説明

基板上にチップを移動する方法

【課題】本発明の課題は、部品がウエハ上に移動されることができる新規な方法を見出すことである。
【解決手段】本発明は、少なくとも2つの回路のステージの積層体を形成する方法であって、各々のステージが、基板と、この基板内または基板上に形成された少なくとも1つの部品(10、20)及び金属接続とを含み、前記ステージの組立体が前のステージ上に移動される方法であって、(a)弱体化領域(30)を形成するように、前記部品(10、20)の少なくとも一部を介した、移動される前記ステージの基板(2、25)内におけるイオン注入(29)と、(b)前記部品の金属接続の形成と、(c)前記前のステージへの、この基板の部分の移動及び組立と、(d)前記弱体化領域(30)に沿った破砕による、前記基板の移動される部分を薄くする段階と、を含む方法に関連する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層半導体回路、及び、このような積層体を製造する技術の分野に関し、特にウエハ上に半導体材料からなる部品またはチップを移動するための技術に関連する。
【背景技術】
【0002】
回路は、現在2つのタイプの技術、すなわち、ウエハからウエハへの移動を行う技術、及び、ボード上にチップを移動する技術によって積層される。
【0003】
ウエハからウエハへの移動は、技術的には単純であるが、それは、重大な制限に制約されている:
−移動されるボードにおけるチップは、同一のサイズでなければならず、これは、設計上非常に大きな制約をもたらし、特に、それらを組み立てるために様々な供給者からボードを購入することを不可能にする、
−移動されるチップの効率は、直ぐにこの技術を受け入れ不能にし、例えば、85%の効率を有するチップ(成熟システム)の場合において、互いの上に5つのボードを移動するための動作は、たった44%の最終総効率しかもたらさない。
【0004】
ウエハにチップを移動するための技術は、他の解決方法を提供するが、それは、他の問題を生じさせるますます薄いチップを使用しなければならない。ますます薄いチップを移動する傾向は、
−Through Silicon Vias(“TSV”)の相互接続の製造を容易にすること、
−これらのビアの密度を増加させること(所定の形状の比において、それらの深さが低下した場合、その直径も低下され、それによってそれらの繰り返しピッチが減少し、従ってそれらの密度が増加する)、
−標準的なリソグラフィ装置を用いて薄くされたチップを用いた位置合わせを可能にすること、
−チップ間の再平坦化動作を容易にすること(この場合、これは、表面上にチップを移動した後に再び表面を平面にすることからなる段階である)、
に対する要望によって説明される。
【0005】
現在処理されることができる最も薄いチップは、50μmのオーダーの厚さである。この厚さは、一時的な移動ハンドルを用いることによってさらに低減することができ;犠牲的なハンドルは、薄くされる回路の活性表面に結合され、このハンドルの役割は、薄くされるウエハ(それは、通常シリコンウエハである)における機械的支持として作用することである。移動される回路の受動表面が薄くされると、このチップは切断され、次いで結合される。この次の段階は、各々のチップを堅くさせるハンドルのピースを取り除くことである。
【0006】
現在、ハンドルを一次的に結合/分解するための2つの技術がある:
−除去可能な結合であると言われている、セパレータ(例えばブレード)を挿入することによるハンドルの機械的除去を伴う分子又は直接結合。その主たる欠点は、各々のチップのハンドルが、個々に分離されなければならないという事実による;例えば、もし1×1cmのチップが300mmの直径のウエハに1.5cmのピッチで移動される場合、約310のチップが、ウエハ毎に個々に分離されなければならず、これは許容不能である。
−しばしば機械的に支援される(せん断される)、熱処理により一時的なハンドルの分解を用いた“樹脂”タイプの結合。この困難性は、個々の機械的な動作及び結合樹脂残留物の管理の両方による。
【0007】
