説明

外部コネクターの取付け装置および基板モジュール

【課題】抜き差しが頻繁に行われる外部コネクターを、簡単な構造で強固に取り付けることができる。
【解決手段】メイン基板13と、メイン基板13に平行に配設されたコネクター基板52との間に介設された一対のスペーサー91、91と、各スペーサー91、91をメイン基板13に固定する一対の第1取付けねじ92と、コネクター基板52を各スペーサー91、91に固定する一対の第2取付けねじ93と、を備え、各スペーサー91、91は、金属板を断面略「コ」字状に折り曲げて形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクターを、メイン基板に取り付けるための外部コネクターの取付装置および基板モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、基板モジュールとして、メイン基板と、メイン基板の上方に平行に配設したサブ基板と、メイン基板とサブ基板との間に介設した一対のスペーサーと、を備えたものが知られている(特許文献1参照)。メイン基板とサブ基板との間には、コネクター(およびプラグ)が介設され、メイン基板とサブ基板とが電気的に接続されている。一方、各スペーサーは、円筒形状(雌ねじ)を有すると共に、下端部をメイン基板に半田付けされ且つ上端部にサブ基板を貫通した固定ねじが螺合している。これにより、コネクターの抜けを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−332463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、外部コネクターを搭載した基板モジュールでは、コネクターの種類や配置仕様によって、コネクター同士の干渉やコネクターと周辺部品との干渉を防止すべく、コネクターの位置を適宜調節する必要がある。これに対し、調節寸法(高さ)の異なる複数種のスペーサーを用意しておき、コネクターの位置を調節することが考えられる。
しかしながら、上記従来のスペーサーは、単にコネクターの抜止めの機能を有するだけであり、これを、上記のような抜き差しを頻繁に行う外部コネクターに適用すると、スペーサーが簡単に壊れ或いはコネクターにガタつきが生じてしまうことが想定される。すなわち、従来のスペーサーは縦長であるため、コネクターの抜き差しに伴い、スペーサーにせん断力(横方向の力)が作用すると、傾き易く固定ねじが全てのせん断力を受ける構造となる。このため、取付け強度が不足し、コネクターがガタつく等の問題が発生する。
【0005】
本発明は、抜き差しが頻繁に行われる外部コネクターを、簡単な構造で強固に取り付けることができる外部コネクターの取付装置および基板モジュールを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の外部コネクターの取付け装置は、コネクター本体とコネクター本体に固定されたコネクター基板とを有する外部コネクターを、その抜き差し方向と平行なメイン基板に取り付けるための外部コネクターの取付け装置であって、メイン基板と、メイン基板に平行に配設されたコネクター基板との間に介設された一対のスペーサーと、各スペーサーをメイン基板に固定する一対の第1締結手段と、コネクター基板を各スペーサーに固定する一対の第2締結手段と、を備え、各スペーサーは、金属板を断面略「コ」字状に折り曲げて形成されていることを特徴とする。
【0007】
この場合、各スペーサーは、金属板をプレス成形して形成されていることが好ましい。
【0008】
これらの構成によれば、各スペーサーが、金属板を断面略「コ」字状に折り曲げて形成されているため、外部コネクターの抜き差しに伴う横方向の力に対し、傾き(転び)難く、外部コネクターを安定且つ強固に支持することができる。また、コネクター基板とスペーサーとの接触面積を大きく取ることができるため、第1締結手段および第2締結手段による締結に伴って、生ずる摩擦力がこれら締結手段と共に、横方向の力に抗することになり、この点でも、外部コネクターを安定且つ強固に取り付けることができる。しかも、スペーサーは、金属板を断面略「コ」字状に折り曲げたものであり、プレス成形等により簡単に形成することができる。このため、調整寸法(高さ)の異なる複数のスペーサーを用意しておけば、外部コネクターの取付け位置の微調整も簡単に行うことができる。一方、締結手段としてねじを用いる場合には、スペーサーの内側からねじに対し、後付けで弛み止めの接着剤等を注入することができる。
【0009】
