説明

多孔質材料

メソポーラス微粒子材料であって、該材料の細孔の少なくとも一部に少なくとも1つの成分が充填され、この充填されたメソポーラス微粒子材料がキャッピング層によってカプセル化されているものである材料を含む、消費者ケア組成物または食品組成物を記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、充填されマイクロカプセル化された材料を含む組成物、前記組成物の生産方法ならびに前記マイクロカプセル化材料および組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
消費者ケアおよび食品業界では、様々な成分を安定させるためにならびに前記成分のタイミングおよび放出を制御するために様々な方法を用いている。このような方法は、栄養喪失を免れるようにならびに風味および香りを隠ぺいするまたは保つように食品成分を保護することができる。適する保護方法は、光、紫外線、金属、湿気、温度および酸素に対して通常は敏感であるビタミンまたはミネラルサプリメントの安定性も増す。同様の問題点が、ある範囲の消費者ケア製品、例えばヘアケア組成物、口腔液性組成物、スキンケア製品および化粧品に影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
消費者ケアおよび食品業界では、成分を保護する、成分の放出を制御する、および/または成分の味を隠ぺいするための代替方法および/または製品が引き続き必要とされている。特に、液体環境における製品の保管は難題である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の要旨)
本発明は、消費者ケアまたは食品組成物などの組成物における少なくとも1つの充填成分を含むカプセル化されたメソポーラス微粒子材料の使用に備えるものである。より具体的には、および本発明の第一の態様に従って、メソポーラス微粒子材料であって、該材料の細孔の少なくとも一部に少なくとも1つの成分が充填され、このメソポーラス微粒子材料がキャッピング層によってカプセル化されているものである材料を含む、消費者ケア組成物または食品組成物を提供する。
【0005】
本発明の第二の態様に従って、本発明の第一の態様による前記消費者ケアまたは食品組成物についての生産プロセスを提供し、このプロセスは、前記メソポーラス微粒子材料とこの消費者ケアまたは食品組成物の他の成分とをブレンドすることを含む。
【0006】
本発明のさらなる態様に従って、人の体および/または顔を処置するおよび/または清潔にする方法を提供し、この方法は、本発明の第一の態様による組成物(この場合、該組成物は、化粧品組成物である。)を人の顔および/または体に塗布することを含む。例えば、体および/または顔のアクネ、脂性肌、しわ、乾癬の任意の1つを治療および/または予防するための方法を提供する。前記方法は、非医学的(即ち、「美容的」)処置方法である場合もあり、または医学的処置方法である場合もある。本発明は、体および/または顔のアクネ、脂性肌、しわ、乾癬、しみ、例えば母斑、瘢痕、ほくろ、毛穴の黒ずみ(blackheads)、そばかす、丘疹、目の下のたるみもしくは隈、酒さ、脂漏性皮膚炎(sebhorrhoeic dermatitis)、開いた毛穴(enlarged pores)、あばた、浮き出た血管(enlarged blood vesseles)、老人性そばかすのうちの1つ以上の予防および/または処置の際に使用するための前記組成物に及ぶ。
【0007】
本発明のさらなる態様に従って、人または動物の毛髪および/または頭皮を処置するおよび/または清潔にする方法を提供し、この方法は、本発明の第一の態様による組成物(この場合、該組成物は、ヘアケア組成物である。)を塗布することを含む。前記方法は、美容法であり得る。前記ヘアケア組成物は、抗フケシャンプーである場合があり、および/または枝毛の処置に適する場合がある。本発明は、フケおよび/または枝毛および/または頭ジラミおよび/または脱毛の予防および/または処置の際に使用するための前記ヘアケア組成物にも及ぶ。
【0008】
本発明のさらなる態様に従って、ステインおよび/または歯垢および/または歯肉炎を低減するための方法を提供し、この方法は、本発明の第一の態様による組成物(この場合、該組成物は、口腔衛生組成物である。)の安全で有効な量を歯および他の口腔表面に塗布することを含む。
【0009】
本発明のさらなる態様に従って、歯垢を低減するための、および/または歯肉炎を低減もしくは抑制するための、歯磨剤組成物などの医療用口腔衛生組成物の製造における本発明の第一の態様による組成物(この場合、該組成物は、口腔衛生組成物である。)の使用を提供する。
【0010】
本発明のさらなる態様に従って、ステインを低減するための美容方法を提供し、この方法は、本発明の第一の態様による組成物(この場合、該組成物は、口腔衛生組成物である。)の安全で有効な量を歯および他の口腔表面に塗布することを含む。
【0011】
本発明のさらなる態様に従って、歯垢および/または歯肉炎の処置および/または予防の際に使用するための本発明の第一の態様による組成物(この場合、該組成物は、口腔衛生組成物である。)を提供する。
【0012】
本発明のさらなる態様に従って、食品組成物におけるメソポーラス微粒子材料の使用であって、前記材料の細孔の少なくとも一部に少なくとも1つの成分が充填され、このメソポーラス微粒子材料がキャッピング層によってカプセル化されていること、前記成分が食品成分であること、および前記食品成分が、摂取後に人の胃腸管内で胃腸液と接触すると放出されることを特徴とする、前記食品成分のバイオアベイラビリティーを向上させるためのメソポーラス微粒子材料の使用を提供する。
【0013】
前記食品成分のバイオアベイラビリティーの向上は、メソポーラス微粒子材料がない場合の前記少なくとも1つの成分と比較したとき、少なくとも50%であり得る。
【0014】
本発明のさらなる態様に従って、ヘアケア組成物におけるメソポーラス微粒子材料の使用であって、前記材料の細孔の少なくとも一部に少なくとも1つの成分が充填され、このメソポーラス微粒子材料がキャッピング層によってカプセル化されていること、および前記成分が、ヘアケア活性成分であることを特徴とする、前記ヘアケア成分の毛髪および/もしくは頭皮上での保持を増進させるならびに/または毛髪への塗布時の前記活性成分の溶解を増進させるためのメソポーラス微粒子材料の使用を提供する。
【0015】
前記保持の増進は、メソポーラス微粒子材料がない場合の少なくとも1つの成分と比較したとき、少なくとも50%であり得、および前記溶解の増進は、少なくとも500%であり得る。
【0016】
カプセル化されたメソポーラス微粒子材料の使用により、本発明による組成物は、次のうちの少なくとも1つを提供しようとしている:ナノエントラップメントとマイクロカプセル化の併用による充填成分(活性材料を含む。)の高いバイオアベイラビリティー;例えば表面化学の修飾による、成分の高い充填用量と成分の放出を制御および/または標的指向化する能力。これらの特性および特質は、液体環境においても実証され、この液体環境でも実証されるということが、特に有利であると考えられる。
【0017】
本発明によるカプセル化メソポーラス微粒子材料の使用は、該材料のキャッピングされていないバージョンと比較したときの1つ以上の充填活性成分の保持増進に備えるものである。例えば、保管中に失われ得るのは、前記活性成分の約25重量%未満、好ましくは10重量%未満、さらに好ましくは5重量%未満であり得る。保管の長さは、一般に、1年から5年の範囲であり得る。前記組成物を保管する容器を開けた後の保管の長さは、例えば、1年または2年以下であり得る。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(発明の詳細な記述)
メソポーラス微粒子材料
適するメソポーラス材料は、有機および無機材料を含む。より具体的には、適するメソポーラス材料としては、メソポーラスケイ素、メソポーラスシリカ、メソポーラスケイ酸塩、メソポーラスデンプン、メソポーラス炭素、メソポーラスアルミナ、メソポーラスチタニア、メソポーラス炭酸塩が挙げられる。
【0019】
メソポーラス材料は、2から50nmの範囲の直径を有する細孔を含有し、微粒子は、直径が約1から1000μmの粒子である。
【0020】
本発明では、粒子の平均粒度(d50/μm)を含む、粒度分布測定値を、Malvern InstrumentsのMalvern Particle Size Analyzer、Model Mastersizerを使用して測定する。水溶液に懸濁させたケイ素粒子が入っている透明セルを通してヘリウム−ネオンガス・レーザービームが投射される。粒子に衝突する光線は、この粒度に逆比例する角度にわたって散乱される。光検出器アレイが、幾つかの所定の角度の光での量を測定する。その後、サンプルおよび水系分散媒の屈折率によって定義されるような理論粒子から予測される散乱パターンと対照して、測定光束値に比例する電気信号をマイクロコンピュータシステムにより処理して、ケイ素の粒度分布を決定する。
【0021】
平均孔径は、公知の技術を用いて測定する。メソ細孔径は、超高分解能電子顕微鏡法によって測定する。この技術および他の適する技術(ガス吸着脱着分析、小角X線散乱、NMR分光法またはサーモポロメトリを含む。)は、R.Herinoにより「Properties of Porous Silicon」、chapter2.2、1997に記載されている。
【0022】
前記メソポーラス材料は、10m/gから700m/g、例えば100m/gから400m/gのBET表面積を有し得る。BET表面積は、Brunauer et al.,J.Am.Chem.Soc.,60,p309,1938に記載されているようなBET窒素吸着法によって決定される。BET測定は、ジョージア州30093、NorcrossのMicrometritics Instrument Corporationから入手できるAccelerated Surface Area and Porosimetry Analyser(ASAP 2400)を使用して行う。測定前にサンプルを真空下、350℃で、2分間、ガス抜きする。
【0023】
前記材料における細孔の表面積およびサイズは、このメソポーラス材料を何の用途に用いることとなるのかに、ある程度依存し得る。例えば、メソポーラス材料のBET表面積は、好ましくは、微生物捕捉のためには0.1m/gを超え、および好ましくは、腸液での生体分解性のためには100m/gより大きい。
【0024】
微粒子を作製する方法は、当分野において周知である。これらとして、化学もしくは気相合成法、または電気化学的エッチングもしくは粉砕(例えば、Kerkar et al.J.Am.Ceram.Soc.,vol.73,pages 2879−2885,1990に記載されているような微粉砕)が挙げられる。
【0025】
本明細書において用いる場合、別様に述べていない限り、用語「ケイ素」は、固体ケイ素元素を指す。疑いを避けるために、および別様に述べていない限り、これは、ケイ素含有化合物、例えばシリカ、ケイ酸塩またはシリコーンを含まないが、これらの材料と併用されることがある。
【0026】
ケイ素の純度は、このメソポーラスケイ素の最終用途に、ある程度、依存し得る。例えば、ケイ素は、約95から99.99999%の純度、例えば約96から99.9%の純度であり得る。食料品をはじめとする、ある範囲の用途での使用に適する、いわゆる金属ケイ素は、約98から99.5%の純度を有する。化粧品配合物に関して、金属級ケイ素は、皮膚過敏症に関しての問題を引き起こすことが知られているすべての金属(例えば、ニッケル)について非常に低い含有量を有する。また、毛髪用組成物に関しては、頭皮刺激を引き起こすことがある特定の金属をいずれも最小限にすることができ、これらの金属としては、ニッケル、銅および銀が挙げられる。例えば、存在し得るいずれのニッケルも、好ましくは100ppmを超えない。
【0027】
本発明による使用に適するケイ素の物理的形態は、非晶質ケイ素、単結晶ケイ素および多結晶ケイ素(ナノ結晶ケイ素を含む(この結晶粒度は、一般に1から100nmであると考えられる。)およびこれらの組み合わせを含む。)のうちの1つ以上から選択することができ、または含むことができる。任意の上述のタイプのケイ素を多孔化してメソポーラスケイ素を形成することができる。
【0028】
ケイ素微粒子などのケイ素粉末を作製するための方法は、当分野において周知である。ケイ素粉末を作製するための方法は、多くの場合、「ボトム・アップ」法と呼ばれ、この方法は、例えば、化学合成または気相合成を含む。または、いわゆる「トップ・ダウン」法は、電気化学的エッチングもしくは粉砕のような公知の方法(例えば、Kerkar et al.,J.Am.Ceram.Soc.,vol.73,pages 2879−2885,1990に記載されているような微粉砕)を指す。PCT/GB02/03493およびPCT/GB01/03633(これらの内容は、これら全体が参照により本明細書に組み込まれる。)には、ケイ素の粒子を作製するための方法が記載されており、前記方法は、本発明において使用するためのケイ素の作製に適している。このような方法は、遠心分離法にケイ素を付すこと、または磨砕法を含む。
【0029】
本発明において使用するためのメソポーラスケイ素は、誘導体化されることがある。誘導体化多孔質ケイ素は、この表面の少なくとも一部に共有結合単層を有する多孔質ケイ素である。前記単層は、この多孔質ケイ素の表面の少なくとも一部にヒドロシリル化によって結合されている1つ以上の有機基を一般に含む。誘導体化多孔質ケイ素は、PCT/GB00/01450に記載されており、この内容は、これら全体が参照により本明細書に組み込まれる。PCT/GB00/01450には、ルイス酸の存在下でのヒドロシリル化などの方法を用いる、ケイ素の表面の誘導体化が記載されている。この事例では、誘導体化を行ってこの表面でのケイ素原子の酸化を阻止し、これでケイ素を安定させる。誘導体化多孔質ケイ素を調製する方法は、当業者に公知であり、例えば、J.H.SongおよびM.J.SailorによりInorg.Chem.1999,vol 21,No.1−3,pp 69−84(Chemical Modification of Cystalline Porous Silicon Surfaces)に記載されている。ケイ素の誘導体化は、ケイ素の疎水性を増し、それによってこの湿潤性を低下させることが求められるとき、望ましい可能性がある。好ましい誘導体化表面が1つ以上のアルキン基で修飾される。例えば、Phys Stat.Solidi(a),182,pp123−126,(2000)におけるJ.Salonenらによる「Studies of thermally carbonized porous silicon surfaces」に、およびCurr.Appl.Phys.3,pp185−189(2003)におけるS.T.Lakshmikumarらによる「Stabilisation of porous silicon surface by low temperature photoassisted reaction with acetylene」に記載されているように、アセチルガスでの処理からアルキン誘導体化ケイ素を誘導することができる。G.MatteiおよびV.ValentiniによりJournal American Chemical Society vol 125,p9608(2003)に、およびValentiniらによりPhysica Status Solidi(c)4(6)p2044−2048(2007)に記載されている技術を用いて、メソポーラスケイ素をHF系電解質中でのこの形成中に誘導体化することができる。
