説明

基板処理方法

【課題】処理対象の基板に対し、半導体デバイスの小型化要求を満たす寸法の開口部であって、エッチング対象膜に転写するための開口部をマスク膜又は中間膜に形成する基板処理方法を提供する。
【解決手段】アモルファスカーボンの下層レジスト膜71、ハードマスクとしてのSiON膜72、反射防止膜73及びフォトレジスト膜74が順に積層されたシリコン基材70において、CFIガスとHガスとの混合ガスから生成されたプラズマによってフォトレジスト膜74の開口部75の側壁面にデポ76を堆積させて開口部75の開口幅を縮小させるシュリンク工程と、反射防止膜73及びSiON膜72をエッチングするエッチング工程とを1ステップで行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理方法に関し、特に、処理対象層、中間層、マスク層が順に積層された基板を処理する基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン基材上にCVD処理等によって形成された不純物を含む酸化膜、例えばTEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)膜、導電膜、例えばTiN膜、反射防止膜(BARC膜)及びフォトレジスト膜が順に積層された半導体デバイス用のウエハが知られている(例えば、特許文献1参照)。フォトレジスト膜は、フォトリソグラフィにより所定のパターンに形成され、反射防止膜及び導電膜のエッチングの際に、マスクとして機能する。
【0003】
近年、半導体デバイスの小型化が進む中、上述したようなウエハの表面における回路パターンをより微細に形成する必要が生じてきている。このような微細な回路パターンを形成するためには、半導体デバイスの製造過程において、フォトレジスト膜におけるパターンの最小寸法を小さくして、小さい寸法の開口部(ビアホールやトレンチ)をエッチング対象の膜に形成する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−190939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、フォトレジスト膜におけるパターンの最小寸法はフォトリソグラフィで現像可能となる最小寸法によって規定されるが、焦点距離のばらつきなどに起因してフォトリソグラフィで量産可能な最小寸法には限界がある。例えば、フォトリソグラフィで量産可能な最小寸法は約80nmである。一方、半導体デバイスの小型化要求を満たす加工寸法は30nm程度である。
【0006】
このように、半導体デバイスの小型化要求寸法は益々小さくなり、小型化要求を満たす寸法の開口部をエッチング対象の膜に形成するための技術の開発が望まれている。
【0007】
本発明の目的は、処理対象の基板に対し、半導体デバイスの小型化要求を満たす寸法の開口部であって、エッチング対象膜に転写するための開口部をマスク膜又は中間膜に形成する基板処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1記載の基板処理方法は、処理対象層、中間層及びマスク層が順に積層され、前記マスク層は前記中間層の一部を露出させる開口部を有する基板を処理する基板処理方法であって、異方性エッチングガスと水素ガスとの混合ガスから生成されたプラズマによって前記マスク層の前記開口部の側壁面にデポを堆積させる開口幅縮小ステップと、前記開口部の底部を形成する前記中間層をエッチングするエッチングステップを1ステップで行うシュリンクエッチングステップを有することを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の基板処理方法は、請求項1記載の基板処理方法において、前記異方性エッチングガスは、臭素(Br)又は臭素(Br)よりも原子番号が大きいハロゲン元素、炭素及びフッ素を含むガスであることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の基板処理方法は、請求項2記載の基板処理方法において、前記異方性エッチングガスは、CFIガス又はCFBrガスであることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の基板処理方法は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の基板処理方法において、前記シュリンクエッチングステップにおける前記異方性エッチングガスと前記水素ガスとの混合比は、4:1乃至2:3であることを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の基板処理方法は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基板処理方法において、前記シュリンクエッチングステップにおいて、前記基板に100W〜500Wのバイアス電力を印加することを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の基板処理方法は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の基板処理方法において、前記シュリンクエッチングステップにおいて、前記基板を収容するチャンバ内圧力を2.6Pa(20mTorr)乃至2×10Pa(150mTorr)に調整することを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の基板処理方法は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の基板処理方法において、前記シュリンクエッチングステップにおいて、エッチングされる前記中間層は、前記マスク層の下方に積層された反射防止膜及びシリコン含有膜、反射防止膜及び金属膜又はシリコン含有有機膜であることを特徴とする。
【0015】
請求項8記載の基板処理方法は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の基板処理方法において、前記シュリンクエッチングステップによって前記開口幅が縮小された前記マスク層の開口部に対応する開口部を有する前記中間層の開口部を前記処理対象層に転写する処理対象層エッチングステップを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の基板処理方法によれば、異方性エッチングガスと水素ガスとの混合ガスから生成されたプラズマによってマスク層の開口部の側壁面にデポを堆積させる開口幅縮小ステップと、開口部の底部を形成する中間層をエッチングするエッチングステップを1ステップで行うシュリンクエッチングステップを有するので、異方性エッチングガスと水素ガスとの反応によって生成したガスによるデポ堆積作用と、異方性エッチングガスのエッチング作用との相乗作用によって、中間層に、半導体デバイスの小型化要求を満たす寸法の開口部であって、処理対象層に転写するための開口パターンを形成することができる。
【0017】
請求項2記載の基板処理方法によれば、異方性エッチングガスは、臭素(Br)又は臭素(Br)よりも原子番号が大きいハロゲン元素、炭素及びフッ素を含むガスとしたので、異方性エッチングガスから生成されたプラズマを開口部底部に到達させることができ、もって、底部へのデポの堆積を抑制しつつ、例えば中間膜をエッチングすることができる。
【0018】
請求項3記載の基板処理方法によれば、異方性エッチングガスを、CFIガス又はCFBrガスとしたので、開口部底部へのデポの堆積抑制効果及び中間膜エッチング効果が向上する。
【0019】
請求項4記載の基板処理方法によれば、シュリンクエッチングステップにおける異方性エッチングガスと水素ガスとの混合比を、4:1乃至2:3としたので、開口部側壁へのデポの堆積作用と、開口部底部の中間膜エッチング作用との調整を図り、これによって、開口幅を縮小すると共に、開口部底部の中間膜をエッチングすることができる。
【0020】
請求項5記載の基板処理方法によれば、シュリンクエッチングステップにおいて、基板に100W〜500Wのバイアス電力を印加するので、開口部側壁面へのデポ付着効果と底部中間膜のエッチング効果が無理なく得られる。
【0021】
