説明

基板把持ハンド、基板把持機構およびそれを備えた基板搬送装置、製造装置

【課題】基板を確実に把持し、基板を目的の位置に載置するときも基板保持部材との接触などの問題が無いハンド構成を提供すること
【解決手段】ベース部材21に対し、基準位置と把持位置との間をスライド可能であって、基板27を載置するスライド部材21と、スライド部材21を常に基準位置へ戻す方向に力を加える反力部材25と、スライド部材21を把持位置へ移動させるときにこれと接触し、スライド部材21が基準位置にあるときはこれと離れる駆動部29と、スライド部材21が基準位置にあるとき、基板27の周囲と一定の隙間33を有し、スライド部材21が把持位置にあるとき、基板27のエッジを保持可能なV字溝を有する第1の基板保持部材31と、スライド部材21が基準位置にあるとき、基板27の周囲と一定の隙間33を有するように駆動部29に配置され、スライド部材21が把持位置にあるとき、基板27のエッジを保持可能なV字溝を有する第2の基板保持部材30と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置や液晶製造装置において使用される基板を把持するための構造に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置、液晶製造装置、あるいはこれらの検査装置において、半導体ウェハ、液晶ガラス、マスクといった基板を所望の位置に精度良くかつクリーンに搬送するために、基板搬送装置が使用されている。基板搬送装置はアームやそれに類する機構に設けられたハンド上で基板を把持してこれを搬送する。ハンドが基板を把持する方法には、バキュームで保持するもの、ベルヌーイの作用によって保持するもの、単にハンド上に載置するだけのもの、そして基板を機械的に把持するもの、などがある。基板を機械的に把持するものには、基板の周囲の限られた範囲のみを把持するエッジグリップ式のハンドがある。エッジグリップ式のハンドは基板の表面や裏面にできるだけ粉塵を付着させないようにするため、基板の周囲側面やそのエッジなど限られた範囲で基板を保持する(例えば特許文献1)。
【0003】
図4に特許文献1に開示されたエッジグリップ式のハンドの構成を示す。1はハンド、2は基板、3はエアーシリンダ、4は基板受け座(ゴム)、5はエアーシリンダ先端に取り付けられたハンド基端側基板保持部材、6はハンド先端側基板保持部材である。ハンド基端側基板保持部材5は、エアーシリンダ3によってハンド1の先端方向にスライド動作する。
ここで、特許文献1の従来技術として記載されている一般的なエッジグリップ式のハンドであれば、ハンド1の先端部にハンド1に固定された固定爪が設けてあり、この固定爪に対してハンド基端側基板保持部材5が基板2を押し付けることで基板2を把持するよう構成されている(特許文献1の図4参照)。
特許文献1のハンドでは、基板の直径にばらつきがあってもハンドに対して基板の中心が一定の位置になるように把持できるよう、ハンド基端側基板保持部材5の動作と同時にハンド先端側基板押し付け部材6をハンド1の基端側へスライド動作させるための機構が取り付けられている(特許文献1の図1参照)。すなわち、エアーシリンダ3の出力には固定アーム7が取り付けられており、その先端にはハンド1に対してピン9により回転支持された回転リンク10が回転ピン8を介して取り付けられている。ハンド1の側面には直動ガイド11が取り付けられており、これに支持されてハンドの延在する方向に往復動作可能な可動ロッド12が取り付けられている。可動ロッド12にはフラットバー13が取り付けられており、上記リンク10の一端にフラットバー13が回転可能に支持ピン14によって支持されている。以上の構成によりエアーシリンダ3の動作で押し付け部材5と6を互いに反対方向にスライド動作することにより、基板2を把持または開放することができる。
【0004】
一方、基板搬送装置には、単位時間当たりに搬送可能な枚数を増加させることが求められており、従って基板搬送装置の動作速度もますます速くなっていっている。基板搬送装置の動作速度が速くなると、ハンドから基板が落下する恐れが発生しやすくなるため、ハンドが確実に基板を把持しておくことが必要となってくる。特に、ハンドが基板を把持した状態で基板搬送装置が素早く上から下へと動作すると、そのときに基板が受ける風圧によって基板がハンドから浮き上がったりずれたりすることが多い。
そこで、ハンドが基板をより確実に把持する手段として、押し付け部材や固定爪の断面の形状をV字形状にし、その溝で基板のエッジを抱きかかえるように保持することが行なわれている。このようにハンドを構成すれば、基板がハンドから浮き上がることも無くなる。
