説明

多孔質誘電材料とその製造方法

【課題】 集積回路といった電子デバイスに使用する多孔質誘電性材料を提供する。
【解決手段】 架橋粒子は、合成ポリマーの架橋可能な基を活性化させることにより製造
される。架橋可能な基は、活性化されるまで不活性であり、活性化された場合に、不可逆
的に分子内架橋反応し、架橋粒子を形成する。また、架橋粒子は、分子間架橋に関して架
橋条件下で前記ポリマー分子に対して不活性とされ、また、架橋粒子は、分子間の架橋に
関して架橋条件下で互いに不活性とされている。こうして得られた架橋粒子の分解温度が
ホスト・マトリックス材料の分解温度より低い架橋粒子を、ほすと・マトリックス材料と
混合し、架橋粒子の分解温度まで化合物を加熱し、架橋粒子を分解して多孔質誘電性材料
を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路を形成するのに有用な多孔質誘電材料を製造する方法に関し、より
詳細には、有機材料のナノ粒子を利用した多孔質誘電材料の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノ粒子は、ナノテクノロジー、コーティング、制御放出系などといった多くの分野で
使用されている。様々な製造プロセスが重合体ナノ粒子を製造するために開発されている
が、そのようなプロセスは、典型的に20nmより小さい直径を有する微小サイズのナノ
粒子による不都合を依然として有している。官能性のナノ粒子は、医薬物質やDNA供給
系のためのベクターからナノ多孔質マイクロ・エレクトリニック・マテリアルのためのテ
ンプレート剤にわたって、様々なナノテクノロジーに応用するための基礎的要素として考
えられており、官能性のナノ粒子を具現化するためにナノ粒子およびそれらの製造につい
ては新たな関心が寄せられている。
【0003】
ナノ粒子の製造のアプローチは、トップ−ダウン・アプローチとボトム−アップ技術と
の2つに大きく分類することができる。トップ−ダウン・アプローチは、エマルジョン重
合技術を含んでおり、そのエマルジョン重合技術は、直径が100nmを超えるナノ粒子
の製造に有用である。上述したエマルジョン技術は、製造されるべき粒子直径が20nm
〜50nmの範囲となる微小エマルジョン技術を開発できるように、さらに改善され、最
適化されている。
【0004】
ボトム−アップ技術は、デンドリマー(1nm〜10nm)(フレシェら、米国特許第
5,514,764号、フレシェら、米国特許第5,041,516号)または10nm
〜50nmの大きさを有する最終ナノ粒子を与えるために化学架橋を受けて球状構造に変
化した自己整合線状ブロック共重合体(Wooley、Journal of Polymer Science Part A:P
olymer Chemistry 38(9):1397-1407(2000))といった個々の球状ナノ粒子の合成に依存
している。
【0005】
良好に分離されたナノ粒子を製造するための代替アプローチが近年開発されており、そ
のアプローチは、個々のナノ粒子を与えるために、単一ポリマーの鎖の分子内架橋と意図
的な凝集とを含んだものである(Mecerreyesら、Advanced Materials 13(3):204-208(20
01))。この方法は、有望ではあるものの、例えば、
競合する分子間架橋反応が、これらのナノ粒子の大規模合成を実現不可能にしてしまうこ
とになる極めて希釈された反応条件を使用することが必要とされるなど、多くの不都合に
直面している。加えて、これら極めて希釈された条件でさえ、分子間架橋は明らかに存在
してしまうので、単一の直鎖を凝集させることにより、単一ナノ粒子を与えるという最終
の目的が実現されない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
その結果、ナノ粒子を製造する改善された方法を見出すことが引き続き必要とされてい
る。本発明は、分子内架橋により、それぞれが良好に分離され、機能性を有するナノ粒子
の合成を可能にする擬似高希釈プロセスによって、上述の要求に対応しようとするもので
ある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの態様は、架橋粒子を製造する方法に関し、(a)活性化されるまで不活
性であり、活性化された場合に、不可逆的に分子内架橋反応する複数の架橋可能な基を有
