説明

基板収納容器の蓋体開閉方法

【課題】 例え蓋体の押圧力や容器本体の固定力を小さくしても、容器本体の変形、基板の位置ずれや傾斜、基板の汚染のおそれ等を抑制でき、しかも、容器本体を蓋体で有効に閉鎖できる基板収納容器の蓋体開閉方法を提供する。
【解決手段】 蓋体開閉装置により容器本体20の開口したリム部24を蓋体30で閉鎖して施錠する基板収納容器の蓋体開閉方法であって、容器本体20の開口したリム部24に蓋体30を予め設定された押圧力で対向させ、容器本体20に収納された半導体ウェーハWの前部周縁に蓋体30のフロントリテーナ33を接近させた状態で停止させ、施錠機構40の回転体42の操作を開始して容器本体20の係止穴41に蓋体30の係止爪47を嵌合するとともに、回転体42の操作の継続により係止穴41と係止爪47との嵌合部Eを起点としてリム部24に蓋体30を嵌入し、半導体ウェーハWの前部周縁を蓋体30のフロントリテーナ33に保持させ、リム部24を蓋体30によりシール状態に閉鎖する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンや化合物からなる各種の半導体ウェーハ、フォトマスクガラス、アルミディスク等の基板を収納する基板収納容器の蓋体開閉方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
精密基板収納容器とも呼ばれる従来の基板収納容器は、図示しないが、蓋体開閉装置に搭載される半導体ウェーハ収納用の容器本体と、この容器本体の開口した正面をシール状態に閉鎖する着脱自在の蓋体と、容器本体の正面に嵌入された蓋体を蓋体開閉装置の操作に基づき施錠あるいは解錠する施錠機構とを備え、蓋体開閉装置により容器本体の正面が蓋体で自動的に開閉される。このような基板収納容器は、例えばSEMI規格のE47.1で標準化されている。
【0003】
蓋体開閉装置は、SEMI規格のE62で標準化された機械的インターフェイス装置を備え、この機械的インターフェイス装置の操作キーが施錠機構の回転体に挿入され、回転することにより、回転体が回転する。また、蓋体は、その半導体ウェーハに対向する対向面に、容器本体に収納された半導体ウェーハの前部周縁を保持する弾性のフロントリテーナが装着され、周壁には、容器本体と蓋体とに挟持されるエンドレスで弾性のシールガスケットが嵌合されている。
【0004】
施錠機構は、容器本体の正面内周部の上下に凹み形成される係止穴と、蓋体に支持され、蓋体開閉装置の操作キーの操作により回転する回転体と、この回転体の回転に基づき蓋体の内外方向に進退動する進退動プレートと、この進退動プレートの進退動に基づき蓋体から出没して容器本体の係止穴に嵌合される係止爪とから構成されている(特許文献1、2参照)。
【0005】
ところで、従来における基板収納容器は、蓋体の取り付けに際し、蓋体開閉装置により容器本体の正面に蓋体が押圧嵌入され、その後、操作キーの操作により施錠機構が施錠動作して容器本体に嵌入された蓋体が施錠される。これは、蓋体開閉装置により容器本体の正面に蓋体が大きな力で強く押圧嵌入される必要があるからである。
【0006】
具体的には、半導体ウェーハにフロントリテーナが接触して撓みながら保持するので、半導体ウェーハに接触してから撓むまでの間に必要な反発力と、蓋体のシールガスケットが容器本体の正面内周部に接触しつつ撓んでシール状態を形成するときに生じる反発力に押し戻されないようにする押圧力とが必要になるからである。この押圧力は、半導体ウェーハにフロントリテーナが接触し始めてから急激に増大する。
【特許文献1】特開平11‐91865号公報
【特許文献2】特開2000‐58633号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の基板収納容器は、以上のように大きな力が蓋体の押圧力として容器本体に加わるので、蓋体開閉装置から容器本体が位置ずれしないようにする必要がある。この点に鑑み、従来においては、容器本体の底部に凹部を形成し、この凹部と蓋体開閉装置の凸部であるクランプ爪とを嵌合させ、容器本体を鉛直方向に引き込むことにより、容器本体を位置決め固定する方法が採用されている。
【0008】
しかしながら、上記方法において、蓋体の押圧力が増大すると、この押圧力に負けないように容器本体の位置決め固定力を大きくする必要があるが、容器本体が鉛直方向に引き込まれる関係上、容器本体の底部が外方向に膨らんで変形しやすくなるという問題がある。また、容器本体の底部が塑性的に変形すると、容器本体の両側壁内面に配設された支持片が半導体ウェーハを支持する支持高さが所定の高さから外れたり、傾斜し、半導体ウェーハの取り出しや挿入時にエラーを招くという問題がある。また、容器本体の正面部が変形してシール性の低下を招き、半導体ウェーハに汚染の生じるおそれもある。
【0009】