さらに、薄いボードに使用される破砕技術は、それでも十分ではない5から10μmまでの薄くされたチップ厚さをもたらす薄膜化において、最良の場合に+/−1μmの厚さの変化を導入する。このような厚さ変化は、密度を制限し、コストを増加させるビアのスーパーエッチングを必要とし、製造及び後の平坦化の正確性を制限する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、生じる課題は、特に部品ステージを積層するために、部品がウエハ上に移動されることができる新規な方法を見出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、本発明は、少なくとも2つの回路のステージまたはレベルの積層体を形成する方法であって、各々のステージが、基板と、この基板内または基板上に形成された、例えばトランジスタタイプの少なくとも1つの部品及び金属接続とを含み、前記ステージの1つの組立体が前のステージ上に移動される方法であって、(a)この基板の前記部品の下に弱体化領域を形成するように、注入表面であると考えられるこの基板の表面を介した、及び、前記部品の少なくとも一部を介した、移動される前記ステージの基板内におけるイオン注入と、(b)これらの部品を他の部品、特に前記前のステージの1つ又はそれ以上の部品に接続するための及び/又は互いの間のこの基板内の前記部品の金属接続の形成と、(c)その注入表面を介した前記前のステージへの、部品又は部品群を含むこの基板の一部または部分の組立と、(d)前記弱体化領域における破砕による、前記基板の移動される部分を薄くする熱処理段階と、を含む方法に関連する。
【0010】
前記金属接続を形成する(段階b)前の注入(段階a)は、前記接続が形成するスクリーン効果を避け、十分な注入深さを達成する。それは、この破砕を得るために適用される熱負荷を最小化することによって後続の破砕を保証することができる。
【0011】
本発明によれば、移動される前記ステージまたはレベルの基板内の部品のいくつかは、前記注入段階前に形成され、一方、同一基板内の金属接続がこの注入段階後に生成される。最後に、部品を備えるこの注入された基板は、前記前のステージに移動され、薄くされる。
【0012】
前記注入は、前記基板全体にわたって均一に行われ、又は、マスクされた方式で行われ得る。例えば、それは、移動される前記ステージの基板の表面下に1.5μmから2.5μmの深さに対して行われ得る。
【0013】
段階(c)は、移動され組み立てられるこの基板の部分を個別化する基板切断段階の前に行われ得る。
【0014】
段階(b)は、例えば7つのレベルである一連の金属レベルの製造を含み、これらの金属レベルの各々の製造は、約10から12分間の期間にわたって約400℃の温度を有する熱負荷を使用し(すなわち、7つの金属レベルに対する総負荷は、1時間30分にわたって約400℃に等しい)、段階(d)の破砕における熱負荷は、約2時間の期間にわたって約450℃の温度である。これは、シリコン基板であって、数1016から数1017イオン/cm、有利には、5×1016から1017イオン/cm、好ましくは、7×1016から9×1016イオン/cmの範囲内の幾つかの水素注入条件における場合である。
【0015】
段階(b)における熱負荷は、注入によって引き起こされる弱体化を増加させることができ、弱体化領域に沿った破砕を得るために必要な総熱負荷の約85%から90%に相当する。
【0016】
段階(c)は、2つのSiO/SiO又は酸化物/酸化物の誘電体層間の結合、または、局所的な金属−金属結合(金属が、表面全体にわたって存在せず、通常接続パッドにのみ存在する)を含み得る。
【0017】
移動される前記ステージの部品及び場合によっては前のステージの部品は、例えばCMOSトランジスタである、1つ又はそれ以上のトランジスタであり得る。
【0018】
次いで、前記注入段階(a)は、前記基板を覆う誘電体を平坦化した後であって前記トランジスタのソース、ドレイン及びゲートのビア(またはプラグ)のリソグラフィの前に行われ得る。
【0019】
形成される前記積層体は、n個のステージ(n≧2)を含み、従って、段階(a)から(d)は、n個のステージのこの積層体が得られるまで繰り返され得る。例えば、一例によれば、5≦n≦11であり、例えばn=7である。
【0020】
この場合、前記前のステージに誘電体を堆積する段階、及び、この方法を繰り返す前にこの誘電体を平坦化する段階が含まれ得る(例えば、段階(d)の直後又は後に)。
【0021】
