説明

均平作業機

【課題】均平作業機が、均平作業に伴い、圃場表面の余剰の土を均平作業機の左右側方に掻き分けるようにして押し逃がして左右側縁に沿って不必要な畝が生じるような従来の問題を解決する。
【解決手段】均平部3は、作業進行方向に対して横方向に水平に伸びる均平支持軸20に、その長手方向に一定間隔を置いて取り付けられた複数の均平部材21とを有し、全体的に櫛歯状に構成されており、圃場外部に設けられたレーザ発光装置48から放射される水平レーザ信号49を受光装置41で受光して、受光装置41で検出した均平部3の高さに応じて、油圧シリンダ30を動作して上下可動用リンク機構4により、均平部3を圃場表面に対して一定の角度の姿勢を維持して上下に移動させて高さを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場の地表面(圃場表面)を均一にするための均平作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圃場外の適所に発光部を設置し、この発光部から基準平面を指示するレーザビームを放射し、この発光部からのレーザビームを受光部で受光して基準平面からの変位を検出し、トラクタが備えるリフト機構の制御により均平作業機の均平板を上下動させて所定の高さに位置するようにして、圃場表面の水平化を図る均平作業機は周知である(特許文献1〜4参照)。
【0003】
このような均平作業機では、通常、作業進行方向から後方に向けて、均平板、タイン(粗砕土機)及び鎮圧輪が順次設置されている構成が知られている。タイン、均平板及び鎮圧輪の順で設置されている構成もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−135605号公報
【特許文献2】特開平9−168307号公報
【特許文献3】特開2001−314103号公報
【特許文献4】特開2000−060215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の均平作業機は、その均平板は、作業進行方向に対して左右方向に伸びる長尺状の板材から構成されている。このような板材であると、均平作業において生じやすい問題を、図6を参照して説明する。なお、図6は、従来の均平作業機の均平板による問題を説明するための模式図である。
【0006】
均平作業において、図6(a)〜(c)に示すように、長尺状の板材から成る均平板80を使用すると、圃場81の凹凸の凸面の盛り上がった土82を、圃場の凹部に埋めこんだりして圃場面を均す。しかし、余分な土は、その一部は、均平板80に沿って上方に移動し均平板80を越えて後方に移動したりするが、余分の土82の多くは、図6(a)に示すように、作業進行方向に対して左右側方へ掻き分けられるようにして押し逃がされる。
【0007】
その結果、均平作業機が通過した後の圃場表面には、図6(a)〜(c)に示すように、左右の両側縁に沿って長く筋状に土が盛り上がった不必要な畝83が形成されてしまう。この畝83を均平するために、さらなる均平作業が必要となってしまうという問題が生じる。
【0008】
また、従来の均平作業機では、上記のとおり、発光部からのレーザビームを受光部で受光して基準平面からの変位を検出し、トラクタが備えるリフト機構の制御により均平作業機の均平板を上下動させて所定の高さに位置するように制御される。
【0009】
この場合、従来の均平作業機の多くは、均平板の圃場表面に対する角度が変化しながら上下する。このように、均平板の角度が変化しながら上下すると、圃場表面の高さに応じて均平板が異なる角度の姿勢で圃場表面に接触する。
【0010】
この場合、均平板が圃場表面に対して均平作業に適した所定の角度(例えば、略垂直)の状態で接触する場合は、円滑な均平作業が可能である。しかし、均平板が圃場表面に対して所定の角度から異なった傾斜した状態で接触すると、均平板が圃場表面を十分切削や均平作業をすることができず円滑な作業が不可能となり、また、圃場表面の高さに応じて均平板による均平作業にばらつきが生じてしまうという問題も生じる。
【0011】
