説明

変位計の位置計測方法および位置計測装置

【課題】 小形軽量で、狭隘な設置スペ−スに設置できるとともに、計測器等の修理や部品交換に容易に応じられる、変位計の位置計測方法および装置を提供する。
【解決手段】 距離計測手段30を介し、最先の一対の変位計28の両端部と、その枢支部27の少なくとも3位置の三次元位置を基準値として計測する。 前記一対の変位計28の折れ角の初期値を演算する。 この後、前記変位計28に一対の変位計28を順次連結して延伸する。 その際前記距離計測手段30を介して、延伸した一対の変位計28の両端部と、その枢支部27の少なくとも3位置の三次元位置を計測する。 前記延伸した一対の変位計28の折れ角を算出する。 前記折れ角と、延伸した変位計28の枢支部27における三次元位置と、延伸に伴ない変化する先行の折れ角を相対量として検出する。 前記検出角度と変位計28の長さを基に、最先または所望の変位計28の位置を演算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば曲線ボ−リングによる推進管の推進や、その先端装置の位置計測に好適で、小形軽量で、狭隘な設置スペ−スに設置できるとともに、計測器等の修理や部品交換に容易に応じられ、計測の速やかな復旧と再現性を得られるとともに、推進作業の速やかな再開を図れる、変位計の位置計測方法および位置計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、トンネルの築造や上下水道の新設、シ−ルドトンネルの拡幅、シ−ルド駅の施工に際しては、推進工法を駆使したボ−リング工が採用されている。
前記ボ−リング工は、元押しジャッキ等の推進手段を備え、該推進手段によって推進管を地山に推進し、前記推進管の先端部に掘削装置を備えた先端装置を設け、地山を掘削しながら推進管を地山へ推進させて施工するもので、前記施工時には掘削位置と推進管の推進位置、並びにそれらの姿勢を計測して管理する必要がある。
【0003】
例えば、シ−ルドトンネルの拡幅に際して、シ−ルドトンネル内に曲線ボ−リング装置を構成する推進装置を設置し、該推進装置から曲管状の外管を順次継ぎ足して地山へ推進し、前記外管の内部に曲管状の内管を順次継ぎ足して収容し、該内管の先端部に掘削装置を設け、該掘削装置によって地山を掘削しながら、内管と外管とを一緒に地山へ推進し、一方、前記先端側の内管内に孔芯測定器として、光ファイバジャイロを設置し、該ジャイロによって外管ないし内管の推進位置と方向を検出し、その信号によって掘削装置の進路を修正するようにしていた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかし、前記光ファイバジャイロは、高価で精密な取り付けを要し、設置に手間が掛かる上に、ジャイロ自身が回転体であるため、振動による影響を受け易く、またケ−ブルワイヤの送り出し量によって移動量を測定するため、振動やケ−ブルワイヤの伸びによって測定値に誤差を生じ易く、しかも内管の内側に設けた保護管に移動可能に収容されるため、狭隘な内管内で保護管のスペ−ス確保は難しい、という問題があった。
【0005】
このような問題を解決するものとして、推進管の内部に光ファイバジャイロを収容した走行管を移動可能に収容し、該走行管の端部に互いに係合可能な雌雄側継手を設け、該継手を介して隣接する走行管を屈曲可能に連結するとともに、走行管の下側に引抜伝達部材を屈曲可能に連結し、前記走行管を推進管の内外に出入り可能にしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
また、光ファイバジャイロを、ヨ−角方向変位を検出する一軸型光ファイバジャイロに構成し、構成を簡潔かつ小形化するとともに、推進管の推進距離を測定する距離測定手段と、ヨ−角の相対角度変化と推進距離の積分演算により、先導体の平面座標変化と推進管の平面線形を算出するようにしたものがある(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
しかし、これらの装置は、光ファイバジャイロを要するため、何れも高価であり、そのうえ前者のものは、走行管に小形ジャイロからなる測量ロボットを収容し、該走行管を弾性バンドを介して支持板に取り付けているため、不安定で測定誤差を生じ易く、また走行管を推進管の中央に配置し、該走行管の下方に送泥管や排泥管、引き抜き伝達部材を配置しているため、推進管が大径化するとともに、走行管の引き出し時に送排泥管を同動させるため、多大の労力と手間を要して作業性が悪い、等の問題があった。
一方、後者のものは、一軸型光ファイバジャイロやレベルセンサを要するため、設備費が上昇するとともに、それらの設置が煩雑で手間が掛かり、しかもそれらを先導体の内部に設置しているため、それらの故障による修理や推進作業の復旧が難しい問題があった。
【0007】
【特許文献1】特公平7−76507号公報
【特許文献2】特開2004−76565号公報