前記前のステージにおける1つ又は幾つかの相互接続レベルは、この方法を繰り返す前に行われ得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明による方法の段階を示す。
【図2A】図2Aは、本発明による方法の段階を行う方法の例を示す。
【図2B】図2Bは、本発明による方法の段階を行う方法の例を示す。
【図2C】図2Cは、本発明による方法の段階を行う方法の例を示す。
【図2D】図2Dは、本発明による方法の段階を行う方法の例を示す。
【図2E】図2Eは、本発明による方法の段階を行う方法の例を示す。
【図2F】図2Fは、本発明による方法の段階を行う方法の例を示す。
【図2G】図2Gは、本発明による方法の段階を行う方法の例を示す。
【図2H】図2Hは、本発明による方法の段階を行う方法の例を示す。
【図3A】図3Aは、注入前のMOSFETの断面図を示す。
【図3B】図3Bは、注入前のMOSFETの断面図を示す。
【図3C】図3Cは、注入後のMOSFETの断面図を示す。
【図3D】図3Dは、図3A及び図3Bにおける部分平面の位置を特定する上面図を示す。
【図4A】1/kT、ln(1/t)座標におけるバブリング及び破砕曲線を示す。
【図4B】1/kT、ln(1/t)座標におけるバブリング及び破砕曲線を示す。
【図5】図5は、本発明による方法における時間の関数として温度の変化及び破砕を表す図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明による方法の段階を示す。
【0024】
これらの段階の各々は、図2Aから図2Hを繋ぐ単純な例の枠組み内でより詳細な形式で示される。図2Aから図2Hにおけるこの例は、図1に沿って記載され、理解を容易にするために意図的に単純化されるだろう。
【0025】
この記載は、CMOS部品の製造に関連する。
【0026】
第1段階(S1)において、ゲート12、22、ドーピングによって形成されたドレイン及びソースをそれぞれ備える複数のCMOS部品10、20は、例えばシリコンである半導体材料で作られる基板2内又は基板2上に形成され、次いで、ドレインシリサイド14、24及びソースシリサイド16、26はそれぞれ、前記ドレイン及び前記ソースの上部に形成される(図2A)。例えば、これらのシリサイドの各々は、Pt、Pd、Ni、Co、Tiシリサイドなどから作られる。図2Aは、トランジスタ絶縁酸化物15(STI酸化物)も示す。誘電体25(PMDすなわち“Pre Metal Deposition”と呼ばれる)が形成され、この組立体上で平坦化される。このタイプのCMOS構造は、より詳細に図3A及び図3Bに記載される。
【0027】
すなわち、図2Aは、ドレイン及びソースシリサイドの形成並びに平坦化層25の堆積の後に“高温”段階(400℃を超える温度で実行される)が停止される、CMOSウエハ2を実際に示す。次いで、ウエハ上の起伏は、基本的に一組のゲート12、22、ドレイン14、24、及び、ソース16、26から構成される。
【0028】
誘電体25を平坦化した後であって、ソース、ドレイン及びゲートのコンタクトパッドのリソグラフィの前に、単独で、又は、例えばヘリウムなどの他の種との共注入(S2)で、例えば水素であるガス種29の注入が行われる(図2B)。その後、図3Aから3Cを参照して、どのようにして基板2内または基板2上に既に形成されたパターン又は要素が、既に形成されたパターン、要素又は部品10、20の下であって、このウエハ又はこの基板内における均一な注入を行うための障害物を形成しないかを記載する。次いで、行われる注入は、良好な条件下で破砕を行うために使用することができる弱体化領域30を定義する。
【0029】
例えば、シリコン基板におけるイオン注入において、1016または数1016イオン/cmから1017または数1017イオン/cm、例えば5×1017イオン/cm、有利には、5×1016イオン/cmから1017イオン/cm、好ましくは、7×1016イオン/cmから9×1016イオン/cmの投与量で水素を注入することを選択することができる。注入エネルギーは、一般的には300keV未満、例えば30から200keVである。
【0030】
この注入または共注入の結果は、弱体化領域30の形成によって図2Bに示される。この領域は、それがウエハ全体に延長し、注入がウエハ全体にわたって均一に行われるという意味において連続である。この領域は、この基板を2つの部分、弱体化領域30の下の部分2”と、この弱体化領域30と部品10、20などとの間の部分2’に分離する。
