説明

基板搬送装置

【課題】装置の近傍に基板を搬送したときに、基板の下方にスライダベースが存在しないようにすることができる基板搬送装置を提供することを課題とする。
【解決手段】基板搬送装置1であって、本体部10に支持された第一スライダベース20と、第一スライダベース20の第一ガイドレール22に沿って移動自在な第二スライダベース30と、第二スライダベース30の第二ガイドレール32に沿って移動自在なハンド部材40と、第二スライダベース30に連動してハンド部材40を移動させる連動機構50とを備え、連動機構50は、第二スライダベース20に連動して回転する第一連動ギヤ51と、第一連動ギヤ51に対してギヤ比が小さい第二連動ギヤ53とを備え、第二スライダベース20に第一連動ギヤ51及び第二連動ギヤ53が取り付けられ、第一連動ギヤ51に連動する第二連動ギヤ53によってハンド部材40が送り出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を搬送するための基板搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程で使用されるシリコンウェハや、液晶パネル製造工程で使用されるガラス基板などの平板状の円形基板を、所定の位置に搬送するための基板搬送装置100としては、図5に示すように、本体部110と、この本体部110に横回転及び昇降自在に支持された第一スライダベース120と、この第一スライダベース120に取り付けられた第一ガイドレールに沿って横方向に移動自在な第二スライダベース130と、この第二スライダベース130に取り付けられた第二ガイドレールに沿って横方向に移動自在なハンド部材140と、第二スライダベース130の横方向の移動に連動して、ハンド部材140を同一方向に移動させる連動機構と、を備えているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記した従来の基板搬送装置100では、ハンド部材140の先端部に円形基板Wを吸着保持し、第一スライダベース120を本体部110に対して横回転及び昇降させるとともに、第二スライダベース130及びハンド部材140をそれぞれ横方向に移動させることで、円形基板Wを所定の位置に搬送することができる。このような多段スライド構造の基板搬送装置100は、構造が簡単であるとともに、搬送精度が高くなっている。
【0004】
なお、前記した従来の基板搬送装置100では、第二スライダベース130に連動してハンド部材140が移動したときに、第二スライダベース130の第一スライダベース120に対する移動量と、ハンド部材140の第二スライダベース130に対する移動量とが等しくなっている。ハンド部材140は第二スライダベース130に連動して移動するため、第二スライダベース130が第一ガイドレール上を移動する距離と同じ距離を、ハンド部材140が第二ガイドレール上を移動することになり、第二ガイドレールと第一ガイドレールとは同じ長さが必要になっている。
【0005】
【特許文献1】特開2007−095740号公報(段落0015、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記した従来の基板搬送装置100を用いて円形基板Wを所定の位置に搬送したときに、ハンド部材140に保持された円形基板Wの下方に第二スライダベース130の先端部が存在していると、円形基板Wの受け渡しが困難であるとともに、円形基板Wの下方に収容容器を配置するのが困難であるため、円形基板Wを第二スライダベース130よりも外方まで搬送することが望ましい。
【0007】
そこで、前記した従来の基板搬送装置100では、ハンド部材140を先端側に大きく突出させることで、ハンド部材140の先端部に保持される円形基板Wを第二スライダベース130の先方側に配置し、円形基板Wを基板搬送装置100の近傍に搬送した場合であっても、円形基板Wの下方に第二スライダベース130が存在しないようにすることもできるが、ハンド部材140が大きくなり、クリーンルーム内における基板搬送装置100の占有スペースが大きくなるという問題がある。
また、先端部を搬送方向に大きく突出させたハンド部材140によって、液晶パネル製造工程で使用されるガラス基板のように大きな円形基板Wを搬送した場合には、ハンド部材140に作用するモーメントが大きくなるため、ハンド部材140の剛性を高める必要があり、製造コストが高くなるという問題がある。