本願発明は、上記従来の問題点を解決することを目的とするものであり、均平作業機の均平板を構成する均平板片が、従来技術のように、圃場表面の土を掻き分けて両側側縁に沿って不必要な畝が生じるようなことを防止することを課題とするものである。また、本発明では、均平板がどの高さに移動しても、圃場表面に対してほぼ一定の角度の状態で接触するように上下に移動可能とすることも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記課題を解決するために、フレーム部と、上下可動用リンク機構と、均平部と、均平部高さ制御装置とを備え、フレーム部によりトラクタに連結されて圃場の均平作業を行う均平作業機であって、上下可動用リンク機構は、フレーム部に取り付けられており、均平部は、上下可動用リンク機構に取り付けられ作業進行方向に対して横方向に水平に伸びる均平支持軸と、均平支持軸にその長手方向に一定間隔を置いて取り付けられた複数の均平板片を有し、全体的には櫛歯状に構成されており、上下可動用リンク機構により、作業進行方向に対して側方から見て、均平板片がフレーム部に対する角度を変えることなく、上下に可動であり、均平部高さ制御装置は、均平部とともに上下動するように設けられた受光装置と、油圧制御器と、油圧供給ポンプと、上下可動用リンク機構を駆動する油圧シリンダとを備えており、受光装置は、圃場外部に設けられたレーザ発光装置から放射される水平レーザ信号を受光する受光部を有し、受光装置で検出した均平部の高さに応じて、油圧シリンダを動作して上下可動用リンク機構により均平部の高さを制御する構成であることを特徴とする均平作業機を提供する。
【0013】
本発明は上記課題を解決するために、フレーム部と、上下可動用リンク機構と、均平部と、均平部高さ制御装置とを備え、フレーム部によりトラクタに連結されて圃場の均平作業を行う均平作業機であって、フレーム部は、作業進行方向である前後方向に伸び、前端にトラクタに1点支持で左右方向に回転可能に連結される連結片を固定した中央フレームと、中央フレームの後端に取り付けられ作業進行方向に対して横方向に伸びる後部フレームと、後部フレームに固定され前方に水平に伸びる複数の支持フレームとを備えており、上下可動用リンク機構は、支持フレームに枢着された前部リンク片及び後部リンク片と、前端及び後端が前部リンク片及び後部リンク片に枢着され、支持フレームに対して平行かつ上下に移動可能な下部リンク片とを有し、均平部は、下部リンク片に固定され作業進行方向に対して横方向に水平に伸びる均平支持軸と、均平支持軸にその長手方向に一定間隔を置いて取り付けられた複数の均平板片とを有し、全体的には櫛歯状に構成されており、上下可動用リンク機構によって、作業進行方向に対して側方から見て、支持フレームと均平板片の下部のなす角度を変えることなく上下に可動であり、均平部高さ制御装置は、下部リンク片に固定された水平支持板に起立して設けられた支柱と、支柱の上端に上下方向に取付位置を調節自在に取り付けられた受光装置と、油圧制御器と、油圧供給ポンプと、上下可動用リンク機構を駆動する油圧シリンダとを備えており、受光装置は、圃場外部に設けられたレーザ発光装置から放射される水平レーザ信号を受光する受光部を有し、受光装置で検出した均平部の高さに応じて、油圧シリンダを動作して上下可動用リンク機構により均平部の高さを制御する構成であることを特徴とする均平作業機を提供する。
【0014】
均平部の後方にはタイン部が設けられており、タイン部は、タイン支持軸と、タイン支持軸の長手方向に沿って取り付けられた複数のタイン部材を備え、タイン支持軸は、下部リンク片に固定されている構成とすることが好ましい。
【0015】
タイン部の後方には鎮圧輪が設けられており、鎮圧輪は、後部フレームに支持アームで回転可能に取り付けられている構成とすることが好ましい。
【0016】
複数の均平板片の互いに隣接する間隔Lは、均平板片の幅Wに対して、L/Wが0.4〜0.7とすることが好ましい。
【0017】
後部フレームには、水平の退避状態及び垂直の走行状態のいずれかの姿勢でも切り替えて設定できるように、走行輪が取り付けられている構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、均平作業機の複数の均平板片が横方向に間隔をおいて櫛歯状に設けられているので、均平作業において、圃場表面の凹凸を均平にするとともに、余剰となった土を、複数の均平板片の間から通過させて逃がすので、余剰となった土を均平部の左右側方に掻き分けるようにして押し逃がす量をすくなく又は防止でき、その結果、均平作業機の両側側縁に沿って不必要な畝が生じるようなことがない。
【0019】
また、均平部高さ制御装置及び上下可動用リンク機構によって、作業進行方向に対して側方から見た支持フレームと均平板片のなす角度を所定の角度に維持しながら、上下に移動し高さが調整されるので、圃場が全体的にほぼ水平地でも傾斜地であっても、圃場表面に対して均平板片の下部がなす角度を一定に維持して、均平作業をばらつきなく、スムースに行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る均平作業機の実施例の斜視図である。