する合成ポリマー分子を与えるステップと、(b)前記ポリマー分子の不可逆的な分子内
架橋が起こる架橋条件の下で前記架橋可能な基を活性化させて、架橋粒子を形成するステ
ップとを含む。
【0008】
本発明の別の態様は、架橋粒子を製造する方法に関し、(a)活性化されるまで不活性
であり、活性化された場合に、不可逆的に分子内架橋反応する複数の架橋可能な基を有す
る合成ポリマー分子を与えるステップと、(b)前記分子内架橋反応を促進する条件下で
前記架橋可能な基を活性化させるステップとを含み、前記(b)のステップの前記条件は
、前記ポリマー分子間の分子間架橋を実質的に抑制するのに有効なものであり、前記(b
)のステップでは、単一の対応するポリマー分子から単一の架橋粒子を形成することを特
徴とする。
【0009】
本発明のさらに別の態様は、溶媒中で架橋粒子を製造する方法に関し、(a)活性化さ
れるまで不活性であり、活性化された場合に、不可逆的に分子内架橋反応する複数の架橋
可能な基を有する合成ポリマー分子を与えるステップと、(b)前記架橋可能な基を活性
化させるステップと、(c)前記不可逆的な分子内架橋反応を可能にするのに有効な条件
下で溶媒に合成ポリマー分子を加え、実質的に分子間反応を抑制させつつ、前記溶媒中の
対応するポリマー分子からの単一の架橋粒子の形成を開始させるステップとを含む。
【0010】
本発明の別の態様は、多孔質誘電性材料を製造する方法に関し、(a)活性化されるま
で不活性であり、活性化された場合に、不可逆的に分子内架橋反応する複数の架橋可能な
基を有する合成ポリマー分子を与えるステップと、(b)前記ポリマー分子の不可逆的な
分子内架橋が起こる架橋条件下で前記架橋可能な基を活性化させて、架橋粒子を形成する
ステップと、(c)前記架橋粒子の分解温度が前記ホスト・マトリックス材料の分解温度
より低い該架橋粒子をホスト・マトリックス材料と混合して混合物を形成するステップと
、(d)前記架橋粒子の前記分解温度まで前記混合物を加熱し、前記架橋粒子を分解して
多孔質誘電性材料を生成するステップとを含む。
【0011】
本発明の別の態様は、集積回路を形成する方法に関し、(a)架橋粒子の分解温度がホ
スト・マトリックス材料の分解温度より低い25nm未満の直径を有する前記架橋粒子と
前記ホスト・マトリックス材料との混合物層を基板上に配置するステップと、(b)前記
架橋粒子の分解温度まで前記混合物を加熱して該架橋粒子を分解し、多孔質誘電層を生成
するステップと、(c)前記誘電層をリソグラフィによりパターニングするステップと、
(d)前記パターニングした誘電層上に金属膜を付着するステップと、(e)前記膜を平
坦化して集積回路を形成するステップとを含む。
【0012】
本発明のさらに別の態様は、有機材料を含み、直径が2nm〜25nmの範囲に実質的
に揃ったクローズド・セル・ポアを有する多孔質誘電性マトリックスである。
【0013】
本発明のさらに別の態様は、パターン化された誘電層と、平坦化された金属膜とを含み
、誘電性マトリックスには有機材料が含まれ、直径が2nm〜25nmの範囲に実質的に
揃ったクローズド・セル・ポアを有する集積回路に関するものである。
【特許文献1】米国特許第5,514,764号
【特許文献2】米国特許第5,041,516号
【非特許文献1】Wooley、Journal of Polymer Science Part A:Polymer Chemistry 38(9):1397-1407(2000)
【非特許文献2】Mecerreyesら、Advanced Materials 13(3):204-208(2001)
【特許文献3】米国特許第6,107,357号
【特許文献4】米国特許第6,288,188号
【非特許文献3】ThompsonによるIntroduction to Microlithography, 2 nd Ed.,eds.(Washington,D.C.:American Chemical Society, 1994)
【特許文献5】米国特許第4,489,364号
【特許文献6】米国特許第4,508,981号
【特許文献7】米国特許第4,628,411号
【特許文献8】米国特許第4,811,082号
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、擬似高希釈法によって架橋粒子を製造する方法を含み、本発明の高希釈法は
