説明

埋め込まれた信号線を電気デバイスに接続するための相互接続構造体および方法

トレース、信号線、或いはトレース又は信号線に接続されたコンタクトパッド(202)のような電気部品は、1つ又は複数の層(106,110)により覆われている。電気部品は、1つ又は複数の層(106,110)を貫通する開口(114)を形成することにより、電気デバイスに直接的に接続される。開口(114)は電気部品の一部を露出する。次いで、ハンダボール(410)、ピンコンタクト(618)、又はワイヤボンド(502)のようなコネクタが、電気部品の露出された部分に取り付けられる。コネクタは、別の電気デバイスに直接的に接続され、電気部品と電気デバイスとの間に電気接続を形成する。電気デバイスは、例えば、第2の信号線または別のストリップ線路回路のコンタクトパッド(412)、マイクロストリップ回路、集積回路、又は電気部品として構成され得る。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
プリント基板のような多くの電気部品において、トレース又は信号線は、1つ又は複数の層の材料により覆われている。例えば、信号線は、誘電体層および接地層により覆われ得る。その場合、開口またはバイアが、信号線の露出された部分と電気接触するために、接地層および誘電体層を貫通して形成されなければないらない。
【0002】
図1は、従来技術によるストリップ線路回路の一部の断面図である。ストリップ線路回路100は、2つの誘電体層106、108により取り囲まれたバイアキャプチャパッド104を備える信号層102を含む。接地層110、112がそれぞれ、誘電体層106、108を覆う。バイアキャプチャパッド104は、信号層102のトレース又は信号線(図示せず)と接触する。
【0003】
バイア114は、接地層110及び誘電体層106を貫通して形成されて、バイアキャプチャパッド104の一部を露出する。金属116がバイア114を満たし、バイアキャプチャパッド104とコンタクトパッド118との間に電気接続を形成する。別の信号線または電気デバイス(図示せず)が、金属コネクタ120を用いてコンタクトパッド118に接続され得る。コネクタ120は、例えば、ハンダボール、コンタクトピン、又はワイヤボンドとして構成され得る。
【0004】
バイアキャプチャパッド104、金属116、コンタクトパッド118、及びコネクタ120は、バイアキャプチャパッド104に接続される信号線と別の電気デバイスとの間の相互接続を形成する。残念ながら、寄生インダクタンス及び寄生キャパシタンスが、相互接続の構造体により増加する。コンタクトパッド118は、追加の寄生キャパシタンスを追加するが、バイア114及び金属116は、接続において寄生インダクタンスを増大させる。また、バイアは、バイアキャプチャパッド104の最小寸法が相互接続に必要とされる最小寸法よりも大きい場合、回路の密度を制限する可能性もある。
【0005】
概要
本発明によれば、埋め込まれた信号線を電気デバイスに接続するための相互接続構造体および方法が提供される。トレース、信号線、或いはトレース又は信号線に接続されたコンタクトパッドのような電気部品は、1つ又は複数の層により覆われている。電気部品は、1つ又は複数の層を貫通する開口を形成することにより、電気デバイスに直接的に接続される。開口は、電気部品の一部を露出する。次いで、ハンダボール、ピンコンタクト、又はワイヤボンドのようなコネクタが、電気部品の露出された部分に取り付けられる。コネクタは、別の電気デバイスに直接的に接続され、電気部品と電気デバイスとの間に電気接続を形成する。電気デバイスは、例えば、第2の信号線または別のストリップ線路回路のコンタクトパッド、マイクロストリップ回路、集積回路、又は電気部品として構成され得る。
【0006】
本発明は、添付図面と共に読まれる場合に、本発明による実施形態の以下の詳細な説明を参照することにより、最も良く理解されるであろう。
【0007】
詳細な説明
以下の説明は、当業者が本発明を実施および使用することを可能にするために提供されており、特許出願およびその要件との関連で提供される。開示された実施形態に対する種々の修正形態は、当業者には容易に明らかになり、本明細書の一般的な原理は他の実施形態に適用され得る。従って、本発明は、図示された実施形態に限定されることが意図されておらず、添付の特許請求の範囲および本明細書に説明された原理と特徴と一致する最も広い範囲を与えられるべきである。理解されるべきは、この説明において参照される図面は、一律の縮尺に従わずに描かれていることである。
【0008】
さて、図面を参照し、特に図2を参照すると、本発明による第1の実施形態において、電気デバイスに接続されたストリップ線路回路のセクションの断面図が示される。ストリップ線路回路200は、2つの誘電体層106、108により取り囲まれたコンタクトパッド202を備える信号層102を含む。接地層110、112がそれぞれ、誘電体層106、108を覆う。本発明によるこの実施形態において、コンタクトパッド202は、任意の所望の寸法に形成されることができ、信号層102のトレース又は信号線(図示せず)と接触する。本発明による他の実施形態において、コンタクトパッド202は、トレース又は信号線自体、電気部品、又は集積回路である。