しかし、ここで特許文献1の図4のようなハンドの固定爪に溝を形成してしまうと、ハンドが基板を開放して基板を目的の位置に置くときに問題が生じる。つまりハンド基端側の押し付け部材は基板から離れても、固定爪の溝には基板が入り込んだままなので、ハンドが下降して基板を目的の位置に置こうとしても、固定爪の溝に基板が引っかかってしまうからである。この問題については特許文献1の図1の構成であれば解決できる。つまり特許文献1の図1の構成であれば固定爪がなく、基板の開放時にハンド先端側の基板保持部材も基板から離れることができるからである。しかし、特許文献1の図1の構成では、上述のように、ハンド基端側に設置された駆動機構からの動力をリンク機構で伝達してハンド先端の基板保持部材を動作させることになる。そのためハンド先端部が非常に大きくなり、多段に基板を収納するカセットから基板を搬出入するときなど、狭い空間に対して基板を搬出入する際に周囲との干渉が問題となりやすかった。また、リンク機構は複雑であるため、その信頼性が課題になっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−170862
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
すなわち、従来のエッジグリップ式ハンドの構成では、基板を載置するときに基板がハンドの固定爪に引っかかったり、あるいはそれを解決してもハンド先端部の大きさが問題となったり、発塵が問題となったりしていた。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、アーム先端側の基板保持部材を固定にしてハンド先端部をシンプルに構成するとともに、基板を確実に把持し、基板を目的の位置に載置するときも基板保持部材との接触などの問題が無いハンド構成を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するため、本発明は、主に次のように構成したのである。
基板の周囲の一部を把持するための基板把持ハンドであって、ベース部材と、前記ベース部材に支持され、少なくとも基準位置と把持位置との間をスライド可能であって、前記基板が載置されるスライド部材と、 前記スライド部材と接触してこれを前記把持位置へスライドさせることが可能であって、前記スライド部材が前記基準位置にあるときはこれと離れる駆動部と、前記スライド部材が前記基準位置にあるとき前記スライド部材に載置された前記基板の周囲と一定の隙間を有するように前記ベース部材に固定され、前記スライド部材が前記把持位置にあるとき前記スライド部材に載置された前記基板の周囲の一部を保持する第1の基板保持部材と、前記駆動部とともに移動可能であって、前記スライド部材が前記基準位置にあるとき前記スライド部材に載置された前記基板の周囲と一定の隙間を有するように配置され、前記駆動部が前記基準位置にある前記スライド部材と接触を開始したときに前記スライド部材に載置された前記基板の周囲の一部を保持する第2の基板保持部材と、を備えたことを特徴とする基板把持ハンドとするものである。
そして、前記基準位置は、前記スライド部材が、前記ベース部材に設けられたストッパに接触し、前記反力部材によって前記ストッパに押し付けられた状態の位置であるとよい。
そして、前記把持位置は、前記スライド部材に載置された前記基板の周囲の一部が、前記第1と第2の基板保持部材に保持される位置であるとよい。
そして、前記スライド部材を常に前記基準位置へ移動させる方向に力を加える反力部材を備えるとよい。
そして、前記スライド部材を前記把持位置から前記基準位置へ移動させるとき、前記スライド部材は前記反力部材の力によって前記基準位置へと移動し、前記基準位置へと到達したのち、さらに前記駆動部は、前記第2の基板保持部材が前記基板の周囲と前記一定の隙間を有するまで移動するとよい。
そして、前記第1と第2の基板保持部材は、前記基板のエッジの上下と同時に接触可能なV字溝によって前記基板を保持するとよい。
そして、前記第2の基板保持部材が前記駆動部上に配置され、前記駆動部が前記スライド部材を前記把持位置へ移動させるとき、前記第2の基板保持部材が前記基板の周囲の一部と接触すると同時に前記スライド部材と接触を開始する位置に配置されるとよい。
あるいは、上記構成について、基板搬送装置に使用される基板把持ハンドではなく、基板把持機構として用いても良い。
【発明の効果】
【0008】