【0030】
本発明での使用に適する様々な形態のケイ素を作製するための方法を以下に記載する。記載する方法は、当分野において周知である。
【0031】
PCT/GB96/01863(この内容は、これら全体が参照により本明細書に組み込まれる。)には、フッ化水素酸系溶液への部分的電気化学的溶解によりバルク結晶質ケイ素を多孔質にさせることができる方法が記載されている。このエッチングプロセスは、原バルク材料の結晶性および結晶方位を維持するケイ素構造を生じさせる。従って、形成される多孔質ケイ素は、結晶ケイ素の形態である。概して、前記方法は、例えば、エタノール、メタノールまたはイソプロピルアルコール(IPA)などのアルコール中のフッ化水素酸の20%溶液を含む電解質を含有する電気化学的セルにおける高濃度ホウ素ドープCZケイ素ウエハの、陽性酸化を含む。約50mAcm−2の密度を有する陽性酸化電流を通すと、多孔質ケイ素層が生成され、これを、短期間、電流密度を上昇させることによりこのウエハから分離することができる。この電流密度上昇の効果は、多孔質領域とバルク結晶領域の界面のケイ素の溶解である。多孔質ケイ素を作製するためのもう1つの従来の方法である、いわゆるステイン−エッチング技術を用いて、多孔質ケイ素を作製することもできる。この方法は、強い酸化剤を含有するフッ化水素酸溶液へのケイ素サンプルの浸漬を含む。ケイ素との電気的接触は行わず、電荷をかけない。フッ化水素酸がケイ素の表面をエッチングして細孔を生じさせる。
【0032】
メソポーラスケイ素は、Current Opinions in Solid State & Materials Science 9,73(2005)においてK.Kolasinskiにより総説されているような、いわゆる「無電解電気化学的エッチング技術」によって、様々な無孔質ケイ素粉末から生成することができる。これらの技術は、「ステイン−エッチング」、「ガルバニックエッチング」、「熱水エッチング」および「化学的気相エッチング」技術を含む。ステインエッチングは、フッ化物と酸化剤とを含有する溶液から生じる。ガルバニックまたは金属支援エッチングでは、白金などの金属粒子も伴う。熱水エッチングでは、密閉容器内でエッチング溶液の温度および圧力を上昇させる。化学的気相エッチングでは、溶液これ自体ではなく、このような溶液の蒸気が、ケイ素と接触している。フッ化水素酸でのエッチングを伴わない技術によって、メソポーラスケイ素を作製することができる。このような技術の一例は、Z.BaoらによりNature vol.446 8th March 2007 p172−175に、およびE.RichmanらによりNano Letters vol.8(9)p3075−3079(2008)に記載されているような、様々な形態の多孔質シリカの化学的還元である。この還元プロセスが、完全に進行しないと、このメソポーラスケイ素はシリカの様々な残量を含有する。
【0033】
この形成後、メソポーラスケイ素を乾燥させることができる。例えば、CanhamによりNature,vol.368,(1994),pp133−135に記載されているように、これを超臨界乾燥させることができる。または、メソポーラスケイ素を凍結乾燥させることができ、もしくはBelletおよびCanhamによりAdv.Mater,10,pp487−490,1998に記載されているように水より表面張力が低い液体、例えばエタノールまたはペンタンを使用して空気乾燥させることができる。
【0034】
水素化ケイ素表面は、例えば、フッ化水素酸系溶液を使用するステインエッチングまたは陽極酸化法によって生成することができる。例えばHF系溶液中での電気化学的エッチングによって、ケイ素を調製するとき、メソポーラスケイ素の表面を、例えば、組成物中のこのメソポーラスケイ素の安定性を向上させるように、適切に改質してよく、またはしなくてもよい。詳細には、アルカリ条件下でケイ素をより安定させるように、メソポーラスケイ素の表面を改質することができる。メソポーラスケイ素の表面は、外表面、および/またはこのメソポーラスケイ素の細孔によって構成される内表面を含んでもよい。
【0035】
一定の状況では、ステインエッチング技術により、メソポーラスケイ素表面を部分的に酸化させることができる。従って、メソポーラスケイ素の表面を改質して、水素化ケイ素表面;酸化ケイ素表面(一般に、このメソポーラスケイ素は、部分的に酸化されていると述べることができる。);またはSi−O−C結合および/もしくはSi−C結合を有し得る誘導体化表面を生じさせることができる。水素化ケイ素表面は、メソポーラスケイ素をHFに暴露することによって生じさせることができる。
【0036】
酸化ケイ素表面は、例えばProperties of Porous Silicon(L.T.Canham編,IEE 1997)のChapter 5.3に記載されているように、ケイ素を化学的酸化、光化学的酸化または熱酸化に付すことによって生じさせることができる。PCT/GB02/03731(この内容すべてが参照により本明細書に組み込まれる。)には、メソポーラスケイ素のサンプルが多少のケイ素元素を保持するような仕方でメソポーラスケイ素を部分酸化できる方法が記載されている。例えば、PCT/GB02/03731には、HFの20%エタノール溶液中での陽極酸化後に、陽極酸化されたサンプルを500℃の空気中での熱処理により部分的に酸化させて、部分的に酸化されたメソポーラスケイ素サンプルを生じさせる方法が記載されている。
【0037】
メソポーラスケイ素元素の表面は、1つ以上のケイ素化合物を含むことがある。例えば、メソポーラスケイ素表面の少なくとも一部は、酸素に結合して酸化層を形成したケイ素を含むことがある。前記ケイ素粒子は、酸素のほぼ1層の単層と、ケイ素骨格全体に及ぶ約4.5nm以下の全酸化物厚との間に対応する酸化物含有量を有し得る。メソポーラスケイ素は、約0.04と2.0の間、および好ましくは0.60と1.5の間の、酸素原子対ケイ素原子比を有し得る。酸化は、細孔内で発生する場合があり、および/またはケイ素の外表面で発生することがある。
【0038】
適する他のメソポーラス材料としては、J.Controlled Release 110,522(2006)に記載されているようなメソポーラスケイ酸塩(または生体活性ガラス);米国特許第6,749,825号に記載されているようなメソポーラス炭酸塩;European J.Pharma.Sciences 26,87(2005)およびMaterials Lett.19,217(1994)に記載されているようなメソポーラスシリカゲル;Green Chemistry 9,992(2007)に記載されているようなメソポーラスデンプン誘導体;Chem.Commun.1986−1987(2005)に記載されているようなメソポーラスアルミナ;Angewandte Chemie 7,(20)3696(2008)に総説されているようなメソポーラス炭素材料;Mater.Lett 59,3308(2005)に記載されているようなメソポーラスチタニアが挙げられる。これらの参考文献の内容は、これら全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0039】
充填成分
前記微粒子材料は、1つ以上の成分が該材料の細孔内に存在するように、充填される。充填成分を、捕捉されていると言うことがある。
【0040】
一般に、充填される1つ以上の成分は、次のうちの1つ以上から選択することができる:食品成分(疎水性であるもの、または人もしくは動物の胃の酸性条件によって分解されるものを含む。)、栄養剤、ヘアケア成分(感光性であるもの、ならびに/またはこの効力が頭皮および/もしくは毛包での保持増進の恩恵を受けるものを含む。)、化粧品成分(この配合物中の他の成分からの分離を必要とするものを含む。)、口腔ケア成分(この効力が口腔内での保持増進の恩恵を受けるものを含む。)。
【0041】
充填すべき成分とメソポーラス材料を適する溶剤に溶解または懸濁させてもよく、およびその結果として生じた溶液中で適する期間、メソポーラス粒子をインキュベートしてもよい。水性スリップと非水性スリップの両方を磨砕ケイ素粉末から製造することができ、ケイ素懸濁液の加工および特性は、Sacksにより研究され、Ceram.Eng.Sci.Proc.,6,1985,pp1109−1123に報告されており、およびKerkarにより研究され、J.Am.Chem.Soc.73,1990,pp2879−85に報告されている。溶剤の除去は、結果として、この成分を毛管現象によりメソポーラス材料の細孔に入り込ませることとなり、溶剤除去後、この成分は細孔内に存在することとなる。少なくともメソポーラスケイ素に関連して使用するために、好ましい溶剤は、水、エタノール、およびイソプロピルアルコール、凍結乾燥に適用できるGRAS溶剤および揮発性液体である。
【0042】
一般に、前記1つ以上の成分は、充填メソポーラス微粒子材料に対して、0.01から90重量%、例えば1から40重量%、例えば20から50重量%(必要に応じて、多孔度約70%との組み合わせで)および例えば2から10重量%の範囲で存在する。
【0043】
より高い充填レベル、例えば、メソポーラス材料の充填済重量に基づき充填成分少なくとも約15重量%を、高温で含浸を行うことによって達成することができる。例えば、充填される成分の融点以上である温度で充填を行うことができる。総充填量の定量は、重量分析、EDX(X線によるエネルギー分散型分析)、フーリエ変換赤外(FTIR)、ラマン分光法、UV分光光度法、滴定分析、HPLCまたは質量分析をはじめとする多数の公知分析法によって適便に果たすことができる。必要な場合には、空間分解が可能である技術、例えば断面EDX、オージェ深さ方向分析、マイクロラマンおよびマイクロFTIRによって、充填の均一性の定量を果たすことができる。
【0044】
充填レベルは、充填中に吸収された成分の容積(吸収された成分の、この密度で割った質量に相当する。)を、充填前のこのメソポーラス材料(例えば、ケイ素)の空隙容積で割り、これに100をかけることによって決定することができる。
【0045】
キャッピング層
キャッピング層は、メソポーラス微粒子材料をカプセル化するために役立つ。メソポーラス材料をカプセル化する場合、細孔の開口部を封止する。一般に、粒子全体、または粒子の実質的にすべてをキャッピング層で被覆し、本明細書ではこのキャッピング層をビードと呼ぶことがある。キャッピング層は、メソポーラス材料の表面の細孔の開口部を少なくとも封止し、このようにして少なくとも1つの充填成分を確実に保持する。キャッピング層、即ちビードは、1個より多くのメソポーラス微粒子材料をカプセル化することができる。キャッピング層の厚さは、約0.1から50μmの厚さ、例えば、約1から10μm、例えば約1から5μmであり得る。キャッピング層は、数か月から何か月もの、例えば5年までの期間にわたる成分の保持を生じさせ、その後、人または動物の体内または体表で発生し得る部位特異的分解により放出が誘発される。前記キャッピング層は、有機キャッピング層である場合もあり、または無機キャッピング層である場合もある。カプセル化粒子は、有機材料でキャッピングされた無機粒子、または無機材料でキャッピングされた有機粒子から本質的になることがある。または、カプセル化粒子は、有機材料でキャッピングされた有機粒子、または無機材料でキャッピングされた無機粒子から本質的になる場合がある。
【0046】
キャッピング層の厚さは、キャッピングされた多数の粒子を機械的に破砕すること、および化学組成のエネルギー分散型X線分析(EDX分析)が備わっている高分解能走査型電子顕微鏡でこれらの断面画像を検査することにより、測定される。または、キャッピング前および後の粒度分布を正確に測定すれば、マイクロメートル厚層キャプの平均厚を推定することができる。比較的狭い粒度分布および均一な被覆については、キャッピング層の密度が正確にわからなかったとしても、キャッピングに伴う重量増加の正確な重量測定によって平均キャップ厚を得ることもできる。
【0047】
有利には、キャッピング層は、充填成分中に存在する材料を含み得る、からなり得る、またはから本質的になり得る。例えば、充填済メソポーラス材料が、歯磨剤組成物、例えば練り歯磨きにおいて使用するためのものであるときには、キャッピング層は、二酸化チタン、カラゲナン、キサンタンガム、セルロースガム、トコフェロールのうちの1つ以上を含むことがある。同様に、充填済メソポーラス材料が、チョコレートでの使用を意図されたものであるときには、キャッピング層は、カカオ脂、植物性脂肪、乳脂肪、レシチンのうちの1つ以上を含むことがある。さらなる例証として、充填済メソポーラス材料が、シャンプーでの使用を意図されたものであるときには、キャッピング層は、オレイン酸グリセリル、種子油、シクロペンタシロキサン、パラフィンのうちの1つ以上を含むことがある。好ましくは、キャッピング層は、食品および栄養剤配合物についてGRASステータスを有する。キャッピング層の機能および充填成分の機能を同じ材料がもたらすこともある。
【0048】
キャッピング層は、1つまたは1つより多くの異なる層を含むことがある。例えば、キャッピング層は、親水性層および疎水性層を含むことがある。異なる材料の異なる層が存在する場合には、これらの層のうちの一方は、他方の上にあり得る。
【0049】
消費者ケア配合物に関連した特定の用途のものであるキャッピング層を、以下のもののうちの1つ以上から選択することができる:炭水化物、ゴム、脂質、タンパク質、セルロース、ポリマー、エラストマー、無機材料。
【0050】
炭水化物の適する例としては、デンプン、デキストラン、スクロース、トウモロコシ、シロップが挙げられる。ゴムの適する例としては、カラゲナン、アルギナート、例えばアルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、キトサン、寒天が挙げられる。脂質の適する例としては、脂肪、硬化油、パラフィン、ステアリン酸、蝋、ジグリセリド、モノグリセリドが挙げられる。タンパク質の適する例としては、アルブミン、カゼイン、グルテン、ゼラチンが挙げられる。セルロースの適する例としては、カルボキシメチルセルロース、アセチルセルロース、メチルセルロースが挙げられる。ポリマーの適する例としては、合成ポリマー、例えばポリアクリラート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ尿素が挙げられる。エラストマーの適する例としては、アクリロニトリル、ポリブタジエンが挙げられる。無機材料の適する例としては、硫酸カルシウム、ケイ酸塩、クレー、ケイ素、二酸化ケイ素、リン酸カルシウムが挙げられる。キャッピング層は、ケイ素元素、例えば、非晶質ケイ素被膜またはケイ素ナノ粒子の不連続層の形態でのものを含む、からなる、またはから本質的になることがある。
【0051】
メソポーラス材料をキャッピングするために適する方法としては、噴霧乾燥、流動層被覆、パンコーティング、改良型マイクロエマルジョン技術、溶融押出、スプレーチリング、複合コアセルベーション、蒸着、溶液沈殿、乳化、超臨界流体技術、物理スパッタリング、レーザアブレーション、超低温焼結および加熱蒸散が挙げられる。
【0052】
噴霧乾燥技術、特に食品産業におけるものは、通常、水性供給原料配合から行われ、この場合、キャッピング層は、許容されるレベルの水溶性でなければならない。典型的な材料としては、アラビアゴム、マルトデキストリン、疎水変性デンプンおよびこれらの混合物が挙げられる。他の多糖類、例えばアルギナート、カルボキシメチルセルロース、グアーガムおよびタンパク質、例えば乳清タンパク質、大豆タンパク質、カゼインナトリウムも適する。ポリマー混合物の混合の低いエンタルピーに起因する共通溶剤中の可溶性ポリマーの混合物の相分離の結果として得ることができる水性二相系(ATP)を使用して、単一噴霧乾燥段階で二重カプセル化成分を設計することができる。