【特許文献3】特開2003−247826号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような問題を解決し、例えば曲線ボ−リングによる推進管の推進や、その先端装置の位置計測に好適で、小形軽量で、狭隘な設置スペ−スに設置できるとともに、計測器等の修理や部品交換に容易に応じられ、計測の速やかな復旧と再現性を得られるとともに、推進作業の速やかな再開を図れる、変位計の位置計測方法および位置計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、変位計測部に沿って配置した移動ガイドに、変位センサを内蔵した互いに同長の複数の変位計を折り曲げ可能に連結して移動可能に収容し、前記移動ガイド内における変位計の移動量を基に、所定の変位計の位置を演算する変位計の位置測定方法において、前記変位計の移動始端部に距離計測手段を設置し、該距離計測手段を介し、最先の一対の変位計の両端部と、その枢支部の少なくとも3位置の三次元位置を基準値として計測し、かつ前記一対の変位計の折れ角の初期値を演算後、前記変位計に一対の変位計を順次連結して延伸し、かつその際前記距離計測手段を介して、延伸した一対の変位計の両端部と、その枢支部の少なくとも3位置の三次元位置を計測するとともに、延伸した一対の変位計の折れ角を算出し、該折れ角と、延伸した変位計の枢支部における三次元位置と、延伸に伴ない変化する先行の折れ角を相対量として検出し、前記検出角度と変位計の長さを基に、いわゆるベクトル加算することで、最先または所望の変位計の位置を演算し得るようにして、距離計測手段による計測不可能な、例えば地中の変位計の位置計測を実現し得るとともに、小形軽量で、狭隘な設置スペ−スに設置でき、しかも各変位計を容易に引き出して、変位計に内蔵した変位センサ類の修理や交換に容易に応じられ、計測の速やかな復旧とその再現性を得られるとともに、推進作業の速やかな再開を図れ、例えば曲線ボ−リングによる推進部材の推進や、その先端装置の位置計測に好適にしている。
【0010】
請求項2の発明は、前記移動ガイドを静止または移動する変位計測部に設置し、例えば移動ガイドを山林の法面に設置して、地盤の変状を計測可能にする一方、移動する例えば推進部材に設置して、推進部材の特定位置や先端装置の位置計測に応じられるようにしている。
請求項3の発明は、前記最先の変位計の先端部を、変位計と同動する推進部材の所定位置に着脱可能に装着するようにして、変位計による推進部材の所定位置の計測を実現するとともに、その着脱操作によって変位計と推進部材との着脱を実現し、変位計の引き抜きを簡便に行なえるようにしている。
【0011】
請求項4の発明は、前記所定の変位計を移動ガイドに沿って移動始端部方向へ引き出し後、前記変位計を移動ガイドに沿って原位置へ移動する際、前記距離計測手段を介し、一対の変位計の両端部と、その枢支部の少なくとも3位置の三次元位置を計測するとともに、前記一対の変位計の折れ角を演算し、各変位計を原位置に復帰させるようにして、所定の変位計を引き出し後、内蔵した変位センサ類の修理や点検に応じられるとともに、修理後、各変位計を計測して原位置に正確に移動させ、計測の速やかな復旧と、その再現性を得られるようにしている。
請求項5の発明は、前記各変位計の原位置復帰終期に、最先の変位計の先端部を推進部材の所定位置に係合するようにして、変位センサ類の修理点検後、変位計を原位置に正確に位置付け、計測の再現性と信頼性を得られるようにしている。
【0012】
請求項6の発明は、変位計測部に沿って移動ガイドを配置し、該移動ガイドに変位センサを内蔵した互いに同長の複数の変位計を折り曲げ可能に連結し、かつ前記変位計を移動可能に収容する一方、前記移動ガイド内における変位計の移動量を基に、所定の変位計の位置を演算可能にした変位計の位置測定装置において、前記変位計の移動始端部に距離計測手段を設置し、該距離計測手段を介し、最先の一対の変位計の両端部と、その枢支部の少なくとも3位置の三次元位置を基準値として計測可能に設けるとともに、前記一対の変位計の折れ角の初期値を演算可能に設ける一方、前記変位計に一対の変位計を順次連結かつ延伸可能に設け、かつその際前記距離計測手段を介して、延伸した一対の変位計の両端部と、その枢支部の少なくとも3位置の三次元位置を計測するとともに、延伸した一対の変位計の折れ角を算出し、該折れ角と、延伸した変位計の枢支部における三次元位置と、延伸に伴ない変化する先行の折れ角を相対量として検出し、前記検出角度と変位計の長さを基に、いわゆるベクトル加算することで、最先または所望の変位計の位置を演算可能にし、距離計測手段による計測不可能な、例えば地中の変位計の位置計測を実現し得るとともに、小形軽量で、狭隘な設置スペ−スに設置でき、しかも各変位計を容易に引き出して、変位計に内蔵した変位センサ類の修理や交換に容易に応じられ、計測の速やかな復旧とその再現性を得られるとともに、推進作業の速やかな再開を図れ、例えば曲線ボ−リングによる推進部材の推進や、その先端装置の位置計測に好適にしている。
【0013】
請求項7の発明は、前記移動ガイドを静止または移動可能な変位計測部に設置し、例えば移動ガイドを山林の法面に設置して、地盤の変状を計測可能にする一方、移動する例えば推進部材に設置して、推進部材の特定位置や先端装置の位置計測に応じられるようにしている。
請求項8の発明は、前記最先の変位計の先端部を、変位計と同動可能な推進部材の所定位置に着脱可能に装着し、変位計による推進部材の所定位置の計測を実現するとともに、その着脱操作によって変位計と推進部材との着脱を実現し、変位計の引き抜きを簡便に行なえるようにしている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明は、変位計の移動始端部に距離計測手段を設置し、該距離計測手段を介し、最先の一対の変位計の両端部と、その枢支部の少なくとも3位置の三次元位置を基準値として計測し、かつ前記一対の変位計の折れ角の初期値を演算後、前記変位計に一対の変位計を順次連結して延伸し、かつその際前記距離計測手段を介して、延伸した一対の変位計の両端部と、その枢支部の少なくとも3位置の三次元位置を計測するとともに、延伸した一対の変位計の折れ角を算出し、該折れ角と、延伸した変位計の枢支部における三次元位置と、延伸に伴ない変化する先行の折れ角を相対量として検出し、前記検出角度と変位計の長さを基に、いわゆるベクトル加算することで、最先または所望の変位計の位置を演算し得るから、距離計測手段による計測不可能な、例えば地中の変位計の位置計測を実現し得るとともに、小形軽量で、狭隘な設置スペ−スに設置でき、しかも各変位計を容易に引き出して、変位計に内蔵した変位センサ類の修理や交換に容易に応じられ、計測の速やかな復旧とその再現性を得られるとともに、推進作業の速やかな再開を図れ、例えば曲線ボ−リングによる推進部材の推進や、その先端装置の位置計測に好適な効果がある。
