基板処理装置、基板処理方法及び記憶媒体
【課題】基板のロットに対応する処理液の種別ごとに用意された複数のノズルを含む液処理部を備えた液処理装置において、液処理部に発生したトラブルに対して処理効率の低下を抑えることができる技術を提供すること。
【解決手段】一のロットのウエハWの液処理に用いる薬液ノズル25aにおいてトラブルが発生した場合に、その一のロットに対応する薬液ノズル25aの使用を停止し、当該薬液ノズル25aとは別の薬液ノズル25bを用いて処理を行う次のロットについては処理を行うこととする。薬液ノズルにおけるトラブル発生の判断については、処理した各ウエハWの液処理状態を順次検査してその良否を判定し、同一の薬液ノズルを用いて異なる液処理部COT1〜COT3にて処理されたウエハWにおいて、例えば3回連続で不良判定となった場合に、薬液ノズルにおけるトラブル発生と判断する。
【解決手段】一のロットのウエハWの液処理に用いる薬液ノズル25aにおいてトラブルが発生した場合に、その一のロットに対応する薬液ノズル25aの使用を停止し、当該薬液ノズル25aとは別の薬液ノズル25bを用いて処理を行う次のロットについては処理を行うこととする。薬液ノズルにおけるトラブル発生の判断については、処理した各ウエハWの液処理状態を順次検査してその良否を判定し、同一の薬液ノズルを用いて異なる液処理部COT1〜COT3にて処理されたウエハWにおいて、例えば3回連続で不良判定となった場合に、薬液ノズルにおけるトラブル発生と判断する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の表面にノズルから薬液を供給して液処理を行う技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造におけるフォトリソグラフィー工程では、レジストの塗布、現像のための一連の処理を行う塗布、現像装置が用いられる。この装置内に配置されるレジスト塗布ユニットは薬液であるレジスト液の種類毎に割り当てられた薬液ノズルが複数設けられており、基板の種別に応じた薬液を吐出するノズルが選択されて使用される。またカップの中にスピンチャックを設けた液処理モジュールを複数個横に並べて配置し、複数の薬液ノズルを集合させて複数の液処理モジュールに対して共用化する構成も知られている。
【0003】
そして基板の検査を行う検査ユニットを備えた塗布、現像装置も知られており、この場合にはレジスト膜を形成した後、露光前の基板の検査を行い、不良と判断された場合には、その基板の処理を行ったレジスト塗布ユニットの運転を停止してメンテナンスを行うようにしている。複数のレジスト塗布ユニットが配置されている場合には、他のレジスト塗布ユニットを使用するが、処理効率としては1台のレジスト塗布ユニット分だけ低下する。また当該レジスト塗布ユニットの上流側に位置する基板は、その位置によってはその後の処理を行わずに回収し、リワーク処理、例えば反射防止膜がすでに形成されていると薬液による除去処理を行う場合もある。
【0004】
特許文献1には、複数の液処理用モジュールが設けられ、それらに薬液を吐出するノズル部を共通化している液処理装置について、高いスループットを得る技術が記載されているが、本発明とは異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−72016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような背景の下になされたものであり、その目的は基板のロットに対応する処理液の種別ごとに用意された複数のノズルを含む液処理部を備えた液処理装置において、液処理部に発生したトラブルに対して処理効率の低下を抑えることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の基板処理装置は、
キャリアブロックに搬入された基板搬送容器であるキャリアから払い出された基板に対して、処理ブロックにて液処理を行い、この液処理の後に続いてモジュールにて後処理が行われ、前記液処理及び後処理を含む一連の処理を終えた基板をキャリアに受け渡す基板処理装置において、
前記処理ブロックに設けられ、基板を水平に保持する基板保持部の周囲をカップ体により囲んで構成される液処理モジュールと、基板のロットに対応する処理液の種別ごとに用意された複数のノズルと、を含む液処理部と、
前記処理ブロック内にて基板の搬送を行うための搬送機構と、
前記ノズルにおける処理液の吐出に不具合があるか否かを監視する監視部と、
この監視部により不具合があると判断されたノズルを使用する基板については、当該液処理部における液処理を禁止し、当該ノズル以外のノズルを使用する基板については当該液処理部にて液処理を行うように制御信号を出力する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の基板処理方法は、
キャリアブロックに搬入された基板搬送容器であるキャリアから払い出された基板に対して、処理ブロックにて液処理を行い、この液処理の後に続いてモジュールにて後処理が行われ、前記液処理及び後処理を含む一連の処理を終えた基板をキャリアに受け渡す基板処理方法において、
前記処理ブロックに設けられ、基板を水平に保持する基板保持部の周囲をカップ体により囲んで構成される液処理モジュールと、基板のロットに対応する処理液の種別ごとに用意された複数のノズルと、を含む液処理部を用い、
搬送機構により前記液処理モジュールに基板を搬入する工程と、
前記基板に対応する種別の処理液を吐出するノズルから、処理液を基板に吐出して液処理を行う工程と、
前記ノズルにおける処理液の吐出に不具合があるか否かを監視する工程と、
この監視工程により不具合があると判断されたノズルを使用する基板については、当該液処理部における液処理を禁止し、当該ノズル以外のノズルを使用する基板については当該液処理部にて液処理を行うように前記搬送機構を制御する工程と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
なお、本発明における記憶媒体は、
キャリアブロックに搬入された基板搬送容器であるキャリアから払い出された基板に対して、処理ブロックにて液処理を行い、この液処理の後に続いてモジュールにて後処理が行われ、前記液処理及び後処理を含む一連の処理を終えた基板をキャリアに受け渡す基板処理装置に用いられるコンピュータプログラムが記憶された記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、上述の基板処理方法を実施するためのものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、基板のロットに対応する処理液の種別ごとに用意された複数のノズルを含む液処理部を備えた液処理装置において、ノズルにおける処理液の吐出に不具合があるか否かを監視し、不具合があると判断されたノズルを使用する基板についてだけ当該液処理部における液処理を禁止している。従って他のノズルを使用する基板については当該液処理部にて液処理を行うことができるので、後続の基板に対する処理効率の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る塗布、現像装置を示す平面図である。
【図2】前記塗布、現像装置を示す斜視図である。
【図3】前記塗布、現像装置を示す縦断側面図である。
【図4】前記塗布、現像装置内に設けられた塗布ユニットを示す斜視図である。
【図5】前記塗布ユニットに設けられたレジスト供給部の一部を示す斜視図である。
【図6】前記塗布、現像装置に設けられた制御部を模式的に示すブロック図である。
【図7】前記実施形態における基板処理フローを示す模式図である。
【図8】前記実施形態における通常運転での基板処理結果及び基板搬送スケジュールの一例を示す表である。
【図9】前記実施形態における運転スケジュールの変更方法を説明するフロー図である。
【図10】前記実施形態における、前記レジスト供給部に設けられた薬液ノズルのうち一部が使用停止になった場合の基板処理結果及び基板搬送スケジュールの一例を示す表である。
【図11】前記実施形態における、前記塗布ユニットに設けられた塗布モジュールのうち一部が使用停止になった場合の基板処理結果及び基板搬送スケジュールの一例を示す表である。
【図12】前記実施形態における、前記塗布、現像装置内に設けられた加熱モジュールのうち一部が使用停止になった場合の基板処理結果及び基板搬送スケジュール51の一例を示す表である。
【図13】前記図10の場合における基板の搬送動作を説明する模式図である。
【図14】前記図11の場合における基板の搬送動作を説明する模式図である。
【図15】前記図12の場合における基板の搬送動作を説明する模式図である。
【図16】前記実施形態における他の例を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の基板処理装置を塗布、現像装置に適用した実施形態について説明する。先ず塗布、現像装置の全体構成について、図面を参照しながら簡単に説明する。図1は、前記塗布、現像装置の一実施の形態の平面図を示し、図2は同概略斜視図である。この装置は、キャリアブロックC1と処理ブロックC2とインターフェイスブロックC3と検査ブロックC5とを備えている。キャリアブロックC1では、載置台1上に載置された密閉型のキャリアLから受け渡しアーム11によりウエハWが取り出されて、当該ブロックC1に隣接された検査ブロックC5を介して処理ブロックC2に受け渡される。処理ブロックC2にて塗布処理されたウエハWは一旦検査ブロックC5にて検査され、その後処理ブロックC2を通過し、インターフェイスブロックC3を介して露光装置C4に送られ、露光後のウエハWは処理ブロックC2で現像処理された後、前記キャリアLに戻される。
