説明

塗布装置

【課題】非接触支持装置を利用しつつも、安定した有効なノズルプリンティング法により塗布をおこなう装置を提供すること。
【解決手段】基板に流動性材料を塗布するための塗布装置であって、ノズル、液受部、浮上支持ユニット、ノズル移動機構、基板移動機構、制御部を備え、その浮上支持ユニットおよび液受部の配置が、ノズルが被塗布基板に対して液柱を形成している場合に浮上支持ユニットが前記ノズルの直下となるように、または上述のノズルが被塗布基板の範囲外で液柱を形成している場合に液受部のいずれかがノズルの直下となるように行われる、塗布装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布装置に関し、特に、塗布対象の基板にノズルから液柱状態の流動性材料を吐出して塗布するための塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子有機EL材料を用いたアクティブマトリックス駆動方式の有機EL表示装置の製造では、ガラス基板に対して、TFT(Thin Film Transistor)回路の形成、陽極となるITO(Indium Tin Oxide)電極の形成、隔壁の形成、正孔輸送材料を含む流動性材料の塗布、加熱処理による正孔輸送層の形成、有機EL材料を含む流動性材料の塗布、加熱処理による有機EL層の形成、陰極の形成、および、絶縁膜の形成による封止等が順次行われる。
【0003】
有機EL表示装置の製造において利用される流動性材料を基板に塗布する装置の1つとしては、いわゆる「ノズルプリンティング」装置が挙げられる。このノズルプリンティング装置は、鉛直下方向に流動性材料を液柱状態で吐出するノズルを水平方向に往復移動させつつ、基板を設置したステージを所定方向に一定のピッチで送ることによりその基板に流動性材料を塗布している。
【0004】
より具体的には、ノズルプリンティング装置の複数本のノズルから、例えば、有機EL材料を含む流動性材料(同一種類であっても異なるものであってもよい)が吐出され、基板上の塗布領域に予め形成されている隔壁間の複数の溝に塗布される。
【0005】
例えば、特許文献1に記載にされるように、従来、ノズルプリンティング装置においては、その装置のステージに載置された被塗布対象である基板が、それを支持するステージと一体となって移動する機構が利用されてきた。
【0006】
しかしながら、所望する製品の大型化に伴って、その製造過程で取り扱われる基板のサイズも大型化する。取り扱われる基板のサイズの大型化は、その製造装置においてステージをピッチ送りして基板を搬送するための機構の大型化も必要とし、その機構を駆動するための消費エネルギーならびにコストの増大が問題となる。従来型のノズルプリンティング装置では、例えば1m角基板を取り扱う場合、所定のピッチにより基板を搬送するための当該装置の移動体(ステージ)は700キログラム(Kg)程度となる。これに対して、仮に、その仕様に準拠して2m角基板を取り扱うとすると、その装置ではおよそ2トンもの移動体を移動する必要が生じる。
【0007】
このような大型化にかかる問題が伴う状況で、フラットパネルディスプレイまたは太陽電池等の製造過程で用いられる装置では、従来のように加工対象とする基板を搬送するために当該基板をステージに載せて移動するかわりに、加圧流体による浮上力を利用して基板を非接触的に支持する機構を利用することで、製造コストまたは消費エネルギーの低減が試みられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007―152164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、ノズルプリンティング装置において、加圧流体を利用して基板を非接触的に支持する上述のような機構を利用しようとする場合、流動性材料を連続的に吐出するノズルプリンティング装置の特徴のために、その利用において多くの課題が存在する。
【0010】
ノズルプリンティング装置では、流動性材料を連続的に吐出しつつ鉛直下方向に液柱(例えば、直線棒状の形状を有するもの)を形成するノズルを水平方向に往復移動する。したがって、基板に流動性材料を塗布する際、基板に対して相対的に移動するノズルがその基板の範囲外に移動したときに、その基板の塗布のための使われない流動性材料を回収するの液受部が必要とされる。この液受部は、その役割のために、塗布対象とする基板の範囲外に移動したノズルの直下に位置づけられることが必要である。さらに、所望の塗布処理を維持する目的で当該装置における各種調整処理をおこなう必要があり、その際には、被塗布基板に対する通常の塗布過程とは別に、流動性材料の吐出をおこなう必要がある。すなわち、基板のない状態で流動性材料を吐出しているノズルを所定の位置に移動させる場合、基板に対するノズルの位置合わせまたは複数におけるノズル間のピッチ調整などの各種調整を行う場合、またはノズルの洗浄時などのメンテナンス作業を行う場合などにも、それらの過程におけるノズルの位置に対応した液受部が必要である。
【0011】
そのため、これまでのノズルプリンティング装置の構成において、他の製造装置に用いられている様式で上述のような非接触的に支持する装置を導入しようとすると、ノズルから流動性材料の塗布が行われている位置に上記液受部による不連続部分が存在することとなる。塗布精度を確保するためには、ノズルから流動性材料の塗布が行われている位置の基板の高さを安定させることが必要となるため、当該支持装置を配置することが困難であった。
【0012】
また、搬送される被塗布基板の進行方向の端部が、流動性材料の塗着部位となっている場合、上記不連続部分上に当該端部が位置することによって当該被塗布基板が片持ち状態でノズルから流動性材料を受けることとなるため、さらに被塗布基板の挙動が不安定となることがある。
【0013】
加えて、ノズルプリンティング装置を用いた塗布処理では、1つの基板内におけるストライプ状の所望する塗布列(例えば、基板上に予め設けられた隔壁間の溝のパターンに沿った塗布列が挙げられるが、これらに限定されない)で塗布を行うために、塗布工程で基板が搬送される方向が少なくとも2通り存在する。すなわち、ノズルプリンティング装置による塗布では、1枚の被塗布基板上に複数の塗布対象領域を設ける場合があり、その塗布対象領域の配置と塗布列との位置関係に応じて、当該被塗布基板を搬送する方向が適宜変更される必要がある。そして、異なる長さの2辺を有する被塗布基板の場合、その変更すべき搬送方向としては、当該被塗布基板自体の長手方向がその基板が搬送される方向に対して平行である方向またはその搬送される方向に垂直である方向の少なくとも2通りが想定される。したがって、その搬送時に保持される基板の姿勢によって、その基板を支持するために必要とされる非接触支持装置の幅、さらには上述のように設けられる液受部において必要とされる幅が変化する。そして、その幅の変化により、必要とされる液受部のサイズまたは配置は変化してしまう。
【0014】
したがって、非接触支持装置を利用した場合でも、所望する態様、精度でノズルプリンティング装置による塗布を行える装置が必要とされる。
【0015】
それ故に、本発明の目的は、非接触支持装置を利用しつつも、ノズルプリンティング法により安定した塗布が可能な塗布装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
【0017】
第1の発明は、基板に流動性材料を塗布するための塗布装置であって、ノズルと、1または複数の液受部と、1または複数の可動浮上支持ユニットと、ノズル移動機構と、相対移動機構と、制御部とを備える、塗布装置を提供する。ここで、ノズルは、流動性材料を鉛直下方向への直線棒状となった液柱状態で吐出する。1または複数の液受部は、そのノズルが吐出した流動性材料を受容する。1または複数の可動浮上支持ユニットは、上述の基板を非接触的に支持する。ノズル移動機構は、上述の基板の上方となる仮想水平面内の所定方向に前記ノズルを往復移動させる。相対移動機構は、上述のノズルおよび基板の少なくとも一方を仮想水平面と平行で、かつ、その往復移動の方向とは異なる方向に相対的に移動させる。そして、制御部は、可動浮上支持ユニットおよび液受部の配置を制御し、上述の相対移動機構により相対的に移動される基板の有無およびその基板の往復移動の方向に対する長さのいずれかに応じて、可動浮上支持ユニットを移動させて配置する。
【0018】
第2の発明は、第1の発明において、上述の液受部は、可動液受部を含み、その制御部は、相対移動機構により相対的に移動される基板の有無および当該基板の往復移動の方向に対する長さのいずれかに応じて、可動浮上支持ユニットもしくは可動液受部またはその両方を移動させて配置する、塗布装置を提供する。
【0019】
第3の発明は、第2の発明において、その制御部は、上述のノズルが基板の塗布対象領域に対して流動性材料を吐出する場合に可動浮上支持ユニットの少なくとも一部が当該ノズルの直下位置で前記基板を支持するように、当該基板の長さに応じて可動浮上支持ユニットもしくは可動液受部またはその両方を移動させて配置する、塗布装置を提供する。
【0020】
第4の発明は、第2の発明または第3の発明において、その制御部は、上述のノズルが基板の範囲外に対して流動性材料を吐出する場合に液受部の少なくとも一部が当該ノズルの直下位置に配置されるように、その基板の長さに応じて可動浮上支持ユニットもしくは可動液受部またはその両方を移動させて配置する、塗布装置を提供する。
【0021】
第5の発明は、第2の発明、第3の発明、または第4の発明のいずれかにおいて、その制御部は、可動浮上支持ユニットが上述の基板を支持していない状態でそのノズルが流動性材料を吐出する場合に当該ノズルの直下位置となる全ての領域に前記液受部の少なくとも一部が配置されるように、可動浮上支持ユニットもしくは可動液受部またはその両方を移動させて配置する、塗布装置を提供する。
【0022】
第6の発明は、第2の発明において、その制御部は、上述のノズルが往復移動する際に当該ノズルの直下となる領域に対して、可動液受部のうちの少なくとも1つが退避した位置に可動浮上支持ユニットのいずれかを配置することによって、可動浮上支持ユニットおよび可動液受部を移動させて配置する、塗布装置を提供する。
【0023】
