説明

基板処理装置及び基板処理方法

【課題】基板の周縁部の所定範囲を精度良く良好に処理できるようにすること。
【解決手段】本発明では、基板(ウエハW)の周縁部に対してエッチング又は洗浄などの処理を行う基板処理装置(1)において、基板(W)の周縁部を処理するための周縁処理装置(4)と、周縁処理装置(4)に対して相対的に回転する基板(W)を保持するための基板保持装置(3)とを有し、周縁処理装置(4)は、基板(W)の周縁部に処理液を供給する処理液供給部(9)と、基板(W)に向けてガスを噴出するガス噴出部(10)とを有し、ガス噴出部(10)を処理液供給部(9)よりも基板(W)の周縁部に対して内側に隣設した。そして、基板(W)を周縁処理装置(4)に対して相対的に回転させ、処理液供給部(9)から基板(W)の周縁部に処理液を供給するとともに、処理液供給部(9)よりも基板(W)の内側に隣設したガス噴出部(10)から基板(W)に向けてガスを噴出して、基板(W)の周縁部の処理を行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の周縁部に対してエッチング又は洗浄などの処理を行うための基板処理装置及び基板処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハや液晶基板などの製造工程においては、基板に積層形成した各種膜の周縁部の剥離を防止するとともに基板と膜との密着性を向上させるために、基板の周縁部の膜をエッチング液で除去するエッチング処理を行っている。また、基板の周縁部に付着したパーティクルによって基板が汚染されてしまうのを防止するために、基板の周縁部のパーティクルを洗浄液で除去する洗浄処理を行っている。
【0003】
これら基板の周縁部に対してエッチングや洗浄などの各種の処理を行うために、従来より、基板処理装置が用いられている。この従来の基板処理装置は、基板の周縁部上方にエッチング液や洗浄液などの処理液を供給するノズルを配設し、回転機構で基板を回転させながらノズルから処理液を基板の周縁部に向けて供給して、処理液で基板の周縁部を処理するように構成している(たとえば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−203900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記従来の基板処理装置では、基板の周縁部上方に配置したノズルから処理液を基板の周縁部に向けて供給していたために、ノズルから供給された処理液が基板の周縁部よりも内側にまで流れ出てしまうことがあり、エッチングや洗浄などの処理を行う必要のない範囲まで処理されて、基板の処理不良が発生するおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、請求項1に係る本発明では、基板の周縁部に対してエッチング又は洗浄などの処理を行う基板処理装置において、基板の周縁部を処理するための周縁処理装置と、周縁処理装置に対して相対的に回転する基板を保持するための基板保持装置とを有し、周縁処理装置は、基板の周縁部に処理液を供給する処理液供給部と、基板に向けてガスを噴出するガス噴出部とを有し、ガス噴出部を処理液供給部よりも基板の周縁部に対して内側に隣設することにした。
【0007】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記周縁処理装置は、貯留した処理液に前記基板を浸漬させるための処理液貯留室を前記処理液供給部に形成することにした。
【0008】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項1又は請求項2に係る本発明において、前記周縁処理装置は、前記処理液供給部に処理液を供給する処理液供給口と前記処理液供給部から処理液を排出する処理液排出口とを前記基板を挟んで反対側にそれぞれ形成することにした。
【0009】
また、請求項4に係る本発明では、前記請求項1〜請求項3のいずれかに係る本発明において、前記周縁処理装置は、前記処理液供給部に処理液を供給する処理液供給口を前記基板の端部よりも外側に形成することにした。
【0010】
また、請求項5に係る本発明では、前記請求項1〜請求項4のいずれかに係る本発明において、前記周縁処理装置は、前記処理液供給部から処理液を排出する処理液排出口を前記基板の端部よりも内側に形成することにした。
【0011】
また、請求項6に係る本発明では、前記請求項1〜請求項5のいずれかに係る本発明において、前記周縁処理装置は、前記処理液供給部にリンス液を供給可能に構成することにした。
