説明

増殖性疾患を治療するためのα,β−不飽和スルホキシド

式I:(I)のα,β−不飽和スルホキシドは抗増殖性薬(例えば抗ガン剤)として、並びに放射線防護及び化学的防護薬として有用である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2003年11月14日に出願した同時継続中の米国仮出願第60/520,523号の利益を請求し、その全開示を本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、増殖性疾患(例えば癌)を治療するための組成物及び方法に関する。更に、本発明は電離放射線及び細胞毒性化学療法剤による細胞毒性効果から防護するための組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
電離放射線の健康へのリスク
電離放射線は主に細胞毒性効果を通じて細胞及び組織に対して悪影響を与える。ヒトにおいては、電離放射線への被曝は主に治療技術(例えば癌に対する放射線療法)又は職業及び環境被曝を通して起こる。
【0004】
放射線の治療のための投与
電離放射線の大部分の被曝源は癌やその他の増殖性疾患の治療の際に投与される治療上の放射線である。主治医が処方する治療コースに応じて、個体は数週間から数ヶ月のコースの間に複数回にわたって投与され得る。
【0005】
治療のための放射線は、異常組織によって吸収される線量を最大化し、近傍の正常組織によって吸収される線量を最小化するために、異常な増殖性組織をもつ個体の身体の所定領域に適用されるのが通常である。しかしながら、治療のための電離放射線を異常組織に選択的に照射するのは(不可能でないにしても)難しい。従って、異常組織近傍の正常組織も治療コースを通じて組織が損傷する可能性のある線量の電離放射線に曝される。
【0006】
また、“全身照射”又は“TBI”と呼ばれる処置のように、個体の全身が放射線に被曝される必要のある治療法も幾つか存在する。従って、異常な増殖性細胞を破壊する放射線療法の効力は近傍の正常細胞への付随的な細胞毒性効果とバランスされる。そのため、放射線療法は本質的に狭い治療指数をもち、大部分の腫瘍に対して治療が不十分となる。最良の放射線療法であっても、腫瘍の減少が不完全に終わる場合や、腫瘍の再発、腫瘍量の増大、及び抗放射線腫瘍の誘発をもたらす場合がある。
【0007】
治療上有効な線量の電離放射線を輸送しつつも正常組織への損傷を減少させるために数多くの方法が考案されてきた。これらの技術には小線源照射療法、分割照射法及び過分割照射法、複雑な照射計画及び輸送システム、線形加速器を用いた高電圧療法が包含される。しかしながら、これらの技術は放射線による治療効果と望ましくない効果のバランスを取ることを試みているに過ぎず、十分な効力は得られていない。
【0008】
例えば、転移性腫瘍をもつ個体のための治療法の一つでは、造血幹細胞を採取し、該個体を高線量の電離放射線で治療することを伴う。この治療法は個体の腫瘍細胞を破壊することを予定しているが、正常な造血幹細胞をも破壊してしまうという副作用がある。このため、個体の(造血幹細胞を含有する)骨髄の一部を放射線治療の前に取り除く。治療後、自家造血幹細胞が身体に戻される。
【0009】
しかしながら、腫瘍細胞が原発部位から転移していたなら、幾つかの腫瘍細胞が採取した造血幹細胞群を汚染する可能性が高い。個体が骨髄癌、例えば、種々のFAB(French- American-British)分類による急性骨髄性白血病(AML)慢性骨髄性白血病(CML)又は急性リンパ球性白血病(ALL)に罹患しているときは、採取した造血幹細胞群が新生細胞を有している場合もある。そのため、転移した腫瘍細胞又は内在する新生細胞は幹細胞を個体に再導入する前に除去又は殺さなければならない。生存している腫瘍形成性又は新生細胞が個体に再導入されると再発を招く可能性がある。
【0010】
腫瘍形成性又は新生細胞を採取した骨髄から除去するための従来の方法は、全腫瘍細胞群を分離するか又は殺す戦略をベースとしているが、典型的には、含有する悪性細胞の全部を殺し又は除去するわけではない。そのような方法には、動員末梢血細胞の白血球分離、免疫親和性に基づいて腫瘍細胞を選別し若しくは殺し、又は細胞毒性若しくは光感応性の薬剤の使用によって腫瘍細胞を選択的に殺すことが包含される。最良のケースでも、当初の採取細胞100,000個当たり腫瘍細胞1〜10個の悪性細胞負荷が残存する(ラザルス(Lazarus)等、ジャーナル・オブ・ヘマトセラピイ(J. of Hematotherapy)、2(4)、p457−66、1993年)。
【0011】
従って、移植患者中での造血再形成に必要である正常な造血幹細胞を保護しつつ、骨髄に存在する悪性細胞を選択的に破壊するための浄化方法が必要である。
【0012】
放射線の職業/環境被曝
電離放射線の被曝は職業上も生じ得る。電離放射線の職業上の被曝は、例えば原子力発電及び核兵器産業において、放射線の被曝(又は被曝の可能性)を伴う仕事に従事している人々が受け得る。原子力船に駐在している軍人、又は放射性降下物によって汚染された地域で行動する必要のある兵士は同様に電離放射線の被曝リスクがある。また、職業被曝は原子炉や放射性物質が関与する大災害を取り扱う救急及び緊急隊員にも生じ得る。その他の職業被曝は、放射性の医療製品、煙探知器、緊急信号及び他の消費財を製造する際に残された機械部品、プラスチック及び溶媒によるものであろう。また、職業被曝は原子力船で働く人、とりわけ原子炉で作業する人々、核兵器による放射性降下物によって汚染された地域で行動する軍人、及び原子力事故を取り扱う緊急隊員に生じ得る。電離放射線への環境被曝は(実験又は戦争による)核兵器のデトネーション、核廃棄物の貯蔵施設や核燃料の処理及び再処理からのアクチノイドの放出、そしてラドンガスやウランのような自然界に存在する放射性物質によって生じ得る。劣化ウランを含有する兵器の使用によって戦闘地域が低レベルの放射能で汚染されるという懸念も増大している。
【0013】
何れの供給源による放射線被曝も急性(単一の大量被曝)又は慢性(長期間にわたる一連の又は連続的な低レベル被爆)に分類することができる。放射線宿酔は一般に多線量の急性被曝によって生じ、脱毛、衰弱、嘔吐、下痢、火傷、並びに胃腸管及び粘膜からの出血を含む特徴的な一連の症状が順番に現れる。遺伝子欠陥、生殖不能及び癌(特に骨髄癌)が時間と共に生じることがしばしばである。慢性的な被曝は癌や早期老化といった遅発的な医学上の問題を伴うのが通常である。急性全身被曝量が125,000ミリレムとなると放射線宿酔が生じ得る。放射線療法に用いられているような局部線量は放射線宿酔を起こすことはないだろうが、被曝した正常細胞を損傷し又は殺すこととなり得る。
【0014】
例えば、1週間以内に100,000〜125,000ミリレム(1Gyと等価)の急性全身被曝を受けると火傷又は皮疹、粘膜及び胃腸からの出血、嘔吐、下痢及び/又は過度の疲労のような生理学的影響が認められ得る。造血及び免疫適格細胞の破壊、脱毛(脱毛症)、胃腸及び口腔粘膜の脱落、肝静脈閉鎖症、脳血管の慢性血管増殖、白内障、肺炎、皮膚変化、及び癌発生率の増加のような長期的な細胞毒性及び遺伝的影響も次第に発現し得る。10,000ミリレム(0.1Gyと等価)未満の急性被曝の場合は、長期的な細胞毒性又は遺伝的影響は生じ得るが、即座の生物学的又は生理学的影響は認められないのが典型である。
【0015】
充分に多量の電離放射線、例えば、500,000から1百万ミリレム(5〜10Gyと等価)の急性被曝線量は個体を即座に殺し得る。数百〜数千ミリレムの被曝では、“急性放射線中毒”と呼ばれる症状により7〜21日以内で殺し得る。報告によると、チェルノブイリの消防士の何人かは、200,000〜600,000ミリレム(2〜6Gyと等価)の線量の急性被曝を受け、急性放射線中毒で死亡している。約200,000ミリレム未満の急性被曝では死に至ることはないが、被曝した個体は上述したような長期間の細胞毒又は遺伝的影響を受けるだろう。
【0016】
職業上の急性被曝は、事故によって放出した放射線に被曝した原子力発電所で働く人に対して、又は原子炉やその他の放射性物質源が関与する災害に関与する消防士又は救急隊員に対して起きる。ブルクヘブン国立研究所(Brookhaven National Laboratories)によって、緊急事態における職業上の急性被曝に対する限度が提案されている(表1)。
【表1】

*100,000ミリレムは1シーベルトに等しい(Sv)。ガンマ放射線のような透過性放射線に対しては、1Svは約1Gray(Gy)に等しい。従って、Gy単位の線量は100,000ミリレム毎に1Gyと見積もることができる。
【0017】
慢性線量は長期にわたって受ける低レベル(すなわち、100〜5000ミリレム)の漸進的な又は連続的な放射線量である。慢性線量の例には、原子力発電所で働く大人が典型的に受ける線量である約5000ミリレム/年の全身被曝量が挙げられる。これに対して、原子力エネルギー委員会(the Atomic Energy Commission)は、公衆は毎年100ミリレム以上被曝しないことを推奨している。慢性線量は長期的な細胞毒性及び遺伝的影響を引き起こす可能性がある。例えば、放射線によって誘発される癌のリスクが後々増加する。電離放射線に対する慢性被曝の推奨限度を表2に示す。
【表2】

【0018】
比較のために、表3に一般的な放射線源からの放射線量を示す。
【表3】

【0019】
毎年5000ミリレム(0.05Gy/年)を超える慢性線量により、急性線量を受ける人に関して記載したのと同様の長期的な細胞毒性又は遺伝的影響が生じ得る。5000ミリレム/年よりもかなり低い線量の慢性被曝であっても、ある種の有害な細胞毒性又は遺伝的影響が生じ得る。放射線防護の目的では、0を超える如何なる線量も放射線により誘発される癌のリスクが高まる可能性があると考えられる(すなわち、しきい値はない。)。疫学的研究により、癌で死亡する生涯リスクは全身に対する1レムの放射線量毎に推定で約0.04%ずつ増加することがわかった。
【0020】
耐放射線服又はその他の防護用具は放射線被曝を減少させるのに効果的であるかもしれないが、そのような用具は高価であり、非現実的であり、通常は公衆に手に入らない。更に、放射線防護用具は腫瘍に隣接する正常組織を放射線療法の際の迷走放射線被曝から保護しないだろう。従って、電離放射線の被曝を受けることが予定されている、又は受ける危険性がある個体を保護する現実的な手段が必要である。治療のために照射するにあたっては、正常細胞の保護を強化する一方で、腫瘍細胞は放射線による損傷効果を受けやすい状態に保つのが望ましい。更に、職業若しくは環境被曝、又はある種の治療技術によって生じる予期された又は不慮の全身照射から全身を保護するのが望ましい。
【0021】
薬学的な放射線防護物質は、放射線防護用具に代わる費用効率が高く、効果的で、入手しやすい手段を提供する。しかしながら、医薬組成物を使って正常細胞を放射線から防護する試みは完全には成功してはいない。例えば、末梢血液前駆細胞の動員を目的とするサイトカインは、照射前に与えると、骨髄保護効果があるが(Neta et al., Semin. Radiat. Oncol. 6:306-320, 1996)、全身保護はなされない。単独で又は生物機能修飾物質と共に、その他の化学的な放射線防護物質を投与するとマウスにおいて防護効果を僅かに示したが、大きな哺乳動物にこれらの化合物を適用した場合には成功例に乏しく、化学的放射線防護が何らかの価値があるのかどうか疑問視されている(Maisin, J.R., Bacq and Alexander Award Lecture. “Chemical radioprotection: past, present, and future prospects”, Int J. Radiat Biol. 73:443-50, 1998)。薬学的な放射線増感剤は、癌組織への放射線効果を優先的に高めるものとして知られているが、電離放射線への被曝から正常組織を全身的に保護するのには適さないことが明らかである。
【0022】
電離放射線の被曝を受けた又は受ける危険性のある個体を保護するための治療薬が必要である。治療のために照射するにあたっては、正常細胞の保護を強化する一方で、腫瘍細胞は放射線による損傷効果を受けやすい状態に保つのが望ましい。更に、職業若しくは環境被曝、又はある種の治療技術によって生じる予期された又は不慮の全身照射から全身を保護するのが望ましい。
【0023】
実験的化学療法の有毒な副作用からの防護
外科的に切除不可能な進行癌、又は標準的な化学療法及び放射線療法に対して難治性の癌であると診断された患者に提示される治療の中心は実験的化学療法である。より効果的な部類の薬物の中でも、治療特性は未だ限られている。これは、比較的狭い治療指数、投薬量の制限、治療の遅れ、及び部分的な腫瘍の減少しか示さないことが比較的多いといった理由による。この状況では、再発、腫瘍量の増大、薬物耐性腫瘍を通常招くことになる。
【0024】
抗ガン薬の治療指数を高めるために、幾つかの細胞保護薬が提案されてきた。メトトレキサートの毒性に対しては、アスパラギナーゼ、リューコボラム(leucovorum)因子、チミジン、及びカルビペプチダーゼ(carbipeptidase)のような薬が挙げられる。アンスラサイクリンの使用が広がったため、効果の程度が様々な特異的及び非特異的な細胞保護薬が提案されてきた。これらには、コルチコステロイド、デスラゾキサン(desrazoxane)、及びスタウロスポリンが挙げられる。後者は、正常細胞中にG1/S制限遮断を含む点で重要である(Chen et al., Proc AACR 39:4436A, 1998)。
【0025】
シスプラチンは広く使用されているが、治療指数が小さいため細胞防護薬の調査及び研究に拍車をかけた。臨床的可能性のあるシスプラチンに対する細胞防護薬にはメスナ、グルタチオン、チオ硫酸ナトリウム、及びアミフォスチンがある(Griggs, Leuk. Res. 22 Suppl 1:S27-33, 1998; List et al., Semin. Oncol. 23(4 Suppl 8):58-63, 1996; Taylor et al., Eur. J. Cancer 33(10):1693-8, 1997)。これらの細胞防護薬、或いはフルオロピリミジンの毒性に対するオキソン酸、又はパクリタキセルPC12細胞毒性に対するプロサプチド(prosaptide)のようなその他の提案されている細胞防護薬の何れも、正常な複製中の細胞を休止状態にする機構によって働くものはないようである。
【0026】
化学療法薬の細胞毒性副作用から動物(ヒトを含む)を保護するのに効果的な新規細胞防護薬が必要である。
【0027】
α,β−不飽和スルホン化合物
ある種のα,β−不飽和スルホン、とりわけスチリルベンジルスルホンが抗増殖性、放射線防護及び化学薬品防護作用を有することが示された。米国特許第6,599,932号、同第6,576,675号、同第6,548,553号、同第6,541,475号、同第6,486,210号、同第6,414,034号、同第6,359,013号、同第6,201,154号、同第6,656,973号及び同第6,762,207号を参照されたい(これらの全開示を本明細書に援用する。)。
【0028】
代謝性スルホキシドの酸化
スルホキシド官能基はシトクロムP−450型の酸化酵素を介して代謝され、対応するスルホンへと酸化される。シトクロムP−450酵素は、基材(例えば薬剤分子)が酸化して鉄が還元する酸化還元反応を媒介する鉄ベースの蛋白質である。
【0029】
スルホキシド部分の酸化的な代謝は、活性な代謝物質たるスルホン化合物に代謝により転換するスルホキシド化合物を投与することで利用されてきた。この戦略の一例は、スリンダクスルホキシドの投与であり、一般的に処方される抗炎症薬が癌の化学的予防作用を付加的に有することが示された。「Thompson et al., Cancer Research, 1997, Jan. 15; 57(2), pg. 267-271」を参照されたい。
【0030】
スリンダクスルホキシドは抗炎症作用を有しないが、活性なスルフィドに代謝により転換されるプロドラッグである。いったん投与されると、スリンダクスルホキシドは肝臓及び結腸内で細菌性ミクロフローラによって抗炎症性スルフィドの形態に容易に還元される。しかしながら、スリンダクスルホキシドは肝臓中で代謝によりスルホンに酸化もされ、次いで胆汁及び腸内に排出される。スルホン代謝物質は抗炎症作用を有しないが、スルホンは腫瘍細胞の成長を抑制し、アポトーシスを誘発する能力を依然として保持する。「S. M. Fischer, Frontiers in Bioscience, 2, pg. 482-500, (1997)」を参照されたい。
【0031】
定 義
一般
“個体”又は“対象”なる用語には、ヒト及び非ヒト動物が含まれる。本開示に係る放射線防護及び細胞防護の方法に関しては、文脈が他のものを指示していない限り、上記用語は電離放射線又は細胞毒性の化学療法薬に曝されることが予定されている、曝される危険性がある、又は曝された生体を指す。
【0032】
“有効量”なる表現を増殖性疾患に苦しんでいる患者への治療を説明するために用いるときは、癌又は異常細胞増殖を示すその他の疾患に苦しんでいる患者に投与されると腫瘍細胞の成長を抑制し又は癌細胞(好ましくは腫瘍細胞)のアポトーシスを誘発して、治療上有用で選択的な細胞毒性効果を増殖性細胞に対して示す式Iの化合物の量を指す。“有効量”なる用語には、代謝されると腫瘍細胞の成長を抑制し又は癌細胞のアポトーシスを誘発する量の活性な代謝物質となる式Iの化合物の量が含まれる。
【0033】
“抗体”なる用語は、無傷の抗原結合免疫グロブリン分子のみならず、その抗原結合部位(例えば、Fab、Fab’及びF(ab’)2断片)又は無傷の抗体の抗体結合能を保持するその他の如何なる部位も含むことが意図される。
【0034】
“ヒト化抗体”なる表現は、相補性決定領域(CDR)が非ヒトの免疫グロブリンに由来し、抗体分子の残部がヒトの免疫グロブリンに由来する抗体を指す。
【0035】
“キメラ抗体”なる表現は、異なる種に由来する可変領域及び不変領域をもつ抗体を意味する。
【0036】
“ヒトキメラ抗体”なる表現は、少なくとも不変領域がヒト由来であるキメラ抗体を意味する。
【0037】
“単一特異性ポリクローナル抗体”なる表現は、単一の抗原に対して特異性を有する多数の抗体種を含む抗体調製物を意味する。
【0038】
“増殖性疾患”なる用語は、細胞が身体によって異常に高い速度で作られる疾患を意味する。
【0039】
放射線防護
本明細書では、“電離放射線”とは、細胞及び組織に吸収されたときに、活性酸素の形成及びDNAの損傷を誘発するのに充分なエネルギーをもつ放射線のことである。この種の放射線にはX線、ガンマ線及び粒子衝撃(例えば、中性子線、電子線、プロトン、中間子、及びその他)が含まれ、これらは医学的試験及び治療、科学的目的、工業試験、製造及び消毒、武器及び武器開発、その他多くの用途に用いられる。放射線は典型的には吸収線量の単位(例えばrad又はグレイ(Gy)、1rad=0.01Gy)で、或いは等価線量(例えばrem又はシーベルト(Sv)、1rem=0.01Sv)で測定される。
【0040】
SvはGy線量に組織の損傷を誘発する係数を乗じた値である。例えば、透過性電離放射線(例えば、ガンマ及びベータ放射線)は係数が約1なので、1Sv=約1Gyである。アルファ線の係数は20なので、1Gyのアルファ線=20Svである。
【0041】
“有効量の電離放射線”とは、個体中の異常増殖性細胞の殺生又は増殖の減少に効果的な量の電離放射線を意味する。骨髄除去に関して使用するときは、“有効量の電離放射線”は個体から取り除いた骨髄サンプル中の悪性細胞の殺生又は増殖の減少に効果的な量の電離放射線を意味する。
【0042】
“電離放射線の急性被爆”又は“急性線量の電離放射線”とは、24時間未満に個体によって吸収された電離放射線の線量を意味する。急性線量は放射線治療技術のように局所的であってよく、又は個体の全身に吸収されてもよい。急性線量は典型的には10,000ミリレム(0.1Gy)を超えるが、これより少ない場合もある。
【0043】
“電離放射線の慢性被爆”又は“慢性線量の電離放射線”とは、24時間を超える期間にわたって個体によって吸収された電離放射線の線量を意味する。線量は断続的又は連続的なものとしてよく、局所的に又は個体の全身に吸収されてもよい。慢性線量は典型的には10,000ミリレム(0.1Gy)未満であるが、これより多い場合もある。
【0044】
“電離放射線の被曝を受ける危険性がある”とは、個体が意図的に(例えば計画的な放射線治療のセッションによって)又は不慮により将来的に電離放射線を被曝するかもしれないことを意味する。不慮の被曝には事故による被曝又は計画外の環境若しくは職業被曝が含まれる。
【0045】
“有効量の放射線防護化合物”とは、個体の正常細胞中の放射線に伴う毒性を減少又は排除し、且つ、個体中の異常増性細胞に対して直接的な細胞毒性効果を与えるのに効果的な量の式Iの化合物のことを意味する。骨髄浄化に関して使用するときは、“有効量”の式Iの放射線防護化合物は、個体から取り除いた骨髄中の放射線に伴う毒性を減少又は排除し、且つ、個体から取り除いた骨髄中の悪性細胞に対して直接的な細胞毒性効果を与えるのに効果的な量の化合物を意味する。
【0046】
細胞防護
“有効量”の分裂期細胞周期阻害剤又はトポイソメラーゼ阻害剤とは、宿主動物中の癌細胞を殺生し又はその増殖を減少させるのに効果的な量の前記阻害剤を意味する。
【0047】
“有効量”の式Iの細胞防護化合物とは、動物の正常細胞に対する分裂期細胞周期阻害剤又はトポイソメラーゼ阻害剤の毒性を減少させるのに効果的な量の化合物を意味する。
【0048】
“細胞周期”なる表現は、一連の期間、すなわち間期及びM(分裂)期からなる周期に関する細胞成長の通常の説明のことを指す。間期は、S期(合成期)として知られるDNA合成が進行する時期と、S期を分裂期から分離するギャップ期に更に分けられる。G1は分裂後、DNA合成が開始する前のギャップ期であり、G2は有糸分裂及び細胞分裂前のDNA合成が完了した後のギャップ期である。従って、間期は連続的なG1、S、及びG2で構成され、通常は全細胞周期時間の90%以上を占める。M期は核分裂(有糸分裂:mitosis)及び細胞質分裂(cytokinesis)からなる。M期の初期段階では、複製された染色体が間期における伸張した状態から凝縮する。核膜が壊れると、各染色体は移動して姉妹染色分体のペアに分離され、核が分かれていく。次いで、2個の新しい核膜が形成され、細胞質が分かれるとそれぞれ単一の核をもつ2個の娘細胞が生じる。この細胞質分裂の過程はM期を終結させ、次の細胞周期の間期の始まりを記す。M期の完了によって生じた娘細胞は新たな周期の間期が始まる。
【0049】
“分裂期細胞周期阻害剤”とは、細胞周期の分裂(M)期の何れかの段階を細胞が経過することを阻害する作用機構をもつ化学薬品を意味する。
【0050】
“トポイソメラーゼ阻害剤”とは、トポイソメラーゼの機能を妨害する作用機構をもつ化学薬品を意味する。
【0051】
“トポイソメラーゼ”とは、DNA二本鎖の片方又は両方の鎖に一時的切断をもたらすことによってDNAを一つのトポロジー形態から別のトポロジー形態へ転換するのを触媒する酵素を意味する。
【0052】
“トポロジー異性体”は、スーパーコイルの状態のみが異なる分子である。I型トポイソメラーゼはDNAの一方の鎖だけを切断して負のスーパーコイルDNAを緩めるが、正のスーパーコイルDNAには作用しない。II型トポイソメラーゼはDNAの両方の鎖を切断してDNA中の負のスーパーコイルの度合を増加させる。
【0053】
化学
単独で又はその他の用語と共に使用する“アルケニル”なる用語は、特に断りのない限り、指定された数の炭素原子を有し、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合をもつ安定な直鎖、分枝鎖又は環式の炭化水素基を意味する。例えば、ビニル、プロペニル(アリル)、クロチル、イソペンチル、ブタジエニル、1,3−ペンタジエニル、1,4−ペンタジエニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル及びより高級な同族体及び異性体が挙げられる。アルケンから誘導される二価の基は、−CH=CH−CH2−によって例示される。
【0054】
それ自体又は別の置換基(例えば、アルコキシ、ハロアルキル又はアミノアルキル)の一部としての“アルキル”なる用語は、特に断りのない限り、指定された数(すなわち、C1〜C6は1〜6個の炭素を意味する。)の炭素原子を有する飽和炭化水素基を意味し、直鎖、分枝鎖、環式及び多環式の基が含まれる。例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ノルボルニル及びシクロプロピルメチルが挙げられる。最も好ましいのは(C1〜C3)アルキル、特にエチル、メチル及びイソプロピルである。
【0055】
置換アルキル又はアルケニルとは、上で定義したアルキル又はアルケニルが、ハロゲン、−OH、−O(C1−C4)アルキル、−NH2、−N(CH32、−CO2H、−CO2(C1−C4)アルキル、−CF3、−CONH2、−SO2NH2、−C(=NH)NH2、−CN及び−NO2よりなる群から選択される1つ、2つ又は3つの置換基によって、好ましくはハロゲン、−OH、−NH2、−N(CH32、トリフルオロメチル及び−CO2Hよりなる群から選択され、より好ましくはハロゲン及び−OHよりなる群から選択される1つ又は2つの置換基によって置換されていることを意味する。置換アルキルの例には、限定的ではないが、2,2−ジフルオロプロピル、2−カルボキシシクロペンチル及び3−クロロプロピルが挙げられる。
【0056】
単独で又は別の置換基の一部として使用する“アルキレン”なる用語は、特に断りのない限り、二価の直鎖状、分枝状又は環状の炭化水素基を意味する。
【0057】
単独で又はその他の用語と共に使用する“アルコキシ”なる用語は、特に断りのない限り、分子の残部に酸素原子を介して結合している指定された数の炭素原子を有するアルキル基(上の定義の通り。)を意味する。例えば、メトキシ、エトキシ、1−プロポキシ、2−プロポキシ(イソプロポキシ)及びより高級な同族体及び異性体が挙げられる。好ましいのは(C1〜C3)アルコキシ、特にエトキシ及びメトキシである。
【0058】
“アミン”又は“アミノ”なる用語は一般式−NRR’(式中、R及びR’は独立して水素又はヒドロカルビル基から選択されるか、或いは、R及びR’は結合してヘテロ環を形成する。)で表される基を指す。アミノ基の例には、−NH2、メチルアミノ、ジエチルアミノ、アニリノ、ベンジルアミノ、ピペリジニル、ピペラジニル及びインドリニルが挙げられる。
【0059】
“芳香族”なる用語は、芳香族性((4n+2)個の非局在化したπ(パイ)電子)をもつ1又は2以上のポリ不飽和環を有する炭素環又はヘテロ環を指す。
【0060】
単独で又はその他の用語と共に使用する“アリール”なる用語は、特に断りのない限り、1又は2以上(典型的には、1、2又は3つ)の環を有する炭素環式芳香族系を意味する。環はビフェニルのようにペンダント状に結合していてよく、又はナフタレンのように縮合していてもよい。例えば、フェニル、アントラシル及びナフチルが挙げられる。フェニル及びナフチルが好ましく、フェニルが最も好ましい。
【0061】
“アリール−(C1−C3)アルキル”なる用語は、1〜3個の炭素を有するアルキレン鎖がアリール基に結合している基を意味し、例えば、−CH2CH2−フェニルである。アリール(CH2)−及びアリール(CH(CH3))−が好ましい。“置換アリール−(C1−C3)アルキル”なる用語は、アリール基が置換されたアリール−(C1−C3)アルキル基を意味する。置換アリール(CH2)−が好ましい。同様に、“ヘテロアリール(C1−C3)アルキル”なる用語は、1〜3個の炭素をもつアルキレン鎖がヘテロアリール基に結合している基を意味し、例えば、−CH2CH2−ピリジルである。ヘテロアリール(CH2)−が好ましい。“置換ヘテロアリール−(C1−C3)アルキル”なる用語は、ヘテロアリール基が置換されたヘテロアリール−(C1−C3)アルキル基を意味する。
【0062】
それ自体又は別の置換基の一部としての“アリーレン”なる用語は、特に断りのない限り、二価のアリール基を意味する。二価のフェニル基、特に1,4−二価のフェニル基が好ましい。
【0063】
“シクロアルキル”なる用語は、環を有するアルキル基を指す。例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロプロピルメチル及びノルボルニルが挙げられる。
【0064】
それ自体又は別の置換基(例えばハロアルキル)の一部としての“ハロ”又は“ハロゲン”なる用語は、特に断りのない限り、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素原子、好ましくは、フッ素、塩素又は臭素、より好ましくは、フッ素又は塩素を意味する。
【0065】
“ハロアルキル”なる用語は、特に断りのない限り、少なくとも1個のハロゲン置換基を有し、ハロゲン以外の置換基を有しない先に定義したアルキル基を意味する。複数のハロゲン置換基(最大でアルキル基上の置換可能なすべての水素が置換される。)は、同一でも異なっていてもよい。
【0066】
単独で又はその他の用語と共に使用する“ヘテロアルキル”なる用語は、特に断りのない限り、指示された数の炭素原子と、O、N及びSよりなる群から選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子とから構成される安定な直鎖又は分枝鎖の基を意味する。硫黄ヘテロ原子は随意的に酸化されてよく、窒素ヘテロ原子は随意的に4級化又は酸化されてもよい。ヘテロ原子はヘテロアルキル基の任意の場所に配置することができ、例えば、ヘテロアルキル基の残部と該ヘテロアルキル基が結合する断片との間に配置することができ、ヘテロアルキル基中の最末端の炭素原子に結合されていてもよい。具体例としては、−O−CH2−CH2−CH3、−CH2−CH2CH2−OH、−CH2−CH2−NH−CH3、−CH2−S−CH2−CH3、及び−CH2CH2−S(=O)−CH3が挙げられる。例えば、−CH2−NH−OCH3、又は−CH2−CH2−S−S−CH3のように、最大で2個のヘテロ原子が連続することができる。
【0067】
単独で又はその他の用語と共に使用する“ヘテロアルケニル”なる用語は、特に断りのない限り、指示された数の炭素原子と、O、N及びSよりなる群から選択される1又は2個のヘテロ原子とから構成される安定な直鎖又は分枝鎖の単不飽和又は二不飽和炭化水素基を意味する。窒素及び硫黄原子は随意的に酸化されてよく、窒素ヘテロ原子は随意的に4級化されてもよい。最大で2個のヘテロ原子が連続することができる。具体例としては、−CH=CH−O−CH3、−CH=CH−CH2−OH、−CH2−CH=N−OCH3、−CH=CH−N(CH3)−CH3、及び−CH2−CH=CH−CH2−SHが挙げられる。
【0068】
それ自体又は別の置換基の一部としての“ヘテロ環”又は“ヘテロ環式”又は“ヘテロ環式の”とは、特に断りのない限り、炭素原子と、O、N及びSよりなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子とから構成される非置換又は置換の安定な単環式又は多環式のヘテロ環系を意味する。窒素及び硫黄ヘテロ原子は随意的に酸化されてよく、窒素原子は随意的に4級化されてもよい。ヘテロ環系は、特に断りのない限り、安定な構造を与える任意のヘテロ原子又は炭素原子のところで結合することができる。
【0069】
“ヘテロアリール”又は“ヘテロ芳香族”とは芳香族性を有するヘテロ環を指す。単環式のヘテロアリール基は5−、6−又は7員環であり、例えば、ピローリル、フリル、チエニル、ピリジル、ピリミジニル及びピラジニルである。多環式のヘテロアリールは複数の芳香環を有することができ、或いは、部分的に飽和した1又は2以上の環を含有することができる。部分的に飽和した環を含有する多環式のヘテロアリール基の例には、テトラヒドロキノリル及び2,3−ジヒドロベンゾフリルが挙げられる。式Iの化合物に関しては、環A又は環B上の結合部位は単環式芳香環、又は多環式芳香環の環成分(それ自体芳香環である。)の一部の原子上にあることが理解される。
【0070】
非芳香族ヘテロ環の例には、アジリジン、オキシラン、チイラン、アゼチジン、オキセタ、チエタン、ピロリジン、ピロリン、イミダゾリン、ピラゾリジン、ジオキソラン、スルホラン、2,3−ジヒドロフラン、2,5−ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン、チオフェン、ピペリジン、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン、1,4−ジヒドロピリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、ピラン、2,3−ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、ホモピペラジン、ホモピペリジン、1,3−ジオキセパン、4,7−ジヒドロ−1,3−ジオキセピン及びヘキサメチレンオキシドのような単環が挙げられる。
【0071】
ヘテロアリール基の例には、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル(特に2−及び4−ピリミジニル)、ピリダジニル、チエニル、フリル、ピロリル(特に2−ピロリル)、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル(特に3−及び5−ピラゾリル)、イソチアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、テトラゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、及び1,3,4−オキサジアゾリルが挙げられる。
【0072】
多環式ヘテロ環の例には、インドリル(特に3−,4−,5−,6−及び7−インドリル)、インドリニル、キノリル、テトラヒドロキノリル、イソキノリル(特に1−及び5−イソキノリル)、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリル、シンノリニル、キノキサリニル(特に2−及び5−キノキサリニル)、キナゾリニル、フタラジニル、1,8−ナフチリジニル、1,4−ベンゾジオキサニル、クマリン、ジヒドロクマリン、ベンゾフリル(特に3−,4−,5−,6−及び7−ベンゾフリル)、1,5−ナフチリジニル、2,3−ジヒドロベンゾフリル、1,2−ベンズイソキサゾリル、ベンゾチエニル(特に3−,4−,5−,6−及び7−ベンゾチエニル)、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル(特に2−ベンゾチアゾリル及び5−ベンゾチアゾリル)、プリニル、ベンズイミダゾリル(特に2−ベンズイミダゾリル)、ベンズトリアゾリル、チオキサンチニル、カルバゾリル、カルボリニル、アクリジニル、ピロリジジニル、及びキノリジジニルが挙げられる。
【0073】
それ自体又は別の置換基の一部としての“ヘテロアリーレン”なる用語は、特に断りのない限り、二価のヘテロアリール基を意味する。5−又は6−員の単環式ヘテロアリーレンが好ましい。ピリジン、ピペラジン、ピリミジン、ピラジン、フラン、チオフェン、ピロール、チアゾール、イミダゾール及びオキサゾールよりなる群から選択される二価のヘテロアリール環を有するヘテロアリーレン部分がより好ましい。
【0074】
本発明の化合物に関し、芳香環又はヘテロ芳香環がある部位に結合し、該環は部分的に飽和した多環式系を構成するときは、該芳香環又はヘテロ芳香環上の結合部位は多環式系の芳香環成分の環を構成する原子上にある。例えば、部分的に飽和したヘテロ芳香環である1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンでは、結合部位は5−,6−,7−及び8−位の環を構成する原子である。
【0075】
上で列挙したヘテロ環及びヘテロアリール部分は代表例であって、限定的ではない。
【0076】
“ヒドロカルビル”なる用語は水素及び炭素原子のみをもつ任意の部分である。好ましいヒドロカルビル基は(C1−C12)ヒドロカルビルであり、(C1−C7)ヒドロカルビルがより好ましく、ベンジル及び(C1−C6)アルキルが最も好ましい。
【0077】
“カルボキシ末端結合ペプチジル残基”なる表現は、式Iの分子上の置換基としてのペプチド基を指す。この基は、以下のスキーム1の代表例に示すように、ペプチジル残基のカルボキシル官能性を通じて結合してカルボキサミド又はカルボン酸エステルを形成する。
【化1】