【0015】
請求項2の発明は、前記移動ガイドを静止または移動する変位計測部に設置し得るから、例えば移動ガイドを山林の法面に設置して、地盤の変状を計測できる一方、移動する例えば推進部材に設置して、推進部材の特定位置や先端装置の位置計測に応じられる効果がある。
請求項3の発明は、前記最先の変位計の先端部を、変位計と同動する推進部材の所定位置に着脱可能に装着するから、変位計による推進部材の所定位置の計測を実現できるとともに、その着脱操作によって変位計と推進部材との着脱を実現し、変位計の引き抜きを簡便に行なうことができる。
【0016】
請求項4の発明は、前記所定の変位計を移動ガイドに沿って移動始端部方向へ引き出し後、前記変位計を移動ガイドに沿って原位置へ移動する際、前記距離計測手段を介し、一対の変位計の両端部と、その枢支部の少なくとも3位置の三次元位置を計測するとともに、前記一対の変位計の折れ角を演算し、各変位計を原位置に復帰させるから、所定の変位計を引き出し後、内蔵した変位センサ類の修理や点検に応じられるとともに、修理後、各変位計を原位置に正確に移動させることができ、計測の速やかな復旧と、その再現性を得られる効果がある。
請求項5の発明は、前記各変位計の原位置復帰終期に、最先の変位計の先端部を推進部材の所定位置に係合させるから、変位センサ類の修理点検後、変位計を原位置に正確に位置付け、計測の再現性と信頼性を得られる効果がある。
【0017】
請求項6の発明は、変位計の移動始端部に距離計測手段を設置し、該距離計測手段を介し、最先の一対の変位計の両端部と、その枢支部の少なくとも3位置の三次元位置を基準値として計測可能に設けるとともに、前記一対の変位計の折れ角の初期値を演算可能に設ける一方、前記変位計に一対の変位計を順次連結かつ延伸可能に設け、かつその際前記距離計測手段を介して、延伸した一対の変位計の両端部と、その枢支部の少なくとも3位置の三次元位置を計測するとともに、延伸した一対の変位計の折れ角を算出し、該折れ角と、延伸した変位計の枢支部における三次元位置と、延伸に伴ない変化する先行の折れ角を相対量として検出し、前記検出角度と変位計の長さを基に、いわゆるベクトル加算することで、最先または所望の変位計の位置を演算可能にしたから、距離計測手段による計測不可能な、例えば地中の変位計の位置計測を実現し得るとともに、小形軽量で、狭隘な設置スペ−スに設置でき、しかも各変位計を容易に引き出して、変位計に内蔵した変位センサ類の修理や交換に容易に応じられ、計測の速やかな復旧とその再現性を得られるとともに、推進作業の速やかな再開を図れ、例えば曲線ボ−リングによる推進部材の推進や、その先端装置の位置計測に好適な効果がある。
【0018】
請求項7の発明は、前記移動ガイドを静止または移動可能な変位計測部に設置可能にしたから、例えば移動ガイドを山林の法面に設置して、地盤の変状を計測することができる一方、移動する例えば推進部材に設置して、推進部材の特定位置や先端装置の位置計測に応じられる効果がある。
請求項8の発明は、前記最先の変位計の先端部を、変位計と同動可能な推進部材の所定位置に着脱可能に装着したから、変位計による推進部材の所定位置の計測を実現できるとともに、その着脱操作によって変位計と推進部材との着脱を実現し、変位計の引き抜きを簡便に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明をシ−ルドトンネルの拡幅施工に用いた曲線ボ−リング装置の先端装置の位置計測に適用した図示の実施形態について説明すると、図1乃至図11において1,2は地盤3に離間して築造したシ−ルドトンネル等のトンネルで、該トンネル1,2の間を拡幅部4として、拡幅施工している。
【0020】
前記拡幅施工は、推進側または発進側である一方のトンネル1の適所に架台5を設置し、該架台5に曲線ボ−リング装置6の推進装置7を設置している。
前記推進装置7は、前記架台5上に据え付けた推進架台8と、該架台8に固定した曲線ガイド9と、推進部材でかつ変位測定部である曲線管状の大径の外管10を、保持可能なパイプホルダ11と、前記外管10を拡幅部4の地盤1方向へ推進可能な推進シリンダ12と、先後行の外管10を接続する管接続装置13と、反力受14と、を備えている。
【0021】
前記外管10は所定長さに形成され、その先端部に掘削装置(図示略)を備えた先端装置16が連結され、該掘削装置を介して地盤3を掘削し、その掘削分、地盤3へ推進可能にされ、所定距離推進後、その後端部に後行の外管105を継ぎ足し、その先後行の外管10を一緒に地盤3へ推進可能にしている。
【0022】
前記外管10の内側に、送泥管17と排泥管18が配管され、また外管10内に配置したダクト(図示略)に、油圧ホ−ス19とエア−ホ−ス20および各種ケ−ブルコ−ド21等が収容されている。
前記外管10の内面の一側に、該外管10と同長で同曲率の曲線状の移動ガイドである計測管22が配管され、その外径は実施形態の場合、作業員が立ち入り困難な外径800mmに構成され、前記外管10の継ぎ足し時に、先後行の計測管22を継ぎ足し、これを外管10の内面に沿わせてボルト締め等で固定している。
なお、移動ガイドは前記計測管22のような管状のものに限らず、略U字形断面の樋状のものや、曲線状若しくは直線状のものであっても良く、要は内部に後述の変位計を移動可能に収容できれば良い。
【0023】