【0008】
本発明では、前記した問題を解決し、装置の近傍に基板を搬送したときに、基板の下方にスライダベースが存在しないようにすることができ、さらに、装置の占有スペースを小さくするとともに、製造コストを低減することができる基板搬送装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は、基板搬送装置であって、本体部と、前記本体部に横回転及び昇降自在に支持された第一スライダベースと、前記第一スライダベースに取り付けられた第一ガイドレールに沿って横方向に移動自在な第二スライダベースと、前記第二スライダベースに取り付けられた第二ガイドレールに沿って横方向に移動自在であり、基板を保持するハンド部材と、前記第二スライダベースの横方向の移動に連動して、前記ハンド部材を同一方向に移動させる連動機構と、を備え、前記連動機構は、前記第二スライダベースの横方向の移動に連動して回転する第一連動ギヤと、前記第一連動ギヤに対してギヤ比が小さく設定された第二連動ギヤと、前記第二スライダベースに回転自在に支持された回転軸と、を備え、前記回転軸の両端部に前記第一連動ギヤ及び前記第二連動ギヤがそれぞれ取り付けられており、前記第一連動ギヤに連動して回転する前記第二連動ギヤによって、前記ハンド部材が横方向に送り出されることを特徴としている。
【0010】
この構成では、第一連動ギヤに対して第二連動ギヤのギヤ比を小さく設定することで、第二スライダベースの第一スライダベースに対する移動量に比べて、ハンド部材の第二スライダベースに対する移動量が小さくなる。これにより、第二スライダベースが第一ガイドレール上を移動する距離よりも、ハンド部材が第二ガイドレール上を移動する距離が短くなるため、第二ガイドレールを第一ガイドレールよりも短くすることができる。
したがって、第二ガイドレールが取り付けられる第二スライダベースを先端側に突出させる量を小さくすることができるため、装置の近傍に基板を搬送したときに、基板の下方に第二スライダベースが存在しないようにすることができる。
また、ハンド部材を先端側に大きく突出させる必要がなくなり、ハンド部材を小型で簡単な構造にすることができるため、装置の占有スペースを小さくするとともに、製造コストを低減することができる。
【0011】
また、第一連動ギヤに対する第二連動ギヤのギヤ比を調整することで、第二スライダベースの第一スライダベースに対する移動量と、ハンド部材の第二スライダベースに対する移動量との比率を簡単に変えることができる。
【0012】
前記した基板搬送装置において、前記第一連動ギヤは、前記第二スライダベースが横方向に移動したときに、前記第一スライダベースに設けられた連動用ベルトの上面を転動することで、前記第二スライダベースの横方向の移動に連動して回転するように構成することができる。
この構成では、簡単な構成で第一連動ギヤを第二スライダベースに連動させて回転させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の基板搬送装置によれば、第二スライダベースを先端側に突出させる量を小さくすることができるため、装置の近傍に基板を搬送したときに、基板の下方にスライダベースが存在しないようにすることができる。また、装置の占有スペースを小さくするとともに、製造コストを低減することもできる。さらに、第二スライダベースの第一スライダベースに対する移動量と、ハンド部材の第二スライダベースに対する移動量との比率を簡単に変えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態では、半導体製造工程で使用されるシリコンウェハである円形基板を所定の位置に搬送するための基板位置決め装置を例として説明する。なお、以下の説明において、前後左右方向とは、各図に示した前後左右方向に対応している。
【0015】
基板搬送装置1は、図1に示すように、床面上に設置される本体部10と、この本体部10に横回転及び昇降自在に支持された第一スライダベース20と、この第一スライダベース20に設けられた第一ガイドレール22に沿って前後方向に移動自在な第二スライダベース30と、この第二スライダベース30に設けられた第二ガイドレール32に沿って前後方向に移動自在であり、円形基板Wを吸着保持するハンド部材40と、第二スライダベース30の前後方向の移動に連動して、ハンド部材40を前後方向に移動させる連動機構50と、を備えている。