この場合、各スペーサーは、コネクター本体に係合し、コネクター本体を介してコネクター基板と相互に位置決めするための係合片部を有していることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、各スペーサーとコネクター基板との相互の位置決めを容易に行うことができ、組立における作業性を向上させることができる。
【0011】
この場合、各スペーサーは、メイン基板に着座する着座片部と、コネクター基板が載置される載置片部と、着座片部および載置片部を連結する連結片部とを有し、各第1締結手段は、メイン基板を貫通し着座片部に螺合する第1取付けねじを有し、各第2締結手段は、コネクター基板を貫通し載置片部に螺合する第2取付けねじを有していることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、各スペーサーや各締結手段を簡単な構成にすることができ、且つ両基板とスペーサーとを強固に締結することができる。
【0013】
本発明の基板モジュールは、上記の外部コネクターの取付け装置と、メイン基板と、外部コネクターと、外部コネクターおよびメイン基板が固定されたコネクターフレームと、を備え、外部コネクターは、コネクター本体の接続部を、コネクターフレームのパネル板部から突出させた状態で、コネクターフレームに固定されていることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、外部コネクターを、簡単な構造で強固に取り付ける外部コネクターの取付け装置を用いることで、簡単な構成で強固な基板モジュールを提供することができる。
【0015】
この場合、コネクター本体は、接続部、および接続部を保持すると共にコネクターフレームに固定されるフレーム取付部を有し、パネル板部は、外部コネクターの接続部が臨むコネクター用開口と、コネクター用開口の両側に位置し、フレーム取付部に螺合する一対の固定ねじ用の一対の貫通孔と、を有し、コネクター開口は、スペーサーによる位置調節の方向に幅広に形成され、各貫通孔は、位置調節の方向に延びる長孔に形成されていることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、コネクター用開口および各貫通孔を、スペーサーによる位置調節の方向に長く形成することにより、コネクターフレームにおいて、外部コネクターの位置調節を許容することができ、コネクターフレームに対し後加工等を必要としない。
【0017】
この場合、外部コネクターは、当該外部コネクターの抜き差し方向においてメイン基板とオーバーラップするように配設され、メイン基板の外部コネクターとのオーバーラップ部分には、外部コネクターを逃げる切欠き部が形成されていることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、メイン基板に外部コネクターを逃げる切欠き部を形成することにより、メイン基板において、外部コネクターの配設および位置調節を許容することができる。
【0019】
この場合、外部コネクターは、VGAコネクターであることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、数ミリ単位の正確な位置調節が容易にできる基板モジュールを用いることで、種類も多く、形状も多岐にわたるVGAコネクター(Video Graphics Array connector)に対しても、適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係るプリンターを示した斜視図である。
【図2】拡張基板モジュールを示した斜視図である。
【図3】コネクターフレーム無しの拡張基板モジュールを示した斜視図である。
【図4】メイン基板周りを示した斜視図である。
【図5】メイン基板に合体したサブ基板周りを示した裏面斜視図である。
【図6】基板支持機構周りを示した裏面斜視図である。
【図7】スペーサーを示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照し、本発明の一実施形態に係る基板モジュールとこれを装着したプリンターについて説明する。このプリンターは、いわゆるレシートプリンターであり、外部機器からの情報に基づいて、レシート用の画像データをレシート用紙に印刷して、レシートを作成するものである。なお、外部機器として、POS端末、キーボード、スキャナーおよびディスプレイ等を想定している。
【0023】
図1に示すように、プリンター1は、プリンター本体2と、プリンター本体2に装着する拡張基板モジュール(基板モジュール)4と、を備えている。本実施形態では、マイクロコンピューター(図示省略)を搭載した拡張基板モジュール4を装着することで、プリンター本体2に情報処理機能を付加する。例えば、当該マイクロコンピューターに、簡易POSアプリケーションプログラムを搭載し、プリンター1を予備のPOS端末として機能させることを想定している。
