説明

多列スティックタイプ自動包装機の横シール機構における噛み込み検知装置

【課題】噛み込み検知動作における検知不可要因並びに検知変動要因を除去して正確な噛み込み検知を行うことのできる多列スティックタイプ自動包装機の噛み込み検知装置を提供する。
【解決手段】横シール機構8の奥側横ヒートシールバー固定部材22の右端上側部分にはブラケット60を介して金属部材40が付設され、右端下側部分にはブラケット64を介して渦電流変位センサー52が付設されている。前側横ヒートシールバー固定部材21の右端上側部分にはブラケット62を介して渦電流変位センサー42が付設され、右端下側部分にはブラケット66を介して金属部材50が付設されている。これらの渦電流変位センサーと金属部材を互いに近接対向状態に配置して横ヒートシールバー間の隙間距離を測定できるようにした結果、噛み込み発生時における隙間距離の測定値を拡大することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装フィルムを袋状にするためのヒートシール動作において、シール部分の内容物噛み込み不良を自動的に検出する装置に関し、特に多列スティックタイプ自動包装機の内容物噛み込み検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、一度に複数本のスティックタイプの包装体を連続的にシール成形できるように構成した多列スティックタイプ自動包装機が存在している。これは多列式に構成された各充填パイプの周囲に、この多列本数に切断された包装フィルムの各々を巻装して円筒状にフォーミングした後、この巻装された包装フィルムの両端合わせ目に対して縦ヒートシーラによって縦シールを施して円筒状包装フィルムにし、次いで、この円筒状包装フィルムの規定の位置に対して横ヒートシーラによって横シールを施して包装袋状にしている。
【0003】
そして、この縦型多列自動包装機は、出来上がった包装袋内に充填パイプを経由して内容物(粉末原料)を投入し、その後、この包装袋の充填口を横シールして封止し、この封止された包装袋の横シール中央付近に対してカッター装置を用いて切り離し、最終的に個別包装形態のスティック状包装体が多列式に、且つ連続的にシール成形される仕組みになっている。このような縦型多列自動包装機の一例が、特許文献1に開示されている。
【0004】
上記のような従来の多列スティックタイプ自動包装機において、粉舞い上がり現象が発生し易い粉末原料を包装袋内に充填する場合は、横シール不良を検出する噛み込み検知装置が設置されているケースが多い。この従来の噛み込み検知装置は、例えば特許文献2に記載されているように、内容物が充填された包装袋に対してヒートシールするヒートシールバーに渦電流変位センサーを取り付け、ヒートシールバーがシール動作を行うと同時に、この渦電流変位センサーにより包装袋におけるシール部分の厚さを測定している。そして、このシール部分の厚さが予め設定された数値を越えた場合に内容物の噛み込みが発生したと認定し、これをもってシール不良と判定している。
【特許文献1】特開平9−272511号公報
【特許文献2】特開2003−112714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の噛み込み検知装置は、渦電流変位センサーを測定対象の横ヒートシールバーに取り付けてこの横ヒートシールバーにおける包装シール部分の厚さを測定して噛み込み検知を行っているが、この際の噛み込み発生を判定している基準は、噛み込み現象が発生した時の距離測定値から通常の噛み込み現象が発生していない時の距離測定値を差し引いた値即ち噛み込み現象発生に伴う距離測定値の増加分を検知して判定している。しかしながら、このような距離測定値の増加分はごく微小な値であるため、内容物の噛み込みが発生してシール不良となった場合でも噛み込み検知できないケースがあった。
【0006】
また、包装袋に充填する内容物の粒子等の大きさによっても噛み込み発生時の距離測定値の増加分は変動することになり、内容物の粒子等が大きい場合は噛み込み発生時の距離測定値の増加分は大きくなり、内容物の粒子等が小さい場合は噛み込み発生時の距離測定値の増加分は小さくなってしまう。
【0007】
