塗装ホイールの製造装置及び塗装ホイールの製造方法
【課題】本発明は、塗膜が形成された塗装ホイールの製造装置及び塗装ホイールの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の塗装ホイールの製造装置1は、略円環状のリム部102と、円環状のリム部102における一方の端面である第1端面120側に偏って配置されるハブ取付部101と、ハブ取付部101の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部が前記リム部の第1端面120における第1円周部102a近傍に接続されるスポーク部103と、を有するホイール100の表面に塗膜が形成された塗装ホイールの製造装置であって、塗膜を形成するための塗料が表面に塗布されたホイール100における第1端面120に対向するように近接配置される第1誘導加熱部2と、第1誘導加熱部に対する第1端面の相対位置を変更可能な相対位置変更手段と、を備える。
【解決手段】本発明の塗装ホイールの製造装置1は、略円環状のリム部102と、円環状のリム部102における一方の端面である第1端面120側に偏って配置されるハブ取付部101と、ハブ取付部101の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部が前記リム部の第1端面120における第1円周部102a近傍に接続されるスポーク部103と、を有するホイール100の表面に塗膜が形成された塗装ホイールの製造装置であって、塗膜を形成するための塗料が表面に塗布されたホイール100における第1端面120に対向するように近接配置される第1誘導加熱部2と、第1誘導加熱部に対する第1端面の相対位置を変更可能な相対位置変更手段と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗膜が形成された塗装ホイールの製造装置及び塗装ホイールの製造方法に関する。また、ホイールの乾燥装置及びホイールの乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱容量が大きい製品、例えば自動車ホイール等の塗装には、強制乾燥型の塗料が用いられる。前記塗料を用いて塗装をした場合、塗布の直後に形成される塗膜が液状であるため、塗装物を把持等することは困難である。従って、次の工程に進む前に、塗装されたホイール等の部品を一定時間放置するか、又は加熱することによって塗膜を完全に乾燥させる必要がある。従来の方法により乾燥させる場合には、かなりの時間が必要であり、塗装工程における乾燥時間が待機時間となって塗装工程のサイクルタイムを長くし、その効率性を低下させる要因になっている。このため、塗膜を乾燥させる時間はより短縮されることが好ましい。
【0003】
例えば自動車のホイール等の工業部品を塗装する工程では、常温で放置するセッティング工程に3から5分、乾燥炉中で加熱する乾燥工程に約25分、及び手で取扱える温度まで冷却する冷却工程に2から5分の所要時間で塗膜が乾燥されており、塗料の塗布から手で取扱い可能になるまで約30から40分の時間を要している。これら一連の工程のなかで、特に乾燥工程の占める割合は大きく、この乾燥工程にかかる時間の短縮化が望まれている。
【0004】
これに対し、塗装された熱容量の大きな部品等を、該塗装された塗料を乾燥可能な温度に短時間で加熱させる方法として、誘導加熱を利用した加熱装置が提案されている。例えば、短時間の乾燥と同時に部品全体を均一に加熱するために、部品の形状に応じ、加熱する面に沿うように変形が可能な螺旋状誘導コイルを有する誘導加熱装置が発明されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−124512号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の自動車のホイール等を乾燥する工程では、乾燥炉の熱風で所定の温度に加熱するだけでも、例えば30分程度の時間が必要であるため、乾燥工程で必要な時間が長くなることでトータルの製造時間が長くなるという問題があり、これは、作業コストや作業効率に影響を与える。また、誘導加熱を利用した誘導加熱装置でホイールを加熱した場合、そのホイールの大きさや特殊な形状に起因する加熱ムラが生じ、ホイール全体を均一に加熱することが困難であった。
【0006】
特許文献1の誘導加熱装置は、全体を均一に加熱するために、螺旋状誘導コイルが加熱対象の形状に応じて変形可能となっているが、この特許文献1の装置では構造が複雑になりすぎるという問題がある。また、加熱対象の形状が変わるたびに調整が必要になるため、加熱開始までに時間や手間がかかるという問題もある。そして、これらが本発明の課題といってよい。
【0007】
本発明は、以上のような問題に鑑みてなされたものであり、塗膜が形成された塗装ホイールの製造装置及び塗装ホイールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者は、上記目的を達成するため、塗料が塗布されたホイールを加熱する誘導加熱部を配置すると共に、該誘導加熱部とホイールとの相対位置を変更可能な手段を配置することで、好適な塗膜が形成された塗装ホイールを製造可能であることを見出し、以下のような塗装ホイールの製造装置等を発明した。
【0009】
(1) 略円環状のリム部と、上記円環状のリム部における一方の端面である第1端面側に偏って配置されるハブ取付部と、上記ハブ取付部の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部が上記リム部の第1端面における第1円周部近傍に接続されるスポーク部と、を有するホイールの表面に塗膜が形成された塗装ホイールの製造装置であって、上記塗膜を形成するための塗料が表面に塗布された上記ホイールにおける上記第1端面に対向するように近接配置される第1誘導加熱部と、上記第1誘導加熱部に対する上記第1端面の相対位置を変更可能な相対位置変更手段と、を備える塗装ホイールの製造装置。
【0010】
(1)の発明によれば、塗装ホイールの製造装置は、略円環状のリム部と、円環状のリム部における一方の端面である第1端面側に偏って配置されるハブ取付部と、ハブ取付部の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部がリム部の第1端面における第1円周部近傍に接続されるスポーク部とを有するホイールの表面に塗膜が形成された塗装ホイールの製造装置である。具体的には、塗装ホイールの製造装置は、塗膜を形成するための塗料が表面に塗布されたホイールにおける第1端面に対向するように近接配置される第1誘導加熱部と、第1誘導加熱部に対する第1端面の相対位置を変更可能な相対位置変更手段と、を備える。
【0011】
塗装ホイールの製造装置の製造対象は、表面に塗膜が形成された塗装ホイールである。表面に塗膜が形成された塗装ホイールを製造するため、該塗装ホイールの製造装置は、表面に塗膜を形成するための塗装が塗布されたホイールを第1誘導加熱部により加熱する。該ホイールが、第1誘導加熱部により所定の温度に昇温されることで表面に塗布された塗装が乾燥し、所定の塗膜が形成される。これにより、塗装ホイールが製造される。
【0012】
第1誘導加熱部は、熱容量が大きな部位が集中して配置される第1端面に近接して配置される。第1誘導加熱部により第1端面側を加熱することで、該熱容量の高い部位を重点的に加熱できると共に、該第1端面に連結するリム部等を熱伝導により加熱できるので、ホイール全体を均一に加熱することができる。第1誘導加熱部の形状は、特に限定されないが、全体として略平坦状になるよう電線や中空状の銅線等を配置して形成することができる。例えば、所定の中空状の銅線を平坦状に巻回した誘導加熱部等を例示できる。
【0013】
相対位置変更手段は、第1誘導加熱部に対する第1端面の相対位置を変更することができる。具体的には、後述のように、ホイールを第1誘導加熱部に沿って移動させることや、ホイールを該ホイールにおけるリム部の円環軸を中心に回転させることができる。また、ホイールではなく、第1誘導加熱部が移動するように構成しても良い。
【0014】
このように、相対位置を変更可能にすることで、第1誘導加熱部により第1端面の所定部が偏って加熱されることを抑制する。つまり、相対位置変更手段により、前記相対位置を変更することで、第1端面側に配置される部位を均一に加熱する。
【0015】
第1誘導加熱部は、誘導加熱の原理を利用することにより短時間でホイールを120から160度(393.15Kから433.15K)に加熱することが可能である。なお、加熱開始前のホイールの温度は常温である。更に、熱容量が大きい部位に近接して配置された第1誘導加熱部よって、上述の通り、ホイールの熱容量が大きい部分を集中的に加熱することにより、全体を均一に加熱することができる。また、第1誘導加熱部で加熱された部分からの熱伝導により、前記加熱部で直接加熱されていない部分も昇温させることができるため、短時間で全体を均一に昇温させることができる。
【0016】
ここで、近接配置とは、第1誘導加熱部で加熱対象である第1端面を誘導加熱可能な位置に配置されていることをいう。好ましくは、所望の加熱条件に適した距離に調整して配置される。
【0017】
塗装ホイールの製造装置によれば、ホイールの表面に塗布された塗料を短時間で均一に乾燥させることができる。これにより、塗装ホイールの製造時間を短縮させことができるため、作業効率が向上すると共にコスト面でもメリットが生じる。
【0018】
(2) 上記相対位置変更手段は、上記第1誘導加熱部が加熱状態である場合に、上記相対位置を変更可能である(1)に記載の塗装ホイールの製造装置。
【0019】
(2)の発明によれば、塗装ホイールの製造装置は、相対位置変更手段が、第1誘導加熱部が加熱状態である場合に相対位置を変更可能である。これにより、表面に塗膜を形成するための塗料が塗布されたホイールを均一に加熱することができる。
【0020】
(3) 上記第1誘導加熱部は、上記第1端面と略平行に配置される(1)又は(2)に記載の塗装ホイールの製造装置。
【0021】
(3)の発明によれば、塗装ホイールの製造装置は、第1誘導加熱部が、第1端面と略平行に配置される。これにより、ホイールにおける第1端面側を均一に加熱することができる。
【0022】
(4) 上記相対位置変更手段は、上記ホイールを上記リム部における円環軸と略直交する方向に移動可能である(1)から(3)のいずれかに記載の塗装ホイールの製造装置。
【0023】
(4)の発明によれば、塗装ホイールの製造装置は、相対位置変更手段が、ホイールをリム部における円環軸と略直交する方向に移動可能である。これにより、例えば、略平坦状に形成された第1誘導加熱部に沿ってホイールを移動させることができる。例えば、固定された第1誘導加熱部に沿うように、塗膜を形成するための塗料が表面に塗布された複数のホイールを所定間隔で連続的に移動させることで、塗装ホイールを連続的に製造することができる。
【0024】
(5) 上記相対位置変更手段は、上記ホイールを上記第1端面から上記第1誘導加熱部までの距離を略同一に保った状態で所定方向に移動可能である(1)から(4)のいずれかに記載の塗装ホイールの製造装置。
【0025】
(5)の発明によれば、塗装ホイールの製造装置は、相対位置変更手段が、ホイールを第1端面から第1誘導加熱部までの距離を略同一に保った状態で所定方向に移動可能である。これにより、加熱状態を略同一に保つことができるので、ホイールにおける第1端面側を均一に加熱することができる。
【0026】
(6) 上記相対位置変更手段は、上記ホイールを上記円環軸を中心に回転可能である(1)から(5)のいずれかに記載の塗装ホイールの製造装置。
【0027】
(6)の発明によれば、塗装ホイールの製造装置は、相対位置変更手段が、ホイールを円環軸を中心に回転可能である。これにより、ホイールにおける第1端面側を均一に加熱することができる。また、第1誘導加熱部を、第1端面の全体を覆うような大きさや形状にすることなく、ホイールの第1端面側を均一に加熱することができる。例えば、第1誘導加熱部をコンパクトにすることが可能である。また、例えば、ホイールを回転させながら所定方向に移動させる場合には、コンパクトな第1誘導加熱部で塗装ホイールを連続的に製造することができる。
【0028】
(7) 上記第1誘導加熱部は、少なくとも上記ハブ取付部の一部と、上記スポーク部の一部と、上記リム部における第1円周部の一部と、を覆うように配置される(1)から(6)のいずれかに記載の塗装ホイールの製造装置。
【0029】
(7)の発明によれば、塗装ホイールの製造装置は、第1誘導加熱部が、少なくともハブ取付部の一部と、スポーク部の一部と、リム部における第1円周部の一部と、を覆うように配置される。これにより、例えば、相対位置変更手段により相対位置を変更させることにより第1端面側を加熱することができる。具体的には、第1誘導加熱部の形状や配置に応じてホイールを移動や回転させることで、第1端面側を均一に加熱することができる。
【0030】
(8) 上記リム部における上記第1端面と反対側の端面である第2端面に対向するように近接配置される第2誘導加熱部と、を更に備える(1)から(7)のいずれかに記載の塗装ホイールの製造装置。
【0031】
(8)の発明によれば、塗装ホイールの製造装置は、リム部における前記第1端面と反対側の端面である第2端面に対向するように近接配置される第2誘導加熱部と、を更に備える。これにより、第1端面から最も離間する部位であり熱容量が大きな部位を加熱することができるので、ホイールをより短時間でかつ均一に加熱することができる。
【0032】
(9) 略円環状のリム部と、上記円環状のリム部における一方の端面である第1端面側に偏って配置されるハブ取付部と、上記ハブ取付部の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部が上記リム部の第1端面における第1円周部近傍に接続されるスポーク部と、を有するホイールの表面に塗膜が形成された塗装ホイールの製造方法であって、上記塗膜を形成するための塗料を上記ホイールの表面に塗布する塗布工程と、上記塗布工程により表面に塗料が塗布されたホイールを上記第1端面に対向するように近接配置される第1誘導加熱部により加熱すると共に、上記第1誘導加熱部による加熱状態において該第1誘導加熱部に対する上記第1端面の相対位置を変更可能な相対位置変更手段により上記相対位置を変更する加熱工程と、を含む塗装ホイールの製造方法。
【0033】
(9)の発明によれば、塗装ホイールの製造方法は、略円環状のリム部と、円環状のリム部における一方の端面である第1端面側に偏って配置されるハブ取付部と、ハブ取付部の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部がリム部の第1端面における第1円周部近傍に接続されるスポーク部とを有するホイールの表面に塗膜が形成された塗装ホイールの製造方法である。具体的には、塗装ホイールの製造方法は、塗膜を形成するための塗料をホイールの表面に塗布する塗布工程と、塗布工程により表面に塗料が塗布されたホイールを第1端面に対向するように近接配置される第1誘導加熱部により加熱する共に、第1誘導加熱部による加熱状態において該第1誘導加熱部に対する第1端面の相対位置を変更可能な相対位置変更手段により相対位置を変更する加熱工程とを含む。
【0034】
塗装ホイールの製造方法の製造対象は、表面に塗膜が形成された塗装ホイールである。表面に塗膜が形成された塗装ホイールを製造するため、該塗装ホイールの製造方法は、塗膜を形成するための塗料をホイールの表面に塗布する塗布工程と、上記塗布工程で表面に塗料が塗布されたホイールを加熱する加熱工程とを含む。塗布工程は、所定の目的に応じた塗膜形成に用いられる所定の熱硬化性塗料を塗布する。例えば、図10に示すような所定の熱硬化性塗料を塗布することができる。
【0035】
塗装ホイールの製造方法は、塗布工程で塗布された塗料を加熱する工程を含む。具体的には、塗布工程において塗料が塗布されたホイールを第1誘導加熱部により加熱する。該ホイールが、第1誘導加熱部により所定の温度に昇温されることで表面に塗布された塗装が乾燥し、所定の塗膜が形成される。これにより、塗装ホイールが製造される。
【0036】
第1誘導加熱部は、熱容量が大きな部位が集中して配置される第1端面に近接して配置される。第1誘導加熱部により第1端面側を加熱することで、該熱容量の高い部位を重点的に加熱できると共に、該第1端面に連結するリム部等を熱伝導により加熱できるので、ホイール全体を均一に加熱することができる。第1誘導加熱部の形状は、特に限定されないが、全体として略平坦状になるよう電線や中空状の銅線等を配置して形成することができる。例えば、所定の中空状の銅線を平坦状に巻回した誘導加熱部等を例示できる。
【0037】
相対位置変更手段は、第1誘導加熱部が加熱状態において、第1誘導加熱部に対する第1端面の相対位置を変更することができる。具体的には、後述のように、ホイールを第1誘導加熱部に沿って移動させることや、ホイールを該ホイールにおけるリム部の円環軸を中心に回転させることができる。また、ホイールではなく、第1誘導加熱部が移動するように構成しても良い。
【0038】
このように、第1誘導加熱部による加熱状態において前記相対位置を変更可能にすることで、第1誘導加熱部により第1端面の所定部が偏って加熱されることを抑制する。つまり、相対位置変更手段により加熱状態において前記相対位置を変更することで、第1端面側に配置される部位を均一に加熱する。
【0039】
ここで、近接配置とは、第1誘導加熱部で加熱対象である第1端面を誘導加熱可能な位置に配置されていることをいう。好ましくは、所望の加熱条件に適した距離に調整して配置される。
【0040】
塗装ホイールの製造方法によれば、ホイールの表面に塗布された塗料を短時間で均一に乾燥させることができる。これにより、塗装ホイールの製造時間を短縮させことができるため、作業効率が向上すると共にコスト面でもメリットが生じる。
【0041】
(10) 上記加熱工程において、上記ホイールは、上記相対位置変更手段により、上記リム部における円環軸と略直交する方向に移動される(9)に記載の塗装ホイールの製造方法。
【0042】
(10)の発明によれば、塗装ホイールの製造方法は、加熱工程において、ホイールが、相対位置変更手段によりリム部における円環軸と略直交する方向に移動される。これにより、例えば、略平平坦状に形成された第1誘導加熱部に沿ってホイールを移動させることができる。例えば、固定された第1誘導加熱部に沿うように、塗膜を形成するための塗料が表面に塗布された複数のホイールを所定間隔で連続的に移動させることで、塗装ホイールを連続的に製造することができる。
【0043】
(11) 上記加熱工程において、上記ホイールは、上記相対位置変更手段により、上記第1端面から上記第1誘導加熱部までの距離を略同一に保った状態で所定方向に移動される(9)又は(10)に記載の塗装ホイールの製造方法。
【0044】
(11)の発明によれば、塗装ホイールの製造方法は、加熱工程において、ホイールが、相対位置変更手段により、ホイールが第1端面から第1誘導加熱部までの距離を略同一に保った状態で所定方向に移動される。これにより、加熱状態を略同一に保つことができるので、ホイールにおける第1端面側を均一に加熱することができる。
【0045】
(12) 上記加熱工程において、上記ホイールは、上記相対位置変更手段により、上記円環軸を中心に回転される(9)から(11)のいずれかに記載の塗装ホイールの製造方法。
【0046】
(12)の発明によれば、塗装ホイールの製造方法は、前記加熱工程において、前記ホイールが、相対位置変更手段より、ホイールが円環軸を中心に回転される。これにより、ホイールにおける第1端面側を均一に加熱することができる。また、第1端面の全体を覆うような大きさや形状でない第1誘導加熱部により、ホイールの第1端面側を均一に加熱することができる。例えば、コンパクトな第1誘導加熱部を用いること可能である。また、例えば、ホイールを回転させながら所定方向に移動させる場合には、コンパクトな第1誘導加熱部で塗装ホイールを連続的に製造することができる。
【0047】
(13) 上記塗布工程は、上記ホイールの表面に第1熱硬化性塗料を塗布するプライマー塗布工程と、上記プライマー塗布工程で塗布された上記第1熱硬化性塗料の表面に、第2熱硬化性塗料を塗布するベース塗布工程と、を少なくとも含み、上記加熱工程は、上記プライマー塗布工程により表面に第1熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第1加熱工程及び/又は、上記ベース塗布工程により表面に第2熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第2加熱工程を含む(9)から(12)のいずれかに記載の製造方法。
【0048】
(13)の発明によれば、塗装ホイールの製造方法は、塗布工程が、ホイールの表面に第1熱硬化性塗料を塗布するプライマー塗布工程と、プライマー塗布工程で塗布された第1熱硬化性塗料の表面に第2熱硬化性塗料を塗布するベース塗布工程と、を少なくとも含む。そして、加熱工程が、プライマー塗布工程により表面に第1熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第1加熱工程及び/又は、ベース塗布工程により表面に第2熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第2加熱工程を含む。これにより、塗布工程により所定の目的に応じて塗布された熱硬化性塗料を加熱工程により硬化させ、所定の塗膜が形成された塗装ホイールを製造することができる。また、加熱工程は、第1熱硬化性塗料及び第2熱硬化性塗料の組み合わせに応じて、第1加熱工程及び/又は第2加熱工程により、表面に熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する。つまり、加熱工程は、各塗布工程ごとに、塗布された塗料を乾燥するよう第1加熱工程及び第2加熱工程を含むことができ、また、第1加熱工程又は第2加熱工程の一方のみを含むことができる。例えば、プライマー塗布工程により塗布された第1熱硬化性塗料の表面に、該第1熱硬化性塗料を乾燥することなく第2熱硬化性塗料を塗布できる場合には、加熱工程に第2加熱工程のみを含むことができる。
【0049】
プライマー塗布工程及び/又はベース塗布工程は、それぞれ複数の塗布工程を有することができる。例えば、ベース塗布工程は、塗膜の強度を確保するための熱硬化性塗料等を塗布する第1ベース塗布工程と、塗膜の色等の外観面に寄与する熱硬化性塗料等を塗布する第2ベース塗布工程と、を含むことができる。
【0050】
この場合における塗布工程は、プライマー塗布工程+第1ベース塗布工程、プライマー塗布工程+第1ベース塗布工程+第2ベース塗布工程のような組み合わせにより所定の熱硬化性塗料を塗布することができる。
【0051】
また、この場合における第2加熱工程は、例えば、第1ベース塗布工程により表面に所定の熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第2A加熱工程と、第2ベース塗布工程により表面に所定の熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第2B加熱工程とを含むことができる。また、第2加熱工程は、上述のように熱硬化性塗料の組み合わせに応じて、第2A加熱工程又は第2B加熱工程の一方又は双方を含むことができる。
【0052】
これにより、所定の目的に応じた熱硬化性塗料を塗布すると共に、該塗布された熱硬化性塗料のそれぞれを、加熱工程により硬化させ、所定の塗膜を形成することができる。各塗布工程における熱硬化性塗料と、加熱工程における加熱条件は、例えば、図10のような条件を例示できる。
【0053】
(14) 上記塗布工程は、上記ベース塗布工程で塗布された上記第2熱硬化性塗料の表面に、第3熱硬化性塗料を塗布するクリヤー塗布工程と、を更に含み、上記加熱工程は、上記クリヤー塗布工程により表面に第3熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第3加熱工程を含む(13)に記載の製造方法。
【0054】
(14)の発明によれば、塗装ホイールの製造方法は、塗布工程が、ベース塗布工程で塗布された第2熱硬化性塗料の表面に、第3熱硬化性塗料を塗布するクリヤー塗布工程と、を更に含む。そして、加熱工程が、クリヤー塗布工程により表面に第3熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第3加熱工程を含む。これにより、塗布工程により所定の目的に応じて塗布された熱硬化性塗料を加熱工程により硬化させ、所定の塗膜を形成された塗装ホイールを製造することができる。
【0055】
クリヤー塗布工程は、複数の塗布工程を含むことができる。この場合における第3加熱工程は、複数の塗布工程それぞれにより表面に所定の熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する複数の加熱工程を含むことができる。
【0056】