【0013】
前記処理ブロックC2には、図2に示すように、この例では現像処理を行うための第1のブロック(DEV層)B1、レジスト膜の下層側に形成される反射防止膜の形成処理を行うための第2のブロック(BCT層)B2、レジスト液の塗布処理を行うための第3のブロック(COT層)B3を下から順に積層して構成されている。
【0014】
これら第1〜第3のブロックB1〜B3はほぼ同様に構成されており、液処理ユニット2と、前記液処理ユニット2にて行われる処理の前処理及び後処理を行うための加熱・冷却系のモジュールを複数段に配置した棚ユニットU2と、これら棚ユニットU2の各部と液処理ユニット2との間でウエハWの受け渡しを行う搬送手段をなす搬送アームA1〜A3とを備えている。
【0015】
前記搬送アームA1〜A3は、搬送路Rにおいて、進退自在、昇降自在、鉛直軸回りに回転自在、図中Y軸方向に移動自在に構成されると共に、ウエハWの裏面側周縁領域を支持するための2本のフォークを備えており、これらフォークが互いに独立して進退できるように構成されている。
【0016】
液処理ユニット2と棚ユニットU2とは、前記搬送路Rに沿って互いに対向するように配置されている。また液処理ユニット2は、カップ体の中にスピンチャックを設けて構成された液処理モジュール20が搬送路Rに沿って並ぶように配列されている。液処理モジュール20は、第2のブロックB2ではレジストの下層側の反射防止膜形成用の薬液を塗布するユニット内に設けられ、第3のブロックB3ではレジスト液を塗布するユニット内に夫々設けられる。また第1のブロックB1においては、現像処理を行う液処理ユニット2が2段に亘って設けられている。
【0017】
図1及び図3中のU1、U3は棚ユニットであり、棚ユニットU1の各段のステージ間のウエハWの搬送は受け渡しアームDで行われる。棚ユニットU3の各段のステージ間のウエハWの搬送は受け渡しアーム13で行われる。図3中、CPLは温調用のステージである冷却ステージ、TRSは受け渡しステージ、BFはバッファステージ群である。BCT層B2で反射防止膜が形成されたウエハWは、バッファステージ群BF2の一つ及び冷却ステージCPL3を介してCOT層B3に送られ、レジスト膜形成後に棚ユニットU1を介して検査モジュール3に送られる。しかる後、シャトルアーム12(図3参照)及び棚ユニットU3の冷却ステージCPL5を介して、インターフェイスブロックC3に送られる。露光後のウエハWは、受け渡しステージTRS2、DEV層B1及び受け渡しステージTRS1を介して検査モジュール3に送られ、その後キャリアLに戻される。
【0018】
検査ブロックC5は、キャリアブロックC1側から受け渡しステージTRS3に受け渡されたウエハWを棚ユニットU1に搬送する搬送アーム14と、棚ユニットU1と、検査モジュール3と、バッファステージBF4との間でウエハWの受け渡しを行う搬送アーム15とが設けられている。検査モジュール3には、レジスト膜の膜厚の測定、レジスト膜の塗布ムラの検出などを行う検査モジュールや、現像後のパターンの線幅の検査を行う検査モジュールなどが含まれる。
【0019】
キャリアブロックC1の上方側には、キャリアLを天井に沿って搬送し、塗布、現像装置の搬入出ポートとの間でキャリアLを搬送する天井搬送機構(OHT)4が設けられている。
【0020】
ここで、液処理ユニット2を代表して、第3のブロックB3における液処理ユニットである塗布ユニット2について図4及び図5を用いて詳細に説明する。塗布ユニット2には、液処理モジュールである塗布モジュール20が例えば3個設けられている。この塗布モジュール20は、主にウエハWを保持し回転させる基板保持部であるスピンチャック21、供給されたレジスト液の余剰分を受け止めるためのカップ体22、スピンチャック21と搬送アームA3との間におけるウエハWの受け渡しを担う昇降ピン23などからなる。
【0021】
また塗布ユニット2には、レジスト供給部28が設けられている。このレジスト供給部28には、図5に示すように、片持ちに支持され水平に伸びる1つの共有アーム24の先端側に複数の薬液ノズル25が塗布モジュール20の並びに沿って設けられている。これらの薬液ノズル25は夫々、処理液(薬液)の種類毎に割り当てられており、液処理時には処理対象のウエハWのロットに対応する薬液ノズル25が選択される。つまり、一つのロットには一つの薬液が使用される。またこれらの薬液ノズル25は夫々独立した薬液供給系統と接続されている。薬液供給系統は、薬液供給源、流量調整部、バルブ、微小流量計、薬液ノズル25及びそれらを接続する配管などからなり、微小流量計による検出データを後述の制御部5で解析することにより、薬液供給系統内における泡がみや吐出量の異常を検出できるようになっている。また共有アーム24の先端側の下部には、撮像機構例えばCCDカメラ29が設けられており、CCDカメラ29により薬液ノズル25付近を撮像し制御部5により解析することで、例えば液細りや液切れなどの薬液吐出状態の異常や薬液ノズル自体に汚れが付着しているか否かを監視することができる。またレジスト供給部28は駆動機構26により塗布モジュール20の並び方向に沿って移動することで、各塗布モジュール20に薬液を供給することができるようになっている。また27は、各塗布モジュール20に対応する塗布膜周縁部除去機構である。
【0022】
塗布、現像装置は、コンピュータからなる制御部を備えている。図6は、制御部5の構成を示すものであり、実際にはCPU、プログラム及びメモリなどにより構成されるが、この実施形態の要部となる部分を中心に構成要素の一部だけを図示して説明するものとする。
【0023】
図6中50はバスであり、このバス50には、搬送スケジュール51、搬送制御部52、搬送経路情報格納部53、解析プログラム54、搬送スケジュール変更プログラム55、CPU56、アラーム発生部57、検査モジュール3等が接続されている。搬送スケジュール51には、ロット内の全てのウエハWについてどのタイミングでどのモジュールに搬送するかといった内容が記憶されている。搬送制御部52は、搬送スケジュール51を参照して、各ウエハWをそのウエハWに対応するモジュールに搬送するように、受け渡しアーム11、D、14、15、搬送アームA1〜A3、シャトルアーム12、インターフェイスアーム13を制御し、これにより搬送サイクルを実行する。
【0024】
搬送経路情報格納部53には、ウエハWが通ってきた搬送経路及び検査結果の情報が随時記憶される。解析プログラム54は、検査モジュール3により検出される個々のウエハWの塗布処理に関する検査結果の情報と、搬送経路情報格納部53に記憶された搬送経路情報とから、不具合の原因となっている個所を特定するためのプログラムである。搬送スケジュール変更プログラム55は、解析プログラム54により特定された不具合が生じて使用不可になった個所の情報を参照して、その使用不可の個所を使用しないように搬送スケジュール51を変更するためのプログラムである。
【0025】
CPU56は、解析プログラム54及び搬送スケジュール変更プログラム55に基づき演算を実行する。アラーム発生部57は、検査モジュール3において不良が検出された場合や使用不可の個所が発生した場合に、その旨のアラームを例えばランプの点灯やアラーム音の発生、表示画面へのアラーム表示等のようなかたちで出力する。
【0026】
前述の微小流量計及びCCDカメラ29は、それらによる検出データを解析する制御部5の一部と共に監視部の一部を構成する。更に、検査モジュール3、搬送経路情報格納部53、解析プログラム54もまた監視部の一部である。この場合、搬送経路情報格納部53は記憶部に相当し、CPU56及び解析プログラム54は判断部に相当する。
【0027】
次に本実施形態における作用について説明する。塗布、現像装置全体のウエハWのフロー図を記載すると説明が煩雑になることから、この実施形態の理解を容易にするために、レジストを塗布する塗布ユニット2にてレジスト膜が形成される部位のフローを強調したウエハWのフロー図を図7に示しておく。またカップ体22及びスピンチャック21を含む3台の塗布モジュールの符号については、便宜上COT1、COT2、COT3を割り当てるものとする。
【0028】
図8は、通常運転の場合における一のロットのウエハWが処理された処理モジュール及び検査結果を示す表であり、この表に相当するデータが搬送経路情報である。ウエハWは、図8に示すように、3つの塗布モジュールCOT1〜COT3の順序でキャリアLからの払い出し順(搬送順)に搬入されて塗布処理され、加熱処理については2つの加熱モジュールHP1、HP2に搬送順に交互に搬入されて処理される。ウエハWの後に付した符号は、ロット内のウエハWに割り当てられた順番である。そして検出モジュール3において全てのウエハWについて検査が行われ、搬送経路情報格納部53に検査結果が記憶される。
【0029】
図8に一例を示した搬送経路情報は、ウエハWの検査結果(この例ではレジスト膜の検査結果)が不良であるときには、レジスト塗布ユニット2あるいは加熱モジュールHPにトラブルがあるものと想定し、レジスト塗布ユニット2及び加熱モジュールHPに対応する判定個所に不良を示す「FAIL」の表示を書き込むようにしている。一方冷却プレートCPLにおける不具合はこれら機器よりもトラブルの頻度が格段に少ないことから、トラブルの解析を容易に行うために、冷却プレートに対応する判定個所は正常を示す「PASS」の表示を書き込むようにしている。
【0030】