【0016】
本体部10は、床面上に固定される直方体のカバー11を備えており、図3に示すように、カバー11内にはコラムシリンダ12が設けられている。
コラムシリンダ12は、垂直軸であるロッド12aが軸回りに横回転自在であるとともに、ロッド12aが上下方向に伸縮自在な公知のシリンダである。ロッド12aの上端部は、カバー11の上面の中央部に形成された開口部(図示せず)から突出している。
【0017】
第一スライダベース20は、図1に示すように、第一ベース部材21と、この第一ベース部材21の上面に取り付けられた第一ガイドレール22と、この第一ガイドレール22に沿って横方向に移動する第一スライダ23と、後記する第二スライダベース30を第一ガイドレール22に沿って横方向に移動させる駆動機構24と、を備えている。
【0018】
第一ベース部材21は、平板状の部材であり、平面視で長方形に形成され、長手方向が前後方向に配置されている。この第一ベース部材21の下面の中央部には、図3に示すように、コラムシリンダ12のロッド12aの上端面が取り付けられており、第一スライダベース20は、本体部10内に設けられたコラムシリンダ12に横回転及び昇降自在に支持されている。
【0019】
第一ガイドレール22は、図2に示すように、軸断面が矩形の部材であり、軸方向が前後方向に配置された状態で、第一ベース部材21の上面において幅方向の中央よりも左側に取り付けられている。
第一スライダ23は、図1に示すように、下面に前後方向の溝部が形成された門形の部材であり、溝部が第一ガイドレール22の上部に組み付けられることで、第一ガイドレール22に沿って前後方向に移動することができる。
第一ガイドレール22及び第一スライダ23は、第一スライダ23が第一ガイドレール22に沿って横方向にスライド移動する公知のリニアガイドである。
【0020】
駆動機構24は、第一ベース部材21の上面に取り付けられた駆動モータ24aと、この駆動モータ24aの駆動軸24bの先端部に取り付けられた駆動ギヤ24cと、を備えている。
【0021】
駆動モータ24aは、第一ベース部材21の上面後部において幅方向の中央よりも右側に取り付けられた公知の電動モータであり、左方に向けて駆動軸24bが突出している。駆動軸24bの左端部には、駆動軸24bの軸回りに歯面が形成されたピニオンギヤである駆動ギヤ24cが取り付けられている。
【0022】
第一ベース部材21の上面前部において幅方向の略中央部には、第一支持部材24fが立設されている。この第一支持部材24fの上端部には、左右方向の軸回りに歯面が形成されたピニオンギヤである第一従動ギヤ24dが、左右方向の軸回りに回転自在な状態で取り付けられている。第一従動ギヤ24dは、駆動ギヤ24cと同径であり、駆動ギヤ24cと同じ高さに配置されている。
【0023】
駆動ギヤ24cと第一従動ギヤ24dとには、環状の駆動用ベルト24eが掛け渡されている。駆動用ベルト24eの内周面には歯面が形成されており、駆動ギヤ24c及び第一従動ギヤ24dの歯面に噛合している。そして、駆動ギヤ24cが回転することで、駆動用ベルト24eが周方向(右側から見て時計回り及び反時計周り)に回転する。
【0024】
第二スライダベース30は、第一スライダ23の上面に取り付けられた第二ベース部材31と、この第二ベース部材31の側面に取り付けられた第二ガイドレール32と、この第二ガイドレール32に沿って前後方向に移動する第二スライダ33と、を備えている。
【0025】
第二ベース部材31は、水平な底板部31aと、この底板部31aの右側縁部から上方に向けて垂直に立ち上げられた側板部31bと、が形成されたL字形状の部材であり、前後方向に延びている。
【0026】
底板部31aの下面は、第一スライダ23の上面に取り付けられている。また、側板部31bの右側面には、水平な平板状の部材である連結部31cが突出している。連結部31cの下面は、駆動機構24の駆動用ベルト24eの外周面において上側に露出した部位に取り付けられている。第二ベース部材31が第一ガイドレール22の後部に位置しているときには(図1の状態)、連結部31cは駆動用ベルト24eの後部に位置している。