以上、本発明によれば、基板搬送装置が基板を載置するときに、ハンドの固定爪に基板が引っかかるようなことがない。また、ハンド先端部は固定の保持部材のみなので、ハンド先端部の大きさが問題となるようなことがなく、狭いカセット内へ容易にアクセスできるハンドを構成できる。また、基板をV字溝で強固に保持することができ、例えばハンドが高速で下降するような際に基板が浮きあがったり、ずれたりすることなく安全に基板を搬送することができる。また、基板開放時にスライドベースをストッパにより毎回同じ位置に停止することができる。そのためスライドベース上の基板受け座に載った基板も毎回同じ位置に停止することができ、基準位置での位置再現性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のハンドを備えた基板搬送装置の外観図
【図2】本発明におけるハンド構造説明図(基板把持状態)
【図3】本発明におけるハンド構造説明図(基板開放状態)
【図4】従来のエッジグリップ式のハンドの構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は本発明のハンドを備えた基板搬送装置の外観図を示している。図1は水平多関節型のアームの先端にハンドが取り付けられているものである。ハンドは複数のアームが互いに回転することによって水平方向に移動が可能である。また、アーム全体あるいは胴体の一部より上が上下に動作可能であり、この動作によってハンドは上下方向にも移動が可能である。なお、ここではアームが水平多関節型のものを例示しているが、本発明の本質はハンド構成にあるので、後述する本発明のハンドを取り付けることができる基板搬送装置であれば、その形態は問わない。
図2、図3は本発明のハンドの構造を簡単に表した平面図である。図2は基板を把持した時の図で、図3は基板を開放した時の図である。
【0012】
図2において21は本発明のハンドのベースである。ベース21の基端側が図示しないアームに取り付けられる。27はハンド上に把持された基板である。本実施例では基板27は薄円板のウェハを表しているが、矩形基板などでも問題はない。ベース21の基端側には把持、開放の駆動源であるエアーシリンダ22が固定されている。駆動源はエアーシリンダでなく、リニアモータ、回転型モータとボールネジとの組み合わせ、回転型モータと歯車との組み合わせ、などでもよく、後述するスライドベース23を押すことが可能な駆動源であればよい。ベース21にはその先端側と基端側の前後方向にスライド可能なスライドベース23が設けられている。スライドベース23はガイド24によってベース21からスライド可能に支持されている。ガイド24は、いわゆるすべり軸受けのものでもよいが、発塵を防ぐため、レールと可動ブロックからなるリニアガイドを用いるのがよい。また、スライドベース23とベース21との間には、スライドベース23をベース21の基端側に常に押し戻す力を有する板ばね25が設けられている。本実施例では板ばね25を用いているが、圧縮バネや引っ張りバネなど、スライドベース23をベース21の基端側に常に押し戻す力を有する反力部材であればその形態は問わない。また、ベース21には、スライドベース23が基端側に一定以上動作しないよう規制するストッパ26が設けられている。よってスライドベース23は、後述するプッシュロッド29からの力を受けない限り、板ばね25の作用によって常にストッパ26に接触した位置で停止しており、この位置がスライドベース23の基準位置となっている。また、スライドベース23上には、基板27の裏面を数箇所で支持する基板受け座28が形成されている。基板受け座28は少なくとも3箇所設けられる。本実施例の場合、基板受け座28は樹脂で形成されている。例えばPEEK材で形成するのがよく、基板27が基板受け座28上で滑りやすい材質がよい。
【0013】
エアーシリンダ22の可動部の先端にはプッシュロッド29が取り付けられている。プッシュロッド29は、エアーシリンダ22によって前後に動作し、前記スライドベース23を先端側へ押すことができる。しかし、プッシュロッド29はスライドベース23と連結されておらず、プッシュロッド29がエアーシリンダ22によって基端側に動いたとき、すなわちスライドベース23が板ばね25によって基端側に押し戻されて基準位置にあるときに、プッシュロッド29とスライドベース23との間に、図3に示す空隙32ができるよう構成し、上記ストッパ26によって確実に停止するようにする。
【0014】