【0053】
スプレーチリングまたは噴霧冷却は、一般に、最も安価なカプセル化技術の1つと考えられる。この技術は、マトリックスカプセル化と呼ばれることもある。これは、有機および無機材料、ならびに組織構造成分、酵素、香味料、および熱安定性を向上させるための他の成分のカプセル化に特に適する。マトリックスカプセル化により、充填成分の一部をキャッピング層に組み込むことができる。
【0054】
押出は、揮発性のおよび不安定な香味料のカプセル化に適する。このプロセスは、通常は酸化を受けやすい香味料化合物、例えば柑橘油に長い貯蔵寿命をもたらすのに適する。
【0055】
コアセルベーションは、高レベルの充填成分の使用に関連して特に有用であり、一般に、香味油、魚油、栄養剤、ビタミン、保存薬、酵素のカプセル化に用いられる。コアセルベーションは、溶液からの1つまたは多くの親水コロイドの相分離、および同じ反応媒質に懸濁または乳化しているメソポーラス材料の周囲へのこの新たに形成されたコアセルベート相のその後の沈着を必要とする。その後、必要な場合には適切な化学的または酵素的架橋剤を使用して親水コロイド外皮を架橋させることができる。
【0056】
キャッピング層が、ケイ素元素を含むとき、物理スパッタリングによって非晶質ケイ素被膜を堆積させることができ、この非晶質ケイ素被膜は、500nmから5μmの厚さを有し得る。好ましくは、溶解に基づく技術によりケイ素ナノ粒子をケイ素微粒子に結合させる。ケイ素ナノ粒子は、前記微粒子のメソ細孔粒度分布のものに匹敵する粒度分布を一般に有する。
【0057】
充填成分の放出を誘発することができる様々なメカニズムがある。これらを下の(a)から(f)に示す。
【0058】
(a)生体分解
所期の使用部位に存在する酵素または細菌によって、キャッピング層を分解することができる(能動的放出)。一例は、口腔衛生製品用の唾液アミラーゼにより分解されるデンプンである。
【0059】
(b)機械的
所期の使用部位での機械力、例えば、化粧品塗布時の摩擦力、または歯を磨くもしくは食物を噛むときに発揮される、より激しい力によって、キャッピング層を分解することができる。
【0060】
(c)熱的
体温(37℃)もしくはホット飲料の場合の沸かしたての水(70−90℃)への暴露またはヘアドライヤーの適用などの、突然の温度上昇によって、キャッピング層を分解することができる。
【0061】
(d)光照射
日光へのまたは市販日焼け器具からのUVへの暴露によって、キャッピング層を分解することができる。
【0062】
(e)マイクロ波照射
市販の電子レンジからの放射線によって、キャッピング層を分解することができる。
【0063】
(f)化学的環境
化学的環境の変化、例えば、酸性からアルカリ性へのまたはアルカリ性から酸性へのpH変化によって、キャッピング層を分解することができる。特に、前記変化は、消化に随伴する変化、ならびに腸液のpHおよび組成が分解を促進する場合の変化である。
【0064】
組成物
充填されマイクロカプセル化された材料は、消費者ケア組成物および食品組成物を含む、ある範囲の組成物における使用に適する。消費者ケア組成物としては、ヘアケア組成物、口腔衛生組成物、化粧品組成物が挙げられる。好ましくは、医薬組成物の使用を含まない。
【0065】
(1)食品
食品組成物において使用するための充填成分は、酸素に敏感な食用油;鉱油;酪農脂肪をはじめとする酸素に敏感な脂肪;油溶性成分;ビタミン;芳香剤またはアロマ;香味料;酵素;共生菌;プレバイオティクス;栄養機能食品;アミノ酸;ハーブ抽出物;ハーブ;植物抽出物;食用酸;塩;酸化防止剤;治療薬のうちの1つ以上から選択することができる。一般に、前記1つ以上の成分は、充填材料に対して、0.01から90重量%、例えば1から40重量%、例えば20から50重量%(必要に応じて、多孔度約70%との組み合わせで)および例えば2から10重量%の範囲で存在する。
【0066】
食品において使用するための適するメソポーラス微粒子材料としては、ケイ素、デンプン、シリカ、メソポーラス形態のGRAS成分が挙げられる。
【0067】
前記食品は、飲料の形態であることもあり、または非飲料の形態であることもある。本発明において使用するための適する食品は、次のもののうちの1つ以上を含むことがある:食用獣肉;家禽の肉;魚肉;野菜;果物;チョコレートおよび菓子類;穀物および焼いた製品(パン、ケーキ、ビスケット、栄養またはシリアルバーを含む。);ペストリー;パスタ;酪農製品、例えばミルク、クリーム、バター、マーガリン、卵、アイスクリーム、チーズ。前記食品は、次のもののうちのいずれかの形態であり得る:即席食;冷凍食品;チルド食品;乾燥食品;凍結乾燥食品;水を加えてもとに戻す食品(rehydrated food);スープ;ディップ;ソース。
【0068】
適する飲料は、アルコールおよびノンアルコール飲料を含む。適する飲み物の特定の例としては、水、例えば瓶詰めの水;茶;コーヒー;ココア;チョコレートドリンク;フルーツジュースおよびスムージー;ワイン;ビール;エール;ラガー;蒸留酒が挙げられる。前記飲料は、例えば、凍結乾燥されたものをはじめとする顆粒形態であることがあり、これらは、インスタントコーヒーおよびティーなどを作るために適している。従って、本発明は、インスタント飲料粉末および顆粒などの、飲料を作るために適する製品に及ぶ。これらとしては、コーヒー顆粒、コーヒー粉末、コーヒータブレット、茶、ココアパウダー、チョコレートパウダーが挙げられる。他の適する製品としては、コーヒー油および濃縮物、例えばフルーツジュース濃縮物が挙げられる。
【0069】
食品のpHは、好ましくは、メソポーラス材料が有意な期間にわたってこの食品に溶解しない、従って、満足のいく貯蔵寿命をもたらすこととなるようなpHである。例えば、メソポーラスケイ素については、食品のpHは、一般に2から6である。
【0070】
酸素に敏感な食用油
酸素に敏感な食用油は、多価不飽和脂肪酸を含み、これら自体としては、カノーラ油、ボラージ油、月見草油、紅花油、ヒマワリ油、カボチャ種子油、ローズマリー油、米ぬか油、亜麻仁(flaxseed)油、小麦胚芽油、ブドウ種子油、アマニ(linseed)油が挙げられる。これらの油の幾つかは、リノール酸、α−リノール酸、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸をもたらす。マリンオイル、例えば、マグロ、ニシン、サバ、サーディン、タラ肝臓およびサメなどの魚から得られるものも含む。
【0071】
ミネラルおよび微量元素
適するミネラルとしては、Ca、P、Mg、Na、Kを含むマクロミネラル;Fe、Zn、Cu、Se、Cr、I、Mn、Mo、Fを含むミクロミネラルが挙げられる。適する微量元素としては、Ni、V、B、Coが挙げられる。
【0072】
特定の金属粉末とケイ素粉末のブレンドおよび圧縮を用いて、可食マイクロ電池を作ることができる。摂取後、胃腸液が電解質としての役割を果たす。金属がケイ素より卑である場合には、結果として生じるガルバニックカップリングが、この金属の溶解を増加させ、その結果、バイオアベイラビリティーを増大させる。
【0073】
ビタミン
適するビタミンとしては、アスコルビン酸、βカロチン、ビオチン、コリン、葉酸、ナイアシン、パントテン酸(ビタミンB5)、フィロキノン(ビタミンK)、ピリドキシン(ビタミンB6)、リボフラビン(ビタミンB2)、チアミン(ビタミンB1)、ビタミンA、ビタミンB12、ビタミンD、ビタミンEおよびこれらの混合物が挙げられる。ビタミンおよびケイ素は、必要に応じて穏やかな熱の存在下で、典型的には40℃と200℃の範囲で、ビタミンをケイ素に含浸させることによって、併せることができる。
【0074】
芳香剤、アロマおよび香味料
適する芳香剤、アロマおよび香味料は、非毒性であり、食料品に適しており、ならびに当業者には容易にわかる。Bauer et al,「Common Fragrances & Flavours」,Wiley,1997,pp278参照。好ましい芳香剤、アロマおよび香味料は、FDAによる「一般に安全と認められる(Generally Recognised As Safe)」(GRAS)ものである。アルコール、アルデヒド、ケトン、エステルおよびラクトンは、天然および人工芳香剤において最もよく使用される化合物のクラスである。
【0075】
より具体的には、適する香味料(または香味付与剤)は、オールスパイス、バジル、トウガラシ、桂皮、チョウジ、クミン、イノンド、ニンニク、マヨラナ、ナツメグ、パプリカ、ブラックペッパー、ローズマリーおよびウコンに由来するスパイスオレオレジン;精油、例えば、アニス油、カラウェー油、チョウジ油、ユーカリ油、ウイキョウ油、ニンニク油、ショウキョウ油、ペパーミント油、オニオン油、コショウ油、ローズマリー油、スペアミント油;オレンジ油、レモン油、橙皮油およびタンジェリン油を含む、柑橘油;ニンニク、ニラ、シロウマサツキおよびタマネギを含む、ネギ臭香味料;植物抽出物、例えば、アルニカ花抽出物、カミツレ花抽出物、ホップ抽出物およびマリーゴールド抽出物;植物香味抽出物、例えば、キイチゴ、チコリ根、ココア、コーヒー、コーラ、カンゾウ根、ローズヒップ、サルサ根、サッサフラス樹皮、タマリンドおよびバニラ抽出物;タンパク質加水分解物、例えば、植物タンパク加水分解物(HVP)、食用獣肉タンパク質加水分解物、乳タンパク質加水分解物;S.Heath,Source Book of Flavours,Avi Publishing Co.,Westport,Conn.,1981,pp.149−277に開示されているものを含む天然および人工配合香味料のうちの1つ以上を含む。具体的な香味料化合物は、例えば、ベンズアルデヒド、ジアセチル(2,3−ブタンジオン)、バニリン、エチルバニリンおよびシトラール(3,7−ジメチル−2,6−オクタジエナール)である。前記香味付与剤は、油、水溶液、非水性溶液またはエマルジョンの形態である場合がある。香味料エッセンス、即ち、果物または柑橘類から採取される水溶性画分を利用することができ、および一般には、上で述べた成分より低いレベルで利用することができる。
【0076】
芳香油に関しては、約2から10nmの範囲の孔径を有するメソポーラスケイ素を使用して徐放を行うことができる。この小さな孔径が芳香揮発分の放出を抑制する。
【0077】
特に適する食品アロマ(または着香剤)としては、液体食品、特にインスタントスープおよび飲料、例えばコーヒーのための食品アロマが挙げられる。他の適する食品アロマとしては、デザート、例えばインスタントプリン、および冷凍食品、例えば冷凍ピッツァにおいて用いられるものが挙げられる。食品アロマは、消費前に消費者が熱水もしくはミルクで再構成するまたは加熱する必要がある食品における使用に適するものである場合もある。適する食品アロマとしては、次のものが挙げられる:チーズアロマ;ソリュブルコーヒー系ホット飲料用のアロマ、例えば、コーヒー、ヘーゼルナッツ、アマレット、チョコレート、クリームおよびバニラ;ソリュブルティー系ホット飲料用のアロマ、例えば、キイチゴ、クリームおよびバニラ;ホットココア系飲料用のアロマ、例えば、キイチゴ、アマレット、クリーム、チョコレートおよびバニラ;ホットスープ用のアロマ、例えばマッシュルーム、トマト、牛肉および鶏肉;飲料用のアロマ、例えばコーヒー、茶、サクランボ、ブドウおよびいちご;デザート製品用のアロマ、例えば、キイチゴ、チョコレート、バタースコッチ、サクランボ、ブドウ、イチゴ、バナナおよびバニラ;他の製品用のアロマ、例えば、クリーム、海産食物、食用獣肉、ニンニクおよびタマネギ。アロマ香味料は、1つ以上の他の構成要素、例えば、不揮発性食用脂肪もしくは油、界面活性剤、湿潤剤、発泡剤、超揮発性溶剤、噴射剤、溶解した可食固体、酸化防止剤またはアロマ前駆体も必要に応じて含むことがある、着香組成物の一部である場合がある。このような追加の構成要素の総量は、好ましくは、メソポーラス材料とアロマ構成要素の総重量に基づき、通常、約40重量%以下であろう。適する不揮発性食用脂肪または油としては、香味料源としてまたは香味料用溶剤として使用されるコーヒー油またはトリグリセリド油が挙げられる。着香組成物の液滴サイズおよび食品の表面へのこの展着度を制御するための展着剤または乳化剤として作用する界面活性剤も存在することがある。適する高揮発性溶剤、例えばアセトンおよびアセトアルデヒドを揮発性食品アロマの補助溶剤として使用し、このアロマ送達系の蒸散率を加減することができる。浮力を増すため、またはアロマ放出および蒸散を促進するために、溶解したもしくは捕捉された噴射ガス、例えば空気、窒素、二酸化炭素、亜酸化窒素、またはガス発生剤、例えばケミカルカーボネーション試薬を含めることがある。溶解した可食固体は、この組成物の粘度を上昇させる。着香担体の貯蔵寿命を増加させるために、酸化防止添加剤、例えばブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、t−ブチルヒドロキノン、ビタミンA、CおよびEならびに誘導体、ならびに様々な植物抽出物、例えば、酸化防止特性を有するカロチノイド、トコフェロールまたはフラボノイドを含有するものを含めることがある。保管中には反応しないが食品調理中に反応してアロマを生じさせるアロマ前駆体も着香組成物に含めることがある。
【0078】
乾燥食品組成物の生産は、望ましい食品アロマを失わせることが多い、高温などの加工条件を含むことが多い。このような喪失を克服する1つの公知の技術は、乾燥食料品および飲料への追加のアロマおよび香味料の添加である。このようなアロマおよび香味料は、通常複雑であり、多くの感覚刺激活性化合物を含み、これらの化合物が組み合わさってこの成分の特徴アロマを作る。アロマおよび香味料は、未希釈状態では極めて強力であり不安定であることが多いので、これらをより安定させ、より容易に取り扱えるようにするためにこれらを担体と併せる。担体は、好ましくは、感覚刺激的影響の点で中性または補足的であり、この製品の特徴アロマの一因とならない。液体系のための担体の望ましい特徴としては、無刺激性(blandness)、ならびに他の液体担体とのおよび液体アロマとの混和性が挙げられる。従来の担体としては、エタノール、プロピレングリコール、グリセロール、植物油、ベンジルアルコール、トリアセチン、トリプロピオニン、クエン酸トリエチル、およびトリブチリンが挙げられる。
【0079】
着香組成物のアロマ構成要素が、このアロマを特徴づける、即ち、他のアロマの中でまたは他のアロマに対してこのアロマにこの特別な特質を与える先天的素質を特徴づける。アロマ構成要素は、協力して特徴アロマを生じさせる多数のアロマ成分を含むことがあり、含むことが多い。乾燥食品または飲料においてこのような香味料およびアロマを再水和したときに調理品アロマが望まれるとき、このような組成物は、アロマ放出不良のため、有効性が限定される。固体担体を用いた場合、再水和中に粒子に再水和液が拡散することによりアロマの相互拡散が完全に抑制されるため、アロマの放出は不良である。このようにして、特徴アロマ構成要素の大多数が最終的に再水和液になる。担体への特徴アロマ構成要素の充填を増加させることによってアロマバーストを生じさせることができるが、このアロマバーストは、一般に、消費時に製品の圧倒的に強いまたはアンバランスな香味をもたらす。
【0080】