【0027】
そして、駆動用ベルト24eが右側から見て時計回りに回転すると、連結部31cを介して駆動用ベルト24eに連結された第二ベース部材31が第一ガイドレール22に沿って前方に移動する。なお、連結部31cが駆動用ベルト24eの前端部に移動したときに(図2の状態)、駆動用ベルト24eの回転を停止するように駆動モータ24aが制御されている。
一方、図2に示すように、第二ベース部材31が第一ガイドレール22の前部に移動した状態から、駆動用ベルト24eが右側から見て反時計回りに回転すると、第二ベース部材31が第一ガイドレール22に沿って後方に移動し、連結部31cが駆動用ベルト24eの後端部に移動したときに(図1の状態)、駆動用ベルト24eの回転が停止する。
【0028】
第二ガイドレール32は、図1に示すように、軸断面が矩形の部材であり、軸方向が前後方向に配置された状態で、第二ベース部材31の側板部31bの左側面において高さ方向の略中央に取り付けられている(図3参照)。
第二スライダ33は、右側面に前後方向の溝部が形成された門形の部材であり、溝部が第二ガイドレール32の左側部に組み付けられることで、第二ガイドレール32に沿って前後方向に移動することができる。
第二ガイドレール32及び第二スライダ33は、第二スライダ33が第二ガイドレール32に沿って横方向にスライド移動する公知のリニアガイドである。
【0029】
連動機構50は、第二スライダベース30の前後方向の移動に連動して、後記するハンド部材40を前後方向に移動させるための機構である。この連動機構50は、第二ベース部材31の前後方向の移動に連動して回転する第一連動ギヤ51と、第一連動ギヤ51の回転に連動して回転する第二連動ギヤ53と、第二スライダベース30の第二ベース部材31に回転自在に支持された回転軸52と、を備え、回転軸52の両端部に第一連動ギヤ51及び第二連動ギヤ53がそれぞれ取り付けられている。
【0030】
回転軸52は、軸方向が左右方向に配置された水平軸であり、第二ベース部材31の側板部31bの後部を貫通して、側板部31bの左右両側に突出しており、側板部31bに回転自在に支持されている。
回転軸52の右端部には、回転軸52の軸回りに歯面が形成されたピニオンギヤである第一連動ギヤ51が取り付けられている。また、回転軸52の左端部には、回転軸52の軸回りに歯面が形成されたピニオンギヤである第二連動ギヤ53が取り付けられている。
【0031】
第一連動ギヤ51は、第一ベース部材21の上面の前部及び後部にそれぞれ立設された第二支持部材51b及び第三支持部材51cに架設された第一連動用ベルト51dの上面を転動することで、第二スライダベース30の前後方向の移動に連動して回転するように構成されている。
【0032】
第二支持部材51bは、第一ベース部材21の上面の前部において幅方向の中央に立設され、第三支持部材51cは、第一ベース部材21の上面の後部において幅方向の中央に立設されている。なお、第二支持部材51bの上端部に比べて、第三支持部材51cの上端部が低くなっている。
【0033】
第二支持部材51bの上端部と第三支持部材51cの上端部との間には、上面に歯面が形成された第一連動用ベルト51dが架設されており、この第一連動用ベルト51dの歯面には、第一連動ギヤ51が噛合している。
第二ベース部材31の側板部31bの右側面において、第一連動ギヤ51の前方には、左右方向の軸回りに周面が形成された補助ローラ51aが回転自在な状態で取り付けられており、第一連動用ベルト51dは、第一連動ギヤ51の前側で補助ローラ51aの上側の周面に沿って斜め上方に案内されている。したがって、第一連動用ベルト51dが第一連動ギヤ51の歯面の下端から前側に亘って、周方向の約四分の一に接触することになるため、第一連動ギヤ51と第一連動用ベルト51dとの噛合領域が大きくなっている。
【0034】
そして、第二ベース部材31が第一ガイドレール22の後部に位置している状態(図1の状態)から、図2に示すように、第二ベース部材31が第一ガイドレール22に沿って前方に移動したときには、第二ベース部材31に取り付けられた第一連動ギヤ51及び補助ローラ51aも前方に移動することになる。このとき、第一連動ギヤ51は、第一ベース部材21に固定された第一連動用ベルト51dの上面を転動しながら前方に移動することになり、第一連動ギヤ51が第二ベース部材31の前方への移動に連動して、右側から見て時計回りに回転する。
