説明

塩668

二臭化水素酸塩または二塩酸塩はでないN−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミドの薬学的に許容される塩;およびかかる化合物の(例えば呼吸器疾患(例えば喘息またはCOPD)の処置における)医薬品としての使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はN−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミドの新しい塩形態、かかる新しい塩形態を含む組成物、かかる塩形態を製造するための方法、および疾患状態(例えば呼吸器疾患状態、例えば喘息またはCOPD)の処置におけるかかる塩形態の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド遊離塩基並びにその二臭化水素酸塩および二塩酸塩はβ2アドレナリン受容体アゴニストであり、そしてPCT/SE2006/000927(第WO2007/018461号として公開、実施例7、15および16参照)にて開示される。これらの化合物はアドレナリン作動性α1D、アドレナリン作動性β1およびドーパミンD2を制するβ2アドレナリン受容体に関して少なくとも10倍の感受性を示す。
【発明の概要】
【0003】
本発明はN−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミドの薬学的に許容される塩を提供するが、ただしそれは二臭化水素酸塩または二塩酸塩ではない。
【0004】
薬学的に許容される塩には、例えばトリフルオロ酢酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、ピルビン酸塩、コハク酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、重硫酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、マロン酸塩、キシナホ酸塩、アスコルビン酸塩、オレイン酸塩、ニコチン酸塩、サッカリナート、アジピン酸塩、ギ酸塩、グリコール酸塩、L−乳酸塩、D−乳酸塩、アスパラギン酸塩、リンゴ酸塩、L−酒石酸塩、D−酒石酸塩、ステアリン酸塩、2−フロ酸塩、3−フロ酸塩、ナパジシル酸塩(ナフタレン−1,5−二スルホン酸塩またはナフタレン−1−(スルホン酸)−5−スルホン酸塩)、エジシル酸塩(エタン−1,2−二スルホン酸塩またはエタン−1−(スルホン酸)−2−スルホン酸塩)、イセチオン酸塩(2−ヒドロキシエチルスルホン酸塩)、2−メシチレンスルホン酸塩または2−ナフタレンスルホン酸塩が含まれる。適当な塩はまたD−マンデル酸塩またはL−マンデル酸塩でもよい。
【0005】
本発明の塩は溶媒和物(例えば水和物)として存在でき、そして本発明は全てのかかる溶媒和物を包含する。
【0006】
1つの特定の態様では、本発明はクエン酸塩、二トシル酸塩、リン酸塩、二キシナホ酸塩、硫酸塩、一安息香酸塩、フマル酸塩またはベシル酸塩であるN−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミドの薬学的に許容される塩を提供する。
【0007】
さらなる態様では、本発明はN−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミドの一クエン酸塩を提供する。
【0008】
なおさらなる態様では、本発明は4.4(±0.1°)、7.2(±0.1°)、13.7(±0.1°)、17.4(±0.1°)、18.7(±0.1°)および21.4(±0.1°)2θに特異的なピークを含有する粉末X線回折(XRPD)パターンを有する、N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミドのクエン酸塩を提供する。
【0009】
適当な脂肪族アルコール(例えばメタノール)中N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミドの溶液にクエン酸を添加し、全ての物質を可溶化し(必要により高温で)、溶液を冷ますことによりクエン酸塩を製造することができ、その結果クエン酸塩が溶液から沈殿し、そしてそれを収集することができる。
【0010】
別の態様では、本発明はN−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミドの二キシナホ酸塩を提供する。
【0011】
なお別の態様では、本発明は4.8(±0.1°)、7.7(±0.1°)、9.1(±0.1°)、12.2(±0.1°)、16.1(±0.1°)および21.3(±0.1°)2θに特異的なピークを含有する粉末X線回折パターンを有する二水和物として、N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミドの二キシナホ酸塩を提供する。
【0012】
さらなる態様では、本発明は8.5(±0.1°)、9.4(±0.1°)、11.6(±0.1°)、11.9(±0.1°)、16.6(±0.1°)、17.7(±0.1°)および22.4(±0.1°)2θに特異的なピークを含有する粉末X線回折パターンを有する二半水和物として、N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミドの二キシナホ酸塩を提供する。
【0013】
適当な脂肪族アルコール(例えばメタノール)中N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミドの溶液に1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を添加し、高温で混合(例えば還流)し、そして冷ますことによりキシナホ酸塩を製造することができ、その結果キシナホ酸塩を収集することができる。
【0014】
別の態様では、本発明はN−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミドのリン酸塩を提供する。
【0015】
なお別の態様では、本発明は5.5(±0.1°)、8.4(±0.1°)、9.04(±0.1°)、11.8(±0.1°)、16.3(±0.1°)および20.6(±0.1°)2θに特異的なピークを含有する粉末X線回折パターンを有する二水和物として、N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミドのリン酸塩を提供する。
【0016】
適当な脂肪族アルコール(例えばメタノール)中N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミドの溶液にリン酸を添加し、高温で混合(例えば還流)し、そして冷ますことによりリン酸塩を製造することができ、その結果リン酸塩を収集することができる。
【0017】
別の態様では、本発明はN−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミドの一安息香酸塩を提供する。
【0018】
なお別の態様では、本発明は5.6(±0.1°)、8.3(±0.1°)、9.5(±0.1°)、14.8(±0.1°)、20.1(±0.1°)および22.5(±0.1°)2θに特異的なピークを含有する粉末X線回折パターンを有するN−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミドの一安息香酸塩の結晶形態を提供する。
【0019】
適当な脂肪族アルコール(例えばメタノール)中N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミドの溶液に安息香酸を添加し、混合し(例えば室温(例えば10−30℃)で)、そして次に安息香酸塩を収集することにより安息香酸塩を製造することができる。
【0020】
前記で提示された方法;以下の「製造」または「実施例」で提示された方法;または文献にて記載される方法を用いるかまたは適合させることにより本発明の塩を製造することができる。
【0021】
本発明の塩を以下の処置に用いることができる:
1. 呼吸器:気管支、アレルギー性、内因性、外因性、運動誘発性、薬物誘発性(アスピリンおよびNSAID誘発性を含む)および塵埃誘発性喘息を含む、間欠性および持続性の双方ならびに全ての重篤度および気道応答性亢進のその他の原因の喘息;慢性閉塞性肺疾患(COPD);感染性および好酸球性気管支炎を含む気管支炎;肺気腫;気管支拡張症;嚢胞性線維症;サルコイドーシス;農夫肺および関連疾患;過敏性肺炎;特発性線維化肺胞炎、特発性間質性肺炎、線維症合併症抗腫瘍治療を含む肺線維症ならびに結核およびアスペルギルス症およびその他の真菌感染を含む慢性感染;肺移植の合併症;肺脈管系の脈管炎性および塞栓性障害、ならびに肺高血圧症;気道の炎症性および分泌性症状に関連する慢性の咳ならびに医原性の咳の処置を含む鎮咳作用;薬剤性鼻炎および血管運動性鼻炎を含む急性および慢性鼻炎;神経性鼻炎(枯草熱)を含む通年性および季節性アレルギー性鼻炎;鼻ポリープ症;感冒を含む急性ウイルス感染およびRSウイルス、インフルエンザ、コロナウイルス(SARSを含む)またはアデノウイルスによる感染;または好酸球性食道炎を含む気道の閉塞性疾患;
【0022】
2. 骨および関節:骨関節炎/変形性関節症に関連するかまたはそれらを含む、原発性および、例えば先天的股関節異形成症に、続発性の双方の関節炎症;頸部および腰部脊椎炎、ならびに腰痛および頸部痛;骨関節炎;関節リウマチおよびスチル病;強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、反応性関節炎および未分化型脊椎関節炎を含む血清反応陰性脊椎関節炎;化膿性関節炎およびその他の感染関連関節症ならびにポット病およびポンセ症候群を含む結核のような骨障害;尿酸塩痛風、ピロリン酸カルシウム沈着症およびカルシウムアパタイト関連腱、滑液嚢および滑膜炎症を含む急性および慢性結晶誘発性滑膜炎;ベーチェット病;原発性および続発性シェーグレン症候群;全身性硬化症および限局型全身性強皮症;全身性エリテマトーデス、混合性結合組織病および未分化型結合組織病;皮膚筋炎および多発性筋炎を含む炎症性ミオパチー;リウマチ性多発筋痛症;いかなる関節分布のものでも特発性炎症性関節炎症および関連する症候群を含む若年性関節炎、ならびにリウマチ熱およびその全身性合併症;巨細胞性動脈炎、高安動脈炎、チャーグ・ストラウス症候群、結節性多発動脈炎、顕微鏡的多発性動脈炎およびウイルス感染に関連する脈管炎を含む脈管炎、過敏症反応、クリオグロブリンおよびパラプロテイン;腰背部痛;家族性地中海熱、マックル・ウェルズ症候群、および家族性ハイバーニアン熱、菊池病;薬物誘発性関節痛、腱炎(tendonititides)およびミオパチー;
【0023】
3. 傷害[例えばスポーツ傷害]または疾患による筋骨格障害の疼痛および結合組織リモデリング:関節炎症(例えば関節リウマチ、骨関節炎、痛風または結晶性関節炎)、その他の関節疾患(例えば椎間板変性または顎関節変性)、骨リモデリング疾患(例えば骨粗鬆症、パジェット病または骨壊死)、多発性軟骨炎、強皮症、混合性結合組織障害、脊椎関節症または歯周病(例えば歯周炎);
【0024】
4. 皮膚:乾癬、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎またはその他の湿疹性皮膚疾患、および遅延型過敏症反応;植物皮膚炎および光線皮膚炎;脂漏性皮膚炎、ヘルペス状皮膚炎、扁平苔癬、硬化性萎縮性苔癬、壊疽性膿皮症、皮膚サルコイド、円板状エリテマトーデス、天疱瘡、類天疱瘡、表皮水疱症、蕁麻疹、血管浮腫、脈管炎、中毒性紅斑、皮膚好酸球増加症、円形脱毛症、男性型脱毛症、スウィート症候群、ウェーバー・クリスチャン症候群、多形性紅斑;感染性および非感染性の双方の蜂巣炎;皮下脂肪組織炎;皮膚リンパ腫、非メラノーマ皮膚癌およびその他の形成異常病変;固定薬疹を含む薬物誘発性障害;
【0025】
5. 眼:眼瞼炎;通年性および春季アレルギー性結膜炎を含む結膜炎;虹彩炎;前部および後部ブドウ膜炎;脈絡膜炎;自己免疫;網膜に影響を及ぼす変性または炎症性障害;交感性眼炎を含む眼炎;サルコイドーシス;ウイルス、真菌および細菌を含む感染;
【0026】
6. 消化管:舌炎、歯肉炎、歯周炎;逆流性を含む食道炎;好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、クローン病、潰瘍性大腸炎を含む大腸炎、直腸炎、肛門掻痒症;セリアック病、過敏性腸症候群、および腸から離れて影響を有し得る食物アレルギー(例えば片頭痛、鼻炎または湿疹);
【0027】
7. 腹部:自己免疫、アルコール性およびウイルス性を含む肝炎;肝臓の線維症および硬変;胆嚢炎;急性および慢性双方の膵臓炎;
【0028】
8. 泌尿生殖器:間質性および糸球体性腎炎を含む腎炎;ネフローゼ症候群;急性および慢性(間質性)膀胱炎を含む膀胱炎ならびにハンナー潰瘍;急性および慢性尿道炎、前立腺炎、精巣上体炎、卵巣炎および卵管炎;外陰部膣炎;ペイロニー病;勃起障害(男性および女性の双方);
【0029】
9. 同種移植片拒絶:例えば腎臓、心臓、肝臓、肺、骨髄、皮膚もしくは角膜の移植後、または輸血後の急性および慢性;または慢性移植片対宿主病;
【0030】
10. CNS:アルツハイマー病およびCJDおよびnvCJDを含むその他の認知症性障害;アミロイドーシス;多発性硬化症およびその他の脱髄性症候群;脳アテローム性動脈硬化症および脈管炎;側頭動脈炎;重症筋無力症;内臓痛、頭痛、片頭痛、三叉神経痛、非定型顔面痛、関節および骨痛、癌および腫瘍浸潤から生じる疼痛、糖尿病性、ヘルペス後、およびHIV関連ニューロパチーを含む神経因性疼痛症候群を含む急性および慢性疼痛(中枢起源でも末梢起源でも、急性、間欠性または持続性);神経サルコイドーシス;悪性、感染性または自己免疫性過程の中枢および末梢神経系合併症;
【0031】
11. その他の自己免疫性およびアレルギー性障害:橋本甲状腺炎、グレーブス病、アジソン病、真性糖尿病、特発性血小板減少性紫斑病、好酸球性筋膜炎、高IgE症候群、抗リン脂質症候群を含む;
【0032】
12. 炎症性または免疫学的構成要素を伴うその他の障害:後天性免疫不全症候群(AIDS)、ハンセン病、セザリー症候群、および腫瘍随伴症候群を含む;
【0033】