一方、基板収納容器が半導体ウェーハに各種の処理や加工を施す工程で使用される工程内タイプ(FOUPとも呼ばれる)の場合には、同一工程内で半導体ウェーハを保管したり、搬送するために使用される関係上、半導体ウェーハの保持力(通常、基板収納容器全体で30〜60N程度に設定される)を大きくする必要がないので、蓋体の押圧力も保持力に対向できれば良い。したがって、蓋体の押圧力(通常、30〜60N程度)をそれ程大きくする必要がなく、実用上特に問題にならない。
【0010】
これに対し、基板収納容器が工場間の半導体ウェーハの輸送に使用される輸送用タイプ(FOSBとも呼ばれる)の場合には、自動開閉用の蓋体が使用され始めてきているので、工程内タイプの蓋体の押圧力よりも大きな保持力(基板収納容器全体で80〜160N程度、一般的には100N程度に設定される)が必要とされ、しかも、基板収納容器が外部の汚れた環境に晒されるので、完全なシール性も要求される。
【0011】
その結果、輸送用タイプにおいては、工程内タイプの押圧力の2倍の押圧力が必要とされるので、容器本体の位置決め固定力も約2倍となり、容器本体の底部が変形しやすく、半導体ウェーハのエラーや汚染を招くおそれが少なくない。このように容器本体の底部が変形すると、各種の検知センサが基板収納容器の有無や基板収納容器の種類等を正常に検知できなくなるとともに、蓋体開閉装置のアクチュエータの位置検出に不良を来たし、動作不良で停止してしまうという問題が生じる。
【0012】
本発明は上記に鑑みなされたもので、例え蓋体の押圧力や容器本体の固定力を小さくしても、容器本体の変形、基板の位置ずれや傾斜、基板の汚染のおそれ等を抑制することができ、しかも、容器本体を蓋体により有効に閉鎖することのできる基板収納容器の蓋体開閉方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明においては上記課題を解決するため、蓋体開閉装置に搭載される基板収納用の容器本体と、この容器本体の開口した正面を開閉する着脱自在の蓋体と、容器本体の正面に嵌め入れられる蓋体を蓋体開閉装置の操作に基づき施錠あるいは解錠する施錠機構とを備え、蓋体に、容器本体に収納された基板を保持するリテーナを取り付けるとともに、密封用のシール部材を取り付け、施錠機構を、容器本体の正面内周部に形成される複数の係止凹部と、蓋体に支持されて蓋体開閉装置の操作により回転する複数の回転体と、各回転体の回転に基づき蓋体の内外方向に進退動する複数の進退動体と、各進退動体の進退動に基づき蓋体から出没して容器本体の複数の係止凹部にそれぞれ嵌め合わされる複数の係止体とから構成し、蓋体開閉装置により容器本体の正面を蓋体で閉鎖して施錠するものの蓋体開閉方法であって、
容器本体の開口した正面に蓋体を予め設定された押圧力で略対向させ、容器本体に収納された基板の前部周縁に蓋体のリテーナを接近させた状態で停止させ、施錠機構の各回転体の操作を開始して容器本体の複数の係止凹部に蓋体の係止体をそれぞれ嵌め合わせるとともに、各回転体をさらに操作して複数の係止凹部と係止体との嵌め合わせ部を起点として容器本体の正面に蓋体を嵌め入れ、基板の前部周縁を蓋体のリテーナに保持させ、容器本体の正面を蓋体によりシール状態に閉鎖することを特徴としている。
【0014】
なお、施錠機構の各回転体を回転させる蓋体開閉装置の回転トルクを0.1Nm〜2.0Nmの範囲とすることが好ましい。
また、予め設定された押圧力を9N〜160N、好ましくは30N〜140N、より好ましくは40N〜100Nの範囲とすることが好ましい。
また、基板の前部周縁に蓋体のリテーナを0.2mm〜5mmの距離で接近させることが好ましい。
【0015】
また、蓋体に誘導体を設け、施錠機構の各進退動体の先端部に係止体を設けるとともに、各進退動体には、誘導体にスライド可能に接触して進退動体及び又は係止体を蓋体の厚さ方向に押す被誘導体を設けることができる。
【0016】
また、施錠機構の各回転体の周縁部に、第一の溝孔を設けるとともに、この第一の溝孔の外側に位置する第二の溝孔を設け、
各進退動体を、回転体の第一の溝孔にスライド可能に嵌め入れられる第一の進退動プレートと、回転体の第二の溝孔にスライド可能に嵌め入れられて第一の進退動プレートに対向する第二の進退動プレートとに分割し、第一の進退動プレートに押圧体を形成し、第二の進退動プレートの先端部には、係止体を設け、かつ第二の進退動プレートの中間部には、押圧体に接触して第二の進退動プレート及び又は係止体を蓋体の厚さ方向に押す被押圧体を形成することができる。
【0017】
また、基板を収納する容器本体と、この容器本体の開口した正面を開閉する着脱自在の蓋体と、容器本体の正面に嵌め入れられる蓋体を外部からの操作に基づき施錠あるいは解錠する施錠機構とを備え、施錠機構を、容器本体の正面内周部に形成される複数の係止凹部と、蓋体に支持されて外部からの操作により回転する複数の回転体と、各回転体の回転に基づき蓋体の内外方向に進退動する複数の進退動体と、各進退動体の進退動に基づき蓋体から出没して容器本体の複数の係止凹部にそれぞれ嵌め合わされる複数の係止体とから構成したものであって、
蓋体に誘導体を設け、施錠機構の各進退動体の先端部に係止体を設けるとともに、各進退動体には、誘導体にスライド可能に接触して進退動体及び又は係止体を蓋体の厚さ方向に押す被誘導体を設けたことを特徴としても良い。
