説明

基板処理装置および基板処理方法

【課題】基板処理装置において、純水が飛散する際に生じるカップ部の帯電による基板の誘導帯電を抑制し、導電性液体の供給開始時における基板上の放電を防止する。
【解決手段】基板処理装置1では、基板9の洗浄および乾燥時において基板9上に供給された純水が周壁部411へ飛散する期間の途中から純水の飛散が終了するまでの間、カップ部41の内部空間415の純水がエアに置換されてカップ部41の静電容量が第1容量から第1容量よりも小さい第2容量とされることにより、カップ部41の電荷量が小さくされる。そして、次の基板9上に薬液の供給が開始される際に、内部空間415に純水が充填されてカップ部41の静電容量が第1容量とされ、カップ部41の電位が小さくされる。これにより、カップ部41の帯電による基板9の誘導帯電を抑制して基板9の表面電位を低くすることができ、導電性の薬液の供給開始時における基板9上の放電が防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体基板(以下、単に「基板」という。)の製造工程では、基板処理装置を用いて酸化膜等の絶縁膜を有する基板に対して様々な処理が施されている。例えば、基板を主面に垂直な中心軸を中心として回転しつつ、基板上に処理液を供給することにより、基板の表面に対してエッチング等の処理が行われる。このとき、回転する基板から飛散する処理液は基板の周囲を囲むカップ部により受け止められ、処理液が装置の外部にまで飛散することが防止される。このようなカップ部は、処理液に対する耐食性の観点から、通常、フッ素樹脂や塩化ビニル樹脂等の絶縁材料にて形成される。
【0003】
なお、特許文献1では、基板処理装置において、カップ部を帯電防止プラスチック材料にて形成することにより、基板の処理中にカップ部が帯電することを防止する手法が開示されている。また、特許文献2および特許文献3では、基板処理装置において、カップ部の内周面、または、複数のカップ部が同心状に設けられる場合における内側のカップ部の外周面に親水化処理を施すことにより、基板から飛散する処理液がカップ部にて跳ね返る等して基板に再付着することを抑制する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平11−283914号公報
【特許文献2】特開2004−356299号公報
【特許文献3】特開2006−147672号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、基板処理装置では、処理液として比抵抗が高い純水を用いる処理(例えば、洗浄処理)も行われる。このとき、基板から飛散する純水がカップ部に衝突してカップ部の表面を流れ落ちることにより、絶縁性を有するカップ部にて摩擦帯電が生じ、カップ部からの電界により基板の本体が誘導帯電する。この状態にて基板上に導電性を有する処理液が供給されると、基板上の絶縁膜の絶縁性が破壊され、基板に付与される処理液と基板の本体との間にて絶縁膜を介して放電が生じてしまう。特許文献1のように、カップ部の全体を帯電防止プラスチック材料にて形成することも考えられるが、このような特殊な材料は高価であり、基板処理装置の製造コストが大幅に増大してしまう。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、基板処理装置の製造コストを大幅に増大させることなく、純水が飛散する際に生じるカップ部の帯電による基板の誘導帯電を抑制し、これにより、導電性液体の供給開始時における基板上の放電を防止することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、処理液を基板に供給して前記基板を処理する基板処理装置であって、基板を保持する保持部と、前記基板上に純水および導電性液体を処理液としてそれぞれ供給する処理液供給部と、本体が絶縁材料または半導電材料にて形成され、前記保持部の周囲を囲んで前記基板から飛散する処理液を受け止める周壁部を有するカップ部と、前記導電性液体の前記基板上への供給が開始される際に前記カップ部の静電容量を第1容量とし、前記基板上に供給された前記純水が前記周壁部へ飛散する期間の少なくとも途中から前記純水の飛散が終了するまでの間、前記カップ部の静電容量を前記第1容量よりも小さい第2容量とする静電容量変更部とを備える。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の基板処理装置であって、前記保持部を回転させる回転機構をさらに備え、前記回転機構による前記基板の回転により、前記純水が前記基板から飛散する。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の基板処理装置であって、前記基板から前記周壁部への前記純水の飛散が終了して次の処理に移行する前に、前記カップ部の静電容量が前記第2容量から前記第1容量へと変更される。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の基板処理装置であって、前記処理液供給部により前記導電性液体が前記基板上に供給されている間、前記カップ部の静電容量が前記第1容量に維持される。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の基板処理装置であって、前記カップ部の内部に流体を充填可能な内部空間が形成されており、前記静電容量変更部が、前記カップ部の前記内部空間に第1流体を充填することにより前記カップ部の静電容量を前記第1容量とし、第2流体を前記第1流体に代えて前記内部空間に充填することにより前記カップ部の静電容量を前記第2容量とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の基板処理装置であって、前記第1流体が液体であり、前記第2流体が気体である。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の基板処理装置であって、前記第1流体が、電気的に接地された導電性の液体である。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の基板処理装置であって、前記静電容量変更部が、前記カップ部よりも比抵抗が小さい進退部材を前記カップ部の外周面に近接させることにより前記カップ部の静電容量を前記第1容量とし、前記進退部材を前記カップ部の前記外周面から遠ざけることにより前記カップ部の静電容量を前記第2容量とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の基板処理装置であって、前記進退部材が、電気的に接地された導電性部材である。
【0015】
請求項10に記載の発明は、処理液を基板に供給して前記基板を処理する基板処理装置であって、基板を保持する保持部と、前記基板上に純水および導電性液体を処理液としてそれぞれ供給する処理液供給部と、内部空間を有する本体が絶縁材料または半導電材料にて形成され、前記保持部の周囲を囲んで前記基板から飛散する処理液を受け止める周壁部を有するカップ部と、前記導電性液体の前記基板上への供給が開始される際に前記カップ部の前記内部空間に液体が充填された状態とし、前記基板上に供給された前記純水が前記周壁部へ飛散する期間の少なくとも途中から前記純水の飛散が終了するまでの間、前記内部空間から前記液体が排出された状態とする注排液部とを備える。
【0016】
請求項11に記載の発明は、基板を保持する保持部と、前記基板上に純水および導電性液体を処理液としてそれぞれ供給する処理液供給部と、本体が絶縁材料または半導電材料にて形成されるとともに前記保持部の周囲を囲んで前記基板から飛散する処理液を受け止める周壁部を有するカップ部と、前記カップ部の静電容量を変更する静電容量変更部とを備える基板処理装置において、前記基板を処理する基板処理方法であって、a)前記静電容量変更部により前記カップ部の静電容量を第1容量とする工程と、b)前記カップ部の静電容量が前記第1容量とされた状態で前記処理液供給部から前記基板上に前記導電性液体を処理液として供給する工程と、c)前記b)工程における前記導電性液体の供給開始時よりも後に、前記静電容量変更部により前記カップ部の静電容量を前記第1容量よりも小さい第2容量とする工程と、d)前記c)工程と並行して、または、前記c)工程よりも後に、前記処理液供給部から前記基板上に前記純水を処理液として供給するとともに前記純水を前記基板から前記周壁部へと飛散させる工程と、e)前記基板に対して、または、前記基板を他の基板に交換した後に前記a)工程ないし前記d)工程を繰り返す工程とを備える。