同様に、従来の液体担体を使用すると、これらがカプセル化されていようと、いまいと、不良なアロマ放出を生じる。水溶性であるものは、可溶性固体担体の場合と同じ問題を被る。担体への水の流入がアロマの拡散を完全に抑制する。さらに、多くの担体は、1.0g/ccより大きい密度を有するので、水和の間に製品中に沈み、アロマは、表面で放出されて調理品アロマをもたらすのではなく、再水和液に放出される。最後に、水に浮く不溶性である従来の担体は、油性または脂肪性のものである。これらを、この表面でアロマを放出するように調整することはできるが、この製品の表面に見苦しい、ならびに多くの場合、感覚刺激的におよび視覚的に望ましくない「スリック」を残す。
【0081】
植物源からの天然精油は、これらの固有の揮発性のため、一般に、強烈な香味があり、天然芳香性である。この特性のため、これらは、食品の製造において用いるための着香構成要素として理想的な選択肢になる。残念なことに、揮発性精油は、食品の製造に用いられるすべての食物源には存在しない。加えて、一部の食品中に自然に存在する精油は、多くの場合、加工食品でのこれらの経済的な使用を可能にするほど豊富でなくおよび容易に抽出されず、ならびに一部のものは食品使用に認可されていない。さらに、多くの加工食品は、これらの所期の用途のため、精油を含有し得る天然食物成分を用いて製造することができない。
【0082】
一般に、インスタント飲料粉末は、消費者にとって満足なものであるために不溶性浮遊または懸濁物または沈殿物を生じさせることなく水に迅速におよび完全に溶解しなければならないが、自然に存在する揮発油を含有する食品または食品由来成分は、多くの場合、完全水溶性ではない。これらの制限に応じて、一般に、天然または合成香味付与剤を使用して、このような食品に望ましい性質および個性を付与する。多くの場合、特に、経済的に香味を付与するとき、香味付与剤は、天然油、例えば、模造またはオレンジ香味のインスタント飲料に香味を付与するために用いられるカプセル化オレンジ油粉末を含有し得る。オレンジ油は、廃棄されるオレンジの皮から容易におよび経済的に圧搾される。
【0083】
本発明は、天然精油の使用、または食品の特性に悪影響を及ぼす量の他の成分、例えば植物油の使用を必ずしも必要とせずに、良好な食品調理アロマをもたらす。
【0084】
前記材料の多孔度は、該材料が飲料の表面に浮かび、それによって望ましい「カップの上」の位置でアロマを放出するような多孔度である。HFでエッチングされたメソポーラスケイ素もこの点で有用である−これを高多孔性およびマイクロメートルサイズにすることができるばかりでなく、これを疎水性にすることもできる。飲料の高い温度(例えば70から100℃)は、キャッピング層の熱分解による、室温でメソ細孔内に予め捕捉されている揮発性アロマの、いわゆるバースト放出を生じさせる。メソポーラス担体構造は、アロマ放出に必要とされる時間尺度で水溶性である必要はなく、従って、完全に多孔性である必要はない。
【0085】
本発明によるメソポーラス材料の使用は、次の特質のうちの1つ以上をもたらす:沈んでいない、浮いている粒子から、確実にアロマが放出されるように調整できる密度;非油性、それによる、飲み物の表面での望ましくない「スリック」の回避;疎水性およびナノスケールの多孔性。
【0086】
酵素
適する酵素は、カルボヒドラーゼ、ペクチン分解酵素、セルロース、プロテアーゼ、オキシダーゼ、およびリパーゼのクラスから選択される。例としては、アミラーゼ、ブロメライン、カタラーゼ、フィシン、グルコアミラーゼ、グルコースイソメラーゼ、グルコースオキシダーゼ、インベルターゼ、ラクターゼ、リパーゼ、パパイン、ペプシン、プルラナーゼおよびレンネットが挙げられる。
【0087】
プレバイオティクス
プレバイオティックは、プロバイオティクスの成長を支援する、および/またはプロバイオティクスに栄養を与える、天然または合成物質である。より具体的には、プレバイオティックは、腸内の1つのまたは限られた数の細菌の成長および/または活性を選択的に刺激することにより宿主に有益な影響を及ぼす消化不能食品成分である。これらは、一般に、比較的短い長さの炭水化物である。例は、イヌリンタイプのフルクタン、例えば、ラクツロースおよびイヌリンである。
【0088】
栄養機能食品
栄養機能成分は、疾病の予防および治療を含めて、医学的恩恵または健康上の恩恵をもたらす。一般に、栄養機能食品は、特定の健康上の恩恵を消費者にもたらすことに特に適している。本発明において使用するための適する栄養機能食品は、アロエ・ベラ(Aloe Vera)(アロエ・フェロックス(Aloe ferox)、A.バーバデンシス(A.barbadensis))、アーティチョーク(Artichoke)、朝鮮人参(Asian Ginseng)(パナクス・ジンセン(Panax ginseng))、レンゲ属(Astragalus)、ミツバチ花粉(Bee Pollen)、コケモモ(Bilberry)(バクシニウム・ミルティルス(Vacciniumu myrtillus)、ブラック・コホッシュ(Black Cohosh)、カプサイシン−カイエン(Capsicum−Cayenne)、トウガラシ(Hot Pepper)(カプサイシン種)、カスカラ・サグラダ(Cascara Sagrada)(ラムナス・プルシアナ(Rhamnus purshiana))、キャッツ・クロウ(Cat’s Claw)(ウンカリア・トメントーサ(Uncaria tomentosa))、カミツレ(Chamomile)(マトリカリア・レクチナ(Matricaria recutita))、トウキ(Donq Quai)、クランベリー(Cranberry)、タンポポ(Dandelion)(タラキサカム・オフィシナーレ(Taraxacum officinale))(アンジェリカ・シネンシス(Angelica sinensis))、エキナセア(Echinacea)(エキナセア・プルプレア(Echinacea purpurea)および関連種)、月見草油(Evening Primrose Oil)(オエノセラ・ビエンニス(Oenothera biennis))、ナツシロギク(Feverfew)(タナセツム・パーセニウム(Tanacetum parthenium))、フラクトオリゴ糖、ニンニク(Garlic)(アリウム・サチブム(Allium sativum))、ショウキョウ(Ginger)(ジンジャー・オフィシナーレ(Zingiber officinale))、イチョウ(Ginkgo)(ギンコウ・ビロバ(Ginkgo biloba))、ニンジン(Ginseng)、グルカラート、グルコサミン、ゴールデンシール(Goldenseal)(ヒドラスチス・カナデンシス(Hdrastis canadensis))、ゴツコラ(Gotu Kola)(センテラ・アジアチカ(Centella Asiatica))、ブドウ種子抽出物、緑茶、ガラナ(Guarana)(パウリナ・キュパナ(Paullinacupana))、サンザシ(Hawthorne)(グラタエグス・オキシアカンタ(Grataegus oxyacantha))、イノシトール、イヌリン、イソフラボン、カワカワ(Kava Kava)(ピパー・メシスティカム(Piper methysticum))、L−カルニチン、レシチン、カンゾウ(Licorice)(グリクリルヒザ・グラブラ(Glycryrrhiza glabra)およびG.ウラレンシス(G.uralensis))、リコピン、ミルクティスル(Milk Thistle)(シリブム・マリアナム(Silybum marianum))、調整柑橘皮(Mod.Citrus Peel)、イラクサ(Nettles)、オリゴフルクトース、オメガ−3s、トウケイソウ(Passiflora)、パッションフラワー(Passion Flower)(パッシフローラ・インカルナタ(Passiflora incarnata))、パウダルド(Pau d’Arco)(タベブイア・インペティギノーサ(Tabebuia impetiginosa))、ペパーミント(Peppermint)(セイヨウハッカ(Mentha piperita))、リン脂質、ポリフェノール、オオバコ(Psyllium)(プランタゴ・オバタ(Plantago ovata)およびP.メジャー(P.Major))、ピクノゲノール、ケルセチンD−リモネン(Queroetin D−llmonene)、レイシ(Reishi)、リボ核酸、ロイヤルゼリー、セント・ジョーンズ・ワート(St.John’s Wort)(ハイパーカム・パーフォラツム(Hypericum perforatum))、ノコギリヤシ(Saw Palmetto)(セレノア・レペンス(Serenoa repens);サバル・セルラータ(Sabal serrulata))、シサンドラ(Schisandra)、大豆イソフラボン、ターメリック・バレリアン(Tumeric Valerian)(バレリアナ・オフィシナリス(Valeriana officinalis))、およびこれらの混合物から選択することができる。
【0089】
アミノ酸
適するアミノ酸は、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、アスパラギン、カルニチン、システイン、シスチン、グルタミン酸、グルタミン、グルタチオン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、オルニチン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、タウリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリンおよびこれらの混合物から選択することができる。
【0090】
植物抽出物およびハーブ
適する植物抽出物は、1つ以上の植物ステロールを含み、これらは、β−シトステロール、カンペステロール、スチグマステロールを含む。適する植物ステロールとしては、シトスタノール、オクタコサノール、ポリコサノールが挙げられる。
【0091】
適するハーブとしては、オニグルミ、ゴボウ、カミツレ、ヒレハリソウ、エキナセア(Echinacea)、ユーカリ、サンザシ、ヒソップソウ、イチョウ、ヒソップソウ、セイヨウヤマハッカ、ミルクティスル、モウズイカ、ペパーミント、オオバコ、セージ、ノコギリヤシ、ヒメスイバ、アカニレ、セント・ジョーンズ・ワート、タイム、トルコダイオウ、カノコソウ、ビテックスが挙げられる。
【0092】
医薬目的での使用に適するハーブは、M.PoluninおよびC.RobbinsによるThe Natural Pharmacy(Dorling Kindersley 1999),144ppに記載されている。詳細には、30−131頁に適するハーブが列挙されている。適する調理用ハーブは、B.DavisによるFood Commodities,2nd Edition pp 158−163(Butterworth Heinemann 1994)に記載されている。
【0093】
食用酸
本発明において使用するための適する食用酸は、クエン酸、アスコルビン酸、マロン酸、酢酸、酒石酸、ソルビン酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸、コハク酸およびニコチン酸から選択することができる。
【0094】
酸化防止剤
本発明での使用に適する酸化防止剤は、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、乳酸ナトリウム、乳酸カルシウム、リンゴ酸カルシウムおよびクエン酸アンモニウムから選択することができる。
【0095】
食品調理
メソポーラス材料を食品に添合するための方法は、非常に多い。本発明において使用するための適する混合器具は多岐にわたり、これらとしては、例えば、スクリューミキサー、リボンミキサーおよびパンミキサーが挙げられる。他の例としては、液体食品または飲料用の高速プロペラまたはパドルミキサー;乾燥粉末用のタンブルミキサー;ドウおよびペースト用のZ−ブレードミキサーが挙げられる。適する磨砕機としては、ハンマー、ディスク、ピンおよびボールミル機が挙げられる。押出は、食料品を混合し、食料品に形を与えるための重要な超ハイスループット(約300−9000kg/時)技術であり、本発明における使用に適する。冷間および熱間押出機を使用することができる。これらは、一軸スクリューである場合もあり、または二軸スクリューである場合もある。押出される食品としては、穀物、パスタ、ソーセージ、砂糖またはタンパク質系製品が挙げられる。
【0096】
充填レベルは、充填中に吸収された成分の容積(吸収された成分の、この密度で割った質量に相当する。)を、充填前のこのメソポーラス材料(例えば、ケイ素)の空隙容積で割り、これに100をかけることによって決定することができる。
【0097】
本発明による組成物の重量に基づく、食品中に存在するメソポーラス材料の総量は、約0.01から50重量%、例えば約0.01から20重量%および例えば約0.1から5重量%であり得る。
【0098】
本発明による食品組成物の実施形態としては、カカオ脂の5から10μm層で被覆された、嵩高剤および/または強力甘味料が充填された、d50=20μmのメソポーラスケイ素微粒子を含むチョコレート配合物;リコピンが充填され、5から10μm厚のアルギナートの層で被覆された、d50=60μmのメソポーラスケイ素微粒子を含むシリアルバーが挙げられる。
【0099】
(2)口腔衛生組成物
前記メソポーラス材料を、口腔衛生組成物、例えばマウスウォッシュまたは歯磨剤組成物、例えば練り歯磨き、歯磨き粉、ロゼンジもしくは口腔用ゲルにおいて用いることができる。これは、1つ以上の成分の送達に加えて、研磨剤として存在することがある。前記歯磨剤組成物は、通常の当業者に周知の構成要素を含む;これらの構成要素を、おおまかに、活性および不活性物質として特徴づけることができる。活性物質としては、齲歯予防薬、例えばフッ化物、抗菌剤、脱感作剤、抗歯石(antitartar)剤(または抗歯石(anticalculus)剤)、およびホワイトニング剤が挙げられる。不活性成分は、一般に、水(水相の形成を可能にするために)、洗剤、界面活性剤または発泡剤、増粘またはゲル化剤、結合剤、効力強化剤、湿分を保持するための保湿剤、香味付与、甘味および着色剤、保存薬、ならびに、必要に応じてさらに、清掃および磨きのための研磨剤を含むと考えられる。口腔用ゲルは、多段階ホワイトニングシステムでの使用に適するタイプのものであり得る。
【0100】
練り歯磨きにおいて使用するための適するメソポーラス微粒子材料としては、ケイ素およびシリカが挙げられる。
【0101】
水相
歯磨剤組成物は、保湿剤を含む水相を一般に含む。水は、約1から約90重量%、好ましくは約10から約60重量%の量で存在し得る。好ましくは、水は、脱イオン水であり、有機系不純物不含である。歯磨剤組成物において使用するための公知の保湿剤のいずれを使用してもよい。適する例としては、ソルビトール、グリセリン、キシリトール、プロピレングリコールが挙げられる。保湿剤は、概して、歯磨剤組成物の約5から85重量%の量で存在する。
【0102】
齲歯予防薬
本発明による歯磨剤組成物は、齲歯予防薬、例えばフッ化物イオン源を含むことがある。フッ化物イオン源は、約25ppmから5000ppm、例えば約525から1450ppmのフッ化物イオンを供給するために十分でなければならない。齲歯予防薬の適する例としては、1つ以上の無機塩、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フルオロケイ酸アンモニウム、フルオロケイ酸ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウムをはじめとする可溶性アルカリ金属塩、およびフッ化第一スズなどのフッ化スズが挙げられる。