【0009】
開口114が、接地層110及び誘電体層106を貫通して形成され、コンタクトパッド202の一部を露出する。本発明によるこの実施形態において、電気デバイス206のコンタクトパッド204とストリップ線路回路200のコンタクトパッド202との間の電気接続は、コネクタ208により直接的に行われる。電気デバイス206は、例えば、別のストリップ線路回路、マイクロストリップ回路、集積回路、又は電気部品として実施され得る。コネクタ208は、以下に制限されないが、ハンダボール、コンタクトピン、ワイヤボンド、又は他のコンタクト方法を含む。
【0010】
コンタクトパッド202、コネクタ208、及びコンタクトパッド204は、この実施形態において相互接続を形成し、電気デバイス206とコンタクトパッド202に接続された信号線との間に電気接続を形成する。図2に示されるように、誘電体層106及び接地層110の厚みは、コネクタ208がコンタクトパッド204と接続できるように、コネクタ208の高さよりも少ない。本発明による他の実施形態において、ストリップ線路回路は、図2に示された層よりも多い層を含むことができる。これらの他の実施形態において、コンタクトパッドの上にある層の厚みの合計は、コネクタの高さ又は厚みよりも少なくなるべきである。
【0011】
図3は、本発明による実施形態におけるピングリッドアレイの一部の拡大斜視図である。ストリップ線路回路300、302は、ピングリッドアレイ304により互いに電気接続される。ピングリッドアレイ304は、図2の相互接続構造を利用する多数の金属ピンを含む。従って、ピングリッドアレイ304のピンは、開口へ直接的に挿入されて、2つの回路300、302の全体にわたって配置された種々の信号線間に直接的な電気接続を形成する。当業者には認識されるように、本発明による他の実施形態において、ボールグリッドアレイが、ピングリッドアレイ304の代わりに使用され得る。
【0012】
さて、図4A〜図4Dを参照すると、本発明による第1の実施形態において、相互接続要素を製造するための方法を示すストリップ線路回路のセクションの断面図が示される。ストリップ線路回路400は、2つの誘電体層106、108により取り囲まれたコンタクトパッド202を備える信号層102を含む。接地層110、112がそれぞれ、誘電体層106、108を覆う。本発明によるこの実施形態において、コンタクトパッド202は、信号層102のトレース又は信号線(図示せず)と接触する。本発明による他の実施形態において、コンタクトパッド202は、トレース又は信号線自体、電気部品、又は集積回路である。
【0013】
図4Aに示されるように、マスク又はフォトレジスト層402が、接地層110の上に形成または被着される。マスクは、従来のパターニング技術を用いて現像されてパターニングされ、コンタクトパッド202に対する開口が形成されることになる場所にギャップ404を形成する。次いで、フォトレジスト層402により覆われていない接地層110がエッチングされて、誘電体層106の一部が露出される。エッチングプロセスは、例えば、化学エッチングにより実施され得る。次いで、フォトレジスト層402が除去される。
【0014】
図4Bは、誘電体層106の上に被着された別のマスク又はフォトレジスト406を備えるストリップ線路回路400を示す。フォトレジスト層406は、従来のパターニング技術を用いて現像されてパターニングされ、開口が形成されることになる場所にギャップ408を形成する。次いで、マスク406により覆われていない誘電体層106がエッチングされて、コンタクトパッド202の一部が露出される。次いで、フォトレジスト層406が除去される。
【0015】
本発明によるこの実施形態において、コンタクトパッド202は、エッチストップの働きをすることができる。当業者には認識されるように、開口は、エッチング以外の技術を用いて形成され得る。例えば、開口は、機械的またはレーザ穴開け技術でもって形成され得る。
【0016】
本発明によるこの実施形態において、図4Cにおいて、ハンダボール410を用いて、電気接続を形成する。当業者には認識されるように、電気接続は、以下に限定されないが、コンタクトピン、フリップチップのバンプ、ワイヤボンド、ピングリッドアレイ、ボールグリッドアレイ、及び表面実装の技術を含む他の導電性接続技術を用いて実施され得る。ハンダボール410は、開口内へ堆積され、コンタクトパッド202と接触する。溶融された場合、ハンダは信号層102のコンタクトパッド202を電気デバイス414のコンタクトパッド412に直接的にボンディングする。このステップは、図4Dに示される。
【0017】