【0017】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の基板処理方法であって、前記d)工程において、前記基板が回転することにより前記純水が前記基板から前記周壁部へと飛散する。
【0018】
請求項13に記載の発明は、請求項11または12に記載の基板処理方法であって、前記c)工程が、前記b)工程の終了後に行われる。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、純水が飛散する際に生じるカップ部の帯電による基板の誘導帯電を抑制することができ、これにより、導電性液体の供給開始時における基板上の放電を防止することができる。また、請求項5ないし10の発明では、カップ部の静電容量を容易に変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る基板処理装置1を備える基板処理システム8の構成を示す平面図である。図1に示すように、基板処理システム8は、半導体基板9(例えば、シリコン基板であり、以下、単に「基板9」という。)に対して所定の処理を行う処理部81、および、処理部81に接続されたインデクサ部82を備える。
【0021】
インデクサ部82は、それぞれに複数の基板9が収容された複数のカセット821を保持するカセット保持部822、および、各カセット821に対する基板9の搬入および搬出を行うインデクサロボット823を備える。処理部81は、基板9を処理する基板処理装置1がそれぞれ配置された4つのユニット配置部811、および、4つのユニット配置部811に囲まれる位置に配置されてインデクサ部82と各基板処理装置1との間で基板9を搬送する基板搬送ロボット812を備える。各基板処理装置1にて利用される処理流体(液体および気体)の供給および排出のための構成は、ユニット配置部811において基板処理装置1の下部に積層された収容部に収容されている。
【0022】
なお、基板処理システム8では、4つのユニット配置部811のうち、少なくとも1つのユニット配置部811を除く他のユニット配置部811に、後述する基板処理装置1と異なる他の装置が配置されてもよい。
【0023】
図2は、基板処理装置1の構成を示す図である。基板処理装置1は、基板本体の表面に絶縁膜(例えば、酸化膜)が形成された基板9に処理液を供給してエッチング等の処理を行う枚葉式の装置である。
【0024】
図2に示すように、基板処理装置1は、基板9を下側から保持する基板保持部2、基板9の上方に配置されて基板9の上側の主面(以下、「上面」という。)に向けて処理液を吐出する処理液供給部3、基板保持部2の周囲を囲むカップ部41、カップ部41を図1中の上下方向に移動するシリンダ機構である昇降機構5、カップ部41の内部の空間415に対する液体の注入および排出を行う注排液部6、並びに、これらの構成を制御する制御部10を備える。図2では、図示の都合上、基板保持部2およびカップ部41の一部を断面にて描いている(後述する図6ないし図8において同様)。
【0025】
基板保持部2は、略円板状の基板9を下側および外周側から水平に保持する保持部であるチャック21、並びに、基板9をチャック21と共に回転する回転機構22を備える。回転機構22はチャック21の下側に接続されるシャフト221、および、シャフト221を回転するモータ222を備え、モータ222が駆動されることにより、基板9の法線方向に平行かつ基板9の中心を通る中心軸J1を中心にシャフト221およびチャック21と共に基板9が回転する。
【0026】
処理液供給部3は、供給管31に接続される吐出部32を有する。供給管31は吐出部32とは反対側にて分岐しており、一方は純水用バルブ331を介して純水(すなわち、脱イオン水)の供給源へと接続され、他方は薬液用バルブ332を介して所定の薬液の供給源へと接続される。処理液供給部3では、純水用バルブ331または薬液用バルブ332が開放されることにより、吐出部32から純水および(希釈された)薬液が処理液としてそれぞれ基板9上に供給される。吐出部32から吐出される上記薬液は水を含む液体であり、導電性を有している。
【0027】
カップ部41は、チャック21の外周に配置されて基板9から周囲へと飛散する処理液を受け止める周壁部411を有し、周壁部411の上部は処理液供給部3側(すなわち、図2中の上方)へと向かうに従って直径が小さくなる傾斜部412となっている。周壁部411の下端部には、中心軸J1側へと突出してチャック21の下方を覆う環状の底部413が取り付けられ、底部413には処理液を排出する排出口(図示省略)が設けられる。
【0028】
図3は、図2中のA−Aの位置におけるカップ部41の断面図である。図2および図3に示すように、略円筒状の周壁部411の内部には、中心軸J1を中心とする環状の空間415(以下、「内部空間415」という。)が形成されている。内部空間415を有するカップ部41の本体(すなわち、周壁部411の内部空間415を囲む部位、および、図2に示す底部413)は、絶縁材料または半導体材料にて形成され、周壁部411の内周面411aは撥水性(疎水性)を有している。本実施の形態では、周壁部411および底部413は、テフロン(登録商標)にて形成されている。カップ部41の内部空間415は気体や液体等の流体が充填可能とされており、注排液部6に接続されている。
【0029】
注排液部6は、カップ部41の内部空間415の下端部(すなわち、底部413側の端部)に接続される第1配管61、および、内部空間415の上端部(すなわち、処理液供給部3側の端部)に接続される第2配管62を備える。基板処理装置1では、注排液部6の第1配管61が図示省略の純水供給源へと接続されることにより、内部空間415へと純水(すなわち、脱イオン水)が供給されて充填される。このとき、純水の供給前に内部空間415に充填されていたエアは、第2配管62を介して外部へと放出される。また、注排液部6の第2配管62が図示省略のコンプレッサ等に接続されることにより、第2配管62を介して内部空間415へとエアが供給されるとともに内部空間415内の純水が第1配管61を介して外部へと排出され、内部空間415にエアが充填される。
【0030】
注排液部6によりカップ部41の内部空間415に充填される純水およびエアの比誘電率はそれぞれ、約80および約1であり、カップ部41の本体を形成するテフロン(登録商標)の比誘電率は約3〜4である。このため、内部空間415に純水が充填された状態のカップ部41の静電容量(以下、「第1容量」という。)は、内部空間415にエアが充填された状態のカップ部41の静電容量(以下、「第2容量」という。)よりも大きくなる。
【0031】
また、内部空間を有さない中実のテフロン(登録商標)製のカップ部と比較した場合、第1容量は、比較例のカップ部の静電容量よりも大きく、第2容量は、比較例のカップ部の静電容量よりも小さい。基板処理装置1では、注排液部6が、カップ部41の内部空間415に純水を充填することによりカップ部41の静電容量(すなわち、電荷容量)を第1容量とし、当該純水に代えてエアを内部空間415に充填することにより、カップ部41の静電容量を第1容量よりも小さい第2容量とする静電容量変更部となっている。
【0032】
次に、基板処理装置1が処理液を基板に供給して基板を処理する動作の流れについて説明する。図4は、基板処理装置1による基板処理の流れを示す図である。図2に示す基板処理装置1では、まず、制御部10により注排液部6が駆動されてカップ部41の内部空間415に純水が充填されることにより、カップ部41の静電容量が第1容量とされる(ステップS11)。
【0033】
