説明

垂直外部共振器形面発光レーザ、及び、その発光部品を製造する方法

本発明は、VECSELの発光部品を製造する方法、及び、対応するVECSELに関する。本方法において、積層部2は、半導体基板1上にエピタキシャルに成長される。積層部は、活性化領域4、上部の分布ブラッグ反射器5、及び、前記活性化領域4と前記半導体基板1との間に設けられたn又はpドープ電流注入層13を有する。機械的サポート6又はサブマウントは、前記積層部2の上側に接合され、前記半導体基板1は、その後除去される。メタライズ層7は、前記積層部2の下側にオプション的に堆積され、光学的に透明な基板は、この下側に接合される。提案された方法は、標準的な手法において斯様な部品の製造を可能にし、均一な電流注入及び高効率の熱消散を伴うVECSELをもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部共振器の第1の端部ミラーを形成する外部ミラー、発光のための活性化領域と前記外部共振器の第2の端部ミラーを形成する分布ブラッグ反射器(DBR;distributed Bragg reflector)とを少なくとも有する積層部(layer stack)、及び、前記積層部が取り付けられる基板を有する、垂直外部共振器形面発光レーザ(VECSEL; vertical extended cavity surface emission laser)に関する。本発明は、斯様な垂直外部共振器形面発光レーザの発光部品を製造する方法にも言及する。
【背景技術】
【0002】
垂直外部共振器形面発光レーザは、投射アプリケーションのための期待される技術である。斯様なレーザのIR放出成分は、外部レーザ共振器の内部の非線形結晶での第2高調波発生(second harmonic generation)により青、緑及び赤の光に変換され得る。
【0003】
垂直共振器形面発光レーザ(VCSEL; vertical cavity surface emission laser)は、典型的に、2つの分布ブラッグ反射器間に挟まれた活性化(ゲイン)領域を有する積層部から形成される。積層部は、適切な誘電体及び/又は半導体の層シーケンスを有する。レーザ共振器は、外部結合の目的のために、一方が他方のものよりもレーザ発生波長での低い反射率をもつ2つのDBRで形成される。垂直外部共振器形面発光レーザの場合においては、共振器が、高い反射率をもつDBRと外部ミラーとの間に形成される。この外部共振器の内部に設けられる第2のDBRは、省略され得るか、又は、VCSELと比較してレーザ発生波長で低い反射率を有するように設計される。
【0004】
斯様なVECSELの安定動作に関して、光学レンズは、2つの平坦な端部ミラーを持つ安定共振器を形成するために、外部共振器の内部に要求される。更に、斯様なレーザの動作中に生成された熱は、活性化領域から効率的に消散されなければならない。
【0005】
国際公開第2004/086578号パンフレットは、光学的に透明な基板を、外部共振器の内部の積層部の自由側に取り付けることを開示している。この透明な基板は、ヒートスプレッダとして用いられ、レーザから出力される光に影響を与えるために1又は複数の更に選択された特性をもつように設計される。斯様な更なる特性の例は、レーザ放射の所望の偏光を実現するための偏光特性、レーザ放射の周波数倍増を実現するための非線形光学的応答、又は、出力光の焦点を合わせるか若しくはぼかすための曲面を設けることである。
【0006】
透明な基板の熱伝導性は、効果的なヒートシンクとしてこれらを用いるのに十分ではない。更に、活性化領域への均一な電流注入は、透明な基板が導電性ではないときに実現することが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、標準の半導体製造プロセスで実行され得るとともに、均一な電流注入及び高効率の熱消散を伴う発光部品を実現する、垂直外部共振器形面発光レーザの発光部品を製造する方法、並びに、斯様な部品を有する垂直外部共振器形面発光レーザを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本目的は、請求項1及び請求項13に記載された方法及び垂直外部共振器形面発光レーザで達成される。方法及びレーザの有利な実施形態は、従属請求項の主題であるか、又は、本明細書の後の部分に説明される。
【0009】
提案された方法において、積層部は、半導体基板上でエピタキシャルに成長される。前記積層部は、活性化領域を形成する半導体層と、上部の分布ブラッグ反射器を形成する上部層シーケンスと、前記半導体基板及び前記活性化領域の間のn又はpドープ電流注入層とを有する。上部の分布ブラッグ反射器は、レーザ発生波長に対して高反射率を有するように設計される。層の材料及び層の厚さ、並びに、垂直発光ダイオードを形成するために斯様な積層部をエピタキシャルに成長して構造化する手順は、従来技術において一般的に知られている。オプション的に、積層部は、前記活性化領域とn又はpドープ電流注入及び拡散層との間に下部の分布ブラッグ反射器を形成する下部層シーケンスも有するように成長される。この下部の分布ブラッグ反射器は、上部の分布ブラッグ反射器よりもレーザ発生波長に対して低反射率を有するように設計される。