請求項6記載の基板処理方法によれば、シュリンクエッチングステップにおいて、基板を収容するチャンバ内圧力を2.6Pa(20mTorr)乃至2×10Pa(150mTorr)に調整するので、基板表面の荒れ及び摩耗を防止することができる。
【0022】
請求項7記載の基板処理方法によれば、シュリンクエッチングステップにおいて、エッチングされる中間層を、マスク層の下方に積層された反射防止膜及びシリコン含有膜、反射防止膜及び金属膜又はシリコン含有有機膜としたので、これらの中間層にマスク層と同様の半導体デバイスの小型化要求を満たす寸法の開口部を形成することができる。
【0023】
請求項8記載の基板処理方法によれば、シュリンクエッチングステップによって開口幅が縮小されたマスク層の開口部に対応する開口部を有する中間層の開口部を処理対象層に転写する処理対象層エッチングステップを有するので、半導体デバイスの小型化要求を満たす寸法の開口部を、処理対象層に転写することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施の形態に係る基板処理方法を実行する基板処理システムの構成を概略的に示す平面図である。
【図2】図1における線II−IIに沿う断面図である。
【図3】図1の基板処理システムにおいてプラズマ処理が施される半導体ウエハの構成を概略的に示す断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における基板処理方法を示す工程図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態における基板処理方法を示す工程図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態における基板処理方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0026】
まず、本発明の実施の形態に係る基板処理方法を実行する基板処理システムについて説明する。この基板処理システムは基板としての半導体ウエハQ(以下、単に「ウエハQ」という。)にプラズマを用いたエッチング処理やアッシング処理を施すように構成された複数のプロセスモジュールを備える。
【0027】
図1は、本実施の形態に係る基板処理方法を実行する基板処理システムの構成を概略的に示す平面図である。
【0028】
図1において、基板処理システム10は、平面視六角形のトランスファモジュール11と、該トランスファモジュール11の一側面に接続する2つのプロセスモジュール12、13と、該2つのプロセスモジュール12、13に対向するようにトランスファモジュール11の他側面に接続する2つのプロセスモジュール14、15と、プロセスモジュール13に隣接し且つトランスファモジュール11に接続するプロセスモジュール16と、プロセスモジュール15に隣接し且つトランスファモジュール11に接続するプロセスモジュール17と、矩形状の搬送室としてのローダーモジュール18と、トランスファモジュール11及びローダーモジュール18の間に配置されてこれらを連結する2つのロード・ロックモジュール19、20とを備える。
【0029】
トランスファモジュール11はその内部に配置された屈伸及び旋回自在な搬送アーム21を有し、該搬送アーム21は、プロセスモジュール12〜17やロード・ロックモジュール19、20の間においてウエハQを搬送する。
【0030】
プロセスモジュール12はウエハQを収容する処理室容器(チャンバ)を有し、該チャンバ内部に処理ガスとしてCF系デポ性ガス、例えば、CHFガス及びハロゲン系ガス、例えば、HBrガスの混合ガスを導入し、チャンバ内部に電界を発生させることによって導入された処理ガスからプラズマを発生させ、該プラズマによってウエハQにエッチング処理を施す。
【0031】
図2は、図1における線II−IIに沿う断面図である。
【0032】
図2において、プロセスモジュール12は、処理室(チャンバ)22と、該チャンバ22内に配置されたウエハQの載置台23と、チャンバ22の上方において載置台23と対向するように配置されたシャワーヘッド24と、チャンバ22内のガス等を排気するTM
P(Turbo Molecular Pump)25と、チャンバ22及びTMP25の間に配置され、チャンバ22内の圧力を制御する可変式バタフライバルブとしてのAPC(Adaptive Pressure Control)バルブ26とを有する。
【0033】
載置台23には、第1の高周波電源27及び第2の高周波電源35がそれぞれ第1の整合器(Matcher)28及び第2の整合器(Matcher)36を介して接続されており、第1の高周波電源27は、比較的高い周波数、例えば60MHzの高周波電力を励起用電力として載置台23に印加し、第2の高周波電源35は、比較的低い周波数、例えば2MHzの高周波電力をバイアスとして載置台23に印加する。これにより、載置台23は載置台23及びシャワーヘッド24の間の処理空間Rに高周波電力を印加する下部電極として機能する。整合器28及び36は、載置台23からの高周波電力の反射を低減して高周波電力の載置台23への供給効率を最大にする。
【0034】
シャワーヘッド24は円板状の下層ガス供給部29及び円板状の上層ガス供給部30からなり、下層ガス供給部29に上層ガス供給部30が重ねられている。下層ガス供給部29及び上層ガス供給部30はそれぞれ第1のバッファ室31及び第2のバッファ室32を有する。第1のバッファ室31及び第2のバッファ室32はそれぞれガス通気孔33、34を介してチャンバ22内に連通する。
【0035】
第1のバッファ室31は、例えばCHFガス供給系(図示省略)に接続されている。該CHFガス供給系は第1のバッファ室31へCHFガスを供給する。供給されたCHFガスはガス通気孔33を介してチャンバ22内へ供給される。また、第2のバッファ室32は、例えばHBrガス供給系(図示省略)に接続されている。HBrガス供給系は第2のバッファ室32へHBrガスを供給する。供給されたHBrガスはガス通気孔34を介してチャンバ22内へ供給される。シャワーヘッド24には直流電源45が接続されており、該直流電源45によってシャワーヘッド24に直流電圧が印加される。これにより、印加された直流電圧は、処理空間R内のイオン分布を制御する。
【0036】
このプロセスモジュール12のチャンバ22内では、上述したように、載置台23が処理空間Rに高周波電力を印加することにより、シャワーヘッド24から処理空間Rに供給された処理ガスを高密度のプラズマにしてイオンやラジカルを発生させ、該イオンやラジカルによってウエハQにエッチング処理を施す。
【0037】
図1に戻り、プロセスモジュール13はプロセスモジュール12においてエッチング処理が施されたウエハQを収容する処理室(チャンバ)を有し、該チャンバ内部に処理ガスとしてOガス及びNガスの混合ガスを導入し、チャンバ内部に電界を発生させることによって導入された処理ガスからプラズマを発生させ、該プラズマによってウエハQにエッチング処理を施す。なお、プロセスモジュール13は、プロセスモジュール12と同様の構成を有し、例えばCHFガス供給系及びHBrガス供給系の代わりに、Oガス供給系及びNガス供給系(いずれも図示省略)を備える。なお、プロセスモジュール13におけるエッチング処理が、アッシング処理を兼ねることもある。
【0038】
プロセスモジュール14はプロセスモジュール13においてエッチング処理が施されたウエハQを収容する処理室(チャンバ)を有し、該チャンバ内部に処理ガスとしてOガスを導入し、チャンバ内部に電界を発生させることによって導入された処理ガスからプラズマを発生させ、該プラズマによってウエハQにアッシング処理を施す。なお、プロセスモジュール14も、プロセスモジュール12と同様の構成を有し、円板状の下層ガス供給部29及び円板状の上層ガス供給部30からなるシャワーヘッド24の代わりに、Oガス供給系がバッファ室に接続された円板状のガス供給部のみからなるシャワーヘッド(いずれも図示しない)を備える。
【0039】
トランスファモジュール11、プロセスモジュール12〜17の内部は減圧状態に維持され、トランスファモジュール11と、プロセスモジュール12〜17のそれぞれとは真空ゲートバルブ12a〜17aを介して接続される。
【0040】
