実行することにより、さらに、主要道路抽出部51、道路幅変更部52をソフトウェアによって仮想的に実現する。
主要道路抽出部51は、地図データから主要道路の道路データを抽出する。道路幅変更部52は、主要道路抽出部51が抽出した主要道路(道路データ)の道路幅を、縮尺変更部23が段階的に変更した縮尺のうち最も大きい縮尺における当該主要道路の道路幅に合わせて変更する。地図表示装置10の制御装置11は、上述の移動元領域抽出部20、移動先領域抽出部21、移動先領域位置変更部22、縮尺変更部23、および、これら主要道路抽出部51、道路幅変更部52によって、後述する制御を実行可能に構成されている。
【0039】
次に、本実施形態において制御装置11が実行する制御内容について説明する。図21は、地図表示装置10の制御装置11が実行する制御内容の一部を示すフローチャートである。
即ち、制御装置11は、移動元領域Asと移動先領域Ag(表示部16の画面上における位置が変更された移動先領域Ag)との間における地図を複数の区画に区分し、各区分の縮尺を段階的に変更すると(図2に示すステップA7参照)、地図データ記憶部35に記憶されている地図データから主要道路の道路データを抽出する(ステップC1)。なお、制御装置11は、この場合、地図データに含まれる国道の道路データ、高速道路の道路データを主要道路の道路データとして抽出する。また、制御装置11は、経路案内の実行中においては、その案内経路の道路データも主要道路の道路データとして抽出する。また、制御装置11は、地図データ記憶部35に記憶されている全ての主要道路の道路データを抽出するようにしてもよいし、表示部16の画面に表示されている領域および当該領域の周辺に存在する主要道路の道路データを抽出するようにしてもよい。
【0040】
次に、制御装置11は、抽出した主要道路(抽出した道路データに対応する道路)が表示部16の画面の枠内に存在するか否かを判断する(ステップC2)。制御装置11は、抽出した主要道路が表示部16の画面の枠内に存在すると判断すると(ステップC2:YES)、複数に区分した区画のうち、主要道路が存在する区画であって、且つ、縮尺を最も大きく設定した区画を特定する(ステップC3)。そして、制御装置11は、その特定した区画以外の区画に存在する主要道路の道路幅を、特定した区画に存在する主要道路の道路幅に合わせて変更して表示する(ステップC4)。即ち、図22に示すように、制御装置11は、主要道路が存在する複数の区画(例えば、高速道路R1が跨る区画D1〜D5)の全てにおいて、その主要道路R1の道路幅を、縮尺が最も大きい区画(この場合、区画D1)における道路幅に統一して表示する。そして、制御装置11は、その表示した状態を、所定の条件に応じて保持する(図2に示すステップA8参照)。なお、制御装置11は、抽出した主要道路が表示部16の画面の枠内に存在しないと判断すると(ステップC2:NO)、ステップC3,C4の処理を実行することなくステップA8に移行する。
【0041】
以上に説明したように本実施形態によれば、移動元領域Asと移動先領域Agとの間における地図を複数の区画に区分し各区画の縮尺を段階的に変更して表示する表示態様において、主要道路が存在する複数の区画の全てにおいて、その主要道路の道路幅が、段階的に異なることなく統一して表示される。これにより、道路の構成(道路の形状や道路幅など)を認識し易くできる。また、主要道路として抽出される道路(例えば、図22に示す高速道路R1、案内経路R2、国道R3,R4など)は、その道路幅が最も縮尺が大きい区画における道路幅に変更されて表示され、主要道路として抽出されない道路(例えば、図22に示す細街路r1など)は、その道路幅が変更されることなく表示されることから、道路の種類を区別し易くできる。
【0042】
なお、ステップC1において制御装置11が抽出する主要道路は、上述した高速道路、案内経路、国道に限られるものではなく、例えば、道路幅が所定値以上の道路、地図表示装置10が搭載された車両が走行する頻度の高い道路、ユーザが登録した道路など、種々の道路を主要道路として設定することができる。また、制御装置11が抽出する主要道路を、予め制御プログラムに設定しておいてもよいし、ユーザが操作スイッチ部14やリモコン36を介して設定するようにしてもよい。また、主要道路の道路データを記憶する主要道路データベースを設け、制御装置11は当該主要道路データベースから主要道路の道路データを抽出するように構成してもよい。この主要道路データベースには、高速道路や国道などの道路データを予め記憶しておくとともに、案内経路として設定された道路やユーザが登録した道路などの道路データを適宜追加して記憶するようにするとよい。
【0043】
最も大きい縮尺とは、100%のみを意味するものではなく、複数の区画のうち最も大きく設定された縮尺が例えば90%であれば、主要道路の道路幅も、その縮尺(90%)に合わせて変更され、最も大きく設定された縮尺が例えば120%であれば、主要道路の道路幅も、その縮尺(120%)に合わせて変更される。
本実施形態は、上述の第2の実施形態に適用することも可能である。即ち、図15に示すステップB8の処理に続いて、本実施形態の処理を実行すればよい。
【0044】
(その他の実施形態)
本発明は、上述した各実施形態にのみ限定されるものではなく、例えば次のように変形または拡張することができる。
制御装置11は、移動元領域Asと移動先領域Agとの間の縮尺を変更した地図を表示部16の画面に表示した状態を所定の条件に応じて保持するのではなく、例えばタッチパネルスイッチからの操作信号の入力が検知されなくなったことを条件として、元の表示態様に戻すセルフセンタリング機能を有するように構成してもよい。
【0045】
制御装置11は、タッチパネルスイッチから入力される信号に基づいて、ユーザが画面上で移動させる指の移動量や移動速度を特定し、特定した移動量および移動速度に応じて地図の縮尺を変更するようにしてもよい。この場合、制御装置11は、例えば、ユーザの指の移動量および移動速度が大きいほど、移動元領域Asと移動先領域Agとの間における地図の縮尺を小さく設定し、ユーザの指の移動量および移動速度が小さいほど、移動元領域Asと移動先領域Agとの間における地図の縮尺を大きく設定することができる。
【0046】
移動先領域Agおよび特別移動先領域Aggは、表示部16に表示された画面の中央部方向への移動(引き込み)のほか、表示部16に表示された画面上の縦方向、横方向、斜め方向を含む全方向への移動(引き込み)が可能である。
タッチパネルスイッチは、例えば抵抗膜を備えた感圧式のタッチパネルスイッチで構成してもよい。この場合、ユーザによるタッチパネルスイッチの操作圧力(押圧力)に応じて地図の縮尺を変更することが可能である。
リモコン36の操作子の操作量や押し込み量に応じて地図の縮尺を変更するようにしてもよい。この場合、例えば、操作子の操作量や押し込み量が大きいほど地図の縮尺を小さく設定したり、操作子の操作量や押し込み量が小さいほど地図の縮尺を大きく設定することが可能である。
【0047】
