説明

変位センサ

【課題】複数の測定対象物の測定が可能な変位センサを提供すること。
【解決手段】コントローラ10は、トリガが発生する毎に、サンプルトリガ蓄積数分の測定データを第1の記憶回路13に記憶するとともにデータアドレスをカウントアップする。トリガ発生毎に測定データを第1の記憶回路13に記憶することで、複数の測定対象物の高さの測定が可能となる。データアドレスはトリガの発生回数に対応する。従って、データアドレスに基づいてトリガの発生回数、即ち測定対象物の数をカウントすることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変位センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、物体の長さや高さを測定する用途には、レーザ光を用いた変位センサが用いられている。変位センサは、投光部からのレーザ光を測定対象物に照射し、その反射光を二次元センサで受光し、反射光の二次元センサにおける受光位置に基づいてセンサヘッドから測定対象物までの距離を測定する(例えば、特許文献1参照)。そして、移動機構により、レーザ光の光軸と交差する方向に、変位センサと測定対象物とを相対的に移動させ、各移動位置における距離を測定することで、測定対象物の長さや表面形状を測定することが可能となる。
【特許文献1】特開2001−50711号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の変位センサでは、複数の測定対象物の高さや測定対象物の高さの測定は難しい。上記変位センサは、サンプリング周期を変更可能であるが、複数の測定対象物の間隔が異なる場合には対応することができないという問題がある。
【0004】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、複数の測定対象物の測定が可能な変位センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、測定対象物に光を照射する投光手段と、前記測定対象物からの反射光を受光し、その反射光の受光位置は前記測定対象物までの距離に対応する受光手段と、前記受光手段の受光位置から前記測定対象物までの距離を測定して測定データを出力する測定手段と、データアドレスにて指定される領域に前記測定データを記憶するデータ記憶手段と、前記データアドレスを記憶する設定記憶手段と、トリガ発生毎に前記測定データを前記データアドレスにて指定されるデータ記憶手段の領域に記憶させるとともに、前記設定記憶手段に記憶された前記データアドレスをカウントアップするデータ蓄積手段と、を備えた。この構成によれば、トリガ発生毎に測定データがデータ記憶手段に記憶されるとともに、その測定データを記憶する領域を示すデータアドレスがカウントアップされる。トリガ発生毎に測定データをデータ記憶手段に記憶することで、複数の測定対象物の高さの測定が可能となる。データアドレスはトリガの発生回数に対応する。従って、データアドレスに基づいてトリガの発生回数、即ち測定対象物の数をカウントすることが可能となる。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の変位センサにおいて、前記設定記憶手段には、前記トリガ発生毎に前記データ記憶手段に記憶させる測定データの蓄積数が記憶され、前記データ蓄積手段は、前記トリガ発生毎に前記蓄積数分の前記測定データを前記データ記憶手段に記憶させる。この構成によれば、1つの測定対象物における測定データの数を制限することで、複数の測定対象物の高さ測定が可能となる。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項2記載の変位センサにおいて、前記データ蓄積手段は、前記データアドレスと前記蓄積数とに基づいて前記トリガの発生回数を算出する。この構成によれば、測定対象物の数を容易に確認することが可能となる。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載の変位センサにおいて、前記設定記憶手段には、前記測定データの蓄積開始を前記トリガ発生から遅延させる遅延時間が記憶され、前記データ蓄積手段は、前記トリガ発生から前記遅延時間経過した後に前記測定データの蓄積を開始する。