基板処理システム10では、ローダーモジュール18の内部圧力が大気圧に維持される一方、トランスファモジュール11の内部圧力は真空に維持される。そのため、各ロード・ロックモジュール19、20は、それぞれトランスファモジュール11との連結部に真空ゲートバルブ19a、20aを備えると共に、ローダーモジュール18との連結部に大気ドアバルブ19b、20bを備えることによって、その内部圧力を調整可能な真空予備搬送室として構成される。また、各ロード・ロックモジュール19、20はローダーモジュール18及びトランスファモジュール11の間において受渡されるウエハQを一時的に載置するためのウエハ載置台19c、20cを有する。
【0041】
ローダーモジュール18には、ロード・ロックモジュール19、20の他、例えば25枚のウエハQを収容する容器としてのフープ(Front Opening Unified Pod)37がそれぞれ載置される例えば3つのフープ載置台38と、フープ37から搬出されたウエハQの位置をプリアライメントするオリエンタ39とが接続されている。
【0042】
ロード・ロックモジュール19、20は、ローダーモジュール18の長手方向に沿う側壁に接続されると共にローダーモジュール18を挟んで3つのフープ載置台38と対向するように配置され、オリエンタ39はローダーモジュール18の長手方向に関する一端に配置される。
【0043】
ローダーモジュール18は、内部に配置された、ウエハQを搬送するスカラ型デュアルアームタイプの搬送アーム40と、各フープ載置台38に対応するように側壁に配置されたウエハQの投入口としての3つのロードポート41とを有する。搬送アーム40は、フープ載置台38に載置されたフープ37からウエハQをロードポート41経由で取り出し、該取り出したウエハQをロード・ロックモジュール19、20やオリエンタ39へ搬出入する。
【0044】
また、基板処理システム10は、ローダーモジュール18の長手方向に関する一端に配置されたオペレーションパネル42を備える。オペレーションパネル42は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)からなる表示部を有し、該表示部は基板処理システム10の各構成要素の動作状況を表示する。
【0045】
図3は、図1の基板処理システムにおいてプラズマ処理が施される半導体ウエハの構成を概略的に示す断面図である。
【0046】
図3において、ウエハQはシリコン基材50の表面に形成された処理対象層としてのアモルファスカーボン膜(下層レジスト膜)51と、アモルファスカーボン膜51上に形成されたSiON膜(ハードマスク)52と、SiON膜52上に形成された反射防止膜(BARC膜)53と、反射防止膜53上に形成されたフォトレジスト膜54(マスク層)とを有する。
【0047】
シリコン基材50はシリコンからなる円板状の薄板であり、例えばCVD処理を施すことによって表面にアモルファスカーボン膜51が形成される。アモルファスカーボン膜51は、下層レジスト膜として機能する。アモルファスカーボン膜51上に、CVD処理又はPVD処理等が施されて表面にSiON膜52が形成され、該SiON膜52上に、例
えば塗布処理によって反射防止膜53が形成される。反射防止膜53は或る特定の波長の光、例えば、フォトレジスト膜54に向けて照射されるArFエキシマレーザ光を吸収する色素を含む高分子樹脂からなり、フォトレジスト膜54を透過したArFエキシマレーザ光がSiON膜52によって反射されて再びフォトレジスト膜54に到達するのを防止する。フォトレジスト膜54は、反射防止膜53上に例えばスピンコータ(図示省略)を用いて形成される。フォトレジスト膜54はポジ型の感光性樹脂からなり、ArFエキシマレーザ光に照射されるとアルカリ可溶性に変質する。
【0048】
このような構成のウエハQに対し、所定のパターンに反転するパターンに対応したArFエキシマレーザ光がステッパー(図示省略)によってフォトレジスト膜54に照射されて、フォトレジスト膜54におけるArFエキシマレーザ光が照射された部分がアルカリ可溶性に変質する。その後、フォトレジスト膜54に強アルカリ性の現像液が滴下されてアルカリ可溶性に変質した部分が除去される。これにより、フォトレジスト膜54から所定のパターンに反転するパターンに対応した部分が取り除かれるため、ウエハQ上には所定のパターンを呈する、例えば、ビアホールを形成する位置に開口部55を有するフォトレジスト膜54が残る。
【0049】
ところで、半導体デバイスの小型化要求を満たすためには、小さい寸法、具体的には幅(CD(Critical Dimension)値)が25〜30nm程度の開口部(ビアホールやトレンチ)をエッチング対象の膜に形成する必要がある。しかしながら、フォトリソグラフィで量産可能な最小寸法は例えば80nm程度であるため、ウエハQのエッチング処理において、半導体デバイスの小型化要求を満たす開口幅の開口部をエッチング対象膜に形成することは困難であった。
【0050】
本発明者は、上述した半導体デバイスの小型化要求を満たす開口幅の開口部をウエハQに形成する方法を見出すために、各種実験を行ったところ、処理対象層としてのアモルファスカーボン膜51、ハードコート層としてのSiON膜52、反射防止膜(BARC膜)53、反射防止膜53の一部を露出させる開口部55を有するフォトレジスト膜54がシリコン基材50上に順に積層されたウエハQにおいて、特定のガス付着係数Sを有するCF系のデポ性ガス(C、ここでx、y、zは0又は正の整数)を用いてプラズマ処理を施すことによってフォトレジスト膜54に設けられた開口部55の側壁面にデポが堆積して開口幅が狭くなる(シュリンクされる)ことを発見した。
【0051】
そして、本発明者は、上記発見からシュリンク処理後のフォトレジスト膜の開口幅は、プラズマ処理に適用するデポ性ガスの種類、換言すればガス付着係数Sに依存して最終的に所定幅に収束すること、及び収束後の開口幅は上述した半導体デバイスの小型化要求を満たすものであるという仮説をたて、この仮説に基づいて、プラズマ処理に適用するデポ性ガスの種類、ガス付着係数、処理条件、処理時間等について種々検討を行った結果、ガス付着係数SがS=0.1乃至1.0のCF系のデポ性ガス、例えばCHFガスを適用して所定条件でプラズマ処理を施すことによって、目標とする開口幅、例えば25nm乃至30nmの開口部を有するフォトレジスト膜を備えたウエハQが得られることを見出し、本発明に到達した。
【0052】
以下、本発明の第1の実施の形態に係る基板処理方法について詳述する。
【0053】
この基板処理方法は、ウエハQのフォトレジスト膜54に形成された開口部55の開口幅をプラズマ処理に基づくデポを開口部55の側壁面に付着させて縮小させるものであり、開口幅縮小ステップと、開口幅縮小後に、開口幅が小さくなった開口部55のパターンを、処理対象層であるアモルファスカーボン膜51に転写するエッチングステップ等を有することから、例えば2ステップアプローチと呼ばれる。
【0054】
図4は、本発明の第1の実施の形態における基板処理方法を示す工程図である。
【0055】
図4において、まず、シリコン基材50上に下層レジスト膜としてのアモルファスカーボン膜51、ハードマスクとしてのSiON膜52、反射防止膜(BARC膜)53及びフォトレジスト膜54が順に積層され、フォトレジスト膜54が反射防止膜53の一部を開口幅、例えば60nmで露出させる開口部55を有するウエハQを準備する(図4(A))。そして、このウエハQをプロセスモジュール12(図2参照)のチャンバ22内に搬入し、載置台23上に載置する。
【0056】
次いで、チャンバ22内の圧力をAPCバルブ26等によって例えば1×10Pa(75mTorr)に設定する。また、ウエハQの温度を例えば50℃に設定する。そして、シャワーヘッド24の下層ガス供給部29からCHFガスを流量例えば300sccmでチャンバ22内へ供給する。そして、載置台23に励起用電力として750W、バイアス電力として300Wを供給すると共に、シャワーヘッド24に300Vの直流電圧を印加する。このとき、CHFガスが処理空間Rに印加された高周波電力によって励起されてプラズマになり、イオンやラジカルが発生する(図4(B))。これらのイオンやラジカルはフォトレジスト膜54の表面又は開口部側壁面と衝突、反応し、当該部分にデポ56を堆積させる(図4(C))。
【0057】
デポ56の厚さは、処理開始時から次第に厚くなり、処理開始3分後には、例えば35nm(開口幅:25nm)となる。この開口幅縮小ステップ(以下、「シュリンクステップ」ということがある。)によって、開口部55の開口幅を、60nmから25nmまで縮小することができた。