第7の発明は、第2の発明において、その制御部は、上述のノズルが往復移動する際に当該ノズルの直下となる領域に対して、可動浮上支持ユニットのうちの少なくとも1つが退避した位置に可動液受部のいずれかを配置することによって、可動浮上支持ユニットおよび可動液受部を移動させて配置する、塗布装置を提供する。
【0024】
第8の発明は、第7の発明において、その制御部は、上述のノズルが往復移動する方向に対して垂直な水平方向に前記可動浮上支持ユニットおよび前記可動液受部を共に移動させることによって、可動浮上支持ユニットのうちの少なくとも1つが退避した位置に前記可動液受部のいずれかを配置する、塗布装置を提供する。
【0025】
第9の発明は、第7の発明において、その制御部は、上述のノズルが往復移動する方向に対して垂直な水平方向に可動浮上支持ユニットを移動させ、可動液受部を鉛直方向に移動させることによって、可動浮上支持ユニットのうちの少なくとも1つが退避した位置に可動液受部のいずれかを配置する、塗布装置を提供する。
【0026】
第10の発明は、第7の発明において、その制御部は、鉛直方向を回転軸にして可動浮上支持ユニットを回転移動させ、可動液受部を鉛直方向に移動させることによって、可動浮上支持ユニットのうちの少なくとも1つが回転移動して退避した位置に可動液受部のいずれかを配置する、塗布装置を提供する。
【0027】
第11の発明は、第2の発明において、可動浮上支持ユニットの少なくとも1つは、上述のノズルが往復移動する際に当該ノズルの直下となる領域に配置された状態で、その長手方向が当該ノズルの往復移動の方向と平行となるように配置される、塗布装置を提供する。
【0028】
第12の発明は、第2の発明において、相対的に移動される前記基板が存在する場合に、前記制御部は、前記基板の長手方向が、前記ノズルの往復移動の方向と平行であるかまたは垂直であるかに応じて、前記可動浮上支持ユニットおよび前記可動液受部を移動させて配置する、塗布装置を提供する。
【0029】
第13の発明は、第12の発明において、上述の可動浮上支持ユニットが、長軸可動浮上支持ユニットと短軸可動浮上支持ユニットとを含み、そして、上述の可動液受部は、長軸可動液受部と短軸可動液受部とを含む、塗布装置を提供する。ここで、その長軸可動浮上支持ユニットは、基板の長手方向の長さに応じた全長を有する。また、短軸可動浮上支持ユニットは、基板の短手方向の長さに応じた全長を有する。さらに、長軸可動液受部は、基板の長手方向の長さに応じた全長を有し、短軸可動液受部は、長軸可動浮上支持ユニットの全長から短軸可動浮上支持ユニットの全長を差し引いた長さにほぼ相当する全長を有する。上述の液受部は、基板の長手方向の長さに応じた間隙を介した両端にそれぞれ固設された固定液受部を含む。その制御部は、基板の長手方向がノズルの往復移動の方向と平行となるように姿勢を保ちつつ前記基板が相対移動機構により相対的に移動される場合、長軸可動浮上支持ユニットを固定液受部の間隙に配置する。そして、その制御部は、基板の短手方向が当該ノズルの往復移動の方向と平行となるように姿勢を保ちつつ基板が相対移動機構により相対的に移動される場合、短軸可動浮上支持ユニットと短軸可動液受部とを隣接させた状態で前記固定液受部の間隙に配置する。さらに、その制御部は、可動浮上支持ユニットが基板を支持していない状態で上述のノズルが流動性材料を吐出する場合に、長軸可動液受部を固定液受部の間隙に配置する。
【0030】
第14の発明は、第1乃至第13の発明において、ノズルを複数個有する、塗布装置を提供する。
【0031】
第15の発明は、複数のノズル間のピッチ調整を行うピッチ調整機構を、さらに備え、その制御部が、ピッチ調整を行う場合に前記ノズルの直下位置となる全ての領域に上述の液受部の少なくとも一部が配置されるように、少なくとも可動浮上支持ユニットを移動させて配置する、塗布装置を提供する。
【発明の効果】
【0032】
上述した構成をとることにより、本発明は、上述した従来型の塗布装置における課題を解決する。特に、非接触支持装置を利用しつつも、ノズルプリンティング法により安定した塗布が可能な塗布装置が提供され、その塗布装置は、基板の搬送方向にも柔軟に対応し、各種調整にも配置も適切に提供する。本発明の例示的な効果を以下に列挙する。
【0033】
上記第1乃至5、11または12の発明などによれば、ノズルプリンティング装置において加圧流体により塗布対象基板を非接触的に支持することが可能となり、製造コストまたは消費エネルギーを低減しつつも、安定した基板に対する流動性材料の塗布が可能となる。
【0034】
上記第6乃至10の発明などによれば、上記液受部または浮上支持ユニットのそれぞれが退避した位置に、塗布過程で必要とされる浮上支持ユニットまたは液受部が位置づけられる構成をとることで、さらに円滑で安定した塗布を提供することが可能となる。
【0035】
上記第14の発明によれば、複数の塗布列を同時に形成することが可能となる。
【0036】
上記第15の発明によれば、ノズルピッチの調整も円滑に行うことが可能となる。
【0037】
本発明は、以下に例示される図面に関連して記載される。しかしながら、それらの要素は必ずしも厳密な縮尺にしたがって表されてない。また、以下の図面は例示のためのものであり、その記載により、本発明に係る技術的範囲は限定して解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態に係る塗布装置の平面図
【図2】本発明における1つの実施形態である塗布装置の正面図
【図3】本発明における1つの実施形態である塗布装置における浮上支持ユニットと液受部との配置の概略図
【図4】本発明における他の実施形態である塗布装置における浮上支持ユニットと液受部との配置の概略図
【図5】本発明における1つの実施形態である塗布装置(図4に対応)における浮上支持ユニットと液受部との配置を示すX軸方向からみた透視図
【図6】本発明における別の実施形態である塗布装置における浮上支持ユニットと液受部との配置の概略図
【図7】本発明における1つの実施形態である塗布装置(図6に対応)における浮上支持ユニットと液受部との配置を示すX軸方向からみた透視図
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0040】
(本発明の装置の基本構成)
本発明は、基板に流動性材料を塗布するための塗布装置(ノズルプリンティング装置)に関するものである。本発明の塗布装置は、概して、流動性材料を鉛直下方向に液柱状態(「液柱」)で吐出する「ノズル」と、1または複数の「液受部」と、被塗布基板を支持するための複数の移動可能な「浮上支持ユニット」と、仮想水平面内で上記ノズルを往復移動させる「ノズル移動機構」と、上述の仮想水平面と平行な所定水平方向に被塗布基板を移動させる「基板移動機構」と、塗布装置の動作を制御する「制御部」とを備える。
【0041】
上述の装置では、その制御部によって、所望の塗布結果を得るのに十分な配置をとるように構成要素の相対位置、その動作のタイミング等が制御されている。以下、本発明の例示的な実施形態について、添付の図面を参照しながら、本発明の特徴をより詳細に説明する。
【0042】
(第1の実施形態)
1つの実施形態において、本発明は、基板に流動性材料を塗布するための塗布装置1である。図1は、当該実施形態に係る塗布装置の平面図であり、図2は塗布装置1の正面図である。この図で示された塗布装置1は、被塗布基板109(例えば、ガラス製基板)に対して、流動性材料(例えば、有機EL材料を含む塗布液)を塗布する装置である。図1および図2では、塗布装置1による塗布過程での被塗布基板109の例示的な位置を、二点鎖線にて示している。
【0043】
(ノズルの往復移動および被塗布基板の移動)
本実施形態における塗布装置1は、複数のノズル117を有している。塗布装置1におけるノズル117は、塗布過程において流動性材料を吐出する機能を有する。塗布装置1における複数のノズル117は、それらを保持するための保持部材(図示省略)と一体となって塗布ヘッド114を構成する。これらのノズル117と保持部材とが一体となった塗布ヘッド114が所定水平方向に往復運動することで、複数のノズル117の往復運動が達成される。
【0044】
塗布装置1における「主走査方向」または「ノズル往復移動方向」とは、塗布装置1において、1つのノズル、または任意の複数のノズル、あるいはそれらのノズルが固定された塗布ヘッド全体を捉えた際に、所定の軸に沿ったそのノズル等の往復運動が行われる方向である。図1および図2における、直交する3軸(X軸、Y軸およびZ軸)の各方向は、それぞれの図の左下に示したとおりである。図1において実線で示される塗布ヘッド114は、X軸方向(「主走査方向」または「ノズル往復移動方向」)にヘッド移動機構115により往復移動することが可能である。すなわち、複数のノズル117が一体となった塗布ヘッド114と、それをX軸方向に水平移動するヘッド移動機構115とは、ノズル117を往復移動させるための「ノズル移動機構」である。換言すると、流動性材料を鉛直下方向に液柱状態で吐出するノズル117は、ノズル移動機構によって、その液柱に垂直な仮想水平面内の所定方向(X軸方向)に沿って往復移動しているのである。ノズル移動機構の動作(例えば、塗布ヘッド114の移動速度など)は、後述の制御部(図示省略)により所望の塗布結果を得るために管理される。
【0045】
図1の二点鎖線で例示されるような位置(114a、114b)は、塗布ヘッド114がその塗布過程でX軸方向に往復移動する際にとる位置の一例である。この塗布ヘッド114の往復移動の例示された経路からも理解されるように、この往復移動する塗布ヘッド114(すなわち、それに一体となっているノズル117)の往復経路の直下(鉛直方向を示す図示Z軸において、鉛直下方向をZ軸負方向とした場合、塗布ヘッド114からみて「Z軸負方向」)には、浮上支持ユニット112aSに支持された被塗布基板109または液受部116aSまたは116bが位置づけられている。
【0046】
塗布装置1の塗布過程においては、被塗布基板109は、その主面が水平となるように、その下側主面(下面)が浮上支持ユニットにより非接触的に支持される。そして、塗布装置1における「主走査方向」とほぼ垂直な水平方向(「Y軸方向」)に、被塗布基板109は搬送される。この被塗布基板109が搬送される方向が、塗布装置1における「副走査方向」である。副走査方向の被塗布基板109の移動は、後述する基板移動機構により達成される。