、広く様々な構造および化学成分を有する架橋粒子の製造を可能とする。これは、擬似高
希釈法を用いて得られる精密制御により達成されるものである。合成ポリマー開始材料の
分子内架橋の量を制御することで、分子間結合のない、またはわずかに分子間結合を有す
る良好に分離されたナノ粒子を与えることができる。加えて、これらのナノ粒子のサイズ
および架橋密度は、ポリマーの初期重合度および架橋可能な官能基の結合レベルによって
制御することができる。
【0015】
本発明の方法において、超高希釈に対しては、反応中間生成物の適合性のみが予め要求
され、擬似高希釈系で生じるポリマー自身に対しては要求されない。後続する架橋により
、分子内架橋されたナノ粒子は、反応性を失うので、その濃度は、極めて高いレベル、例
えば、通常の超高希釈技術を使用して得られるマイクロモル濃度と比較しても極めて高い
モル濃度まで増加させることができる。
【0016】
本発明の方法は、約2nm〜100nmの範囲の直径を有するナノ粒子を製造する場合
に有用である。しかしながら、いくつかの実施の形態では、ナノ粒子は、約2nm〜25
nmの範囲の直径を有し、さらには約2nm〜10nmの範囲の直径を有する。
【0017】
本発明の詳細な実施の形態を説明するに先立ち、実施例は、典型的な実施の形態のみを
与えるものであって、本発明は実施例に限定されるものではない。例えば、実施例に特定
の特徴を「含む」ことが記載されている場合でも、本発明の実施にあたって、すべてが当
該特徴を含むことを意味するものではない。
【0018】
(材料)
(合成ポリマー分子)
本発明の方法に使用される合成ポリマー分子としては、典型的には、直鎖状の、または
分枝鎖ポリマーを挙げることができ、分枝鎖ポリマーとしては、星形ポリマー、高分枝鎖
ポリマー、グラフト・ポリマー、樹枝状ポリマー、またはこれらを組み合わせたものを挙
げることができる。合成ポリマー分子は、ブロック共重合体でも良く、典型的には、架橋
可能な基がポリマー分子の少なくとも1つのブロックに含まれている。
【0019】
ポリマー分子は、典型的には、約500〜5,000,000の範囲の数平均分子量を
有し、さらに典型的には、約10,000〜500,000の範囲の数平均分子量を有す
る。ポリマー分子の分子量は、典型的には、約2nm〜100nmの直径の架橋粒子を与
えるように選択される。1つの実施の形態では、分子量を選択して、約2nm〜25nm
の直径の架橋粒子を与え、さらに別の実施の形態では、分子量を選択して、約2nm〜1
0nmの直径のものを与える。
【0020】
本発明の1つの実施の形態では、合成ポリマー分子として、エチレン不飽和重合モノマ
ー、含窒素ポリマー、オレフィン、縮合性モノマー、エポキシドおよびノルボルネン(no
rbornene)を含む開環重合性モノマー、エステル、スルホン、ラクチド、ラクトン、カー
ボネート、イミド、アリーレン(arylene)、アミド、プロピレン、エーテル、ウレタン
、ビニルおよびビニル誘導体、有機ポリシリカからなる群から選択されるモノマー単位を
含む骨格を有する合成ポリマーを挙げることができる。これらについて以下に例示するが
、本発明は、下記のものに限定されるものではない。
【0021】
典型的なエチレン不飽和重合モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル
酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、アルキル
・アクリレート(例えば、メチル・アクリレート、エチル・アクリレート、ブチル・アク
リレート)、アリール・アクリレート(例えば、ベンジル・アクリレート)、アルキル・
メタクリレート、アリール・メタクリレート(例えば、メチル・メタクリレート、n−ブ
チル・メタクリレート、t−ブチル・メタクリレート、2−エチルヘキシル・メタクリレ
ート、ベンジル・メタクリレート、N−フェニル・アクリルアミド)、α−オレフィン(
例えば、エチレン、プロピレン)、およびこれらの混合物を挙げることができる。
【0022】
典型的な含窒素ポリマーとしては、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(メタクリルアミド
)、N,N−ジアルキル・ポリ(アクリルアミド)(特にここでは、窒素を有する置換基が
