説明

基材への改良された自己接着性を有する縮合硬化性組成物

基材への改善された接着性を有する縮合硬化性シリル官能性炭化水素ポリマー組成物。本組成物は、(A)約500〜約300,000の数平均分子量および1分子あたり平均して少なくとも1個の加水分解性シリル基を有する有機炭化水素ポリマー100重量部;(B)成分(A)100重量部あたり0.1〜100重量部の、数平均分子量を500〜5,000の範囲に有し、ジまたはトリアルコキシ−シリル置換のポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、イソブチレンとイソプレンとのコポリマー、イソプレンとブタジエンとのコポリマー、イソプレンとスチレンとのコポリマー、ブタジエンとスチレンとのコポリマー、およびポリイソプレン、ポリブタジエン、イソプレンとスチレンとのコポリマー、ブタジエンとスチレンとのコポリマー、またはイソプレンとブタジエンとスチレンとのコポリマーを水素化して得られるポリオレフィンポリマーからなる群から選ばれるアルコキシ−シリル置換有機接着促進剤、ただし成分(B)は成分(A)と異なる;(C)成分(A)100重量部あたり0.01〜10重量部の縮合硬化触媒;を含み、任意成分として(D)非補強性充填剤および/または低補強性充填剤;(E)補強性充填剤および(F)水または水分含有成分を含む。用途としては、断熱ガラス用シーラントとしての使用が挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材への改良された接着性を有する縮合硬化性シリル官能性炭化水素ポリマー組成物に関する。主要な基材への接着性はアルコキシシリル官能性有機ポリマーまたはオリゴマーの使用により改良され、それらは本組成物で使用される縮合硬化性シリル官能性有機炭化水素ポリマーとは異なる。
【背景技術】
【0002】
縮合硬化性シリル官能性炭化水素ポリマー組成物は、硬化したとき、シーラント、接着剤、コーティング剤、成形・ポッティングコンパウンド、ゲルおよび添加剤として有用である。縮合硬化性シリル官能性炭化水素ポリマー組成物は、環境的かつ作業者の安全な硬化システムとともに有機骨格の特徴を示す。ポリイソブチレンおよびブチルポリマーの場合、例えば好ましい特性として、骨格での完全なまたは実質的に完全な飽和のために、気体・水蒸気の低い透過性および比較的に良好な紫外線安定性がある。シリル官能性縮合硬化性PIBおよびブチル組成物のこれらの特性が、それらを断熱ガラス(Insulating glass)シーラントとして特に興味深いものにしている。これらのシーラントは、断熱ガラスユニットを製造するための主要な基材、例えばガラスアルミニウム、陽極酸化アルミニウムおよび精錬鋼などに良好かつ耐久性のある接着性とともに水蒸気および気体の低い透過性、良好な物理特性を示さなければならない。
【0003】
しかしながら、縮合硬化性炭化水素ポリマー組成物は、限られた数の基材への接着性を示すことで知られており、それらの基材でさえ接着は非常に貧弱である。他のプライマーを用いることなく基材に接着するシリル官能性炭化水素有機ポリマーを含む縮合硬化性組成物を持つことは有利なことである。
【0004】
縮合硬化性炭化水素ポリマー組成物は、断熱ガラス(IG)用途ではいまだに新しく、その組成物の接着促進剤に関する従来技術は今もなお限られている。従来技術で確認された接着促進剤は、主要な基材への良好かつ永続的な接着性を達成させないし、またそれらに付随する毒性問題を有する。ガラス、アルミニウム、陽極酸化アルミニウムおよび精錬鋼への接着性を得ることができる十分に実行可能な接着促進剤は確認されていないように見える。このことは、一般に接着性を得るに最も難しい精錬鋼基材について特に当てはまる。一方、精錬鋼はIG製造者には比較的に低い熱伝導率のためますます重要な基材となりつつある。さらに、断熱ガラス用途は接着が永続的であることを要求している。これは典型的にシーラント/基材サンプルを促進耐候試験(しばしばQUV耐候試験と呼ばれる)、すなわちASTM G154規格に従って紫外線光、加熱および加湿暴露を主に組み合わせたものにさらすことで評価される。高温水浸漬を代わりとして使うことができる。
【0005】
用途にもよるが、断熱ガラスシーラントは他の要求に適合しなければならない。多くの断熱ガラスユニット構造では、シーラントは2枚以上のガラス枠間のガス量に制限されずに曝されている。そのような用途では、低分子量物質、例えば可塑剤、劣化防止添加剤、または接着促進剤などの低分子量分はユニットの「化学的な曇り(chemical fogging)」の原因になるので、シーラントは実質量の低分子量物質を発生させてはならないことである。
【0006】
例えばアミノシランなどの幾つかの接着促進剤は縮合硬化性炭化水素ポリマー組成物中で発泡の原因となり得る。それは、シーラントの物理的強度を弱くし、シーラントの水蒸気および他の気体の透過性を増すことになるので、好ましくない。よって、発泡を最小にするか除去する接着促進剤を見つけることが望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、主要な基材、特にIG製造にかかわるものに対し良好かつ永続的な接着性をもたらす接着促進剤組成物である。本発明の他の目的は、2枚以上のガラス枠間のガス量に接触しても、実質的に化学的な曇りの一因とならない、断熱ガラスユニット向けのシーラントの提供である。
【0008】
米国特許第4904732号は、珪素硬化性ポリイソブチレン組成物およびその製造法を記載する。米国特許第5120379号、日本特許01−316804号および日本特許01−316811号は、断熱ガラス用途に適する珪素硬化性ポリイソブチレン組成物の使用を記載する。シリル化ポリマー、コポリマーおよびそれらの製造法の適する例はよく知られており、例えば欧州特許第0320259号、独国特許第19821356号、米国特許第4900772号、米国特許第4904732号;米国特許第5120379号;米国特許第5262502号;米国特許第5290873号;米国特許第5580925号、米国特許第4808664号、米国特許第6380316号;および米国特許第6177519号で開示されたシリル化コポリマーがある。米国特許第6380316号および米国特許第6177519号の内容は参照することにより本明細書に援用される。あるいは、シリル化ポリマーは、例えばイソシアナート官能性アルコキシシランと反応させ、ナトリウムの存在下で塩化アリルと反応させ、続いてヒドロシリル化させるような、ヒドロシリル化ポリブタジエンの転化を含む製法によって製造することができる。