例えば操作スイッチ部14に、切替スイッチを設け、当該切替スイッチの操作に応じて、上述した各実施形態に係る何れかの表示態様と、地図をスクロールすることで移動先地点を表示部の画面の枠内に表示する従来の表示態様とを切り替える構成としてもよい。
また、通常では従来の表示態様で地図を表示し、タッチパネルスイッチが所定の操作内容で操作された場合や、リモコン36の操作子が所定の操作内容で操作された場合に、自動的に上述の各実施形態に係る表示態様に切り替える構成としてもよい。なお、表示態様を切り替える条件となる所定の操作内容としては、例えば、ユーザが静電容量式のタッチパネルスイッチに所定時間以上接触した場合、ユーザが感圧式のタッチパネルスイッチに所定の押圧力で接触した場合、ユーザがリモコン36の操作子を所定の押圧力で押し込み操作した場合などを設定することができる。
本発明は、上述したカーナビゲーションシステムに備えられる地図表示装置10のみならず、例えば携帯電話、携帯端末、デスクトップ端末など、地図データに基づいて画面に地図を表示する地図表示装置全般に適用可能である。
【符号の説明】
【0048】
図面中、10は地図表示装置、16は表示部、20は移動元領域抽出部(移動元領域抽出手段)、21は移動先領域抽出部(移動先領域抽出手段)、22は移動先領域位置変更部(移動先領域位置変更手段)、23は縮尺変更部(縮尺変更手段)、41はデータベース(特別移動先地点記憶手段)、42は特別移動先領域抽出部(特別移動先領域抽出手段)、51は主要道路抽出部(主要道路抽出手段)、52は道路幅変更部(道路幅変更手段)を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図データに基づいて画面に地図を表示する地図表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車に搭載されるカーナビゲーションシステムに備えられる地図表示装置は、道路データや背景データなどを含む地図データに基づいて表示部の画面に地図を表示する(例えば、特許文献1,2参照)。
ところで、従来の地図表示装置では、移動先地点(例えば、車両の経路案内の目的地またはその周辺地点)が表示部の画面の枠外に存在している場合には、表示部に表示されている地図をスクロールすることで、当該移動先地点を表示部の画面の枠内に表示するようにしている。ところが、表示部に表示された地図をスクロールすると、移動元地点である車両の現在位置が表示部の画面の枠外に外れてしまい、移動元地点(車両の現在位置)と移動先地点との位置関係が把握できなくなる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−256338号公報
【特許文献2】特開2009−36881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の目的は、移動先地点が表示部の画面の枠外に存在している場合に、移動元地点と移動先地点との位置関係を把握できる態様で地図を表示することができる地図表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の地図表示装置によれば、地図データに基づいて表示部の画面に表示された地図において、移動元領域抽出手段は、移動元地点を含む領域を移動元領域として抽出し、移動先領域抽出手段は、移動先地点を含む領域を移動先領域として抽出する。移動先領域位置変更手段は、移動元領域抽出手段によって抽出された移動元領域を表示部の画面に表示した状態を維持しつつ、移動先領域抽出手段によって抽出された移動先領域の表示部の画面上における位置を変更する。縮尺変更手段は、移動元領域抽出手段によって抽出された移動元領域と、移動先領域位置変更手段によって表示部の画面における位置が変更された移動先領域との間における地図の縮尺を変更して表示部の画面に表示する。
これにより、移動先地点が表示部の画面の枠外に存在している場合には、その移動先地点が表示部の画面の枠内に表示されるように当該移動先地点を含む移動先領域の表示位置を移動させることで、移動元地点を含む移動元領域の地図を保持したまま、移動先地点を含む移動先領域の地図を同一画面上に表示することができる。従って、移動元地点と移動先地点との位置関係を把握できる態様で地図を表示することができる。
【0006】
請求項2の地図表示装置によれば、特別移動先地点記憶手段は、地図データに基づいて表示される地図における所定の地点を特別移動先地点として記憶する。特別移動先領域抽出手段は、特別移動先地点記憶手段に記憶されている特別移動先地点が表示部の画面の枠外に存在する場合に、当該特別移動先地点を含む領域を特別移動先領域として抽出する。そして、移動先領域位置変更手段は、移動元領域抽出手段によって抽出された移動元領域を表示部の画面に表示した状態を維持しつつ、特別移動先領域抽出手段によって抽出された特別移動先領域に含まれる特別移動先地点が表示部の画面の枠内に表示されるように表示部の画面上における当該特別移動先領域の位置を自動的に変更し、縮尺変更手段は、移動元領域抽出手段によって抽出された移動元領域と、移動先領域位置変更手段によって表示部の画面における位置が自動的に変更された特別移動先領域との間における地図の縮尺を変更して表示部に表示する。
これにより、所定の地点を特別移動先地点として記憶しておけば、その特別移動先地点が表示部の画面の枠外に存在する場合に、当該特別移動先地点が自動的に表示部の画面の枠内に表示されるようになり、しかも、移動元地点を含む移動元領域の地図を保持したまま、特別移動先地点を含む特別移動先領域の地図を同一画面上に表示することができる。従って、移動元地点と特別移動先地点との位置関係を把握できる態様で地図を表示することができる。
【0007】
請求項3の地図表示装置によれば、縮尺変更手段は、地図の縮尺を段階的に変更するように構成される。主要道路抽出手段は、地図データから主要道路を抽出する。道路幅変更手段は、主要道路抽出手段が抽出した主要道路の道路幅を、縮尺変更手段が段階的に変更した縮尺のうち最も大きい縮尺における当該主要道路の道路幅に合わせて変更する。
これにより、地図の縮尺を段階的に変更して表示する表示態様において、主要道路の道路幅は、段階的に異なることなく統一して表示される。これにより、道路の構成(道路の形状や道路幅など)を認識し易くできる。また、主要道路として抽出される道路は、その道路幅が最も大きい縮尺における道路幅に変更されて表示され、主要道路として抽出されない道路は、その道路幅が変更されることなく表示されることから、道路の種類を区別し易くできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るものであり、地図表示装置の構成を示すブロック図
【図2】制御装置による制御内容を示すフローチャート
【図3】移動先領域の位置を変更し地図の縮尺率を変更する前の状態における表示部の画面を示す図
【図4】移動先領域の位置を変更し地図の縮尺率を変更した後の状態における表示部の画面を示す図
【図5】制御装置による表示態様の一例を示す図(その1)
