説明

基材の処理方法

【課題】本発明は、新規な優れた基材の処理方法を提供する。
【解決手段】本発明は、基材の処理方法であって、
(a)チャンバー中で、反応性のエッチングガスを用いるエッチングステップ、および先行するエッチングステップにより既にエッチングされた構造の部分の側壁上に保護ポリマーを堆積するための堆積ステップを含む周期的なプロセスを用いて、基材に概ね垂直な構造をエッチングすること、および
(b)基材の非存在下において、ステップ(a)における堆積ステップの実行によって物質が堆積したチャンバーを、洗浄することを含み、堆積に由来する物質の洗浄に続いて、チャンバーをOと少なくともエッチャントガスの活性元素との混合物を含むプラズマに暴露することによって、エッチャントガス由来の物質を取り除いてチャンバーが洗浄されることを特徴とした、基材の処理方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基材の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスおよび多くのナノ技術デバイスの製造において、基材中に概ね垂直な構造を形成することが必要である。これは最も好都合には化学エッチングによって行われているが、しかしながら長い間、このような取り組みには困難があった。なぜならば、基材の暴露される表面に最も近い構造の部分は、暴露される表面から最も遠い基材の部分よりも、より多くエッチングに付され、構造の側壁は垂直には伸びないという結果となるからである。このような課題の最も成功した解決策の1つは、ボッシュによって開発され、そして彼らの国際特許出願である米国特許第5501893号明細書の主題である。このボッシュの方法の好ましい実施態様では、エッチングステップでSFガスをエッチャントの供給源として使用している。エッチング過程において、流れるラジカルは基材のケイ素原子と結合し、それらはチャンバーの側壁やチャンバー付属品上の硫黄や固体硫黄の堆積物と再結合するのにもはや利用することができない結果となる。この反応は一般に下記の形である。
2SF+3Si(固体)→3SiF(気体)+2S(固体)
【0003】
堆積過程は、基材上にポリマーを堆積させるのにC原料ガスを用いるが、しかしながらそれはまたチャンバー壁および暴露されたチャンバーのどのような付属品上にも堆積する。チャンバー付属品は、本明細書においては、用語「チャンバー」に含める。この反応は次の通りである。
4CF→4(CF(固体)
【0004】
酸素プラズマが従来は、基材のバッチ処理の基材間でのチャンバーの洗浄に、以下の過程を用いて使用されている。
(CF(固体)+O→CFO(気体)
【0005】
この過程では、堆積した硫黄もまた二酸化硫黄に変換することによって除去されることが想定されているが、しかしながら実際には酸素は単一のチャンバー洗浄過程では硫黄を完全に除去することを確実にする程には十分に反応性であるわけではない。
【0006】
その結果、それに続く基材の処理において、堆積した硫黄がエッチャントガス中のフッ素と反応して基材のエッチング速度を低減し、その結果、処理時間が増大し、そして/またはエッチング構造が設計したものではなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5501893号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの実施態様では、本発明は基材の処理方法であって、
(a)チャンバー中で、反応性のエッチングガスを用いるエッチングステップ、および先行するエッチングステップにより既にエッチングされた構造の部分の側壁上に保護ポリマーを堆積するための堆積ステップを含む周期的なプロセスを用いて、基材に概ね垂直な構造をエッチングすること、および
(b)基材の非存在下において、ステップ(a)における堆積ステップの実行によって物質が堆積したチャンバーを、洗浄することを含み、堆積に由来する物質の洗浄に続いて、チャンバーをOと少なくともエッチャントガスの活性元素との混合物を含む、プラズマの混合物に暴露することによって、エッチャントガス由来の物質を取り除いてチャンバーが洗浄されることを特徴とした、基材の処理方法からなる。
【0009】
好ましい実施態様では、ステップ(b)の混合物はOおよびエッチャントガスであり、そしてエッチャントガスはSFであることが特に好ましい。更に、広い定義では、エッチャントガスの活性元素はフッ素であってもよい。
【0010】
洗浄プロセスの少なくとも一部はイオン照射(ion bombardment)を含んでもよい。
【0011】
他の実施態様では、基材の処理方法は、