【0047】
上述の「主走査方向」は、図1及び図2における座標系に従えば、X軸に平行な方向である。また、ノズル117は、「鉛直下方向」(同図の座標系におけるZ軸負方向)に流動性材料を吐出する。すなわち、X軸に沿って往復運動している塗布ヘッド114と一体となったノズル117から流動性材料が、鉛直下方向(Z軸負方向)に吐出される。このノズル117から鉛直下方向に延びる流動性材料の液柱(図示省略)によって、そのノズル117の直下(ノズル117からみて、「Z軸負方向」)に位置づけられた、被塗布基板109の塗布が達成される。この塗布が行われる間、浮動支持ユニット112aS、112aL、112a、112bが、この被塗布基板109全体を非接触的に支持している。
【0048】
図1に示す塗布ヘッド114では、複数のノズル117が、図1中のX軸方向(すなわち、「主走査方向」)に関して略直線状に離れて配列されるとともに図1中のY軸方向(すなわち、「副走査方向」)に僅かにずれて配置される。隣接する2本のノズル117間の副走査方向に関する距離は、被塗布基板109の塗布対象領域上に形成しようとする塗布列の幅に対応するようにピッチ調整機構(図示省略)により調整される。塗布装置1では、複数のノズル117から吐出された流動性材料により描かれた塗布列の軌跡を観察する光学系が備えられている。その観察結果に従って制御部の管理のもと、複数のノズル間の副走査方向に関する距離が、ピッチ調整機構により調整される。
【0049】
(ノズル洗浄手段)
上述のように、塗布装置1におけるノズル117は、塗布過程において流動性材料を吐出する機能を有する。したがって、ノズル117は、塗布過程において吐出する流動性材料の付着という形で汚染される場合がある。そこで、塗布装置1は、必要に応じて、ノズルに付着した流動性材料を洗浄するノズル洗浄手段119(後述の他の実施形態においては、419、619が相当する)を備える。第1の実施形態において、ノズル洗浄手段119は、洗浄の必要に応じ、塗布装置1における所定の位置にて、ノズル117の適切な洗浄が実施されるように制御部の管理下におかれている。また、必要に応じて、ノズル洗浄手段は、液受部などの塗布装置内部構造体との相対位置を変更できるような構成も備える(後述の図3(c)を参照)。当業者は、用いる流動性材料の特性に鑑みて、必要とするノズル洗浄手段を選択することができる。
【0050】
(浮上支持ユニット)
上述した浮上支持ユニットは、被塗布基板109を非接触状態で支持する非接触支持装置である。これらの浮上支持ユニットは、塗布装置1を用いた塗布過程で被塗布基板109の姿勢を所定の水平方向に保つように、当該基板を非接触的に支持する機能を有する。この非接触支持装置は、流体噴出部を備えている。この流体噴出部は、例えば多孔質材料により形成されており、加圧流体(例えば、空気、窒素ガス等)を噴出し、被塗布基板109の下面にその加圧流体を吹き付けることで、主面が水平になるような姿勢で当該基板を浮上させる(すなわち、浮上支持ユニットからみて、「Z軸正方向」に浮上力が生じている)。
【0051】
また、この非接触支持装置は、流体噴出部(以下、「噴出部」)とともに、真空引きを行うことで周辺の流体を吸引する流体吸引部(以下、「吸引部」)を備えている。このような、このような噴出部および吸引部を有する非接触支持装置では、上述のように、その噴出部および吸引部をその姿勢を水平にした被塗布基板109の下面に対向させることで、その基板を一定の浮上量で非接触的に支持することができる。
【0052】
図1および図2を参照して、本実施形態における浮上支持ユニットについて説明する。本実施形態において、浮上支持ユニット112a、112aLもしくは112aSまたは112bは、ほぼ直方体状である。これらの浮上支持ユニットは、台座としての機能を有する基板回転機構110上に配置されている。この浮上支持ユニットのうち、浮上支持ユニット112bは、基板回転機構110上に固定されている(「固定浮上支持ユニット」)。固定浮上支持ユニット112bは、その長手軸がY軸方向に複数設けられ、基板回転機構110上にそれぞれ一定間隔をあけて配置されている。
【0053】
なお、この「基板回転機構」は、被塗布基板を支持するための浮上支持ユニットを、所望の姿勢(例えば、基板を水平方向とするための姿勢)に保ちつつ固設するため、またはそれらを移動可能に設置するための台座としての機能を有する構造体である。そして、本発明の塗布装置の部分機構であるこの構造体は、その上に設けられる浮上支持ユニットなどの塗布装置1の部分機構と他の部分機構との位置調整、ならびにそれらと被塗布基板との位置調整を行うために、所定の軸を中心として回転移動する機構、または高さを変更する機構を備えている。しかしながら、そのような回転移動等を所望しない場合はかならずしも当該機能を備える必要はなく、場合によっては、上述の台座としての機能のみを有するものであってもよい。
【0054】
塗布装置1に移動可能に基板回転機構に設置されている浮上支持ユニット112a、112aLもしくは112aSが、「可動浮上支持ユニット」である。可動浮上支持ユニット112aは、平行に配置された複数の固定浮上支持ユニット112bの両脇に位置しており、当該可動浮上支持ユニット112aの下部には、複数のガイドレール111がY軸方向に延びるように設けられている。すなわち、可動浮上支持ユニット112aは、その長手軸がガイドレール111と平行に延びるように配置されている。そして、上述のガイドレール111に沿って、可動浮上支持ユニット112aはそれぞれ移動可能である。
【0055】
また、可動浮上支持ユニット112aは、当該ユニットがガイドレール111に沿って移動するための適切な駆動機構(図示省略)を有している。図1から理解されるように、塗布装置1における可動浮上支持ユニット112aL、112aSは、その長手軸がガイドレール111と垂直な水平方向(すなわち、「主走査方向」と平行な方向)に延びるように配置される。これらの塗布装置1における可動浮上支持ユニットの詳細なレイアウト、移動の態様などについては、後述する。
【0056】
(液受部)
本発明の塗布装置1は、複数の「液受部」を有する。当該液受部の機能は、上述のノズル117から被塗布基板109外に吐出された流動性材料または被塗布基板109が浮上支持ユニット上に支持されていない状態でノズル117から吐出された流動性材料を受容することである。また、これらの液受部は、ノズル117から吐出された流動性材料を受容するのに適切であれば任意の形状を取り得るが、本実施形態においては、Z軸方向から見た場合、いずれの液受部の形状もほぼ矩形となっている。
【0057】
上述した液受部のうち一部は、塗布過程の必要性に応じて、塗布装置1内でノズル117が往復移動する経路に対する相対位置が変更され得る。以降、当該相対位置を変更し得る液受部を、特に「可動液受部」と称する。第1の実施形態では、可動液受部を、図1、2または3に示されるように、116aLまたは116aSとして示す。なお、この「可動液受部」を表す符号116aLまたは116aSの区別の詳細については、本明細書における後節にて説明する。他方、当該相対位置を変更しない液受部は、「固定液受部」と称し、第1の実施形態では、この固定液受部に符号116bを与える。可動液受部における位置変更は、上述した可動浮上支持ユニットの位置の変更と同様に、塗布装置1の制御部により管理されている。
【0058】
塗布装置1を用いて被塗布基板109に流動性材料の塗布が行われる際に、当該装置のノズル117が塗布対象とする範囲の外(すなわち、被塗布基板109外)に移動したときに、液受部116aLもしくは116aSまたは116bはその範囲の外で吐出された流動性材料を回収する。塗布装置1の制御部は、塗布ヘッド114の往復移動(「主走査方向」移動)ならびに被塗布基板109の水平移動(「副走査方向」移動)を一定の条件下で行うことで、その被塗布基板109への所望の塗布を達成する。そして、その塗布過程で往復移動するノズル117が塗布対象とする範囲の外まで移動した場合、あるいは被塗布基板109が浮上支持ユニット上に支持されていない場合に、当該液受部が、当該ノズル117から吐出された流動性材料を回収できるように配置される。そして、その配置位置を達成するためには、可動液受部116aLまたは116aSの上述の制御部による管理のもと必要に応じて移動される。なお、この可動液受部の詳細なレイアウト、移動の態様などについては、後述する。
【0059】
(基板移動機構)
塗布装置1により塗布を受ける被塗布基板109は、上述した浮上支持ユニットのいずれかにより非接触的に支持されることによって、その浮上支持ユニット上で一定浮上量をもって姿勢が維持される。そして、この支持された被塗布基板109を所定方向(「副走査方向」)に水平移動する機構が、塗布装置1における「基板移動機構」(図示省略)である。この基板移動機構は、ノズル117が往復移動する主走査方向とほぼ垂直な水平方向に、塗布装置1における被塗布基板109を水平移動する。その移動速度、移動方向、移動のタイミング等は、塗布装置1の制御部により管理される。この基板移動機構は、被塗布基板109を所望の姿勢で適切に保持するための手段と、被塗布基板109を保持した当該手段を所定方向へ移動する駆動部を有する。その保持するため手段の塗布装置1における鉛直方向での位置(高さ)は、副走査方向に搬送される被塗布基板109が安定して上記浮上量を維持して移動できるように、浮上支持ユニット112a、112aL、112aSまたは112bの加圧流体の流量、ノズル117と被塗布基板109との距離等に鑑みて、適切な高さに調整され得る。
【0060】
(塗布装置の制御部)