【0058】
このとき、開口部55の側壁面に堆積するデポ56の堆積速度は、開口部55の開口幅Wに比例することが理論式から導かれる。すなわち、開口部55の側壁面におけるデポの堆積速度は、以下の理論式で表される。
【0059】
【数1】

【0060】
ここで、Sはガスの付着係数、zは開口部底部からの距離、Wは開口幅、Lは開口部の高さ(深さ)である。
【0061】
上記理論式から、開口部55の側壁に堆積するデポ56の堆積速度は、開口部の幅Wに依存することが分かる。すなわち、デポ56の堆積速度は、ガス付着係数が同じであれば、開口部55の開口幅Wが大きい程速くなり、開口幅が小さい程遅くなる。また、デポ付着厚さは、ガス付着係数が同じであれば、開口部55の開口幅Wが大きい程厚くなり、開口幅が小さい程薄くなる。デポ付着後の開口部55の開口幅は、処理時間に伴ってデポガスの種類、すなわちガス付着係数に依存して所定の幅に収束し、初期開口幅が大きい部分におけるシュリンク率は、初期開口幅が小さい部分におけるシュリンク率よりも大きくなる。従って、目的とする開口幅を得るためには、その開口幅が得られるガス付着係数を有すデポ性ガスを用いることが有効となる。
【0062】
ここで、デポ性ガスとは、当該ガスを用いたプラズマ処理によって、例えばマスク層としてのフォトレジスト膜54の開口部55の側壁面にデポ56を堆積させて開口幅を縮小させる作用を有するガスをいう。CHFガスは、ガス付着係数Sが、例えばS=0.5であって、開口幅の収束値は、例えば20〜25nmである。
【0063】
次いで、シュリンクステップによって、開口幅が25nmに縮小された開口部55を有するフォトレジスト膜54を備えたウエハQに対して、通常の条件に従ってフォトレジスト膜54に形成された開口部を処理対象層であるアモルファスカーボン膜51に転写するエッチング処理が施される。
【0064】
すなわち、フォトレジスト膜54の開口膜55の開口幅が25nmに縮小されたウエハQを収容するプロセスモジュール12のチャンバ22内の圧力をAPCバルブ26等によって例えば1×10Pa(75mTorr)に設定し、ウエハQの温度を例えば50℃に設定した後、シャワーヘッド24の下層ガス供給部29からCFガスを流量220sccmでチャンバ22内へ供給すると共に、上層ガス供給部30からCHFガスを流量250sccmでチャンバ22内へ供給する。そして、載置台23に励起用電力として750W、バイアス電力として0Wを供給すると共に、シャワーヘッド24に300Vの直流電圧を印加する。このとき、CFガス及びCHFガスが処理空間Rに印加された高周波電力によってプラズマになり、イオンやラジカルが発生する。これらのイオンやラジカルは反射防止膜53におけるフォトレジスト膜54によって覆われていない部分と衝突、反応し、反射防止膜53及びその下層のSiON膜52の当該部分をエッチングする(図4(D))。当該部分の反射防止膜53及びSiON膜52はアモルファスカーボン膜51が露出するまでエッチングされる(図4(E))。
【0065】
このようにして、フォトレジスト膜54の開口部55の開口幅が縮小されると共に、反射防止膜53及びSiON膜52がエッチングされたウエハQをプロセスモジュール12のチャンバ22内から搬出し、トランスファモジュール11を経由してプロセスモジュール13のチャンバ内に搬入して載置台上に載置する。
【0066】
次いで、チャンバ内の圧力をAPCバルブ等によって2.6Pa(20mTorr)に設定する。そして、シャワーヘッドの下層ガス供給部からOガスを流量180sccmでチャンバ内へ供給すると共に、上層ガス供給部からNガスを流量20sccmでチャンバ内へ供給する。そして、載置台に1000Wの励起用電力を供給し、バイアス電力を0Wとする。このとき、Oガス及びNガスが処理空間Rに印加された高周波電力によってプラズマになり、イオンやラジカルが発生する。これらのイオンやラジカルはアモルファスカーボン膜51における、フォトレジスト膜54、該フォトレジスト膜54の開口部55の側壁面に堆積したデポ56、並びに反射防止膜53及びSiON膜52によって覆われていない部分と衝突、反応し、当該部分をエッチングする(図4(F))。当該部分のアモルファスカーボン膜51はシリコン基材50が露出するまでエッチングされ、アモルファスカーボン膜51に、幅が25nmの開口部が形成される。このとき、フォトレジスト膜54及び該フォトレジスト膜54の開口部55の側壁面及び上面に堆積したデポ56並びに反射防止膜53が同時に除去される(図4(G))。
【0067】
その後、ウエハQをプロセスモジュール13のチャンバから搬出し、本処理を終了する。
【0068】
この場合、フォトレジスト膜54の開口部55の内壁面にデポ56を堆積させるシュリンクステップと、該シュリンクステップによって縮小されたフォトレジスト膜54の開口部55の開口幅であって、反射防止膜53及びSiON膜52に転写した開口幅をアモル
ファスカーボン膜51に転写するエッチングステップを同一チャンバ内で連続して行うこともできる。
【0069】
本実施の形態によれば、ガス付着係数Sが、S=0.1〜1.0のデポ性ガスを用いてプラズマ処理を施すことにより、フォトレジスト膜54の開口部55の側壁面にデポ56を堆積させてその開口幅を狭くすることができる。フォトレジスト膜54の開口部55の側壁面にデポ56を堆積させて開口部60nmの幅を、例えば25nmに調整すれば、これに基づいて処理対象層としてのアモルファスカーボン膜51にも幅が25nmの開口部を形成することができるので、これによって半導体デバイスの小型化要求を満たす寸法の開口部を処理対象層としてのアモルファスカーボン膜51に形成することができる。
【0070】
本実施の形態において、デポ性ガスは、一般式C(x、y、zは0又は正の整数)で表され、ガス付着係数Sが、S=0.1〜1.0、好ましくは、S=0.1〜0.5のものである。CHFガスは、ガス付着係数SがS=0.5程度であり、収束開口幅は、例えば20〜25nmである。デポ性ガスは、CHFガスの外、CHガス、CHFガス、Cガス、Cガス、CFガス、CHガス等を用いることができ、これらのデポガスによっても、近年のデバイス小型化の要請に応えることができ、シュリンクステップにおいてウエハQのフォトレジスト膜54に形成された開口部55の開口幅を例えば25〜30nmに縮小、収束させることができる。
【0071】
本実施の形態において、エッチング処理時のバイアス電力は、100W〜500Wであることが好ましい。バイアス電力が100W未満であると、開口部側壁面へのデポ付着が不十分となる。一方、バイアス電力が500Wを超えると、スパッタリングによってフォトレジスト膜54が荒れてしまう。バイアス電力が、100W〜500Wであるとデポ性ガスの拡散を抑制して開口部の側壁面に、むらのない厚さのデポ56を堆積させて開口幅を縮小することができる。処理温度は、特に限定されず、通常20℃〜100℃とされるが、実用上室温であることが好ましい。
【0072】
本実施の形態において、エッチング処理時間は0.5分〜3分である。デポ付着速度は、エッチング開始時が最も速く、その後、次第に遅くなり、3分後には、ほとんど0となって、開口幅が所定幅に収束するからである。従って、処理時間をコントロールすることによってデポ厚さを制御することも可能である。
【0073】
本実施の形態において、ハードマスクとしてのSiON膜52と有機膜からなる反射防止膜(BARC膜)53に代えて、有機膜のBARCにシリコン(Si)を数10%含有させた反射防止機能を有するSi−ARC膜を適用することもできる。
【0074】
また、本実施の形態に係る基板処理方法が適用されるウエハQは、処理対象層がアモルファスカーボン膜51であったが、処理対象層はこれに限られず、例えばSiO膜、TiN膜等であってもよい。
【0075】
本実施の形態において、開口幅が大きい開口部ではデポ56の付着速度が速く、開口幅が小さい開口部ではデポ56の付着速度が小さいので、デポ付着時間をある程度長く、例えば3分にするとデポ付着後の開口幅が、適用ガスに特有の所定値に収束するという特性を利用して、エッチング当初ばらつきがあったフォトレジスト膜54の開口部55の開口幅のばらつきを吸収して均一化を図ることができる。
【0076】
次に、本実施の形態における開口幅のばらつき吸収効果を明確にするための変形例について説明する。
【0077】