【図2】本発明に係る均平作業機の実施例の平面図ある。
【図3】本発明に係る均平作業機の実施例の正面図ある。
【図4】本発明の実施例の均平部高さ制御装置を説明する図である。
【図5】本発明の実施例の上下可動用リンク機構を説明する図である。
【図6】従来技術の課題等を説明する模式図であり、(a)は平面図であり、(b)は(a)のB−B断面図であり、(c)は(a)のC−C断面図である。
【図7】本発明に係る均平作業機の実施例のタイン支持片の取付構造を示す平面図及び側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る均平作業機を実施するための形態を実施例に基づき図面を参照して、以下説明する。
【実施例】
【0022】
本発明に係る均平作業機の実施例を、図1〜5において説明する。実施例の均平作業機1は、全体的構成として、フレーム部2と、均平部3と、上下可動用リンク機構4と、均平部高さ制御装置5と、タイン部6と、鎮圧輪7と、走行輪8と、を備えている。
【0023】
(フレーム部)
フレーム部2は、作業進行方向(前後方向)に伸びる中央フレーム11と、作業進行方向に対して横方向に水平に伸びる後部フレーム12と、前後方向に伸びる複数の支持フレーム13とを備えている。本実施例では、中央フレーム11に対して左右にそれぞれ3本、計6本設けられている。
【0024】
中央フレーム11の前端には、図示しないトラクタに、左右方向に回転可能に1点支持で取り付けられる連結具14が設けられている。後部フレーム12は、中央レーム11の後端に、左右の補助杆15、左右の固定用ブラケット16及び後端板18を介して、取り付けられている。
【0025】
中央レーム11の後端に、左右に伸びる後端板18が直交するように固定されており、この固定構造は、左右の補助杆15の前端及び後端が、それぞれ中央レーム11及び後端板18に固定されることで、補強されている。左右の固定用ブラケット16は、後部フレーム12の上面に固定されている。左右の固定用ブラケット16の下部の間に後端板18
の左右端がピンによって枢着されている。本明細書及び本発明では、「枢着」は、「回転可能に取付られている」という意味で使用する。
【0026】
また、中央フレーム11と後部フレーム12の間には、シリンダ19が配置されている。シリンダ19のピストン軸の先端は中央フレーム11に枢着され、シリンダ19の後端部は、左右の固定用ブラケット16の間に枢着されている。
【0027】
このような構成であるから、均平作業機の使用時には、シリンダ19からピストン軸を伸ばした状態として、中央フレーム11と後部フレーム12の関係を図1の状態に保持する。不使用時には、図示はしないが、シリンダ19内にピストン軸を縮めた状態として、後部フレーム12に対して中央フレーム11を起立したコンパクトな状態に保持して、収納や搬送の便宜に供することが可能となる。
【0028】
複数の支持フレーム13は、それぞれ後端が取付ブラケット17を介して後部フレーム12に固定されており、後部フレーム12から前方に伸びるように設けられている。
【0029】
(均平部)
均平部3は、中央フレーム11の左右に配置された、左側均平部3Lと右側均平部3Rを備えている。左側均平部3Lと右側均平部3Rは、互いに同じ構成であり、それぞれ作業進行方向に対して横方向(左右方向)に水平に伸びるように設けられた均平支持軸20と、この均平支持軸20に、その長手方向に一定間隔を置いて取り付けられた複数の均平部材21を有し、全体的には櫛歯状に構成されている。
【0030】
均平部材21は、上部に湾曲部を有する略フック状の均平支持片22と、均平支持片22の下部に固定された断面くの字型の均平板片23と、から構成されている。均平板片23の上部は均平支持片22の下部に固定されており、均平板片23の下部23’は、図5に示すように、作業進行方向に対して側方から見て(要するに側面視で)、後記する上下可動用リンク機構4の下部リンク片26に対して所定の角度α(例えば、略90°)の姿勢になるように形成されている。
【0031】
ここで、所定の角度αは、均平作業において最も効果的に圃場表面を均したり、削り取ったりして均平することができるように設計された最適な角度(例えば、略垂直)である。
【0032】