これにより、所定の目的に応じた熱硬化性塗料を塗布すると共に、該塗布された熱硬化性塗料のそれぞれを、加熱工程により硬化させ、所定の塗膜を形成することができる。各塗布工程における熱硬化性塗料と、加熱工程における加熱条件は、例えば、図10のような条件を例示できる。
【0057】
(15) 略円環状のリム部と、上記円環状のリム部における一方の端面である第1端面側に偏って配置されるハブ取付部と、上記ハブ取付部の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部が上記リム部の第1端面における第1円周部近傍に接続されるスポーク部と、を有するホイールの加熱装置であって、上記ホイールにおける上記第1端面に対向するように近接配置される第1誘導加熱部と、上記第1誘導加熱部に対する上記第1端面の相対位置を変更可能な相対位置変更手段と、を備えるホイールの加熱装置。
【0058】
(15)の発明によれば、塗装ホイールの加熱装置は、略円環状のリム部と、円環状のリム部における一方の端面である第1端面側に偏って配置されるハブ取付部と、ハブ取付部の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部がリム部の第1端面における第1円周部近傍に接続されるスポーク部と、を有するホイールの加熱装置である。具体的には、ホイールにおける第1端面に対向するように近接配置される第1誘導加熱部と、第1誘導加熱部に対する第1端面の相対位置を変更可能な相対位置変更手段と、を備える加熱装置である。
【0059】
ホイールの加熱装置の加熱対象は、表面に塗膜が形成された塗装ホイール等のホイールである。
【0060】
第1誘導加熱部は、熱容量が大きな部位が集中して配置される第1端面に近接して配置される。第1誘導加熱部により第1端面側を加熱することで、該熱容量の高い部位を重点的に加熱できると共に、該第1端面に連結するリム部等を熱伝導により加熱できるので、ホイール全体を均一に加熱することができる。第1誘導加熱部の形状は、特に限定されないが、全体として略平坦状になるよう電線や中空状の銅線等を配置して形成することができる。例えば、所定の中空状の銅線を平坦状に巻回した誘導加熱部等を例示できる。
【0061】
相対位置変更手段は、第1誘導加熱部に対する第1端面の相対位置を変更することができる。具体的には、後述のように、ホイールを第1誘導加熱部に沿って移動させることや、ホイールを該ホイールにおけるリム部の円環軸を中心に回転させることができる。また、ホイールではなく、第1誘導加熱部が移動するように構成しても良い。
【0062】
このように、相対位置を変更可能にすることで、第1誘導加熱部により第1端面の所定部が偏って加熱されることを抑制する。つまり、相対位置変更手段により、前記相対位置を変更することで、第1端面側に配置される部位を均一に加熱する。
【0063】
第1誘導加熱部は、誘導加熱の原理を利用することにより短時間でホイールを120から160度(393.15Kから433.15K)に加熱することが可能である。また、第1誘導加熱部を構成する材料や供給する電力に応じて所定の温度まで昇温させることができる。なお、加熱開始前のホイールの温度は常温である。更に、熱容量が大きい部位に近接して配置された第1誘導加熱部よって、上述の通り、ホイールの熱容量が大きい部分を集中的に加熱することにより、全体を均一に加熱することができる。また、第1誘導加熱部で加熱された部分からの熱伝導により、上記加熱部で直接加熱されていない部分も昇温させることができるため、短時間で全体を均一に昇温させることができる。
【0064】
ここで、近接配置とは、第1誘導加熱部で加熱対象である第1端面を誘導加熱可能な位置に配置されていることをいう。好ましくは、所望の加熱条件に適した距離に調整して配置される。
【0065】
(16) 略円環状のリム部と、上記円環状のリム部における一方の端面である第1端面側に偏って配置されるハブ取付部と、上記ハブ取付部の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部が上記リム部の第1端面における第1円周部近傍に接続されるスポーク部と、を有するホイールの加熱方法であって、上記ホイールにおける上記第1端面に対向するように近接配置される第1誘導加熱部により加熱すると共に、該加熱状態において上記第1誘導加熱部に対する上記第1端面の相対位置を変更可能な相対位置変更手段により上記相対位置を変更する工程を含むホイールの加熱方法。
【0066】
(16)の発明によれば、塗装ホイールの加熱方法は、略円環状のリム部と、円環状のリム部における一方の端面である第1端面側に偏って配置されるハブ取付部と、ハブ取付部の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部がリム部の第1端面における第1円周部近傍に接続されるスポーク部と、を有するホイールの加熱方法である。具体的には、ホイールにおける第1端面に対向するように近接配置される第1誘導加熱部により加熱すると共に、加熱状態において第1誘導加熱部に対する第1端面の相対位置を変更可能な相対位置変更手段により相対位置を変更する工程を含む加熱方法である。
【0067】
ホイールの加熱方法の加熱対象は、表面に塗膜が形成された塗装ホイール等のホイールである。
【0068】
第1誘導加熱部は、熱容量が大きな部位が集中して配置される第1端面に近接して配置される。第1誘導加熱部により第1端面側を加熱することで、該熱容量の高い部位を重点的に加熱できると共に、該第1端面に連結するリム部等を熱伝導により加熱できるので、ホイール全体を均一に加熱することができる。第1誘導加熱部の形状は、特に限定されないが、全体として略平坦状になるよう電線や中空状の銅線等を配置して形成することができる。例えば、所定の中空状の銅線を平坦状に巻回した誘導加熱部等を例示できる。
【0069】
相対位置変更手段は、第1誘導加熱部に対する第1端面の相対位置を変更することができる。具体的には、後述のように、ホイールを第1誘導加熱部に沿って移動させることや、ホイールを該ホイールにおけるリム部の円環軸を中心に回転させることができる。また、ホイールではなく、第1誘導加熱部が移動するように構成しても良い。
【0070】
このように、相対位置を変更可能にすることで、第1誘導加熱部により第1端面の所定部が偏って加熱されることを抑制する。つまり、相対位置変更手段により、上記相対位置を変更することで、第1端面側に配置される部位を均一に加熱する。
【0071】
第1誘導加熱部は、誘導加熱の原理を利用することにより短時間でホイールを120から160度(393.15Kから433.15K)に加熱することが可能である。また、第1誘導加熱部を構成する材料や供給する電力に応じて所定の温度まで昇温させることができる。なお、加熱開始前のホイールの温度は常温である。更に、熱容量が大きい部位に近接して配置された第1誘導加熱部よって、上述の通り、ホイールの熱容量が大きい部分を集中的に加熱することにより、全体を均一に加熱することができる。また、第1誘導加熱部で加熱された部分からの熱伝導により、上記加熱部で直接加熱されていない部分も昇温させることができるため、短時間で全体を均一に昇温させることができる。
【0072】
ここで、近接配置とは、第1誘導加熱部で加熱対象である第1端面を誘導加熱可能な位置に配置されていることをいう。好ましくは、所望の加熱条件に適した距離に調整して配置される。
【0073】
(17) 略円環状のリム部と、上記円環状のリム部における一方の端面である第1端面側に偏って配置されるハブ取付部と、上記ハブ取付部の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部が上記リム部の第1端面における第1円周部近傍に接続されるスポーク部と、を有するホイールの表面に塗膜を形成する塗膜形成方法であって、上記塗膜を形成するための塗料を上記ホイールの表面に塗布する塗布工程と、上記塗布工程により表面に塗料が塗布されたホイールを上記第1端面に対向するように近接配置される第1誘導加熱部により加熱する共に、上記第1誘導加熱部による加熱状態において該第1誘導加熱部に対する上記第1端面の相対位置を変更可能な相対位置変更手段により上記相対位置を変更する加熱工程と、を含む塗膜形成方法。
【0074】
(17)の発明によれば、塗膜形成方法は、略円環状のリム部と、円環状のリム部における一方の端面である第1端面側に偏って配置されるハブ取付部と、ハブ取付部の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部が上記リム部の第1端面における第1円周部近傍に接続されるスポーク部と、を有するホイールの表面に塗膜を形成する。具体的には、塗膜を形成するための塗料をホイールの表面に塗布する塗布工程と、塗布工程により表面に塗料が塗布されたホイールを第1端面に対向するように近接配置される第1誘導加熱部により加熱する共に、第1誘導加熱部による加熱状態において該第1誘導加熱部に対する第1端面の相対位置を変更可能な相対位置変更手段により相対位置を変更する加熱工程とを含む。
【0075】
塗布工程は、塗膜を形成するめの塗料をホイールの表面に塗布する。この塗布工程は、上述した塗装ホイールの製造方法における塗布工程における記載を援用することができる、加熱工程は、塗布工程において表面に塗料が塗布されたホイールを第1誘導加熱部により加熱する。
【0076】
加熱工程における第1誘導加熱部は、熱容量が大きな部位が集中して配置される第1端面に近接して配置される。第1誘導加熱部により第1端面側を加熱することで、該熱容量の高い部位を重点的に加熱できると共に、該第1端面に連結するリム部等を熱伝導により加熱できるので、ホイール全体を均一に加熱することができる。第1誘導加熱部の形状は、特に限定されないが、全体として略平坦状になるよう電線や中空状の銅線等を配置して形成することができる。例えば、所定の中空状の銅線を平坦状に巻回した誘導加熱部等を例示できる。
【0077】
加熱工程における相対位置変更手段は、第1誘導加熱部に対する第1端面の相対位置を変更することができる。具体的には、後述のように、ホイールを第1誘導加熱部に沿って移動させることや、ホイールを該ホイールにおけるリム部の円環軸を中心に回転させることができる。また、ホイールではなく、第1誘導加熱部が移動するように構成しても良い。
【0078】
このように、相対位置を変更可能にすることで、第1誘導加熱部により第1端面の所定部が偏って加熱されることを抑制する。つまり、相対位置変更手段により、上記相対位置を変更することで、第1端面側に配置される部位を均一に加熱する。
【0079】
第1誘導加熱部は、誘導加熱の原理を利用することにより短時間でホイールを120から160度(393.15Kから433.15K)に加熱することが可能である。また、第1誘導加熱部を構成する材料や供給する電力に応じて所定の温度まで昇温させることができる。なお、加熱開始前のホイールの温度は常温である。更に、熱容量が大きい部位に近接して配置された第1誘導加熱部よって、上述の通り、ホイールの熱容量が大きい部分を集中的に加熱することにより、全体を均一に加熱することができる。また、第1誘導加熱部で加熱された部分からの熱伝導により、上記加熱部で直接加熱されていない部分も昇温させることができるため、短時間で全体を均一に昇温させることができる。
【0080】
ここで、近接配置とは、第1誘導加熱部で加熱対象である第1端面を誘導加熱可能な位置に配置されていることをいう。好ましくは、所望の加熱条件に適した距離に調整して配置される。
【0081】
(18) 上記塗布工程は、上記ホイールの表面に第1熱硬化性塗料を塗布するプライマー塗布工程と、上記プライマー塗布工程で塗布された上記第1熱硬化性塗料の表面に、第2熱硬化性塗料を塗布するベース塗布工程と、を少なくとも含み、上記加熱工程は、上記プライマー塗布工程により表面に第1熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第1加熱工程及び/又は、上記ベース塗布工程により表面に第2熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第2加熱工程を含む(17)に記載の塗膜形成方法。
【0082】
(18)の発明によれば、塗膜形成方法は、塗布工程が、ホイールの表面に第1熱硬化性塗料を塗布するプライマー塗布工程と、プライマー塗布工程で塗布された第1熱硬化性塗料の表面に第2熱硬化性塗料を塗布するベース塗布工程と、を少なくとも含む。そして、加熱工程が、プライマー塗布工程により表面に第1熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第1加熱工程及び/又は、ベース塗布工程により表面に第2熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第2加熱工程を含む。これにより、塗布工程により所定の目的に応じて塗布された熱硬化性塗料を加熱工程により硬化させ、所定の塗膜を形成することができる。また、加熱工程は、第1熱硬化性塗料及び第2熱硬化性塗料の組み合わせに応じて、第1加熱工程及び/又は第2加熱工程により、表面に熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する。つまり、加熱工程は、各塗布工程ごとに、塗布された塗料を乾燥するよう第1加熱工程及び第2加熱工程を含むことができ、また、第1加熱工程又は第2加熱工程の一方のみを含むことができる。例えば、プライマー塗布工程により塗布された第1熱硬化性塗料の表面に、該第1熱硬化性塗料を乾燥することなく第2熱硬化性塗料を塗布できる場合には、加熱工程に第2加熱工程のみを含むことができる。
【0083】
プライマー塗布工程及び/又はベース塗布工程は、それぞれ複数の塗布工程を有することができる。例えば、ベース塗布工程は、塗膜の強度を確保するための熱硬化性塗料等を塗布する第1ベース塗布工程と、塗膜の色等の外観面に寄与する熱硬化性塗料等を塗布する第2ベース塗布工程と、を含むことができる。
【0084】
この場合における塗布工程は、プライマー塗布工程+第1ベース塗布工程、プライマー塗布工程+第1ベース塗布工程+第2ベース塗布工程のような組み合わせにより所定の熱硬化性塗料を塗布することができる。
【0085】
また、この場合における第2加熱工程は、例えば、第1ベース塗布工程により表面に所定の熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第2A加熱工程と、第2ベース塗布工程により表面に所定の熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第2B加熱工程とを含むことができる。また、第2加熱工程は、上述のように熱硬化性塗料の組み合わせに応じて、第2A加熱工程又は第2B加熱工程の一方又は双方を含むことができる。
【0086】
これにより、所定の目的に応じた熱硬化性塗料を塗布すると共に、該塗布された熱硬化性塗料のそれぞれを、加熱工程により硬化させ、所定の塗膜を形成することができる。各塗布工程における熱硬化性塗料と、加熱工程における加熱条件は、例えば、図10のような条件を例示できる。
【0087】
(19) 上記塗布工程は、上記ベース塗布工程で塗布された上記第2熱硬化性塗料の表面に、第3熱硬化性塗料を塗布するクリヤー塗布工程と、を更に含み、上記加熱工程は、上記クリヤー塗布工程により表面に第3熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第3加熱工程を含む(18)に記載の製造方法。
【0088】
(19)の発明によれば、塗膜形成方法は、塗布工程が、ベース塗布工程で塗布された第2熱硬化性塗料の表面に第3熱硬化性塗料を塗布するクリヤー塗布工程と、を更に含む。そして、加熱工程が、クリヤー塗布工程により表面に第3熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第3加熱工程を含む。これにより、塗布工程により所定の目的に応じて塗布された熱硬化性塗料を加熱工程により硬化させ、所定の塗膜を形成することができる。
【0089】
クリヤー塗布工程は、複数の塗布工程を含むことができる。この場合における第3加熱工程は、複数の塗布工程それぞれにより表面に所定の熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する複数の加熱工程を含むことができる。
【0090】
これにより、所定の目的に応じた熱硬化性塗料を塗布すると共に、該塗布された熱硬化性塗料のそれぞれを、加熱工程により硬化させ、所定の塗膜を形成することができる。各塗布工程における熱硬化性塗料と、加熱工程における加熱条件は、例えば、図10のような条件を例示できる。
【発明の効果】
【0091】
本発明によれば、塗膜が形成された塗装ホイールの製造装置及び塗装ホイールの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0092】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0093】
図1は、本発明の第1実施形態における塗装ホイールの製造装置を説明する斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態における塗装ホイールの製造装置を説明する側面図である。図3は、本発明の第1実施形態における塗装ホイールの製造装置を説明する平面図である。図4は、本発明の第2実施形態における塗装ホイールの製造装置を説明する平面図である。図5は、本発明の第3実施形態における塗装ホイールの製造装置を説明する平面図である。図6は、本発明の第4実施形態における塗装ホイールの製造装置を説明する平面図である。図7は、本発明の応用実施形態における塗装ホイールの製造装置を説明する斜視図である。図8は、ホイールの平面斜視図である。図9は、温度測定点を説明するホイールの平面斜視図である。図10は、ホイールの塗装例を示す表である。図11は、実施例1における温度の測定結果を示すグラフである。図12は、実施例2における温度の測定結果を示すグラフである。図13は、実施例3における温度の測定結果を示すグラフである。図14は、比較例における温度の測定結果を示すグラフである。
【0094】
[1]塗装ホイールの製造装置
図1から図8により、本発明における塗装ホイールの製造装置について説明する。
【0095】
[1.1]
第1実施形態における塗装ホイールの製造装置により、本発明の塗装ホイールの製造装置の全体構成について説明する。
【0096】
[1.1.1]ホイール
図1に示すように、本発明の塗装ホイールの製造装置の製造対象は、表面に塗膜が形成された塗装ホイールである。該塗装ホイールは、塗膜を形成するための塗料が塗布された金属製のホイールを、本発明の塗装ホイールの製造装置により所定の加熱処理がなされることで製造される。この塗料が塗布されるホイール100は、略円環状のリム部102と、円環状のリム部102における一方の端面である第1端面120側に偏って配置されるハブ取付部101と、ハブ取付部101の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部がリム部102の第1端面120における第1円周部102a近傍に接続されるスポーク部103とを有する。ホイール100の金属材質は特に限定されないが、鉄、アルミニウム、マグネシウムを例示することができる。
【0097】
ホイールの表面に塗膜を形成するために塗布される塗料は、形成される塗膜の性状等により適宜調整することができる。例えば、図10の表に示す塗料を塗布することができる。図10の表に示す塗装ホイールの製造手順は後述の通りである。
【0098】
[1.1.2]製造装置の概要
塗装ホイールの製造装置1は、第1誘導加熱部2と、相対位置変更手段である不図示の水平移動部及び回転移動部511とを備える。この第1誘導加熱部2は、塗膜を形成するための塗料が表面に塗布されたホイール100における第1端面120に対向するように近接配置される。
【0099】
本発明の塗装ホイールの製造装置1によれば、ホイール100の表面に塗布された塗料を短時間で均一に乾燥させることができる。これにより、塗装ホイールの製造時間を短縮させことができるため、作業効率が向上すると共にコスト面でもメリットが生じる。また、本発明の塗装ホイールの製造装置1によれば、短時間で、好適な塗膜が形成された塗装ホイールを製造することができる。
【0100】
[1.1.3]誘導加熱部
図1から図3に示すように、第1誘導加熱部2は、ハブ取付部101の中心を挟んで配置される第1帯状誘導加熱部2aと、第2帯状誘導加熱部2bとを備える。第1誘導加熱部2は、所定の中空状の銅線を平坦状に巻回して形成される誘導加熱部である。銅線に形成される中空部には、該銅線の昇温を抑制するための冷却水等を通液することができる。第1帯状誘導加熱部2aと第2帯状誘導加熱部2bとはそれぞれ同一の中空状の銅線によって形成される。該第1誘導加熱部2は、不図示の電源から供給される電力に応じてホイール100を加熱する。
【0101】
第1誘導加熱部2は、例えば、中空状の銅線を連続的に渦巻状又は螺旋状に巻回しながら略平坦状に形成することができる。また、二本以上の中空状の銅線により形成することもできる。この場合、第1の中空状の銅線に出力する電力と、第2の中空状の銅線に出力する電力を別々に制御することができる。
【0102】
本実施形態における塗装ホイールの製造装置1は、リム部102における第1端面120と反対側の端面である第2端面130に対向するように近接配置される第2誘導加熱部3とを更に備える。第2誘導加熱部3は、第1誘導加熱部2と同様に、所定の中空状の銅線を平坦状に巻回して形成される誘導加熱部である。また、第2誘導加熱部3は、ハブ取付部101の中心を挟んで配置される第3帯状誘導加熱部3aと、第4帯状誘導加熱部3bとを備える。第3帯状誘導加熱部3aと第4帯状誘導加熱部3bとはそれぞれ同一の中空状の銅線によって形成される。該第3帯状誘導加熱部3aと第4帯状誘導加熱部3bとは、開口部10を形成するために第2誘導加熱部3と略直交する方向に略コ状を形成するように巻回される連結部23を介して連続している。
【0103】
第1誘導加熱部2は、熱容量が大きな部位が集中して配置される第1端面120に近接して配置される。熱容量が大きな部位とは、具体的には、ハブ取付部101、スポーク部103及びリム部102における第1円周部102aである。ここで、近接配置とは、第1誘導加熱部2が、加熱対象である第1端面120を誘導加熱可能な位置に配置されていることをいう。例えば、第1誘導加熱部2から第1端面120の距離として5mmから20mmを例示できるが、この条件に限定されるわけではない。
【0104】
第1誘導加熱部2により第1端面120側を加熱することで、該熱容量の高いハブ取付部101、スポーク部103及びリム部102における第1円周部102aを重点的に加熱できると共に、該第1端面120に連続するリム部102の側面部等を熱伝導により加熱できる。その結果、第1誘導加熱部2は、ホイール100全体を均一に加熱することができる。
【0105】
図1から図3に示すように、本実施形態において、第1誘導加熱部2は、第1端面120と略平行に配置される。これにより、ホイール100における第1端面120側を均一に加熱することができる。
【0106】
また、図1及び図3に示すように、本実施形態において、第1誘導加熱部2は、少なくともハブ取付部101の一部と、スポーク部103の一部と、リム部102における第1円周部102aの一部と、を覆うように配置される。これにより、例えば、後述する相対位置変更手段により、第1誘導加熱部2と第1端面120との相対位置を変更させることにより第1端面120側を均一に加熱することができる。具体的には、第1誘導加熱部2の形状や配置に応じてホイール100を水平移動や回転移動させることで、第1端面120側を均一に加熱することができる。
【0107】
例えば、第1誘導加熱部2は、誘導加熱の原理を利用することにより短時間でホイールを120から160度(393.15Kから433.15K)に加熱することが可能である。更に、熱容量が大きい部位に近接して配置された第1誘導加熱部2よって、上述の通り、ホイールの熱容量が大きいハブ取付部101、スポーク部103及びリム部102における第1円周部102aを集中的に加熱することにより、全体を均一に加熱することができる。また、第1誘導加熱部2で加熱された部分からの熱伝導により、前記第1誘導加熱部2及び第2誘導加熱部3で直接加熱されていないリム部102の側面等を昇温させることができる。これにより、ホイール短時間で全体を均一に昇温させることができる。
【0108】
上述したが、本発明の塗装ホイールの製造装置1は、ホイール100全体を短時間で均一に加熱できる。塗膜を形成するための塗料が塗布されたホイール100を、短時間で塗料の乾燥に適した120から160度(393.15Kから433.15K)に加熱することができる。これにより、ホイール100の表面に塗布された所定の塗料を、短時間で均一に乾燥させることができる。
【0109】
また、本実施形態の塗装ホイールの製造装置1によれば、短時間でホイール100全体を均一に加熱することができるため良好な塗膜が形成される。具体的には、塗料の表面側からではなく塗料の内側の面であるホイール100側から昇温するので、従来の熱風で外部から加熱した場合のように表面だけが乾燥されてしまうことがない。このため、塗料が均一に加熱乾燥されるため良好な塗膜が形成される。また、塗料の加熱乾燥時間が短時間であることや、塗料に熱風を吹き付けるような乾燥ではないため、塗料の表面にゴミやチリが付着する可能性も低いということも良好な塗膜形成に寄与する。