図8に示す例では、ウエハW5及びW7において、検査で不良と判定されている。これらウエハW5及びW7は不良品のため処分されるが、同じロットの他のウエハWの処理については予定通りに続行される。この処理の続行の判断については、当該ウエハW5及びW7における不良は偶然による可能性もあるため、この段階ではそのまま運転を続行する。このため後続のウエハWは各モジュールにおいて順次処理され、各ウエハWの搬送経路の情報は搬送経路情報格納部53に記憶される。ここまでの処理を図9のフローに対応させると、レジスト膜の塗布処理が行われたウエハWが検査モジュール3にて検査され、その結果が搬送経路情報格納部53に書き込まれる(ステップS1)。そして不良の発生の有無が確認され(ステップS1a)、不良が確認されると解析プログラム54によりトラブルの状況の解析が行われ(ステップS2)、解析の取り扱いとして、偶然のトラブルと判断されたとき(ステップS6)には、そのまま運転を続行する(ステップS10)。
【0031】
図10は、薬液ノズル25のトラブルの場合におけるウエハWが処理された処理モジュール及びそこでの不具合の有無と検査結果とを示した表である。この例では、ウエハW4〜W6において連続して不良判定となっている。3つの塗布モジュールCOT1〜COT3あるいは2つの加熱モジュールHP1、HP2において同時に不具合が生じるとは考えにくい。このため、この例のように同じ薬液ノズル25を用いて別の塗布モジュールCOTで処理されたウエハWにおいて例えば3回連続で不良判定となった場合については、薬液ノズル25のトラブルに起因すると判定される(図9中ステップS3)。
図11は、塗布モジュールCOTのトラブルの場合におけるウエハWが処理された処理モジュール及びそこでの不具合の有無と検査結果とを示した表である。この例では、ウエハW1、W4、W7において不良判定となっている。これら3つの不良判定のウエハW1、W4、W7はいずれも塗布モジュールCOT1において処理されており、他の塗布モジュールCOT2、COT3で処理されたウエハWについては良品判定となっている。また2つの加熱モジュールHP1、HP2において同時に不具合が生じるとは考えにくい。これらのことから、この例のように同じ塗布モジュールCOTで処理されたウエハWにおいて例えば3回連続で不良判定となった場合については、塗布モジュールCOTのトラブルに起因すると判定される(図9中ステップS4)。
【0032】
図12は、加熱モジュールHPのトラブルの場合におけるウエハWが処理された処理モジュール及びそこでの不具合の有無と検査結果とを示した表である。この例では、ウエハW3、W5、W7において不良判定となっている。これら3つの不良判定のウエハW3、W5、W7はいずれも加熱モジュールHP1において処理されており、もう一方の加熱モジュールHP2で処理されたウエハWについては良品判定となっている。また不良判定のウエハW3、W5、W7は夫々別々の塗布モジュールCOT1〜COT3にて処理されている。これらのことから、この例のように同じ加熱モジュールHPで処理されたウエハWにおいて例えば3回連続で不良判定となった場合については加熱モジュールHPのトラブルに起因すると判定される(図9中ステップS5)。
【0033】
また上述した3つのトラブル以外の場合、即ち同じモジュールあるいは同じ薬液ノズル25により処理されたウエハWについて例えば3回連続で不良判定が出ていない場合、図8に示すように、そのトラブルは偶然生じたものと判定される(図9中ステップS6)。
【0034】
続いて解析プログラム54によりトラブル個所が判定された後の対処について、判定されたトラブル毎に説明する。なお図13〜図15中のL1〜L5はキャリアであり、ここで説明するノズルは、レジスト塗布ユニットで使用するノズルを指している。キャリアL1には薬液ノズル25a(この例ではトラブルが発生する薬液ノズル)を用いて処理される一のロットのウエハWaが収納されており、その一部のウエハWaは現在塗布、現像装置において処理が行われている。キャリアL2にはトラブルが発生していない薬液ノズル25bを用いて処理される次のロットのウエハWbが収納されており、一のロットに続いて処理されるためにキャリアブロックC1にて待機している。キャリアL3には薬液ノズル25aを用いて処理される一のロットのウエハW1が収納されており、キャリアL1のウエハWaに続いて処理されるためにキャリアブロックC1にて待機している。キャリアL4は、天井搬送機構4により塗布、現像装置に向けて搬送中であり、次のロットのウエハWbが収納されている。キャリアL5は、天井搬送機構4により塗布、現像装置に向けて搬送中であり、一のロットのウエハWaが収納されている。
【0035】
薬液ノズル及びその薬液供給系統のトラブルの場合、塗布ユニットにおいて、図9(図中ステップS7)及び図10に示すように、トラブルを起こした薬液ノズル(薬液供給系統)の使用及びそれに対応する一のロットのウエハWaの処理を停止し、次のロットのウエハWbの処理を開始する。図13は、この場合のウエハWa、Wb及びそれらが収納されたキャリアL1〜L5の搬送状況を模式的に示している。キャリアL1のウエハWaは、その一部は塗布、現像装置内において処理中であり、それ以外は未処理及び処理済みのウエハWaがキャリアL1内に収納されている。この場合、未処理ウエハWaの塗布、現像装置への払い出しは停止され、処理中のウエハWaについては処理を中断し、予定通りの搬送経路を通ってキャリアL1に戻される。このとき露光処理工程より前で処理が中断されたウエハWaについては、露光ブロックC4への搬送はスキップされる。また搬送経路中における処理モジュールに対しては搬入、搬出だけ行われ、処理はされない。このキャリアL1は、天井搬送機構4により図示しない再処理装置に搬送されて、キャリアL1内のウエハWaはそこで再処理(ウエハWa上の膜の除去処理など)される。
【0036】
トラブルを起こした薬液ノズル(薬液供給系統)を使用するウエハWaが収納され、トラブル発生時点で処理を行うためにキャリアブロックC1にて待機していたキャリアL3は、塗布、現像装置にて処理は行わず、天井搬送機構4により塗布、現像装置の外に搬送される。トラブル発生時点で処理を行うために天井搬送機構4により塗布、現像装置に搬送中のキャリアL5は、塗布、現像装置に搬送せず、塗布、現像装置の外に搬送される。
【0037】
トラブルが発生していない薬液ノズル25bを用いて処理される次のロットのウエハWbが収納されたキャリアL2、L4については、一のロットのウエハWaに代わって、予定通り塗布、現像装置にてウエハWbの処理が行われる。
【0038】
塗布モジュールCOTのトラブルの場合における、ウエハW及びそれらを収納するキャリアLの態様について、図9、図11、図14を参照して説明する。先ず例えばキャリアL1から払い出され塗布モジュールCOT1において処理されたウエハWaが3枚連続で不良判定となり、塗布モジュールCOT1が運転停止となる。その後もキャリアL1のウエハWaは、レジスト塗布処理については塗布モジュールCOT1以外のモジュールCOT2、COT3を用いて、予定通りの処理が行われる。続いて同じく一のロットのウエハWaが収納されたキャリアL3、L5についても同様に予定通りの処理が行われる。その後、次のロットのウエハWbが収納されたキャリアL2、L4についても、塗布モジュールCOT1以外のモジュールCOT2、COT3にてレジスト塗布処理が行われること以外は、順次予定通りに処理が行われる(図9中ステップS8)。
【0039】
加熱モジュールHPのトラブルの場合における、ウエハW及びそれらを収納するキャリアLの態様について、図9、図12、図15を参照して説明する。先ず例えばキャリアL1から払い出され加熱モジュールHP1において処理されたウエハWaが3枚連続で不良判定となり、加熱モジュールHP1が運転停止となる。その後もキャリアL1のウエハWaは、加熱処理については加熱モジュールHP2を用いて、予定通りの処理が行われる。続いて同じく一のロットのウエハWaが収納されたキャリアL3、L5についても同様に予定通りの処理が行われる。その後、次のロットのウエハWbが収納されたキャリアL2、L4についても、加熱モジュールHP2にて加熱処理が行われること以外は、順次予定通りに処理が行われる(図9中ステップS9)。
【0040】
偶然のトラブルの場合は、不良判定の出たウエハWだけは判定後も予定通りの搬送経路を通って元のキャリアLに戻されその後処分され、装置自体は通常運転を続行する(図9中ステップS10)。
【0041】
この例では、検査モジュール3による検査にて不具合が検出された場合におけるその後の対処について説明したが、前述の微小流量計やCCDカメラ29により薬液ノズル25に不具合があると判断した場合でも、上述した薬液ノズル25に不具合が発生した場合と同様に対処する(図9中ステップS7参照)。
【0042】
本実施形態によれば、液処理であるレジスト塗布に使用する複数の薬液夫々に対応した複数の薬液ノズル25を用いてウエハWに液処理を行う技術において、一のロットのウエハWの液処理に用いる薬液ノズル25においてトラブルが発生した場合に、その一のロットに対応する薬液ノズル25(例えば25a)の使用を停止し、当該薬液ノズル(25a)とは別の薬液ノズル25(例えば25b)を用いて処理を行う次のロットについて処理を開始するようにしている。従って、薬液ノズル25による塗布不良が生じても、塗布ユニット2全体の運転を停止せずに、塗布ユニット2の正常動作部分についてはフルに活用しているため、塗布、現像装置の稼働率の低下を抑えることができる。
【0043】