【0031】
変形例として、水素注入に影響を受け易い領域を保護するために、例えばMOSFETトランジスタのゲート12、22を保護するために、マスキングレベルを形成することが可能である。次いで、文献FR2758907に記載された技術が使用され得る。不連続の弱体化領域30が得られる、この注入又は共注入の結果は、図2Cに示されるが、2つの近接する弱体化領域30、30間の距離は、後に行われる破砕の品質を低下させないだろう。
【0032】
次の段階中(段階S3)、方法の“最終段階”は、シリコン基板の場合、例えば400℃未満の低温で行われ、プラグ、すなわちソース、ドレイン及びゲートコンタクトパッドが形成される。これらのパッドは、例えばリソグラフィ及びエッチング、及び、導電層の、例えば、Ti/TiN/WまたはTa/TaN/W積層体をもたらす、Ti、TiN、W、又は、Ta、TaN、Wの連続的な堆積によって形成される。次の段階は、堆積された過剰な材料を除去するものである(例えば、PMD絶縁体25で停止する化学機械的研磨CMPによって)。
【0033】
また、金属接続40(例えば、Al、AlCuまたはCu)の水平トラック(基板のxy平面に略平行)は、予め形成された要素12、22、14、24、16、26の上に形成される(図2D)。また、ビア40’(垂直トラック)は、基板のxy平面に垂直なz軸に略沿って形成される。これらの金属接続は、既に形成された部品10、20または要素を互いに接続し、又は後に他の部品と接続するために使用される。
【0034】
次いで、使用される熱負荷が、弱体化領域30、30に破砕、又は、次の組立体の品質を低下させる表面変形をもたらなさいように、使用される熱負荷は、十分に制限される。
【0035】
次いで、このように形成されたチップは、試験され、切断され得る(段階S4):作動するチップのみが次の組立段階用に選択される。
【0036】
次いで、選択され切断された各々のチップは、例えばボンディングによってホスト基板上に組み立てられる(段階S5)。このホスト基板(この方法が繰り返される場合、前の積層ステージ)は、詳細に記載されないが、それは、基板2上の部品10、20及び絶縁層25内に金属接続40を備え得る(図2E)。誘電体25の自由表面25’は、ホスト基板の表面に、次いで、この方法が繰り返される場合、より正確に前のステージの誘電体層25に組み立てられるだろう。図2Eに示される場合、ボンディングは、例えば2つの親水性表面間の分子結合によって2つの誘電層(例えば、SiO)間で行われる。これを達成するために、これらの表面は、それらが接触される前に、化学洗浄、CMP、プラズマ活性化、オゾンUV処理技術の1つ又はそれ以上を用いて下処理された。参照符号27は、結合界面を示す。
【0037】
変形例として、絶縁表面25、25が金属膜(例えば銅)によって覆われる場合、金属−金属(使用される例では銅−銅)結合が形成され得る。ICTC 08における“三次元集積における銅の直接結合”というタイトルのP.Gueguenらよる文献(P.Gueguen et al entitled “copper direct bonding for 3D integration”, ICTC 08)は、このような結合の形成の方法の詳細に関して参照され得る。図2Eは、コンタクトパッドタイプ(ビアではない)のCu/Cuタイプのコンタクト領域29、29’も示す。xy平面における各々のパッドのコンタクト領域は、ビアのコンタクト領域より非常に大きく、それは、良好な接触をもたらし得る。
【0038】
一変形例は、幾つかの材料から構成される異なる表面を共に結合すること(例えば、酸化物及び銅材料)、または、トポロジーを有する表面を結合することである。
【0039】
あらゆる適切な技術は、例えば、所謂“ピックアンドプレース”またはセルフアライン技術によってホスト基板にチップを位置させるために使用することができる。
【0040】
チップは、チップ毎に又はチップ群によってホスト基板に移動され得る。図2Eは、ホスト基板に組み立てられたチップを示し、それ自体が本発明による方法によって得られるものである。
【0041】
チップがホスト基板に配置されていると、破砕熱処理段階(段階S6)は、弱体化領域に沿って各々のチップを破砕する低温で行われる。この熱処理は、例えばセパレータを挿入し、又は、破砕を加速することができるあらゆる他の技術を用いることによる機械的な歪みによって支援される。