【0012】
また、請求項7に係る本発明では、前記請求項1〜請求項6のいずれかに係る本発明において、前記周縁処理装置は、前記処理液供給部に処理液供給部を乾燥させるための乾燥ガスを供給可能に構成することにした。
【0013】
また、請求項8に係る本発明では、前記請求項1〜請求項7のいずれかに係る本発明において、前記周縁処理装置は、前記ガス噴出部で噴出したガスを吸引可能に構成することにした。
【0014】
また、請求項9に係る本発明では、前記請求項1〜請求項8のいずれかに係る本発明において、前記周縁処理装置は、前記ガス噴出部を前記基板を挟んで反対側にそれぞれ形成することにした。
【0015】
また、請求項10に係る本発明では、前記請求項1〜請求項9のいずれかに係る本発明において、前記周縁処理装置は、前記基板の周縁部に対して内側に向けて相対的に移動可能に構成することにした。
【0016】
また、請求項11に係る本発明では、前記請求項1〜請求項10のいずれかに係る本発明において、前記周縁処理装置は、前記処理液供給部とガス噴出部を前記基板が挿通可能な形状に形成するとともに、前記ガス噴出部の前記基板と対向する幅を前記処理液供給部の前記基板と対向する幅よりも狭くすることにした。
【0017】
また、請求項12に係る本発明では、前記請求項1〜請求項11のいずれかに係る本発明において、前記周縁処理装置は、前記処理液供給部の表面を親水性素材で形成するとともに、前記ガス噴出部の表面を撥水性素材で形成することにした。
【0018】
また、請求項13に係る本発明では、基板の周縁部に対してエッチング又は洗浄などの処理を行う基板処理方法において、基板の周縁部に配設した周縁処理装置を基板に対して相対的に回転させ、周縁処理装置に形成した処理液供給部から基板の周縁部に処理液を供給するとともに、前記処理液供給部よりも基板の内側に隣設したガス噴出部から基板に向けてガスを噴出して、基板の周縁部の処理を行うことにした。
【発明の効果】
【0019】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0020】
すなわち、本発明では、基板の周縁部に周縁処理装置を配設し、周縁処理装置は、基板の周縁部に処理液を供給する処理液供給部と、基板に向けてガスを噴出するガス噴出部とを有し、ガス噴出部を処理液供給部よりも基板の周縁部に対して内側に隣設しているために、ガス噴出部から噴出するガスによって、基板の反りを矯正して基板の周縁部近傍を平坦に位置精度良く保持することができ、これによって、基板の周縁部の所定範囲を精度良く処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明に係る基板処理装置の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1及び図2に示すように、基板処理装置1は、ケーシング2の内部に基板(ここでは、半導体ウエハ(以下、「ウエハW」という。))をターンテーブルTで吸引保持しながらモーターMで回転させる基板保持装置3を収容するとともに、この基板保持装置3で保持したウエハWの周縁部に周縁処理装置4を配設している。なお、以下の基板処理装置1では、周縁処理装置4を固定する一方、基板保持装置3でウエハWを回転するように構成しているが、本発明では周縁処理装置4がウエハWに対して相対的に回転できる構造となっていればよく、ウエハWを固定し、周縁処理装置4を回転可能に構成してもよい。
【0023】
周縁処理装置4は、進退機構5の先端部に処理ヘッド6を取付けており、進退機構5によって処理ヘッド6を全体的にウエハWの半径方向へ前進又は後退させることができるようになっている。なお、以下の基板処理装置1では、進退機構5によって処理ヘッド6を進退移動可能に構成しているが、本発明では、周縁処理装置4がウエハWに対して相対的に進退移動できる構造となっていればよく、ウエハWを処理ヘッド6に向けて進退移動可能に構成してもよい。
【0024】
この処理ヘッド6は、図3及び図4に示すように、矩形箱型状のケーシング7の先端部(前端部)にウエハWの厚みよりも広い上下幅のスリット8をウエハWと平行に水平状に形成しており、ウエハWとの間にわずかな間隙(ここでは、約50μm。)を形成した状態でスリット8にウエハWを挿通させることができ、しかも、その状態で基板保持装置3によってウエハWを回転させることができ、また、進退機構5によって処理ヘッド6を進退させることができるようになっている。
【0025】