【0078】
アミノ末端結合ペプチジル残基をもつアミノ酸残基は天然若しくは非天然のアミノ酸又はそれらの組み合わせを有することができる。非天然アミノ酸は20種類の必須アミノ酸以外のアミノ酸である。非天然アミノ酸の一例はD−アミノ酸、すなわち、天然のL−アミノ酸の立体化学とは反対の立体化学をもつアミノ酸である。非天然アミノ酸の別の一例は天然のアミノ酸における側鎖とは異なる側鎖をもつアミノ酸(例えば、α−エチルグリシン又はα−フェニルグリシン)である。第三の例は主鎖変異アミノ酸である。主鎖変異アミノ酸の例にはβ−アラニン及びFreidingerのラクタムのようなβ−ターン擬似化合物が挙げられる。非天然アミノ酸の第四の例は、2個のα−置換基をもつアミノ酸(例えば、α,α−ジメチルグリシン)である。
【0079】
カルボキシ末端結合ペプチジル残基のアミノ末端は非置換又は置換のアミノ基とすることができる。アミノ末端の置換基には、モノ−及びジ−(C1−C6アルキル)、−C(=O)(C1−C6アルキル)、−C(=O)O(C1−C7)ヒドロカルビル、及び一般に用いられる窒素保護基(例えば、t−ブトキシカルボニル(BOC)、カルボベンキシロキシ(CBZ)、2,4−ジメトキシベンジル及びFMOC)が挙げられる。
【0080】
“アミノ末端結合ペプチジル残基”なる表現は、式Iの化合物の置換基としてのペプチド基を指す。この基は、以下のスキーム2の代表例に示すように、ペプチジル残基の末端アミノ官能性を通じて結合してカルボキシアミド、スルホンアミド、尿素又はチオ尿素を形成する。
【化2】

【0081】
アミノ末端結合ペプチジル残基のカルボキシ末端は遊離したカルボキシル基若しくはその塩とすることができ、又は、エステル若しくはアミドに誘導することができる。好適なエステルにはアルキル、アリール及びアリールアルキルのエステルが挙げられる。好適なアミドには、第1級アミド、並びに(C1−C3)アルキル、好ましくはメチル又はエチル;アリール、好ましくはフェニル;及びアリール(C1−C3)アルキル基、好ましくはベンジル又は置換ベンジルよりなる群から選択される1個又は2個の窒素置換基を有する第2級アミド及び第3級アミドが挙げられる。
【0082】
カルボキシ末端結合ペプチジル残基と同様に、アミノ末端結合ペプチジル残基をもつアミノ酸も天然若しくは非天然のアミノ酸又はそれらの組み合わせを有することができる。
【0083】
“(Cx−Cy)パーフルオロアルキル”(x<y)なる用語は、最小でx個の炭素原子、最大でy個の炭素原子をもつアルキル基であって、すべての水素原子がフッ素原子に置換されているものを意味する。(C1−C6)パーフルオロアルキルが好ましく、(C1−C3)パーフルオロアルキルがより好ましく、CF3が最も好ましい。
【0084】
“トリフルオロ(Cx−Cy)アルキル”なる用語は、最小でx個の炭素原子、最大でy個の炭素原子をもつアルキル基であって、末端炭素(−CH3)上の3個の水素原子がフッ素原子に置換されているものを意味する。例としては、−CH2CF3、−(CH22−CF3及び−CH(CH3)−CF3が挙げられる。
【0085】
“ジフルオロ(Cx−Cy)アルキル”なる用語は、最小でx個の炭素原子、最大でy個の炭素原子をもつアルキル基であって、1個の炭素上で2個のフッ素原子に置換されているものを意味する。フッ素で置換される炭素は、末端CH3及び隣接炭素(これを通じてジフルオロ(Cx−Cy)アルキルは分子の残部に結合する)を含め、少なくとも2個の置換可能な水素をもつ鎖中の任意の炭素とすることができる。例としては、−CH2CF2H、−(CH22−CF2H及び−CF2−CH3及び3,3−ジフルオロシクロヘキシルが挙げられる。
【0086】
“置換”なる用語は、ある原子又は原子団が、別の原子団に結合する置換基として水素の代わりとなることを意味する。アリール及びヘテロアリールに関しては、“置換”なる用語は、許容される場合には任意の置換レベル、すなわち、モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−、又はペンタ置換を指す。置換基は独立して選択され、置換は化学的にアクセス可能な任意の位置とすることができる。
【特許文献1】米国特許第6,599,932号明細書
【特許文献2】米国特許第6,576,675号明細書
【特許文献3】米国特許第6,548,553号明細書
【特許文献4】米国特許第6,541,475号明細書
【特許文献5】米国特許第6,486,210号明細書
【特許文献6】米国特許第6,414,034号明細書
【特許文献7】米国特許第6,359,013号明細書
【特許文献8】米国特許第6,201,154号明細書
【特許文献9】米国特許第6,656,973号明細書
【特許文献10】米国特許第6,762,207号明細書
【非特許文献1】「Thompson et al., Cancer Research, 1997, Jan. 15; 57(2), pg. 267-271」
【非特許文献2】「S. M. Fischer, Frontiers in Bioscience, 2, pg. 482-500, (1997)」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0087】
本発明の課題の一つは、化合物、医薬組成物及び治療方法を提供することである。生物学的に活性な化合物はα,β−不飽和スルホキシド及びその塩の形態にある。
【0088】
本発明の課題の一つは、癌及びその他の増殖性疾患の治療及び/又は予防のための化合物、組成物及び方法を提供することである。
【0089】
本発明の課題の一つは、治療上有用な濃度にて腫瘍細胞を選択的に殺す化合物を提供することである。
【0090】
本発明の課題の一つは、新生細胞のアポトーシスを選択的に誘発するための化合物、組成物及び方法を提供することである。
【0091】
本発明の更なる課題の一つは、増殖性疾患の予防的治療を可能にする化合物、組成物及び方法を提供することである。
【0092】
本発明の更なる課題の一つは、電離放射線に被曝した、将来被曝する予定の、又は被曝の危険性がある個体中の正常細胞及び組織を電離放射線の被曝による細胞毒性及び遺伝的影響から防護するための化合物、組成物及び方法を提供することである。
【0093】
電離放射線の被曝は、癌及びその他の増殖性疾患の治療中に制御された線量で生じることがあり、又は高い危険性を伴う活動中に若しくは環境被曝によって一般人に通常許容される線量を超えた制御されていない線量で生じることがある。
【0094】
本発明の課題の一つは、癌及びその他の増殖性疾患の治療に使用される化学療法薬(とりわけ分裂期細胞周期阻害剤及びトポイソメラーゼ阻害剤)の細胞毒性副作用から個体を防護するための組成物及び方法を提供することである。
【0095】
本発明の課題の一つは、正常細胞に対する細胞毒性効果を減少又は排除する癌又はその他の増殖性疾患の治療方法を提供することである。
【0096】
本発明の課題の一つは、癌又はその他の増殖性疾患の治療に使用される化学療法薬(とりわけ分裂期細胞周期阻害剤及びトポイソメラーゼ阻害剤)の効果を高めることである。
【0097】
本発明の課題の一つは、細胞防護化合物を化学療法薬の投与前に投与することを含む癌又はその他の増殖性疾患を治療するための治療プログラムを提供することである。該細胞防護化合物は非腫瘍組織の可逆的サイクル休止状態を誘発する。
【0098】
本発明の課題の一つは、癌及びその他の増殖性疾患の治療に使用される化学療法薬(とりわけ分裂期細胞周期阻害剤及びトポイソメラーゼ阻害剤)の用量を安全に増加させる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0099】
一側面において、本発明は式Iで表される新規化合物:
【化3】

(式中、
Aは置換若しくは非置換のアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールであり;
Bは置換若しくは非置換のアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールであり(但し、A及びBが共にフェニルのときはA又はBの少なくとも一方は置換されている。);
nは0又は1であり;
1は−H;−(C1−C8)ヒドロカルビル、好ましくは−(C1−C6)アルキル、より好ましくは−(C1−C6)アルキル、最も好ましくは−CH3又は−C25;−CN;−CO2(C1−C6)アルキル、好ましくは−CO2(C1−C4)アルキル、最も好ましくは−CO2CH3、−CO2(エチル)又は−CO2(t−ブチル);或いは、ハロ(C1−C6)アルキル、好ましくはトリフルオロ(C1−C6)アルキル又はジフルオロ(C1−C6)アルキル、より好ましくはトリフルオロ(C1−C3)アルキル又はジフルオロ(C1−C3)アルキル、最も好ましくは−CF3又は−CHF2であり;
炭素−炭素二重結合上の置換基の配置はE−又はZ−であり;
スルホキシドの硫黄原子上の置換基の配置はR−、S−、又はR−とS−の任意の混合であり;
*は、R1が−H以外のときは、指定された炭素原子上の置換基の配置はR−、S−又はR−とS−の任意の混合であることを示す。)
に従う化合物又は該化合物の塩を指向する。
【0100】
幾つかの実施形態によれば、A及びBは独立して置換及び非置換のアリールよりなる群から選択される。
【0101】
他の実施形態によれば、A及びBは独立して置換及び非置換のヘテロアリールよりなる群から選択される。
【0102】
更に他の実施形態によれば、Aは置換若しくは非置換のアリールで、Bは置換若しくは非置換のヘテロアリールである。
【0103】
更に他の実施形態によれば、Bは置換若しくは非置換のアリールで、Aは置換若しくは非置換のヘテロアリールである。
【0104】
幾つかの実施形態によれば、スルホキシドの硫黄原子上の置換基の配置はR−及びS−のラセミ混合物である。
【0105】
幾つかの実施形態によれば、*で指定された炭素原子上の置換基の配置はR−及びS−のラセミ混合物である。
【0106】
幾つかの実施形態によれば、nは1である。
【0107】
幾つかの実施形態によれば、R1は−Hである。
【0108】
幾つかの下位の実施形態によれば、式Iの化合物は式Ie:
【化4】

(ここで、炭素−炭素二重結合の二個の炭素上の置換基の配置はE−である。)
の化合物である。
【0109】
他の下位の実施形態によれば、式Iの化合物は式Iz:
【化5】

(ここで、炭素−炭素二重結合の二個の炭素上の置換基の配置はZ−である。)
の化合物、又は該化合物の塩であり、好ましくは該化合物の薬学的に許容される塩である。
【0110】
A及びBを構成する置換のアリール及びヘテロアリール基に対する置換基は、好ましくは独立して、ハロゲン;−(C1−C8)ヒドロカルビル、好ましくは−(C1−C6)アルキル、より好ましくは−(C1−C3)アルキル、最も好ましくは−CH3及び−C25;−C(=O)R2;−NR22;−NHC(=O)R3;−NHSO23;−NHR4;−NHCR24C(=O)R6;−NHSO23;−C(=O)OR2;−C(=O)NHR2;−NO2;−CN;−OR2;−P(=O)(OH)2;ジメチルアミノ(C2−C6アルコキシ);−NHC(=NR2)NHR2;−(C1−C6)ハロアルキル、好ましくはトリフルオロ(C1−C6)アルキル及びジフルオロ(C1−C6)アルキル、より好ましくはトリフルオロ(C1−C3)アルキル及びジフルオロ(C1−C3)アルキル、最も好ましくは−CF3及び−CHF2;−(C1−C6)ハロアルコキシ、好ましくはトリフルオロ(C1−C6)アルキル及びジフルオロ(C1−C6)アルキル、より好ましくはトリフルオロ(C1−C3)アルコキシ及びジフルオロ(C1−C3)アルコキシ、最も好ましくは−OCF3及び−OCHF2;並びに−N=CH−R7よりなる群から選択され;
各R2は独立して、−H及び−(C1−C8)ヒドロカルビル、好ましくは−(C1−C6)アルキル、より好ましくは−(C1−C3)アルキル、最も好ましくは−CH3又は−C25よりなる群から選択され;
各R3は独立して、−H;−(C1−C8)ヒドロカルビル、好ましくは−(C1−C6)アルキル、より好ましくは−(C1−C3)アルキル、最も好ましくは−CH3及び−C25;−O(C1−C8)ヒドロカルビル、好ましくは−O(C1−C6)アルキル、より好ましくは−O(C1−C3)アルキル、最も好ましくは−OCH3及び−OC25;置換及び非置換のアリール、好ましくは置換及び非置換のフェニル;置換ヘテロ環式(C1−C3)アルキル;ヘテロアリール(C1−C3)アルキル;−(C2−C10)ヘテロアルキル;−(C1−C6)ハロアルキル、好ましくはトリフルオロ(C1−C6)アルキル又はジフルオロ(C1−C6)アルキル、より好ましくはトリフルオロ(C1−C3)アルキル及びジフルオロ(C1−C3)アルキル、最も好ましくは−CF3及び−CHF2;−CR24NHR5;−N(R22、−(C1−C3)アルキレンNH2;−(C1−C3)アルキレン−N(CH32;−(C1−C3)パーフルオロアルキレン−N(CH32;−(C1−C3)アルキレン−N+(C1−C33;−(C1−C3)アルキレン−N+(CH2CH2OH)3;−(C1−C3)アルキレン−OR2;−(C1−C4)アルキレン−CO22;−(C1−C4)アルキレン−C(=O)ハロゲン;−(C1−C3)アルキレン−C(=O)(C1−C3)アルキル;並びに、−(C1−C4)パーフルオロアルキレン−CO22よりなる群から選択され;
各R4は独立して、−H、−(C1−C6)アルキル、−(CH23−NH−C(NH2)(=NH)、−CH2C(=O)NH2、−CH2COOH、−CH2SH、−(CH22C(=O)−NH2、−(CH22COOH、−CH2−(2−イミダゾリル)、−(CH24−NH2、−(CH22−S−CH3、フェニル、−CH2−フェニル、−CH2−OH、−CH(OH)−CH3、−CH2−(3−インドリル)、及び−CH2−(4−ヒドロキシフェニル)よりなる群から選択され;
各R5は独立して、−H及び1〜3個のアミノ酸を含有するカルボキシ末端結合ペプチジル残基(該ペプチジル残基の末端アミノ基は、−NH2;−NHC(=O)(C1−C6)アルキル;−NH(C1−C6)アルキル;−NH(C1−C6アルキル)2及び−NHC(=O)O(C1−C7)ヒドロカルビル、好ましくは−NHC(=O)O(C1−C6)アルキル及び−NHC(=O)O−ベンジルよりなる群から選択される官能基として存在する。)よりなる群から選択され;
各R6は独立して、−OR2及び1〜3個のアミノ酸を含有するN−末端結合ペプチジル残基(該ペプチジル残基の末端カルボキシル基は、−CO22及び−C(=O)NR22よりなる群から選択される官能基として存在する。)よりなる群から選択され;
各R7は独立して、置換及び非置換のアリール、好ましくは置換及び非置換のフェニル;並びに置換及び非置換のヘテロアリールよりなる群から選択される。
【0111】
置換アリールであるR3及びR7上、並びに置換ヘテロアリールであるR7上の置換基はハロゲン、−(C1−C8)ヒドロカルビル、−NH2、−NO2、N−メチルピペラジニル、−OH及び−O(C1−C8)ヒドロカルビルより選択されるのが好ましい。
【0112】
置換ヘテロ環式(C1−C3)アルキルであるR3の置換基は、−(C1−C7)ヒドロカルビル、より好ましくは−(C1−C6)アルキル;−C(=O)(C1−C6)アルキル、より好ましくは−C(=O)(C1−C3)アルキル、最も好ましくはアセチル;並びに−(C1−C6)パーフルオロアルキル、より好ましくは−(C1−C3)パーフルオロアルキル、最も好ましくは−CF3よりなる群から選択されるのが好ましい。
【0113】
式IAの化合物
式Iの化合物の一実施形態によれば、式IA:
【化6】