上述の実施形態では、塗布ユニット2に複数の塗布モジュールCOT1〜COT3が設けられているが、本発明は塗布ユニット2に設けられる塗布モジュール20は1個であってもよい。この場合には、薬液ノズル25におけるレジスト液の吐出状態のトラブルは上述したように例えば図5に示すCCDカメラ29を用いた監視やレジスト液供給系統に設けられた微小流量計の検出値異常により特定することができる。こうした例においては、ノズル25における処理液の吐出に不具合があるか否かを監視する監視部は、CCDカメラ29及び撮像した画像データの解析用のプログラムや、前記微小流量計などが相当する。またウエハWの表面にレーザ光を照射するレーザ照射部とウエハWの表面を撮像するカメラとを設け、レジスト液吐出時にウエハWの表面に生じるレジスト液の波紋を、カメラの撮像画像データにより解析することで、レジスト液の吐出異常を監視してもよい。そしてノズル25からレジスト液の吐出異常を検出した後における塗布、現像装置の運転手法については、先の実施形態と同様である。即ち、異常と判断されたノズル25を使用するウエハWについては当該塗布ユニット2の使用を禁止し、例えば塗布モジュールへのウエハWの搬入を禁止して当該塗布ユニット2をスキップさせ、他のノズル25を使用するウエハWについては当該塗布ユニット2によりレジスト液の塗布処理を行う。この例においても先の実施形態と同様の効果が得られる。
【0044】
上述の実施形態では、第3のブロック(COT層)B3内には塗布ユニット2が1つ設けられているが、複数の塗布処理ユニットが設けられていてもよい。図16は、このような例を示すCOT層B3を示しており、ウエハWの搬送路Rの両側に図1に示したものと同じ塗布ユニットである第1の塗布ユニット2a及び第2の塗布ユニット2bが夫々設けられている。こうした構成例では、熱系の棚ユニットは例えば当該COT層におけるインターフェイスブロック側に配置することができる。そして通常時は、ウエハWに対するレジスト液の塗布処理は、2つの塗布ユニット2a、2bにより分担して行われるが、例えば第1の塗布ユニット2aにおいて1本のノズル25が異常(詳しくは、ノズル25またはノズル25へのレジスト液の供給系にトラブルが生じている)と判断された場合、当該ノズル25を使用するロットのウエハWの塗布ユニット2aへの搬入が禁止される。それ以降は、このノズル25を使用するロットのウエハWについては、搬送スケジュール51を変更して他の塗布ユニット2bのみを用いて処理が行われる。なお不使用とされるノズル25以外のノズル25を使用するロットのウエハWについては、2台の塗布ユニット2a、2bを用いて並行処理が行われる。
【0045】
更にまた塗布ユニット2におけるノズル25に異常がある(ノズル25あるいはレジスト液の供給系統)と判断されてアラームが発生したときに、コンピュータが自動で搬送スケジュール51を変更しているが、コンピュータが搬送スケジュール51の変更を行うトリガーとしては、手動入力であってもよい。即ちオペレータがアラームの発生の認識に基づいてトラブルの対象となっているノズル25については不使用とする(除外する)旨の指示を塗布、現像装置の操作パネルから入力し、これによりコンピュータが先の実施形態で説明したのと同様に、当該ノズル25を使用するウエハWに対して言わば除外搬送を行うように搬送スケジュール51を変更するようにしてもよい。
【0046】
以上の説明では、レジスト塗布処理の不良発生時について記載しているが、液処理ユニットとしては例えば第2のブロック(BCT層)B2における反射防止膜形成処理において複数種別の薬液を基板に応じて使い分ける場合には、反射防止膜形成用の液処理ユニットでもよい。更にまたSOD(Spin On Dielectric)膜、SOG(Spin On Glass)膜、ポリイミド膜等の絶縁膜を形成するための塗布液や、洗浄液などのレジスト液以外の他の薬液を用いる場合にも本発明を適用することができる。また、本発明において、薬液ノズルから処理液が供給される対象は、ウエハWに限定されるものではなく、ウエハW以外の例えばFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0047】
W ウエハ
L、L1〜L5
キャリア
U1、U3
棚ユニット
2 液処理ユニット
20 液処理モジュール
3 検査モジュール
4 天井搬送機構
5 制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の表面にノズルから薬液を供給して液処理を行う技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造におけるフォトリソグラフィー工程では、レジストの塗布、現像のための一連の処理を行う塗布、現像装置が用いられる。この装置内に配置されるレジスト塗布ユニットは薬液であるレジスト液の種類毎に割り当てられた薬液ノズルが複数設けられており、基板の種別に応じた薬液を吐出するノズルが選択されて使用される。またカップの中にスピンチャックを設けた液処理モジュールを複数個横に並べて配置し、複数の薬液ノズルを集合させて複数の液処理モジュールに対して共用化する構成も知られている。
【0003】
そして基板の検査を行う検査ユニットを備えた塗布、現像装置も知られており、この場合にはレジスト膜を形成した後、露光前の基板の検査を行い、不良と判断された場合には、その基板の処理を行ったレジスト塗布ユニットの運転を停止してメンテナンスを行うようにしている。複数のレジスト塗布ユニットが配置されている場合には、他のレジスト塗布ユニットを使用するが、処理効率としては1台のレジスト塗布ユニット分だけ低下する。また当該レジスト塗布ユニットの上流側に位置する基板は、その位置によってはその後の処理を行わずに回収し、リワーク処理、例えば反射防止膜がすでに形成されていると薬液による除去処理を行う場合もある。
【0004】
特許文献1には、複数の液処理用モジュールが設けられ、それらに薬液を吐出するノズル部を共通化している液処理装置について、高いスループットを得る技術が記載されているが、本発明とは異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−72016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような背景の下になされたものであり、その目的は基板のロットに対応する処理液の種別ごとに用意された複数のノズルを含む液処理部を備えた液処理装置において、液処理部に発生したトラブルに対して処理効率の低下を抑えることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の基板処理装置は、
キャリアブロックに搬入された基板搬送容器であるキャリアから払い出された基板に対して、処理ブロックにて液処理を行い、この液処理の後に続いてモジュールにて後処理が行われ、前記液処理及び後処理を含む一連の処理を終えた基板をキャリアに受け渡す基板処理装置において、
前記処理ブロックに設けられ、基板を水平に保持する基板保持部の周囲をカップ体により囲んで構成される液処理モジュールと、基板のロットに対応する処理液の種別ごとに用意された複数のノズルと、を含む液処理部と、
前記処理ブロック内にて基板の搬送を行うための搬送機構と、
前記ノズルにおける処理液の吐出に不具合があるか否かを監視する監視部と、
この監視部により不具合があると判断されたノズルを使用する基板については、当該液処理部における液処理を禁止し、当該ノズル以外のノズルを使用する基板については当該液処理部にて液処理を行うように制御信号を出力する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の基板処理方法は、
キャリアブロックに搬入された基板搬送容器であるキャリアから払い出された基板に対して、処理ブロックにて液処理を行い、この液処理の後に続いてモジュールにて後処理が行われ、前記液処理及び後処理を含む一連の処理を終えた基板をキャリアに受け渡す基板処理方法において、
前記処理ブロックに設けられ、基板を水平に保持する基板保持部の周囲をカップ体により囲んで構成される液処理モジュールと、基板のロットに対応する処理液の種別ごとに用意された複数のノズルと、を含む液処理部を用い、
搬送機構により前記液処理モジュールに基板を搬入する工程と、
前記基板に対応する種別の処理液を吐出するノズルから、処理液を基板に吐出して液処理を行う工程と、
前記ノズルにおける処理液の吐出に不具合があるか否かを監視する工程と、
この監視工程により不具合があると判断されたノズルを使用する基板については、当該液処理部における液処理を禁止し、当該ノズル以外のノズルを使用する基板については当該液処理部にて液処理を行うように前記搬送機構を制御する工程と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
なお、本発明における記憶媒体は、
キャリアブロックに搬入された基板搬送容器であるキャリアから払い出された基板に対して、処理ブロックにて液処理を行い、この液処理の後に続いてモジュールにて後処理が行われ、前記液処理及び後処理を含む一連の処理を終えた基板をキャリアに受け渡す基板処理装置に用いられるコンピュータプログラムが記憶された記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、上述の基板処理方法を実施するためのものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、基板のロットに対応する処理液の種別ごとに用意された複数のノズルを含む液処理部を備えた液処理装置において、ノズルにおける処理液の吐出に不具合があるか否かを監視し、不具合があると判断されたノズルを使用する基板についてだけ当該液処理部における液処理を禁止している。従って他のノズルを使用する基板については当該液処理部にて液処理を行うことができるので、後続の基板に対する処理効率の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る塗布、現像装置を示す平面図である。
【図2】前記塗布、現像装置を示す斜視図である。
【図3】前記塗布、現像装置を示す縦断側面図である。
【図4】前記塗布、現像装置内に設けられた塗布ユニットを示す斜視図である。
【図5】前記塗布ユニットに設けられたレジスト供給部の一部を示す斜視図である。