また、処理ヘッド6には、ウエハWの周縁部に洗浄液やエッチング液などの処理液を供給するための処理液供給部9とウエハWに向けて空気や不活性ガスなどのガスを噴出するためのガス噴出部10とを隣り合わせた状態で設けており、処理ヘッド6の中央部に処理液供給部9を形成するとともに、処理液供給部9よりもウエハWの周縁部に対して内側にガス噴出部10を形成している。ここで、処理液供給部9及びガス噴出部10は、それぞれ所定の上下幅を有してウエハWを挿通可能な形状に形成しており、ガス噴出部10のウエハWと対向する上下幅を処理液供給部9のウエハWと対向する上下幅よりも狭くしている。また、処理液供給部9は、表面を親水性素材でコーティングしており、一方、ガス噴出部10は、表面を撥水性素材でコーティングしている。
【0026】
処理液供給部9は、処理ヘッド6の平面視中央部に処理ヘッド6の進退方向(ウエハWの半径方向)へ向けて伸延させるとともにスリット8(ガス噴出部10)に連通させた処理液貯留室11を形成し、この処理液貯留室11の上下幅をスリット8よりも広い上下幅に形成している。処理液貯留室11の上部には、処理液を供給するための処理液供給口12を形成し、処理液貯留室11の後部には、処理液を排出するための処理液排出口13を形成している。ここで、処理液供給口12は、ウエハWの端部よりも外側に形成して、ウエハWの表面に処理液が直接供給されないようにし、また、処理液排出口13は、ウエハWの表面よりも上方に形成して、供給された処理液が処理液貯留室11の内部で貯留するようにしている。なお、処理液供給口12は、処理液貯留室11に連通して形成していればよく、処理液貯留室11の上部に形成した場合に限られず、処理液貯留室11の下部に形成してもよい。また、処理液排出口13も、処理液貯留室11に連通していればよく、処理液貯留室11の上部に形成した場合に限られず、処理液貯留室11の下部に形成してもよい。さらに、図6に図示するように、処理液供給口12と処理液排出口13は、ウエハWを挟んで反対側に対向させた位置にそれぞれ形成してもよく、また、処理液排出口13は、ウエハWの端部よりも内側に形成してもよい。
【0027】
また、処理液供給部9は、処理液供給口12に処理液供給源14とリンス液供給源15と乾燥ガス供給源16とを切替バルブ17を介して連通連結する一方、処理液排出口13に吸引機18を連通連結している。なお、リンス液供給源15や乾燥ガス供給源16からのリンス液や乾燥ガスを供給するための供給口を処理液供給口12とは別個に処理液貯留室11に形成してもよい。
【0028】
そして、処理液供給部9は、処理液供給源14から供給される処理液を処理液貯留室11に一時的に貯留し、処理液貯留室11において貯留した処理液にウエハWの周縁部を浸漬させることでウエハWの周縁部を処理液で処理することができ、吸引機18によって処理液を処理液貯留室11から排出することができるようになっている。また、処理液供給部9は、リンス液供給源15から供給されるリンス液を処理液貯留室11に一時的に貯留し、処理液貯留室11において貯留したリンス液にウエハWの周縁部を浸漬させることでウエハWの周縁部をリンス処理することもでき、吸引機18によってリンス液を処理液貯留室11から排出することもできるようになっている。さらに、処理液供給部9は、乾燥ガス供給源16から供給されるガスで処理液貯留室11を乾燥させることができるようになっている。
【0029】
一方、ガス噴出部10は、処理液貯留室11よりも狭い上下幅のスリット8にガスを噴出するガス噴出口19と噴出したガスを吸引するガス吸引口20とを交互に格子点上に上下にそれぞれ形成し、ガス噴出口19にガス供給源21を圧力制御弁24を介して連通連結するとともに、ガス吸引口20に吸引機22を圧力制御弁25を介して連通連結している。
【0030】
そして、ガス噴出部10は、ガス供給源21から供給されるガスをガス噴出口19からウエハWの表面(上面及び下面)に向けて噴出することができ、噴出したガスを吸引機22によってガス吸引口20から外部に排出することができるようになっている。
【0031】
なお、基板処理装置1は、周縁処理装置4の処理ヘッド6を上下に自由に可動可能に構成するとともに、ガス噴出部10のガス噴出口19からウエハWの上面及び下面に向けてガスを噴出して、噴出したガスの圧力によってウエハWとスリット8との間隔を一定に保持するようにしてもよい。
【0032】
基板処理装置1は、以上に説明したように構成しており、以下に説明するようにしてウエハWの周縁部を処理するようにしている。
【0033】
まず、基板処理装置1は、基板保持装置3の上部の所定位置にウエハWを載置し、基板保持装置3でウエハWを吸引保持する。
【0034】
次に、基板処理装置1は、周縁処理装置4の進退機構5によって処理ヘッド6をウエハWに向けて所定位置まで前進させ、ウエハWとの間にわずかな間隙を形成した状態でスリット8にウエハWを挿通させる。
