説明

基板材の表面処理装置

【課題】第1に、処理液の更新が促進されて、液溜まりや滞留は発生せず、表面処理の遅速,過不足,バラツキ等が解消され、第2に、しかもこれが簡単な構成により、コスト面にも優れて実現される、基板材の表面処理装置を提案する。
【解決手段】この表面処理装置15は、電子回路基板の製造工程で使用され、搬送される基板材Aに対し、上下のスプレーノズル16,17から処理液Bを噴射して表面処理する。スプレーノズル16,17は、基板材Aの搬送方向に複数本配設されたスプレー管19,20に、それぞれ多数個設けられており、上側の各スプレー管19は、左右に往復揺動する首振りオシレーション方式よりなると共に、中央側のスプレー管19の揺動角度が、左右側のスプレー管19の揺動角度より、大きく設定されている。もって処理液Bは、基板材A上を左右方向Cに向け、液溜まりや滞留のない規則的な流れを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板材の表面処理装置に関する。すなわち、電子回路基板の製造工程で使用され、基板材を処理液にて表面処理する、表面処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
《技術的背景》
プリント配線基板,その他の電子回路基板の代表的な製造工程では、銅張り積層板よりなる基板材の外表面に、→まず、感光性のレジストが、塗布又は張り付けられる。→それから、回路のネガフィルムを当てて露光した後、→回路形成部分以外のレジストを、現像により溶解除去し、→もって露出した回路形状部分以外の銅箔を、エッチングにより溶解除去してから、→回路形成部分のレジストを、剥離により溶解除去する。
このようなプロセスを辿ることにより、基板材の外表面に残った銅箔にて電子回路が形成され、電子回路基板が製造されていた。
そして、図4や図5の(1)図に示したように、上述した現像工程,エッチング工程,剥離工程等では、それぞれ、現像装置,エッチング装置,剥離装置等の表面処理装置1にて、基板材Aに対し、スプレーノズル2から現像液,エッチング液,剥離液等の処理液Bが、噴射される。もって基板材Aが、現像,エッチング,剥離等、表面処理されていた。
図4や図5の(1)図中、3は、基板材Aを搬送するコンベア4の搬送ローラー、5は処理液Bの液槽、6は配管、7はポンプである。
【0003】
《従来技術》
ところで、この種の表面処理装置1にあっては、噴射された処理液Bが順次更新されつつ、基板材Aを表面処理することが、重要である。
これに対し、図5の(2)図に示したように、処理液Bの液溜まりや滞留Dが発生して、更新が滞ると、基板材Aの表面処理に遅速,過不足,バラツキ等が発生する。もって、表面処理が不均一化し、処理精度低下して、均一な回路形成に支障が生じるようになる。図5の(2)図中、Eは形成される回路である。
そこで更新促進、そして液溜まりや滞留D解消をめざし、従来例の表面処理装置1では、図3に示したように、スプレーノズル2付で搬送方向Fに配設されたスプレー管8を(図4も参照)、すべて一定揺動角度で左右方向Cに往復揺動させる、首振りオシレーション方式が採用されていた。
オシレーション機構9は、モータ10,クランク11,バー12,ピン13,レバー14等を、順に備えてなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
このような表面処理装置1としては、例えば、次の特許文献1,特許文献2,特許文献3,特許文献4(従来技術の記載)、等に示されたものが挙げられる。
【特許文献1】特開平5−114778号公報
【特許文献2】特開平5−309294号公報
【特許文献3】特開2000−212774号公報
【特許文献4】特開2007−109987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
《課題となる問題点》
ところで、この種従来例の表面処理装置1については、次の課題が指摘されていた。すなわち、依然として液溜まりや滞留Dが発生して更新が滞り、処理精度等に問題が生じることが多々あった。
前述したように、この種従来例では、一定揺動角度の首振りオシレーション方式が、このような問題に対する対策として採用されており、一応の成果を挙げてはいたが、未だ問題の完全解決には至っていなかった。
すなわち依然として、上側から基板材上に噴射された処理液Bが、基板材A上を左方向又は右方向に向け規則的に流れず、基板材Aの中央部等にて液溜まりや滞留Dを形成してしまうことが、多々あった。