【0010】
最初に、積層部を伴う基板の上部が、構造化され、電気的閉じ込め(electrical confinement)を生成するために部分的に金属化される。次のステップにおいて、積層部を伴う半導体基板は、積層部の上側で、支持又はサブマウント(submount)基板に接合される。そして、半導体基板は、例えばエッチング又は切除により除去される。その後、光学的に透明な基板、例えばガラス基板が積層部の下側に接合され、該光学的に透明な基板の面上に(DBRを形成する)ミラー層、(活性化層を形成する)ゲイン層、及び、n又はpドープ電流注入層のエピタキシャルに成長されたスタックが得られる。
【0011】
そして、発光部品は、外部ミラーと一緒に垂直外部共振器形面発光レーザを形成するために搭載され得、上部の分布ブラッグ反射器が一方の端部ミラーを形成し、外部ミラーが外部共振器の他方の端部ミラーを形成する。透明な基板は、この外部共振器の内部に配置され、レーザ放射の光学特性に影響を与える更なる機能を提供するように設計され得る。
【0012】
好ましい実施形態においては、半導体基板を除去するステップに続いて、メタライズ層(metallization layer)が積層部の今やカバーされていない下側に堆積される。このメタライズ層は、発光部品の動作に対して必要であれば、追加的に構造化されてもよい。
【0013】
他の好ましい実施形態においては、全ての方法ステップは、ウエハーレベルで実行される。これは、半導体基板が、積層部が複数の垂直発光ダイオードを並べて形成するようにエピタキシャルに成長されて構造化されるウエハー基板であることを意味する。前記光学的に透明な基板のウエハー接合の後、生ずる基板及び積層部は、各部品が1又は幾つかの発光ダイオードを有する単一の部品に切断される。
【0014】
支持基板は、個々の部品に切断するステップの前に除去され得る。そして、適切なヒートシンクは、好ましくは切断するステップの前に、部品のこの面に接合され得る。代替手段として、積層部の上側に接合されたサブマウント構造は、斯様なヒートシンクを予め形成してもよく、例えば、一方側から積層部を電気的に接触させるために一体化された導体構造を伴う金属セラミック混合物から作られる。そして、サブマウント構造は、部品上に残る。
【0015】
従って、本発明による提案された垂直外部共振器形面発光レーザは、外部共振器の第1の端部ミラーを形成する外部ミラーと、光学的に透明な基板と、積層部と、ヒートシンクとを少なくとも有する。積層部は、光学的に透明な基板の面上に設けられた、活性化領域(ゲイン媒体)、外側の分布ブラッグ反射器、及び、n又はpドープ電流注入層を有する。外側の分布ブラッグ反射器は、外部共振器の第2の端部ミラーを形成する。オプション的に、積層部は、活性化領域と電流注入層との間に挟まれた内側の分布ブラッグ反射器も有し、内側の分布ブラッグ反射器は、外側の分布ブラッグ反射器よりもレーザ発生波長に対して低反射率を有する。透明な基板は、外部共振器の内部に設けられ、電流注入層の側で積層部に取り付けられる。ヒートシンクは、外側の分布ブラッグ反射器の側で積層部に取り付けられる。提案された垂直外部共振器形面発光レーザは、更に好ましくは、n又はpドープ電流注入層と前記透明な基板との間に挟まれた金属層(metallic layer)を有する。
【0016】
光学的に透明な基板による半導体基板の置換に起因して、この透明側は、発光部品の発光のために用いられ得る、即ち、外部共振器の内部に配置され得る。これは、熱生成する活性化領域の非常に近くの当該発光部品の外側への効率的なヒートシンクの取り付けを可能にし、これは、高効率の熱消散をもたらす。
【0017】
好ましい実施形態に含まれるメタライズ層は、電流分布の均一化を向上させ、導電性基板の必要なしに、非常に薄いn又はpドープの電流注入層を用いることを可能にする。この金属層は、透明な基板の側から、基板中にエッチングされ得る適切なホールを介して電気的に接触され得るか、又は、電流注入層が、上部のDBRの側から、従来において既知である溝(grove)若しくは適切なビアホールを介して接触されるかのいずれかである(例えば、電流注入層13に接触しているメタライズ層を示す図2及び3中のp接触14を参照)。方法は、費用効率が高い大量生産を可能にする垂直共振器形面発光レーザを生産する既知の技術とともに適用され得る。
【0018】
層の厚さ及び電流注入層のドーピング濃度は、接触及びドーピング(p又はnタイプ)の態様に依存して、好ましくは以下の範囲にある。