【0009】
日本特許01−158065号は縮合硬化性シリル官能性炭化水素有機ポリマー組成物でのアミノシラン接着促進剤の使用を記載する。日本特許08−19270号は縮合硬化性シリル官能性炭化水素有機ポリマー組成物での窒素含有接着促進剤の使用を記載する。米国特許第5804253号は、縮合硬化性シリル官能性炭化水素有機ポリマー組成物での陽極酸化アルミニウムへの接着を得るために、エポキシまたはイソシアナート接着促進剤の使用を記載する。国際公開第97/31032号は、縮合硬化性シリル官能性炭化水素有機ポリマー組成物中に接着促進剤としてカップリング剤について述べているが、カップリング剤の種類は特定していない。
【0010】
日本特許2001−303024号は、(a)珪素含有末端基を有する縮合硬化性ポリイソブチレン(PIB)ポリマー、(b)分子中に少なくとも1個のアミノ基を有する有機化合物、および(c)分子中に少なくとも1個のカルボニル基を有する有機化合物を含み、(b)および(c)のカルボニル基およびアミノ基が互いに反応して水を生成する組成物を記載する。好ましくは、アミノ基およびカルボニル基は別々の接着促進剤の一部である。
【0011】
シーラント調合物の大部分は湿気の存在で硬化する。十分な湿気は種々雑多な方法で得ることができる。カネカによる日本特許出願11−209540号は、(A)飽和珪素縮合硬化性炭化水素系ポリマー、(B)ホットメルト樹脂、(C)硬化触媒および(D)水または金属含水塩を含む硬化性組成物を特許請求している。欧州特許第1,099,728(B1)号は、少なくとも二つの成分、すなわち(A)少なくとも1個の珪素含有基を有する飽和炭化水素ポリマーを含む主成分、該珪素含有基が珪素原子結合のヒドロキシ基または加水分解性基を含み、シロキサン結合の形成下で架橋可能である、ならびに(B)(b1)シラノール縮合触媒および(b2)金属含水塩以外の水分含有乾燥剤を含む硬化剤、を含む硬化性組成物を提供する。あるいは、水分は化学反応での副生成物の方法で生成することができる。欧州特許第1,466,939号は、(A)飽和珪素硬化性炭化水素ポリマー、(B)β−カルボニル化合物、および(C)アミノ含有有機化合物を含む(ここで成分(B)のβ−カルボニル基が成分(C)のアミノ基と反応する)迅速室温珪素縮合硬化性飽和炭化水素ポリマー組成物を記載する。その文献は、二つの化合物の反応による水の発生が、水に浸漬した後の接着性および電気的特性を犠牲にすることなく深部硬化を改善すると教示する。日本特許出願08−041,358号は、珪素縮合硬化性飽和炭化水素ポリマー、少なくとも1個のカルボキシル基を有する化合物、および少なくとも1個のアミノ基を有する化合物を含む組成物を記載する。そのコンパウンドの深部硬化はカルボニル基のアミノ化合物との反応から生じる水によって促進される。
【0012】
米国特許第6020446号は、(a)珪素縮合硬化性飽和炭化水素ポリマー、(b)シランカップリング剤(接着促進剤)、および(c)大気中の酸素との反応により重合可能な不飽和基を含有する化合物および/または光重合性物質(桐油が好ましい)を含む硬化性組成物を記載する。
【0013】
欧州特許第1268703号は、ブチルラバー、エラストマーブロックコポリマー、ポリ−α−オレフィンおよび/またはポリイソブチレン系熱可塑性ポリマー粒子の反応性混合物を記載し、混合物中の一部の粒子はヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、カルボキシル無水物基、メルカプト基、シラン基および/またはヒドロシリル基から選ばれる反応性基を有するポリマーを含み、かつ混合物中の他の粒子はイソシアナート基、エポキシド基、活性オレフィン性不飽和二重結合および/または水形成あるいは含有物質から選ばれる反応性基を有するポリマーを含有する。その文献は、断熱ガラスユニット、注型樹脂枠、太陽収集器、または壁面部材の製造用にそのような組成物の使用を記載する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、シリル官能性縮合硬化性炭化水素ポリマー組成物での、アルコキシシリル置換有機オリゴマーまたはポリマー、特にアルコキシシリル官能性ポリブタジエンを含む接着促進剤の使用が別にプライマーを使用せずに主要な基材に良好かつ永続的な接着を可能にすることを見出した。さらに、接着促進剤は、標準シランカップリング剤、例えばアミノシラン、エポキシシランまたはイソシアナートシランと対比して、実質的にIGユニット内での化学的な曇りの一因となることはない。
【0015】
本発明は、
(A)約500〜約300,000の数平均分子量および平均にして1分子あたり少なくとも1個の加水分解性シリル基を有する炭化水素ポリマー100重量部;および
(B)成分(A)100重量部あたり0.1〜100重量部の、数平均分子量を500〜5,000の範囲に有し、ジまたはトリアルコキシ−シリル置換のポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、イソブチレンとイソプレンとのコポリマー、イソプレンとブタジエンとのコポリマー、イソプレンとスチレンとのコポリマー、ブタジエンとスチレンとのコポリマー、およびポリイソプレン、ポリブタジエン、イソプレンとスチレンとのコポリマー、ブタジエンとスチレンとのコポリマー、またはイソプレンとブタジエンとスチレンとのコポリマーを水素化して得られるポリオレフィンポリマーからなる群から選ばれるアルコキシ−シリル置換有機接着促進剤、ただし成分(B)は成分(A)と異なる;
(C)成分(A)100重量部あたり0.01〜10重量部の縮合硬化触媒;
(D)成分(A)100重量部あたり0〜300重量部の、非補強性充填剤および低補強性充填剤からなる群から選ばれる充填剤;
(E)成分(A)100重量部あたり0〜150重量部の補強性充填剤;
(F)成分(A)100重量部あたり0〜5重量部の水または水分含有成分
から本質的になる硬化性組成物:
を含む成分から形成された生成物を含む縮合硬化性組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