(式中、
1及びB1は独立してアリール又はヘテロアリールであり;
x及びyは独立して0、1、2、3、4又は5であり(但し、x又はyの最大値はx又はyが結合している環中の置換可能な水素原子の数に等しく、A1及びB1が共にフェニルのときは、x及びyの合計は0よりも大きい。);
各Raは独立して、ハロゲン;−(C1−C8)ヒドロカルビル、−C(=O)R2、−NR22、−NHC(=O)R3、−NHSO23、−NHR4、−NHCR24C(=O)R6、−C(=O)OR2、−C(=O)NHR2;−NO2、−CN、−OR2、−P(=O)(OH)2、ジメチルアミノ(C2−C6アルコキシ)、−NHC(=NH)NHR2、−(C1−C6)ハロアルキル、−(C1−C6)ハロアルコキシ及び−N=CH−R7よりなる群から選択され;
各Rbは独立して、−(C1−C8)ヒドロカルビル、−C(=O)R2、ハロゲン、−NO2、−CN、−OR2、−C(=O)OR2、−NR22、(C1−C6)ハロアルキル及び(C1−C6)ハロアルコキシよりなる群から選択される。)
に従う化合物、又は該化合物の塩、好ましくは該化合物の薬学的に許容される塩が提供される。
【0114】
式IAの化合物の幾つかの実施形態によれば、x及びyの合計は0よりも大きい。
【0115】
式IAの化合物の他の実施形態によれば、x及びyの合計は1よりも大きい。
【0116】
式IAの化合物の更に他の実施形態によれば、x及びyの合計は2よりも大きい。
【0117】
式IAの化合物の更に他の実施形態によれば、x及びyの合計は3よりも大きい。
【0118】
式IAの化合物の幾つかの実施形態によれば、x及びyは共に0よりも大きい。
【0119】
式IAの化合物の他の実施形態によれば、x及びyは共に1よりも大きい。
【0120】
式IAの化合物の更に他の実施形態によれば、x及びyは共に2よりも大きい。
【0121】
A.式IAの化合物の第一実施形態
式IAの化合物の第一実施形態によれば、A1はアリール環である。
【0122】
好ましい化合物には、例えば:(1E)−2−(4−フルオロフェニル)−1−[(ナフチルメチル)スルフィニル]エテン; (1E)−2−(4−クロロフェニル)−1−[(ナフチルメチル)スルフィニル]エテン; (1E)−2−(4−ブロモフェニル)−1−[(ナフチルメチル)スルフィニル]エテン; (1E)−2−(2−ニトロフェニル)−1−[(ナフチルメチル)スルフィニル]エテン; (1E)−2−(3−ニトロフェニル)−1−[(ナフチルメチル)スルフィニル]エテン; (1E)−2−(4−ニトロフェニル)−1−[(ナフチルメチル)スルフィニル]エテン; 及びこれらの塩が挙げられる。
【0123】
1.式IBの化合物
式IAの化合物の第一実施形態の下位の実施形態によれば、式IB:
【化7】

に従う化合物又はその塩が提供される。
【0124】
好ましくは、式IBの化合物に関して、各Raは独立してハロゲン、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、−NO2、−CN、−C(=O)OR2、−OH、−NH2、(C1−C6)トリフルオロアルコキシ及び−CF3よりなる群から選択される。
【0125】
a.式ICの化合物
式IBに従う化合物の下位の実施形態によれば、式IC:
【化8】

に従う化合物又はその塩が提供される。
【0126】
好ましくは、式ICの化合物に関して、各Ra及び各Rbは独立してハロゲン、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、−NO2、−CN及び−CF3よりなる群から選択される。
【0127】
好ましくは、式ICの化合物に関して、炭素−炭素二重結合上の置換基の配置はE−である。
【0128】
好ましくは、式ICの化合物に関して、x及びyは独立して0、1又は2である。
【0129】
好ましくは、式ICの化合物に関して、nは1である。
【0130】
好ましくは、式ICの化合物に関して、R1は−Hである。
【0131】
式ICに従う好ましい化合物には、例えば:(1E)−1−{[(3−アミノ−4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)エタン; (1E)−1−{[(3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)エタン; (1E)−1−{[(4−メトキシ−3−ニトロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)エタン; 2−({[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}−メチル)−2−メトキシフェニル]アミノ}スルホニル)酢酸; 2−{N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}−メチル)−2−メトキシフェニル]カルバモイル}酢酸; [5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]アミノカルボキサミジン; 2−{[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]アミノ}酢酸; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル](3,5−ジニトロフェニル)カルボキサミド; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル](3,5−ジアミノフェニル)カルボキサミド; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]−2−クロロアセトアミド; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]−2−(4−メチルピペラジニル)アセトアミド; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]ベンズアミド; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル](4−ニトロフェニル)カルボキサミド; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル](4−アミノフェニル)カルボキサミド; (1E)−1−[({3−[(1Z)−1−アザ−2−(4−ニトロフェニル)ビニル]−4−メトキシフェニル}メチル)スルフィニル]−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)エテン; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル](2R)−2,6−ジアミノヘキサミド; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル](2R)−2−アミノ−3−ヒドロキシプロパンアミド; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル](2S)−2−アミノ−3−ヒドロキシプロパンアミド; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]アミノアミド; (1E)−1−({[4−メトキシ−3−(メチルアミノ)フェニル]メチル}スルフィニル)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)エテン; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]アセトアミド; [5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル][(2,4−ジニトロフェニル)スルホニル]アミン; [5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル][(2,4−ジアミノフェニル)スルホニル]アミン; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]−2−(ジメチルアミノ)アセトアミド; 2−{[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]アミノ}プロピオン酸; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル][4−(4−メチルピペラジニル)フェニル]カルボキサミド; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]−2−ヒドロキシアセトアミド; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]−2−ピリジルアセトアミド; {N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]カルバモイル}メチルアセタート; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]−2−ヒドロキシプロパンアミド; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]−2−(トリエチルアミノ)アセトアミド; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]−2−[トリス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]アセトアミド; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド; 1−{N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}−メチル)−2−メトキシフェニル]カルバモイル}−イソプロピルアセタート; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]−2,2,2−トリフルオロアセトアミド; [5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル][(トリフルオロメチル)スルホニル]アミン; 3−{N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]カルバモイル}プロピオン酸; 3−{N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}−メチル)−2−メトキシフェニル]カルバモイル}プロパノイルクロリド; 3−[({N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}−メチル)−2−メトキシフェニル]カルバモイル}メチル)オキシカルボニル]プロピオン酸; 4−{N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}−メチル)−2−メトキシフェニル]カルバモイル}ブタン酸; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]−2−(ホスホノキシ)アセトアミド、ジナトリウム塩; 4−{[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]アミノ}ブタン酸; 3−{[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]アミノ}プロピオン酸; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]メトキシカルボキサミド; [5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル][(4−メトキシフェニル)スルホニル]アミン; {N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]カルバモイル}エチル アセタート; メチル−3−{N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]−スルフィニル}−メチル)−2−メトキシフェニル]カルバモイル}プロパノアート; エチル−2−{N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}−メチル)−2−メトキシフェニル]カルバモイル}アセタート; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパンアミド; メチル−2−{N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]−スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]カルバモイル}−2,2−ジフルオロアセタート; 3−{N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}−メチル)−2−メトキシフェニル]カルバモイル}−2,2,3,3−テトラフルオロプロピオン酸; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]−2−アミノアセトアミド; 2−{N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}−メチル)−2−メトキシフェニル]カルバモイル}−2,2−ジフルオロ酢酸; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]−2−(ジメチルアミノ)−2,2−ジフルオロアセトアミド; 4−((1E)−2−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}ビニル)安息香酸; 4−((1E)−2−{[(4−ヨードフェニル)メチル]スルフィニル}ビニル)安息香酸; 4−((1E)−2−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}ビニル)安息香酸; 1−[5−((1E)−2−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}ビニル)−2−フルオロフェニル]−2−(ジメチルアミノ)エタン−1−オン; (1E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3−アミノ−4−フルオロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)エテン; (1E)−2−(4−フルオロフェニル)−1−{[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)−メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(4−クロロフェニル)−1−{[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)−メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(4−ブロモフェニル)−1−{[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)−メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−1−{[(3,4−ジクロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)エテン;
(1E)−1−{[(4−ヨードフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジニトロフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジニトロフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジニトロフェニル)エテン; (1E)−1−{[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジニトロフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−メチル−2,4−ジメトキシフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3,4,5−トリメトキシフェニル)エテン; (1E)−1−{[(2−ニトロ−4,5−ジメトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3,4,5−トリメトキシフェニル)エテン; (1E)−1−{[(2−ニトロ−4,5−ジメトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)エテン; (1E)−1−{[(2−ニトロ−4,5−ジメトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−メチル−2,4−ジメトキシフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,3,4−トリフルオロフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,3,4−トリフルオロフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,6−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,4,5−トリメトキシフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,3,4−トリメトキシフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−ニトロ−4−ヒドロキシ−5−メトキシフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3,4−ジメトキシ−6−ニトロフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3,4−ジメトキシ−5−ヨードフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,6−ジメトキシ−4−フルオロフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,4,6−トリメチルフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,6−ジメトキシ−4−フルオロフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,6−ジメトキシ−4−フルオロフェニル)エテン; (1E)−1−{[(2,4,6−トリメトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)エテン; (1E)−1−{[(2,3,4−トリメトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,6−ジメトキシフェニル)エテン; (1E)−1−{[(3,4,5−トリメトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)エテン; (1E)−1−{[(3,4,5−トリメトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,6−ジメトキシフェニル)エテン; (1E)−1−{[(3,4,5−トリメトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(4−フルオロフェニル)エテン; (1E)−2−(4−フルオロフェニル)−1−({[4−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−スルフィニル)エテン; (1E)−2−(4−クロロフェニル)−1−({[4−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−スルフィニル)エテン; (1E)−2−(4−ブロモフェニル)−1−({[4−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−スルフィニル)エテン; (1E)−1−{[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(4−フルオロフェニル)エテン; (1E)−1−{[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(4−クロロ−フェニル)エテン; (1E)−1−{[(3,4−ジクロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(4−フルオロフェニル)エテン; (1E)−1−{[(3,4−ジクロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(4−クロロ−フェニル)エテン; (1E)−1−{[(3,4−ジクロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(4−ブロモ−フェニル)エテン; (1E)−2−(4−フルオロフェニル)−1−{[(4−ニトロフェニル)メチル]スルフィニル}−エテン; 4−({[(1E)−2−(4−フルオロフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)ベンゼン−カルボニトリル; 4−({[(1E)−2−(4−クロロフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)ベンゼン−カルボニトリル; 4−({[(1E)−2−(4−ブロモフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)ベンゼン−カルボニトリル; (1E)−2−(3,4−ジフルオロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(2,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(2,3−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(4−フルオロフェニル)−1−{[(4−ヨードフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(4−ヨードフェニル)−エテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(4−ヨードフェニル)−エテン; (1E)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(4−ヨードフェニル)−エテン; (1E)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(4−クロロフェニル)−エテン; (1E)−2−(4−ブロモフェニル)−1−{[(4−ヨードフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−1−{[(4−ヨードフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(4−ニトロフェニル)−エテン; (1E)−1−{[(4−ヨードフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2−ニトロフェニル)−エテン; (1E)−2−(4−ヨードフェニル)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−エテン; (1E)−1−{[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(4−ヨードフェニル)−エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニルメチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(2−ニトロフェニル)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}−エテン; (1E)−2−(3−ニトロフェニル)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}−エテン; (1E)−2−(4−ニトロフェニル)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}−エテン; (1E)−2−(2−トリフルオロメチルフェニル)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3−トリフルオロメチルフェニル)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(2−トリフルオロメチル−4−フルオロフェニル)−1−{[(4−フルオロフェニル)−メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(2−ニトロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−エテン; (1E)−2−(3−ニトロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−エテン; (1E)−2−(4−ニトロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−エテン;
(1E)−2−(2−トリフルオロメチルフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3−トリフルオロメチルフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(2−トリフルオロメチル−4−フルオロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)−メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3−メチル−4−フルオロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(2−ニトロフェニル)−1−{[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]スルフィニル}−エテン; (1E)−2−(2−トリフルオロメチル−4−フルオロフェニル)−1−{[(2,4−ジクロロ−フェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(2−ニトロフェニル)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3−ニトロフェニル)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(4−ニトロフェニル)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(2−トリフルオロメチルフェニル)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3−トリフルオロメチルフェニル)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(2−ニトロフェニル)−1−{[(4−シアノフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3−ニトロフェニル)−1−{[(4−シアノフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(4−ニトロフェニル)−1−{[(4−シアノフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(4−フルオロフェニル)−1−{[(4−メチルフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(4−ブロモフェニル)−1−{[(4−メチルフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(2−ニトロフェニル)−1−{[(4−メチルフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3−ニトロフェニル)−1−{[(4−メチルフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(4−ニトロフェニル)−1−{[(4−メチルフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(4−フルオロフェニル)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(4−クロロフェニル)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(4−ブロモフェニル)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(2−ニトロフェニル)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3−ニトロフェニル)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(4−ニトロフェニル)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(4−クロロフェニル)−1−{[(4−ニトロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(4−フルオロフェニル)−1−{[(4−ニトロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン;及びこれらの塩が挙げられる。
【0132】
(i)式ICに従う化合物の好ましい下位の第一実施形態
式ICに従う化合物の好ましい下位の第一実施形態によれば:
aは塩素、フッ素及び臭素よりなる群から選択され、それが結合している環にパラ位で結合し;
xは0又は1であり;
bは塩素、フッ素、臭素、メチル及びメトキシよりなる群から選択され、それが結合している環にオルト位又はパラ位で結合し;
yは0、1、2又は3である;
化合物が提供される。
【0133】
好ましくは、炭素−炭素二重結合上の置換基の配置はE−である。
【0134】
式ICに従う化合物の上記した好ましい下位の実施形態例に従う化合物には、例えば:(1E)−2−(2−クロロフェニル)−1−[ベンジルスルフィニル]エテン; (1E)−2−(4−クロロフェニル)−1−[ベンジルスルフィニル]エテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(4−フルオロフェニル)エテン; (1E)−2−(4−クロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−エテン; (1E)−2−(4−フルオロフェニル)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(4−フルオロフェニル)エテン; (1E)−2−(4−ブロモフェニル)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(4−ブロモフェニル)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(4−クロロフェニル)エテン;及びこれらの塩が挙げられる。
【0135】
(ii)式ICに従う化合物の好ましい下位の第二実施形態
式ICに従う化合物の好ましい下位の第二実施形態によれば:
a及びRbのそれぞれは独立して(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルコキシ、ハロゲン及びニトロよりなる群から選択され、オルト位又はパラ位で環に結合し;
x及びyは独立して0、1、2又は3である、
化合物が提供される。
【0136】
好ましくは、式ICに従う化合物の好ましい下位の第二実施形態に関して、炭素−炭素二重結合上の置換基の配置はZ−である。
【0137】
式ICの化合物の第二の好ましい下位の実施形態に従う化合物には、例えば:(1Z)−2−フェニル−1−[ベンジルスルフィニル]エテン; (1Z)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−フェニルエテン; (1Z)−1−{[(2−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−フェニルエテン; (1Z)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−フェニルエテン; (1Z)−2−(4−クロロフェニル)−1−[ベンジルスルフィニル]エテン; (1Z)−2−(4−クロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−エテン; (1Z)−2−(4−クロロフェニル)−1−{[(2−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−エテン; (1Z)−2−(4−クロロフェニル)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1Z)−2−(4−フルオロフェニル)−1−[ベンジルスルフィニル]エテン; (1Z)−2−(4−フルオロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1Z)−2−(4−フルオロフェニル)−1−{[(2−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1Z)−2−(4−フルオロフェニル)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1Z)−2−(4−ブロモフェニル)−1−[ベンジルスルフィニル]エテン; (1Z)−2−(4−ブロモフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1Z)−2−(4−ブロモフェニル)−1−{[(2−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1Z)−2−(4−ブロモフェニル)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1Z)−2−(4−メチルフェニル)−1−[ベンジルスルフィニル]エテン; (1Z)−2−(4−メチルフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1Z)−2−(4−メチルフェニル)−1−{[(2−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1Z)−2−(4−メチルフェニル)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1Z)−2−(4−フルオロフェニル)−1−{[(4−ヨードフェニル)メチル]スルフィニル}エテン;及びこれらの塩が挙げられる。
【0138】
B.式IAの化合物の第二実施形態
式IAの化合物の第二実施形態によれば、式ID:
【化9】

(式中、B2はヘテロアリール及びアリール(フェニル以外)よりなる群から選択される。)
の化合物又はその塩が提供される。
【0139】
好ましくは、B2はフリル、チエニル、ピロリル、チアゾリル、ピリジル、チエニル−1−ジオキシド、アントリル及びナフチルよりなる群から選択される。
【0140】
好ましくは、式IDの化合物に関して、nは1である。
【0141】
好ましくは、式IDの化合物に関して、R1は−Hである。
【0142】
好ましくは、式IDの化合物に関して、Raは独立してハロゲン、(C1−C3)アルコキシ、−CN、−NO2、及び−CF3よりなる群から選択される。
【0143】
好ましくは、炭素−炭素二重結合上の置換基の配置はE−である。
【0144】
式IAの化合物の下位の第二実施形態に従う好ましい化合物には、例えば:(1E)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2−ピリジル)エテン; (1E)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−ピリジル)エテン; (1E)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(4−ピリジル)エテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2−ピリジル)エテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−ピリジル)エテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(4−ピリジル)エテン; (1E)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2−ピリジル)エテン; (1E)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−ピリジル)エテン; (1E)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(4−ピリジル)エテン; (1E)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2−チエニル)エテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2−チエニル)エテン; (1E)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2−チエニル)エテン; (1E)−2−(4−ブロモ(2−チエニル))−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(5−ブロモ(2−チエニル))−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(5−ブロモ(2−チエニル))−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(5−ブロモ(2−チエニル))−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; 2−((1E)−2−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}ビニル)チオール−1,1−ジオン; 2−((1E)−2−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}ビニル)チオール−1,1−ジオン; 2−((1E)−2−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}ビニル)チオール−1,1−ジオン; (1E)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−チエニル)エテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−チエニル)エテン; (1E)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−チエニル)エテン; (1E)−1−{[(4−ヨードフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−チエニル)エテン; (1E)−1−{[(4−メチルフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−チエニル)エテン; (1E)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−チエニル)エテン; (1E)−1−{[(4−トリフルオロメチルフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−チエニル)−エテン; (1E)−1−{[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−チエニル)−エテン; (1E)−1−{[(3,4−ジクロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−チエニル)−エテン; (1E)−1−{[(4−シアノフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−チエニル)エテン; (1E)−1−{[(4−ニトロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−チエニル)エテン; 3−((1E)−2−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}ビニル)チオール−1,1−ジオン; 3−((1E)−2−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}ビニル)チオール−1,1−ジオン; 3−((1E)−2−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}ビニル)チオール−1,1−ジオン; 3−((1E)−2−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}ビニル)チオール−1,1−ジオン; 3−((1E)−2−{[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]スルフィニル}ビニル)チオール−1,1−ジオン; (1E)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2−フリル)エテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2−フリル)エテン; (1E)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2−フリル)エテン; (1E)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−フリル)エテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−フリル)エテン; (1E)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−フリル)エテン; (1E)−1−{[(4−ヨードフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−フリル)エテン; (1E)−1−{[(4−メチルフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−フリル)エテン; (1E)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−フリル)エテン; (1E)−1−{[(4−トリフルオロメチルフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−フリル)−エテン; (1E)−1−{[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−フリル)エテン; (1E)−1−{[(3,4−ジクロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−フリル)エテン; (1E)−1−{[(4−シアノフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−フリル)エテン; (1E)−1−{[(4−ニトロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−フリル)エテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(1,3−チアゾール−2−イル)−エテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−ピロール−2−イルエテン; (1E)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}−2−ピロール−2−イルエテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(5−ニトロ(3−チエニル))エテン; (1E)−1−{[(4−ヨードフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(5−ニトロ(3−チエニル))エテン; (1E)−1−{[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(5−ニトロ(3−チエニル))エテン; (1E)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(5−ニトロ(3−チエニル))エテン; (1E)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−ナフチルエテン; (1E)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2−ナフチル)エテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−ナフチルエテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2−ナフチル)エテン; (1E)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}−2−ナフチルエテン; (1E)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2−ナフチル)エテン; (1E)−2−(9−アントリル)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(9−アントリル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(9−アントリル)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}エテン;及びこれらの塩が挙げられる。
【0145】
新規合成中間体
本発明は、式Iの化合物の調製に有用な中間体も指向する。従って、式II:
【化10】

(式中、A、n、R1及び*は式Iの化合物における定義と同様である。)
に従う中間化合物又はその塩が提供される。
【0146】
好ましくは、式IIの化合物に関して、Aは非置換のフェニル以外である。
【0147】
式IIの中間体は、例えば、式IIA:
【化11】

(式中、A、n、R1及び*は式Iの化合物における定義と同様である。)
の中間体又はその塩と、
スルフィドをスルホキシドに酸化することのできる酸化剤とを反応させて;
その反応生成物から式IIの化合物を単離すること;
によって調製することができる。
【0148】
式IIAの化合物は、例えば、式IIB:
【化12】

(式中、Lは脱離基である。)の化合物と、
メルカプト酢酸とを反応させて;
その反応生成物から式IIAの化合物を単離すること;
によって調製することができる。
【0149】
本発明の別の一実施形態によれば、式Izのα,β−不飽和スルホキシドの調製に有用な、式IV:
【化13】

(式中、A、B、n、R1及び*は式Iの化合物における定義と同様であり、炭素−炭素二重結合の2個の炭素上の置換基の配置はE−である。)
の中間化合物又はその塩が提供される。
【0150】
好ましくは、式IVの化合物に関して、A及びBは非置換のフェニル以外である。
【0151】
式IVの化合物は、例えば、式IVA:
【化14】

(式中、Q+はアルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属よりなる群から好ましく選択される対イオンである。)
の化合物と、
式IVB:
【化15】

の化合物とを反応させて;
その反応生成物から式IVの化合物を単離すること;
によって調製することができる。
【0152】
式Iの化合物の調整方法
本発明に係る化合物の調整方法を提供する。斯かる一実施形態によれば、式Ie:
【化16】

(式中、A、B、R1及びnは本明細書中で定義した通りである。)
の化合物は、式II:
【化17】

の化合物と、式III:
【化18】

の化合物とを反応させて;
その反応生成物から式Ieの化合物を単離すること;
によって調製される。
【0153】
別の一実施形態によれば、式Izの化合物は、式IV:
【化19】

の化合物と、
スルフィドをスルホキシドに酸化することのできる酸化剤とを反応させて;
その反応生成物から式Izの化合物を単離すること;
によって調製される。
【0154】
式Iに従う化合物が化学的中間体として利用される方法
本発明の別の一実施形態によれば、式Iに従う化合物はα,β−不飽和スルホンの調製中に化学的中間体として利用することができる。
【0155】
斯かる実施形態によれば、式V:
【化20】

(式中、A、B、n、R1及び*は式Iの化合物において定義した通りであり、炭素−炭素二重結合上の置換基の配置はE−又はZ−である。)
の化合物又はその塩が、
(a)本明細書中で定義した式Iの化合物と、スルホキシドをスルホンに酸化することのできる少なくとも1種の酸化剤とを反応させて;
(b)その反応生成物から式Vの化合物を単離すること;
によって調製される。
【0156】
式Iの化合物の医薬組成物
本発明の別の一実施形態によれば、薬学的に許容される担体と、式I:
【化21】