続いて、昇降機構5によりカップ部41の上端部(すなわち、傾斜部412の端部)がチャック21よりも下方に位置するまでカップ部41が下降された状態で、図1に示す基板搬送ロボット812により基板9が基板処理装置1へと搬入され、図2に示す基板保持部2のチャック21上に載置されて保持される(すなわち、基板9がロードされる。)。そして、カップ部41が上昇することにより、チャック21がカップ部41内に収容され、基板9の周囲がカップ部41により囲まれる(ステップS12)。
【0034】
基板9が保持されると、基板保持部2の回転機構22による基板9の回転が開始されるとともに、制御部10により処理液供給部3の薬液用バルブ332のみが開放されることにより、基板9の上面上に導電性液体である薬液が処理液として供給されて薬液処理が行われる(ステップS13)。処理液供給部3から基板9に供給される薬液は、基板9の回転により基板9から飛散してカップ部41の内周面411aにて受け止められ、底部413における排出口から排出される。そして、基板9への薬液の付与が所定時間だけ継続されることにより、基板9に薬液を用いた処理が施されることとなる。基板処理装置1では、処理液供給部3により薬液が基板9上に供給されている間(すなわち、薬液処理が行われている間)、カップ部41は内部空間415に純水が充填された状態とされ、カップ部41の静電容量は第1容量に維持されている。
【0035】
薬液処理が終了すると、制御部10により注排液部6が駆動されてカップ部41の内部空間415から純水が排出されるとともにエアが充填されることにより、カップ部41の静電容量が、第1容量から第1容量よりも小さい第2容量へと変更される(ステップS14)。
【0036】
そして、カップ部41の内部空間415へのエアの充填開始とほぼ同時に、制御部10により処理液供給部3の薬液用バルブ332が閉じられるとともに純水用バルブ331が開放されることにより、基板9の上面に付与される処理液が薬液から純水に切り替えられ、カップ部41の静電容量の変更と並行して基板9の上面上に純水が処理液として供給されて基板9の洗浄が行われる(ステップS15)。基板9上に供給された純水は、基板9が回転することにより基板9からカップ部41の周壁部411へと飛散して内周面411aにて受け止められ、内周面411aを流れ落ちて底部413における排出口から排出される。
【0037】
純水による基板9の洗浄が完了すると、純水用バルブ331が閉じられて純水の吐出が停止される。基板処理装置1では、純水の吐出が停止された後も基板9の回転が継続され、基板9上に残っている純水が回転により除去されて基板9が乾燥する(ステップS16)。このとき、基板9上から除去された純水は、上述の洗浄時と同様に、カップ部41の周壁部411へと飛散して内周面411aにて受け止められ、内周面411aを流れ落ちて底部413における排出口から排出される。
【0038】
基板処理装置1では、基板9の洗浄および乾燥時において基板9上の純水が周壁部411へと飛散している間、カップ部41は内部空間415にエアが充填された状態とされ、カップ部41の静電容量は第2容量に維持されている。より正確には、ステップS15における基板9の洗浄が、ステップS14におけるカップ部41の静電容量の第1容量から第2容量への変更と並行して開始されるため、カップ部41の静電容量が第2容量となっているのは、基板9の洗浄の途中から基板9の乾燥終了までの間(すなわち、基板9上に供給された純水が周壁部411へ飛散する期間の途中から純水の飛散が終了するまでの間)である。
【0039】
所定時間だけ基板9の回転が行われると、基板9の回転が停止され、これにより、基板9から周壁部411への純水の飛散が終了する。その後、制御部10により注排液部6が駆動されてカップ部41の内部空間415に再び純水が充填されることにより、カップ部41の静電容量が第2容量から第1容量へと変更される(ステップS17)。
【0040】
次に、昇降機構5によりカップ部41の上端部がチャック21よりも下方へと下降し、基板搬送ロボット812(図1参照)により基板9が基板処理装置1から取り出され(すなわち、基板9がアンロードされ)(ステップS18)、次の処理対象である基板9が、チャック21上に載置されてカップ部41内に収容される(ステップS19,S12)。そして、上記の動作と同様に、カップ部41の静電容量が第1容量とされた状態で基板9に対する薬液処理が行われた後に静電容量が第2容量に変更され、カップ部41の静電容量が第2容量とされた状態で基板9の洗浄および乾燥が行われる。その後、カップ部41の静電容量が第1容量に変更され、基板9が基板処理装置1から取り出される(ステップS13〜S18)。
【0041】
基板処理装置1では、所望の枚数の基板9に対して、基板9を交換しつつ上記ステップS12〜S18の処理が繰り返されることにより、複数枚の基板9に対する処理が終了する(ステップS19)。
【0042】
基板処理装置1では、上述のステップS15,S16における純水による基板9の洗浄工程、および、基板9の乾燥工程の間、基板9から飛散して周壁部411の内周面411aに受け止められる純水と内周面411aとの摩擦により、周壁部411に摩擦帯電が生じる。そして、次の基板9がステップS12において基板処理装置1に搬入されてカップ部41内に収容されることにより、周壁部411からの電界により基板9に誘導帯電が生じる。
【0043】
図5は、カップ部41の周壁部411において純水との摩擦帯電により内周面411aに発生する電荷の量と、帯電状態のカップ部41に収容された基板9において周壁部411からの電界により誘導される表面電位との関係を示す図である。図5では、カップ部41の静電容量を第2容量として基板9の洗浄および乾燥を行った場合の電荷量と表面電位との関係を符号71を付す実線にて示し、カップ部41の静電容量を仮に第1容量として基板9の洗浄および乾燥を行った場合の電荷量と表面電位との関係を符号72を付す破線にて示す。また、符号73,74を付す点はそれぞれ、カップ部41の乾燥工程終了後の状態を示す。
【0044】
図5に示すように、カップ部41の電荷量と基板9の表面電位とはおよそ正比例しており、カップ部41の電荷量が増大すると(すなわち、電荷量の絶対値が大きくなると)、基板9の表面電位も増大する(すなわち、表面電位の絶対値が大きくなる。)。また、カップ部41の電荷量が同じ場合は、カップ部41の静電容量が大きい方がカップ部41の電位が小さくなるため、基板9の表面電位も小さくなる。ただし、カップ部41の静電容量が大きい方が、同様の洗浄工程および乾燥工程終了後のカップ部41の電荷量は大きくなる。
【0045】
上述のように、カップ部41の静電容量が第2容量とされた状態で基板9の洗浄および乾燥が行われると、カップ部41の電荷量は実線71に示すように増大し(すなわち、電荷量の絶対値が大きくなり)、乾燥終了時には、点73にて示すように、約(−145nC(ナノクーロン))となる。ここで、仮に、カップ部41の静電容量を第2容量から変更することなく次の基板9がカップ部41に収容されたとすると、当該基板9の表面電位は、点73にて示すように、約(−2.4kV(キロボルト))となる。この状態で、導電性の薬液が基板9上に供給されると、薬液と基板9の基板本体との間にて絶縁膜を介して放電が生じてしまう恐れがある。
【0046】
また、仮に、カップ部41の静電容量が第1容量とされた状態で基板9の洗浄および乾燥が行われると、カップ部41の電荷量は破線72に示すように増大し、乾燥終了時には、点74にて示すように、約(−175nC)となる。そして、カップ部41の静電容量を第1容量から変更することなく次の基板9がカップ部41に収容されたとすると、当該基板9の表面電位は、点74にて示すように、約(−0.5kV)となる。
【0047】
これに対し、本実施の形態に係る基板処理装置1では、カップ部41の静電容量が第2容量とされた状態で基板9の洗浄および乾燥が行われるため、乾燥終了時におけるカップ部41の電荷量は、上述のように約(−145nC)となる。そして、乾燥工程の次の処理である基板9の搬出が行われる前に、カップ部41の静電容量が第2容量よりも大きい第1容量に変更されることにより、カップ部41の電荷量は変化しないが、カップ部41の第2容量時の電位よりも第1容量時の電位が低くなるため、次にカップ部41に収容される基板9の表面電位は、点75にて示すように、約(−0.4kV)となる。
