説明

地磁気センサの補正方法および携帯情報端末

【課題】 例えば、インジケータ等を用いて、ユーザに対して携帯情報端末の回転操作の指示を行い、ユーザが補正の要旨を意識することなくその手中にて回転させることにより、内蔵された地磁気センサのオフセットを補正するためのキャリブレーションの操作を簡便にすることができる地磁気センサの補正方法および携帯情報端末を提供する。
【解決手段】 携帯電話機の筐体2に設けられた視線誘導用LED(Light Emitting Diode)51c、51d、51eは一定の規則の下に順繰りに点灯する。ユーザは点灯するLEDがLED51cから51dに変わると視線をLED51dに捕捉され、点灯するLEDがLED51dから51eに変わると、視線を視線誘導用LED51eに誘導される。ユーザは、視点からLED51cへの距離、角度と、視点からLED51dへの距離、角度と維持するように携帯電話機を回転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地磁気センサのオフセットを補正する地磁気センサの補正方法およびそれを用いた携帯情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地磁気を検出する地磁気センサを備え、この地磁気センサによって検出された地磁気に基づいて方位測定を行う携帯電話機等の携帯情報端末が知られている。測定された方位は、例えば地図の表示に利用される。一例として挙げると、位置検出を行うGPS(Global Positioning System)システムによって得た現在位置情報に基づいた地図を、携帯電話機の向き(方位)に合わせて表示する機能を有する携帯電話機が登場している。
【0003】
ところで、従来の地磁気センサは、スピーカ等や電子部品とともに携帯電話機内部に搭載される。かかるスピーカ等から漏れる磁場や、強い外部磁場により、電子部品のパッケージ等の金属が着磁され、これから漏れる磁場が存在するため、地磁気センサはこれらの携帯電話機に内部に存在する磁場をも検出してしまう。
【0004】
例えば、感度方向として水平面内の二軸(X軸、Y軸方向)をもつ地磁気センサを搭載した携帯電話機を一定の磁場の下、水平に保ったままゆっくりと等速度にて1周以上回転させる。このときの出力が描く円を方位円という。このような方位円は、理想的にはX軸、Y軸の交差する原点を中心とし、所定の半径を有するものとなる。しかし、上述した携帯電話機内部に存在する磁場があると、かかる方位円の中心は原点からシフトする。このシフトをオフセットという。このようなオフセットがあると、地磁気センサの測定値に基づいてオフセットがないことを前提として算出した方位は、実際の方位と異なってしまう。そのため地磁気センサの測定値から該オフセットを補正する必要がある。しかし、携帯電話機内部に存在する磁場は、温度変化や経時変化によって強度や方向が変化し、上述したオフセットが変化するため、従来の地磁気センサを内部に搭載した携帯電話機においては、使用前に地磁気センサのオフセットの出力の補正を行う必要がある。出力の補正にあたっては、携帯電話機を1周以上回転させつつその間磁気センサの測定を行うキャリブレーションに基づいて出力の補正をすることができる。この間における、X軸、Y軸方向のそれぞれの地磁気センサの検出値の最大値から最小値を減算して2で割った値をそれぞれの地磁気センサの感度情報とし、最大値と最小値とを加算して2で割った値をオフセット情報として、X軸、Y軸方向の地磁気センサの検出結果から該オフセットを除去することにより、地磁気センサの測定値を補正して、前述した方位測定に使用する測定値を得ている。
【0005】
しかしながら、上述した従来の地磁気センサの補正方法においては、地磁気センサの検出値の最大値、最小値を求めるため、携帯電話機を平面上において1周以上回転させる必要がある。そのため、携帯電話機の回転速度が速すぎると、真の最大値、最小値を検出できなくなる場合が発生し、逆に遅すぎると、読み取りデータ数が膨大になり、メモリがオーバフローする等、回転速度が一定の範囲から外れた場合に、補正の精度が劣化したり、補正ができなくなってしまう。
【0006】
こうしたことに対応して、例えば、特許文献1には、3軸(X軸、Y軸、Z軸方向)の磁気センサを用いて、該磁気センサのX軸およびY軸方向についてのキャリブレーンョン動作中にZ軸周りの回転角を測定し、該回転角が90°から180°の間に分布したり、90°と180°との間を往復するような動作が起きた場合、該磁気センサによる測定を実行し、該測定値により補正されたオフセット計測値によって該磁気センサの測定値を補正する方位角計測装置が記載されている。該方位角計測装置は、上述したキャリブレーション動作の開始のときに自分が向いている方向を上にして(ヘディングアップ)地図情報を画面に表示し、表示された地図情報が実際の現地の状況と一致していない場合、該地図情報が実際の現地の状況と一致するまで、ユーザに上述した回転を行わせることによりキャリブレーションを数回行う。ここで、ユーザは該地図情報が実際の現地の状況と一致したことをもってキャリブレーションを停止する。
【0007】
しかし、該公報に係る発明は、上述したように、ユーザが該方位角計測装置を水平面上に表示される地図情報をガイドとして水平面上において回転させる場合においては、該方位角計測装置を90°もしくは180°回転させることは容易であるが、水平面以外の面上において回転させる場合、地図情報といった回転のガイドがなく、該方位角計測装置を90°もしくは180°回転させることが困難であるため、前述した問題を解決することはできない。
【0008】
また、特許文献2には、地磁気方位センサを内蔵する携帯端末が取り付けられるホルダを有し、該ホルダに取り付けられた携帯端末の蓄電池を充電できるようにしつつ、該ホルダを360°水平に回転できるように構成した携帯端末用充電器が記載されている。
しかし、該公報に係る発明によると、強い外部磁場のかかる場所等、配置場所によっては常にオフセットがかかった状態となる恐れがある。また、携帯端末の出力の補正を行おうという積極的な意思がユーザにないと、携帯端末がホルダに装着されないか、ホルダに装着されても回転されず、地磁気方位センサの出力の補正が行われないため、前述した問題を解決することはできない。
【特許文献1】特開2004−12416号公報
【特許文献2】特開2003−269965号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上のように、フリーハンドにて保持することを前提としている携帯情報端末のキャリブレーションのための動作において、ユーザが、所定の角度にて携帯情報端末を動かすことは困難であり、また、その動作を行うこと自体がユーザに対し負担を強いるという問題があった。
【0010】
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、その目的は、例えば、インジケータ等を用いて、ユーザに対して携帯情報端末の回転操作の指示を行い、ユーザが補正の要旨を意識することなくその手中にて回転させることにより、内蔵された地磁気センサのオフセットを補正するためのキャリブレーションの操作を簡便にすることができる地磁気センサの補正方法および携帯情報端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、この発明では、以下の手段を提案している。
請求項1に係る発明は、感磁方向を二軸以上有する地磁気センサと前記地磁気センサの着磁によるオフセットを補正する補正手段を備えた方位データ演算部とを搭載した携帯情報端末であって、前記補正手段によるオフセットの補正の処理と並行して筐体の面上の第1の位置に第1の視線誘導表示を表示することによってユーザの視線を捕捉する視線捕捉手段と、前記視線捕捉手段が前記第1の視線誘導表示を表示してから前記筐体の面上の第2の位置に第2の視線誘導表示を表示することによって前記視線捕捉手段によってユーザに捕捉された視線を前記第2の位置に誘導する視線誘導手段とを前記筐体の2つ以上の面に備えたことを特徴とする。
この発明によれば、オフセットの補正の処理と並行して筐体の2つ以上の面に備えられた視線捕捉手段によってユーザの視線が携帯情報端末の筐体の面上の第1の位置にて捕捉され、視線誘導手段によって第1の位置にて捕捉されたユーザの視線が視線誘導手段によって第2の位置に誘導され、ユーザは視線を第2の位置に誘導される過程において、第1の位置におけるものの見え方(例えば、第1の位置とユーザの眼との距離や視線と筐体上の面とがなす角度)を維持しようと携帯情報端末を動かす。従って、第1の位置と第2の位置が同一面上になくても、ユーザの視線を誘導することができ、ユーザは視線を第1の位置から第2の位置に誘導されることにより、オフセットの補正の処理において必須である携帯情報端末に付与する所定の回転を、意識せずに与えることが可能となる。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1に記載の携帯情報端末であって、前記第1の視線誘導表示または第2の視線誘導表示がユーザの視線を誘導する光によりなされ、前記視線捕捉手段および前記視線誘導手段が点または図形状に前記光を発する発光手段を複数備えたことを特徴とする。
この発明によれば、視線捕捉手段および視線誘導手段が、例えば、複数のLED(Light Emitting Diode)といった、点または図形状に光を発する発光手段によって構成され、携帯情報端末の筐体の面上にて一列に並んだLEDが順番に点灯して視線を捕捉し、誘導する。従って、発光する光の色や発光するポイントの形状を、筐体の色や形状との対比を考慮して決定することにより視線捕捉手段および視線誘導手段を、ユーザが視線を止め、目で追いたくなる程度に非常に目立つものとすることが可能となる。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1に記載の携帯情報端末であって、前記第1の視線誘導表示または第2の視線誘導表示がユーザの視線を誘導する画像と文字のうちの少なくとも1つによりなされ、前記視線捕捉手段および前記視線誘導手段が前記画像と文字とのうちの少なくとも1つを任意の位置に表示する表示手段であることを特徴とする。