【図6】制御装置による表示態様の一例を示す図(その2)
【図7】制御装置による表示態様の一例を示す図(その3)
【図8】制御装置による表示態様の一例を示す図(その4)
【図9】制御装置による表示態様の一例を示す図(その5)
【図10】制御装置による表示態様の一例を示す図(その6)
【図11】制御装置による表示態様の一例を示す図(その7)
【図12】制御装置による表示態様の一例を示す図(その8)
【図13】制御装置による表示態様の一例を示す図(その9)
【図14】本発明の第2の実施形態に係る図1相当図
【図15】図2相当図
【図16】図3相当図
【図17】図4相当図
【図18】変形例に係る図3相当図
【図19】図4相当図
【図20】本発明の第3の実施形態に係る図1相当図
【図21】制御装置による制御内容の一部を示すフローチャート
【図22】制御装置による表示態様の一例を示す図(その10)
【図23】制御装置による表示態様の比較例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図1から図13を参照しながら説明する。
図1は、例えば自動車に搭載されるカーナビゲーションシステムに備えられた地図表示装置10の構成を概略的に示す機能ブロック図である。
地図表示装置10は、制御装置11、位置検出部12、地図データ入力部13、操作スイッチ部14、外部メモリ15、表示部16、音声コントローラ17、リモコンセンサ18、通信部19などを備えている。制御装置11は、図示しないCPU、ROMおよびRAMを有するマイクロコンピュータを主体として構成されている。地図表示装置10は、制御装置11のCPUにおいて制御プログラムを実行することにより、移動元領域抽出部20、移動先領域抽出部21、移動先領域位置変更部22、縮尺変更部23をソフトウェアによって仮想的に実現する。
【0010】
位置検出部12は、地図表示装置10を搭載した車両の現在位置を検出する。位置検出部12は、方位センサ31、ジャイロセンサ32(ジャイロスコープ)、距離センサ33およびGPS受信器34を有している。方位センサ31は、車両の方位を検出する。ジャイロセンサ32は、車両の回転角度を検出する。距離センサ33は、車両の走行距離を検出する。GPS受信器34は、GPS(Global Positioning System)により車両の現在位置を測位するために、図示しないGPS衛星から送信される電波を受信する。
地図データ入力部13は、地図データ記憶部35から地図データを取得する。地図データ記憶部35に記憶されている地図データは、複数のノードおよびノード同士をつなぐリンクにより形成された道路データ、背景データ、目印データ、マップマッチング用データ、目的地データ、交通情報を道路データに変換するためのテーブルデータなどの各種のデータを含んでいる。また、この地図データに含まれる道路データは、道路の種類(例えば、国道、高速道路、一般道路、細街路など)ごとに区別して記憶されている。この地図データには、地名、施設名、各地点や施設の所在地などの情報が含まれている。地図データ記憶部35に記憶されている地図データは、図示しないドライブ装置によって地図データ入力部13に読み取られる。地図データ記憶部35としては、例えばDVDやCDなどの大容量記憶媒体、メモリカードあるいはハードディスクドライブなどの記憶媒体が用いられる。
【0011】
操作スイッチ部14は、表示部16の画面の近傍に設けられているメカニカルスイッチ、および、表示部16の画面に設けられているタッチパネルスイッチ(この場合、静電容量式のタッチパネルスイッチ)など各種のスイッチ群から構成されている。ユーザは、操作スイッチ部14の各スイッチを用いて、車両の経路案内の目的地、表示部16の画面や表示態様の切り替え(例えば、地図縮尺の変更、メニュー画面の選択、経路の探索、経路案内の開始、現在位置の修正、音量の調整など)を行う各種コマンドの入力を行う。これにより、地図表示装置10は、ユーザの指示に従って作動する。
リモコンセンサ18は、リモコン36との間でコマンドなどの送受信を行う。リモコン36には、揺動操作および押し込み操作が可能な例えばレバー式の操作子(図示せず)や、複数の操作スイッチ(図示せず)が設けられている。リモコン36は、ユーザによる操作子や操作スイッチの操作に応じて、リモコンセンサ18を介して各種の指令信号を制御装置11に送信する。操作スイッチ部14およびリモコン36は、何れの操作によっても制御装置11へ同一の機能を実行させることができる。
【0012】
外部メモリ15は、例えば着脱可能なフラッシュメモリカードやハードディスクドライブによって構成されている。なお、外部メモリ15は、例えば地図表示装置10の制御装置11に設けられているRAMやEEPROM、あるいは地図データ記憶部35などと共用してもよい。
表示部16は、例えば液晶や有機ELなどのカラーディスプレイを有している。制御装置11は、地図データ入力部13から入力された地図データに基づいて、表示部16の画面に地図を表示する。制御装置11は、目的地までの経路案内を実行する場合には、表示部16の画面に経路案内用の画面(例えば図3参照)を表示する。この場合、制御装置11は、車両が案内経路に沿って走行可能とするために、車両の現在位置および進行方向を示す現在位置マーク(例えば図3に符号Nで示す)を道路に重ねて表示する。車両の現在位置の表示は、当該車両の走行に伴って表示部16の画面に表示された地図上を移動する。表示部16に表示された地図は、車両の現在位置に応じてスクロールされる。このとき、制御装置11は、車両の現在位置を道路上にあわせるマップマッチングを実施する。
【0013】
音声コントローラ17は、車載スピーカ37に接続している。音声コントローラ17は、制御装置11からの音声出力信号に基づいて、音声出力信号を車載スピーカ37へ出力する。車載スピーカ37から出力される音声は、経路案内に関する音声、操作説明に関する音声、盗難防止機能の動作中であることを報知する音声、音声認識結果に応じたトークバック音声などである。通信部19は、有線または無線の通信回線(図示せず)を経由して例えば情報センター(図示せず)との間で各種情報の通信を行う。
【0014】
移動元領域抽出部20は、表示部16の画面に表示された地図(その周辺の領域を含む)において、移動元地点を含む領域を移動元領域として抽出する。移動先領域抽出部21は、表示部16の画面に表示された地図(その周辺の領域を含む)において、表示部16の画面の枠外に存在する移動先地点を含む領域を移動先領域として抽出する。移動先領域位置変更部22は、移動元領域抽出部20によって抽出された移動元領域を表示部16の画面に表示した状態を維持しつつ、移動先領域抽出部21によって抽出された移動先領域の表示部16の画面上における位置を変更する。縮尺変更部23は、移動元領域抽出部20によって抽出された移動元領域と、移動先領域位置変更部22によって表示部16の画面における位置が変更された移動先領域との間における地図の縮尺を変更して表示部16の画面に表示する。地図表示装置10の制御装置11は、これら移動元領域抽出部20、移動先領域抽出部21、移動先領域位置変更部22、縮尺変更部23によって、後述する制御を実行可能に構成されている。
