説明

均一かつ熱可逆性アルギネートフィルムの伝達システム

【課題】グアガムを使用して種々の活性物質を含みそして伝達するのに使用できるゲルフィルムを含む伝達システムおよびその製造方法の提供。
【解決手段】ゲルフィルムが、(1)フィルム形成量例えばゲルフィルムの乾燥重量の少なくとも0.25%の量の水溶性かつ熱可逆性のアルギネートおよび所望により可塑剤、第二のフィルム形成剤、かさ高剤、およびpHコントロール剤の少なくとも1つ、並びに(2)活性物質例えば口腔ケア剤、口臭防止剤、抗菌剤、清涼剤、医薬、機能性食品、唾液促進剤、化粧品成分、農薬、ビタミン、ミネラル、着色剤、甘味剤、フラボラント、香料または食品の少なくとも1つを含む、均一な熱可逆性ゲルフィルムからなる伝達システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、均一かつ熱可逆性ゲルフィルムからなる伝達システムに関し、そのゲルフィルムは、(1)フィルム形成量の水溶性かつ熱可逆性のアルギネートおよび所望により可塑剤、第二のフィルム形成剤、かさ高剤、およびpHコントロール剤の少なくとも1つ、並びに(2)活性物質を含む。本発明は、またその製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
例えば口臭および清浄ストリップ(strip)の口腔ケア活性物のための伝達システムの使用は、最近増加してきている。
【0003】
例えば、特許文献1は、少なくとも1つのフィルム形成剤、少なくとも1つのかさ高充填剤、少なくとも1つの可塑剤を含むプルーランの自由に食べることのできるフィルム組成物の使用を開示している。これらのフィルムは、医薬のような多数の物質を含み、そして口腔ケアにおける多数の応用例えば口臭防止(breath freshening)ストリップに使用できる。フィルム形成剤は、セルロースエーテル(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、およびこれらの誘導体を含むと述べられている);変性澱粉(酸および酵素により加水分解されたトウモロコシおよび馬鈴薯澱粉を含むと述べられている);天然ガム(アラビアガム、グアガム、ローカストビーンガム、カラギーナンガム、アカシア、カラヤ、ガッティ(gahtti)、トラガントガム、タマリンドガム、キサンタンガム、およびこれらの誘導体を含むと述べられている);可食性ポリマー(微結晶セルロース、セルロースエーテル、キサンタンおよびこれらの誘導体を含むと述べられている);ヒドロコロイド粉末(グアガム、ローカストガム、微結晶セルロース、タラおよびこれらの誘導体を含むと述べられている);海草抽出物(アルギネート、カラギーナンおよびこれらの誘導体を含むと述べられている);並びに陸上植物抽出物(コンニャク、ペクチン、アラビノガラクタンおよびこれらの誘導体を含むと述べられている)の任意のものであると広く記述されている。
【0004】
特許文献2は、口腔へ口臭防止剤、抗菌剤および唾液誘導剤を伝達するのに使用される早く溶解する口腔内で消費されるフィルムを開示している。この発明のフィルムを製造するのに使用されるフィルム形成剤は、プルーラン、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ナトリウムアルギネート、ポリエチレングリコール、キサンタンガム、トラガントガム、グアガム、アカシアガム、アラビアガム、ポリアクリル酸、メチルメタアクリレートコポリマー、カルボキシビニルポリマー、アミロース、高アミロース澱粉、ヒドロキシプロピル化高アミロース澱粉、デキストリン、ペクチン、キチン、キトサン、レバン、エルシナン、コラーゲン、ゼラチン、ゼイン、グルテン、大豆蛋白単離物、カゼインおよびこれらの混合物から選択されるといわれる。これらのフィルムは、口腔ケアの目的で販売されているフィルムにおいて必須油の相互作用および比較的高い油含量を維持する問題を克服するといわれる。
【特許文献1】WO 02/43657
【特許文献2】WO 00/18365
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、一般に、種々の活性物質を含みそして伝達するのに使用できるゲルフィルムを含む伝達システムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一の態様として、本発明は、ゲルフィルムが、(1)フィルム形成量の水溶性かつ熱可逆性アルギネートおよび所望により可塑剤、第二のフィルム形成剤、かさ高剤、およびpHコントロール剤の少なくとも1つ、並びに(2)活性物質を含む、均一な熱可逆性ゲルフィルムからなる伝達システムに関する。
【0007】
第二の態様として、本発明は、(1)均一な溶融組成物を形成する十分なせん断、温度および滞留時間をもたらす装置でアルギネート並びに所望により可塑剤、第二のフィルム形成剤、かさ高剤およびpHコントロール剤の少なくとも1つを加熱、脱水、混合、可溶化および所望により脱気し、該温度が該組成物の可溶化温度以上である工程、(2)溶融組成物の形成前またはその後の何れかで有効量の活性物質を添加する工程、そして(3)該活性物質を含む該ゲルフィルムを形成するためにそのゲル化温度以下で該活性物質を含む該溶融組成物を冷却する工程からなる上記の均一なゲルフィルム伝達システムを製造する方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
特に褐藻類(Phaeophyceae sp.)から由来するアルギネートは、(1-4)結合β-D-マンニュロン酸(M)およびα-L-グルロン酸(G)残基を含む線状かつ未分枝の化学ポリマーである。アルギネートは、ランダムコポリマーではないが、例えばMMMM、GGGGおよびGMGMのような同様な交互の残基のブロックからなり、そして一般にアルギン酸またはその塩の形で有用である。
【0009】