(式中、環A、環B、R1及び*は式Iにおいて上で定義した通りである。)
の化合物又は該化合物の塩とを含む医薬組成物が提供される。
【0157】
本発明の更に別の一実施形態によれば、式I−L−Ab(式中、Iは式Iの化合物であり;Abは抗体であり;−L−は単結合若しくは式Iの化合物を抗体に共有結合させる結合基である。)で表される複合体が提供される。
【0158】
該複合体の下位の実施形態によれば、複合体を形成する式Iの化合物は式Ie、Iz又はIAの化合物である。
【0159】
前記複合体の好ましい下位の実施形態では、抗体(Ab)はモノクローナル抗体又は単一特異的ポリクローナル抗体である。
【0160】
前記複合体のより好ましい下位の実施形態では、抗体(Ab)は腫瘍特異抗体である。
【0161】
薬学的に許容される担体と式I−L−Abに従う少なくとも1種の複合体とを含む医薬組成物が提供される。
【0162】
本発明の更なる実施形態では、β−ラクタマーゼ酵素に対する基質として誘導された式Iの化合物が提供される。
【0163】
治療方法
本発明の別の一実施形態によれば、少なくとも1種の式Iの化合物又は少なくとも1種の式I−L−Abの複合体を、単独で又は薬学的に許容される担体と共に、個体に有効量投与することを含む増殖性疾患(特に癌)の個体を治療する方法が提供される。
【0164】
本発明の更なる実施形態によれば、少なくとも1種の式Iの化合物又は少なくとも1種の式I−L−Abの複合体を、単独で又は薬学的に許容される担体と共に、個体に有効量投与することを含む癌に罹患している個体中の腫瘍細胞のアポトーシスを誘発する方法が提供される。
【0165】
本発明の別の一実施形態によれば、少なくとも1種の式Iの化合物又は少なくとも1種の式I−L−Abの複合体を、単独で又は薬学的に許容される担体と共に、個体に有効量投与することを含む癌に罹患している個体中の腫瘍細胞の成長を抑制する方法が提供される。
【0166】
本発明の別の一実施形態によれば、電離放射線の被曝を受けた又は受ける危険性がある個体中の正常細胞に対する電離放射線の影響を減少又は排除する方法が提供される。該方法は、電離放射線の被曝前又は後に少なくとも1種の式Iの化合物を、単独で又は薬学的に許容される担体と共に、個体に有効量投与することを含む。
【0167】
本発明の別の一実施形態によれば、少なくとも1種の式Iの放射線防護化合物を、単独で又は薬学的に許容される担体と共に、有効量投与することを含む癌又はその他の増殖性疾患の治療に使用される治療用の電離放射線の線量を安全に増加させる方法が提供される。この放射線防護化合物は個体の正常組織中に一時的に放射線抵抗性の表現型を誘発する。
【0168】
本発明の別の一実施形態によれば、電離放射線の被曝によって治療可能な放射線障害を被った、又は被る危険性がある個体を治療する方法が提供される。該方法は、個体が電離放射線の被曝によって治療可能な放射線障害を被った後又は被る前に、少なくとも1種の式Iの放射線防護化合物を、単独で又は薬学的に許容される担体と共に、有効量投与することを含む。
【0169】
本発明の別の一実施形態によれば、
(a)増殖性疾患を罹患している個体の増殖性疾患を治療するため;
(b)癌を罹患している個体中の腫瘍細胞の成長を抑制するため;
(c)癌を罹患している個体中の腫瘍細胞のアポトーシスを誘発するため;
(d)電離放射線の被曝による治療可能な放射線障害を被った又は被る危険性がある個体を治療するため;
(e)電離放射線を被曝した又は被爆する危険性がある個体中の正常細胞に対する電離放射線による影響を減少又は排除するため;
(f)癌又はその他の増殖性疾患の治療に使用される治療用の電離放射線の線量を安全に増させるため;
(g)細胞毒性薬の投与による細胞毒性効果から個体を防護するため;
の薬剤を調整するための、少なくとも1種の式Iの化合物又は少なくとも1種の式I−L−Abの複合体の、単独で又は医薬組成物の一部としての使用が提供される。
【0170】
本発明の別の一実施形態によれば、
(1)少なくとも1種の式Iの化合物又は少なくとも1種の式I−L−Abの複合体を、個体に有効量投与すること;
(2)治療用の電離放射線を有効量投与すること;
を含む増殖性疾患(特に癌)の個体を治療する方法が提供される。
【0171】
本発明の別の一実施形態によれば、
(1)個体の骨髄の一部を取り除くこと;
(2)式Iの放射線防護化合物の少なくとも1種を該取り除いた骨髄に有効量投与すること;
(3)該取り除いた骨髄に電離放射線を有効量照射すること;
を含む個体の骨髄中の悪性細胞の数を減少させる方法が提供される。
【0172】
個体の骨髄中の悪性細胞の数を減少させる上記方法の下位の一実施形態において、該方法は該取り除いた骨髄を照射した骨髄に取り替える工程を更に含む。
【0173】
本発明の別の一実施形態によれば、細胞毒性薬の投与に先立って、式Iの細胞防護化合物の少なくとも1種を個体に有効量投与することを含む細胞毒性薬(特に、分裂期細胞周期阻害剤又はトポイソメラーゼ阻害剤)の投与による細胞毒性副作用から個体を防護するための方法が提供される(ここで、分裂期細胞周期阻害剤又はトポイソメラーゼ阻害剤は式Iの化合物ではない。)。
【0174】
分裂期細胞周期阻害剤には、限定的ではないが、ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン及びビンブラスチン、特にビンクリスチン; タキサン(例えば、パクリタキセル及びパクリタキセルの類似体、特にパクリタキセル;天然マクロライド(例えば、リゾキシン、メイタンシン、アンサマイトシンP−3、フォモプシンA、ドラスタチン10及びハリクロンジンB);コルヒチン及びコルヒチンの誘導体が挙げられる。
【0175】
パクリタキセルは卵巣、乳及び肺癌の初期治療に現在使用されている有糸分裂阻害剤であり、中程度の成功を収めている。ビンクリスチンは乳癌、ホジキンリンパ腫及び小児癌の治療に幅広く使用されている十分に確立された有糸分裂阻害剤である。
【0176】
トポイソメラーゼ阻害剤はトポイソメラーゼI、トポイソメラーゼII又はその両方の阻害剤としてよい。トポイソメラーゼIには、限定的ではないが、アドリアマイシン及びエトポシドが挙げられる。トポイソメラーゼIIには、限定的ではないが、カンプトセシン、イリノテカン、トポテカン及びミトキサントロンが挙げられる。
【0177】
本発明の別の一実施形態によれば、
(1)少なくとも1種の式Iの細胞防護化合物又は少なくとも1種の式I−L−Abの複合体を個体に有効量投与すること;
(2)少なくとも1種の式Iの細胞防護化合物又は少なくとも1種の式I−L−Abの複合体を投与した後に、少なくとも1種の分裂期細胞周期阻害剤又はトポイソメラーゼ阻害剤を有効量投与すること;
を含む増殖性疾患(特に癌)の個体を治療する方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0178】
増殖性疾患の治療
本発明において、α,β−不飽和スルホキシド及びその塩は癌細胞の増殖を選択的に抑制し、正常細胞を殺すことなく(又は殺す数を減少しながら)種々の腫瘍細胞型を殺すと考えられる。正常細胞の成長は一時的に抑制され得るが殺されないような濃度で、腫瘍細胞を殺すと考えられる。
【0179】
本発明の化合物は、癌に罹患している個体(動物及びヒトを含む哺乳動物)に投与することができる。
【0180】
本発明の化合物は、腫瘍細胞の増殖を抑制し、幾つかの化合物は細胞死を誘発すると考えられる。細胞死はアポトーシスの誘発に起因すると考えられる。本化合物は幅広い種類の癌型:例えば、限定的ではないが、卵巣癌、子宮頸癌、乳癌、前立腺癌、睾丸癌、肺癌、腎臓癌、結腸直腸癌、皮膚癌、脳腫瘍及び白血病(急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病及び慢性リンパ性白血病を含む)に対して有効であると考えられる。
【0181】
とりわけ、本発明の化合物、組成物及び治療法によって治療可能な癌には、限定的ではないが:
心臓:肉腫(血管肉腫、繊維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、繊維腫、脂肪腫及び奇形腫;
肺:気管支原性癌(扁平上皮細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞上皮 (細気管支)癌、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨性過誤腫、中皮腫;
胃腸:食道(扁平上皮癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(腺管腺癌、インスリノーマ、グルカゴン産生腫瘍、ガストリン産生腫瘍、カルチノイド、ビポーマ)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経繊維腫、繊維腫)、大腸 (腺癌、腺管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫);
尿生殖路:腎臓(腺癌、ウィルムス腫[腎芽細胞腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱及び尿道(扁平上皮癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、精巣(精上皮腫、奇形腫、胎児性癌、奇形癌、絨毛癌、肉腫、間細胞癌、繊維腫、繊維腺腫、腺腫様腫瘍、及び脂肪腫);
肝臓:肝癌(肝細胞癌)、胆管癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞性腺腫、血管腫;
骨:骨原性線肉腫(骨肉腫)、繊維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫 (細網細胞肉腫)、多発性骨髄腫、悪性骨巨細胞腫脊索腫、骨軟骨腫(骨軟骨性外骨腫)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨腫及び巨細胞腫;
神経系:頭蓋(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽細胞腫、神経膠腫、上衣細胞腫、胚細胞腫[松果体腫]、多型膠芽細胞腫、乏突起細胞腫、神経鞘腫、網膜芽腫、先天性腫瘍)、脊髄神経繊維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);
婦人科:子宮(子宮内膜癌)、子宮頸(子宮頚癌、前腫瘍性子宮頸異形成)、卵巣(卵巣癌[漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、未分類不能癌]、顆粒膜−包膜細胞腫、セルトリ−ライディッヒ細胞、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰(扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、繊維肉腫、黒色腫)、膣(明細胞癌、扁平上皮癌、ブドウ状肉腫[胎児性横紋筋肉腫]、ファロピオ管(癌腫);
血液系:血液(骨髄性白血病[急性及び慢性]、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、脊髄増殖症、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫[悪性リンパ腫]及びヴァルデンストレームマクログロブリン血症;
皮膚:悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮癌、カポジ肉腫、異形成母班、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬; 並びに
副腎:神経芽細胞腫;
が挙げられる。
【0182】
癌は転移性又は非転移性の充実性腫瘍であってもよい。癌は白血病に見られるように、瀰漫性組織としても生じ得る。従って、本明細書において“腫瘍細胞”なる用語には、上で特定した何れかの疾患を罹っている細胞が含まれる。
【0183】
本化合物は非癌性の増殖性疾患、すなわち、良性表示によって特徴づけられる増殖性疾患の治療にも有用であると考えられる。そのような疾患は、異常に高い速度で身体によって作られる点で“細胞増殖性”又は“過増殖性”としても知られている。本発明の化合物によって治療可能であると考えられる非癌性の増殖性疾患には、例えば:新生児血管腫症、二次性進行型多発性硬化症、アテローム性動脈硬化症、慢性進行型骨髄変性疾患、神経繊維腫症、神経節神経腫、ケロイド形成、骨ページェット病、乳房線維嚢胞病、子宮筋腫、Peronies及びDuputren線維症、再狭窄、良性増殖性胸疾患、良性前立腺肥大、X連鎖リンパ増殖疾患(ダンカン病)、移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)、黄斑変性症、及び網膜症(糖尿病性網膜症や増殖性硝子体網膜症(PVR))が挙げられる。
【0184】
本発明の化合物によって治療可能であると考えられるその他の増殖性疾患には、癌性疾患に進行する高い危険性を伴う前癌性リンパ増殖性細胞が挙げられる。多くの非癌性リンパ増殖性疾患がエプスタインバーウイルス(EBV)及びC型肝炎のような潜在的なウイルス感染を伴う。これらの疾患は良性の病変から始まり、時間の関数としてリンパ性新形成へと進行することがしばしばである。
【0185】
本発明のα,β−不飽和スルホキシド化合物を用いた腫瘍細胞の治療は細胞増殖を抑制してアポトーシス細胞死を誘発すると考えられる。
【0186】
放射線防護治療
本発明の化合物は正常細胞及び組織を電離放射線の急性及び慢性被爆による影響から防護するとも考えられる。
【0187】
個体は増殖性疾患を治療するための治療的照射を受けるときに電離放射線に被曝する場合がある。本化合物は異常組織が治療的照射を受けている間に正常細胞を防護する効果があると考えられる。また、本化合物は白血病の放射線治療を行っている間、特に電離放射を用いて自家骨髄移植片から悪性細胞を浄化する際に、正常細胞を防護する効果があると考えられる。
【0188】
本発明によれば、本発明の放射線防護化合物が照射前に投与される限り、治療用の電離放射線は処方された治療コースに整合する如何なるスケジュール及び線量で個体に投与してもよい。治療コースは個体により異なるが、当業者であれば所与の臨床状況にて治療的照射の適切な線量及びスケジュールを容易に決定することができる。
【0189】
化学的防護治療
更に、本発明の化合物は、例えば分裂期細胞周期阻害剤及びトポイソメラーゼ阻害剤のような細胞毒性薬への曝露による影響から正常細胞及び組織を防護する効果があると考えられる。
【0190】
分裂期細胞周期阻害剤
細胞周期は、一連の期間、すなわち、間期及びM(分裂)期の観点から説明されるのが通常である。間期は、S期(合成期)として知られるDNA合成が進行する時期と、S期を分裂期から分離するギャップ期に更に分けられる。G1は分裂後、DNA合成が開始する前のギャップ期であり、G2はDNA合成が完了した後、有糸分裂及び細胞分裂前のギャップ期である。従って、間期は連続的なG1、S、及びG2の期間で構成され、通常は全細胞周期時間の90%以上を占める。M期は核分裂(有糸分裂:mitosis)及び細胞質分裂(cytokinesis)からなる。M期の初期段階で、複製された染色体が間期における伸張した状態から凝縮する。核膜が壊れると、各染色体は移動して姉妹染色分体のペアに分離され、核が分かれていく。次いで、2個の新しい核膜が形成され、細胞質が分かれるとそれぞれ単一の核をもつ2個の娘細胞が生じる。この細胞質分裂の過程はM期を終結させ、次の細胞周期の間期の始まりを記す。M期の完了によって生じた娘細胞については新たな周期の間期が始まる。
【0191】
分裂期細胞周期阻害剤は、細胞周期の分裂(M)期における何れかの段階を細胞が経過するのを阻害する作用機構をもつ化学薬品である。そのような薬品には、例えば、限定的ではないが、パクリタキセル及びその類似体のようなタキサン;ビンクリスチン及びビンブラスチンのようなビンカアルカロイド;コルヒチン;エストラムスチン;並びに、リゾキシン、メイタンシン、アンサマイトシンP−3、フォモプシンA、ドラスタチン10及びハリクロンジンBのような天然マクロライドが挙げられる。
【0192】
パクリタキセルは卵巣、乳及び肺癌の初期治療に現在使用されている有糸分裂阻害剤であり、中程度の成功を収めている。ビンクリスチンは乳癌、ホジキンリンパ腫及び小児癌の治療に幅広く使用されている十分に確立された有糸分裂阻害剤である。
【0193】
トポイソメラーゼ阻害剤
トポイソメラーゼ阻害剤は、トポイソメラーゼの機能を妨害する作用機構をもつ化学薬品である。
【0194】
トポイソメラーゼは、DNA二本鎖の片方又は両方の鎖に一時的切断をもたらすことによってDNAを一つのトポロジー形態から別のトポロジー形態へ転換するのを触媒する一群の酵素で構成される。トポロジー異性体はスーパーコイルの状態のみが異なる分子である。トポイソメラーゼは複製及び転写時のねじり応力を和らげる役割を果たす。トポイソメラーゼはDNAの構造は変更するが、配列は変更しない。
【0195】
ヒト中には3種類のトポイソメラーゼが報告されている。それらはトポイソメラーゼI(91kDaのモノマー)及びトポイソメラーゼII(トポイソメラーゼIIは更に、IIα(170kDaのダイマー)及びIIβ(180kDaのダイマー)に分類される。)である。これらの3種類は三つの別々の染色体上の遺伝子によってコードされる。単純な生物体はトポイソメラーゼIしか有しない。しかしながら、より高等な生物体はこれら3種類のすべてのトポイソメラーゼを有する。トポイソメラーゼIIαはすべての真核生物中に存在する一方で、IIβは脊椎動物中にしか存在せず、そして、増殖よりも細胞の分化により緊密に関連するようである。トポイソメラーゼIIβはIIαと相同性が高い。
【0196】
トポイソメラーゼはDNA分子のホスホジエステルのバックボーンにおける切断及び再結合反応を触媒する作用をもつ。トポイソメラーゼIは二重鎖DNA分子における鎖の一つを可逆的に切断する一方で、トポイソメラーゼIIはDNAの両方の鎖を切断及び再結合する。これらの反応は“切断複合体(Cleavable complexes)”として知られる、一時的な反応中間体を介して進行すると考えられる。ここでは、酵素(又は酵素のサブユニット)はチロシン及びDNA基質バックボーンの切断されたホスホジエステル結合が関与する共有結合を形成する。
【0197】
トポイソメラーゼは癌治療のための重要な化学療法上の標的になっている。カンプトセシン及びその誘導体はトポイソメラーゼI−DNA複合体のレベルで特異的に作用し、DNAの切断を刺激する。β−ラパコンのような薬剤はトポイソメラーゼI−DNA複合体の形成を遮断する作用をもつ。トポイソメラーゼI又はトポイソメラーゼIIα−/IIβ−アイソホーム、或いは3種類のすべてのトポイソメラーゼを標的にすることのできる幾つかの新規化合物が開発されている。トポイソメラーゼIIの阻害は複雑な相互作用のためにより困難であると考えられる。トポイソメラーゼIIの大部分の阻害剤はライゲーション工程を遮断し、DNAと酵素の安定な“切断複合体”を導く。大部分の酵素阻害剤は、酵素の活性部位又は近くのアロステリック部位に結合して正常な基質の反応を遮断する。トポイソメラーゼIIの阻害は二つの部分:すなわち、阻害剤分子の芳香族部分がDNAの塩基対間に挿入される部分と、別のより極性の高い部分がトポイソメラーゼと相互作用する部分が関与する。トポイソメラーゼII阻害剤(例えば、ドキソルビシン及びエトポシド)は、伝統的な競合的阻害剤としてよりも毒として作用するので、これらの作用は細胞中の酵素レベルに依存する。急速に増殖する細胞(これは相対的に高いレベルのトポイソメラーゼIIを含有する。)はこれらの薬剤により感受性が高いと思われる。一方で、分化した細胞はトポイソメラーゼIIのレベルが相対的に低く、これらの阻害剤の作用に対してより抵抗力がある。
【0198】
トポイソメラーゼIの阻害剤には、例えば、アドリアマイシン、エトポシド、β−ラパコン(Calbiochem No.428022)、AG−555(Calbiochem No.112270)、10−ヒドロキシカンプトセシン(Calbiochem No.390238)、AG−1387(Calbiochem No.658520)、レベッカマイシン(Calbiochem No.553700)、ノガラマイシン(Calbiochem No.488200)及びトポテカン(Calbiochem No.614800)が挙げられる。
【0199】
トポイソメラーゼIIの阻害剤には、例えば、カンプトセシン、イリノテカン及びトポテカン、アムサクリン(Calbiochem No.171350)、アウリントリカルボン酸(Calbiochem No. 189400)、ブルネオマイシン(Calbiochem No.571120)、エリプチシン(Calbiochem No.324688)、エピルビシン(Calbiochem No.324905)、エトポシド(Calbiochem No.341205)、ゲニステイン(Calbiochem No.345834)、及びメルバロン (Calbiochem No.445800)が挙げられる。
【0200】
トポイソメラーゼI及びIIの阻害剤には、例えば、アクラルビシン(Calbiochem No.112270)、コンゴシジン(Calbiochem No.480676)、ダウノマイシン(Calbiochem No.251800)、エラグ酸(Calbiochem No.324683)、及びスラミン(Calbiochem No.574625)が挙げられる。
【0201】
本発明のα,β−不飽和スルホキシド
本発明の化合物は正常細胞を保護するのみならず、腫瘍細胞に細胞毒性を示すと考えられる点で他の公知の細胞毒性薬と異なる。正常細胞において、本発明の細胞防護化合物は可逆的な静止状態を誘導し、正常細胞を分裂期細胞周期阻害剤及びトポイソメラーゼ阻害剤の細胞毒性効果に対して比較的抵抗力のある状態にすると考えられる。
【0202】
加えて、如何なる理論によっても拘束されることを望まないが、本発明のスルホキシドは活性な代謝産物へと代謝されることができる。代謝には、限定的ではないが、スルホキシド部分のスルホンへの酸化が挙げられる。抗増殖活性、放射線防護活性及び化学的防護活性を含めたα,β−不飽和スルホンの生物学的活性は米国特許:第6,201,154号、第6,359,013号、第6,414,034号、第6,486210号、第6,541,475号、第6,548,553号、第6,576,675号、第6,599,932号、及びPCT国際公開:WO 02069892A3、WO 03064616A2、WO 03072062A2及びWO 03072063A2に記載されており、これらの全内容を本明細書に援用する。
【0203】
本発明の化合物の環系A及びBは随意的に置換される。式Iの環系A及びB上においては、如何なる置換度も可能である。アリール及びヘテロアリール環のA及びBは好ましくはモノ−、ジ−又はトリ置換であるが、完全に置換されること(すなわち、A及びB上で環を形成するすべての水素が置換基によって置き換えられている。)もできる。
【0204】
式Iの環A及びB上の水素に対する置換パターンは如何なるパターンの置換とすることもできる。例えば、フェニルの環A又はB上では、トリ置換は2,3及び4位、2,4及び5位、3,4及び5位、2,5及び6位、2,4及び6位で置換することができる。同様に、フェニルの環A又はBのテトラ置換のパターンは、例えば、2,3,4及び5位、2,4,5及び6位、又は2,3,5及び6位とすることができる。フェニルの環A又はBのジ置換は、例えば、2及び3位、2及び4位、2及び5位、2及び6位、3及び4位、3及び5位、又は3及び6位とすることができる。
【0205】
また、5員環ヘテロアリールの環A又はB上の置換パターンは、ヘテロアリール環に含まれるヘテロ原子の数及びヘテロアリール環の結合部位を示すことになる。1個のヘテロ原子をもつ5員環のヘテロアリール環上の置換において、該ヘテロアリール環が2位で結合する置換は置換パターンの種類の例である。前記5員環のヘテロアリール環上の置換は、例えば、モノ置換では3、4又は5位、ジ置換では3及び4、3及び5、又は4及び5位とすることができる。
【0206】
フェニルの環A又はBがモノ置換のときは、置換基はオルト−又はパラ−位に位置するのが好ましい。フェニルの環A又はBがジ置換のときは、置換基はオルト−及びパラ−位、又はメタ−及びパラ−位に位置するのが好ましい。
【0207】
幾つかの好ましい実施形態によれば、式Iのアリール又はヘテロアリール環Aのメタ−及びパラ−位が置換される。好ましくは、これらの実施形態において、パラ置換基はハロゲン又は(C1−C6)アルコキシであり、メタ置換基はアミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ又はスルホニルアミノである。
【0208】
“パラ−”、“メタ−”及び“オルト−”なる用語のほかに、環上の置換位置は“付番ルール”によって示すことができる。しかしながら、符番ルールは異なる環系間で一貫しないことが多い。上記の通り、6員の芳香系では、スキーム3に示すように1,4−置換を“パラ”、1,3−置換を“メタ”、1,2−置換を“オルト”とする一般的な命名法によって立体配置が特定される。
【化22】

【0209】
芳香環は本質的に平面上にあるので、これらの表示は幾何学的に連絡し得る6員環上の幾何学的位置を本質的に規定する。すなわち、オルト置換基は参照置換基と60°の平面角を形成することでオルトであると称される。6員環上の幾何学的位置を本質的に規定する。同様に、メタ置換基は120°の平面角を、パラ置換基は180°の角度を規定する。
【0210】
任意の平面環系に対して一般的な方法で置換基のパターンを表すために、オルト−メタ−パラの命名法は6員環の単環に対してのみ適用される。すなわち、5員環の芳香環や二環式環上には“パラ”置換基はない。しかしながら、二つの置換基間の平面角又は平面角範囲の定義は、特定の置換パターンに簡単に連絡させる慣例となっている(特定の置換パターンは関与する特定の環の種類とは無関係である。)。従って、6員芳香環におけるパラ置換基は、他の平面的な単環式又は二環式の環において参照置換基と共に約144°〜約180°の平面角を形成する任意の置換基によく近似する。同様に、6員芳香環におけるメタ置換基は、他の平面的な単環式又は二環式の環において参照置換基と共に約90°〜約144°の平面角を形成する任意の置換基によく近似する。このようにして相互に連絡し得る置換基パターンの幾つかの例をスキーム4に示す。
【化23】

【0211】
幾つかの例では、実角が置換基と参照置換基の間で形成されない。この一例は上の構造(e)で示されるような1−及び5−位で置換されたナフタレン系である。構造(e)では、1−及び5−位の結合によって定められる線間に幾何学的交差が存在しない。しかしながら、この“平行な”結合を角度180°と定義し、6員の平面環のパラ配列に近似させることは合理的である。
【0212】
本発明の化合物の調製
式Iのα,β−不飽和スルホキシドは、通常の技術を有する化学者の能力の範囲内にある合成有機化学の方法によって調製することができる。式Ie及び式Izの化合物はそれぞれ(E)−又は(Z)−オレフィンを調製するのに選択される手順によって調製されるのが好ましい。
【0213】
本発明の(E)−化合物の調製
式Ieの(E)−α,β−不飽和スルホキシドの好ましい調整法の一つは、以下のスキーム5に従う、B−アルデヒド(iv)とA−(CHR1n−スルフィニル酢酸(iii)のクネーフェナーゲル縮合による(ここで、A、B、n及びR1は上述した式Iの定義と同様である)。
【化24】