【0018】
さらに、基板を収納する容器本体と、この容器本体の開口した正面を開閉する着脱自在の蓋体と、容器本体の正面に嵌め入れられる蓋体を外部からの操作に基づき施錠あるいは解錠する施錠機構とを備え、施錠機構を、容器本体の正面内周部に形成される複数の係止凹部と、蓋体に支持されて外部からの操作により回転する複数の回転体と、各回転体の回転に基づき蓋体の内外方向に進退動する複数の進退動体と、各進退動体の進退動に基づき蓋体から出没して容器本体の複数の係止凹部にそれぞれ嵌め合わされる複数の係止体とから構成したものであって、
施錠機構の各回転体の周縁部に、第一の溝孔を設けるとともに、この第一の溝孔の外側に位置する第二の溝孔を設け、
各進退動体を、回転体の第一の溝孔にスライド可能に嵌め入れられる第一の進退動プレートと、回転体の第二の溝孔にスライド可能に嵌め入れられて第一の進退動プレートに対向する第二の進退動プレートとに分割し、
第一の進退動プレートに押圧体を形成し、第二の進退動プレートの先端部には、係止体を設け、かつ第二の進退動プレートの中間部には、押圧体に接触して第二の進退動プレート及び又は係止体を蓋体の厚さ方向に押す被押圧体を形成したことを特徴としても良い。
【0019】
ここで、特許請求の範囲における基板には、少なくとも口径200mm、300mm、450mmのシリコンウェーハからなる半導体ウェーハ、ガラスウェーハ、フォトマスク、記録媒体用基板、液晶ガラス等の精密基板が含まれる。容器本体は、透明、半透明、不透明のいずれでも良い。この容器本体の背面は、透視窓とすることができる。また、蓋体の周囲等には、容器本体と蓋体との間に介在される中空・中実で弾性のシールガスケットを嵌め合わせることが好ましい。
【0020】
施錠機構の進退動体や係止体は、複数であれば、適宜増減することができる。これら進退動体と係止体とは、一体でも良いし、別体でも良い。第二の進退動プレートの中間部とは、先端部と末端部を除く部分をいう。さらに、本発明に係る基板収納容器は、フロントオープンボックスであれば、FOSBタイプとFOUPタイプのいずれもが含まれる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、例え蓋体の押圧力や容器本体の固定力を小さくしても、容器本体の変形、基板の位置ずれや傾斜、基板の汚染のおそれ等を抑制することができるという効果がある。また、例え蓋体の押圧力や容器本体の固定力を小さくしても、容器本体を蓋体により有効に閉鎖することができる。
また、基板の前部周縁に蓋体のリテーナを0.2mm〜5mmの距離で接近させれば、リテーナの撓み量が減少するので、基板を安全に保持することができ、容器本体の係止凹部に対する蓋体の係止体の嵌め入れがスムーズになり、しかも、容器本体の正面に蓋体を移動させてシール状態に嵌め入れることが容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明すると、本実施形態における基板収納容器の蓋体開閉方法は、図1ないし図10に示すように、蓋体開閉装置1と、この蓋体開閉装置1に位置決め搭載される半導体ウェーハW収納用の容器本体20と、この容器本体20の開口した正面をシール状態に閉鎖する着脱自在の蓋体30と、容器本体20の正面に嵌入された蓋体30を蓋体開閉装置1の操作により施錠あるいは解錠する施錠機構40とを用い、蓋体開閉装置1により容器本体20を蓋体30で自動的に開閉する。
【0023】
蓋体開閉装置1は、図1ないし図4に示すように、クリーンエリア2と搬送エリア3とを区画する周壁4を備え、この周壁4の内外に、工場間の半導体ウェーハWの輸送に使用される基板収納容器の容器本体20に蓋体30を取り付け取り外しするドッキング装置6と、容器本体20を水平に位置決め固定する載置装置12とが配設される。蓋体開閉装置1の周壁4には、蓋体30に対応した大きさの貫通口5が矩形に形成される。
【0024】
ドッキング装置6は、クリーンエリア2に設置されるオープナ7を備え、このオープナ7には、蓋体開閉装置1の前後方向、換言すれば、周壁4の内外方向(図1ないし図3の左右方向)に揺動するアーム8が上下動可能に支持されており、このアーム8の先端部には、周壁4の貫通口5を開閉し、かつ蓋体30を真空吸着する矩形のクロージャ9が回転可能に軸支される。
【0025】
クロージャ9は、その表面の斜め上下に、蓋体30の一対の位置決め穴32Aに嵌合する位置合わせピン10が配設され、表面の中央部両側には、回転する略T字形の操作キー11が一対配設されており、各操作キー11が蓋体30の施錠機構40を施錠あるいは解錠する。
【0026】
載置装置12は、ロードポート装置とも呼ばれ、貫通口5の前方(図1ないし図4の右方向)に水平に張り出し形成され、平坦な上部には、容器本体20を位置決めする複数の位置決めピン13が平面視で略三角形を描くように配設されるとともに、この複数の位置決めピン13の中心部に位置するクランプ爪14が上下動可能に設置されており、このクランプ爪14が位置決め搭載された容器本体20を着脱自在に固定するよう機能する。