この構成によれば、例えば上面の周囲が面取りされた測定対象物等のように、トリガの発生における測定データが測定対象物の高さを示さない場合、測定対象物の形状に応じて遅延時間を設定することで、測定対象物の高さを容易に測定することが可能となる。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載の変位センサにおいて、前記設定記憶手段には、前記測定データを前記データ記憶手段に記憶可能なデータ蓄積数が記憶され、前記データ蓄積手段は、前記データアドレスが前記データ蓄積数に達した場合に前記測定データの記憶を停止する。この構成によれば、データアドレスがデータ蓄積数に達するまでトリガ発生に応じて測定データを蓄積するため、継続的な測定が可能となる。また、最新の測定データが過去の測定データに上書きされて測定データが消失する等の不具合の発生を防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
以上記述したように、本発明によれば、複数の測定対象物の測定が可能な変位センサを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図6に従って説明する。
図1に示すように、変位センサのコントローラ10には複数のケーブル接続端子10a〜10dが設けられ、そのケーブル接続端子10aには投光手段及び受光手段としてのセンサヘッド20aのケーブルC1aが接続されている。センサヘッド20aは、測定台Bの上方に図示しない固定具により配置され、コントローラ10の制御により測定台B上に載置された測定対象物としてのワークWに対してレーザ光を照射し、受光した反射光に応じた信号を出力する。
【0012】
コントローラ10のケーブル接続端子10cには表示画面としてのコンソール30がケーブルC2を介して接続されている。コンソール30は、入力回路と、LCD等のドットマトリクスにて表示可能な表示画面とを有し、文字及び線画を表示することができる。また、コンソール30はパーソナルコンピュータよりも小型であり、パーソナルコンピュータが持ち込めない場所にも持ち込むことが可能である。コントローラ10は、センサヘッド20aから入力された信号に基づいて表示データをコンソール30に出力し、コンソール30には、表示データに基づいて受光量の数値や、受光量の波形が表示される。
【0013】
次に、コントローラ10及びセンサヘッド20aの電気的構成を説明する。
図2に示すようにコントローラ10には、データ蓄積手段、測定手段としてのCPU11が内蔵され、該CPU11にはヘッド通信回路12が接続されている。該ヘッド通信回路12はケーブル接続端子10a,10bと接続されている。ケーブル接続端子10aにはセンサヘッド20aが接続されている。また、ケーブル接続端子10bには破線で示すセンサヘッド20bを、ケーブルC1bを介して接続することができる。即ち、コントローラ10には2つのセンサヘッド20a,20bを接続することができ、CPU11は、ヘッド通信回路12を介して各センサヘッド20a,20bと通信することができる。CPU11は、ヘッド通信回路12に制御信号を出力し、該ヘッド通信回路12は各センサヘッド20a,20bに制御信号を送信する。CPU11は、ヘッド通信回路12にて各センサヘッド20a,20bから受信した受光量データを入力する。
【0014】
CPU11には、ケーブル接続端子10a,10bに接続されるセンサヘッドのそれぞれに対応するデータ記憶手段及び設定記憶手段としての第1の記憶回路13(メモリ1と表示)及び第2の記憶回路14(メモリ2と表示)が接続されている。CPU11は、ヘッド通信回路12を介してセンサヘッド20aから受信した受光量データ、センサヘッド20aに係わる設定値、などを第1の記憶回路13に記憶する。また、CPU11は、ヘッド通信回路12を介してセンサヘッド20bから受信した受光量データ、センサヘッド20bに係わる設定値、などを第2の記憶回路14に記憶する。
【0015】
更に、CPU11には、コンソール通信回路15とパソコン通信回路16が接続されている。コンソール通信回路15はケーブル接続端子10cに接続され、そのケーブル接続端子10cには、コンソール(CS)30が接続されている。CPU11は、コンソール通信回路15を介してコンソール30と通信する。パソコン通信回路16は、ケーブル接続端子10dと接続されており、そのケーブル接続端子10dには破線で示すパーソナルコンピュータ(PC)40がケーブルC3を介して接続される。
【0016】