【0042】
この破砕動作は、好ましくは以下に記載の熱負荷条件下で行われるだろう。
【0043】
使用されるこの破砕技術は、“Smart Cut(登録商標)”という用語で知られ、それは、例えば“International Journal of High Speed Electronics and Systems, Vol. 10, No.1(2000), p.131−146”で公開された“A.J. Auberton−Herve et al “Why can Smart−Cut change the future of the microelectronics””に記載されている。
【0044】
図2Fは、破砕後における、移されたチップの状態を示す。初期基板2の部分2’は、部品10、20に固定されたままである。
【0045】
次いで、破砕によって自由にされた表面において平坦化段階を行うことができる(段階S7)。例えば酸化物である層200が堆積され(図2G)、次いで、補足として又は一変形例として、新規表面200’を形成するために平坦化が行われ得る。
【0046】
次いで、ビア400、400’は、表面200’と、移動が丁度行われたホスト基板の部品、又は、移動された基板の移動されたチップまたは部分の部品との間の接続を達成するために形成され得る(図2H)。
【0047】
特に補足的な又はより複雑な接続を形成するために1つ又は幾つかの金属レベルも形成され得る。
【0048】
これらの段階は、要求される積層を得るために必要なだけ多く繰り返され得る。例えば、前の段階の終わりに得られる基板(図2H)が使用され、最初に、チップ移動動作が図2F及びその後の図の他の段階が続く図2Eに示されるように行われ、特に現在移動されるチップの基板の弱体化領域の破砕が行われる。
【0049】
図3A及び図3Bは、上記のイオン注入段階前におけるMOEFET構造をより詳細に示し、図3Aは、MOSFETの活性領域の断面図であり、一方、図3Bは、ゲートパッドにおける断面である。図3Dは、図3A及び図3Bの部分平面PA及びPBが示される上面図を示す。
【0050】
これらの図で使用される参照符号は、上記で既に使用されたものと同一である。ソース16及びドレイン14は、より正確に示され得る。符号15は、トランジスタの絶縁酸化物(STI酸化物)を再び示す。符号13は、例えばSiからなるスペーサを示す。
【0051】
一般的に、例えばシリコン酸化物及び/又はPSGからなる誘電層25(PMD)は、約400nmの厚さであり、ポリシリコンゲート12の最大厚さは、約100nmであり、ソース及びドレインシリサイドの最大厚さは、約20nmである。
【0052】
発明者は、破砕が修正されないように、その部品が、注入段階中に大きなスクリーンを形成せず、注入プロファイルが、注入が行われる領域の均一性の欠如にかかわらず大幅に阻害されないことを実現した。それどころか、その全ての金属レベル(技術の完成度に依存して同時に5から11、典型的には7)を有する出来上がったCMOS回路は、MOSFETの下(典型的には表面の下の少なくとも200nm)の破砕と適合する金属レベルを用いた弱体化注入を行うために十分ではない。次いで、注入イオンがMOSFETレベル以下のレベルにおいて基板2のシリコンに達する前にそれらが(この場合、水素であるが、あらゆる他の元素においても同じ問題が生じる)停止されるように、様々な金属化レベルの蓄積された厚さは、約数μmである。従って、MOSFETにおける破砕は不可能である。
【0053】
発明者は、水素注入を停止するための銅の容量を示すために、固体の銅における非常に高エネルギー(250keV)の注入の、SRIMと呼ばれる原子モンテカルロタイプシュミレーション(それは、様々な積層レベルと関係する銅の挙動に対応する)を行った。彼らは、銅の表面下に2μmのオーダーのRp値(注入深さ又は“投影飛程”)を見出した。従って、水素注入が、全ての金属化レベルが存在する、すなわち、数ミクロンの蓄積された厚さを有する、停止されたCMOSウエハにおいて行われた場合、水素イオンは、それらがシリコンに達する前に停止される。
【0054】