【0027】
半導体ウェーハWは、例えば直径300mmの丸い円板形のシリコンウェーハ、すなわち精密基板からなり、表裏両面がそれぞれ鏡面に形成されており、蓋体開閉装置1のクリーンエリア2に設置された図示しない専用のロボットにより、左右の両側部周縁がハンドリングされた状態で出し入れされる。この半導体ウェーハWの周縁部には、結晶方向の判別や整列を容易にするノッチが平面略半円形に切り欠かれる。
【0028】
基板収納容器の容器本体20、蓋体30、及び施錠機構40は、例えばポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン等の樹脂を材料として成形され、これらの樹脂には、カーボン、炭素繊維、カーボンナノチューブ、金属繊維、金属酸化物、導電性樹脂等が選択的に添加される。
【0029】
容器本体20は、図5に示すように、正面の開口した透明のフロントオープンボックスに成形され、内部両側、すなわち両側壁の内面には、収納される半導体ウェーハWを水平に支持する支持片21が上下方向に所定のピッチで複数並設されており、内部背面には、半導体ウェーハWの後部周縁を水平に保持する弾性のリヤリテーナ22が上下方向に所定のピッチで複数並設される。
【0030】
容器本体20の底面には、平面略U字形あるいはY字形のボトムプレートが着脱自在に装着され、容器本体20の底面とボトムプレートのいずれか一方には、載置装置12の複数の位置決めピン13に嵌合する位置決め具が配設される。ボトムプレートの中央部には、載置装置12のクランプ爪14に嵌合される凹部が形成され、ボトムプレートの後部には、着脱自在の識別体が選択的に装着されており、この識別体が載置装置12の検知センサに検知されることにより、基板収納容器の有無、種類、半導体ウェーハWの枚数等が把握される。また、各位置決め具は、平面略小判形に形成されるとともに、断面略M字形や略逆V字形に形成される。
【0031】
容器本体20の天井中央部には、平面略矩形のロボティックフランジ23が着脱自在に装着され、このロボティックフランジ23が搬送機構に把持されることにより、基板収納容器が搬送される。また、容器本体20の開口した正面の周縁部は、断面略L字形に屈曲形成されることにより、外方向に張り出されてリム部24を形成する。容器本体20の両側壁には、肉厚の円板形、略L字形、あるいは倒U字形の搬送ハンドルがそれぞれ外側から選択的に装着され、この一対の搬送ハンドルが作業員に把持されることにより、基板収納容器が搬送される。
【0032】
蓋体30は、図5ないし図10に示すように、容器本体20のリム部24に嵌合する断面略皿形の筐体31と、この筐体31の表面を部分的に覆うカバー32とを備えた正面視横長の略矩形に形成され、表面には、ドッキング装置6の一対の位置合わせピン10に嵌合する位置決め穴32Aが丸く穿孔される。筐体31の半導体ウェーハWに対向する裏面の中央部には、弾性のフロントリテーナ33が上下方向に所定のピッチで複数並設され、各フロントリテーナ33にU字形あるいはV字形に形成された収納溝が容器本体20に収納された各半導体ウェーハWの前部周縁を撓みながら保持する。
【0033】
筐体31の周壁には、容器本体20のリム部24に圧接される密封用のシールガスケット34が弾性変形可能に嵌合され、筐体31の周壁の上下両側部には、施錠機構40用の貫通孔35がそれぞれ穿孔される。シールガスケット34は、例えばフッ素ゴムやシリコーンゴム等を使用して屈曲片を突出させたエンドレスに成形され、容器本体20の外部から内部に塵埃を含む気体が流入するのを抑制防止するよう機能する。
【0034】
施錠機構40は、図5ないし図10に示すように、容器本体20の正面内周部の上下両側、換言すれば、リム部24内周の上下両側にそれぞれ凹み形成される複数の係止穴41と、蓋体30の表面両側に軸支され、蓋体開閉装置1の操作キー11の操作により回転する左右一対の回転体42と、各回転体42の回転に基づき、蓋体30のガイドに案内支持されつつその内外方向に直線的に進退動する一対の進退動プレート45と、各進退動プレート45の進退動に基づき、蓋体30から出没して容器本体20の各係止穴41に嵌合される複数の係止爪47とから構成される。
【0035】
各係止穴41は、横長の矩形に形成され、容器本体20に対する蓋体30の嵌合時に蓋体30の貫通孔35と対向する。各回転体42は、断面略凸字の円板に形成され、中心の凸部には、操作キー11と嵌合する嵌合穴43が形成されており、周縁部には一対の溝孔44が180°の間隔をおきそれぞれ略半円弧形に切り欠かれる。
【0036】
回転体42を回転させる蓋体開閉装置1の操作キー11の回転トルクは、0.1Nm〜2.0Nmの範囲とされる。各進退動プレート45は、基本的には上下方向に指向する長方形の板に形成され、末端部には、回転体42の溝孔44に筒形のローラ等を介して嵌合する突起46が形成されており、先端部には、回転可能な係止爪47が連結される。
【0037】