センサヘッド20aは、コントローラ10と通信するための通信回路21を備え、該通信回路21はCPU22に接続されている。CPU22は、通信回路21にて受信した制御信号を入力し、該制御信号に基づいてセンサヘッド20aを制御する。CPU22は、表示回路23及び投光手段としてのレーザダイオード(LD)24が接続されている。表示回路23はセンサヘッド20aの外部から視認可能に設けられたLEDなどからなり、CPU22は、表示回路23に信号を出力し、動作状態を表示回路23に表示させる。CPU22は、レーザダイオード24を制御し、ワークWにレーザ光を照射させる。
【0017】
ワークWなどによる反射光はイメージセンサ(IS)25に入射される。イメージセンサ25は例えば二次元CCDであり、各画素における受光量に応じた電圧の受光信号をアナログ/デジタル(A/D)変換器26に出力する。A/D変換器26は、受光信号を受光量データにアナログ−デジタル変換し、その受光量データ(画素毎における画素データ)をCPU22に出力する。CPU22は、受光量データを通信回路21に出力し、通信回路21は受光量データをコントローラ10に送信する。
【0018】
上記したように、コントローラ10のCPU11は、センサヘッド20aからヘッド通信回路12を介して受信した受光量データを第1の記憶回路13に記憶する。そして、CPU11は、第1の記憶回路13に記憶した受光量データに基づいて、測定点におけるワークWの高さなどを測定する。
【0019】
詳述すると、センサヘッド20aから出射されるレーザ光は反射面(例えばワークWの表面)にて反射し、その反射光がイメージセンサ25に入射され、その反射光を受光する受光位置はセンサヘッド20aから反射面までの距離に応じて変化する。コントローラ10のCPU11は、第1の記憶回路13に記憶した受光量データにおけるピーク値を検出し、そのピーク値の受光量データを出力する画素の位置(ピーク位置)と基準位置(例えばイメージセンサ25の中心)との差(画素数)を算出する。反射光が基準位置に入射される位置ときのセンサヘッド20aから反射面までの距離(反射面からセンサヘッド20aまでの高さ)は予め第1の記憶回路13に記憶されている。また、第1の記憶回路13には、センサヘッド20aの種類に応じて、イメージセンサ25の1画素に対する距離(高さ)の変化量が記憶されている。CPU11は、測定結果と第1の記憶回路13に記憶された値に基づいて、その時の反射面からセンサヘッド20aまでの高さを測定する。
【0020】
コントローラ10は、コンソール30からの要求信号に応答して、検出したピーク値、反射面の変動量や記憶回路13,14に記憶した受光量データ、検出条件などをコンソール30に送信する。また、コントローラ10は、コンソール30から出力される設定データに基づいて、各種設定を行ない、各設定値を記憶回路13,14に記憶する。
【0021】
上記の設定データにはサンプルトリガモードにおける設定値が含まれる。
サンプルトリガモードは、トリガ条件で設定したトリガ発生毎に所定数の測定データを内部メモリに蓄積する動作モードである。この動作モードにおける設定は、トリガ条件、トリガディレイ、サンプルトリガ蓄積数、データアドレスを含む。図6に設定されたトリガ条件の一例を示す。
【0022】
トリガ条件は、測定データを特製するタイミングの設定である。センサヘッド20aは、設定されたサンプリング周波数で規定される時間毎に、受光位置に応じた信号をコントローラ10に出力する。コントローラ10は、センサヘッド20aからの信号を入力する毎に、その信号に基づいて受光位置から測定対象物までの距離(測定データ)を算出し、その測定データを第1の記憶回路13に予め記憶されたしきい値と比較する。本実施形態において、第1の記憶回路13には2つのしきい値が記憶されている。この2つのしきい値を互いに異なる値に設定する。本実施形態において、値の大きい方のしきい値を第1のしきい値と呼び、値の小さい方のしきい値を第2のしきい値と呼ぶ。コントローラ10は、測定データの値が第1のしきい値より大きい場合にHIであると判定し、測定データが第2のしきい値より小さい場合にLOであると判定し、測定データが第1のしきい値と第2のしきい値の間である場合にGOであると判定する。
【0023】
上記のトリガ条件は、HIになった時/LOになった時/HIorLOになった時/HIからGOになった時/LOからGOになった時/GOになった時、として設定される。例えば、トリガ条件に「GOになった時」が設定されている場合、コントローラ10は、HI又はLOとして判定した測定データの次の測定データをGOと判定した場合、その時をトリガ発生とする。