前記計測管22の内側に外部ケ−シング23が収容され、該外部ケ−シング23は外管10と略同長の角管または曲管状に形成され、その外周部に複数のロ−ラ24が回転自在に支持されていて、これらのロ−ラ24を計測管22の内面に走行可能に配置している。
前記外部ケ−シング23は、前記外管10および計測管22の継ぎ足し時に、先後行の外部ケ−シング23を継ぎ足し、かつその接続部をピン25を介して上下方向に回動可能に連結している。
【0024】
前記外部ケ−シング23の接続端部23aは、図4のように略V字形に形成され、該接続端部23aに、隣接する外部ケ−シング23の接続端部23aを挿入かつ回動可能な切欠部(図示略)が形成されている。
前記外部ケ−シング23の内面の一側、実施形態では下側面に計測台26が固定され、該計測台26に枢支部である計測ロッド27が固定されている。
【0025】
前記計測ロッド27の一側または両側に、変位計28の一端が上下方向に回動可能に連結され、該変位計28は互いに同長Lの直管状に形成されていて、その長さは計測管22の単位長さである、継ぎ足し長さの略1/2に形成され、単位長さの計測管22に、一台の位置計測器15を構成する、一対の変位計28と計測ロッド27が連結されて収容されている。
【0026】
前記変位計28の枢着側の基部に、該ロッド27のピッチングおよびロ−リング量を計測可能な傾斜計等のセンサ(図示略)が内蔵され、該センサの検出信号を、施工現場の所定位置に設置したマイクロコンピュ−タ等のデ−タ処理演算器(図示略)に入力可能にしている。
また、前記変位計28の枢着側の他側端部に、変位計28のX軸またはY軸方向の折れ角ないし変位を検出可能なセンサ(図示略)が内蔵され、継ぎ足し後の変位計28の折れ角を検出可能にしている。
【0027】
前記変位計28の他端部は、フレキシブル継手29を介して揺動自在に連結され、かつ当該部の揺動変位を許容可能にしている。
前記変位計28の両端部と、その中央の枢着部である計測ロッド27の3点位置は、それらを外部ケ−シング23および計測管22を介して外管10に収容し、これを前記推進装置7にセットして推進する際、距離計測手段であるトランシット30等によって計測可能にされている。
このため、前記計測ロッド27および変位計28の計測位置である前記3点位置に対応する、外部ケ−シング23と計測管22の各位置に通孔が形成され、トランシット30による計測を可能にしている。
【0028】
前記トランシット30は、前記曲線ボ−リング装置6の近接位置に設置され、その光軸を前記推進装置7に設定し、または推進装置7より所定位置推進した外管10位置に向けて、前記通孔を介し内部に収容した各変位計28の前記3点位置を計測可能にしている。
【0029】
すなわち、図6に模式的に示すように、最先行の外管10にセットした1番目の変位計28の3点位置P〜Pの3次元位置、つまりP(X,Y,Z)、P(X,Y,Z)、P(X,Y,Z)を前記トランシット30によって計測し、かつこれら3点位置P〜Pを基に、変位計28,28の折れ角θを算出し、これを折れ角の初期値としている。
この場合、前記3点位置P〜Pの計測および折れ角θの算出に当たって、変位計28に設置した傾斜計によるピッチングおよびロ−リング量を基に、前記数値を補正している。
【0030】
そして、前記外管10を推進し、それらを所定量推進したところで、後行の外管10を継ぎ足し、該外管10の内部に計測管22と外部ケ−シング23、および計測ロッド27と変位計28とを継ぎ足すようにしている。
【0031】
前記計測ロッド27の継ぎ足し状況は、図7に模式的に示すように、1番目の変位計28の後端部のP位置に、フレキシブル継手29を介して、2番目の変位計28の先行側が揺動可能に連結され、その連結部を前記Pと同位置のPとしている。
前記変位計28の他端に、計測ロッド27が上下方向に回動可能に連結され、該ロッド27の位置をPとし、該計測ロッド27の他側に変位計28の基端を上下方向に回動可能に連結し、該変位計28の他端をPとしている。
【0032】
そして、これら2番目の変位計28の3点位置P〜Pの3次元位置、つまりP(X,Y,Z)、P(X,Y,Z)、P(X,Y,Z)を、前記トランシット30によって計測して、変位計28,28の折れ角θと、1番目の一対の変位計28の折れ角の変化量、θ+Δθを検出し、継ぎ足し後のP位置を前記検出角度と変位計28の長さを基に、いわゆるベクトル加算して算出可能にしている。
すなわち、P位置は、P(X,Y,Z)=P(X,Y,Z)+2L×f(θ)+L×f(θ+Δθ)として算出される。
その際、前記3点位置P〜Pの計測および折れ角θおよびθ+Δθの算出に当たって、変位計28に設置した傾斜計によるピッチングおよびロ−リング量を基に、前記数値を補正している。
【0033】
この後、前記外管10の推進を再開し、それらを所定量推進したところで、後行の外管10を継ぎ足し、該外管10の内部に計測管22と外部ケ−シング23、および計測ロッド27と変位計28とを継ぎ足し、かつ継ぎ足した計測管22を、外管10の内面に例えばボルト連結している。
【0034】
前記計測ロッド27の継ぎ足し状況は、図8に模式的に示すように、2番目の変位計28の後端部のP位置に、フレキシブル継手29を介して、3番目の変位計28の先行側が揺動可能に連結され、その連結部を前記Pと同位置のPとしている。
【0035】
そして、前記3番目の変位計28の他端に、計測ロッド27が上下方向に回動可能に連結され、該ロッド27の位置をPとし、該計測ロッド27の他側に変位計28の基端を上下方向に回動可能に連結し、該変位計28の他端をPとしている。
【0036】
そして、これら3番目の変位計28の3点位置P〜Pの3次元位置、つまりP(X,Y,Z)、P(X,Y,Z)、P(X,Y,Z)を、前記トランシット30によって計測し、3番目の変位計28,28の折れ角θと、1番目および2番目の各一対の変位計28の折れ角の変化量θ+Δθ+Δθと、θ+Δθを検出し、これらを基に前記継ぎ足し後のP位置を算出可能にしている。