成分(A)は1分子あたり平均して少なくとも1個の加水分解性シリル基を有する炭化水素ポリマーである。成分Aは飽和または実質的に飽和されていることが最も好ましい。有機ポリマーは直鎖状または分岐状でもよく、ホモポリマー、コポリマーまたはターポリマーでもよい。有機ポリマーの数平均分子量は500〜300,000、好ましくは1000から100,000、最も好ましくは1000から50,000である。有機ポリマーは、1分子あたり平均して少なくとも1個のシリル基がある限り、異なる有機ポリマーの混合物として存在してもよい。ポリマー鎖の具体例として、エチレン−プロピレンコポリマー;ポリブチレン、例えばポリイソブチレンなど;イソブチレンとイソプレンまたは同種のものとのコポリマー;ポリクロロプレン;ポリイソプレン;イソプレンとブタジエン、アクリロニトリル、スチレン、アルファ−メチルスチレンまたは同種のものとのコポリマー;ポリブタジエン;ブタジエンとスチレン、アクリロニトリルまたは同種のものとのコポリマー;ポリイソプレン、ポリブタジエン、またはイソプレンもしくはブタジエンとアクリロニトリル、スチレンもしくは同種のものとのコポリマーを水素化して得られるポリオレフィンが挙げられる。
【0017】
本明細書で規定する分子量のすべては、特に記載がない限り、g/モルで規定される。
【0018】
好ましい炭化水素ポリマーは、ポリブチレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、イソブチレンとイソプレンとのコポリマー、イソプレンとブタジエンとのコポリマー、イソプレンとスチレンとのコポリマー、ブタジエンとスチレンとのコポリマー、イソプレンとブタジエンとスチレンとのコポリマー、およびポリイソプレン、ポリブタジエン、イソプレンとスチレンとのコポリマー、ブタジエンとスチレンとのコポリマーまたはイソプレンとブタジエンとスチレンとのコポリマーを水素化して得られるポリオレフィンポリマーからなる群から選ばれるホモポリマーまたはコポリマーを含む。ここでポリブチレン鎖は次式の繰り返し単位を含むことができる:
【0019】
【化1】

(すなわち、イソブチレン単位)
【0020】
【化2】

および
【0021】
【化3】

ならびに、
【0022】
【化4】

および
【0023】
【化5】

のような転位生成物。
【0024】
炭化水素ポリマーは、繰り返し単位の少なくとも50モルパーセントが次の構造:
【0025】
【化6】

のイソブチレン単位であるホモポリマーまたはコポリマーを含むことがより好ましい。
【0026】
1個以上の炭化水素モノマー、例えばブチレン、スチレン、スチレン誘導体、イソプレンおよびブタジエンなどの異性体がイソブチレンと共重合されてもよく、好ましいコモノマーは1−ブテン、α−メチルスチレンおよびイソプレンから選ばれる。有機ポリマーが上述されたイソブチレン繰り返し単位を少なくとも80モルパーセント含むことがさらにより好ましい。
【0027】
好ましくは、成分(A)の加水分解性シリル基が、
【0028】
【化7】

で表される。
【0029】
式中、R1およびR2はそれぞれ独立して1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、6〜20個の炭素原子を有するアリール基、7〜20個の炭素原子を有するアラルキル基およびR’3SiO−(式中R’は1〜20個の炭素原子を有する一価アルキル基である)で表されるトリオルガノシロキシ基から選ばれ;Xはヒドロキシ基または加水分解性基であり;aは0〜3であり、bは0〜2であり、mは0〜19であり、かつa+mbは1より大きい。Xが−OCH3および−OCH2CH3から選ばれることが好ましい。ここで特に有用なシリル官能性ブチレンポリマーは、米国特許第4758631号、米国特許第6177519号および米国特許第6380316号を含め、当該技術分野で知られている方法によって製造することができる。
【0030】
あるいは、成分(A)は、変性ポリ−α−オレフィン系ポリマー、すなわち−SiR33-d(OR3d基(式中R3は同じでも異なっていてもよく、アルキル基、典型的にはメチルまたはエチルであり、dは1〜3までの整数である)を含む変性ポリ−α−オレフィン材料を含むことができる。
【0031】
アルコキシ−シリル置換有機接着促進剤である成分(B)は、数平均分子量が500〜5,000の範囲のジ−またはトリアルコキシシリル置換有機オリゴマーまたはポリマーであり、ジ−またはトリアルコキシ置換ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、イソブチレンとイソプレンとのコポリマー、イソプレンとブタジエンとのコポリマー、イソプレンとスチレンとのコポリマー、ブタジエンとスチレンとのコポリマー、およびポリイソプレン、ポリブタジエン、イソプレンとスチレンとのコポリマー、ブタジエンとスチレンとのコポリマーまたはイソプレンとブタジエンとスチレンとのコポリマーを水素化して得られるポリオレフィンポリマーからなる群から選ぶことができる。アルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシまたはブトキシであり得る。好ましくは、(A)100重量部あたり0.1〜100重量部のアルコキシ−シリル置換有機オリゴマー/ポリマーが用いられる。
【0032】
アルコキシシリル置換接着促進剤は、好ましくはアルコキシシリル置換ポリブタジエン、アルコキシシリル置換ポリイソプレンまたはアルコキシシリル置換ポリイソブチレンである。アルコキシシリル置換有機接着促進剤がトリメトキシシリル置換1,4−シス−ポリブタジエンであることがより好ましい。アルコキシシリル置換有機接着促進剤は、有機ポリマー(すなわち、(A))100重量部に対して0.1〜100重量部の量で添加される。1〜50部のアルコキシ−珪素化合物を用いるのが接着性改良のために好ましい。5から20部のアルコキシ−珪素化合物の使用がより好ましい。アルコキシ−シリル置換有機接着促進剤は、一種類としてまたは二種以上の異なる種類の混合物として添加することができる。好ましい接着促進剤は、トリメトキシシリル含有量が約0.5〜30重量%であるトリメトキシシリル−置換ポリブタジエンである。より好ましい接着促進剤は、トリメトキシシリル含有量が約1〜15%であるトリメトキシシリル−置換ポリブタジエンであり、上記促進剤が約2〜10%の官能性を有するときが最も好ましい。好ましくは、アルコキシ−シリル置換有機オリゴマーまたはポリマーの分子量は500〜5,000g/モルの間である。
【0033】