13. 心血管系:冠動脈および末梢循環を侵すアテローム性動脈硬化症;心膜炎;心筋炎、心筋サルコイドを含む炎症性または自己免疫性心筋症;虚血再灌流傷害;感染(例えば梅毒性)を含む心内膜炎、弁膜炎、および大動脈炎;脈管炎;深部静脈血栓症および静脈瘤の合併症を含む、静脈炎および血栓症を含む近位および末梢静脈の障害;
【0034】
14. 腫瘍学:前立腺、乳房、肺、卵巣、膵臓、腸および結腸、胃、皮膚および脳腫瘍を含む一般的な癌、および骨髄(白血病を含む)および、ホジキンおよび非ホジキンリンパ腫のようなリンパ球増殖系を侵す悪性腫瘍の処置;転移性疾患および腫瘍再発、および腫瘍随伴症候群の防御および処置を含む;ならびに
【0035】
15. 消化管:セリアック病、直腸炎、好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、クローン病、潰瘍性大腸炎、顕微鏡的大腸炎、不確定性(indeterminant)大腸炎、過敏性腸障害、過敏性腸症候群、非炎症性下痢、腸から離れて影響を有する食物アレルギー、例えば片頭痛、鼻炎および湿疹。
【0036】
故に本発明は治療において使用するための本明細書前記で定義された塩を提供する。
さらなる態様では、本発明は治療(例えば呼吸器疾患状態)において使用するための医薬品の製造における本明細書前記で定義された塩の使用を提供する。
なおさらなる態様では、本発明は呼吸器疾患状態の処置のための本明細書前記で記載された塩を提供する。
本明細書の局面では「治療」なる用語は、それに対して特記しなければ、「予防」をも含む。「治療の」および「治療的に」なる用語はそれに応じて解釈されるべきである。
【0037】
予防は、問題の疾患または症状の以前のエピソードに罹患しているか、または他の点でその危険性が増大していると考えられるヒトの処置に特に関係すると予測される。特定の疾患または症状を発症する危険性のあるヒトには、一般的に疾患もしくは症状の家族歴を有する者、または本疾患もしくは症状を特に発症しやすいことが遺伝学的試験またはスクリーニングにより同定されている者が含まれる。
【0038】
本発明はなおさらに、本明細書前記で定義された塩の治療上有効な量を、それを必要とする患者に投与することを含む、炎症性疾患もしくは症状(可逆性閉塞性気道疾患または症状を含む)を処置するか、またはその危険性を低減させる方法を提供する。
とりわけ本発明の塩を成人呼吸促迫症候群(ARDS)、肺気腫、気管支炎、気管支拡張症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息および鼻炎の処置に使用できる。
【0039】
前記で記載された治療用途のために、投与される投薬量はもちろん用いられる化合物、投与の様式、望まれる処置および指示された障害で異なる。例えば本発明の化合物の1日投薬量は、吸入の場合、体重キログラムあたり0.05マイクログラム(μg/kg)から体重キログラムあたり100マイクログラム(μg/kg)の範囲でよい。これに代えて化合物が経口で投与される場合、次いで本発明の化合物の1日投薬量は体重キログラムあたり0.01マイクログラム(μg/kg)から体重キログラムあたり100ミリグラム(mg/kg)の範囲でよい。
【0040】
本発明の塩をそのままで用いることができるが、一般的には本発明の塩(活性成分)は薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体と共に医薬組成物の形態で投与される。適当な医薬製剤の選択および製造のための従来の手順は例えば“Pharmaceuticals - The Science of Dosage Form Designs”, M. E. Aulton,Churchill Livingstone(1988)に記載される。
【0041】
投与の様式によって、医薬組成物は例えば0.05から80重量%(重量パーセント)、例えば0.10から70重量%のような、および0.10から50重量%のような、0.05から99重量%の活性成分を含み、全ての重量パーセンテージは全組成物に基づく。
本発明はまた薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体に随伴される、本明細書前記で定義された塩を含む医薬組成物を提供する。
本発明はさらに本明細書前記で定義された塩を薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体と混合することを含む本発明の医薬組成物の製造のための方法を提供する。
【0042】
本発明の医薬組成物を、例えばクリーム、溶液、懸濁液、ヘプタフルオロアルカン(HFA)エアロゾルもしくは乾燥粉末製剤、例えばTurbuhaler(登録商標)として公知の吸入装置中の製剤の形態で局所的に(例えば皮膚または肺および/もしくは気道に);または錠剤、カプセル、シロップ、粉末もしくは顆粒の形態で経口投与により;または溶液もしくは懸濁液の形態で非経腸投与により;または皮下投与により;または坐剤の形態で直腸投与により;または経皮的に全身に投与することができる。
【0043】
本発明の塩の乾燥粉末製剤または加圧型HFAエアロゾルを口腔または鼻腔内吸入により投与できる。吸入用に塩は微粉化されるのが望ましい。微粉化された化合物は例えば10μm未満の質量中央径を有し、そしてC−C20脂肪酸もしくはその塩(例えばオレイン酸)、胆汁酸、リン脂質、アルキル糖、全フッ素置換もしくはポリエトキシ化界面活性剤、またはその他の薬学的に許容される分散剤のような分散剤の助けを借りて噴霧剤混合物中に懸濁され得る。
本発明の塩を、乾燥粉末吸入器を用いて投与することもできる。吸入器は単回または多回投与用吸入器でよく、そして呼吸作動型乾燥粉末吸入器でよい。
【0044】
1つの可能性は、本発明の微粉化された化合物を担体物質、例えば単、二もしくは多糖類、糖アルコール、または別のポリオールと混合することである。適当な担体は例えば糖、例えばラクトース、グルコース、ラフィノース、メレジトース、ラクチトール、マルチトール、トレハロース、スクロース、マンニトール;またはデンプンである。これに代えて微粉化された化合物を別の物質によりコーティングできる。粉末混合物を硬質ゼラチンカプセルに分注することもでき、各々は望ましい用量の活性化合物を含有する。
【0045】
別の可能性は、微粉化された粉末を吸入手順の間に崩壊する球形に加工処理することである。この球形粉末を例えばTurbuhaler(登録商標)として公知の多回投与用吸入器の薬物貯蔵容器に充填でき、ここで投与ユニットは望ましい用量を測定し、それは次いで患者により吸入される。この系を用いて担体物質を伴うかまたは伴わない活性成分を患者に送達する。
【0046】
経口投与用に、本発明の化合物をアジュバントまたは担体、例えばラクトース、ショ糖、ソルビトール、マンニトール;デンプン、例えばジャガイモデンプン、トウモロコシデンプンもしくはアミロペクチン;セルロース誘導体;結合剤、例えばゼラチンもしくはポリビニルピロリドン;および/または滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレングリコール、ワックス、パラフィン等と混合し、そして次に錠剤に圧縮できる。コーティングされた錠剤が必要な場合、前記されたように製造されたコアを、例えばアラビアゴム、ゼラチン、タルクおよび二酸化チタンを含有し得る濃縮糖溶液でコーティングできる。これに代えて、錠剤を容易に揮発する有機溶媒に溶解した適当な重合体でコーティングできる。
【0047】
軟ゼラチンカプセルの製造のために、本発明の化合物を、例えば植物油またはポリエチレングリコールと混合できる。硬質ゼラチンカプセルは前記された錠剤用の賦形剤のいずれかを用いた化合物の顆粒を含有できる。本発明の化合物の液体または半固体製剤を硬質ゼラチンカプセルに充填することもできる。
経口適用のための液体製剤はシロップまたは懸濁液、例えば本発明の塩を含有する溶液の形態でよく、バランスは糖ならびにエタノール、水、グリセロールおよびプロピレングリコールの混合物である。所望により、かかる液体製剤は着色剤、着香剤、増粘剤としてサッカリンおよび/もしくはカルボキシメチルセルロースまたは当業者に公知の別の賦形剤を含有できる。
【0048】
本発明の塩を1種以上の前記の症状の処置のために用いられる別の化合物と組み合わせて投与することもできる。
それ故に本発明はさらに本発明の塩または本発明の塩を含む医薬組成物もしくは製剤を同時に、または逐次的に、または別の治療薬もしくは複数の治療薬と組み合わされた製剤として、1種以上の列挙された症状の処置のために投与する組み合わせ治療に関する。
【0049】
(限定するものではないが)関節リウマチ、骨関節炎、喘息、アレルギー性鼻炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、乾癬および炎症性腸疾患のような炎症性疾患の処置のために、本発明の塩を以下の薬剤の1つと組み合わせることができる:局所適用でも全身適用でも、非選択的シクロオキシゲナーゼCOX−1/COX−2阻害剤を含む非ステロイド抗炎症剤(本明細書で以後NSAID)(例えばピロキシカム、ジクロフェナク、ナプロキセン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェンおよびイブプロフェンのようなプロピオン酸系、メフェナム酸のようなフェナム酸系、インドメタシン、スリンダク、アザプロパゾン、フェニルブタゾンのようなピラゾロン系、アスピリンのようなサリチル酸系);選択的COX−2阻害剤(例えばメロキシカム、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、ルマロコキシブ(lumarocoxib)、パレコキシブおよびエトリコキシブ);シクロオキシゲナーゼ阻害一酸化窒素供与体(CINOD);糖質コルチコイド(局所、経口、筋肉内、静脈内または動脈内経路のいずれで投与されても);メソトレキセート;レフルノミド;ヒドロキシクロロキン;d−ペニシラミン;オーラノフィンまたはその他の非経口もしくは経口金製剤;鎮痛薬;ジアセレイン;ヒアルロン酸誘導体のような関節内治療;ならびにグルコサミンのような栄養補給剤。
【0050】
本発明はなおさらにアルファ−、ベータ−およびガンマ−インターフェロン;インスリン様成長因子I型(IGF−1);インターロイキン(IL)1から17を含むILおよびインターロイキンアンタゴニストまたはアナキンラのような阻害剤;抗TNFモノクローナル抗体のような腫瘍壊死因子アルファ(TNF−α)阻害剤(例えばインフリキシマブ;アダリムマブおよびCDP−870)ならびに免疫グロブリン分子(例えばエタネルセプト)およびペントキシフィリンのような低分子量薬剤を含むTNF受容体アンタゴニストを含む、サイトカインまたはサイトカイン機能のアゴニストもしくはアンタゴニスト(SOCS系のモジュレーターのようなサイトカインシグナリング経路に作用する薬剤を含む)と本発明の塩との組み合わせに関する。
【0051】
加えて本発明はBリンパ球(例えばCD20(リツキシマブ)、MRA−aILl6RおよびTリンパ球、CTLA4−Ig、HuMax Il−15)をターゲティングするモノクローナル抗体と本発明の塩との組み合わせに関する。
本発明はなおさらにCCR1、CCR2、CCR2A、CCR2B、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10およびCCR11(C−Cファミリーに関して);CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4およびCXCR5(C−X−Cファミリーに関して)ならびにC−X−Cファミリーに関してCXCR1のアンタゴニストのようなケモカイン受容体機能のモジュレーターと本発明の塩との組み合わせに関する。
【0052】
本発明はさらにドキシサイクリンのような薬剤を含む、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)、すなわちストロメライシン、コラゲナーゼおよびゼラチナーゼ、ならびにアグリカナーゼ;特にコラゲナーゼ−1(MMP−1)、コラゲナーゼ−2(MMP−8)、コラゲナーゼ−3(MMP−13)、ストロメライシン−1(MMP−3)、ストロメライシン−2(MMP−10)およびストロメライシン−3(MMP−11)およびMMP−9およびMMP−12の阻害剤と本発明の塩との組み合わせに関する。
【0053】
本発明はなおさらに本発明の塩、およびジロートン;ABT−761;フェンレウトン;テポキサリン;Abbott−79175;Abbott−85761;N−(5−置換)−チオフェン−2−アルキルスルホンアミド;2,6−ジ−tert−ブチルフェノールヒドラゾン;Zeneca ZD−2138のようなメトキシテトラヒドロピラン;化合物SB−210661;L−739010のようなピリジニル置換2−シアノナフタレン化合物;L−746530のような2−シアノキノリン化合物;またはMK−591、MK−886およびBAYx1005のようなインドールもしくはキノリン化合物;のようなロイコトリエン生合成阻害剤、5−リポキシゲナーゼ(5−LO)阻害剤または5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)アンタゴニストの組み合わせに関する。
【0054】
本発明はさらに本発明の塩、ならびにL−651392のようなフェノチアジン−3−1系;CGS−25019cのようなアミジノ化合物;オンタゾラストのようなベンゾキサラミン系;BIIL284/260のようなベンゼンカルボキシイミドアミド系;およびザフィルルカスト、アブルカスト、モンテルカスト、プランルカスト、ベルルカスト(MK−679)、RG−12525、Ro−245913、イラルカスト(CGP45715A)およびBAYx7195のような化合物からなる群から選択されるロイコトリエン(LT)B4、LTC4、LTD4およびLTE4に関する受容体アンタゴニストの組み合わせに関する。
【0055】
本発明はなおさらに本発明の塩、およびテオフィリンおよびアミノフィリンを含むメチルキサンタニン(methylxanthanine)のようなホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤;PDE4阻害剤、アイソフォームPDE4Dの阻害剤、またはPDE5の阻害剤を含む選択的PDEアイソザイム阻害剤の組み合わせに関する。