本発明で有用なアルギネートは、アルギン酸ナトリウムおよびアルギン酸カリウムのようなアルギネートの一価の塩、並びにプロピレングリコールアルギネートのようなアルギネートのエステル化された形を含む。すべてのこれらのエステル化された形は、本明細書で使用されるとき、アルギネートの定義に入る。本発明で有用なアルギネートの追加の例は、アルギン酸マグネシウムおよび3-エタノールアミンアルギネートを含む。これらのアルギネートは、単独で、または本発明の他のアルギネートと組み合わされて使用でき、これらの他のアルギネートは、以下に詳細に述べられるように、それらがゲル形成またはゲルフィルムの均一性を損なわない限り、少量の他のカチオンを含むことができる。アルギネートは、原料から完全に、一部精製されるか、または精製されない。
【0010】
或るアルギネート例えばアルギン酸ナトリウムは、一般に、カルシウムイオンにより熱的に不可逆なゲルを生成するものと考えられている。本発明者が驚いたことには、これらのアルギネートは、本発明に従って、顕著なフィルム強さを有する均一かつ熱可逆性のゲルフィルムを生成することが分かった。さらに、或るアルギネート例えばプロピレングリコールアルギネートは、一般に、非ゲル性と考えられている。また本発明者が驚いたことには、プロピレングリコールアルギネートは、顕著なフィルム強さを有する均一かつ熱可逆性のゲルフィルムをもたらすことが示された。
【0011】
アルギネートは、利用可能な多価カチオン(イオン性)例えばカルシウムと反応し架橋することが知られている。この架橋は、使用される多価カチオンに応じてフィルム形成およびアルギネートゲルフィルムの熱可逆性に悪影響を及ぼし、例えばマグネシウムはアルギネートゲルフィルムの熱可逆性に悪影響を及ぼさない。そのため、アルギネートシステム内でフィルムの形成または熱可逆性を損なうレベルより下に、アルギネートフィルムの熱可逆性およびフィルム形成に悪影響を与えるこれらの多価カチオンのレベルをアルギネートが有することが重要である。これらの多価カチオン(例えばカルシウム)のレベルは、一般に、ゲルフィルム中のアルギネートの乾燥重量に基づいて5.0重量%以下、より好ましくは2.0重量%より少なく、さらに好ましくは1.0重量%より少ない量で使用されるが、これは他の成分の作用、アルギネートのタイプおよび源そして金属イオン封鎖剤の使用などに応じて変化できる。金属イオン封鎖剤またはキレート剤は、例えばカルシウムの上記の悪影響を与える多価カチオンの溶解度(および影響する活性)を最低にするのに十分な量で添加できる。
【0012】
アルギネートは、本発明では、フィルムにフィルム性を与えないアルギネートの痕跡量から区別されるフィルム形成量(例えばゲルフィルムに強さを与える量)で使用される。そのため、例えば、本発明のゲルフィルムでは、アルギネートのフィルム形成量は、全体のフィルムに強さを与える量である。これらのフィルム形成量は、一般に、応用に応じて、乾燥ゲルフィルムの少なくとも0.25重量%、特に0.5-90重量%、さらに特に0.5-50重量%、より特に0.25-25重量%である。
【0013】
本明細書で使用されるとき、「均一なフィルム」は、裸眼で均一と認められそして欠陥のない、例えば塊、裂け目、溶解しなければならないが溶解していない粒子、不溶粒子の非均一な分布などのないフィルムと定義される。「フィッシュアイ」(混合した液体および固体の状態)または「ゲルボール」(不均一なゲル構造)は、本明細書で使用されるとき、「均一」の定義に合致しないだろう。
【0014】
本発明のゲルフィルムは、均一な熱可逆性のゲルフィルムである。
【0015】
本明細書で使用されるとき、「熱可逆性フィルム」は、融点を有するフィルムと定義される。本明細書で使用されるとき、融点は、ゲルフィルムが軟化または流動する温度または温度範囲である。
【0016】
本明細書で使用されるとき、用語「ゲルフィルム」は、アルギネートの構造から形成される薄い膜をいう。ゲル形成組成物は、ゲル温度すなわちそれより下ではゲル組成物の溶融した塊が冷却されて自立性構造を形成する温度を特徴とする。所望により、溶融した塊は、加熱により注型でき、そして冷却および乾燥されて、ゲルフィルムがゲル組成物により形成されるまで、固体をさらに濃縮できる(コントロールされた水分の除去)。熱可逆性ゲルフィルムの溶融温度は、そのゲル温度より高い。
【0017】
本発明のゲルフィルムは、活性物質を含む。ゲルフィルム内に含むことのできる活性物質の例は、口腔ケア剤、口臭防止剤(breath freshening agent)、抗菌剤、清涼剤(cooling agent)、医薬、機能性食品(nutraceutical agent)、唾液促進剤、化粧品成分、農薬、ビタミン、ミネラル、着色剤、甘味剤、フラボラント(flavorant)、香料または食品の少なくとも1つである。
【0018】
本発明の均一な熱可逆性ゲルフィルムは、所望により、可塑剤、第二のフィルム形成剤、かさ高剤およびpHコントロール剤の少なくとも1つを含むことができる。ゲルフィルムに添加される成分およびそれらの量は、アルギネート伝達システムの所望の用途に応じて変化できる。
【0019】
この可塑剤の例は、ポリオール例えばグリセリン、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、コーンスターチ、ポリデキストロース、フラクトース、可溶性油、およびポリアルキレングリコール例えばポリプロピレングリコールおよびポリエチレングリコールを含む。可塑剤の量は、所望の用途およびゲルフィルム伝達システムの弾性に応じて変化できる。例えば、これらの可塑剤は、一般に、伝達システムの所望の弾性に応じて、乾燥フィルム中の水を含むすべての成分の重量の少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、さらに好ましくは少なくとも30%の量で使用できる。また、伝達システムが可塑剤を全く含まなくてもよい。
【0020】