塗布装置1の構成要素は、必要に応じて電気的に接続され、当該塗布装置の制御部により所定の動作が行われるように制御される。塗布装置1の制御部は、塗布装置1が所望の塗布結果を得るために、その各構成要素の動作を制御する機能を有する。本発明の塗布装置1における制御部は、通常のコンピュータと同様に、各種演算処理を行うCPU、実行されるプログラムの記憶領域ならびに演算処理の作業領域となるRAM、基本プログラムを記憶するROM、各種情報を記憶する固定ディスク、本装置の使用者に各種情報を表示するディスプレイ、および、キーボードまたはマウス等の入力部等を接続した構成となっている。本発明の塗布、ならびにそれと連動した可動浮上支持ユニット112aおよび可動液受部116aの移動、それに伴う付属装置の駆動等の機能については、当該制御部のCPU等がプログラムに従って演算処理を行うことにより実現される。なお、本実施形態において、これらの機能は1台のコンピュータにより実現されるが、複数台のコンピュータにより実現されることも可能である。また、その機能は、部分的に使用者の手動による制御をもって実現されることも可能である。
【0061】
(塗布装置の塗布処理における基本動作)
図1および図2に示す塗布装置1では、複数のノズルが保持部材に固定された状態にて、ヘッド移動機構115により、塗布ヘッド114が複数のノズル117から流動性材料を連続的に吐出しつつ主走査方向に移動し、塗布ヘッド114の主走査方向への移動が1回行われる毎に、基板移動機構により被塗布基板109が副走査方向(例えば、Y軸正方向)に所定のピッチで移動する。そして、複数のノズル117の被塗布基板109に対する主走査方向および副走査方向への相対的な移動が繰り返されることにより、被塗布基板109の上面に流動性材料がストライプ状に塗布される。塗布装置1では、ヘッド移動機構115および基板移動機構がそれぞれ、複数本のノズル117を保持部材と共に被塗布基板109に対して主走査方向および副走査方向に相対的に移動するノズル走査機構となる。
【0062】
(浮上支持ユニットおよび液受部の位置制御)
可動浮上支持ユニット112a、112aLまたは112aSおよび可動液受部116aLまたは116aSの配置の変更は、塗布装置1の制御部により管理される。その配置の決定は、次のような要請を満たすように行われる。まず、往復移動するノズル117が被塗布基板109の塗布対象領域に対して流動性材料を吐出するときに、そのノズル117の直下で、かつ、被塗布基板109の下面近傍となる位置(具体的には、被塗布基板109の下面から上記浮上量だけ低い位置)に、可動浮上支持ユニット112aLまたは112aSの少なくとも一部が配置されているように、当該可動浮上支持ユニットおよび可動液受部の配置が行われる。加えて、当該ノズル117がその被塗布基板109の範囲外で流動性材料を吐出する場合に、可動液受部116aおよび固定液受部116bのいずれかが当該ノズル117の直下に配置されているように、上述の可動浮上支持ユニットおよび可動液受部の配置が行われる。
【0063】
このような配置が行われることで、ノズル117から吐出された流動性材料がそのノズル117の直下に位置する被塗布基板109に対して実際に塗着する際には、その被塗布基板109の塗着部位の直下となる近傍には可動浮上支持ユニット112aSまたは112aLが位置づけられていることになる。ノズル117から流動性材料が吐出されて塗着している被塗布基板109の直下近傍に、可動浮上支持ユニット112aLまたは112aSの少なくとも一部が位置づけられていることにより、ノズル117から流動性材料が塗着する際に、その塗着される部分の真下で当該可動浮上支持ユニットが被塗布基板109を支えることとなる。そのため、塗布精度を確保するために重要なノズル直下部位において、被塗布基板109の挙動が安定し、安定した塗布が達成される。また、連続的に流動性材料を吐出するノズル117が、当該被塗布基板109が存在する範囲の外に移動しても、そこには可動液受部116aSおよび固定液受部116bのいずれかが配置されているので、当該吐出された流動性材料は適切にその液受部により受容される。
【0064】
したがって、非接触的支持装置を利用する従来のノズルプリンティング装置で問題となっていた、液受部周辺での基板の不安定な挙動が回避される。
【0065】
実際には、本実施形態における塗布装置1は、上述の条件を満たすために、図3(a)、図3(b)および図3(c)に示されるような、可動浮上支持ユニット112aL、112aS、112aおよび可動液受部116aS、116aLに関する3つの基本配置を切り替えることができる構成を有する。各基本配置は、塗布の仕方、塗布に伴う各調整の種類、被塗布基板109が搬送される方向などに応じて、塗布装置1の制御部により切り替えがなされる。
【0066】
図3(a)、図3(b)および図3(c)は、図1および図2で示される塗布装置1における構成の一部の表示を省略して、Z軸正方向から観察したときの、可動浮上支持ユニット112aL、112aS、112a、固定浮上支持ユニット112b、可動液受部116aL、116aS、および固定液受部116bの配置を示した図である。なお、ノズル117を備えそれと一体となった塗布ヘッド114は、図3(a)、図3(b)および図3(c)のそれぞれに示したX軸方向に延びる往復移動経路AA(点線で図示する)で示した軸上(主走査方向)に沿って、可動浮上支持ユニット112aLもしくは112aS、可動液受部116aLもしくは116aS、または固定液受部116bの上方空間を往復移動する。
【0067】
図1および図3から理解されるように、固定浮上支持ユニット112bは、その長手軸がY軸方向を向くように複数設けられ、基板回転機構110上にそれぞれ一定間隔をあけて互い平行になるように配置されている。図1または図3で示される塗布装置1では、塗布ヘッド114の往復移動経路AAよりY軸正方向側に、3つの固定浮上支持ユニット112bが一定間隔もって並設されており、他方、塗布ヘッド114の往復移動経路AAからみてY軸負方向側にも、3つの固定浮上支持ユニット112bが上記と同じ間隔をもって並設されている。さらに、Y軸正方向側に並設された3つの固定浮上支持ユニット112bのそれぞれ両脇には、ガイドレール111とともに、4つの可動浮上支持ユニット112aが配置されている。また、Y軸負方向側に並設された3つの固定浮上支持ユニット112bのそれぞれ両脇にも、ガイドレール111とともに、4つの可動浮上支持ユニット112aが配置されている。
【0068】
以上ように、往復移動経路AAを挟むようにしてそのY軸正方向側およびY軸負方向側のそれぞれに、3つの固定浮上支持ユニット112bが配置されている。図1および図3から理解されるように、Y軸方向に沿って配置された浮上支持ユニットの間には、(A)「主走査方向」に延設されている長さの異なる2つの可動浮上支持ユニット(以下、長軸可動浮上支持ユニット112aLおよび短軸可動浮上支持ユニット112aSと区別して記載することがある)、および(B)「主走査方向」に延設されている長さの異なる2つの可動液受部(以下、長軸可動液受部116aLおよび短軸可動液受部116aSと区別して記載することがある)が、配置されている。(A)の可動浮上支持ユニット112aLおよび112aS、(B)の可動液受部116aLおよび112aS、ならびに上述した8つの可動浮上ユニット112aの一群(以下、本明細書において、この塗布装置1における部分構造の一群を、「可動セット」とし、符号100を割り当てる)が連動して制御部の管理のもと移動することで、図3(a)、図3(b)、図3(c)に示されるような配置間での配置の変更が達成される。
【0069】
さらに、本実施形態において、上述(A)の長軸可動浮上支持ユニット112aLは、上述(B)の長軸可動液受部116aLとほぼ同じ主走査方向の長さを有し、X軸方向に対して同じ位置であり、かつ長軸可動液受部116aLがY軸正方向側にくるように平行に並設される。そして、並設された長軸可動浮上支持ユニット112aLと長軸可動液受部116aLとの間に、(A)の短軸可動浮上支持ユニット112aSおよび(B)の短軸可動液受部116aSが、ほぼ一直線上に隣接して配置され、隣接した短軸可動浮上支持ユニット112aSおよび短軸可動液受部116aSを合わせた主走査方向の長さは、長軸可動浮上支持ユニット112aLおよび長軸可動液受部116aLとほぼ同じである。以下、図3(a)、図3(b)、および図3(c)に示される配置の詳細について記載する。
【0070】
(横塗り配置)
図3(a)は、被塗布基板109の長手方向が塗布装置1の主走査方向と平行になるような方向で塗布を行うときの、可動浮上支持ユニット112a、112aL、112S、固定浮上支持ユニット112b、可動液受部116aS、116aL、および固定液受部116bの配置(「横塗り配置」)を示す。図3(a)の紙面に向かって右側には、可動セット100のみを抜き出して表した。図3(a)から理解されるように、ノズル117が往復移動する往復移動経路AAの直下となる被塗布基板109の下部には、主走査方向に延びる長軸可動浮上支持ユニット112aLが配置されている。また、往復移動経路AA直下であっても、その被塗布基板109の範囲外となる両端には、それぞれ固定液受部116bが固設されている。
【0071】
図3(a)の配置のもと、流動性材料を連続的に吐出する複数のノズル117が固定された塗布ヘッド114の主走査方向に沿った移動が1回行われる毎に、基板移動機構により被塗布基板109が副走査方向(例えば、Y軸正方向)に所定のピッチで移動する。ここで、「1回」の「主走査方向に沿った移動」は、被塗布基板109の一方範囲外に位置している塗布ヘッド114が、その往復移動経路AAに沿いながら、被塗布基板109の上方を通過した後に、被塗布基板109の他方範囲外に出るまでの移動である。このような移動が図3(a)に示されるような配置のもと行われると、被塗布基板109における、ノズル117から吐出された流動性材料が塗着する部位は、長軸可動浮上支持ユニット112aLにより安定に支持される。そして、被塗布基板109の範囲外となる両端位置では、当該往復移動経路AA上に固定液受部116bがそれぞれ配置されていることが担保され、吐出される流動性材料により浮上支持ユニットおよび被塗布基板109が汚染されることが回避されている。
【0072】
(縦塗り配置)
図3(b)は、被塗布基板109の長手方向が塗布装置1の副走査方向を向いている姿勢で当該基板に対する塗布過程を行うときの、可動浮上支持ユニット112a、112aLまたは112S、固定浮上支持ユニット112b、可動液受部116aS、および固定液受部116bの配置(「縦塗り配置」)を示す。図3(b)の紙面に向かって右側には、可動セット100のみを抜き出して表した。
【0073】