【0214】
スキーム5によれば、A−(CHR1n−スルフィド酢酸(ii)(nが1の化合物)がチオグリコール酸の適当な塩とA−(CHR1n−Lの化合物(i)の反応によって形成される(ここで、A、n及びR1は上で定義したとおりであり、Lは適当な脱離基である。)。好適なチオグリコール酸塩にはナトリウム及びカリウム塩のようなアルカリ金属塩が挙げられる。(i)に対する適当な脱離基には、例えば、ハロゲン、トシル、ノシル、トリフィル、又はメシルが挙げられる。反応は好ましくは極性溶媒中で、より好ましくは(C1−C4)アルキルアルコール(例えばメタノール)中で行う。反応は好ましくは室温よりも高い温度、より好ましくは50℃を超え、最も好ましくは溶媒の還流温度で行う。
【0215】
スキーム5の式(ii)の化合物(nが0)に関しては、対応するアリール又はヘテロアリールスルフィド酢酸はチオグリコール酸エステルの銅塩(ここで、Rはアルキル基、好ましくは(C1−C6)アルキル、より好ましくは、メチル、エチル又はt−ブチルである。)を式(i)の中間体(nは1)に付加することによって調製することができる。反応は、好ましくは塩基性溶媒(例えば、ピリジン、キノリン若しくはルチジン)中で、又は、極性非プロトン性溶媒(ジメチルホフムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラグリム、N−メチルピロリジノン(NMP)若しくはヘキサメチルホスホルアミド(HMPA))中で、高温にて、好ましくは50℃超で、より好ましくは100℃超で行う。
【0216】
代替的に、スキーム5の式(ii)の化合物(nが0)に関しては、対応するアリール又はヘテロアリールスルフィド酢酸はチオグリコール酸エステル、好ましくは(C1−C6)アルキルエステル、より好ましくは、メチル、エチル又はt−ブチルエステルを、式(i)の中間体(nは0で、Lはハロゲン、好ましくは塩素又は臭素である。)に付加することによって調製することができる。反応は0価のパラジウム又はニッケル触媒、好ましくは空気中で安定なパラジウム触媒、より好ましくは二水素ジクロロ−ビス−(ジ−t−ブチルホスフィニト(P)ジパラダート(2−)[391663−95−7]又は二水素ジ−p−クロロ−テトラキス−(ジ−t−ブチルホスフィニト(P)ジパラダート(2−)[391708−31−8]によって触媒され得る。反応は適当な塩基、好ましくはナトリウム−t−ブトキシドの存在下で行われる。反応は適当な溶媒、好ましくは沸点が50℃超の溶媒、より好ましくはトルエン、キシレン、メシチレン、DMF、NMP、及びTHFよりなる群から選択される溶媒の存在下で行われるのが好ましい。「Li et el., J. Org. Chem., 2001, 66, 8677-8681」及び「Li et el., J. Org. Chem., 2002, 67, 3643-3650」を参照されたい(これらの全開示を本明細書に援用する)。
【0217】
次いで、スキーム5でスルフィド酢酸化合物(ii)は、対応するスルフィニル酢酸化合物(iii)を与える適当な酸化剤で酸化することができる。好適な酸化剤はスルフィドをスルホキシドに選択的に酸化することのできる任意の酸化剤である。例えば、3−クロロ過安息香酸(MCPBA)(Aldrich 27,303−1)及び過酸化モノ硫酸カリウム(Aldrich 22,803−6)が挙げられる。酸化は低温、好ましくは−40℃から0℃で行われるのが好ましい。反応は適当な溶媒中で行われるのが好ましい。適当な溶媒は非極性有機溶媒が好ましく、ハロゲン化溶媒(例えば、ジクロロメタン(DCM))がより好ましい。
【0218】
ベンジルアミン及び氷酢酸の存在下でのクネーフェナーゲル反応を介したB−アルデヒド(iv)と(iii)の縮合によって所望の式Ieの(E)−α,β−不飽和スルホキシドが得られる。
【0219】
以下に、中間体であるスルホニル酢酸(iii)を経由して上のスキーム5に従って、式Ieのα,β−不飽和スルホキシド、すなわち(E)−A−CHR1SOCH=CH−Bを調製するためのより詳細な2パートの合成手順を示す。以下の合成手順ではA及びBが共にフェニルである化合物の合成を示す。しかしながら、これらの手順はアリール及びヘテロアリール環A及びBのその他のものを含む式Iの化合物の代表的な例である。
【0220】
一般的手順1:(E)−α,β−不飽和スルホキシドの合成
ステップA. 置換ベンジルチオ酢酸の合成:
【化25】

【0221】
スキーム6に従い、水酸化ナトリウム(40g、1mol)の冷たい(0℃)メタノール(500mL)溶液へ、チオグリコール酸(46g、0.5mol)を30分かけてゆっくりと加える。反応混合物を撹拌して、約50℃に加温することで、生成した沈殿チオグリコール酸ナトリウムを溶解する。次いで、該溶液を室温に冷却する。反応の発熱性を減じるために、置換塩化ベンジル(80.5g、0.5mol)は少量ずつ加える。次いで、得られた反応混合物を還流温度で2時間加熱した後、室温に冷却して濃塩酸(100mL)を含有するクラッシュドアイス(1kg)上に注ぐ。白色沈殿が生じる。この沈殿物を濾過し、氷冷水で洗浄し、真空乾燥するとベンジルチオ酢酸が得られる。
【0222】
ステップAに対する別法によれば、ベンジルチオ酢酸中間体をスキーム6に示す2ステップ経路によって、チオグリコール酸の代わりにチオグリコール酸エステル(HS−CH2-CO2R)(式中、Rはアルキル基、典型的には(C1−C6)アルキル)を使用することで生成させることができる。このエステル試薬の反応によってアルキルチオアセテート中間体が生成し、これを後に加水分解することで対応するベンジルチオ酢酸が得られる。
【0223】
ステップB. 置換ベンジルスルフィニル酢酸3の合成:
【化26】

【0224】
スキーム7に従い、ベンジルチオ酢酸(10mmol)の冷たい無水ジクロロメタン(DCM)(15mL)溶液へ、MCPBA(20mmol、50%濃度ベース、ランカスター)を加える。反応混合物を約−5℃で6時間撹拌する。沈殿した3−クロロ安息香酸を濾過により除去する。濾液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥して濃縮する。溶媒の除去後、置換ベンジルスルフィニル酢酸を結晶化又はシリカゲルクロマトグラフィにより精製する。
【0225】
ステップC. (E)−置換スチリルベンジルスルホキシド5の合成:
【化27】

【0226】
スキーム8に従い、置換ベンジルスルフィニル酢酸(20mmol)の氷酢酸(20mL)溶液を触媒量のベンジルアミン(0.5mL)の存在下に置換ベンズアルデヒド(20mmol)で処理する。得られた反応混合物を還流温度で6時間加熱した後に、室温に冷却する。冷却後、エーテル(100mL)を該反応混合物に添加する。得られた混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(3×30mL)、重亜硫酸ナトリウム(40mL)、希釈塩酸(40mL)及び水(60mL)で連続的に洗浄する。次いで、エーテル層を無水塩化カルシウム上で乾燥して濃縮する。得られた固体残渣を結晶化又はシリカゲルクロマトグラフィにより精製して式Ie、の(E)−α,β−不飽和スルホキシドを得る。
【0227】
式Izの(Z)−α,β−不飽和スルホキシドの調製
【化28】

【0228】
スキーム9に従い、式Izの(Z)−α,β−不飽和スルホキシドは、適切なチオール塩(v)を随意的に置換されたアリール若しくはヘテロアリールアセチレン(vi)へ求核付加することによって調製するのが好ましい。A、B、n及びR1は上の式Iにおける定義と同様であり、Q+は対イオン、好ましくはアルカリ金属(例えば、ナトリウム、リチウム又はカリウム)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム又はマグネシウム)、又は遷移金属(例えば、亜鉛又は銅)である。この手順は(Z)−スチリルベンジルスルホキシドの製造に関する「Reddy et el., Sulfur Letters 13:83-90 (1991)」に記載されている手順に類似する。Reddy et el.の全開示を本明細書に援用する。
【0229】
次に、このスルフィド中間体(vii)を適当な酸化剤によって酸化する。適当な酸化剤はスルフィドを式Izのスルホキシドに酸化することができるものである。本反応に適当な酸化剤は、(E)−α,β−不飽和スルホキシドの調製においてスルフィド酢酸(ii)のスルホキシド酢酸(iii)への酸化に関して上で記載したもののと同様である。
【0230】
以下に、式Izのα,β−不飽和スルホキシド、すなわち(Z)−A−CHR1SOCH=CH−Bを調製するためのより詳細な2パートの合成手順を示す。以下の手順はA及びBが共にフェニルであるときの例である。しかしながら、以下の手順はアリール及びヘテロアリールの環A及びBのその他のものを含む式Iの化合物の調製に適用可能である。
【0231】
一般的手順2:(Z)−α,β−不飽和スルホキシドの合成
ステップA. 中間体スルフィドの調製:
【化29】

【0232】
スキーム10に従い、(i)ナトリウム460mg(0.02g原子)、(ii)置換若しくは非置換のベンジルメルカプタン(0.02mol)及び(iii)無水アルコール80mLから調製した置換若しくは非置換のナトリウムベンジルチオレートの還流メタノール溶液に、蒸留したばかりの置換若しくは非置換のフェニルアセチレンを加えた。反応混合物を還流温度で20時間加熱した後、室温に冷却してクラッシュドアイス上に注いだ。得られた粗生成物を濾過、乾燥及びメタノール若しくはメタノール水溶液から再結晶すると純粋な(Z)−スチリルベンジルスルフィドが得られる。
【0233】
ステップB. スルフィド8の対応する式Izのスルホキシドへの酸化
【化30】

【0234】
スキーム11に従い、(Z)−α,β−不飽和スルフィド(3.0g)の冷たい無水DCM(30mL)溶液(−5〜−10℃)に、MCPBA(20mmol、50%濃度ベース、ランカスター)を加える。反応混合物を−5℃で6時間撹拌する。沈殿した3−クロロ安息香酸は濾過により除去する。濾液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥して濃縮する。溶媒の除去後、式Iの生成物(Z)−α,β−不飽和スルホキシドを結晶化又はシリカゲルクロマトグラフィにより精製する。
【0235】
α,β−不飽和スルホンを調製する際の中間体としてのα,β−不飽和スルホキシド
スキーム12に示すように、本発明の化合物はα,β−不飽和スルホンを合成する際の新規中間体として利用することができる。
【化31】

【0236】
スキーム12に従い、スルホキシドをスルホンへ酸化することのできる任意の試薬を使用することで、式Iに従うα,β−不飽和スルホキシドは式Vに従う対応するスルホンに酸化することができる。適当な試薬には過酸化水素、メタ−クロロ過安息香酸(MCPBA)のような過酸又はOXONE(過酸化モノ硫酸カリウム)のような過硫酸塩が挙げられる。反応は好適な溶媒の存在下に行われるのが好ましい。適切な溶媒には、例えば、水、酢酸又はジクロロメタン(DCM)のような非極性溶媒が挙げられる。反応は30%過酸化水素(0.12mol)と共に氷酢酸(25mL)中で1〜2時間還流することにより高温(例えば、約30〜約100℃)で実施することができる。反応が完了すると、反応混合物は室温に冷却してクラッシュドアイス上に注ぐことができる。生成物は沈殿することがあるので、その後、濾過により集めて及び適当な溶媒から再結晶することができる。好適な溶媒には水、及び水と1種又は2種以上の水混和性有機溶媒(例えばTHF、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びアセトニトリル)との混合物が挙げられる。
【0237】
複合体を形成するための本発明の化合物の誘導体化
好ましくは、誘導体はカルボン酸誘導体を含む。担体は適切な宿主動物中で免疫反応を生じることができるほどに充分大きい任意の分子を含むことができる。そのような担体の好適な一つはスカシガイヘモシアニン(KLH)である。更に、本発明の化合物の環A又はB上の置換基(例えば、ペプチジル置換基)の構造成分はスチリルスルホンに対して抗体を招集するのに充分な抗原作用を潜在的に提供することができる。抗体、好ましくはモノクローナル抗体及び単一特異性ポリクローナル抗体、及び最も好ましくは腫瘍特異抗体は本発明の化合物に結合することができる。
【0238】
式Iの化合物(式Ie、Iz又はIA)と抗体の間の共有結合基は、最も単純な形態において、式Iの化合物を抗体に連結する単一の共有結合である。より一般には、式Iの化合物は適当な二官能性連結試薬を用いて抗体に結合する。“二官能性連結試薬”なる用語は、スペーサー要素によって連結した二つの反応性部分をもつ分子を一般に指す。ここでは、“反応性部分”なる用語は、抗体及び式Iの化合物上の官能基と反応することにより抗体又は式Iの化合物に結合することのできる化学的官能基を指す。
【0239】
式Iの化合物と抗体の間の結合基として形成される共有結合の一例は、抗体と式Iの化合物(式IのA又はB上の置換基は1又は2以上のシステインアミノ酸を含有するペプチジル部分を含む。)を酸化することにより形成されるジスルフィド結合である。式Iの適当な化合物1mgと所望の抗体0.5当量を0.1%(v/v)の17.5mM酢酸(pH8.4)1.5mL中に溶解させて、その後、窒素、次に0.01MのK2Fe(CN)6で洗浄することによって、システイン残基を酸化してジスルフィド結合を形成することができる。1時間室温でインキュベートした後、ペプチド付加物をHPLCによって精製する。
【0240】
式Iの化合物と抗体の間の結合基として形成される適当な共有結合の別の一例は、本発明の化合物上のアミノ基と抗体(Ab)の一次構造の一部を形成するカルボン酸基(例えば、グルタミン又はアスパラギン酸残基)とを反応させることによって形成されるアミド結合である。或いは、アミド結合は反応部分が逆転しても形成され得る。すなわち、式Iの化合物がカルボン酸官能基を有し、これがAb構造内のアミノ官能基と反応することができる。
【0241】
代替的に、式Iの化合物及び抗体Abは二官能性連結試薬を使用して供給結合させることができる。本発明のそのような一実施形態では、式Iの化合物(式IのA又はB上の置換基はペプチジル部分を有する。)が、二官能性連結試薬を使用して抗体に結合される。
【0242】
例えば、付加物は、「Cheronis et al., J Med. Chem. 37: 348 (1994)」の方法(その全開示を本明細書に援用する。)に従って、抗体及び式Iの化合物のS−(N−ヘキシルスクシンイミド)−改質誘導体を最初に調製することによって調製することができる。N−ヘキシルマレイミド(改質された抗体及び式Iの化合物のための前駆物質)は、「Bodanszky and Bodanszky、“The Practice of Peptide Synthesis; Springer-Verlag”, New York, pp. 29-31 (1984)」(その全開示を本明細書に援用する。)の手順に従って、0℃の飽和NaHCO3中でN−(メトキシカルボニル)マレイミド及びN−ヘキシルアミンの二種類の化合物を混合することで調製する。得られた反応混合物の生成物は酢酸エチル中に抽出することによって単離し、次いで水洗し、NaSO4で乾燥し、その後、真空濃縮するとN−ヘキシルマレイミドが薄い黄色の油として生じる。次いで、S−(N−ヘキシルスクシンイミド)で改質された抗体及び式Iの化合物を、システイン含有ペプチド1部とN−ヘキシルマレイミド1.5部をDMF(3.3mL/mMペプチド)中で混合し、0.1Mの重炭酸アンモニウム30容量部(pH7.5)に添加することによって調製する。このようにして実施されるS−アルキル化反応は30分で完了する。得られるS−(N−ヘキシルスクシンアミド)−改質ペプチドモノマーは予備的な逆相HPLC、次いで凍結乾燥によってふわふわした白色粉として精製する。
【0243】
上のCheronis et al.の方法に従って、ビス−スクシンイミドヘキサンペプチドヘテロダイマー(一方のペプチドは抗体であり、他方のペプチドはA又はB上の置換基がペプチジル部分をもつ式Iの化合物である。)を、システイン−置換ペプチドから調製することができる。ビス−マレイミドヘキサン1部の混合物は、DMF(3.3mL/mMペプチド)中のペプチドモノマー2部を0.1Mの重炭酸アンモニウム(pH7.5)に添加することによって作る。該反応混合物を室温で撹拌すると通常は30分以内で完了する。得られたビス−スクシンイミドヘキサンペプチドダイマーを予備的な逆相HPLCによって精製する。凍結乾燥後、材料はふわふわした白色粉である。
【0244】
式I−L−Abの共有結合付加物はホモ−二官能性連結試薬(二つの反応性部分が同一である。)、例えば、酒石酸ジスクシンイミジル、スベリン酸ジスクシンイミジル、エチレングリコールビス−(コハク酸スクシンイミジル)、1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン(“DFNB”)、4,4’−ジイソチオシアノ−2.2’−ジスルホン酸スチルベン(“DIDS”)、及びビス−マレイミドヘキサン(“BMH”)を利用することによって調製することができる。連結反応はAbとA又はB上の置換基上の少なくとも一部としてペプチジル部分をもつ式Iの化合物との間でランダムに起こる。
【0245】
代替的に、ヘテロ−二官能性連結試薬を用いてもよい。そのような試薬には、例えば、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオナート(“SPDP”)、スルホスクシンイミジル−2−(p−アジドサリシルアミド)エチル−1−3’−ジチオプロピオナート(“SASD”、Pierce Chemical社、ロックフォード、イリノイ州)、N−マレイミドベゾイル−N−ヒドロキシ−スクシンイミジルエステル(“MBS”)、m−マレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(“スルホ−MBS”)、N−スクシンイミジル(4−ヨードアセチル)アミノベンゾアート(“SIAB”)、スクシンイミジル−4−(N−メレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート(“SMCC”)、スクシンイミジル−4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート(“SMPB”)、スルホスクシンイミジル(4−ヨードアセチル)アミノ−ベンゾアート(“スルホ−SIAB”)、スルホスクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(“スルホ−SMCC”)、スルホスクシンイミジル4−(p−マレイミドフェニル)−ブチレート(“スルホ−SMPB”)、ブロモアセチル−p−アミノベンゾイル−N−ヒドロキシ−スクシンイミジルエステル、ヨードアセチル−N−ヒドロキシスクシンイミジルエステル等が挙げられる。
【0246】
ヘテロ−二官能性連結のために、式Iの化合物は、例えば、二官能性連結試薬のN−ヒドロキシスクシンイミジル部分で誘導化して、得られた誘導化合物をクロマトグラフィによって精製する。次に、適当な腫瘍特異Mabを二官能性連結試薬の第二官能基と反応させて、所望される付加物の成分間の結合配列とする。
【0247】
蛋白質−蛋白質複合体を形成するための典型的なヘテロ−二官能性連結剤は一方の官能基としてアミノ反応性N−ヒドロキキシスクシンイミドエステル(NHS−エステル)、他方の官能基としてスルフヒドリル反応性基を有する。第一に、Mab又は式Iの化合物の何れかの表面リシン残基のイプシロン−アミノ基を連結剤のNHS−エステル基でアシル化する。遊離スルフヒドリル基を有する残りの成分は、連結剤のスルフヒドリル反応性基と反応して共有結合ダイマーを形成する。一般的なチオール反応性基には、例えば、マレイミド、ピリジルジスルフィド、及び活性ハロゲンが挙げられる。例えば、MBSはアミノ反応性基としてNHS−エステルを含有し、スルフヒドリル反応性基としてマレイミド部分を含有する。
【0248】
光活性ヘテロ−二官能性連結試薬(例えば、光反応性フェニルアジド)を使用してもよい。そのような試薬の一つであるSASDは、そのNHS−エステル基を介して、Mab又は式Iの化合物(A又はB上の少なくとも一つの置換基はペプチジル部分を有する。)の何れかに結合することができる。複合化反応は室温、pH7で約10分間行われる。連結すべき化合物に対して約1〜約20のモル比の連結剤を使用することができる。
【0249】
結合基(−L−)として有用な多くの二官能性結合基が存在し、これらは小分子をモノクローナル抗体に連結するために特異的に使用されてきた。それらの多くは商業的に入手可能である。例としては、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)−プロピオナート(SPDP)、2−イミノチオラン(2−IT)、3−(4−カルボキシアミドフェニルジチオ)プロピオンチオイミダート(CDPT)、N−スクシンイミジル−アセチルチオアセテート(SATA)、エチル−S−アセチル−プロピオンチオイミダート(AMPT)、及びN−スクシンイミジル−3−(4−カルボキシアミドフェニルジチオ)プロピオナート(SCDP)が挙げられる。上記結合基を用いた免疫複合体の調製手順は「毒素を標的とした抗癌治療II(Toxin-Targeted Design for Anticancer Therapy. II):化学結合した種々のゲロニン−抗体複合体の調製及び生物学的比較(Preparation and Biological Comparison of Different Chemically Linked Gelonin-Antibody Conjugates(Cattel, et al, J. Pharm. Sci., 82:7, p699-704, 1993)」に詳細に記載されている(その全開示を本明細書に援用する。)。
【0250】
本発明の一実施形態によれば、抗体は腫瘍特異抗体、より好ましくは腫瘍特異モノクローナル抗体又は腫瘍特異単一特異性ポリクローナル抗体を含む。
【0251】
モノクローナル抗体は有利なことにタンパク分解酵素によって切断され、抗原結合部位を保持する断片を生じることができる。例えば、中性pHでパパインを用いてIgG抗体のタンパク分解処理を行うと、“Fab”断片と呼ばれる二つの同一の断片が生成する。各断片は重鎖(Fd)の断片に結合した一つの無傷の軽鎖ジスルフィドを有する。各Fab断片は一つの抗原結合部位を有する。IgG分子の残部は“Fc”として知られるダイマーである。同様に、pH4にてペプシンで切断をするとF(ab’)2断片と呼ばれる断片を生じる。
【0252】
上記断片の調整法は当業者に知られている。「Goding, Monoclonal Antibodies Principles and Practice, Academic Press (1983), p. 119-123」を参照されたい。抗原結合部位(例えば、Fab及びF(ab’)2断片)を有する抗DBF−MAFモノクローナル抗体は、低い免疫原性故に、治療用途に好適である。これらの断片は、免疫原性のFc部分を有する無傷の抗体よりも免疫原性が低い。
【0253】
人間の病気を治療する際に、動物起源のモノクローナル抗体を治療上使用する場合の感作の影響は、Fab断片が同一でFc断片が異なるものからできたハイブリッド分子を利用することで、同一の対象に対して以前投与されていたMabにおけるものよりも減少させることができる。本発明のモノクローナル抗体から形成されるそのようなハイブリッド分子は治療に用いられ得ることが企図される。動物/ヒトのキメラ抗体(例えば、マウス/ヒトのキメラ抗体)、又はヒト化(すなわち、CDR−グラフト)抗体を調製することによって、感作の影響は更に低減する。そのようなモノクローナル抗体は可変領域(すなわち、抗原結合部位)と異なる種に由来する不変領域とを有する。
【0254】
キメラ動物−ヒトモノクローナル抗体は周知の慣例的な組換DNA及び遺伝子トランスフェクション技術によって調製することができる。既知の抗原結合特異性のある骨髄細胞株が産生するマウス抗体の可変領域遺伝子を、ヒト免疫グロブリンの定常領域遺伝子と結合する。該遺伝子構造がマウスの骨髄腫細胞にトランスフェクトされると、大部分がヒトであるがマウスに生じる抗原結合特異性を有する抗体が産生される。「Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81, 6851-6855, 1984」によって示されているように、マウスの骨髄腫細胞にトランスフェクトされると、キメラ重鎖V領域エクソン(VH)−ヒト重鎖C領域及びキメラマウス軽鎖V領域エクソン(V*)−ヒト*軽鎖遺伝子の両方が発現し得る。キメラ重鎖及び軽鎖遺伝子の両方が同一の骨髄腫細胞にトランスフェクトされると、無傷のH22キメラ抗体が産生される。V及びC領域遺伝子のゲノムクローンを結合することによってそのようなキメラ抗体を産生するための方法論は、上述した論文「Morrison et al., and by Boulianne et al., Nature 312, 642-646, 1984」に記載されている。また、マウス骨髄細胞へのトランスフェクション後のヒト−マウスのキメラ*鎖のヒト重鎖プロモーターによる高レベル発現の説明については、「Tan et al., J. Immunol. 135, 3564-3567, 1985」も参照されたい。ゲノムDNAを結合することに対する代案として、「Whitte et al., Protein Eng. 1, 499-505, 1987 and Liu et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84, 3439-3443, 1987」に記載されているように、キメラ抗体を産生するために、関連するV及びC領域のcDNAクローンを結合してもよい。
【0255】
キメラ抗体の調製例については、以下の米国特許:第5,292,867号、第5,091,313号、第5,204,244号、第5,202,238号及び第5,169,939号を参照されたい。これらの特許及び先の段落で言及した刊行物の全開示を本明細書に援用する。上記の組み換え技術の何れも齧歯動物/ヒトのキメラ抗DBP−MAFモノクローナル抗体の製造に利用可能である。
【0256】
マウス抗体の免疫原性を更に減少させるために、マウス抗体の最小限必要な部分、すなわち相補性決定領域(CDR)のみがヒトV領域及びヒトC領域と結びついた“ヒト化”抗体が構築されてきた(Jones et al., Nature 321, 522-525, 1986; Verhoeyen et al., Science 239, 1534-1536, 1988; Reichmann et al., 322, 323-327, 1988; Hale et al., Lancet 2, 1394-1399, 1988; Queen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86, 10029-10033, 1989)。これらの論文の全開示を本明細書に援用する。この技術によって、ヒト化抗体中の異種の要素が最小値にまで減少する。齧歯動物の抗原結合部位は、可変領域全体よりもむしろ該抗原結合部位のみを齧歯動物の抗体から移植することによって、ヒトの抗体中に直接構築される。この技術はヒト免疫原性の低い齧歯動物/ヒトのキメラ抗体を製造するのに利用することができる。そのようなモノクローナル抗体、キメラ動物−ヒトモノクローナル抗体、ヒト化抗体及びそれらの抗原結合断片の幾つかが利用可能となっている。
【0257】
幾つかの例としては:サツモマブペンデチド(Satumomab Pendetide)(Cytogen社、TAG−72に対するマウスMab);イゴボマブ(Igovomab)(CIS Bio社,腫瘍関連抗原CA125を標的としたマウスMabのFab2断片);アーシツモマブ(Arcitumomab)(Immunomedics社、ヒト癌胚抗原CEAを標的としたマウスMabのFab断片);カプロマブペンテテート(Capromab Pentetate)(Cytogen社、腫瘍表面抗原PSMAを標的としたマウスMab);テクネマブKI(Tecnemab KI)(Sorin社、HMW−MAAを標的としたマウスMab断片(Fab/Fab2混合)):ノフェツモマブ(Nofetumomab)(Boehringer Ingelheim/NeoRx社、癌関連抗原を標的としたマウスMab断片(Fab));リツキシマブ(Rituximab)(Genentech/IDEC Pharmaceuticals社、Bリンパ球表面上のCD20抗原を標的としたキメラMab);トラスツズマブ(Trastuzumab)(Genintech社、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)を標的としたヒト化抗体);ボツムマブ(Votumumab)(Organon Teknika社、サイトケラチン腫瘍関連抗原を標的としたヒトMab);オンタク(Ontak)(Seragen/Ligand Pharmaceuticals社、表面IL−2受容体を提示する細胞を標的とするIL−2−ジフテリア毒素融合蛋白質);IMC−C225(Imclone社、EGFRに結合するキメラ化モノクローナル抗体);LCG−Mab(Cytoclonal Pharmaceutics社、肺癌遺伝子LCGを標的とするモノクローナル抗体);ABX−EGF(Abgenix社、上皮成長因子受容体(EGFr)に対する完全なヒトモノクローナル抗体);及びエプラツズマブ(Epratuzumab)(Immunomedics社、ヒト化抗CD22モノクローナル抗体)が挙げられる。
【0258】
このように、式Iの化合物は、適当な二官能性結合基(−L−)を介して容易に抗体(好ましくは腫瘍特異モノクローナル抗体(Mab))に共有結合して、一般式I−L−Abの複合体を生じることができる。更に、式Ie、Iz及びIAの化合物は適当な二官能性結合基(−L−)を介して抗体(Ab)、好ましくは腫瘍特異モノクローナル抗体(Mab)に共有結合して、一般式Ie−L−Ab、Iz−L−Ab又はIA−L−Abの複合体を生じることができる。一般式I−L−Abで表される本発明の化合物を調製するための一般的な合成経路をスキーム13に示す。ここでは、
【化32】