液溜まりや滞留D箇所では、新鮮な処理液Bへの更新が滞って、表面処理に遅れや不足が生じ、もって基板材A全体の表面処理に、遅速,過不足,バラツキ等が発生していた。このように依然として、表面処理の不均一化,処理精度の低下,回路E形成の不均一化等の問題が、指摘されていた。
これに対し、下側から基板材Aに噴射される処理液Bに関しては、スプレー後に基板材A下面から自然落下するので、上述した問題は生じていなかった。
【0006】
《本発明について》
本発明の基板材の表面処理装置は、このような実情に鑑み、上記従来例の課題を解決すべくなされたものである。
そして本発明は、第1に、処理液の更新が促進されて、液溜まりや滞留が解消され、第2に、しかもこれが簡単容易に実現される、表面処理装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
《請求項について》
このような課題を解決する本発明の技術的手段は、次のとおりである。まず、請求項1については次のとおり。
請求項1の基板材の表面処理装置は、電子回路基板の製造工程で使用され、搬送される基板材に対し、スプレーノズルから処理液を噴射して表面処理する。該スプレーノズルは、該基板材の前後の搬送方向に複数本配設されたスプレー管に、それぞれ多数個設けられている。
そして各該スプレー管は、その軸を中心に左右に往復揺動する首振りオシレーション方式よりなると共に、中央側の該スプレー管の揺動角度が、左右両側の該スプレー管の揺動角度より、大きく設定されていること、を特徴とする。
請求項2については、次のとおり。請求項2の基板材の表面処理装置では、請求項1において、該基板材は、コンベアにて水平搬送され、該スプレーノズルは、該スプレー管に一定ピッチ間隔で設けられている。そして該スプレー管は、該基板材の搬送方向に略沿って、複数本平行に配設されていること、を特徴とする。
【0008】
請求項3については、次のとおり。請求項3の基板材の表面処理装置では、請求項1において、該スプレーノズルそして該スプレー管は、該基板材の上側に対向配設されていること、を特徴とする。
請求項4については、次のとおり。請求項4の基板材の表面処理装置では、請求項3において、上側の該スプレーノズルから該基板材上に噴射された処理液は、中央側の該スプレー管の揺動角度が大きく設定されていることに基づき、該基板材の外表面上を左方向又は右方向に向け、液溜まりや滞留のない規則的な流れを形成する。
もって、順次更新されつつ該基板材を表面処理した後、左右両サイドから流下して行くこと、を特徴とする。
請求項5については、次のとおり。請求項5の基板材の表面処理装置では、請求項4において、該スプレー管は、中央側の単数又は複数本のスプレー管と、左右両側のそれぞれ複数本のスプレー管とからなる。
そして、中央側の該スプレー管の揺動角度が、垂直センター振分けで左右に35°程度に設定され、左右両側の該スプレー管の揺動角度が、垂直センター振分けで左右に20°程度に設定されていること、を特徴とする。
請求項6については、次のとおり。請求項6の基板材の表面処理装置では、請求項1において、該表面処理装置は、現像工程,エッチング工程,剥離工程,又は洗浄工程で使用される。そして該スプレーノズルは、現像液,エッチング液,剥離液,又は洗浄液を、該処理液として噴射すること、を特徴とする。
【0009】
《作用等について》
本発明は、このような手段よりなるので、次のようになる。
(1)この表面処理装置は、電子回路基板の製造工程で使用される。
(2)そして、スプレーノズルから処理液を噴射して、基板材を表面処理する。
(3)さて、この表面処理装置では、スプレー管について、首振りオシレーション方式が採用されている。
(4)そして本発明では、上側のスプレー管そしてスプレーノズルについて、中央側のものの揺動角度(オシレーション角度,首振り角度)が、左右両側のものより大きく設定されている。
(5)そこで、噴射された処理液は、基板材上を左方向又は右方向に向け、規則的な流れを形成した後、排出,流下される。
(6)すなわち、中央側のスプレーノズルから噴射される処理液は、より大きな揺動角度に基づく噴射角度であることに基づき、左右両側のスプレーノズルから噴射された処理液を、表面処理後直ちに、左右方向に押し流す機能を発揮する。
(7)このようにして処理液は、基板材上で、順次新鮮なものへと更新される。
(8)従って本発明によると、液溜まりや滞留による表面処理遅れや不足が発生することなく、均一な表面処理が実現される。