本発明で使用できる第二のフィルム形成剤の例は、澱粉、澱粉誘導体、澱粉加水分解物、セルロースガム、ヒドロコロイド、アルキルセルロースエーテルまたは変性アルキルセルロースエーテルの少なくとも1つを含む。ヒドロコロイドの例は、天然および合成のヒドロコロイド、例えばカラギーナン、ラムダカラギーナン、カッパカラギーナン、カッパ-2カラギーナン、イオタカラギーナン、ポリマンナンガム例えばローカストガムまたはグアガム(低粘度グアガムを含む)、デキストラン、プルーラン、ゼラン(高および低アシルゼラン)およびペクチン並びにこれらの不十分に変性されたもの並びにこれらの組み合わせを含む。本発明で使用するとき、カッパ-2カラギーナンは、25-50%の3:6-アンヒドロガラクトース-2-スルフェート(3:6AG-2S)対3:6-アンヒドロガラクトース(3:6AG)含量のモル比を有し、イオタカラギーナンは80-100%の3:6AG-2S対3:6AGのモル比を有し、そしてカッパカラギーナンは、カッパ-2カラギーナンに関するそれより低い3:6AG-2S対3:6AG含量のモル比を有する。例えば、カッパカラギーナンに関する通常周知かつ使用される源であるEucheuma cottoniiからのカッパカラギーナンは、約10%より低い3:6AG-2S対3:6AG含量のモル比を有し、イオタカラギーナンに関する通常周知かつ使用される源であるEucheuma Spinosumからのイオタカラギーナンは、約85%より大きい3:6AG-2S対3:6AG含量のモル比を有する。カッパ-2カラギーナンは、例えばGigartina skottsbergiiから得ることができる。カッパ、カッパ-2およびイオタカラギーナンは、構造および機能性の両者において互いに異なる。もし所望ならば、イオタ、カッパまたはカッパ-2カラギーナンが第二のフィルム形成剤として使用されるとき、このカラギーナンは、溶液の合計重量の重量による低下した分子量のカラギーナン1.5%を含む0.10モル塩化ナトリウム溶液中で75℃で19cP以下さらに特に10cPより低い粘度を有する。この粘度テストは、60rpmでスピンドルNo.1を使用しそして6回の回転後粘度を測定してBrookfield LVF(Brookfield Engineering Laboratories、Inc.)粘度計を使用して行うことができる。本発明で使用できるアルキルセルロースの例は、ヒドロキシエチルセルロースである。本発明で使用できる変性アルキルセルロースエーテルの例は、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。注意すべきことは、第二のフィルム形成剤例えばカラギーナンは、カラギーナンによりゲル化の性質およびフィルム強さに対してプラスおよびマイナスの作用をするカチオンを含む。この有益なカチオンは、カリウムおよびアンモニウムを含む。これらのカチオンは、カラギーナンに存在できるか、または他の有機および無機の源からそれに添加できる。これらの有益なカチオンは、ゲルフィルム(水を含む)中でカラギーナンの乾燥重量の20%より少ない量で存在できる。この量は、システム中の成分および所望の融点およびシーリング温度に応じて変化できる。
【0021】
他のカチオン例えばカルシウム(上記したもの)、マグネシウム、アルミニウムおよびクロムは、アルギネートと架橋して有害であるおよび/またはカラギーナンの安定性に悪影響を与え、そして最低、例えばゲルフィルム(水を含む)中のアルギネートの乾燥重量の5%以下、2%以下、1%以下に保たねばならない。
【0022】
アルギネートは、ゲルフィルム中の唯一のフィルム形成剤であることができる。本発明のゲルフィルムが第二のフィルム形成剤を含むとき、アルギネートは、乾燥ゲルフィルム中のフィルム形成剤の全量の少なくとも10重量%、少なくとも40重量%、少なくとも60重量%または少なくとも80重量%の量で存在できる。
【0023】
かさ高剤の例は、微結晶セルロース、微結晶澱粉、変性および未変性の澱粉、澱粉誘導体、イヌリン、澱粉加水分解物、砂糖、コーンシロップおよびポリデキストロースを含む。。本明細書で使用されるとき、用語「変性澱粉」は、ヒドロキシプロピル化澱粉、希酸処理(acid-thinned)澱粉などのような澱粉を含む。本発明で使用できる変性澱粉の例は、Pure Cote(商標)B760、B790、B793、B795、M250およびM180、Pure-Dent(商標)B890およびPure-Set(商標)B965(すべてGrain Processing Corporation of Muscatine、Iowaから入手可能である)およびCAraTex(商標)75701(Cerestar、Inc.から入手可能である)を含む。澱粉加水分解物の例は、デキストリンとして知られているマルトデキストリンを含む。未変性澱粉例えば馬鈴薯澱粉も、本発明の範囲内でヒドロコロイドと混合されるとき、フィルム強さに寄与する。一般に、変性澱粉は、澱粉の化学的処理により製造された生成物、例えば酸処理澱粉、酵素処理澱粉、酸化澱粉、架橋澱粉および他の澱粉誘導体である。変性された澱粉が誘導体化される(側鎖が親水性基または疎水性基により変性されそれにより側鎖間の強い相互作用とさらに複雑な構造を形成する)のが好ましい。
【0024】
本発明で使用されるかさ高剤の量は、一般に、乾燥フィルムの0-20重量%であるが、もし所望ならば、伝達システムの用途に応じて、さらに多い量、例えば乾燥フィルムの少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも30重量%も使用できる。澱粉、澱粉誘導体および澱粉加水分解物が多機能性であることに注意すべきである。すなわち、かさ高剤と使用されることに加えて、それらは第二のフィルム形成剤として使用できる。これらがかさ高剤および第二のフィルム形成剤として使用されるとき、それらは、一般に、伝達システムの用途に応じて、乾燥ゲルフィルムの少なくとも10重量%好ましくは少なくとも20重量%の量で使用される。
【0025】
本発明で所望により使用できるpHコントロール剤の例は、無機および有機の塩基を含む。好ましいpHコントロール剤は、水酸化物、炭酸塩、クエン酸塩、およびリン酸塩を含む。pHコントロール剤は、カリウムのような添加される有益なカチオンの源として選ばれる。いくつかの組成物では、pHコントロール剤は、ゲルフィルムの安定性を改善するために使用できる。pHコントロール剤の量は、一般に、乾燥フィルムの重量の0-4%好ましくは0-2%である。
【0026】
本発明の乾燥ゲルフィルム(例えば、80%以上の固体)は、Texture Analyzer TA-108S Mini Film Test Rigを使用して測定されて、例えば少なくとも250g、少なくとも1000g、少なくとも2500g、少なくとも4000gおよび少なくとも6000gの破壊力を有することが分かっている。その上、本発明の乾燥フィルムは、7000gおよび8000gより高い破壊力強さを有することが示されている。