プッシュロッド29には縦断面がV字溝形状の可動基板保持部材30が取り付けられている。また、ベース21の先端には可動基板保持部材30の縦断面と同じようなV字溝形状を有する固定基板保持部材31が取り付けられている。これら可動基板保持部材30と固定基板保持部材31は、上述したスライドベース23が板ばね25によって基端側に押し戻され基準位置にあってストッパ26に当接している状態のとき、つまりプッシュロッド29が基端側に引いた状態のとき、図3が示すように、基板27の周囲に対して空隙33をそれぞれが形成するように、つまり基板27から一定以上離れた状態となる位置に設置される。また、可動基板保持部材30は、プッシュロッド29が前進してスライドベース23と当接すると同時に、基板27のエッジをV字溝に受け入れ、これと接触することができる位置に配置されている。可動基板保持部材30が基板27と接触する位置からさらにプッシュロッド29が前進すると、基板27はスライドベース23上の基板受け座28に載ったまま可動基板保持部材30に押され、基板27の先端側では空隙33が徐々に無くなり、基板27が固定基板保持部材31のV字溝に入り込むことができるようになっている。そして、これら可動基板保持部材30と固定基板保持部材31のV字溝が基板27を保持して適当な把持力を与える位置(把持位置)でプッシュロッド29が停止するように構成されている。
【0015】
以上で構成された本発明のハンドの動作について図2と図3を使って説明する。
まず、本発明のハンドを有する基板搬送装置が動作して、基板27を基板受け座28に載置させる。このとき、プッシュロッド29はハンドの基端側に引かれた状態であるため、スライドベース23は基準位置にある。またこの動作のとき、空隙33によって可動基板保持部材30や固定基板保持部材31が基板27と接触することはない。
次に、エアーシリンダ22によってプッシュロッド29及び可動基板保持部材30を先端方向に駆動させる。すると可動基板保持部材30によって基板27はハンド先端側の固定基板保持部材31に押し付けられて止まる。その際、プッシュロッド29はスライドベース23も同時に押すことになり、基板27の荷重を受けている基板受け座28もハンド先端方向に同時に移動することになる。ここで、基板27が基準位置にある基板受け座28に対して多少ずれて載置されている場合、可動基板保持部材30や固定基板保持部材31が基板27と接触するとき、基板27は基板受け座28を滑ってこれらに保持される。基板受け座28をPEEK材で製作しておけば、この部分からの発塵は防げる。また、このとき、基板27は基板受け座28に対して毎回目的の位置に規制される。なお、この把持状態ではスライドベース23は、板ばね25からハンド基端方向への力を受けているので、エアーシリンダ22はこの力を超えてスライドベース23を移動させている状態である。また、基板27は可動基板保持部材30と固定基板保持部材31のV字溝に入り込んで保持されている。
そして、基板27を開放する場合にはエアーシリンダ22を基端方向に駆動する。するとプッシュロッド29及び可動基板保持部材30も基端側へ移動するが、スライドベース23も板ばね25の作用によってプッシュロッド29と接触したまま基端側へと同時に移動する。このとき、基板27はスライドベース23上の基板受け座28に載置されたまま基端側へと移動する。しかし、スライドベース23は、その動作の途中でストッパ26に接触し、スライドベース23は停止する。この停止位置において、上述のように基板27は、固定基板保持部材31との間に空隙33が確保される。
一方、プッシュロッド29及び可動基板保持部材30はスライドベース23から離れてさらに基端側に移動を続け、可動基板保持部材30と基板27との間に空隙33が確保できるまで移動したところで停止する。当然ながら、基板開放時のスライドベース23および基板受け座28の位置(基準位置)は、ストッパ26の作用により毎回同じ位置に停止する。すなわち基板27を毎回同じ基準位置に位置決めすることができる。
【0016】
以上のように、本発明のハンドは、基板を把持する際、可動基板保持部材30と可動基板保持部材31のそれぞれのV字溝に基板を入り込ませて把持するので、基板搬送装置が素早く動作しても基板が落下する恐れは無い。特に基板搬送装置が上から下に速い速度で動作して基板に風圧がかかっても浮き上がったりすることが無い。
そして、本発明のハンドは、基板を開放する際、可動基板保持部材30や固定基板保持部材31と基板27との間に空隙33が確保されるので、ハンドを下降させて基板を目的の位置に置く場合であっても、基板が可動基板保持部材30や固定基板保持部材31のV字溝に引っかかることなく動作することができる。