〜C12アルキルである。)、N,N−ジアルキル・ポリ(メタクリルアミド)(特に
ここでは、窒素を有する置換基がC〜C12アルキルである。)、ポリ(アルコキシル
化ポリアミド)(例えば、N−メトキシメチル化ポリアミド、ヒドロキシエチル化ポリア
ミド)、ポリ(ε−カプロラクタム)、ポリプロピオラクタム、ポリカプリルラクタム、
ポリラウリルラクタム、ポリ(ピロリジン−2−オン(pyrrolidin-2-one))、ポリ(ビ
ニルアミン)、ポリ(ビニル・ピロリドン)、ポリ(2−ビニルピリジン)、ポリ(3−
ビニルピリジン)、ポリ(4−ビニルピリジン)、ポリ(o−アミノスチレン)、ポリ(
m−アミノスチレン)、ポリ(p−アミノスチレン)、ポリオキサゾリン、ポリエチレン
イミン、N−アルキル化ポリエチレンイミン(特に、C〜C12アルキル置換基でアル
キル化されたポリエチレン・イミン)、N−アシル化ポリエチレン・イミン(特に、窒素
を有する置換基がC〜C12アルキルである。)、ポリ(p−フェニレン・テレフタル
アミド)、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリヒドラジド、ポリベン
ズイミダゾール、ポリ(1,2,4−トリアゾール)、ポリヒダントイン、ポリイミジン
、ポリ(スチレン−アクリロニトリル共重合体)、ポリ(ブタジエン−アクリロニトリル
共重合体)、およびこれらの混合物を挙げることができる。
【0023】
典型的なオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ノルボルネン(norbornene)、
テトラシクロドデシン(tetracyclododecene)といったC〜C20(一般的にはC
15)のシクロ・オレフィン・モノマーを挙げることができる。
【0024】
典型的な縮合性モノマーとしては、ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物、ジカルボン酸
エステル、アミノカルボン酸、アミノカルボン酸ラクタム、ヒドロキシカルボン酸、ヒド
ロキシカルボン酸ラクトン、ジオール、ポリエーテル・ジオール、ポリエステル・ジオー
ル、ジイソシアネート、およびこれらの混合物を挙げることができる。
【0025】
典型的な開環重合性モノマーとしては、3つの炭素原子を含む環状炭素化合物、または
5つの炭素原子を含む環状炭素化合物(2以下のヘテロ原子を有する。)を挙げることが
でき、例えば、エポキシドおよびノルボルネン(norbornene)を挙げることができる。
【0026】
典型的なイミドとしては、ピロメリット酸二無水物、ピロメタリック二無水物(pyrome
tallic dianhydride)、ベンゾフェノン二無水物、9,9−ビス−(トリフルオロメチル
)キサンチンテトラカルボン酸二無水物からなる群から選択された二無水物から形成され
るポリ(アミック酸エステル)と、p−フェニレン・ジアミン、4,4’−ジアミノ−ジ
フェニル・エーテル、1,3−ビス(p−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[
4−アミノフェニル]ヘキサ−フルオロプロパンからなる群から選択されたジアミンとの
イミド化によって形成されるポリアミドを挙げることができる。
【0027】
典型的なアリーレン(arylene)としては、フェニレン、フェニルキノキサリン、アリ
ーレン・エーテル(arylene ether)、およびこれらを混合物を挙げることができる。
【0028】
典型的なビニルおよびビニル誘導体としては、酢酸ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデ
ン、アクリル酸ブチルの非置換スチレン、1または2の低級アルキル基、ハロゲンまたは
ヒドロキシ基で置換されたスチレン(例えば、4−ビニルトルエン、4−ビニルフェノー
ル、α−メチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、2−ク
ロロスチレン)、およびこれらの混合物を挙げることができる。
【0029】
典型的な有機ポリシリカとしては、シルセスキオキサン(silsesquioxane)((RSi
1.5で示される重合シリケート材料で、Rは、有機置換基である。)、アルコキ