本発明はさらに経口的、局所的または非経口的に適用される、本発明の塩、およびセチリジン、ロラタジン、デスロラタジン、フェクソフェナジン、アクリバスチン、テルフェナジン、アステミゾール、アゼラスチン、レボカバスチン、クロルフェニラミン、プロメタジン、シクリジンまたはミゾラスチンのようなヒスタミン1型受容体アンタゴニストの組み合わせに関する。
【0056】
本発明はなおさらに本発明の塩、およびプロトンポンプ阻害剤(例えばオメプラゾール)または胃保護性ヒスタミン2型受容体アンタゴニストの組み合わせに関する。
本発明はさらに本発明の塩、およびヒスタミン4型受容体のアンタゴニストの組み合わせに関する。
本発明はなおさらに本発明の塩、およびプロピルヘキセドリン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、エフェドリン、プセウドエフェドリン、塩酸ナファゾリン、塩酸オキシメタゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸キシロメタゾリン、塩酸トラマゾリンまたは塩酸エチルノルエピネフリンのようなアルファ−1/アルファ−2アドレナリン受容体アゴニスト血管収縮交感神経刺激薬の組み合わせに関する。
【0057】
本発明はさらに本発明の塩、およびアトロピン、ヒヨスチン、グリコピロレート、臭化イプラトロピウム、臭化チオトロピウム、臭化オキシトロピウム、ピレンゼピンまたはテレンゼピンのようなムスカリン受容体(M1、M2およびM3)アンタゴニストを含む抗コリン薬の組み合わせに関する。
本発明はさらに本発明の塩、およびクロモグリク酸ナトリウムまたはネドクロミルナトリウムのようなクロモンの組み合わせに関する。
本発明はなおさらにフルニソリド、トリアムシノロンアセトニド、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ブデソニド、プロピオン酸フルチカゾン、シクレソニドまたはフロ酸モメタゾンのようなグルココルチコイドと本発明の塩との組み合わせに関する。
【0058】
本発明はさらにPPARのような核内ホルモン受容体を調整する薬剤と本発明の塩との組み合わせに関する。
本発明はなおさらに免疫グロブリン(Ig)もしくはIg製剤または抗IgE(例えばオマリズマブ)のようなIg機能を調整するアンタゴニストもしくは抗体と本発明の塩との組み合わせに関する。
本発明はさらに本発明の塩、およびサリドマイドもしくはその誘導体、レチノイド、ジトラノールまたはカルシポトリオールのような別の全身的または局所的に適用された抗炎症薬の組み合わせに関する。
【0059】
本発明はなおさらに本発明の塩、ならびにスルファサラジン、メサラジン、バルサラジドおよびオルサラジンのようなアミノサリチル酸系およびスルファピリジンの組み合わせ;およびチオプリン系のような免疫調節薬およびブデソニドのようなコルチコステロイドの組み合わせに関する。
本発明はさらにペニシリン誘導体、テトラサイクリン、マクロライド、ベータラクタム、フルオロキノロン、メトロニダゾール、吸入用アミノグリコシドのような抗菌薬;アシクロビル、ファンシクロビル、バラシクロビル、ガンシクロビル、シドフォビル、アマンタジン、リマンタジン、リバビリン、ザナミビルおよびオセルタミビルを含む抗ウイルス薬;インジナビル、ネルフィナビル、リトナビルおよびサキナビルのようなプロテアーゼ阻害剤;ジダノシン、ラミブジン、スタブジン、ザルシタビンもしくはジドブジンのようなヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤;またはネビラピンもしくはエファビレンズのような非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤と本発明の塩との組み合わせに関する。
【0060】
本発明はなおさらに本発明の塩、およびカルシウムチャネル遮断薬、ベータアドレナリン受容体遮断薬、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンギオテンシン2受容体アンタゴニストのような心血管系薬剤;スタチンまたはフィブラートのような高脂血症薬;ペントキシフィリンのような血液細胞形態のモジュレーター;血小板凝集阻害剤のような血栓溶解または抗凝固薬の組み合わせに関する。
本発明はさらに本発明の塩、および抗うつ薬(例えばセルトラリン)、抗パーキンソン病薬(例えばデプレニル、L−ドーパ、ロピニロール、プラミペキソール、セレギンおよびラサギリンのようなMAOB阻害剤、タスマーのようなcomP阻害剤、A−2阻害剤、ドーパミン再取り込み阻害剤、NMDAアンタゴニスト、ニコチンアゴニスト、ドーパミンアゴニストまたは神経型一酸化窒素合成酵素の阻害剤)、またはドネペジル、リバスチグミン、タクリン、COX−2阻害剤、プロペントフィリンもしくはメトリホナートのような抗アルツハイマー病薬のようなCNS薬の組み合わせに関する。
【0061】
本発明はなおさらに本発明の塩、および中枢または末梢作用性鎮痛薬(例えばオピオイドまたはその誘導体)、カルバマゼピン、フェニトイン、バルプロ酸ナトリウム、アミトリプチリンもしくはその他の抗うつ薬、パラセタモール、または非ステロイド抗炎症薬の組み合わせに関する。
本発明はさらにリグノカインまたはその誘導体のような非経口的または局所的に適用される(吸入を含む)局所麻酔薬と本発明の塩との組み合わせに関する。
ラロキシフェンのようなホルモン薬またはアレンドロネートのようなビスホスホネートを含む抗骨粗鬆症薬との組み合わせにおいて本発明の塩を使用することもできる。
【0062】
本発明はなおさらに:(i)トリプターゼ阻害剤;(ii)血小板活性化因子(PAF)アンタゴニスト;(iii)インターロイキン変換酵素(ICE)阻害剤;(iv)IMPDH阻害剤;(v)VLA−4アンタゴニストを含む接着分子阻害剤;(vi)カテプシン;(vii)チロシンキナーゼ阻害剤(例えばBtk、Itk、Jak3またはMAP、例えばゲフィチニブまたはメシル酸イマチニブ)、セリン/スレオニンキナーゼ(例えばp38、JNK、タンパク質キナーゼA、BもしくはC、またはIKKのようなMAPキナーゼの阻害剤)、もしくは細胞周期調節に関与するキナーゼ(例えばサイクリン依存性キナーゼ)のようなキナーゼ阻害剤;(viii)グルコース−6リン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤;(ix)キニン−B.sub1.もしくはB.sub2.受容体アンタゴニスト;(x)抗痛風薬、例えばコルヒチン;(xi)キサンチンオキシダーゼ阻害剤、例えばアロプリノール;(xii)尿酸排泄促進薬、例えばプロベネシド、スルフィンピラゾンもしくはベンズブロマロン;(xiii)成長ホルモン分泌促進物質;(xiv)トランスフォーミング成長因子(TGFβ);(xv)血小板由来成長因子(PDGF);(xvi)線維芽細胞成長因子、例えば塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF);(xvii)顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF);(xviii)カプサイシンクリーム;(xix)NKP−608C、SB−233412(タルネタント)もしくはD−4418のようなタキキニンNK.sub1.もしくはNK.sub3.受容体アンタゴニスト;(xx)UT−77もしくはZD−0892のようなエラスターゼ阻害剤;(xxi)TNF−アルファ変換酵素阻害剤(TACE);(xxii)誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)阻害剤;(xxiii)TH2細胞上に発現された化学誘引物質受容体相同分子(例えばCRTH2アンタゴニスト);(xxiv)P38の阻害剤;(xxv)Toll様受容体(TLR)の機能を調整する薬剤;(xxvi)P2X7のようなプリン受容体の活性を調整する薬剤;(xxvii)NFkB、APIもしくはSTATSのような転写因子活性化の阻害剤;または(xxviii)グルココルチコイド受容体アゴニストと本発明の塩との組み合わせに関する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】化合物Bの非晶質形態のXRPD
【図2】化合物Aの多形AのXRPD
【図3】化合物Bの二塩酸塩の多形AのXRPD
【図4】化合物Bのクエン酸塩の二水和物多形AのXRPD
【図5】化合物Bの二トシル酸塩の非晶質形態のXRPD
【図6】化合物Bのリン酸塩の二半水和物多形AのXRPD
【図7】化合物Bの二キシナホ酸塩の二水和物多形AのXRPD
【図8】化合物Bの二キシナホ酸塩の二半水和物多形AのXRPD
【図9】化合物Bの硫酸塩の非晶質形態のXRPD
【図10】化合物Bの一安息香酸塩の非晶質形態のXRPD
【図11】化合物Bの一安息香酸塩の結晶形態のXRPD
【図12】化合物Bの一フマル酸塩の非晶質形態のXRPD
【図13】化合物Bの一ベシル酸塩の非晶質形態のXRPD
【発明を実施するための形態】
【0064】
一般的な製造方法
以下は二臭化水素酸N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド(「製造」、「実施例」およびアッセイでは化合物Aと称する)に関する製造方法ならびにまたこの化合物の活性を示すアッセイおよびデータである。
実施例では、N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミドを化合物Bと称する。
【0065】
H NMRスペクトルをVarian Inova 400MHzまたはVarian Mercury-VX300MHz装置で記録した。クロロホルム−d(δ7.27ppm)、ジメチルスルホキシド−d2.50ppm)、アセトニトリル−d1.95ppm)またはメタノール−d3.31ppm)の中心ピークを内部標準として使用した。シリカゲル(0.040−0.063mm、Merck)を用いてカラムクロマトグラフィーを実施した。特記しないとき、出発物質は市販により入手可能であった。全ての溶媒および市販の試薬は実験用グレードであり、そして入手したまま使用した。
【0066】
LC/MS分析に関して以下の方法を用いた:
装置 Agilent 1100;カラム Waters Symmetry 2.1×30mm;質量 APCI;流速 0.7ml/分;波長254nm;溶媒A:水+0.1%TFA;溶媒B:アセトニトリル+0.1%TFA;グラジエント15−95%/B 8分、95% B 1分
分析用クロマトグラフィーを粒径3.5μmのSymmetry C18−カラム、2.1×30mmで、可動相として5%から95%アセトニトリルのグラジエントのアセトニトリル/水/0.1%トリフルオロ酢酸を用いて、流速0.7ml/分で8分間にわたって行った。
【0067】
装置詳細:
XRPD(粉末X線回折):Philips X−Pert MPD機器、θ−θコンフィギュレーションで、スキャン範囲2°から40°2θの範囲にわたり、0.03°増加あたり100秒暴露。45kVおよび40mAで操作された銅長高精度焦点管によりX線を生じた。銅X線の波長は1.5405Å(Kα1)および1.5444Å(Kα2)であった。化合物〜2mgを置いたゼロバックグラウンドホルダー上でデータを収集した。ホルダーはケイ素の単結晶製であり、それを非回折面に添って切断し、そして次に光学的平面仕上げで磨いた。この表面上でのX線入射はブラッグ消光により打ち消された。XRPDデータを以下の表に提示し、そして反射角(°2θ)およびDスペーシング(Å)データ(括弧内)を提供する。
【0068】
アルミニウムパンおよび孔のあいた蓋を伴うTA Q1000機器を用いてDSC(示差走査熱量測定法)サーモグラムを測定した。試料重量は1から5mgの間で変動した。窒素ガス流(50ml/分)および分あたり10℃の一定の温度上昇率で25から300℃までの検討された温度下で手順を実施した。
【0069】
白金パンを伴うTA Q500機器を用いてTGA(熱重量分析)サーモグラムを測定した。試料重量は2と15mgの間で変動した。窒素ガス流(60ml/分)および分あたり10℃の一定の温度上昇率で25から300℃までの検討された温度下で手順を実施した。
Bruker Avance 400WB機器を用いて13C CPMAS(交差偏波マジック角スピニング)固体NMRスペクトルが得られた。4mmプローブを用いて、そして以下のパラメータ下で試料を分析した:傾斜交差偏波(ramped cross polarisation)、tppm15合成パルス、Hデカップリング、接触時間2ミリ秒、およびスピン速度5kHz。
【0070】
Jobin Yvon Horiba Lab Ram HRラマン顕微鏡を用いてラマンスペクトルを記録した。固体試料〜0.1mgをガラススライドに載せ、そしてバルク試料を代表する単一の粒子上にレーザービームの焦点を合わせた。200から2000cm−1の範囲にわたって2−4分間の捕捉としてスペクトルを記録した。
Specac ATR付属品を装着したPerkin Elmer Spectrum GX FT-IRシステム機器を用いてIRスペクトルを記録した。固体試料〜1mgをATRのダイアモンド表面に載せ、そして70cN−Mの圧力を適用した。1cm−1の間隔および4cm−1の解像度で4000から625cm−1の範囲にわたる64回スキャンとしてスペクトルを記録した。
【0071】
動的水蒸気吸着DVS−1装置を用いてGVSプロファイルを測定した。固体試料およそ4−10mgをガラス容器に入れ、そして二重サイクル工程法の間に試料の重量を記録した(相対湿度(RH)40から90から0から90から0%、RH10%ずつ)。
KOHグラジエントならびに電気化学的検出およびDionex IC3000装置を伴うDionex AS11カラムを用いてイオン化学量論を測定した。
Varian Unity Inovaスペクトロメーターを用いてプロトン周波数400MHzで液体H NMRスペクトルを記録した。
【0072】
実施例で用いられる略語および用語は以下の意味を有する:
SCX:スルホン酸吸着剤での固相抽出
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
【0073】
製造1
二臭化水素酸N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド(化合物A)
【化1】