(a)チャンバー中で、反応性のエッチングガスを用いるエッチングステップ、および先行するエッチングステップにより既にエッチングされた構造の部分の側壁上に保護ポリマーを堆積するための堆積ステップを含む周期的なプロセスを用いて、基材に概ね垂直な構造をエッチングすること、および
(b)別個のステップで、エッチングステップおよび堆積ステップの一方によって堆積された第一の物質、並びにエッチングステップおよび堆積ステップの他方によって堆積された異なる化学物質である第二の物質を順次に洗浄すること、を含み、それぞれの洗浄ステップがそれぞれのガス混合物を含むそれぞれのプラズマを用いる洗浄プロセスによって実行され、そのガス混合物は互いに異なっている。
【0012】
本発明は上記で定義されているが、本発明は上記または以下の記載において提示した構成の、いかなる発明的な組み合わせをも含むことが理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、基材の処理のためのチャンバーである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は様々な方法で実行することが可能であり、そして特定の実施態様が、例をもって、基材の処理のためのチャンバーを図示した添付の図面を参照して、ここに記載される。
【0015】
図1において、チャンバーが全体として10と表示して図式的に示されている。チャンバーは基材支持体11およびベル型のジャー12を有し、また、本明細書では、チャンバー10への言及は、これらの品目と、そして堆積がその上に起こる可能性のある、他のチャンバーの付属品のあらゆる品目の両方を含むことが理解されなければならない。シリコンウエハなどの基材13は、14に概略で示された従来のウエハ取扱い装置によって、支持体11上に置き、また支持体11から取り去ることができる。図式的に15と表示されたバルブ機構が、制御器16によって規定されたプロセスパラメータに従って、C、OおよびSFがベル型のジャー12へと供給されることを可能としている。この制御器16はまた、ガス流量およびチャンバー10中で実行されるプロセスの他の操作パラメータを決定する。過剰のプロセスガスと気体状の(engaseous)副生物の除去のために、ポンプの出口が17に備えられている。
【0016】
本出願人の包括的な提案では、上記の「ボッシュ」プロセスをチャンバー中で実行して、基材13中に目的とする垂直構造を形成する。上記のように、このプロセスの間に、ポリマー18および硫黄19がチャンバーの壁およびチャンバーの付属品の上に堆積してくる可能性がある。取扱い装置14によって処理基材13を取り去った後に、チャンバーは最初に酸素洗浄プラズマに曝され、それは有機堆積物18を上記のプロセスによって洗浄し、結果として生じるCFOガスおよび他のいずれかの気体状の副生物は、ポンプ出口17を経由して取り除かれる。
【0017】
第二のプラズマが、次いで、Oといずれかの適切な触媒との混合物の形で流され、触媒はS−S結合を破壊することを可能にすることによって、酸素ガスにより硫黄を剥ぎ取ることを可能にするものである。本出願人は、続くエッチング/堆積プロセスでの混乱を避けるために、触媒はエッチャントガスの活性元素から構成されるべきことが望ましいと理解している。それ故に、記載した「ボッシュ」プロセスでは、触媒はフッ素であるべきであり、そしてエッチャントガスそのものを用いることが特に都合がよい、なぜならば、その結果、既に登場しているもの以外のものはチャンバー中になにも導入されないからである。
【0018】
それ故、本出願人の好ましいプロセスでは、混合物はOおよびSFであり、それは次の反応をもたらす。
【0019】
【化1】

【0020】
この二重のプロセスは、特に、驚くべきものである、なぜならば、エッチャントガスを触媒として用いるという考え方には到達していたとしても、OとSFの単一のステップを単に実行しなければならないだけであると直観的に予期されるであろうからである。事実、これが有機物質18が除去される前に実行されると、次いでSFがポリマー物質とエッチングプロセスと同様の仕方で反応し、硫黄の更なる堆積をもたらす、すなわち、炭素の堆積が硫黄の堆積によって置き換えられる。
【実施例】
【0021】
本出願人は、商標OMEGA DSiの下に販売されている本出願人の処理チャンバーでは、以下のプロセス条件が効果的であることを見出した。他のチャンバー形状およびプロセス条件では、上記に提示された原理を基にして、更なる調整が要求されるであろうことが理解されるであろう。プロセス条件は次の通りである。
【0022】
【表1】

【0023】