【0015】
上記構成の地図表示装置10は、移動先地点(例えば、車両の経路案内の目的地またはその周辺地点)が表示部16の画面の枠外に存在している場合に、移動元地点である車両の現在位置と移動先地点との位置関係を把握できる態様で地図を表示することが可能である。次に、このような態様で地図を表示する場合の制御内容ついて説明する。図2は、地図表示装置10の制御装置11が実行する制御内容を示すフローチャートである。
【0016】
制御装置11は、図3に示すように、例えば目的地Gまでの経路案内時に表示部16の画面に経路案内用の地図を表示すると(ステップA1)、表示部16の画面に設けられているタッチパネルスイッチから接触信号(ユーザが表示部16の画面に触れたことを示す信号)が入力されたか否か、即ち、ユーザが表示部16の画面に指を接触させたか否かを判断する(ステップA2)。そして、制御装置11は、タッチパネルスイッチから接触信号が入力されたことを検知すると(ステップA2:YES)、表示部16の画面に表示された地図において、車両の現在位置Nを含む領域を移動元領域Asとして抽出するとともに(ステップA3)、表示部16の画面に表示された地図において、ユーザが指を接触させた地点Tを含む領域を移動先領域Agとして抽出する(ステップA4)。制御装置11が抽出した移動先領域Agのうち表示部16の画面の枠外に対応する部分には、図3に示すように目的地Gそのものが含まれる場合のほか、目的地Gは含まれないが当該目的地Gの周辺地点が含まれる場合がある。
なお、制御装置11が抽出する移動元領域Asおよび移動先領域Agの大きさや形状は、適宜変更可能であり、制御プログラムに予め設定しておいてもよいし、ユーザが操作スイッチ部14やリモコン36などを介して設定するようにしてもよい。
【0017】
次に、制御装置11は、表示部16の画面に設けられているタッチパネルスイッチから移動信号(ユーザが上記ステップA2において表示部16の画面に接触させた指をそのまま画面上を移動させたことを示す信号)が入力されたか否か、即ち、ユーザが画面に接触させた指をそのまま画面上を移動させたか否かを判断する(ステップA5)。
制御装置11は、タッチパネルスイッチから移動信号が入力されたことを検知すると(ステップA5:YES)、移動元領域Asを表示部16の画面に表示した状態を維持しつつ、入力された移動信号に基づいて、表示部16の画面上における移動先領域Agの表示位置を変更する(ステップA6)。
【0018】
ここで、図3に示すように、移動先地点である目的地Gが表示部16の画面の枠外に存在している場合には、ユーザは、目的地Gあるいは当該目的地Gの周辺地点を確認するために、表示部16の画面(例えば図3に示す地点T)に接触させた指を当該画面の中央側に引き寄せるように移動させる。従って、制御装置11は、このようなユーザによる指の移動に応じて、移動先領域Agを表示部16の画面の中央側に引き込むように移動させ、図4に示すように、目的地Gおよび当該目的地Gの周辺地点を表示部16の画面の枠内に表示する。
【0019】
次に、制御装置11は、移動元領域Asと、表示部16の画面上における位置が変更された移動先領域Agとの間における地図の縮尺を変更して表示部16の画面に表示する(ステップA7)。そして、制御装置11は、移動元領域Asと移動先領域Agとの間の縮尺を変更した地図を表示部16の画面に表示した状態を、所定の条件に応じて保持する(ステップA8)。この所定の条件としては、様々な条件を設定することができる。例えば、タッチパネルスイッチからの操作信号の入力が検知されなくなったこと、即ち、ユーザがタッチパネルスイッチから指を離したことを、所定の条件として設定することができる。また、タッチパネルスイッチから異なる操作信号が入力されたこと、即ち、ユーザが移動先領域Agを画面の中央側に引き寄せるために接触させた指とは異なる指をタッチパネルスイッチに接触させたことを、所定の条件として設定してもよい。
【0020】
上記のステップA7における表示態様としては様々な態様を採用することができる。以下、この表示態様の例を図5から図13を参照しながら説明する。なお、図5から図12に示す数値は地図の縮尺率(地図の歪み量)を示す。また、各図に示す縮尺率は一例に過ぎず、適宜変更可能である。
図5に示す表示態様では、制御装置11は、移動元領域Asと移動先領域Agとの間における地図を複数の区画に区分し、各区画の縮尺を、移動先領域Agから移動元領域Asに向けて段階的に小さく設定する。また、図6に示す表示態様では、制御装置11は、移動元領域Asと移動先領域Agとの間における地図の縮尺を、移動先領域Agから移動元領域Asに向けて連続的(リニア)に小さく設定する。これらの表示態様によれば、特に目的地Gおよび当該目的地Gの周辺を示す移動先領域Ag内の地図を詳細に表示することができる。
【0021】
図7に示す表示態様では、制御装置11は、移動元領域Asと移動先領域Agとの間における地図を複数の区画に区分し、各区画の縮尺を、移動先領域Agから移動元領域Asに向けて段階的に大きく設定する。また、図8に示す表示態様では、制御装置11は、移動元領域Asと移動先領域Agとの間における地図の縮尺を、移動先領域Agから移動元領域Asに向けて連続的(リニア)に大きく設定する。これらの表示態様によれば、特に車両の現在位置Nおよび当該現在位置Nの周辺を示す移動元領域As内の地図を詳細に表示することができる。
図9に示す表示態様では、制御装置11は、移動元領域Asと移動先領域Agとの間における地図を複数の区画に区分し、各区画の縮尺を、移動先領域Agから画面の所定部分(この場合、中央部)にかけては段階的に小さく設定し、画面の所定部分(中央部)から移動元領域Asにかけては段階的に大きく設定する。また、図10に示す表示態様では、制御装置11は、移動元領域Asと移動先領域Agとの間における地図の縮尺を、移動先領域Agから画面の所定部分(この場合、中央部)にかけては連続的(リニア)に小さく設定し、画面の所定部分(中央部)から移動元領域Asにかけては連続的(リニア)に大きく設定する。これらの表示態様によれば、移動先領域Ag内の地図および移動元領域As内の地図の双方を詳細に表示することができる。
【0022】
図11に示す表示態様では、制御装置11は、移動元領域Asと移動先領域Agとの間における地図を複数の区画に区分し、各区画の縮尺を、移動先領域Agから画面の所定部分(この場合、中央部)にかけては段階的に大きく設定し、画面の所定部分(中央部)から移動元領域Asにかけては段階的に小さく設定する。また、図12に示す表示態様では、制御装置11は、移動元領域Asと移動先領域Agとの間における地図の縮尺を、移動先領域Agから画面の所定部分(この場合、中央部)にかけては連続的(リニア)に大きく設定し、画面の所定部分(中央部)から移動元領域Asにかけては連続的(リニア)に小さく設定する。これらの表示態様によれば、移動元領域Asと移動先領域Agとの間における地図を詳細に表示することができ、例えば車両の現在位置Nから目的地Gまでの案内経路あるいは当該案内経路の周辺の情報を詳細に得ることができる。