a) プロパン酸tert−ブチル3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]
1−ナフタレンエタノール(10g)を水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム(Triton B(登録商標);メタノール中40%溶液0.9ml)と反応させ、そして得られた混合物を真空下30分間撹拌した。次いで混合物を0℃まで冷却し、そしてアクリル酸tert−ブチル(8.19g)と反応させた。得られた混合物をゆっくりと室温まで加温し、そして一晩撹拌した。粗製混合物を続いて酸化アルミニウム(30g)に吸収させ、そしてジエチルエーテル(200ml)で溶出した。有機物を濃縮して粗製物質(16.6g)が得られ、それをフラッシュシリカクロマトグラフィーにより1:8 ジエチルエーテル:ヘキサンで溶出して精製して、副標題化合物が得られた(12.83g)。
1H NMR (CDCl3) δ 8.05 (dd, 1H), 7.84 (dd, 1H), 7.72 (dd, 1H), 7.54-7.34 (m, 4H), 3.81-3.69 (m, 4H), 3.35 (t, 2H), 2.52-2.47 (m, 2H), 1.45 (s, 9H).
【0074】
b) 3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパン酸
プロパン酸tert−ブチル3−[2−(1−ナフチル)エトキシ](6.19g)をジクロロメタン(30ml)中に取り、そしてトリフルオロ酢酸(5ml)と反応させた。得られた溶液を室温で2時間撹拌し、さらにトリフルオロ酢酸1mlを添加し、そして溶液を一晩撹拌した。混合物を濃縮し、2M水酸化ナトリウム溶液(30ml)中に取り、そしてエーテル(2×20ml)で洗浄した。続いて水層を酸性にし(1M塩酸使用)、そしてエーテル(2×30ml)で抽出した。合わせた有機物をブライン(20ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、そして真空下濃縮して副標題化合物(5.66g)が透明の油状物として得られた。
1H NMR (CDCl3) δ 8.05 (bs, 1H), 7.85 (bs, 1H), 7.74 (bs, 1H), 7.50-7.38 (m, 4H), 3.84-3.75 (bm, 4H), 3.39 (bs, 2H), 2.65 (bs, 2H).
【0075】
c) N−(2−ジエチルアミノエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド
塩化オキサリル(0.33g)をジクロロメタン(10ml)中3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパン酸(0.53g)の溶液に滴加し、ジメチルホルムアミド(1滴)を添加し、そして室温1時間撹拌を続けた。続いて混合物を濃縮し、ジクロロメタン(10ml)に再溶解し、そしてジクロロメタン(10ml)中2−(2−ジエチルアミノエチルアミノ)エタノール(0.35g)およびジイソプロピルエチルアミン(0.56g)の溶液に滴加した。得られた混合物を室温で1時間撹拌し、希釈し(ジクロロメタン、50ml)、水(2×20ml)、ブライン(20ml)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして濃縮して粗製生成物(0.91g)が得られ、それをフラッシュカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン中5−7%メタノールで溶出)により精製して副標題化合物0.63gが得られた。
1H NMR (CDCl3) δ 8.05 (d, 1H), 7.85 (d, 1H), 7.73 (d, 1H), 7.52-7.47 (m, 2H), 7.42-7.35 (m, 2H), 3.84-3.78 (m, 6H), 3.72-3.70 (m, 1/2H), 3.45-3.35 (m, 6H), 2.79-2.77 (m, 1+1/2H), 2.62-2.58 (m, 2H), 2.54-2.49 (m, 4H), 1.04-1.01 (m, 6H).
【0076】
d) N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド
ジクロロメタン(1ml)中ジメチルスルホキシド(0.097g)の溶液をジクロロメタン(10ml)中塩化オキサリル(0.079g)の溶液に−78℃で添加した。反応物を15分間撹拌し、そして次にジクロロメタン(1ml+1ml洗浄)中N−(2−ジエチルアミノエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド(0.22g)の溶液を添加し、そして反応混合物をさらに15分間撹拌した。トリエチルアミン(0.29g)を添加し、そして反応物を1時間にわたって室温まで加温し、続いて混合物を希釈し(ジクロロメタン30ml)、有機物を重炭酸ナトリウム(20ml)、ブライン(20ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、そして真空下濃縮して副標題化合物(0.21g)が得られた。
【0077】
粗製生成物をメタノール(10ml)に溶解し、そして塩酸7−(2−アミノエチル)−4−ヒドロキシ−1,3−ベンチアゾール−2(3H)−オン(Organic Process Research & Development 8(4):628-642(2004)に概要が記された手順にしたがって製造;0.131g)を酢酸(0.1ml)および水(0.1ml)と共に添加した。室温で30分間撹拌した後、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.020g)を添加し、そして反応混合物を一晩撹拌した。アンモニア(メタノール中7N、1ml)を添加し、そして混合物を濃縮した。粗製残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、1%アンモニア;ジクロロメタン中5%−7%メタノールで溶出して精製した。粗製生成物を次の工程で直接使用した。
【0078】
N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミドの製造により分析される試料が提供された。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 8.06 (d, 1H), 7.90 (d, 1H), 7.77 (d, 1H), 7.51 (m, 2H), 7.40 (m, 2H), 6.80 (m, 1H), 6.70 (m, 1H), 3.68 (m, 4H), 3.27 (m, 6H), 2.79 - 2.53 (プロトンの数を決定できなかった), 2.44 (m, 4H), 0.92 (m, 6H).
図1:化合物Bの非晶質形態のXRPD
【0079】
e) 二臭化水素酸N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド
【化2】