シシラン(特に、部分縮合したアルコキシシランで、例えば、約500〜20,000の
Mnのテトラエトキシシランの加水分解を制御して部分縮合させたアルコキシシラン)、
組成RSiOおよびRSiOを有し、Rが有機置換基である、有機基で修飾された
シリケート、オルトシリケート(特に、組成SiORを有する部分縮合したオルトシリ
ケート)、およびこれらの混合物を挙げることができる。
【0030】
(架橋可能な基)
本発明の方法で使用可能な合成ポリマー分子としては、活性化されるまで不活性であり
、活性化された場合に、急速かつ不可逆的に分子内架橋反応する複数の架橋可能な基を有
するものを挙げることができる。本発明の擬似高希釈法により実施するためには、架橋性
基は、速い速度で反応し、架橋の化学反応が不可逆的に生じ、生成した結合構造が架橋に
必要とされる条件下において不活性であることが必要である。このため、本発明の架橋性
基は、活性化されるまで不活性であり、活性化された場合に、不可逆的に分子内架橋反応
を生じさせるものであり、架橋可能な基を意味する。
【0031】
本発明においては、多くの好適な架橋可能な基を使用することができ、これらの基は、
典型的には、与えられたポリマー分子内で1以上のモノマー単位に共有結合されている。
これらの基は、モノマーに直接、または連結基を介して間接的に結合されていてもよい。
架橋可能な基は、熱により活性化されてもよく、光分解により活性化されてもよく、紫外
線、電離放射線、または電子ビーム放射線により活性化されてもよく、または化学活性剤
により活性化されてもよい。架橋可能な基の数は、多数の基がより多くの分子内架橋を生
じさせ、この結果、より小さな粒子を与えるため、粒子サイズとは反比例し、ポリマー分
子の架橋可能な基の数を選択して、好適なサイズの架橋粒子を与えることができる。例え
ば、架橋可能な基の数を選択して、約2nm〜100nmの直径の粒子を与えることがで
きる。別の実施の形態では、架橋可能な基の数を適宜選択して、約2nm〜25nm、ま
たは約2nm〜10nmの範囲の望ましい直径の粒子を与えることができる。同様の方法
において、ポリマー分子の架橋密度を選択して、例えば、約2nm〜100nm、約2n
m〜25nm、約2nm〜10nmの範囲の望ましい直径の粒子を与えることができる。
【0032】
典型的な架橋可能な基としては、アクリロイル基、低級アルキル置換アクリロイル基、
ビニル基、置換ビニル基、環状エーテル基、環状エステル基、活性エステル基、シクロア
ルケニル基、酸ハロゲン化物基、アミノ基、アルコール基、フェノール基、カルボン酸基
、ジアセチレン基、非置換および置換アセチレン基(例えば、1以上のアルキル基、アリ
ール基、エステル基、酸またはアミド基で選択的に置換されたもの)、エオノフィル(eo
nophile)基、ジエノフィル基、置換および非置換ビシクロ(4.2.0)オクタ−1,
3,5−トリエニル基を例示することができるが、これらに限定されるものではない。特
に好ましい架橋可能な基としては、ベンゾシクロブテン官能基および置換誘導体(特に、
オキシ置換)を挙げることができ、この基は、熱に架橋可能な基として熱硬化性材料の形
成において広く使用される基である。
【0033】
好適な架橋可能な基の具体例としては、−CH=CH、−C≡CH、−O(CO)−C
H=CH、−O(CO)−C(アルキル)=CH(例えば、−O(CO)−C(低級アルキル
)=CH)、−(CH)−O(CO)−CH=CH、−(CH)−O(CO)−C(ア
ルキル)=CH(例えば、−(CH)−O(CO)−C(低級アルキル)=CH)、−(
CO)−O−CH=CH、−O−CH=CH、−C(CH)=CH、−C(CF)
=CH、−C(CHCH)=CH、−C(CHCF)=CH、−C(C)
=CH、−C=CH(C)、−C≡C(C)、−(CH)−CH=CH
−(CH)−O−CH=CH、−(CH)−(CO)−O−CH=CH、−(CH
)−C(CH)=CH、−(CH)−C(CF)=CH、−(CH)−C(C
CH)=CH、−(CH)−C(CHCF)=CH、−(CH)−(C
)=CHを含むものを挙げることができる。他の好適な架橋可能な基としては、下
記のものを挙げることができる。
【0034】
【化1】

【0035】
上記化学式中のmは、1〜12の整数であり、「alk」はアルキル基、好ましくはC
〜Cのアルキル基である。
【0036】
(溶媒)