【0110】
[1.1.4]相対位置変更手段
図1及び図3に示すように、相対位置変更手段により、塗膜を形成するための塗料が塗布されたホイール100は、矢印Tの方向に移動されると共に、矢印Rの方向に回転される。具体的には、相対位置変更手段である不図示の水平方向移動部により矢印Tの方向に水平移動されると共に、回転移動部511によりリム部102の円環軸を中心に矢印Rの方向に回転移動される。この回転移動部511による回転は、例えば0.5から20rpm、特に0.5から10rpmである場合好ましい。
【0111】
更に具体的には、まず、塗膜を形成するための塗料が塗布されたホイール100は、保持部材513のホイール100側に形成される不図示の配置部に位置決めされた状態で配置される。ホイール100を位置決め保持した保持部材513は、不図示の水平移動部により矢印Tの方向に移動される。
【0112】
本実施形態において、不図示の水平移動部は、ホイール100をリム部102における円環軸と略直交する方向に移動させる。更には、不図示の水平移動部は、ホイール100を第1端面120から第1誘導加熱部2までの距離を略同一に保った状態で矢印Tの方向に移動させる。つまり、不図示の水平移動部は、ホイール100を第1誘導加熱部2に沿うようにして水平移動させる。
【0113】
本実施形態において、回転移動部511は、ホイール100をリム部102における円環軸を中心に回転させる。更に、上述した不図示の水平移動部により、ホイール100を矢印Tの方向に水平移動させながら、回転移動部511によりホイール100をリム部102の円環軸を中心に回転させることができる。
【0114】
ここで、本実施形態において、相対位置変更手段である不図示の水平部による水平移動及び回転移動部511による回転移動は、第1誘導加熱部2による加熱状態においても好適に行うことができる。
【0115】
本実施形態において、開口部10から保持部材513に保持された複数のホイール100を第1誘導加熱部2が第1端面120に近接配置されるよう連続的に挿入することができる。該開口部10から挿入されたホイール100を、不図示の水平移動部により所定速度で矢印Tの方向に移動させると共に回転移動部511により回転移動させる。これにより、本実施形態における塗装ホイールの製造装置1は、複数の塗装ホイールを連続的に製造することができる。
【0116】
上述の通り、相対位置変更手段は、第1誘導加熱部2に対する第1端面120の相対位置を変更することができる。このように前記相対位置を変更可能にすることで、第1誘導加熱部2により第1端面120の所定部が偏って加熱されることを抑制する。つまり、相対位置変更手段により、前記相対位置を変更することで、第1端面120側に配置される部位を均一に加熱する。
【0117】
[1.2]第2実施形態
図4により、本発明の第2実施形態における塗装ホイールの製造装置1Aについて説明する。図4に示すように、第2実施形態における塗装ホイールの製造装置1Aは第1実施形態1の塗装ホイールの製造装置1における第1誘導加熱部2の形態が異なる製造装置である。
【0118】
具体的には、塗装ホイールの製造装置1Aは、ホイール100の第1端面120に対する第1誘導加熱部2の配置が異なる。つまり、第1誘導加熱部2はハブ取付部101の中心に対する一方側に配置される。詳細には、第1帯状誘導加熱部2a及び第2帯状誘導加熱部2bが、ハブ取付部101の中心に対する一方側に配置される。
【0119】
このように、第1誘導加熱部2がホイール100の第1端面120における径方向の一方側にのみ配置されていても、相対位置変更手段である不図示の回転移動部によりリム部102の円環軸を中心に矢印R方向に回転させることで、第1端面120の全面を均一に加熱することができる。また、第1誘導加熱部2による加熱状態において、ホイール100を不図示の水平移動部により矢印T方向に移動させることで、上述の第1実施形態と同様に、複数の塗装ホイールを連続的に製造することができる。
【0120】
[1.3]第3実施形態
図5により、本発明の第3実施形態における塗装ホイールの製造装置1Bについて説明する。図5に示すように、第3実施形態における塗装ホイールの製造装置1Bは第1実施形態の塗装ホイールの製造装置1における相対位置変更手段の態様が異なる製造装置である。
【0121】
具体的には、塗装ホイールの製造装置1Bは、相対位置変更手段である水平移動部を有しない製造装置である。つまり、第1誘導加熱部2による加熱状態において、ホイール100は不図示の回転移動部によりリム部102の円環軸を中心に回転移動するが、水平方向に移動しない。言い換えると、ホイール100は、第1誘導加熱部2の加熱状態において、囲い部300の略中央に位置決めされた状態で不図示の回転移動部により回転移動される。
【0122】
このように、相対位置変更手段である不図示の回転移動部によりリム部102の円環軸を中心に矢印R方向に回転させることで、第1端面120の全面を均一に加熱することができる。また、第1誘導加熱部2による加熱状態において、ホイール100を不図示の水平移動部により矢印T方向に移動させることができないので、上述の第1実施形態と同様に複数の塗装ホイールを連続的に製造することはできないが、いわゆるバッチ連続方式により、半連続的に塗装ホイールを製造することができる。すなわち、塗料が塗布されたホイール100を矢印S1の方向に移動させて開口部15から囲い部300の略中央に位置決めさせる。そして、第1誘導加熱部2による加熱状態において、位置決めされたホイール100を不図示の回転移動部により矢印R方向に回転させて塗料を加熱乾燥する。加熱乾燥後、ホイール100を矢印S2の方向に移動させることで塗装ホイールを製造することができる。この一連の動作を連続して行うことで、塗装ホイールを半連続的に製造することができる。
【0123】
[1.4]第4実施形態
図6により、本発明の第4実施形態における塗装ホイールの製造装置1Cについて説明する。図6に示すように、第4実施形態における塗装ホイールの製造装置1Cは第3実施形態の塗装ホイールの製造装置1Bにおける第1誘導加熱部2の形態が異なる製造装置である。
【0124】
具体的には、ホイール100の第1端面120に対する第1誘導加熱部2の配置が異なる。つまり、第1誘導加熱部2はホイール100の径方向において一方側の端部しかカバーしていない。しかし、不図示の回転移動部により矢印Rの方向にリム部102の円環軸を中心に回転させることで、第1誘導加熱部2は第1端面120全体を加熱することができる。また、第3実施形態の場合と同様にいわゆるバッチ連続方式により半連続的に塗装ホイールを製造することができる。
【0125】
[1.5]応用実施形態
図7より、応用実施形態における塗装ホイールの製造装置1Dについて説明する。図7に示すように、塗装ホイールの製造装置1Dは、第1誘導加熱部2と、第2誘導加熱部3と、相対位置変更手段である水平移動部500及び回転移動部511と、保持部材513と、配置部515と、第1誘導加熱部2及び第2誘導加熱部3に電力を供給する電源301と、を備える。
【0126】
第1誘導加熱部2及び第2誘導加熱部3は、それぞれ複数の中空状の銅線により所定方向の長い平坦状に形成された加熱部である。該第1誘導加熱部2及び第2誘導加熱部3は電源301に電気的に接続され、該電源301から供給される電力により、ホイール100を誘導加熱する。
【0127】
ホイール100は、一端側が回転移動部511に回転可能に連結される保持部材513における他端側に形成される配置部515により位置決めされる。ホイール100は回転移動部511により、保持部材513を介して、リム部102の円環軸を中心に回転移動される。
【0128】
更に、回転移動部511は、水平移動部500の上側に配置されているので、該回転移動部511及び保持部材513を介してホイール100を矢印T方向に移動させる。つまり、水平移動部500は、ホイール100を第1誘導加熱部2及び第2誘導加熱部3に沿って矢印T方向に水平移動させる。これにより、塗膜を形成するための塗料が塗布されたホイール100は好適に加熱乾燥され、所定の塗膜が形成された塗装ホイールが製造される。
【0129】
例えば、保持部材513及び配置部515は、水平移動部500により矢印T、矢印T1、矢印T2、矢印T3の順で循環するように移動される。ここで、ホイール100を第1誘導加熱部2の一端側の手前で配置部515に配置し(矢印K1)、第1誘導加熱部2の他端側で配置部515から取り去る(矢印K2)ことを連続的に繰り返すことで、塗装ホイールを連続的に製造することができる。
【0130】
「1.6」その他
塗装ホイールは、ホイール100の表面に塗膜を形成することで得られるが、この塗膜は、所定の塗料を所定の手順により塗布及び焼付け(加熱)することで形成される。言い換えると、塗布処理は、ホイールの表面に第1熱硬化性塗料を塗布するプライマー塗布処理と、プライマー塗布処理で塗布された第1熱硬化性塗料の表面に第2熱硬化性塗料を塗布するベース塗布処理と、ベース塗布処理で塗布された前記第2熱硬化性塗料の表面に第3熱硬化性塗料を塗布するクリヤー塗布処理とを含む。そして、加熱処理である焼付け処理は、プライマー塗布処理、ベース塗布処理又はクリヤー塗布処理における1以上の塗布処理により表面に塗料が塗布されたホイールを加熱する。焼付け処理は、各塗布処理ごとに行っても良く、また、複数の塗布処理により複数の塗料が塗布された後に行っても良い。図10に、その塗料、加熱条件及び手順について例示する。
【0131】
図10により、例えば、有色仕様における粉体塗料系の場合、
前処理(脱脂剤による脱脂→酸洗い→化成剤による処理)
→第1熱硬化性塗料であるアクリル系粉体塗料によるプライマー塗布処理
→焼付け処理(160℃×10分間)
→第2熱硬化性塗料であるアクリルメラミン塗料によるベース塗布処理
→焼付け処理(140℃×10分間)
→第3熱硬化性塗料であるアクリルメラミン塗料によるクリヤー塗布処理
→焼付け処理(140℃×10分間)
という塗装ホイールの製造、塗料の乾燥、塗膜形成ための条件及び手順を例示することができる。ここで、本発明の塗装ホイールの製造装置及び後述するホイールの加熱装置は、主に焼付け処理に用いられる。
【0132】
また、図10により、例えば、メッキ調仕様における粉体塗料系の場合、
前処理(脱脂剤による脱脂→酸洗い→化成剤による処理)
→第1熱硬化性塗料であるアクリル系粉体塗料によるプライマー塗布処理
→焼付け処理(160℃×10分間)
→第2A熱硬化性塗料であるアクリルメラミン塗料による第1ベース塗布処理
→焼付け処理(140℃×10分間)
→第2B熱硬化性塗料であるアクリルメラミン塗料(メタリック色系)である第2ベース塗布処理
→第3熱硬化性塗料であるアクリルメラミン塗料によるクリヤー塗布処理
→焼付け処理(140℃×10分間)
という塗装ホイールの製造、塗料の乾燥、塗膜形成ための条件及び手順を例示することができる。ここで、上述と同様に、本発明の塗装ホイールの製造装置及び後述するホイールの加熱装置は、主に焼付け処理に用いられる。
【0133】
[2]塗装ホイールの製造方法
本発明の塗装ホイールの製造方法は、略円環状のリム部102と、円環状のリム部102における一方の端面である第1端面120側に偏って配置されるハブ取付部101と、ハブ取付部101の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部がリム部102の第1端面120における第1円周部102a近傍に接続されるスポーク部103と、を有するホイール100の表面に塗膜が形成された塗装ホイールの製造方法であって、塗膜を形成するための塗料をホイール100の表面に塗布する塗布工程と、塗布工程により表面に塗料が塗布されたホイール100を、第1端面120に対向するように近接配置される第1誘導加熱部2により加熱する共に、第1誘導加熱部2による加熱状態において該第1誘導加熱部2に対する第1端面120の相対位置を変更可能な相対位置変更手段により相対位置を変更する加熱工程と、を含む。
【0134】
塗装ホイールの製造方法の製造対象は、表面に塗膜が形成された塗装ホイールである。表面に塗膜が形成された塗装ホイールを製造するため、該塗装ホイールの製造方法は、塗布工程おいて表面に塗膜を形成するための塗装が塗布されたホイール100を第1誘導加熱部2により加熱する。該ホイール100が、第1誘導加熱部2により所定の温度に昇温されることで表面に塗布された塗装が乾燥し、所定の塗膜が形成される。これにより、塗装ホイールが製造される。
【0135】
第1誘導加熱部2は、熱容量が大きな部位が集中して配置される第1端面120に近接して配置される。第1誘導加熱部2により第1端面120側を加熱することで、該熱容量の高い部位を重点的に加熱できると共に、該第1端面120に連結するリム部102等を熱伝導により加熱できるので、ホイール100全体を均一に加熱することができる。第1誘導加熱部2の形状は、特に限定されないが、全体として略平坦状になるよう電線や中空状の銅線等を配置して形成することができる。例えば、所定の中空状の銅線を平坦状に巻回した誘導加熱部等を例示できる。
【0136】
相対位置変更手段は、第1誘導加熱部2が加熱状態において、第1誘導加熱部2に対する第1端面120の相対位置を変更することができる。具体的には、後述のように、ホイール100を第1誘導加熱部2に沿って移動させることや、ホイール100を該ホイール100におけるリム部102の円環軸を中心に回転させることができる。また、ホイールではなく、第1誘導加熱部2が移動するように構成しても良い。
【0137】
このように、第1誘導加熱部2による加熱状態において前記相対位置を変更可能にすることで、第1誘導加熱部2により第1端面120の所定部が偏って加熱されることを抑制する。つまり、相対位置変更手段により加熱状態において前記相対位置を変更することで、第1端面120側に配置される部位を均一に加熱する。
【0138】
ここで、近接配置とは、第1誘導加熱部2で加熱対象である第1端面120を誘導加熱可能な位置に配置されていることをいう。好ましくは、所望の加熱条件に適した距離に調整して配置される。
【0139】
塗装ホイールの製造方法によれば、ホイール100の表面に塗布された塗料を短時間で均一に乾燥させることができる。これにより、塗装ホイールの製造時間を短縮させことができるため、作業効率が向上すると共にコスト面でもメリットが生じる。
【0140】
本発明の塗装ホイールの製造方法は、加熱工程において、相対位置変更手段により、ホイール100がリム部102における円環軸と略直交する方向に移動される。これにより、例えば、略平平坦状に形成された第1誘導加熱部2に沿ってホイール100を移動させることができる。例えば、固定された第1誘導加熱部2に沿うように、塗膜を形成するための塗料が表面に塗布された複数のホイール100を所定間隔で連続的に移動させることで、塗装ホイールを連続的に製造することができる。
【0141】
塗装ホイールの製造方法は、加熱工程において、相対位置変更手段により、ホイール100が第1端面120から第1誘導加熱部2までの距離を略同一に保った状態で所定方向に移動される。これにより、加熱状態を略同一に保つことができるので、ホイール100における第1端面120側を均一に加熱することができる。
【0142】
塗装ホイールの製造方法は、相対位置変更手段より、加熱工程において、ホイール100が円環軸を中心に回転される。これにより、ホイール100における第1端面120側を均一に加熱することができる。また、第1端面120の全体を覆うような大きさや形状でない第1誘導加熱部2により、ホイール100の第1端面120側を均一に加熱することができる。例えば、コンパクトな第1誘導加熱部2を用いることが可能である。また、例えば、ホイール100を回転させながら所定方向に移動させる場合には、コンパクトな第1誘導加熱部2で塗装ホイールを連続的に製造することができる。
【0143】
塗布工程は、ホイール100の表面に第1熱硬化性塗料を塗布するプライマー塗布工程と、プライマー塗布工程で塗布された第1熱硬化性塗料の表面に第2熱硬化性塗料を塗布するベース塗布工程と、を少なくとも含む。そして、加熱工程は、プライマー塗布工程により表面に第1熱硬化性塗料が塗布されたホイール100を加熱する第1加熱工程及び/又は、ベース塗布工程により表面に第2熱硬化性塗料が塗布されたホイール100を加熱する第2加熱工程を含む。これにより、塗布工程により所定の目的に応じて塗布された熱硬化性塗料を加熱工程により硬化させ、所定の塗膜が形成された塗装ホイールを製造することができる。また、加熱工程は、第1熱硬化性塗料及び第2熱硬化性塗料の組み合わせに応じて、第1加熱工程及び/又は第2加熱工程により、表面に熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する。つまり、加熱工程は、各塗布工程ごとに、塗布された塗料を乾燥するよう第1加熱工程及び第2加熱工程を含むことができ、また、第1加熱工程又は第2加熱工程の一方のみを含むことができる。例えば、プライマー塗布工程により塗布された第1熱硬化性塗料の表面に、該第1熱硬化性塗料を乾燥することなく第2熱硬化性塗料を塗布できる場合には、加熱工程に第2加熱工程のみを含むことができる。
【0144】
プライマー塗布工程及び/又はベース塗布工程は、それぞれ複数の塗布工程を有することができる。例えば、ベース塗布工程は、塗膜の強度を確保するための熱硬化性塗料等を塗布する第1ベース塗布工程と、塗膜の色等の外観面に寄与する熱硬化性塗料等を塗布する第2ベース塗布工程と、を含むことができる。
【0145】
この場合における塗布工程は、プライマー塗布工程+第1ベース塗布工程、プライマー塗布工程+第1ベース塗布工程+第2ベース塗布工程のような組み合わせにより所定の熱硬化性塗料を塗布することができる。
【0146】
また、この場合における第2加熱工程は、例えば、第1ベース塗布工程により表面に所定の熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第2A加熱工程と、第2ベース塗布工程により表面に所定の熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第2B加熱工程とを含むことができる。また、第2加熱工程は、上述のように熱硬化性塗料の組み合わせに応じて、第2A加熱工程又は第2B加熱工程の一方又は双方を含むことができる。
【0147】
これにより、所定の目的に応じた熱硬化性塗料を塗布すると共に、該塗布された熱硬化性塗料のそれぞれを、加熱工程により硬化させ、所定の塗膜を形成することができる。各塗布工程における熱硬化性塗料と、加熱工程における加熱条件は、例えば、図10のような条件を例示できる。
【0148】
図10により、例えば、有色仕様おける粉体塗料系の場合、
前処理工程(脱脂剤による脱脂→酸洗い→化成剤による処理)
→第1熱硬化性塗料であるアクリル系粉体塗料によるプライマー塗布工程
→焼付け工程(160℃×10分間)
→第2熱硬化性塗料であるアクリルメラミン塗料によるベース塗布工程
→焼付け工程(140℃×10分間)
→第3熱硬化性塗料であるアクリルメラミン塗料によるクリヤー塗布工程
→焼付け工程(140℃×10分間)
という条件及び手順を例示することができる。
【0149】
また、図10により、例えば、メッキ調仕様における粉体塗料系の場合、
前処理(脱脂剤による脱脂→酸洗い→化成剤による処理)
→第1熱硬化性塗料であるアクリル系粉体塗料によるプライマー塗布処理
→焼付け処理(160℃×10分間)
→第2A熱硬化性塗料であるアクリルメラミン塗料による第1ベース塗布処理
→焼付け処理(140℃×10分間)
→第2B熱硬化性塗料であるアクリルメラミン塗料(メタリック色系)である第2ベース塗布処理
→第3熱硬化性塗料であるアクリルメラミン塗料によるクリヤー塗布処理
→焼付け処理(140℃×10分間)
という条件及び手順を例示することができる。
【0150】
本発明の塗装ホイールの製造方法における各構成の内容は、上述した塗装ホイールの製造装置における記載を援用するがことできる。
【0151】
[3]ホイールの加熱装置
本発明のホイールの加熱装置は、略円環状のリム部102と、円環状のリム部102における一方の端面である第1端面120側に偏って配置されるハブ取付部101と、ハブ取付部101の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部がリム部102の第1端面120における第1円周部102a近傍に接続されるスポーク部103と、を有するホイールの加熱装置であって、ホイール100における第1端面120に対向するように近接配置される第1誘導加熱部2と、第1誘導加熱部2に対する第1端面120の相対位置を変更可能な相対位置変更手段と、を備える。
【0152】
ホイールの加熱装置の加熱対象は、表面に塗膜が形成されたホイール等である。
【0153】
第1誘導加熱部2は、熱容量が大きな部位が集中して配置される第1端面120に近接して配置される。第1誘導加熱部2により第1端面120側を加熱することで、該熱容量の高い部位を重点的に加熱できると共に、該第1端面120に連結するリム部102等を熱伝導により加熱できるので、ホイール100全体を均一に加熱することができる。第1誘導加熱部2の形状は、特に限定されないが、全体として略平坦状になるよう電線や中空状の銅線等を配置して形成することができる。例えば、所定の中空状の銅線を平坦状に巻回した誘導加熱部等を例示できる。
【0154】
相対位置変更手段は、第1誘導加熱部2に対する第1端面120の相対位置を変更することができる。具体的には、後述のように、ホイール100を第1誘導加熱部2に沿って移動させることや、ホイール100を該ホイール100におけるリム部102の円環軸を中心に回転させることができる。また、ホイール100ではなく、第1誘導加熱部2が移動するように構成しても良い。
【0155】
このように、相対位置を変更可能にすることで、第1誘導加熱部2により第1端面120の所定部が偏って加熱されることを抑制する。つまり、相対位置変更手段により、前記相対位置を変更することで、第1端面120側に配置される部位を均一に加熱する。
【0156】
第1誘導加熱部2は、誘導加熱の原理を利用することにより短時間でホイール100を120から160度(393.15Kから433.15K)に加熱することが可能である。また、第1誘導加熱部2を構成する材料や供給する電力に応じて所定の温度まで昇温させることができる。なお、加熱開始前のホイール100の温度は常温である。更に、熱容量が大きい部位に近接して配置された第1誘導加熱部2よって、上述の通り、ホイール100の熱容量が大きい部分を集中的に加熱することにより、全体を均一に加熱することができる。また、第1誘導加熱部2で加熱された部分からの熱伝導により、前記誘導加熱部で直接加熱されていない部分も昇温させることができるため、短時間で全体を均一に昇温させることができる。
【0157】
ここで、近接配置とは、第1誘導加熱部2で加熱対象である第1端面120を誘導加熱可能な位置に配置されていることをいう。好ましくは、所望の加熱条件に適した距離に調整して配置される。
【0158】
本発明のホイールの加熱装置における各構成の内容は、上述した塗装ホイールの製造装置における記載を援用することができる。
【0159】
[4]ホイールの加熱方法
本発明のホイールの加熱方法は、略円環状のリム部102と、円環状のリム部102における一方の端面である第1端面120側に偏って配置されるハブ取付部101と、ハブ取付部101の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部がリム部102の第1端面120における第1円周部102a近傍に接続されるスポーク部103と、を有するホイール100の加熱方法であって、ホイール100における第1端面120に対向するように近接配置される第1誘導加熱部2により加熱すると共に、加熱状態において第1誘導加熱部2に対する第1端面120の相対位置を変更可能な相対位置変更手段により相対位置を変更する工程を含む。
【0160】
ホイールの加熱方法の加熱対象は、表面に塗膜が形成された塗装ホイール等である。
【0161】
第1誘導加熱部2は、熱容量が大きな部位が集中して配置される第1端面120に近接して配置される。第1誘導加熱部2により第1端面120側を加熱することで、該熱容量の高い部位を重点的に加熱できると共に、該第1端面120に連結するリム部102等を熱伝導により加熱できるので、ホイール100全体を均一に加熱することができる。第1誘導加熱部2の形状は、特に限定されないが、全体として略平坦状になるよう電線や中空状の銅線等を配置して形成することができる。例えば、所定の中空状の銅線を平坦状に巻回した誘導加熱部等を例示できる。
【0162】
相対位置変更手段は、第1誘導加熱部2に対する第1端面120の相対位置を変更することができる。具体的には、後述のように、ホイール100を第1誘導加熱部2に沿って移動させることや、ホイール100を該ホイール100におけるリム部102の円環軸を中心に回転させることができる。また、ホイール100ではなく、第1誘導加熱部2が移動するように構成しても良い。