成分(C)は、(A)100重量部あたり0.01〜10重量部の縮合硬化触媒を含む。任意の適切な縮合触媒を本発明による組成物の縮合硬化触媒として用いることができる。これらには、スズ、鉛、アンチモン、鉄、カドミウム、バリウム、マグネシウム、亜鉛、クロム、コバルト、ニッケル、アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、チタンおおびジルコニウムを組み込んだ縮合触媒を挙げることができる。例として、金属トリフラートがある。有用な有機スズ化合物はスズの原子価が+2または+4のいずれかのものである。それらのスズ化合物は珪素上で置換されたアルコキシ基と珪素上で置換されたヒドロキシル基との間の反応を促進することで、当該技術分野で知られている。縮合触媒として有用な典型的なスズ化合物として、カルボン酸スズ(II)塩、例えばステアリン酸スズ(II)、オレイン酸スズ(II)、ナフテン酸スズ(II)、ヘキソン酸スズ(II)、コハク酸スズ(II)、カプリル酸スズ(II)、およびオクタン酸スズ(II)など;およびカルボン酸スズ(IV)塩、例えばジブチルスズジラウラート、ジブチルスズジアセタート、ジブチルスズジアセタート、ジブチルスズジオクトアート、ジブチルスズジホルマート、およびジブチルスズジネオデカノアートなどが、それらの部分加水分解生成物とともに挙げられる。有機スズ金属触媒、例えばトリエチルスズタルトラート、スズオクトアート、スズオレアート、スズナフタート(tin naphthate)、ブチルスズトリ−2−エチルヘキソアート、スズブチラート、カルボメトキシフェニルスズトリスベラート(carbomethoxyphenyl tin trisuberate)、イソブチルスズトリセロアート(isobutyltin triceroate)、およびジオルガノスズ塩、特にジオルガノスズジカルボキシラート化合物、例えばジブチルスズジラウラート、ジメチルスズジブチラート、ジブチルスズジメトキシド、ジブチルスズジアセタート、ジメチルスズビスネオデカノアート、ジブチルスズジベンゾアート、オクタン酸スズ、ジメチルスズジネオデコノアート(dimethyltin dineodeconoate)、ジブチルスズジオクトエートがあり、そのうちジブチルスズジラウラート、ジブチルスズジアセタート、ジブチルスズジアセチルアセトナート、およびジブチルスズジメトキシラートが特に好ましい。
【0034】
チタナートおよび/またはジルコネート系触媒は、それぞれ一般式Ti[OR54およびZr[OR54(式中、各R5は同じでも異なっていてもよく、1〜10個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状でもよい、一価の第1級、第2級または第3級脂肪族炭化水素基を表す)による化合物を含むことができる。任意で、チタナートは部分的に不飽和基を含有することも可能である。しかしながら、R5の好ましい例として、以下に限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチルおよび分岐状第二級アルキル基、例えば2,4−ジメチル−3−ペンチルが挙げられる。好ましくは、各R5が同じときは、R5はイソプロピル、分岐状第2級アルキル基または第3級アルキル基、特にtert−ブチルである。
【0035】
あるいは、チタナートはキレート化することができる。キレート化は任意の適するキレート化剤、例えばメチルまたはエチルアセチルアセトナートなどのアルキルアセチルアセトナートで可能である。任意の適するキレート化チタナートまたはジルコネートを用いることができる。好ましくは、使用されるキレート基は、例えばアセチルアセトナートおよびアルキルアセトアセトナートなどのモノケトエステルであり、それらはキレート化チタナート、例えばジイソプロピルビス(アセチルアセトニル)チタナート、ジイソプロピルビス(エチルアセトアセトニル)チタナート、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセタート)等を与える。適切な触媒の例は、欧州特許第1254192号および国際公開第2001/49774号に追加的に記載されており、それら触媒は参照することにより本明細書に援用される。
【0036】
好ましくは、縮合触媒は、(A)100重量部あたり0.1〜5重量部の量で存在する。
【0037】
成分(D)は、本組成物に殆どまたは全く補強性機能を与えない充填剤である。そのような充填剤は、着色し、耐火性を改良し、もしくは他の特性を改質するために、または単に組成物を増量するために使用することができる。成分(D)に用いられる充填剤の例には、炭酸カルシウム、タルク、炭酸マグネシウム、ケイ藻土、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛、水素化ヒマシ油、アスベスト、ガラス繊維、フィラメント、およびシラスバルーンがある。追加の非補強性充填剤、例えば粉砕石英、珪藻土、硫酸バリウム、酸化鉄、二酸化チタン、低補強級または非補強級カーボンブラック、タルク、ウォラストナイト。単独または上記に加えて用いられてもよい他の充填剤として、アルミナイト、硫酸カルシウム(硬石膏)、石膏、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリンなどのクレー、三水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム(ブルース石)、グラファイト、炭酸銅、例えばマラカイト(孔雀石)、炭酸ニッケル、例えばザラカイト、炭酸バリウム、例えば毒重土石、および/または炭酸ストロンチウム、例えばストロンチアン鉱が挙げられる。
【0038】
さらに、成分(D)に適する充填剤は、低補強級または非補強級の酸化アルミニウム、カンラン(橄欖)石類;ザクロ石類;アルミノケイ酸塩;環状ケイ酸塩;鎖状ケイ酸塩;および板状ケイ酸塩からなる群から選ばれるケイ酸塩である。カンラン石類はケイ酸塩鉱物、例えば以下に限定されないが、苦土カンラン石およびMg2SiO4などを含む。ザクロ石類は粉砕ケイ酸塩鉱物、例えば以下に限定されないが、パイロープ;Mg3Al2Si312;灰バンザクロ石;およびCa2Al2Si312などを含む。アルミノケイ酸塩はケイ酸塩鉱物、例えば以下に限定されないが、ケイ線石;Al2SiO5;ムライト;3Al23・2SiO2;ラン晶石;およびAl2SiO5などを含む。環状ケイ酸塩群はケイ酸塩鉱物、例えば以下に限定されないが、キン青石およびAl3(Mg,Fe)2[Si4AlO18]などを含む。鎖状ケイ酸塩群は粉砕ケイ酸塩鉱物、例えば以下に限定されないが、ウォラストナイトおよびCa[SiO3]などを含む。