ケース1:金属層を介しての接触:ドープ層の厚さ100〜1000nm,p-type 10E18〜10E20cm-3,n-type 10E17〜10E18cm-3
ケース2:ドープ層を介しての接触:ドープ層の厚さ100〜1000nm,p-type 10E19〜10E20cm-3,n-type 10E17〜10E18cm-3
ケース3:ドープ層を介しての接触,金属層無:ドープ層の厚さ500〜5000nm,p-type 10E19〜10E20cm-3,n-type 10E17〜10E18 cm-3
【0019】
ケース1及び2において、金属層の好ましい厚さは、非パターン化(unpatterned)のときには1〜10nmであり、パターン化(patterned)のときには10〜50nmである。
【0020】
ドープ層の厚さは、如何なる場合においても、外部共振器の内部のレーザ放射の定常波パターンに適合された相になるように選択される。
【0021】
これらの好ましい範囲を見ても分かるように、金属層の条件は、電流注入層の厚さを削減することを可能にし、これは、この層におけるレーザ放射のより少ない吸収をもたらす。代わりに又は加えて、この層のドーピング濃度は、同一の結果で削減され得る。
【0022】
好ましい実施形態において、透明な基板は、垂直外部共振器形面発光レーザの内部の更なる光学機能を提供するために予め製造されている。透明な基板、特にガラス基板は、例えば、コリメートレンズの効果を実現するように構造化され得る。概して、透明な基板も、光学的に透明な材料層の積層部で形成され得る。透明な基板は、偏光子(polarizer)の光学機能を提供するために複屈折材料で作られ得るか、又は、周波数倍増の目的のために非線形光学材料で作られ得る。後者の場合において、部品により放出された光は、例えば緑の波長領域においてレーザ放出を実現するために、この基板において周波数が倍増される。それにもかかわらず、レンズ又は周波数倍増結晶のような斯様な光学部品は、光放出部品と同一目的のための外部ミラーとの間の外部レーザ共振器の内部に設けられてもよい。更に、透明な基板は、表面反射率を低くするため、又は、波長フィルタリング機能を提供するために、一方又は双方の側に誘電体コーティングを有してもよい。他の実施形態において、透明な基板は、レーザ放射の適切な波長安定化のためのボリュームブラッググレーティング(VBG;volume Bragg grating)を形成するように構造化されてもよい。
【0023】
金属層は、この金属化がレーザ動作を阻止しないように、外部レーザ共振器の内部に設計されるか又は設けられなければならない。この目的を達成するために、この金属化は、レーザ放射が外部共振器の内部を伝播する位置に開口又はホールを提供するように構造化されてもよい。メタライズ層のこの構造化によれば、適切な光閉じ込め(optical confinement)によりレーザ放射のモード構造に追加的に影響を与えることも可能となる。
【0024】
更に好ましい実施形態において、メタライズ層は、レーザ共振器の内部に形成されたレーザ放射の定常波のノード内に設けられる。この位置において、メタライズ層は、構造化されていない場合でさえもレーザ動作を妨げない。好ましくは、メタライズ層は、この場合において、100nm未満、より好ましくは10nm未満の非常に小さな厚さを有する。
【0025】
提案された方法において、積層部を生成する全てのウエハー処理が、VCSELを生成する標準的な態様において行われ得る。処理を終了した後に基板移動が行われる。
【0026】
好ましくは、積層部がエピタキシャルに成長される半導体基板は、p若しくはnドープのGaAs基板、又は、半絶縁のGaAs基板である。一の斯様な実施形態において、下部のDBRは、交互屈折率(alternating refractive index)を伴う4〜13対のpドープ層のpドープ層シーケンスで形成される。これに対し、上部のDBRは、交互屈折率を伴う20よりも多い対のnドープ層で形成される。この場合において、pドープ電流注入層は、メタライズ層と下部のDBRとの間に形成される。
【0027】
これら及び本発明の他の態様は、後述される実施形態から明らかになり、後述される実施形態を参照して説明される。
【0028】
提案された方法及び垂直外部共振器形面発光レーザは、特許請求の範囲で規定された保護範囲を限定することなく、図面に関連して例により以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1a】提案された方法の方法ステップを示す概略図である。
【図1b】提案された方法の方法ステップを示す概略図である。
【図1c】提案された方法の方法ステップを示す概略図である。
【図1d】提案された方法の方法ステップを示す概略図である。
【図1e】提案された方法の方法ステップを示す概略図である。