【0048】
基板処理装置1では、基板9の洗浄および乾燥時において基板9上の純水が周壁部411へと飛散している間(より正確には、基板9上に供給された純水が周壁部411へ飛散する期間の途中から純水の飛散が終了するまでの間)、カップ部41の静電容量が第2容量とされる(すなわち、カップ部41の内部空間415から純水が排出されてエアが充填された状態とされる)ことにより、基板9の乾燥終了時におけるカップ部41の電荷量が、カップ部41の静電容量が第2容量よりも大きい第1容量とされた状態で洗浄および乾燥を行った場合に比べて小さくされる。そして、次の基板9上に薬液の供給が開始される際に、カップ部41の静電容量が第2容量よりも大きい第1容量とされている(すなわち、カップ部41の内部空間415に純水が充填された状態とされている)ことにより、カップ部41の静電容量が第2容量のままとされる場合に比べてカップ部41の電位が小さくされる。
【0049】
これにより、カップ部41の帯電を少なくし、カップ部41の帯電による基板9の誘導帯電を抑制して基板9の表面電位を低くすることができる。その結果、導電性の薬液の供給開始時における基板9上の放電を防止することができる。また、基板9の周囲の雰囲気中のパーティクルが基板9に付着することを防止することができる。したがって、基板処理装置1の構造、および、基板処理装置1による基板9の上記処理方法は、基板9の回転により純水の飛散距離が大きく、多量の純水が周壁部411により受け止められるタイプの基板処理装置に特に適しているといえる。また、基板処理装置1では、カップ部41の全体を帯電防止プラスチック材料等の特殊な導電材料にて形成する必要がないため、基板処理装置1の製造コストが大幅に増大することが防止される。
【0050】
ところで、基板処理装置1では、1枚の基板9に対して上述の薬液処理、洗浄および乾燥が繰り返し行われてもよく、各乾燥工程の終了後、次の処理である薬液処理に移行する前に、カップ部41の静電容量が第2容量から第1容量へと変更される。この場合も、各洗浄工程および各乾燥工程が行われている期間の少なくとも途中から終了するまでの間、カップ部41の静電容量が第2容量とされ、各薬液処理工程が開始される際にはカップ部41の静電容量が第1容量とされることにより、各洗浄工程および各乾燥工程におけるカップ部41の帯電による基板9の誘導帯電が抑制され、これにより、各薬液処理工程において薬液の供給開始時における基板9上の放電が防止される。
【0051】
上述のように、基板処理装置1では、基板9の乾燥工程が終了して基板9の搬出が行われる前に(すなわち、基板9から周壁部411への純水の飛散が終了して次の処理に移行する前に)、カップ部41の静電容量が第2容量から第1容量へと変更される。これにより、純水との摩擦により周壁部411に摩擦帯電が生じる処理が行われていない期間において、カップ部41の電位が常に低い状態に保たれ、基板9の誘導電位を低く維持することができる。その結果、薬液の供給開始時以外においても、基板9の誘導電位に起因する放電やパーティクルの付着等の不具合の発生が防止される。また、基板処理装置1では、カップ部41の内部空間415に対する純水の充填および排出により、カップ部41の静電容量の変更が容易に行われる。
【0052】
なお、基板9の薬液処理および洗浄において基板9の回転が行われない場合等、基板処理装置1における基板9の乾燥は、例えば、エアナイフから噴出されるエアにより基板9上の純水が除去されることにより行われてもよい。この場合も、乾燥工程が終了して次の処理(すなわち、基板9の搬出工程)に移行する前に静電容量が第2容量から第1容量へと変更されることにより、基板9上から周壁部411へと飛散した純水による周壁部411の摩擦帯電の電位を下げて基板9の誘導電位を低く維持することができる。また、乾燥工程において純水が周壁部411へと飛散しない場合には、基板9の洗浄の終了後、次の処理である乾燥工程に移行する前に、カップ部41の静電容量が第2容量から第1容量へと変更されることが好ましい。
【0053】
基板処理装置1では、基板9に対する薬液処理が行われている間、カップ部41の静電容量が第1容量に維持されることにより、カップ部41の電位の変動が防止され、基板9の誘導電位の変動も防止される。これにより、基板9の電位変動による薬液処理に対する影響が防止され、基板9に対する薬液処理の質を一定に維持することができる。
【0054】
なお、基板9に対する薬液処理の質が基板9の電位変動によりほとんど影響を受けない場合等、ステップS14におけるカップ部41の静電容量の第1容量から第2容量への変更は、ステップS13における基板9への薬液の供給開始時よりも後に、基板9への薬液の供給と並行して行われてもよい。そして、ステップS15における基板9への純水の供給開始時に、カップ部41の静電容量が既に第2容量とされていてもよい。また、ステップS13における薬液処理とステップS15における基板洗浄とが連続して行われることなく、ステップS13が終了した後にステップS14における静電容量の変更が開始され、ステップS14の終了後にステップS15が開始されてもよい。
【0055】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る基板処理装置について説明する。図6は、第2の実施の形態に係る基板処理装置1aの構成を示す図である。図6に示すように、基板処理装置1aでは、注排液部6の第1配管61の内部にグラッシカーボン等により形成されるとともに電気的に接地された接地部63が設けられ、また、注排液部6によりカップ部41の内部空間415に導電性の液体(本実施の形態では、炭酸水)が充填される。その他の構成は、図2および図3に示す基板処理装置1と同様であり、以下の説明において対応する構成に同符号を付す。なお、図6では、図2に示す昇降機構5および制御部10の図示を省略している(図7においても同様。)。
【0056】
図6に示す基板処理装置1aでは、カップ部41の内部空間415に導電性の炭酸水が充填され、当該炭酸水が接地部63を介して電気的に接地されることにより、カップ部41の静電容量が、内部空間415にエアが充填された状態における第2容量よりも大きい容量(第1の実施の形態における第1容量に等しいとは限らないが、以下の説明では、「第1容量」と呼ぶ。)となる。
【0057】
基板処理装置1aによる基板9の処理の流れは、第1の実施の形態(図4参照)とほぼ同様であり、カップ部41の内部空間415に電気的に接地された炭酸水を充填することによりカップ部41の静電容量が第1容量とされた状態で、基板9がロードされてカップ部41内に収容され、基板9に導電性の薬液が供給されて基板9に対する薬液処理が行われる(図4:ステップS11〜S13)。
【0058】
続いて、カップ部41の内部空間415から炭酸水が排出されてエアが充填されることにより、カップ部41の静電容量が第1容量から第1容量よりも小さい第2容量へと変更される(ステップS14)。そして、これと並行して基板9上に純水が供給されて基板9の洗浄が行われた後、基板9の乾燥が行われる(ステップS15,S16)。このとき、基板9からカップ部41の周壁部411へと飛散する純水と周壁部411の内周面411aとの摩擦によりカップ部41が帯電する。
【0059】
基板9の乾燥工程が終了すると、カップ部41の内部空間415に電気的に接地された炭酸水が再び充填されることにより、カップ部41の静電容量が第2容量から第1容量へと変更され、これにより、カップ部41の帯電電位が低くなる(すなわち、電位の絶対値が小さくなる)(ステップS17)。そして、基板9がアンロードされると、次の基板9がロードされてカップ部41に収容され(ステップS18,S19,S12)、当該次の基板9に対してステップS13〜S18が行われる。
【0060】