図13に示す表示態様では、制御装置11は、表示部16の画面に表示した移動元領域Asと移動先領域Agとの間の縮尺を変更した地図上に、複数のグリッド線gを重ねて表示する。制御装置11は、これらグリッド線gの間隔を、変更した地図の縮尺率に応じて設定する。このような表示態様によれば、表示部16の画面に表示された地図の各部分の縮尺率(各部分の歪み量)を容易に把握することができる。
【0023】
以上に説明したように本実施形態によれば、移動先地点である目的地Gが表示部16の画面の枠外に存在している場合には、その目的地Gあるいは当該目的地Gの周辺が表示部16の画面の枠内に表示されるように当該目的地Gを含む移動先領域Agの表示位置を移動させることで、移動元地点である車両の現在位置Nを含む移動元領域Asの地図を保持したまま、移動先地点である目的地Gを含む移動先領域Agの地図を同一画面上に表示することができる。従って、車両の現在位置N(移動元地点)と目的地G(移動先地点)との位置関係を把握できる態様で地図を表示することができる。
【0024】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について図14から図19を参照しながら説明する。本実施形態は、地図表示装置10の構成と制御装置11による制御内容が上述の第1の実施形態と異なる。以下、上述の第1の実施形態と異なる点のみを説明する。
図14に示すように、本実施形態では、地図表示装置10は、さらにデータベース41(特別移動先地点記憶手段に相当)を備えている。このデータベース41には、この場合、各種店舗(ファーストフード店、カフェ、レストラン、コンビニエンスストアなど)が特別移動先地点として記憶されている。なお、制御装置11は、例えば、車両の経路案内の目的地Gとして設定された店舗、車両が所定時間(少なくとも信号待ち時間よりも長い時間)停車した地点に存在する店舗、ユーザが操作スイッチ部14やリモコン36などを介して好みの店舗として入力した店舗などをデータベース41に記憶する。
また、地図表示装置10は、制御装置11のCPUにおいて制御プログラムを実行することにより、上述の第1の実施形態に示した移動先領域抽出部21に代わる特別移動先領域抽出部42をソフトウェアによって仮想的に実現する。
【0025】
特別移動先領域抽出部42は、データベース41に記憶されている特別移動先地点が表示部16の画面の枠外に存在する場合に、当該特別移動先地点を含む領域を特別移動先領域として抽出する。なお、本実施形態では、移動先領域位置変更部22は、移動元領域抽出部20によって抽出された移動元領域を表示部16の画面に表示した状態を維持しつつ、特別移動先領域抽出部42によって抽出された特別移動先領域に含まれる特別移動先地点が表示部16の画面の枠内に表示されるように表示部16の画面上における当該特別移動先領域の位置を自動的に変更する。また、縮尺変更部23は、移動元領域抽出部20によって抽出された移動元領域と、移動先領域位置変更部22によって表示部16の画面における位置が自動的に変更された特別移動先領域との間における地図の縮尺を変更して表示部16に表示する。地図表示装置10の制御装置11は、上述の移動元領域抽出部20、移動先領域位置変更部22、縮尺変更部23、および、これらデータベース41、特別移動先領域抽出部42によって、後述する制御を実行可能に構成されている。
【0026】
次に、本実施形態において制御装置11が実行する制御内容について説明する。図15は、地図表示装置10の制御装置11が実行する制御内容を示すフローチャートである。
本実施形態では、制御装置11は、図16に示すように、例えば目的地Gまでの経路案内時に表示部16の画面に経路案内用の地図を表示するとともに、当該画面の一部(この場合、右端部)に店舗群一覧表示バー43を表示する(ステップB1)。なお、制御装置11は、データベース41に記憶されている各種店舗を所定の項目(例えば、店舗の商号、店名、取扱い商品の種類など)ごとにグループ化した店舗群(この場合、店舗群A〜E)を作成する。そして、制御装置11は、これらグループ化した各店舗群を店舗群一覧表示バー43に、例えば接触操作(タッチ操作)や押圧操作によって選択可能なボタンとして表示する。
【0027】
次に、制御装置11は、地図データに基づいて、データベース41に記憶されている店舗の地図上における所在地(その店舗が存在する位置)を探索する(ステップB2)。
次に、制御装置11は、店舗群一覧表示バー43に表示した各店舗群のうち何れか1つが選択されたか否かを判断する(ステップB3)。なお、制御装置11は、タッチパネルスイッチから入力される選択信号(ユーザが店舗群に対応するボタンを選択したことを示す信号)に基づいて、店舗群一覧表示バー43において選択された店舗群を特定する。
【0028】
制御装置11は、選択信号の入力を検知すると(ステップB3:YES)、ステップB2において探索した各店舗の所在地に基づいて、店舗群一覧表示バー43において選択された店舗群のうち車両の現在位置Nから最も近い位置に存在する店舗が、現時点で表示部16に表示されている画面の枠外に存在するか否かを判断する(ステップB4)。
【0029】
制御装置11は、車両の現在位置Nから最も近い位置に存在する店舗(この場合、店舗群Aに含まれる店舗a)が画面の枠外に存在すると判断すると(ステップB4:YES)、表示部16の画面に表示された地図において、車両の現在位置Nを含む領域を移動元領域Asとして抽出するとともに(ステップB5)、表示部16の画面に表示された地図において、車両の現在位置Nから最も近い位置に存在する店舗aを含む領域を特別移動先領域Aggとして抽出する(ステップB6)。なお、制御装置11が抽出する移動元領域Asおよび特別移動先領域Aggの大きさや形状は、上述の第1の実施形態と同様に適宜変更可能である。
【0030】
次に、制御装置11は、移動元領域Asを表示部16の画面に表示した状態を維持しつつ、特別移動先領域Aggに含まれる店舗aが表示部16の画面の枠内に表示されるように表示部16の画面上における当該特別移動先領域Aggの表示位置を自動的に変更する(ステップB7)。
ここで、図16に示すように、特別移動先地点である店舗aが表示部16の画面の枠外に存在している場合には、ユーザが店舗aあるいは当該店舗aの周辺地点を確認できるように、制御装置11は、店舗aを含む特別移動先領域Aggを表示部16の画面の中央側に引き込むように移動させ、図17に示すように、店舗aおよび当該店舗aの周辺地点を表示部16の画面の枠内に表示する。
【0031】
次に、制御装置11は、移動元領域Asと、表示部16の画面上における位置が変更された特別移動先領域Aggとの間における地図の縮尺を変更して表示部16の画面に表示する(ステップB8)。そして、制御装置11は、移動元領域Asと特別移動先領域Aggとの間の縮尺を変更した地図を表示部16の画面に表示した状態を保持する(ステップB9)。上記のステップB8における表示態様としては、上述の第1の実施形態と同様に、様々な態様を採用することができる。