なお、本実施形態では各進退動プレート45の末端部に突起46を形成するが、必要に応じ、回転体42の周縁部に一対の突起46を形成して各突起46に進退動プレート45の末端部に穿孔した孔を回転可能に嵌合させても良いし、各突起46に進退動プレート45の末端部に穿孔した孔を筒形のローラを介し回転可能に嵌合させても良い。
【0038】
各係止爪47は、基本的には板形の基部48と、この基部48から湾曲しながら伸びる係止部49とを備えた断面略T字形、あるいは略γ字形に構成される。基部48は、その一端が蓋体30内の貫通孔35付近に回転可能に軸支され、他端が進退動プレート45の先端部に回転可能に軸支される。また、係止部49は、容器本体20の各係止穴41に嵌合されるが、磨耗低減の観点から回転ローラ50が選択的に取り付けられる。
【0039】
このような構成の施錠機構40は、回転体42が時計方向に回転操作されると、回転運動が直線運動に変換されることにより、進退動プレート45が蓋体30のガイドに案内支持されつつ蓋体30の外方向に直線的にスライドし、この進退動プレート45のスライドに伴い、係止爪47が蓋体30の貫通孔35から揺動露出して載置装置12上の容器本体20の係止穴41に嵌合する。
【0040】
これに対し、回転体42が反時計方向に回転操作されると、回転運動が直線運動に変換されることにより、外方向にスライドした進退動プレート45が蓋体30のガイドに案内支持されつつ蓋体30の内方向に直線的にスライドし、この進退動プレート45のスライドに伴い、露出した係止爪47が蓋体30の貫通孔35に没入して容器本体20の係止穴41との嵌合を解除し、蓋体30が取り外し可能な状態となる。
【0041】
上記において、加工処理済みの半導体ウェーハWを収納した容器本体20に蓋体30を嵌合して閉鎖する場合について説明する。この場合、蓋体開閉装置1の載置装置12に容器本体20が位置決め固定されてそのリム部24が周壁4の貫通孔35に連通し、ドッキング装置6のクロージャ9に取り外された蓋体30が吸着されている(図1参照)。
【0042】
先ず、ドッキング装置6のアーム8が上昇しながら周壁4の内外方向に揺動してクロージャ9を下方の待機位置から上昇させ、このクロージャ9が容器本体20の開口したリム部24に蓋体30を予め設定された押圧力で対向させ、容器本体20に収納された半導体ウェーハWの前部周縁に蓋体30のフロントリテーナ33が隙間Cを介し接近した状態で停止する(図2、図8、図9参照)。この際、予め設定された押圧力は、基板収納容器が輸送用タイプであることに鑑み、9N〜160Nの範囲に調整される。
【0043】
半導体ウェーハWの前部周縁と蓋体30のフロントリテーナ33との隙間Cは、図9に示すように、0.2mm〜5mm、好ましくは0.5mm〜2.5mmの範囲の距離に調整される。これは、0.2mm未満の場合には、フロントリテーナ33の撓み量が減少し、半導体ウェーハWを安全に保持することが困難になるからである。逆に、5mmを超える場合には、容器本体20の係止穴41に蓋体30の係止爪47の嵌合するのが容易でなくなり、容器本体20のリム部24に蓋体30を移動させてシール状態に嵌入することが困難になるからである。
【0044】
こうして半導体ウェーハWにフロントリテーナ33が隙間Cを介して対向したら、クロージャ9が移動して容器本体20のリム部24方向に蓋体30をスムーズに移動させ、操作キー11が回転体42の施錠操作を開始して容器本体20の係止穴41に蓋体30の係止爪47を不完全ながら嵌合させ、操作キー11が回転体42の施錠操作を継続することにより、係止穴41と係止爪47との嵌合部Eを起点として容器本体20のリム部24に蓋体30が完全な施錠状態で嵌入されるとともに、半導体ウェーハWの前部周縁が蓋体30のフロントリテーナ33に保持され、容器本体20のリム部24が蓋体30によりシール状態に閉鎖されることとなる(図3、図10参照)。
【0045】
この場合、半導体ウェーハWを1枚毎に収納するフロントリテーナ33の各収納溝における半導体ウェーハ保持力を1.3〜7Nの範囲で設定することができ、ラッチ力を利用して蓋体30を係止するので、蓋体開閉装置1で必要な蓋体押圧力を30N〜140Nの範囲に抑制することができる。
【0046】
上記したように半導体ウェーハWを1枚毎に収納するフロントリテーナ33の各収納溝における半導体ウェーハ保持力を調整することができるので、蓋体30の押圧力を抑制することができるが、保持力が1.3N未満の場合には、半導体ウェーハWを十分に保持することができず、回転が生じるので留意する必要がある。また、保持力が7Nを超える場合には、蓋体30の押圧力が140Nを超え、蓋体押圧力の小さい一部の蓋体開閉装置1でトラブル発生のおそれがあるので留意する必要がある。
【0047】
この際、蓋体30は、操作キー11に作用する回転トルク(1.0N〜1.7N)により、容器本体20のリム部24に移動して嵌入される。容器本体20のリム部24が蓋体30により閉鎖された基板収納容器は、搬送機構により次の工程に搬送される。
なお、容器本体20から蓋体30を取り外して開口させる場合には、上記作業とは逆の順序、すなわち図10、図9、図8の順序で行なわれる。
【0048】