【0035】
次に、基板処理装置1は、基板保持装置3でウエハWを回転させ、処理液供給部9の処理液貯留室11に処理液供給源14から処理液を供給し、ガス噴出部10のガス噴出口19からガスを噴出するとともにガス吸引口20からガスを吸引する。そして、基板処理装置1では、処理液供給部9よりもウエハWの周縁部に対して内側に隣設したガス噴出部10によってウエハWの表面に向けてガスを噴出することで、噴出するガスの圧力でウエハWの周縁部近傍を押圧して、ウエハWとスリット8との間隙を確保しながらウエハWの周縁部近傍の反りを矯正し、ウエハWの周縁部を平坦な状態にして処理液貯留室11に浸漬してウエハWの周縁部の所定範囲を精度良く処理できるようにしている。
【0036】
このときに、図5に示すように、処理液は、処理液供給部9において、処理液供給口12から供給され、処理液貯留室11に一時的に貯留し、処理液排出口13からオーバーフローして排出される。ここで、処理液貯留室11に供給された処理液は、周縁処理装置4とウエハWとの相対的な回転により作用する遠心力や処理液供給部9よりもガス噴出部10の上下幅が狭いことにより作用する表面張力によって、ガス噴出部10への浸入が阻害され、処理液貯留室11に一時的に貯留することになる。これにより、基板処理装置1では、処理液貯留室11に貯留した処理液にウエハWの周縁部が浸漬し、ウエハWの周縁部の所定範囲だけを処理液で処理することができる。一方、ガスは、ガス噴出部10において、ガス噴出口19からウエハWの表面に吹き付けられ、ウエハWとスリット8との間隙に沿って流れ、ガス吸引口20から外部に吸引される。
【0037】
また、基板処理装置1では、処理液供給部9よりもウエハWの周縁部に対して内側にガス噴出部10を隣設しているために、ガス噴出口19から噴出されるガスの圧力によって処理液貯留室11に貯留した処理液がウエハWの内側に向けて流れ出るのを防止する効果もある。また、上下幅の異なる処理液貯留室11とスリット8との境界部分に形成されたエッジ部23に処理液とガスとの境界が形成されるために、基板処理装置1では、進退機構5で処理ヘッド6を進出又は後退させることで、処理液で処理するウエハWの周縁部の範囲を調節することができるようにしている。なお、基板処理装置1では、処理液供給部9の表面を親水性素材で形成して処理液供給部9に処理液を満たしやすくする一方、ガス噴出部10を撥水性素材で形成して処理液供給部9から処理液がガス噴出部10に流れ出るのを阻害している。
【0038】
次に、基板処理装置1は、吸引機18で処理液貯留室11に貯留した処理液を強制的に排出し、切替バルブ17で流路を切替えて処理液供給源14からの処理液の供給を停止するとともにリンス液供給源15からリンス液を処理液貯留室11に供給し、リンス液でウエハWの周縁部の所定範囲をリンス処理する。このときも、上述した処理液での処理と同様に、ガス噴出部10から噴出されるガスの作用でウエハWの周縁部の所定範囲を精度良くリンス処理することができる。
【0039】
次に、基板処理装置1は、吸引機18で処理液貯留室11に貯留したリンス液を強制的に排出し、切替バルブ17によってリンス液供給源15からのリンス液の供給を停止し、進退機構5によって処理ヘッド6をウエハ2から離れた位置まで後退させ、ウエハWの回転によりウエハWの周縁部を乾燥させるとともに、切替バルブ17によって乾燥ガス供給源16から乾燥ガスを処理液貯留室11に供給して、乾燥ガスで処理液貯留室11の内部を乾燥させる。
【0040】
以上に説明したように、ウエハWの周縁部に対してエッチング又は洗浄などの処理を行う上記基板処理装置1では、ウエハWの周縁部を処理するための周縁処理装置4と、周縁処理装置4に対して相対的に回転するウエハWを保持するための基板保持装置3とを設けるとともに、周縁処理装置4に、ウエハWの周縁部に処理液を供給する処理液供給部9と、ウエハWに向けてガスを噴出するガス噴出部10とを形成し、しかも、ガス噴出部10を処理液供給部9よりもウエハWの周縁部に対して内側に隣設した構成としている。
【0041】
そして、上記構成の基板処理装置1では、周縁処理装置4をウエハWに対して相対的に回転させ、処理液供給部9からウエハWの周縁部に処理液を供給するとともに、処理液供給部9よりもウエハWの内側に隣設したガス噴出部10からウエハWに向けてガスを噴出して、ウエハWの周縁部の処理を行うようにしている。
【0042】
そのため、上記構成の基板処理装置1では、処理液供給部9よりもウエハWの内側に隣設したガス噴出部10から噴出するガスによって、ウエハWの反りを矯正してウエハWの周縁部近傍を平坦に位置精度良く保持することができ、これによって、ウエハWの周縁部の所定範囲を精度良く処理することができる。