N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド(0.052g)をエタノール(1.5ml)に溶解し、そして48%臭化水素酸(21μl)と反応させた。ろ過により白色固体二臭化水素酸塩(0.058g)を収集した。
【0080】
MS: APCI(+ve) 579 (M+1)
1H NMR δ(DMSO) 11.78-11.71 (m, 1H), 10.11-10.06 (m, 1H), 9.51-9.43 (m, 0.33H), 9.21-9.13 (m, 0.66H), 8.75-8.66 (m, 1H), 8.59-8.51 (m, 1H), 8.06 (d, 1H), 7.95-7.90 (m, 1H), 7.79 (d, 1H), 7.60-7.48 (m, 2H), 7.47-7.39 (m, 2H), 6.87 (t, 1H), 6.76 (dd, 1H), 3.78-3.53 (m, 10H), 3.25-3.09 (m, 10H), 2.91-2.80 (m, 2H), 2.73-2.61 (m, 2H), 1.26-1.15 (m, 6H)。NMRは298Kでの回転異性体のおよそ2:1混合物を示す。
【0081】
【表1】

図2:化合物Aの多形AのXRPD
【0082】
製造2
二臭化水素酸N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド(化合物A)
【化3】

a)N'−(2,2−ジメトキシエチル)−N,N−ジエチル−エタン−1,2−ジアミン
【化4】

メタノール(500ml)中N,N−ジエチル−エチレンジアミン(150g)の溶液をグリオキサールジメチルアセタール(60重量%水溶液、225g)と10−15℃で急速に滴下処理した。添加が完了した後、溶液を15℃まで、次いで22℃まで加温し、そしてこの温度で16時間放置した。反応混合物を炭素上5%パラジウム(Johnson-Matthey38H型ペースト、15g)と反応させ、そしてGC/MSにより判断して反応が完了するまで6バールで水素化した。ろ過により触媒を除去し、そしてろ液を蒸発乾固し(トルエン共沸混合物、2.5l)、副標題化合物196.2gが得られた。
1H NMR (CDCl3): 4.48 (t, 1H), 3.39 (s, 6H), 2.75 (d, 2H), 2.69 (t, 2H), 2.57-2.48 (m, 6H), 1.01 (ts, 6H).
【0083】
b) N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2,2−ジメトキシエチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド
【化5】

塩化オキサリル(151ml)をジクロロメタン(2.1l)およびDMF(0.5ml)中3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパン酸(389g)(実施例7工程b)の溶液に45分間にわたって滴加した。反応混合物をさらに16時間撹拌した。続いて混合物を濃縮し、DCM(1.7l)に再溶解し、そしてDCM(1.7l)中N'−(2,2−ジメトキシエチル)−N,N−ジエチルエタン−1,2−ジアミン(325g)およびイソプロピルジエチルアミン(551ml)の溶液に0℃で1.75時間にわたって滴加した。得られた混合物を室温で3時間撹拌し、重炭酸ナトリウム飽和水溶液(5×1l)、水(1.5l)で洗浄し、そして硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして濃縮して副標題化合物650gが得られた。
m/e431(M+H、100%)
【0084】
c) N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]−N−(2−オキソエチル)プロパンアミド
【化6】

DCM(270ml)中N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2,2−ジメトキシエチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド(93g)の溶液をトリフルオロ酢酸(270ml)と0℃で1.5時間にわたって滴下処理した。添加後、反応混合物を室温まで加温し、そしてさらに1時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、そして残留物を重炭酸ナトリウム飽和水溶液(1800ml、注意深く)に注いだ。水性混合物をDCM(4×400ml)で抽出し、そして合わせた抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして濃縮した。残留物を以下の反応で直接使用した。
【0085】
d) 二臭化水素酸N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド(化合物A)
【化7】