この発明によれば、筐体の面上に、表示手段として、例えば、フルドットの液晶表示器のように、任意の位置に任意の画像または文字を表示することができる表示器を設けて、該表示器上にて、キャリブレーションの動作の指示をするときのみ画像または文字を所定時間毎に移動して表示させて、視線捕捉手段および視線誘導手段として使用することができる。そのため、LEDのように、視線捕捉手段および視線誘導手段によって筐体の面上において取り付け場所が占有されることがなく、また、表示される画像または文字を工夫することにより、視線捕捉手段および視線誘導手段を非常に目立つものにしたり、キャラクタ的な画像を表示することによって、遊びの要素を持たせることが可能となる。
また、表示手段として有機EL(Organic ElectroLuminescence)素子を用いた表示器を用いることにより、筐体の平面だけでなく、連続する面や局面を含む全面において視線捕捉手段および視線誘導手段として図形または文字を表示することが可能となる。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれかの項目に記載の携帯情報端末であって、筐体の一辺に沿う第1の軸と前記第1の軸に直交する第2の軸と前記第1の軸および前記第2の軸に直交する第3の軸との交点を原点とする球およびその表面に所定の回転指示軌跡を想定し、前記球の原点に前記地磁気センサの設置箇所を一致させるようにして配置したとき、前記回転指示軌跡上の点と前記原点とを結んだ直線が前記筐体表面と交わる交点に投影される軌跡上に前記視線誘導表示が表示されることを特徴とする。
この発明によれば、携帯情報端末の一辺を1つの軸として、それと直交する二軸とからなる座標系において、上述した3軸の交点を原点とする球の上に設定されている回転指示軌跡上の点が携帯情報端末内の地磁気センサの取り付け位置を上述した原点と一致させて配置した携帯情報端末の筐体表面上に投影される位置に、視線誘導表示が表示されることになる。従って、上述した回転指示軌跡上の点の方位と、視線誘導表示の表示位置の方位とを等しくすることが可能となる。
【0015】
請求項5の発明は、感磁方向を二軸以上有する地磁気センサと、筐体の面上の第1の位置に第1の視線誘導表示を表示することによってユーザの視線を捕捉する視線捕捉手段と、前記地磁気センサの着磁によるオフセットを補正するキャリブレーション手段とを搭載し、且つ、前記視線捕捉手段が前記第1の視線誘導表示を表示してから前記筐体の面上の第2の位置に第2の視線誘導表示を表示することによって前記視線捕捉手段によってユーザに捕捉された視線を前記第2の位置に誘導する視線誘導手段を前記筐体の2つ以上の面に搭載した携帯情報端末における地磁気センサの補正方法であって、前記視線捕捉手段によって前記第1の位置にてユーザの視線を捕捉する視線捕捉ステップと、所定時間経過後にユーザに捕捉された視線を前記視線誘導手段によって前記第2の位置に誘導し、前記第1の位置から前記第2の位置へ向かう方向と逆方向へ前記筐体を回転させる視線誘導ステップと、前記視線捕捉ステップおよび前記視線誘導ステップと並行して前記地磁気センサの補正のための測定を行うステップとを備えたことを特徴とする。
この発明によれば、オフセットの補正の処理と並行して筐体の2つ以上の面に備えられた視線捕捉手段によってユーザの視線が携帯情報端末の筐体の面上の第1の位置にて捕捉され、視線誘導手段によって第1の位置にて捕捉されたユーザの視線が視線誘導手段によって第2の位置に誘導され、ユーザは視線を第2の位置に誘導されると、第1の位置におけるものの見え方(例えば、第1の位置とユーザの眼との距離や視線と筐体上の面とがなす角度)を変化させないように携帯情報端末を動かす。従って、第1の位置と第2の位置が同一面上になくても、ユーザの視線を誘導することができ、ユーザは視線を第1の位置から第2の位置に誘導されることにより、オフセットの補正の処理において必須である携帯情報端末の所定の運動を、意識せずに行うことが可能となる。
【0016】
請求項6の発明は、感磁方向を二軸以上有する地磁気センサと、第1の記憶手段と、第2の記憶手段と、筐体の面上の第1の位置に第1の視線誘導表示を表示することによってユーザの視線を捕捉する視線捕捉手段と、前記地磁気センサの着磁によるオフセットを補正するキャリブレーション手段とを搭載し、且つ、前記視線捕捉手段が前記第1の視線誘導表示を表示してから前記筐体の面上の第2の位置に第2の視線誘導表示を表示することによって前記視線捕捉手段によってユーザに捕捉された視線を前記第2の位置に誘導する視線誘導手段を前記筐体の2つ以上の面に搭載した携帯情報端末における地磁気センサの補正方法であって、前記視線捕捉手段によって前記第1の位置にてユーザの視線を捕捉する視線捕捉ステップと、所定時間経過後にユーザに捕捉された視線を前記視線誘導手段によって前記第2の位置に誘導し、前記第1の位置から前記第2の位置へ向かう方向と逆方向へ前記筐体を回転させる視線誘導ステップと、前記視線捕捉ステップおよび前記視線誘導ステップと並行して前記地磁気センサの測定データを読み出し、該測定データが適正であるか否かを判断し、該測定データが適正であると判断した場合、該測定データを前記第2の記憶手段に格納するステップと、前記測定データを前記第2の記憶手段に所定数格納した場合、前記第2の記憶手段から該測定データを読み出し、該測定データに含まれる前記オフセットを推定し、前記オフセットの有効性を判断し、前記オフセットを有効と判断した場合、該オフセットを前記第1の記憶手段に格納するステップと、前記測定データから前記第1の記憶手段に格納されたオフセットを除去するステップとを備えたことを特徴とする。
この発明によれば、筐体の2つ以上の面に備えられた視線捕捉手段および視線誘導手段によってユーザに意識させずに携帯情報端末に回転を与えるように仕向けるステップと並行して行われる、地磁気センサのデータ採取の処理において、測定データが適正であった場合のみ、該データを第2の記憶手段に記憶し、該測定データからオフセットを推定し、該オフセット計測値を有効と判断した場合のみ、第1の記憶手段に記憶されているオフセット計測値を更新する。したがって、適正なオフセットが得られた場合のみオフセットが更新されるようにすることが可能となる。
【0017】
請求項7の発明は、請求項5または請求項6のいずれかの項目に記載の地磁気センサの補正方法であって、前記携帯情報端末の筐体の一辺に沿う第1の軸と前記第1の軸に直交する第2の軸と前記第1の軸および前記第2の軸に直交する第3の軸との交点を原点とする球およびその表面に所定の回転指示軌跡を想定し、前記球の原点に前記地磁気センサの設置箇所を一致させるようにして前記携帯情報端末を配置したとき、前記視線誘導手段によって、前記回転指示軌跡上の任意の点と前記原点とを結んだ直線が前記筐体表面と交わる交点に前期第1および第2の視線誘導表示が表示され、前記直線と所定角度をなす前記回転指示軌跡上の任意の点と前記原点とを結んだ直線が前記筐体表面と交わる交点付近に第3の視線誘導表示を表示することを特徴とする。
この発明によれば、携帯情報端末の一辺を1つの軸として、それと直交する二軸とからなる座標系において、上述した3軸の交点を原点とする球の上に設定されている回転指示軌跡上の点が携帯情報端末内の地磁気センサの取り付け位置を上述した原点と一致させて配置した携帯情報端末の筐体表面上に投影される位置に、第3の視線誘導表示が表示されることになる。従って、上述した回転指示軌跡上の点の方位と、第3の視線誘導表示の表示位置の方位とを等しくすることが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、視線捕捉手段および視線誘導手段によって、ユーザがオフセットの補正のためのキャリブレーションの処理において必須である携帯情報端末の所定の動作を意識せずに行うことが可能となるので、ユーザに補正のための行為を強制することなく、携帯情報端末に内蔵している地磁気センサのオフセットの補正を行うことができる効果がある。
【0019】
請求項2の発明によれば、視線捕捉手段および視線誘導手段を非常に目立つものとすることが可能となるので、ユーザに対して、確実に携帯情報端末の動作指示を行うことができる効果がある。
【0020】
請求項3の発明によれば、LEDのように、視線捕捉手段および視線誘導手段によって筐体の面上において他の表示器、キー等の配置の取り付け場所が占有されることがなく、また、表示される画像または文字を工夫することにより、視線捕捉手段および視線誘導手段を非常に目立つものにしたり、キャラクタ的な画像を表示することによって、遊びの要素を持たせることが可能となる。また、表示手段として有機EL表示器を用いることにより、筐体の全面において視線捕捉手段および視線誘導手段として図形または文字を表示することが可能となる。従って、筐体の表面積に限りがある携帯情報端末においては好適である。また、キャラクタ的な画像によって、遊びの要素を持たせてユーザの視線を捕捉し、誘導することができる効果がある。また、筐体の全面において視線捕捉手段および視線誘導手段を有することにより、第1の位置と第2の位置とが筐体のどの面の上にあっても、ユーザの視線を捕捉し、誘導することができる効果がある。
【0021】
請求項4の発明によれば、回転指示軌跡上の点の方位と、視線誘導表示の表示位置の方位とを等しくすることが可能となるので、任意の回転の指示を回転指示軌跡として設定し、筐体の面上において該回転指示軌跡上の各点に対応する位置に、視線誘導表示を表示することにより、該回転指示軌跡に従って筐体を回転させる指示を行うことができる効果がある。
【0022】
請求項5の発明によれば、視線捕捉手段および視線誘導手段によって、ユーザがオフセットの補正のためのキャリブレーション処理において必須である携帯情報端末の所定の運動を意識せずに行うことが可能となるので、ユーザに強制することなく、携帯情報端末に内蔵している地磁気センサのオフセットの補正を行うことができる効果がある。
【0023】
請求項6の発明によれば、適正なオフセットが得られた場合のみオフセットを構成するオフセット計測値が更新されるようにすることが可能となるので、ユーザに意識することなく携帯情報端末を回転させる場合のように、精度よく測定データが採取され難い場合においても、適正なオフセットが推定されるまで、オフセットの計測値の更新が行われないようにすることができ、オフセットの信憑性を高めることができる効果がある。
【0024】