第2の実施の形態に係る基板処理装置1aでは、第1の実施の形態と同様に、基板9の洗浄および乾燥時において基板9上の純水が周壁部411へと飛散している間(より正確には、基板9上に供給された純水が周壁部411へ飛散する期間の途中から純水の飛散が終了するまでの間)、カップ部41の静電容量が第2容量とされ、そして、次の基板9上に薬液の供給が開始される際に、カップ部41の静電容量が第2容量よりも大きい第1容量とされていることにより、カップ部41の帯電による基板9の誘導帯電を抑制して基板9の表面電位を低くすることができる。その結果、導電性の薬液の供給開始時における基板9上の放電を防止することができる。
【0061】
次に、本発明の第3の実施の形態に係る基板処理装置について説明する。図7は、第3の実施の形態に係る基板処理装置1bの構成を示す断面図である。図7に示す基板処理装置1bでは、図2に示すカップ部41に代えて、内部に空間が形成されていない中実のカップ部41aが設けられ、図2に示す注排液部6に代えて、カップ部41aの周壁部411の周囲に配置される略円筒状の進退部材64、および、進退部材64を図7中の上下方向に移動することによりカップ部41aに対して進退させる進退機構65が設けられる。その他の構成は、図2に示す基板処理装置1と同様であり、以下の説明では、対応する構成に同符号を付す。なお、図7では、図示の都合上、進退部材64の断面の平行斜線の図示を省略している。
【0062】
図7に示すように、進退部材64の内周面641aは、カップ部41aの周壁部411の外周面411bに倣うとともに外周面411bとの間にて小さい間隙(例えば、1ミリメートル(mm)〜10センチメートル(cm)の幅の間隙)を形成している。進退部材64の比抵抗は、テフロン(登録商標)により形成されたカップ部41aの比抵抗よりも小さくされる。本実施の形態では、進退部材64は導電性部材であるステンレス鋼等の金属にて形成されており、電気的に接地されている。また、進退部材64の表面には、耐薬品性等の向上のために、テフロン(登録商標)等のフッ素樹脂がコーティングされている。
【0063】
基板処理装置1bでは、進退部材64が、進退機構65により図7中に二点鎖線にて示す位置から実線にて示す位置へと下向きに移動されてカップ部41aの外周面411bに近接することにより、カップ部41aの静電容量が実質的に大きくなり、進退部材64が上向きに移動されてカップ部41aの外周面411bから遠ざかることにより、カップ部41aの静電容量が実質的に小さくなる。以下の説明では、進退部材64が図7中に実線にて示す位置に位置する際のカップ部41aの静電容量を「第1容量」と呼び、進退部材64が二点鎖線にて示す位置に位置する際のカップ部41aの静電容量を「第2容量」と呼ぶ。基板処理装置1bでは、進退部材64および進退機構65が、カップ部41aの静電容量を変更する静電容量変更部となっている。なお、ここでいう第1容量および第2容量は、第1および第2の実施の形態における第1容量および第2容量とは必ずしも等しくはない。
【0064】
基板処理装置1bによる基板9の処理は、図4中のステップS11,S14,S17におけるカップ部41aの静電容量の変更が進退機構65による進退部材64の進退により行われる点を除き、第1の実施の形態とほぼ同様である。基板処理装置1bでは、進退部材64がカップ部41aに近接されることによりカップ部41aの静電容量が第1容量とされた状態で、基板9がロードされてカップ部41内に収容され、基板9に導電性の薬液が供給されて基板9に対する薬液処理が行われる(ステップS11〜S13)。
【0065】
続いて、進退機構65により進退部材64がカップ部41aから遠ざけられることにより、カップ部41aの静電容量が第1容量から第1容量よりも小さい第2容量へと変更される(ステップS14)。そして、これと並行して基板9上に純水が供給されて基板9の洗浄が行われた後、基板9の乾燥が行われる(ステップS15,S16)。このとき、基板9からカップ部41aの周壁部411へと飛散する純水と周壁部411の内周面411aとの摩擦によりカップ部41aが帯電する。
【0066】
基板9の乾燥工程が終了すると、進退機構65により進退部材64がカップ部41aに再び近接することにより、カップ部41aの静電容量が第2容量から第1容量へと変更され、これにより、カップ部41の帯電電位が低くなる(ステップS17)。そして、基板9がアンロードされると、次の基板9がロードされてカップ部41aに収容され(ステップS18,S19,S12)、当該次の基板9に対してステップS13〜S18が行われる。
【0067】
第3の実施の形態に係る基板処理装置1bでは、第1の実施の形態と同様に、基板9の洗浄および乾燥時において基板9上の純水が周壁部411へと飛散している間(より正確には、基板9上に供給された純水が周壁部411へ飛散する期間の途中から純水の飛散が終了するまでの間)、カップ部41aの静電容量が第2容量とされ、そして、次の基板9上に薬液の供給が開始される際に、カップ部41aの静電容量が第2容量よりも大きい第1容量とされていることにより、カップ部41aの帯電による基板9の誘導帯電を抑制して基板9の表面電位を低くすることができる。その結果、導電性の薬液の供給開始時における基板9上の放電を防止することができる。
【0068】
基板処理装置1bでは、特に、進退部材64が電気的に接地された導電性部材とされることにより、進退部材64を近接させた際のカップ部41aの静電容量である第1容量が、第2容量に比べてより大きくなる。これにより、カップ部41aの帯電による基板9の誘導帯電をさらに抑制して基板9の表面電位をより低くすることができ、その結果、導電性の薬液の供給開始時における基板9上の放電をより確実に防止することができる。
【0069】
ところで、基板処理装置1bにおける基板9の処理では、半導体製品の製造における一定の歩留まりを確保するため、基板9上への金属不純物の付着を防止することが要求されている。したがって、カップ部における金属の溶出を避けるため、通常の設計のカップ部では内部や表面に金属を用いることはできない。これに対し、基板処理装置1bでは、進退部材64がカップ部41aから離れて設けられるため、金属を用いて安価に形成することが可能となる。なお、進退部材64は、導電性樹脂や導電性カーボンにより形成されてもよい。
【0070】
次に、本発明の第4の実施の形態に係る基板処理装置について説明する。図8は、第4の実施の形態に係る基板処理装置1cの構成を示す断面図である。図8に示すように、基板処理装置1cでは、同心状の複数(本実施の形態では、4つ)のカップ部42,43,44,45が設けられるとともに、基板9上に純水および3種類の導電性液体である薬液を処理液としてそれぞれ供給する処理液供給部3aが設けられる。なお、図8では、基板処理装置1cの各構成を制御する制御部の図示を省略している。
【0071】
基板処理装置1cの昇降機構5は、モータ51およびボールネジ機構52を有し、昇降機構5によりカップ部42〜45(以下、カップ部42〜45をまとめて「カップ部群」とも呼ぶ。)が基板保持部2に対して中心軸J1に沿う方向に一体的に移動可能とされる。また、注排液部6aは、カップ部群に形成された3つの内部空間425,455,456に対する純水の注入および排出を行う。なお、基板保持部2の構成は図2に示す基板処理装置1と同様である。
【0072】
各カップ部42〜45では、周壁部421,431,441,451と底部423,433,443,453とが分離して設けられており、複数の底部423〜453は一体的に形成される。詳細には、絶縁材料にて形成される複数の底部423〜453は中心軸J1を中心とする環状とされる。底部423と底部433との境界、底部433と底部443との境界、および、底部443と底部453との境界、並びに、底部453の外側の境界のそれぞれには、処理液供給部3a側(上方)に向かって突出するとともに中心軸J1を中心とする円筒状の仕切部491,492,493,494が設けられる。
【0073】
周壁部421,431,441,451のそれぞれの下部は、仕切部491,492,493,494を跨ぐようにして内側円筒部4211,4311,4411,4511および外側円筒部4212,4312,4412,4512(図8の左側の符号を参照)に分かれている。また、周壁部421,431,441,451の上部は、処理液供給部3a側へと向かうに従って直径が小さくなる傾斜部422,432,442,452となっており、内側に配置されるカップ部ほど、その傾斜部が処理液供給部3aから離れた位置に(すなわち、下方に)配置される。