【図6】前記塗布、現像装置に設けられた制御部を模式的に示すブロック図である。
【図7】前記実施形態における基板処理フローを示す模式図である。
【図8】前記実施形態における通常運転での基板処理結果及び基板搬送スケジュールの一例を示す表である。
【図9】前記実施形態における運転スケジュールの変更方法を説明するフロー図である。
【図10】前記実施形態における、前記レジスト供給部に設けられた薬液ノズルのうち一部が使用停止になった場合の基板処理結果及び基板搬送スケジュールの一例を示す表である。
【図11】前記実施形態における、前記塗布ユニットに設けられた塗布モジュールのうち一部が使用停止になった場合の基板処理結果及び基板搬送スケジュールの一例を示す表である。
【図12】前記実施形態における、前記塗布、現像装置内に設けられた加熱モジュールのうち一部が使用停止になった場合の基板処理結果及び基板搬送スケジュール51の一例を示す表である。
【図13】前記図10の場合における基板の搬送動作を説明する模式図である。
【図14】前記図11の場合における基板の搬送動作を説明する模式図である。
【図15】前記図12の場合における基板の搬送動作を説明する模式図である。
【図16】前記実施形態における他の例を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の基板処理装置を塗布、現像装置に適用した実施形態について説明する。先ず塗布、現像装置の全体構成について、図面を参照しながら簡単に説明する。図1は、前記塗布、現像装置の一実施の形態の平面図を示し、図2は同概略斜視図である。この装置は、キャリアブロックC1と処理ブロックC2とインターフェイスブロックC3と検査ブロックC5とを備えている。キャリアブロックC1では、載置台1上に載置された密閉型のキャリアLから受け渡しアーム11によりウエハWが取り出されて、当該ブロックC1に隣接された検査ブロックC5を介して処理ブロックC2に受け渡される。処理ブロックC2にて塗布処理されたウエハWは一旦検査ブロックC5にて検査され、その後処理ブロックC2を通過し、インターフェイスブロックC3を介して露光装置C4に送られ、露光後のウエハWは処理ブロックC2で現像処理された後、前記キャリアLに戻される。
【0013】
前記処理ブロックC2には、図2に示すように、この例では現像処理を行うための第1のブロック(DEV層)B1、レジスト膜の下層側に形成される反射防止膜の形成処理を行うための第2のブロック(BCT層)B2、レジスト液の塗布処理を行うための第3のブロック(COT層)B3を下から順に積層して構成されている。
【0014】
これら第1〜第3のブロックB1〜B3はほぼ同様に構成されており、液処理ユニット2と、前記液処理ユニット2にて行われる処理の前処理及び後処理を行うための加熱・冷却系のモジュールを複数段に配置した棚ユニットU2と、これら棚ユニットU2の各部と液処理ユニット2との間でウエハWの受け渡しを行う搬送手段をなす搬送アームA1〜A3とを備えている。
【0015】
前記搬送アームA1〜A3は、搬送路Rにおいて、進退自在、昇降自在、鉛直軸回りに回転自在、図中Y軸方向に移動自在に構成されると共に、ウエハWの裏面側周縁領域を支持するための2本のフォークを備えており、これらフォークが互いに独立して進退できるように構成されている。
【0016】
液処理ユニット2と棚ユニットU2とは、前記搬送路Rに沿って互いに対向するように配置されている。また液処理ユニット2は、カップ体の中にスピンチャックを設けて構成された液処理モジュール20が搬送路Rに沿って並ぶように配列されている。液処理モジュール20は、第2のブロックB2ではレジストの下層側の反射防止膜形成用の薬液を塗布するユニット内に設けられ、第3のブロックB3ではレジスト液を塗布するユニット内に夫々設けられる。また第1のブロックB1においては、現像処理を行う液処理ユニット2が2段に亘って設けられている。
【0017】
図1及び図3中のU1、U3は棚ユニットであり、棚ユニットU1の各段のステージ間のウエハWの搬送は受け渡しアームDで行われる。棚ユニットU3の各段のステージ間のウエハWの搬送は受け渡しアーム13で行われる。図3中、CPLは温調用のステージである冷却ステージ、TRSは受け渡しステージ、BFはバッファステージ群である。BCT層B2で反射防止膜が形成されたウエハWは、バッファステージ群BF2の一つ及び冷却ステージCPL3を介してCOT層B3に送られ、レジスト膜形成後に棚ユニットU1を介して検査モジュール3に送られる。しかる後、シャトルアーム12(図3参照)及び棚ユニットU3の冷却ステージCPL5を介して、インターフェイスブロックC3に送られる。露光後のウエハWは、受け渡しステージTRS2、DEV層B1及び受け渡しステージTRS1を介して検査モジュール3に送られ、その後キャリアLに戻される。
【0018】
検査ブロックC5は、キャリアブロックC1側から受け渡しステージTRS3に受け渡されたウエハWを棚ユニットU1に搬送する搬送アーム14と、棚ユニットU1と、検査モジュール3と、バッファステージBF4との間でウエハWの受け渡しを行う搬送アーム15とが設けられている。検査モジュール3には、レジスト膜の膜厚の測定、レジスト膜の塗布ムラの検出などを行う検査モジュールや、現像後のパターンの線幅の検査を行う検査モジュールなどが含まれる。
【0019】
キャリアブロックC1の上方側には、キャリアLを天井に沿って搬送し、塗布、現像装置の搬入出ポートとの間でキャリアLを搬送する天井搬送機構(OHT)4が設けられている。
【0020】
ここで、液処理ユニット2を代表して、第3のブロックB3における液処理ユニットである塗布ユニット2について図4及び図5を用いて詳細に説明する。塗布ユニット2には、液処理モジュールである塗布モジュール20が例えば3個設けられている。この塗布モジュール20は、主にウエハWを保持し回転させる基板保持部であるスピンチャック21、供給されたレジスト液の余剰分を受け止めるためのカップ体22、スピンチャック21と搬送アームA3との間におけるウエハWの受け渡しを担う昇降ピン23などからなる。
【0021】
また塗布ユニット2には、レジスト供給部28が設けられている。このレジスト供給部28には、図5に示すように、片持ちに支持され水平に伸びる1つの共有アーム24の先端側に複数の薬液ノズル25が塗布モジュール20の並びに沿って設けられている。これらの薬液ノズル25は夫々、処理液(薬液)の種類毎に割り当てられており、液処理時には処理対象のウエハWのロットに対応する薬液ノズル25が選択される。つまり、一つのロットには一つの薬液が使用される。またこれらの薬液ノズル25は夫々独立した薬液供給系統と接続されている。薬液供給系統は、薬液供給源、流量調整部、バルブ、微小流量計、薬液ノズル25及びそれらを接続する配管などからなり、微小流量計による検出データを後述の制御部5で解析することにより、薬液供給系統内における泡がみや吐出量の異常を検出できるようになっている。また共有アーム24の先端側の下部には、撮像機構例えばCCDカメラ29が設けられており、CCDカメラ29により薬液ノズル25付近を撮像し制御部5により解析することで、例えば液細りや液切れなどの薬液吐出状態の異常や薬液ノズル自体に汚れが付着しているか否かを監視することができる。またレジスト供給部28は駆動機構26により塗布モジュール20の並び方向に沿って移動することで、各塗布モジュール20に薬液を供給することができるようになっている。また27は、各塗布モジュール20に対応する塗布膜周縁部除去機構である。
【0022】
塗布、現像装置は、コンピュータからなる制御部を備えている。図6は、制御部5の構成を示すものであり、実際にはCPU、プログラム及びメモリなどにより構成されるが、この実施形態の要部となる部分を中心に構成要素の一部だけを図示して説明するものとする。
【0023】
図6中50はバスであり、このバス50には、搬送スケジュール51、搬送制御部52、搬送経路情報格納部53、解析プログラム54、搬送スケジュール変更プログラム55、CPU56、アラーム発生部57、検査モジュール3等が接続されている。搬送スケジュール51には、ロット内の全てのウエハWについてどのタイミングでどのモジュールに搬送するかといった内容が記憶されている。搬送制御部52は、搬送スケジュール51を参照して、各ウエハWをそのウエハWに対応するモジュールに搬送するように、受け渡しアーム11、D、14、15、搬送アームA1〜A3、シャトルアーム12、インターフェイスアーム13を制御し、これにより搬送サイクルを実行する。
【0024】
搬送経路情報格納部53には、ウエハWが通ってきた搬送経路及び検査結果の情報が随時記憶される。解析プログラム54は、検査モジュール3により検出される個々のウエハWの塗布処理に関する検査結果の情報と、搬送経路情報格納部53に記憶された搬送経路情報とから、不具合の原因となっている個所を特定するためのプログラムである。搬送スケジュール変更プログラム55は、解析プログラム54により特定された不具合が生じて使用不可になった個所の情報を参照して、その使用不可の個所を使用しないように搬送スケジュール51を変更するためのプログラムである。
【0025】
CPU56は、解析プログラム54及び搬送スケジュール変更プログラム55に基づき演算を実行する。アラーム発生部57は、検査モジュール3において不良が検出された場合や使用不可の個所が発生した場合に、その旨のアラームを例えばランプの点灯やアラーム音の発生、表示画面へのアラーム表示等のようなかたちで出力する。
【0026】
前述の微小流量計及びCCDカメラ29は、それらによる検出データを解析する制御部5の一部と共に監視部の一部を構成する。更に、検査モジュール3、搬送経路情報格納部53、解析プログラム54もまた監視部の一部である。この場合、搬送経路情報格納部53は記憶部に相当し、CPU56及び解析プログラム54は判断部に相当する。