変形例1として、フォトレジスト膜54の開口部55の初期開口幅を65nmとした以外は、上記実施の形態における条件と同様の条件で、同様に処理してウエハQに対して3分間プラズマエッチング処理を施したところ、デポ56の厚さは、処理開始3分後に38nm(開口幅:27nm)となった。この処理によって、開口幅65nmを27nmまで縮小することができた。
【0078】
次に、変形例2として、フォトレジスト膜54の開口部55の初期開口幅を70nmとした以外は、上記実施の形態における条件と同様の条件で、同様に処理してウエハQに対して3分間プラズマエッチング処理を施したところ、デポ56の厚さは、処理開始3分後に42nm(開口幅:28nm)となった。この処理によって、開口幅70nmを28nmまで縮小することができた。
【0079】
本実施の形態及び変形例1、2において、ウエハQにおけるフォトレジスト膜54の初期開口幅は、それぞれ60nm、65nm及び70nmであるが、CHFガスを用いたプラズマエッチング処理後のフォトレジスト膜54における開口幅は、それぞれ25nm、27nm及び28nmとなった。これから、デポ性ガスとしてCHFガスを用いたプラズマエッチング処理は、開口幅を狭くするシュリンク効果に加え、当初ばらつき(±5nm:平均65nm)があった開口幅(60nm〜70nm)を目的の開口幅である、例えば27nm近傍にまで縮小し、且つ各初期開口幅のばらつきを吸収する効果があることが分かる(処理後のばらつき±2nm)。
【0080】
実施例1
シリコン基材上に中間層及び開口幅60nmの開口部を有するフォトレジスト膜を備えたウエハQを用い、チャンバ内圧力を1×10Pa(75mTorr)に、ウエハQの温度を50℃に設定し、デポ性ガスとしてCHFガスを、300sccmでチャンバ内へ供給し、バイアス電力を300Wとしてプラズマを発生させ、フォトレジスト膜の開口部を縮小するシュリンク処理を施したところ、処理開始0.5分後のデポ堆積厚さは、31nm(開口幅:29nm)、処理開始1分後のデポ堆積厚さは、32nm(開口幅:28nm)、処理開始3分後のデポ堆積厚さは、33nm(開口幅:27nm)であった。
【0081】
この結果から、シュリンク工程におけるフォトレジスト膜の開口部の開口幅を縮小する効果は、処理開始後約0.5分でピークに達し、処理開始後3分でほぼ収束することが分かる。従って、処理時間は、0.5分〜3.0分が好ましい。
【0082】
次に、本発明における第2の実施の形態について詳細に説明する。
【0083】
本発明者は、ウエハQにおけるフォトレジスト膜に設けられた開口部の開口幅を狭くするためにシュリンク処理を施した場合、開口部の側壁面だけでなく、底部にもデポが堆積すること、底部に堆積したデポ厚さは側壁面に堆積したデポ厚さに対応して厚くなるので、初期開口幅の相違によって底部に堆積するデポ厚さも変動すること、及び開口部底部のデポ厚さが異なると同じエッチング処理を施しても底部堆積デポを同じように打ち抜くことができず、均一処理の妨げになるこという知見を得た。
【0084】
そして、この知見に基づいて、種々検討を重ねたところ、開口部の側壁面にデポを堆積させ易いデポ性ガスと、開口部の横方向には拡散しにくく、開口部底部をエッチングして底部へのデポの堆積を抑制する異方性エッチングガスを併用してプラズマ処理を施すことにより、フォトレジスト膜の開口部の開口幅を縮小させると共に、開口部底部へのデポの堆積を回避できることを見出した。
【0085】
図5は、本発明の第2の実施の形態における基板処理方法を示す工程図である。
【0086】
図5において、まず、シリコン基材60上にアモルファスカーボンの下層レジスト膜61、ハードマスクとしてのSiON膜62、反射防止膜(BARC膜)63及びフォトレジスト膜64が順に積層され、フォトレジスト膜64が反射防止膜63の一部を開口幅、例えば60nmで露出させる開口部65を有するウエハQを準備する(図5(A))。そして、このウエハQをプロセスモジュール12(図2参照)のチャンバ22内に搬入し、載置台23上に載置する。
【0087】
次いで、チャンバ22内の圧力をAPCバルブ26等によって例えば2×10Pa(150mTorr)に設定する。また、ウエハQの温度を、例えば50℃に設定する。そして、シャワーヘッド24の下層ガス供給部29からCHFガスを流量300sccmでチャンバ22内へ供給すると共に、上層ガス供給部30からCFIガスを流量200sccmでチャンバ22内へ供給する。このときCHFガスとCFIガスとの流量比は、3:2である。そして、載置台23に750Wの高周波電力を励起電力として供給すると共に、300Wの高周波電力をバイアス電力として供給する。また、シャワーヘッド24に300Vの直流電圧を印加する。
【0088】
このとき、CHFガス及びCFIガスが処理空間Rに印加された高周波電力によってプラズマになり、イオンやラジカルが発生する(図5(B))。CHFガスから発生したイオンやラジカルはフォトレジスト膜64の表面又は開口部側壁面と衝突、反応し、当該部分にデポ66を堆積して開口幅を狭くする。このとき開口部の底部にもデポ66が堆積し易くなる。一方、CFIガスから発生したイオンやラジカルは、開口部65の横方向には拡散しにくいので開口部65の側壁面に堆積したデポに衝突せず、底方向に進行して底部へ堆積したデポに衝突して、該デポを除去し、さらに、下地層である反射防止膜63及びSiON膜62をエッチングする。すなわち、CHFガスから発生したイオンやラジカルは、CFIガスから発生したイオンやラジカルと協働して、開口部65の開口幅をシュリンクしながら、フォトレジスト膜64及びフォトレジスト膜64の開口部に堆積したデポ66によって覆われていない開口部底部をエッチングする(図5(C))(シュリンクエッチングステップ)。
【0089】
このとき、開口部入口周辺の径はわずかに広がるものの、開口部側壁面におけるデポ66の厚さは、処理開始時から次第に厚くなり、処理開始約0.5分後に31nm(開口幅:29nm)となり、処理開始約1分後に32nm(開口幅:28nm)となり、その後、次第に若干厚くなって、処理開始後3分後に33nm(開口幅:27nm)となった。
【0090】
また、反射防止膜63及びSiON膜62は、シュリンクされた開口幅27nmの幅で、下層レジスト膜としてのアモルファスカーボン膜61が露出するまでエッチングされ、アモルファスカーボン層61が露出した。
【0091】
このようにして、開口部65の開口幅がシュリンクされると共に、反射防止膜63及びSiON膜62がエッチングされたウエハQをプロセスモジュール12のチャンバ22内から搬出し、トランスファモジュール11を経由してプロセスモジュール13のチャンバ内に搬入し、以下、上述した第1の実施の形態と同様に、SiON膜62をハードマスクとしてアモルファスカーボン膜61をエッチングして該アモルファスカーボン膜61における反射防止膜63及びSiON膜62、並びにフォトレジスト膜64及びフォトレジスト膜64の開口部に堆積したデポ66によって覆われていない部分をエッチングすると共に、フォトレジスト膜64及び該フォトレジスト膜64に堆積したデポ66並びに反射防止膜63をアッシングして本処理を終了する。
【0092】
アモルファスカーボン膜61には、開口幅27nmの開口部が形成された。なお、シュ
リンクされた開口幅の開口部65を有するアモルファスカーボン膜61を備えたウエハQについては、別途、公知の方法によってエッチング処理が施され、目的とするパターン寸法のウエハQが調製される。
【0093】
本実施の形態によれば、デポ性ガスとして、開口部の側壁にデポ66を堆積させ易いCHFガスと、開口部の横方向には、拡散しにくいが底部へのデポの堆積を抑制し、下地層をエッチングし易いCFIガスを併用したので、フォトレジスト膜64の開口部65の開口幅を狭くして、近年における半導体デバイス小型化の要請に応えることができると共に、CFIガスから生成されたプラズマによって、フォトレジスト膜64によって覆われていない部分の反射防止膜63及びSiON膜62をエッチングすることができる。すなわち、開口部65の開口幅を縮小させるシュリンク工程と、中間層としての反射防止膜63及びSiON膜62をエッチングするエッチング工程を1ステップアプローチとして行うことができる。これによって、ウエハQの生産性が向上する。
【0094】