請求項7の発明によれば、回転指示軌跡上の点の方位と、第3の視線誘導表示の表示位置の方位とを等しくすることが可能となるので、任意の回転の指示を回転指示軌跡として設定し、筐体の面上において該回転指示軌跡上の各点に対応する位置に第3の視線誘導表示を表示することにより、該回転指示軌跡に従って筐体を回転させる指示を行うことができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照し、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、同実施形態による携帯電話機の構成を示すブロック図であり、図2は同実施形態による携帯電話機の外観図である。図2において携帯電話機は、操作キー類を有する筐体1と、液晶表示部を有する筐体2とから構成される。図2(a)は、携帯電話機の筐体1と筐体2とを開いた状態の斜視図であり、図2(b)は携帯電話機の筐体1と筐体2とを閉じた状態において筐体2を見た正面図であり、図2(c)は同状態において筐体1および筐体2を見た側面図であり、図2(d)は同状態において筐体1を見た裏面図である。尚、図2(a)に示すように、筐体1の短手の辺に沿う第1軸および筐体1の長手の辺に沿う第2軸ならびに筐体1の厚み方向の辺に沿い、鉛直上向きに伸びる第3の軸を想定する。尚、第1軸および第2軸ならびに第3軸は互いに直交する。
【0026】
筐体1および筐体2は、各筐体の短辺において連結部を介して連結され、一方の筐体が他方の筐体に対して回動可能なように構成されており、2つの筐体が筐体の厚み方向に沿って重なった状態となるように折り畳むことができる。
【0027】
ここで、携帯電話機の各筐体の各面を以下のように定義する。すなわち、筐体1の操作キー類を有する面を操作面とし、操作面と反対の面を背面とする。また、筐体2の面のうち、液晶表示部18aが設けられている面を主表示面とし、主表示面と反対の面をおもて面とする。
【0028】
また、この携帯端末は、GPSによる測位機能を有すると共に、CDMA(Code Division Multiple Access:符号分割多元接続)方式の通信機能を有している。
【0029】
図1において、携帯電話機は、RF(Radio Frequency)アンテナ8と、主制御部10(制御手段)と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)14と、液晶表示部18aと、主操作部20と、変復調部22と、CDMA部23と、RF部24と、報知手段25と、時計部26と、マイク27と、着信用スピーカ28と、音声処理部29と、地磁気センサモジュール30と、視線誘導用LED駆動部50(視線捕捉手段)(視線誘導手段)と、GPS受信部71と、GPSアンテナ72と、バスライン90とから構成される。
【0030】
アンテナ8は図示しない無線基地局と電波の送受信を行う。RF部24は信号の送受信に係る処理を行う。このRF部24は局部発振器等を備え、受信時にアンテナ8から出力された受信信号に対して予め定められた周波数の局部発信信号を混合することにより、受信信号を中間周波数(IF)の受信IF信号に変換し、変復調部22へ出力する。また、RF部24は送信時に送信信号をアンテナ8へ出力する。
【0031】
変復調部22は、受信された信号の復調処理、および送信される信号の変調処理を行う。この変復調部は、RF部24から出力された受信IF信号を予め定められた周波数のベースバンド信号に変換すると共に、このベースバンド信号をデジタル信号に変換し、CDMA部23へ出力する。また、変復調部22は、CDMA部23から出力された送信用のデジタルのベースバンド信号をアナログ信号に変換してRF部24へ出力する。
【0032】
CDMA部23は、送信される信号の符号化処理、および受信された信号の復号化処理を行う。このCDMA部23は、変復調部22から出力されたベースバンド信号を復号化する。また、CDMA部23は、送信用の信号を符号化してベースバンド信号に変換し、変復調部22へ出力する。
【0033】
音声処理部29は、通話時の音声に係る処理を行う。この音声処理部は、通話時にマイク27から出力されたアナログの音声信号をデジタル信号に変換し、送信用の信号としてCDMA部23へ出力する。また、音声処理部は、通話時にCDMA部23によって復号化された音声データを示す信号に基づいて、着信用スピーカ28を駆動するためのアナログの駆動信号を生成し、着信用スピーカ28へ出力する。マイク27は、ユーザによって入力された音声に基づいた音声信号を生成し、音声処理部29へ出力する。着信用スピーカ28は、音声処理部から出力された信号に基づいて、通話相手の音声を発生する。
【0034】
GPSアンテナ72は、GPS衛星から送信された電波を受信し、この電波に基づいた受信信号をGPS受信部71へ出力する。GPS受信部71はこの受信信号を復調し、受信信号に基づいて、GPS衛星の正確な時刻情報や電波の伝播時間等の情報を取得する。GPS受信部は取得した情報に基づいて、3以上のGPS衛星までの距離を算出し、三角測量の原理により、3次元空間上の位置(緯度・経度・高度等)を算出する。
【0035】
主制御部10は携帯電話機内部の各部を制御する。この主制御部10は、RF部24、変復調部22、CDMA部23、音声処理部29、GPS受信部71、地磁気センサモジュール30、ROM12、およびRAM14とバスライン90を介して制御信号あるいはデータの入出力を行う。
【0036】
ROM12は、主制御部10が実行する各種のプログラムを記憶する。ここに、実使用時において、オフセットの補正が必要であるか否かの基準となるオフセット基準データを記憶する。オフセット基準データとは、出荷検査時に測定された地磁気センサモジュール30に測定された出力の方位円の半径をさすものとする。
【0037】
また、ROM12は、図10に示す、キャリブレーション動作にて用いる発光パターン、測定パターンを記憶する。尚、発光パターン、測定パターンは、例えば、図10に示すような一定の規則にしたがって時間間隔を規定するタイミングチャートであり、後述するように、測定を開始する前に該測定パターンを読み出して、該発光パターン、測定パターンが規定する時間間隔にて時間管理を行って測定を行う。
【0038】
RAM14は、主制御部10によって処理されるデータ等を一時的に記憶する。また、RAM14は、オフセット値格納領域14a(第1の記憶手段)およびデータ格納領域14b(第2の記憶手段)を有しており、後述するように、地磁気センサモジュール30のオフセット計測値および測定データをも記憶する。
【0039】
報知手段25は、例えば報知用スピーカ41、バイブレータ42、または報知用LED43等を備え、着信やメール受信等を、音、振動、または光等によってユーザに報知する。時計部26は計時機能を有し、年、月、日、曜日、時刻等の計時情報を生成する。尚、報知用スピーカ41は図2(d)に示すように、筐体1の外表面に設けられ、報知用LED43は図2(b)に示すように、筐体2の外表面に設けられる。主操作部20は、図2(a)に示すように、電話を受けるときに使用する開始キー3、電話を終了するとき、または電源のオン/オフに使用する終了キー4と、数値キー及びコードキーからなるテンキー5と、およびリダイアルキー7と、カーソル操作用のカーソルキー9と、漢字・数字等の変換用の変換キー11等を備え、ユーザによる操作結果を示す信号を主制御部10へ出力する。
【0040】
液晶表示部18aは、電子メールを送信する際に作成された文章の文字情報、各種メニューの内容等を含む各種データ、さらにはその詳細な内容等が表示されるようになっている。液晶表示部18aは筐体2の内表面に設けられる。
【0041】
地磁気センサモジュール30は、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸の各々の軸方向(感磁方向)の地磁気(磁界)を検出するGMR(Giant Magnetoresistive)素子からなる磁気センサ31〜33と、磁気センサ31〜33による検出結果を処理(A/D変換)する磁気センサ制御部34とを備えている。尚、地磁気センサモジュール30は、磁気センサ31〜33の感磁方向が、前述した第1軸および第2軸ならびに第3軸とそれぞれ平行になるように、図2に示すように、筐体1内の中央部に取り付けらている。これにより、第1軸および第2軸ならびに第3軸は、それぞれ、地磁気センサモジュール30の感磁方向の軸であるX軸およびY軸ならびにZ軸と同じになる。
【0042】
視線誘導用LED駆動部50は、図2に示すように筐体1の表面に設けられた視線誘導用LED51a、51f、51g、51l〜51qと、筐体2の表面に設けられた視線誘導用LED51b〜51e、51h〜51k(以上のLEDは、視線捕捉手段、視線誘導手段、発光手段である)とに接続され、主制御部10の指示に基づいて上記のLEDを駆動する。
【0043】
図3は、同実施形態による主制御部10の方位演算関連の各機能および地磁気センサモジュール30、RAM14とのデータのやり取りを示す機能ブロック図である。図3において主制御部10の方位演算関連の各機能は、地磁気センサモジュール30の測定結果から方位を算出する方位データ演算部10aと、方位データ演算部10aによって算出された方位に基づいて液晶表示部18aに地図等を表示させる方位表示手段10bとから構成される。
【0044】
地磁気センサモジュール30内の磁気センサ制御部34は、装置の電源投入時に磁気センサ31〜33の初期化を行い、磁気センサ31〜33に強磁界が印加された場合に内部の磁性体の磁化の向きが狂ってしまうことを回避する磁気センサ初期化手段35〜37を有している。また、磁気センサ制御部34は、A/D(Analog/Digital)変換回路38と、スキャン範囲設定手段39とをさらに有している。A/D変換回路38は磁気センサ31〜33から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。スキャン範囲設定手段39は、磁気センサ31〜33の出力電圧を量子化してデジタル変換する際の変換単位となる電圧レンジ、量子化単位を磁気センサ31〜33毎に設定する。例えば、0.1mV刻みで磁気センサ31〜33の出力電圧を量子化する設定を行う。
【0045】