(9)しかも、中央側のスプレー管の揺動角度を大きく設定することは、簡単容易に実現可能である。
(10)さてそこで、本発明の基板材の表面処理装置は、次の効果を発揮する。
【発明の効果】
【0010】
《第1の効果》
第1に、処理液の更新が促進されて、液溜まりや滞留が解消される。すなわち、本発明の表面処理装置では、スプレー管について、首振りオシレーション方式が採用されると共に、上側のスプレー管は、中央側のものの揺動角度が、左右両側のものより大きく設定されている。もって処理液は、基板材上を左右に規則的に流れて、表面処理する。
従って、前述したこの種従来例のように中央部等に液溜まりや滞留は発生せず、液掃け性が向上し、処理液の更新が促進される。もって、表面処理に遅れや不足が生じることもなく、表面処理の遅速,過不足,バラツキ等は解消される。表面処理の均一化,処理の精度向上,回路形成の均一化等が実現される。
【0011】
《第2の効果》
第2に、しかもこれは、簡単容易に実現される。すなわち、本発明の表面処理装置は、従来よりの首振りオシレーション方式のスプレー管について、中央側の揺動角度を左右両側より大きく設定するという、簡単な構成により、上述した第1の効果が容易に実現される。
つまり、揺動角度の設定変更という簡単な構成により、コスト面にも優れて、上述した処理液の更新促進が実現される。又、既存の表面処理装置について、首振りオシレーション方式のスプレー管の揺動角度を変更するだけで、容易に後付け採用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る基板材の表面処理装置について、発明を実施するための形態の説明に供し、スプレーノズル等を示す。そして(1)図は、右オシレーション時の正面図、(2)図は、左オシレーション時の正面図である。
【図2】同発明を実施するための形態の説明に供し、オシレーション機構等を示す。そして(1)図は、正面図、(2)図は、要部の平面図である。
【図3】この種従来例の表面処理装置の説明に供し、(1)図は、スプレーノズル等の正面図、(2)図は、オシレーション機構等の正面図である。
【図4】表面処理装置の説明に供し、(1)図は、平面図、(2)図は、側面図である。
【図5】(1)図は、表面処理装置の要部斜視図、(2)図は、電子回路基板の平面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。
《表面処理装置15について》
図1等に示したように、本発明の基板材Aの表面処理装置15は、電子回路基板の製造工程で使用され、搬送される基板材Aに対し、スプレーノズル16,17から処理液Bを噴射して、表面処理する(製造工程等については、前述した背景技術欄も参照)。
すなわち、この表面処理装置15は、エッチング工程を始め現像工程や剥離工程、更にはこれらの工程に付随して設けられた洗浄工程等において、エッチング装置,現像装置,剥離装置,又は洗浄装置等として、使用される。又、代表的にはサブトラクティブ法に適用されるが、それ以外の電子回路基板の各種の製造方法、例えばセミアディティブ法にも適用可能である。
そして表面処理装置15では、チャンバー18内において、コンベア4の搬送ローラー3(図1等では図示を省略、前述した図4の(2)図を参照)で、搬送方向Fに水平搬送される基板材Aに対し、エッチング液,現像液,剥離液等の薬液,又は洗浄液等の処理液Bが、噴射される。もって、処理液Bがスプレーされた基板材Aが、所定の薬液処理や洗浄処理される等、表面処理される。
なお、表面処理後の処理液Bは、液槽5へと流下,回収,貯留された後、ポンプ7,フィルター,配管6等を経由して(前述した図4,図5の(1)図も参照)、再びスプレー管19,20からスプレーノズル16,17へと、循環供給されて再使用される。
表面処理装置15は、概略このようになっている。
【0014】
《本発明の概要》
以下、本発明の表面処理装置15について、図1,図2を参照して説明する。まず、その概要について述べる。
この表面処理装置15において、基板材Aは、コンベア4にて水平搬送される。スプレーノズル16,17は、各スプレー管19,20に一定ピッチ間隔で、それぞれ多数個設けられている。
スプレー管19,20は、基板材Aの前後の搬送方向Fに複数本平行に配設されると共に、その軸を中心に左右方向Cに往復揺動する首振りオシレーション方式よりなる。
そして、基板材Aの上側に対向配設された各スプレー管19は、中央側のスプレー管19の揺動角度が、左右両側のスプレー管19の揺動角度より、大きく設定されている。