【図1f】提案された方法の方法ステップを示す概略図である。
【図1g】提案された方法の方法ステップを示す概略図である。
【図1h】提案された方法の方法ステップを示す概略図である。
【図1i】提案された方法の方法ステップを示す概略図である。
【図2】本発明の第1実施形態によるVECSELの部分切り取り図である。
【図3】本発明の第2実施形態によるVECSELの部分切り取り図である。
【図4】本発明の第3実施形態によるVECSELの部分切り取り図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、提案された方法の例となる実施形態により実行された一連の方法ステップを示している。第1のステップにおいて、図1aによれば、GaAs半導体基板1が提供される。pドープ電流注入層13、下部の分布ブラッグ反射器(DBR)3、活性化領域4及び上部の分布ブラッグ反射器(DBR)5を形成する積層部2は、半導体基板1上にエピタキシャルに成長される(図1b)。2つのDBR3,5は、多くの対の半導体層のスタックであり、最も単純な場合においては、それぞれが、設計波長λ、即ち半導体材料におけるレーザの波長でλ/4の厚さである。各対は、高及び低屈折率の層、例えばAlGaAsを有する。上部のDBR5は、レーザ波長で98〜99.9%(又は>99.9%)の反射率をもつように設計され、それ故、20よりも多いpドープ層の対で形成される。下部のDBR3の場合において、このDBRは、レーザ波長で50%〜95%の低反射率をもたらす4~13対のnドープ層のだけで形成される。この低反射率は、下部のDBR3の面が活性化領域4において生成された光の光出力側であることから必要である。活性化領域4は、量子井戸構造、例えばGaAsで具現された3つのInGaAsの量子井戸で作られ得る。
【0031】
次のステップにおいて、エピタキシャル層が通常の方法で構造化される。特に、p又はn側に対する金属接触が提供される。
【0032】
次のステップにおいて、支持基板として機能する補助基板6は、積層部2の上面に接合される(図1c)。そして、半導体基板1は、エッチングにより除去される(図1d)。このエッチングステップに続いて、メタライズ層7が積層部2の下側に堆積される(図1e)。そして、ガラス基板8が、図1fによる積層部2の下側に接合される。メタライズ層7は、積層部2とガラス基板8との間に挟まれる。そして、補助基板6が除去され得る。その結果が、中間に挟まれたメタライズ層7もつガラス基板8上の積層部2である。そして、この基板及び積層部は、例えば切断(sawing)により、通常の方法で個々の部品又はチップ9に切断される。これらの部品の上側に対して、適切なヒートシンク10が取り付けられる。これらの部品は、ガラス基板を介して光を放出し、例えば図2又は3に示された垂直外部共振器形面発光レーザの発光部品として用いられる。
【0033】
図2は、部分切り取り図において斯様なVECSELに関する一例を示している。この図において、ガラス基板8に取り付けられた積層部2は、外部共振器の一方側に示され、反対側に外部ミラー11が示される。外部ミラー11は、ダイクロイックミラーであってもよく、外部共振器の第1の端部ミラーを表し、又は、スペクトル的に狭い(<0.5nm)反射率を伴うVBGであってもよい。第2の端部ミラーは、積層部2の上部のDBR5(この図においては下側)で形成される。図2及び図3中の同一の参照符号は、図1に関連して既に述べられたものと同一の部品を表す。ガラス基板8と外部ミラー11との間において、更なる光学部品12、例えば周波数倍増非線形光学結晶が設けられ得る。それにもかかわらず、他の光学部品が、外部ミラー11とガラス基板8との間に設けられてもよい。ガラス基板8は、メタライズ層7及び高導電性pドープ層13により積層部の面でカバーされ、後者は、積層部2をエピタキシャルに成長するときに予め形成されている。
【0034】
好ましくは、半導体基板を除去する前に、層13及び7の接触が、リソグラフィ及びそれに続くエッチングを介して行われる。この目的を達成するために、溝は、スタックをエピタキシャルに成長した後に積層部2においてエッチングされる。溝をエッチングした後、絶縁層及びそれに続く適切なメタライズ層が、pドープ注入層13のためのp接触14、及び、積層部の反対側のためのn接触15を提供するために、堆積及び構造化される。
【0035】
ヒートシンクは、積層部2の自由側にはんだ付又は接合され得る。全ての電気的接続及び熱的接触は、このヒートシンクを介して行われ得る。
【0036】
この実施形態において、レンズ16は、ガラス基板8の内部に形成される。斯様なレンズは、積層部への基板の接合に対する従来において既知の適切な技術により、例えばガラス基板8の内部のガラスの屈折率を適切に変更することにより、基板中に形成され得る。また、レンズのアレイがこのガラス基板中にスクライブ(scribe)されてもよい。更なる可能性は、ガラス基板の表面上にレンズを熱プレス又はモールドすることである。