一方、第二ベース部材31が第一ガイドレール22の前部に位置している状態(図2の状態)から、図1に示すように、第二ベース部材31が第一ガイドレール22に沿って後方に移動したときには、第一連動ギヤ51は第一連動用ベルト51dの上面を転動しながら後方に移動することになり、第一連動ギヤ51は第二ベース部材31の後方への移動に連動して、右側から見て反時計回りに回転する。
【0035】
第二連動ギヤ53は、回転軸52の左端部に取り付けられており、回転軸52の右端部に取り付けられた第一連動ギヤ51とともに、回転軸52の軸回りに回転する。
本実施形態では、第一連動ギヤ51の歯数を32歯とし、第二連動ギヤ53の歯数を24歯に設定することで、第一連動ギヤ51に対する第二連動ギヤ53のギヤ比が0.75になっており、第二連動ギヤ53は第一連動ギヤ51に対してギヤ比が小さく設定されている。
【0036】
第二ベース部材31の側板部31bの左側面の前部において、第二連動ギヤ53と同じ高さには、左右方向の軸回りに回転自在な状態で第二従動ギヤ53aが取り付けられている。この第二従動ギヤ53aは、第二連動ギヤ53と同径であり、左右方向の軸回りに歯面が形成されたピニオンギヤである。
【0037】
第二連動ギヤ53と第二従動ギヤ53aとには、環状の第二連動用ベルト53bが掛け渡されており、第二連動用ベルト53bの内周面に形成された歯面が、第二連動ギヤ53及び第二従動ギヤ53aの歯面に噛合している。そして、第二連動ギヤ53が回転することで、第二連動用ベルト53bが周方向に回転する。
【0038】
ハンド部材40には、第二スライダ33に取り付けられた支持部41と、円形基板Wを吸着保持する保持部42と、が形成されている。
【0039】
支持部41は、平板状の部材であり、側面視で長方形に形成されており、長手方向が上下方向に配置されている。この支持部41の右側面の下端部は、第二スライダ33の左側面に取り付けられている(図3参照)。また、支持部41の上端部は、連動機構50の第二連動用ベルト53bよりも上方に突出している。
【0040】
支持部41の右側面の上部には、平板状の連結部41aが水平に突出している。連結部41aの下面は、連動機構50の第二連動用ベルト53bの外周面において上側に露出した部位に取り付けられている。第二スライダ33が第二ガイドレール32の後部に位置しているときには(図1の状態)、連結部41aは第二連動用ベルト53bの後部に位置している。
【0041】
そして、第二連動用ベルト53bが右側から見て時計回りに回転すると、連結部41aを介して第二連動用ベルト53bに連結されたハンド部材40が第二ガイドレール32に沿って前方に移動する。
一方、図2に示すように、ハンド部材40が第二ガイドレール32の前部に移動した状態から、第二連動用ベルト53bが右側から見て反時計回りに回転すると、ハンド部材40が第二ガイドレール32に沿って後方に移動する。
【0042】
保持部42は、支持部41の上端部から前方に向けて水平に突出した平板状の部位であり、平面視で長方形に形成されており、保持部42の右側縁部の後部が支持部41の上端部に連結されている。
保持部42の内部には、真空引き用の配管(図示せず)が設けられており、保持部42の上面の先端領域に形成された多数の微細吸引孔42aから真空引きすることで、保持部42の先端部に円形基板Wを吸着保持することができる。
【0043】
以上のように構成された基板搬送装置1では、次のように動作して本発明の作用効果を奏する。
ここでは、図1に示すように、第二スライダベース30が第一スライダベース20の後部に位置するとともに、ハンド部材40が第二スライダベース30の後部に位置している状態から、図2に示すように、第二スライダベース30及びハンド部材40を前方に移動させることで、第二スライダベース30及びハンド部材40からなる多段スライド構造を前方に向けて伸長させる場合について説明する。
【0044】
第一スライダベース20の駆動モータ24aを駆動させて駆動ギヤ24cを回転させ、駆動用ベルト24eを右側から見て時計回りに回転させると、駆動用ベルト24eに連結された第二スライダベース30の第二ベース部材31が第一ガイドレール22に沿って前方に移動する(図2参照)。
【0045】