本発明の概要は、このようになっている。
【0015】
《本発明の詳細》
このような表面処理装置15について、図1,図2を参照して、更に詳述する。まず、そのスプレー管(シャワー管)19,20、およびスプレーノズル16,17について述べる。
スプレー管19,20は、搬送される基板材Aの上下に対向位置しており、それぞれ、基板材Aの前後の搬送方向Fに略沿って、図示例では7本等複数本が平行に配設されている(図4,図5の(1)図も参照)。なお、各スプレー管19,20は、チャンバー18内において搬送される基板材Aの上下面を、全体的にカバーすべく、搬送方向Fに対し僅かな角度を存し、左右に向け傾斜して配設されている(図4の(1)図を参照)。
基板材Aの上側に配設された各スプレー管19には、スプレーノズル16が、下側に配設された各スプレー管20には、スプレーノズル17が、それぞれ例えば10個等多数個ずつ、相互間に一定ピッチ間隔を存しつつ設けられている。
そして、各スプレー管19,20は、その搬送方向Fの軸を中心に、搬送方向Fとは直角の左右方向Cに向け、所定角度で左右交互に首振り揺動(オシレーション)可能となっている。もって、このような各スプレー管19,20に設けられたスプレーノズル16,17も、同期連動して、同様に首振り揺動可能となっている。
【0016】
オシレーション機構9については、次の通り。図2に示したように、オシレーション用のモータ10の回転運動は、クランク11にて水平面での往復運動に変換された後、そのクランク軸に連結されたバー12に伝達される。
上下のバー12には、それぞれピン13が、左右方向Cに所定ピッチ間隔を置いて、突設付設されている。そして各ピン13に対応して、各レバー14の二股状先端部が、ピン13をそれぞれ抱持すべく位置している。もって、バー12そして各ピン13の左右方向Cへの往復運動が、各レバー14の垂直面での左右方向Cへの揺動運動に、変換される。
そして、上下の各レバー14の基端部が、それぞれ上下のスプレー管19,20に取付け固定されており、もってスプレー管19,20が、揺動運動つまり首振りオシレーションするようになる。
図中21は、レバー14の支点軸、22は、支点軸21の保持プレートである。各スプレー管19,20は、それぞれ、搬送方向Fの一端部を、これらのレバー14や支点軸21で揺動すべく軸支されると共に、他端部が、支点軸(図示せず)にて揺動可能に軸支されている。
【0017】
《揺動角度について》
この表面処理装置15において、スプレー管19,20そしてスプレーノズル16,17は、このようなオシレーション機構9により、首振りオシレーションされる。
そしてまず、下側のスプレー管20そしてスプレーノズル17は、その揺動角度(オシレーション角度,首振り角度)が、一定角度に固定されいる。垂直センターG振分けで、例えば左右にそれぞれ20°の共通揺動角度で、左方向そして右方向へと交互に往復揺動し、前述したこの種従来例のスプレー管8やスプレーノズル2と、変わりはない。
これに対し、上側のスプレー管19そしてスプレーノズル16は、その左右方向Cの中央側のものの揺動角度が、左右両側のものの揺動角度より、大きく設定されている。
スプレー管19は、例えば、左右方向Cの中央側の単数又は複数本のスプレー管19と、左右両側のそれぞれ複数本のスプレー管19とからなる。そして図示例では、中央側のスプレー管19およびスプレーノズル16の揺動角度が、垂直センターG振分けで左右にそれぞれ例えば35°程度に設定されるのに対し、左右両側のスプレー管19およびスプレーノズル16の揺動角度が、垂直センターG振分けで左右にそれぞれ例えば20°程度に設定されている。
【0018】
又、図示例では、全体で7本のスプレー管19中、中央側の3本の揺動角度が、左右両側それぞれ2本の揺動角度より、大きく設定されている。
ところで本発明は、このような図示例によらず、次のように各種の構成が考えられる。第1に、スプレー管19の全体本数は、7本に限定されるものではなく、例えば4本〜9本等、各種可能である。
第2に、中央側のスプレー管19の設定も、図示例のように3本に限定されるものではなく、中央側のスプレー管19は、中央1本とすることも可能であり、更に中央部の2〜5本とすることも可能である。
第3に、要は中央側のスプレー管19の揺動角度が、左右両側のスプレー管19の揺動角度より大きければ良い。例えば順に、揺動角度が大きい中央側のスプレー管19、揺動角度が中程度のスプレー管19、揺動角度が小さい左右両側のスプレー管19と、順次配列することも考えられる。更に、これら相互間に、それぞれ、中間の揺動角度のスプレー管19を、介装することも可能である。