乾燥NMP(216ml)中塩酸7−(2−アミノ−エチル)−4−ヒドロキシ−3H−ベンゾチアゾール−2−オン(53g)の懸濁液を60℃まで加熱し、そしてメタノール(102ml)中NaOH(8.2g)の溶液と一度で反応させた。鮮やかな橙色の懸濁液を室温まで冷却し、そしてジクロロメタン(475ml)中N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]−N−(2−オキソエチル)プロパンアミドの溶液と20分間にわたって滴下処理した。反応物を25分間撹拌させた。次いでトリアセトキシホウ化水素ナトリウム(91.5g)を20分間にわたって少しずつ添加し、そして混合物をさらに50分間撹拌した。反応混合物を水(1.8l)に注ぎ、そして酸性溶液(pH5)をtert−ブチルメチルエーテル(TBME)(3×500ml)で洗浄した。固体炭酸カリウムの添加により水相をpH8まで塩基性にし、そしてジクロロメタン(3×750ml)で抽出し;合わせた有機抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして濃縮して暗色の油状物が得られた。これをエタノール(200ml)に溶解し、そして48%臭化水素酸水溶液(73ml)を添加した。溶液を30分間寝かせ、次いで蒸発乾固した。残留物をエタノール(560ml)で粉砕し;得られた固体をろ過により収集し、そして真空下50℃で乾燥させた。粘着性の固体を沸騰エタノール(100ml)に懸濁し、そして熱い間にろ過した。収集された固体を真空下50℃で乾燥させた。この物質をエタノール/水(3:1、500ml)から再結晶した。一晩放置した後、得られた固体をろ過により収集し、そして氷冷エタノール(75ml)で洗浄した。真空下50℃で24時間乾燥させて標題化合物57gが得られた。
【0086】
製造3
N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド(化合物B)
二臭化水素酸N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド(10g)を重炭酸ナトリウム飽和溶液(100ml)およびジクロロメタン(100ml)間で分配した(少量のメタノールを添加して溶解性を補助した)。混合物を室温で1時間撹拌した。
次いで相を分離し、そして水相をさらなるジクロロメタン(100ml)で抽出した。合わせた有機相を重炭酸ナトリウム飽和溶液(100ml)およびブライン飽和溶液(100ml)で洗浄し、次いで硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、そして蒸発させて標題化合物(8.66g)が残った。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 8.06 (d, 1H), 7.90 (d, 1H), 7.77 (d, 1H), 7.51 (m, 2H), 7.40 (m, 2H), 6.80 (m, 1H), 6.70 (m, 1H), 3.68 (m, 4H), 3.27 (m, 6H), 2.79 - 2.53 (プロトンの数を決定できなかった), 2.44 (m, 4H), 0.92 (m, 6H).
【0087】
製造4
二臭化水素酸N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド(化合物A)
80:20 イソプロパノール:水(20.97kg)中二臭化水素酸N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド(例えば製造2のように製造)(1.88kg)の懸濁液を加熱還流した。次いで溶液をろ過し、そしてろ液を50℃まで冷まし、その後二臭化水素酸N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド(1.08g)の種結晶を添加した。温度を50℃で20分間維持し、次いで反応混合物を5℃まで0.1℃/分の率で冷却した。懸濁液を5℃で3日間維持し、次いで沈殿した物質をろ過により収集した。ろ塊を80:20 イソプロパノール:水(2.91kg)で洗浄した。次いで固体を真空下40℃で一定重量まで乾燥させて標題化合物(1.545kg)が得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO, 90℃) δ 11.50 - 8.52 (m, 3H), 8.06 (d, 1H), 7.90 (d, 1H), 7.77 (d, 1H), 7.52 (m, 2H), 7.42 (m, 2H), 6.87 (d, 1H), 6.76 (d, 1H), 3.74 (m, 4H), 3.61 (br, 4H), 3.29 (t, 2H), 3.2-3.0 (プロトンの数を決定できなかった), 2.87 (m, 2H), 2.65 (t, 2H), 1.22 (t, 6H).
【0088】
製造5
二塩酸N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド
塩酸の37重量/重量%溶液(245.95μl)をメタノール(5.6ml)中N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド(0.56g)の溶液に添加し、透明の溶液を生成し、それを室温で15分間撹拌した。0.5mlアリコートを大量の溶液から取り、そしてジエチルエーテルと反応させて流動性固体を形成した。この懸濁液を溶液に戻し、そして混合物を室温で2時間撹拌した。次いで標題化合物をろ過により収集し、メタノール(1.12ml)で洗浄し、そしてフィルター上で乾燥させた(0.46g)。
1H NMR (400 MHz, DMSO, 90℃) δ 11.46 (m, 1H), 8.06 (d, 1H), 7.88 (d, 1H), 7.75 (d, 1H), 7.55 - 7.38 (m, 4H), 6.88 (d, 1H), 6.76 (d, 1H), 3.74 (m, 8H), 3.28 (t, 2H), 3.2-3.0 (プロトンの数を決定できなかった), 2.92 (m, 2H), 2.66 (t, 2H), 1.25 (t, 6H).
3244ClSに関する計算値:C、58.98;H、6.81;N、8.60;S、4.92、実測値:C、58.89;H、6.87;N、8.58;S、5.24
【0089】
【表2】

図3:化合物Bの二塩酸塩の多形AのXRPD
【実施例】
【0090】
以下の実施例は本発明を説明する。
【0091】
実施例1
クエン酸N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド
クエン酸(248.96mg)をメタノール(5ml)中N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド(0.5g)の溶液に添加した。即座に透明な溶液が不透明になり、そして橙色の油状物が沈殿した。この混合物を外部温度60℃で加熱し、透明な溶液を形成し、次いでそれを室温まで冷却し、そして48時間撹拌した。得られた沈殿をろ過により収集し、そしてメタノール(1ml)およびジエチルエーテル(1ml)で洗浄した。次いで固体を真空下室温で4時間乾燥させて標題化合物(0.3g)が得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO, 90℃) δ 8.06 (d, 1H), 7.88 (d, 1H), 7.75 (d, 1H), 7.50 (m, 2H), 7.39 (m, 2H), 6.82 (d, 1H), 6.72 (d, 1H), 3.75 (t, 2H), 3.70 (t, 2H), 3.6-3.3 (プロトンの数を決定できなかった), 3.28 (t, 2H), 3.1-2.4 (プロトンの数を決定できなかった), 0.99 (br, 6H).
図4:化合物Bのクエン酸塩の二水和物多形AのXRPD
【0092】
【表3】

【0093】
実施例2
二トシル酸N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド
p−トルエンスルホン酸一水和物(667.33mg)を一度にメタノール(10ml)中N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド(1g)の溶液に添加し、透明な溶液を生成した。これを室温で30分間撹拌し、次いで溶媒を真空下で除去した。残留物をジエチルエーテル(20ml)中室温16時間撹拌し、次いで溶媒を除去し、そしてメチルt−ブチルエーテル(20ml)を添加した。次いでこの混合物を室温で16時間撹拌した後、得られた固体をろ過により収集し、そしてメチルt−ブチルエーテル(5ml)で洗浄した。標題化合物を真空下、室温で16時間乾燥させて、標題化合物が非晶質固体(1.18g)として残った。
1H NMR (400 MHz, DMSO, 90℃) δ 11.35 (1H, br), 8.05 (d, 1H), 7.88 (d, 1H), 7.76 (d, 1H), 7.51 (m, 6H), 7.40 (m, 2H), 7.09 (d, 4H), 6.83 (d, 1H), 6.74 (d, 1H), 3.77 (t, 2H), 3.72 (t, 2H), 3.64 (br, 4H), 3.4-3.0 (プロトンの数を決定できなかった), 2.85 (m, 2H), 2.64 (t, 2H), 2.28 (s, 6H), 1.22 (t, 6H).
図5:化合物Bの二トシル酸塩の非晶質形態のXRPD
【0094】
実施例3
リン酸N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド二半水和物
リン酸(199.19mg)をメタノール(10ml)中N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド(1g)の溶液に添加してゴム状物質を生成した。混合物を加熱還流し、そして撹拌を続けて流動性固体が得られた。懸濁液を室温までゆっくりと冷まし、次いでろ過し、そしてろ塊をメタノール(2ml)で洗浄した。標題化合物(0.93g)をフィルター上で乾燥させた。
1H NMR (400 MHz, DMSO, 90℃) δ 8.05 (d, 1H), 7.87 (d, 1H), 7.74 (m, 1H), 7.48 (m, 2H), 7.38 (m, 2H), 6.78 (d, 1H), 6.68 (d, 1H), 3.73 (t, 2H), 3.67 (t, 2H), 3.31 (m, プロトンの数を決定できなかった), 3.26 (t, 2H), 2.8-2.3 (プロトンの数を決定できなかった), 0.94 (t, 6H).
図6:化合物Bのリン酸塩の二半水和物多形AのXRPD
【0095】
【表4】

【0096】
実施例4A
二キシナホ酸N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド二水和物
メタノール(3ml)中1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(328.42mg)の懸濁液をメタノール(3ml)中N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド(0.5g)の溶液に添加し、そして得られた混合物を加熱還流し、次いで室温まで冷まし、そして16時間撹拌した。標題化合物をろ過し、メタノール(1ml)で洗浄し、そして真空下室温で1時間乾燥させた(0.47g)。
1H NMR (400 MHz, DMSO, 90℃) δ 8.24 (d, 2H), 8.04 (d, 1H), 7.87 (d, 1H), 7.75 (m, 5H), 7.50 (m, 4H), 7.40 (m, 4H), 7.11 (d, 2H), 6.83 (d, 1H), 6.73 (d, 1H), 3.75 (t, 2H), 3.70 (t, 2H), 3.6-3.3 (m, 4H), 3.26 (t, 2H), 2.6-3.1 (プロトンの数を決定できなかった), 2.59 (t, 2H), 1.05 (br, 6H).
【0097】
【表5】

図7:化合物Bの二キシナホ酸塩の二水和物多形AのXRPD
【0098】
実施例4B
二キシナホ酸N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド二半水和物
二水和物多形A(実施例4A)20mgを水(0.5ml)中1週間、スラリー化した。得られた懸濁液を遠心し、そして上澄を固体物質から分離し、後者を残してドラフト中一晩空気乾燥させた。
【表6】

図8:化合物Bの二キシナホ酸塩の二半水和物多形AのXRPD
【0099】
実施例5
硫酸N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド
濃硫酸(23.98μl)をメタノール(2.5ml)中N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド(0.25g)の溶液に滴加した。混合物を室温で20分間撹拌し、次いで外部温度60℃で加熱し、次いで冷まして室温に戻した。次いでメチルt−ブチルエーテル(0.5ml)を添加し、そして混合物を外部温度60℃で加熱し、次いで室温にした。混合物を溶解するためにメタノールを用いて、混合物を別のフラスコに移し、そして次に溶媒を真空下除去した。メチルt−ブチルエーテル(10ml)を残留物に添加し、そして混合物を室温で16時間撹拌した。ろ過により標題化合物を収集し、そしてフィルター上で乾燥させた(0.24g)。固体は非晶質であることが判明した。
1H NMR (400 MHz, DMSO, 90℃) δ 8.05 (m, 1H), 7.88 (m, 1H), 7.75 (m, 1H), 7.50 (m, 2H), 7.38 (m, 2H), 6.85 (m, 1H), 6.73 (m, 1H), 3.74 (m, 4H), 3.58 - 3.40 (m, プロトンの数を決定できなかった), 3.28 (t, 2H), 3.03 - 2.73 (m, プロトンの数を決定できなかった), 2.60 (t, 2H), 1.09 (s, 6H).
図9:化合物Bの硫酸塩の非晶質形態のXRPD
【0100】
実施例6
一安息香酸N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド
安息香酸(52.75mg)をメタノール(2.5ml)中N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド(0.25g)の溶液に一度に添加して透明な溶液を生成した。これを室温で1時間撹拌し、次いで溶媒を真空下で除去した。残留物をアセトニトリル(5ml)中室温で16時間撹拌し、次いで溶媒を除去し、そしてメチルt−ブチルエーテル(10ml)を添加した。この混合物を室温で3時間撹拌した後、標題化合物をろ過により収集した。標題化合物を非晶質固体として単離した。
1H NMR (400 MHz, DMSO, 90℃) δ 8.04 (m, 1H), 7.94 (m, 2H), 7.87 (m, 1H), 7.73 (m, 1H), 7.57 - 7.34 (m, 7H), 6.84 - 6.68 (m, 2H), 3.80 - 3.54 (m, 6H), 3.30 (m, could not be established due to overlap with water), 2.78 - 2.37 (m, プロトンの数を決定できなかった), 0.91 (m, 6H).
図10:化合物Bの一安息香酸塩の非晶質形態のXRPD
【0101】
実施例6A
結晶形態としての一安息香酸N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド
一安息香酸塩の非晶質形態(実施例6)20mgをプロパン−2−オール1mlに溶解した。得られた溶液をドラフト中室温でゆっくりと蒸発させて、灰白色固体が残った。
【表7】