また、本発明のハンドは、上記のようにV字溝で確実に基板を把持するとともに、基板を目的の位置に置く場合でもV字溝と接触する恐れがないという構成であるにもかかわらず、ハンドの先端側は固定された押し付け部材しか必要とせず、従来のようにリンクなどの複雑な機構も必要としないので、基板を収納するカセットなど、狭い空間に入り込むことが可能で信頼性の高いハンドを構成するのに適している。
【0017】
なお、本実施例では代表として図2及び図3に示すハンド構成を例示したが、種々の変形が可能である。
例えば、可動基板保持部材30や固定基板保持部材31は、本実施例では断面にV字溝を有する円柱形状としたが、V字溝を有していれば、これに限られるものではない。本実施例のように平面視において円形状としておけば、基板のエッジと接触する部分を最小とすることができる。また、可動基板保持部材30や固定基板保持部材31を円形状としたうえで、これらをさらに鉛直軸を中心としてベース21に対して回転可能にするように形成しても良い。また、基板の外周の形状に倣う形、例えば基板が円板状ならば、これらの押し付け部材は円弧形状とすればよい。
また例えば、本実施例では可動基板保持部材30を1つ、固定基板保持部材31を2つで構成したが、可動基板保持部材30をプッシュロッド29上に2つにしてもよい。また、可動基板保持部材30をプッシュロッド29上に2つにしたうえで、固定基板保持部材31を1つとしてもよい。いずれにしても、これら押し付け部材が基板の周囲を3点以上で把持できれば、確実な把持が可能である。
また例えば、本実施例ではスライドベース23および基板受け座28が、固定基板保持部材31を支持する二股のフォーク状の間に位置するよう構成したが、これらを二股のフォークの外側に位置するよう構成することも可能である。また、ベース21は先端側が二股の形状に限られることはない。
また、本実施例では可動する基板搬送装置に本発明のハンドを取り付けることを例示したが、本発明によれば上下および水平方向に確実な基板の把持を行なえるので、例えば、基板の洗浄装置において基板を回転させる機構の基板把持部に適用できるなど、基板を把持する把持機構に広く適用できる。
上記いずれの変形例にしても、把持動作のときに、基板が載置される基板受け座28が基端側の可動基板保持部材30とともに基板を載せたまま先端側に移動し、基板が固定基板保持部材31と可動基板保持部材30のV字溝に係止できるよう構成し、また、開放動作のときに、基板受け座28が可動基板保持部材30基板とともに基端側へ移動して、少なくとも基板と固定基板保持部材31との間に空隙33を形成する位置まで移動して停止し、さらに可動基板保持部材30が、基板との間に空隙33を形成するまで基端側に移動できるような構成とした範囲内であれば、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0018】
1 ハンド
2 基板
3 エアーシリンダ
4 基板受け座
5 基板保持部材(基端側)
6 基板保持部材(先端側)
7 固定アーム
8 回転支持ピン
9 回転支持ピン
10 回転リンク
11 直動ガイド
12 可動ロッド
13 フラットバー
14 支持ピン

21 ベース
22 エアーシリンダ
23 スライドベース
24 ガイド
25 板ばね
26 ストッパ
27 基板
28 基板受け座
29 プッシュロッド
30 基板保持部材(可動側)
31 基板保持部材(固定側)
32 プッシュロッド部空隙
33 基板保持部材部空隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の周囲の一部を把持するための基板把持ハンドであって、
ベース部材と、
前記ベース部材に支持され、少なくとも基準位置と把持位置との間をスライド可能であって、前記基板が載置されるスライド部材と、
前記スライド部材と接触してこれを前記把持位置へスライドさせることが可能であって、前記スライド部材が前記基準位置にあるときはこれと離れる駆動部と、
前記スライド部材が前記基準位置にあるとき前記スライド部材に載置された前記基板の周囲と一定の隙間を有するように前記ベース部材に固定され、前記スライド部材が前記把持位置にあるとき前記スライド部材に載置された前記基板の周囲の一部を保持する第1の基板保持部材と、
前記駆動部とともに移動可能であって、前記スライド部材が前記基準位置にあるとき前記スライド部材に載置された前記基板の周囲と一定の隙間を有するように配置され、前記駆動部が前記基準位置にある前記スライド部材と接触を開始したときに前記スライド部材に載置された前記基板の周囲の一部を保持する第2の基板保持部材と、