【0163】
このように、相対位置を変更可能にすることで、第1誘導加熱部2により第1端面120の所定部が偏って加熱されることを抑制する。つまり、相対位置変更手段により、前記相対位置を変更することで、第1端面120側に配置される部位を均一に加熱する。
【0164】
第1誘導加熱部2は、誘導加熱の原理を利用することにより短時間でホイール100を120から160度(393.15Kから433.15K)に加熱することが可能である。また、第1誘導加熱部2を構成する材料や供給する電力に応じて所定の温度まで昇温させることができる。なお、加熱開始前のホイール100の温度は常温である。更に、熱容量が大きい部位に近接して配置された第1誘導加熱部2によって、上述の通り、ホイール100の熱容量が大きい部分を集中的に加熱することにより、全体を均一に加熱することができる。また、第1誘導加熱部2で加熱された部分からの熱伝導により、前記誘導加熱部で直接加熱されていない部分も昇温させることができるため、短時間で全体を均一に昇温させることができる。
【0165】
ここで、近接配置とは、第1誘導加熱部2で加熱対象である第1端面120を誘導加熱可能な位置に配置されていることをいう。好ましくは、所望の加熱条件に適した距離に調整して配置される。
【0166】
本発明のホイールの加熱装置における各構成の内容は、上述した塗装ホイールの製造装置における記載を援用することができる。
【0167】
[5]塗膜形成方法
本発明の塗膜形成方法は、略円環状のリム部102と、円環状のリム部102における一方の端面である第1端面120側に偏って配置されるハブ取付部101と、ハブ取付部101の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部がリム部102の第1端面120における第1円周部102a近傍に接続されるスポーク部103と、を有するホイール100の表面に塗膜を形成する塗膜形成方法である。具体的には、塗膜を形成するための塗料をホイール100の表面に塗布する塗布工程と、塗布工程により表面に塗料が塗布されたホイール100を第1端面120に対向するように近接配置される第1誘導加熱部2により加熱する共に、第1誘導加熱部2による加熱状態において該第1誘導加熱部2に対する第1端面120の相対位置を変更可能な相対位置変更手段により相対位置を変更する加熱工程と、を含む。
【0168】
つまり、塗膜形成方法は、ホイール100の表面に所定の塗膜を形成するための方法である。該塗膜形成方法は、塗布工程においてホイール100の表面に所定の塗料が塗布されたホイール100を第1誘導加熱部2により加熱する。該ホイール100が、第1誘導加熱部2により所定の温度に昇温されることで表面に塗布された塗装が乾燥し、所定の塗膜が形成される。これにより、ホイール100の表面に所定の塗膜が形成される。
【0169】
第1誘導加熱部2は、熱容量が大きな部位が集中して配置される第1端面120に近接して配置される。第1誘導加熱部2により第1端面120側を加熱することで、該熱容量の高い部位を重点的に加熱できると共に、該第1端面120に連結するリム部102等を熱伝導により加熱できるので、ホイール100全体を均一に加熱することができる。第1誘導加熱部2の形状は、特に限定されないが、全体として略平坦状になるよう電線や中空状の銅線等を配置して形成することができる。例えば、所定の中空状の銅線を平坦状に巻回した誘導加熱部等を例示できる。
【0170】
相対位置変更手段は、第1誘導加熱部2が加熱状態において、第1誘導加熱部2に対する第1端面120の相対位置を変更することができる。具体的には、後述のように、ホイール100を第1誘導加熱部2に沿って移動させることや、ホイール100を該ホイール100におけるリム部102の円環軸を中心に回転させることができる。また、ホイール100ではなく、第1誘導加熱部2が移動するように構成しても良い。
【0171】
このように、第1誘導加熱部2による加熱状態において前記相対位置を変更可能にすることで、第1誘導加熱部2により第1端面120の所定部が偏って加熱されることを抑制する。つまり、相対位置変更手段により加熱状態において前記相対位置を変更することで、第1端面120側に配置される部位を均一に加熱する。
【0172】
ここで、近接配置とは、第1誘導加熱部2で加熱対象である第1端面120を誘導加熱可能な位置に配置されていることをいう。好ましくは、所望の加熱条件に適した距離に調整して配置される。
【0173】
本塗膜形成方法によれば、ホイール100の表面に塗布された塗料を短時間で均一に乾燥させることができる。これにより、ホイール100の表面に塗膜を形成させる時間を短縮させることができるので、作業効率が向上すると共にコスト面でもメリットが生じる。
【0174】
本発明の塗膜形成方法は、加熱工程において、相対位置変更手段により、ホイール100がリム部102における円環軸と略直交する方向に移動される。これにより、例えば、略平平坦状に形成された第1誘導加熱部2に沿ってホイールを移動させることができる。例えば、固定された第1誘導加熱部2に沿うように、塗膜を形成するための塗料が表面に塗布された複数のホイール100を所定間隔で連続的に移動させることで、複数のホイール100の表面に塗膜を連続的に形成することができる。
【0175】
塗膜形成方法は、加熱工程において、相対位置変更手段により、ホイール100が第1端面120から第1誘導加熱部2までの距離を略同一に保った状態で所定方向に移動される。これにより、加熱状態を略同一に保つことができるので、ホイール100における第1端面120側を均一に加熱することができる。
【0176】
塗膜形成方法は、相対位置変更手段より、加熱工程において、ホイール100が円環軸を中心に回転される。これにより、ホイール100における第1端面120側を均一に加熱することができる。また、第1端面120の全体を覆うような大きさや形状でない第1誘導加熱部2により、ホイール100の第1端面120側を均一に加熱することができる。例えば、コンパクトな第1誘導加熱部2を用いること可能である。また、例えば、ホイール100を回転させながら所定方向に移動させる場合には、コンパクトな第1誘導加熱部2で複数のホイール100の表面に塗膜を連続的に形成することができる。
【0177】
塗布工程は、ホイール100の表面に第1熱硬化性塗料を塗布するプライマー塗布工程と、プライマー塗布工程で塗布された第1熱硬化性塗料の表面に第2熱硬化性塗料を塗布するベース塗布工程と、を少なくとも含む。そして、加熱工程は、プライマー塗布工程により表面に第1熱硬化性塗料が塗布されたホイール100を加熱する第1加熱工程及び/又は、ベース塗布工程により表面に第2熱硬化性塗料が塗布されたホイール100を加熱する第2加熱工程を含む。これにより、塗布工程により所定の目的に応じて塗布された熱硬化性塗料を加熱工程により硬化させ、所定の塗膜を形成することができる。また、加熱工程は、第1熱硬化性塗料及び第2熱硬化性塗料の組み合わせに応じて、第1加熱工程及び/又は第2加熱工程により、表面に熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する。つまり、加熱工程は、各塗布工程ごとに、塗布された塗料を乾燥するよう第1加熱工程及び第2加熱工程を含むことができ、また、第1加熱工程又は第2加熱工程の一方のみを含むことができる。例えば、プライマー塗布工程により塗布された第1熱硬化性塗料の表面に、該第1熱硬化性塗料を乾燥することなく第2熱硬化性塗料を塗布できる場合には、加熱工程に第2加熱工程のみを含むことができる。
【0178】
プライマー塗布工程及び/又はベース塗布工程は、それぞれ複数の塗布工程を有することができる。例えば、ベース塗布工程は、塗膜の強度を確保するための熱硬化性塗料等を塗布する第1ベース塗布工程と、塗膜の色等の外観面に寄与する熱硬化性塗料等を塗布する第2ベース塗布工程と、を含むことができる。
【0179】
この場合における塗布工程は、プライマー塗布工程+第1ベース塗布工程、プライマー塗布工程+第1ベース塗布工程+第2ベース塗布工程のような組み合わせにより所定の熱硬化性塗料を塗布することができる。
【0180】
また、この場合における第2加熱工程は、例えば、第1ベース塗布工程により表面に所定の熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第2A加熱工程と、第2ベース塗布工程により表面に所定の熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第2B加熱工程とを含むことができる。また、第2加熱工程は、上述のように熱硬化性塗料の組み合わせに応じて、第2A加熱工程又は第2B加熱工程の一方又は双方を含むことができる。
【0181】
これにより、所定の目的に応じた熱硬化性塗料を塗布すると共に、該塗布された熱硬化性塗料のそれぞれを、加熱工程により硬化させ、所定の塗膜を形成することができる。各塗布工程における熱硬化性塗料と、加熱工程における加熱条件は、例えば、図10のような条件を例示できる。
【0182】
図10により、例えば、有色仕様おける粉体塗料系の場合、
前処理工程(脱脂剤による脱脂→酸洗い→化成剤による処理)
→第1熱硬化性塗料であるアクリル系粉体塗料によるプライマー塗布工程
→焼付け工程(160℃×10分間)
→第2熱硬化性塗料であるアクリルメラミン塗料によるベース塗布工程
→焼付け工程(140℃×10分間)
→第3熱硬化性塗料であるアクリルメラミン塗料によるクリヤー塗布工程
→焼付け工程(140℃×10分間)
という条件及び手順を例示することができる。
【0183】
また、図10により、例えば、メッキ調仕様における粉体塗料系の場合、
前処理(脱脂剤による脱脂→酸洗い→化成剤による処理)
→第1熱硬化性塗料であるアクリル系粉体塗料によるプライマー塗布処理
→焼付け処理(160℃×10分間)
→第2A熱硬化性塗料であるアクリルメラミン塗料による第1ベース塗布処理
→焼付け処理(140℃×10分間)
→第2B熱硬化性塗料であるアクリルメラミン塗料(メタリック色系)である第2ベース塗布処理
→第3熱硬化性塗料であるアクリルメラミン塗料によるクリヤー塗布処理
→焼付け処理(140℃×10分間)
という条件及び手順を例示することができる。
【0184】
本発明の塗装ホイールの製造方法における各構成の内容は、上述した塗装ホイールの製造装置等における記載を援用することができる。
【0185】
<実施例>
次に、本発明を実施例および比較例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0186】
本発明の製造装置1を用いて下記条件により塗装ホイールを製造した。この製造装置1による加熱中におけるホイールの温度を、図9に示すAからFまでのポイントにおいて測定した。測定結果を図11から図13のグラフにおいて示す。
【0187】
<実施例1>
<条件>
「ホイール」
九州ホイール社製(材質:アルミニウム)
直径:ハブ中央部(図9のDの部分) φ170mm
第1円周部(外端部) φ475mm
第2円周部(内端部) φ475mm
高さ:205mm
質量:10kg
スポーク:7本
「第1誘導加熱部及び第2誘導加熱部」
電線等:中空状の銅線
直径 φ10mm(導水用の中空部:φ6mm)
配置
第1誘導加熱部2から第1端面120までの距離 15mm
第2誘導加熱部3から第2端面130までの距離 10mm
「移動」
回転移動: 1rpm
水平移動: 開口部10から図1に示す位置まで進入(その後は回転移動のみ)
「塗料」
アクリルメラミン系塗料(日本ペイント社製、商品名:「スーパーラック500」)
「塗装条件」
スプレー塗装、ウェット膜厚 50マイクロメータ
「各部」
電源・発信部・操作部(島田理化工業社製)
出力 200KW、10KHz
「温度測定」
サーモグラフィーTVS―600(日本アビオニクス社製)で各ポイントの温度を測定
【0188】
<実施例2>
実施例1とホイールのみ異なる条件で、塗装ホイールを製造した。本実施例におけるホイールを以下に示す。
「ホイール」
九州ホイール社製(材質:アルミニウム)
直径:ハブ中央部(図9のDの部分) φ170mm
第1円周部(外端部) φ359mm
第2円周部(内端部) φ359mm
高さ:127mm
質量:4.4kg
スポーク:5本
【0189】
<実施例3>
実施例1とホイールのみ異なる条件で、塗装ホイールを製造した。本実施例におけるホイールを以下に示す。
「ホイール」
九州ホイール社製(材質:アルミニウム)
直径:ハブ中央部(図9のDの部分) φ170mm
第1円周部(外端部) φ499mm
第2円周部(内端部) φ499mm
高さ:205mm
質量:11.1kg
スポーク:5本
【0190】
図11から図13には、それぞれ実施例1から実施例3における、A:上部リム(第1円周部)、B:スポーク、C:ハブ取付部の外周部、D:中心部(ハブ取付部の一部)、E:リム部の中間、F:第2円周部における温度を測定した結果を示す。各点AからFの位置は、実施例1については図9に示す通りであり、実施例2及び実施例3については図9における各点の位置に相当する位置である。
【0191】
<比較例>
実施例1と同一のホイールを下記条件で乾燥炉により熱風乾燥した。この加熱中におけるホイールの温度を測定し、測定結果を図14のグラフにおいて示す。なお、乾燥炉においてホイールは長時間かけて緩慢に加熱されるため、ホイールにおける複数の離間したポイントの温度はいずれも大きな差異はなく略同一であることから、図9におけるDのポイントのみの温度を測定した測定結果を図14に示す。
【0192】
<条件>
上記実施例と同様の条件におけるホイールを、熱風炉内の雰囲気温度を140度(413.15K)に保った状態にして加熱した。
【0193】
図11及び図14により、実施例1と比較例とを比較すると、実施例1における本発明の塗装ホイールの製造装置で加熱したホイールの方が、比較例における乾燥炉で熱風加熱したホイールに比べて、極めて短時間で昇温されていることがわかった。本発明の塗装ホイールの製造装置によれば、4分でホイールを125から140度(398.15Kから413.15K)という高温に加熱することができることがわかった。これに対し、比較例ではホイールを140度(413.15K)まで加熱するのに45分程度かかることがわかった。
【0194】
また、実施例1における本発明の塗装ホイールの製造装置1は、ホイールを全体的に均一に加熱できることがわかった。ホイールの位置による温度差も少なく、全体的に均一な温度分布を保った状態で加熱できることがわかった。
【0195】
また、図12及び図13より、実施例1と同様に、実施例2及び実施例3における本発明の塗装ホイールの製造装置1で加熱したホイールの方が、比較例における乾燥炉で熱風加熱したホイールに比べて極めて短時間で昇温されていることがわかった。
【0196】
また、実施例1と同様に、実施例2及び実施例3おける本発明の塗装ホイールの製造装置1は、ホイールを全体的に均一に加熱できることがわかった。ホイールの位置による温度差も少なく、全体的に均一な温度分布を保った状態で加熱できることがわかった。
【0197】
実施例1から実施例3の塗装ホイールと、比較例の塗装ホイールとにおける塗膜の品質を評価した。具体的には、塗膜が均一に形成されているか、表面にゴミ・チリが付着していないか、ピンホールが生じていないかを指標として評価した。この評価結果から、実施例1から実施例3の塗装ホイールにおける塗膜の品質は、比較例の塗装ホイールの塗膜の品質と同等以上であることがわかった。具体的には、塗膜の均一性やピンホールに関しては大きな差異はないが、ゴミ・チリの付着については加熱乾燥の時間が短いことや、系外からゴミ・チリが持ち込まれて塗膜に吹き付けられることがないため、実施例1から実施例3における塗装ホイールの塗膜の方が良い評価であった。
【0198】
上記より、本発明の塗装ホイールの製造装置1によれば、熱風炉による乾燥に比べて短時間でホイールを加熱することができ、また、全体を均一に加熱できることがわかった。また、優れた品質の塗膜が形成された塗装ホイールを製造きることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0199】
【図1】本発明の第1実施形態における塗装ホイールの製造装置を説明する斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態における塗装ホイールの製造装置を説明する側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態における塗装ホイールの製造装置を説明する平面図である。
【図4】本発明の第2実施形態における塗装ホイールの製造装置を説明する平面図である。
【図5】本発明の第3実施形態における塗装ホイールの製造装置を説明する平面図である。
【図6】本発明の第4実施形態における塗装ホイールの製造装置を説明する平面図である。
【図7】本発明の応用実施形態における塗装ホイールの製造装置を説明する斜視図である。
【図8】ホイールの平面斜視図である。
【図9】温度測定点を説明するホイールの平面斜視図である。
【図10】ホイールの塗装例を示す表である。
【図11】実施例1における温度の測定結果を示すグラフである。
【図12】実施例2における温度の測定結果を示すグラフである。
【図13】実施例3における温度の測定結果を示すグラフである。
【図14】比較例における温度の測定結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0200】
1 塗装ホイールの製造装置
2 第1誘導加熱部
3 第2誘導加熱部
100 ホイール
101 ハブ取付部
102 リム部
102a 第1円周部
102b 第2円周部
103 スポーク部
120 第1端面
130 第2端面
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗膜が形成された塗装ホイールの製造装置及び塗装ホイールの製造方法に関する。また、ホイールの乾燥装置及びホイールの乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱容量が大きい製品、例えば自動車ホイール等の塗装には、強制乾燥型の塗料が用いられる。前記塗料を用いて塗装をした場合、塗布の直後に形成される塗膜が液状であるため、塗装物を把持等することは困難である。従って、次の工程に進む前に、塗装されたホイール等の部品を一定時間放置するか、又は加熱することによって塗膜を完全に乾燥させる必要がある。従来の方法により乾燥させる場合には、かなりの時間が必要であり、塗装工程における乾燥時間が待機時間となって塗装工程のサイクルタイムを長くし、その効率性を低下させる要因になっている。このため、塗膜を乾燥させる時間はより短縮されることが好ましい。
【0003】
例えば自動車のホイール等の工業部品を塗装する工程では、常温で放置するセッティング工程に3から5分、乾燥炉中で加熱する乾燥工程に約25分、及び手で取扱える温度まで冷却する冷却工程に2から5分の所要時間で塗膜が乾燥されており、塗料の塗布から手で取扱い可能になるまで約30から40分の時間を要している。これら一連の工程のなかで、特に乾燥工程の占める割合は大きく、この乾燥工程にかかる時間の短縮化が望まれている。
【0004】
これに対し、塗装された熱容量の大きな部品等を、該塗装された塗料を乾燥可能な温度に短時間で加熱させる方法として、誘導加熱を利用した加熱装置が提案されている。例えば、短時間の乾燥と同時に部品全体を均一に加熱するために、部品の形状に応じ、加熱する面に沿うように変形が可能な螺旋状誘導コイルを有する誘導加熱装置が発明されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−124512号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の自動車のホイール等を乾燥する工程では、乾燥炉の熱風で所定の温度に加熱するだけでも、例えば30分程度の時間が必要であるため、乾燥工程で必要な時間が長くなることでトータルの製造時間が長くなるという問題があり、これは、作業コストや作業効率に影響を与える。また、誘導加熱を利用した誘導加熱装置でホイールを加熱した場合、そのホイールの大きさや特殊な形状に起因する加熱ムラが生じ、ホイール全体を均一に加熱することが困難であった。
【0006】
特許文献1の誘導加熱装置は、全体を均一に加熱するために、螺旋状誘導コイルが加熱対象の形状に応じて変形可能となっているが、この特許文献1の装置では構造が複雑になりすぎるという問題がある。また、加熱対象の形状が変わるたびに調整が必要になるため、加熱開始までに時間や手間がかかるという問題もある。そして、これらが本発明の課題といってよい。
【0007】
本発明は、以上のような問題に鑑みてなされたものであり、塗膜が形成された塗装ホイールの製造装置及び塗装ホイールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者は、上記目的を達成するため、塗料が塗布されたホイールを加熱する誘導加熱部を配置すると共に、該誘導加熱部とホイールとの相対位置を変更可能な手段を配置することで、好適な塗膜が形成された塗装ホイールを製造可能であることを見出し、以下のような塗装ホイールの製造装置等を発明した。
【0009】
(1) 略円環状のリム部と、上記円環状のリム部における一方の端面である第1端面側に偏って配置されるハブ取付部と、上記ハブ取付部の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部が上記リム部の第1端面における第1円周部近傍に接続されるスポーク部と、を有するホイールの表面に塗膜が形成された塗装ホイールの製造装置であって、上記塗膜を形成するための塗料が表面に塗布された上記ホイールにおける上記第1端面に対向するように近接配置される第1誘導加熱部と、上記第1誘導加熱部に対する上記第1端面の相対位置を変更可能な相対位置変更手段と、を備える塗装ホイールの製造装置。
【0010】
(1)の発明によれば、塗装ホイールの製造装置は、略円環状のリム部と、円環状のリム部における一方の端面である第1端面側に偏って配置されるハブ取付部と、ハブ取付部の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部がリム部の第1端面における第1円周部近傍に接続されるスポーク部とを有するホイールの表面に塗膜が形成された塗装ホイールの製造装置である。具体的には、塗装ホイールの製造装置は、塗膜を形成するための塗料が表面に塗布されたホイールにおける第1端面に対向するように近接配置される第1誘導加熱部と、第1誘導加熱部に対する第1端面の相対位置を変更可能な相対位置変更手段と、を備える。
【0011】
塗装ホイールの製造装置の製造対象は、表面に塗膜が形成された塗装ホイールである。表面に塗膜が形成された塗装ホイールを製造するため、該塗装ホイールの製造装置は、表面に塗膜を形成するための塗装が塗布されたホイールを第1誘導加熱部により加熱する。該ホイールが、第1誘導加熱部により所定の温度に昇温されることで表面に塗布された塗装が乾燥し、所定の塗膜が形成される。これにより、塗装ホイールが製造される。
【0012】
第1誘導加熱部は、熱容量が大きな部位が集中して配置される第1端面に近接して配置される。第1誘導加熱部により第1端面側を加熱することで、該熱容量の高い部位を重点的に加熱できると共に、該第1端面に連結するリム部等を熱伝導により加熱できるので、ホイール全体を均一に加熱することができる。第1誘導加熱部の形状は、特に限定されないが、全体として略平坦状になるよう電線や中空状の銅線等を配置して形成することができる。例えば、所定の中空状の銅線を平坦状に巻回した誘導加熱部等を例示できる。
【0013】
相対位置変更手段は、第1誘導加熱部に対する第1端面の相対位置を変更することができる。具体的には、後述のように、ホイールを第1誘導加熱部に沿って移動させることや、ホイールを該ホイールにおけるリム部の円環軸を中心に回転させることができる。また、ホイールではなく、第1誘導加熱部が移動するように構成しても良い。
【0014】
このように、相対位置を変更可能にすることで、第1誘導加熱部により第1端面の所定部が偏って加熱されることを抑制する。つまり、相対位置変更手段により、前記相対位置を変更することで、第1端面側に配置される部位を均一に加熱する。
【0015】
第1誘導加熱部は、誘導加熱の原理を利用することにより短時間でホイールを120から160度(393.15Kから433.15K)に加熱することが可能である。なお、加熱開始前のホイールの温度は常温である。更に、熱容量が大きい部位に近接して配置された第1誘導加熱部よって、上述の通り、ホイールの熱容量が大きい部分を集中的に加熱することにより、全体を均一に加熱することができる。また、第1誘導加熱部で加熱された部分からの熱伝導により、前記加熱部で直接加熱されていない部分も昇温させることができるため、短時間で全体を均一に昇温させることができる。
【0016】
ここで、近接配置とは、第1誘導加熱部で加熱対象である第1端面を誘導加熱可能な位置に配置されていることをいう。好ましくは、所望の加熱条件に適した距離に調整して配置される。
【0017】