図11:化合物Bの一安息香酸塩の結晶形態のXRPD
【0102】
実施例7
一フマル酸N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド
フマル酸(168.31mg)をメタノール(2ml)中N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド(0.84g)の溶液に添加して不透明な混合物を生成した。混合物を外部温度60℃で加温し、次いで室温まで冷まし、そして16時間撹拌した。蒸発乾固の後、標題化合物が非晶質形態として得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO, 90℃) δ 8.05 (m, 1H), 7.87 (m, 1H), 7.74 (m, 1H), 7.49 (m, 2H), 7.38 (m, 2H), 6.80 (m, 1H), 6.70 (m, 1H), 6.58 (s, 2H), 3.78 - 3.53 (m, 6H), 3.36 - 3.19 (m, プロトンの数を決定できなかった), 2.82 - 2.40 (m, プロトンの数を決定できなかった), 0.96 - 0.86 (m, 6H).
図12:化合物Bの一フマル酸塩の非晶質形態のXRPD
【0103】
実施例8
一ベシル酸N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド
ベンゼンスルホン酸(158.51mg)をメタノール(5.8ml)中N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド(0.58g)の溶液に添加して透明な溶液を生成した。混合物を室温で1時間撹拌した。蒸発乾固の後、標題化合物が非晶質固体として得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO, 90℃) δ 8.05 (d, 1H), 7.88 (d, 1H), 7.75 (m, 1H), 7.64 (m, 2H), 7.50 (m, 2H), 7.40 (m, 2H), 7.28 (m, 3H), 6.83 (m, 1H), 6.73 (m, 1H), 3.77 - 3.35 (m, プロトンの数を決定できなかった), 3.28 (t, 2H), 3.01 - 2.47 (m, プロトンの数を決定できなかった), 1.05 (br, 6H).
図13:化合物Bの一ベシル酸塩の非晶質形態のXRPD
【0104】
生物学的アッセイ
アドレナリン作動性β2媒介のcAMP生成
細胞製造
H292細胞を225cmフラスコインキュベーター内で10(容量/容量)%FBS(ウシ胎仔血清)および2mM L−グルタミン含有RPMI培地中、37℃、5%COで成長させた。
【0105】
実験方法
接着H292細胞をAccutase(商標)細胞剥離溶液で15分間処理することにより、組織培養フラスコから除去した。フラスコを加湿インキュベーター内で37℃、5%COで15分間インキュベートした。剥離された細胞をRPMI培地(10(容量/容量)%FBSおよび2mM L−グルタミン含有)中mlあたり0.05×10細胞で再懸濁した。100μl中5000セルを組織培養処理96ウェルプレートの各ウェルに添加し、そして細胞を加湿インキュベーター内で37℃、5%COで一晩インキュベートした。培養培地を除去し、そして細胞をアッセイバッファー100μlで2回洗浄し、そしてアッセイバッファー(10mM HEPES pH7.4および5mMグルコース含有HBSS溶液)50μlで置き換えた。細胞を室温で20分間休ませ、その後、ロリプラム(2.4(v/v)%ジメチルスルホキシド含有アッセイバッファー中1.2mMに製造)25μlを添加した。細胞をロリプラムと共に10分間インキュベートし、その後、被験化合物を添加し、そして細胞を室温で60分間インキュベートした。アッセイ中の最終ロリプラム濃度は300μMであり、そして最終ベヒクル濃度は1.6(v/v)%ジメチルスルホキシドであった。上澄を除去し、アッセイバッファー100μlで1回洗浄し、そして溶解バッファー50μlで置き換えることにより反応を停止させた。細胞単層を−80℃で30分間(または一晩)凍結させた。
【0106】
AlphaScreen(商標)cAMP検出
細胞溶解物中のcAMP(サイクリックアデノシン一リン酸)の濃度をAlphaScreen(商標)方法論を用いて決定した。凍結細胞をプレートシェーカー上で20分間溶解し、次いで細胞溶解物10μlを96ウェル白色プレートに移した。ビオチン化cAMPと共にプレインキュベートされた混合AlphaScreen(商標)検出ビーズ40μlを各ウェルに添加し、そしてプレートを暗中室温で10時間インキュベートした。EnVision分光光度計(Perkin−Elmer Inc.)を用いて製造者推奨の設定でAlphaScreen(商標)シグナルを測定した。標準cAMP濃度を用いる同一実験にて決定された検量線を参照することによりcAMP濃度を決定した。アゴニストに関する濃度応答曲線を構築し、そしてデータを4パラメーターロジスティック方程式に適合させて、pEC50および固有活性の双方を決定した。各実験で固有活性をフォルモテロールに関して決定された最大活性に対する関数として表現した。
【0107】
選択アッセイ
アドレナリン作動性α1D
膜製造
組換えヒトα1受容体を発現するヒト胚性腎臓293(HEK293)細胞から膜を製造した。これをアッセイバッファー(50mM HEPES、1mM EDTA、0.1%ゼラチン、pH7.4)で希釈し、特異的結合の最大と最小の間に明確な領域(clear window)を生じる膜の最終濃度を提供した。
【0108】
実験方法
U底96ウェルポリプロピレンプレート中でアッセイを実施した。[H]−プラゾシン(最終濃度0.3nM)10μlおよび被験化合物(10×最終濃度)10μlを各試験ウェルに添加した。ベヒクル(アッセイバッファー中10(容量/容量)%DMSO;最大結合を定義する)10μlまたはBMY7378(最終濃度10μM;非特異的結合(NSB)を定義する)10μlの存在下での[H]−プラゾシン結合に関して、各アッセイプレートのために8個の複製物を得た。次いで膜を添加して、最終容量100μlを達成した。プレートを室温で2時間インキュベートし、そして次に96ウェルプレートTomtec細胞ハーベスターを用いて、予めアッセイバッファーに1時間浸した、PEIコーティングされたGF/Bフィルタープレート上でろ過した。洗浄バッファー(50mM HEPES、1mM EDTA、pH7.4)250μlを用いて4℃で5回洗浄を実施して未結合放射活性を除去した。プレートを乾燥させ、次いでPackardプレートシーラーを用いて下部から密封し、そしてMicroScint−O(50μl)を各ウェルに添加した。プレートを密封し(TopSeal A)、そしてフィルター結合放射活性をシンチレーションカウンター(TopCount、Packard BioScience)で3分計数プロトコールを用いて測定した。
【0109】
平均最大結合から平均NSBを減じることにより全特異的結合(B)を決定した。また全てのその他のウェルからの値からNSB値を減じた。これらのデータをBのパーセントとして表現した。典型的には0.1nMから10μMの範囲の連続希釈を用いて化合物濃度−効果曲線([H]−プラゾシン結合の阻止)を決定した。データを4パラメーターロジスティック方程式に適合させて化合物の効力を決定し、それをpIC50([H]−プラゾシン結合の50%阻止を誘起する負の対数モル濃度)として表現した。
【0110】
アドレナリン作動性β1
膜製造
組換えヒトアドレナリン作動性ベータ1受容体を含有する膜をEuroscreenから入手した。これをアッセイバッファー(50mM HEPES、1mM EDTA、120mM NaCl、0.1%ゼラチン、pH7.4)で希釈し、特異的結合の最大と最小の間に明確な領域(clear window)を生じる膜の最終濃度を提供した。
【0111】
実験方法
U底96ウェルポリプロピレンプレート中でアッセイを実施した。[125I]−ヨードシアノピンドロール(最終濃度0.036nM)10μlおよび被験化合物(10×最終濃度)10μlを各試験ウェルに添加した。ベヒクル(アッセイバッファー中10(容量/容量)%DMSO;最大結合を定義する)10μlまたはプロプラノロール(最終濃度10μM;非特異的結合(NSB)を定義する)10μlの存在下での[125I]−ヨードシアノピンドロール結合に関して、各アッセイプレートのために8個の複製物を得た。次いで膜を添加して、最終容量100μlを達成した。プレートを室温で2時間インキュベートし、そして次に96ウェルプレートTomtec細胞ハーベスターを用いて、予めアッセイバッファーに1時間浸した、PEIコーティングされたGF/Bフィルタープレート上でろ過した。洗浄バッファー(50mM HEPES、1mM EDTA、120mM NaCl、pH7.4)250μlを用いて4℃で5回洗浄を実施して未結合放射活性を除去した。プレートを乾燥させ、次いでPackardプレートシーラーを用いて下部から密封し、そしてMicroScint−O(50μl)を各ウェルに添加した。プレートを密封し(TopSeal A)、そしてフィルター結合放射活性をシンチレーションカウンター(TopCount、Packard BioScience)で3分計数プロトコールを用いて測定した。
【0112】
平均最大結合から平均NSBを減じることにより全特異的結合(B)を決定した。また全てのその他のウェルからの値からNSB値を減じた。これらのデータをBのパーセントとして表現した。典型的には0.1nMから10μMの範囲の連続希釈を用いて化合物濃度−効果曲線([125I]−ヨードシアノピンドロール結合の阻止)を決定した。データを4パラメーターロジスティック方程式に適合させて化合物の効力を決定し、それをpIC50([[125I]−ヨードシアノピンドロール結合の50%阻止を誘起する負の対数モル濃度)として表現した。
【0113】
ドーパミンD2
膜製造
組換えヒトドーパミンサブタイプD2受容体を含有する膜をPerkin Elmerから入手した。これをアッセイバッファー(50mM HEPES、1mM EDTA、120mM NaCl、0.1%ゼラチン、pH7.4)で希釈し、特異的結合の最大と最小の間に明確な領域(clear window)を生じる膜の最終濃度を提供した。
【0114】
実験方法
U底96ウェルポリプロピレンプレート中でアッセイを実施した。[H]−スピペロン(最終濃度0.16nM)30μlおよび被験化合物(10×最終濃度)30μlを各試験ウェルに添加した。ベヒクル(アッセイバッファー中10(容量/容量)%DMSO;最大結合を定義する)30μlまたはハロペリドール(最終濃度10μM;非特異的結合(NSB)を定義する)30μlの存在下での[H]−スピペロン結合に関して、各アッセイプレートのために8個の複製物を得た。次いで膜を添加して、最終容量300μlを達成した。プレートを室温で2時間インキュベートし、そして次に96ウェルプレートTomtec細胞ハーベスターを用いて、予めアッセイバッファーに1時間浸した、PEIコーティングされたGF/Bフィルタープレート上でろ過した。洗浄バッファー(50mM HEPES、1mM EDTA、120mM NaCl、pH7.4)250μlを用いて4℃で5回洗浄を実施して未結合放射活性を除去した。プレートを乾燥させ、次いでPackardプレートシーラーを用いて下部から密封し、そしてMicroScint−O(50μl)を各ウェルに添加した。プレートを密封し(TopSeal A)、そしてフィルター結合放射活性をシンチレーションカウンター(TopCount、Packard BioScience)で3分計数プロトコールを用いて測定した。
【0115】
平均最大結合から平均NSBを減じることにより全特異的結合(B)を決定した。また全てのその他のウェルからの値からNSB値を減じた。これらのデータをBのパーセントとして表現した。典型的には0.1nMから10μMの範囲の連続希釈を用いて化合物濃度−効果曲線([H]−スピペロン結合の阻止)を決定した。データを4パラメーターロジスティック方程式に適合させて化合物の効力を決定し、それをpIC50([[H]−スピペロン結合の50%阻止を誘起する負の対数モル濃度)として表現した。
【0116】
作用発現アッセイ(Onset Assay)
Dunkin−Hartleyモルモット(配送時に200gと300gの間)は指定された飼育施設から供給された。モルモットを頸椎脱臼により屠殺し、そして気管を除去した。接着結合組織を除去し、そして各気管を4個の環に切断した。次いで組織環をアイソメトリックトランスデューサーに付着させた。組織を洗浄し、そして各環に1gの力を適用した。全ての実験で対応曲線様式(paired curve design)を用いた。1μMメタコリンのプライミング用量を組織に適用した。次いで組織を洗浄(3回、洗浄間隔1分)し、静止張力1gを再適用し、そして組織を1時間休ませて平衡にした。次いで組織を1μMメタコリンで収縮させ、そして一度定常な応答が得られると、イソプレナリン(10−9M−10−5M)に対する累積濃度応答曲線を構築した。次いで組織を洗浄(3回、洗浄間隔1分)し、そして1時間休ませた。休止期間の終わりに、組織を1μMメタコリンで収縮させ、そしてp[A]50濃度の被験化合物を添加した。一度組織が最大弛緩に到達すると、30×p[A]50濃度の被験化合物を添加した。組織応答がプラトーに到達すると、10μMソタロールを槽に添加して弛緩がβ媒介であったことを確認した。
【0117】
アゴニストの各濃度で生じた最大張力を測定するADInstruments chart4forwindowsソフトウェアを用いてデータを収集した。
イソプレナリン累積濃度曲線の各濃度に関して、メタコリン誘起収縮の弛緩%として応答を計算した。log10[アゴニスト](M)対メタコリン誘起収縮の弛緩パーセンテージの曲線をプロットした。次いでこれらのデータを非線形回帰曲線適合に適合させた。各実験に関して式:
【数1】