ここで、図5を参照すると、本発明による第2の実施形態におけるストリップ線路回路の一部の断面図が示される。ストリップ線路回路500は、図4A〜図4Dに関連して説明された製造技術に従って構成された。しかしながら、図5の実施形態において、ワイヤ502がコンタクトパッド202にボンディングされ、コンタクトパッド202と電気デバイス(図示せず)との間の電気接続を形成する。
【0018】
図6A〜図6Cは、本発明による第2の実施形態において、ストリップ線路回路を製造するための方法を示すストリップ線路回路のセクションの断面図である。ストリップ線路回路は、図6Aに示されるように、コンタクトパッド600及び2つの層602、604で形成される。本発明によるこの実施形態において、コンタクトパッド600は、トレース又は信号線(図示せず)に接続される。本発明による他の実施形態において、コンタクトパッド202は、トレース又は信号線自体、電気部品、又は集積回路である。
【0019】
層602は、予め製造された誘電体層606及び予め製造された接地層608を含む。予め製造された誘電体層および接地層606、608は、ストリップ線路回路の製造が完了した際に、コンタクトパッド600に対する開口610を提供するように形成されている。層604は、予め製造された誘電体層612及び予め製造された接地層614を含む。ストリップ線路回路を構成するために、層602は、層602と604との間に入るコンタクトパッドと共に、層604に取り付けられる。層602を層604に取り付けるための方法は、以下に限定されないが、張り付け(laminate)、融合、エポキシ接着、又は接着を含む。
【0020】
本発明による一実施形態において、信号層が、コンタクトパッド600を形成するためにパターニングされる前に、誘電体層612に取り付けられる。次いで、信号層は、従来のパターニング技術を用いてパターニングされる。本発明による別の実施形態において、信号層は、コンタクトパッド600を形成するために別個にパターニングされ、パターニングされた信号層は、誘電体層606と612との間に配置される。
【0021】
さらに、本発明による一実施形態において、接地層608と614は、誘電体層606を誘電体層612に取り付ける前に、誘電体層606、612に取り付けられる。本発明による別の実施形態において、接地層608と614は、誘電体層606が誘電体層612に取り付けられた後に、誘電体層606、612に取り付けられる。
【0022】
図6Bは、層602と604が結合された後のストリップ線路回路616を示す。ここで、コンタクトパッド600は、誘電体材料によって取り囲まれており、開口610がコンタクトパッド600の一部を露出する。図6Cは、電気デバイス622の構造体620により保持された金属ピン618を示す。金属ピン618は、コンタクトパッド600にボンディングされ、電気デバイス622とコンタクトパッド600との間の電気接続を形成する。
【0023】
図2〜図6の実施形態はストリップ線路回路に関連して説明されたが、本発明による他の実施形態は、この具現化形態に限定されない。本発明による相互接続は、例えば、プリント基板において、及びフリップチップ実装(flip-chipping)で、埋め込まれたトレース又は信号線に対する接続が必要とされるときはいつでも、利用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】従来技術によるストリップ線路回路の一部の断面図である。
【図2】本発明による第1の実施形態において、電気デバイスに接続されたストリップ線路回路のセクションの断面図である。
【図3】本発明による実施形態におけるピングリッドアレイの一部の拡大斜視図である。
【図4A】本発明による第1の実施形態において、相互接続要素を製造するための方法を示すストリップ線路回路のセクションの断面図である。
【図4B】本発明による第1の実施形態において、相互接続要素を製造するための方法を示すストリップ線路回路のセクションの断面図である。
【図4C】本発明による第1の実施形態において、相互接続要素を製造するための方法を示すストリップ線路回路のセクションの断面図である。
【図4D】本発明による第1の実施形態において、相互接続要素を製造するための方法を示すストリップ線路回路のセクションの断面図である。
【図5】本発明による第2の実施形態におけるストリップ線路回路の一部の断面図である。
【図6A】本発明による第2の実施形態において、ストリップ線路回路を製造するための方法を示すストリップ線路回路のセクションの断面図である。
【図6B】本発明による第2の実施形態において、ストリップ線路回路を製造するための方法を示すストリップ線路回路のセクションの断面図である。