【0027】
次に本実施形態における作用について説明する。塗布、現像装置全体のウエハWのフロー図を記載すると説明が煩雑になることから、この実施形態の理解を容易にするために、レジストを塗布する塗布ユニット2にてレジスト膜が形成される部位のフローを強調したウエハWのフロー図を図7に示しておく。またカップ体22及びスピンチャック21を含む3台の塗布モジュールの符号については、便宜上COT1、COT2、COT3を割り当てるものとする。
【0028】
図8は、通常運転の場合における一のロットのウエハWが処理された処理モジュール及び検査結果を示す表であり、この表に相当するデータが搬送経路情報である。ウエハWは、図8に示すように、3つの塗布モジュールCOT1〜COT3の順序でキャリアLからの払い出し順(搬送順)に搬入されて塗布処理され、加熱処理については2つの加熱モジュールHP1、HP2に搬送順に交互に搬入されて処理される。ウエハWの後に付した符号は、ロット内のウエハWに割り当てられた順番である。そして検出モジュール3において全てのウエハWについて検査が行われ、搬送経路情報格納部53に検査結果が記憶される。
【0029】
図8に一例を示した搬送経路情報は、ウエハWの検査結果(この例ではレジスト膜の検査結果)が不良であるときには、レジスト塗布ユニット2あるいは加熱モジュールHPにトラブルがあるものと想定し、レジスト塗布ユニット2及び加熱モジュールHPに対応する判定個所に不良を示す「FAIL」の表示を書き込むようにしている。一方冷却プレートCPLにおける不具合はこれら機器よりもトラブルの頻度が格段に少ないことから、トラブルの解析を容易に行うために、冷却プレートに対応する判定個所は正常を示す「PASS」の表示を書き込むようにしている。
【0030】
図8に示す例では、ウエハW5及びW7において、検査で不良と判定されている。これらウエハW5及びW7は不良品のため処分されるが、同じロットの他のウエハWの処理については予定通りに続行される。この処理の続行の判断については、当該ウエハW5及びW7における不良は偶然による可能性もあるため、この段階ではそのまま運転を続行する。このため後続のウエハWは各モジュールにおいて順次処理され、各ウエハWの搬送経路の情報は搬送経路情報格納部53に記憶される。ここまでの処理を図9のフローに対応させると、レジスト膜の塗布処理が行われたウエハWが検査モジュール3にて検査され、その結果が搬送経路情報格納部53に書き込まれる(ステップS1)。そして不良の発生の有無が確認され(ステップS1a)、不良が確認されると解析プログラム54によりトラブルの状況の解析が行われ(ステップS2)、解析の取り扱いとして、偶然のトラブルと判断されたとき(ステップS6)には、そのまま運転を続行する(ステップS10)。
【0031】
図10は、薬液ノズル25のトラブルの場合におけるウエハWが処理された処理モジュール及びそこでの不具合の有無と検査結果とを示した表である。この例では、ウエハW4〜W6において連続して不良判定となっている。3つの塗布モジュールCOT1〜COT3あるいは2つの加熱モジュールHP1、HP2において同時に不具合が生じるとは考えにくい。このため、この例のように同じ薬液ノズル25を用いて別の塗布モジュールCOTで処理されたウエハWにおいて例えば3回連続で不良判定となった場合については、薬液ノズル25のトラブルに起因すると判定される(図9中ステップS3)。
図11は、塗布モジュールCOTのトラブルの場合におけるウエハWが処理された処理モジュール及びそこでの不具合の有無と検査結果とを示した表である。この例では、ウエハW1、W4、W7において不良判定となっている。これら3つの不良判定のウエハW1、W4、W7はいずれも塗布モジュールCOT1において処理されており、他の塗布モジュールCOT2、COT3で処理されたウエハWについては良品判定となっている。また2つの加熱モジュールHP1、HP2において同時に不具合が生じるとは考えにくい。これらのことから、この例のように同じ塗布モジュールCOTで処理されたウエハWにおいて例えば3回連続で不良判定となった場合については、塗布モジュールCOTのトラブルに起因すると判定される(図9中ステップS4)。
【0032】
図12は、加熱モジュールHPのトラブルの場合におけるウエハWが処理された処理モジュール及びそこでの不具合の有無と検査結果とを示した表である。この例では、ウエハW3、W5、W7において不良判定となっている。これら3つの不良判定のウエハW3、W5、W7はいずれも加熱モジュールHP1において処理されており、もう一方の加熱モジュールHP2で処理されたウエハWについては良品判定となっている。また不良判定のウエハW3、W5、W7は夫々別々の塗布モジュールCOT1〜COT3にて処理されている。これらのことから、この例のように同じ加熱モジュールHPで処理されたウエハWにおいて例えば3回連続で不良判定となった場合については加熱モジュールHPのトラブルに起因すると判定される(図9中ステップS5)。
【0033】
また上述した3つのトラブル以外の場合、即ち同じモジュールあるいは同じ薬液ノズル25により処理されたウエハWについて例えば3回連続で不良判定が出ていない場合、図8に示すように、そのトラブルは偶然生じたものと判定される(図9中ステップS6)。
【0034】
続いて解析プログラム54によりトラブル個所が判定された後の対処について、判定されたトラブル毎に説明する。なお図13〜図15中のL1〜L5はキャリアであり、ここで説明するノズルは、レジスト塗布ユニットで使用するノズルを指している。キャリアL1には薬液ノズル25a(この例ではトラブルが発生する薬液ノズル)を用いて処理される一のロットのウエハWaが収納されており、その一部のウエハWaは現在塗布、現像装置において処理が行われている。キャリアL2にはトラブルが発生していない薬液ノズル25bを用いて処理される次のロットのウエハWbが収納されており、一のロットに続いて処理されるためにキャリアブロックC1にて待機している。キャリアL3には薬液ノズル25aを用いて処理される一のロットのウエハW1が収納されており、キャリアL1のウエハWaに続いて処理されるためにキャリアブロックC1にて待機している。キャリアL4は、天井搬送機構4により塗布、現像装置に向けて搬送中であり、次のロットのウエハWbが収納されている。キャリアL5は、天井搬送機構4により塗布、現像装置に向けて搬送中であり、一のロットのウエハWaが収納されている。
【0035】
薬液ノズル及びその薬液供給系統のトラブルの場合、塗布ユニットにおいて、図9(図中ステップS7)及び図10に示すように、トラブルを起こした薬液ノズル(薬液供給系統)の使用及びそれに対応する一のロットのウエハWaの処理を停止し、次のロットのウエハWbの処理を開始する。図13は、この場合のウエハWa、Wb及びそれらが収納されたキャリアL1〜L5の搬送状況を模式的に示している。キャリアL1のウエハWaは、その一部は塗布、現像装置内において処理中であり、それ以外は未処理及び処理済みのウエハWaがキャリアL1内に収納されている。この場合、未処理ウエハWaの塗布、現像装置への払い出しは停止され、処理中のウエハWaについては処理を中断し、予定通りの搬送経路を通ってキャリアL1に戻される。このとき露光処理工程より前で処理が中断されたウエハWaについては、露光ブロックC4への搬送はスキップされる。また搬送経路中における処理モジュールに対しては搬入、搬出だけ行われ、処理はされない。このキャリアL1は、天井搬送機構4により図示しない再処理装置に搬送されて、キャリアL1内のウエハWaはそこで再処理(ウエハWa上の膜の除去処理など)される。
【0036】
トラブルを起こした薬液ノズル(薬液供給系統)を使用するウエハWaが収納され、トラブル発生時点で処理を行うためにキャリアブロックC1にて待機していたキャリアL3は、塗布、現像装置にて処理は行わず、天井搬送機構4により塗布、現像装置の外に搬送される。トラブル発生時点で処理を行うために天井搬送機構4により塗布、現像装置に搬送中のキャリアL5は、塗布、現像装置に搬送せず、塗布、現像装置の外に搬送される。
【0037】
トラブルが発生していない薬液ノズル25bを用いて処理される次のロットのウエハWbが収納されたキャリアL2、L4については、一のロットのウエハWaに代わって、予定通り塗布、現像装置にてウエハWbの処理が行われる。
【0038】
塗布モジュールCOTのトラブルの場合における、ウエハW及びそれらを収納するキャリアLの態様について、図9、図11、図14を参照して説明する。先ず例えばキャリアL1から払い出され塗布モジュールCOT1において処理されたウエハWaが3枚連続で不良判定となり、塗布モジュールCOT1が運転停止となる。その後もキャリアL1のウエハWaは、レジスト塗布処理については塗布モジュールCOT1以外のモジュールCOT2、COT3を用いて、予定通りの処理が行われる。続いて同じく一のロットのウエハWaが収納されたキャリアL3、L5についても同様に予定通りの処理が行われる。その後、次のロットのウエハWbが収納されたキャリアL2、L4についても、塗布モジュールCOT1以外のモジュールCOT2、COT3にてレジスト塗布処理が行われること以外は、順次予定通りに処理が行われる(図9中ステップS8)。
【0039】
加熱モジュールHPのトラブルの場合における、ウエハW及びそれらを収納するキャリアLの態様について、図9、図12、図15を参照して説明する。先ず例えばキャリアL1から払い出され加熱モジュールHP1において処理されたウエハWaが3枚連続で不良判定となり、加熱モジュールHP1が運転停止となる。その後もキャリアL1のウエハWaは、加熱処理については加熱モジュールHP2を用いて、予定通りの処理が行われる。続いて同じく一のロットのウエハWaが収納されたキャリアL3、L5についても同様に予定通りの処理が行われる。その後、次のロットのウエハWbが収納されたキャリアL2、L4についても、加熱モジュールHP2にて加熱処理が行われること以外は、順次予定通りに処理が行われる(図9中ステップS9)。