【0037】
図3は、ガラス基板8の内部にレンズがなく、ヒートシンク10が取り付けられる点だけが図2の実施形態とは異なる他の実施形態を示している。このデバイスの他の構造は、図2を参照して既に述べられたものと同一である。
【0038】
図4は、ガラス基板8の内部にレンズがなく、下部のDBR及び金属層がない点が図2の実施形態とは異なる他の実施形態を示している。このデバイスの他の構造は、図2を参照して既に述べられたものと同一である。
【0039】
本発明は、図面及び前述の説明において詳細に示されて説明された一方で、斯様な例示及び説明が例示又は例であり限定ではないと見なされるべきであり、本発明は、開示された実施形態に限定されない。上記及び特許請求の範囲で述べられた異なる実施形態も組み合わせられ得る。開示された実施形態に対する他のバリエーションが、図面、開示及び特許請求の範囲の研究から、当業者により理解及び達成され得る。例えば、VECSELは、VECSELアレイを提供するために、並列配置の発光部品のアレイで形成されてもよい。この場合において、アレイは、単一の透明基板を共有する。
【0040】
ガラス基板を、異なる光学機能をもつ他の透明プレートと組み合わせることも可能である。例えば、スタックが、ガラスプレート、非線形光学材料から作られたプレート、及び、外部ミラー(VBG又はダイクロイック)から形成され得る。このスタックは、半導体構造への接合前に予め製造され得る。
【0041】
全ての光学表面は、基本波のIR放射又は周波数倍増(例えば緑)放射のいずれかのために、反射防止層により、又は、反射のダイクロイックコーティングにより、通常の方法で覆われ得る。
【0042】
特許請求の範囲において、"有する"という用語は、他の要素又はステップを除外するものではなく、単数表記は複数を除外するものではない。手段が相互に異なる従属請求項に記載されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが利益をもたらすために用いられ得ないことを示すものではない。特許請求の範囲中の如何なる参照符号も、これらの請求項の範囲を限定するものとして考慮されるべきではない。
【符号の説明】
【0043】
1 半導体基板
2 積層部
3 下部のDBR
4 活性化領域
5 上部のDBR
6 支持基板
7 メタライズ層
8 ガラス基板
9 発光部品
10 ヒートシンク
11 外部ミラー
12 周波数倍増結晶
13 pドープ電流注入層
14 p接触
15 n接触
16 統合レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部共振器の第1の端部ミラーを形成する外部ミラーと、
前記外部共振器の第2の端部ミラーを形成する、レーザ発生波長に対する分布ブラッグ反射器(DBR;distributed Bragg reflector)と、
前記分布ブラッグ反射器の内側に設けられる、発光のための活性化領域と、
前記活性化領域及び前記分布ブラッグ反射器が少なくとも自身の一部を形成する積層部に取り付けられる、前記外部共振器の内部の光学的に透明な基板と、
前記分布ブラッグ反射器の外側で前記積層部に取り付けられるヒートシンクとを少なくとも有し、
電流注入層が、前記活性化領域と前記光学的に透明な基板との間に挟まれ、レーザ動作を可能にするように設計され又は設けられる、垂直外部共振器形面発光レーザ(VECSEL; vertical extended cavity surface emission laser)。
【請求項2】
追加の金属層が、前記電流注入層と前記透明な基板との間に挟まれる、請求項1に記載の垂直外部共振器形面発光レーザ。
【請求項3】
追加の分布ブラッグ反射器が、前記活性化領域と前記電流注入層との間に挟まれ、前記第2の端部ミラーを形成する前記分布ブラッグ反射器の反射率よりもレーザ発生波長に対して低い反射率をもち、
前記追加の分布ブラッグ反射器は、4〜13対の層で形成される、請求項1又は請求項2に記載の垂直外部共振器形面発光レーザ。
【請求項4】
前記透明な基板は、前記第2の端部ミラーを形成する前記分布ブラッグ反射器の反射率よりもレーザ発生波長に対して低い反射率を伴うダイクロイックのコーティングを有する、請求項1又は請求項2に記載の垂直外部共振器形面発光レーザ。
【請求項5】
前記光学的に透明な基板は、ガラス基板である、請求項1又は請求項2に記載の垂直外部共振器形面発光レーザ。
【請求項6】
他の光学部品が、前記外部ミラーと前記透明な基板との間の前記外部共振器の内部に設けられる、請求項1又は請求項2に記載の垂直外部共振器形面発光レーザ。
【請求項7】
前記第2の端部ミラーを形成する前記分布ブラッグ反射器は、20よりも多い対の層で形成される、請求項3に記載の垂直外部共振器形面発光レーザ。