その際、前記3点位置P〜Pの計測および前記折れ角の変化量の算出に当たって、変位計28に設置した傾斜計によるピッチングおよびロ−リング量を基に、前記数値を補正している。
【0037】
図中、31はトンネル1の覆工壁であるセグメント、32はセグメン31に設置した口元管で、前記外管10の推進方向に臨ませて配置されている。
33は最先端の外部ケ−シング23の先端に突設した軸部で、その先端に円錐台形状の係合部34が設けられ、該係合部34をストッパガイド35に着脱可能に装着している。
【0038】
前記ストッパガイド35は、先端装置16の後端部と外管15との接合部に設置され、その内部に前記係合部34に嵌合可能なテ−パ孔状の係合孔36が形成されている。
そして、外管10の推進時に係合部34を係合孔36に嵌合し、前記最先端の外部ケ−シング23の前方取り付け位置を規制可能にし、一方、前記センサ若しくは検出器の故障および修理点検時に、トンネル1の適所から外部ケ−シング23を引張り、係合孔36から係合部34を容易に引き抜き可能にしている。
この場合、前記最先端の外部ケ−シング23と係合部34の位置関係、および先端装置16とストッパガイド35との位置関係は、前記デ−タ処理演算器に予め入力されている
【0039】
このように構成した本発明の測定方法と位置測定装置は、推進部材である外管10の先端に接続した先端装置16の位置測定手段として、ピッチングおよびロ−リング量を計測可能な傾斜計等のセンサ(図示略)と、変位計28のX,Y軸方向の折れ角を検出可能な検出器(図示略)とを内蔵した、単一または一対の変位計28を計測ロッド27を介して回動可能に連結する。
【0040】
そして、前記変位計28を、継ぎ足し長さに相当する単位長さの外部ケ−シング23に収容し、該ケ−シング23を単位長さの計測管22に収容し、該計測管22を単位長さの外管10に収容する。
前記外部ケ−シング23は、ロ−ラ24を介して計測管22に移動可能に収容し、該計測管22を外管10の内面にボルト締めして固定する。
【0041】
前記外部ケ−シング23と計測管22は、前記外管10の長さと略同長に形成し、これを外管10の継ぎ足しと同時期に前後して継ぎ足す。
そして、最先端の外部ケ−シング23に、係合部34と一体的な軸部23を突設し、また先端装置16の後端部の所定位置に、ストッパガイド35を取り付ける。
【0042】
このように本発明装置は、従来の高価なジャイロないし光ファイバ−ジャイロや、その絶対位置を検出するセンサを要せず、また衝撃等に繊細で精密な取り付けを要する特別な計測器を要しないから、これを容易に取り付けられ、これを低廉に提供し得る。
【0043】
次に、本発明装置を用いて実際に外部ケ−シング23と計測管22、および変位計28等を設置する場合は、トンネル1内の所定位置に曲線ボ−リング装置6を設置し、該曲線ボ−リング装置6の近接位置にトランシット30を設置する。
そして、前記推進装置7のパイプホルダ11に最先行の外管10を保持し、該外管10の先端に掘削装置を備えた先端装置16を連結する。
【0044】
この後、前記外管10の内部に送泥管17と排泥管18を配管し、また外管10の内部にダクト(図示略)を取り付け、該ダクト内に油圧ホ−ス19とエア−ホ−ス20と、各種ケ−ブルコ−ド21等を収容する。
また、これと前後して外管10内面の一側に、外管10と同長の計測管22を配管し、その内部に軸部33と係合部34を突設した最先行の外部ケ−シング23を挿入し、該係合部34をストッパガイド35の係合孔36に嵌合する。
【0045】
このように、本発明は外管10内面の一側に計測管22を配管し、外管10内に大きな空スペ−スを確保し、該スペ−スに計測管22と分離して送泥管17と排泥管18とを配管し、また油圧ホ−ス19、エア−ホ−ス20、各種ケ−ブルコ−ド21等を配置しているから、外管10内の有効利用と、その小径化を図れる。
【0046】
前記外部ケ−シング23の内部に、計測ロッド27と、該ロッド27に連結した一対の変位計28が予め設置され、これらが外部ケ−シング23の外周に設けたロ−ラ24を介して、計測管22の内面を走行して移動する。
【0047】
こうして、外管10に前述の関係部材を装着後、内部に収容した計測ロッド27と、一対の変位計28の両端部の3点位置を、前記通孔を介しトランシット30によって測定する。この状況は図1のようである。
【0048】
すなわち、図6に模式的に示すように、最先行の外管10にセットした1番目の変位計28の3点位置P〜Pの3次元位置、つまりP(X,Y,Z)、P(X,Y,Z)、P(X,Y,Z)を前記トランシット30によって計測し、かつこれら3点位置P〜Pを基に、変位計28,28の折れ角θを算出し、これを折れ角の初期値とする。
その際、前記3点位置P〜Pの計測および折れ角θの算出に当って、変位計28に設置した傾斜計によるピッチングおよびロ−リング量を基に、前記数値を補正する。
【0049】
この後、推進シリンダ12を駆動して前記外管10を推進し、該管10が所定量推進したところで、後行の外管10を継ぎ足し、該外管10の内部に計測管22と外部ケ−シング23、および計測ロッド27と変位計28とを継ぎ足し、該計測管22を外管10の内部に取り付ける。
その際、前記継ぎ足しによって、1番目の変位計28,28が計測ロッド27を中心に折れ曲がり、その折れ角が推進状況に応じてθ+Δθに変化する。
【0050】
前記継ぎ足し状況は図7に模式的に示すように、1番目の変位計28の後端部のP位置に、フレキシブル継手29を介して、2番目の変位計28の先行側を揺動可能に連結し、その連結部を前記Pと同位置のPとし、該変位計28の他端に計測ロッド27を上下方向に回動可能に連結する。