【0024】
トリガディレイは、トリガ発生から測定データの蓄積を開始するまでの時間の設定、つまり測定データの蓄積開始をトリガ発生から遅延させる遅延時間の設定である。サンプルトリガ蓄積数は、トリガ発生毎に第1の記憶回路13に蓄積するデータ数である。データアドレスは、測定データを蓄積するアドレスである。このデータアドレスは、第1の記憶回路13において基準アドレスからの相対アドレス又は第1の記憶回路13の絶対アドレスである。
【0025】
コントローラ10は、トリガの発生を判定した後、トリガディレイに設定された値分だけ後の測定データを第1の記憶回路13のデータアドレスで指定される領域に記憶するとともに、データアドレスをカウントアップする。更に、コントローラ10は、その記憶した測定データを含み、サンプルトリガ蓄積数分の測定データを第1の記憶回路13に記憶する。即ち、コントローラ10は、1回のトリガが発生する毎に、サンプルトリガ蓄積数分の測定データを第1の記憶回路13に記憶するとともにデータアドレスをカウントアップする。
【0026】
第1の記憶回路13において、測定データを記憶する領域は有限である。1回のトリガに対して記憶する測定データの数が多いと、第1の記憶回路13に測定データを記憶するワークWの数が少なくなる。従って、サンプルトリガ蓄積数を適宜設定することにより、多くのワークWの高さの測定データを有限な第1の記憶回路13に記憶することができるようになる。
【0027】
従って、トリガディレイを適宜設定することにより、ワークWの高さやワークWの上面の形状などを正確に測定することができる。例えば、図3に示すように、ワークWの突起W0に対して第1のしきい値L1と第2のしきい値L2が設定される。これらのしきい値L1,L2は、突起W0の高さの許容範囲に応じて設定される。つまり、図3では、第1のしきい値L1より低く第2のしきい値L2より高い突起W0を検出する。つまり、この場合では、突起W0が測定対象物となる。
【0028】
図3に示すように、コントローラ10は、センサヘッド20aからの信号に基づく測定データが第2のしきい値L2よりも高くなると「GOになった時」と判断してその時をトリガTの発生とする。そして、このトリガTの発生後に、センサヘッド20aからの信号に基づく測定データS1,S2,S3,S4,S5,…が出力される。例えば、トリガディレイに「4」が設定されている場合、コントローラ10は、トリガTの後に入力される4番目の測定データS4を第1の記憶回路13に記憶するとともに、データアドレスをカウントアップする。尚、トリガディレイに「0」を設定することもできる。この場合、コントローラ10は、トリガTが発生したときの測定データを第1の記憶回路13に記憶する。
【0029】
更に、コントローラ10は、サンプルトリガ蓄積数の測定データを第1の記憶回路13に記憶する。一例として、サンプルトリガ蓄積数が「1」の場合、コントローラ10は、測定データS4を第1の記憶回路13に記憶する。別の例として、サンプルトリガ蓄積数が「2」の場合、コントローラ10は、測定データS4と次の測定データS5を第1の記憶回路13に記憶する。
【0030】
上記の動作は、トリガ発生毎に行われる。例えば、図4に示すように、ワークWの上面に複数(図4において6個)の突起W0〜W5が形成されている。この突起W0〜W5の配置位置に沿って(図4において矢印M方向に)ヘッド20aを移動させる。すると、各突起W0〜W5毎に図3に示すトリガTが発生する。図2に示すコントローラ10は、トリガTの発生毎に、センサヘッド20aから出力される信号に基づく測定データのうち、上記の設定に対応する測定データを第1の記憶回路13に記憶する。
【0031】
このように、複数の突起W0〜W5毎に発生するトリガTに応答して測定データを記憶することにより、複数の突起W0〜W5のそれぞれの高さを測定することができる。また、各突起W0〜W5の測定データに基づいて、突起W0〜W5の高さの平均値の算出、最も高い突起、最も低い突起の検出を行うことが可能となる。平均値を算出することにより、ノイズ等による測定データの変化に影響されることなく、測定対象物の高さの測定が可能となる。
【0032】