このように、噛み込み発生時における横ヒートシールバー間の距離(隙間)測定結果は、内容物の粒子等の大きさに応じて変動することになり、噛み込み判定基準が一定にならないという問題があった。更に、内容物の粒子等が小さい粉末状の場合は、噛み込み検知そのものが困難となるケースがあった。
【0008】
本発明は、上記従来の噛み込み検知装置の問題点に鑑み創作されたもので、このような噛み込み検知動作における検知不可要因並びに検知変動要因を除去して正確な噛み込み検知を行うことのできる多列スティックタイプ自動包装機の横シール機構における噛み込み検知装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係る噛み込み検知装置は、幅の広い原反フィルムを複数条の包装フィルムにスリットした後、この複数条の包装フィルムを筒状に成形するフォーミング機構と、この成形された包装フィルムに対して縦シールして筒状の包装フィルムにする縦シール機構と、この筒状の包装フィルムに対して横シールして包装袋状にすると共にこの包装袋を下方に搬送する横シール機構と、この包装袋内に内容物(粉末原料)を充填する充填機構と、この充填された包装袋の充填口を横シールして封止すると共にこの封止された包装袋を下方に搬送する横シール機構と、この搬送された封止状包装袋の横シール部分を切り離して個別包装体とする多列スティックタイプ自動包装機の噛み込み検知装置であって、前記噛み込み検知装置は、横シール機構における二つの横ヒートシールバー固定部材の四隅に四つの延長ブラケットを配置し、当該ブラケットに対して四つの渦電流変位センサーと四つの金属部材を対向且つ近接状態となるように固定して横ヒートシールバー間の隙間距離を測定できるように構成し、横シール動作に伴う内容物噛み込み検知の際に、横ヒートシールバー間の隙間距離測定の増加分を拡大測定できるようにしている。
【0010】
本発明の請求項1に係る噛み込み検知装置によれば、噛み込み検知動作における検知不可要因を除去して正確な噛み込み検知を行うことができる。
【0011】
また、本発明の請求項2に係る四つの渦電流変位センサーと四つの金属部材の延長ブラケットは、包装袋内に充填する内容物の粒の大きさに応じて当該ブラケットの延長具合を変えるように構成している。
【0012】
また、本発明の請求項3に係る四つの渦電流変位センサーと四つの金属部材における延長ブラケットの延長具合は、包装袋内に充填する内容物の粒の大きさが予め設定された値に比べて小さい場合は予め決められた寸法より長く延長し、 包装袋内に充填する内容物の粒の大きさが予め設定された値に比べて大きい場合は予め決められた寸法より短く延長するように構成している。
【0013】
本発明の請求項2及び請求項3に係る噛み込み検知装置によれば、噛み込み検知動作における検知変動要因を除去して正確な噛み込み検知を行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明に係る多列スティックタイプ自動包装機の横シール機構における噛み込み検知装置によれば、内容物の噛み込み発生に対する検知不可要因を排除し、内容物の粒子等の大きさによる噛み込み検知変動要因を除去して正確な噛み込み検知を行うことができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係る噛み込み検知装置の実施の形態を図面と共に説明する。まず、図1及び図2を用いて、本発明の多列スティックタイプ自動包装機の全体構成について説明する。図1は本発明に係る多列スティックタイプ自動包装機を示す正面図であり、図2は本発明に係る多列スティックタイプ自動包装機を示す側面図である。これらの図面において各々符号1で全体的に示した多列スティックタイプ自動包装機は、一度に複数本(多列本数)のスティック包装体を連続的にシール成形できるように構成されている。
【0016】
図1と図2に示すように、2は一部固まった内容物(粉末原料)を解す直線フィーダー、3は解された内容物を収容するホッパー、4はホッパー3から供給される内容物を計量した後中間シュート5に落下させる計量供給盤、5は計量供給盤4から落下してきた内容物を充填パイプ5に送り込む中間シュート、6はスリットされて幅が狭くなった複数条の包装フィルムF’を略円筒状に巻き付けると共に内容物の投入通路となる充填パイプ、7は充填パイプ6に巻き付けられた包装フィルムF’に対して縦シールを施す縦シール機構、8は縦シール機構の下に設けた横シール機構、9は出来上がった連続した包装袋を切り離すカッター装置、10は切り離された個別包装体を受け取る袋ガイド並びにすべり台、11は操作パネルボックスである。