前記計測ロッド27の位置をPとし、該計測ロッド27の他側に変位計28の基端を上下方向に回動可能に連結し、該変位計28の他端をPとする。
【0051】
そして、前記継ぎ足した計測ロッド27と、一対の変位計28の両端部の3点位置P〜Pの3次元位置、つまりP(X,Y,Z)、P(X,Y,Z)、P(X,Y,Z)を、前記トランシット30によって計測し、また変位計28,28の折れ角θと、1番目の一対の変位計28の折れ角の変化量、θ+Δθとを検出し、前記検出角度と変位計28の長さを基に、いわゆるベクトル加算して継ぎ足し後の最先端のP位置を算出する。
すなわち、前記P位置は、P(X,Y,Z)=P(X,Y,Z)+2L×f(θ)+L×f(θ+Δθ)として算出される。
その際、前記3点位置P〜Pの計測および折れ角θおよびθ+Δθの検出に当たって、変位計28に設置した傾斜計によるピッチングおよびロ−リング量を基に、前記数値を補正する。
【0052】
この後、推進シリンダ12を駆動して外管10の推進を再開し、該管10を所定量推進したところで、後行の外管10を継ぎ足し、該外管10を内部に計測管22と外部ケ−シング23、および計測ロッド27と変位計28とを同時に継ぎ足し、該計測管22を外管10の内面に固定する。
その際、計測管22の内面をロ−ラ24が走行して、外部ケ−シング23が移動し、また前記継ぎ足しによって、1番目と2番目の変位計28,28が計測ロッド27を中心に折れ曲がり、その折れ角が推進状況に応じてθ+Δθ+Δθ、θ+Δθに変化する
【0053】
前記計測ロッド27の継ぎ足し状況は、図8に模式的に示すようで、2番目の変位計28の後端部のP位置に、フレキシブル継手29を介して3番目の変位計28の先行側を揺動可能に連結し、その連結部を前記Pと同位置のPとする。
そして、前記3番目の変位計28の他端に、計測ロッド27が上下方向に回動可能に連結し、該ロッド27の位置をPとし、該計測ロッド27の他側に変位計28の基端を上下方向に回動可能に連結し、該変位計28の他端をPとする。
【0054】
そして、これら3番目の変位計28の3点位置P〜Pの3次元位置、つまりP(X,Y,Z)、P(X,Y,Z)、P(X,Y,Z)を、前記トランシット30によって計測し、また3番目の変位計28,28の折れ角θと、1番目および2番目の各一対の変位計28の折れ角の変化量θ+Δθ+Δθと、θ+Δθを検出し、これらを基に前記継ぎ足し後の最先端のP位置を算出する。
その際、前記3点位置P〜Pの計測および前記折れ角の変化量の算出に当たって、変位計28に設置した傾斜計によるピッチングおよびロ−リング量を基に、前記数値を補正する。
【0055】
以降、外管10と、計測管22および外部ケ−シング23を継ぎ足し、計測管22を外管10内部に固定するとともに、その継ぎ足した3点位置を、トランシット30によって計測し、それらの測定値を各傾斜計によるピッチングおよびロ−リング量を基に補正し、最先端のP位置を算出する。
このように本発明は、変位計28の延伸に伴ない変化する折れ角を相対量として検出し、その検出角度と一定長の変位計28の連結に基づき、ベクトル加算することで、先端位置の座標を算出する。
したがって、計測管に沿ってジャイロを内蔵した計器を走行させ、またはケ−ブル送出量若しくは走行メ−タ等により、間接的に距離測定する従来の方法に比べて、測定誤差の発生を防止し測定の信頼性を得られる。
【0056】
そして、前記P位置に、軸部33およびストッパガイド35の位置と、先端装置16と掘削装置の位置関係を相加し、実質的な掘削装置の位置を演算し、該掘削装置の位置を基に曲線ボ−リング装置6を姿勢制御し、地盤3の掘削を制御する。
【0057】
このように前記推進施工時は、計測ロッド27と変位計28が外部ケ−シング23に収容されているから、変位計28に内蔵した傾斜計等のセンサ類や検出器類を直接保護するとともに、同一の外管10に収容した、送泥管17や排泥管18、油圧ホ−ス19から漏洩する泥水や油、水等による前記センサ類への飛散や滴下、接触を回避し、また前記油圧ホ−ス19等の圧力変動による挙動から防護して、前記センサ類や検出器類の故障の発生を未然に防止する。
【0058】
一方、前記推進作業時に、例えば傾斜計等が掘削時の振動や湿度によって、その一部が故障し、それらの出力情報が遮断し、または出力値が異常値を示して、該当する傾斜計等の修理交換を要する場合、曲線ボ−リング装置6の駆動を停止し、最後端部の計測管22に位置する外部ケ−シング23を保持し、これを計測管22の外側の管軸方向へ引張る。
このようにすると、前記引張力が最先端の外部ケ−シング23に伝わり、該ケ−シング23に突設した係合部34が係合穴36から引き抜かれ、外部ケ−シング23のロ−ラ24が計測管22の内面を走行して、最後行の計測管22の外側に引き出される。
【0059】
そして、事前に特定した故障傾斜計等の位置相当分、外部ケ−シング23引き出したところで、ケ−シング23内部の傾斜計等を取り出し、これを修理若しくは新規な傾斜計に交換したところで、外部ケ−シング23を順次、計測管22内に押し戻す。
【0060】
その際、外部ケ−シング23の押し戻し長さ毎に、計測ロッド27と、一対の変位計28の両端部の前記3点位置を、トランシット30によって前述同様に計測し、それらの位置を挿入時と確認しながら押し戻し、引き出した各計測ロッド27と、一対の変位計28とを引き出し前の原位置に復帰させる。
その際、前記押し戻し終期に、最先行の外部ケ−シング23に突設した係合部34が、ストッパガイド35の係合孔36に嵌合し、それらの引き出し前の原位置を復旧させたところで、前記推進を再開する。
【0061】
すなわち、前記先端装置16が所定位置に到達し、係合部34が係合孔35に嵌合することで、外部ケ−シング23が原位置に復帰したことを確認し、一連の修理作業を終了する。