方位データ演算部10aは、データ格納判定手段101と、オフセット推定手段102と、有効性判定手段103と、方位演算手段104と、オフセット除去手段105とから構成される。データ格納判定手段101は、キャリブレーション時に、地磁気センサモジュール30の出力に対応したデジタル信号によって示される測定データをRAM14内のデータ格納領域14bに格納すべきかどうかの判定等の、データ格納に関する処理を行う。オフセット推定手段102は、データ格納領域14bに格納された測定データを読み出し、該データに基づいてオフセットを推定する。有効性判定手段103は、オフセット推定手段102によって推定されたオフセットを構成するオフセット計測値の有効性を判定し、有効性が確認されたオフセット計測値をRAM14内のオフセット値格納領域14aに格納する。方位演算手段104は、方位演算時に、測定データに基づいて方位を算出する。オフセット除去手段105は、オフセット値格納領域14aからオフセット計測値を読み出し、測定データから該オフセット計測値を演算により除くことによりオフセットを除去する。
【0046】
次に、携帯電話機の方位データ演算部10aの方位測定方法の原理について、携帯電話機の操作面がほぼ水平な状態にて置かれ、地磁気センサモジュール30に加わる外部磁界が地磁気のみであるとして説明する。ここで、携帯電話機の方位angとは、携帯電話機の筐体1の操作面がほぼ水平である場合において、携帯電話機の操作面手前部(例えば、マイク27)から連結部の中央に向うベクトル、即ちY軸(第2軸)の正方向に向うベクトルの方位のこととする。なお、本明細書において、方位angの基準(0°)は西であり、同方位angは、北、東、及び南の順に回転するにつれて、それぞれ90°、180°および270°となるものとして定義する。
【0047】
ところで、地磁気は南から北に向う磁界である。従って、携帯電話機の筐体1の上面がほぼ水平である場合、地磁気センサモジュール30のX軸(第1軸)方向の磁気センサ31およびY軸(第2軸)方向の磁気センサ32の出力は、図4に示したように、同携帯電話機10の方位angに対して余弦波状、及び正弦波状にそれぞれ変化する。尚、感磁方向がX軸方向の磁気センサ31および感磁方向がY軸方向の磁気センサ32の出力Sx、Syは規格化されているとする。規格化とは、X軸方向の磁気センサ31の実際の出力を、携帯電話機の筐体1の内表面がほぼ水平である状態で360°回転した場合における出力の最大値と最小値の差の半分で除した値を規格化後出力Sxとすることである。また、規格化とは、同様に、Y軸方向の磁気センサ32の実際の出力を、携帯電話機の筐体1の内表面がほぼ水平である状態で360°回転した場合における出力の最大値と最小値の差の半分で除した値を規格化後出力Syとすることである。
【0048】
以上のことから、携帯電話機の方位angは以下の(a)〜(d)に場合分けして求めることができる。
(a)Sx、Syについて、Sx>0、且つ、|Sx|>|Sy|が成立すると、方位ang=tan−1(Sy/Sx)となる。
(b)Sx<0、且つ、|Sx|>|Sy|が成立すると、ang=180°+tan−1(Sy/Sx)となる。
(c)Sy>0、且つ、|Sx|<|Sy|が成立すると、ang= 90°−tan−1(Sx/Sy)となる。
(d)Sy<0、且つ、|Sx|<|Sy|が成立すると、ang=270°−tan−1(Sx/Sy)となる。
但し、上記(a)〜(d)の何れかにより求められた方位angが負の場合は、同方位angに360°を加えた値を方位angとする。また、求められた方位angが360°以上であれば、同方位aから360°を減じた値を方位angとする。
【0049】
しかし、携帯電話機内には、前述したように、着信用スピーカ28に代表されるように多くの永久磁石部品が含まれ、これらの部品から磁場が漏洩している。そのため、携帯電話機内の予め定められた箇所に配置された地磁気センサモジュール30には、これらの永久磁石部品による漏洩磁界(地磁気以外による外部磁界)が加わっている。この結果、X軸方向の磁気センサ31の出力は、漏洩磁界のX軸成分に応じた出力だけシフト(平行移動)し、同様に、Y軸方向の磁気センサ32の出力は、漏洩磁界のY軸成分に応じた出力だけシフトする。このシフトを「オフセット」といい、それぞれのシフトした出力を「オフセット計測値」という。そのため、携帯電話機において正確な方位を測定するためには、上述したオフセット計測値を測定値から差し引くといった、演算により、オフセットを除去して測定値の補正を行う必要がある。
【0050】
しかしながら、漏洩磁界は、前述したように、温度変化や経時変化によって強度や方向が変化するので、それに応じてオフセットも変化する。よって、漏洩磁界のX軸およびY軸成分を測定する、オフセットのキャリブレーションを実施し、地磁気センサモジュール30による実際の測定値からオフセット計測値を推定し、その有効性を判定し、有効性が確認された場合のオフセット計測値を採用する必要がある。
【0051】
次に、地磁気センサモジュール30に地磁気および漏洩磁界ならびに誘導磁界が外部磁界として加わる場合に、方位データ演算部10aにおいて、上述したようにオフセットのキャリブレーションを行う方法の原理について説明する。
【0052】
地磁気センサモジュール30内の磁気センサ31〜33から、データ格納判定手段101に測定データが入力される。データ格納判定手段101は、後述するデータ格納判定アルゴリズムに基づいて、測定データを記憶手段に格納すべきか否かを判定する。データ格納判定手段101は、測定データをRAM14内のデータ格納領域14bに格納すべきと判定した場合、測定データをデータ格納領域14bに格納する。
【0053】
次に、データ格納判定手段101は、データ格納領域14bに格納された測定データの数をカウントし、測定データの数が予め定められた数に達した場合に、データ格納領域14bへの測定データの格納を中止し、オフセット推定手段102に対してオフセットの推定を指示する。
【0054】
オフセット推定手段102は、データ格納判定手段101によってオフセットの推定を指示された場合に、データ格納領域14bから測定データを読み出し、後述するオフセット推定アルゴリズムに基づいてオフセット計測値を推定する。また、オフセット推定手段102は、オフセットの推定結果を有効性判定手段103に出力する。有効性判定手段103は、オフセット推定手段102によってオフセットの推定結果が出力された場合に、データ格納領域14bから測定データを読み出し、後述する有効性判定アルゴリズムに基づいて、推定されたオフセット計測値が有効であるか否かを判定する。推定されたオフセット計測値が有効であった場合、有効性判定手段103はこのオフセット計測値をRAM14内のオフセット値格納領域14aに格納する。
【0055】
次に、上述した処理にてキャリブレーションとオフセット推定、および有効性判定が終了した後に、A/D変換回路38から測定データが方位演算手段104に入力されると、方位演算手段104はオフセット除去手段105へ測定データを出力する。オフセット除去手段105は、該測定データが入力された場合に、オフセット格納領域14aからオフセット計測値を読み出し、測定データからオフセットを除去し、除去後の測定データを方位演算手段104へ出力する。
方位演算手段104は、オフセット除去後の測定データに基づいて方位を算出し、算出した方位を方位表示手段10bに出力する。方位表示手段10bは、例えば方位を示す情報を液晶表示部18aに表示される地図上に表示する。
【0056】
次に、携帯電話機の電源投入時に行われるオフセットのキャリブレーションの実行の要否の判定の原理について説明する。今、携帯電話機のユーザは着信履歴の確認のために携帯電話機の電源を入れたとする。主制御部10は電源の投入を検知し、これを契機としてキャリブレーションの実行の要否を判定するために、地磁気センサモジュール30の磁気センサ制御部34に磁場に関するデータの取得要求を出力する。
尚、契機としては、方位表示のためのアプリケーションの立ち上げとしてもよい。
【0057】
磁気センサ制御部34は主制御部10からの要求を受け、磁気センサ31〜33に磁場の計測を要求して計測結果を得る。磁気センサ制御部34は磁場の計測結果を主制御部10へ出力する。
【0058】
主制御部10は磁気センサ制御部34からデータを入力し、続いて、得られたデータを元に磁場の計算を試みる。まず、主制御部10は、入力した磁場の計測結果から携帯電話機内部の構成要素による影響を取り除くため、RAM14内のオフセット値格納領域14aに予め格納されたデータである初期オフセット値を読み出し、読み出した初期オフセット値に基づいて入力した磁場の計測結果を補正する。主制御部10はここまでの補正により、地磁気のみの計測結果データを得る。
【0059】
次に、主制御部10は地磁気のみの計測結果データから地磁気の強さを求める。そして、主制御部10はROM12から前述したオフセット基準データを読み出し、先ほど求めた地磁気の強さと比較する。主制御部10は、地磁気の強さと、オフセット基準データとの間に所定の閾値以上の乖離があることを検知した場合、キャリブレーションの実行が必要と判断し、キャリブレーションを実行する。
【0060】
また、主制御部10は地磁気の強さと、オフセット基準データとの間に所定の閾値以上の乖離が無いことを検知した場合、オフセット値格納領域14aから読み出されたオフセット値は正しく、キャリブレーションの実行は不要であると判断する。この場合には、主制御部10はキャリブレーションの処理を行わない。以上の原理により、携帯電話機の電源投入時に、オフセットのキャリブレーションの要否が判定される。
【0061】
次に、データ格納判定アルゴリズムおよびオフセット推定アルゴリズムならびに有効性判定アルゴリズムについて説明する。
【0062】
ここで、地磁気センサモジュール30内の磁気センサ31の出力をX、磁気センサ32の出力をY、オフセット計測値をXO、YOとすると、以下の関係が成立する。これを方位円と定義する。尚、Rは定数である。
(X−XO)2 +(Y−YO)2 = R2
以上は2次元の場合であるが、3次元の場合も同様に以下の関係式が成り立つ。
(X−XO)2 +(Y−YO)2 +(Z−ZO)2= R2 ・・・・・(式1)
【0063】
先ず、データ格納判定アルゴリズムについて説明する。直前にデータ格納領域14bに格納されたデータを(Xa,Ya,Za)とし、格納判定の対象となるデータを(X,Y,Z)とし、以下の条件式が満たされた場合にのみ、データ(X,Y,Z)をデータ格納領域14bに格納する。dの値としては、方位円半径Rの1/10程度が好ましい。