の4パラメーターロジスティック関数を用いてE/[A]曲線データを適合させた。Eおよび[A]は各々薬理学的効果(弛緩%)およびアゴニストの濃度;α、β、[A]50およびmは各々漸近線、基線、位置および傾きパラメータである。各イソプレナリン曲線のp[A]50およびIAをこの適合から決定して、組織が被験化合物に関する作用発現時間を生じるまで生存したかどうかを決定した。
【0118】
被験化合物の各p[A]50濃度に関して、応答をメタコリン誘起収縮の弛緩%として計算した。結果を時間に対する弛緩%としてプロットし、90%弛緩に到達するのにかかった時間を計算し、そして記録した。
30×p[A]50濃度の添加により個々の組織内での最大化合物効果の決定が可能になった。故にp[A]50濃度での最大化合物効果の%を計算し、そして記録した。
【0119】
ラットにおける薬物動態
適当な投与ベヒクルを用いて被験化合物の投与溶液を製造した。アリコートを名目上の濃度50μg/mlに希釈し、そして標準溶液の2回ずつの注射およびこの濃度でのQC標準に対して較正することにより、投与溶液中の化合物の濃度を検定した。3匹の250−350gラットの群に化合物を尾静脈にボーラスとして静脈内投与した(およそ1ml/kg)。経口投与用に、2または3匹の動物の別の群に経口経管により投与した(3ml/kg)。重量喪失により分配された用量を推定した。動物への飼料は通常投与の前に中止しなかったが、必要によりこの影響を調査した。
【0120】
尾静脈から血液試料(0.25ml)を1mlシリンジに取り、EDTAチューブに移し、そして試料収集の直後に遠心(13000rpmで5分間)により血漿を製造した後、−20℃で保存した。典型的な試料採取時間は2、4、8、15、30、60、120、180、240、300(分)または最終t1/2が正確に記載されるまでであった。
【0121】
定量的質量分析により血漿中の(複数の)分析物の濃度を決定した。メタノール中1mg/mlの濃度で標準および品質管理ストック溶液を製造した。連続希釈により生成された一連の標準およびQCストックを対照ラット血漿(50μl)に添加した。濃度の範囲はラット試料に存在する分析物のレベルの範囲を包含した。有機溶媒50μlおよび分析物に極めて類似するように選択された内部標準を含有する有機溶媒100μlを用いて標準、QCおよび試料を液体抽出した。次いで繰り返し反転させることにより試料を混合し、−20℃で少なくとも1時間保存し、そして遠心機で3500rpmで20分間遠心した。LC−MSMSを用いる分析のために各試料のアリコート(120μl)を移した。被験試料で見出された濃度の範囲を包含する標準および品質管理試料は名目上の濃度の25%内であった。
WinNonlinを用いて薬物動態データ分析を達成した。標準ノンコンパートメント分析を用いてTmax、Cmax、ラムダ z、t1/2 ラムダ z、AUCall、AUCINF(観察された)、Cl(観察された)、Vss(観察された)のようなパラメータを概算した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二臭化水素酸塩または二塩酸塩ではないN−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミドの薬学的に許容される塩。
【請求項2】
塩がトリフルオロ酢酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、ピルビン酸塩、コハク酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、重硫酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、マロン酸塩、キシナホ酸塩、アスコルビン酸塩、オレイン酸塩、ニコチン酸塩、サッカリナート、アジピン酸塩、ギ酸塩、グリコール酸塩、L−乳酸塩、D−乳酸塩、アスパラギン酸塩、リンゴ酸塩、L−酒石酸塩、D−酒石酸塩、ステアリン酸塩、2−フロ酸塩、3−フロ酸塩、ナパジシル酸塩(ナフタレン−1,5−二スルホン酸塩またはナフタレン−1−(スルホン酸)−5−スルホン酸塩)、エジシル酸塩(エタン−1,2−二スルホン酸塩またはエタン−1−(スルホン酸)−2−スルホン酸塩)、イセチオン酸塩(2−ヒドロキシエチルスルホン酸塩)、2−メシチレンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、D−マンデル酸塩またはL−マンデル酸塩である請求項1に記載される薬学的に許容される塩。
【請求項3】
クエン酸塩、二トシル酸塩、リン酸塩、二キシナホ酸塩、硫酸塩、一安息香酸塩、フマル酸塩またはベシル酸塩であるN−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミドの薬学的に許容される塩。
【請求項4】
所望により高温で適当な溶媒中で適当な酸をN−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミドと反応させることを含む、請求項1に記載される塩の製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載される薬学的に許容される塩を薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体と共に含む医薬組成物。
【請求項6】
治療において使用するための請求項1に記載される薬学的に許容される塩。
【請求項7】
β2アドレナリン受容体活性の調整が有利であるヒト疾患または症状の処置のための医薬品の製造における、請求項1に記載される薬学的に許容される塩の使用。
【請求項8】
成人呼吸促迫症候群(ARDS)、肺気腫、気管支炎、気管支拡張症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息または鼻炎の処置において使用するための医薬品の製造における、請求項1に記載される薬学的に許容される塩の使用。
【請求項9】
呼吸器疾患状態の処置のための、請求項1に記載される薬学的に許容される塩。
【請求項10】
成人呼吸促迫症候群(ARDS)、肺気腫、気管支炎、気管支拡張症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息または鼻炎の処置のための、請求項1に記載される薬学的に許容される塩。
【請求項11】
治療上有効量の請求項1に記載される薬学的に許容される塩を、それを必要とする患者に投与することを含む、β2アドレナリン受容体活性の調整が有利である疾患または症状を処置するかまたはその危険性を低減させる方法。
【請求項12】
治療上有効量の請求項1に記載される薬学的に許容される塩を、それを必要とする患者に投与することを含む、炎症性疾患または症状を処置するかまたはその危険性を低減させる方法。
【請求項13】
疾患または症状が成人呼吸促迫症候群(ARDS)、肺気腫、気管支炎、気管支拡張症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息または鼻炎である請求項10または11に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2010−518057(P2010−518057A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−548731(P2009−548731)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【国際出願番号】PCT/GB2008/000387
【国際公開番号】WO2008/096112
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】