本実施の形態において、開口部65の側壁面に堆積するデポ66の堆積速度は、開口部の幅Wに依存し、開口部65の開口幅Wが大きい程速くなり、開口幅が小さい程遅くなる。そして、デポ付着後の開口部65の開口幅は、処理時間に伴ってデポ性ガスと異方性エッチングガスとの混合ガスのガス付着係数に依存して所定の幅に収束するので、適用するガスの種類、混合比等を調整することによって開口幅を調節することができる。
【0095】
本実施の形態において、デポ性ガスは、一般式C(x、y、zは0を含む整数)で表されるものであり、CHFが好適に用いられる。CHFは、ガス付着係数Sが、S=0.5程度であり、収束開口幅は、例えば20〜25nmであり、近年のデバイス小型化の要請に沿うものである。デポ性ガスとしては、CHFガスの外、例えば、CHガス、CHFガス、Cガス、Cガスを適用することもできる。
【0096】
一方、異方性エッチングガスとしては、CFIガスが好適に使用される。CFIガスはHBrガスよりも毒性が低いので、取り扱いが容易である。異方性エッチングガスとしては、CFIガスの外CFBrガス、CFAtガス、HIガス、HBrガス等を適用することができる。また、異方性エッチングガスにおけるハロゲン元素に代えて周期律表第16属元素であって、S及びSよりも分子量の大きい元素を適用することもできる。これらのハロゲン元素、周期律表の第16類元素を含有するガスも、揮発性が低く、開口部の横方向には拡散しにくく、底部にデポを堆積させず、下地層をエッチングして抜くことができるガスであり、デポ性ガスと組み合わせて使用することができる。なお、異方性エッチングガスは、揮発性が低く、カーボンと反応して何らかの結合膜を作って開口部65の側面を保護し、且つイオン力によって開口部の底部方向に向かって拡散して中間膜をエッチングすると考えられる。
【0097】
本実施の形態において、デポ性ガスと異方性エッチングガスとの混合比は、6:1〜1:1であることが好ましく、特に、4:3〜3:2であることが好ましい。異方性エッチングガスの流量がデポガスの流量よりも大きくなると十分なシュリンク効果を得ることが難しくなる。一方、異方性エッチングガスの流量が、デポガスの流量の1/6よりも小さいと、反射防止膜63及びSiON膜62のエッチングが不十分となる。なお、デポ性ガスと異方性エッチングガスの混合ガスを用いた本実施の形態においては、デポ性ガス単独ガスを用いた場合よりも開口部側壁面へのデポ付着量が若干少なくなると考えられる。
【0098】
本実施の形態において、エッチング処理時のバイアス電力は、100W〜500Wである。バイアス電力が100W未満であると、開口部底部エッチング効果が不十分となる。一方、バイアス電力が500Wを超えると、スパッタリングによってフォトレジスト膜65が荒れてしまう。
【0099】
本実施の形態において、エッチング処理時のチャンバ内圧力は、2.6Pa(20mTorr)乃至2×10Pa(150mTorr)、好ましくは1×10Pa(75mTorr〜2×10Pa(150mTorr)である。処理圧力が、低すぎると基板表面が荒れる。一方、処理圧力が高すぎると、基板表面が摩耗される。
【0100】
本実施の形態において、エッチング処理時のウエハQの温度は、特に限定されるものではないが、20℃〜100℃である。
【0101】
本実施の形態において、フォトレジスト膜64の開口部65の開口幅のシュリンクと同時にエッチングされる中間層を反射防止膜63及びシリコン含有膜としてのSiON膜62としたが、シリコン含有膜は、SiON膜に限定されるものではなく、SiON膜の外、例えばSiO膜、SiN膜、SiC膜、SiOC膜又はSiCN膜を用いることもできる。また、中間層は、反射防止膜及びシリコン含有膜に限定されるものではなく、反射防止膜と金属膜としての例えばTi膜もしくはTiN膜を組み合わせたもの、又は有機膜としてのBARCにシリコン(Si)を数10%添加した反射防止膜の機能を備えたSi−BARC膜等を適用することもできる。
【0102】
また、本実施の形態における処理対象層は、下層レジスト膜61であったが、処理対象層はこれに限られず、例えばSiO膜、TiN膜であってもよい。
【0103】
本実施の形態において、エッチング処理時間は、0.5分〜3分である。エッチング時間が、0.5分よりも短いと、十分なシュリンク効果が得られ難く、処理時間が3分位でシュリンク効果が収束し、中間層のエッチングが完了するので、処理時間を3分以上にしても、それ以上の効果が得られ難い。
【0104】
本実施の形態において、開口部65の開口幅を縮小すると共に中間層をエッチングするシュリンクエッチングステップとアモルファスカーボン膜61をエッチングするエッチングステップを同一チャンバ内で連続して行うこともできる。
【0105】
[実施例2〜15]及び[比較例1、2]
初期開口幅が60nmのフォトレジスト膜64、反射防止膜63及びSiON膜62を有するウエハQについて、デポ性ガスとしてCHFガス、異方性エッチングガスとしてCFIガスを用い、チャンバ内圧力、バイアス電力、及びガス流量比をそれぞれ変化させてシュリンク及び中間層エッチング処理(1ステップアプローチ処理)を施し、処理開始1分後のフォトレジスト膜の表面及びアッシング処理後の下層レジスト層表面を観察した。
【0106】
条件及び観察結果を表1に示す。
【0107】
【表1】

【0108】
表1から、以下のことが分かる。
【0109】
実施例2〜11は、チャンバ内圧力が、2.6Pa(20mTorr)〜2×10Pa(150mTorr)で、バイアス電力が100W〜500Wで、ガス流量比(CHF/CFI)が6:1〜1:1であり、十分なシュリンク効果と同時に、反射防止膜63及びSiON膜62を打ち抜くエッチング効果が認められた。また、実施例9では、初期状態で平均60nmであった開口幅を、平均25nmにシュリンクすることができた。このとき、ばらつきΔの平均値は、13.9nmから、3.7nmになった。
【0110】
実施例12は、チャンバ内圧力が低いので、フォトレジスト膜64の表面が荒れたが、実用可能であった。また、実施例13は、ガス流量比が4:5であり、シュリンク効果が不十分であるが、実用可能であった。実施例14は、ガス流量比が7.3:1であり、中間層エッチング効果が不十分であるが、実用可能であった。
【0111】
比較例1は、CFIガス単独によるものであり、これによっても中間層エッチング効果が認められたが、十分なシュリンク量が得られなかった。また、比較例2は、処理ガスとしてデポ性ガスであるCHFガス単独を用いたので、シュリンク効果は得られるが、開口部の底にもデポが付着して中間層を打ち抜くことはできなかった。
【0112】
実施例15は、バイアス電力が高すぎてフォトレジスト膜64の表面が摩耗したが、何とか実用可能であった。
【0113】
[実施例16]
デポ性ガス:CHFガス、異方性エッチングガス:CFI、流量比:CHF/CFI=4:1、チャンバ内圧力:2×10Pa(150mTorr)、バイアス電力:750+300W、ウエハ温度:60℃としてイニシャル開口幅75nmのフォトレジスト膜64を有するウエハQについて1ステップアプローチ処理を施し、試験開始後30秒、60秒、90秒、120秒、150秒、180秒及び300秒後のシュリンク量及び反射防止膜63、SiON膜62のエッチング状態を観察したところ、試験開始後30〜90秒後は、反射防止膜63を抜いている間に、側壁にデポ(ポリマー)が堆積し続け、次第にその厚さが大きくなった。また、試験開始後90〜120秒後までは、さらにシュリンクが進み、SiON膜62のエッチングが始まった。その後、試験開始後120〜180秒後は、SiON膜62が完全に抜け、シュリンク量が収束した。
【0114】
この結果から、処理時間は、0.5分〜3.0分が好ましいことが分かる。
【0115】
次に、第2の実施の形態の変形例としての本発明の第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態は、異方性エッチングガスと水素ガスとの混合ガスを処理ガスとして用い、フォトレジスト膜74の開口部75の側壁面にデポを堆積させる開口幅縮小ステップと、開口部75の底部を形成する中間層としての反射防止膜73及びSiON膜72をエッチングするエッチングステップを1ステップ(シュリンクエッチングステップ)で行うものである。
【0116】
図6は、本発明の第3の実施の形態における基板処理方法を示す工程図である。
【0117】