【0017】
図2に示すように、FHは幅の広い包装フィルム(包材)を巻回した状態にした原反ロール、FはこのロールFHから引き出された幅の広い包装フィルム、FXはこの幅の広いフィルムFを上記充填パイプ5の列数に合わせて幅の狭い複数条の包装フィルムF’にスリットするスリッター装置である。そして、上記横シール装置8の上下運動に従って順次下方に引き出された各包装フィルムF’は充填パイプ5に巻き付けられることによって略円筒形状にフォーミングされる仕組みになっている。
【0018】
次に、多列スティックタイプ自動包装機1は、縦シール機構7の縦ヒートシーラによって略円筒形状にフォーミングされて重ね合わされた各包装フィルムF’の両端同士をヒートシールして円筒状にシール成形する。更に、この略円筒形状になった包装フィルムF’に対して横シール機構8の横ヒートシーラによって挟み込んで包装袋状とした後、上記充填パイプ6を通してこの包装袋内部に内容物(粉末原料)を投入する。同時に、横シール機構8による挟持状態のまま1包装袋分下方に移動させて包装フィルムF’の引き出しを行う。
【0019】
その後、この横シール機構8を1包装袋分上方に復帰作動させて再度横シールを行うことによって内容物(粉末原料)が入った袋状の包装フィルムの充填口を封止して密封し、多列式にスティック包装体をシール成形するものである。
【0020】
そして、上記の動作を連続して繰り返し行い、且つ各横シールの中央部分をカッター装置9で上下に切断することにより、一度に多数本のスティックタイプ個別包装体を連続的に生産できるように構成されている。
【0021】
なお、図1と同様に、2は直線フィーダー、3はホッパー、4は計量供給盤、5は中間シュート、10は袋ガイドとすべり台である。
【0022】
このような多列スティックタイプ自動包装機1の横ヒートシール動作において、正常にヒートシールを施すことが出来たかどうか、即ち内容物噛み込み現象が発生してシール不良となっていないことを調べるために横ヒートシールバーの固定部材に噛み込み検知装置の検知部分(渦電流変位センサーと金属部材)が取り付けられている。
【0023】
図8は、本発明に係る噛み込み検知装置のブロック構成図である。図8に示すように、符号42、43、52、53は本発明の噛み込み検知装置における渦電流変位センサー、符号40、41、50、51は金属部材である。この四つの渦電流変位センサーと四つの金属部材は噛み込み検知装置の検知部分を構成しており、互いに対向且つ近接状態に設置されて隙間距離測定ができるようになっている。
【0024】
渦電流変位センサー42と渦電流変位センサー43と渦電流変位センサー52と渦電流変位センサー53は変位センサーアンプ81に接続され、変位センサーアンプ81は四つの渦電流の損失量に連動した四つの距離測定値を算出すると共に、この距離測定データである四つのアナログ信号を増幅している。そして、この増幅されたアナログ信号(距離測定データ)は、A/D変換器82でデジタル信号に変換されて制御部83に送られる。
【0025】
制御部83は、A/D変換器82の出力信号を受け取り、噛み込み検知のための内部処理を行う。この制御部83の内部処理の結果、噛み込み状態を検知した場合はアラーム信号85、86を出力し、アラーム信号85は操作パネルボックス11に備えられているアラーム表示器84へ送付され、アラーム信号86は多列スティックタイプ自動包装機1の制御回路へ送付され、それぞれ所定のアラーム表示並びにアラーム動作を行うようになる。
【0026】
そして、四つの渦電流変位センサー42、43、52、53と四つの金属部材40、41、50、51との間の距離(隙間)80はごく微小な値になっており、この距離(隙間)80の増加分を計測することによって横ヒートシールバーの噛み込み発生を判断している。
【0027】