【0064】
【数1】

【0065】
i=1,・・・,N)、求めるべきオフセット推定値を(XO,YO,ZO)、方位円半径をRとすると、以下の関係式が成り立つ。
(xi−XO) 2+(yi−YO)2+(zi−ZO)2=R2
最小二乗誤差εを次式のように定義する。
【0066】
【数2】

【0067】
ここで、
a=xi2+yi2+zi2
b=−2xi
c=−2yi
d=−2zi
D=(XO2+YO2+ZO2)−R2 ・・・(1)
とすると、εは以下の式にようになる。
【0068】
【数3】

【0069】
最小二乗誤差εを最小とする条件は、以下の[数4]となる。
【0070】
【数4】

【0071】
従って、以下の式が成り立つ。
【0072】
【数5】

但し、
【0073】
【数6】

【0074】
である。この連立方程式を解くことにより、最小二乗誤差εを最小とするXO、YO、ZO、Dが求まる。また、前述した(式1)式により、Rも求まる。
【0075】
次に、有効性判定アルゴリズムについて説明する。推定されたオフセット計測値XO、YO、ZOおよび方位円半径Rと、データ格納領域14bに格納された測定データとから以下の値を算出する。
【0076】
【数7】

【0077】
【数8】

【0078】
【数9】

【0079】
【数10】

【0080】
但し、Max(xi)は、測定データx1、・・・、xNの中の最大値を表し、Min(xi)は、測定データx1、・・・、xNの中の最小値を表す。また、σは標準偏差である。上記の値に対して、以下の判定基準が満たされるかどうか判定し、判定基準が満たされた場合に、推定したオフセットが有効であると判定する。
σ<F
x>G
y>G
z>G
ここで、Fは0.1程度が好ましい。また、Gは1程度が好ましい。
【0081】
次に、主制御部10が視線誘導用LED駆動部50を制御して、視線誘導用LED51a〜51qを駆動することによってユーザの視線を捕捉し、捕捉した視線を違う場所へ誘導する方法について説明する。
前述したように、フリーハンドにて保持することを前提としている携帯電話機のキャリブレーションを行うにあたり、ユーザが予め定められた角度にて携帯電話機を動かすことは困難であり、この問題を解決するために、ユーザに対して何らかの方法によって携帯電話機の回転操作の指示を行い、ユーザが意識することなく携帯電話機を回転させるようにすることが望ましい。本実施形態においては、図2(a)〜(d)に示すように、携帯電話機の筐体1および2の外周面上に視線誘導用LED51a〜51qを設けて、主制御部10がROM12に記憶されている発光パターンを読み出して、該パターンに基づいて視線誘導用LED駆動部50を制御して、該LEDを図2(b)に示すように順繰りに点灯させることにより、上述した指示を実現している。
【0082】
次に、図2(b)に示すように、一列に配置された視線誘導用LED51c〜51eを順繰りに点灯させることにより、ユーザの視線を捕捉し、その後違う場所へ誘導し、それにより、ユーザに携帯電話機を回転させる動作の原理を説明する。
【0083】
図5は、上述した手法によって、ユーザの視線を捕捉、誘導し、それにより携帯電話機の筐体1および2(以下、筐体という)を回転させる原理を示す図である。ここで、図5(a)に示すように、ユーザの目Eyが、水平に携帯している携帯電話機の筐体2の外周面を見ており、図示しないが、ユーザは携帯電話機を手中に保持し、筐体2の外周面上の視線誘導用LED51c、51d、51eが順繰りに点灯すると想定する。
【0084】
先ず、筐体が水平に置かれているときに視線誘導用LED51cが点灯する。(第1の視線誘導表示)(LED51cが取り付けられている場所を第1の位置とする。)。このとき、ユーザは、LED51cの発光に注目するため、LED51cに視線を捕捉される(視線捕捉手段)(視線捕捉ステップ)。
【0085】
次に、予め定められた時間が経過した後、紙面内のLED51d(LED51cが取り付けられている場所を第2の位置とする。)が点灯し(第2の視線誘導表示)、ユーザの視線をLED51dへ誘導する(視線誘導手段)(視線誘導ステップ)。この場合は、LED51cの点灯に注目するため、ユーザが以前より遠くを見るように視線を移動する。このとき、ユーザは、発光するLEDを目で追いかける行動を自然に行う。すなわち、今見ているものの見え方と前に見ていたものの見え方とを変化させないように筐体を動かす。この場合、ユーザはLED51dの見え方とLED51cの見え方とを変化させないように、LED51cを見た角度や見えたLED51cの大きさ(遠近の情報、または、視線の距離)を変えないようにして筐体を動かす。
【0086】
具体的に、LED51dへの視線Vl1がLED51cへの視線Vl0と角度αをなし、視線Vl1の距離が視線Vl0の距離と等しくなるように、つまり、LED51dとLED51cが同じ大きさに見えるように、筐体を回転させる。尚、LED51e’は筐体が回転した後にLED51eが存在する場所を示す。
【0087】
以上のようにして、筐体の面上にて点灯する点を移動させることにより、ユーザに筐体を回転させることを促すことができる。以上、説明したように、点灯する点をユーザから遠ざける方向に移動すると、ユーザは筐体を自分の視点に近づけるように筐体を回転させる。
【0088】
図6は、筐体の長手方向への回転の例を示す図である。ここで、図6に示すように筐体を第2軸まわりに回転させることを想定する。このとき、筐体1内の地磁気センサモジュール30が取り付けられている箇所を第1軸および第2軸ならびに第3軸からなる座標系の原点と一致させる。
【0089】
このとき、図6(a)に示すように、上述した座標系の原点を中心とする円Cidを想定し、この略円状または近傍に、点PM0〜PM5を設定し、各点と原点とを結んだ直線とを設定し、この直線と実際の、筐体の外周面との交点PL0〜PL5を想定する。
【0090】
ここで、地磁気センサモジュール30が該座標系の原点に設けられているため、例えば、地磁気センサモジュール30からの点PM0へのベクトルの向きと点PL0へのベクトルの向きとは等しくなる。同様に、PM1〜5へのベクトルの向きと点PL1〜5へのベクトルの向きとはそれぞれ等しくなる。このことより、点PL0〜5によって点PM0〜5の方位を指し示すことができるため、原点から見て点PL0〜5を略等角度にて配置することができる。そのため、点PM0〜5と上述した原点とを結んだ直線と円Cidとの交点からなる軌跡(回転指示軌跡)を用いて、該軌跡上の各点と原点とを結んだ直線と筐体の面との交点PL0〜PL5において、例えば、図6(b)に示すように順繰りに点灯させることにより、上述したように該軌跡に従って筐体を回転させることができる。また、筐体を略等角度にて回転させることもできる。尚、この場合、点PL0〜5を発光点という。
【0091】
前述したように、点灯する点をユーザから遠ざける方向に移動すると、ユーザは筐体を自分の視点に近づけるように回転させるので、実際に筐体が回転する方向は、発光点が移動する方向と逆向きになる。よって、発光点PL0〜5が示す方位によって、回転の指示をなされた筐体は、発光点PL0〜5と同じ方位である点PM0〜PM5と第2軸−第3軸平面について面対称の位置関係にある点PR0〜PR5によって示される方位に回転する。
【0092】
以上により、筐体は、図6(a)の一部を斜視図とした図6(c)に示すように、点PR0〜PR5の付近にある軌跡Tra上の点が示す方位に回転する。
尚、C1軸〜C5軸は、本体が傾いた状態における第3軸を示す。球Glo1’は、第1軸および第2軸ならびにC1軸〜C5軸からなる座標系における球である。また、A軸およびB軸ならびにC軸からなる座標系、該座標系の原点O’、該座標系における球Glo1’は、見やすくするため、第1軸および第2軸ならびに第3軸からなる座標系、該座標系の原点O、該座標系における球Glo1とはずらして描いている。実際は原点OとO’、球Glo1とGlo1’とは重なり合っている。
また、筐体は、ユーザの手の中において、図6(d)のように回転する。
【0093】
以上、筐体内の地磁気センサモジュール30の取り付け位置を座標系の原点と一致させ、筐体の一辺を第2軸に沿わせて該筐体を第2軸まわりに回転させる例について述べたが、互いに直交する第1軸−第2軸−第3軸からなる座標系において、例えば、筐体の一辺を第1軸に沿わせて該筐体を第1軸まわりに回転させる場合、筐体の一辺を第3軸に沿わせて該筐体を第3軸まわりに回転させる場合においても、以下のことが言える。すなわち、原点を中心として当該軸と直交する面に描かれる円上の点の方位と、該点と原点とを結んだ直線が筐体の面と交わる交点の方位とをそれぞれ地磁気センサモジュール30によって測定すると、上記と同様に、両者の方位が一致するので、筐体の面上にある該交点によって、該円上にある点を指し示すことができる。
【0094】
さらに、一辺が筐体の一辺に沿う第1軸−第2軸−第3軸からなる座標系自体が地磁気の座標系に対して回転する場合を想定すると、座標系の原点を中心として特定の面に描かれる円が、該原点を中心とする球とみなされるようになる。すなわち、原点を中心として描かれる球の面上の点の方位と、該点と原点とを結んだ直線が筐体の面と交わる交点の方位とをそれぞれ地磁気センサモジュール30によって測定すると、上記と同様に、両者の方位が一致するので、筐体の面上にある該交点によって、該球の面上にある点を指し示すことができる。よって、該球の面上に任意の回転の軌跡を設定して、該軌跡上の各点について各点と原点とを結ぶ直線と筐体の面との交点を算出し、例えば、筐体上の該交点において設けられた光源を点灯することにより、各点を指し示すことができる。
【0095】
図7および図8は、筐体に種々の回転の指示を与えるために上述した球の面上に設定される軌跡を示す図である。以下、球の面上に設定される任意の回転の軌跡について説明する。尚、筐体内の地磁気センサモジュール30に取り付け位置を座標系の原点と一致させることとする。
尚、図7および図8において、A軸およびB軸ならびにC軸からなる座標系は、本体が傾いた状態における座標系を示す。球Glo2は、A軸およびB軸ならびにC軸からなる座標系における球である。また、A軸およびB軸ならびにC軸からなる座標系、該座標系の原点O’、該座標系における球Glo2は、見やすくするため、第1軸および第2軸ならびに第3軸からなる座標系、該座標系の原点O、該座標系における球Glo1とはずらして描いている。実際は原点OとO’、球Glo1とGlo2とは重なり合っている。