上記によれば、進退動プレート45を四本、係止爪47を四個とし、各係止爪47に回転トルクよりも大きな力がてこの原理により作用するので、上下左右の四箇所から均等に力を加えて蓋体30を移動させることができる。したがって、蓋体30の中央部のみを押圧する場合に比べ、蓋体30の変形やねじれを抑制防止し、容器本体20に蓋体30を均一に接触させて良好なシール性を得ることができる。
【0049】
また、フロントリテーナ33のウェーハ保持力を過度に抑制することなく、蓋体開閉装置1が必要な蓋体30の押圧力を30〜140Nの範囲に抑制することができる。これにより、例え基板収納容器が輸送用タイプでも、蓋体30の押圧力を抑制することができるので、容器本体20の位置決め固定力を倍増する必要が全くなく、しかも、容器本体20の底部が変形したり、半導体ウェーハWのエラーや汚染を招くおそれを有効に排除することができる。
【0050】
また、容器本体20の底部が変形するおそれがないので、各種の検知センサに基板収納容器の有無や基板収納容器の種類等を正常に検知させることができ、蓋体開閉装置1のアクチュエータの位置検出に不良を来たしたり、動作不良で停止してしまうこともない。
【0051】
次に、図11ないし図13は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、蓋体30の筐体31表面に誘導ブロック60を設け、各進退動プレート45の先端部に、係止爪47として回転ローラ50を回転可能に支持させるとともに、各進退動プレート45には、誘導ブロック60に摺接する被誘導ブロック61を設け、これら誘導ブロック60と被誘導ブロック61との摺接により、各進退動プレート45や係止爪47をその進出方向のみならず、進出方向と直交する方向、換言すれば、蓋体30の厚さ方向にも押圧移動させるようにしている。
【0052】
蓋体30のカバー32には、カムとして機能する傾斜面を有する断面多角形の位置決め突起62が所定の間隔をおいて複数形成され、各進退動プレート45の中間部には、円柱形の被位置決め突起63が所定の間隔をおいて複数形成されており、これら位置決め突起62と被位置決め突起63の先端部とが相互に摺接したり、離隔することにより、進退動プレート45の初期位置や基準位置が確保される。各被位置決め突起63の先端部は、磨耗を減少させる観点から先細りや略半球形に形成されたり、ローラが回転可能に取り付けられる。
【0053】
誘導ブロック60と被誘導ブロック61とは、磨耗が少なく、滑り性の良好な材料、具体的には、シリコーンやフッ素の添加された各種の熱可塑性樹脂、ポリブチレンテレタレート、ポリエーテルエーテルケトン等を使用して相互に対向する断面略三角形や多角形に形成される。これら立体的な誘導ブロック60と被誘導ブロック61とは、そのカム面として機能する傾斜面が接触してスライドすることにより、運動方向変向手段として機能する。
【0054】
上記において、図11に示すように、半導体ウェーハWにフロントリテーナ33が隙間Cを介して対向したら、クロージャ9が移動して容器本体20のリム部24方向に蓋体30をスムーズに移動させ、操作キー11が回転体42の施錠操作を開始して容器本体20の係止穴41に蓋体30の係止爪47を不完全ながら嵌合させ、操作キー11が回転体42の施錠操作を継続することにより、係止穴41と係止爪47との嵌合部Eを起点として容器本体20のリム部24に蓋体30が完全な施錠状態で嵌入されるとともに、半導体ウェーハWの前部周縁が蓋体30のフロントリテーナ33に保持され、容器本体20のリム部24が蓋体30によりシール状態に閉鎖される。
【0055】
操作キー11により回転体42が回転すると、図12や図13に示すように、誘導ブロック60に被誘導ブロック61が案内されつつ図の上方向に離れるようスライドし、このスライドにより、各進退動プレート45やその係止爪47が進出方向と直交する方向、換言すれば、蓋体30の厚さ方向(図12、図13の左右方向)にも移動し、蓋体30がシール方向(図13の右方向)に移動して容器本体20のリム部24を強固に閉鎖することとなる。
【0056】
この場合、蓋体開閉装置1の蓋体30の押圧力を30〜140Nの範囲に抑制することができる。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、施錠機構40の構成の多様化を図ることができるのは明らかである。
【0057】
次に、図14ないし図20は本発明の第3の実施形態を示すもので、この場合には、各回転体42の周縁部に、周方向に伸びる略半円弧形の第一の溝孔44Aを穿孔するとともに、この第一の溝孔44Aの外側に位置する第二の溝孔44Bを略半円弧形に穿孔し、各進退動プレート45を、回転体42の第一の溝孔44Aに突起46を介しスライド可能に嵌入される第一の進退動プレート45Aと、回転体42の第二の溝孔44Bに突起46を介しスライド可能に嵌入されて第一の進退動プレート45Aに積層する第二の進退動プレート45Bとに分割するようにしている。
【0058】