なお、制御装置11は、車両の現在位置Nから最も近い位置に存在する店舗が画面の枠外に存在しないと判断した場合、即ち、車両の現在位置Nから最も近い位置に存在する店舗が画面の枠内に存在すると判断した場合(ステップB4:NO)には、この制御を終了する。即ち、制御装置11は、表示部16の画面における店舗の表示位置や地図の縮尺率を変更することなく、地図データに基づいて当該店舗をそのまま表示部16の画面に表示する。
【0032】
以上に説明したように本実施形態によれば、所定の地点である店舗をデータベース41に特別移動先地点として記憶しておけば、その店舗あるいは当該店舗の周辺が表示部16の画面の枠外に存在する場合に、その店舗あるいは当該店舗の周辺が自動的に表示部16の画面の枠内に表示されるようになり、しかも、移動元地点である車両の現在位置Nを含む移動元領域Asの地図を保持したまま、その店舗を含む特別移動先領域Aggの地図を同一画面上に表示することができる。従って、車両の現在位置N(移動元地点)と店舗(特別移動先地点)との位置関係を把握できる態様で地図を表示することができる。
【0033】
本実施形態では、ユーザが選択した店舗群に含まれる店舗のうち車両の現在位置Nから最も近い位置に存在する店舗を含む領域を特別移動先領域Aggとして抽出することで、例えば表示部16の画面の枠内から僅かに外れた位置に存在する店舗を画面の枠内に引き込んで表示する。しかも、その店舗と車両の現在位置Nとの位置関係を容易に把握できる態様で地図が表示される。従って、ユーザは、最短の所要時間および最短の走行距離で、行きたい店舗に到達することができる。
【0034】
本実施形態では、制御装置11は、各種店舗を、当該店舗にユーザが実際に立ち寄った回数とともにデータベース41に記憶するようにしてもよい。そして、店舗群一覧表示バー43には、ユーザが実際に立ち寄った回数が多い店舗を含む店舗群ほど上位に並べて表示するようにするとよい。なお、各店舗に立ち寄った回数は、例えば、その店舗が経路案内の目的地Gとして設定された回数、その店舗に車両が所定時間(少なくとも信号待ち時間よりも長い時間)停車した回数、ユーザが操作スイッチ部14やリモコン36などを介して好みの店舗として入力した回数などに基づいて特定することができる。
また、制御装置11は、ユーザが選択した店舗群に含まれる店舗のうち車両の現在位置Nから最も近い位置に存在する店舗を含む領域を特別移動先領域Aggとして抽出するのではなく、例えばユーザが選択した店舗群に含まれる店舗のうち案内経路の進行方向上に存在する店舗を含む領域を特別移動先領域Aggとして抽出するように構成してもよい。
【0035】
また、データベース41に、例えば車両が通行する上で注意が必要となる地点(急カーブ、道幅が狭くなる地点、制限速度が変わる地点、事故多発地点、工事中の地点など)を特別移動先地点として記憶するようにしてもよい。この場合、例えば図18に示すように、制御装置11は、表示部16に表示されている画面の枠外に急カーブCが存在する場合に、当該急カーブCを含む領域を特別移動先領域Aggとして抽出する。そして、図19に示すように、制御装置11は、車両の現在位置Nを含む移動元領域Asを表示部16の画面に表示した状態を維持しつつ、特別移動先領域Aggに含まれる急カーブCが表示部16の画面の枠内に表示されるように表示部16の画面上における当該特別移動先領域Aggの表示位置を自動的に移動させる。そして、制御装置11は、移動元領域Asと、表示部16の画面上における位置が変更された特別移動先領域Aggとの間における地図の縮尺を変更して表示部16の画面に表示する。この場合、制御装置11は、急カーブC部分を視覚的に警告表示(点灯表示や点滅表示)したり、急カーブC部分に警告内容を示すテキストボックスを表示したり、あるいは、車載スピーカ37を用いて聴覚的に警告する構成とするとよい。
【0036】
また、特別移動先地点としては種々の地点を設定することができる。例えば、制御装置11は、図示しない情報センターから通信部19を介して気象情報を取得し、当該気象情報に基づいて気象条件が劣悪な領域(例えば大雨や強風の領域など)を特別移動先領域Aggとして抽出し、車両の現在位置Nを含む移動元領域Asを表示部16の画面に表示した状態を維持しつつ、当該特別移動先領域Aggを表示部16の画面の枠内に自動的に移動させるようにしてもよい。この場合も、制御装置11は、車両の現在位置Nを含む移動元領域Asと、気象条件が劣悪な領域を含む特別移動先領域Aggとの間における地図の縮尺を変更して表示部16の画面に表示する。
【0037】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について図20から図23を参照しながら説明する。本実施形態は、地図表示装置10の構成と制御装置11による制御内容が上述の実施形態と異なる。以下、上述の実施形態と異なる点のみを説明する。
本実施形態は、移動元領域Asと移動先領域Agとの間における地図を複数の区画に区分し各区画の縮尺を段階的に変更する表示態様(例えば、図5などに示す表示態様)について、さらに改良を加えた実施形態である。即ち、各区画の縮尺を段階的に変更する表示態様では、図23に示すように、縮尺の異なる複数の区画に跨っている道路(例えば、区画D1〜D5に跨る高速道路R1や案内経路R2など)の道路幅が、縮尺が小さく設定された区画(例えば、区画D4,D5)では狭く表示され、縮尺が大きく設定された区画(例えば、区画D1,D2)では広く表示される。つまり、同一の道路であっても、その道路幅が区画ごとに異なって表示されてしまい、道路の構成(道路の形状や道路幅など)が認識し難くなる場合がある。また、縮尺が大きく設定された区画に存在する道路(例えば、区画D1に存在する本来は道路幅の狭い細街路r1など)の道路幅が、縮尺が小さく設定された区画に存在する道路(例えば、区画D5に存在する本来は道路幅の広い高速道路R1、案内経路R2、国道R3,R4など)の道路幅よりも広く表示されたり、一方、縮尺が小さく設定された区画に存在する道路(例えば、区画D2〜D5に跨る本来は道路幅の広い高速道路R1、案内経路R2、国道R3,R4など)の道路幅が、縮尺が大きく設定された区画に存在する道路(例えば、区画D1に存在する本来は道路幅の狭い細街路r1など)の道路幅よりも狭く表示されてしまう場合がある。このような場合、表示される道路幅に基づいてその道路の種類を区別することが困難となる。
【0038】
そこで、本実施形態では、図20に示すように、地図表示装置10は、制御装置11のCPUにおいて制御プログラムを実行することにより、さらに、主要道路抽出部51、道路幅変更部52をソフトウェアによって仮想的に実現する。