図3は、本発明に係る噛み込み検知装置の渦電流変位センサーと金属部材が取り付けられた横シール機構において、横ヒートシールバーが開いている状態を表している上面概略図であり、図4は、同じく本発明に係る噛み込み検知装置の渦電流変位センサーと金属部材が取り付けられた横シール機構において、横ヒートシールバーが開いている状態を表している正面概略図であり、図5は、同じく本発明に係る噛み込み検知装置の渦電流変位センサーと金属部材が取り付けられた横シール機構において、横ヒートシールバーが開いている状態を表している側面概略図である。図3乃至図5に示すように、横シール機構8の奥側にはベース板20があり、このベース板20の上に奥側横ヒートシールバー固定部材22が取り付けられている。この奥側横ヒートシールバー固定部材22の中央部分には奥側横ヒートシールバー24が取り付けられ、奥側横ヒートシールバー固定部材22の右端上側部分にはブラケット60を介して金属部材40が付設され、奥側横ヒートシールバー固定部材22の左端上側部分にはブラケット61を介して金属部材41が付設され、奥側横ヒートシールバー固定部材22の右端下側部分にはブラケット64を介して渦電流変位センサー52が付設されている。なお、図面表記上の都合により、図示省略されているが、奥側横ヒートシールバー固定部材22の左端下側部分にはブラケット65を介して渦電流変位センサー53が付設されている。
【0028】
一方、奥側横ヒートシールバー固定部材22に向かい合う位置に前側横ヒートシールバー固定部材21が配置されており、この前側横ヒートシールバー固定部材21の中央部分には前側横ヒートシールバー23が取り付けられ、前側横ヒートシールバー固定部材21の右端上側部分にはブラケット62を介して渦電流変位センサー42が付設され、前側横ヒートシールバー固定部材21の左端上側部分にはブラケット63を介して渦電流変位センサー43が付設され、前側横ヒートシールバー固定部材21の右端下側部分にはブラケット66を介して金属部材50が付設され、前側横ヒートシールバー固定部材21の左端下側部分にはブラケット67を介して金属部材51が付設されている。
【0029】
そして、前側横ヒートシールバー23と奥側横ヒートシールバー24の間には略円筒形状になった包装フィルム30が5列分配置され、横ヒートシール動作を行う前の状態になっている。同時に、四つの渦電流変位センサー42、43、52、53と、四つの金属部材40、41、50、51は互いに直線上に対向状態に配置され、且つ、大きく開かれた状態に置かれて、噛み込み検知は停止されている。なお、図5の渦電流変位センサーと金属部材が取り付けられた側面概略図では図面表記上煩雑になるため、前側横ヒートシールバー23と奥側横ヒートシールバー24の間に配置されている包装フィルム30は省略されている。
【0030】
図6は、本発明に係る噛み込み検知装置の渦電流変位センサーと金属部材が取り付けられた横シール機構において、横ヒートシールバーが閉じている状態を表している側面概略図である。図6に示すように、横シール機構8の奥側にはベース板20があり、このベース板20の上に奥側横ヒートシールバー固定部材22が取り付けられている。この奥側横ヒートシールバー固定部材22の中央部分には奥側横ヒートシールバー24が取り付けられ、奥側横ヒートシールバー固定部材22の右端上側部分にはブラケット60を介して金属部材40が付設され、奥側横ヒートシールバー固定部材22の右端下側部分にはブラケット64を介して渦電流変位センサー52が付設されている。
【0031】
一方、奥側横ヒートシールバー固定部材22に向かい合う位置に前側横ヒートシールバー固定部材21が配置されており、この前側横ヒートシールバー固定部材21の中央部分には前側横ヒートシールバー23が取り付けられ、前側横ヒートシールバー固定部材21の右端上側部分にはブラケット62を介して渦電流変位センサー42が付設され、前側横ヒートシールバー固定部材21の右端下側部分にはブラケット66を介して金属部材50が付設されている。
【0032】
そして、前側横ヒートシールバー23と奥側横ヒートシールバー24は、略円筒形状になった包装フィルム30を挟み込んで横ヒートシール動作を行っている状態になっている。同時に、四つの渦電流変位センサー42、43、52、53と、四つの金属部材40、41、50、51は互いに直線上に対向且つ近接状態に配置されて噛み込み検知を行っている。なお、図6の渦電流変位センサーと金属部材が取り付けられた側面概略図では図面表記上煩雑になるため、前側横ヒートシールバー23と奥側横ヒートシールバー24の間に配置されている包装フィルム30は省略されている。
【0033】