【0027】
本発明のフィルムは、ゲルフィルムのすべての成分の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%および少なくとも90%の固体含量を有することが分かっている。15%以内、10%以内、5%以内の水が乾燥ゲルフィルムの固体と強く結合して維持されることが理解されている。
【0028】
本発明のゲルフィルムは、また、他の成分例えば可塑剤、かさ高剤、第二のフィルム形成剤などが存在してもしなくても、着色料およびフラボラント例えば砂糖、コーンシロップ、フラクトース、スクロースなどを含むことができる。本発明のゲルフィルムの1つの態様は、例えば50%、60%、65%、75%、80%、85%、90%より多い固体の高い固体システム中の本明細書で記載されたアルギネート、フラボラントおよび水からなる。
【0029】
本発明のフィルムは、非熱可逆性ガムを含むことができる。しかし、本発明のゲルフィルムの均一かつ熱可逆性の性質に悪影響を与えない限り、これらの非熱可逆性ガムは、低粘度グアガムの重量の50%以下、好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下の量で存在しなければならない。これら非熱可逆性ガムの例は、架橋されたそして一部架橋されたガム例えばカルシウム硬化(例えば架橋した)ペクチンまたはアルギネートを含む。カルシウム反応性アルギネートおよびペクチン並びにそれらのより精製されていないものは、二価カチオンの不存在下熱可逆性ガムとして考えられる。
【0030】
本発明のゲルフィルムは、一般に、組成物の均一な溶融塊および冷却してゲルの形成をもたらすように、十分に高いせん断、温度(ゲル化温度より上)および滞留時間を可能にする装置を利用する方法から製造される。これは、一般に、組成物を加熱し、水和し、混合し、可溶化しそして所望により脱気する装置で達成される。これらの装置は、ロス(Ross)ミキサー、ステファン(Stephan)プロセッサー、従来のジェットクッカー、押し出し機および図1に示される流体混合装置を含むが、これらに限定されない。ロスミキサー、ステファンプロセッサー、押し出し機および従来のジェットクッカーは、市販されて容易に入手できる。冷却前に、溶融した塊を、ポンプ、ミキサーまたは脱揮発物器の少なくとも1つに供給する。これらの機能の任意の1つを行う装置の例は、押し出し機である。本発明の追加の構成として、溶融した塊は、必ずしも工程(1)の均一性に到達する必要はないことに注意すべきである。すなわち、追加の装置例えばミキサー、ポンプおよび/または脱揮発物器が使用されるとき、溶融した塊の均一性は、溶融した塊がゲル化前に均一性に到達するならば、ミキサー、ポンプおよび/または脱揮発物器の少なくとも1つ中に溶融した組成物を供給する前または後に得ることができる。押し出された溶融塊は、また連続するフィルムの均一な注型を助けるフィルム形成または成形装置(例えばスプレッダーボックス)に導かれるか、または溶融した塊の伝達装置からフィルムまたは成形した押し出し物の直接的な形成を可能にするダイを通る。制限された流れ/ゲル構造形成の開始より前に溶融した塊を維持するように注意しなければならない。絶縁されそして予熱された(適切な温度を維持するための)輸送ホースが使用されて、所望のゲルフィルム形成が開始されるまで溶融した塊の流れを確保する。追加の処理方法(例えば、Ross方法システムで見られるような放出/プランジャー様ヘッドの予熱)は、上記の輸送ホースを通って溶融した塊を押す(圧力により)。追加の絶縁は、混合装置から出た直後の溶融した塊の表面に最初に置かれたテフロン円盤の使用によって溶融した塊の温度の維持を助けることができる。注意すべきことは、本発明の追加の構成として、溶融した塊は、工程(1)で完全に均一に必ずしもなっている必要はない。すなわち、追加の装置例えばミキサー、ポンプおよび/または脱揮発物器が使用されるとき、溶融した塊の均一性は、もし溶融した塊がゲル化前に均一性に到達するならば、ミキサー、ポンプまたは脱揮発物器の少なくとも1つに溶融した組成物を供給する前またはその後得ることができる。
【0031】
本明細書で使用されるとき、「流体混合装置」は、図1のものをいう。図1は、流体混合装置10を画いている。流体混合装置10は、溶融した塊またはスラリー混合物8を生成するために、水蒸気2を第一の流体またはスラリー4および第二の流体またはスラリー6と混合するように配置される。
【0032】
流体混合装置10は、水蒸気2がそれを通ってハウジング22に入る第一の入口22、水蒸気2がそれからハウジング20を出るノズル末端24、そしてノズル末端24に配置されたノズルバルブまたは弁棒を有する第一のハウジング20からなる。作動手段30は、ノズル末端24での第一の流体2の流出速度または流出圧をコントロールするために第一のハウジング20に接続される。作動手段30は、Fisher Controls U.S.Aにより製造されるタイプのものである。
【0033】
流体混合装置10は、さらに、第一のハウジング20のノズル末端24で第一のハウジング20に結合した第二の混合ハウジング40を含む。第二のハウジング40は、第一の流体4がそれを通って第二のハウジング40に入る第二の入口42、そして第二の流体6がそれを通って第二のハウジング40に入る第三の入口44を含む。入口42および44は、第一の入口22の下流に配置される。図1に示されるように、第二の入口42および第三の入口44は、共通の平面に置かれ、そして互いに放射状に離れ、最も好ましくは混合装置10の中心軸Yについて直接相対して(すなわち180度離れて)配置される。第二のハウジング40は、ほぼ円筒状の混合室52を画成し、後者は、次に混合室52の入口末端54から室52の出口末端56へ混合室52の軸の長さに沿って延在する流れの通路を画成する。ノズルバルブ26は、入口末端54で着座位置と未着座位置との間をアクチュエーター30により移動可能であって、混合室52への水蒸気2の流速をコントロールする。
【0034】