【0040】
偶然のトラブルの場合は、不良判定の出たウエハWだけは判定後も予定通りの搬送経路を通って元のキャリアLに戻されその後処分され、装置自体は通常運転を続行する(図9中ステップS10)。
【0041】
この例では、検査モジュール3による検査にて不具合が検出された場合におけるその後の対処について説明したが、前述の微小流量計やCCDカメラ29により薬液ノズル25に不具合があると判断した場合でも、上述した薬液ノズル25に不具合が発生した場合と同様に対処する(図9中ステップS7参照)。
【0042】
本実施形態によれば、液処理であるレジスト塗布に使用する複数の薬液夫々に対応した複数の薬液ノズル25を用いてウエハWに液処理を行う技術において、一のロットのウエハWの液処理に用いる薬液ノズル25においてトラブルが発生した場合に、その一のロットに対応する薬液ノズル25(例えば25a)の使用を停止し、当該薬液ノズル(25a)とは別の薬液ノズル25(例えば25b)を用いて処理を行う次のロットについて処理を開始するようにしている。従って、薬液ノズル25による塗布不良が生じても、塗布ユニット2全体の運転を停止せずに、塗布ユニット2の正常動作部分についてはフルに活用しているため、塗布、現像装置の稼働率の低下を抑えることができる。
【0043】
上述の実施形態では、塗布ユニット2に複数の塗布モジュールCOT1〜COT3が設けられているが、本発明は塗布ユニット2に設けられる塗布モジュール20は1個であってもよい。この場合には、薬液ノズル25におけるレジスト液の吐出状態のトラブルは上述したように例えば図5に示すCCDカメラ29を用いた監視やレジスト液供給系統に設けられた微小流量計の検出値異常により特定することができる。こうした例においては、ノズル25における処理液の吐出に不具合があるか否かを監視する監視部は、CCDカメラ29及び撮像した画像データの解析用のプログラムや、前記微小流量計などが相当する。またウエハWの表面にレーザ光を照射するレーザ照射部とウエハWの表面を撮像するカメラとを設け、レジスト液吐出時にウエハWの表面に生じるレジスト液の波紋を、カメラの撮像画像データにより解析することで、レジスト液の吐出異常を監視してもよい。そしてノズル25からレジスト液の吐出異常を検出した後における塗布、現像装置の運転手法については、先の実施形態と同様である。即ち、異常と判断されたノズル25を使用するウエハWについては当該塗布ユニット2の使用を禁止し、例えば塗布モジュールへのウエハWの搬入を禁止して当該塗布ユニット2をスキップさせ、他のノズル25を使用するウエハWについては当該塗布ユニット2によりレジスト液の塗布処理を行う。この例においても先の実施形態と同様の効果が得られる。
【0044】
上述の実施形態では、第3のブロック(COT層)B3内には塗布ユニット2が1つ設けられているが、複数の塗布処理ユニットが設けられていてもよい。図16は、このような例を示すCOT層B3を示しており、ウエハWの搬送路Rの両側に図1に示したものと同じ塗布ユニットである第1の塗布ユニット2a及び第2の塗布ユニット2bが夫々設けられている。こうした構成例では、熱系の棚ユニットは例えば当該COT層におけるインターフェイスブロック側に配置することができる。そして通常時は、ウエハWに対するレジスト液の塗布処理は、2つの塗布ユニット2a、2bにより分担して行われるが、例えば第1の塗布ユニット2aにおいて1本のノズル25が異常(詳しくは、ノズル25またはノズル25へのレジスト液の供給系にトラブルが生じている)と判断された場合、当該ノズル25を使用するロットのウエハWの塗布ユニット2aへの搬入が禁止される。それ以降は、このノズル25を使用するロットのウエハWについては、搬送スケジュール51を変更して他の塗布ユニット2bのみを用いて処理が行われる。なお不使用とされるノズル25以外のノズル25を使用するロットのウエハWについては、2台の塗布ユニット2a、2bを用いて並行処理が行われる。
【0045】
更にまた塗布ユニット2におけるノズル25に異常がある(ノズル25あるいはレジスト液の供給系統)と判断されてアラームが発生したときに、コンピュータが自動で搬送スケジュール51を変更しているが、コンピュータが搬送スケジュール51の変更を行うトリガーとしては、手動入力であってもよい。即ちオペレータがアラームの発生の認識に基づいてトラブルの対象となっているノズル25については不使用とする(除外する)旨の指示を塗布、現像装置の操作パネルから入力し、これによりコンピュータが先の実施形態で説明したのと同様に、当該ノズル25を使用するウエハWに対して言わば除外搬送を行うように搬送スケジュール51を変更するようにしてもよい。
【0046】
以上の説明では、レジスト塗布処理の不良発生時について記載しているが、液処理ユニットとしては例えば第2のブロック(BCT層)B2における反射防止膜形成処理において複数種別の薬液を基板に応じて使い分ける場合には、反射防止膜形成用の液処理ユニットでもよい。更にまたSOD(Spin On Dielectric)膜、SOG(Spin On Glass)膜、ポリイミド膜等の絶縁膜を形成するための塗布液や、洗浄液などのレジスト液以外の他の薬液を用いる場合にも本発明を適用することができる。また、本発明において、薬液ノズルから処理液が供給される対象は、ウエハWに限定されるものではなく、ウエハW以外の例えばFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0047】
W ウエハ
L、L1〜L5
キャリア
U1、U3
棚ユニット
2 液処理ユニット
20 液処理モジュール
3 検査モジュール
4 天井搬送機構
5 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアブロックに搬入された基板搬送容器であるキャリアから払い出された基板に対して、処理ブロックにて液処理を行い、この液処理の後に続いてモジュールにて後処理が行われ、前記液処理及び後処理を含む一連の処理を終えた基板をキャリアに受け渡す基板処理装置において、
前記処理ブロックに設けられ、基板を水平に保持する基板保持部の周囲をカップ体により囲んで構成される液処理モジュールと、基板のロットに対応する処理液の種別ごとに用意された複数のノズルと、を含む液処理部と、
前記処理ブロック内にて基板の搬送を行うための搬送機構と、
前記ノズルにおける処理液の吐出に不具合があるか否かを監視する監視部と、
この監視部により不具合があると判断されたノズルを使用する基板については、当該液処理部における液処理を禁止し、当該ノズル以外のノズルを使用する基板については当該液処理部にて液処理を行うように制御信号を出力する制御部と、を備えたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記液処理部は、前記液処理モジュールを複数配列し、外部から基板が順番に搬入され、
前記ノズルユニットは、複数の液処理モジュールに対して共通化され、複数の液処理モジュールの上方領域の間を移動することを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記監視部は、前記液処理ユニットにて液処理が行われた後の基板に対して検査を行う検査部と、前記複数の液処理モジュールの各々を含む基板の搬送経路の情報を記憶する記憶部と、前記検査部における基板の検査結果と基板の搬送経路の情報とを用い、前記複数の液処理モジュールの全てについて、液処理モジュールで処理された基板が不良のときには、当該基板の処理に用いたノズルの吐出に不具合があると判断する判断部と、を備えたことを特徴とする請求項2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、キャリアから既に払い出され、不具合があると判断されたノズルを使用する基板については、前記液処理の後に後処理が行われるモジュールを当該後処理を行わずに通過させるように制御信号を出力することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、キャリアから払い出される前の基板であって、不具合があると判断されたノズルを使用する基板については、キャリアからの払い出しを禁止するように制御信号を出力することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記液処理部は、複数設けられ、
前記制御部は、一の液処理部にてノズルに不具合があると判断されたときには当該ノズルを使用する基板については、他の液処理部にて液処理を行うように搬送機構を制御することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
キャリアブロックに搬入された基板搬送容器であるキャリアから払い出された基板に対して、処理ブロックにて液処理を行い、この液処理の後に続いてモジュールにて後処理が行われ、前記液処理及び後処理を含む一連の処理を終えた基板をキャリアに受け渡す基板処理方法において、
前記処理ブロックに設けられ、基板を水平に保持する基板保持部の周囲をカップ体により囲んで構成される液処理モジュールと、基板のロットに対応する処理液の種別ごとに用意された複数のノズルと、を含む液処理部を用い、
搬送機構により前記液処理モジュールに基板を搬入する工程と、
前記基板に対応する種別の処理液を吐出するノズルから、処理液を基板に吐出して液処理を行う工程と、