本出願人は、硫黄の除去に、400sccmのSFおよび200sccmのOを用いたプロセスを実行したが、これは効果的に遂行された。
【0024】
ポリマー除去ステップは、プラズマ中の炭素の輝線を監視することによって終点を定めることが可能である。終点はこれらが消滅した時に到達する。光学放射分光学法をポリマー除去および硫黄除去ステップの両方に、終点を定めるために用いることができる。
【0025】
洗浄プロセスは、堆積している物質の量に応じて、ウエハ毎にまたはウエハのバッチ処理の後に実行することができる。
【0026】
イオン照射をいずれのステップにも補助のために用いることが出来、特に硫黄除去に関して有用である可能性がある。この場合には、RF電圧を支持体11またはチャンバーの他の部分に加えることができる。この可能性は図中で20で図示されている。RF電源21は、またシャワーヘッド12に電力を供給して、当業者によく知られているような仕方でプラズマを発生させ(strike)そして維持するのに提供される。
【0027】
本方法は、洗浄プロセスに用いられる化学薬品が既知のプロセスで用いられるものと同じものであるという意義深い長所を有している。従って、本方法は「ボッシュ」の方法で経験されている現在の不都合を、利用者が彼らの装置やエッチングプロセスにいかなる変更を加える必要もなく、克服している。また、これに伴なう生成物のいずれも、証明書の更新や承認を必要としない。
【0028】
多くの従来技術とは対照的に、本洗浄プロセスはプロセスガスから誘導された成分に作用し、そして基材に由来する物質や基材から発せられたガスに由来する物質には作用しないことが注目されるだろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の処理方法であって、
(a)チャンバー中で、反応性のエッチングガスを用いるエッチングステップ、および先行するエッチングステップにより既にエッチングされた構造の部分の側壁上に保護ポリマーを堆積するための堆積ステップを含む周期的なプロセスを用いて、基材に概ね垂直な構造をエッチングすること、および
(b)基材の非存在下において、ステップ(a)における堆積ステップの実行によって物質が堆積したチャンバーを、洗浄することを含み、堆積に由来する物質の洗浄に続いて、チャンバーをOと少なくともエッチャントガスの活性元素との混合物を含むプラズマに暴露することによって、エッチャントガス由来の物質を取り除いてチャンバーが洗浄されることを特徴とした、基材の処理方法。
【請求項2】
ステップ(b)の混合物がOおよびエッチャントガスであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
エッチャントガスがSFであることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
活性元素がフッ素であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
洗浄プロセスの少なくとも一部がイオン照射を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
基材の処理方法であって、
(a)チャンバー中で、反応性のエッチングガスを用いるエッチングステップ、および先行するエッチングステップにより既にエッチングされた構造の部分の側壁上に保護ポリマーを堆積するための堆積ステップを含む周期的なプロセスを用いて、基材に概ね垂直な構造をエッチングすること、および
(b)別個のステップで、エッチングステップおよび堆積ステップの一方によって堆積された第一の物質、並びにエッチングステップおよび堆積ステップの他方によって堆積された異なる化学物質である第二の物質を順次に洗浄すること、
を含み、それぞれの洗浄ステップがそれぞれのガス混合物を含むそれぞれのプラズマを用いる洗浄プロセスによって実行され、そのガス混合物は互いに異なっている、基材の処理方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−156554(P2012−156554A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−109350(P2012−109350)
【出願日】平成24年5月11日(2012.5.11)
【分割の表示】特願2008−524569(P2008−524569)の分割
【原出願日】平成18年7月12日(2006.7.12)
【出願人】(507329620)エスピーティーエス テクノロジーズ イーティー リミティド (10)
【Fターム(参考)】