【0074】
周壁部421〜451および底部423〜453は、絶縁材料または半導電性材料(本実施の形態では、テフロン(登録商標))にて形成されており、周壁部421〜451のそれぞれの内周面(すなわち、内側円筒部4211〜4511のそれぞれの内周面)は、撥水性(疎水性)を有している。
【0075】
最も内側のカップ部42の内部空間425は、周壁部421の内側円筒部4211および外側円筒部4212の上端近傍(すなわち、周壁部421が内側円筒部4211と外側円筒部4212とに分かれる分岐点近傍)において、フレキシブルチューブ(例えば、ホース)を周壁部421のほぼ全周に亘って周壁部421の内部に設けることにより形成される。内部空間425を形成するフレキシブルチューブの両端は、注排液部6aの配管66a,66bを介して図示省略の純水供給源およびコンプレッサに接続されており、第1の実施の形態に係るカップ部41の内部空間415と同様に、内部空間425に対する純水の充填および排出が可能とされている。
【0076】
最も外側のカップ部45の内部空間455は、周壁部451の内側円筒部4511および外側円筒部4512の上端近傍(すなわち、周壁部451が内側円筒部4511と外側円筒部4512とに分かれる分岐点近傍)において、フレキシブルチューブ(例えば、ホース)を周壁部451のほぼ全周に亘って周壁部451の内部に設けることにより形成される。内部空間455を形成するフレキシブルチューブの両端は、注排液部6aの配管67a,67bを介して純水供給源およびコンプレッサに接続されており、内部空間425と同様に、内部空間455に対する純水の充填および排出が可能とされている。
【0077】
最も外側に設けられる仕切部494の内部空間456は、仕切部494の内部においてフレキシブルチューブ(例えば、ホース)を螺旋状に周回することにより形成される。内部空間456を形成するフレキシブルチューブの両端は、仕切部494の下側および上側において注排液部6aの配管68a,68bを介して純水供給源およびコンプレッサに接続されており、内部空間425,455と同様に、内部空間456に対する純水の充填および排出が可能とされている。
【0078】
昇降機構5は、カップ部群(すなわち、カップ部42〜45)と同様の絶縁材料または半導電性材料にて形成される支持部材53を有し、端部が外側のカップ部45の周壁部451に接続される。また、複数のカップ部42〜45の周壁部421〜451は部分的に互いに接続しており、モータ51が駆動されることにより、支持部材53を介して複数の周壁部421〜451が基板保持部2に対して中心軸J1に沿う方向に一体的に昇降する。
【0079】
処理液供給部3aは、4個のバルブ331〜334を有し、純水用バルブ331を開放することにより吐出部32から純水が吐出され、第1薬液用バルブ332を開放することにより吐出部32から第1薬液が吐出され、第2薬液用バルブ333を開放することにより吐出部32から第2薬液が吐出され、第3薬液用バルブ334を開放することにより吐出部32から第3薬液が吐出される。
【0080】
次に、基板処理装置1cが処理液を基板に供給して基板を処理する動作の流れについて説明する。基板処理装置1cでは、第1の実施の形態と同様の基板9に対する薬液処理および純水洗浄、並びに、基板9の乾燥が、第1の実施の形態と同様に、カップ部の静電容量を変更しつつ3種類の薬液について繰り返される。図9.Aないし図9.Cは、基板処理装置1cによる基板処理の流れを示す図である。
【0081】
基板処理装置1cでは、まず、注排液部6aによりカップ部群の内部空間425,455,456に純水が充填されることにより、カップ部群の静電容量が第1容量とされる(ステップS21)。なお、ここでいう第1容量は、第1ないし第3の実施の形態における第1容量とは必ずしも等しくはない(後述する第2容量においても同様)。
【0082】
続いて、基板9が基板処理装置1cへと搬入され(すなわち、基板9がロードされ)、基板保持部2のチャック21により保持される。次に、昇降機構5によりカップ部群が上昇することにより、基板9がカップ部群内に収容され、基板9の周囲がカップ部群により囲まれる。このとき、基板9は、カップ部43に対応する位置(すなわち、中心軸J1方向に関し、カップ部43の傾斜部432の内周縁とカップ部42の傾斜部422の内周縁との間の位置であり、以下、「第1薬液処理位置」という。)に位置する(ステップS22)。
【0083】
基板9が保持されると、基板9の回転が開始されるとともに、処理液供給部3aの第1薬液用バルブ332のみが開放されることにより、吐出部32から第1薬液が処理液として吐出されて基板9の上面上に供給される。そして、カップ部群の静電容量が第1容量に維持された状態で、基板9への第1薬液の付与が所定時間だけ継続されることにより、第1薬液による基板9に対する薬液処理が行われ、その後、第1薬液用バルブ332が閉じられる(ステップS23)。
【0084】
第1薬液による薬液処理が終了すると、注排液部6aによりカップ部群の内部空間425,455,456から純水が排出されるとともにエアが充填されることにより、カップ部群の静電容量が、第1容量から第1容量よりも小さい第2容量へと変更される(ステップS24)。また、カップ部群の内部空間425,455,456へのエアの充填(すなわち、カップ部群の静電容量の変更)と並行してカップ部群が上昇することにより、基板9が、第1薬液処理位置からカップ部42に対応する位置(すなわち、中心軸J1方向に関し、カップ部42の周壁部421の傾斜部422と内側円筒部4211との間の位置であり、以下、「洗浄位置」という。)へと相対移動する(ステップS25)。
【0085】
次に、純水用バルブ331が開放されることにより、基板9の上面上に純水が処理液として所定時間だけ供給されて基板9の洗浄が行われる(ステップS26)。その後、純水用バルブ331が閉じられて純水の吐出が停止され、基板9上に残っている純水が回転により除去されて基板9が乾燥する(ステップS27)。基板9の洗浄時および乾燥時に基板9上に供給された純水は、基板9が回転することにより基板9からカップ部42の周壁部421へと飛散し、内側円筒部4211を流れ落ちて底部423へと落下する。また、このように基板9上の純水が周壁部421へと飛散している間、カップ部群は内部空間425,455,456にエアが充填された状態とされ、カップ部群の静電容量は第2容量に維持されている。
【0086】
なお、基板9の洗浄は、カップ部群の静電容量の第1容量から第2容量への変更中に開始されてもよく、この場合、カップ部群の静電容量が第2容量となっているのは、基板9上に供給された純水が周壁部421へ飛散する期間の途中から純水の飛散が終了するまでの間である。
【0087】
基板9の乾燥が終了すると、注排液部6aによりカップ部群の内部空間425,455,456に再び純水が充填されることにより、カップ部群の静電容量が第2容量から第1容量へと変更される(ステップS28)。そして、カップ部群が下降することにより、基板9が、洗浄位置からカップ部44に対応する位置(すなわち、中心軸J1方向に関し、カップ部44の傾斜部442の内周縁とカップ部43の傾斜部432の内周縁との間の位置であり、以下、「第2薬液処理位置」という。)へと相対移動する(ステップS29)。
【0088】
続いて、カップ部群の静電容量が第1容量に維持された状態で、吐出部32から第2薬液が処理液として吐出されて基板9の上面上に供給され、第2薬液による基板9に対する薬液処理が行われる(ステップS30)。第2薬液による薬液処理が終了すると、注排液部6aによりカップ部群の内部空間425,455,456から純水が排出されるとともにエアが充填されることにより、カップ部群の静電容量が、第1容量から第2容量へと変更される(ステップS31)。また、カップ部群の静電容量の変更と並行してカップ部群が上昇することにより、基板9が、第2薬液処理位置から洗浄位置へと相対移動する(ステップS32)。
【0089】