【0024】
次に、拡張基板モジュール4について詳細に説明する。なお、以降の説明では、プリンター1に装着した拡張基板モジュール4を上下反転して表した図面を用いると共に、図2および図3における手前側を「前」、奥側を「後」、上側を「上」、下側を「下」として、説明を進める。また、上記した前後に対する右側(図中左側)を「右」、前後に対する左側(図中右側)を「左」とする。
【0025】
図2および図3に示すように、拡張基板モジュール4は、後面を開放した箱状のコネクターフレーム11と、コネクターフレーム11を装着するコネクターモジュール3と、を備えている。コネクターモジュール3は、コネクターフレーム11の前面に露出させたVGAコネクター45を含む複数の外部コネクターからなるコネクター群12と、コネクターフレーム11の内部から後方に延在するように設けたメイン基板13と、コネクターフレーム11内において、メイン基板13に直角に立設したサブ基板14と、コネクターフレーム11の天面に添わせて設けられ、サブ基板14の上端部(固定端部)を保持する基板ホルダープレート15と、VGAコネクター45を所定の高さで支持する基板支持機構(取付け装置)19(図6参照)と、メイン基板13上の後端部に配設され、上記のプリンター本体2に接続するための内部コネクター17と、を備えている。そして、メイン基板13には、ワンチップのマイクロコンピューター(図示省略)およびその周辺回路が作りこまれている。各外部コネクターとマイクロコンピューター、マイクロコンピューターと内部コネクター17とは、配線ケーブル20(図6参照)により接続されている。なお、マイクロコンピューターは、CPU、RAM、ROMおよびデータ記憶部(フラッシュROM等)を有する集積回路である。
【0026】
図2に示すように、コネクターフレーム11は、導電性材料の金属板で構成されており、前面を構成するパネル板部21と、パネル板部21の上下端からそれぞれ直角に延びる一対の上下補強板部22、22と、パネル板部21の左右端からそれぞれ直角に延びる一対の左右補強板部23、23と、左側の左右補強板部23の端部を折り返すように折り曲げて成ると共に、拡張基板モジュール4をプリンター本体2にねじ止めするための取付板部24と、を備えている。すなわち、コネクターフレーム11は、パネル板部21、上下補強板部22、22および各左右補強板部23、23により、平面視断面および側面視断面において「コ」字状の形状を成している。
【0027】
また、コネクターフレーム11における箱の角を成す上下補強板部22の端部と左右補強板部23の端部との間は、非接合で接触している。そのため、コネクターモジュール3をコネクターフレーム11に装着する際、左右補強板部23、23の先端側が拡開方向に湾曲し、装着を阻害しないように、かつ他の部品を開いた状態で嵌め入れるように構成されている。
【0028】
パネル板部21は、VGAコネクター45のプラグ側の接続部54に臨んでこれを外部に露出するコネクター用開口31と、コネクター用開口31の両側に位置し、VGAコネクター45のフレーム取付部55に螺合する一対のコネクターフレーム固定ねじ33、33(固定ねじ)用の一対の貫通孔32、32と、拡張基板モジュール4をプリンター本体2にねじ止めするための取付孔34と、を備えている。すなわち、コネクターフレーム11は、一対のコネクターフレーム固定ねじ33、33によって、コネクターモジュール3にねじ固定され拡張基板モジュール4となり、また、拡張基板モジュール4は、一対の拡張基板モジュール固定ねじ35、35によって、上記の取付板部24および取付孔34を介して、プリンター本体2にねじ止め固定される。これにより、上記の内部コネクター17を接続した状態で、拡張基板モジュール4がプリンター本体2に固定される。この構成によれば、拡張基板モジュール4が故障した場合に、拡張基板モジュール固定ねじ35、35を外して、拡張基板モジュール4を交換すれば良く、修理時間を短縮することができる。なお、コネクター用開口31は、高さ方向に幅広に形成され、各貫通孔33は、高さ方向に延びる長孔に形成されている。すなわち、基板支持機構19によるVGAコネクター45の高さ調節を許容するように形成されている。
【0029】