この後、外管10と、計測管22および外部ケ−シング23と、変位計28と計測ロッド27の継ぎ足しと、トランシット30による前記3点位置の計測を再開する。
このように、係合部34が係合孔35に嵌合し、外部ケ−シング23が引き抜き前の位置に正確に復帰するから、この後の前記センサ類や検出器による測定精度が維持され、測定の再現性と信頼性を得られる。
【0062】
このように、前記係合部34を係合孔35に嵌合することで、外部ケ−シング23を前記故障発生位置と同位置に確実かつ容易に設定でき、前記先端のPの座標位置を確実に再現でき、以降の測定精度とその連続性を確保できるとともに、前記トラブルに容易に対応し得る。
【0063】
図9乃至図11は、前述した本発明の測定装置の測定精度と再現性を確認するための試験状況を示し、地盤3上に半径16mの曲線管の試験用計測管36を設置し、その一端から前記変位計28に相当する孔変位計37を挿入し、先行の孔変位計37に後行の孔変位計37を回動可能に連結し、かつその際の孔変位計37の両端部と、枢支連結部27の3点位置を所定高さに設置したトランシット38で測定する。
【0064】
次に、後行側である上側の孔変位計37に次の孔変位計37を連結し、その際の3点位置をトランシット38で測定する。
そして、その都度、先端の孔変位計37の位置を算出し、また先端の孔変位計37の位置を直視で測量し、それらの結果を比較して、本発明の測定方法の試験精度と再現性を評価した。
そして、前記試験の結果、前記先端の孔変位計37の直視測量位置と、先端の孔変位計37の算出位置とが、許容誤差の範囲内であることが確認され、前記本発明の測定装置の測定精度と再現性が確認された。
【0065】
図12乃至図14は本発明の他の実施形態を示し、前述の構成と対応する部分に同一の符号を用いている。
このうち、図12は本発明の第2の実施形態を示し、この実施形態は係合部39とストッパガイド40とを鉄等の強磁性材料で構成し、これらを通電制御して互いに同極または異極性に磁化させ、係合部39とストッパガイド40とを簡便かつ確実に吸引または排斥可能にしている。
【0066】
例えば、係合部39とストッパガイド40とのセット時または再セット時、これらを異極性に磁化させて吸着し、それらの位置を拘束する。
また、前記傾斜計等の故障に伴なう外部ケ−シング23の引抜き時は、通電を停止し、または両者を同極性に磁化して、係合部39とストッパガイド40とを排斥させ、その引き抜きを容易に行なうようにする。
【0067】
図13および図14は本発明の第3の実施形態を示し、このうち図13は前記試験において、一対の孔変位計37を回動可能に連結した位置計測器41を二台用意し、これらを揺動可能に連結して単位長さ当りの計測管36に収容する。
そして、前記連結した二台の位置計測器38の両端部と、その間の2つの枢支連結部27の4点の三次元位置を、トランシット38で測定し、各枢支連結部27における折れ角θを算出し、これを初期値とする。
【0068】
次に、先行の位置計測器38の後端部に、二台の位置計測器38を連結して延伸し、延伸した二台の位置計測器38の両端部と、その間の2つの枢支連結部27の4点の三次元位置を、トランシット38で測定し、延伸に伴ない変化する折れ角を相対量として検出し、この検出角度および孔変位計37の長さを基にベクトル加算して、先端位置Pの座標を算出する。
【0069】
このように図13は、単位長さ当りの計測管36に二台の位置計測器38を収容し、孔変位計37の長さを短小にし、その揺動角度ないし折れ角またはその挙動を促して、曲率半径の小さな計測管36による計測に対応可能にしている。
【0070】
図14は前述した図13の計測原理を、曲率半径の小さな外管10の推進に適用し、その先端部を位置計測している。
すなわち、曲率半径の小さな外管10と同じ曲率半径の単位長さ当りの計測管36に、一対の変位計28と計測ロッド27からなる位置計測器を二台挿入し、その4点の三次元位置をトランシット30で測定して、各枢支連結部27における折れ角θを算出し、これを初期値とする。
【0071】
次に、先行の位置計測器の後端部に、二台の位置計測器を連結して延伸し、延伸した二台の位置計測器の両端部と、その間の2つの枢支連結部27の4点の三次元位置を、トランシット30で測定し、延伸に伴ない変化する折れ角を相対量として検出し、この検出角度および孔変位計37の長さを基にベクトル加算して、先端位置Pの座標を算出し、以降、外管10および計測管22を延伸する。
【0072】
なお、前述の実施形態は推進部材として管体を用いているが、中実部材であっても良く、また推進部材は曲線状のものに限らず直線状のものであっても良い。
また、曲線ボ−リング装置6に限らず水平ボ−リング、または小口径推進工法における先端装置16の位置計測や、法面等に計測管22を埋設または設置して、地滑り等の変位の経年変化の計測に利用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0073】
このように本発明の推進部材の位置計測装置は、小形軽量で狭隘な設置スペ−スに設置できるとともに、計測器等の修理や部品交換に容易に応じられ、計測の速やかな復旧と、その良好な再現性を得られるとともに、推進工法の速やかな再開を図れるから、例えば曲線ボ−リングによる推進管の推進や、その先端装置の位置の計測に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明をシ−ルドトンネルの拡幅に適用し、曲線ボ−リング装置による推進管の推進状況を示す断面図である。
【図2】本発明に適用した推進管の内部状況を拡大して示す断面図である。
【図3】本発明に適用した計測管の内部状況を拡大して示す断面図である。