図3(a)の配置と図3(b)の配置とを比較した場合、図3(b)では、塗布ヘッド114の往復移動経路AAの直下には、隣接した短軸可動浮上支持ユニット112aSおよび短軸可動液受部116aSが配置されている点で相違していることが理解される。そして、図3(a)の配置と同様に、往復移動経路AA直下であっても、その被塗布基板109の範囲外となる両端には、それぞれ固定液受部116bが固設されている。塗布装置1において、図3(a)の配置から、図3(b)の配置へと切り替わるとき、可動セット100が、全体として、Y軸負方向(図3(a)中の矢印ToBで表示した方向)に移動した結果として、図3(b)のような配置となる。
【0074】
上述のような移動により達成される図3(b)の配置において、ノズル117が往復移動する往復移動経路AAの直下となる被塗布基板109の下部には、短軸可動浮上支持ユニット112aSが配置されている。また、往復移動経路AA直下であっても、その被塗布基板109の範囲外となる一方端(図3(b)においてはX軸正方向側)には、上記移動により割り込んだ可動液受部116aSを挟んで固定液受部116bが固設されている。また、被塗布基板109の範囲外となる他方端(図3(b)においてはX軸負方向側)には、固定液受部116bが固設されている。
【0075】
塗布装置1のこの配置のもと、図3(a)の「横塗り配置」と同様に、流動性材料を連続的に吐出する複数のノズル117が固定された塗布ヘッド114の主走査方向に沿った移動が1回行われる毎に、基板移動機構により被塗布基板109が副走査方向(例えば、Y軸正方向)に所定のピッチで移動する。この「縦塗り配置」であっても、被塗布基板109における、ノズル117から吐出された流動性材料が塗着する部分は、長軸可動浮上支持ユニット112aSにより安定に支持される。そして、被塗布基板109の範囲外となる両端の位置では、当該往復移動経路AA上に固定液受部116bならび可動液受部116aSが配置されていることで、吐出される流動性材料により塗布装置1または被塗布基板109が汚染されることが回避される。
【0076】
(各種調整などのために用いられる配置)
ノズルプリンティング法を利用した塗布装置1では、被塗布基板109に実際に塗布を行う作業に加えて、ノズル117から流動性材料を吐出する必要がある。その吐出の際には、ノズル117の直下となる全ての領域に液受部を必要とする。
【0077】
図3(c)の配置と図3(b)の配置とを比較した場合、図3(c)の配置における塗布ヘッド114の往復移動経路AAの直下には、その全域にわたって長軸可動液受部116aLおよび固定液受部116bが配置されている点で、図3(c)と図3(b)との配置では相違していることが理解される。塗布装置1において、図3(b)の配置から図3(c)の配置へと切り替わる場合、可動セット100が、その全体として、Y軸方向(図3(b)中の矢印ToCで表示した方向)に移動した結果として、図3(c)のような配置となる。
【0078】
塗布装置1は、所望の精度の塗布処理を行うために、その構成要素の位置の検出、調整、動作確認等をおこなうための機構をさらに備え、それらの機構のいくつかは、当該図3(c)で示される配置を必要とする。さらに、それらの機構による処理の過程で異常が検出された場合などには、その構成要素(例えば、ノズル)がさらに検査され、洗浄または交換、調整などの処理も必要に応じておこなわれ、その目的のための機構が当該装置にさらに備えられている。なお、図3(c)において理解されるように、固定液受部116bの一部は、ノズル洗浄手段119を用いために一時的かつ部分的にその位置を変更する場合も許容される。
【0079】
塗布装置1における構成要素の調整のための機構としては、例えば、ピッチ調整機構が挙げられる。例えば、ノズル117のピッチは、被塗布基板109の塗布対象領域上に予め形成されている主走査方向に延びる隔壁間のピッチの数倍(例えば、3倍など)に等しくされる。また、このような溝がない場合も、所望するストライプ状の塗布列の間隔に対応するように、ノズル117のピッチが同様に調整される。このような調整をピッチ調整機構が担う。そして、調整の際にノズル117から流動性材料の吐出も行うので、そのピッチ調整を行う際にノズル117の直下となる全ての領域に液受部が必要とされる。
【0080】
塗布装置1は、複数のノズル117から吐出された流動性材料により描かれた塗布列の軌跡を観察するための光学系(図示省略)、複数のノズル117の副走査方向に関する位置を調整するノズルピッチ調整機構(図示省略)をさらに備え、これらの構成も制御部により制御される。図3(c)のような配置となった塗布装置1において、塗布ヘッド114を必要に応じて駆動し、そのノズル117から流動性材料を吐出した際に、ノズル117から吐出された結果として得られる塗布列が上述の光学系により観察される。その観察結果に従って制御部の管理のもと、複数のノズル117間の副走査方向に関する距離が調整される。塗布装置1のノズルピッチ調整機構は、例えば、図1の二点鎖線で示した塗布ヘッド114の位置114bの近傍に設置される。
【0081】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態は、液受部および浮上支持ユニットの配置につき、第1の実施形態の塗布装置における変形例である。この第2の実施形態における装置は、その塗布装置1の塗布処理における塗布ヘッド等の基本的な構成およびその基本動作を、第1の実施形態の塗布装置と共通に有しつつも、「浮上支持ユニット」および「液受部」の構成および配置、移動の態様が異なる。
【0082】
実際には、本実施形態における塗布装置1は、図4(a)、図4(b)および図4(c)に示されるような、浮上支持ユニット412aL、412aS、412bおよび液受部416aL、416aS、416bに関する3つの基本配置を切り替えることができる構成を有する。これ以降の説明において、第2の実施形態の塗布装置において、第1の実施形態の塗布装置と共通して備える構成要素については、第1の実施形態と同様の符号(例えば、ノズルについて、117)を利用する。
【0083】
図4(a)、図4(b)および図4(c)に示される各基本配置は、塗布の仕方、塗布に伴う各調整の種類、被塗布基板409が搬送される方向などに応じて、塗布装置1の制御部により切り替えがなされる。第1の実施形態と同様に、ノズル117を備えそれと一体となった塗布ヘッド114は、図4(a)、図4(b)および図4(c)のそれぞれに示したX軸方向に延びる往復移動経路AA(点線で図示する)で示した軸上(主走査方向)に沿って往復移動する。図5(a)、図5(b)、図5(c)はそれぞれ、X軸正方向から観察した場合の図4(a)、図4(b)、図4(c)に示された本発明の実施形態に対応する透視図である。なお、図5において、ノズル洗浄手段419の図示は省略している。
【0084】
第2の実施形態における、浮上支持ユニットおよび液受部に係る3つの基本配置で用いられる構成要素は、3つの浮上支持ユニット412aL、412aSまたは412bおよび液受部416aS、416aLおよび416bである。全部で3個の浮上支持ユニットのうち、1個は、ノズル117の往復移動経路AAに対する相対位置を変化させない固定浮上支持ユニット412bであり、残りの2個は、上述の3つの基本配置において往復移動経路AAに対する相対位置を変更する可動浮上支持ユニット412aL、412aSである。他方、上述した全部で4個の液受部のうち、2個は、ノズル117の往復移動経路AAに対する相対位置を変化させない固定液受部416bであり、残りの2個は、上述の3つの基本配置において往復移動経路AAに対する相対位置を変更する可動液受部416aS、416aLである。
【0085】
上述の固定浮上支持ユニット412bは、往復移動経路AAに沿ってその経路からみてY軸負方向側に並設されている。また、2つの可動浮上支持ユニット412aL、412aSは、固定浮上支持ユニット412bのY軸正方向側に並設されている。その配置の詳細については、後述する。
【0086】
(横塗り配置)
図4(a)および図5(a)は、被塗布基板409の長手方向が塗布装置1の主走査方向と平行になるような方向で当該基板に対する塗布を行うときの、浮上支持ユニット412aL、412aS、412bおよび液受部416aL、416aS、416bの配置(「横塗り配置」)を示す。
【0087】
図4(a)および図5(a)から理解されるように、往復移動経路AAからみてY軸負方向側にその経路に沿って固設されている固定浮上支持ユニット412bが有するX軸方向に延びた辺の長さは、被塗布基板409における長手方向の辺の長さに相当する。
【0088】
往復移動経路AAからみてY軸正方向にその経路にそって並設されている2つの可動浮上支持ユニット412aL、412aSは、その配置された状態におけるY軸方向の辺の長さは同じである。他方、X軸方向の辺の長さについては、X軸負方向側の可動浮上支持ユニット412aLが、X軸正方向側の可動浮上支持ユニット412aSよりもX軸方向の辺が長い。このX軸方向に並んで配置されている2つの可動浮上支持ユニット412aL、412aSが有するX軸方向に延びた辺の長さの合計は、被塗布基板409における長手方向の辺の長さに相当する。
【0089】
その並設されている可動浮上支持ユニット412aL、412aSの一部は、往復移動経路AA下に位置する。その結果として、往復移動経路AAの直下に位置する被塗布基板409の下部は、全て、可動浮上支持ユニット412aL、412aSにより支持される。さらに、往復移動経路AA直下であって、当該被塗布基板409の範囲外の位置では、固定液受部416bが固設されている。
【0090】
このような配置のもと、第1の実施形態と同様に、流動性材料を連続的に吐出する複数のノズル117が固定された塗布ヘッド114の主走査方向に沿った移動が1回行われる毎に、基板移動機構により被塗布基板409が副走査方向(例えば、Y軸正方向)に所定のピッチで移動する。このような移動が図4(a)に示されるような配置のもと行われると、被塗布基板409における、ノズル117から吐出された流動性材料が塗着する部位は、可動浮上支持ユニット412aLおよび412aSにより安定に支持される。そして、当該被塗布基板409の範囲外の位置では、当該往復移動経路上に液受部416bが配置されていることで、吐出される流動性材料により浮動支持ユニットが汚染されることが回避されている。