【0043】
特に、上記構成の基板処理装置1では、貯留した処理液にウエハWを浸漬させるための処理液貯留室11を処理液供給部9に形成しているために、処理液貯留室11に貯留した処理液にウエハWの周縁部を浸漬させた状態でウエハWの周縁部を処理することができるので、ウエハWの周縁部に処理液を確実に接触させることができ、ウエハWの周縁部の処理を良好に行うことができる。
【0044】
また、上記基板処理装置1では、処理液供給部9に処理液を供給する処理液供給口12をウエハWの端部よりも外側に形成しているために、処理液供給口12から供給した処理液が直接的にウエハWの表面に供給されず、これにより、処理液がウエハWの表面で飛散してしまうのを防止することができる。
【0045】
また、図6に示したように、処理液供給部9に処理液を供給する処理液供給口12と処理液供給部9から処理液を排出する処理液排出口13とをウエハWを挟んで反対側にそれぞれ形成した場合には、新規な処理液をウエハWの一方側(図6では、ウエハWの上面側)から供給するとともに処理済の処理液をウエハWの他方側(図6では、ウエハWの下面側)から排出することができ、処理液を円滑に流動させることができ、処理するウエハWの周縁部に常に新規な処理液を供給することができて、ウエハWの周縁部の処理を良好に行うことができる。
【0046】
また、図6に示したように、処理液供給部9から処理液を排出する処理液排出口13をウエハWの端部よりも内側に形成した場合には、ウエハWの周縁部に処理液を円滑に流動させることができ、これによっても、処理するウエハWの周縁部に常に新規な処理液を供給することができて、ウエハWの周縁部の処理を良好に行うことができる。
【0047】
また、上記構成の基板処理装置1では、処理液供給部9にリンス液を供給可能に構成しているために、処理液での処理を行った後にリンス液でのリンス処理を続けて行うことができ、リンス液によるリンス処理においても処理液と同様に所定範囲を精度良く良好に処理することができる。
【0048】
また、上記構成の基板処理装置1では、処理液供給部9に処理液供給部9を乾燥させるための乾燥ガスを供給可能に構成しているために、処理液やリンス液を満たした処理液供給部9を良好に乾燥させることができ、新規な処理液に処理後の処理液やリンス液が混入して処理能力が低下するのを防止することができる。
【0049】
また、上記構成の基板処理装置1では、ガス噴出部10で噴出したガスを吸引可能に構成しているために、噴出したガスをウエハWの中央部まで拡散させることなく回収することができるとともに、ガスを噴出する圧力を吸引力で微調整して、ウエハWの周縁を位置精度良く、また、平坦に保持することができる。
【0050】
また、上記構成の基板処理装置1では、ガス噴出部10をウエハWを挟んで反対側にそれぞれ形成しているために、それぞれのガス噴出部10でのガスを噴出する圧力を調整することができ、ウエハWとスリット8との間隙を確保することができるとともに、ウエハWの周縁を平坦に保持することができる。
【0051】
また、上記構成の基板処理装置1では、処理液供給部9とガス噴出部10をウエハWを挿通可能な形状に形成するとともに、ガス噴出部10のウエハWと対向する幅を処理液供給部9のウエハWと対向する幅よりも狭くしているために、処理液供給部9からガス噴出部10に処理液が流れ込むのを防止することができ、ウエハWの周縁部の所定範囲を精度良く処理することができる。
【0052】
また、上記構成の基板処理装置1では、処理液供給部9の処理液貯留室11の表面を親水性素材で形成するとともに、ガス噴出部10のスリット8の表面を撥水性素材で形成しているために、これによっても、処理液供給部9からガス噴出部10に処理液が流れ込むのを防止することができ、ウエハWの周縁部の所定範囲を精度良く処理することができる。
【0053】
さらに、上記構成の基板処理装置1では、周縁処理装置4をウエハWの内側に向けて相対的に移動可能に構成しているために、周縁処理装置4を進退移動させることで、周縁処理装置4で処理するウエハWの周縁部の範囲を容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】基板処理装置を示す平面図。
【図2】同側面図。
【図3】周縁処理装置を示す平面図。
【図4】同断面側面図。
【図5】周縁処理装置での処理方法を示す説明図。
【図6】周縁処理装置を示す断面側面図。
【符号の説明】
【0055】
1 基板処理装置 2 ケーシング
3 基板保持装置 4 周縁処理装置