【図4】本発明に適用した外部ケ−シングの連結状況を拡大して示す正面図である。
【図5】本発明に適用した係合部とストッパガイドの作動状況を拡大して示す正面図である。
【図6】本発明に適用した1番目の揺動リンクと計測ロッドとの連結状態と、その3点位置の座標を示す正面図である。
【0075】
【図7】本発明に適用した1番目および2番目の揺動リンクと、計測ロッドとの連結状態と、各リンクの3点位置の座標を示す正面図である。
【図8】本発明に適用した1番目乃至3番目の揺動リンクと、計測ロッドとの連結状態と、各リンクの3点位置の座標を示す正面図である。
【図9】本発明による測定精度と再現性を確認するための試験状況を示し、二つの孔内変位計を計測管に挿入している。
【図10】本発明による測定精度と再現性を確認するための試験状況を示し、二つの孔内変位計に更に孔内変位計を連結し、これらを計測管に挿入している。
【0076】
【図11】本発明による測定精度と再現性を確認するための試験状況を示し、三つの孔内変位計に更に孔内変位計を連結し、これらを計測管に挿入している。
【図12】本発明の第2の実施形態を示す正面図で、係合部とストッパガイドの作動状況を拡大して示している。
【図13】本発明の第3の実施形態を示し、前記試験状況において単位長さ当りの計測管に2台の位置計測器を挿入して計測している。
【図14】本発明の第3の実施形態を示し、図13の計測原理を基に推進管の位置計測に実施している。
【符号の説明】
【0077】
7 推進装置折れ角
10 推進部材(外管)
22 移動ガイド(計測管)
23 外部ケ−シング
27 枢支部(計測ロッド)
28 変位計
30,38 距離計測手段(トランシット)
34 係合部
35 ストッパガイド
θ, θ 折れ角
θ+Δθ折れ角
θ+Δθ折れ角
θ+Δθ+Δθ 折れ角


【特許請求の範囲】
【請求項1】
変位計測部に沿って配置した移動ガイドに、変位センサを内蔵した互いに同長の複数の変位計を折り曲げ可能に連結して移動可能に収容し、前記移動ガイド内における変位計の移動量を基に、所定の変位計の位置を演算する変位計の位置測定方法において、前記変位計の移動始端部に距離計測手段を設置し、該距離計測手段を介し、最先の一対の変位計の両端部と、その枢支部の少なくとも3位置の三次元位置を基準値として計測し、かつ前記一対の変位計の折れ角の初期値を演算後、前記変位計に一対の変位計を順次連結して延伸し、かつその際前記距離計測手段を介して、延伸した一対の変位計の両端部と、その枢支部の少なくとも3位置の三次元位置を計測するとともに、延伸した一対の変位計の折れ角を算出し、該折れ角と、延伸した変位計の枢支部における三次元位置と、延伸に伴ない変化する先行の折れ角を相対量として検出し、前記検出角度と変位計の長さを基に最先または所望の変位計の位置を演算することを特徴とする変位計の位置測定方法。
【請求項2】
前記移動ガイドを静止または移動する変位計測部に設置する請求項1記載の変位計の位置測定方法。
【請求項3】
前記最先の変位計の先端部を、変位計と同動する推進部材の所定位置に着脱可能に装着する請求項2記載の変位計の位置測定方法。
【請求項4】
前記所定の変位計を移動ガイドに沿って移動始端部方向へ引き出し後、前記変位計を移動ガイドに沿って原位置へ移動する際、前記距離計測手段を介し、一対の変位計の両端部と、その枢支部の少なくとも3位置の三次元位置を計測するとともに、前記一対の変位計の折れ角を演算し、各変位計を原位置に復帰させる請求項1記載の変位計の位置測定方法
【請求項5】
前記各変位計の原位置復帰終期に、最先の変位計の先端部を推進部材の所定位置に係合する請求項3または請求項4記載の変位計の位置測定方法。
【請求項6】
変位計測部に沿って移動ガイドを配置し、該移動ガイドに変位センサを内蔵した互いに同長の複数の変位計を折り曲げ可能に連結し、かつ前記変位計を移動可能に収容する一方、前記移動ガイド内における変位計の移動量を基に、所定の変位計の位置を演算可能にした変位計の位置測定装置において、前記変位計の移動始端部に距離計測手段を設置し、該距離計測手段を介し、最先の一対の変位計の両端部と、その枢支部の少なくとも3位置の三次元位置を基準値として計測可能に設けるとともに、前記一対の変位計の折れ角の初期値を演算可能に設ける一方、前記変位計に一対の変位計を順次連結かつ延伸可能に設け、かつその際前記距離計測手段を介して、延伸した一対の変位計の両端部と、その枢支部の少なくとも3位置の三次元位置を計測するとともに、延伸した一対の変位計の折れ角を算出し、該折れ角と、延伸した変位計の枢支部における三次元位置と、延伸に伴ない変化する先行の折れ角を相対量として検出し、前記検出角度と変位計の長さを基に、最先または所望の変位計の位置を演算可能にしたことを特徴とする変位計の位置測定装置。
【請求項7】
前記移動ガイドを静止または移動可能な変位計測部に設置可能した請求項6記載の変位計の位置測定装置。
【請求項8】
前記最先の変位計の先端部を、変位計と同動可能な推進部材の所定位置に着脱可能に装着した請求項6記載の変位計の位置測定装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2006−284248(P2006−284248A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−101840(P2005−101840)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000216025)鉄建建設株式会社 (109)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【出願人】(599130874)コマツ地下建機株式会社 (8)
【Fターム(参考)】