各回転体42や各進退動プレート45は、磨耗が少なく、滑り性の良好な材料を使用して成形される。具体的には、シリコーンやフッ素の添加された各種の熱可塑性樹脂、ポリブチレンテレタレート、ポリエーテルエーテルケトン等を使用して成形される。
【0059】
第一、第二の進退動プレート45A・45Bは、基本的にはそれぞれ細長い長方形の板に形成され、相互に対向する。第一の進退動プレート45Aは、第二の進退動プレート45Bに対向する対向面の先端部付近に、傾斜面を有する断面略三角形、略鉤形、山形等の押圧爪64が一体形成され、両側部には、長手方向に伸びる第一のガイド片66がそれぞれ形成される(図17参照)。
【0060】
第二の進退動プレート45Bは、その先端部が容器本体20の係止穴41に嵌合する係止爪47に形成され、中間部には、押圧爪64に接触される被押圧突起65が一体形成されるとともに、両側部には、第一のガイド片66と嵌合する第二のガイド片67がそれぞれ形成されており、これら第一、第二のガイド片67が相互に噛合することにより、第一、第二の進退動プレート45A・45Bががたつくのを抑制防止する。
【0061】
被押圧突起65は、例えば傾斜した湾曲面や傾斜面を有する断面略半円形、略三角形、略山形等に形成され、押圧爪64と接触して押圧されることにより、第二の進退動プレート45Bや係止爪47を蓋体30の厚さ方向、言い換えれば、シール方向に押圧するよう機能する(図17参照)。
【0062】
上記において、図18に示すように、半導体ウェーハWにフロントリテーナ33が隙間Cを介して対向したら、クロージャ9が移動して容器本体20のリム部24方向に蓋体30をスムーズに移動させ、操作キー11が回転体42の施錠操作を開始して容器本体20の係止穴41に蓋体30の係止爪47を不完全ながら嵌合させ、操作キー11が回転体42の施錠操作を継続することにより、係止穴41と係止爪47との嵌合部Eを起点として容器本体20のリム部24に蓋体30が完全な施錠状態で嵌入されるとともに、半導体ウェーハWの前部周縁が蓋体30のフロントリテーナ33に保持され、容器本体20のリム部24が蓋体30によりシール状態に閉鎖される。
【0063】
操作キー11により回転体42が回転すると、第一、第二の進退動プレート45A・45Bが共に蓋体30の内外方向に進出して第二の進退動プレート45Bの係止爪47を係止穴41の内面に接触させ、第一の進退動プレート45Aの押圧爪64が被押圧突起65よりも大きく移動(変位)し、これら押圧爪64と被押圧突起65とが接近する。押圧爪64が被押圧突起65に接近して圧接すると、押圧爪64に被押圧突起65が押圧され、各進退動プレート45や係止爪47がその進出方向と直交する方向、すなわち、蓋体30の厚さ方向にも揺動する。
【0064】
この結果、係止穴41の内面に既に接触している係止爪47に容器本体20の開口方向(図20の左方向)に対する力が作用し、この力の反力(図20の矢印参照)により蓋体30がシール方向(図20の右方向)に移動して容器本体20のリム部24を強固に閉鎖する。この場合、蓋体開閉装置1の蓋体30の押圧力を30〜140Nの範囲に抑制することができる。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、施錠機構40の構成の多様化が期待できる他、反力を利用して蓋体30を強固に閉鎖することができるのは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明に係る基板収納容器の蓋体開閉方法の実施形態におけるドッキング装置に蓋体が吸着された状態を示す一部断面説明図である。
【図2】本発明に係る基板収納容器の蓋体開閉方法の実施形態における容器本体の半導体ウェーハの前部に蓋体のフロントリテーナが隙間を介し近接した状態を示す一部断面説明図である。
【図3】本発明に係る基板収納容器の蓋体開閉方法の実施形態における容器本体のリム部が蓋体により閉鎖された状態を示す一部断面説明図である。
【図4】本発明に係る基板収納容器の蓋体開閉方法の実施形態における蓋体開閉装置を示す斜視説明図である。
【図5】本発明に係る基板収納容器の蓋体開閉方法の実施形態における容器本体と蓋体とを示す分解斜視説明図である。
【図6】本発明に係る基板収納容器の蓋体開閉方法の実施形態における蓋体と解錠状態の施錠機構とを示す図で、(a)図は正面図、(b)図は断面図である。
【図7】本発明に係る基板収納容器の蓋体開閉方法の実施形態における蓋体と施錠状態の施錠機構とを示す図で、(a)図は正面図、(b)図は断面図である。
【図8】本発明に係る基板収納容器の蓋体開閉方法の実施形態における容器本体、蓋体、及び施錠機構を示す一部断面説明図である。
【図9】図8の施錠機構の施錠開始時の状態を示す一部断面説明図である。
【図10】図9の施錠機構が施錠された状態を示す一部断面説明図である。
【図11】本発明に係る基板収納容器の蓋体開閉方法の第2の実施形態における容器本体、蓋体、及び施錠機構を示す一部断面説明図である。
【図12】図11の施錠機構の施錠開始時の状態を示す一部断面説明図である。
【図13】図12の施錠機構が施錠された状態を示す一部断面説明図である。