【図6C】本発明による第2の実施形態において、ストリップ線路回路を製造するための方法を示すストリップ線路回路のセクションの断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電気デバイスの信号線に接続されたコンタクトパッド(202)であって、前記コンタクトパッド(202)及び前記信号線が1つ又は複数の層(106、110)によって覆われている、コンタクトパッド(202)と、
前記コンタクトパッド(202)の一部を露出するために、前記1つ又は複数の層(106、110)を貫通する開口(114)と、
第2の電気デバイスと直接的に接触し、前記コンタクトパッド(202)に接触するために前記開口(114)内へと延在し、前記コンタクトパッド(202)と前記第2の電気デバイスとの間に電気接続を形成するコネクタとを含む、相互接続要素。
【請求項2】
前記第1の電気デバイスが、第1のストリップ線路回路(200)、電気部品、及びプリント基板の1つからなる、請求項1に記載の相互接続要素。
【請求項3】
前記コネクタが、ハンダボール(410)、ピン(618)、ピングリッドアレイ(304)のピン、ボールグリッドアレイのハンダボール、ワイヤボンド(502)、フリップチップのバンプ、及び表面実装の1つからなる、請求項1又は2に記載の相互接続要素。
【請求項4】
前記第2の電気デバイスが、第2のストリップ線路回路、マイクロストリップ回路、集積回路、及び電気部品の1つからなる、請求項1〜3の何れかに記載の相互接続要素。
【請求項5】
1つ又は複数の層(106、110)により覆われている電気部品と電気デバイスとの間の相互接続要素を製造するための方法であって、
前記電気部品の一部を露出するために、前記1つ又は複数の層(106、110)に開口(114)を形成し、
コネクタが前記電気デバイス及び前記電気部品と直接的に接触するように、前記コネクタを前記開口(114)内へ挿入し、それにより前記電気部品と前記電気デバイスとの間に電気接続を形成することを含む、方法。
【請求項6】
前記電気部品が、信号線および信号線に接続されたコンタクトパッド(202)の1つからなる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記電気部品が、ストリップ線路回路(200)に含まれる、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記コネクタが、ハンダボール(410)、ピン(618)、ピングリッドアレイ(304)のピン、ボールグリッドアレイのハンダボール、ワイヤボンド(502)、及び表面実装の1つからなる、請求項5〜7の何れかに記載の方法。
【請求項9】
前記電気デバイスが、第2のストリップ線路回路、マイクロストリップ回路、集積回路、及び電気部品の1つからなる、請求項5〜8の何れかに記載の方法。
【請求項10】
相互接続要素を製造するための方法であって、
開口(610)を備えるように予め製造される第1の層(602)を形成し、
第2の層(604)を形成し、
前記開口(610)が前記第1の層(602)と前記第2の層(604)との間に配置される電気部品の一部を露出するように、前記第2の層(604)に前記第1の層(602)を取り付け、
コネクタが電気デバイス及び前記電気部品と接触するように、前記コネクタを前記開口(610)内へ挿入し、それにより前記電気部品と前記電気デバイスとの間に電気接続が形成されることを含む、方法。
【請求項11】
前記電気部品が、信号線および信号線に接続されたコンタクトパッド(600)の1つからなる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記電気部品がストリップ線路回路(616)に含まれる、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記コネクタが、ハンダボール(410)、ピン(618)、ピングリッドアレイ(304)のピン、ボールグリッドアレイのハンダボール、ワイヤボンド(502)、及び表面実装の1つからなる、請求項10〜12の何れかに記載の方法。
【請求項14】
前記電気デバイスが、第2のストリップ線路回路、マイクロストリップ回路、集積回路、及び電気部品の1つからなる、請求項10〜13の何れかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【公表番号】特表2007−524254(P2007−524254A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500991(P2007−500991)
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【国際出願番号】PCT/US2005/006021
【国際公開番号】WO2005/082034
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(506076606)アバゴ・テクノロジーズ・ジェネラル・アイピー(シンガポール)プライベート・リミテッド (129)
【Fターム(参考)】