次に、カップ部群の静電容量が第2容量に維持された状態で、基板9の上面上に純水が所定時間だけ供給されて基板9の洗浄が行われ、純水の吐出停止後、基板9上に残っている純水が回転により除去されて基板9が乾燥する(ステップS33,S34)。このとき、基板9上に供給された純水は、ステップS26,S27と同様に、カップ部42の周壁部421へと飛散し、内側円筒部4211を流れ落ちる。
【0090】
基板9の乾燥が終了すると、注排液部6aによりカップ部群の静電容量が第2容量から第1容量へと変更され、カップ部群が下降することにより、基板9が、洗浄位置からカップ部45に対応する位置(すなわち、中心軸J1方向に関し、カップ部45の傾斜部452の内周縁とカップ部44の傾斜部442の内周縁との間の位置であり、以下、「第3薬液処理位置」という。)へと相対移動する(ステップS35,S36)。
【0091】
基板9が第3薬液処理位置に位置すると、カップ部群の静電容量が第1容量に維持された状態で、第3薬液による基板9に対する薬液処理が行われた後、注排液部6aによりカップ部群の静電容量が第1容量から第2容量へと変更されるとともに基板9が第3薬液処理位置から洗浄位置へと相対移動する(ステップS37〜S39)。そして、カップ部群の静電容量が第2容量に維持された状態で、基板9の洗浄および乾燥が行われ、基板9上に供給された純水がカップ部42の周壁部421へと飛散して内側円筒部4211を流れ落ちる(ステップS40,S41)。
【0092】
次に、基板9の回転が停止されるとともにカップ部群の静電容量が第2容量から第1容量へと変更され、カップ部群が下降して基板9が基板処理装置1cから取り出される(すなわち、基板9がアンロードされる。)(ステップS42,S43)。その後、次の処理対象である基板9が、チャック21上に載置されてカップ部群内に収容され、第1薬液処理位置に位置する(ステップS44,S22)。そして、上記の動作と同様に、カップ部群の静電容量が第1容量とされた状態での基板9に対する薬液処理、並びに、カップ部群の静電容量が第2容量とされた状態での基板9の洗浄および乾燥が、交互に3回ずつ行われた後、カップ部群の静電容量が第1容量とされた状態で基板9が基板処理装置1cから取り出される(ステップS23〜S43)。
【0093】
基板処理装置1cでは、所望の枚数の基板9に対して、基板9を交換しつつ上記ステップS22〜S43の処理が繰り返されることにより、複数枚の基板9に対する処理が終了する(ステップS44)。なお、基板処理装置1cにおける基板9の処理では、基板9の第1〜第3薬液処理位置と洗浄位置との間の基板9の相対移動時(すなわち、カップ部群の昇降時)には、基板9の回転が停止されてもよい。また、1回目および2回目の洗浄後の基板9の乾燥(ステップS27,S34)は、特に必要がなければ省略されてもよい。
【0094】
第4の実施の形態に係る基板処理装置1cでは、洗浄位置における基板9の洗浄および乾燥時において基板9上の純水がカップ部42の周壁部421へと飛散している間(少なくとも、純水が周壁部421へ飛散する期間の途中から純水の飛散が終了するまでの間)、カップ部群の静電容量が第2容量とされ、そして、基板9上に第1薬液、第2薬液および第3薬液のそれぞれの供給が開始される際に、カップ部群の静電容量が第2容量よりも大きい第1容量とされていることにより、第1の実施の形態と同様に、カップ部群の帯電による基板9の誘導帯電を抑制して基板9の表面電位を低くすることができる。その結果、導電性の第1薬液、第2薬液および第3薬液のそれぞれの供給開始時における基板9上の放電を防止することができる。
【0095】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0096】
例えば、第1ないし第3の実施の形態に係る基板処理装置では、基板9の乾燥後に行われるカップ部41の静電容量の第2容量から第1容量への変更は、上述のように基板9のアンロードよりも前に行われることが好ましいが、処理工程の都合等に合わせて、基板9のアンロード後から次の基板9に対する薬液供給の開始前までの期間のいずれかの時点で行われてもよい。また、第4の実施の形態に係る基板処理装置1cでは、基板9が洗浄位置から第1ないし第3薬液処理位置のいずれかへと相対移動した後に、カップ部群の静電容量が第2容量から第1容量へと変更されてもよい。
【0097】
第1および第2の実施の形態に係る基板処理装置では、カップ部41の内部空間415における純水または炭酸水とエアとの置換により、カップ部41の静電容量が容易に変更され、第4の実施の形態に係る基板処理装置1cでは、カップ部群の内部空間425,455,456における純水とエアとの置換により、カップ部群の静電容量が容易に変更されるが、カップ部41およびカップ部群の静電容量の変更方法は、必ずしも純水または炭酸水とエアとの置換には限定されない。
【0098】
例えば、第1の実施の形態に係る基板処理装置1では、純水に代えてカップ部41の本体よりも誘電率が高い他の流体(以下、「第1流体」という。)を内部空間415に充填することによりカップ部41の静電容量が第1容量とされ、エアに代えて第1流体よりも誘電率が低い他の流体(以下、「第2流体」という。)を内部空間415に充填することによりカップ部41の静電容量が第2容量とされてもよい。この場合であっても、内部空間415における第1流体と第2流体との置換により、カップ部41の静電容量を容易に変更することができる。
【0099】
基板処理装置1では、第1流体を液体(例えば、純水や炭酸水)とし、第2流体を気体(例えば、エアや窒素ガス)とすることにより、内部空間415における第1流体と第2流体との置換がより容易とされ、カップ部41の静電容量をさらに容易に変更することができるが、必要に応じて、第1流体および第2流体の双方が、例えば液体とされてもよい。第1流体としては、例えば、純水が利用され、第2流体としては、純水よりも誘電率が低いエタノールやアセトン、IPA(イソプロピルアルコール)等が利用される。
【0100】
なお、エタノール、アセトン、IPAの比誘電率はそれぞれ24.6,20.7,20であり、エア等と異なり、カップ部41の本体を形成する材料(すなわち、テフロン(登録商標))の比誘電率よりも高い。基板処理装置1では、基板9の洗浄および乾燥によりカップ部41に帯電する電荷量をできるだけ小さくするためには、第2流体として、カップ部41の本体よりも比誘電率が小さいものが利用されることが好ましいが、上記のエタノール等が第2流体として利用される場合であっても、カップ部41の帯電による基板9の誘導帯電を抑制して基板9の表面電位を低くすることができる。
【0101】
第3の実施の形態に係る基板処理装置1bでは、進退部材64のカップ部41aに対する進退により、カップ部41aの静電容量が容易に変更されるが、同様の構成により、第4の実施の形態に係る基板処理装置1cのカップ部群の静電容量を容易に変更することもできる。また、基板処理装置1bでは、進退部材64は必ずしも略円筒状とされる必要はなく、例えば、カップ部41aの周囲に等角度ピッチにて配列された互いに離間する複数の部材であってもよい。
【0102】
上記実施の形態に係る基板処理装置では、内部空間における流体の置換や進退部材のカップ部に対する進退以外にも、例えば、カップ部本体よりも誘電率が高い円柱部材(例えば、炭化ケイ素(SiC)等のセラミックにより形成される。)を、カップ部の上端面に下向きに形成された深い凹部に挿入することにより、カップ部の静電容量が第1容量とされ、当該凹部から円柱部材を引き抜くことにより、カップ部の静電容量が第2容量とされてもよい。
【0103】
また、第3の実施の形態に係る基板処理装置1bにおいて、進退部材64とカップ部41aとの間隙を極小さく設定し、当該間隙に純水を表面張力により保持することにより(さらに好ましくは、保持された純水を電気的に接地することにより)、カップ部41aの静電容量が第1容量とされ、進退部材64をカップ部41aから遠ざけることにより、表面張力による純水の保持が解除されてカップ部41aの静電容量が第2容量とされてもよい。
【0104】
上記基板処理装置では、カップ部およびカップ部群の本体は必ずしもテフロン(登録商標)にて形成される必要はなく、他のフッ素樹脂や塩化ビニル樹脂等の絶縁材料、あるいは、半導体材料にて形成されてもよい。
【0105】