第一のハウジング20のノズル末端24は、水蒸気2を混合室52の入口末端54中に導く。第二の入口42および第三の入口44は、それぞれ第一の流体4および第二の流体6を混合室52へ放射状に導く。水蒸気2、第一の流体4および第二の流体6は、混合室52中で混合されて、混合室52を出る溶融した塊または混合物8を形成する。溶融した塊8は、次に成形した物品に成形されるか、または例えば混合物8を冷却ドラム上に注型することによりまたは混合物8を押し出し機に通過させることによりフィルムに形成できる。
【0035】
流体混合装置10は、フィルム、さらに特に可食性ストリップまたは伝達システムの製造用の可食性フィルムを形成するための混合物を製造するように適合される。不融合性フィルム成分は、一般に、これらの不融合性成分が、流体混合装置の混合室52内の水蒸気注入の界面で第一の場合一緒になるように、異なる流体の入口の流れに置かれる。図1は、水蒸気および第一および第二の流体のための入口を示しているが、1つ以上の追加の流体のための1つ以上の追加の入口も用意できる。好ましくは、流体混合装置10のハウジング20、40および他のコンポーネントは、高級なステンレス鋼から構築される。
【0036】
ゲルフィルムは、また伝達システムの溶解プロフィルを改変するのに使用できる。例えば、本発明のゲルフィルムは、口中で急速に溶解するか、または時間をかけて活性物質の徐放性伝達を可能にする口中で容易に溶解しない伝達システムを生成できる。伝達システムは、一度消化されるならば、即時放出、腸溶性および遅延放出の能力を有することができる。「即時放出」、「遅延放出」および「腸溶性」は、米国薬局方に見いだすことができ、そして参考として引用される。
【0037】
本発明は、以下の実施例に関してさらに詳細に記述されるが、本発明がそれにより制限されるものと考えてはならないことを理解すべきである。本明細書に指示されていない限り、すべての部、%、比などは、重量による。
【0038】
それ以外に指示されていない限り、以下の方法は、実施例1-3の材料およびフィルムを製造し評価するのに使用された。ステファンUMS5プロセッサーは、実験室スケールの混合装置であり、実験室においてフィルムとして注型された処方物の好適な高せん断混合、加熱および脱気をもたらした。ステファンUMC5プロセッサーで使用された好適なバッチサイズは、1500gであった。
【0039】
水性澱粉分散物は、脱イオン水中にすべての塩/緩衝液およびpH改変剤を溶解することにより製造された。澱粉および/またはマルトデキストリン(M100)を添加しそして溶解/分散されるまで混合した。Pure Cote(商標)B760およびB790澱粉は、Grain Processing Corporation of Muscatine、Iowaから入手できる。それぞれの添加後200rpmで約30秒間混合しつつ、可塑剤を均一になるまで予備混合しそして予めブレンドされた乾燥ヒドロコロイドを分けて添加することにより、ヒドロコロイド混合物をステファンUMC5プロセッサーで製造した。Sorbitol Specialおよびグリセリンを可塑剤として使用した。Sorbitol Specialは、SPI Polyols、Inc.(New Castle、Delavare)により供給される76%固体のソルビトールおよびソルビトール無水物の水溶液である。
【0040】
澱粉分散物は、非水性ヒドロコロイド混合物に添加し、そして5分間300rpmで混合した。機械的な攪拌を、2100rpmに増大し、そして混合物を混合しつつ85-95℃に加熱した。目標温度に達したとき、混合物を30分間攪拌し、次にサンプルを、さらに45分間攪拌を続けつつ真空(50-60バール)に保持した。
【0041】
温度で真空下の保持時間が完了したとき、サンプルを、予熱された広口クォートMasonジャーに注いだ。温度およびpHを記録した。粘度をBrookfield LVF粘度計を使用して加熱サンプルで測定した。
【0042】
小割合のサンプルをとりそしてAtago Eシリーズ携帯屈折計(Gardco、Pompano Beach、FL)を使用してゲル/溶融物の性質および固体を測定する前に通常1晩冷凍した。融点は、冷凍されたゲルの厚く切ったものが試験管の壁と接触しないように、試験管内に保持されたワイヤのスタンド上にその小さい厚く切ったものを置くことにより測定された。試験管を小さい穴を開けたアルミニウムフォイルでカバーして、デジタル温度プローブを使用してゲル温度を測定した。厚く切ったものがほぼ100℃の熱水浴の表面の下にあるように、試験管を加熱浴に浸漬した。シリコーン油浴を、90℃より高い融点を有するサンプルについて使用した。ゲル化したサンプルが、外観上湿り軟化しそして攪拌できるようになったとき、融点を記録した(温度範囲を記録した)。一度サンプルが溶融すると、試験管を冷水道水(15℃)を含む第二のビーカーに移した。温度プローブは、サンプルが冷却されたとき温度を記録し、そしてサンプルがゲルになり始めたかどうかを決めるためにサンプルの表面を調べるのに使用された。ゲル温度は、冷却してサンプルが流れてプローブにより作られたくぼみを最早満たさない温度であった。
【0043】
加熱サンプルを、次に3mmのクリアランスを与えるように設定された隙間を有する延伸棒を使用して、177mm×177mm×5mmの金属プレート(フィルム物質を容易に取り出すためにPAM(レシチン)を予め噴霧された)上に注型した。ゲル被覆プレートをカバーして、注型フィルムからの水分の損失を避けた。注型フィルムは、典型的には、テスト用のフィルムの取り出しの少なくとも1時間半前に冷凍(8℃よい低い)された。冷凍は、フィルム形成には要求されない。乾燥したフィルムストリップは、被覆されたプレートを40℃の強制空気/ファンオーブンで乾燥することにより製造された。40℃で2時間乾燥されたフィルムは、約60%の中間の固体を与え、一方40℃で1晩乾燥したフィルムは、80%以上の固体を与えた。テストの性質は、他に特定されていない限り、室温(ほぼ20℃)で測定された。乾燥したフィルムの固体の%は、その処方された固体レベルの注型フィルムと重量において異なる乾燥したフィルムとの間で決定された。破壊力(BF)は、Texture Analyzer TA-108S Mini Film Test Rigを使用して注型および乾燥フィルムストリップで測定された。