第4に、中央側や左右両側のスプレー管19の揺動角度の設定も、前述した35°や20°に限定されるものではなく、それぞれ、例えば40°〜10°間において各種角度の採用が考えられる。
本発明は、このようになっている。
【0019】
《作用等》
本発明の基板材Aの表面処理装置15は、以上説明したように構成されている。そこで、以下のようになる。
(1)この表面処理装置15は、電子回路基板の製造工程で使用される。すなわち、製造工程の中核をなすエッチング工程を始め、現像工程,剥離工程,洗浄工程等において、エッチング装置、更には現像装置,剥離装置,洗浄装置等として、使用される。
【0020】
(2)そして表面処理装置15は、ワークである基板材Aを処理液Bにて、回路E形成用に表面処理する。すなわち、搬送方向Fに搬送される基板材Aに対し、スプレー管19,20を経由してスプレーノズル16,17から、エッチング液,現像液,剥離液,洗浄液等の処理液Bを噴射し、もって基板材Aをエッチング,現像,剥離,洗浄等、表面処理する(図1等を参照)。
【0021】
(3)さて、この表面処理装置15では、搬送方向Fに配設された上下のスプレー管19,20、そしてそのスプレーノズル16,17について、左右に往復揺動する首振りオシレーション方式が採用されている(図1,図2を参照)。
【0022】
(4)そして、本発明の表面処理装置15では、次の特徴的構成が採用されている。すなわち、上側のスプレー管19そしてスプレーノズル16について、左右方向Cの中央側のものの揺動角度(オシレーション角度,首振り角度)が、左右両側のものより大きく設定されている(図1等を参照)。
【0023】
(5)そこで、上側のスプレーノズル16から噴射された処理液Bは、基板材Aの外表面上を、左右方向Cの左方向又は右方向に向け、早くて規則的な流れを形成する。そして基板材Aを表面処理した後、左右両サイドから排出,流下される。
【0024】
(6)すなわち、中央側のスプレーノズル16から噴射される処理液Bは、より大きな揺動角度に基づく噴射角度であることに基づき、左右両側のスプレーノズル16から噴射された処理液Bを、基板材Aの表面処理後は迅速に、左右方向Cに押流す機能を発揮する。
中央側のスプレーノズル16からの処理液Bは、より低く真横方向に寄った角度で噴射されるので、左右両側のスプレーノズル16から基板材A上にスプレーされた処理液Bを、左側で噴射されたものは左方向に、右側で噴射されたものは右方向に、それぞれ流して排出,除去すべく、加速,加算させる。
そこで例えば、左右両側のスプレーノズル16から噴射された処理液Bが壁となる事態発生は防止され、もって中央側等から噴射された処理液Bにて、基板材Aの中央部等に液溜まりや滞留D(図5の(2)図を参照)が形成されることは、回避される。
【0025】
(7)このようにして、各スプレーノズル16から噴射された処理液Bは、基板材A上において、使用済のものがいつまでも滞ることなく、液掃け性が向上し、順次新しい新鮮なものへと更新されて行く。基板材Aは、噴射された新鮮な処理液Bのみに晒されて、表面処理される。
【0026】
(8)従って、本発明の表面処理装置15によると、中央部等の液溜まりや滞留Dに起因した表面処理遅れや処理不足の発生はなく、基板材Aが均一に表面処理される。基板材Aは、遅速,過不足,バラツキなく、所期の通り表面処理される。
【0027】
(9)しかも、本発明は簡単容易な構成よりなる。すなわち、中央側のスプレー管19の揺動角度を、左右側のスプレー管19より大きく設定するという構成は、簡単容易に実現可能である。
例えば、図2に示したオシレーション機構9にあっては、往復運動を揺動運動に変換する箇所を、設計変更するだけでよい。
すなわち図示例では、ピン13のバー12への突設付設位置を、上下にずらし,変更することにより、レバー14の揺動角度を自在に大小設定可能である。ピン13の位置が上位の場合、レバー14そしてスプレー管19の揺動角度は、小さく設定され、ピン13の位置が下位の場合、レバー14そしてスプレー管19の揺動角度は、大きく設定される。
【0028】
《その他の例について》
本発明に係る基板材Aの表面処理装置15は、中央側のスプレー管19の揺動角度(オシレーション角度,首振り角度)が、例えば図示例のように大きく設定される。
しかし本発明は、このような図示例に限定されるものではなく、各スプレー管19の揺動角度を、中央側のものから左右両側のものへと、徐々に大から小へと設定して行くことも考えられる。