塗装ホイールの製造装置によれば、ホイールの表面に塗布された塗料を短時間で均一に乾燥させることができる。これにより、塗装ホイールの製造時間を短縮させことができるため、作業効率が向上すると共にコスト面でもメリットが生じる。
【0018】
(2) 上記相対位置変更手段は、上記第1誘導加熱部が加熱状態である場合に、上記相対位置を変更可能である(1)に記載の塗装ホイールの製造装置。
【0019】
(2)の発明によれば、塗装ホイールの製造装置は、相対位置変更手段が、第1誘導加熱部が加熱状態である場合に相対位置を変更可能である。これにより、表面に塗膜を形成するための塗料が塗布されたホイールを均一に加熱することができる。
【0020】
(3) 上記第1誘導加熱部は、上記第1端面と略平行に配置される(1)又は(2)に記載の塗装ホイールの製造装置。
【0021】
(3)の発明によれば、塗装ホイールの製造装置は、第1誘導加熱部が、第1端面と略平行に配置される。これにより、ホイールにおける第1端面側を均一に加熱することができる。
【0022】
(4) 上記相対位置変更手段は、上記ホイールを上記リム部における円環軸と略直交する方向に移動可能である(1)から(3)のいずれかに記載の塗装ホイールの製造装置。
【0023】
(4)の発明によれば、塗装ホイールの製造装置は、相対位置変更手段が、ホイールをリム部における円環軸と略直交する方向に移動可能である。これにより、例えば、略平坦状に形成された第1誘導加熱部に沿ってホイールを移動させることができる。例えば、固定された第1誘導加熱部に沿うように、塗膜を形成するための塗料が表面に塗布された複数のホイールを所定間隔で連続的に移動させることで、塗装ホイールを連続的に製造することができる。
【0024】
(5) 上記相対位置変更手段は、上記ホイールを上記第1端面から上記第1誘導加熱部までの距離を略同一に保った状態で所定方向に移動可能である(1)から(4)のいずれかに記載の塗装ホイールの製造装置。
【0025】
(5)の発明によれば、塗装ホイールの製造装置は、相対位置変更手段が、ホイールを第1端面から第1誘導加熱部までの距離を略同一に保った状態で所定方向に移動可能である。これにより、加熱状態を略同一に保つことができるので、ホイールにおける第1端面側を均一に加熱することができる。
【0026】
(6) 上記相対位置変更手段は、上記ホイールを上記円環軸を中心に回転可能である(1)から(5)のいずれかに記載の塗装ホイールの製造装置。
【0027】
(6)の発明によれば、塗装ホイールの製造装置は、相対位置変更手段が、ホイールを円環軸を中心に回転可能である。これにより、ホイールにおける第1端面側を均一に加熱することができる。また、第1誘導加熱部を、第1端面の全体を覆うような大きさや形状にすることなく、ホイールの第1端面側を均一に加熱することができる。例えば、第1誘導加熱部をコンパクトにすることが可能である。また、例えば、ホイールを回転させながら所定方向に移動させる場合には、コンパクトな第1誘導加熱部で塗装ホイールを連続的に製造することができる。
【0028】
(7) 上記第1誘導加熱部は、少なくとも上記ハブ取付部の一部と、上記スポーク部の一部と、上記リム部における第1円周部の一部と、を覆うように配置される(1)から(6)のいずれかに記載の塗装ホイールの製造装置。
【0029】
(7)の発明によれば、塗装ホイールの製造装置は、第1誘導加熱部が、少なくともハブ取付部の一部と、スポーク部の一部と、リム部における第1円周部の一部と、を覆うように配置される。これにより、例えば、相対位置変更手段により相対位置を変更させることにより第1端面側を加熱することができる。具体的には、第1誘導加熱部の形状や配置に応じてホイールを移動や回転させることで、第1端面側を均一に加熱することができる。
【0030】
(8) 上記リム部における上記第1端面と反対側の端面である第2端面に対向するように近接配置される第2誘導加熱部と、を更に備える(1)から(7)のいずれかに記載の塗装ホイールの製造装置。
【0031】
(8)の発明によれば、塗装ホイールの製造装置は、リム部における前記第1端面と反対側の端面である第2端面に対向するように近接配置される第2誘導加熱部と、を更に備える。これにより、第1端面から最も離間する部位であり熱容量が大きな部位を加熱することができるので、ホイールをより短時間でかつ均一に加熱することができる。
【0032】
(9) 略円環状のリム部と、上記円環状のリム部における一方の端面である第1端面側に偏って配置されるハブ取付部と、上記ハブ取付部の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部が上記リム部の第1端面における第1円周部近傍に接続されるスポーク部と、を有するホイールの表面に塗膜が形成された塗装ホイールの製造方法であって、上記塗膜を形成するための塗料を上記ホイールの表面に塗布する塗布工程と、上記塗布工程により表面に塗料が塗布されたホイールを上記第1端面に対向するように近接配置される第1誘導加熱部により加熱すると共に、上記第1誘導加熱部による加熱状態において該第1誘導加熱部に対する上記第1端面の相対位置を変更可能な相対位置変更手段により上記相対位置を変更する加熱工程と、を含む塗装ホイールの製造方法。
【0033】
(9)の発明によれば、塗装ホイールの製造方法は、略円環状のリム部と、円環状のリム部における一方の端面である第1端面側に偏って配置されるハブ取付部と、ハブ取付部の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部がリム部の第1端面における第1円周部近傍に接続されるスポーク部とを有するホイールの表面に塗膜が形成された塗装ホイールの製造方法である。具体的には、塗装ホイールの製造方法は、塗膜を形成するための塗料をホイールの表面に塗布する塗布工程と、塗布工程により表面に塗料が塗布されたホイールを第1端面に対向するように近接配置される第1誘導加熱部により加熱する共に、第1誘導加熱部による加熱状態において該第1誘導加熱部に対する第1端面の相対位置を変更可能な相対位置変更手段により相対位置を変更する加熱工程とを含む。
【0034】
塗装ホイールの製造方法の製造対象は、表面に塗膜が形成された塗装ホイールである。表面に塗膜が形成された塗装ホイールを製造するため、該塗装ホイールの製造方法は、塗膜を形成するための塗料をホイールの表面に塗布する塗布工程と、上記塗布工程で表面に塗料が塗布されたホイールを加熱する加熱工程とを含む。塗布工程は、所定の目的に応じた塗膜形成に用いられる所定の熱硬化性塗料を塗布する。例えば、図10に示すような所定の熱硬化性塗料を塗布することができる。
【0035】
塗装ホイールの製造方法は、塗布工程で塗布された塗料を加熱する工程を含む。具体的には、塗布工程において塗料が塗布されたホイールを第1誘導加熱部により加熱する。該ホイールが、第1誘導加熱部により所定の温度に昇温されることで表面に塗布された塗装が乾燥し、所定の塗膜が形成される。これにより、塗装ホイールが製造される。
【0036】
第1誘導加熱部は、熱容量が大きな部位が集中して配置される第1端面に近接して配置される。第1誘導加熱部により第1端面側を加熱することで、該熱容量の高い部位を重点的に加熱できると共に、該第1端面に連結するリム部等を熱伝導により加熱できるので、ホイール全体を均一に加熱することができる。第1誘導加熱部の形状は、特に限定されないが、全体として略平坦状になるよう電線や中空状の銅線等を配置して形成することができる。例えば、所定の中空状の銅線を平坦状に巻回した誘導加熱部等を例示できる。
【0037】
相対位置変更手段は、第1誘導加熱部が加熱状態において、第1誘導加熱部に対する第1端面の相対位置を変更することができる。具体的には、後述のように、ホイールを第1誘導加熱部に沿って移動させることや、ホイールを該ホイールにおけるリム部の円環軸を中心に回転させることができる。また、ホイールではなく、第1誘導加熱部が移動するように構成しても良い。
【0038】
このように、第1誘導加熱部による加熱状態において前記相対位置を変更可能にすることで、第1誘導加熱部により第1端面の所定部が偏って加熱されることを抑制する。つまり、相対位置変更手段により加熱状態において前記相対位置を変更することで、第1端面側に配置される部位を均一に加熱する。
【0039】
ここで、近接配置とは、第1誘導加熱部で加熱対象である第1端面を誘導加熱可能な位置に配置されていることをいう。好ましくは、所望の加熱条件に適した距離に調整して配置される。
【0040】
塗装ホイールの製造方法によれば、ホイールの表面に塗布された塗料を短時間で均一に乾燥させることができる。これにより、塗装ホイールの製造時間を短縮させことができるため、作業効率が向上すると共にコスト面でもメリットが生じる。
【0041】
(10) 上記加熱工程において、上記ホイールは、上記相対位置変更手段により、上記リム部における円環軸と略直交する方向に移動される(9)に記載の塗装ホイールの製造方法。
【0042】
(10)の発明によれば、塗装ホイールの製造方法は、加熱工程において、ホイールが、相対位置変更手段によりリム部における円環軸と略直交する方向に移動される。これにより、例えば、略平平坦状に形成された第1誘導加熱部に沿ってホイールを移動させることができる。例えば、固定された第1誘導加熱部に沿うように、塗膜を形成するための塗料が表面に塗布された複数のホイールを所定間隔で連続的に移動させることで、塗装ホイールを連続的に製造することができる。
【0043】
(11) 上記加熱工程において、上記ホイールは、上記相対位置変更手段により、上記第1端面から上記第1誘導加熱部までの距離を略同一に保った状態で所定方向に移動される(9)又は(10)に記載の塗装ホイールの製造方法。
【0044】
(11)の発明によれば、塗装ホイールの製造方法は、加熱工程において、ホイールが、相対位置変更手段により、ホイールが第1端面から第1誘導加熱部までの距離を略同一に保った状態で所定方向に移動される。これにより、加熱状態を略同一に保つことができるので、ホイールにおける第1端面側を均一に加熱することができる。
【0045】
(12) 上記加熱工程において、上記ホイールは、上記相対位置変更手段により、上記円環軸を中心に回転される(9)から(11)のいずれかに記載の塗装ホイールの製造方法。
【0046】
(12)の発明によれば、塗装ホイールの製造方法は、前記加熱工程において、前記ホイールが、相対位置変更手段より、ホイールが円環軸を中心に回転される。これにより、ホイールにおける第1端面側を均一に加熱することができる。また、第1端面の全体を覆うような大きさや形状でない第1誘導加熱部により、ホイールの第1端面側を均一に加熱することができる。例えば、コンパクトな第1誘導加熱部を用いること可能である。また、例えば、ホイールを回転させながら所定方向に移動させる場合には、コンパクトな第1誘導加熱部で塗装ホイールを連続的に製造することができる。
【0047】
(13) 上記塗布工程は、上記ホイールの表面に第1熱硬化性塗料を塗布するプライマー塗布工程と、上記プライマー塗布工程で塗布された上記第1熱硬化性塗料の表面に、第2熱硬化性塗料を塗布するベース塗布工程と、を少なくとも含み、上記加熱工程は、上記プライマー塗布工程により表面に第1熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第1加熱工程及び/又は、上記ベース塗布工程により表面に第2熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第2加熱工程を含む(9)から(12)のいずれかに記載の製造方法。
【0048】
(13)の発明によれば、塗装ホイールの製造方法は、塗布工程が、ホイールの表面に第1熱硬化性塗料を塗布するプライマー塗布工程と、プライマー塗布工程で塗布された第1熱硬化性塗料の表面に第2熱硬化性塗料を塗布するベース塗布工程と、を少なくとも含む。そして、加熱工程が、プライマー塗布工程により表面に第1熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第1加熱工程及び/又は、ベース塗布工程により表面に第2熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第2加熱工程を含む。これにより、塗布工程により所定の目的に応じて塗布された熱硬化性塗料を加熱工程により硬化させ、所定の塗膜が形成された塗装ホイールを製造することができる。また、加熱工程は、第1熱硬化性塗料及び第2熱硬化性塗料の組み合わせに応じて、第1加熱工程及び/又は第2加熱工程により、表面に熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する。つまり、加熱工程は、各塗布工程ごとに、塗布された塗料を乾燥するよう第1加熱工程及び第2加熱工程を含むことができ、また、第1加熱工程又は第2加熱工程の一方のみを含むことができる。例えば、プライマー塗布工程により塗布された第1熱硬化性塗料の表面に、該第1熱硬化性塗料を乾燥することなく第2熱硬化性塗料を塗布できる場合には、加熱工程に第2加熱工程のみを含むことができる。
【0049】
プライマー塗布工程及び/又はベース塗布工程は、それぞれ複数の塗布工程を有することができる。例えば、ベース塗布工程は、塗膜の強度を確保するための熱硬化性塗料等を塗布する第1ベース塗布工程と、塗膜の色等の外観面に寄与する熱硬化性塗料等を塗布する第2ベース塗布工程と、を含むことができる。
【0050】
この場合における塗布工程は、プライマー塗布工程+第1ベース塗布工程、プライマー塗布工程+第1ベース塗布工程+第2ベース塗布工程のような組み合わせにより所定の熱硬化性塗料を塗布することができる。
【0051】
また、この場合における第2加熱工程は、例えば、第1ベース塗布工程により表面に所定の熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第2A加熱工程と、第2ベース塗布工程により表面に所定の熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第2B加熱工程とを含むことができる。また、第2加熱工程は、上述のように熱硬化性塗料の組み合わせに応じて、第2A加熱工程又は第2B加熱工程の一方又は双方を含むことができる。
【0052】
これにより、所定の目的に応じた熱硬化性塗料を塗布すると共に、該塗布された熱硬化性塗料のそれぞれを、加熱工程により硬化させ、所定の塗膜を形成することができる。各塗布工程における熱硬化性塗料と、加熱工程における加熱条件は、例えば、図10のような条件を例示できる。
【0053】
(14) 上記塗布工程は、上記ベース塗布工程で塗布された上記第2熱硬化性塗料の表面に、第3熱硬化性塗料を塗布するクリヤー塗布工程と、を更に含み、上記加熱工程は、上記クリヤー塗布工程により表面に第3熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第3加熱工程を含む(13)に記載の製造方法。
【0054】
(14)の発明によれば、塗装ホイールの製造方法は、塗布工程が、ベース塗布工程で塗布された第2熱硬化性塗料の表面に、第3熱硬化性塗料を塗布するクリヤー塗布工程と、を更に含む。そして、加熱工程が、クリヤー塗布工程により表面に第3熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第3加熱工程を含む。これにより、塗布工程により所定の目的に応じて塗布された熱硬化性塗料を加熱工程により硬化させ、所定の塗膜を形成された塗装ホイールを製造することができる。
【0055】
クリヤー塗布工程は、複数の塗布工程を含むことができる。この場合における第3加熱工程は、複数の塗布工程それぞれにより表面に所定の熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する複数の加熱工程を含むことができる。
【0056】
これにより、所定の目的に応じた熱硬化性塗料を塗布すると共に、該塗布された熱硬化性塗料のそれぞれを、加熱工程により硬化させ、所定の塗膜を形成することができる。各塗布工程における熱硬化性塗料と、加熱工程における加熱条件は、例えば、図10のような条件を例示できる。
【0057】
(15) 略円環状のリム部と、上記円環状のリム部における一方の端面である第1端面側に偏って配置されるハブ取付部と、上記ハブ取付部の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部が上記リム部の第1端面における第1円周部近傍に接続されるスポーク部と、を有するホイールの加熱装置であって、上記ホイールにおける上記第1端面に対向するように近接配置される第1誘導加熱部と、上記第1誘導加熱部に対する上記第1端面の相対位置を変更可能な相対位置変更手段と、を備えるホイールの加熱装置。
【0058】
(15)の発明によれば、塗装ホイールの加熱装置は、略円環状のリム部と、円環状のリム部における一方の端面である第1端面側に偏って配置されるハブ取付部と、ハブ取付部の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部がリム部の第1端面における第1円周部近傍に接続されるスポーク部と、を有するホイールの加熱装置である。具体的には、ホイールにおける第1端面に対向するように近接配置される第1誘導加熱部と、第1誘導加熱部に対する第1端面の相対位置を変更可能な相対位置変更手段と、を備える加熱装置である。
【0059】
ホイールの加熱装置の加熱対象は、表面に塗膜が形成された塗装ホイール等のホイールである。
【0060】
第1誘導加熱部は、熱容量が大きな部位が集中して配置される第1端面に近接して配置される。第1誘導加熱部により第1端面側を加熱することで、該熱容量の高い部位を重点的に加熱できると共に、該第1端面に連結するリム部等を熱伝導により加熱できるので、ホイール全体を均一に加熱することができる。第1誘導加熱部の形状は、特に限定されないが、全体として略平坦状になるよう電線や中空状の銅線等を配置して形成することができる。例えば、所定の中空状の銅線を平坦状に巻回した誘導加熱部等を例示できる。
【0061】
相対位置変更手段は、第1誘導加熱部に対する第1端面の相対位置を変更することができる。具体的には、後述のように、ホイールを第1誘導加熱部に沿って移動させることや、ホイールを該ホイールにおけるリム部の円環軸を中心に回転させることができる。また、ホイールではなく、第1誘導加熱部が移動するように構成しても良い。
【0062】
このように、相対位置を変更可能にすることで、第1誘導加熱部により第1端面の所定部が偏って加熱されることを抑制する。つまり、相対位置変更手段により、前記相対位置を変更することで、第1端面側に配置される部位を均一に加熱する。
【0063】
第1誘導加熱部は、誘導加熱の原理を利用することにより短時間でホイールを120から160度(393.15Kから433.15K)に加熱することが可能である。また、第1誘導加熱部を構成する材料や供給する電力に応じて所定の温度まで昇温させることができる。なお、加熱開始前のホイールの温度は常温である。更に、熱容量が大きい部位に近接して配置された第1誘導加熱部よって、上述の通り、ホイールの熱容量が大きい部分を集中的に加熱することにより、全体を均一に加熱することができる。また、第1誘導加熱部で加熱された部分からの熱伝導により、上記加熱部で直接加熱されていない部分も昇温させることができるため、短時間で全体を均一に昇温させることができる。
【0064】
ここで、近接配置とは、第1誘導加熱部で加熱対象である第1端面を誘導加熱可能な位置に配置されていることをいう。好ましくは、所望の加熱条件に適した距離に調整して配置される。
【0065】
(16) 略円環状のリム部と、上記円環状のリム部における一方の端面である第1端面側に偏って配置されるハブ取付部と、上記ハブ取付部の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部が上記リム部の第1端面における第1円周部近傍に接続されるスポーク部と、を有するホイールの加熱方法であって、上記ホイールにおける上記第1端面に対向するように近接配置される第1誘導加熱部により加熱すると共に、該加熱状態において上記第1誘導加熱部に対する上記第1端面の相対位置を変更可能な相対位置変更手段により上記相対位置を変更する工程を含むホイールの加熱方法。
【0066】
(16)の発明によれば、塗装ホイールの加熱方法は、略円環状のリム部と、円環状のリム部における一方の端面である第1端面側に偏って配置されるハブ取付部と、ハブ取付部の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部がリム部の第1端面における第1円周部近傍に接続されるスポーク部と、を有するホイールの加熱方法である。具体的には、ホイールにおける第1端面に対向するように近接配置される第1誘導加熱部により加熱すると共に、加熱状態において第1誘導加熱部に対する第1端面の相対位置を変更可能な相対位置変更手段により相対位置を変更する工程を含む加熱方法である。
【0067】
ホイールの加熱方法の加熱対象は、表面に塗膜が形成された塗装ホイール等のホイールである。
【0068】
第1誘導加熱部は、熱容量が大きな部位が集中して配置される第1端面に近接して配置される。第1誘導加熱部により第1端面側を加熱することで、該熱容量の高い部位を重点的に加熱できると共に、該第1端面に連結するリム部等を熱伝導により加熱できるので、ホイール全体を均一に加熱することができる。第1誘導加熱部の形状は、特に限定されないが、全体として略平坦状になるよう電線や中空状の銅線等を配置して形成することができる。例えば、所定の中空状の銅線を平坦状に巻回した誘導加熱部等を例示できる。
【0069】
相対位置変更手段は、第1誘導加熱部に対する第1端面の相対位置を変更することができる。具体的には、後述のように、ホイールを第1誘導加熱部に沿って移動させることや、ホイールを該ホイールにおけるリム部の円環軸を中心に回転させることができる。また、ホイールではなく、第1誘導加熱部が移動するように構成しても良い。
【0070】
このように、相対位置を変更可能にすることで、第1誘導加熱部により第1端面の所定部が偏って加熱されることを抑制する。つまり、相対位置変更手段により、上記相対位置を変更することで、第1端面側に配置される部位を均一に加熱する。
【0071】
第1誘導加熱部は、誘導加熱の原理を利用することにより短時間でホイールを120から160度(393.15Kから433.15K)に加熱することが可能である。また、第1誘導加熱部を構成する材料や供給する電力に応じて所定の温度まで昇温させることができる。なお、加熱開始前のホイールの温度は常温である。更に、熱容量が大きい部位に近接して配置された第1誘導加熱部よって、上述の通り、ホイールの熱容量が大きい部分を集中的に加熱することにより、全体を均一に加熱することができる。また、第1誘導加熱部で加熱された部分からの熱伝導により、上記加熱部で直接加熱されていない部分も昇温させることができるため、短時間で全体を均一に昇温させることができる。
【0072】
ここで、近接配置とは、第1誘導加熱部で加熱対象である第1端面を誘導加熱可能な位置に配置されていることをいう。好ましくは、所望の加熱条件に適した距離に調整して配置される。
【0073】
(17) 略円環状のリム部と、上記円環状のリム部における一方の端面である第1端面側に偏って配置されるハブ取付部と、上記ハブ取付部の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部が上記リム部の第1端面における第1円周部近傍に接続されるスポーク部と、を有するホイールの表面に塗膜を形成する塗膜形成方法であって、上記塗膜を形成するための塗料を上記ホイールの表面に塗布する塗布工程と、上記塗布工程により表面に塗料が塗布されたホイールを上記第1端面に対向するように近接配置される第1誘導加熱部により加熱する共に、上記第1誘導加熱部による加熱状態において該第1誘導加熱部に対する上記第1端面の相対位置を変更可能な相対位置変更手段により上記相対位置を変更する加熱工程と、を含む塗膜形成方法。
【0074】
(17)の発明によれば、塗膜形成方法は、略円環状のリム部と、円環状のリム部における一方の端面である第1端面側に偏って配置されるハブ取付部と、ハブ取付部の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部が上記リム部の第1端面における第1円周部近傍に接続されるスポーク部と、を有するホイールの表面に塗膜を形成する。具体的には、塗膜を形成するための塗料をホイールの表面に塗布する塗布工程と、塗布工程により表面に塗料が塗布されたホイールを第1端面に対向するように近接配置される第1誘導加熱部により加熱する共に、第1誘導加熱部による加熱状態において該第1誘導加熱部に対する第1端面の相対位置を変更可能な相対位置変更手段により相対位置を変更する加熱工程とを含む。
【0075】
塗布工程は、塗膜を形成するめの塗料をホイールの表面に塗布する。この塗布工程は、上述した塗装ホイールの製造方法における塗布工程における記載を援用することができる、加熱工程は、塗布工程において表面に塗料が塗布されたホイールを第1誘導加熱部により加熱する。
【0076】