【0103】
抗歯石剤
公知抗歯石剤のいずれを本発明による歯磨剤組成物において使用してもよい。抗歯石剤の適する例としては、ピロリン酸塩、例えばジアルカリおよびテトラアルカリ金属ピロリン酸塩、長鎖ポリリン酸塩、例えばヘキサメタリン酸ナトリウム、および環状リン酸塩、例えばトリメタリン酸ナトリウムが挙げられる。これらの抗歯石剤は、歯磨剤組成物に約1から約5重量%の濃度で含まれる。
【0104】
抗菌剤
公知抗菌剤のいずれを本発明の組成物において使用してもよい。例えば、これらとしては、非カチオン性抗菌剤、例えばハロゲン化ジフェニルエーテルが挙げられ、好ましい例は、トリクロサン(2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル)である。抗菌剤は、歯磨剤組成物の約0.01から1.0重量%、例えば約0.3重量%の量で存在し得る。
【0105】
他の研磨剤
メソポーラス材料を、本発明による歯磨剤組成物を調製する際に単独の研磨剤として使用することができ、または他の公知研磨剤もしくは磨き剤と併用することができる。市販の研磨剤を前記メソポーラス材料と併用することができ、これらの市販研磨剤としては、シリカ、ケイ酸アルミニウム、か焼アルミナ、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、例えばリン酸三カルシウムおよび無水リン酸二カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ベントナイト、もしくは他のケイ酸含有材料、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0106】
香味料
本発明の歯磨剤組成物は、香味付与剤も含有することがある。適する例としては、精油、例えばスペアミント、ペパーミント、ヒメコウジ、サッサフラス、チョウジ、セージ、ユーカリ、マヨラナ、桂皮、レモン、ライム、グレープフルーツ、およびオレンジが挙げられる。他の例としては、香味付与性アルデヒド、エステルおよびアルコールが挙げられる。さらなる例としては、メントール、カルボンおよびアネトールが挙げられる。
【0107】
増粘剤
増粘剤は、歯磨き組成物に、約0.1から約10重量%、好ましくは約0.5から約4重量%の量で存在し得る。本発明の組成物において使用される増粘剤としては、天然および合成ゴムおよびコロイドが挙げられ、これらの例としては、キサンタンガム、カラゲナン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デンプン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルプロピルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。適する増粘剤としては、無機増粘剤、例えば、コロイド状シリカ化合物をはじめとする非晶質シリカ化合物も挙げられる。
【0108】
界面活性剤
本発明の組成物では、予防作用増加を達成するために、および歯磨剤組成物をより美容的に満足のいくものにするために、界面活性剤を使用することがある。界面活性剤は、一般に、本発明による歯磨剤組成物中に約0.1から約5重量%、好ましくは約0.5から約2重量%の量で存在する。本発明による歯磨剤組成物は、アニオン性、非イオン性、両性および双性イオン性界面活性剤から選択することができる、1つ以上の界面活性剤を含むことがある。界面活性剤は、好ましくは、前記組成物に洗浄特性および発泡特性を付与する、洗浄材料である。界面活性剤の適する例は、通常の当業者に周知であり、これらとしては、高級脂肪酸モノグリセリドモノスルファートの水溶性塩、例えば、硬化ヤシ油脂肪酸のモノ硫酸化モノグリセリドのナトリウム塩、高級アルキルスルファートのナトリウム塩、例えばラウリル硫酸ナトリウム、アルキルアリールスルホナートのナトリウム塩、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、高級アルキルスルホアセタートのナトリウム塩、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、1,2−ジヒドロキシプロパンスルホナートの高級脂肪酸エステル、および低級脂肪族アミノカルボン酸化合物の実質的に飽和された高級脂肪族アシルアミド、例えば、脂肪酸、アルキルまたはアシルラジカル中に12から16個の炭素を有するものが挙げられる。さらなる例としては、N−ラウロイルサルコシン、ならびにN−ラウロイル、N−ミリストイルまたはN−パルミトイルサルコシンのナトリウム、カリウムおよびエタノールアミン塩が挙げられる。
【0109】
効力強化剤
歯磨剤組成物中の任意の抗菌、抗歯石または他の活性剤のための1つ以上の効力強化剤も歯磨剤組成物に含めることができる。効力強化剤の適する例としては、合成アニオン性ポリカルボキシラートが挙げられる。このようなアニオン性ポリカルボキシラートをこれらの遊離酸の形態で利用することができ、または部分的に、もしくはより好ましくは、完全に中和された水溶性アルカリ金属(例えば、カリウムおよび好ましくはナトリウム)もしくはアンモニウム塩の形態で利用することもできる。無水マレイン酸またはマレイン酸と別の重合性エチレン性不飽和モノマー、好ましくは、約30,000から約1,800,000の分子量(M.W.)を有するメチルビニルエーテル/無水マレイン酸の1:4から4:1コポリマーが好ましい。
【0110】
存在する場合、効力強化剤、例えばアニオン性ポリカルボキシラートは、歯磨剤組成物中の任意の抗菌、抗歯石または他の活性剤の効果の所望の強化を果たすために有効な量で使用される。一般に、アニオン性ポリカルボキシラートは、歯磨剤組成物中に約0.05重量%から約4重量%、好ましくは約0.5重量%から約2.5重量%存在する。
【0111】
他の成分
保存薬;シリコーン;脱感作剤、例えば硝酸カリウム;ホワイトニング剤、例えば過酸化水素、過酸化カルシウムおよび過酸化尿素;ならびにクロロフィル化合物をはじめとする、様々な他の材料を本発明の歯磨剤組成物に添合することができる。一部の練り歯磨きは、歯垢の酸性度を低下させるために重炭酸塩を含む。これらの添加剤は、存在する場合、所望の特性および特徴に実質的に悪影響を及ぼさない量で、歯磨剤組成物に添合される。
【0112】
歯磨剤組成物の調製
本発明による歯磨剤組成物の適する製造方法は、真空下での系の高剪断混合の使用を含む。一般に、歯磨剤の調製は、当分野において周知である。US3980767、US3996863、US4358437、およびUS4328205(これらの内容は、これら全体が参照により本明細書に組み込まれる。)には、歯磨剤組成物の適する製造方法が記載されている。
【0113】
例えば、本発明による典型的な歯磨剤組成物を調製するために、保湿剤を従来のミキサーで攪拌しながら水に分散させることができる。任意の効力強化剤;フッ化ナトリウムなどの齲歯予防薬をはじめとする、任意の塩;および任意の甘味料と共に、有機系増粘剤を保水材の分散液に併せる。得られた混合物を、均一なゲル相が形成されるまで、攪拌する。pHを調整するために必要とされる任意の酸または塩基と共に、1つ以上の顔料、例えば二酸化チタンをこのゲル相と併せることができる。これらの成分を、均一な相が得られるまで混合する。その後、この混合物を高速/真空ミキサーに移し、そこでさらなる増粘剤および界面活性剤成分をこの混合物と併せることができる。この組成物において使用される混合物と任意の研磨剤を併せることができる。歯磨剤組成物に含める香味油に任意の水不溶性抗菌剤、例えばトリクロサンを可溶化することができ、得られた溶液を界面活性剤と共にこの混合物に併せ、その後、これを高速で約5から30分間、約20から50mmHgの真空下で混合する。得られる生成物は、一般に、均質な半固体の押出ペーストまたはゲル製品である。
【0114】
歯磨剤組成物のpHは、一般に、メソポーラス材料が有意な期間にわたって該組成物に溶解しない、および従って、満足のいく貯蔵寿命を与えるようなpHである。歯磨剤組成物のpHは、一般に、約9以下、および好ましくは、特に粉末以外の組成物、例えば練り歯磨きについては、約7以下である。pHの下限は、一般に、約3.5または約4であり得る。詳細には、歯磨剤組成物が多段階ホワイトニング系などのゲルであるとき、pHは、約3.5または約4であり得る。
【0115】
を含有する、本発明の歯磨剤組成物の研磨性は、Hefferrn,J.Dental Research,vol.55(4),pp 563−573,(1976)により記載されているならびにUS4,340,583、US4,420,312およびUS4,421,527に記載されているように、American Dental Associationによって推奨されている方法に従って決定されるような放射性象牙質研磨(Radioactive Dentine Abrasion:RDA)値の手段によって判定することができる(前記参考文献の内容は、これら全体が参照により本明細書に組み込まれる。)。この手順では、抽出された人間の歯に中性子束を照射し、標準的なブラッシングレジメに付す。歯根における象牙質から除去した放射性リン32を、試験する歯磨剤の研磨の指数として使用する。カルボキシメチルセルロースナトリウムの0.5%水溶液15mL中のピロリン酸カルシウム10gを含有する基準スラリーも測定し、この混合物のRDAを独断的に100と考える。試験すべき歯磨剤組成物を、このピロリン酸塩と同じ濃度の懸濁液として調製し、同じブラッシングレジメに付す。本発明による歯磨剤組成物のRDAは、約10から150、例えば約100未満、例えば約70未満の範囲内であり得る。
【0116】
本発明の歯磨剤組成物のペリクル清掃率(pellicle cleaning ratio:PCR)は、歯磨剤の清掃特性の測定値であり、一般に、約20から150の範囲内であり得、好ましくは約50より大きい。
【0117】
PCR清掃値は、Stookey et al.,J.Dental Research,vol.61(11),pp 1236−9,(1982)により記載されているテストによって決定することができる。ステイン蓄積および付着を促進するように酸腐食されている、樹脂に埋め込まれた10mmウシエナメル質検体を染色することによって、清掃を評価する。24時間サルシナ・ルテア(Sarcina lutea)turtox培養物を含有する滅菌トリプチカーゼ・ソイ・ブロスに溶解した茶、コーヒーおよび微粉砕胃粘素から調製したブロスを用いて着色を果たす。着色後、これらの検体を、エナメル質表面に対して150gの張力に調整したソフトナイロン歯ブラシを装着したV−8クロス・ブラッシング・マシーンに取り付ける。その後、試験すべき歯磨剤、およびカルボキシメチルセルロースナトリウムの0.5%水溶液50mL中のピロリン酸カルシウム10gを含むピロリン酸カルシウム標準物質で、検体をブラッシングする。40gの脱イオン水中の25gの練り歯磨きからなる歯磨剤スラリーで検体を400回ブラッシングする。ステインが除去されるまで、Pennwaltの軽石(pumice flour)で検体を清掃する。ブラッシング前および後の検体の色を測定するために、Minolta Colorimeterを使用し、標準国際照明委員会(Commission Internationale de l’Eclairage:CIE)Lスケールを用いて、反射率の測定値をとった。
【0118】
PCR/RDAの比の測度である、本発明のよる歯磨剤組成物の清掃効率は、約0.5から約2.0の範囲であり得、および約1.0より大きい、例えば約1.5より大きいことがある。
【0119】
口腔衛生組成物におけるメソポーラス微粒子材料の使用は、活性物質のバイオアベイラビリティー向上および/または(例えば、抗菌活性の)活性向上のうちの1つ以上をもたらすことができる。このような向上は、有意な期間にわたって、例えば少なくとも3か月間、高温で、例えば約45℃以上で、果たされることもある。
【0120】
本発明による練り歯磨き配合物の実施形態は、疎水性抗菌性トリクロサンが充填され、デンプンの1から5μm厚層で被覆された、d50=30μmのメソポーラスケイ素微粒子を含む。
【0121】
(3)ヘアケア組成物
本明細書において用いる場合の用語ヘアケア組成物は、シャンプー、ゲル、クリーム、コンディショナー(リーブ・オン・コンディショナーを含む。)、シャンプー/コンディショナー兼用品、毛染め剤、ムース、フォーム、ワックス、クリームリンス、マスク、マッド、半固体構造スタイリングペースト(パテとしても公知)、スタイリングスプレー、ホット・オイル・トリートメント、リンス、ローションを含み、これらは、すべて、人および動物の毛髪に対する、特に人の毛髪に対する、とりわけ人の頭髪に対する使用に適する。これらの組成物の一般的な構成要素は、当業者には周知である。
【0122】
ヘアケア組成物のpHは、有利には、ケイ素が有意な期間にわたって該組成物に溶解しない、および従って、満足のいく貯蔵寿命を与えることとなるようなpHである。ヘアケア組成物のpHは、一般に、約7.5未満(しかし、約8.5ほども高いこともある。)および好ましくは約7以下、例えば約6以下であり、約4.6未満であることもある。殆どの市販シャンプーは、例えば、約pH5−6.5であり、前記ヘアケア組成物のpHは個の範囲内であり得る。pHの下限は、約2であり得る。メソポーラスケイ素についての適するpH範囲は、2から6であり得る。より高いpH環境、例えば約8.5以上での使用のために、有利には、メソポーラスケイ素を、例えば部分酸化により、安定させることができる。この安定化は、空気中または高酸素雰囲気中で1時間にわたって約500℃にメソポーラスケイ素を加熱することにより、達成することができる。
【0123】
シャンプーは、一般に、水、界面活性剤、加えて、任意のさらなる構成要素のホストを含む。水は、全組成物の重量に基づき約25重量%から約99重量%、例えば約50重量%から約98重量%の量で存在し得る。
【0124】
シャンプー配合物は、概して、高濃度、例えばこのシャンプーの全重量に基づき約50重量%以下の界面活性剤を含有する。界面活性剤は、多数の機能をもたらすことができる。例えば、これらは、水と頭髪上のベタベタした物質との間の表面張力を減少させることにより、汚れをより容易に取り除けるようにする。界面活性剤によって生じるいずれの泡も、この中に汚れを保持して、汚れが毛髪上に沈着しないようにすることができる。界面活性剤は、シャンプー混合物を安定させることができ、溶解状態で他の成分を維持することに役立つ。これらは、シャンプーを増粘して、この使用を容易にすることもできる。シャンプーは、毛髪のタイプによって異なるタイプの清浄化をもたらすことができる、幾つかの界面活性剤を含有することがある。1つの一般に用いられている界面活性剤は、ラウリル硫酸アンモニウムであり、もう1つは、より穏やかであるラウレス硫酸ナトリウムである。シャンプー中の成分の多くは、伝統的にソフトな有機材料である。
【0125】
大部分の現代のシャンプーは、コンディショニング剤を含有し得る。他の典型的な成分としては、泡立て増進剤、粘度調整剤、およびpH制御のための添加剤が挙げられる。市販シャンプーのpHには、かなり大きな幅があり得、例えば、一部のシャンプーは、酸性、例えばpH3.5から4.5になるように配合されている。他の成分としては、保存薬、例えば安息香酸ナトリウムまたはパラベンが挙げられる。美容成分としては、着色剤、香料、パール化剤が挙げられる。
【0126】