本発明の方法のいくつかの実施の形態では、溶媒を使用し、本発明に使用することがで
きる好適な溶媒が数多く存在する。本発明に使用することができる溶媒は、ポリマー分子
および製造された架橋粒子に関して不活性であることが好ましい。
【0037】
本発明においては、高沸点溶媒を使用することができる。高沸点溶媒としては、ベンジ
ル・エーテル、N−シクロヘキシルピロリジノン(N−cyclohexylpyrrolidinone)、N
−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルフェニル・ウレア、N,N−ジメチ
ルトリメチレン・ウレア、ブチル・アセテート、2−エトキシエタノール、シクロペンタ
ノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、エチル・ラクテートといったラクテート
・エステル、エトキシエチル・プロピオネート、プロピレン・グリコール・メチル・エー
テル・アセテートといったアルキレン・グリコール・アルキル・エーテル・エステル、プ
ロピレン・グリコール・メチル・エーテルやプロピレン・グリコール・n−プロピル・エ
ーテルといったアルキレン・グリコール・アルキル・エーテル、メチル・セロソルブ、ブ
チル・アセテート、2−エトキシエタノール、およびエチル・3−エトキシプロピオネー
トといったアルキレン・グリコール・モノアルキル・エステル、ポリエチレン・グリコー
ル、アルキル誘導体およびアリール誘導体、ジフェニル・エーテル、ジフェニル・スルホ
ン、エチレン・カーボネート、およびこれらの混合物を例として挙げることができるが、
これらのものに限定されるものではない。
【0038】
加えて、本発明においては、多くの他の一般的な有機溶媒を使用することができる。有
機溶媒としては、p−キシレン、トルエン、アニソール、メシチレン、1,3−ジメトキ
シベンゼン、トリクロロエチレン、およびこれらの混合物を挙げることができるが、これ
らのものに限定されるものではない。
【0039】
(カップリング剤)
本発明の方法においては、カップリング剤を含むことが望ましく、従来から既知の多く
の好ましいカップリング剤を使用することができる。これらのカップリング剤としては、
エステル、1,2−ジブロモエタンといったジハロゲン化アルカン、ヨウ素、ビス(ブロ
モメチル)ベンゼン、四塩化シリコン、四塩化スズ、ジ(イソプロペニル)ベンゼン、ジ
ビニル・ベンゼン、アルキルトリクロロシラン、ジアルキルジクロロシランを例として挙
げることができるが、これらのものに限定されるものではない。好適なカップリング剤は
、従来からよく知られているように、合成されるポリマーの種類および使用されるモノマ
ーに応じて決定することができる。
【0040】
(化学官能基)
種々の化学官能基による結合は、適合するナノ粒子の製造を可能にする。化学官能基は
、予め形成されたポリマー分子に、または形成中の粒子に結合させることができる。後者
の場合には、化学官能基が架橋粒子に結合されるように、活性化ステップを化学官能基の
存在下で行うことができる。例えば、架橋粒子は、骨格上に少なくとも1つの官能基を有
しており、化学官能基は、この官能基を使用して架橋粒子に共有結合することができる。
【0041】
上述した化学官能基としては、医薬物質、触媒、官能基、界面活性剤、センサー群(se
nsor group)、光応答単位(photoresponsive unit)を挙げることができる。例えば、ポ
リマー分子は、まず、短鎖のカルボキシ官能性ポリスチレン・ブロックを製造することに
より製造することができる。この短鎖のカルボキシ官能性ポリスチレン・ブロックを使用
して、スチレンとビニルベンゾシクロブテンとの混合物の重合を開始させる。生成したポ
リマーはその後、架橋ナノ粒子の製造において開始物質として使用することができ、単一
のカルボキシ官能基と直鎖状のブロックとを結合させることができる。合成特有の汎用性
により、直鎖状ブロックの長さ、繰り返し単位の性質、官能基の数を容易に変更すること
が可能となる。
【0042】
典型的な薬剤としては、ペプチド、DNAオリゴマー、脂質、酵素、糖質、アミノグリ
コシドを挙げることができる。
【0043】
典型的な触媒としては、金属、酸、塩基、酸化剤、還元剤、キレート群を挙げることが
できる。
【0044】
典型的な官能基としては、酸、エステル、アルコール、フェノール、アミン、チオール