図2および図3に示すように、コネクター群12は、抜き差し方向がメイン基板13と平行になるように配設されており、メイン基板13の前端部に搭載された左下部に位置するLAN(Local Area Network)コネクター41および右下部に位置するマイクロUSB(Universal Serial Bus)コネクター42と、サブ基板14の前面にマウントされた右上部に位置するDC(Direct Current)コネクター43および上部に並んだ4つのUSBコネクター44と、基板支持機構19に保持された上記VGAコネクター(外部コネクター)45と、を含んでいる。これらのコネクターは、それぞれのプラグコネクターの接続を考慮しつつ、パネル板部21内においてスペース効率良く配置されている。また、これらのコネクターは、配線ケーブル20によりサブ基板14に電気的に接続しており、ひいてはサブ基板14を介して、メイン基板13に電気的に接続されている。なお、サブ基板14とメイン基板13との接続は、配線ケーブル20やジャンパーリード線によって行うものであっても良いし、サブ基板14の下端部において両基板13、14上の配線を直接接続するものであっても良い。
【0030】
VGAコネクター45は、接続部54を有するコネクター本体51と、下面にコネクター本体51をねじ止めしたコネクター基板52と、を備えている(図3参照)。コネクター基板52は、上下補強板部22やメイン基板13と平行して延在している。コネクター本体51は、上記接続部54と、接続部54を保持すると共にコネクターフレーム11に内側から当接するフレーム取付部55と、を備えている。すなわち、上記一対の貫通孔32、32を介して、一対のコネクターフレーム固定ねじ33、33がフレーム取付部55に螺合する(図3参照)。これによって、VGAコネクター45は、接続部54を、パネル板部21から突出させた状態で、コネクターフレーム11にねじ止め固定される(図2参照)。なお、当該コネクターフレーム固定ねじ33は、頭部軸心に雌ねじ孔が形成されており、プラグコネクターの雄ねじ部と供して、プラグコネクターを接続する際の抜け止めとしても機能する。
【0031】
図4に示すように、メイン基板13には、前方左端部にLANコネクター41を、同図示では省略したが前方右端部にマイクロUSBコネクター42を搭載すると共に、後方中央部に内部コネクター17を搭載している。また、図5に示すように、メイン基板13の前方寄りの前後中間部には、サブ基板14に形成された後述の左右一対の係止突起66、66を係合する方形の左右一対の係止孔61、61が形成されている。すなわち、サブ基板14の下端部(突当て端部)を突き当てつつ、一対の係止突起66、66を係合することで、サブ基板14の下端部を係止した状態でこれをメイン基板13上に立設している。さらに、メイン基板13には、VGAコネクター45の抜差し方向において、VGAコネクター45がオーバーラップするように、配設されている(図6参照)。このため、メイン基板13の当該オーバーラップ部分には、VGAコネクター45を逃げる切欠き部62が配設(形成)されている。
【0032】
図3および図5に示すように、サブ基板14は、メイン基板13から直角に且つ上方に延在し、LANコネクター41とオーバーラップする部分を除き、メイン基板13の左右全域を横断するように立設(垂直設置)されている。サブ基板14の前面には、DCコネクター43と、4つのUSBコネクター44とがマウントされている。また、サブ基板14のメイン基板13側の端部(下端部)には、上記左右一対の係止突起66、66が形成されている。さらに、サブ基板14の上端部には、図示では省略したが、接地配線(プリント配設)が形成されており、上記の基板ホルダープレート15を介して接地可能に構成されている。なお、サブ基板14の上端部(固定端部)と下端部(突当て端部)とは平行に延在している。
【0033】
図3に示すように、基板ホルダープレート15は、導電性の金属板(板金)をプレス成形して形成され、且つメイン基板13に対し平行に延在しており、内側からコネクターフレーム11に添設するようにして固定されている。基板ホルダープレート15は、サブ基板14の上端部に臨みこれを挟持固定する固定板部71と、固定板部71の左端から直角に下方に屈曲して延びるねじ止め板部73と、で一体に形成されている。固定板部71の右端部には、右端から側方に突出する係合突起72aと、右端部から後方に突出する当接突起72bと、右端部から前方に突出するスペーサー突起72cと、が一体に形成されている。係合突起72aは、コネクターフレーム11の係合孔(図示省略)に係合し、基板ホルダープレート15とコネクターフレーム11とを左右方向において相互に位置決めする。当接突起72bは、上記右側の拡張基板モジュール固定ねじ35をプリンター本体2にねじ止めするときに、プリンター本体2に当接する。スペーサー突起72cは、コネクターフレーム11の内側(パネル板部21の上端部内側)に当接し、基板ホルダープレート15とコネクターフレーム11とを前後方向において相互に位置決めする。