5 進退機構 6 処理ヘッド
7 ケーシング 8 スリット
9 処理液供給部 10 ガス噴出部
11 処理液貯留室 12 処理液供給口
13 処理液排出口 14 処理液供給源
15 リンス液供給源 16 乾燥ガス供給源
17 切替バルブ 18 吸引機
19 ガス噴出口 20 ガス吸引口
21 ガス供給源 22 吸引機
23 エッジ部 24,25 圧力制御弁
M モーター T ターンテーブル
W ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の周縁部に対してエッチング又は洗浄などの処理を行う基板処理装置において、
基板の周縁部を処理するための周縁処理装置と、周縁処理装置に対して相対的に回転する基板を保持するための基板保持装置とを有し、
周縁処理装置は、基板の周縁部に処理液を供給する処理液供給部と、基板に向けてガスを噴出するガス噴出部とを有し、ガス噴出部を処理液供給部よりも基板の周縁部に対して内側に隣設したことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記周縁処理装置は、貯留した処理液に前記基板を浸漬させるための処理液貯留室を前記処理液供給部に形成したことを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記周縁処理装置は、前記処理液供給部に処理液を供給する処理液供給口と前記処理液供給部から処理液を排出する処理液排出口とを前記基板を挟んで反対側にそれぞれ形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記周縁処理装置は、前記処理液供給部に処理液を供給する処理液供給口を前記基板の端部よりも外側に形成したことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記周縁処理装置は、前記処理液供給部から処理液を排出する処理液排出口を前記基板の端部よりも内側に形成したことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記周縁処理装置は、前記処理液供給部にリンス液を供給可能に構成したことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記周縁処理装置は、前記処理液供給部に処理液供給部を乾燥させるための乾燥ガスを供給可能に構成したことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記周縁処理装置は、前記ガス噴出部で噴出したガスを吸引可能に構成したことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記周縁処理装置は、前記ガス噴出部を前記基板を挟んで反対側にそれぞれ形成したことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記周縁処理装置は、前記基板の周縁部に対して内側に向けて相対的に移動可能に構成したことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記周縁処理装置は、前記処理液供給部とガス噴出部を前記基板が挿通可能な形状に形成するとともに、前記ガス噴出部の前記基板と対向する幅を前記処理液供給部の前記基板と対向する幅よりも狭くしたことを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記周縁処理装置は、前記処理液供給部の表面を親水性素材で形成するとともに、前記ガス噴出部の表面を撥水性素材で形成したことを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項13】
基板の周縁部に対してエッチング又は洗浄などの処理を行う基板処理方法において、
基板の周縁部に配設した周縁処理装置を基板に対して相対的に回転させ、周縁処理装置に形成した処理液供給部から基板の周縁部に処理液を供給するとともに、前記処理液供給部よりも基板の内側に隣設したガス噴出部から基板に向けてガスを噴出して、基板の周縁部の処理を行うことを特徴とする基板処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−300452(P2008−300452A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−142589(P2007−142589)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】