【0044】
他に指示されていない限り、Maltrin M100は、Grain Processing Corporationから得られ、Pure-Cote B760は、Grain Processing Corporationから得られ、Sorbitol Specialは、SPI Polyolsから得られ、そしてグリセリンはVWR(EP/USPグレード)から得られた。
【実施例1】
【0045】
以下の表1は、アルギン酸ナトリウムとIndian Gum Industries Ltd.から市販されている低粘度グアEdicol ULV 50とのブレンドを使用して製造されたゲルフィルムの組成および性質をリストする。Protanal(商標)LFR5/60、Protanal(商標)LF20/40およびProtanal(商標)SF120RBは、FMC Corporation(Philadelphia、PA)から入手できるアルギン酸ナトリウムである
【0046】
【表1】

アルギン酸ナトリウムの分子量の増大は、全体のフィルム構造に寄与し、そしてフィルム強さを増大させた(実施例1-1、1-2および1-3)。上記の融点は、油浴を使用してゲルフィルムを加熱することにより測定された。加熱されたとき、それらは軟化しそして攪拌できた。冷却したとき、ゲルは室温より上の温度で形成した。
【実施例2】
【0047】
2つのアルギン酸カリウムが使用された。KAHGは、Laminaria hyperboreanから抽出されたアルギン酸のカリウム塩であり、そして高レベルのグルロン酸(G)単位を含んだ。KAHMは、Lessonia nigrescensから抽出されたアルギン酸のカリウム塩であり、そして高レベルのマンニュロン酸(M)単位を有する。KAHGおよびKAHMの粘度は、25℃で水の1%溶液で測定されたとき、それぞれ5cPおよび12cPであった。
【0048】
アルギネートに結合するカリウムカチオンは、均一な注型および硬化フィルムへのアルギネートによるカッパカラギーナンおよび/またはカッパ-2カラギーナンの構造化の開始に有利である。カッパカラギーナンは、Kappaphycus alaverei(Eucheuma cottonii)のアルカリ処理した清澄な抽出物であった。使用された全ヒドロコロイドは、表2に示されるように低レベルの二価のカチオンを有した。
【0049】
【表2】

表3は、アルギン酸カリウムと他のフィルム形成剤例えばカッパカラギーナンおよび低粘度グアガム(Indian Gum IndustriesからEdicol ULV 50として入手できる)との混合物を使用して形成されたフィルムの組成および性質を示す。
【0050】
【表3】

結果は、アルギン酸カリウム、高グルロン酸または高マンニュロン酸の何れか、またはこれらの組み合わせとカッパカラギーナンおよびグアとを組み合わせることによる有利な相互作用を示す。アルギネートおよび第二のフィルム形成剤の重量比の変化並びに方法の変化は、また使用されて、形成された高固体(>80%)の溶融塊としての注型物またはそのまままたはさらなる処理用の冷却されたゲルフィルムの何れかを得ることができる。
【実施例3】
【0051】
表4は、プロピレングリコールアルギネートとカッパカラギーナンとを使用して製造されたゲルfの組成および性質をリストしている。Protanal(商標)エステルBV4830は、FMC Corporation(Philadelphia、PA)から入手できるプロピレングリコールアルギネートである。HECは、ヒドロキシエチルセルロースである。カッパカラギーナンは、実施例2において上述されている。
【0052】
【表4】

表5は、プロピレングリコールアルギネートおよびアルギン酸カリウムと組み合わされて使用されたカッパ-2カラギーナンに関する組成およびフィルムの性質を報告する。カッパ-2カラギーナンは、主として半数体(配偶体)植物であるGigartina skottsbergilおよびSarcothalia crispataの混合物のアルカリ処理かつ清澄な抽出物であった。二倍体(四胞子体)植物からのラムダ-およびテータ-カラギーナン約10-20%(合計)も存在した。
【0053】
【表5】

実施例3-4では、カリウムカチオンは、アルギン酸カリウムから供給された。カリウムカチオンは、カラギーナンがそのゲルフィルム構造を形成できる温度でカラギーナンの二重らせん形成を促進する。実施例3-5では、追加の強さおよび低い処理粘度は、高レベルのプロピレングリコールアルギネートによる。
【0054】
表6は、プロピレングリコールアルギネートおよび他のヒドロコロイドと組み合わされた低粘度グアEdicol ULV 50から形成される組成物およびゲルフィルムを示す。Protanal(商標)エステルBV4830およびProtanal(商標)エステルSLF3は、それぞれFMC Corporation(Philadelphia、PA)およびKibunから入手できるプロピレングリコールアルギネートである。SLF3は、BV4830に比べて低い分子量を有する。HECはヒドロキシエチルセルロースである。
【0055】
【表6】

【実施例4】
【0056】
以下の実施例は、図1の流体混合装置を使用して製造されたフィルムを示す。これらの実施例では、部Aおよび部Bは、水蒸気注入流体混合装置10に入る2つの異なる入口42、44に、2つの別々の流れ4、6として周囲温度で別々の保持タンクからポンプで供給された。2つの個々の流れ4、6は、流体混合装置10の混合ゾーン52で水蒸気の界面で混合された。部Aと部Bとの別々の溶液は、流体混合装置10に容易にポンプで送られ、水蒸気2と混合された。水蒸気2は、120psiの圧力で混合ゾーンに導入された。得られた溶融した塊またはスラリー混合物8は、流体混合装置10の出口56から外に流れ出た。混合物8を滑らかな表面に注ぎ、そして延伸して均一なフィルム9を形成した。
【0057】
混合物8の粘度を測定するために、約500mLの混合物8のサンプルを出口56から集め、そしてジャーに注いだ。温度、pHおよび粘度をこのサンプルについて95℃で測定した。Brookfield LVF粘度計を使用して粘度を測った。読み取りができるように、適切な速度およびスピンドルの組み合わせを使用した。ダイアルの読み取りは、動的粘度(cP)に変換された。