加熱工程における第1誘導加熱部は、熱容量が大きな部位が集中して配置される第1端面に近接して配置される。第1誘導加熱部により第1端面側を加熱することで、該熱容量の高い部位を重点的に加熱できると共に、該第1端面に連結するリム部等を熱伝導により加熱できるので、ホイール全体を均一に加熱することができる。第1誘導加熱部の形状は、特に限定されないが、全体として略平坦状になるよう電線や中空状の銅線等を配置して形成することができる。例えば、所定の中空状の銅線を平坦状に巻回した誘導加熱部等を例示できる。
【0077】
加熱工程における相対位置変更手段は、第1誘導加熱部に対する第1端面の相対位置を変更することができる。具体的には、後述のように、ホイールを第1誘導加熱部に沿って移動させることや、ホイールを該ホイールにおけるリム部の円環軸を中心に回転させることができる。また、ホイールではなく、第1誘導加熱部が移動するように構成しても良い。
【0078】
このように、相対位置を変更可能にすることで、第1誘導加熱部により第1端面の所定部が偏って加熱されることを抑制する。つまり、相対位置変更手段により、上記相対位置を変更することで、第1端面側に配置される部位を均一に加熱する。
【0079】
第1誘導加熱部は、誘導加熱の原理を利用することにより短時間でホイールを120から160度(393.15Kから433.15K)に加熱することが可能である。また、第1誘導加熱部を構成する材料や供給する電力に応じて所定の温度まで昇温させることができる。なお、加熱開始前のホイールの温度は常温である。更に、熱容量が大きい部位に近接して配置された第1誘導加熱部よって、上述の通り、ホイールの熱容量が大きい部分を集中的に加熱することにより、全体を均一に加熱することができる。また、第1誘導加熱部で加熱された部分からの熱伝導により、上記加熱部で直接加熱されていない部分も昇温させることができるため、短時間で全体を均一に昇温させることができる。
【0080】
ここで、近接配置とは、第1誘導加熱部で加熱対象である第1端面を誘導加熱可能な位置に配置されていることをいう。好ましくは、所望の加熱条件に適した距離に調整して配置される。
【0081】
(18) 上記塗布工程は、上記ホイールの表面に第1熱硬化性塗料を塗布するプライマー塗布工程と、上記プライマー塗布工程で塗布された上記第1熱硬化性塗料の表面に、第2熱硬化性塗料を塗布するベース塗布工程と、を少なくとも含み、上記加熱工程は、上記プライマー塗布工程により表面に第1熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第1加熱工程及び/又は、上記ベース塗布工程により表面に第2熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第2加熱工程を含む(17)に記載の塗膜形成方法。
【0082】
(18)の発明によれば、塗膜形成方法は、塗布工程が、ホイールの表面に第1熱硬化性塗料を塗布するプライマー塗布工程と、プライマー塗布工程で塗布された第1熱硬化性塗料の表面に第2熱硬化性塗料を塗布するベース塗布工程と、を少なくとも含む。そして、加熱工程が、プライマー塗布工程により表面に第1熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第1加熱工程及び/又は、ベース塗布工程により表面に第2熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第2加熱工程を含む。これにより、塗布工程により所定の目的に応じて塗布された熱硬化性塗料を加熱工程により硬化させ、所定の塗膜を形成することができる。また、加熱工程は、第1熱硬化性塗料及び第2熱硬化性塗料の組み合わせに応じて、第1加熱工程及び/又は第2加熱工程により、表面に熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する。つまり、加熱工程は、各塗布工程ごとに、塗布された塗料を乾燥するよう第1加熱工程及び第2加熱工程を含むことができ、また、第1加熱工程又は第2加熱工程の一方のみを含むことができる。例えば、プライマー塗布工程により塗布された第1熱硬化性塗料の表面に、該第1熱硬化性塗料を乾燥することなく第2熱硬化性塗料を塗布できる場合には、加熱工程に第2加熱工程のみを含むことができる。
【0083】
プライマー塗布工程及び/又はベース塗布工程は、それぞれ複数の塗布工程を有することができる。例えば、ベース塗布工程は、塗膜の強度を確保するための熱硬化性塗料等を塗布する第1ベース塗布工程と、塗膜の色等の外観面に寄与する熱硬化性塗料等を塗布する第2ベース塗布工程と、を含むことができる。
【0084】
この場合における塗布工程は、プライマー塗布工程+第1ベース塗布工程、プライマー塗布工程+第1ベース塗布工程+第2ベース塗布工程のような組み合わせにより所定の熱硬化性塗料を塗布することができる。
【0085】
また、この場合における第2加熱工程は、例えば、第1ベース塗布工程により表面に所定の熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第2A加熱工程と、第2ベース塗布工程により表面に所定の熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第2B加熱工程とを含むことができる。また、第2加熱工程は、上述のように熱硬化性塗料の組み合わせに応じて、第2A加熱工程又は第2B加熱工程の一方又は双方を含むことができる。
【0086】
これにより、所定の目的に応じた熱硬化性塗料を塗布すると共に、該塗布された熱硬化性塗料のそれぞれを、加熱工程により硬化させ、所定の塗膜を形成することができる。各塗布工程における熱硬化性塗料と、加熱工程における加熱条件は、例えば、図10のような条件を例示できる。
【0087】
(19) 上記塗布工程は、上記ベース塗布工程で塗布された上記第2熱硬化性塗料の表面に、第3熱硬化性塗料を塗布するクリヤー塗布工程と、を更に含み、上記加熱工程は、上記クリヤー塗布工程により表面に第3熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第3加熱工程を含む(18)に記載の製造方法。
【0088】
(19)の発明によれば、塗膜形成方法は、塗布工程が、ベース塗布工程で塗布された第2熱硬化性塗料の表面に第3熱硬化性塗料を塗布するクリヤー塗布工程と、を更に含む。そして、加熱工程が、クリヤー塗布工程により表面に第3熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第3加熱工程を含む。これにより、塗布工程により所定の目的に応じて塗布された熱硬化性塗料を加熱工程により硬化させ、所定の塗膜を形成することができる。
【0089】
クリヤー塗布工程は、複数の塗布工程を含むことができる。この場合における第3加熱工程は、複数の塗布工程それぞれにより表面に所定の熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する複数の加熱工程を含むことができる。
【0090】
これにより、所定の目的に応じた熱硬化性塗料を塗布すると共に、該塗布された熱硬化性塗料のそれぞれを、加熱工程により硬化させ、所定の塗膜を形成することができる。各塗布工程における熱硬化性塗料と、加熱工程における加熱条件は、例えば、図10のような条件を例示できる。
【発明の効果】
【0091】
本発明によれば、塗膜が形成された塗装ホイールの製造装置及び塗装ホイールの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0092】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0093】
図1は、本発明の第1実施形態における塗装ホイールの製造装置を説明する斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態における塗装ホイールの製造装置を説明する側面図である。図3は、本発明の第1実施形態における塗装ホイールの製造装置を説明する平面図である。図4は、本発明の第2実施形態における塗装ホイールの製造装置を説明する平面図である。図5は、本発明の第3実施形態における塗装ホイールの製造装置を説明する平面図である。図6は、本発明の第4実施形態における塗装ホイールの製造装置を説明する平面図である。図7は、本発明の応用実施形態における塗装ホイールの製造装置を説明する斜視図である。図8は、ホイールの平面斜視図である。図9は、温度測定点を説明するホイールの平面斜視図である。図10は、ホイールの塗装例を示す表である。図11は、実施例1における温度の測定結果を示すグラフである。図12は、実施例2における温度の測定結果を示すグラフである。図13は、実施例3における温度の測定結果を示すグラフである。図14は、比較例における温度の測定結果を示すグラフである。
【0094】
[1]塗装ホイールの製造装置
図1から図8により、本発明における塗装ホイールの製造装置について説明する。
【0095】
[1.1]
第1実施形態における塗装ホイールの製造装置により、本発明の塗装ホイールの製造装置の全体構成について説明する。
【0096】
[1.1.1]ホイール
図1に示すように、本発明の塗装ホイールの製造装置の製造対象は、表面に塗膜が形成された塗装ホイールである。該塗装ホイールは、塗膜を形成するための塗料が塗布された金属製のホイールを、本発明の塗装ホイールの製造装置により所定の加熱処理がなされることで製造される。この塗料が塗布されるホイール100は、略円環状のリム部102と、円環状のリム部102における一方の端面である第1端面120側に偏って配置されるハブ取付部101と、ハブ取付部101の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部がリム部102の第1端面120における第1円周部102a近傍に接続されるスポーク部103とを有する。ホイール100の金属材質は特に限定されないが、鉄、アルミニウム、マグネシウムを例示することができる。
【0097】
ホイールの表面に塗膜を形成するために塗布される塗料は、形成される塗膜の性状等により適宜調整することができる。例えば、図10の表に示す塗料を塗布することができる。図10の表に示す塗装ホイールの製造手順は後述の通りである。
【0098】
[1.1.2]製造装置の概要
塗装ホイールの製造装置1は、第1誘導加熱部2と、相対位置変更手段である不図示の水平移動部及び回転移動部511とを備える。この第1誘導加熱部2は、塗膜を形成するための塗料が表面に塗布されたホイール100における第1端面120に対向するように近接配置される。
【0099】
本発明の塗装ホイールの製造装置1によれば、ホイール100の表面に塗布された塗料を短時間で均一に乾燥させることができる。これにより、塗装ホイールの製造時間を短縮させことができるため、作業効率が向上すると共にコスト面でもメリットが生じる。また、本発明の塗装ホイールの製造装置1によれば、短時間で、好適な塗膜が形成された塗装ホイールを製造することができる。
【0100】
[1.1.3]誘導加熱部
図1から図3に示すように、第1誘導加熱部2は、ハブ取付部101の中心を挟んで配置される第1帯状誘導加熱部2aと、第2帯状誘導加熱部2bとを備える。第1誘導加熱部2は、所定の中空状の銅線を平坦状に巻回して形成される誘導加熱部である。銅線に形成される中空部には、該銅線の昇温を抑制するための冷却水等を通液することができる。第1帯状誘導加熱部2aと第2帯状誘導加熱部2bとはそれぞれ同一の中空状の銅線によって形成される。該第1誘導加熱部2は、不図示の電源から供給される電力に応じてホイール100を加熱する。
【0101】
第1誘導加熱部2は、例えば、中空状の銅線を連続的に渦巻状又は螺旋状に巻回しながら略平坦状に形成することができる。また、二本以上の中空状の銅線により形成することもできる。この場合、第1の中空状の銅線に出力する電力と、第2の中空状の銅線に出力する電力を別々に制御することができる。
【0102】
本実施形態における塗装ホイールの製造装置1は、リム部102における第1端面120と反対側の端面である第2端面130に対向するように近接配置される第2誘導加熱部3とを更に備える。第2誘導加熱部3は、第1誘導加熱部2と同様に、所定の中空状の銅線を平坦状に巻回して形成される誘導加熱部である。また、第2誘導加熱部3は、ハブ取付部101の中心を挟んで配置される第3帯状誘導加熱部3aと、第4帯状誘導加熱部3bとを備える。第3帯状誘導加熱部3aと第4帯状誘導加熱部3bとはそれぞれ同一の中空状の銅線によって形成される。該第3帯状誘導加熱部3aと第4帯状誘導加熱部3bとは、開口部10を形成するために第2誘導加熱部3と略直交する方向に略コ状を形成するように巻回される連結部23を介して連続している。
【0103】
第1誘導加熱部2は、熱容量が大きな部位が集中して配置される第1端面120に近接して配置される。熱容量が大きな部位とは、具体的には、ハブ取付部101、スポーク部103及びリム部102における第1円周部102aである。ここで、近接配置とは、第1誘導加熱部2が、加熱対象である第1端面120を誘導加熱可能な位置に配置されていることをいう。例えば、第1誘導加熱部2から第1端面120の距離として5mmから20mmを例示できるが、この条件に限定されるわけではない。
【0104】
第1誘導加熱部2により第1端面120側を加熱することで、該熱容量の高いハブ取付部101、スポーク部103及びリム部102における第1円周部102aを重点的に加熱できると共に、該第1端面120に連続するリム部102の側面部等を熱伝導により加熱できる。その結果、第1誘導加熱部2は、ホイール100全体を均一に加熱することができる。
【0105】
図1から図3に示すように、本実施形態において、第1誘導加熱部2は、第1端面120と略平行に配置される。これにより、ホイール100における第1端面120側を均一に加熱することができる。
【0106】
また、図1及び図3に示すように、本実施形態において、第1誘導加熱部2は、少なくともハブ取付部101の一部と、スポーク部103の一部と、リム部102における第1円周部102aの一部と、を覆うように配置される。これにより、例えば、後述する相対位置変更手段により、第1誘導加熱部2と第1端面120との相対位置を変更させることにより第1端面120側を均一に加熱することができる。具体的には、第1誘導加熱部2の形状や配置に応じてホイール100を水平移動や回転移動させることで、第1端面120側を均一に加熱することができる。
【0107】
例えば、第1誘導加熱部2は、誘導加熱の原理を利用することにより短時間でホイールを120から160度(393.15Kから433.15K)に加熱することが可能である。更に、熱容量が大きい部位に近接して配置された第1誘導加熱部2よって、上述の通り、ホイールの熱容量が大きいハブ取付部101、スポーク部103及びリム部102における第1円周部102aを集中的に加熱することにより、全体を均一に加熱することができる。また、第1誘導加熱部2で加熱された部分からの熱伝導により、前記第1誘導加熱部2及び第2誘導加熱部3で直接加熱されていないリム部102の側面等を昇温させることができる。これにより、ホイール短時間で全体を均一に昇温させることができる。
【0108】
上述したが、本発明の塗装ホイールの製造装置1は、ホイール100全体を短時間で均一に加熱できる。塗膜を形成するための塗料が塗布されたホイール100を、短時間で塗料の乾燥に適した120から160度(393.15Kから433.15K)に加熱することができる。これにより、ホイール100の表面に塗布された所定の塗料を、短時間で均一に乾燥させることができる。
【0109】
また、本実施形態の塗装ホイールの製造装置1によれば、短時間でホイール100全体を均一に加熱することができるため良好な塗膜が形成される。具体的には、塗料の表面側からではなく塗料の内側の面であるホイール100側から昇温するので、従来の熱風で外部から加熱した場合のように表面だけが乾燥されてしまうことがない。このため、塗料が均一に加熱乾燥されるため良好な塗膜が形成される。また、塗料の加熱乾燥時間が短時間であることや、塗料に熱風を吹き付けるような乾燥ではないため、塗料の表面にゴミやチリが付着する可能性も低いということも良好な塗膜形成に寄与する。
【0110】
[1.1.4]相対位置変更手段
図1及び図3に示すように、相対位置変更手段により、塗膜を形成するための塗料が塗布されたホイール100は、矢印Tの方向に移動されると共に、矢印Rの方向に回転される。具体的には、相対位置変更手段である不図示の水平方向移動部により矢印Tの方向に水平移動されると共に、回転移動部511によりリム部102の円環軸を中心に矢印Rの方向に回転移動される。この回転移動部511による回転は、例えば0.5から20rpm、特に0.5から10rpmである場合好ましい。
【0111】
更に具体的には、まず、塗膜を形成するための塗料が塗布されたホイール100は、保持部材513のホイール100側に形成される不図示の配置部に位置決めされた状態で配置される。ホイール100を位置決め保持した保持部材513は、不図示の水平移動部により矢印Tの方向に移動される。
【0112】
本実施形態において、不図示の水平移動部は、ホイール100をリム部102における円環軸と略直交する方向に移動させる。更には、不図示の水平移動部は、ホイール100を第1端面120から第1誘導加熱部2までの距離を略同一に保った状態で矢印Tの方向に移動させる。つまり、不図示の水平移動部は、ホイール100を第1誘導加熱部2に沿うようにして水平移動させる。
【0113】
本実施形態において、回転移動部511は、ホイール100をリム部102における円環軸を中心に回転させる。更に、上述した不図示の水平移動部により、ホイール100を矢印Tの方向に水平移動させながら、回転移動部511によりホイール100をリム部102の円環軸を中心に回転させることができる。
【0114】
ここで、本実施形態において、相対位置変更手段である不図示の水平部による水平移動及び回転移動部511による回転移動は、第1誘導加熱部2による加熱状態においても好適に行うことができる。
【0115】
本実施形態において、開口部10から保持部材513に保持された複数のホイール100を第1誘導加熱部2が第1端面120に近接配置されるよう連続的に挿入することができる。該開口部10から挿入されたホイール100を、不図示の水平移動部により所定速度で矢印Tの方向に移動させると共に回転移動部511により回転移動させる。これにより、本実施形態における塗装ホイールの製造装置1は、複数の塗装ホイールを連続的に製造することができる。
【0116】
上述の通り、相対位置変更手段は、第1誘導加熱部2に対する第1端面120の相対位置を変更することができる。このように前記相対位置を変更可能にすることで、第1誘導加熱部2により第1端面120の所定部が偏って加熱されることを抑制する。つまり、相対位置変更手段により、前記相対位置を変更することで、第1端面120側に配置される部位を均一に加熱する。
【0117】
[1.2]第2実施形態
図4により、本発明の第2実施形態における塗装ホイールの製造装置1Aについて説明する。図4に示すように、第2実施形態における塗装ホイールの製造装置1Aは第1実施形態1の塗装ホイールの製造装置1における第1誘導加熱部2の形態が異なる製造装置である。
【0118】
具体的には、塗装ホイールの製造装置1Aは、ホイール100の第1端面120に対する第1誘導加熱部2の配置が異なる。つまり、第1誘導加熱部2はハブ取付部101の中心に対する一方側に配置される。詳細には、第1帯状誘導加熱部2a及び第2帯状誘導加熱部2bが、ハブ取付部101の中心に対する一方側に配置される。
【0119】
このように、第1誘導加熱部2がホイール100の第1端面120における径方向の一方側にのみ配置されていても、相対位置変更手段である不図示の回転移動部によりリム部102の円環軸を中心に矢印R方向に回転させることで、第1端面120の全面を均一に加熱することができる。また、第1誘導加熱部2による加熱状態において、ホイール100を不図示の水平移動部により矢印T方向に移動させることで、上述の第1実施形態と同様に、複数の塗装ホイールを連続的に製造することができる。
【0120】
[1.3]第3実施形態
図5により、本発明の第3実施形態における塗装ホイールの製造装置1Bについて説明する。図5に示すように、第3実施形態における塗装ホイールの製造装置1Bは第1実施形態の塗装ホイールの製造装置1における相対位置変更手段の態様が異なる製造装置である。
【0121】
具体的には、塗装ホイールの製造装置1Bは、相対位置変更手段である水平移動部を有しない製造装置である。つまり、第1誘導加熱部2による加熱状態において、ホイール100は不図示の回転移動部によりリム部102の円環軸を中心に回転移動するが、水平方向に移動しない。言い換えると、ホイール100は、第1誘導加熱部2の加熱状態において、囲い部300の略中央に位置決めされた状態で不図示の回転移動部により回転移動される。
【0122】
このように、相対位置変更手段である不図示の回転移動部によりリム部102の円環軸を中心に矢印R方向に回転させることで、第1端面120の全面を均一に加熱することができる。また、第1誘導加熱部2による加熱状態において、ホイール100を不図示の水平移動部により矢印T方向に移動させることができないので、上述の第1実施形態と同様に複数の塗装ホイールを連続的に製造することはできないが、いわゆるバッチ連続方式により、半連続的に塗装ホイールを製造することができる。すなわち、塗料が塗布されたホイール100を矢印S1の方向に移動させて開口部15から囲い部300の略中央に位置決めさせる。そして、第1誘導加熱部2による加熱状態において、位置決めされたホイール100を不図示の回転移動部により矢印R方向に回転させて塗料を加熱乾燥する。加熱乾燥後、ホイール100を矢印S2の方向に移動させることで塗装ホイールを製造することができる。この一連の動作を連続して行うことで、塗装ホイールを半連続的に製造することができる。
【0123】
[1.4]第4実施形態
図6により、本発明の第4実施形態における塗装ホイールの製造装置1Cについて説明する。図6に示すように、第4実施形態における塗装ホイールの製造装置1Cは第3実施形態の塗装ホイールの製造装置1Bにおける第1誘導加熱部2の形態が異なる製造装置である。
【0124】
具体的には、ホイール100の第1端面120に対する第1誘導加熱部2の配置が異なる。つまり、第1誘導加熱部2はホイール100の径方向において一方側の端部しかカバーしていない。しかし、不図示の回転移動部により矢印Rの方向にリム部102の円環軸を中心に回転させることで、第1誘導加熱部2は第1端面120全体を加熱することができる。また、第3実施形態の場合と同様にいわゆるバッチ連続方式により半連続的に塗装ホイールを製造することができる。
【0125】
[1.5]応用実施形態
図7より、応用実施形態における塗装ホイールの製造装置1Dについて説明する。図7に示すように、塗装ホイールの製造装置1Dは、第1誘導加熱部2と、第2誘導加熱部3と、相対位置変更手段である水平移動部500及び回転移動部511と、保持部材513と、配置部515と、第1誘導加熱部2及び第2誘導加熱部3に電力を供給する電源301と、を備える。
【0126】
第1誘導加熱部2及び第2誘導加熱部3は、それぞれ複数の中空状の銅線により所定方向の長い平坦状に形成された加熱部である。該第1誘導加熱部2及び第2誘導加熱部3は電源301に電気的に接続され、該電源301から供給される電力により、ホイール100を誘導加熱する。
【0127】
ホイール100は、一端側が回転移動部511に回転可能に連結される保持部材513における他端側に形成される配置部515により位置決めされる。ホイール100は回転移動部511により、保持部材513を介して、リム部102の円環軸を中心に回転移動される。
【0128】
更に、回転移動部511は、水平移動部500の上側に配置されているので、該回転移動部511及び保持部材513を介してホイール100を矢印T方向に移動させる。つまり、水平移動部500は、ホイール100を第1誘導加熱部2及び第2誘導加熱部3に沿って矢印T方向に水平移動させる。これにより、塗膜を形成するための塗料が塗布されたホイール100は好適に加熱乾燥され、所定の塗膜が形成された塗装ホイールが製造される。
【0129】
例えば、保持部材513及び配置部515は、水平移動部500により矢印T、矢印T1、矢印T2、矢印T3の順で循環するように移動される。ここで、ホイール100を第1誘導加熱部2の一端側の手前で配置部515に配置し(矢印K1)、第1誘導加熱部2の他端側で配置部515から取り去る(矢印K2)ことを連続的に繰り返すことで、塗装ホイールを連続的に製造することができる。
【0130】
「1.6」その他