要するに、均平板片23の下部23’は、上下可動用リンク機構4により上下かつ平行に移動可能であるが、上下どの位置にあっても、圃場表面の均平作業を行う場合は、圃場表面に対して常時、一定の角度で対向し、均しや削り取り等の均平作業を可能とするような構成としている。
【0033】
なお、上下可動用リンク機構4において、支持フレーム13に対して均平支持片22は上下かつ平行に移動するので、均平板片23は、その下部23’が、支持フレーム13に対しても所定の角度αの姿勢になるように形成されている。
【0034】
ここで所定の角度αについてより正確に表現すると、作業進行方向に対して側方から見て、支持フレーム13及び下部リンク片26と均平板片の下部23’が垂直投影面内でなす所定の角度αを維持しながら均平板片23を上下に可動とするものである。
【0035】
均平支持軸20に複数の均平部材21を取り付ける間隔Lは、例えば、均平板片23の横幅Wの0.6〜0.8倍程度とすると、圃場表面を均平とするとともに、圃場表面に盛られている土を、適量、複数の均平板片23の間から通過させて逃がす。
【0036】
これにより、均平部3が、土を左右側方へ作業進行方向に対して左右側方へ掻き分けるようにして押し逃がすことを防止でき、その結果、均平作業機1が通過した後で、均平部3の作業進行方向に対する左右側縁に沿って不必要な畝83(図6参照)を形成するようなことを防止することが可能となる。
【0037】
(上下可動用リンク機構)
左右の均平部3L、3Rは、図1に示すように、それぞれ支持フレーム13に対応して設けられた上下可動用リンク機構4を介して、支持フレーム13に取り付けられている。上下可動用リンク機構4は、図1及び図5に示すように、支持フレーム13を挟むように設けられた左右一対の前部リンク片24及び後部リンク片25と、下部リンク片26とを有する。均平支持軸20は、図1及び図2に示ように、下部リンク片26の前端部にブラケット片27を介して固定されている。
【0038】
図1に示すように、前部リンク片24及び後部リンク片25は、それぞれ上端部が支持フレーム13に枢着されている。なお、後記する前部リンク片24を兼ねた駆動リンク片28は、図5に示すように、その長手方向の略中央部が支持フレーム13に枢着されている。前部リンク片24及び後部リンク片25は、それぞれ下端部が下部リンク片26の前側及び後側に枢着されている。
【0039】
支持フレーム13、下部リンク片26、前部リンク片24及び後部リンク片25は、平行四辺形を形成し、下部リンク片26は、支持フレーム13に対して上下かつ平行に移動するように構成されている。これにより、均平板片23は、その下部23’が、作業進行方向に対して側方から見て、支持フレーム13となす角度を所定の角度αに維持するように上下に移動可能となる。
【0040】
なお、中央フレーム11に対して左右の複数の上下可動用リンク機構4の群のうち、それぞれ一つの上下可動用リンク機構4(図5に示す油圧シリンダ30で直接駆動される上下可動用リンク機構4)については、前部リンク片24がより長く形成されており、駆動リンク片28を兼ねている。
【0041】
中央フレーム11に対して左右の均平支持軸20は、それぞれ複数の上下可動用リンク機構4で、上下方向かつ平行に移動可能に支持されているが、複数の上下可動用リンク機構4のうちの1つの上下可動用リンク機構4において、支持フレーム13を挟むように左右一対の駆動リンク片28が設けられている。この駆動リンク片28は、前記したとおり、前部リンク片24を兼ねている。
【0042】
図5に示すように、駆動リンク片28は、その長手方向の略中央部が支持フレーム13の前端部の枢支部29において枢着されており、その長手方向の下端部が下部リンク片26の前端部に枢着されており、その上端部が後記する油圧シリンダ30のピストン軸31に枢着されている。なお、油圧シリンダ30は、その基端部32は支持フレーム13に枢着されており、先端部33からピストン軸31が伸縮するように設けられている。
【0043】
上下可動用リンク機構4において、図5(a)に示すように、油圧シリンダ30によってピストン軸31が油圧シリンダ30へ引き込まれている状態では、駆動リンク片28が枢支部29を中心として起立状態となっており、下部リンク片26は最下位の状態にあるので、均平支持軸20及びタイン支持軸60は最下位の状態にある。従って、支持軸20に固定された均平部材21及びタイン支持軸60に固定されたタイン部材61は、それらの最下位の状態にある。
【0044】