第二ベース部材31が第一ガイドレール22に沿って前方に移動すると、第二ベース部材31に取り付けられた第一連動ギヤ51は、第一連動用ベルト51dの上面を転動しながら前方に移動し、第一連動ギヤ51が右側から見て時計回りに回転する。
また、第一連動ギヤ51とともに第二連動ギヤ53が回転することで、第二連動用ベルト53bが右側から見て時計回りに回転し、第二連動用ベルト53bに連結されたハンド部材40が第二ガイドレール32に沿って前方に移動する。
【0046】
このようにして、第二スライダベース30及びハンド部材40からなる多段スライド構造を前方に向けて伸長させることで、図2に示すように、ハンド部材40の先端部に吸着保持された円形基板Wを、本体部10の前方に設定された所定の位置に搬送することができる。
【0047】
ここで、本実施形態の基板搬送装置1では、第二スライダベース30の前後方向の移動に連動して回転する第一連動ギヤ51に対して、ハンド部材40を前後方向に移動させるための第二連動ギヤ53のギヤ比が0.75に設定されている。つまり、本実施形態の基板搬送装置1では、第二スライダベース30の第一スライダベース20に対する移動量に比べて、ハンド部材40の第二スライダベース30に対する移動量が小さくなっている。
【0048】
本実施形態では、第二スライダベース30の第一スライダベース20に対する移動量を1とした場合、ハンド部材40の第二スライダベース30に対する移動量が0.75の比率となる。したがって、第二スライダベース30が第一ガイドレール22上を移動する距離を仮に100とした場合、ハンド部材40が第二ガイドレール32上を移動する距離は75と短くなるため、第二ガイドレール32を第一ガイドレール22よりも短くすることができる。本実施形態の基板搬送装置1では、第一ガイドレール22の前後方向の長さを1とした場合、第二ガイドレール32の前後方向の長さが0.75の比率になっている。
【0049】
本実施形態の基板搬送装置1では、図4(a)に示すように、第二ガイドレール32を第一ガイドレール22よりも短くすることができ、第二ガイドレール32が取り付けられる第二スライダベース30を先端側(前方側)に突出させる量を小さくすることができるため、基板搬送装置1の近傍に円形基板Wを搬送したときに、円形基板Wの下方に第二スライダベース30が存在しないようにすることができる。
また、ハンド部材40を先端側に大きく突出させる必要がなくなり、ハンド部材40を小型で簡単な構造にすることができるため、基板搬送装置1の占有スペースを小さくするとともに、製造コストを低減することができる。
【0050】
なお、比較例として図4(b)に示した基板搬送装置1´では、第二スライダベース30´の第一スライダベース20に対する移動量と、ハンド部材40の第二スライダベース30´に対する移動量とが等しくなっている。この構成では、第二ガイドレール32´は第一ガイドレール22の前後方向の長さと同じ長さが必要となり、この第二ガイドレール32´に対応させて、第二スライダベース30´の前後方向の長さが設定されている。そのため、比較例の基板搬送装置1´では、本実施形態の基板搬送装置1(図4(a)参照)の第二スライダベース30よりも、第二スライダベース30´が前後方向に大きくなっている。
そして、図4(a)及び(b)に示すように、基板搬送装置1,1´の近傍である位置Aまで円形基板Wの中心を搬送したときに、本実施形態の基板搬送装置1では、円形基板Wの下方に第二スライダベース30が存在しないが、比較例の基板搬送装置1´では、第二スライダベース30´が、本実施形態の基板搬送装置1の第二スライダベース30よりも前後方向に大きいため、円形基板Wの下方に第二スライダベース30´が存在することになる。
【0051】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に設計変更が可能である。
図1に示す本実施形態の基板搬送装置1では、第二スライダベース30の第一スライダベース20に対する移動量を1とした場合、ハンド部材40の第二スライダベース30に対する移動量が0.75の比率となるように、第一連動ギヤ51に対する第二連動ギヤ53のギヤ比を0.75に設定しているが、第二スライダベース30の第一スライダベース20に対する移動量に比べて、ハンド部材40の第二スライダベース30に対する移動量が小さくなるように、第一連動ギヤ51に対する第二連動ギヤ53のギヤ比が設定されていればよい。例えば、第一連動ギヤ51に対する第二連動ギヤ53のギヤ比を0.5とした場合には、第二ガイドレール32の長さを第一ガイドレール22の長さに比べて更に小さくすることができるため、円形基板Wをより近傍に搬送しても、円形基板Wの下方に第二スライダベース30が存在しない。