塗装ホイールは、ホイール100の表面に塗膜を形成することで得られるが、この塗膜は、所定の塗料を所定の手順により塗布及び焼付け(加熱)することで形成される。言い換えると、塗布処理は、ホイールの表面に第1熱硬化性塗料を塗布するプライマー塗布処理と、プライマー塗布処理で塗布された第1熱硬化性塗料の表面に第2熱硬化性塗料を塗布するベース塗布処理と、ベース塗布処理で塗布された前記第2熱硬化性塗料の表面に第3熱硬化性塗料を塗布するクリヤー塗布処理とを含む。そして、加熱処理である焼付け処理は、プライマー塗布処理、ベース塗布処理又はクリヤー塗布処理における1以上の塗布処理により表面に塗料が塗布されたホイールを加熱する。焼付け処理は、各塗布処理ごとに行っても良く、また、複数の塗布処理により複数の塗料が塗布された後に行っても良い。図10に、その塗料、加熱条件及び手順について例示する。
【0131】
図10により、例えば、有色仕様における粉体塗料系の場合、
前処理(脱脂剤による脱脂→酸洗い→化成剤による処理)
→第1熱硬化性塗料であるアクリル系粉体塗料によるプライマー塗布処理
→焼付け処理(160℃×10分間)
→第2熱硬化性塗料であるアクリルメラミン塗料によるベース塗布処理
→焼付け処理(140℃×10分間)
→第3熱硬化性塗料であるアクリルメラミン塗料によるクリヤー塗布処理
→焼付け処理(140℃×10分間)
という塗装ホイールの製造、塗料の乾燥、塗膜形成ための条件及び手順を例示することができる。ここで、本発明の塗装ホイールの製造装置及び後述するホイールの加熱装置は、主に焼付け処理に用いられる。
【0132】
また、図10により、例えば、メッキ調仕様における粉体塗料系の場合、
前処理(脱脂剤による脱脂→酸洗い→化成剤による処理)
→第1熱硬化性塗料であるアクリル系粉体塗料によるプライマー塗布処理
→焼付け処理(160℃×10分間)
→第2A熱硬化性塗料であるアクリルメラミン塗料による第1ベース塗布処理
→焼付け処理(140℃×10分間)
→第2B熱硬化性塗料であるアクリルメラミン塗料(メタリック色系)である第2ベース塗布処理
→第3熱硬化性塗料であるアクリルメラミン塗料によるクリヤー塗布処理
→焼付け処理(140℃×10分間)
という塗装ホイールの製造、塗料の乾燥、塗膜形成ための条件及び手順を例示することができる。ここで、上述と同様に、本発明の塗装ホイールの製造装置及び後述するホイールの加熱装置は、主に焼付け処理に用いられる。
【0133】
[2]塗装ホイールの製造方法
本発明の塗装ホイールの製造方法は、略円環状のリム部102と、円環状のリム部102における一方の端面である第1端面120側に偏って配置されるハブ取付部101と、ハブ取付部101の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部がリム部102の第1端面120における第1円周部102a近傍に接続されるスポーク部103と、を有するホイール100の表面に塗膜が形成された塗装ホイールの製造方法であって、塗膜を形成するための塗料をホイール100の表面に塗布する塗布工程と、塗布工程により表面に塗料が塗布されたホイール100を、第1端面120に対向するように近接配置される第1誘導加熱部2により加熱する共に、第1誘導加熱部2による加熱状態において該第1誘導加熱部2に対する第1端面120の相対位置を変更可能な相対位置変更手段により相対位置を変更する加熱工程と、を含む。
【0134】
塗装ホイールの製造方法の製造対象は、表面に塗膜が形成された塗装ホイールである。表面に塗膜が形成された塗装ホイールを製造するため、該塗装ホイールの製造方法は、塗布工程おいて表面に塗膜を形成するための塗装が塗布されたホイール100を第1誘導加熱部2により加熱する。該ホイール100が、第1誘導加熱部2により所定の温度に昇温されることで表面に塗布された塗装が乾燥し、所定の塗膜が形成される。これにより、塗装ホイールが製造される。
【0135】
第1誘導加熱部2は、熱容量が大きな部位が集中して配置される第1端面120に近接して配置される。第1誘導加熱部2により第1端面120側を加熱することで、該熱容量の高い部位を重点的に加熱できると共に、該第1端面120に連結するリム部102等を熱伝導により加熱できるので、ホイール100全体を均一に加熱することができる。第1誘導加熱部2の形状は、特に限定されないが、全体として略平坦状になるよう電線や中空状の銅線等を配置して形成することができる。例えば、所定の中空状の銅線を平坦状に巻回した誘導加熱部等を例示できる。
【0136】
相対位置変更手段は、第1誘導加熱部2が加熱状態において、第1誘導加熱部2に対する第1端面120の相対位置を変更することができる。具体的には、後述のように、ホイール100を第1誘導加熱部2に沿って移動させることや、ホイール100を該ホイール100におけるリム部102の円環軸を中心に回転させることができる。また、ホイールではなく、第1誘導加熱部2が移動するように構成しても良い。
【0137】
このように、第1誘導加熱部2による加熱状態において前記相対位置を変更可能にすることで、第1誘導加熱部2により第1端面120の所定部が偏って加熱されることを抑制する。つまり、相対位置変更手段により加熱状態において前記相対位置を変更することで、第1端面120側に配置される部位を均一に加熱する。
【0138】
ここで、近接配置とは、第1誘導加熱部2で加熱対象である第1端面120を誘導加熱可能な位置に配置されていることをいう。好ましくは、所望の加熱条件に適した距離に調整して配置される。
【0139】
塗装ホイールの製造方法によれば、ホイール100の表面に塗布された塗料を短時間で均一に乾燥させることができる。これにより、塗装ホイールの製造時間を短縮させことができるため、作業効率が向上すると共にコスト面でもメリットが生じる。
【0140】
本発明の塗装ホイールの製造方法は、加熱工程において、相対位置変更手段により、ホイール100がリム部102における円環軸と略直交する方向に移動される。これにより、例えば、略平平坦状に形成された第1誘導加熱部2に沿ってホイール100を移動させることができる。例えば、固定された第1誘導加熱部2に沿うように、塗膜を形成するための塗料が表面に塗布された複数のホイール100を所定間隔で連続的に移動させることで、塗装ホイールを連続的に製造することができる。
【0141】
塗装ホイールの製造方法は、加熱工程において、相対位置変更手段により、ホイール100が第1端面120から第1誘導加熱部2までの距離を略同一に保った状態で所定方向に移動される。これにより、加熱状態を略同一に保つことができるので、ホイール100における第1端面120側を均一に加熱することができる。
【0142】
塗装ホイールの製造方法は、相対位置変更手段より、加熱工程において、ホイール100が円環軸を中心に回転される。これにより、ホイール100における第1端面120側を均一に加熱することができる。また、第1端面120の全体を覆うような大きさや形状でない第1誘導加熱部2により、ホイール100の第1端面120側を均一に加熱することができる。例えば、コンパクトな第1誘導加熱部2を用いることが可能である。また、例えば、ホイール100を回転させながら所定方向に移動させる場合には、コンパクトな第1誘導加熱部2で塗装ホイールを連続的に製造することができる。
【0143】
塗布工程は、ホイール100の表面に第1熱硬化性塗料を塗布するプライマー塗布工程と、プライマー塗布工程で塗布された第1熱硬化性塗料の表面に第2熱硬化性塗料を塗布するベース塗布工程と、を少なくとも含む。そして、加熱工程は、プライマー塗布工程により表面に第1熱硬化性塗料が塗布されたホイール100を加熱する第1加熱工程及び/又は、ベース塗布工程により表面に第2熱硬化性塗料が塗布されたホイール100を加熱する第2加熱工程を含む。これにより、塗布工程により所定の目的に応じて塗布された熱硬化性塗料を加熱工程により硬化させ、所定の塗膜が形成された塗装ホイールを製造することができる。また、加熱工程は、第1熱硬化性塗料及び第2熱硬化性塗料の組み合わせに応じて、第1加熱工程及び/又は第2加熱工程により、表面に熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する。つまり、加熱工程は、各塗布工程ごとに、塗布された塗料を乾燥するよう第1加熱工程及び第2加熱工程を含むことができ、また、第1加熱工程又は第2加熱工程の一方のみを含むことができる。例えば、プライマー塗布工程により塗布された第1熱硬化性塗料の表面に、該第1熱硬化性塗料を乾燥することなく第2熱硬化性塗料を塗布できる場合には、加熱工程に第2加熱工程のみを含むことができる。
【0144】
プライマー塗布工程及び/又はベース塗布工程は、それぞれ複数の塗布工程を有することができる。例えば、ベース塗布工程は、塗膜の強度を確保するための熱硬化性塗料等を塗布する第1ベース塗布工程と、塗膜の色等の外観面に寄与する熱硬化性塗料等を塗布する第2ベース塗布工程と、を含むことができる。
【0145】
この場合における塗布工程は、プライマー塗布工程+第1ベース塗布工程、プライマー塗布工程+第1ベース塗布工程+第2ベース塗布工程のような組み合わせにより所定の熱硬化性塗料を塗布することができる。
【0146】
また、この場合における第2加熱工程は、例えば、第1ベース塗布工程により表面に所定の熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第2A加熱工程と、第2ベース塗布工程により表面に所定の熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第2B加熱工程とを含むことができる。また、第2加熱工程は、上述のように熱硬化性塗料の組み合わせに応じて、第2A加熱工程又は第2B加熱工程の一方又は双方を含むことができる。
【0147】
これにより、所定の目的に応じた熱硬化性塗料を塗布すると共に、該塗布された熱硬化性塗料のそれぞれを、加熱工程により硬化させ、所定の塗膜を形成することができる。各塗布工程における熱硬化性塗料と、加熱工程における加熱条件は、例えば、図10のような条件を例示できる。
【0148】
図10により、例えば、有色仕様おける粉体塗料系の場合、
前処理工程(脱脂剤による脱脂→酸洗い→化成剤による処理)
→第1熱硬化性塗料であるアクリル系粉体塗料によるプライマー塗布工程
→焼付け工程(160℃×10分間)
→第2熱硬化性塗料であるアクリルメラミン塗料によるベース塗布工程
→焼付け工程(140℃×10分間)
→第3熱硬化性塗料であるアクリルメラミン塗料によるクリヤー塗布工程
→焼付け工程(140℃×10分間)
という条件及び手順を例示することができる。
【0149】
また、図10により、例えば、メッキ調仕様における粉体塗料系の場合、
前処理(脱脂剤による脱脂→酸洗い→化成剤による処理)
→第1熱硬化性塗料であるアクリル系粉体塗料によるプライマー塗布処理
→焼付け処理(160℃×10分間)
→第2A熱硬化性塗料であるアクリルメラミン塗料による第1ベース塗布処理
→焼付け処理(140℃×10分間)
→第2B熱硬化性塗料であるアクリルメラミン塗料(メタリック色系)である第2ベース塗布処理
→第3熱硬化性塗料であるアクリルメラミン塗料によるクリヤー塗布処理
→焼付け処理(140℃×10分間)
という条件及び手順を例示することができる。
【0150】
本発明の塗装ホイールの製造方法における各構成の内容は、上述した塗装ホイールの製造装置における記載を援用するがことできる。
【0151】
[3]ホイールの加熱装置
本発明のホイールの加熱装置は、略円環状のリム部102と、円環状のリム部102における一方の端面である第1端面120側に偏って配置されるハブ取付部101と、ハブ取付部101の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部がリム部102の第1端面120における第1円周部102a近傍に接続されるスポーク部103と、を有するホイールの加熱装置であって、ホイール100における第1端面120に対向するように近接配置される第1誘導加熱部2と、第1誘導加熱部2に対する第1端面120の相対位置を変更可能な相対位置変更手段と、を備える。
【0152】
ホイールの加熱装置の加熱対象は、表面に塗膜が形成されたホイール等である。
【0153】
第1誘導加熱部2は、熱容量が大きな部位が集中して配置される第1端面120に近接して配置される。第1誘導加熱部2により第1端面120側を加熱することで、該熱容量の高い部位を重点的に加熱できると共に、該第1端面120に連結するリム部102等を熱伝導により加熱できるので、ホイール100全体を均一に加熱することができる。第1誘導加熱部2の形状は、特に限定されないが、全体として略平坦状になるよう電線や中空状の銅線等を配置して形成することができる。例えば、所定の中空状の銅線を平坦状に巻回した誘導加熱部等を例示できる。
【0154】
相対位置変更手段は、第1誘導加熱部2に対する第1端面120の相対位置を変更することができる。具体的には、後述のように、ホイール100を第1誘導加熱部2に沿って移動させることや、ホイール100を該ホイール100におけるリム部102の円環軸を中心に回転させることができる。また、ホイール100ではなく、第1誘導加熱部2が移動するように構成しても良い。
【0155】
このように、相対位置を変更可能にすることで、第1誘導加熱部2により第1端面120の所定部が偏って加熱されることを抑制する。つまり、相対位置変更手段により、前記相対位置を変更することで、第1端面120側に配置される部位を均一に加熱する。
【0156】
第1誘導加熱部2は、誘導加熱の原理を利用することにより短時間でホイール100を120から160度(393.15Kから433.15K)に加熱することが可能である。また、第1誘導加熱部2を構成する材料や供給する電力に応じて所定の温度まで昇温させることができる。なお、加熱開始前のホイール100の温度は常温である。更に、熱容量が大きい部位に近接して配置された第1誘導加熱部2よって、上述の通り、ホイール100の熱容量が大きい部分を集中的に加熱することにより、全体を均一に加熱することができる。また、第1誘導加熱部2で加熱された部分からの熱伝導により、前記誘導加熱部で直接加熱されていない部分も昇温させることができるため、短時間で全体を均一に昇温させることができる。
【0157】
ここで、近接配置とは、第1誘導加熱部2で加熱対象である第1端面120を誘導加熱可能な位置に配置されていることをいう。好ましくは、所望の加熱条件に適した距離に調整して配置される。
【0158】
本発明のホイールの加熱装置における各構成の内容は、上述した塗装ホイールの製造装置における記載を援用することができる。
【0159】
[4]ホイールの加熱方法
本発明のホイールの加熱方法は、略円環状のリム部102と、円環状のリム部102における一方の端面である第1端面120側に偏って配置されるハブ取付部101と、ハブ取付部101の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部がリム部102の第1端面120における第1円周部102a近傍に接続されるスポーク部103と、を有するホイール100の加熱方法であって、ホイール100における第1端面120に対向するように近接配置される第1誘導加熱部2により加熱すると共に、加熱状態において第1誘導加熱部2に対する第1端面120の相対位置を変更可能な相対位置変更手段により相対位置を変更する工程を含む。
【0160】
ホイールの加熱方法の加熱対象は、表面に塗膜が形成された塗装ホイール等である。
【0161】
第1誘導加熱部2は、熱容量が大きな部位が集中して配置される第1端面120に近接して配置される。第1誘導加熱部2により第1端面120側を加熱することで、該熱容量の高い部位を重点的に加熱できると共に、該第1端面120に連結するリム部102等を熱伝導により加熱できるので、ホイール100全体を均一に加熱することができる。第1誘導加熱部2の形状は、特に限定されないが、全体として略平坦状になるよう電線や中空状の銅線等を配置して形成することができる。例えば、所定の中空状の銅線を平坦状に巻回した誘導加熱部等を例示できる。
【0162】
相対位置変更手段は、第1誘導加熱部2に対する第1端面120の相対位置を変更することができる。具体的には、後述のように、ホイール100を第1誘導加熱部2に沿って移動させることや、ホイール100を該ホイール100におけるリム部102の円環軸を中心に回転させることができる。また、ホイール100ではなく、第1誘導加熱部2が移動するように構成しても良い。
【0163】
このように、相対位置を変更可能にすることで、第1誘導加熱部2により第1端面120の所定部が偏って加熱されることを抑制する。つまり、相対位置変更手段により、前記相対位置を変更することで、第1端面120側に配置される部位を均一に加熱する。
【0164】
第1誘導加熱部2は、誘導加熱の原理を利用することにより短時間でホイール100を120から160度(393.15Kから433.15K)に加熱することが可能である。また、第1誘導加熱部2を構成する材料や供給する電力に応じて所定の温度まで昇温させることができる。なお、加熱開始前のホイール100の温度は常温である。更に、熱容量が大きい部位に近接して配置された第1誘導加熱部2によって、上述の通り、ホイール100の熱容量が大きい部分を集中的に加熱することにより、全体を均一に加熱することができる。また、第1誘導加熱部2で加熱された部分からの熱伝導により、前記誘導加熱部で直接加熱されていない部分も昇温させることができるため、短時間で全体を均一に昇温させることができる。
【0165】
ここで、近接配置とは、第1誘導加熱部2で加熱対象である第1端面120を誘導加熱可能な位置に配置されていることをいう。好ましくは、所望の加熱条件に適した距離に調整して配置される。
【0166】
本発明のホイールの加熱装置における各構成の内容は、上述した塗装ホイールの製造装置における記載を援用することができる。
【0167】
[5]塗膜形成方法
本発明の塗膜形成方法は、略円環状のリム部102と、円環状のリム部102における一方の端面である第1端面120側に偏って配置されるハブ取付部101と、ハブ取付部101の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部がリム部102の第1端面120における第1円周部102a近傍に接続されるスポーク部103と、を有するホイール100の表面に塗膜を形成する塗膜形成方法である。具体的には、塗膜を形成するための塗料をホイール100の表面に塗布する塗布工程と、塗布工程により表面に塗料が塗布されたホイール100を第1端面120に対向するように近接配置される第1誘導加熱部2により加熱する共に、第1誘導加熱部2による加熱状態において該第1誘導加熱部2に対する第1端面120の相対位置を変更可能な相対位置変更手段により相対位置を変更する加熱工程と、を含む。
【0168】
つまり、塗膜形成方法は、ホイール100の表面に所定の塗膜を形成するための方法である。該塗膜形成方法は、塗布工程においてホイール100の表面に所定の塗料が塗布されたホイール100を第1誘導加熱部2により加熱する。該ホイール100が、第1誘導加熱部2により所定の温度に昇温されることで表面に塗布された塗装が乾燥し、所定の塗膜が形成される。これにより、ホイール100の表面に所定の塗膜が形成される。
【0169】
第1誘導加熱部2は、熱容量が大きな部位が集中して配置される第1端面120に近接して配置される。第1誘導加熱部2により第1端面120側を加熱することで、該熱容量の高い部位を重点的に加熱できると共に、該第1端面120に連結するリム部102等を熱伝導により加熱できるので、ホイール100全体を均一に加熱することができる。第1誘導加熱部2の形状は、特に限定されないが、全体として略平坦状になるよう電線や中空状の銅線等を配置して形成することができる。例えば、所定の中空状の銅線を平坦状に巻回した誘導加熱部等を例示できる。
【0170】
相対位置変更手段は、第1誘導加熱部2が加熱状態において、第1誘導加熱部2に対する第1端面120の相対位置を変更することができる。具体的には、後述のように、ホイール100を第1誘導加熱部2に沿って移動させることや、ホイール100を該ホイール100におけるリム部102の円環軸を中心に回転させることができる。また、ホイール100ではなく、第1誘導加熱部2が移動するように構成しても良い。
【0171】
このように、第1誘導加熱部2による加熱状態において前記相対位置を変更可能にすることで、第1誘導加熱部2により第1端面120の所定部が偏って加熱されることを抑制する。つまり、相対位置変更手段により加熱状態において前記相対位置を変更することで、第1端面120側に配置される部位を均一に加熱する。
【0172】
ここで、近接配置とは、第1誘導加熱部2で加熱対象である第1端面120を誘導加熱可能な位置に配置されていることをいう。好ましくは、所望の加熱条件に適した距離に調整して配置される。
【0173】
本塗膜形成方法によれば、ホイール100の表面に塗布された塗料を短時間で均一に乾燥させることができる。これにより、ホイール100の表面に塗膜を形成させる時間を短縮させることができるので、作業効率が向上すると共にコスト面でもメリットが生じる。
【0174】
本発明の塗膜形成方法は、加熱工程において、相対位置変更手段により、ホイール100がリム部102における円環軸と略直交する方向に移動される。これにより、例えば、略平平坦状に形成された第1誘導加熱部2に沿ってホイールを移動させることができる。例えば、固定された第1誘導加熱部2に沿うように、塗膜を形成するための塗料が表面に塗布された複数のホイール100を所定間隔で連続的に移動させることで、複数のホイール100の表面に塗膜を連続的に形成することができる。
【0175】
塗膜形成方法は、加熱工程において、相対位置変更手段により、ホイール100が第1端面120から第1誘導加熱部2までの距離を略同一に保った状態で所定方向に移動される。これにより、加熱状態を略同一に保つことができるので、ホイール100における第1端面120側を均一に加熱することができる。
【0176】
塗膜形成方法は、相対位置変更手段より、加熱工程において、ホイール100が円環軸を中心に回転される。これにより、ホイール100における第1端面120側を均一に加熱することができる。また、第1端面120の全体を覆うような大きさや形状でない第1誘導加熱部2により、ホイール100の第1端面120側を均一に加熱することができる。例えば、コンパクトな第1誘導加熱部2を用いること可能である。また、例えば、ホイール100を回転させながら所定方向に移動させる場合には、コンパクトな第1誘導加熱部2で複数のホイール100の表面に塗膜を連続的に形成することができる。
【0177】
塗布工程は、ホイール100の表面に第1熱硬化性塗料を塗布するプライマー塗布工程と、プライマー塗布工程で塗布された第1熱硬化性塗料の表面に第2熱硬化性塗料を塗布するベース塗布工程と、を少なくとも含む。そして、加熱工程は、プライマー塗布工程により表面に第1熱硬化性塗料が塗布されたホイール100を加熱する第1加熱工程及び/又は、ベース塗布工程により表面に第2熱硬化性塗料が塗布されたホイール100を加熱する第2加熱工程を含む。これにより、塗布工程により所定の目的に応じて塗布された熱硬化性塗料を加熱工程により硬化させ、所定の塗膜を形成することができる。また、加熱工程は、第1熱硬化性塗料及び第2熱硬化性塗料の組み合わせに応じて、第1加熱工程及び/又は第2加熱工程により、表面に熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する。つまり、加熱工程は、各塗布工程ごとに、塗布された塗料を乾燥するよう第1加熱工程及び第2加熱工程を含むことができ、また、第1加熱工程又は第2加熱工程の一方のみを含むことができる。例えば、プライマー塗布工程により塗布された第1熱硬化性塗料の表面に、該第1熱硬化性塗料を乾燥することなく第2熱硬化性塗料を塗布できる場合には、加熱工程に第2加熱工程のみを含むことができる。
【0178】
プライマー塗布工程及び/又はベース塗布工程は、それぞれ複数の塗布工程を有することができる。例えば、ベース塗布工程は、塗膜の強度を確保するための熱硬化性塗料等を塗布する第1ベース塗布工程と、塗膜の色等の外観面に寄与する熱硬化性塗料等を塗布する第2ベース塗布工程と、を含むことができる。
【0179】
この場合における塗布工程は、プライマー塗布工程+第1ベース塗布工程、プライマー塗布工程+第1ベース塗布工程+第2ベース塗布工程のような組み合わせにより所定の熱硬化性塗料を塗布することができる。
【0180】
また、この場合における第2加熱工程は、例えば、第1ベース塗布工程により表面に所定の熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第2A加熱工程と、第2ベース塗布工程により表面に所定の熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第2B加熱工程とを含むことができる。また、第2加熱工程は、上述のように熱硬化性塗料の組み合わせに応じて、第2A加熱工程又は第2B加熱工程の一方又は双方を含むことができる。
【0181】
これにより、所定の目的に応じた熱硬化性塗料を塗布すると共に、該塗布された熱硬化性塗料のそれぞれを、加熱工程により硬化させ、所定の塗膜を形成することができる。各塗布工程における熱硬化性塗料と、加熱工程における加熱条件は、例えば、図10のような条件を例示できる。
【0182】
図10により、例えば、有色仕様おける粉体塗料系の場合、
前処理工程(脱脂剤による脱脂→酸洗い→化成剤による処理)
→第1熱硬化性塗料であるアクリル系粉体塗料によるプライマー塗布工程