【0058】
フィルムの強さおよび固体レベルを測定するために、溶融した塊8を出口56から集め、次に3mmの隙間に設定された延伸棒を使用してステンレス鋼金属プレート上に注型した。最初のフィルム9または「新鮮なフィルム」を集めた。新鮮なフィルム9の部分を、40℃強制空気オーブンに入れて乾燥した。破壊力を、Texture Analyzer TA-108S Mini Film Test Rigを使用して新鮮および乾燥のフィルムストリップについて測定した。固体%は、新鮮なフィルムの最初の重量と乾燥したフィルムの最終の重量との間の差を測定することにより得られた。
【0059】
ゲル温度を測定するために、溶融した塊8の一部を混合装置10の出口56から集め、そして試験管に移した。試験管の半分を空けたままにした。ガラス製温度計を溶融塊8中に挿入した。材料8を室温の条件下冷却した。それぞれの程度の冷却後、温度計を材料8から取り出した。小さい一時的なくぼみが塊8の表面で観察されたとき、この温度を記録した。温度計を塊8中に再挿入し、それをさらに冷却した。温度計を取り出し、そしてくぼみが再び満たされるように、永久的なくぼみが塊8に形成されるときまで、それぞれの冷却の程度で再挿入された。永久的なくぼみが形成される温度が記録された。報告されたゲル温度は、2つの記録された温度の間の範囲であった。
【0060】
【表7】

表7は、フィルム形成剤がヒドロコロイド例えばカラギーナンおよびPGAの組み合わせであることを示す。さらに、塩が添加されてフィルムの性質例えば強さ、ゲル温度およびpHに影響する。
【0061】
以下の表8は、上記の実施例で特定された成分のさらなる詳細を提供する。
【0062】
【表8】

以下は、この実施例で使用される種々のカラギーナンの詳細を示す。カラギーナンAはカラギーナンのタイプがカッパである、低二価を有するKappaphycus alverezil(Eucheuma cottonii)のアルカリ処理した清澄なカッパカラギーナン抽出物である。供給者は、FMC Corporationである。カラギーナンBは、カラギーナンのタイプがカッパ-2である、本質的に半数体(配偶体)植物であるGigartina skottsbergiiのアルカリ処理した清澄な低二価抽出物であり、この抽出物は通常「カッパ-2カラギーナン」として知られている。また、二倍体(四小胞体)植物からのラムダ-およびテータ-カラギーナンの少量(合計5%以下)を含む。それぞれ約1.0および3.0:1の比のカッパ-およびイオタ-カラギーナンの天然のランダムブロックコポリマーとして定義され、そして同じ比の個々のカッパおよびイオタ-カラギーナンの天然ポリマーの混合物に比べて、顕著に異なる機能性を有する。供給者は、FMC Corporationである。
【実施例5】
【0063】
本発明の伝達システムは、以下の方法により製造された。アルギネートおよびカッパカラギーナンは、乾燥ブレンドされてガムブレンドを形成した。KAHGおよびNAHGは、それぞれLaminaria hyperboreanから抽出されたアルギン酸のカリウム塩およびナトリウム塩であり、そして高レベルのグルロン酸(G)単位を含む。KAHMは、Lessonia nigrescensから抽出されたアルギン酸のカリウム塩でありそして高レベルのマンニュロン酸(M)単位を有する。KAHGおよびKAHMの1%水溶液は、25℃の1%水溶液で測定したとき、それぞれ5cPおよび12cPの粘度を有した。Maltrin M100マルトデキストリン(Grain Processing Corp.Muscatine、Iowa)をガムブレンドと乾燥ブレンドした。脱イオン水およびグリセリンを秤量して1.2L容ステンレス鋼ビーカーに入れた。乾燥プレミックスを激しく攪拌しつつ水に添加し、次に90℃に加熱しそして15分間90-95℃の温度範囲内に保持してガムを完全に水和した。蒸発によって失われたすべての水を補充した後、伝達成分を添加しそして分散のために2分間混合した。テストされた伝達成分は、(1)天然および合成イチゴフレーバー(Dragoco、0.1%)、(2)二酸化チタンおよび(3)カフェインであった。熱溶液を急速に容器に注いだ。ペトリ皿に注型した溶液を室温に冷却してフィルムを形成させ、次に45℃の強制ドラフトオーブンで1晩乾燥させて一定の重量にした。サンプルを冷却し、次にAtago E携帯屈折計(Gardco、Pompano Beach、FL)を使用してゲル/溶融物の性質および固体の測定前に、1晩冷凍(8℃より下)した。融点は、冷凍されたゲルの小さい厚く切ったものが試験管の壁と接触しないように、試験管内に保持されたワイヤースタンドに置くことにより測定された。試験管は、小さい穴を設けたアルミニウムフォイルでカバーして、デジタル温度プローブを使用してゲル温度を測定した。厚く切ったものが約100℃の加熱水浴の表面の下にあるように、加熱浴に浸漬した。シリコーン油浴を、90℃より高い融点を有するサンプルについて使用した。ゲル化したサンプルが外観上湿り、軟化するようになりそして攪拌できたとき、融点を記録した(温度範囲を注目した)。一度サンプルが溶融すると、試験管を冷水道水(15℃)を含む第二のビーカーに移した。温度プローブを使用してサンプルが冷却したとき温度を記録し、そしてサンプルがゲルになり始めたかどうかを決定するためにサンプル表面を調べた。ゲル温度は、冷却して、サンプルが、プローブにより作られたくぼみを満たして最早や流れない温度であった。破壊力(BF)および針入は、Texture Analyzer TA-108S Mini Film Test Rigを使用して注型および乾燥したフィルムストリップについて測定された。剛性は、破壊力を針入により除して計算された。
【0064】
【表9】

本発明は詳細にそして本発明の特定の態様に関連して記述されたが、種々の変化および改変が、本発明の趣旨および範囲から離れることなく、行われうることは当業者に明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明で使用して好適な流体混合装置である。