【0034】
また、固定板部71には、その後端部から直角に且つメイン基板13側に折曲げ形成した補強リブ74が、一体に形成されている。この補強リブ74により、固定板部71は、上下方向の曲げに対し十分な応力を発揮する。そして、このように構成された基板ホルダープレート15は、コネクターフレーム11の内側に添設された状態で、右端部の係合突起72aをコネクターフレーム11の係合孔に係合する一方、係止ねじ75により、左端部のねじ止め板部73をコネクターフレーム11にねじ止めすることで、コネクターフレーム11に両持ちで支持される。なお、係止ねじ75は、外側からコネクターフレーム11を貫通し、ねじ止め板部73に螺合する(図2参照)。すなわち、コネクターフレーム11に基板ホルダープレート15が固定され、基板ホルダープレート15にサブ基板14の上端部が挟持固定されて、各種コネクターの抜き差しに対するサブ基板14のがたつきや倒れが防止される。
【0035】
固定板部71は、サブ基板14の上端部が臨むスリット状の開口部81と、開口部81の開口縁から、前後方向に延在して開口部81内に突出し、当該上端部を挟持する複数の挟持突起82と、各挟持突起82の背面側(基端側)近傍に位置し、開口部81に平行な複数のスリット83と、開口部81の開口縁から、前後方向に延在して開口部81内に突出し、当該上端部の受けとなる複数の受け突起84と、を備えている。そして、これら開口部81および複数のスリット83も、プレス打ち抜きで形成される。なお、サブ基板14の上端部の延在方向と開口部81の延在方向とは、同一である。
【0036】
複数の挟持突起82は、前後方向に位置ずれして対向する一対の挟持突起82、82の組を、開口部81の延在方向に分散して(列設して)2組構成している。一対の挟持突起82、82は、それぞれ背面側のスリット83により幅狭に且つばね性を持ってサブ基板14の上端部の表裏面に押接し、当該上端部を挟持する。また、組となる一対の挟持突起82は、互い違いとなるように、開口部81の延在方向(上端部の延在方向)において相互に位置ずれして配設されている。開口部81にサブ基板14の上端部を圧入すると、各組の一対の挟持突起82がサブ基板14の上端部を挟持する。これにより、各組の一対の挟持突起82のばね力と、サブ基板14の部分曲げ応力が拮抗し、サブ基板14は固定板部71に無理無く、且つ強固に固定される。また、固定板部71を介して、サブ基板14のコネクターフレーム11への導通が確保される。
【0037】
また、一対の挟持突起82、82の背面側近傍に配設した一対の上記スリット83、83によって、サブ基板14から各挟持突起82に作用する反力を緩和し、靭性が不足する各挟持突起82のばね性を確保している。なお、各挟持突起82のばね性を確保すべく、スリット83に代えて押圧ばねを設ける構成であっても良い。もっとも、固定板部71に対するサブ基板14の圧入は、組立て時のみであるので、挟持突起82が弾性限界を越えて圧入されても問題はない。
【0038】
複数の受け突起84は、前後方向に位置ずれして対向する一対の受け突起84、84の組を、開口部81の延在方向に分散して(列設して)2組構成している。一対の受け突起84、84は、微小間隙を存してサブ基板14の上端部に対峙しており、プラグコネクターの抜き差しの力がサブ基板14に作用した際、これを受け、サブ基板14の所定値以上湾曲や破損を阻止する。すなわち、当該湾曲や破損を阻止する程度の微小間隙を有している。また、一対の受け突起84、84は、開口部81の延在方向において相互に位置ずれして配設されている。なお、挟持突起82に対し受け突起84は、開口部81の延在方向に幅広に形成されている。
【0039】
一方、基板ホルダープレート15は、挟持突起82によって、サブ基板14の上端部に形成された接地配線に接触し、且つ係合突起72aやねじ止め板部73によって、導電性のコネクターフレーム11に接触している。そして、サブ基板14は、コネクターフレーム11からプリンター本体2、或いはいずれかのコネクターを介して、アースされる。このため、基板ホルダープレート15は、サブ基板14の導電・接地手段としても機能する。
【0040】
図6および図7に示すように、基板支持機構19は、メイン基板13とコネクター基板52との間に介設された左右一対のスペーサー91、91と、各スペーサー91をメイン基板13にねじ止め固定する一対の第1取付けねじ(第1締結手段)92と、コネクター基板52を各スペーサー91、91にねじ止め固定する一対の第2取付けねじ(第2締結手段)93と、を備えている。
【0041】