主要道路抽出部51は、地図データから主要道路の道路データを抽出する。道路幅変更部52は、主要道路抽出部51が抽出した主要道路(道路データ)の道路幅を、縮尺変更部23が段階的に変更した縮尺のうち最も大きい縮尺における当該主要道路の道路幅に合わせて変更する。地図表示装置10の制御装置11は、上述の移動元領域抽出部20、移動先領域抽出部21、移動先領域位置変更部22、縮尺変更部23、および、これら主要道路抽出部51、道路幅変更部52によって、後述する制御を実行可能に構成されている。
【0039】
次に、本実施形態において制御装置11が実行する制御内容について説明する。図21は、地図表示装置10の制御装置11が実行する制御内容の一部を示すフローチャートである。
即ち、制御装置11は、移動元領域Asと移動先領域Ag(表示部16の画面上における位置が変更された移動先領域Ag)との間における地図を複数の区画に区分し、各区分の縮尺を段階的に変更すると(図2に示すステップA7参照)、地図データ記憶部35に記憶されている地図データから主要道路の道路データを抽出する(ステップC1)。なお、制御装置11は、この場合、地図データに含まれる国道の道路データ、高速道路の道路データを主要道路の道路データとして抽出する。また、制御装置11は、経路案内の実行中においては、その案内経路の道路データも主要道路の道路データとして抽出する。また、制御装置11は、地図データ記憶部35に記憶されている全ての主要道路の道路データを抽出するようにしてもよいし、表示部16の画面に表示されている領域および当該領域の周辺に存在する主要道路の道路データを抽出するようにしてもよい。
【0040】
次に、制御装置11は、抽出した主要道路(抽出した道路データに対応する道路)が表示部16の画面の枠内に存在するか否かを判断する(ステップC2)。制御装置11は、抽出した主要道路が表示部16の画面の枠内に存在すると判断すると(ステップC2:YES)、複数に区分した区画のうち、主要道路が存在する区画であって、且つ、縮尺を最も大きく設定した区画を特定する(ステップC3)。そして、制御装置11は、その特定した区画以外の区画に存在する主要道路の道路幅を、特定した区画に存在する主要道路の道路幅に合わせて変更して表示する(ステップC4)。即ち、図22に示すように、制御装置11は、主要道路が存在する複数の区画(例えば、高速道路R1が跨る区画D1〜D5)の全てにおいて、その主要道路R1の道路幅を、縮尺が最も大きい区画(この場合、区画D1)における道路幅に統一して表示する。そして、制御装置11は、その表示した状態を、所定の条件に応じて保持する(図2に示すステップA8参照)。なお、制御装置11は、抽出した主要道路が表示部16の画面の枠内に存在しないと判断すると(ステップC2:NO)、ステップC3,C4の処理を実行することなくステップA8に移行する。
【0041】
以上に説明したように本実施形態によれば、移動元領域Asと移動先領域Agとの間における地図を複数の区画に区分し各区画の縮尺を段階的に変更して表示する表示態様において、主要道路が存在する複数の区画の全てにおいて、その主要道路の道路幅が、段階的に異なることなく統一して表示される。これにより、道路の構成(道路の形状や道路幅など)を認識し易くできる。また、主要道路として抽出される道路(例えば、図22に示す高速道路R1、案内経路R2、国道R3,R4など)は、その道路幅が最も縮尺が大きい区画における道路幅に変更されて表示され、主要道路として抽出されない道路(例えば、図22に示す細街路r1など)は、その道路幅が変更されることなく表示されることから、道路の種類を区別し易くできる。
【0042】
なお、ステップC1において制御装置11が抽出する主要道路は、上述した高速道路、案内経路、国道に限られるものではなく、例えば、道路幅が所定値以上の道路、地図表示装置10が搭載された車両が走行する頻度の高い道路、ユーザが登録した道路など、種々の道路を主要道路として設定することができる。また、制御装置11が抽出する主要道路を、予め制御プログラムに設定しておいてもよいし、ユーザが操作スイッチ部14やリモコン36を介して設定するようにしてもよい。また、主要道路の道路データを記憶する主要道路データベースを設け、制御装置11は当該主要道路データベースから主要道路の道路データを抽出するように構成してもよい。この主要道路データベースには、高速道路や国道などの道路データを予め記憶しておくとともに、案内経路として設定された道路やユーザが登録した道路などの道路データを適宜追加して記憶するようにするとよい。
【0043】
最も大きい縮尺とは、100%のみを意味するものではなく、複数の区画のうち最も大きく設定された縮尺が例えば90%であれば、主要道路の道路幅も、その縮尺(90%)に合わせて変更され、最も大きく設定された縮尺が例えば120%であれば、主要道路の道路幅も、その縮尺(120%)に合わせて変更される。
本実施形態は、上述の第2の実施形態に適用することも可能である。即ち、図15に示すステップB8の処理に続いて、本実施形態の処理を実行すればよい。
【0044】
(その他の実施形態)
本発明は、上述した各実施形態にのみ限定されるものではなく、例えば次のように変形または拡張することができる。
制御装置11は、移動元領域Asと移動先領域Agとの間の縮尺を変更した地図を表示部16の画面に表示した状態を所定の条件に応じて保持するのではなく、例えばタッチパネルスイッチからの操作信号の入力が検知されなくなったことを条件として、元の表示態様に戻すセルフセンタリング機能を有するように構成してもよい。
【0045】
制御装置11は、タッチパネルスイッチから入力される信号に基づいて、ユーザが画面上で移動させる指の移動量や移動速度を特定し、特定した移動量および移動速度に応じて地図の縮尺を変更するようにしてもよい。この場合、制御装置11は、例えば、ユーザの指の移動量および移動速度が大きいほど、移動元領域Asと移動先領域Agとの間における地図の縮尺を小さく設定し、ユーザの指の移動量および移動速度が小さいほど、移動元領域Asと移動先領域Agとの間における地図の縮尺を大きく設定することができる。
【0046】
移動先領域Agおよび特別移動先領域Aggは、表示部16に表示された画面の中央部方向への移動(引き込み)のほか、表示部16に表示された画面上の縦方向、横方向、斜め方向を含む全方向への移動(引き込み)が可能である。
タッチパネルスイッチは、例えば抵抗膜を備えた感圧式のタッチパネルスイッチで構成してもよい。この場合、ユーザによるタッチパネルスイッチの操作圧力(押圧力)に応じて地図の縮尺を変更することが可能である。
リモコン36の操作子の操作量や押し込み量に応じて地図の縮尺を変更するようにしてもよい。この場合、例えば、操作子の操作量や押し込み量が大きいほど地図の縮尺を小さく設定したり、操作子の操作量や押し込み量が小さいほど地図の縮尺を大きく設定することが可能である。
【0047】
例えば操作スイッチ部14に、切替スイッチを設け、当該切替スイッチの操作に応じて、上述した各実施形態に係る何れかの表示態様と、地図をスクロールすることで移動先地点を表示部の画面の枠内に表示する従来の表示態様とを切り替える構成としてもよい。