図3Cは、弱体化領域30の形成後における、図3Aと同一の断面を示す。この図は、イオンの軌道における金属の欠如が、Rpを十分に深く、典型的には基板2の表面の下の2μmより若干大きくあり得る深さであって注入エネルギーに比例する深さに位置させる手段を提供することを示す。例えば、この注入は、移動されるステージの基板2の表面の下の1μmまたは1.5μmから2.5μmまたは3μmの間の深さで行われる。
【0055】
使用される総熱負荷に関して、発明者は、本発明によれば、それが、結合段階前の熱負荷に対応する第1の熱負荷(図4Aの領域A)であって、この負荷が、結合と適合しないあらゆる表面変形を誘発しない(この熱負荷は、金属レベルの熱負荷に等しいかそのn倍であり、ここで、nは、金属レベルの数である)第1の熱負荷と、前の段階S1からS5中に得られる全ての構造体の完全性に関係する段階S6において破砕が誘発される熱負荷に対応する第2の負荷(図4Aの領域B)と、を含むものであることを示すことができている。第1の負荷の温度は、約1時間30分にわたり約400℃であり(7つの金属レベルにおいて、それは、回路の3D積層の場合に完全に適合できる)、第2の負荷における温度は、約2時間にわたって約450℃に等しい(熱結合負荷が無視できない場合、この負荷は、熱結合負荷の関数として適合され得る)。
【0056】
この熱負荷範囲は、事前のバブリングなしで使用される材料によって受け入れ可能な
条件下で破砕を形成する手段を提供する。それは、示された温度及び期間の値によって厳格に制限されない。
【0057】
図4A及び図4Bは、記載された問題がどのようにして解決されるかを理解するのに役立つ。
【0058】
これらの図において、曲線I及びIはそれぞれ、本発明によって用意され、例えば水素などのガス種が注入された、図2Cに示されるような基板試料におけるバブリング曲線及び破砕曲線である。バブリング(曲線I)は、注入よって弱体化された領域内に成長するマイクロキャビティの重要な成熟に相当する。この表面は、これらのキャビティに沿って一直線の又はこれらのキャビティ上における十分な硬化の欠如で変形し、この変形は、次の分子結合に不適合になり得る。
【0059】
補強剤(結合によって加えられる)が十分に効果的である場合、このメカニズムによって破砕が生じる(曲線I)。
【0060】
バブリング及び/又は破砕現象は、以下のタイプのアレニウス則によって支配される。
1/t=A×exp(−Ea/kT)
ここで、
t=破砕またはバブリング時間、
A=前指数項、時間の逆数と同次、
Ea=eVにおける活性化エネルギー、
k=ボルツマン定数、
T=Kにおける絶対温度。
【0061】
Ea及びAは、アレニウス破砕則のパラメータであり、Ea’及びA’は、アレニウスバブリング則のパラメータである。
【0062】
従って、これらの2つの曲線は、座標面に表される直線(1/kT、ln(1/t))であり、ここで、tは、期間、Tは、Kにおける絶対温度である。
【0063】
図4Aにおいて、これらの2つの直線は、それらが3つの領域に分かれる平面を分離する。
−具体的には比較的弱い熱負荷状態に対応する、言い換えると、他の2つの領域より短い期間と低い温度とを有する所謂“非バブリング”領域A、
−比較的高い熱負荷状態に対応する、言い換えると、他の領域より高い温度と若干長い期間とを有する所謂“破砕”領域B、
−バブリング現象(キャビティの熟成)が生じる2つの曲線の間の中間領域C。
【0064】
注入深さ(従って注入エネルギー)が増加するのに伴って、曲線Ibは、曲線Ifに近づいてくる。
【0065】
結合(段階S5)に先立つ段階の熱負荷は、弱体化領域における破砕及び結合に不適合な表面変形の出現を避けるために領域Aに位置する。
【0066】
この熱破砕負荷は、破砕を可能にするために領域Bに位置する。
【0067】
本発明との関連で起り得る熱負荷の点(T、t)を位置合わせするために、7つのレベルまでの金属接続を備える積層体における65nm技術を用いた周知の製造方法の熱負荷を同定するための試みが行われた。
【0068】
各々のレベルで使用される技術的な順序は、略以下の通りであり、各々の段階における熱負荷、温度及び期間に言及する。
−誘電体の堆積:典型的には0.4μmのSiOC;熱負荷=380℃−4分間、
−ポロゲンを自由にするための焼鈍し;熱負荷=400℃−10分間、
−ラインのリソグラフフィ/誘電体の部分的なエッチング/樹脂の除去;熱負荷なし、