各スペーサー91、91は、金属板(板金)をプレス成形して形成されおり、またコネクター基板52の平面視輪郭内に配設されると共に、当該金属板を断面略「コ」字状に折り曲げて形成されている。一対のスペーサー91、91は、コネクター群12の抜き差し方向に対する垂直方向を向き且つ相互に対向して配設されている。各スペーサー91、91は、メイン基板13と平行に延在しメイン基板13に着座する平板状の着座片部96と、コネクター基板52と平行に延在しコネクター基板52が載置される平板状の載置片部97と、着座片部96および載置片部97を連結する弧状の連結片部98と、連結片部98から垂直に且つコネクター本体51側に突出しコネクター本体51に係合する位置決め用の係合片部99と、を有している。係合片部99により、コネクター本体51を介してコネクター基板52と各スペーサー91、91とを相互に位置決めする。
【0042】
着座片部96および載置片部97は、それぞれ取付けねじ92、93に螺合する締結孔100を有している。すなわち、第1取付けねじ92は、メイン基板13を貫通し着座片部96の締結孔100に螺合し、第2取付けねじ93は、コネクター基板52を貫通し載置片部97の締結孔100に螺合する。これによってメイン基板13とスペーサー91、スペーサー91とコネクター基板52が、強固に固定される。
【0043】
拡張基板モジュール4を組み立てる際、一対のスペーサー91、91の組を高さ違いで複数組用意すると共に、VGAコネクター45の種類や配設状況によって、VGAコネクター45が所望の高さ位置となるようなスペーサー91、91の組を選出して設置する。これによって、VGAコネクター45のメイン基板13に高さ位置(メイン基板13に対する垂直方向の位置)を調節する。なお、VGAコネクター45に替えて、シリアルコネクター等の他のコネクターを取り付ける場合にも、高さ調節によって、容易に対応することができる。
【0044】
以上の実施形態によれば、各スペーサー91、91が、金属板を断面略「コ」字状に折り曲げて形成されているため、外部コネクター(VGAコネクター45)の抜き差しに伴う横方向の力に対し、傾き(転び)難く、外部コネクターを安定且つ強固に支持することができる。また、コネクター基板52とスペーサー91との接触面積を大きく取ることができるため、第1取付けねじ92および第2取付けねじ93による締結に伴って、生ずる摩擦力がこれら締結手段と共に、横方向の力に抗することになり、この点でも、外部コネクターを安定且つ強固に取り付けることができる。しかも、スペーサー91は、金属板を断面略「コ」字状に折り曲げたものであり、プレス成形等により簡単に形成することができる。このため、調整寸法(高さ)の異なる複数のスペーサー91を用意しておけば、外部コネクターの取付け位置の微調整も簡単に行うことができる。また、スペーサー91の内側からねじに対し、後付けで弛み止めの接着剤等を注入することができる。
【0045】
また、位置決め用の係合片部99を有することにより、各スペーサー91、91とコネクター基板52との相互の位置決めを容易に行うことができ、組立における作業性を向上させることができる。
【0046】
さらに、各スペーサー91、91が着座片部96および載置片部97を有し、且つ各締結手段として取付けねじ92、93を用いることにより、各スペーサー91や各締結手段を簡単な構成にすることができ、且つ両基板13、52とスペーサー91とを強固に締結することができる。
【0047】
またさらに、コネクターフレーム11において、コネクター用開口31および各貫通孔33を、スペーサー91による位置調節の方向に長く形成することにより、コネクターフレーム11において、外部コネクターの位置調節を許容することができ、コネクターフレーム11に対し後加工等を必要としない。
【0048】
また、メイン基板13に外部コネクターを逃げる切欠き部62を形成することにより、メイン基板13において、外部コネクターの配設および位置調節を許容することができる。
【0049】
なお、本実施形態においては、基板支持機構19により、VGAコネクター45を位置調節する構成であったが、基板支持機構19により、他のコネクター(LANコネクター41、マイクロUSBコネクター42、DCコネクター43、USBコネクター44もしくはシリアルコネクター等)を位置調節するものであっても良い。また、コネクター基板52に複数種のコネクターのコネクター本体51を搭載し、基板支持機構19により、これらを一体として位置調節するものであっても良い。
【0050】
また、本実施形態においては、コネクター基板52の左右両端部に配設した一対のスペーサー91、91によって、VGAコネクター45を支持する構成であったが、コネクター基板52の左右中央部に配設した単一のスペーサー91によって、VGAコネクター45を支持する構成であっても良いし、3つ以上のスペーサー91によって、VGAコネクター45を支持する構成であっても良い。