ここで、図8を用いて、四つの渦電流変位センサー42、43、52、53と四つの金属部材40、41、50、51を用いたヒートシール噛み込み検知方法について説明する。四つの渦電流変位センサー42、43、52、53内には高周波コイルが組み入れられており、この高周波コイルは変位センサーアンプ81内の高周波発振回路に接続されている。各部の電源が入ると高周波発振が起こり、渦電流変位センサー42、43、52、53内の高周波コイルを貫くように高周波磁界が生じる。この時高周波コイルに対向して配置された金属部材40、41、50、51は磁気誘導現象を起す金属部材であるため、この金属部材には磁束が通過する向きに対して垂直方向の渦電流が流れる。
【0034】
そして、図8に示すように、渦電流変位センサー42、43、52、53と金属部材40、41、50、51との距離80が小さくなるほど金属部材40、41、50、51の表面に発生する渦電流が大きくなり、変位センサーンプ81内の高周波発振回路における高周波電流の振幅が小さくなる。また、渦電流変位センサー42、43、52、53と金属部材40、41、50、51との距離80が大きくなるほど金属部材40、41、50、51の表面に発生する渦電流が小さくなり、変位センサーアンプ81内の高周波発振回路における高周波電流の振幅が大きくなる。
【0035】
即ち、渦電流変位センサー42、43、52、53と金属部材40、41、50、51との距離80と、変位センサーアンプ81内の高周波発振回路における高周波電流の振幅値はリニアに変化する比例関係であり、このことを利用して予め距離80とその時の高周波電流振幅値を測定して校正しておけば、高周波電流の振幅値から距離80を非接触状態で算出することができる。
【0036】
従って、予め内容物が噛み込んでいない時の渦電流変位センサー42、43、52、53と金属部材40、41、50、51との距離80を測定しておき、その後距離80の値が大きく変化したら、前側横ヒートシールバー23と奥側横ヒートシールバー24において内容物の噛み込みによるシール不良が発生したと判定することができる。
【0037】
次に、上記の四つの渦電流変位センサー42、43、52、53と四つの金属部材40、41、50、51を用いた本発明のヒートシール噛み込み検知において、四つの検出された隙間距離変化値が存在することになるが、この四つの変化値をどのように処理して噛み込み発生と判断するかについて説明する。いろいろな処理方法が考えられるが、一例として、この四つの変化値の内、一つでもしきい値を越える値が検出されると噛み込み発生と判断している処理方法がある。
【0038】
具体的に説明すると、本発明において、この四つの変化値の内一つでも0.040mmを越える値、即ち0.041mm以上の値が検出されるとになると噛み込み発生と判断している。
【0039】
次に、本発明に係る噛み込み検知装置の他の実施例を図面と共に説明する。図7は、本発明に係る噛み込み検知装置が取り付けられた横シール機構において、渦電流変位センサーと金属部材の取り付け位置を延長した状態を表している側面概略図である。図7に示すように、横シール機構8の奥側にはベース板20があり、このベース板20の上に奥側横ヒートシールバー固定部材22が取り付けられている。この奥側横ヒートシールバー固定部材22の中央部分には奥側横ヒートシールバー24が取り付けられ、奥側横ヒートシールバー固定部材22の右端上側部分には上方向に延長したブラケット70を介して金属部材40が付設され、奥側横ヒートシールバー固定部材22の右端下側部分には下方向に延長したブラケット74を介して渦電流変位センサー52が付設されている。
【0040】
一方、奥側横ヒートシールバー固定部材22に向かい合う位置に前側横ヒートシールバー固定部材21が配置されており、この前側横ヒートシールバー固定部材21の中央部分には前側横ヒートシールバー23が取り付けられ、前側横ヒートシールバー固定部材21の右端上側部分には上方向に延長したブラケット72を介して渦電流変位センサー42が付設され、前側横ヒートシールバー固定部材21の右端下側部分には下方向に延長したブラケット76を介して金属部材50が付設されている。
【0041】
そして、前側横ヒートシールバー23と奥側横ヒートシールバー24の間には略円筒形状になった包装フィルム30が5列分配置され、横ヒートシール動作を行う前の状態になっている。同時に、四つの渦電流変位センサー42、43、52、53と、四つの金属部材40、41、50、51は互いに直線上に対向状態に配置され、且つ、大きく開かれた状態に置かれて、噛み込み検知は停止されている。なお、図7の渦電流変位センサーと金属部材が取り付けられた側面概略図では図面表記上煩雑になるため、前側横ヒートシールバー23と奥側横ヒートシールバー24の間に配置されている包装フィルム30は省略されている。