【図14】本発明に係る基板収納容器の蓋体開閉方法の第3の実施形態における蓋体と施錠機構を模式的に示す正面説明図である。
【図15】本発明に係る基板収納容器の蓋体開閉方法の第3の実施形態における施錠機構を示す斜視説明図である。
【図16】本発明に係る基板収納容器の蓋体開閉方法の第3の実施形態における施錠機構の施錠状態を示す斜視説明図である。
【図17】本発明に係る基板収納容器の蓋体開閉方法の第3の実施形態における施錠機構の進退動プレートを示す分解斜視説明図である。
【図18】本発明に係る基板収納容器の蓋体開閉方法の第3の実施形態における容器本体、蓋体、及び施錠機構を示す一部断面説明図である。
【図19】図18の施錠機構の施錠開始状態を示す一部断面説明図である。
【図20】図19の施錠機構が施錠された状態を示す一部断面説明図である。
【符号の説明】
【0066】
1 蓋体開閉装置
4 周壁
5 貫通口
6 ドッキング装置
7 オープナ
9 クロージャ
10 位置合わせピン
11 操作キー
12 載置装置
13 位置決めピン
14 クランプ爪
20 容器本体
24 リム部(正面)
30 蓋体
33 フロントリテーナ(リテーナ)
34 シールガスケット(シール部材)
35 貫通孔
40 施錠機構
41 係止穴(係止凹部)
42 回転体
44 溝孔
44A 第一の溝孔
44B 第二の溝孔
45 進退動プレート(進退動体)
45A 第一の進退動プレート
45B 第二の進退動プレート
47 係止爪(係止体)
50 回転ローラ(係止体)
60 誘導ブロック(誘導体)
61 被誘導ブロック(被誘導体)
64 押圧爪(押圧体)
65 被押圧突起(被押圧体)
C 隙間
E 嵌合部
W 半導体ウェーハ(基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋体開閉装置に搭載される基板収納用の容器本体と、この容器本体の開口した正面を開閉する着脱自在の蓋体と、容器本体の正面に嵌め入れられる蓋体を蓋体開閉装置の操作に基づき施錠あるいは解錠する施錠機構とを備え、蓋体に、容器本体に収納された基板を保持するリテーナを取り付けるとともに、密封用のシール部材を取り付け、施錠機構を、容器本体の正面内周部に形成される複数の係止凹部と、蓋体に支持されて蓋体開閉装置の操作により回転する複数の回転体と、各回転体の回転に基づき蓋体の内外方向に進退動する複数の進退動体と、各進退動体の進退動に基づき蓋体から出没して容器本体の複数の係止凹部にそれぞれ嵌め合わされる複数の係止体とから構成し、蓋体開閉装置により容器本体の正面を蓋体で閉鎖して施錠する基板収納容器の蓋体開閉方法であって、
容器本体の開口した正面に蓋体を予め設定された押圧力で略対向させ、容器本体に収納された基板の前部周縁に蓋体のリテーナを接近させた状態で停止させ、施錠機構の各回転体の操作を開始して容器本体の複数の係止凹部に蓋体の係止体をそれぞれ嵌め合わせるとともに、各回転体をさらに操作して複数の係止凹部と係止体との嵌め合わせ部を起点として容器本体の正面に蓋体を嵌め入れ、基板の前部周縁を蓋体のリテーナに保持させ、容器本体の正面を蓋体によりシール状態に閉鎖することを特徴とする基板収納容器の蓋体開閉方法。
【請求項2】
施錠機構の各回転体を回転させる蓋体開閉装置の回転トルクを0.1Nm〜2.0Nmの範囲とする請求項1記載の基板収納容器の蓋体開閉方法。
【請求項3】
予め設定された押圧力を9N〜160Nの範囲とする請求項1又は2記載の基板収納容器の蓋体開閉方法。
【請求項4】
基板の前部周縁に蓋体のリテーナを0.2mm〜5mmの距離で接近させる請求項1、2、又は3記載の基板収納容器の蓋体開閉方法。
【請求項5】
蓋体に誘導体を設け、施錠機構の各進退動体の先端部に係止体を設けるとともに、各進退動体には、誘導体にスライド可能に接触して進退動体及び又は係止体を蓋体の厚さ方向に押す被誘導体を設けた請求項1ないし4いずれかに記載の基板収納容器の蓋体開閉方法。
【請求項6】
施錠機構の各回転体の周縁部に、第一の溝孔を設けるとともに、この第一の溝孔の外側に位置する第二の溝孔を設け、
各進退動体を、回転体の第一の溝孔にスライド可能に嵌め入れられる第一の進退動プレートと、回転体の第二の溝孔にスライド可能に嵌め入れられて第一の進退動プレートに対向する第二の進退動プレートとに分割し、第一の進退動プレートに押圧体を形成し、第二の進退動プレートの先端部には、係止体を設け、かつ第二の進退動プレートの中間部には、押圧体に接触して第二の進退動プレート及び又は係止体を蓋体の厚さ方向に押す被押圧体を形成した請求項1ないし4いずれかに記載の基板収納容器の蓋体開閉方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−19328(P2007−19328A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−200513(P2005−200513)
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】