【0096】
図7(a)に示す回転例1は、筐体を第1軸、第2軸、第3軸方向にそれぞれ90°回転させるための軌跡である。先ず、点P0を出発し、第2軸まわりにて第1軸−第3軸平面上の軌跡Tryaの上の点P1、P2、P3を通り、90°回る。次に、第3軸まわりにて第1軸−第2軸平面上の軌跡Trzaの上の点P4、P5、P6を通り、90°回る。次に、第1軸まわりにて第2軸−第3軸平面上の軌跡Trxaの上の点P7、P8、P9を通り、90°回って、点P0に戻る。
【0097】
図7(b)に示す回転例2は、筐体を第1軸、第2軸、第3軸方向にそれぞれ180°回転させるための軌跡である。先ず、第3軸上にある点Pb0を出発し、第1軸まわりにて第2軸−第3軸平面上の軌跡Trxbを通り、180°回る。次に、点Pb0に戻り、第2軸まわりにて第1軸−第3軸平面上の軌跡Trybを通り、180°回る。次に、前述した軌跡Trybと第1軸−第2軸平面との交点である点Pb2に移動し、第3軸まわりにて第1軸−第2軸平面上の軌跡Trzbを通り、180°回る。以上の2つの回転パターンによって、各軸について45°以上回転させる動作を行うことができる。
【0098】
図7(c)に示す回転例3は、筐体を第2軸、第3軸方向にそれぞれ360°回転させるための軌跡である。先ず、点Pc0を出発し、第2軸まわりにて第1軸−第3軸平面上の軌跡Trycを通り、360°回り、点Pc0に戻る。次に、第3軸まわりにて軌跡Trzcを通り、360°回り、点Pc0に戻る。感度方向の軸X軸、Y軸を含む面とY軸、Z軸を含む面との中でそれぞれ360°回転させることにより、中心座標、つまり、オフセット2軸周りの回転にて求めることができる。尚、3軸まわりに360°回転させることにより、データの測定ポイントが増えるので、測定の精度を向上させることができる。
【0099】
図8(a)に示す回転例5は、筐体に第1軸、第2軸、第3軸のいずれの軸まわりでもない回転をさせる軌跡Trm、Trnを示す。軌跡Trm、Trnにおいて、第1軸−第2軸平面、第2軸−第3軸平面、第1軸−第3軸平面との交点においてのみ地磁気センサモジュール30によって地磁気を測定する。具体的に、軌跡TrmおよびTrnと、第1軸−第3軸平面に含まれる軌跡Tryy1との交点P11と、軌跡Trnと、第1軸−第2軸平面に含まれる軌跡Trzz1との交点P12においてのみ地磁気センサモジュール30によって測定を行う。
【0100】
図8(b)に示す回転例6は、図7(b)に示す回転例2において、点Pb1からPb2に移動するときに、点Pb1から軌跡Trm1を通り点Pb3まで行き、点Pb3から軌跡Trn1を通って点Pb2に移動させる軌跡である。軌跡Trm1およびTrn1は上述したように、第1軸、第2軸、第3軸のいずれの軸まわりでもない回転をさせる軌跡である。この場合、該軌跡が第1軸−第2軸平面、第2軸−第3軸平面、第1軸−第3軸平面のいずれの平面とも交差しないため、地磁気センサモジュール30はデータの測定を行わないか、測定データをキャリブレーションの処理に使用しない。そのため、該軌跡は、測定に寄与しない回転をさせる軌跡ということになる。そして、点Pb2より先において、地磁気センサモジュール30はデータの測定を行う。このように地磁気センサモジュール30の測定を行う回転の間に、上述した測定に寄与しない回転をさせる軌跡を設定することにより、測定のための回転を行うときに開始点へ筐体を効率よく移動できるようになる。
【0101】
図8(c)に示す回転例7は、図7(c)に示す回転例3において、点Pc0を出発し、第2軸まわりにて第1軸−第3軸平面上の軌跡Trycを通り、360°回り、点Pc0に戻り、これを繰り返す。次に、第3軸まわりにて軌跡Trzcを通り、360°回り、点Pc0に戻る運動を行うための軌跡である。これにより、繰り返し回転を行う軌跡Trycにおけるデータの量を増やすことができ、測定の精度を向上させることができる。
【0102】
図8(d)に示す回転例8は、点P21を出発し、第2軸まわりにて第1軸−第3軸平面上の軌跡Tryhを通り、360°回り、これを繰り返す。次に、点P22に移動し、第3軸まわりにて第1軸−第2軸平面上の軌跡Trzhを通り、360°回り、これを繰り返す運動を行うための軌跡である。これにより、繰り返し回転を行う軌跡TryhおよびTrzhにおけるデータの平均をとることによって、測定の精度を向上させることができる。
【0103】
ここで、例えば、回転例2のように、筐体を各軸まわりに180°回す回転パターンを定義した後、例えば、筐体が45°回る度に地磁気センサモジュール30によって、地磁気の測定データが得られるように設定する。これを実現するためには、筐体を軸まわりにまわすのにかかる時間の4(=180÷45)分の1の時間によって、等間隔にて測定が行われるように時間管理することが考えられる。本実施形態においては、該時間によって、等間隔にて測定を行うように規定された測定パターンを設定し、該測定パターンによって測定の時間管理を行う。尚、この測定パターンは、前述した筐体の回転例や測定ポイントを設定する回転角に合わせて設定される。また、発光パターンは視線誘導用LED51a〜51qの発光タイミングに合わせて設定される。主制御部10は該測定パターンを読み出して、該測定パターンに応じて、視線誘導用LED50の動作タイミングと測定との同期を取る。そして、視線誘導用LED駆動部50は、測定パターンと同期をとった後に、発光パターンにより規定されるタイミングにて視線誘導用LED51a〜51qを順繰りに点灯させる。また、測定パターンの中に測定に寄与しない回転をさせる軌跡が含まれている場合、該軌跡に従って筐体が回転している場合、地磁気センサモジュール30はデータの測定を行わないか、測定データをキャリブレーションの処理に使用しない。
【0104】
図9は、本実施形態における携帯電話機内の方位データ演算部10aの方位測定の動作を示すフローチャートである。
先ず、携帯電話機の電源が投入され、携帯電話機の動作が開始する。以下、図9に示すフローチャートを参照して、方位データ演算部10aの方位測定の動作を説明する。尚、RAM14内のオフセット値格納領域14aには、先回の動作時に得られたオフセット計測値が格納されているとする。また、測定パターンとして図7(a)に示す回転例1による軌跡が選択されているものとする。また、筐体1と2とが折り畳まれているものとする。
【0105】
先ず、携帯電話機において磁気センサの測定データに異常があるか否かが判断される(ステップSp1)。判断が「YES」であった場合は、ステップSp2に移行する。次に、主制御部10が、ROM12から前述した測定パターンを読み出し(ステップSp2)、以後、該測定パターンが規定する時間間隔にて時間管理を行って測定を行う。本実施例においては、等時間間隔にて測定が行われる。一方、それと並行して、主制御部10は、ROM12から前述した発光パターンを読み出し(ステップSp3)、該測定パターンが規定するタイミングと同期して開始する、視線誘導用LED51a〜51qの点灯のタイミングを読み出す。本実施例においては、等時間間隔にて視線誘導用LED51a〜51qを点灯させる。次に、上述した各パターンが読み出されると、キャリブレーションを開始するトリガーがオンされる(ステップSp4)。そしてステップSp5に移行する。
【0106】
一方、ステップSp4においてトリガーがONすると、視線誘導用LED駆動部50が主制御部10がROM12から読み出した発光パターンに基づいて視線誘導用LED51cを点灯させ、ユーザの視線捕捉を開始する(ステップSp6)。次に、ステップSp5において、予め定められた時間が経過したか否かが判断される。判断が「NO」であった場合、ステップSp5の始めに戻り、判断が「YES」となるまで、ステップSp5の処理が繰り返される。そして、予め定められた時間が経過すると、判断が「YES」となり、ステップSp7に移行し、読み出された測定パターンに基づいて地磁気センサモジュール30の測定が開始される。そして、ステップSp12に移行し、視線誘導用LED駆動部50が視線誘導用LED51dを消灯させ、視線捕捉動作が終了し、ステップSp13に移行する。以後、ステップSp7〜ステップSp11における地磁気センサモジュール30の測定処理は、ステップSp13〜ステップSp14におけるユーザの視線捕捉および視線誘導処理と、図10に示すようにスタート時点にて同期をとって行われる。具体的に、LEDは、LED51c、51d、51e、51f,51oの順に点灯し、それと同期して測定が行われる。
【0107】
ステップSp7において、地磁気センサモジュール30により外部の磁気の測定が開始され、主制御部10は地磁気センサモジュール30から測定データを読み出す(ステップSp8)。次に、地磁気センサモジュール30から読み出された現在のデータと一つ前に測定されたデータとの出力球上における距離がある一定範囲より大きいかを判定することにより、RAM14内のデータ格納領域14bに格納すべきデータであるか否かが判断される(ステップSp9)。具体的には出力(Xn-1,Yn-1)と(Xn,Yn)(n:自然数)の距離によって判定する。判断が「YES」であった場合、現在のデータをデータ格納領域14bに格納する(ステップSp10)。次に、データ格納領域14bに格納されたデータの数が、予め定められた数に達したか否かが判断される(ステップSp15)。判断が「NO」であった場合、まだ、データ格納領域14bに格納されたデータの数が予め定められた数に達していないので、ステップSp5に戻り、予め定められた時間が経過したか否か判断される。予め定められた時間が経過すると、以下のステップSp7以下の動作を繰り返す。
【0108】
一方、ステップSp13にて、視線誘導用LED51dが点灯してユーザの視線を視線誘導用LED51dの付近に誘導し、次に、発光パターンによって規定されるタイミングにて次の視線誘導用LED51eが点灯し、この動作を繰り返し、最終のLEDが消灯するタイミングにて、ステップSp14に移行し、視線誘導が停止する。このとき、ユーザは視線を誘導されたことにより、筐体を視線が誘導された向きと逆の向きに回転させる。次に、ステップSp15において、データ格納領域14bに予め定められた数のデータが格納されたか否かが判断される。判断が「NO」であった場合、ステップSp5に移行し所定の時間が経過した後にステップ7およびステップ12に移行する。そして、地磁気センサモジュール30による測定が再び行われ、それと並行して、視線捕捉および視線誘導の動作が行われる。そして、携帯電話機の地磁気センサモジュール30のオフセットのキャリブレーションの動作が終了する。