【0042】
このように、四つの渦電流変位センサー42、43、52、53と、四つの金属部材40、41、50、51を上下に延長した位置に配置するようにしたため、前側横ヒートシールバー23と奥側横ヒートシールバー24の間で発生している隙間距離より拡大された隙間距離値が検出されることになる。その理由は、前側横ヒートシールバー23と奥側横ヒートシールバー24の間に存在する五つの略円筒形状になった包装フィルム30において、全ての略円筒形状包装フィルム30に同じ粒子の噛み込み現象が発生するケースは殆ど無く、必ず噛み込み具合の偏りや噛み込み粒子のバラツキが発生する。
【0043】
このため、このような噛み込み具合の偏りや噛み込み粒子のバラツキによって、前側横ヒートシールバー23と奥側横ヒートシールバー24の間の挟み込み動作における平行状態に僅かな上下方向若しくは左右方向の傾きが発生し、これが上下に延長された四つの渦電流変位センサー42、43、52、53と、同じく上下に延長された四つの金属部材40、41、50、51によって拡大された値になって噛み込み現象として検出されるようになる。
【0044】
なお、この四つのブラケットの長さは、内容物における一般的な粒の大きさや噛み込み検知部分の重量、必要とされる強度等を考慮して予め標準的な長さが設計されている。
【0045】
このように噛み込み現象が発生した際のごく微小な隙間距離値を拡大して測定することができるようにしたため、噛み込み検知動作における検知不可要因を除去して正確な噛み込み検知を行うことのできる。
【0046】
なお、上記の四つの渦電流変位センサー42、43、52、53と、四つの金属部材40、41、50、51を上下方向に延長するためにブラケット70、72、74、76を用いて説明したが、これに限るものではなく横ヒートシールバー21、22における四つの渦電流変位センサー42、43、52、53と、四つの金属部材40、41、50、51の取り付け位置を左右方向に延長して用いても良い。
【0047】
また、上記のブラケット70、72、74、76の延長寸法は図7に示した例に限定するものでは無く、内容物(粉末原料)の粒子等の大きさに応じて反比例させた延長寸法を採用しても良い。
【0048】
即ち、内容物の粒子等の大きさが予め設定された値に比べて小さい場合は渦電流変位センサー42、43、52、53と金属部材40、41、50、51の取り付け位置を予め決められた位置より長く延長し、内容物の粒子等の大きさが予め設定された値に比べて大きい場合は渦電流変位センサー42、43、52、53と金属部材40、41、50、51の取り付け位置を予め決められた位置より短く延長して内容物の粒子等の大きさに応じて渦電流変位センサー42、43、52、53と金属部材40、41、50、51の取り付け位置を変えるようにしても良い。この結果、噛み込み発生時の距離測定値の増加分を確実に判定することが可能になり、噛み込み検知動作における検知不可要因並びに検知変動要因を排除することができる。
【0049】
また、図3乃至図5に示すように、奥側横ヒートシールバー固定部材22の右端上側部分には金属部材40が付設され、奥側横ヒートシールバー固定部材22の左端上側部分には金属部材41が付設され、奥側横ヒートシールバー固定部材22の右端下側部分には渦電流変位センサー52が付設され、奥側横ヒートシールバー固定部材22の左端下側部分には渦電流変位センサー53が付設されており、前側横ヒートシールバー固定部材21の右端上側部分には渦電流変位センサー42が付設され、前側横ヒートシールバー固定部材21の左端上側部分には渦電流変位センサー43が付設され、前側横ヒートシールバー固定部材21の右端下側部分には金属部材50が付設され、前側横ヒートシールバー固定部材21の左端下側部分には金属部材51が付設された形態で説明したが、これに限るものではなく渦電流変位センサーと金属部材が互いに直線上に対向状態に配置される任意の付設形態を採用できる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係る多列スティックタイプ自動包装機を示す正面図である。