そして、図5(b)に示すように、油圧シリンダ30が動作してピストン軸31が油圧シリンダ30から伸び出ると、駆動リンク片28が、枢支部29を中心に反時計方向に回動し、下部リンク片26が上方へ移動して、均平支持軸20及びタイン支持軸60は上方位置へ移動する。
【0045】
その結果、支持軸20に固定された均平部材21における均平板片23は、その下部23’が、作業進行方向に対して側方から見て、支持フレーム13に対して所定の角度α(例えば、略垂直)の姿勢を維持した状態で移動する。
【0046】
同様に、タイン支持軸60に固定されたタイン部材61は、その下部が、作業進行方向に対して側方から見て、支持フレーム13に対して所定の角度βの姿勢を維持した状態で移動する。
【0047】
(均平部高さ制御装置)
均平部高さ制御装置5は、図4に示すように、主に、支柱40、受光装置41、油圧制御器42、油圧供給ポンプ43及び油圧シリンダ30を備えており、その概要を以下説明する。
【0048】
図1に示すように、作業進行方向に対して右端側の互いに隣接する2つの支持フレーム13には、それぞれ上下可動用リンク機構4が取り付けられている。これらの2つの上下可動用リンク機構4の2つの下部リンク片26を連結するように水平支持板44が固定されている。この水平支持板44上に、支柱40が垂直に起立して取り付けられている。
【0049】
支柱40の上端には受光装置41が設けられている。受光装置41は、レーザ光を受光して検知する受光部45と、この受光部45で検知した検知信号を高さを示す電気信号に変換する検知信号変換部46と、を備えている。検知信号変換部46は、出力センサケーブル47を介して油圧制御器42に接続されており、上記変換された電気信号は、センサケーブル47によって油圧制御器42に送信される。
【0050】
均平すべき圃場の外部には、レーザ発光装置48が図示しない支柱等に取り付けられて配置されている。このレーザ発光装置48は、レーザ光を所定の高さで水平に放射している。この放射されるレーザ光の所定の高さは、均平作業の対象である圃場を適切な高さの面に均平するように、予め、レーザ発光装置48の支柱への取付け高さを調整して設定される。このように、圃場を適切な高さの面で均平するように、予め所定の高さで水平に放射されているレーザ光を、本明細書では、水平レーザ信号49という。
【0051】
受光部45は、複数の受光素子51が上下高さ方向に設けられように構成されている。上記のとおり、予め設定された水平レーザ信号49が所定の高さに対応する受光部45の位置の部分(具体的には、水平レーザ信号49に対応する受光部45の受光素子51)を、受光部45の基準高さ位置部52とする。受光部45が、その基準高さ位置部52で、水平レーザ信号49を受光する際の均平部3の高さ位置を、均平部3の基準高さ位置とする。
【0052】
受光部45は、水平レーザ信号49を受光するが、その受光位置が、基準高さ位置部52より高いか低いか検出する。そして、その検知信号を、上記のとおり検知信号変換部46で電気信号に変換する。
【0053】
ところで、支柱40が下部リンク片26に固定され、下部リンク片26に均平支持軸20が固定されているから、受光部45が水平レーザ信号49を受光する位置が、基準高さ位置部52より相対的に高い場合は、均平部3が予め設定された基準高さ位置より低くなっていることを検出していることとなる。逆に、受光部45が水平レーザ信号49を受光する位置が、基準高さ位置部52より低い場合は、均平部3が予め設定された基準高さ位置より高くなっていることを検出していることとなる。
【0054】
油圧供給ポンプ43と油圧シリンダ30の油循環路53途中に、切替弁54と油量制御弁55が配置されている。油圧制御器42は、切替弁54と油量制御弁55に接続されている。油圧供給ポンプ43、油循環路53、切替弁54及び油量制御弁55は、図示はしないが、均平作業機1のフレーム部2に取り付けてもよいが、トラクタに取り付けるようにしてもよい。
【0055】
このようにトラクタに取り付ける構成の場合は、油循環路53のうち、トラクタ側に設けた油量制御弁55と均平作業機1側に設けた油圧シリンダ30との間の油循環路53については、油圧用ホースとして連結するような構成とすればよい。なお、油圧シリンダ30のピストン軸31は、駆動リンク片28の一端に枢着されている。
【0056】
受光部45が、水平レーザ信号49を基準高さ位置部52より高い又は低い位置で検出し、その検出信号が電気信号に変換されて油圧制御器42に入力されると、油圧制御器42は、切替弁54と油量制御弁55を制御して、油圧シリンダ30への油を供給又は帰還させ、油量を増減して油圧シリンダ30を動作させる構成となっている。