また、通常では従来の表示態様で地図を表示し、タッチパネルスイッチが所定の操作内容で操作された場合や、リモコン36の操作子が所定の操作内容で操作された場合に、自動的に上述の各実施形態に係る表示態様に切り替える構成としてもよい。なお、表示態様を切り替える条件となる所定の操作内容としては、例えば、ユーザが静電容量式のタッチパネルスイッチに所定時間以上接触した場合、ユーザが感圧式のタッチパネルスイッチに所定の押圧力で接触した場合、ユーザがリモコン36の操作子を所定の押圧力で押し込み操作した場合などを設定することができる。
本発明は、上述したカーナビゲーションシステムに備えられる地図表示装置10のみならず、例えば携帯電話、携帯端末、デスクトップ端末など、地図データに基づいて画面に地図を表示する地図表示装置全般に適用可能である。
【符号の説明】
【0048】
図面中、10は地図表示装置、16は表示部、20は移動元領域抽出部(移動元領域抽出手段)、21は移動先領域抽出部(移動先領域抽出手段)、22は移動先領域位置変更部(移動先領域位置変更手段)、23は縮尺変更部(縮尺変更手段)、41はデータベース(特別移動先地点記憶手段)、42は特別移動先領域抽出部(特別移動先領域抽出手段)、51は主要道路抽出部(主要道路抽出手段)、52は道路幅変更部(道路幅変更手段)を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データに基づいて画面に地図を表示する表示部と、
前記表示部の前記画面に表示された前記地図において、移動元地点を含む領域を移動元領域として抽出する移動元領域抽出手段と、
前記表示部の前記画面に表示された前記地図において、移動先地点を含む領域を移動先領域として抽出する移動先領域抽出手段と、
前記移動元領域抽出手段によって抽出された前記移動元領域を前記表示部の前記画面に表示した状態を維持しつつ、前記移動先領域抽出手段によって抽出された前記移動先領域の前記表示部の前記画面上における位置を変更する移動先領域位置変更手段と、
前記移動元領域抽出手段によって抽出された前記移動元領域と、前記移動先領域位置変更手段によって前記表示部の前記画面における位置が変更された前記移動先領域との間における前記地図の縮尺を変更して前記表示部の前記画面に表示する縮尺変更手段と、
を備えたことを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
前記地図データに基づいて表示される前記地図における所定の地点を特別移動先地点として記憶する特別移動先地点記憶手段と、
前記特別移動先地点記憶手段に記憶されている前記特別移動先地点が前記表示部の前記画面の枠外に存在する場合に、当該特別移動先地点を含む領域を特別移動先領域として抽出する特別移動先領域抽出手段と、
をさらに備え、
前記移動先領域位置変更手段は、前記移動元領域抽出手段によって抽出された前記移動元領域を前記表示部の前記画面に表示した状態を維持しつつ、前記特別移動先領域抽出手段によって抽出された前記特別移動先領域に含まれる前記特別移動先地点が前記表示部の前記画面の枠内に表示されるように前記表示部の前記画面上における当該特別移動先領域の位置を自動的に変更し、
前記縮尺変更手段は、前記移動元領域抽出手段によって抽出された前記移動元領域と、前記移動先領域位置変更手段によって前記表示部の前記画面における位置が自動的に変更された前記特別移動先領域との間における前記地図の縮尺を変更して前記表示部に表示することを特徴とする請求項1記載の地図表示装置。
【請求項3】
前記縮尺変更手段は、前記地図の縮尺を段階的に変更するように構成され、
前記地図データから主要道路を抽出する主要道路抽出手段と、
前記主要道路抽出手段が抽出した前記主要道路の道路幅を、前記縮尺変更手段が段階的に変更した縮尺のうち最も大きい縮尺における当該主要道路の道路幅に合わせて変更する道路幅変更手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の地図表示装置。
【請求項1】
地図データに基づいて画面に地図を表示する表示部と、
前記表示部の前記画面に表示された前記地図において、移動元地点を含む領域を移動元領域として抽出する移動元領域抽出手段と、
前記表示部の前記画面に表示された前記地図において、移動先地点を含む領域を移動先領域として抽出する移動先領域抽出手段と、
前記移動元領域抽出手段によって抽出された前記移動元領域を前記表示部の前記画面に表示した状態を維持しつつ、前記移動先領域抽出手段によって抽出された前記移動先領域の前記表示部の前記画面上における位置を変更する移動先領域位置変更手段と、
前記移動元領域抽出手段によって抽出された前記移動元領域と、前記移動先領域位置変更手段によって前記表示部の前記画面における位置が変更された前記移動先領域との間における前記地図の縮尺を変更して前記表示部の前記画面に表示する縮尺変更手段と、
を備えたことを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
前記地図データに基づいて表示される前記地図における所定の地点を特別移動先地点として記憶する特別移動先地点記憶手段と、
前記特別移動先地点記憶手段に記憶されている前記特別移動先地点が前記表示部の前記画面の枠外に存在する場合に、当該特別移動先地点を含む領域を特別移動先領域として抽出する特別移動先領域抽出手段と、
をさらに備え、
前記移動先領域位置変更手段は、前記移動元領域抽出手段によって抽出された前記移動元領域を前記表示部の前記画面に表示した状態を維持しつつ、前記特別移動先領域抽出手段によって抽出された前記特別移動先領域に含まれる前記特別移動先地点が前記表示部の前記画面の枠内に表示されるように前記表示部の前記画面上における当該特別移動先領域の位置を自動的に変更し、
前記縮尺変更手段は、前記移動元領域抽出手段によって抽出された前記移動元領域と、前記移動先領域位置変更手段によって前記表示部の前記画面における位置が自動的に変更された前記特別移動先領域との間における前記地図の縮尺を変更して前記表示部に表示することを特徴とする請求項1記載の地図表示装置。
【請求項3】
前記縮尺変更手段は、前記地図の縮尺を段階的に変更するように構成され、
前記地図データから主要道路を抽出する主要道路抽出手段と、
前記主要道路抽出手段が抽出した前記主要道路の道路幅を、前記縮尺変更手段が段階的に変更した縮尺のうち最も大きい縮尺における当該主要道路の道路幅に合わせて変更する道路幅変更手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の地図表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2011−227434(P2011−227434A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−155747(P2010−155747)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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