【図2】本発明に係る多列スティックタイプ自動包装機を示す側面図である。
【図3】本発明に係る噛み込み検知装置の渦電流変位センサーと金属部材が取り付けられた横シール機構において、横ヒートシールバーが開いている状態を表している上面概略図である。
【図4】本発明に係る噛み込み検知装置の渦電流変位センサーと金属部材が取り付けられた横シール機構において、横ヒートシールバーが開いている状態を表している正面概略図である。
【図5】本発明に係る噛み込み検知装置の渦電流変位センサーと金属部材が取り付けられた横シール機構において、横ヒートシールバーが開いている状態を表している側面概略図である。
【図6】本発明に係る噛み込み検知装置の渦電流変位センサーと金属部材が取り付けられた横シール機構において、横ヒートシールバーが閉じている状態を表している側面概略図である。
【図7】本発明に係る噛み込み検知装置が取り付けられた横シール機構において、渦電流変位センサーと金属部材の取り付け位置を延長した状態を表している側面概略図である。
【図8】本発明に係る噛み込み検知装置のブロック構成図である。
【符号の説明】
【0051】
1 多列スティックタイプ自動包装機
2 直線フィーダー
3 ホッパー
4 計量供給盤
5 中間シュート
6 充填パイプ
7 縦シール機構
8 横シール機構
9 カッター装置
10 袋ガイド並びにすべり台
11 操作パネルボックス
20 ベース板
21 前側横ヒートシールバー固定部材
22 奥側横ヒートシールバー固定部材
23 前側横ヒートシールバー
24 奥側横ヒートシールバー
30 略円筒形状になった包装フィルム
40、41、50、51 金属部材
42、43、52、53 渦電流変位センサー
60、61、62、63、64、66、67 ブラケット
70、72、74、76 延長したブラケット
81 変位センサーアンプ
82 A/D変換器
83 制御部
84 アラーム表示器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅の広い原反フィルムを複数条の包装フィルムにスリットした後、この複数条の包装フィルムを筒状に成形するフォーミング機構と、この成形された包装フィルムに対して縦シールして筒状の包装フィルムにする縦シール機構と、この筒状の包装フィルムに対して横シールして包装袋状にすると共にこの包装袋を下方に搬送する横シール機構と、この包装袋内に内容物(粉末原料)を充填する充填機構と、この充填された包装袋の充填口を横シールして封止すると共にこの封止された包装袋を下方に搬送する横シール機構と、この搬送された封止状包装袋の横シール部分を切り離して個別包装体とする多列スティックタイプ自動包装機の噛み込み検知装置であって、
前記噛み込み検知装置は、横シール機構における二つの横ヒートシールバー固定部材の四隅に四つの延長ブラケットを配置し、当該ブラケットに対して四つの渦電流変位センサーと四つの金属部材を対向且つ近接状態となるように固定して横ヒートシールバー間の隙間距離を測定できるように構成し、
横シール動作に伴う内容物噛み込み検知の際に、横ヒートシールバー間の隙間距離測定の増加分を拡大測定できるようにしたことを特徴とする多列スティックタイプ自動包装機の噛み込み検知装置。
【請求項2】
前記四つの渦電流変位センサーと四つの金属部材の延長ブラケットは、包装袋内に充填する内容物の粒の大きさに応じて当該ブラケットの延長具合を変えるように構成したことを特徴とする請求項1記載の噛み込み検知装置。
【請求項3】
前記四つの渦電流変位センサーと四つの金属部材における延長ブラケットの延長具合は、包装袋内に充填する内容物の粒の大きさが予め設定された値に比べて小さい場合は予め決められた寸法より長く延長し、
包装袋内に充填する内容物の粒の大きさが予め設定された値に比べて大きい場合は予め決められた寸法より短く延長するように構成したことを特徴とする請求項2記載の噛み込み検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−42840(P2010−42840A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−208303(P2008−208303)
【出願日】平成20年8月13日(2008.8.13)
【出願人】(596092595)三光機械株式会社 (102)
【Fターム(参考)】