【0057】
(タイン部)
タイン部6は、図1及び図2に示すように、中央フレーム11の左右に配置された、左側タイン部6Lと右側タイン部6Rを備えている。左側タイン部6Lと右側タイン部6Rは、互いに同じ構成であり、それぞれ作業進行方向に対して横方向(左右方向)に水平に伸びるように設けられたタイン支持軸60と、このタイン支持軸60にその長手方向に一定間隔を置いて取り付けられた複数のタイン部材61とを有する。
【0058】
タイン部材61は、上部に湾曲部を有する略フック状のタイン支持片62と、タイン支持片62の下部に固定されたタイン片63とから構成されている。タイン片63の上部はタイン支持片62の下部に固定されている。
【0059】
タイン支持軸60は、図7にその取付構造を示すように、下部リンク片26の中央部に形成された凹孔64及び孔あきブラケット片65に挿通され、凹孔64内でその浅深方向に固定位置を調整して、ブラケット片65をボルトで下部リンク片26に締着することで、固定される構造となっており、これによりタイン支持軸60は、下部リンク片26に固定され、下部リンク片26と一体で上下動可能となるように構成されている。
【0060】
(鎮圧輪)
鎮圧輪7は、図1に示すように、タイン部6より作業進行方向後方であって、中央部、左側部及び右側部のそれぞれに設けられている。鎮圧輪7は、左右の支持アーム70の先端部に回転可能に取り付けられている。左右の支持アーム70は、その基部が後部フレーム12に固定されている。
【0061】
(走行輪)
走行輪8は、後部フレーム12の後方から伸びるように取り付けられた左右の取付フレーム71に、それぞれ回転可能に取り付けられている。取付フレーム71は、使用者がその軸心を中心に後部フレーム12に対して回転して、図1に示すように、走行輪8が水平の退避状態と、図示はしないが、走行輪8が垂直となった走行状態に切り替えてセットできるように構成されている。
【0062】
このように構成することで、走行輪8を、均平作業の際には図1に示すような水平な退避状態とし、均平作業機1を例えば路上で搬送するような場合は、走行輪8を垂直となった状態として、トラック等で引っ張って走行させることが可能である。
【0063】
(作用)
均平作業をする際には、図示しないトラクタに、均平作業機1の中央フレーム11の連結具14を、作業進行方向に対して横方向に回転可能に装着する。走行輪8は、図1に示すように、水平の退避状態にしておく。そして、均平作業をする圃場内でトラクタを運転し、均平作業機1を牽引して作業進行方向に移動する。
【0064】
均平作業機1が移動すると、均平部3の均平板片23が圃場の凹凸面を平らにする均平作業を行う。その際、圃場表面に凸状に盛られている土を、平らにするのであるが、土の一部を、適宜、複数の均平板片23の間から通過させて逃がす。その結果、従来生じていた、土の一部を均平部3の左右側方へ掻き分けられるようにして押し逃して、均平作業機1が通過後に均平作業機1の左右の側縁に沿って不必要な畝を形成する(図6参照)、という問題を防止することが可能となる。
【0065】
均平作業機1は、櫛歯状の均平部3を備えているので、均平板片23の横幅Wに対する均平支持軸20に複数の均平部材21を取り付けた間隔Lの大きさによって、均平部3が圃場表面の余分な土を側方へ掻き分けて押し逃がす量と均平板片23の間を通過して逃す量の割合が左右される。
【0066】
L/Wが小さすぎると、圃場の土を作業進行方向に対して左右側方に押し逃がす量が大きくなり、均平作業機1が通過後に均平作業機1の左右の側縁に沿って、不必要な畝が形成されてしまう。
【0067】
L/Wが大きすぎると、圃場の土を作業進行方向に対して左右側方に押しやる量はなくなる又は少なくなるが、複数の均平板片23の間を通過して逃す量が大きくなり、圃場を十分に均平できず、均平板片23の間を通過して均平部3が通過した後に、均平部3の左右側縁より、むしろその全幅後方に複数の筋状の不必要な畝が形成されてしまう。
【0068】
均平支持軸20に複数の均平部材21を取り付ける間隔Lは、例えば、L/Wが0.6〜0.8程度にすると、圃場表面を均平にするとともに、余分な土を、適量、複数の均平板片23の間から後方に逃がす。その結果、従来のように、余分な土を均平部3の左右側方へ掻き分けるようにして押し逃がし、均平作業機1が通過後に均平作業機1の左右の側縁に沿って、不必要な畝を形成する、という問題が生じることを防止することが可能となる。