基板処理装置における処理対象は、半導体基板以外に、例えばガラス基板等の基板であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】第1の実施の形態に係る基板処理装置を備える基板処理システムの構成を示す図である。
【図2】基板処理装置の構成を示す図である。
【図3】カップ部の断面図である。
【図4】基板処理装置による基板処理の流れを示す図である。
【図5】カップ部の電荷量と基板の表面電位との関係を示す図である。
【図6】第2の実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す図である。
【図7】第3の実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す図である。
【図8】第4の実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す図である。
【図9.A】基板処理装置による基板処理の流れを示す図である。
【図9.B】基板処理装置による基板処理の流れを示す図である。
【図9.C】基板処理装置による基板処理の流れを示す図である。
【符号の説明】
【0107】
1,1a,1b,1c 基板処理装置
3,3a 処理液供給部
6,6a 注排液部
9 基板
21 チャック
22 回転機構
41,41a,42,43,44,45 カップ部
64 進退部材
65 進退機構
411,421,431,441,451 周壁部
411b 外周面
415,425,455,456 内部空間
S11〜S19,S21〜S44 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液を基板に供給して前記基板を処理する基板処理装置であって、
基板を保持する保持部と、
前記基板上に純水および導電性液体を処理液としてそれぞれ供給する処理液供給部と、
本体が絶縁材料または半導電材料にて形成され、前記保持部の周囲を囲んで前記基板から飛散する処理液を受け止める周壁部を有するカップ部と、
前記導電性液体の前記基板上への供給が開始される際に前記カップ部の静電容量を第1容量とし、前記基板上に供給された前記純水が前記周壁部へ飛散する期間の少なくとも途中から前記純水の飛散が終了するまでの間、前記カップ部の静電容量を前記第1容量よりも小さい第2容量とする静電容量変更部と、
を備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置であって、
前記保持部を回転させる回転機構をさらに備え、
前記回転機構による前記基板の回転により、前記純水が前記基板から飛散することを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の基板処理装置であって、
前記基板から前記周壁部への前記純水の飛散が終了して次の処理に移行する前に、前記カップ部の静電容量が前記第2容量から前記第1容量へと変更されることを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の基板処理装置であって、
前記処理液供給部により前記導電性液体が前記基板上に供給されている間、前記カップ部の静電容量が前記第1容量に維持されることを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の基板処理装置であって、
前記カップ部の内部に流体を充填可能な内部空間が形成されており、
前記静電容量変更部が、前記カップ部の前記内部空間に第1流体を充填することにより前記カップ部の静電容量を前記第1容量とし、第2流体を前記第1流体に代えて前記内部空間に充填することにより前記カップ部の静電容量を前記第2容量とすることを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の基板処理装置であって、
前記第1流体が液体であり、前記第2流体が気体であることを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の基板処理装置であって、
前記第1流体が、電気的に接地された導電性の液体であることを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
請求項1ないし4のいずれかに記載の基板処理装置であって、
前記静電容量変更部が、前記カップ部よりも比抵抗が小さい進退部材を前記カップ部の外周面に近接させることにより前記カップ部の静電容量を前記第1容量とし、前記進退部材を前記カップ部の前記外周面から遠ざけることにより前記カップ部の静電容量を前記第2容量とすることを特徴とする基板処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の基板処理装置であって、
前記進退部材が、電気的に接地された導電性部材であることを特徴とする基板処理装置。
【請求項10】
処理液を基板に供給して前記基板を処理する基板処理装置であって、
基板を保持する保持部と、
前記基板上に純水および導電性液体を処理液としてそれぞれ供給する処理液供給部と、
内部空間を有する本体が絶縁材料または半導電材料にて形成され、前記保持部の周囲を囲んで前記基板から飛散する処理液を受け止める周壁部を有するカップ部と、
前記導電性液体の前記基板上への供給が開始される際に前記カップ部の前記内部空間に液体が充填された状態とし、前記基板上に供給された前記純水が前記周壁部へ飛散する期間の少なくとも途中から前記純水の飛散が終了するまでの間、前記内部空間から前記液体が排出された状態とする注排液部と、
を備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項11】
基板を保持する保持部と、前記基板上に純水および導電性液体を処理液としてそれぞれ供給する処理液供給部と、本体が絶縁材料または半導電材料にて形成されるとともに前記保持部の周囲を囲んで前記基板から飛散する処理液を受け止める周壁部を有するカップ部と、前記カップ部の静電容量を変更する静電容量変更部とを備える基板処理装置において、前記基板を処理する基板処理方法であって、
a)前記静電容量変更部により前記カップ部の静電容量を第1容量とする工程と、
b)前記カップ部の静電容量が前記第1容量とされた状態で前記処理液供給部から前記基板上に前記導電性液体を処理液として供給する工程と、
c)前記b)工程における前記導電性液体の供給開始時よりも後に、前記静電容量変更部により前記カップ部の静電容量を前記第1容量よりも小さい第2容量とする工程と、
d)前記c)工程と並行して、または、前記c)工程よりも後に、前記処理液供給部から前記基板上に前記純水を処理液として供給するとともに前記純水を前記基板から前記周壁部へと飛散させる工程と、
e)前記基板に対して、または、前記基板を他の基板に交換した後に前記a)工程ないし前記d)工程を繰り返す工程と、
を備えることを特徴とする基板処理方法。
【請求項12】
請求項11に記載の基板処理方法であって、
前記d)工程において、前記基板が回転することにより前記純水が前記基板から前記周壁部へと飛散することを特徴とする基板処理方法。
【請求項13】
請求項11または12に記載の基板処理方法であって、
前記c)工程が、前記b)工程の終了後に行われることを特徴とする基板処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9.A】
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【図9.B】
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【図9.C】
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【公開番号】特開2009−16752(P2009−16752A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−179983(P2007−179983)
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】