−ビアのリソグラフィ及び誘電体の部分的なエッチング、次いで、樹脂の除去;熱負荷なし、
−障壁(典型的にはTaN、PVD)及び銅を堆積する;熱負荷なし、
−銅を焼鈍しする;熱負荷=250℃−2分間、
−銅の化学機械的研磨;熱負荷なし。
【0069】
全てのこれらの熱負荷を組み合わせることによって、7つの金属レベルを有する本発明による方法の等価熱負荷がおおよそ(400℃、1時間30分)=(T、t)(それは、各々の金属レベルにおいて10から12分間にわたった約400℃である)であることを予想することができる。この熱負荷は、直接結合に適合しないあらゆる表面変形も生じないに違いない。図4Bにおける点Pは、これらの段階における起こり得る熱負荷に相当する。
【0070】
許容できる最大の熱負荷は、それ自体の構造によって与えられる。特に、安定なニッケルシリサイドが約450℃の温度で形成されることに注意されたい。このシリサイドは、約550℃で0.5時間安定である。このシリサイドの安定性は、フッ化物が注入され、少量の白金が加えられた場合、0.5時間にわって650℃まで増加される。
【0071】
さらに、プロゲン(SiOCタイプの絶縁体)において許容される最大の熱負荷は、約(450℃、2時間)である。
【0072】
(450℃、2時間)の最大の熱負荷は、繰り返されるべきである。図4Bにおける点Pは、このような負荷に相当する。
【0073】
本発明による方法の動作点は、好ましくは以下の基準を満足する(これらの式は、上に既に紹介されたものと同一である):
−点Pにおいて、1/t>A’×exp(−Ea’/kT):金属接続40の形成中に、後続の結合に有害であろうバブリングを生じることないキャビティ成熟条件(図2D)、
−点Pにおいて、1/t<A×exp(−Ea/kT):チップの金属接続40において、段階S1からS5に関して許容可能な熱負荷を有する破砕条件。
【0074】
上述の温度および期間の条件(T、t)、(T、t)は、これらの不等式を満足し;従って、図4Bは、結合に不適合であろう破砕及びバブリングなしの処理段階及び破砕段階の連鎖に対応すること熱負荷(T、t)及び熱負荷(T、t)を示す。
【0075】
本発明の例示的な実施形態が与えられ、この例は、時間の関数として温度の変化(曲線I、左側の縦軸)、第2に時間の関数としてa%の弱体化の割合(曲線II、右側の縦軸)を示す図5に示される。
【0076】
図2Aに示されるような構造体から出発して、第1段階(図2B)は、8×10−16イオン/cmの投与量を有する、210keVのエネルギーでの水素注入である。
【0077】
金属レベルの熱処理(図2Dの段階)は、図5に示されるように、400℃−1時間30分の熱負荷と等しい熱負荷で行われる。この熱処理は、図5において、水平ラインF0,1によって示されるように10%のオーダーの弱体化を引き起こす。この熱負荷は、破砕を得るために必要な熱負荷の10%に相当し;例えば、結合がその間に行われる場合、この温度において破砕を得るためにこの温度において必要であろう時間の10%に相当する。このような弱体化は、その注入エネルギー(すなわち、弱体化領域30の深さ)のためにバブリングを生じさせない。従って、それは、本発明による方法及び特に後続の直接(分子)結合に適合するままである(図2Eの段階)。
【0078】
(450℃、1時間30分)のオーダーの熱負荷を有する結合の後における追加の熱処理が破砕を引き起こす。この熱負荷は、金属レベルを有するCMOS構造体における許容可能な熱処理に適合する。弱体化点が450℃における1時間30分後に100%に達するので、この第2の熱処理は、図5の直線Fによって示される弱体化領域における完全な破裂をもたらす。
【0079】
次いで、この温度は、その周囲の値まで戻される。
【符号の説明】
【0080】
2 基板
ステージ
10 CMOS部品
12 ゲート
13 スペーサ
14 ドレインシリサイド
15 トランジスタ絶縁酸化物
16 ソースシリサイド
20 CMOS部品
22 ゲート
24 ドレインシリサイド
25 誘電体
26 ソースシリサイド
27 結合界面
29 イオン注入
30 弱体化領域
40 金属接続
200 酸化物層
400 ビア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの回路のステージの積層体を形成する方法であって、各々のステージが、基板と、この基板内または基板上に形成された少なくとも1つの部品(10、20)及び金属接続(40)とを含み、前記ステージの組立体が前のステージ(2、25)上に移動される方法であって、