【0069】
以上の均平作業機1による均平作業の際に、均平作業機1が圃場表面で高い部分にさしかかると、受光部45において水平レーザ信号49を受光する受光位置が、受光部45における基準高さ位置部52より低い位置となり、その検知信号を発生すると、この検知信号を検知信号変換部46で電気信号に変換する。
【0070】
この電気信号は、油圧制御器42に入力され、油圧制御器42は、切替弁54と油量制御弁55を制御して、油圧シリンダ30を動作させ、図5(a)に示すように、ピストン軸31を油圧シリンダ30内に引き込む(縮む)ようにする。
【0071】
すると、上下可動用リンク機構4の前部リンク片24を兼ねた駆動リンク片28が、図1及び図5(a)において、枢支部29を中心にして時計方向に回転して、下部リンク片26を下方に移動させる。その結果、作業進行方向に対して側方から見て、均平板片23は、その下部23’が、支持フレーム13及び水平リンク26に対して所定の角度αを維持して(実質的に圃場表面に対して同じ角度姿勢を維持して)下方へ移動し、高い部分の圃場表面をより深く削りとったり均したりする。
【0072】
逆に、均平作業機1が圃場表面で低い部分にさしかかると、受光部45は、水平レーザ信号49を受光する受光位置が、受光部45における基準高さ位置部52より高い位置となり、その検知信号を発生し、この検知信号が検知信号変換部46で電気信号に変換する。
【0073】
この電気信号は、油圧制御器42に入力され、油圧制御器42は、切替弁54と油量制御弁55を制御して、油圧シリンダ30を動作させ、図5(b)に示すように、ピストン軸31を油圧シリンダ30から伸び出すようにする。
【0074】
すると、上下可動用リンク機構4の前部リンク片24を兼ねた駆動リンク片28が、図1及び図5(b)において、枢支部29を中心に反時計方向に回転して、下部リンク片26を上方に移動させる。その結果、均平板片23が上方に移動し、低い部分の圃場表面を削らないか、或いはより浅く削ったり均したりする。
【0075】
均平板片23は、上下可動用リンク機構4により、その下部23’が、作業進行方向に対して側方から見て、支持フレーム13に対して所定の角度αの姿勢を維持して上下に移動し高さが自動的に変動して調整されるので、均平板片23は、圃場が全体的にほぼ水平地でも傾斜地であっても、圃場表面に対して、一定の角度の姿勢を維持し当接し、圃場表面を均平板片23で円滑に削り取ったり掻きとって均したりすることが可能で、均平作業が効果的行われる。
【0076】
なお、下部リンク片26が上下するに伴い、均平支持軸20も上下するので、均平部3の上下と連動して、タイン部6も上下する。これにより、均平作業機1が圃場表面で高い部分又は低い部分にさしかかると、タイン部6を下方又は上方に移動させて、均平部3の均平作業の高さに応じて、タイン部6による圃場表面の土の塊等の破砕作業を可能とする。
【0077】
以上、本発明に係る均平作業機を実施するための最良の形態を実施例に基づいて説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明に係る均平作業機は上記のような構成であるから、畑、水田等の均平作業に適用可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 均平作業機
2 フレーム部
3 均平部
4 上下可動用リンク機構
5 均平部高さ制御装置
6 タイン部
7 鎮圧輪
8 走行輪
11 中央フレーム
12 後部フレーム
13 支持フレーム
14 連結具
15 補助杆
16 固定用ブラケット
17 取付ブラケット
18 後端板
19 シリンダ
3L 左側均平部
3R 右側均平部
20 均平支持軸
21 均平部材
22 均平支持片
23 均平板片
24 前部リンク片
25 後部リンク片
26 下部リンク片
27 ブラケット片
28 駆動リンク片
29 支持フレームの前端部の枢支部
30 油圧シリンダ
31 ピストン軸
32 油圧シリンダの基端部
33 油圧シリンダの先端部
40 支柱
41 受光装置
42 油圧制御器
43 油圧供給ポンプ
44 水平支持板
45 受光部
46 検知信号変換部
47 センサケーブル
48 レーザ発光装置
49 水平レーザ信号
51 複数の受光素子
52 受光部の基準高さ位置部
53 油循環路
54 切替弁
55 油量制御弁
60 タイン支持軸
61 タイン部材
62 タイン支持片
63 タイン片
64 下部リンク片の中央部に形成された凹孔
65 ブラケット片
70 鎮圧輪の支持アーム