【請求項8】
前記金属層は、前記活性化領域における電流分布、及び/又は、レーザの光学的挙動に影響を与えるように構造化される、請求項2に記載の垂直外部共振器形面発光レーザ。
【請求項9】
前記金属層は、外部共振器内に形成するレーザ放射の定常波のノードに設けられる、請求項2に記載の垂直外部共振器形面発光レーザ。
【請求項10】
前記ヒートシンクは、前記積層部に電気的に接触するための導体構造を有する、請求項1又は請求項2に記載の垂直外部共振器形面発光レーザ。
【請求項11】
前記透明な基板は、光学機能を実行するように設計される、特に、偏光子、レンズ又は周波数倍増結晶を形成するように設計される、請求項1又は請求項2に記載の垂直外部共振器形面発光レーザ。
【請求項12】
前記透明な基板は、少なくとも幾つかが異なる光学機能を有する複数の異なる材料層のサンドイッチで形成される、請求項1又は請求項2に記載の垂直外部共振器形面発光レーザ。
【請求項13】
垂直外部共振器形面発光レーザ(VECSEL; vertical extended cavity surface emission laser)の発光部品を製造する方法であって、
発光のための活性化領域、上部の分布ブラッグ反射器を形成する上部層シーケンス、及び、半導体基板と前記活性化領域との間に挟まれたn又はpドープ電流注入層を形成する少なくとも複数の層を有する積層部を、前記半導体基板上にエピタキシャルに成長させるステップと、
機械的サポート又はサブマウントを前記積層部の上側に取り付けるステップと、
前記半導体基板を除去するステップと、
光学的に透明な基板を前記積層部の下側に接合させるステップとを少なくとも有する、方法。
【請求項14】
メタライズ層は、前記半導体基板を除去するステップと光学的に透明な基板を前記積層部の下側に接合させるステップとの間において、前記積層部の下側に堆積される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
エピタキシャルに成長された前記積層部は、前記活性化領域と前記n又はpドープ電流注入層との間に下部の分布ブラッグ反射器を形成する下部層シーケンスを有する、請求項13又は請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記機械的サポートは、前記積層部の上側に接合され、前記光学的に透明な基板を前記積層部の下側に接合させるステップの後に除去される、請求項13又は請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記サブマウントは、前記積層部の上側に接合又ははんだ付けされる、請求項13又は請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記メタライズ層は、光伝送のためのホールを提供するために、及び/又は、偏光子若しくはモデル制御のような追加の光学機能性を提供するために、構造化される、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記半導体基板は、ウエハー基板であり、
前記積層部は、前記ウエハー基板に複数の垂直発光ダイオードを並べて形成するためにエピタキシャルに成長され、前記光学的に透明な基板の結合の後に、生ずる基板及び前記積層部が、各部品が1又は幾つかの発光ダイオードを有する単一の部品に切断される、請求項13又は請求項14に記載の方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図1e】
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【図1f】
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【図1g】
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【図1h】
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【図1i】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−521806(P2010−521806A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553253(P2009−553253)
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【国際出願番号】PCT/IB2008/050859
【国際公開番号】WO2008/114160
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】