(a)この基板の前記部品の下に弱体化領域(30、30)を形成するように、注入表面であるこの基板の表面(25’)を介した、及び、前記部品(10、20)の少なくとも一部を介した、移動される前記ステージの基板(2、25)内におけるイオン注入(29)と、
(b)これらの部品を他の部品に接続するための及び/又は互いの間のこの基板内の前記部品の金属接続(40)の形成と、
(c)その注入表面(25’)を介した前記前のステージ(2、25)への、部品又は部品群を含むこの基板の部分の移動及び組立と、
(d)前記弱体化領域(30、30)に沿った破砕による、前記基板の移動される部分を薄くする段階と、を含む方法。
【請求項2】
前記注入が、前記基板全体にわたって均一に行われる、又は、マスクされた方式で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
段階(c)が、移動され組み立てられるこの基板の部分を個別化する基板切断段階の前に行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記基板が、シリコンからなり、前記注入が、1016イオン/cmから5×1017イオン/cmの範囲内の水素注入である、請求項1から3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記注入が、5×1016イオン/cmから1017イオン/cmまたは7×1016イオン/cmから9×1016イオン/cmの範囲内の水素注入である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
段階(b)が、その温度が約1時間30分の期間にわたって約400℃に等しい熱負荷を用いて行われ、段階(d)における破砕が、その温度が約2時間にわたって約450℃に等しい熱負荷を用いて行われる、請求項1から5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
段階(b)が、前記弱体化された領域(30、30)に沿った部分的な破砕を可能にする温度で行われる、請求項1から6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
段階(c)が、2つのSiO/SiO又は酸化物/酸化物の誘電体層(25、25)間の結合、または、局所的な金属−金属結合を含む、請求項1から7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
移動される前記ステージの部品が、CMOSトランジスタであり、前記注入段階(a)が、前記基板を覆う誘電体(25)を平坦化した後であって前記トランジスタのソース(16、26)、ドレイン(14、24)及びゲート(12、22)のコンタクトパッドのリソグラフィの前に行われる、請求項1から8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
形成される前記積層体が、n個のステージを含み、ここでn≧2であり、段階(a)から(d)が、n個のステージのこの積層体が得られるまで繰り返される、請求項1から9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
平坦化段階が、段階(a)から(d)を繰り返す前に行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
1つ又は幾つかの相互接続が、段階(a)から(d)を繰り返す前に前記前のステージ上で行われる、請求項10または11に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−114426(P2010−114426A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−219313(P2009−219313)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(590000514)コミツサリア タ レネルジー アトミーク (429)
【Fターム(参考)】