図6において、まず、シリコン基材70上にアモルファスカーボンの下層レジスト膜71、ハードマスクとしてのSiON膜72、反射防止膜(BARC膜)73及びフォトレジスト膜74が順に積層され、フォトレジスト膜74が反射防止膜73の一部を開口幅、例えば60nmで露出させる開口部75を有するウエハQを準備する(図6(A))。そして、このウエハQをプロセスモジュール12(図2参照)のチャンバ22内に搬入し、載置台23上に載置する。
【0118】
次いで、チャンバ22内の圧力をAPCバルブ26等によって例えば1×10Pa(75mTorr)に設定する。また、ウエハQの温度を、例えば40℃に設定する。そして、上層ガス供給部30からCFIガスを流量150sccmでチャンバ22内へ供給すると共に、シャワーヘッド24の下層ガス供給部29からHガスを流量100sccmでチャンバ22内へ供給する。このときCFIガスとHガスとの流量比は、3:2である。そして、載置台23に750Wの高周波電力を励起電力として供給すると共に、300Wの高周波電力をバイアス電力として供給する。また、シャワーヘッド24に50Vの直流電圧を印加する。
【0119】
このとき、CFIガスの一部とHガスとが反応し、CFIガス中のF成分がHFとして引き抜かれ、CFIガスの一部は相対的にF成分が減少してデポガスとして機能する。すなわち、CFIガスとHガスとの反応生成ガス(以下、「CFI・H反応生成ガス」という。)、及び未反応のCFIガスが処理空間Rに印加された高周波電力によってプラズマになり、イオンやラジカルが発生する(図6(B))。CFI・H反応生成ガスから発生したイオンやラジカルはフォトレジスト膜74の表面又は開口部側壁面と衝突、反応し、当該部分にデポ76を堆積して開口幅を狭くする。このとき開口部の底部にもデポ76が堆積し易くなる。一方、未反応のCFIガスから発生したイオンやラジカルは、開口部75の横方向には拡散しにくく、開口部75の周辺部を僅かにエッチングしてテーパ状壁面を形成すると共に、開口部75の底方向に進行して底部へ堆積
したデポに衝突して、該デポを除去し、さらに、下地層である反射防止膜73及びSiON膜72をエッチングする。このように、CFI・H反応生成ガスから発生したイオンやラジカルは、未反応のCFIガスから発生したイオンやラジカルと協働して、開口部75の開口幅をシュリンクしながら、フォトレジスト膜74及びフォトレジスト膜74に堆積したデポ76によって覆われていない開口部底部の反射防止膜73及びSiON膜72をエッチングする(図6(C))。
【0120】
このとき、開口部側壁面におけるデポ76の厚さは、処理開始時から次第に厚くなり、処理開始後150sec後に両側の合計で29nm(開口幅:31nm)となった。また、反射防止膜73及びSiON膜72は、シュリンクされた開口幅31nmの幅で、下層レジスト膜としてのアモルファスカーボン膜71が露出するまでエッチングされ、開口部75の開口幅に対応してアモルファスカーボン層71が露出した。
【0121】
このようにして、開口部75の開口幅がシュリンクされると共に反射防止膜73及びSiON膜72がエッチングされたウエハQをプロセスモジュール12のチャンバ22内から搬出し、トランスファモジュール11を経由してプロセスモジュール13のチャンバ内に搬入し、以下、上述した第2の実施の形態と同様に、SiON膜72をハードマスクとしてアモルファスカーボン膜71をエッチングして該アモルファスカーボン膜71の反射防止膜73及びSiON膜72、並びにフォトレジスト膜74及びフォトレジスト膜74の開口部に堆積したデポ76によって覆われていない部分をエッチングすると共に、アッシング処理を施して本処理を終了する。
【0122】
アモルファスカーボン膜71には、開口部75の開口幅31nmに対応する開口部が形成された。なお、シュリンクされた開口幅の開口部75を有するアモルファスカーボン膜71を備えたウエハQについては、別途、公知の方法によってエッチング処理が施され、目的とするパターン寸法のウエハQが調製される。
【0123】
本実施の形態によれば、開口部75の開口幅を縮小させるシュリンク工程と、中間膜としての反射防止膜73及びSiON膜72をエッチングするエッチング工程を1ステップアプローチ(シュリンクエッチングステップ)として行うことにより、上記第2の実施の形態と同様、近年における半導体デバイスの小型化の要請に応えることができると共に、ウエハQの生産性を向上させることができる。
【0124】
本実施の形態によれば、処理ガスとして、異方性エッチングガスであるCFIガスと、Hガスとの混合ガスを用い、その流量比CFI:Hを3:2としたので、CFIガスの一部とHガスとが反応してCFIガスの一部からFがHFとして引き抜かれたCFI・H反応生成ガスとなる。CFI・H反応生成ガスは、CFIガスに比べてF成分の割合が相対的に減少すると共に、C成分の割合が相対的に増加したガスであり、デポ性ガスとして機能する。すなわち、CFIガスは、異方性エッチングガスであり、F成分の割合が大きいので、デポ性を発現することはできないが、これにHガスを添加してF成分をHFとして引き抜くことにより、相対的にC成分が大きくなるので、デポ堆積機能を発現するようになる。このように開口部の側壁にデポ76を堆積させ易いCFI・H反応生成ガスと、開口部の横方向には拡散しにくいが底部へのデポの堆積を抑制し、下地層をエッチングし易い未反応のCFIガスを併用することにより、開口部75の開口幅を縮小させるシュリンク工程と、中間膜としての反射防止膜73及びSiON膜72をエッチングするエッチング工程を1ステップアプローチ(シュリンクエッチングステップ)として行うことができる。なお、CFIガスとHガスとの反応によってCFIガスからF成分を引き抜く際に生成したHFガスは、系外に廃棄されるので、チャンバ内の構成部材に付着することはなく、問題とならない。
【0125】
本実施の形態において、異方性エッチングガスは、臭素(Br)又は臭素(Br)よりも原子番号が大きいハロゲン元素、炭素及びフッ素を含むガスであり、なかでもCFIガス又はCFBrガスが好適に用いられる。CFIガス、CFBrガス/Hガスは、従来技術で使用されていたCHFガス/CFガスと比べて地球温度上昇化係数(GWP:Global Warming Potential)が小さい。従って、本実施の形態によれば、処理ガスとしてCHFガスとCFガスとの混合ガスを用いる従来技術に比べて環境負荷を大幅に低減することができる。
【0126】
本実施の形態において、異方性エッチングガスとHガスとの混合比は、4:1乃至2:3であることが好ましく、特に、2:1〜4:3であることが好ましい。Hガスの流量が異方性エッチングガスの流量の1/4よりも小さくなると、デポガスとして機能するCFI・H反応生成ガスが不足して十分なシュリンク効果を得ることが難しくなる。一方、Hガスの流量が、異方性エッチングガスの流量の3/2よりも大きくなると、Hガスと反応しない未反応の異方性エッチングガス量が不足して反射防止膜73及びSiON膜72のエッチングが不十分となる。なお、異方性エッチングガスとHガスとの最適混合比は、処理圧力等に依存すると考えられる。
【0127】
本実施の形態において、エッチング処理時のバイアス電力は、100W〜500Wである。バイアス電力が100W未満であると、開口部底部エッチング効果が不十分となる。一方、バイアス電力が500Wを超えると、スパッタリングによってフォトレジスト膜65が荒れてしまう。
【0128】
本実施の形態において、エッチング処理時のチャンバ内圧力は、2.6Pa(20mTorr)乃至2×10Pa(150mTorr)、好ましくは1×10Pa(75mTorr〜2×10Pa(150mTorr)である。処理圧力が、低すぎると基板表面が荒れる。一方、処理圧力が高すぎると、基板表面が摩耗される。また、エッチング処理時のウエハQの温度は、特に限定されるものではないが、例えば20℃〜100℃である。
【0129】
本実施の形態において、中間層を反射防止膜73及びシリコン含有膜としてのSiON膜72としたが、シリコン含有膜は、SiON膜の外、例えばSiO膜、SiN膜、SiC膜、SiOC膜又はSiCN膜であってもよい。また、中間層は、反射防止膜及びシリコン含有膜に限定されるものではなく、反射防止膜と金属膜としての例えばTi膜もしくはTiN膜を組み合わせたもの、又は有機膜としてのBARCにシリコン(Si)を数10%添加した反射防止膜の機能を備えたSi−ARC膜等であってもよい。
【0130】
また、本実施の形態における処理対象層は、下層レジスト膜71であったが、処理対象層はこれに限られず、例えばSiO膜、TiN膜であってもよい。