【0039】
さらに、成分(D)に適する充填剤は、ケイ酸塩鉱物、例えば以下に限定されないが、雲母;K2Al14[Si6Al220](OH)4;葉ロウ石;Al4[Si820](OH)4;タルク;Mg6[Si820](OH)4;蛇紋岩、例えばアスベスト;カオリナイト;Al4[Si410](OH)8;および蛭石などを含む板状ケイ酸塩類である。これらの充填剤は、硬化した組成物のガスおよび水蒸気透過率を下げることで特に興味深い。
【0040】
これらの充填剤は、必要とされたときは、単独または組み合わせて用いることができ、成分(A)100重量部あたり300重量部まで添加される。
【0041】
成分(E)は硬化時の組成物の強度を改善するために用いられる補強性充填剤である。成分(E)は、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、補強級カーボンブラック、焼成粘土、クレーおよび活性亜鉛華からなる群から選ばれる。これらの充填剤は、単独または組み合わせて用いることができ、成分(A)100重量部あたり100重量部まで添加される。
【0042】
成分(D)および(E)の充填剤は、必要と判断されるときは、例えば脂肪酸もしくは脂肪酸エステル、例えばステアラートなどで、またはオルガノシラン、オルガノシロキサンもしくはオルガノシラザン、ヘキサアルキルジシラザンもしくは短鎖シロキサンジオールで、充填剤の表面処理を用いてそれらを疎水性にする処理することがよく、充填剤を疎水性にし、それにより他のシーラント成分との均質な混合の操作・取得を容易にすることができる。充填剤の表面処理は粉砕ケイ酸塩鉱物をシリコーンポリマーで容易に湿潤されるようにする。それら表面変性された充填剤は凝集することなく、均質にシリル官能性有機ポリマー(成分(A))中に組み込むことができる。この結果、未硬化および硬化組成物の室温機械特性を改善することとなる。さらに表面処理充填剤は未処理・未加工の材料よりも低い伝導性を与える。
【0043】
(A)100重量部あたり0〜5重量部の成分(F)は水または水分含有成分である。水分含有または水分発生成分は、組成物の硬化を高める水分を提供する。成分(F)は、硫酸カルシウムまたは硫酸ナトリウムなどの含水塩、水と一緒にした炭酸カルシウムなどの充填剤のペースト、およびゼオライトなどの飽和モレキュラーシーブから選ぶことができる。他の水分発生物質は水分含有乾燥剤から選ぶことも可能である。水は、例えば欧州特許第1466939号、日本特許08−041358号および日本特許2001−303,024号に記載されているように、化学反応の副生成物としてその場で発生させることができる。
【0044】
上記成分に加えて、本発明の目的に合致する限り、硬化組成物のある特性を付与もしくは高めるか、または硬化性組成物の加工を容易にするための添加剤を組成物は含むことができる。典型的な添加剤として、以下に限定されないが、例えば可塑剤、増量剤、モレキュラーシーブ乾燥剤、顔料、染料、ならびに熱および/または紫外線光安定剤が挙げられる。そのような任意の添加剤の効果は、その結果および組成物の他の物性への影響について判断されるべきである。これら添加剤のうち、可塑剤が通常そのような組成物に用いられる。任意の適する可塑剤が使用可能である。適する可塑剤は、本発明の組成物に相溶性であり、かつASTM E2189−02および/またはEN 1279−6(2002年7月)に従って、168時間(7日間)暴露したとき、実質的に不曇性であるものである。具体的な例として、液状ポリオレフィン可塑剤、例えば低分子量PIB(Mn=約800〜4000)および適するプロセス油、例えば市販のイデミツKP100可塑剤(供給元:アポロケミカルコーポレーション、米国ノースカロライナ州バーリントン)が挙げられる。可塑剤は成分A100重量部あたり200重量部までの濃度で存在することができる。
【0045】
本発明の縮合硬化性組成物はすべての成分を一緒に(一成分系調合)混合することにより製造できる。すべての成分が一緒に混合されたときは、本組成物は水蒸気に曝されると硬化が始まる。しかしながら、炭化水素ポリマーの低水蒸気透過性のために、硬化は非常にゆっくりで、大気に曝された表面数ミリメートルに限られてしまう。よって、本組成物は少なくとも二液で製造されることが望ましい。PIBポリマー(A)、接着促進剤(B)、可塑剤、非補強性または補強性充填剤およびその他の添加剤をA液にし、硬化触媒(C)、可塑剤、非補強性または補強性充填剤およびその他の添加剤をB液にして、二液系とすることが好ましい方法である。本発明による二液型ホットメルト組成物が存在するなら、熱可塑性添加剤はA液に入れられる。適用するときに二液の内容物が一体に混合され、硬化が起こる。
【0046】
発明者らは、アルコキシシリル置換有機接着促進剤の縮合硬化性シリル官能性炭化水素ポリマーへの添加が硬化により本組成物を基材に対し自己接着性にすることができると断定した。
【0047】
本発明において組成物は室温で容易に硬化するものの、代替的に、成分A単独または追加の熱可塑性成分と組み合わせた成分Aが加熱時に熱硬化特性を組成物に付与するホットメルト接着剤組成物として利用することができる。追加の熱可塑性添加剤は非反応性結合剤(少なくとも組成物が関与する硬化系)として機能する。「ホットメルト」材料は反応性または非反応性でもよい。反応性ホットメルト材料は、室温では本質的に高強度かつ流動抵抗性(すなわち、高粘性)である化学的に硬化可能な熱硬化性製品である。反応性または非反応性ホットメルト材料を含有する組成物は、高温(例えば、50〜200℃)で、室温またはそのあたりよりも著しく低い粘性である少なくとも1種の有機樹脂成分を含むので、通常高温(すなわち、室温よりも高い、典型的には50℃を超える温度)で基材に適用される。ホットメルト材料は高温で流動性塊として基材に適用され、その後単に冷やすことにより速やかに「再凝固」させられる。熱可塑性成分は典型的には0℃以下の温度で(中間)ガラス転移点(Tg)を有する。ホットメルト組成物の粘度は、比較的に低い温度(すなわち、室温またはそれ以下)で非常に粘性であるところから温度が200℃に上昇するにつれて比較的低い粘度を有するまでと温度変化により著しく変化する傾向がある。ホットメルト樹脂、例えばポリイソブチレンなどは150℃で10〜1000Pa・sの間の粘度を有することができるのに反して、冷却されると室温で5000Pa・sよりも大きい粘度となる非常に粘性質にもどる。当然のことながら、成分Dが、成分Aおよび任意の追加熱可塑性添加剤の両方に化学的に類似する基本構造のものとはいえ、成分(D)は、上で記述されたように分子量の制限があるため、ホットメルト接着剤用途では熱可塑性成分として機能できない。