は、環A又はB上の置換基の少なくとも一つが−NH2である式Iに従う化合物である。
【化33】

【0259】
本発明の化合物における幾何及び立体異性
E−/Z−異性
本発明のα,β−不飽和スルホキシドはオレフィン二重結合の存在に起因する異性に特徴づけられる。異性は通常シス−トランス異性として参照されるが、より包括的な命名法ではE−及びZ−表示を採用する。本化合物は「Cahn-Ingold-Prelog system, the IUPAC 1974 Recommendations, Section E: Stereochemistry, in Nomenclature of Organic Chemistry, John Wiley & Sons, Inc., New York, NY, 4th ed., 1992, p. 127-138」(その全内容を本明細書に援用する。)に従って命名する。この命名法体系を用いると、二重結合の周りの四つの基は一連の規則に従って優先順位が付けられる。従って、優先度の高い二つの基が二重結合の同じ側にある異性体をZ(“一緒に”を意味するドイツ語の“zusammen”)として表す。優先度の高い二つの基が二重結合の反対側にある他方の異性体は、E(“逆に”を意味するドイツ語の“entgegen”)として表す。従って、炭素−炭素二重結合上の四つの基を、Aを最低ランク、Dを最高ランクとしてA>B>C>Dにランク付けした場合は、異性体はスキーム14のように命名される。
【化34】

【0260】
特に断りのない限り、スキーム15に示される両方の配置及びそれらの混合が“α,β−不飽和スルホキシド”の範囲に包含される。
【化35】

【0261】
B.光学異性
また、本発明は式Iに従う化合物の単離した光学異性体も指向する。キラル中心の存在に起因する異性体には“鏡像異性体”と呼ばれる、重ね合わせることのできない一対の異性体が含まれる。純化合物の単一鏡像異性体は光学的に活性がある、すなわち、平面偏光の平面を回転することができる。単一の鏡像異性体はCahn-Ingold-Prelog法に従って表される。「March, Advanced Organic Chemistry, 4th Ed., (1992), p. 109」を参照されたい。四つの基の優先順位が決定されると、分子は最低ランクの基を観察者から最も離れた位置に置く。次に、その他の基が降順に時計回りであるなら、その分子は(R)として表され、その他の基が降順に反時計回りであるなら、その分子は(S)として表される。スキーム16の例では、Cahn-Ingold-Prelogの順位はA>B>C>Dである。最低ランクの原子Dは観察者から離れた方向に置く。
【化36】

【0262】
式Iのスルホキシドは少なくとも1個のキラル中心(スルホキシドの硫黄原子)をもつ。更に、nが1でR1が水素以外である式Iの化合物は第2のキラル中心をもつ可能性がある。
【0263】
本発明の化合物におけるスルホキシドのキラル中心について、キラル硫黄の周りの最低優先度(空軌道)及び最高優先度(スルホキシドの酸素)は定まっている。従って、本発明の化合物の絶対配置はスキーム17に示すように、スルホキシド基に結合した2個の炭素原子の優先順位に依存する。
【化37】

【0264】
幾つかの化合物は2個以上のキラル中心を有することができる(例えば、nが1であり、R1が−H以外のとき。)。化合物が2個以上のキラル中心をもつときは、スキーム18に例示するようにジアステレオ異性となる。
【化38】

【0265】
本発明はジアステレオ異性体のみならず、それらのラセミ体や分離された、ジアステレオ異性及び鏡像異性に関して純粋な形態並びにそれらの塩をも包含することを意図する。ジアステレオ異性体のペアは、順相及び逆相クロマトグラフィ並びに結晶化を含めた公知の分離技術によって分離することができる。
【0266】
“単離した光学異性体”とは、同一式の対応する光学異性体から実質的に精製された化合物を意味する。単離した異性体は好ましくは約80重量%以上、より好ましくは90重量%以上の純度を有し、更により好ましくは98重量%以上の純度を有し、最も好ましくは99重量%以上の純度を有する。
【0267】
単離した光学異性体は周知のキラル分離技術によってラセミ混合物から精製することができる。そのような方法の一つによれば、式Iの構造を有する化合物のラセミ混合物、又はそのキラルな中間体は、適当なキラルカラム、例えば、DAICEL CHIRALPAKシリーズのカラム(ダイセル化学工業株式会社、東京、日本国)を用いたHPLCによって純度99重量%の光学異性体に分離される。カラムはメーカーの指示に従って操作する。
【0268】
本発明に係る化合物の塩
本発明の化合物は塩の形態を取ることができる。“塩”なる用語は、アルカリ金属塩の形成及び遊離酸若しくは遊離塩基の付加塩の形成のために一般に使用される塩を包含する。“薬学的に許容される塩”なる用語は、医薬用途に有用性を示すための範囲内で毒性プロファイルを有する塩を指す。薬学的に許容されない塩であっても、本発明の実施において有用性(例えば、合成プロセスにおける有用性)のある特性(例えば高結晶性)を有する場合がある。適当な薬学的に許容される酸付加塩は無機酸又は有機酸から調製することができる。そのような無機酸の例は塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸及びリン酸である。好適な有機酸は脂肪酸、脂環酸、芳香族酸、芳香脂肪族酸、ヘテロ環酸、カルボン酸及びスルホン酸から選択することができる。これらの例としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、4-ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモン酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、ステアリン酸、アルギン酸、β−ヒドロキシ酪酸、サリチル酸、ガラクタル酸及びガラクツロン酸がある。薬学的に許容されない酸付加塩には、例えば、過塩素酸塩及びテトラフルオロホウ酸塩が挙げられる。
【0269】
本発明に係る化合物の適当な薬学的に許容される塩基付加塩には、例えば、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム及び亜鉛から作られる金属塩、又はN,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)及びプロカインから作られる有機塩が挙げられる。薬学的に許容されない塩の例には、リチウム塩及びシアン酸塩が挙げられる。上記すべての塩は、対応するα,β−不飽和スルホキシドから慣例手段によって調製することができる。例えば、適切な酸若しくは塩基と式Iの化合物を反応させることによって調製することができる。
【0270】
医薬組成物
本発明のスルホキシドは薬学的に許容される担体と共に医薬組成物の形で投与することができる。そのような処方物中の活性成分は0.1〜99.99重量%とすることができる。“薬学的に許容される担体”とは、処方物のその他の成分と適合性があり、受容者に対して害のない任意の担体、希釈剤又は賦形剤を意味する。
【0271】
本発明の化合物は癌に罹患している個体(動物及びヒトを含めた哺乳動物)に投与することができる。
【0272】
また、本化合物は非癌性の増殖性疾患、すなわち、良性表示によって特徴づけられる増殖性疾患の治療にも有用である。そのような疾患は、異常に高い速度で身体によって作られる点で“細胞増殖性”又は“過増殖性”としても知られている。そのような疾患には、限定的ではないが:新生児血管腫症、二次性進行型多発性硬化症、慢性進行型骨髄変性疾患、神経繊維腫症、神経節神経腫、ケロイド形成、骨ページェット病、乳房線維嚢胞病、Peronies及びDuputren線維症、再狭窄及び硬変が挙げられる。
【0273】
本発明の化合物の投与
本化合物は経口及び非経口投与を含めて何れの経路によって投与してもよい。非経口投与には、例えば、静脈内、筋肉内、動脈内、腹腔内、鼻腔内、直腸、膣内、膀胱内(例えば膀胱)、皮内、局所又は皮下投与が挙げられる。薬物の全身又は局所放出が遅れて生じるように制御された処方にて患者の体内へ薬物を点滴することも本発明の範囲内であることが企図される。例えば、薬物は循環系への制御放出又は腫瘍が成長する局所部位への放出のために貯蔵室中に局在させることができる。
【0274】
活性な薬剤は、選択された投与経路及び標準的な薬務に基づいて選ばれる薬学的に許容される担体と共に投与されるのが好ましい。活性な薬剤は調剤分野の標準的な慣行に従って剤形に処方することができる。「Alphonso Gennaro, ed., Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed., (1990) Mack Publishing Co., Easton, PA」を参照されたい。適当な剤形には、例えば、錠剤、カプセル、溶液、注射液、トローチ、座薬、又は懸濁剤を挙げることができる。
【0275】
非経口投与については、活性な薬剤は、水、油(特に植物油)、エタノール、塩水、水性デキストロース(グルコース)及び関連する糖液、グリセロール、グリコール(例えばプロピレングリコール又はポリエチレングリコール)のような適当な担体又は希釈剤と混合することができる。非経口投与用の溶液は活性な薬剤の水溶性塩を含有するのが好ましい。安定化剤、抗酸化剤及び保存剤を加えてもよい。好適な抗酸化剤には亜硫酸塩、アスコルビン酸、クエン酸及びその塩、EDTAナトリウムが挙げられる。適当な保存剤には塩化ベンザルコニウム、メチル−又はプロピル−パラベン、及びクロルブタノールが挙げられる。非経口投与用の組成物は水性又は非水性の溶液、分散液、懸濁液又はエマルジョンの形態を取ることができる。
【0276】
経口投与については、活性な薬剤は錠剤、カプセル、丸剤、粉末、顆粒及びその他の経口投与に適当な剤形を調製するために1種又は2種以上の不活性な固体成分と混ぜ合わせることができる。例えば、活性な薬剤は充填剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、溶解遅延剤、吸収促進剤、湿潤剤吸収剤又は潤滑剤のような少なくとも1種の賦形剤と混ぜ合わせることができる。錠剤の一具体例によれば、活性な薬剤をカルボキシメチルセルロースカルシウム、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール及び澱粉と混ぜ合わせ、次いで慣例の錠剤化法によって錠剤に成形することができる
【0277】
増殖性疾患に対する治療上の利益を得るための、本発明に係る化合物の具体的な用量は、当然ながら、個々の患者の具体的な事情(例えば、患者の身長、体重、年齢及び性別、増殖性疾患の種類及び段階、増殖性疾患の攻撃性、及び本化合物の投与経路)によって決定されることになる。
【0278】
例えば、一日用量として約0.05〜約50mg/kg/日を利用することができる。これよりも多くの又は少ない用量も企図される。
【0279】
放射線防護
本発明の化合物は更に、電離放射線に被曝した、将来被爆する、及び被爆する危険性のある個体中の正常細胞を放射線被曝による細胞毒性及び遺伝的影響から保護するのに有用であると考えられる。
【0280】
放射線防護による治療上の利益を得るための、本発明に係る化合物の具体的な用量は個々の患者の具体的な事情(例えば、患者の身長、体重、年齢及び性別、電離放射線の種類、線量及び時期、本発明の化合物の投与経路)によって決定されることになる。
【0281】
例えば、一日用量として約0.05〜約50mg/kg/日を利用することができる。これよりも多くの又は少ない用量も企図される。
【0282】
個体への放射線被曝には個体又は幾つかの適応症では個体から取り除いた骨髄に投与される治療用の照射が含まれる。
【0283】
背景技術の欄で議論したように、個体は電離放射線に職業又は環境被爆する場合がある。本発明においては、放射線源は種類(すなわち、急性又は慢性)及び個体によって吸収された線量レベルほど重要ではない。以下の議論は電離放射線の職業及び環境被爆の双方を包含するものであることが理解される。
【0284】
即座に致命的ではない電離放射線への急性又は慢性被爆による影響を被っている個体は治療可能な放射線障害を被っていると言われる。そのような治療可能な放射線障害は本発明の化合物又は方法によって軽減又は排除することができる。
【0285】
治療可能な放射線障害を引き起こす恐れのある電離放射線の急性線量には、例えば、24時間以内で約10,000ミリレム(0.1Gy)〜約1,000,000ミリレム(10Gy)、好ましくは24時間以内で約25,000ミリレム(0.25Gy)〜約200,000(2Gy)、より好ましくは24時間以内で約100,000ミリレム(1Gy)〜約150,000ミリレム(1.5Gy)の局所又は全身線量が含まれる。
【0286】
治療可能な放射線障害を引き起こす恐れのある電離放射線の慢性線量には、24時間を超える期間で約100ミリレム(0.001Gy)〜約10,000ミリレム(0.1Gy)、好ましくは約1,000ミリレム(0.01Gy)〜約5,000ミリレム(0.05Gy)の全身線量、又は24時間を超える期間で15,000ミリレム(0.15Gy)〜50,000ミリレム(0.5Gy)の局所線量が含まれる。
【0287】
放射線防護:治療用の電離放射線
治療用の電離放射線を受ける個体を放射線防護するためには、本発明の化合物が正常細胞に対して放射線防護効果を発揮するのに充分な濃度で個体の正常細胞に到達することができるように、本化合物は治療用の照射に充分先立って投与されるべきである。特定の化合物の薬物動態学は当業者に知られた手段によって決定することができ、特定の個体中の化合物の組織レベルは慣例的な分析法により決定することができる。
【0288】
本化合物は放射線投与の長くて24時間前、好ましくはせいぜい約18時間前に投与することができる。一実施形態においては、本化合物は治療用の放射線投与の約3〜12時間以上前に投与する。最も好ましくは、本化合物を放射線被曝の約18時間前に一度投与し、約6時間前に再度投与する。
【0289】
1種又は2種以上のα,β−不飽和スルホキシドを同時に投与することができ、又は異なるα,β−不飽和スルホキシドを治療中の異なる時間に投与してもよい。
【0290】
治療用の照射が連続的に投与される場合、1種又は2種以上の放射線防護化合物の投与を放射線治療の中に差し込むのが好ましい。上述したように、本発明の異なる放射線防護化合物は同時に又は治療中の異なる時間に投与してもよい。好ましくは放射線防護化合物の投与と治療用の照射は約24時間離す。より好ましくは、放射線防護化合物の投与と治療用の照射は約6〜18時間離す。この戦略は、治療用の照射による抗癌作用に影響を与えることなく放射線によって誘発される副作用の顕著な減少を生じるだろう。
【0291】
例えば、0.1Gyの線量での5日間連続の治療用の照射を2日間の休息と共に全体で6〜8週間行うことができる。各照射ラウンドの18時間前に1種又は2種以上のα,β−不飽和スルホキシドを個体に投与することができる。しかしながら、本発明によれば、放射線防護化合物によって正常細胞が防護されるため、より果敢な治療計画(すなわち、より高線量の投与)も企図されることを指摘しておく。従って、本化合物の放射線防護効果は放射線治療の治療指数を増加させるので、医師は周囲の正常細胞及び組織を損傷する危険性を増加させることなく治療用の放射線量を目下推奨される水準よりも上に安全に増加させることが可能となる。
【0292】
放射線防護:放射線治療した骨髄
本発明の放射線防護化合物は、骨髄中に転移した血液新生細胞又は腫瘍細胞を破壊するために設計された放射線学的治療から正常な骨髄細胞を保護するのに有用である。そのような細胞には、例えば、骨髄性白血病細胞が挙げられる。骨髄及び体内の他の場所におけるこれらの細胞の出現は、急性骨髄性白血病(AML)のフランス−アメリカ−イギリス(FAB)分類、慢性骨髄性白血病(CML)、及び急性リンパ球性白血病(ALL)といった様々な病状と関係している。
【0293】
特にCMLは、血液、骨髄、脾臓、肝臓及びその他の組織中における未熟な顆粒球(例えば、好中球、好酸球、及び好塩基球)の異常増殖と、これらの組織中における顆粒球性前駆体の蓄積とに特徴付けられる。そのような症状をもつ個体は典型的に血液1μL当たり20,000個を超える白血球を有し、400,000個を超える場合もある。実際上すべてのCML患者が“急性転換期”、すなわち未熟な芽細胞が急速に増殖する病気の末期を迎え、死に至る。
【0294】
その他の個体は転移性腫瘍を患い、全身照射(TBI)を用いた治療を必要とする。TBIは造血細胞をも殺すことになるので、後に再移植するために個体の骨髄の一部を照射前に取り除く。しかしながら、転移性腫瘍細胞は骨髄中に存在している可能性があり、再移植すると短期間の内に癌が再発することがしばしばある。
【0295】
骨髄の腫瘍性疾病又は転移腫瘍を患っている個体は、骨髄の一部を除去(“採取”ともいう。)し、採取した骨髄から悪性幹細胞を浄化して、浄化した骨髄を再移植することによって治療することができる。個体は、浄化された自家骨髄を再移植される前に、放射線又は幾つかのその他の抗ガン療法で治療を受けているのが好ましい。
【0296】
従って、本発明は、個体の骨髄の一部を取り除く工程、本発明の放射線防護化合物の少なくとも1種を有効量投与する工程、及び該骨髄中の悪性細胞が殺されるように当該処理された骨髄に充分な線量の電離放射線を照射する工程を含む、骨髄中の悪性細胞の数を減少させる方法を提供する。ここでは、“悪性細胞”とは、腫瘍細胞や新生細胞のような制御不能に増殖する任意の細胞のことを意味する。放射線防護化合物は骨髄中に存在する正常な造血細胞を電離放射線による悪影響から防護する。また、本化合物は悪性細胞に対して直接的な殺細胞効果を示す。骨髄細胞中の悪性細胞の数は再移植前に顕著に減少するので、再発が最小限となる。
【0297】
好ましくは、α,β−不飽和スルホキシドはそれぞれ約0.25〜約100マイクロモル、より好ましくは約1.0〜約50マイクロモル、とりわけ約2.0〜約25マイクロモルの濃度で骨髄に投与される。特に好ましい濃度は0.5、1.0及び2.5マイクロモル、並びに5、10及び20マイクロモルである。より高い又はより低い濃度も使用可能である。
【0298】
放射線防護化合物は採取した骨髄に直接加えても良いが、ジメチルスルホキシド(DMSO)のような有機溶媒中に溶解するのが好ましい。以下により詳細に記載するようなα,β−不飽和スルホキシドの医薬組成物も使用することができる。
【0299】
放射線防護化合物は、放射線被曝する約20時間前に、好ましくはせいぜい約24時間前に採取した骨髄に加えるのが好ましい。一実施形態においては、放射線防護化合物は放射線被曝する約6時間以上前に採取した骨髄に投与する。1種又は2種以上の化合物を同時に投与することができ、異なる化合物を異なる時間に投与してもよい。その他の処方計画も企図される。
【0300】
浄化した骨髄の再移植に先だって個体が電離放射線で治療されるときは、個体は上述したように、電離放射線線量を受ける前に1種又は2種以上の放射線防護化合物で処置することができる。
【0301】
放射線防護:放射線の環境又は職業被曝
また、本発明は、少なくとも1種の放射線防護化合物を有効量投与することによって正常細胞及び組織に対する放射線被曝の細胞毒性効果を低減又は排除することを含む、電離放射線の急性又は慢性被曝による治療可能な放射線障害を被った個体を治療するための方法を提供する。該化合物は、放射線被曝後の可能な限り短い時間、例えば被曝後0〜6時間で投与するのが好ましい。
【0302】
治療可能な放射線ダメージは、個体中で細胞毒性及び遺伝毒性(すなわち、有害な遺伝的)効果の形態を取る。従って、別の一実施形態では、少なくとも1種の放射線防護化合物を急性又は慢性の放射線被曝に先立って有効量投与することを含む、正常細胞及び組織に対する放射線被曝の細胞毒性及び遺伝毒性効果を低減又は排除する方法が提供される。該化合物は、例えば放射線被曝の約24時間前、好ましくは放射線被曝のせいぜい約18時間前に投与することができる。一実施形態において、該化合物は放射線被曝の少なくとも約6時間前に投与する。最も好ましくは、該化合物は放射線被曝の約18〜約6時間前に投与する。1種又は2種以上の放射線防護化合物を同時に投与してもよく、異なる放射線防護化合物を異なる時間に投与してもよい。
【0303】
複数回の急性被曝が予期されるときは、本発明の放射線防護化合物は複数回投与することができる。例えば、消防士又は救助隊が汚染された地域に複数回入らなければならない場合、本発明の放射線防護化合物を各被曝前に投与することができる。好ましくは、本化合物の投与と放射線被曝は約24時間離す。より好ましくは、放射線防護化合物の投与と放射線被曝は約6〜18時間離す。原子力発電所で働く人は、電離放射線の被曝による影響を低減又は排除するために、各勤務が開始する前に本発明の放射線防護化合物を有効量投与することができる。
【0304】
個体が電離放射線に慢性被曝することが予期される場合、被曝が予期される期間中本放射線防護化合物を定期的に投与することができる。例えば、原子力発電所で働く人又は放射性降下物で汚染された前線地域で活動する兵士には、放射線ダメージを和らげるために、24時間毎、好ましくは6〜18時間毎に本放射線防護化合物を与えることができる。同様に、放射性降下物で汚染された地域に住んでいる一般人に、当該地域の汚染が除去されるまで又はこれらの一般人がより安全な環境に移動するまで、本放射線防護化合物を定期的に投与することができる。
【0305】
化学的防護
本発明の化合物は、癌及びその他の増殖性疾患の治療に使用される化学療法薬(とりわけ分裂期細胞周期阻害剤及びトポイソメラーゼ阻害剤)の細胞毒性副作用から個体を保護するのに有用であると考えられる。
【0306】
化学的防護による治療上の利益を得るための、本発明に係る化合物の具体的な用量は個々の患者の具体的な事情(例えば、患者の身長、体重、年齢及び性別、施与される化学療法のタイプ及び用量、種類及び段階、細胞への損傷、本化合物の投与経路)によって決定されることになる。
【0307】
例えば、一日用量として約0.05〜約50mg/kg/日を利用することができる。これよりも多くの又は少ない用量も企図される。
【0308】
化学療法薬の細胞毒性効果から細胞を防護するための、細胞毒性薬(すなわち、分裂期細胞周期阻害剤又はトポイソメラーゼ阻害剤)の投与計画は、α,β−不飽和スルホキシドが細胞毒性薬の前に投与されることを条件として任意とすることができる。細胞防護化合物は、正常細胞に対して細胞防護効果を発揮するのに充分な濃度で患者の正常細胞に到達することができるように細胞毒性薬の充分前に投与されるべきである。先と同様に、個々の薬物の体内薬物動態及び特定の患者中の特定の薬物の血液レベルは当業者に知られた方法によって決定することができる因子である。
【0309】
細胞防護化合物は細胞毒性薬を投与する少なくとも約1時間、好ましくは少なくとも約2時間、より好ましくは少なくとも約4時間前に投与される。該化合物は細胞毒性薬を投与する長くても約48時間、好ましくはせいぜい約36時間前に投与することができる。最も好ましくは、本化合物は細胞毒性薬の約24時間前に投与される。本化合物は細胞毒性薬の24時間前よりも先又は後に投与することができるが、本化合物による防護効果は細胞毒性薬の約24時間前に投与するときに最大である。1種又は2種以上の細胞毒性薬を投与することができる。同様に、1種又は2種以上のα,β−不飽和スルホキシドを組み合わせることができる。
【0310】
1種又は2種以上の細胞毒性薬が連続的に投与される場合、上記2種類の薬物の投与間隔を4〜48時間、好ましくは12〜36時間、最も好ましくは24時間とすることに注意して、本発明の細胞防護化合物をスケジュールに差し込むのが実際であることが分かるだろう。この戦略は、抗ガン作用に影響を与えることなく細胞毒性薬の副作用を完全に断つのに役立つであろう。
【0311】
例えば、分裂阻害剤を毎日、4日毎、又は21日毎に与えることができる。α,β−不飽和スルホキシドは細胞防護薬及び抗腫瘍薬の両方として阻害剤投与の各ラウンドの24時間前に与えることができる。
【実施例】
【0312】
本発明の実例を以下の非限定的な実施例にて説明する。以下の各実施例では、スルフィニル酢酸化合物A−CH2−SO−CH2−COOHは一般的手順1のパートA:(E)−α,β不飽和スルホキシドの合成に従って作製する。(Z)−スルフィド中間体は一般的手順2のパートA:(Z)−α,β不飽和スルホキシドの合成に従って作製する。最終的な(E)−及び(Z)−スルホキシド化合物A−(CHR1n−SO−CH=CH−Bは2−プロパノールから再結晶し、純度をHPLCによって確認する。
【0313】
実施例1〜14−本発明の(E)化合物の合成
スルフィニル酢酸X(10mmol)とカルボキシアルデヒドY(10mmol)の溶液(表4)について、一般的手順1(ステップC)を行った。得られた生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィで精製し、表4に列記した反応生成物を得た。
【表4】