71 走行輪の取付フレーム
80 均平板
81 圃場
82 土
83 畝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム部と、上下可動用リンク機構と、均平部と、均平部高さ制御装置とを備え、フレーム部によりトラクタに連結されて圃場の均平作業を行う均平作業機であって、
上下可動用リンク機構は、フレーム部に取り付けられており、
均平部は、上下可動用リンク機構に取り付けられ作業進行方向に対して横方向に水平に伸びる均平支持軸と、均平支持軸にその長手方向に一定間隔を置いて取り付けられた複数の均平板片を有し、全体的には櫛歯状に構成されており、上下可動用リンク機構により、作業進行方向に対して側方から見て、均平板片がフレーム部に対する角度を変えることなく、上下に可動であり、
均平部高さ制御装置は、均平部とともに上下動するように設けられた受光装置と、油圧制御器と、油圧供給ポンプと、上下可動用リンク機構を駆動する油圧シリンダとを備えており、
受光装置は、圃場外部に設けられたレーザ発光装置から放射される水平レーザ信号を受光する受光部を有し、受光装置で検出した均平部の高さに応じて、油圧シリンダを動作して上下可動用リンク機構により均平部の高さを制御する構成であることを特徴とする均平作業機。
【請求項2】
フレーム部と、上下可動用リンク機構と、均平部と、均平部高さ制御装置とを備え、フレーム部によりトラクタに連結されて圃場の均平作業を行う均平作業機であって、
フレーム部は、作業進行方向である前後方向に伸び、前端にトラクタに1点支持で左右方向に回転可能に連結される連結片を固定した中央フレームと、中央フレームの後端に取り付られ作業進行方向に対して横方向に伸びる後部フレームと、後部フレームに固定され前方に水平に伸びる複数の支持フレームとを備えており、
上下可動用リンク機構は、支持フレームに枢着された前部リンク片及び後部リンク片と、前端及び後端が前部リンク片及び後部リンク片に枢着され、支持フレームに対して平行かつ上下に移動可能な下部リンク片とを有し、
均平部は、下部リンク片に固定され作業進行方向に対して横方向に水平に伸びる均平支持軸と、均平支持軸にその長手方向に一定間隔を置いて取り付けられた複数の均平板片とを有し、全体的には櫛歯状に構成されており、上下可動用リンク機構によって、作業進行方向に対して側方から見て、支持フレームと均平板片の下部のなす角度を変えることなく上下に可動であり、
均平部高さ制御装置は、下部リンク片に固定された水平支持板に起立して設けられた支柱と、支柱の上端に上下方向に取付位置を調節自在に取り付けられた受光装置と、油圧制御器と、油圧供給ポンプと、上下可動用リンク機構を駆動する油圧シリンダとを備えており、
受光装置は、圃場外部に設けられたレーザ発光装置から放射される水平レーザ信号を受光する受光部を有し、受光装置で検出した均平部の高さに応じて、油圧シリンダを動作して上下可動用リンク機構により均平部の高さを制御する構成であることを特徴とする均平作業機。
【請求項3】
均平部の後方にはタイン部が設けられており、タイン部は、タイン支持軸と、タイン支持軸の長手方向に沿って取り付けられた複数のタイン部材を備え、タイン支持軸は、下部リンク片に固定されていることを特徴とする請求項2記載の均平作業機。
【請求項4】
タイン部の後方には鎮圧輪が設けられており、鎮圧輪は、後部フレームに支持アームで回転可能に取り付けられていることを特徴とする請求項3記載の均平作業機。
【請求項5】
複数の均平板片の互いに隣接する間隔Lは、均平板片の幅Wに対して、L/Wが0.4〜0.7であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の均平作業機。
【請求項6】
後部フレームには、水平の退避状態及び垂直の走行状態のいずれかの姿勢でも切り替えて設定できるように、走行輪が取り付けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の均平作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−120473(P2012−120473A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273036(P2010−273036)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(391057937)スガノ農機株式会社 (25)
【Fターム(参考)】