【0091】
(縦塗り配置)
図4(b)および図5(b)は、被塗布基板409の長手方向が塗布装置1の主走査方向と垂直になるような方向で当該基板に対する塗布過程を行うときの、浮上支持ユニットおよび液受部の配置(「縦塗り配置」)を示す。
【0092】
ここで、「縦塗り配置」と、図4(a)で示された「横塗り配置」との相違点について説明する。「横塗り配置」から「縦塗り配置」への移行は、次のように行われる。まず、上述した図4(a)の配置において被塗布基板409の下面に対向するように配置されていた2つの可動浮上支持ユニット412aL、412aSのうち、X軸正方向側の可動浮上支持ユニット412aSが、副走査方向に往復移動経路AAから離れるように退避しつつ、それとともに当該退避した可動浮上支持ユニット412aSの下部に設けられていた可動液受部416aSが、固定浮上支持ユニット412bとほぼ同じ(Z軸方向の)高さまで上昇する(図4(b)参照)。図4に示されていないが、これらの浮上支持ユニットの退避および液受部の高さ方向の移動については、制御部の管理下で適切な駆動機構により行われる。図4(b)に記載されているように、退避していない残りの可動浮上支持ユニット412aLにおけるX軸方向の辺の長さは、この配置において搬送される被塗布基板409のX軸方向の長さとほぼ等しい。上述ような可動浮上支持ユニット412aSの退避の様子は、(図4(b)に対応する)図5(b)を参照することにより明確に理解される。
【0093】
塗布装置1のこの配置のもと、流動性材料を連続的に吐出する複数のノズル117が固定された塗布ヘッド114の主走査方向に沿った移動が1回行われる毎に、基板移動機構により被塗布基板409が副走査方向(Y軸正方向)に所定のピッチで移動する。「縦塗り配置」の場合、被塗布基板409における、ノズル117から吐出された流動性材料が塗着する部位は、可動浮上支持ユニット412aLにより安定に支持される。そして、当該基板の範囲外の位置では、当該往復移動経路AA下に液受部416aSまたは416bが配置されていることで、吐出される流動性材料により浮上支持ユニットが汚染されることが回避される。
【0094】
(各種調整などのために用いられる配置)
図4(c)の配置は、複数のノズル117と被塗布基板409との位置関係、複数ノズル117間のピッチ距離の調整などを行う際に用いられる、浮上支持ユニット412aL、412aS、412bおよび液受部416aL、416aS、416bの配置を示す。この配置は、図4(b)において退避した浮上支持ユニット412aSと同様に、それとは別の可動浮上支持ユニット412aLもY軸正方向に退避するとともに、その退避したユニットの下に位置していた液受部416aLも浮上支持ユニットとほぼ同じ高さまで上昇することにより達成される。この点は、図5(c)と図5(b)との比較することでより明確に理解され得る。
【0095】
図5(c)は、図4(c)に示された塗布装置1をX軸正方向側から観察した場合に相当する、浮上支持ユニットと液受部との位置関係を示す透視図である。図5(b)では、図5(a)の配置と比較したときに、塗布装置1において2つある可動浮上支持ユニットのうち可動浮上支持ユニット412aSが、副走査方向に往復移動経路AAから離れるように退避した点で相違した。それと同様に、図5(c)では、図5(b)の配置と比較した場合、当該退避したものとは別の可動浮上支持ユニット412aが、副走査方向に往復移動経路AAから離れるようにして移動している点で相違している。そして、その退避とともに、当該退避した可動浮上支持ユニット412aLの下に設けられていた可動液受部416aLが、固定浮上支持ユニット412bとほぼ同じ高さまで上昇している。この結果、往復移動経路AA直下の領域全てが、可動液受部416aL、416aSおよび固定液受部416bによって占められる配置が得られる。このような配置をとることができることで、塗布装置1は、第1の実施形態における図3(c)の配置により得られるのと同様の機能を備えることができる。
【0096】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態は、液受部および浮上支持ユニットの配置につき、第1の実施形態の塗布装置における変形例である。この第3の実施形態における装置は、その塗布装置1の塗布処理における塗布ヘッド等の基本的な構成およびその基本動作を、第1の実施形態と共通に有しつつも、「浮上支持ユニット」および「液受部」の構成および配置、移動の態様が異なる。
【0097】
実際には、本実施形態における塗布装置1は、図6(a)、図6(b)および図6(c)に示されるような、可動浮上支持ユニット612a1、612a2、612a3および液受部616aL、616aS、616bに関する3つの基本配置を切り替えることができる構成を有する。これ以降の説明において、第3の実施形態の塗布装置において、第1の実施形態の塗布装置と共通して備える構成要素については、第1の実施形態と同様の符号(例えば、ノズルについて、117)を利用する。
【0098】
図6(a)、図6(b)および図6(c)に示される各基本配置は、塗布の仕方、塗布に伴う各調整の種類、被塗布基板609が搬送される方向などに応じて、塗布装置1の制御部により切り替えがなされる。第1の実施形態と同様に、ノズル117を備えそれと一体となった塗布ヘッド114は、図6(a)、図6(b)および図6(c)のそれぞれに示したX軸方向に延びる往復移動経路AA(点線で図示する)で示した軸上(主走査方向)に沿って往復移動する。図7(a)、図7(b)、図7(c)はそれぞれ、X軸正方向から観察した場合の図6(a)、図6(b)、図6(c)に示された本発明の実施形態に対応する透視図である。なお、図7において、ノズル洗浄手段619の図示は省略している。
【0099】
第3の実施形態における、浮上支持ユニットおよび液受部に係る3つの基本配置で用いられる構成要素は、浮上支持ユニット612a1、612a2、612a3、612bおよび液受部616aS、616aL、616bである。当該浮上支持ユニットのうち1個は、ノズル117の往復移動経路AAに対する相対位置を変化させない固定浮上支持ユニット612bであり、残りの3個は、上述の3つの基本配置において往復移動経路AAに対する相対位置を変更する可動浮上支持ユニット612a1、612a2または612a3である。他方、上述の液受部のうち、2個は、ノズル117の往復移動経路AAに対する相対位置を変化させない固定液受部616bであり、残りの2個は、上述の3つの基本配置において往復移動経路AAに対する相対位置を変更する可動液受部616aS、616aLである。
【0100】
上述の固定浮上支持ユニット612bは、往復移動経路AAに沿ってその経路からみてY軸正方向側に設けられている。また、3つの可動浮上支持ユニット612a1、612a2、612a3は、固定浮上支持ユニット612bのY軸負方向側に並設されている。また、当該可動浮上支持ユニットはいずれも、その長手軸をY軸と平行にするように配置されている。そのその配置の詳細については、後述する。
【0101】
第1の実施形態と同様に、上述の浮上支持ユニットおよび液受部の配置の決定は、次のような要請を満たすように行われる。すなわち、往復移動するノズル117が被塗布基板609の塗布対象領域に対して液柱を形成しているときに、浮上支持ユニット612a1、612a2、612a3がそのノズル117の直下となるように、浮上支持ユニット612aおよび液受部616bの配置が行われる。加えて、その配置は、当該ノズル117がその基板の範囲外で液柱を形成している場合に、液受部616aS、616aL、616bのいずれかが当該ノズルの直下となるように行われる。
【0102】
(横塗り配置)
図6(a)は、被塗布基板609の長手方向が塗布装置1の主走査方向と平行になるような方向で当該基板に対する塗布を行うときの、浮上支持ユニット612a1、612a2、612a3および液受部616aS、616aL、616bの配置(「横塗り配置」)を示す。
【0103】
図6(a)および図7(a)から理解されるように、その長手方向が往復移動経路AAと平行になるように往復移動経路AAのY軸正方向側に配置される固定浮上支持ユニット612bの長手方向の長さは、搬送する被塗布基板609の長手方向の長さにほぼ対応する長さである。
【0104】
往復移動経路AAの直下には、3つの可動浮上支持ユニット612a1、612a2、612a3が、それぞれの長手方向が往復移動経路AAの方向(主走査方向)と垂直になるように、固定浮上ユニット612bに沿ってそのY軸負方向側に並設されている。そして、ノズル117の往復移動経路AAの直下となる被塗布基板609の下部の少なくとも一部には、可動浮上支持ユニット612a1、612a2、612a3が配置されている。また、往復移動経路AA直下であって、その被塗布基板409の範囲の外では、固定液受部616bが位置づけられている。
【0105】
このような配置のもと、第1の実施形態と同様に、流動性材料を連続的に吐出する複数のノズル117が固定された塗布ヘッド114の主走査方向に沿った移動が1回行われる毎に、基板移動機構により被塗布基板609が副走査方向(例えば、Y軸正方向)に所定のピッチで移動する。このような移動が図6(a)に示されるような配置のもと行われると、被塗布基板609における、ノズル117から吐出された流動性材料が塗着する部位は、可動浮上支持ユニット612a1、612a2、612a3により安定に支持される。そして、当該被塗布基板609の範囲外の位置では、当該往復移動経路上に液受部616bが配置されていることで、吐出される流動性材料により浮動支持ユニットが汚染されることが回避されている。
【0106】