【0131】
本実施の形態において、エッチング処理時間は、0.5分〜3分である。エッチング時間が、0.5分よりも短いと、十分なシュリンク効果が得られ難く、処理時間が3分位でシュリンク効果が収束し、中間層のエッチングが完了するので、処理時間を3分以上にしても、それ以上の効果が得られ難い。
【0132】
本実施の形態において、開口部75の開口幅を縮小すると共に中間層をエッチングするシュリンクエッチングステップとアモルファスカーボン膜71のエッチングステップを同一チャンバ内で連続して行うこともできる。
【0133】
[実施例17〜19]及び[比較例3〜7]
初期開口幅が60nmのフォトレジスト膜74、反射防止膜73及びSiON膜72を有するウエハQについて、処理ガスとしてCFIガスとHガスとの混合ガスを用い、チャンバ内圧力、バイアス電力、ガス流量比及び処理時間をそれぞれ変化させてシュリンクエッチング処理を施し、処理後のフォトレジスト膜の表面及びアッシング処理後の下層レジスト層表面を観察した。
【0134】
条件及び観察結果を表2に示す。
【0135】
【表2】

【0136】
表2から、以下のことが分かる。
【0137】
実施例17〜19は、異方性エッチングガスであるCFIガスとHガスとの流量比が、4:1〜2:3で、チャンバ内圧力が、1×10Pa(75mTorr)で、バイアス電力が300Wで、且つ、処理時間がそれぞれ60、120及び150secであり、各条件が本発明の範囲内にあるので、十分なシュリンク効果が得られると共に、反射防止膜73及びSiON膜72を打ち抜く中間層のエッチング効果が認められた。なお、実施例18では、初期状態で平均60nmであった開口部75の開口幅を、平均31nmにシュリンクすることができ、ホール径のばらつきは、極小さいものであった。
【0138】
比較例3は、CFIガス単独によるものであり、これによっても中間層エッチング効果が認められたが、本発明で規定する処理ガスではないので、十分なシュリンク量が得られなかった。また、比較例4は、処理ガスとして異方性エッチングガスであるCFガス単独を用いたものであり、中間層を打ち抜くことはできたが、本発明で規定する処理ガスではないので、シュリンク効果は発揮されなかった。
【0139】
比較例5〜7は、処理ガスとしてCFガス及びCHFガスを用いたものであり、CFガス流量に対するCHFガス流量の割合を増加するに伴ってシュリンク効果が発現されるものの、本発明で規定する処理ガスではないので、開口部のトップ形状が荒れ、且つホール径のばらつきも大きくて実用に耐え得るものではなかった。
【0140】
上述した各実施の形態において、プラズマ処理が施される基板は半導体デバイス用のウエハに限られず、LCD(Liquid Crystal Display)を含むFPD(Flat Panel Display)等に用いる各種基板や、フォトマスク、CD基板、プリント基板等であってもよい。
【0141】
また、本発明の目的は、上述した各実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記憶した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても達成される。
【0142】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した各実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0143】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW等の光ディスク、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。または、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしてもよい。
【0144】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上述した各実施の形態の機能が実現されるだけではなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した各実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0145】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その拡張機能を拡張ボードや拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した各実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【符号の説明】
【0146】
10 基板処理システム
12,13,14 プロセスモジュール
50、60、70 シリコン基材
51、61、71 アモルファスカーボン膜(下層レジスト膜)
52、62、72 SiON膜
53、63、73 反射防止膜
54、64、74 フォトレジスト膜
55、65、75 開口部
56、66、76 デポ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象層、中間層及びマスク層が順に積層され、前記マスク層は前記中間層の一部を露出させる開口部を有する基板を処理する基板処理方法であって、
異方性エッチングガスと水素ガスとの混合ガスから生成されたプラズマによって前記マスク層の前記開口部の側壁面にデポを堆積させる開口幅縮小ステップと、前記開口部の底部を形成する前記中間層をエッチングするエッチングステップを1ステップで行うシュリンクエッチングステップを有することを特徴とする基板処理方法。
【請求項2】
前記異方性エッチングガスは、臭素(Br)又は臭素(Br)よりも原子番号が大きいハロゲン元素、炭素及びフッ素を含むガスであることを特徴とする請求項1記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記異方性エッチングガスは、CFIガス又はCFBrガスであることを特徴とす
る請求項2記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記シュリンクエッチングステップにおける前記異方性エッチングガスと前記水素ガスとの混合比は、4:1乃至2:3であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記シュリンクエッチングステップにおいて、前記基板に100W〜500Wのバイアス電力を印加することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記シュリンクエッチングステップにおいて、前記基板を収容するチャンバ内圧力を2.6Pa(20mTorr)乃至2×10Pa(150mTorr)に調整することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記シュリンクエッチングステップにおいて、エッチングされる前記中間層は、前記マスク層の下方に積層された反射防止膜及びシリコン含有膜、反射防止膜及び金属膜又はシリコン含有有機膜であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項8】
前記シュリンクエッチングステップによって前記開口幅が縮小された前記マスク層の開口部に対応する開口部を有する前記中間層の開口部を前記処理対象層に転写する処理対象層エッチングステップを有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の基板処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−70098(P2013−70098A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−588(P2013−588)
【出願日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【分割の表示】特願2009−26127(P2009−26127)の分割
【原出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】