本発明によるヘアケア組成物は、1つ以上の界面活性剤を含むことがある。前記界面活性剤は、多種多様なアニオン性、両性、双性イオン性および非イオン性界面活性剤のいずれかから選択され得る。前記界面活性剤は、洗浄性であり得る。例えばシャンプー組成物中の、界面活性剤の量は、この組成物の総重量に基づき1から50重量%、例えば3から30重量%、例えば5から20重量%であり得る。
【0127】
適するアニオン性界面活性剤としては、アルキルスルファート、アルキルエーテルスルファート、アルカリールスルホナート、アルカノイルイセチオナート、アルキルスクシナート、アルキルスルホスクシナート、N−アルコイルサルコシナート、アルキルホスファート、アルキルエーテルホスファート、アルキルエーテルカルボキシラート、α−オレフィンスルホナートおよびアシルメチルタウラート、例えば、これらのナトリウム、マグネシウム、アンモニウムならびにモノ、ジおよびトリエタノールアミン塩が挙げられる。前記アルキルおよびアシル基は、8から18個の炭素原子を含有することがあり、不飽和であることがある。前記アルキルエーテルスルファート、アルキルエーテルホスファートおよびアルキルエーテルカルボキシラートは、1分子あたり1から10個のエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド単位を含有することもあり、および1分子あたり2から3個のエチレンオキシド単位を含有することもある。
【0128】
適するアニオン性界面活性剤の特定の例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸アンモニウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、ココイルイセチオン酸ナトリウム、ラウロイルイセチオン酸ナトリウム、N−ラウリルサルコシン酸ナトリウム、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0129】
前記組成物に洗浄および泡立て機能を与えることができるアニオン性洗浄性界面活性剤の例としては、スルファート、スルホナート、サルコシナートおよびサルコシン誘導体が挙げられる。
【0130】
ヘアケア組成物は、該組成物への審美的特性、物理的特性または清浄特性の付与を助長するために、補助界面活性剤も含むことがある。適する例としては、両性、双性イオン性および/または非イオン性界面活性剤が挙げられ、これらをシャンプー組成物の総重量に基づき約10重量%以下の範囲の量で含めることができる。両性または双性イオン性界面活性剤の例としては、アルキルアミンオキシド、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン(スルタイン)、アルキルグリシナート、アルキルカルボキシグリシナート、アルキルアンフォプロピオナート、アルキルアンフォグリシナート、アルキルアミドプロピルヒドロキシスルタイン、アシルタウラートおよびアシルグルタマート(この場合のアルキルおよびアシル基は、8から19個の炭素原子を有する。)が挙げられる。本発明のシャンプーにおいて使用するための典型的な両性および双性イオン性界面活性剤としては、ラウリルアミンオキシド、ココジメチルスルホプロピルベタインおよびラウリルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ココアンフォプロピオン酸ナトリウム(sodium cocamphopropionate)、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0131】
適する非イオン性界面活性剤としては、脂肪族(CからC18)第一または第二直鎖または分岐鎖アルコールまたはフェノールとアルキレンオキシド、通常はエチレンオキシドとの縮合生成物であって、一般に6から30個のエチレンオキシド基を有するものが挙げられる。他の適する非イオン性界面活性剤としては、モノまたはジアルキルアルカノールアミドが挙げられる。例としては、ココモノ−またはジ−エタノールアミドおよびココモノ−イソプロパノールアミドが挙げられる。本発明のシャンプー組成物に含めることができるさらなる非イオン性界面活性剤は、アルキルポリグリコシド(APG)である。
【0132】
前記組成物の乳化構成成分、例えばケイ素の乳化粒子のための乳化剤として、さらなる界面活性剤が存在することもある。この界面活性剤は、前記アニオン性界面活性剤もしくは補助界面活性剤と同じ界面活性剤である場合もあり、または異なる場合もある。適する乳化性界面活性剤は、当分野において周知であり、これらはアニオン性および非イオン性界面活性剤を含む。ケイ素粒子などの材料のための乳化剤として使用されるアニオン性界面活性剤の例は、アルキルアリールスルホナート、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルファート、例えばラウリル硫酸ナトリウム、アルキルエーテルスルファート、例えばラウリルエーテル硫酸ナトリウムnEO(この場合のnは、1から20である。)、アルキルフェノールエーテルスルファート、例えばオクチルフェノールエーテルスルファートnEO(この場合のnは、1から20である。)、およびスルホスクシナート、例えばジオクチルスルホコハク酸ナトリウムである。
【0133】
ケイ素粒子などの材料のための乳化剤として使用される非イオン性界面活性剤の例は、アルキルフェノールエトキシラート、例えばノニルフェノールエトキシラートnEO(この場合のnは、1から50である。)、アルコールエトキシラート、エステルエトキシラート、例えばポリオキシエチレンモノステアラート(この場合のオキシエチレン単位数は、1から30である。)である。
【0134】
前記ヘアケア組成物は、1つ以上のコンディショニング剤も含むことがある。本明細書において用いる場合、用語「コンディショニング剤」は、毛髪および/または頭皮または皮膚に特定のコンディショニング恩恵をもたらすために使用される任意の材料を含む。例えば、毛髪の洗浄に使用されるシャンプー組成物において、適する材料は、艶、柔らかさ、くし通り、湿潤時取り扱い性(wet−handling)、静電気防止性、ダメージに対する保護、こし、ボリューム、スタイリング性およびまとまり性に関する1つ以上の恩恵を与えるものである。
【0135】
本発明において使用するためのコンディショニング剤は、例えば柔らかさ、なめらか感およびくし通りの容易さなどの湿潤および乾燥コンディショニング恩恵を毛髪にもたらすために用いられる、乳化シリコーンを含む。コンディショニング剤は、この組成物の全重量に基づき約0.01重量%から約25重量%、例えば約0.05から約10重量%、例えば約0.1から5重量%の量で存在し得る。コンディショニングを達成する最低レベルによって下限を決めることができ、ならびに毛髪および/または皮膚を容認しがたくべとつかせることを避ける最大レベルによって上限を決めることができる。約1重量%が一般に適する。
【0136】
本発明のシャンプーおよびコンディショナーに含めるためのシリコーンのさらなるクラスは、アミノ官能性シリコーンである。「アミノ官能性シリコーン」とは、少なくとも1つの第一、第二もしくは第三アミン基、または第四アンモニウム基を含有するシリコーンを意味する。
【0137】
コンディショニング剤のさらなるクラスは、毛髪のこし、ボリュームおよびスタイリング性を向上させるために用いられる、過アルキルおよび過アルケニル炭化水素材料である。適する材料としては、Presperse,Inc.から入手できるポリイソブチレン材料が挙げられる。本発明の組成物に添合される過アルキルまたは過アルケニル炭化水素材料の量は、所望されるこしおよびボリューム向上のレベルならびに使用される具体的な材料に依存し得る。適する量は、全組成物の重量の0.01から約10重量%である。こしおよびボリューム向上効果を達成する最低レベルによって下限が決まり、および毛髪を容認しがたくごわつかせることを避ける最大レベルによって上限が決まる。全組成物の0.5から2重量%の過アルキル(過アルケニル)炭化水素材料量が適するレベルである。
【0138】
カチオン性付着ポリマーは、シャンプーのコンディショニング性能を向上させるために、本発明のシャンプー組成物に含めることができる成分である。「付着ポリマー」とは、使用中にシャンプー組成物から所期の部位、即ち毛髪および/または頭皮への活性成分および/またはコンディショニング成分(例えば、シリコーン)の付着を増進する物質を意味する。
【0139】
前記付着ポリマーは、ホモポリマーである場合もあり、または2つ以上のタイプのモノマーから形成される場合もある。前記ポリマーの分子量は、一般に、少なくとも10,000、例えば100,000から約2,000,000の範囲であり得る。前記ポリマーは、カチオン性窒素含有基、例えば、第四アンモニウムもしくはプロトン化アミノ基、またはこれらの混合物を有する。前記カチオン性アミンは、第一アミンである場合もあり、第二アミンである場合もあり、または第三アミンである場合もある。
【0140】
本発明のヘアケア組成物に含めるためのさらなる自由選択成分として、次のもののうちの1つ以上を含めることができる:pH調整剤、粘度調整剤、パール化剤、乳濁剤、沈殿防止剤、保存薬、着色剤、染料、タンパク質、ハーブおよび植物抽出物、ならびに他の潤い付与および/またはコンディショニング剤。
【0141】
ヘアケア組成物での使用に適する任意の粘度調整剤をここで用いることができる。一般に、粘度調整剤は、全組成物の重量に基づき約0.01から10重量%、例えば0.05重量%から約5重量%、例えば約0.1から3重量%を構成し得る。適する粘度調整剤の非限定的リストは、CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,7th edition,Wenninger and McEwen編(The Cosmetic,Toiletry and Fragrance Association,Inc.,Washington D.C.,1997)において見つけることができる。
【0142】
多種多様な追加成分を本発明によるヘアケア組成物に配合することができる。これらとしては、他のヘアコンディショニング成分、例えば、パンテノール、パンテチン、パントテイン、パンテニルエチルエーテル、およびこれらの組み合わせ;他の溶剤、例えば、ヘキシレングリコール;髪型保持(hair−hold)ポリマー、例えば、WO−A−94/08557に記載されているもの;粘度調整剤および沈殿防止剤、例えば、キサンタンガム、グアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、トリエタノールアミン、メチルセルロース、デンプンおよびデンプン誘導体;粘度調整剤、例えば、長鎖脂肪酸のメタノールアミド、例えばココモノエタノールアミド;結晶沈殿防止剤;真珠光沢助剤、例えば、エチレングリコールジステアラート;乳濁剤、例えば、ポリスチレン;保存薬、例えば、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、イミダゾリジニル尿素およびヒダントイン;ポリビニルアルコール;エチルアルコール;pH調整剤、例えば、乳酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、リン酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム;塩、一般に、例えば酢酸カリウムおよび塩化ナトリウム;着色剤;毛髪酸化(脱色)剤、例えば、過酸化水素、過ホウ酸塩および過硫酸塩;毛髪還元剤、例えば、チオグリコラート;香料;金属イオン封鎖剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム;酸化防止剤/紫外線フィルター剤、例えば、メトキシ桂皮酸オクチル、ベンゾフェノン−3およびDL−αトコフェロールアセタートならびにポリマー可塑化剤、例えばグリセリン、ジイソブチルアジパート、ブチルステアラート、およびプロピレングリコールが挙げられる。このような自由選択成分は、一般に、この組成物の約0.001重量%から約10.0重量%、好ましくは約0.05重量%から約5.0重量%のレベルで個々に使用される。
【0143】
ムース、フォームおよびスプレーは、噴射剤、例えばプロパン、ブタン、ペンタン、ジメチルエーテル、ヒドロフルオロカーボン、CO、NO、窒素を用いて配合することもでき、または噴射剤を特に添加せずに配合することもできる(ポンプ式スプレーもしくはポンプ式発泡容器において噴射剤として空気を使用する。)。
【0144】
成分
メソポーラス材料(例えば、ケイ素)に1つ以上の活性成分を充填することができる。これらの成分としては、次のもののうちの1つ以上が挙げられる:抗フケ剤、天然毛根栄養剤、日焼け止め、毛髪繊維剤、芳香剤、潤い付与剤、油、脱毛成分、ビタミン、頭ジラミ剤、構造化剤、天然活性物質。一般に、前記1つ以上の成分は、充填済材料(例えばケイ素)に対して、0.01から90重量%、例えば1から40重量%、例えば20から50重量%(必要に応じて、約70%多孔度との組み合わせで)および例えば2から10重量%の範囲で存在する。
【0145】
メソポーラス材料(例えば、ケイ素)に充填される成分を適する溶剤に溶解または懸濁させてもよく、この得られた溶液中で適する期間、メソポーラス材料(例えば、ケイ素)粒子をインキュベートしてもよい。水性スリップと非水性スリップの両方を磨砕ケイ素粉末から製造することができ、ケイ素懸濁液の加工および特性は、Sacksにより研究され、Ceram.Eng.Sci.Proc.,6,1985,pp1109−1123に報告されており、およびKerkarにより研究され、J.Am.Chem.Soc.73,1990,pp2879−85に報告されている。溶剤の湿潤は、結果として、この成分を毛管現象によりケイ素の細孔に入り込ませることとなり、溶剤除去後、この成分は細孔内に存在することとなる。好ましい溶剤は、水、エタノール、およびイソプロピルアルコール、凍結乾燥に適用できるGRAS溶剤および揮発性液体である。
【0146】
一般に、充填すべき成分が、低い融点、およびこの融点より有意に高い分解温度を有する場合には、この成分の効率的な充填方法は、成分の溶融である。
【0147】
より高い充填レベル、前記材料(例えば、ケイ素)の充填済重量に基づき充填成分少なくとも約15重量%は、高温で含浸を行うことによって達成することができる。例えば、充填すべき成分の融点以上である温度で充填を行うことができる。総充填量の定量は、重量分析、EDX(X線によるエネルギー分散型分析)、フーリエ変換赤外(FTIR)、ラマン分光法、UV分光光度法、滴定分析、HPLCまたは質量分析をはじめとする多数の公知分析法によって適便に果たすことができる。必要な場合には、空間分解が可能である技術、例えば断面EDX、オージェ深さ方向分析、マイクロラマンおよびマイクロFTIRによって、充填の均一性の定量を果たすことができる。
【0148】
充填レベルは、充填中に吸収された成分の容積(吸収された成分の、この密度で割った質量に相当する。)を、充填前のこのメソポーラス材料(例えば、ケイ素)の空隙容積で割り、これに100をかけることによって決定することができる。
【0149】
抗フケ剤
抗フケ剤の適する例としては、ジンクピリチオン、硫化セレン、ティーツリーオイル、コールタール、硫黄、サリチル酸、1ヒドロキシピリドンが挙げられる。さらなる例は、ミコナゾール、イミダゾール、フルコナゾール、ピロクロン、クロトリマゾール、ビホナゾール、ケタコナゾール、クリンバゾール、オラミン(オクトピロックス)、リロピロックス、シクロピロックス、オラミンをはじめとする、イミダゾール抗真菌剤である。
【0150】
日焼け止め