を備えたことを特徴とする基板把持ハンド。
【請求項2】
前記基準位置は、前記スライド部材が、前記ベース部材に設けられたストッパに接触し、前記反力部材によって前記ストッパに押し付けられた状態の位置であることを特徴とする請求項1記載の基板把持ハンド。
【請求項3】
前記把持位置は、前記スライド部材に載置された前記基板の周囲の一部が、前記第1と第2の基板保持部材に保持される位置であることを特徴とする請求項1記載の基板把持ハンド。
【請求項4】
前記スライド部材を常に前記基準位置へ移動させる方向に力を加える反力部材を備えたことを特徴とする請求項1記載の基板把持ハンド。
【請求項5】
前記スライド部材を前記把持位置から前記基準位置へ移動させるとき、前記スライド部材は前記反力部材の力によって前記基準位置へと移動し、前記基準位置へと到達したのち、さらに前記駆動部は、前記第2の基板保持部材が前記基板の周囲と前記一定の隙間を有するまで移動することを特徴とする請求項4記載の基板把持ハンド。
【請求項6】
前記第1と第2の基板保持部材は、前記基板のエッジの上下と同時に接触可能なV字溝によって前記基板を保持することを特徴とする請求項1記載の基板把持ハンド。
【請求項7】
前記第2の基板保持部材が前記駆動部上に配置され、前記駆動部が前記スライド部材を前記把持位置へ移動させるとき、前記第2の基板保持部材が前記基板の周囲の一部と接触すると同時に前記スライド部材と接触を開始する位置に配置されることを特徴とする請求項1記載の基板把持ハンド。
【請求項8】
前記スライド部材は、前記ベース部材に対してリニアガイドによってスライド可能に支持されることを特徴とする請求項1記載の基板把持ハンド。
【請求項9】
前記スライド部材は、前記ベース部材に対してすべり軸受けによってスライド可能に支持されることを特徴とする請求項1記載の基板把持ハンド。
【請求項10】
前記スライド部材は、前記基板を載置する基板受け座を有し、前記基板受け座が樹脂で形成されることを特徴とする請求項1記載の基板把持ハンド。
【請求項11】
前記反力部材は、板ばねによって構成されることを特徴とする請求項4記載の基板把持ハンド。
【請求項12】
前記反力部材は、圧縮バネによって構成されることを特徴とする請求項4記載の基板把持ハンド。
【請求項13】
前記反力部材は、引っ張りバネによって構成されることを特徴とする請求項4記載の基板把持ハンド。
【請求項14】
前記駆動部の駆動源は、エアーシリンダによって構成されることを特徴とする請求項1記載の基板把持ハンド。
【請求項15】
前記駆動部の駆動源は、リニアモータによって構成されることを特徴とする請求項1記載の基板把持ハンド。
【請求項16】
前記駆動部の駆動源は、回転型モータとボールネジとの組み合わせによって構成されることを特徴とする請求項1記載の基板把持ハンド。
【請求項17】
前記駆動部の駆動源は、回転型モータと歯車との組み合わせによって構成されることを特徴とする請求項1記載の基板把持ハンド。
【請求項18】
前記第1と第2の基板保持部材が、平面視において円形状に形成されることを特徴とする請求項1記載の基板把持ハンド。
【請求項19】
前記第1と第2の基板保持部材が、回転可能に構成されることを特徴とする請求項18記載の基板把持ハンド。
【請求項20】
前記第1と第2の基板保持部材が、平面視において前記基板の周囲の形状に倣う形状に形成されることを特徴とする請求項1記載の基板把持ハンド。
【請求項21】
請求項1記載の基板把持ハンドを備えたことを特徴とする基板搬送装置。
【請求項22】
請求項21記載の基板搬送装置を備えたことを特徴とする半導体製造装置。
【請求項23】
請求項21記載の基板搬送装置を備えたことを特徴とする液晶製造装置。
【請求項24】
請求項21記載の基板搬送装置を備えたことを特徴とする検査装置。
【請求項25】
基板の周囲の一部を把持するための基板把持機構であって、
ベース部材と、
前記ベース部材に支持され、少なくとも基準位置と把持位置との間をスライド可能であって、前記基板が載置されるスライド部材と、
前記スライド部材と接触してこれを前記把持位置へスライドさせることが可能であって、前記スライド部材が前記基準位置にあるときはこれと離れる駆動部と、
前記スライド部材が前記基準位置にあるとき前記スライド部材に載置された前記基板の周囲と一定の隙間を有するように前記ベース部材に固定され、前記スライド部材が前記把持位置にあるとき前記スライド部材に載置された前記基板の周囲の一部を保持する第1の基板保持部材と、