【0314】
実施例15〜28−本発明の(Z)化合物の合成
アリール若しくはヘテロアリールアセチレンAとメルカプタンBの溶液(表5)について、一般的手順2(ステップA)を行い、スルフィドCを得た。次いで、スルフィドCを一般的手順2(ステップB)に従って酸化し、スルホキシドDを得て、これをカラムクロマトグラフィ及び/又は結晶化によって精製した。
【表5】

【0315】
実施例29〜32:本発明の更なる(E)化合物の調製
本発明の(E)−化合物をスキーム19に従って更に調製した。スキーム19に従って調製した化合物を以下の表6に列記する。
【化39】

【0316】
ステップA. ベンジルチオ酢酸(11a−d)の一般的調製
水酸化ナトリウム(40g、1mol)の冷たい(約0℃)メタノール(500mL)溶液に、チオグリコール酸(46g、0.5mol)をゆっくりと30分かけて加えた。チオグリコール酸ナトリウムの固体沈殿物が生成した。この沈殿物を攪拌及び約50℃へ加温することで溶解した。沈殿したチオグリコール酸ナトリウムを溶解した後、得られた溶液を室温に冷却した(25℃)。この冷却した溶液に、置換塩化ベンジル(10a10b10c又は10d)(0.5mol)を少量ずつ添加した。添加中、得られた混合物の温度を40℃未満に維持した。置換塩化ベンジルの添加が完了すると、得られた混合物を還流のために加温し、還流温度で2時間維持した。次に、この高温の混合物を室温(25℃)に冷却し、塩酸(12M、100mL)の入ったクラッシュドアイス(1kg)に注いだ。白色沈殿が生じた。この沈殿物を濾過し、氷冷水で洗浄し(3×100mL)、真空乾燥すると所望のベンジルチオ酢酸(11a11b11c又は11d)が得られた。
【0317】
ステップB. ベンジルスルフィニル酢酸(12a−12d)の一般的調製
水酸化ナトリウム(3g、0.076mol)の強攪拌した脱イオン水溶液(150mL)に、ステップAで調製した置換ベンジルチオ酢酸(11a11b11c又は11d)(0.058mol)を加えた。得られた懸濁液を室温(25℃)で10分間攪拌した。この攪拌した溶液に、重炭酸ナトリウム(39.25g、0.467mol)及びアセトン(49mL)を加えた。得られた混合物を約1℃に冷却した。この冷却した溶液に、エチレンジアミン四酢酸水溶液(EDTA)(0.004M溶液を123mL)中に溶解させた過酸化モノ硫酸カリウム(0.038mol)の溶液を10分かけて加え、反応混合物を懸濁液として得た。過酸化モノ硫酸カリウム溶液の添加中、反応温度は5℃未満に維持した。該反応混合物を5分間攪拌した。次いで、この反応混合物は2℃の重亜硫酸ナトリウム水溶液(30mLの水中に14.7g)を加えることで急冷した。急冷したこの反応混合物をHCL水溶液(6N、88mL)を添加することにより酸性にした。塩化ナトリウム(73.6g)を該酸性化反応混合物に加え、この反応混合物を酢酸エチル(2×75mL)で抽出した。これら酢酸エチル抽出物を混ぜ合わせて脱イオン水(50mL)及び塩水(50mL)で洗浄し、次いで無水MgSO4で乾燥した。この乾燥抽出物を濾過し、真空下で濃縮すると所望の置換ベンジルスルフィニル酢酸化合物が得られた(収率64〜73%)。
化合物12a:融点=110〜111℃、化合物12b:融点=142〜146℃
化合物12c:融点=144〜146℃、化合物12d:融点=124〜126℃
【0318】
ステップC. 実施例29〜32の化合物の一般的調製
ステップBで調製した置換ベンジルスルフィニル酢酸(12a12b12c又は12d)(10mmol)のトルエン(100mL、25℃)溶液に、触媒量のピペリジン(0.1mL)及び安息香酸(134mg)を加えた。得られた混合物に置換ベンズアルデヒド13a又は13b)(10mmol)を加えると反応混合物が生成した。この反応混合物を還流温度まで加温し、ディーン・スターク・トラップの付いた反応容器中にて還流温度で6時間維持した。6時間後、反応混合物を室温(25℃)に冷却した。冷却した反応混合物を、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(3×30mL)、亜硫酸水素ナトリウム飽和水溶液(1×40mL)、塩酸(1N、1×40mL)、及び水(1×60mL)で連続的に洗浄した。トルエン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空濃縮すると固体残渣を得た。濃縮後の該固体残渣を結晶化又はシリカゲルカラムクロマトグラフィによって精製し、以下の表6に列記した所望の化合物を得た。
【表6】

【0319】
実施例33:(E)−2,4,6−トリメトキシスチリル−4−メトキシ−3−ニトロベンジルスルホキシドの還元による(E)−2,4,6−トリメトキシスチリル−4−メトキシ−3−アミノベンジルスルホキシドの調製
(E)−2,4,6−トリメトキシスチリル−4−メトキシ−3−ニトロベンジルスルホキシド(1.3mmol)をアセトンと水の2:1混合物(50mL)に溶解した。得られた混合物を50℃に加熱した。50℃で30分間加熱後、亜ジチオン酸ナトリウム(26.3mmol)をこの加熱した反応混合物に加えた(20分間かけて少量ずつ)。得られた混合物を50℃で1時間保持し、次いで室温(25℃)に冷却した。水(50mL)を該冷却混合物に加えた。得られた混合物を酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。これら酢酸エチル抽出物を混ぜ合わせてNaHCO3飽和水溶液で洗浄した。酢酸エチル抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮すると、粗生成物を得た。この粗生成物を2−プロパノールから再結晶すると、表6に列記した所望の(E)−2,4,6−トリメトキシスチリル−3−アミノ−4−メトキシベンジルスルホキシドが得られた。
【0320】
実施例34:(E)−2,4,6−トリメトキシスチリル−4−メトキシベンジルスルホンの調製のための(E)−2,4,6−トリメトキシスチリル−4−メトキシベンジルスルホキシド(本発明の化合物)の酸化
(E)−2,4,6−トリメトキシスチリル−4−メトキシベンジルスルホキシド(3g)を氷酢酸(30mL)中に溶解して0℃に冷却した。この冷却溶液に過酸化水素(30%溶液を7.5mL)を加えると反応混合物が生成した。この反応混合物を還流温度に加熱し、1時間還流温度を保持した。1時間後、該加熱混合物をクラッシュドアイス(200g)に注いだ。固体沈殿が生じた。この沈殿物を濾過、乾燥、及び2−プロパノールからの再結晶によって分離すると所望の(E)−2,4,6−トリメトキシスチリル−4−メトキシベンジルスルホンが得られた。
【0321】
実施例35:腫瘍細胞株に対するα,β−不飽和スルホキシドの効果
A.細胞
B.スルホキシドによる処理及び生存度評価
前立腺、結腸、肺及び乳房由来の腫瘍細胞に対する式Iに従うα,β−不飽和スルホキシドの効果を以下の細胞株:前立腺腫瘍細胞株DU−145;結腸直腸癌細胞株DLD−1;非小細胞肺癌細胞株H157;及び乳腫瘍細胞株BT−20を利用することによって検討した。BT−20はエストロゲン不応性の細胞株である。BT−20、DLD−1及びH157はペニシリン及びストレプトマイシンで補足した10%胎児ウシ血清を含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で成長させた。DU145はペニシリン及びストレプトマイシンを含有する10%胎児ウシ血清を有するRPMI中で培養した。NIH/3T3(正常なネズミ繊維芽細胞)及びHFL−1細胞(正常な複相ヒト肺繊維芽細胞)をペニシリン及びストレプトマイシンで補足した10%子牛血清を含有するDMEM中で成長させた。
【0322】
6ウェルのプレート中に、1ウェル当たり1.0×105細胞の密度レベルで細胞を平板培養した。細胞培養は5%CO2の湿潤雰囲気中で37℃に維持した。
【0323】
10nM〜5μMの濃度の用量として細胞を本発明の化合物で処理し、トリパンブルー色素排除法により96時間後の細胞の生存度を決定した。
【0324】
結果を表7に示す。数値はGI50、すなわち、ビークル(DMSO)で処理した細胞に比較して成長を50%抑制するのに必要な濃度(μM)として報告する。表7に報告した数値は***=10〜100nM;**=100nM〜1μM;及び*=>1μMである。
【0325】
細胞は10nM〜5μMの濃度の試験化合物で処理し、トリパンブルー色素排除法により96時間後の細胞の生存度を決定した。
【表7】

【0326】
実施例36:培養した正常なヒト細胞に対するα,β−不飽和スルホキシドの放射線防護効果
培養した正常なヒト細胞に対するα,β−不飽和スルホキシドの放射線防護効果を以下に評価した。
【0327】
10%胎児ウシ血清及び抗体で完成したDMEM中で10mm2当たり3000細胞の細胞密度で24ウェルのディッシュ内にてHFL−1細胞を平板培養した。溶媒としてDMSOを用いて、α,β−不飽和スルホキシドの試験化合物を0.25、0.5、1.0及び2.0マイクロモルの濃度で24時間後に添加した。対照標準細胞はDMSOのみで処理した。これらの細胞をを試験化合物又はDMSOに24時間曝した。次いで、線源として137セシウムを備えたJ.L.Shepherd Mark I(型式30−1)照射器を用い、10Gy又は15Gyの電離放射線(IR)を細胞に照射した。
【0328】
照射後、試験細胞及び対照標準細胞の培地を除去し、試験化合物又はDMSO無しの新鮮な成長培地に取り替えた。照射した細胞は96時間インキュベートし、二つの同じウェルをトリプシン処理し、100mm2の組織培養皿上で再び平板培養した。再び平板培養した細胞は通常の条件で3週間成長させた(1度新鮮な培地に交換した。)。各100mm2の培養皿のコロニー数(生存細胞の数を表す。)を、以下のように皿を染色することによって決定した。
【0329】
放射線防護した個々の細胞のクローン増殖に由来するコロニーを可視化して計数するために、培地を除去し、プレートを室温のリン酸緩衝食塩水で一度洗浄した。1:10に希釈した改質ギムザ染色溶液(Sigma)で細胞を20分間染色した。染色液を除去し、プレートを水道水で洗浄した。プレートを空気乾燥し、各プレートのコロニー数を数えて二つの同じ培地からの平均値を決定した。
【0330】
実施例37:本発明のα,β−不飽和スルホキシドで前処理した後の正常及び悪性の造血前駆細胞の成長に対する電離放射線被曝の影響
本発明のα,β−不飽和スルホキシドで前処理した正常及び悪性の造血前駆細胞に対する電離放射線の影響を、クローニング効率及び前処理した細胞の照射後の発達を評価することによって決定した。
【0331】
造血前駆細胞を得るために、ヒトの骨髄細胞(BMC)又は末梢血細胞(PB)を正常で健康な志願者、又は急性若しくは慢性骨髄性白血病(AML、CML)の志願者からフィコール−ハイパーク密度勾配遠心法によって入手し、免疫磁気ビーズ(Dynal A.S.、オスロー、ノルウェイ)を用いてCD34+細胞をポジティブセレクションすることによって造血前駆細胞を求めて部分的に富化した。CD34+細胞を補足α培地中に懸濁させ、試験管を穏やかに逆さにしながらマウス抗HPCA−I抗体(1:20希釈)と共に45分間、4℃でインキュベートした。細胞を補足α培地中で3回洗浄し、次いで、ヤギ抗マウスIgGIのFc断片で被覆したビーズを用いてインキュベートした(75μLの免疫ビーズ/107個のCD34+細胞)。45分間のインキュベーション(4℃)の後、ビーズに結合した細胞をメーカーの指示通りに磁性粒子濃縮機を用いてポジティブセレクションした。
【0332】
2%ヒトAB血清及び10mMヘペス緩衝液を含有する全体積で0.4mLのIscove変性Dulbecco培地(IMDM)中の5mLのポリプロピレンチューブ(Fisher Scientific社、ピッツバーグ、ペンシルバニア州)内で2×104のCD34+細胞をインキュベートした。α,β−不飽和スルホキシド試験化合物を4種類の異なる濃度(0.25μM、0.5μM、1.0μM及び2.0μM)で細胞に加えた。対照標準細胞はDMSOのみとした。細胞を20〜24時間インキュベートし、5Gy又は10Gyの電離放射線を照射した。
【0333】
照射直後に、培地を取り除いて試験化合物又はDMSO無しの新鮮な培地に取り替えた。照射の24時間後、処理細胞及び対象標準細胞を用意して血漿凝塊又はメチルセルロース培養中にて平板培養した。細胞(1皿当たり1×104個のCD34+細胞)は平板培養前に洗浄しなかった。
【0334】
処理した造血前駆細胞のクローニング効率及び発達の評価を、「Gewirtz et al., Science 242, 1303-1306 (1988)」に報告されている方法(本開示を本明細書に援用する。)で本質的に行った。
【0335】
実施例38:本発明のα,β−不飽和スルホキシドによる前処理後の電離放射線による骨髄浄化
手術室内で全身麻酔により標準的な技術を用いて個体の腸骨から骨髄を採取した。ヘパリン化シリンジに複数回吸引を行った。体重1Kg当たり約4×108〜約8×108個の処理した骨髄細胞を受け取ることができるように充分な骨髄を抜き取った。従って、約750〜1000mLの骨髄を抜き取った。吸引した骨髄は即座に、培地100mL当たり保存剤無しのヘパリンを10,000ユニット含有する輸送培地(TC−199、Gibco社、グランドアイランド、ニューヨーク州)に移した。吸引した骨髄は3種類のメッシュを段階的に小さくして通すことによって濾過して、細胞凝集、残骸及び骨粒のない細胞懸濁液を得た。次いで、濾過した骨髄を自動細胞分離器(例えば、Cobe 2991 Cell Processor)にて更に処理し、“バッフィコート”(すなわち、赤血球及び血小板のない白血球)を調製した。次いで、バッフィコート標品を以降の処理及び保存のために輸送パックに入れた。これは、浄化まで、標準的な手順を用いて液体窒素中に貯蔵することができる。代替的に、浄化は即座に行うことができ、次いで浄化した骨髄は液体窒素中で凍結させて移植の準備が整うまで貯蔵してもよい。
【0336】
浄化手順は以下のようにして実施する。バッフィコート標品中の細胞は、約20%の自家血漿を含有するTC−199中で約2×107/mLの細胞濃度に調節する。本発明のα,β−不飽和スルホキシドを、例えば、0.25μM〜2.0μMの濃度として細胞懸濁液を含有する輸送パックに加える。そして37℃の水浴中で緩やかに撹拌しながら20〜24時間インキュベートする。次いで、輸送パックを5〜10Gyの電離放射線に曝す。組み換えヒト造血成長因子(例えば、rH IL−3又はrH GM−CSF)を該懸濁液に加えて造血新生物の成長を刺激し、これによって電離放射線への感受性を増大させることができる。
【0337】
次いで、細胞は液体窒素中に凍結してよく、又は約20%の自家血漿を含有する4℃のTC−199中で一度洗浄してもよい。次いで、洗浄した細胞は個体に注入される。可能な限り無菌条件下で作業をし、常に綿密な無菌操作を維持するように注意しなければならない。
【0338】
本明細書で引用したすべての文献を本明細書に援用する。本発明は本発明の精神又は本質的属性から逸脱することなく、他の特定の形態で実施することができる。従って、本発明の範囲についてはこれまで述べてきた明細書よりも添付の特許請求の範囲を参照すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

(式中、
Aは置換若しくは非置換のアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールであり;
Bは置換若しくは非置換のアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールであり(但し、A及びBが共にフェニルのときはA又はBの少なくとも一方は置換されている。);
nは0又は1であり;
1は−H、−(C1−C8)ヒドロカルビル、−CN、−CO2(C1−C6)アルキル又はハロ(C1−C6)アルキルであり;
炭素−炭素二重結合上の置換基の配置はE−又はZ−であり;
スルホキシドの硫黄原子上の置換基の配置はR−、S−、又はR−とS−の任意の混合であり;
*はR1が−H以外のときは、指定された炭素原子上の置換基の配置はR−、S−又はR−とS−の任意の混合であることを示す。)
に従う化合物又は該化合物の塩。
【請求項2】
式Iz:
【化2】

に従う請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式Ie:
【化3】

に従う請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
式IA:
【化4】

(式中、
1及びB1は独立してアリール又はヘテロアリールであり;
x及びyは独立して0、1、2、3、4又は5であり(但し、x又はyの最大値はx又はyが結合している環中の置換可能な水素原子の数に等しく、A1及びB1が共にフェニルのときは、x及びyの合計は0よりも大きい。);
各Raは独立して、ハロゲン、−(C1−C8)ヒドロカルビル、−C(=O)R2,−NR22、−NHC(=O)R3、−NHSO23、−NHR4、−NHCR24C(=O)R6、−C(=O)OR2、−C(=O)NHR2;−NO2、−CN、−OR2、−P(=O)(OH)2、ジメチルアミノ(C2−C6アルコキシ)、−NHC(=NH)NHR2、−(C1−C6)ハロアルキル、−(C1−C6)ハロアルコキシ及び−N=CH−R7よりなる群から選択され;
各Rbは独立して、−(C1−C8)ヒドロカルビル、−C(=O)R2、ハロゲン、−NO2、−CN、−OR2、−C(=O)OR2、−NR22、(C1−C6)ハロアルキル及び(C1−C6)ハロアルコキシよりなる群から選択され;
各R2は独立して、−H及び−(C1−C8)ヒドロカルビルよりなる群から選択され;
各R3は独立して、−H、−(C1−C8)ヒドロカルビル、−O(C1−C8)ヒドロカルビル、置換若しくは非置換のアリール、置換ヘテロ環式(C1−C3)アルキル、ヘテロアリール(C1−C3)アルキル、−(C2−C10)ヘテロアルキル、−(C1−C6)ハロアルキル、−CR24NHR5、−N(R22、−(C1−C3)アルキレンNH2、−(C1−C3)アルキレン−N(CH32、−(C1−C3)パーフルオロアルキレン−N(CH32、−(C1−C3)アルキレン−N+(C1−C33、−(C1−C3)アルキレン−N+(CH2CH2OH)3、−(C1−C3)アルキレン−OR2、−(C1−C4)アルキレン−CO22、−(C1−C4)アルキレン−C(=O)ハロゲン、ハロ(C1−C3)アルキル−、−(C1−C3)アルキレン−C(=O)(C1−C3)アルキル、及び−(C1−C4)パーフルオロアルキレン−CO22よりなる群から選択され;
各R4は独立して、−H、−(C1−C6)アルキル、−(CH23−NH−C(NH2)(=NH)、−CH2C(=O)NH2、−CH2COOH、−CH2SH、−(CH22C(=O)−NH2、−(CH22COOH、−CH2−(2−イミダゾリル)、−(CH24−NH2、−(CH22−S−CH3、フェニル、−CH2−フェニル、−CH2−OH、−CH(OH)−CH3、−CH2−(3−インドリル)、及び−CH2−(4−ヒドロキシフェニル)よりなる群から選択され;
各R5は独立して、−H及び1〜3個のアミノ酸を含有するカルボキシ末端結合ペプチジル残基(該ペプチジル残基の末端アミノ基は、−NH2及び−NHC(=O)(C1−C6)アルキル、−NH(C1−C6)アルキル、−N(C1−C6アルキル)2及び−NHC(=O)O(C1−C7)ヒドロカルビルよりなる群から選択される官能基として存在する。)よりなる群から選択され;
各R6は独立して、−OR2及び1〜3個のアミノ酸を含有するN−末端結合ペプチジル残基(該ペプチジル残基の末端カルボキシル基は、−CO22及び−C(=O)NR22よりなる群から選択される官能基として存在する。)よりなる群から選択され;
各R7は独立して、置換及び非置換のアリール並びに置換及び非置換のヘテロアリールよりなる群から選択される。);
に従う請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
x及びyの合計は0よりも大きい請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
1がアリール基である請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
(1E)−2−(4−フルオロフェニル)−1−[(ナフチルメチル)スルフィニル]エテン; (1E)−2−(4−クロロフェニル)−1−[(ナフチルメチル)スルフィニル]エテン;(1E)−2−(4−ブロモフェニル)−1−[(ナフチルメチル)スルフィニル]エテン; (1E)−2−(2−ニトロフェニル)−1−[(ナフチルメチル)スルフィニル]エテン; (1E)−2−(3−ニトロフェニル)−1−[(ナフチルメチル)スルフィニル]エテン; (1E)−2−(4−ニトロフェニル)−1−[(ナフチルメチル)スルフィニル]エテン; 及びこれらの塩よりなる群から選択される請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
式IB:
【化5】

に従う請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
各Raが独立してハロゲン、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、−NO2、−CN、−C(=O)OR2、−OH、−NH2、(C1−C6)トリフルオロアルコキシ及び−CF3よりなる群から選択される請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
式IC:
【化6】