前記ノズルにおける処理液の吐出に不具合があるか否かを監視する工程と、
この監視工程により不具合があると判断されたノズルを使用する基板については、当該液処理部における液処理を禁止し、当該ノズル以外のノズルを使用する基板については当該液処理部にて液処理を行うように前記搬送機構を制御する工程と、を備えたことを特徴とする基板処理方法。
【請求項8】
前記液処理部は、前記液処理モジュールを複数配列し、外部から基板が順番に搬入され、
前記ノズルユニットは、複数の液処理モジュールに対して共通化され、複数の液処理モジュールの上方領域の間を移動することを特徴とする請求項7記載の基板処理方法。
【請求項9】
前記監視する工程は、前記液処理ユニットにて液処理が行われた後の基板に対して検査を行う工程と、前記複数の液処理モジュールの各々を含む基板の搬送経路の情報を記憶する工程と、前記検査部における基板の検査結果と基板の搬送経路の情報とを用い、前記複数の液処理モジュールの全てについて、液処理モジュールで処理された基板が不合格のときには、当該基板の処理に用いたノズルの吐出に不具合があると判断する工程と、を備えたことを特徴とする請求項8記載の基板処理方法。
【請求項10】
キャリアから既に払い出され、不具合があると判断されたノズルを使用する基板については、前記液処理の後に後処理が行われるモジュールを当該後処理を行わずに通過させることを特徴とする請求項7ないし9のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項11】
キャリアから払い出される前の基板であって、不具合があると判断されたノズルを使用する基板については、キャリアからの払い出しを禁止することを特徴とする請求項7ないし10のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記液処理部は、複数設けられ、
一の液処理部にてノズルに不具合があると判断されたときには当該ノズルを使用する基板については、他の液処理部にて液処理を行うように搬送機構が制御されることを特徴とする請求項7ないし9のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項13】
キャリアブロックに搬入された基板搬送容器であるキャリアから払い出された基板に対して、処理ブロックにて液処理を行い、この液処理の後に続いてモジュールにて後処理が行われ、前記液処理及び後処理を含む一連の処理を終えた基板をキャリアに受け渡す基板処理装置に用いられるコンピュータプログラムが記憶された記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、請求項7ないし12のいずれか一つに記載の基板処理方法を実施するためのものであることを特徴とする記憶媒体。
【請求項1】
キャリアブロックに搬入された基板搬送容器であるキャリアから払い出された基板に対して、処理ブロックにて液処理を行い、この液処理の後に続いてモジュールにて後処理が行われ、前記液処理及び後処理を含む一連の処理を終えた基板をキャリアに受け渡す基板処理装置において、
前記処理ブロックに設けられ、基板を水平に保持する基板保持部の周囲をカップ体により囲んで構成される液処理モジュールと、基板のロットに対応する処理液の種別ごとに用意された複数のノズルと、を含む液処理部と、
前記処理ブロック内にて基板の搬送を行うための搬送機構と、
前記ノズルにおける処理液の吐出に不具合があるか否かを監視する監視部と、
この監視部により不具合があると判断されたノズルを使用する基板については、当該液処理部における液処理を禁止し、当該ノズル以外のノズルを使用する基板については当該液処理部にて液処理を行うように制御信号を出力する制御部と、を備えたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記液処理部は、前記液処理モジュールを複数配列し、外部から基板が順番に搬入され、
前記ノズルユニットは、複数の液処理モジュールに対して共通化され、複数の液処理モジュールの上方領域の間を移動することを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記監視部は、前記液処理ユニットにて液処理が行われた後の基板に対して検査を行う検査部と、前記複数の液処理モジュールの各々を含む基板の搬送経路の情報を記憶する記憶部と、前記検査部における基板の検査結果と基板の搬送経路の情報とを用い、前記複数の液処理モジュールの全てについて、液処理モジュールで処理された基板が不良のときには、当該基板の処理に用いたノズルの吐出に不具合があると判断する判断部と、を備えたことを特徴とする請求項2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、キャリアから既に払い出され、不具合があると判断されたノズルを使用する基板については、前記液処理の後に後処理が行われるモジュールを当該後処理を行わずに通過させるように制御信号を出力することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、キャリアから払い出される前の基板であって、不具合があると判断されたノズルを使用する基板については、キャリアからの払い出しを禁止するように制御信号を出力することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記液処理部は、複数設けられ、
前記制御部は、一の液処理部にてノズルに不具合があると判断されたときには当該ノズルを使用する基板については、他の液処理部にて液処理を行うように搬送機構を制御することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
キャリアブロックに搬入された基板搬送容器であるキャリアから払い出された基板に対して、処理ブロックにて液処理を行い、この液処理の後に続いてモジュールにて後処理が行われ、前記液処理及び後処理を含む一連の処理を終えた基板をキャリアに受け渡す基板処理方法において、
前記処理ブロックに設けられ、基板を水平に保持する基板保持部の周囲をカップ体により囲んで構成される液処理モジュールと、基板のロットに対応する処理液の種別ごとに用意された複数のノズルと、を含む液処理部を用い、
搬送機構により前記液処理モジュールに基板を搬入する工程と、
前記基板に対応する種別の処理液を吐出するノズルから、処理液を基板に吐出して液処理を行う工程と、
前記ノズルにおける処理液の吐出に不具合があるか否かを監視する工程と、
この監視工程により不具合があると判断されたノズルを使用する基板については、当該液処理部における液処理を禁止し、当該ノズル以外のノズルを使用する基板については当該液処理部にて液処理を行うように前記搬送機構を制御する工程と、を備えたことを特徴とする基板処理方法。
【請求項8】
前記液処理部は、前記液処理モジュールを複数配列し、外部から基板が順番に搬入され、
前記ノズルユニットは、複数の液処理モジュールに対して共通化され、複数の液処理モジュールの上方領域の間を移動することを特徴とする請求項7記載の基板処理方法。
【請求項9】
前記監視する工程は、前記液処理ユニットにて液処理が行われた後の基板に対して検査を行う工程と、前記複数の液処理モジュールの各々を含む基板の搬送経路の情報を記憶する工程と、前記検査部における基板の検査結果と基板の搬送経路の情報とを用い、前記複数の液処理モジュールの全てについて、液処理モジュールで処理された基板が不合格のときには、当該基板の処理に用いたノズルの吐出に不具合があると判断する工程と、を備えたことを特徴とする請求項8記載の基板処理方法。
【請求項10】
キャリアから既に払い出され、不具合があると判断されたノズルを使用する基板については、前記液処理の後に後処理が行われるモジュールを当該後処理を行わずに通過させることを特徴とする請求項7ないし9のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項11】
キャリアから払い出される前の基板であって、不具合があると判断されたノズルを使用する基板については、キャリアからの払い出しを禁止することを特徴とする請求項7ないし10のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記液処理部は、複数設けられ、
一の液処理部にてノズルに不具合があると判断されたときには当該ノズルを使用する基板については、他の液処理部にて液処理を行うように搬送機構が制御されることを特徴とする請求項7ないし9のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項13】
キャリアブロックに搬入された基板搬送容器であるキャリアから払い出された基板に対して、処理ブロックにて液処理を行い、この液処理の後に続いてモジュールにて後処理が行われ、前記液処理及び後処理を含む一連の処理を終えた基板をキャリアに受け渡す基板処理装置に用いられるコンピュータプログラムが記憶された記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、請求項7ないし12のいずれか一つに記載の基板処理方法を実施するためのものであることを特徴とする記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−55191(P2013−55191A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191684(P2011−191684)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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