【0109】
次に、ステップSp15における判断が「YES」であった場合、ステップSp16に移行し、主制御部10において、オフセットの推定が行われる。次に、推定されたオフセット計測値が有効であるか否かが判断される(ステップSp17)。判断が「YES」であった場合、RAM14内のオフセット値格納領域14aにオフセット計測値が格納される(ステップSp18)。尚、先にオフセット値格納領域14aに格納されていた初期オフセットまたはオフセット計測値はステップSp16において算出されたオフセット計測値に更新される。このとき、視線誘導用LED51a〜51qまたは報知用LED43の点灯色を変更したり、点灯タイミングを変更したりして、一定時間だけ点滅または点灯させ、ユーザに地磁気センサモジュール30が有効なデータを測定したことを報知する。一方、ステップSp17における判断が「NO」であった場合、オフセット値格納領域14aに格納されているオフセットが更新されることなく、以前測定されたオフセット計測値が保存され、携帯電話機の地磁気センサモジュール30の動作が終了する。そして、キャリブレーション完了の表示が液晶表示部18aに表示される(ステップSp19)。
【0110】
そして、オフセットの除去が行われる。すなわち、地磁気センサモジュール30によって測定された測定データから、オフセット値格納領域14aに格納されているオフセットが除去され、測定データの補正が終了する(ステップSp20)。そして、補正された測定データから携帯電話機が向いている方位が算出され、該方位に基づいて液晶表示部18aに地図データが表示される(ステップSp21)。
【0111】
一方、ステップSp1における判断が「NO」であった場合、ステップSp21に移行し、上述したキャリブレーションおよび補正は一切行われずに、方位表示が行われる。
【0112】
尚、本実施形態においては、地磁気センサとして、GMR素子を想定したが、地磁気センサの種類はこれに限定されず、どんなものでもよい。
【0113】
また、本実施形態においては、測定パターンを、等間隔にて測定を行うように設定することを想定したが、測定パターンはこれには限定されず、一定の規則に基づいて時間間隔が変化する測定パターンを設定して、測定に用いてもよい。
【0114】
以上のように、本実施形態によれば、視線誘導用LED51a〜51lによってなされる指示によって、ユーザが意識せずに、地磁気センサモジュール30のオフセットの補正を行うためのキャリブレーションに必要な動きを携帯電話機に与えることができる。そのため、簡単な操作にて、しかも、確実に地磁気センサモジュール30の補正を行うことができる。
特に、視線誘導用LED51a〜51lの発光色や発光するポイントの形状、数、配置、発光の点滅パターン等を、筐体の色や形状との対比を考慮して決定することにより、視線誘導用LED51a〜51lの発光を非常に目立つものとすることができ、視線捕捉および視線誘導の効果を向上させることができる。
【0115】
次に、本発明の第2の実施形態について図11を参照して説明する。
第2の実施形態における携帯電話機の動作は第1の実施形態と類似しているが、外観(図11)およびブロック構成が第1の実施形態と異なっている。
以下、図に従って、本実施形態について説明する。
【0116】
第2の実施形態における携帯電話機のブロック構成は、図1に示す第1の実施形態における携帯電話機のブロック構成に比して、以下の点が異なる。すなわち、図11に示すように、視線誘導用LED51a〜51qおよび報知用LED43が削除され、筐体2の外周面に、液晶表示部18bが設けられている。尚、視線誘導用LED51a〜51qが削除されたことにより、視線誘導用LED駆動部50が削除されている。
【0117】
本実施形態においては、主制御部10がROM12に記憶されている発光パターンを読み出して、該パターンに基づいて液晶表示部18bの駆動部(図示しない)を制御して、該液晶表示部18bに、図11(a)に示すように、例えば、点Paとほうき星Pbとが移動する画像を表示させる。この画像の移動の方向やスピードを調整することにより 、携帯電話機内の地磁気センサモジュール30の補正を行うときに、前述した視線捕捉および視線誘導を行う指示を実現している。また、図11(b)に示すように、キャラクタ図形Caを移動させてもよい。また、図11(c)に示すように、キャラクタ図形Caと共に文字を表示し、該文字も一緒に移動させてもよい。
【0118】
以上のように、本実施形態によれば、次のような効果がある。すなわち、第1の実施形態において、視線誘導用LED51a〜51qが、筐体上にて取り付け場所を占有してしまうのに対し、液晶表示部18bはキャリブレーション時以外は、視線捕捉および視線誘導の表示以外の表示を行うことができるので、表面積に限りがある携帯電話機において、筐体上の面を有効に使用できる。また、LED51a〜51qを配置する方法に比して、表示を連続的且つ、方向自在にできるので、視線捕捉や視線誘導が確実になる。
【0119】
尚、本実施形態においては、表示内容をキャラクタ図形Caとしたが、表示内容はそれには限定されず、文字や画像にしてもよい。例えば、該文字や画像を工夫することによって、視線捕捉および視線誘導の表示を非常に目立つものにしたり、遊びの要素を持たせることが可能になる。
【0120】
また、本実施形態の変形例として、図12に示すように、液晶表示部18bの上にタッチパネル18cを設けて、視線捕捉または視線誘導の表示がなされた位置の上に位置するタッチパネル18cにユーザの指が触れることにより、次に表示される視線誘導の表示を表示させることにより、キャリブレーション動作を促すことも可能である。
【0121】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態における携帯電話機の動作は第1〜第2の実施形態と類似しているが、外観(図13)およびブロック構成が第1〜第2の実施形態と異なっている。
以下、図に従って、本実施形態について説明する。
【0122】
第3の実施形態における携帯電話機のブロック構成は、図1に示す第1の実施携帯における携帯電話機のブロック構成に比して、以下の点が異なる。すなわち、視線誘導用LED51a〜51lのうち視線誘導用LED51cおよび51e以外が削除され、図13に示すように視線誘導用LED51cおよび51eの付近に、細長い形状の液晶表示部18dが、削除された視線誘導用LED51dが設置されていた場所に設けられているところが異なる。
【0123】
本実施形態においては、主制御部10がROM12に記憶されている発光パターンを読み出して、該パターンに基づいて視線誘導用LED駆動部50および液晶表示部18dの駆動部(図示しない)を制御して、視線誘導用LED51c、51eおよび液晶表示部18dに、図13に示すように、例えば、液晶表示部18dの一端にある視線誘導用LED51eを点灯させ、次に、液晶表示部18dに矢印Cbを移動させながら表示させ、次に、液晶表示部18dのもう一端にある視線誘導用LED51cを点灯させることにより、携帯電話機内の地磁気センサモジュール30の補正を行うときに、前述した視線捕捉および視線誘導を行う指示を実現している。
【0124】
以上のように、本実施形態によれば、次のような効果がある。すなわち、一列に並んだ視線捕捉および視線誘導の表示において、該表示の両端部(視線誘導用LED51c、51e)と中間部(液晶表示部18d)との外観を区別することにより、視線捕捉および視線誘導の表示を非常に目立つものにすることができるので、ユーザに対して行われる、視線捕捉および視線誘導の効果を向上させることができる。
【0125】
尚、本実施形態においては、表示内容を矢印としたが、表示内容はそれには限定されず、文字や画像にしてもよい。例えば、キャラクタ等を表示することにより、視線捕捉および視線誘導の表示を非常に目立つものにしたり、遊びの要素を持たせることが可能になる。
【0126】
次に、本発明の第4の実施形態について図14を参照して説明する。
第4の実施形態における携帯電話機の動作は第1〜第3の実施形態と類似しているが、外観(図14)およびブロック構成が第1〜第3の実施形態と異なっている。
以下、図に従って、本実施形態について説明する。
【0127】
第4の実施形態における携帯電話機のブロック構成は、図1に示す第1の実施形態における携帯電話機のブロック構成に比して、以下の点が異なる。すなわち、筐体2の外表面に設けられている視線誘導用LED51c〜51e、51i、51jおよび報知用LED43に代えて、図14に示すように筐体2の全面に取り付けられる有機EL表示器18fが取り付けられ、また、筐体1の全面に有機EL表示器18eが取り付けられるところが異なる。各表示器は、それぞれ位置表面の全面にあればよく、さらに、側面にもあってもよい。
【0128】
本実施形態においては、主制御部10がROM12に記憶されている発光パターンを読み出して、該パターンに基づいて、有機EL表示器18e、18fの駆動部(図示しない)を制御して、有機EL表示器18e、18fに、図14に示すように、例えば、矢印を移動させながら表示させることにより、携帯電話機内の地磁気センサモジュール30の補正を行うときに、前述した視線捕捉および視線誘導を行う指示を実現している。
【0129】
以上のように、本実施形態によれば、次のような効果がある。すなわち、有機EL表示器18e、18fは、表示素子を表裏面の広い面積に取り付けることができ、特に側面にも配置したときには分断することなく筐体の全面に取り付けることができるので、図14に示すように、筐体1と筐体2との連結部以外の全ての筐体の面に、視線捕捉および視線誘導の表示を行うことが可能になり、視線捕捉および視線誘導の表示によって、より多くの筐体の回転パターンをユーザに指示することができる。
【0130】
尚、本実施形態においては、表示内容をキャラクタとしたが、表示内容はそれには限定されず、文字や画像にしてもよい。
【0131】
尚、本発明の第1〜第4の実施形態の変形例として、図15に示すように、筐体2の内表面に設けられている液晶表示部18aに表示される点Paとほうき星Pbと、筐体1の内表面に設けられているテンキー5のキー照明を用いて、前述した視線捕捉および視線誘導を実現してもよい。