に従う請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
各Ra及び各Rbが独立してハロゲン、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、−NO2、−CN及び−CF3よりなる群から選択される請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
炭素−炭素二重結合上の置換基の配置はE−である請求項10に記載の化合物。
【請求項13】
x及びyは独立して0、1又は2である請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
(1E)−1−{[(3−アミノ−4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)エタン; (1E)−1−{[(3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)エタン; (1E)−1−{[(4−メトキシ−3−ニトロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)エタン; 2−({[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}−メチル)−2−メトキシフェニル]アミノ}スルホニル)酢酸; 2−{N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}−メチル)−2−メトキシフェニル]カルバモイル}酢酸; [5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]アミノカルボキサミジン; 2−{[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]アミノ}酢酸; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル](3,5−ジニトロフェニル)カルボキサミド; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル](3,5−ジアミノフェニル)カルボキサミド; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]−2−クロロアセトアミド; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]−2−(4−メチルピペラジニル)アセトアミド; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]ベンズアミド; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル](4−ニトロフェニル)カルボキサミド; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル](4−アミノフェニル)カルボキサミド; (1E)−1−[({3−[(1Z)−1−アザ−2−(4−ニトロフェニル)ビニル]−4−メトキシフェニル}メチル)スルフィニル]−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)エテン; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル](2R)−2,6−ジアミノヘキサミド; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル](2R)−2−アミノ−3−ヒドロキシプロパンアミド; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル](2S)−2−アミノ−3−ヒドロキシプロパンアミド; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]アミノアミド; (1E)−1−({[4−メトキシ−3−(メチルアミノ)フェニル]メチル}スルフィニル)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)エテン; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]アセトアミド; [5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル][(2,4−ジニトロフェニル)スルホニル]アミン; [5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル][(2,4−ジアミノフェニル)スルホニル]アミン; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]−2−(ジメチルアミノ)アセトアミド; 2−{[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]アミノ}プロピオン酸; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル][4−(4−メチルピペラジニル)フェニル]カルボキサミド; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]−2−ヒドロキシアセトアミド; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]−2−ピリジルアセトアミド; {N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]カルバモイル}メチルアセタート; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]−2−ヒドロキシプロパンアミド; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]−2−(トリエチルアミノ)アセトアミド; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]−2−[トリス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]アセトアミド; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド; 1−{N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}−メチル)−2−メトキシフェニル]カルバモイル}−イソプロピルアセタート; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]−2,2,2−トリフルオロアセトアミド; [5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル][(トリフルオロメチル)スルホニル]アミン; 3−{N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]カルバモイル}プロピオン酸; 3−{N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}−メチル)−2−メトキシフェニル]カルバモイル}プロパノイルクロリド; 3−[({N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}−メチル)−2−メトキシフェニル]カルバモイル}メチル)オキシカルボニル]プロピオン酸; 4−{N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}−メチル)−2−メトキシフェニル]カルバモイル}ブタン酸; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]−2−(ホスホノキシ)アセトアミド、ジナトリウム塩; 4−{[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]アミノ}ブタン酸; 3−{[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]アミノ}プロピオン酸; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]メトキシカルボキサミド; [5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル][(4−メトキシフェニル)スルホニル]アミン; {N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]カルバモイル}エチル アセタート; メチル−3−{N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]−スルフィニル}−メチル)−2−メトキシフェニル]カルバモイル}プロパノアート; エチル−2−{N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}−メチル)−2−メトキシフェニル]カルバモイル}アセタート; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパンアミド; メチル−2−{N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]−スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]カルバモイル}−2,2−ジフルオロアセタート; 3−{N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}−メチル)−2−メトキシフェニル]カルバモイル}−2,2,3,3−テトラフルオロプロピオン酸; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]−2−アミノアセトアミド; 2−{N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}−メチル)−2−メトキシフェニル]カルバモイル}−2,2−ジフルオロ酢酸; N−[5−({[(1E)−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)−2−メトキシフェニル]−2−(ジメチルアミノ)−2,2−ジフルオロアセトアミド; 4−((1E)−2−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}ビニル)安息香酸; 4−((1E)−2−{[(4−ヨードフェニル)メチル]スルフィニル}ビニル)安息香酸; 4−((1E)−2−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}ビニル)安息香酸; 1−[5−((1E)−2−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}ビニル)−2−フルオロフェニル]−2−(ジメチルアミノ)エタン−1−オン; (1E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3−アミノ−4−フルオロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)エテン; (1E)−2−(4−フルオロフェニル)−1−{[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)−メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(4−クロロフェニル)−1−{[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)−メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(4−ブロモフェニル)−1−{[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)−メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−1−{[(3,4−ジクロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−ヨードフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)エテン;
(1E)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジニトロフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジニトロフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジニトロフェニル)エテン; (1E)−1−{[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジニトロフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−メチル−2,4−ジメトキシフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3,4,5−トリメトキシフェニル)エテン; (1E)−1−{[(2−ニトロ−4,5−ジメトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3,4,5−トリメトキシフェニル)エテン; (1E)−1−{[(2−ニトロ−4,5−ジメトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)エテン; (1E)−1−{[(2−ニトロ−4,5−ジメトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−メチル−2,4−ジメトキシフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,3,4−トリフルオロフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,3,4−トリフルオロフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,6−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,4,5−トリメトキシフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,3,4−トリメトキシフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−ニトロ−4−ヒドロキシ−5−メトキシフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3,4−ジメトキシ−6−ニトロフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3,4−ジメトキシ−5−ヨードフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,6−ジメトキシ−4−フルオロフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,4,6−トリメチルフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,6−ジメトキシ−4−フルオロフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)エテン; (1E)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,6−ジメトキシ−4−フルオロフェニル)エテン; (1E)−1−{[(2,4,6−トリメトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)エテン; (1E)−1−{[(2,3,4−トリメトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,6−ジメトキシフェニル)エテン; (1E)−1−{[(3,4,5−トリメトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)エテン; (1E)−1−{[(3,4,5−トリメトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2,6−ジメトキシフェニル)エテン; (1E)−1−{[(3,4,5−トリメトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(4−フルオロフェニル)エテン; (1E)−2−(4−フルオロフェニル)−1−({[4−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−スルフィニル)エテン; (1E)−2−(4−クロロフェニル)−1−({[4−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−スルフィニル)エテン; (1E)−2−(4−ブロモフェニル)−1−({[4−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−スルフィニル)エテン; (1E)−1−{[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(4−フルオロフェニル)エテン; (1E)−1−{[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(4−クロロ−フェニル)エテン; (1E)−1−{[(3,4−ジクロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(4−フルオロフェニル)エテン; (1E)−1−{[(3,4−ジクロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(4−クロロ−フェニル)エテン; (1E)−1−{[(3,4−ジクロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(4−ブロモ−フェニル)エテン; (1E)−2−(4−フルオロフェニル)−1−{[(4−ニトロフェニル)メチル]スルフィニル}−エテン; 4−({[(1E)−2−(4−フルオロフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)ベンゼン−カルボニトリル; 4−({[(1E)−2−(4−クロロフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)ベンゼン−カルボニトリル; 4−({[(1E)−2−(4−ブロモフェニル)ビニル]スルフィニル}メチル)ベンゼン−カルボニトリル; (1E)−2−(3,4−ジフルオロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(2,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(2,3−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(4−フルオロフェニル)−1−{[(4−ヨードフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(4−ヨードフェニル)−エテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(4−ヨードフェニル)−エテン; (1E)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(4−ヨードフェニル)−エテン; (1E)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(4−クロロフェニル)−エテン; (1E)−2−(4−ブロモフェニル)−1−{[(4−ヨードフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−1−{[(4−ヨードフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(4−ニトロフェニル)−エテン; (1E)−1−{[(4−ヨードフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2−ニトロフェニル)−エテン; (1E)−2−(4−ヨードフェニル)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−エテン; (1E)−1−{[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(4−ヨードフェニル)−エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニルメチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(2−ニトロフェニル)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}−エテン; (1E)−2−(3−ニトロフェニル)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}−エテン; (1E)−2−(4−ニトロフェニル)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}−エテン; (1E)−2−(2−トリフルオロメチルフェニル)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3−トリフルオロメチルフェニル)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(2−トリフルオロメチル−4−フルオロフェニル)−1−{[(4−フルオロフェニル)−メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(2−ニトロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−エテン; (1E)−2−(3−ニトロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−エテン; (1E)−2−(4−ニトロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−エテン; (1E)−2−(2−トリフルオロメチルフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン;
(1E)−2−(3−トリフルオロメチルフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(2−トリフルオロメチル−4−フルオロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)−メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3−メチル−4−フルオロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(2−ニトロフェニル)−1−{[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]スルフィニル}−エテン; (1E)−2−(2−トリフルオロメチル−4−フルオロフェニル)−1−{[(2,4−ジクロロ−フェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(2−ニトロフェニル)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3−ニトロフェニル)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(4−ニトロフェニル)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(2−トリフルオロメチルフェニル)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3−トリフルオロメチルフェニル)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(2−ニトロフェニル)−1−{[(4−シアノフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3−ニトロフェニル)−1−{[(4−シアノフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(4−ニトロフェニル)−1−{[(4−シアノフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(4−フルオロフェニル)−1−{[(4−メチルフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(4−ブロモフェニル)−1−{[(4−メチルフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(2−ニトロフェニル)−1−{[(4−メチルフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3−ニトロフェニル)−1−{[(4−メチルフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(4−ニトロフェニル)−1−{[(4−メチルフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(4−フルオロフェニル)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(4−クロロフェニル)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(4−ブロモフェニル)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(2−ニトロフェニル)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(3−ニトロフェニル)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(4−ニトロフェニル)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(4−クロロフェニル)−1−{[(4−ニトロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(4−フルオロフェニル)−1−{[(4−ニトロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン;及びこれらの塩よりなる群から選択される請求項12に記載の化合物。
【請求項15】
aは塩素、フッ素及び臭素よりなる群から選択され、前記Raはパラ位で環に結合し;
xは0又は1であり;
bは塩素、フッ素、臭素、メチル及びメトキシよりなる群から選択され、前記Rbはオルト位又はパラ位で環に結合し;
yは0、1、2又は3である、
請求項10に記載の化合物。
【請求項16】
炭素−炭素二重結合上の置換基の配置はE−である請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
(1E)−2−(2−クロロフェニル)−1−[ベンジルスルフィニル]エテン; (1E)−2−(4−クロロフェニル)−1−[ベンジルスルフィニル]エテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(4−フルオロフェニル)エテン; (1E)−2−(4−クロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−エテン; (1E)−2−(4−フルオロフェニル)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(4−フルオロフェニル)エテン; (1E)−2−(4−ブロモフェニル)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(4−ブロモフェニル)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(4−クロロフェニル)エテン;及びこれらの塩よりなる群から選択される請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
a及びRbのそれぞれは独立して(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルコキシ、ハロゲン及びニトロよりなる群から選択され、これらはオルト位又はパラ位で環に結合し;
x及びyは独立して0、1、2又は3である、
請求項10に記載の化合物。
【請求項19】
炭素−炭素二重結合上の置換基の配置はZ−である請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
(1Z)−2−フェニル−1−[ベンジルスルフィニル]エテン; (1Z)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−フェニルエテン; (1Z)−1−{[(2−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−フェニルエテン; (1Z)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−フェニルエテン; (1Z)−2−(4−クロロフェニル)−1−[ベンジルスルフィニル]エテン; (1Z)−2−(4−クロロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−エテン; (1Z)−2−(4−クロロフェニル)−1−{[(2−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−エテン; (1Z)−2−(4−クロロフェニル)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1Z)−2−(4−フルオロフェニル)−1−[ベンジルスルフィニル]エテン; (1Z)−2−(4−フルオロフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1Z)−2−(4−フルオロフェニル)−1−{[(2−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1Z)−2−(4−フルオロフェニル)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1Z)−2−(4−ブロモフェニル)−1−[ベンジルスルフィニル]エテン; (1Z)−2−(4−ブロモフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1Z)−2−(4−ブロモフェニル)−1−{[(2−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1Z)−2−(4−ブロモフェニル)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1Z)−2−(4−メチルフェニル)−1−[ベンジルスルフィニル]エテン; (1Z)−2−(4−メチルフェニル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1Z)−2−(4−メチルフェニル)−1−{[(2−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1Z)−2−(4−メチルフェニル)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1Z)−2−(4−フルオロフェニル)−1−{[(4−ヨードフェニル)メチル]スルフィニル}エテン;及びこれらの塩よりなる群から選択される請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
式ID:
【化7】

(式中、B2はヘテロアリール及びアリール(フェニル以外)よりなる群から選択される。)
に従う請求項5に記載の化合物。
【請求項22】
2はヘテロアリールである請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
2がフリル、チエニル、ピロリル、チアゾリル、ピリジル、チエニル−1−ジオキシド、アントリル及びナフチルよりなる群から選択される請求項21に記載の化合物。
【請求項24】
炭素−炭素二重結合上の置換基の配置はE−である請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
aが独立してハロゲン、(C1−C3)アルコキシ、−CN、−NO2、及び−CF3よりなる群から選択される請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
(1E)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2−ピリジル)エテン; (1E)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−ピリジル)エテン; (1E)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(4−ピリジル)エテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2−ピリジル)エテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−ピリジル)エテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(4−ピリジル)エテン; (1E)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2−ピリジル)エテン; (1E)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−ピリジル)エテン; (1E)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(4−ピリジル)エテン; (1E)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2−チエニル)エテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2−チエニル)エテン; (1E)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2−チエニル)エテン; (1E)−2−(4−ブロモ(2−チエニル))−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(5−ブロモ(2−チエニル))−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(5−ブロモ(2−チエニル))−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; (1E)−2−(5−ブロモ(2−チエニル))−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]−スルフィニル}エテン; 2−((1E)−2−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}ビニル)チオール−1,1−ジオン; 2−((1E)−2−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}ビニル)チオール−1,1−ジオン; 2−((1E)−2−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}ビニル)チオール−1,1−ジオン; (1E)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−チエニル)エテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−チエニル)エテン; (1E)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−チエニル)エテン; (1E)−1−{[(4−ヨードフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−チエニル)エテン; (1E)−1−{[(4−メチルフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−チエニル)エテン; (1E)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−チエニル)エテン; (1E)−1−{[(4−トリフルオロメチルフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−チエニル)−エテン; (1E)−1−{[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−チエニル)−エテン; (1E)−1−{[(3,4−ジクロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−チエニル)−エテン; (1E)−1−{[(4−シアノフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−チエニル)エテン; (1E)−1−{[(4−ニトロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−チエニル)エテン; 3−((1E)−2−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}ビニル)チオール−1,1−ジオン; 3−((1E)−2−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}ビニル)チオール−1,1−ジオン; 3−((1E)−2−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}ビニル)チオール−1,1−ジオン; 3−((1E)−2−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}ビニル)チオール−1,1−ジオン; 3−((1E)−2−{[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]スルフィニル}ビニル)チオール−1,1−ジオン; (1E)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2−フリル)エテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2−フリル)エテン; (1E)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2−フリル)エテン; (1E)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−フリル)エテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−フリル)エテン; (1E)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−フリル)エテン; (1E)−1−{[(4−ヨードフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−フリル)エテン; (1E)−1−{[(4−メチルフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−フリル)エテン; (1E)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−フリル)エテン; (1E)−1−{[(4−トリフルオロメチルフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−フリル)−エテン; (1E)−1−{[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−フリル)エテン; (1E)−1−{[(3,4−ジクロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−フリル)エテン; (1E)−1−{[(4−シアノフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−フリル)エテン; (1E)−1−{[(4−ニトロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(3−フリル)エテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(1,3−チアゾール−2−イル)−エテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−ピロール−2−イルエテン; (1E)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}−2−ピロール−2−イルエテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(5−ニトロ(3−チエニル))エテン; (1E)−1−{[(4−ヨードフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(5−ニトロ(3−チエニル))エテン; (1E)−1−{[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(5−ニトロ(3−チエニル))エテン; (1E)−1−{[(4−メトキシフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(5−ニトロ(3−チエニル))エテン; (1E)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−ナフチルエテン; (1E)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2−ナフチル)エテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−ナフチルエテン; (1E)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2−ナフチル)エテン; (1E)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}−2−ナフチルエテン; (1E)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}−2−(2−ナフチル)エテン; (1E)−2−(9−アントリル)−1−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(9−アントリル)−1−{[(4−クロロフェニル)メチル]スルフィニル}エテン; (1E)−2−(9−アントリル)−1−{[(4−ブロモフェニル)メチル]スルフィニル}エテン;及びこれらの塩よりなる群から選択される請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
薬学的に許容される担体と請求項1に記載の化合物とを含む医薬組成物。
【請求項28】
式I−L−Ab:
(式中、
Iは請求項1に記載の化合物であり;
Abは抗体であり;
−L−は単一の共有結合であるか又は前記化合物を前記抗体に共有結合する結合基である。)
の複合体。
【請求項29】
前記抗体Abがモノクローナル抗体又は単一特異的ポリクローナル抗体である請求項28に記載の複合体。
【請求項30】
前記抗体Abが腫瘍特異抗体である請求項29に記載の複合体。
【請求項31】
薬学的に許容される担体と請求項28に記載の複合体の少なくとも1種とを含む医薬組成物。
【請求項32】
請求項1に記載の化合物を個体に有効量投与することを含む増殖性疾患の個体を治療する方法。
【請求項33】
増殖性疾患が、新生児の血管腫症;二次性進行型多発性硬化症;慢性進行性骨髄変性疾患;神経線維腫症;神経節神経腫症;ケロイド形成;骨ページェット病;繊維嚢胞症;サルコイドーシス;ペイロニー及びデュピュイトラン線維症;硬変;アテローム性動脈硬化症;及び血管再狭窄よりなる群から選択される請求項32に記載の方法。
【請求項34】
増殖性疾患が癌である請求項32に記載の方法。
【請求項35】
癌が、卵巣癌、乳癌、前立腺癌、睾丸癌、肺癌、腎臓癌、結腸直腸癌、皮膚癌及び脳腫瘍よりなる群から選択されるか、又は白血病である請求項34に記載の方法。
【請求項36】
治療用の電離放射線を個体に有効量投与することを更に含む請求項35に記載の方法。
【請求項37】
請求項1に記載の化合物を個体に有効量投与することを含む、癌に罹患している個体中の腫瘍細胞のアポトーシスを誘発する方法。
【請求項38】
腫瘍細胞が卵巣、乳、前立腺、肺、結腸直腸、腎臓及び脳の腫瘍よりなる群から選択される請求項37に記載の方法。
【請求項39】
請求項28に記載の複合体の少なくとも1種を個体に有効量投与することを含む癌に罹患している個体の治療方法。
【請求項40】
電離放射線の被曝前又は後に個体に対して請求項1に記載の放射線防護化合物の少なくとも1種を有効量投与することを含む、電離放射線の被曝を受けた又は受ける危険性がある個体中の正常細胞に対する電離放射線の影響を減少又は排除する方法。
【請求項41】
放射線防護化合物は個体が電離放射線に被曝する前に投与される請求項40に記載の方法。
【請求項42】
放射線防護化合物は個体が電離放射線に被曝する少なくとも約4時間前に投与される請求項41に記載の方法。
【請求項43】
放射線防護化合物は個体が電離放射線に被曝する約24時間前までに投与される請求項42に記載の方法。
【請求項44】
放射線防護化合物は個体が電離放射線に被曝する約6時間〜約18時間前に投与される請求項43に記載の方法。
【請求項45】
放射線防護化合物は個体が電離放射線に被曝した後に投与される請求項40に記載の方法。
【請求項46】
放射線防護化合物は個体が電離放射線に被曝してから0時間〜6時間後に投与される請求項45に記載の方法。
【請求項47】
(a)請求項1に記載の放射線防護化合物の少なくとも1種を個体に有効量投与すること;
(b)治療用の電離放射線を有効量投与すること;
を含む増殖性疾患の個体を治療する方法。
【請求項48】
増殖性疾患が癌である請求項47に記載の方法。
【請求項49】
(a)個体の骨髄の一部を取り除くこと;
(b)請求項1に記載の放射線防護化合物の少なくとも1種を該骨髄に有効量投与すること;
(c)該骨髄に電離放射線を有効量照射すること;
を含む個体の骨髄中の悪性細胞の数を減少させる方法。
【請求項50】
該骨髄を個体に再移植することを更に含む請求項49に記載の方法。
【請求項51】
個体は、骨髄の再移植前に治療用の電離放射線を受け、該治療用の電離放射線を受ける前に請求項1に記載の放射線防護化合物を少なくとも1種投与される請求項49に記載の方法。
【請求項52】
放射線防護化合物は骨髄が電離放射線に被曝する少なくとも約6時間前に投与される請求項49に記載の方法。
【請求項53】
放射線防護化合物は電離放射線へ被曝する約20時間前に投与される請求項49に記載の方法。
【請求項54】
放射線防護化合物は電離放射線へ被曝する約24時間前に投与される請求項49に記載の方法。
【請求項55】
分裂期細胞周期阻害剤又はトポイソメラーゼ阻害剤の投与による細胞毒性副作用から個体を防護するための方法であって、前記阻害剤の投与に先立って、請求項1に記載の細胞防護化合物の少なくとも1種を個体に有効量投与することを含む方法(ここで、分裂期細胞周期阻害剤又はトポイソメラーゼ阻害剤は請求項1に記載の化合物ではない)。
【請求項56】
分裂期細胞周期阻害剤がビンカアルカロイド、タキサン、天然マクロライド、及びコルヒチン及びその誘導体よりなる群から選択される請求項55に記載の方法。
【請求項57】
分裂期細胞周期阻害剤がパクリタキセル及びビンクリスチンよりなる群から選択される請求項56に記載の方法。
【請求項58】
トポイソメラーゼ阻害剤がカンプトセシン、エトポシド及びミトキサントロンよりなる群から選択される請求項55に記載の方法。
【請求項59】
細胞防護化合物は分裂期細胞周期阻害剤又はトポイソメラーゼ阻害剤を投与する少なくとも約1時間前に投与される請求項55に記載の方法。
【請求項60】
細胞防護化合物は分裂期細胞周期阻害剤又はトポイソメラーゼ阻害剤を投与する少なくとも約12時間前に投与される請求項59に記載の方法。
【請求項61】
細胞防護化合物は分裂期細胞周期阻害剤又はトポイソメラーゼ阻害剤を投与する少なくとも約24時間前に投与される請求項60に記載の方法。
【請求項62】
請求項1に記載の細胞防護化合物の少なくとも1種を個体に有効量投与し、請求項1に記載の細胞防護化合物を有効量投与した後に分裂期細胞周期阻害剤又はトポイソメラーゼ阻害剤の少なくとも1種を有効量投与することを含む癌又はその他の増殖性疾患の治療方法。
【請求項63】
分裂期細胞周期阻害剤がビンカアルカロイド、タキサン、天然マクロライド、及びコルヒチン及びその誘導体よりなる群から選択される請求項62に記載の方法。
【請求項64】
分裂期細胞周期阻害剤がパクリタキセル及びビンクリスチンよりなる群から選択される請求項63に記載の方法。
【請求項65】
トポイソメラーゼ阻害剤がカンプトセシン、エトポシド及びミトキサントロンよりなる群から選択される請求項62に記載の方法。
【請求項66】
細胞防護化合物は分裂期細胞周期阻害剤又はトポイソメラーゼ阻害剤を投与する少なくとも約1時間前に投与される請求項62に記載の方法。
【請求項67】
細胞防護化合物は分裂期細胞周期阻害剤又はトポイソメラーゼ阻害剤を投与する少なくとも約12時間前に投与される請求項66に記載の方法。
【請求項68】
細胞防護化合物は分裂期細胞周期阻害剤又はトポイソメラーゼ阻害剤を投与する少なくとも約24時間前に投与される請求項67に記載の方法。
【請求項69】
(a)式II:
【化8】

(式中、Aは置換若しくは非置換のアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールであり;nは0又は1であり;R1は−H、−(C1−C8)ヒドロカルビル、−CN、−CO2(C1−C6)アルキル又はハロ(C1−C6)アルキルである。)
の化合物と、
式III:
【化9】

(式中、Bは置換若しくは非置換のアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールである。)
の化合物とを反応させること;
(b)その反応生成物から請求項3に記載の化合物を単離すること;
を含む請求項3に記載の化合物の調製方法。
【請求項70】
式IIの化合物は、
(a)式IIA:
【化10】

の化合物と、
スルフィドをスルホキシドに酸化することのできる酸化剤とを反応させること;
(b)その反応生成物から式IIの化合物を単離すること;
によって調製される請求項69に記載の方法。
【請求項71】
式IIAの化合物は、
(a)式IIB:
【化11】

(式中、Lは脱離基である。)の化合物と、
メルカプト酢酸とを反応させること;
(b)その反応生成物から式IIAの化合物を単離すること;
によって調製される請求項70に記載の方法。
【請求項72】
(a)式IV:
【化12】

(式中、
Aは置換若しくは非置換のアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールであり;
Bは置換若しくは非置換のアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールであり;
nは0又は1であり;
1は−H、−(C1−C8)ヒドロカルビル、−CN、−CO2(C1−C6)アルキル又はハロ(C1−C6)アルキルである。)
の化合物と、
スルフィドをスルホキシドに酸化することのできる酸化剤とを反応させること;
(b)その反応生成物から請求項2に記載の化合物を単離すること;
を含む請求項2に記載の化合物の調製方法。
【請求項73】
式IVの化合物が、
(a)式IVA:
【化13】

(式中、Q+はアルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属よりなる群から選択される対イオンである。)
の化合物と、
式IVB:
【化14】

の化合物とを反応させること;
(b)その反応生成物から式IVの化合物を単離すること;
によって調製される請求項72に記載の方法。
【請求項74】
式V:
【化15】

(式中、
Aは置換若しくは非置換のアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールであり;
Bは置換若しくは非置換のアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールであり(但し、AとBが共にフェニルのときは、A又はBの少なくとも一方は置換されている。);
nは0又は1であり;
1は−H、−(C1−C8)ヒドロカルビル、−CN、−CO2(C1−C6)アルキル又はハロ(C1−C6)アルキルであり;
炭素−炭素二重結合上の置換基の配置はE−又はZ−であり;
*はR1が−H以外のときは、指定された炭素原子上の置換基の配置はR−、S−又はR−とS−の任意の混合であることを示す。)
の化合物又は該化合物の塩の調製方法であって:
(a)式I:
【化16】

(式中、A、B、n、R1及び*は定義通りであり;
Aは置換若しくは非置換のアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールであり;

炭素−炭素二重結合上の置換基の配置はE−又はZ−であり;
スルホキシドの硫黄原子上の置換基の配置はR−、S−又はR−とS−の任意の混合である。)
の化合物又はその塩と;
スルホキシドをスルホンに酸化することのできる酸化剤とを反応させること;
(b)その反応生成物から式Vの化合物を単離すること;
を含む方法。
【請求項75】
式II:
【化17】

(式中、
Aは非置換フェニル以外の置換若しくは非置換のアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールであり;
nは0又は1であり;
1は−H、−(C1−C8)ヒドロカルビル、−CN、−CO2(C1−C6)アルキル又はハロ(C1−C6)アルキルであり;
スルホキシドの硫黄原子上の置換基の配置はR−、S−又はR−とS−の任意の混合であり;
*はR1が−H以外のときは、指定された炭素原子上の置換基の配置はR−、S−又はR−とS−の任意の混合であることを示す。)
の化合物又は該化合物の塩。
【請求項76】
式IV:
【化18】

(式中、
A及びBは非置換フェニル以外の置換若しくは非置換のアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールであり;
nは0又は1であり;
1は−H、−(C1−C8)ヒドロカルビル、−CN、−CO2(C1−C6)アルキル又はハロ(C1−C6)アルキルであり;
スルホキシドの硫黄原子上の置換基の配置はR−、S−又はR−とS−の任意の混合であり;
*はR1が−H以外のときは、指定された炭素原子上の置換基の配置はR−、S−又はR−とS−の任意の混合であることを示す。)
の化合物又は該化合物の塩。
【請求項77】
請求項1に記載の化合物の単離された光学異性体。

【公表番号】特表2007−513877(P2007−513877A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539731(P2006−539731)
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/037293
【国際公開番号】WO2005/046599
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(591135163)テンプル・ユニバーシティ−オブ・ザ・コモンウェルス・システム・オブ・ハイアー・エデュケイション (11)
【氏名又は名称原語表記】TEMPLE UNIVERSITY−OF THE COMMONWEALTH SYSTEM OF HIGHER EDUCATION
【出願人】(503310512)オンコノバ セラピューティクス インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】