【0048】
追加の熱可塑性添加剤が、組成物中に存在する場合、一種以上の次の例、ポリオレフィン樹脂(例えばPIB、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、イソタクチックポロプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、およびエチレン−プロピレンコポリマー樹脂など);ポリアミド樹脂(例えばナイロン6(N6)、ナイロン6,6(N6,6)、ナイロン4,6(N4,6)、ナイロン11(N11)、ナイロン12(N12)、ナイロン6,10(N6,10)、ナイロン6,12(N6,12)、ナイロン6/6,6コポリマー(N6/6,6)、ナイロン6/6,6/6,10コポリマー(N6/6,6/6,10)、)ナイロンMXD6(MXD6)、ナイロン6T、ナイロン6/6T)コポリマー、ナイロン6,6/PPコポリマー、およびナイロン6、6/PPSコポリマーなど);ポリエステル樹脂(例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)およびポリエチレンテレフタレート(PET)を含む芳香族ポリエステルなど);ポリエーテル樹脂(例えばポリフェニレンオキシド(PPO)、変性ポリフェニレンオキシド(変性PPO)、ポリスルホン(PSF)、およびポリエーテル・エーテルケトン(PEEK);ポリメタクリラート樹脂(例えばポリメチルメタクリラート(PMMA)およびポリエチルメタクリラートなど);ポリビニル樹脂(例えばビニルアルコール/エチレンコポリマー(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、および塩化ビニリデン/メチルアクリラートコポリマーなど);およびフッ素樹脂(例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)、およびポリクロロフルオロエチレン(PCTFE));ポリアクリロニトリル樹脂(PAN)を含むことができる。
【0049】
ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂およびフッ素樹脂で、各々50℃またはそれ以上の熱変形温度を有しているものが好ましい。その理由は、得られる本発明の組成物は良好な成形加工性および、例えば本発明の組成物が後述されるように断熱ガラスユニットのスペーサー等に用いられたとき外気温度のため良好な耐熱変形性を有しており、ならびに水蒸気吸収による透湿の減少が抑えることができるためである。あるいは、熱可塑性樹脂はより好ましくは低密度ポリエチレン(LDPE)または直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)である。その理由は、得られる組成物は低加熱収縮、良好な成形加工性、および低水蒸気透過率を有し、その組成物を用いて製造された断熱ガラスユニットは初期露点性能で優れているためである。熱可塑性樹脂成分は単独または2種以上の樹脂混合物として使うことができる。
【0050】
本発明の組成物は、シーラントおよび接着剤用途の広範囲で使用することができる。これらには、(気体および水蒸気に関して)低透過性のシールまたは接着性を必要とする用途、例えば電気もしくは電子部品用シーリング、封止またはポッティング材料、自動車電子シール剤、自動車ヘッドライトシール剤等が挙げられる。ホットメルト接着剤の形態の本発明の組成物の使用は、部品の迅速な取り扱いが必要とされる速いグリーン強度用途と組み合わされて低ガス透過性(気体または水蒸気に関して)を必要としている用途(例えば電子部品)に適する組成物を与える。本発明の製法および/または組成物に従って、断熱ガラスユニットでの、一次(スペーサーとガラスとの間のシール)、二次(スペーサーを囲み二枚のガラス枠間のシール)または末端シールとしての単一シーラント(一次および二次シール両方に使用)としての使用。二次シーラントの使用の有無に関わらず、断熱ガラスユニットでのスペーサー/シールの組合せとしての本組成物の使用。
【実施例】
【0051】
以下の実施例は、例証目的に提示され、請求項に記述される本発明を限定するものと解釈されるべきではない。重量部で与えられる計量のすべては、特に記載がない限り、ポリマー100部に対してであり、すべての粘度値は、特に記載がない限り、25℃で測定されている。
【0052】
〔実施例AおよびB、比較例CおよびD〕
ベースの調製:
150gのパラフィンオイル可塑剤(イデミツKP100可塑剤、アポロケミカルコーポレーション、米国ノースカロライナ州バーリントンより供給)を1/4ガロン遊星混合器に入れ、10,000の分子量Mnを有するジメトキシシラン末端封鎖(テレケリック)ポリイソブチレン(PIB)247g(Epion(登録商標)303S、株式会社カネカ、日本国530大阪市北区中之島3−2−4より供給)を添加し40rpmで5分間混合した。三段階に分けて、65gのSocal(登録商標)312、脂肪酸処理沈降CaCO3(ソルベイ社、ベルギー国ブリュッセルより供給)を各段階で添加し、各添加後に組成物を40rpmで5分間混合した。
【0053】
次に、45gのBLR3、脂肪酸処理粉砕CaCO3(Omya、フランス国より供給)が添加され、40rpmで5分間混合した。予め混合器中で調合されたBLR3の42.4gと水4gとの混合物が添加され、40rpmで20分間混合した。その材料を平らにし、真空下、80rpmで20分間混合した。滑らかなペーストが得られた。このベースは使用前に少なくとも1週間熟成された。
【0054】
次に、ベース100gにSemcoカートリッジミキサー(コートランド・エアロスペース社、米国カリフォルニア州製)を用いて接着促進剤が添加され、上記材料に混合された。材料は1日熟成され、再度Semcoミキサーを用いて、ジブチルスズジアセタート0.6gで触媒化された。