適する日焼け止めとしては、カンフル誘導体、ベンゾフェノン化合物、例えば、Uvinul D50として市販されている4,4’−テトラヒドロキシ−ベンゾフェノン、およびEusolex 4360として市販されている2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ジベンゾイルメタン誘導体、例えば、Parsol 1789として販売されているt−ブチル−4−メトキシジベンゾイルメタン、およびEusolex 8020として市販されているイソプロピルジベンゾイルメタンが挙げられる。
【0151】
日焼け止め材料のさらなる適するタイプは、シンナマート、例えば、Parsol MCXとして市販されている2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナマート、Giv−Tan Fとして市販されている2−エトキシエチル−p−メトキシシンナマート、およびNeo−Heliopan E1000として市販されているイソアミル−p−メトキシシンナマートである。
【0152】
天然毛根栄養剤
適する天然毛根栄養剤としては、アミノ酸および糖が挙げられる。適するアミノ酸の例としては、アルギニン、システイン、グルタミン、グルタミン酸、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、セリンおよびバリン、ならびに/またはこれらの前駆体および誘導体が挙げられる。前記アミノ酸を、単独で、混合物で、またはペプチド、例えばジおよびトリペプチドの形態で添加することができる。前記アミノ酸を、タンパク質加水分解物、例えばケラチンまたはコラーゲン加水分解物の形態で添加することもできる。適する糖は、グルコース、デキストロースおよびフルクトースである。これらを単独で、または例えば果実抽出物の形態で、添加することができる。
【0153】
毛髪繊維有益物質
毛髪繊維有益物質の適する例としては、繊維への潤い付与およびキューティクル完全性の維持のためのセラミドが挙げられる。天然源からの抽出によるものまたは合成セラミドとしてのものを含めて、セラミドを入手することができる。
【0154】
他の適する材料としては、キューティクル修復およびダメージ予防のための脂肪酸が挙げられる。特定の例としては、分岐鎖脂肪酸、例えば18−メチルエイコサン酸およびこの系列の他の類似体、直鎖脂肪酸、例えばステアリン酸、ミリスチン酸およびパルミチン酸、ならびに不飽和脂肪酸、例えばオレイン酸、リノール酸、リノレイン酸およびアラキドン酸が挙げられる。
【0155】
潤滑または可塑剤を使用することにより、枝毛を処置および/または予防することができる。メソポーラスケイ素の表面化学は、毛髪結合の促進に適している。例えば、毛髪上に保持される活性成分、例えば疎水性活性成分の分率を、遊離活性成分および/またはこの溶解を毛髪への塗布により増進されるこの溶解と比較して、少なくとも50%、例えば少なくとも500%、改善することができる。
【0156】
脱毛成分
脱毛の予防および/または治療に適する1つ以上の成分を含めることができる。適する脱毛予防薬としては、非ステロイド系抗炎症薬、例えばピロキシカム、ケトプロフェン、イブプロフェン、循環刺激剤、例えばトウガラシまたはゴツコラが挙げられる。ミノキシジルまたはジンクピリジンチオン(ZPT)、植物抽出物、例えばアロエ・ベラ(aloe vera)、イチョウ(ginko biloba)、オリーブ油、ビタミンE、ビタミンB3およびアミノ酸。
【0157】
頭ジラミ剤
適する活性物質としては、殺虫剤および/または病虫害防除剤、例えば、ピレトリン、精油、マラチオン化合物、アベルメクチン化合物が挙げられる。
【0158】
芳香剤
適する芳香剤、即ち賦香成分は、様々な化学群、例えばアルデヒド、ケトン、エーテル、亜硝酸塩、テルペン系炭化水素、アルコール、エステル、アセタール、ケタール、ニトリルに属する化合物を含む。天然賦香剤、例えば精油、レジノイドおよび樹脂が好ましい。
【0159】
芳香油に関しては、約1から10nmの範囲の孔径を有するメソポーラスケイ素を使用して徐放を行うことができる。この小さな孔径が芳香揮発分の放出を抑制する。
【0160】
潤い付与剤
適する潤い付与剤または皮膚軟化薬としては、グリセリン、鉱油、ワセリン、尿素、乳酸またはグリコール酸が挙げられる。
【0161】

適する油としては、植物油、精油が挙げられる。
【0162】
ビタミン
適するビタミンとしては、ビタミンA、B5、C、Eが挙げられる。
【0163】
構造化剤
適する構造化剤としては、毛髪を太くし、毛髪にこしを足す、および/またはこの手触りをよりなめらかにする、油、タンパク質、ポリマーが挙げられる。こしを足す構造化剤は、嵩高剤または嵩高剤コーティングと呼ばれることがあり、ごく細い毛包に関する使用に適し得る。これらは、色合わせすることができ、および/または光輝を抑えた外観を毛髪に施すことができ、および/または1つ以上の芳香剤と併用することができる。
【0164】
天然活性物質
適する天然活性物質としては、ハーブまたは植物抽出物が挙げられる。感光性植物活性物質は、本発明による使用に適する。メソポーラスケイ素内への捕捉および徐放が、貯蔵寿命向上および毛髪塗布時(on−hair)光安定性向上に備える。
【0165】
上述の任意の活性成分の混合物を使用することができる。
【0166】
本発明によるシャンプー配合物の実施形態は、ケタコナゾールが充填され、グリセリルオレアートの2から5μm厚層で被覆された、d50=50μmのメソポーラスケイ素微粒子を含む。
【0167】
(4)化粧品配合物
化粧品配合物は、一般に、以下の機能のうちの1つ以上を提供するために、人体の外側の部分と接触させておくことを意図した物質または調製品を指す:この外観を変えること、臭いを変えること、清掃、状態の維持/改善、賦香および保護。
【0168】
メソポーラス材料は、顔または体に送達するための少なくとも1つの成分を含むことができる。適する成分としては、次のうちの1つ以上が挙げられる:酸化防止剤、抗老化活性物質、美白剤、栄養剤、潤い付与剤、抗菌剤、芳香剤、油、ビタミン、構造化剤、天然活性物質。メソポーラス材料に前記成分を充填することができ、該成分を該材料の細孔に捕捉することができる。
【0169】
本発明による化粧品配合物を含有するメソポーラス材料の使用は、次のうちの1つ以上を提供しようとするものである:成分の標的送達;例えば洗浄中の、芳香剤バースト放出を含む、成分の長期放出;皮脂吸収/除去;疎水性活性物質をはじめとする活性物質のバイオアベイラビリティー向上;脱皮;有益な分解生成物、例えばオルトケイ酸;有意なレベルの活性成分の体または顔上での長期間にわたる保持、優れた肌感触および外観。
【0170】
適する酸化防止剤としては、ピクノジェノール、植物および果実抽出物、海洋性抽出物、アスコルビン酸、グルコシド、ビタミンE、ハーブ抽出物およびこれらの相乗的組み合わせが挙げられる。適する抗老化剤としては、セラミド、ペプチド、植物抽出物、海洋性抽出物、コラーゲン、カルシウム、アミノ酸、ビタミンA、ビタミンCおよびCoQ10が挙げられる。適する美白剤としては、カンゾウ、アルブチン、ビタミンC、コウジ酸が挙げられる。適する潤い付与剤としては、パンテノール、アミノ酸、ヒアルロン酸、セラミド、ナトリウムPCS、グリセロールおよび植物抽出物が挙げられる。
【0171】
本発明による使用に適する化粧品組成物は、クリーム、ペースト、漿液、ゲル、ローション、油、ミルク、スティック、軟膏、粉末(乾燥粉末を含む。)、溶液、懸濁液、分散液および乳液の形態であり得る。
【0172】
適する化粧品組成物としては、ファンデーション、マスカラ、ネイルラッカー(nail laquer)、ネイルエナメル、脱体臭剤、口紅、リップクリーム、リップグロス、彩色化粧品、フェースクリーム、アイクリーム、トナー、洗顔料、日焼けケア用品(aftersun)、潤い付与剤、シェービングクリーム、アフターシェーブ、フェースマスク、リップおよびアイライナー、フェースパウダー(ルーズおよびプレスド)、アイシャドー、ブロンザー、ほお紅、コンシーラー、スクラブ剤およびメーク落としが挙げられる。これらの組成物に含まれる構成成分は、当業者に周知であり、これらの構成成分は、本発明での使用に適する。これらの構成成分としては、担体または分散剤として作用するビヒクル、潤い付与剤、増粘剤、乳濁剤、香料、着色顔料、肌感触成分、他の皮脂吸収剤、保存薬、鉱物フィラーおよびエキステンダー、着色顔料を挙げることができる。
【0173】
一般に、化粧品組成物は、該組成物を皮膚に塗布したときのメソポーラス材料の分散を助長するために該メソポーラス材料のための担体または分散剤として作用するビヒクルを含有し得る。水以外の、または水に加えて、ビヒクルは、収斂化粧水、液体または固体皮膚軟化薬、乳化剤、被膜形成剤、保湿剤、皮膚保護剤、溶剤、噴射剤、皮膚コンディショニング剤、可溶化剤、沈殿防止剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、防水剤、粘度増加剤、蝋、湿潤剤を含むことがある。担体または分散剤は、前記組成物の約50から90重量%を構成することがある。油および油性材料は、油中水型または水中油型エマルジョンを生じさせるために存在することがある。前記組成物は、皮膚着色料、原薬、例えば抗炎症薬、防腐剤、抗真菌剤、ステロイドまたは抗生物質をはじめとする、少なくとも1つの活性成分を含有することがある。
【0174】
皮膚軟化薬のレベルは、0.5重量%から50重量%、例えば5から30重量%であり得る。皮膚軟化薬の一般的なクラスとしては、エステル、脂肪酸、アルコール、ポリオール、炭水化物が挙げられる。エステルの例としては、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジエチル、パルミチン酸ラウリルが挙げられる。適するアルコールおよび酸としては、10から20個の炭素原子を有するもの、例えば、セチル、ミリスチル、パルミチン(palmitic)およびステアリルアルコールおよび酸が挙げられる。ポリオールの例としては、プロピレングリコール、ソルビトール、グリセリンが挙げられる。適する炭化水素としては、12から30個の炭素原子を有するもの、例えば、鉱油、ワセリン、スクアレンが挙げられる。
【0175】
増粘剤は、0.1から20重量%、例えば約0.5から10重量%のレベルで存在し得る。適する増粘剤の例としては、ゴム、例えばキサンタンガム、カラゲナン、ゼラチンが挙げられる。または、存在するいずれかの皮膚軟化薬により増粘機能がもたらされることがある。
【0176】
適する鉱物フィラーまたはエキステンダーとしては、チョーク、タルク、カオリン、マイカが挙げられる。
【0177】
他の微量構成成分、例えば肌感触構成成分が化粧品組成物に添合されることもある。肌感触構成成分は、着色剤、乳濁剤および香料も含むことがある。これらの微量構成成分は、0.001重量%から10重量%の範囲であり得る。
【0178】
他の適する成分としては、(メソポーラスケイ素以外の)皮脂吸収材、例えば、デンプン、着色顔料、例えば酸化鉄、保存薬、例えばEDTA三ナトリウムを挙げることができる。他の微量構成要素としては、着色剤、香料、乳濁剤が挙げられ、これらは0.01から10重量%の範囲であり得る。
【0179】
口紅は、一般に、唇に色および肌合いを加える、顔料、油、蝋、および皮膚軟化薬を含有する。リップクリームは、荒れたまたは乾いた唇を緩和するために口唇に局所的に塗布される物質である。リップグロスは、口唇に局所的に塗布されるが、一般には化粧特性しか有さない。リップクリームは、蜜蝋、ワセリン、メントール、カンフル、香油、および様々な他の成分から製造することができる。他の成分、例えば、ビタミン、ミョウバン、サリチル酸またはアスパラギン酸も存在することがある。リップクリームの主目的は、唇の中に水分を密閉するおよび唇を外部被曝から保護するために、唇の表面に閉塞層を設けることである。蝋およびワセリンのような閉塞性材料が、水分喪失を防止して唇の快適さを維持する一方で、芳香剤、着色剤、日焼け止めおよび様々な薬物が、追加の特別な恩恵をもたらすことができる。リップクリームは、通常、指で塗るための容器に入れて、または唇に直接塗られるスティク形態で売られている。
【0180】
マスカラは、おおまかに2つのグループに分けることができる:耐水性マスカラ(多くの場合、ウォータープルーフのラベルが貼られている。)および非耐水性マスカラ。耐水性マスカラは、揮発性溶剤(例えば、イソドデカン)、動物由来の蝋(例えば、蜜蝋)、植物系蝋(例えば、カルナウバ蝋、米ぬか蝋、カンデリラ蝋)、鉱物起源の蝋(地蝋、パラフィン)、顔料(例えば、酸化鉄、ウルトラマリン)および被膜形成ポリマーに基づく組成物を有する。これらのマスカラは、感水性部分を含有せず、涙、汗または雨に対する耐性をもたらす。非耐水性マスカラは、水、ソフトな界面活性剤(例えば、ステアリン酸トリエタノールアミン)、動物由来の蝋(例えば、蜜蝋)、植物系蝋(例えば、米ぬか蝋、カンデリラ蝋)、鉱物起源の蝋(地蝋、パラフィン)、顔料(酸化鉄、ウルトラマリン)、増粘性ポリマー(アラビアゴム、疎水変性セルロース)および保存薬に基づく。これらのマスカラは、石鹸および水で容易に除去されるが、涙の影響で流れることがある。水に分散された形態のポリマー(ラテックス)は、通常は非耐水性のマスカラのグループに、多少の耐水性レベルをもたらすことができる。ウォータプルーフマスカラは、油性または溶剤系塗料に類似している。非耐水性マスカラは、水性塗料のように機能する。中間的耐水性のために、マスカラはポリマー分散液を含有する。
【0181】
フェースパウダーは、一般に、ファンデーションを塗布後に定着させるために顔に塗られる。これは、吸収性であり、肌に色調調節をもたらす。脂性肌に起因するギラツキを最少にするために一日を通して塗りなおされることもある。半透明シーアパウダーがあり、および着色パウダーがある。一定のタイプの着色フェーシャルパウダーは、ベースファンデーションを用いずに単独でつけられることが意図されている。パウダーは、顔の色調を調整し、むらのない外観をもたらす。顔の色調調整に加えて、一部のSPF系パウダーは、日光および環境ストレスからの肌ダメージを低減することもできる。これは、コンパクトとしてまたはルーズパウダーとして包装されて売られている。スポンジ、ブラシ、またはパウダーパフでこれを塗布することができる。人間の肌の色調には幅があるため、対応する様々な色のフェースパウダーがある。パウダーのタイプも幾つかある。美容製品に用いられる一般的なパウダーは、タルクである。一部の市販の銘柄品は、天然鉱物成分を含有することがある。このような製品は、安全であると、酒さを鎮めると、ならびにしわを改善すると、ならびに日光に過度にさらされたおよび色素沈着過剰を有する皮膚を改善すると、宣伝されている。パウダーをつけることは、非常に人気のある化粧技術であり、多くの人によって用いられている。
【0182】
本発明のよる化粧品配合物の実施形態は、美白剤(コウジ酸)と潤い付与剤(パンテノール)が共充填され、パラフィンの300から500nm層でキャッピングされた、d50=10μmの球状化メソポーラスケイ素微粒子を含む。
【0183】
(実施例)
ここで、単なる例として以下の実施例に関して本発明を説明する。
【0184】
アルジナートは、褐藻類において見つけられるアルギン酸の塩である。これは、これらのカルボキシル基がカルシウムおよびマグネシウムなどの二価カチオンの存在下でゲルを形成(向イオン性ゲル化)することができる、マンヌロンおよびグルロン酸で構成された多糖類である。これらの二価カチオンは、このポリマーのカルボキシラート基によってキレート化される。このキレート化の結果、静電性架橋が形成されることとなり、この架橋がゲルを硬化させる。グルロン酸とマンヌロン酸モノマーとの比がこのゲルの構造的特性に影響を及ぼす。キトサンは、D−グルコサミンとN−アセチル−D−グルコサミンとからなる線状多糖類である。