前記駆動部とともに移動可能であって、前記スライド部材が前記基準位置にあるとき前記スライド部材に載置された前記基板の周囲と一定の隙間を有するように配置され、前記駆動部が前記基準位置にある前記スライド部材と接触を開始したときに前記スライド部材に載置された前記基板の周囲の一部を保持する第2の基板保持部材と、
を備えたことを特徴とする基板把持機構。
【請求項26】
前記基準位置は、前記スライド部材が、前記ベース部材に設けられたストッパに接触し、前記反力部材によって前記ストッパに押し付けられた状態の位置であることを特徴とする請求項25記載の基板把持機構。
【請求項27】
前記把持位置は、前記スライド部材に載置された前記基板の周囲の一部が、前記第1と第2の基板保持部材に保持される位置であることを特徴とする請求項25記載の基板把持機構。
【請求項28】
前記スライド部材を常に前記基準位置へ移動させる方向に力を加える反力部材を備えたことを特徴とする請求項25記載の基板把持機構。
【請求項29】
前記スライド部材を前記把持位置から前記基準位置へ移動させるとき、前記スライド部材は前記反力部材の力によって前記基準位置へと移動し、前記基準位置へと到達したのち、さらに前記駆動部は、前記第2の基板保持部材が前記基板の周囲と前記一定の隙間を有するまで移動することを特徴とする請求項28記載の基板把持機構。
【請求項30】
前記第1と第2の基板保持部材は、前記基板のエッジの上下と同時に接触可能なV字溝によって前記基板を保持することを特徴とする請求項25記載の基板把持機構。
【請求項31】
前記第2の基板保持部材が前記駆動部上に配置され、前記駆動部が前記スライド部材を前記把持位置へ移動させるとき、前記第2の基板保持部材が前記基板の周囲の一部と接触すると同時に前記スライド部材と接触を開始する位置に配置されることを特徴とする請求項25記載の基板把持機構。
【請求項32】
前記スライド部材は、前記ベース部材に対してリニアガイドによってスライド可能に支持されることを特徴とする請求項25記載の基板把持機構。
【請求項33】
前記スライド部材は、前記ベース部材に対してすべり軸受けによってスライド可能に支持されることを特徴とする請求項25記載の基板把持機構。
【請求項34】
前記スライド部材は、前記基板を載置する基板受け座を有し、前記基板受け座が樹脂で形成されることを特徴とする請求項25記載の基板把持機構。
【請求項35】
前記反力部材は、板ばねによって構成されることを特徴とする請求項28記載の基板把持機構。
【請求項36】
前記反力部材は、圧縮バネによって構成されることを特徴とする請求項28記載の基板把持機構。
【請求項37】
前記反力部材は、引っ張りバネによって構成されることを特徴とする請求項28記載の基板把持機構。
【請求項38】
前記駆動部の駆動源は、エアーシリンダによって構成されることを特徴とする請求項25記載の基板把持機構。
【請求項39】
前記駆動部の駆動源は、リニアモータによって構成されることを特徴とする請求項25記載の基板把持機構。
【請求項40】
前記駆動部の駆動源は、回転型モータとボールネジとの組み合わせによって構成されることを特徴とする請求項25記載の基板把持機構。
【請求項41】
前記駆動部の駆動源は、回転型モータと歯車との組み合わせによって構成されることを特徴とする請求項25記載の基板把持機構。
【請求項42】
前記第1と第2の基板保持部材が、平面視において円形状に形成されることを特徴とする請求項25記載の基板把持機構。
【請求項43】
前記第1と第2の基板保持部材が、回転可能に構成されることを特徴とする請求項42記載の基板把持機構。
【請求項44】
前記第1と第2の基板保持部材が、平面視において前記基板の周囲の形状に倣う形状に形成されることを特徴とする請求項25記載の基板把持機構。
【請求項45】
請求項25記載の基板把持機構を備えたことを特徴とする半導体製造装置。
【請求項46】
請求項25記載の基板把持機構を備えたことを特徴とする液晶製造装置。
【請求項47】
請求項25記載の基板把持機構を備えたことを特徴とする検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−186850(P2010−186850A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−29517(P2009−29517)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】