図6(a)に示された実施形態おいては、ノズルの往復移動経路AA直下の全範囲ではなく当該往復移動経路の主要部分のみにおいて浮上支持ユニット612a1、612a2、612a3が配置されている。このように、浮上支持ユニット612a1、612a2、612a3と、ノズルの往復移動経路AA、被塗布基板609との相対位置を調整することで、往復移動経路AA直下の全範囲のうち、一部分のみを浮上支持ユニットにより支持することでも、安定した塗布を達成することが可能である。すなわち、ノズル117から流動性材料が吐出されて塗着している被塗布基板609の直下近傍に、可動浮上支持ユニット612a1、612a2、612a3の少なくとも一部が位置づけられていることにより、ノズル117から流動性材料が塗着される際に、その塗着される部分の真下で可動浮上支持ユニット612a1、612a2、612a3および近傍に位置づけられる固定浮上支持ユニット612bが被塗布基板609を支えることとなる。そのため、塗布精度を確保するために重要なノズル直下部位において、被塗布基板609の挙動が安定し、安定した塗布が達成される。また、連続的に流動性材料を吐出するノズル117が、当該被塗布基板609が存在する範囲の外に移動しても、そこには液受部616aS、616aL、616bのいずれかが配置されているので、当該吐出された流動性材料は適切にその液受部により受容される。
【0107】
(縦塗り配置)
図6(b)および図7(b)は、被塗布基板609の長手方向が塗布装置1の主走査方向と垂直になるような方向で当該基板に対する塗布過程を行うときの、浮上支持ユニットおよび液受部の配置(「縦塗り配置」)を示す。
【0108】
ここで、「縦塗り配置」と、図6(a)で示された「横塗り配置」との相違点について説明する。「横塗り配置」から「縦塗り配置」への移行は、次のように行われる。まず、横塗り配置において基板の下面に対向するように配置された浮上支持ユニットの1つ(実施形態の場合、612a1)が、Z軸に平行な回転軸の周りを、固定浮上支持ユニット612bの高さと同じ高さを保ちつつ回転する(このとき、必要に応じて回転する空間の確保のために、一時的に水平方向に移動する場合もある)。図6において示されていないが、この回転移動を達成するための適切な駆動装置が上述の浮上支持ユニットに取り付けられており、その駆動装置によって当該移動は達成される。その浮上支持ユニット612a1の移動後、可動浮上支持ユニットが回転して退避した位置の下部に位置づけられていた可動液受部616aSが、固定浮上支持ユニット612bとほぼ同じ(Z軸方向の)高さまで上昇することにより、図6(b)の配置が達成される。このような塗布装置1の動作により、「横塗り配置」と同様に、塗布過程において往復移動する塗布ヘッド114の往復移動経路AAの直下に、浮上支持ユニット612a2、612a3が配置され、その被塗布基板の領域外かつノズルの移動経路直下の位置においては、液受部616aSまたは616bが配置となる。そして、「横塗り配置」のときと同様に、安定した塗布が達成される。
【0109】
(各種調整などのために用いられる配置)
図6(c)の配置は、ノズルと被塗布基板との位置関係の調整を行う際の浮上支持ユニットおよび液受部の配置を示す。図6(b)において回転しながら退避した可動浮上支持ユニット612a1と同様の移動が可動浮上支持ユニット612a2、612a3、においても行われ、その後、図6(b)の場合と同様に、それぞれの下部に位置していた液受部616aLがZ軸にそって固定浮上支持ユニット612bと同じ(Z軸方向の)高さまで上昇する。この結果、全て液受部616a、616bが往復移動経路AAの直下の領域を占める配置が得られる。このような配置をとることができることで、塗布装置1は、第1の実施形態における図3(c)の配置により得られるのと同様の機能を備えることができる。
【0110】
(用語の定義等)
上述の説明に加え、本明細書において使用される用語の定義またはそれに付随する事項につき、以下に列挙する。
【0111】
(浮上支持ユニット)
本明細書で使用される場合、「浮上支持ユニット」は、本発明の塗布装置において被塗布基板の姿勢を所定の方向に保つように当該基板を非接触的に支持する非接触支持装置である。本発明で使用される非接触支持装置は、加圧流体を被塗布基板の主面に噴出することで塗布対象基板を浮上させる流体噴出部とともに、真空引きを行うことで周辺の流体を吸引する流体吸引部を備えていてもよい。流体噴出部は、流体を上面から噴出するために、多孔質材料により形成されるか、または、所定の密度で上面に開口部を設けられた板状材料などにより形成され得る。非接触支持装置全体としての外形は、本発明の塗布装置における所定の場所に組み込める形状(例えば、直方体状)であればよい。なお、本発明の塗布装置で用いられる非接触支持装置は、必要に応じて、流体吸引部を備えない非接触支持装置であってもよい。
【0112】
また、本発明の塗布装置において使用される1つの浮上支持ユニットの長さ、幅、奥行き等は、支持される基板の大きさ、あるいはその浮上支持ユニットを組み込もうとするノズルプリンティング装置全体の大きさなどまたはその装置に付属する周辺機器などを考慮して、本明細書の記載に基づき適宜決定することが可能である。したがって、本発明の塗布装置に用いるべき、浮上支持ユニットの総数についても、上述した具体的な実施形態において示された数に限定されることはない。浮上支持ユニット1つの大きさが変更されれば、所望の塗布結果を得るために必要とされる当該浮上支持ユニットの総数または構成(例えば、どのユニットを固定し、または移動可能なものとするかといった設定も含む)は変更される。しかしながら、本明細書の記載に基づくことにより、本発明の上述した具体的な実施形態により例示された本発明の特徴を有する塗布装置のための浮上支持ユニットを当業者は構成し得る。さらに、本発明の浮上支持ユニットは、通常1つのユニットとして機能を発揮するものであっても、その用途に応じて、その構造体における部分構造を着脱、分離等することが可能であり、塗布装置内のほかの構成要素との関係で適宜、その構成を変更し得る。
【0113】
なお、本発明の塗布装置を実施する場合、市販される非接触支持装置が使用され得る。そのような非接触支持装置を本発明の塗布装置に利用する場合、当業者は、本明細書の記載に基づいて、浮上量、消費流量、形状などを含めた、適切な仕様、構成、配置を選択して当該支持装置を利用することができる。本発明の塗布装置に、上述のような支持装置を用いる場合に、当業者は市販される非接触支持装置を利用することもできる。
【0114】
(液受部)
本発明の塗布装置で使用される「液受部」は、ノズルから被塗布基板外に吐出された流動性材料または被塗布基板が浮上支持ユニットに支持されていない状態でノズルから吐出された流動性材料を受容する。この機能を有しかつ所望する塗布結果が達成されるのであれば、その液受部の具体的な形状、個数、配置、可動または固定の設定の方法などは、上述した実施形態に示されるものに限定されない。この点、上述の浮上支持ユニットと同様に、本明細書の記載に基づくことによって、本発明の上述した具体的な実施形態により例示された本発明の特徴を有する塗布装置のための液受部を、当業者は適切に構成し得る。
【0115】
例えば、液受部における可動または固定の設定の方法については、以下のような変形例が考えられる。第2の実施形態または第3の実施形態では、その液受部の一部は可動液受部である。ここで、その可動液受部は、必要に応じて高さ方向(Z軸方向)に上昇して、被塗布基板を支持する周囲の浮上支持ユニットと同程度の位置まで移動する構成を有する。変形例では、当該可動液受部は、高さ方向の位置を変えることなく固定されていてもよい。すなわち、周囲の浮上支持ユニットよりも低い位置に存在する当該液受部とノズルとの距離が、ノズルから吐出される流動性材料の巻き上げなどが起こることなく適切に塗布液を受容することが可能であれば、当該液受部自体が可動ある必要はなく、周囲の浮上支持ユニットよりも低い位置で固定され、浮上支持ユニットの移動のみにより所望の塗布を達成される。
【0116】
(相対移動機構)
上述した実施形態では、塗布ヘッド114(ノズル117)がX軸方向(主走査方向)に直線移動する毎に、浮上支持ユニットに支持された被塗布基板を基板移動機構によりY軸方向(副走査方向)へ所定ピッチだけ移動させて、塗布ヘッド114と被塗布基板との当該Y軸方向に対する相対的な位置関係を変化させているが、本発明の構成はこれに限らない。
【0117】
本発明は、上述のように、ノズル117が被塗布基板の上方となる仮想水平面内の所定方向にノズル移動機構により往復移動されている。この場合、上述の相対的な位置関係を変化において、ノズル117および被塗布基板の少なくとも一方を当該仮想水平面と平行で、かつ、その往復移動の方向とは異なる方向に相対的に移動させることができる構成(「相対移動機構」)を本発明が有すれば十分である。例えば、第1の実施形態など用いられていた構成のほかに、塗布ヘッド114がX軸方向に直線移動する毎に、当該塗布ヘッド114をY軸方向へ所定ピッチだけ移動させて、塗布ヘッド114と被塗布基板との当該Y軸方向に対する相対的な位置関係を変化させてもかまわない。この場合、液受部等の他の構成についても、必要応じて相対的に移動することで本発明は達成される。
【0118】
(駆動機構等)
本発明の塗布装置1において、その構成要素間の相対位置の変更は、それぞれの構成要素の動作を駆動するための駆動機構、ならびにその移動または駆動のための補助部材(ガイドレール、摺動用補助部材など)は、その駆動が所望の精度をもって達成することができれば、任意の手段を用いることができる。その具体的な手段の選択は、本明細書の記載に基づき、当業者は適宜決定し得る。
【0119】
(流動性材料)
本明細書で使用される場合、「流動性材料」とは、本発明のノズルプリンティング装置において被塗布対象に対して塗布される材料であり、当該装置のノズルから吐出されることにより鉛直下方向に液柱状態となることで当該被塗布対象に塗布される。本発明において使用される流動性材料としては、例えば、各種の平面表示装置用の画素形成材料(例えば、有機EL材料)および溶媒(例えば、メシチレン)を含む塗布液が挙げられるが、これらに限定されない。
【0120】
なお、上述した実施形態においては、有機EL材料を含む流動性材料を塗布装置1が被塗布基板に塗布する例を用いた。有機EL材料が発光層を形成する場合、赤色発光の高分子有機EL材料、緑色発光の高分子有機EL材料、および青色発光の高分子有機EL材料を含む流動性材料をそれぞれ塗布できることは言うまでもない。また、本発明の塗布装置は、有機発光層材料の他に、正孔輸送層材料、正孔注入層材料、電子輸送層材料、および電子注入層材料等の他の有機EL材料を含む流動性材料を塗布する場合にも用いることができる。
【0121】