【実施例1】
【0185】
活性材料(親水性有色食用色素)を充填した平均径10μmのメソポーラスケイ素微粒子を、0.5から4%アルジナート溶液に高濃度(例えば、50から80重量% Si含有率)で分散させる。この混合物を150から300rpmで3から4時間、ボルテックス処理する。この溶液を注射器に満たし、適する針(21から26ゲージ)を使用して0.05から0.2M塩化カルシウム溶液中のメソポーラスケイ素分散アルジナート溶液に滴下する。結果として生じたアルジナート液滴が即座にビーズを形成する。これらのビーズを洗浄し、空気乾燥させて、含有水分を蒸発させることができる。それぞれのビーズは、活性材料が充填されたメソポーラスケイ素の少数の粒子を有する。結果は、アルジネートでのメソポーラスケイ素の被覆が、キャッピングされていない対照と比較して、水中での親水性有色食用色素の保持を成功させたことを示す。Mofidi et al.Process BioChemistry 35,884−888(2000)に記載されているものなどの改良エマルジョン系プロセスを、有意に高いスループット生産のために用いることができる。
【実施例2】
【0186】
メソポーラスケイ素粒子を陽極酸化膜から作製した。メソポーラス膜に溶融充填によってトリクロサンを充填し、その後、乳棒および乳鉢で磨砕した。これらのメソポーラス・ケイ素・サンプルは、(a)58.4重量%トリクロサンが充填されたメソポーラスケイ素70容量%、(b)57.4重量%トリクロサンが充填されたメソポーラスケイ素71容量%であった。充填された多孔質ケイ素サンプルを(i)キトサンおよび(ii)アルジナートで被覆した。比較のために、トリクロサンを、別々に、後に被覆しないメソポーラスケイ素(多孔度64.2容量%)にも、キトサンにも、アルギン酸にも充填した。21ゲージ針を有する5mL Plastipak注射器を使用して、アルジナートおよびキトサンマイクロビースを調製した。
【0187】
トリクロサンについての適するアッセイを開発するために、トリクロサンをエタノールに5mg/mLの濃度で、および水に100μg/mLで溶解した。得られた溶液の吸収スキャンをUV可視分光光度計(Thermo−Fisher spectrophotometer UV10)で190から500nmまで実行した。両方の溶液においてピーク吸収を280nmで得た。エタノール、水および0.05ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)中のトリクロサンについての、トリクロサン濃度(μg/mL)に対する吸光度(nm)の標準プロットを得た。
【0188】
トリクロサンを陽極酸化多孔質ケイ素膜に58.4重量%の充填量で充填した。その後、乳鉢および乳棒を使用してこれを微粉に磨砕した。10から11mgの磨砕粉末(この粉末は5−6mgの充填されたトリクロサンを含有した。)に2mLの2%アルジナート溶液を添加し、この混合物を激しいボルテックス処理に付した。比較のために、5−6mgのトリクロサンを(i)アルジナートビーズのみおよび(ii)メソポーラスケイ素粉末内にカプセル化した。調製したサンプルを脱イオン水で洗浄した後、これらの様々なサンプルを別々に0.05%SDSに懸濁させて、トリクロサンの放出をモニターした。トリクロサンの濃度を分光器により280nmで測定した。
【0189】
結果は、アルジナートビーズで被覆されたメソポーラスケイ素サンプルからのトリクロサンの約8重量%放出、アルジナートのみのサンプルからの16重量%放出、メソポーラスケイ素粉末サンプルからの25重量%放出(すべて24時間の期間でのもの)を示した。
【0190】
約2重量%のキトサンを45℃の1M酢酸に溶解した。トリポリリン酸ナトリウム溶液の水溶液を調製し、この溶液のpHを3に調整した。このキトサン溶液をメソポーラスケイ素粉末と共に激しいボルテックス処理に付して混合物を生じさせた。単独でのこの混合物/キトサン溶液は、トリポリリン酸ナトリウム酸性溶液に一滴ずつ滴下させると、ヒドロゲルビーズを生じさせる。
【0191】
トリクロサンを陽性酸化多孔質ケイ素膜に57.4重量%の充填量で充填した。その後、乳鉢および乳棒を使用してこれを微粉に磨砕した。28.7mgの充填され磨砕された粉末(約16mgのトリクロサンを57.4重量%の充填量で含有する。)を2mLの2%キトサン溶液と混合して、ビーズを生じさせた。キトサンのみでカプセル化された約11mgのトリクロサン、およびメソポーラスケイ素粉末に充填された20mgのトリクロサンを比較のために調製した。
【0192】
これらの様々な配合物からのトリクロサン放出を、約4日間、周囲温度で、0.05SDS溶液にこれらの配合物を懸濁させることにより研究した。異なる時点で、サンプルを回収し、トリクロサンの放出を分光器によって判定した。トリクロサン放出の有意な減少が、キトサン被覆多孔質ケイ素粒子で見出された。4日間にわたっての結果は、キトサン被覆多孔質ケイ素粒子からのトリクロサンの2.7%放出、キトサンからの約5%放出およびメソポーラスケイ素からの20%放出を示した。
【0193】
キャッピング材料、アルジナートおよびキトサンの化学的安定性を重量測定により評価した。キトサンおよびアルジナートヒドロゲルについての安定性研究をSDS媒質中で行った。0.45から0.58gのアルジナートビーズおよび0.35から0.45gのキトサンビーズを20℃で様々な期間にわたって10mLの0.05%SDS媒質に懸濁させた。1から5日間の様々な期間にわたって、これらのビーズを媒質から取り出し、再び計量して、任意の重量損失を調査した。結果は、アルジナートおよびキトサン両方の重量損失が5日後、SDS媒質中で<1%であったことを示した。これらの結果により、これらのポリマー両方が比較的安定であることが証明され、このことは、練り歯磨き配合物をはじめとするある範囲の組成物での使用についてのこれらの安定性を示す。
【実施例3】
【0194】
メソポーラス合成炭素をフェノール樹脂ならびに適する細孔形成剤および架橋剤から生成した。これらのメソ細孔のサイズは、約25nmであり、約0.8nmのメソ細孔も少数存在した。この生成物を硬化させ、洗浄し、その後、US2008090924(この特許の内容はこれら全体が参照により本明細書に組み込まれる。)に記載されているように炭化して活性化した。このサンプルのBET表面積は、1044m/gであり、細孔容積は、1.02cc/gであった。この球状化メソポーラス炭素(粒度画分、即ち篩い分けした粒径範囲は、250から500μmであった。)に酪酸エチルを、この粉末にこの油を一滴ずつ添加し、湿潤点に達するまで混合することにより、充填した。添加した過剰な油を蒸発させ、この易流動性粉末の最終重量を記録した。アラビアゴムとマルトデキストリン(比率70:30)の10%水溶液をカプセル化材料として使用した。充填済球状化炭素をポリマーブレンドに懸濁させ、以下のパラメータでBUCHI Mini Spray Dryer B−290を使用して噴霧乾燥させた:入口温度130℃、吸引器100%、ポンプ率25%、STPでの空気流量831リットル/時、および出口温度75から80℃。キャッピングされていない炭素粉末の色は黒色であり、芳香剤が捕捉されている噴霧乾燥粉末は、白色であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メソポーラス微粒子材料を含む組成物であって、消費者ケア組成物または食品組成物であり、ならびに該材料の細孔の少なくとも一部に少なくとも1つの成分が充填され、ならびに充填されたメソポーラス微粒子材料がキャッピング層によってカプセル化されている、組成物。
【請求項2】
メソポーラス微粒子材料が、有機材料から選択され、およびキャッピング層が、無機材料から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
メソポーラス微粒子材料が、無機材料から選択され、およびキャッピング層が、有機材料から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
メソポーラス微粒子材料およびキャッピング層が、両方とも有機材料から選択される、または両方とも無機材料から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
メソポーラス微粒子材料が、ケイ素、ケイ酸塩、シリカ、デンプン、炭素、アルミナ、チタニア、炭酸塩のうちの1つ以上から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
メソポーラス微粒子材料が、ケイ素元素から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
ケイ素が、表面改質メソポーラスケイ素を含む、からなる、またはから本質的になる、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
表面改質ケイ素が、誘導体化メソポーラスケイ素、部分酸化メソポーラスケイ素、水素化ケイ素表面で改質されたメソポーラスケイ素を含む、からなる、またはから本質的になる、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
メソポーラス微粒子材料がシリカである、請求項5に記載の組成物。
【請求項10】
少なくとも1つの成分が、充填済メソポーラス微粒子材料の重量に対して0.01から90重量%の量で存在する、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
キャッピング層が、1つより多くの材料の層を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
キャッピング層が、親水性層および疎水性層を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
口腔衛生組成物、ヘアケア組成物、スキンケア組成物または化粧品組成物から選択される消費者ケア組成物である、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
口腔衛生組成物である、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
ヘアケア組成物である、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
スキンケア組成物である、請求項13に記載の組成物。
【請求項17】
化粧品組成物である、請求項13に記載の組成物。
【請求項18】
キャッピング層が、0.1から50μm厚である、請求項1から17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
キャッピング層が、1から10μm厚である、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
キャッピング層が、二酸化チタン、カラゲナン、キサンタン(xanthum)ガム、セルロースガム、トコフェロール、カカオ脂、植物性脂肪、乳脂肪、レシチン、オレイン酸グリセリル、種子油、シクロペンタシロキサン、パラフィンのうちの1つ以上から選択される、請求項1から19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
キャッピング層が、炭水化物、ゴム、脂質、タンパク質、セルロース、ポリマー、エラストマー、無機材料のうちの1つ以上を含む、からなる、から本質的になる、請求項1から19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
キャッピング層が、デンプン、デキストラン、スクロース、トウモロコシ、シロップ、カラゲナン、アルギナート、アラビアゴム、寒天、脂肪、硬化油、パラフィン、ステアリン酸、蝋、ジグリセリド、モノグリセリド、アルブミン、カゼイン、キトサン、グルテン、ゼラチン、カルボメチルセルロース、アセチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリラート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ尿素、アクリロニトリル、ポリブタジエン、硫酸カルシウム、ケイ酸塩、クレー、ケイ素、二酸化ケイ素、リン酸カルシウムから選択される、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記メソポーラス微粒子材料と該消費者ケアまたは食品組成物の他の成分とをブレンドすることを含む、請求項1から22のいずれか一項に記載の組成物についての生産プロセス。
【請求項24】
化粧品組成物である請求項1から22のいずれか一項に記載の組成物を人の顔および/または体に塗布することを含む、人の体および/または顔を処置するおよび/または清潔にする方法。
【請求項25】
ヘアケア組成物である請求項1から22のいずれか一項に記載の組成物を人または動物の毛髪および/または頭皮に塗布することを含む、人または動物の毛髪および/または頭皮を処置するおよび/または清潔にする方法。
【請求項26】
口腔衛生組成物である請求項1から22のいずれか一項に記載の組成物の安全で有効な量を歯および他の口腔表面に塗布することを含む、ステインおよび/または歯垢および/または歯肉炎を低減するための方法。
【請求項27】
食品組成物におけるメゾポーラス微粒子材料の使用であって、前記材料の細孔の少なくとも一部に少なくとも1つの成分が充填され、ならびにメゾポーラス微粒子材料はキャッピング材料によりカプセル化されており、前記成分が食品成分であり、前記食品成分のバイオアベイラビリティーを向上させるためのものであり、ならびに食品成分は摂取後に人の消化器官内で消化液と接触することで放出される、使用。
【請求項28】
食品成分のバイオアベイラビリティーの向上が、該食品成分と比較したとき、少なくとも50%である、請求項27に記載の使用。
【請求項29】
ヘアケア組成物におけるメソポーラス微粒子材料の使用であって、前記材料の細孔の少なくとも一部に少なくとも1つの成分が充填され、このメソポーラス微粒子材料がキャッピング層によってカプセル化されており、ならびに前記成分が、ヘアケア活性成分であり、前記ヘアケア活性成分の毛髪および/もしくは頭皮上での保持を増進させるならびに/または毛髪への塗布時の前記活性成分の溶解を増進させるためのものである、メソポーラス微粒子材料の使用。
【請求項30】
保持の増進は、少なくとも1つの成分と比較したとき、少なくとも50%であり、および溶解の増進は、少なくとも500%であり得る、請求項29に記載の使用。
【請求項31】
メソポーラス微粒子材料がケイ素である、請求項27から30のいずれか一項に記載の使用。

【公表番号】特表2012−504158(P2012−504158A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529628(P2011−529628)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【国際出願番号】PCT/GB2009/051278
【国際公開番号】WO2010/038064
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(511081613)イントリンシツク・マテリアルズ・グローバル・リミテツド (2)
【Fターム(参考)】