(A)2.9gのPolyvest(登録商標)25(トリメトキシシリル官能性液状1,4−シス−ポリブタジエンで、1800〜2500g/モルの分子量および20℃で1500〜1900mPasの粘度を有する、Huels社、ドイツ国マリー45764より供給)
(B)2.9gのPolyvest(登録商標)50(トリメトキシシリル官能性液状1,4−シス−ポリブタジエンで、20℃で7200〜9000mPasの粘度を有する、Huels社、ドイツ国マリー45764より供給)
(C)0.7gのSilquest(登録商標)A1100(ガンマ−アミノプロピルトリエトキシシラン、CKWitco社、スイス国CH−1217メイリン、7、rue du Pre−Bouvierより供給)
(D)接着促進剤なし
【0055】
次いで、材料は、フロートガラス、精錬(ステンレス)鋼、ミル仕上げアルミニウムおよび陽極酸化アルミニウム基材上に置かれた。基材はアセトン/イソプロパノール混合物(50/50)で溶剤洗浄された。
【0056】
室温で4週間硬化させ、さらに50℃の水浸漬を続けた後、接着性は試験された。
【0057】
サンプルは基材表面に適用され、硬化され・必要により熟成されているタブ接着によってサンプルは試験された。剃刀の刃が硬化シーラントの一端を基材表面から引き離すのに使われた。その一端が試験者の人差し指と親指の間で保持され、基材表面から垂直方向に引っ張られる。サンプルの基材表面からの除去した後で、該表面が解析され、試験中に起こった破壊のタイプを決定する。それらは次のようにランク付けされた:
(i)凝集破壊(CF);引っ張られたとき破壊が接着剤中にあり、すなわち接着剤の少なくとも一部が基材表面に接着して残っており、基材とシーラントとの間の結合力が接着剤自身よりも強いことを示す場合
(ii)境界破壊(BF);引っ張られたとき硬化シーラントは実質的に基材から剥がれるが、基材の表面に接着したシーラントの目に見える残渣を残す場合
(iii)接着破壊(AF);引っ張られたとき硬化シーラントが基材表面から残渣を残すことなく剥がれる場合
(iv)AF/CF(接着破壊および凝集破壊の混合)
【0058】
典型的にはCFおよび/またはBFの結果を与える硬化シーラントは基材表面への満足できる接着であると判断されるが、AFの結果を与える硬化シーラントは基材表面に適切に接着していないと判断される。
【0059】
上記試験方法を用いて接着のタイプを決定するために用いられる基材は、フロートガラス(ガラス)、精錬鋼(鋼)、ミル仕上げアルミニウム(Al MF)および陽極酸化アルミニウム(Al Anod)のサンプルであった。本適用に従って組成物の室温での硬化方法は存在する触媒の量により1週間以上かかる場合もある。
【0060】
【表1】

【0061】
本発明による組成物は断熱ガラス用シーラントとしての使用を意図している。そのような用途に利用可能であるためには、組成物は窓に使われているガラスおよび窓枠にまたはスペーサー等として使われている金属両方に強く接着しなければならない。実施例Aは、上記表1で示されたタブ接着試験結果がガラスおよびミル仕上げアルミニウムとの接着例で凝集破壊を示しているとおり、ガラスとミル仕上げアルミニウムとの間のシーラントとして使用に適することは注目されるであろう。しかしながら、表1での結果が各ケースで単なる接着破壊を示しているように、比較例Cの場合、使われた組成物がガラスと十分に接着することなく、比較例Dではシーラントはスペーサーまたは窓枠等として用いられるいかなる金属基材に接着していない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A.約500〜約300,000の数平均分子量および1分子あたり平均して少なくとも1個の加水分解性シリル基を有する有機炭化水素ポリマー100重量部;ならびに
B.成分(A)100重量部あたり0.1〜100重量部の、数平均分子量を500〜5,000の範囲に有し、ジまたはトリアルコキシ−シリル置換のポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、イソブチレンとイソプレンとのコポリマー、イソプレンとブタジエンとのコポリマー、イソプレンとスチレンとのコポリマー、ブタジエンとスチレンとのコポリマー、およびポリイソプレン、ポリブタジエン、イソプレンとスチレンとのコポリマー、ブタジエンとスチレンとのコポリマー、またはイソプレンとブタジエンとスチレンとのコポリマーを水素化して得られるポリオレフィンポリマーからなる群から選ばれるアルコキシ−シリル置換有機接着促進剤、ただし成分(B)は成分(A)と異なる;
C.成分(A)100重量部あたり0.01〜10重量部の縮合硬化触媒;
D.成分(A)100重量部あたり0〜300重量部の、非補強性充填剤および低補強性充填剤からなる群から選ばれる充填剤;
E.成分(A)100重量部あたり0〜150重量部の補強性充填剤;
F.成分(A)100重量部あたり0〜5重量部の水または水分含有成分
から本質的になる硬化性組成物。
【請求項2】
前記成分(A)が飽和または実質的に飽和されている請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記成分(A)の数平均分子量が約1000〜50,000である請求項1または2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記成分(A)が、エチレン−プロピレンコポリマー、ポリブチレン、イソブチレンとイソプレンとのコポリマー、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、イソプレンとブタジエンとのコポリマー、イソプレンとアクリロニトリルとのコポリマー、イソプレンとスチレンとのコポリマー、イソプレンとアルファ−メチルスチレンとのコポリマー、ポリブタジエン、ブタジエンとスチレンとのコポリマー、ブタジエンとアクリロニトリルとのコポリマー、ポリイソプレンをアクリロニトリルで水素化して得られるポリオレフィン、ポリイソプレンをスチレンで水素化して得られるポリオレフィン、ポリブタジエンをアクリロニトリルで水素化して得られるポリオレフィン、ポリブタジエンをスチレンで水素化して得られるポリオレフィン、イソプレンとアクリロニトリルとのコポリマー、およびブタジエンとアクリロニトリルとのコポリマーからなる群から選ばれる請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記成分(A)がポリイソブチレンである請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