例えば、各スプレー管19について、中央側のものの揺動角度を最も大きく、垂直センターG振分けで例えば35°とすると共に、その左右両側のものの揺動角度を、2°〜5°程度減じ、更にその左右両側のものの揺動角度を、更に2°〜5°程度減じて行く等、揺動角度を順次減じて行き、最左端や最右端のものの揺動角度を、最も小さく例えば20°に設定することが考えられる。
そして、このように、噴射角度を徐々に変えて行くことにより、基板材A上での処理液Bの流れそして更新が、一段とスムーズ化し促進されるという利点がある。
【符号の説明】
【0029】
1 表面処理装置(従来例)
2 スプレーノズル(従来例)
3 搬送ローラー
4 コンベア
5 液槽
6 配管
7 ポンプ
8 スプレー管(従来例)
9 オシレーション機構
10 モータ
11 クランク
12 バー
13 ピン
14 レバー
15 表面処理装置(本発明)
16 スプレーノズル(本発明)
17 スプレーノズル
18 チャンバー
19 スプレー管(本発明)
20 スプレー管
21 支点軸
22 保持プレート
A 基板材
B 処理液
C 左右方向
D 液溜まりや滞留
E 回路
F 搬送方向
G 垂直センター


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子回路基板の製造工程で使用され、搬送される基板材に対し、スプレーノズルから処理液を噴射して表面処理する、基板材の表面処理装置において、
該スプレーノズルは、該基板材の前後の搬送方向に複数本配設されたスプレー管に、それぞれ多数個設けられており、
各該スプレー管は、その軸を中心に左右に往復揺動する首振りオシレーション方式よりなると共に、中央側の該スプレー管の揺動角度が、左右両側の該スプレー管の揺動角度より、大きく設定されていること、を特徴とする基板材の表面処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載した表面処理装置において、該基板材は、コンベアにて水平搬送され、該スプレーノズルは、該スプレー管に一定ピッチ間隔で設けられており、
該スプレー管は、該基板材の搬送方向に略沿って、複数本平行に配設されていること、を特徴とする基板材の表面処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載した表面処理装置において、該スプレーノズルそして該スプレー管は、該基板材の上側に対向配設されていること、を特徴とする基板材の表面処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載した表面処理装置において、上側の該スプレーノズルから該基板材上に噴射された処理液は、中央側の該スプレー管の揺動角度が大きく設定されていることに基づき、該基板材の外表面上を左方向又は右方向に向け、液溜まりや滞留のない規則的な流れを形成し、
もって、順次更新されつつ該基板材を表面処理した後、左右両サイドから流下して行くこと、を特徴とする基板材の表面処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載した表面処理装置において、該スプレー管は、中央側の単数又は複数本のスプレー管と、左右両側のそれぞれ複数本のスプレー管とからなり、
中央側の該スプレー管の揺動角度が、垂直センター振分けで左右に35°程度に設定され、左右両側の該スプレー管の揺動角度が、垂直センター振分けで左右に20°程度に設定されていること、を特徴とする基板材の表面処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載した表面処理装置において、該表面処理装置は、現像工程,エッチング工程,剥離工程,又は洗浄工程で使用され、
該スプレーノズルは、現像液,エッチング液,剥離液,又は洗浄液を、該処理液として噴射すること、を特徴とする基板材の表面処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−199455(P2010−199455A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−45006(P2009−45006)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000220240)東京化工機株式会社 (22)
【Fターム(参考)】