また、コントローラ10は、トリガカウンタ読出し機能を有している。トリガカウンタ読出し機能は、コントローラ10がサンプルトリガモードにおいて、コンソール30からの要求信号に応答してトリガカウンタとしてトリガ発生回数を要求元であるコンソール30に出力する機能である。上記のデータアドレスは第1の記憶回路13に記憶した測定データの個数に対応し、1回のトリガ発生に対してサンプルトリガ蓄積数分の測定データが第1の記憶回路13に記憶される。従って、コントローラ10は、データアドレス(絶対アドレスの場合はデータアドレスと基準アドレスとの差)をサンプルトリガ蓄積数で割ることにより、トリガ発生回数を算出する。そして、コントローラ10は、コンソール30からの要求信号に応答してトリガ発生回数をトリガカウンタとしてコンソール30に出力する。従って、コンソール30は、コントローラ10からトリガ発生回数、つまり突起W0〜W5の数読み出すことができる。
【0033】
図5は、サンプルトリガモードにおけるコントローラ10の動作を示すフローチャートである。
即ち、ステップS1において、コントローラ10は、トリガ発生か否かを判断し、トリガ発生の場合にはステップS2に移行する。つまり、ステップS1はトリガ待ち状態であり、トリガが発生すると、ステップS2に移行する。
【0034】
ステップS2において、コントローラ10は、トリガ発生からトリガディレイ分だけ経過したか否かを判断し、経過した場合にはステップS3に移行する。
ステップS3において、コントローラ10は、サンプルトリガ蓄積数分の測定データを第1の記憶回路13に記憶し、データアドレスをカウントアップ(所定数を加算、所定数が1の場合はプラス1)する。
【0035】
ステップS4において、コントローラ10は、データアドレスのカウントがデータ蓄積数に達したか否かを判断する。データ蓄積数は、第1の記憶回路13に記憶可能な測定データの数であり、第1の記憶回路13の容量に応じて設定される。データアドレスがデータ蓄積数に達していない場合、コントローラ10は、ステップS1に移行し、サンプルトリガモードを継続する。一方、データアドレスがデータ蓄積数に達した場合、コントローラ10は、測定データの蓄積を終了する。
【0036】
データアドレスがデータ蓄積数に達した場合に測定データの蓄積を終了することで、データアドレスがデータ蓄積数に達するまでトリガ発生に応じて測定データを蓄積するため、継続的な測定が可能となる。また、最新の測定データが過去の測定データに上書きされて測定データが消失する等の不具合の発生を防止することが可能となる。
【0037】
以上記述したように、本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)コントローラ10は、トリガが発生する毎に、サンプルトリガ蓄積数分の測定データを第1の記憶回路13に記憶するとともにデータアドレスをカウントアップする。トリガ発生毎に測定データを第1の記憶回路13に記憶することで、複数の測定対象物の高さの測定が可能となる。データアドレスはトリガの発生回数に対応する。従って、データアドレスに基づいてトリガの発生回数、即ち測定対象物の数をカウントすることが可能となる。
【0038】
(2)第1の記憶回路13において、測定データを記憶する領域は有限である。1回のトリガに対して記憶する測定データの数が多いと、第1の記憶回路13に測定データを記憶するワークWの数が少なくなる。従って、サンプルトリガ蓄積数を適宜設定することにより、多くのワークWの高さの測定データを有限な第1の記憶回路13に記憶することができるようになる。
【0039】
(3)コントローラ10は、データアドレス(絶対アドレスの場合はデータアドレスと基準アドレスとの差)をサンプルトリガ蓄積数で割ることにより、トリガ発生回数を算出する。そして、コントローラ10は、コンソール30からの要求信号に応答してトリガ発生回数をトリガカウンタとしてコンソール30に出力する。従って、コンソール30は、コントローラ10からトリガ発生回数、つまり突起W0〜W5の数読み出すことができるため、測定対象物の数を容易に確認することが可能となる。
【0040】
(4)コントローラ10は、トリガの発生を判定した後、トリガディレイに設定された値分だけ後の測定データを第1の記憶回路13のデータアドレスで指定される領域に記憶する。例えば上面の周囲が面取りされた測定対象物等のように、トリガの発生における測定データが測定対象物の高さを示さない場合、測定対象物の形状に応じて遅延時間を設定することで、測定対象物の高さを容易に測定することが可能となる。従って、トリガディレイを適宜設定することにより、ワークWの高さやワークWの上面の形状などを正確に測定することができる。
【0041】