→焼付け工程(160℃×10分間)
→第2熱硬化性塗料であるアクリルメラミン塗料によるベース塗布工程
→焼付け工程(140℃×10分間)
→第3熱硬化性塗料であるアクリルメラミン塗料によるクリヤー塗布工程
→焼付け工程(140℃×10分間)
という条件及び手順を例示することができる。
【0183】
また、図10により、例えば、メッキ調仕様における粉体塗料系の場合、
前処理(脱脂剤による脱脂→酸洗い→化成剤による処理)
→第1熱硬化性塗料であるアクリル系粉体塗料によるプライマー塗布処理
→焼付け処理(160℃×10分間)
→第2A熱硬化性塗料であるアクリルメラミン塗料による第1ベース塗布処理
→焼付け処理(140℃×10分間)
→第2B熱硬化性塗料であるアクリルメラミン塗料(メタリック色系)である第2ベース塗布処理
→第3熱硬化性塗料であるアクリルメラミン塗料によるクリヤー塗布処理
→焼付け処理(140℃×10分間)
という条件及び手順を例示することができる。
【0184】
本発明の塗装ホイールの製造方法における各構成の内容は、上述した塗装ホイールの製造装置等における記載を援用することができる。
【0185】
<実施例>
次に、本発明を実施例および比較例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0186】
本発明の製造装置1を用いて下記条件により塗装ホイールを製造した。この製造装置1による加熱中におけるホイールの温度を、図9に示すAからFまでのポイントにおいて測定した。測定結果を図11から図13のグラフにおいて示す。
【0187】
<実施例1>
<条件>
「ホイール」
九州ホイール社製(材質:アルミニウム)
直径:ハブ中央部(図9のDの部分) φ170mm
第1円周部(外端部) φ475mm
第2円周部(内端部) φ475mm
高さ:205mm
質量:10kg
スポーク:7本
「第1誘導加熱部及び第2誘導加熱部」
電線等:中空状の銅線
直径 φ10mm(導水用の中空部:φ6mm)
配置
第1誘導加熱部2から第1端面120までの距離 15mm
第2誘導加熱部3から第2端面130までの距離 10mm
「移動」
回転移動: 1rpm
水平移動: 開口部10から図1に示す位置まで進入(その後は回転移動のみ)
「塗料」
アクリルメラミン系塗料(日本ペイント社製、商品名:「スーパーラック500」)
「塗装条件」
スプレー塗装、ウェット膜厚 50マイクロメータ
「各部」
電源・発信部・操作部(島田理化工業社製)
出力 200KW、10KHz
「温度測定」
サーモグラフィーTVS―600(日本アビオニクス社製)で各ポイントの温度を測定
【0188】
<実施例2>
実施例1とホイールのみ異なる条件で、塗装ホイールを製造した。本実施例におけるホイールを以下に示す。
「ホイール」
九州ホイール社製(材質:アルミニウム)
直径:ハブ中央部(図9のDの部分) φ170mm
第1円周部(外端部) φ359mm
第2円周部(内端部) φ359mm
高さ:127mm
質量:4.4kg
スポーク:5本
【0189】
<実施例3>
実施例1とホイールのみ異なる条件で、塗装ホイールを製造した。本実施例におけるホイールを以下に示す。
「ホイール」
九州ホイール社製(材質:アルミニウム)
直径:ハブ中央部(図9のDの部分) φ170mm
第1円周部(外端部) φ499mm
第2円周部(内端部) φ499mm
高さ:205mm
質量:11.1kg
スポーク:5本
【0190】
図11から図13には、それぞれ実施例1から実施例3における、A:上部リム(第1円周部)、B:スポーク、C:ハブ取付部の外周部、D:中心部(ハブ取付部の一部)、E:リム部の中間、F:第2円周部における温度を測定した結果を示す。各点AからFの位置は、実施例1については図9に示す通りであり、実施例2及び実施例3については図9における各点の位置に相当する位置である。
【0191】
<比較例>
実施例1と同一のホイールを下記条件で乾燥炉により熱風乾燥した。この加熱中におけるホイールの温度を測定し、測定結果を図14のグラフにおいて示す。なお、乾燥炉においてホイールは長時間かけて緩慢に加熱されるため、ホイールにおける複数の離間したポイントの温度はいずれも大きな差異はなく略同一であることから、図9におけるDのポイントのみの温度を測定した測定結果を図14に示す。
【0192】
<条件>
上記実施例と同様の条件におけるホイールを、熱風炉内の雰囲気温度を140度(413.15K)に保った状態にして加熱した。
【0193】
図11及び図14により、実施例1と比較例とを比較すると、実施例1における本発明の塗装ホイールの製造装置で加熱したホイールの方が、比較例における乾燥炉で熱風加熱したホイールに比べて、極めて短時間で昇温されていることがわかった。本発明の塗装ホイールの製造装置によれば、4分でホイールを125から140度(398.15Kから413.15K)という高温に加熱することができることがわかった。これに対し、比較例ではホイールを140度(413.15K)まで加熱するのに45分程度かかることがわかった。
【0194】
また、実施例1における本発明の塗装ホイールの製造装置1は、ホイールを全体的に均一に加熱できることがわかった。ホイールの位置による温度差も少なく、全体的に均一な温度分布を保った状態で加熱できることがわかった。
【0195】
また、図12及び図13より、実施例1と同様に、実施例2及び実施例3における本発明の塗装ホイールの製造装置1で加熱したホイールの方が、比較例における乾燥炉で熱風加熱したホイールに比べて極めて短時間で昇温されていることがわかった。
【0196】
また、実施例1と同様に、実施例2及び実施例3おける本発明の塗装ホイールの製造装置1は、ホイールを全体的に均一に加熱できることがわかった。ホイールの位置による温度差も少なく、全体的に均一な温度分布を保った状態で加熱できることがわかった。
【0197】
実施例1から実施例3の塗装ホイールと、比較例の塗装ホイールとにおける塗膜の品質を評価した。具体的には、塗膜が均一に形成されているか、表面にゴミ・チリが付着していないか、ピンホールが生じていないかを指標として評価した。この評価結果から、実施例1から実施例3の塗装ホイールにおける塗膜の品質は、比較例の塗装ホイールの塗膜の品質と同等以上であることがわかった。具体的には、塗膜の均一性やピンホールに関しては大きな差異はないが、ゴミ・チリの付着については加熱乾燥の時間が短いことや、系外からゴミ・チリが持ち込まれて塗膜に吹き付けられることがないため、実施例1から実施例3における塗装ホイールの塗膜の方が良い評価であった。
【0198】
上記より、本発明の塗装ホイールの製造装置1によれば、熱風炉による乾燥に比べて短時間でホイールを加熱することができ、また、全体を均一に加熱できることがわかった。また、優れた品質の塗膜が形成された塗装ホイールを製造きることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0199】
【図1】本発明の第1実施形態における塗装ホイールの製造装置を説明する斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態における塗装ホイールの製造装置を説明する側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態における塗装ホイールの製造装置を説明する平面図である。
【図4】本発明の第2実施形態における塗装ホイールの製造装置を説明する平面図である。
【図5】本発明の第3実施形態における塗装ホイールの製造装置を説明する平面図である。
【図6】本発明の第4実施形態における塗装ホイールの製造装置を説明する平面図である。
【図7】本発明の応用実施形態における塗装ホイールの製造装置を説明する斜視図である。
【図8】ホイールの平面斜視図である。
【図9】温度測定点を説明するホイールの平面斜視図である。
【図10】ホイールの塗装例を示す表である。
【図11】実施例1における温度の測定結果を示すグラフである。
【図12】実施例2における温度の測定結果を示すグラフである。
【図13】実施例3における温度の測定結果を示すグラフである。
【図14】比較例における温度の測定結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0200】
1 塗装ホイールの製造装置
2 第1誘導加熱部
3 第2誘導加熱部
100 ホイール
101 ハブ取付部
102 リム部
102a 第1円周部
102b 第2円周部
103 スポーク部
120 第1端面
130 第2端面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円環状のリム部と、前記円環状のリム部における一方の端面である第1端面側に偏って配置されるハブ取付部と、前記ハブ取付部の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部が前記リム部の第1端面における第1円周部近傍に接続されるスポーク部と、を有するホイールの表面に塗膜が形成された塗装ホイールの製造装置であって、
前記塗膜を形成するための塗料が表面に塗布された前記ホイールにおける前記第1端面に対向するように近接配置される第1誘導加熱部と、
前記第1誘導加熱部に対する前記第1端面の相対位置を変更可能な相対位置変更手段と、を備える塗装ホイールの製造装置。
【請求項2】
前記相対位置変更手段は、前記第1誘導加熱部が加熱状態である場合に、前記相対位置を変更可能である請求項1に記載の塗装ホイールの製造装置。
【請求項3】
前記第1誘導加熱部は、前記第1端面と略平行に配置される請求項1又は2に記載の塗装ホイールの製造装置。
【請求項4】
前記相対位置変更手段は、前記ホイールを前記リム部における円環軸と略直交する方向に移動可能である請求項1から3のいずれかに記載の塗装ホイールの製造装置。
【請求項5】
前記相対位置変更手段は、前記ホイールを前記第1端面から前記第1誘導加熱部までの距離を略同一に保った状態で所定方向に移動可能である請求項1から4のいずれかに記載の塗装ホイールの製造装置。
【請求項6】
前記相対位置変更手段は、前記ホイールを前記円環軸を中心に回転可能である請求項1から5のいずれかに記載の塗装ホイールの製造装置。
【請求項7】
前記第1誘導加熱部は、少なくとも前記ハブ取付部の一部と、前記スポーク部の一部と、前記リム部における第1円周部の一部と、を覆うように配置される請求項1から6のいずれかに記載の塗装ホイールの製造装置。
【請求項8】
前記リム部における前記第1端面と反対側の端面である第2端面に対向するように近接配置される第2誘導加熱部と、を更に備える請求項1から7のいずれかに記載の塗装ホイールの製造装置。
【請求項9】
略円環状のリム部と、前記円環状のリム部における一方の端面である第1端面側に偏って配置されるハブ取付部と、前記ハブ取付部の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部が前記リム部の第1端面における第1円周部近傍に接続されるスポーク部と、を有するホイールの表面に塗膜が形成された塗装ホイールの製造方法であって、
前記塗膜を形成するための塗料を前記ホイールの表面に塗布する塗布工程と、
前記塗布工程により表面に塗料が塗布されたホイールを前記第1端面に対向するように近接配置される第1誘導加熱部により加熱すると共に、
前記第1誘導加熱部による加熱状態において該第1誘導加熱部に対する前記第1端面の相対位置を変更可能な相対位置変更手段により前記相対位置を変更する加熱工程と、を含む塗装ホイールの製造方法。
【請求項10】
前記加熱工程において、前記ホイールは、前記相対位置変更手段により前記リム部における円環軸と略直交する方向に移動される請求項9に記載の塗装ホイールの製造方法。
【請求項11】
前記加熱工程において、前記ホイールは、前記相対位置変更手段により前記第1端面から前記第1誘導加熱部までの距離を略同一に保った状態で所定方向に移動される請求項9又は10に記載の塗装ホイールの製造方法。
【請求項12】
前記加熱工程において、前記ホイールは、前記相対位置変更手段により前記円環軸を中心に回転される請求項9から11のいずれかに記載の塗装ホイールの製造方法。
【請求項13】
前記塗布工程は、
前記ホイールの表面に第1熱硬化性塗料を塗布するプライマー塗布工程と、
前記プライマー塗布工程で塗布された前記第1熱硬化性塗料の表面に、第2熱硬化性塗料を塗布するベース塗布工程と、を少なくとも含み、
前記加熱工程は、
前記プライマー塗布工程により表面に第1熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第1加熱工程及び/又は、
前記ベース塗布工程により表面に第2熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第2加熱工程を含む請求項9から12のいずれかに記載の製造方法。
【請求項14】
前記塗布工程は、
前記ベース塗布工程で塗布された前記第2熱硬化性塗料の表面に、第3熱硬化性塗料を塗布するクリヤー塗布工程と、を更に含み、
前記加熱工程は、前記クリヤー塗布工程により表面に第3熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第3加熱工程を含む請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
略円環状のリム部と、前記円環状のリム部における一方の端面である第1端面側に偏って配置されるハブ取付部と、前記ハブ取付部の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部が前記リム部の第1端面における第1円周部近傍に接続されるスポーク部と、を有するホイールの加熱装置であって、
前記ホイールにおける前記第1端面に対向するように近接配置される第1誘導加熱部と、
前記第1誘導加熱部に対する前記第1端面の相対位置を変更可能な相対位置変更手段と、を備えるホイールの加熱装置。
【請求項16】
略円環状のリム部と、前記円環状のリム部における一方の端面である第1端面側に偏って配置されるハブ取付部と、前記ハブ取付部の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部が前記リム部の第1端面における第1円周部近傍に接続されるスポーク部と、を有するホイールの加熱方法であって、
前記ホイールにおける前記第1端面に対向するように近接配置される第1誘導加熱部により加熱すると共に、
該加熱状態において前記第1誘導加熱部に対する前記第1端面の相対位置を変更可能な相対位置変更手段により前記相対位置を変更する工程を含むホイールの加熱方法。
【請求項17】
略円環状のリム部と、前記円環状のリム部における一方の端面である第1端面側に偏って配置されるハブ取付部と、前記ハブ取付部の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部が前記リム部の第1端面における第1円周部近傍に接続されるスポーク部と、を有するホイールの表面に塗膜を形成する塗膜形成方法であって、
前記塗膜を形成するための塗料を前記ホイールの表面に塗布する塗布工程と、
前記塗布工程により表面に塗料が塗布されたホイールを前記第1端面に対向するように近接配置される第1誘導加熱部により加熱する共に、
前記第1誘導加熱部による加熱状態において該第1誘導加熱部に対する前記第1端面の相対位置を変更可能な相対位置変更手段により前記相対位置を変更する加熱工程と、を含む塗膜形成方法。
【請求項18】
前記塗布工程は、
前記ホイールの表面に第1熱硬化性塗料を塗布するプライマー塗布工程と、
前記プライマー塗布工程で塗布された前記第1熱硬化性塗料の表面に、第2熱硬化性塗料を塗布するベース塗布工程と、を少なくとも含み、
前記加熱工程は、
前記プライマー塗布工程により表面に第1熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第1加熱工程及び/又は、
前記ベース塗布工程により表面に第2熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第2加熱工程を含む請求項17に記載の塗膜形成方法。
【請求項19】
前記塗布工程は、
前記ベース塗布工程で塗布された前記第2熱硬化性塗料の表面に、第3熱硬化性塗料を塗布するクリヤー塗布工程と、を更に含み、
前記加熱工程は、前記クリヤー塗布工程により表面に第3熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第3加熱工程を含む請求項18に記載の塗膜形成方法。
【請求項1】
略円環状のリム部と、前記円環状のリム部における一方の端面である第1端面側に偏って配置されるハブ取付部と、前記ハブ取付部の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部が前記リム部の第1端面における第1円周部近傍に接続されるスポーク部と、を有するホイールの表面に塗膜が形成された塗装ホイールの製造装置であって、
前記塗膜を形成するための塗料が表面に塗布された前記ホイールにおける前記第1端面に対向するように近接配置される第1誘導加熱部と、
前記第1誘導加熱部に対する前記第1端面の相対位置を変更可能な相対位置変更手段と、を備える塗装ホイールの製造装置。
【請求項2】
前記相対位置変更手段は、前記第1誘導加熱部が加熱状態である場合に、前記相対位置を変更可能である請求項1に記載の塗装ホイールの製造装置。
【請求項3】
前記第1誘導加熱部は、前記第1端面と略平行に配置される請求項1又は2に記載の塗装ホイールの製造装置。
【請求項4】
前記相対位置変更手段は、前記ホイールを前記リム部における円環軸と略直交する方向に移動可能である請求項1から3のいずれかに記載の塗装ホイールの製造装置。
【請求項5】
前記相対位置変更手段は、前記ホイールを前記第1端面から前記第1誘導加熱部までの距離を略同一に保った状態で所定方向に移動可能である請求項1から4のいずれかに記載の塗装ホイールの製造装置。
【請求項6】
前記相対位置変更手段は、前記ホイールを前記円環軸を中心に回転可能である請求項1から5のいずれかに記載の塗装ホイールの製造装置。
【請求項7】
前記第1誘導加熱部は、少なくとも前記ハブ取付部の一部と、前記スポーク部の一部と、前記リム部における第1円周部の一部と、を覆うように配置される請求項1から6のいずれかに記載の塗装ホイールの製造装置。
【請求項8】
前記リム部における前記第1端面と反対側の端面である第2端面に対向するように近接配置される第2誘導加熱部と、を更に備える請求項1から7のいずれかに記載の塗装ホイールの製造装置。
【請求項9】
略円環状のリム部と、前記円環状のリム部における一方の端面である第1端面側に偏って配置されるハブ取付部と、前記ハブ取付部の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部が前記リム部の第1端面における第1円周部近傍に接続されるスポーク部と、を有するホイールの表面に塗膜が形成された塗装ホイールの製造方法であって、
前記塗膜を形成するための塗料を前記ホイールの表面に塗布する塗布工程と、
前記塗布工程により表面に塗料が塗布されたホイールを前記第1端面に対向するように近接配置される第1誘導加熱部により加熱すると共に、
前記第1誘導加熱部による加熱状態において該第1誘導加熱部に対する前記第1端面の相対位置を変更可能な相対位置変更手段により前記相対位置を変更する加熱工程と、を含む塗装ホイールの製造方法。
【請求項10】
前記加熱工程において、前記ホイールは、前記相対位置変更手段により前記リム部における円環軸と略直交する方向に移動される請求項9に記載の塗装ホイールの製造方法。
【請求項11】
前記加熱工程において、前記ホイールは、前記相対位置変更手段により前記第1端面から前記第1誘導加熱部までの距離を略同一に保った状態で所定方向に移動される請求項9又は10に記載の塗装ホイールの製造方法。
【請求項12】
前記加熱工程において、前記ホイールは、前記相対位置変更手段により前記円環軸を中心に回転される請求項9から11のいずれかに記載の塗装ホイールの製造方法。
【請求項13】
前記塗布工程は、
前記ホイールの表面に第1熱硬化性塗料を塗布するプライマー塗布工程と、
前記プライマー塗布工程で塗布された前記第1熱硬化性塗料の表面に、第2熱硬化性塗料を塗布するベース塗布工程と、を少なくとも含み、
前記加熱工程は、
前記プライマー塗布工程により表面に第1熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第1加熱工程及び/又は、
前記ベース塗布工程により表面に第2熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第2加熱工程を含む請求項9から12のいずれかに記載の製造方法。
【請求項14】
前記塗布工程は、
前記ベース塗布工程で塗布された前記第2熱硬化性塗料の表面に、第3熱硬化性塗料を塗布するクリヤー塗布工程と、を更に含み、
前記加熱工程は、前記クリヤー塗布工程により表面に第3熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第3加熱工程を含む請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
略円環状のリム部と、前記円環状のリム部における一方の端面である第1端面側に偏って配置されるハブ取付部と、前記ハブ取付部の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部が前記リム部の第1端面における第1円周部近傍に接続されるスポーク部と、を有するホイールの加熱装置であって、
前記ホイールにおける前記第1端面に対向するように近接配置される第1誘導加熱部と、
前記第1誘導加熱部に対する前記第1端面の相対位置を変更可能な相対位置変更手段と、を備えるホイールの加熱装置。
【請求項16】
略円環状のリム部と、前記円環状のリム部における一方の端面である第1端面側に偏って配置されるハブ取付部と、前記ハブ取付部の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部が前記リム部の第1端面における第1円周部近傍に接続されるスポーク部と、を有するホイールの加熱方法であって、
前記ホイールにおける前記第1端面に対向するように近接配置される第1誘導加熱部により加熱すると共に、
該加熱状態において前記第1誘導加熱部に対する前記第1端面の相対位置を変更可能な相対位置変更手段により前記相対位置を変更する工程を含むホイールの加熱方法。
【請求項17】
略円環状のリム部と、前記円環状のリム部における一方の端面である第1端面側に偏って配置されるハブ取付部と、前記ハブ取付部の外周から放射状に延びるように形成されると共に端部が前記リム部の第1端面における第1円周部近傍に接続されるスポーク部と、を有するホイールの表面に塗膜を形成する塗膜形成方法であって、
前記塗膜を形成するための塗料を前記ホイールの表面に塗布する塗布工程と、
前記塗布工程により表面に塗料が塗布されたホイールを前記第1端面に対向するように近接配置される第1誘導加熱部により加熱する共に、
前記第1誘導加熱部による加熱状態において該第1誘導加熱部に対する前記第1端面の相対位置を変更可能な相対位置変更手段により前記相対位置を変更する加熱工程と、を含む塗膜形成方法。
【請求項18】
前記塗布工程は、
前記ホイールの表面に第1熱硬化性塗料を塗布するプライマー塗布工程と、
前記プライマー塗布工程で塗布された前記第1熱硬化性塗料の表面に、第2熱硬化性塗料を塗布するベース塗布工程と、を少なくとも含み、
前記加熱工程は、
前記プライマー塗布工程により表面に第1熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第1加熱工程及び/又は、
前記ベース塗布工程により表面に第2熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第2加熱工程を含む請求項17に記載の塗膜形成方法。
【請求項19】
前記塗布工程は、
前記ベース塗布工程で塗布された前記第2熱硬化性塗料の表面に、第3熱硬化性塗料を塗布するクリヤー塗布工程と、を更に含み、
前記加熱工程は、前記クリヤー塗布工程により表面に第3熱硬化性塗料が塗布されたホイールを加熱する第3加熱工程を含む請求項18に記載の塗膜形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−203166(P2007−203166A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−23510(P2006−23510)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000230054)日本ペイント株式会社 (626)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000230054)日本ペイント株式会社 (626)
【Fターム(参考)】
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