【符号の説明】
【0066】
2 水蒸気
4 第一の流体
6 第二の流体
10 流体混合装置
20 第一のハウジング
22 第一の入口
24 ノズル末端
26 ノズルバルブ
30 作動手段
40 第二のハウジング
42 第二の入口
44 第三の入口
52 混合室
54 入口末端
56 出口末端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲルフィルムが、(1)フィルム形成量の水溶性かつ熱可逆性のアルギネートおよび所望により可塑剤、第二のフィルム形成剤、かさ高剤、およびpHコントロール剤の少なくとも1つ、並びに(2)活性物質を含む、均一な熱可逆性ゲルフィルムからなることを特徴とする伝達システム。
【請求項2】
該活性物質が、口腔ケア剤、口臭防止剤、抗菌剤、清涼剤、医薬、機能性食品、唾液促進剤、化粧品成分、農薬、ビタミン、ミネラル、着色剤、甘味剤、フラボラント、香料または食品の少なくとも1つである請求項1の伝達システム。
【請求項3】
該アルギネートがゲルフィルムの乾燥重量の少なくとも0.25%の量で存在する請求項1の伝達システム。
【請求項4】
該アルギネートがゲルフィルムの乾燥重量の0.25-25%の量で存在する請求項1の伝達システム。
【請求項5】
該アルギネートがゲルフィルム中のフィルム形成剤の乾燥重量の少なくとも10%の量で存在する請求項1の伝達システム。
【請求項6】
該アルギネートがゲルフィルム中のフィルム形成剤の乾燥重量の少なくとも40%の量で存在する請求項1の伝達システム。
【請求項7】
該アルギネートがゲルフィルム中のフィルム形成剤の乾燥重量の少なくとも60%の量で存在する請求項1の伝達システム。
【請求項8】
該アルギネートがゲルフィルム中のフィルム形成剤の乾燥重量の少なくとも80%の量で存在する請求項1の伝達システム。
【請求項9】
該アルギネートがゲルフィルム中に存在する唯一のフィルム形成剤である請求項1の伝達システム。
【請求項10】
該第二のフィルム形成剤が、澱粉、澱粉誘導体、澱粉加水分解物、セルロースガム、カッパカラギーナン、イオタカラギーナン、ポリマンナンガム、デキストラン、プルーラン、ゼラン、ペクチン、アルキルセルロースエーテル、および変性アルキルセルロースエーテルからなる群から選ばれる請求項1の伝達システム。
【請求項11】
該可塑剤が、グリセリン、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、コーンスターチ、フラクトース、ポリデキストロース、可溶化油およびポリアルキレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1つのメンバーであり、該第二のフィルム形成剤が、澱粉、澱粉誘導体、澱粉加水分解物、セルロースガム、カッパカラギーナン、イオタカラギーナン、ポリマンナンガム、プルーラン、ゼラン、デキストラン、ペクチン、アルキルセルロースエーテル、および変性アルキルセルロースエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1つのメンバーであり、そして該かさ高剤が、微結晶セルロース、微結晶澱粉、澱粉、澱粉誘導体、イヌリン、および澱粉加水分解物からなる群から選ばれる少なくとも1つのメンバーである請求項1の伝達システム。
【請求項12】
少なくとも2500gの破壊力強さを有する請求項1の伝達システム。
【請求項13】
少なくとも4000gの破壊力強さを有する請求項1の伝達システム。
【請求項14】
少なくとも5000gの破壊力強さを有する請求項1の伝達システム。
【請求項15】
少なくとも6000gの破壊力強さを有する請求項1の伝達システム。
【請求項16】
(1)均一な溶融組成物を形成する十分なせん断、温度および滞留時間をもたらす装置で該低粘度グアガム並びに所望により可塑剤、第二のフィルム形成剤、かさ高剤およびpHコントロール剤の少なくとも1つを加熱、脱水、混合、可溶化および所望により脱気し、該温度が該組成物の可溶化温度以上である工程、
(2)溶融組成物の形成前またはその後の何れかで有効量の活性物質を添加する工程、そして
(3)該活性物質を含む該ゲルフィルムを形成するためにそのゲル化温度以下で該活性物質を含む該溶融組成物を冷却する工程
からなる請求項1-15の何れか1つの項の均一なゲルフィルム伝達システムを製造する方法。
【請求項17】
該活性物質が、口腔ケア剤、口臭防止剤、抗菌剤、清涼剤、医薬、機能性食品、唾液促進剤、化粧品成分、農薬、ビタミン、ミネラル、着色剤、甘味剤、フラボラント、香料または食品の少なくとも1つである請求項16の方法。
【請求項18】
該装置が、ロスミキサー、押し出し機、ステファンプロセッサー、ジェットクッカーまたは流体混合装置である請求項16の方法。
【請求項19】
少なくとも250gの破壊力強さを有する請求項1の伝達システム。
【請求項20】
少なくとも1000gの破壊力強さを有する請求項1の伝達システム。
【請求項21】
フラボラントをさらに含みそして少なくとも50%の固体含量を有する請求項1の伝達システム。
【請求項22】
該第二のフィルム形成剤が、溶液中の全成分の重量に基づいてカラギーナンの1.5重量%を含む0.10モル塩化ナトリウム水溶液で測定するとき、75℃で10cpより低い粘度を有するカラギーナンである請求項1の伝達システム。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2007−525451(P2007−525451A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−510060(P2006−510060)
【出願日】平成16年4月14日(2004.4.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/011600
【国際公開番号】WO2004/091528
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(391022452)エフ エム シー コーポレーション (74)
【氏名又は名称原語表記】FMC CORPORATION
【Fターム(参考)】