前記加水分解性シリル基が、
【化1】

(式中、R1およびR2は各々独立して1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、6〜20個の炭素原子を有するアリール基、7〜20個のアラルキル基およびR’3SiO−で表されるトリオルガノシロキシ基から選ばれ(式中、R’は1〜20個の炭素原子を有する一価アルキル基である);Xはヒドロキシル基または加水分解性基であり;aは0〜3であり、bは0〜2であり、mは0〜19であり、かつa+mbは1より大きい)
で表される請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
前記Xが、−OCH3および−OCH2CH3から選ばれる請求項6に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
前記成分(A)がα−オレフィンである請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項9】
前記成分(B)がアルコキシシリル−置換ポリブタジエンである請求項1〜8のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項10】
前記成分(B)が、前記成分(A)100重量部あたり1〜50重量部で存在する請求項1〜9のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項11】
前記成分(C)が、ジブチルスズジアセタート、ジブチルスズジアセチルアセトナートおよびジブチルスズジメトキシレートからなる群から選ばれる縮合硬化触媒0.1〜5重量部である請求項1〜10のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項12】
前記成分(C)が、一般式Ti[OR54およびZr[OR54を有するチタナートおよび/またはジルコネート系触媒(式中、R5は同じまたは異なり、1〜10個の炭素原子を含む直鎖状または分岐状でもよい、一価の第一級、第二級または第三級脂肪族炭化水素基を表す);キレート化されたチタナートおよび/またはジルコネートの群から選ばれる縮合硬化触媒0.1〜5重量部である請求項1〜11のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項13】
前記成分(D)が、炭酸カルシウム、タルク、炭酸マグネシウム、ケイ藻土、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛、水素化ヒマシ油、アスベスト、ガラス繊維、フィラメント、およびガラスまたはプラスチック中空ミクロバルーンからなる充填剤群から選ばれる請求項1〜12のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項14】
前記成分(E)が、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、補強性級カーボンブラック、焼成粘土、クレー、および活性亜鉛華からなる群から選ばれる請求項1〜13のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項15】
熱可塑性成分をさらに含む請求項1〜14のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項16】
200重量部までの実質的に不曇性の可塑剤をさらに含む請求項1〜15のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項17】
前記成分A単独または追加の熱可塑性添加剤と組み合わせた前記成分Aを熱可塑性成分として用いることを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載の組成物を含むホットメルト接着剤組成物。
【請求項18】
前記追加の熱可塑性添加剤が、次のポリオレフィン樹脂、ポリイソブチレン(PIB)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、イソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレンおよびエチレン−プロピレンコポリマー樹脂;ポリアミド樹脂;ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリスルホン(PSF)、およびポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK);ポリメタクリル酸樹脂;ポリビニル樹脂およびフッ素樹脂およびポリアクリロニトリル樹脂(PAN)の一つ以上から選ばれる請求項17に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項19】
断熱ガラスユニットの末端シールでの一次、二次もしくは単一シーラントとしての、または二次シーラントの使用の有無に関わらず断熱ガラスユニットでのスペーサー/シールの組合せでの、請求項1〜16のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項20】
第一液が成分Aを含み、第二液が成分Cを含み、かつ他の成分および/または添加剤がいずれかの液または両方の液に存在する請求項1〜16のいずれか一項に記載の二液型縮合硬化性組成物。

【公表番号】特表2010−525090(P2010−525090A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503463(P2010−503463)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【国際出願番号】PCT/EP2008/054267
【国際公開番号】WO2008/125560
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(590001418)ダウ コーニング コーポレーション (166)
【氏名又は名称原語表記】DOW CORNING CORPORATION
【Fターム(参考)】