【符号の説明】
【0051】
4:拡張基板モジュール、 11:コネクターフレーム、 13:メイン基板、 19:基板支持機構、 21:パネル板部、 31:コネクター用開口、 32:貫通孔、 33:コネクターフレーム固定ねじ、 45:VGAコネクター、 51:コネクター本体、 52:コネクター基板、 54:接続部、 55:フレーム取付部、 62:切欠き部、 91:スペーサー、 92:第1取付けねじ、 93:第2取付けねじ、 96:着座片部、 97:載置片部、 98:連結片部、 99:係合片部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクター本体と前記コネクター本体に固定されたコネクター基板とを有する外部コネクターを、その抜き差し方向と平行なメイン基板に取り付けるための外部コネクターの取付け装置であって、
前記メイン基板と、前記メイン基板に平行に配設された前記コネクター基板との間に介設された一対のスペーサーと、
前記各スペーサーを前記メイン基板に固定する一対の第1締結手段と、
前記コネクター基板を前記各スペーサーに固定する一対の第2締結手段と、を備え、
前記各スペーサーは、金属板を断面略「コ」字状に折り曲げて形成されていることを特徴とする外部コネクターの取付け装置。
【請求項2】
前記各スペーサーは、前記金属板をプレス成形して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の外部コネクターの取付け装置。
【請求項3】
前記各スペーサーは、前記コネクター本体に係合し、前記コネクター本体を介して前記コネクター基板と相互に位置決めするための係合片部を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の外部コネクターの取付け装置。
【請求項4】
前記各スペーサーは、前記メイン基板に着座する着座片部と、前記コネクター基板が載置される載置片部と、前記着座片部および前記載置片部を連結する連結片部とを有し、
前記各第1締結手段は、前記メイン基板を貫通し前記着座片部に螺合する第1取付けねじを有し、
前記各第2締結手段は、前記コネクター基板を貫通し前記載置片部に螺合する第2取付けねじを有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の外部コネクターの取付け装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の外部コネクターの取付け装置と、
前記メイン基板と、
前記外部コネクターと、
前記外部コネクターおよび前記メイン基板が固定されたコネクターフレームと、を備え、
前記外部コネクターは、前記コネクター本体の接続部を、前記コネクターフレームのパネル板部から突出させた状態で、前記コネクターフレームに固定されていることを特徴とする基板モジュール。
【請求項6】
前記コネクター本体は、前記接続部、および前記接続部を保持すると共に前記コネクターフレームに固定されるフレーム取付部を有し、
前記パネル板部は、前記外部コネクターの前記接続部が臨むコネクター用開口と、前記コネクター用開口の両側に位置し、前記フレーム取付部に螺合する一対の固定ねじ用の一対の貫通孔と、を有し、
前記コネクター開口は、前記スペーサーによる位置調節の方向に幅広に形成され、
前記各貫通孔は、前記位置調節の方向に延びる長孔に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の基板モジュール。
【請求項7】
前記外部コネクターは、当該外部コネクターの抜き差し方向において前記メイン基板とオーバーラップするように配設され、
前記メイン基板の前記外部コネクターとのオーバーラップ部分には、前記外部コネクターを逃げる切欠き部が形成されていることを特徴とする請求項5または6に記載の基板モジュール。
【請求項8】
前記外部コネクターは、VGAコネクターであることを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載の基板モジュール。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−4002(P2012−4002A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139030(P2010−139030)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】