具体的には、上述した実施形態における塗布装置1が、赤、緑、および青色発光のうち、赤色発光の高分子有機EL材料を含む流動性材料を塗布する場合、この塗布工程は、有機ELデバイスを製造する途中工程である。有機ELデバイスを製造する場合、正孔注入層材料塗布、正孔輸送材料(例えば、PEDOT等)塗布、赤色発光の有機EL材料塗布、緑色発光の有機EL材料塗布、青色発光の有機EL材料塗布、電子輸送材料塗布、電子注入層材料塗布等の塗布工程があるが、本発明の塗布装置は、何れの塗布工程でも用いることができる。
【0122】
また、上述した実施形態では、有機EL材料を含む流動性材料等を塗布する塗布装置を一例にして説明したが、本発明は他の塗布装置にも適用できる。例えば、レジスト液、SOG(Spin On Glass)液またはPDP(プラズマディスプレイパネル)を製造するのに使用される蛍光材料を塗布する装置にも適用することができる。また、液晶カラーディスプレイをカラー表示するために液晶セル内に構成されるカラーフィルタを製造するために使用される色材を塗布する装置にも適用することができる。
【0123】
(その他)
本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞または形容詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0124】
以上のように、本発明の実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。また、当業者は、本発明の具体的な実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【符号の説明】
【0125】
1 塗布装置
109、409、609 被塗布基板
100 可動セット
110 基板回転機構
111 ガイドレール
112a 可動浮上支持ユニット
112aL 長軸可動浮上支持ユニット
112aS 短軸可動浮上支持ユニット
112b 固定浮上支持ユニット
114 塗布ヘッド
115 ヘッド移動機構
116aL 長軸可動液受部
116aS 短軸可動液受部
116b 固定液受部
117 ノズル
119、419、619 ノズル洗浄手段
412aL、412aS 可動浮上支持ユニット(第2の実施形態)
412b 固定浮上支持ユニット(第2の実施形態)
416aL、416aS 可動液受部(第2の実施形態)
416b 固定液受部(第2の実施形態)
612a1、612a2、612a3 可動浮上支持ユニット(第3の実施形態)
612b 固定浮上支持ユニット(第3の実施形態)
616aL、616aS 可動液受部(第3の実施形態)
616b 固定液受部(第3の実施形態)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に流動性材料を塗布するための塗布装置であって、
流動性材料を鉛直下方向への直線棒状となった液柱状態で吐出するノズルと、
前記ノズルが吐出した流動性材料を受容するための1または複数の液受部と、
前記基板を非接触的に支持するための1または複数の可動浮上支持ユニットと、
前記基板の上方となる仮想水平面内の所定方向に前記ノズルを往復移動させるノズル移動機構と、
前記ノズルおよび前記基板の少なくとも一方を前記仮想水平面と平行で、かつ、前記往復移動の方向とは異なる方向に相対的に移動させる相対移動機構と、
前記可動浮上支持ユニットおよび前記液受部の配置を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記相対移動機構により相対的に移動される基板の有無および
当該基板の前記往復移動の方向に対する長さのいずれかに応じて、
前記可動浮上支持ユニットを移動させて配置する、塗布装置。
【請求項2】
前記液受部は、可動液受部を含み、
前記制御部は、前記相対移動機構により相対的に移動される前記基板の有無および当該基板の前記往復移動の方向に対する長さのいずれかに応じて、
前記可動浮上支持ユニットもしくは前記可動液受部またはその両方を
移動させて配置する、請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ノズルが前記基板の塗布対象領域に対して流動性材料を吐出する場合に前記可動浮上支持ユニットの少なくとも一部が当該ノズルの直下位置で前記基板を支持するように、前記基板の長さに応じて前記可動浮上支持ユニットもしくは前記可動液受部またはその両方を移動させて配置する、請求項2に記載の塗布装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ノズルが前記基板の範囲外に対して流動性材料を吐出する場合に前記液受部の少なくとも一部が当該ノズルの直下位置に配置されるように、前記基板の長さに応じて前記可動浮上支持ユニットもしくは前記可動液受部またはその両方を移動させて配置する、請求項2または3に記載の塗布装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記可動浮上支持ユニットが前記基板を支持していない状態で前記ノズルが流動性材料を吐出する場合に当該ノズルの直下位置となる全ての領域に前記液受部の少なくとも一部が配置されるように、前記可動浮上支持ユニットもしくは前記可動液受部またはその両方を移動させて配置する、請求項2乃至4のいずれか1項に記載の塗布装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記ノズルが前記往復移動する際に当該ノズルの直下となる領域に対して、前記可動液受部のうちの少なくとも1つが退避した位置に前記可動浮上支持ユニットのいずれかを配置することによって、前記可動浮上支持ユニットおよび前記可動液受部を移動させて配置する、請求項2に記載の塗布装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記ノズルが前記往復移動する際に当該ノズルの直下となる領域に対して、前記可動浮上支持ユニットのうちの少なくとも1つが退避した位置に前記可動液受部のいずれかを配置することによって、前記可動浮上支持ユニットおよび前記可動液受部を移動させて配置する、請求項2に記載の塗布装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記ノズルが往復移動する方向に対して垂直な水平方向に前記可動浮上支持ユニットおよび前記可動液受部を共に移動させることによって、前記可動浮上支持ユニットのうちの少なくとも1つが退避した位置に前記可動液受部のいずれかを配置する、請求項7に記載の塗布装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記ノズルが往復移動する方向に対して垂直な水平方向に前記可動浮上支持ユニットを移動させ、前記可動液受部を鉛直方向に移動させることによって、前記可動浮上支持ユニットのうちの少なくとも1つが退避した位置に前記可動液受部のいずれかを配置する、請求項7に記載の塗布装置。
【請求項10】
前記制御部は、鉛直方向を回転軸にして前記可動浮上支持ユニットを回転移動させ、前記可動液受部を鉛直方向に移動させることによって、前記可動浮上支持ユニットのうちの少なくとも1つが回転移動して退避した位置に前記可動液受部のいずれかを配置する、請求項7に記載の塗布装置。
【請求項11】
前記可動浮上支持ユニットの少なくとも1つは、前記ノズルが前記往復移動する際に当該ノズルの直下となる領域に配置された状態で、その長手方向が当該ノズルの往復移動の方向と平行となるように配置される、請求項2に記載の塗布装置。
【請求項12】
相対的に移動される前記基板が存在する場合に、前記制御部は、前記基板の長手方向が、前記ノズルの往復移動の方向と平行であるかまたは垂直であるかに応じて、前記可動浮上支持ユニットおよび前記可動液受部を移動させて配置する、請求項2に記載の塗布装置。
【請求項13】
前記可動浮上支持ユニットは、長軸可動浮上支持ユニットと短軸可動浮上支持ユニットとを含み、
前記可動液受部は、長軸可動液受部と短軸可動液受部とを含み
ここで、
前記長軸可動浮上支持ユニットは、前記基板の長手方向の長さに応じた全長を有し、
前記短軸可動浮上支持ユニットは、前記基板の短手方向の長さに応じた全長を有し、
前記長軸可動液受部は、前記基板の長手方向の長さに応じた全長を有し、
前記短軸可動液受部は、前記長軸可動浮上支持ユニットの全長から前記短軸可動浮上支持ユニットの全長を差し引いた長さにほぼ相当する全長を有し、
前記液受部は、前記基板の長手方向の長さに応じた間隙を介した両端にそれぞれ固設された固定液受部を含み、
前記制御部は、前記基板の長手方向が前記ノズルの往復移動の方向と平行となるように姿勢を保ちつつ前記基板が相対移動機構により相対的に移動される場合、前記長軸可動浮上支持ユニットを前記固定液受部の間隙に配置し、
前記制御部は、前記基板の短手方向が前記ノズルの往復移動の方向と平行となるように姿勢を保ちつつ前記基板が相対移動機構により相対的に移動される場合、前記短軸可動浮上支持ユニットと前記短軸可動液受部とを隣接させた状態で前記固定液受部の間隙に配置し、
前記制御部は、前記可動浮上支持ユニットが前記基板を支持していない状態で前記ノズルが流動性材料を吐出する場合、前記長軸可動液受部を前記固定液受部の間隙に配置する、請求項12に記載の塗布装置。
【請求項14】
前記ノズルを複数個有する、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の塗布装置。
【請求項15】
前記複数のノズル間のピッチ調整を行うピッチ調整機構を、さらに備え、
前記制御部は、前記ピッチ調整を行う場合に前記ノズルの直下位置となる全ての領域に前記液受部の少なくとも一部が配置されるように、少なくとも前記可動浮上支持ユニットを移動させて配置する、請求項14に記載の塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−225436(P2010−225436A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−71945(P2009−71945)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】