【0052】
また、本実施形態の基板搬送装置1では、第二スライダベース30の第一スライダベース20に対する移動と、ハンド部材40の第二スライダベース30に対する移動とに公知のリニアスライダを用いているが、第二スライダベース30が第一スライダベース20に対してスライド移動するとともに、ハンド部材40が第二スライダベース30に対してスライド移動することができるのであれば、その構成は限定されるものではなく、例えば、ラック・ピニオン機構を用いることもできる。
【0053】
また、第一スライダベース20及び第二スライダベース30を覆う箱状のカバーを設け、このカバー内の空気を本体部10内に排気する排気ファンを設けた場合には、第二スライダベース30やハンド部材40の移動に伴って発生したパーティクルを本体部10内に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本実施形態の基板搬送装置において、多段スライド構造が縮退した状態を示した斜視図である。
【図2】本実施形態の基板搬送装置において、多段スライド構造が伸長した状態を示した斜視図である。
【図3】本実施形態の基板搬送装置を示した側面図である。
【図4】本実施形態の基板搬送装置と比較例の基板搬送装置とを示した図で、(a)は本実施形態の基板搬送装置の側面図、(b)は比較例の基板判装置の側面図である。
【図5】従来の基板搬送装置を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0055】
1 基板搬送装置
10 本体部
12a コラムシリンダ
20 第一スライダベース
21 第一ベース部材
22 第一ガイドレール
23 第一スライダ
24 駆動機構
24a 駆動モータ
24c 駆動ギヤ
24d 第一従動ギヤ
24e 駆動用ベルト
30 第二スライダベース
31 第二ベース部材
32 第二ガイドレール
33 第二スライダ
40 ハンド部材
50 連動機構
51 第一連動ギヤ
51d 第一連動用ベルト
52 回転軸
53 第二連動ギヤ
53a 第二従動ギヤ
53b 第二連動用ベルト
W 円形基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部に横回転及び昇降自在に支持された第一スライダベースと、
前記第一スライダベースに取り付けられた第一ガイドレールに沿って横方向に移動自在な第二スライダベースと、
前記第二スライダベースに取り付けられた第二ガイドレールに沿って横方向に移動自在であり、基板を保持するハンド部材と、
前記第二スライダベースの横方向の移動に連動して、前記ハンド部材を同一方向に移動させる連動機構と、を備え、
前記連動機構は、
前記第二スライダベースの横方向の移動に連動して回転する第一連動ギヤと、
前記第一連動ギヤに対してギヤ比が小さく設定された第二連動ギヤと、
前記第二スライダベースに回転自在に支持された回転軸と、を備え、
前記回転軸の両端部に前記第一連動ギヤ及び前記第二連動ギヤがそれぞれ取り付けられており、前記第一連動ギヤに連動して回転する前記第二連動ギヤによって、前記ハンド部材が横方向に送り出されることを特徴とする基板搬送装置。
【請求項2】
前記第一連動ギヤは、前記第二スライダベースが横方向に移動したときに、前記第一スライダベースに設けられた連動用ベルトの上面を転動することで、前記第二スライダベースの横方向の移動に連動して回転することを特徴とする請求項1に記載の基板搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−17836(P2010−17836A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−183068(P2008−183068)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【出願人】(507384722)アテル株式会社 (3)
【Fターム(参考)】