(5)データアドレスがデータ蓄積数に達した場合、コントローラ10は、測定データの蓄積を終了するようにした。データアドレスがデータ蓄積数に達した場合に測定データの蓄積を終了することで、データアドレスがデータ蓄積数に達するまでトリガ発生に応じて測定データを蓄積するため、継続的な測定が可能となる。また、最新の測定データが過去の測定データに上書きされて測定データが消失する等の不具合の発生を防止することが可能となる。
【0042】
尚、上記各実施の形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記実施形態では、測定データとしきい値との比較結果に基づいてトリガ発生を判定するようにしたが、その他のデータに基づいてトリガを発生させるようにしたもよい。例えば、受光光量に基づいてトリガを発生させるようにしてもよく、この場合には、受光光量が低く測定に適していない場合や受光光量が多すぎて測定に適していない場合にトリガを発生させないように設定することで、適切な受光光量における測定が可能となる。また、コントローラ10の外部から供給される信号の変化によりトリガを発生させるようにしてもよい。
【0043】
・上記実施形態では、トリガディレイとしてサンプル数を設定したが、時間を設定するようにしてもよい。
・上記実施形態では、ワークW上に形成された突起W0〜W5を測定する場合について説明したが、搬送ラインなどの搬送手段により搬送される複数のワークを測定するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本実施形態の変位センサを示す概略構成図。
【図2】変位センサの電気的構成を示すブロック図。
【図3】トリガディレイの説明図。
【図4】サンプルトリガ蓄積の説明図。
【図5】サンプルトリガモードの動作を示すフローチャート。
【図6】サンプリングトリガ条件の説明図。
【符号の説明】
【0045】
10…コントローラ、13,14…記憶回路、20a…センサヘッド、T…トリガ、S1〜S5…測定データ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物に光を照射する投光手段と、
前記測定対象物からの反射光を受光し、その反射光の受光位置は前記測定対象物までの距離に対応する受光手段と、
前記受光手段の受光位置から前記測定対象物までの距離を測定して測定データを出力する測定手段と、
データアドレスにて指定される領域に前記測定データを記憶するデータ記憶手段と、
前記データアドレスを記憶する設定記憶手段と、
トリガ発生毎に前記測定データを前記データアドレスにて指定されるデータ記憶手段の領域に記憶させるとともに、前記設定記憶手段に記憶された前記データアドレスをカウントアップするデータ蓄積手段と、
を備えたことを特徴とする変位センサ。
【請求項2】
前記設定記憶手段には、前記トリガ発生毎に前記データ記憶手段に記憶させる測定データの蓄積数が記憶され、
前記データ蓄積手段は、前記トリガ発生毎に前記蓄積数分の前記測定データを前記データ記憶手段に記憶させる、
ことを特徴とする請求項1記載の変位センサ。
【請求項3】
前記データ蓄積手段は、前記データアドレスと前記蓄積数とに基づいて前記トリガの発生回数を算出する、
ことを特徴とする請求項2記載の変位センサ。
【請求項4】
前記設定記憶手段には、前記測定データの蓄積開始を前記トリガ発生から遅延させる遅延時間が記憶され、
前記データ蓄積手段は、前記トリガ発生から前記遅延時間経過した後に前記測定データの蓄積を開始する、
ことを特徴とする請求項1〜3のうちの何れか1項に記載の変位センサ。
【請求項5】
前記設定記憶手段には、前記測定データを前記データ記憶手段に記憶可能なデータ蓄積数が記憶され、
前記データ蓄積手段は、前記データアドレスが前記データ蓄積数に達した場合に前記測定データの記憶を停止する、
ことを特徴とする請求項1〜4のうちの何れか1項に記載の変位センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−156790(P2009−156790A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−337588(P2007−337588)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000106221)サンクス株式会社 (578)
【Fターム(参考)】