【0132】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での設計変更も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明の第1の実施形態における携帯電話機の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態における携帯電話機の外観を示す図である。
【図3】本実施形態における主制御部10の方位演算関連の各機能および地磁気センサモジュール30、RAM14とのデータのやり取りを示す機能ブロック図である。
【図4】同実施形態における第1軸方向の磁気センサ31および第2軸方向の磁気センサ32の方位に対する出力を示したグラフである。
【図5】同実施形態において視線誘導手段によって、ユーザの視線を捕捉、誘導し、それにより携帯電話機の筐体1および2を回転させる原理を示す図である。
【図6】同実施形態において筐体1および筐体2の長手方向への回転の例を示す図である。
【図7】同実施形態において、筐体に種々の回転の指示を与えるために、筐体の一辺に沿う軸を有する座標系にて描かれる球の面上に設定される軌跡を示す図である。
【図8】同実施形態において、筐体に種々の回転の指示を与えるために、筐体の一辺に沿う軸を有する座標系にて描かれる球の面上に設定される軌跡を示す図である。
【図9】同実施形態における携帯電話機内の方位データ演算部10aの方位測定の動作を示すフローチャートである。
【図10】同実施形態における視線誘導用LED51a〜51dの点灯タイミングと地磁気センサモジュール30の測定タイミングとの関係を示すタイミングチャートである。
【図11】本発明の第2の実施形態における携帯電話機の外観を示す図である。
【図12】同実施形態の変形例においてタッチパネル18eにユーザの指Fgが触れる
【図13】本発明の第3の実施形態における携帯電話機の外観を示す図である。
【図14】本発明の第4の実施形態における携帯電話機の外観を示す図である。
【図15】本発明の第1〜第4の実施形態の変形例においてテンキー5のキー照明および液晶表示部18aに視線捕捉および視線誘導の表示が順繰りになされる様子を示す図である。
【符号の説明】
【0134】
1、2・・・筐体、3・・・開始キー、4・・・終了キー、5・・・テンキー、7・・・リダイアルキー、8・・・RF(Radio Frequency)アンテナ、9・・・カーソルキー、10・・・主制御部(方位データ演算装置)、10a・・・方位データ演算部、10b・・・方位表示手段、11・・・変換キー、12・・・ROM(Read Only Memory)、14・・・RAM(Random Access Memory)、14a・・・オフセット値格納領域(第1の記憶手段)、14b・・・データ格納領域(第2の記憶手段)、18a、18b、18d・・・液晶表示部、18c・・・タッチパネル、18e、18f・・・有機EL(Organic ElectroLuminescence)表示器、20・・・主操作部、22・・・変復調部、23・・・CDMA(Code Division Multiple Access)部、24・・・RF部、25・・・報知手段、26・・・時計部、27・・・マイク、28・・・着信用スピーカ、29・・・音声処理部、30・・・地磁気センサモジュール、31〜33・・・磁気センサ、34・・・磁気センサ制御部、35〜37・・・磁気センサ初期化手段、38・・・A/D(Analog/Digital)変換回路、39・・・スキャン範囲設定手段、41・・・報知用スピーカ、42・・・バイブレータ、43・・・報知用LED(Light Emitting Diode)、50・・・視線誘導用LED駆動部(視線捕捉手段)(視線誘導手段)、51a〜51q・・・視線誘導用LED(視線捕捉手段)(視線誘導手段)(発光手段)、71・・・GPS(Global Positioning System)受信部、72・・・GPSアンテナ、90・・・バスライン、101・・・データ格納判定手段、102・・・オフセット推定手段、103・・・有効性判定手段、104・・・方位演算手段、105・・・オフセット除去手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感磁方向を二軸以上有する地磁気センサと前記地磁気センサの着磁によるオフセットを補正する補正手段を備えた方位データ演算部とを搭載した携帯情報端末であって、
前記補正手段によるオフセットの補正の処理と並行して筐体の面上の第1の位置に第1の視線誘導表示を表示することによってユーザの視線を捕捉する視線捕捉手段と、
前記視線捕捉手段が前記第1の視線誘導表示を表示してから前記筐体の面上の第2の位置に第2の視線誘導表示を表示することによって前記視線捕捉手段によってユーザに捕捉された視線を前記第2の位置に誘導する視線誘導手段と、
を前記筐体の2つ以上の面に備えたことを特徴とする携帯情報端末。
【請求項2】
前記第1の視線誘導表示または第2の視線誘導表示がユーザの視線を誘導する光によりなされ、
前記視線捕捉手段および前記視線誘導手段が点または図形状に前記光を発する発光手段を複数備えたことを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末。
【請求項3】
前記第1の視線誘導表示または第2の視線誘導表示がユーザの視線を誘導する画像と文字のうちの少なくとも1つによりなされ、
前記視線捕捉手段および前記視線誘導手段が前記画像と文字とのうちの少なくとも1つを任意の位置に表示する表示手段であることを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末。
【請求項4】
筐体の一辺に沿う第1の軸と前記第1の軸に直交する第2の軸と前記第1の軸および前記第2の軸に直交する第3の軸との交点を原点とする球およびその表面に所定の回転指示軌跡を想定し、前記球の原点に前記地磁気センサの設置箇所を一致させるようにして配置したとき、前記回転指示軌跡上の点と前記原点とを結んだ直線が前記筐体表面と交わる交点に投影される軌跡上に前記視線誘導表示が表示されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかの項目に記載の携帯情報端末。
【請求項5】
感磁方向を二軸以上有する地磁気センサと、筐体の面上の第1の位置に第1の視線誘導表示を表示することによってユーザの視線を捕捉する視線捕捉手段と、前記地磁気センサの着磁によるオフセットを補正する補正手段とを搭載し、且つ、前記視線捕捉手段が前記第1の視線誘導表示を表示してから前記筐体の面上の第2の位置に第2の視線誘導表示を表示することによって前記視線捕捉手段によってユーザの捕捉された視線を前記第2の位置に誘導する視線誘導手段を前記筐体の2つ以上の面に搭載した携帯情報端末における地磁気センサの補正方法であって、
前記視線捕捉手段によって前記第1の位置にてユーザの視線を捕捉する視線捕捉ステップと、
所定時間経過後にユーザの捕捉された視線を前記視線誘導手段によって前記第2の位置に誘導し、前記第1の位置から前記第2の位置へ向かう方向と逆方向への前記筐体の回転を促す視線誘導ステップと、
前記視線捕捉ステップおよび前記視線誘導ステップと並行して前記地磁気センサの補正のための測定を行うステップと、
を備えたことを特徴とする地磁気センサの補正方法。
【請求項6】
感磁方向を二軸以上有する地磁気センサと、第1の記憶手段と、第2の記憶手段と、筐体の面上の第1の位置に第1の視線誘導表示を表示することによってユーザの視線を捕捉する視線捕捉手段と、前記地磁気センサの着磁によるオフセットを補正する補正手段とを搭載し、且つ、前記視線捕捉手段が前記第1の視線誘導表示を表示してから前記筐体の面上の第2の位置に第2の視線誘導表示を表示することによって前記視線捕捉手段によってユーザの捕捉された視線を前記第2の位置に誘導する視線誘導手段を前記筐体の2つ以上の面に搭載した携帯情報端末における地磁気センサの補正方法であって、
前記視線捕捉手段によって前記第1の位置にてユーザの視線を捕捉する視線捕捉ステップと、
所定時間経過後にユーザに捕捉された視線を前記視線誘導手段によって前記第2の位置に誘導し、前記第1の位置から前記第2の位置へ向かう方向と逆方向への前記筐体の回転を促す視線誘導ステップと、
前記視線捕捉ステップおよび前記視線誘導ステップと並行して前記地磁気センサの測定データを読み出し、該測定データが適正であるか否かを判断し、該測定データが適正であると判断した場合、該測定データを前記第2の記憶手段に格納するステップと、
前記測定データを前記第2の記憶手段に所定数格納した場合、前記第2の記憶手段から該測定データを読み出し、該測定データに含まれる前記オフセットを推定し、前記オフセットを構成するオフセット計測値の有効性を判断し、前記オフセット計測値を有効と判断した場合、該オフセットを前記第1の記憶手段に格納するステップと、
前記測定データから前記第1の記憶手段に格納されたオフセットを除去するステップと、
を備えたことを特徴とする地磁気センサの補正方法。
【請求項7】
前記携帯情報端末の筐体の一辺に沿う第1の軸と前記第1の軸に直交する第2の軸と前記第1の軸および前記第2の軸に直交する第3の軸との交点を原点とする球およびその表面に所定の回転指示軌跡を想定し、前記球の原点に前記地磁気センサの設置箇所を一致させるようにして前記携帯情報端末を配置したとき、前記視線誘導手段によって、前記回転指示軌跡上の任意の点と前記原点とを結んだ直線が前記筐体表面と交わる交点に前期第1および第2の視線誘導表示が表示され、前記直線と所定角度をなす前記回転指示軌跡上の任意の点と前記原点とを結んだ直線が前記筐体表面と交わる交点付近に第3の視線誘導表示を表示することを特徴とする請求項5または請求項6のいずれかの項目に記載の地磁気センサの補正方法。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2006−33081(P2006−33081A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−205027(P2004−205027)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】