、アミド、イミン、ニトリル、エーテル、アセチレン、アルケン、複素環式化合物を挙げ
ることができる。
【0045】
(方法)
本発明の1つの実施の形態では、架橋粒子は、次のステップ、すなわち、(a)活性化
されるまで不活性であり、活性化された場合に、不可逆的に分子内架橋反応する複数の架
橋可能な基を有する合成ポリマー分子を与えるステップと、(b)ポリマー分子の不可逆
的な分子内架橋が起こる架橋条件下で架橋可能な基を活性化させて、架橋粒子を形成する
ステップとによって製造される。
【0046】
「速い」という用語は、各ポリマー分子の分子内架橋がポリマー分子間の分子間架橋を
実質的に抑制するような速度で起こることを意味している。加えて、「実質的に」という
用語は、分子間架橋が合成ポリマー分子間でわずかに起こることを意味している。「わず
かに」という用語は、本発明においては、10%未満、好ましくは5%未満、さらに好ま
しくは1%未満のポリマー分子が分子間架橋に関与することを意味している。
【0047】
本発明の方法により製造される架橋粒子は、ポリマー分子を有する分子間架橋に関して
上記架橋条件下で不活性であることが好ましい。加えて、架橋粒子は、互いに分子間架橋
に関して架橋条件下で不活性であることが好ましい。この不活性という特性により、粒子
が形成された後のさらなる反応が最小限とされ、またはなくすことができる。
【0048】
本発明の好ましい1つの実施の形態では、架橋粒子は、ランダムに形成される。「ラン
ダム」であることによって、与えられる架橋粒子の形成を、合成ポリマー分子の架橋可能
な基の性質や配置とは無関係なものとすることができる。
【0049】
本発明のいくつかの実施の形態では、活性化ステップを溶液中で行うことが望ましい。
例えば、ポリマー分子を、ポリマー分子溶液を形成するために架橋可能な基の活性化に先
立って溶媒に加えておくことができ、架橋可能な基は、溶媒中で活性化され、溶媒中で架
橋粒子を形成させることができる。このことは、架橋可能な基が化学的に活性である場合
に特に有用となる。例えば、分子内架橋を促進させるように、ポリマー分子溶液に化学活
性基を徐々に添加することにより、活性化ステップ(b)を行うことができる。溶媒の使
用は、カップリング剤を使用する場合にも有用である。例えば、分子内架橋を促進するよ
うに、ポリマー分子溶液にカップリング剤を徐々に添加することにより、ステップ(b)
を行うことができる。「徐々に」という用語は、不活性の架橋可能な基が、低濃度中に存
在し、次第に活性化またはアンマスキングされるような速度で、化学活性基またはカップ
リング剤を添加することを意味している。
【0050】
溶媒を使用する上述した方法では、所望する流体力学的容積特性の架橋粒子を生成する
ために、ポリマー分子と架橋可能な基との両方を選択することができる。例えば、1つの
実施の形態では、溶媒中で生じた架橋粒子の流体力学的容積が、架橋する前のポリマー分
子の流体力学的容積の80%よりも小さくなるように、ポリマー分子および架橋可能な基
を選択する。好ましい実施の形態では、架橋粒子の流体力学的容積が架橋する前のポリマ
ー分子の流体力学的容積の、5%〜60%とされる。他の実施の形態では、粒子の流体力
学的容積が架橋する前のポリマー分子の流体力学的容積の、35%〜50%とされる。よ
り小さい容積変化(約5%〜30%)は、官能性の分枝ポリマー、星状、高分枝または樹
枝状巨大分子を使用することにより達成することができる。
【0051】
本発明の他の実施の形態では、架橋粒子は、次のように製造される。(a)複数の架橋
可能な基を有する合成ポリマー分子を与えるステップと、(b)分子内架橋反応を促進す
るのに有効な条件下で架橋可能な基を活性化させるステップとにより製造される。これら
の条件は、ポリマー分子間の分子間架橋を実質的に抑制するのに有効であるように選択さ
れる。この方法では、単一の対応するポリマー分子から単一の架橋粒子を形成するために
活性を与える。いくつかの例では、単一の架橋粒子は、2つ以上のポリマー分子が分子間
架橋する場合に形成される場合もある。しかしながら、上述したように、上記分子間架橋
の量は、本発明ではわずかなものであり、本発明の方法により形成される大部分の粒子は
、開始ポリマー分子材料と実質的に同じ分子量を有していることが判明した。
【0052】
本発明の方法は、典型的には、混合物の0.5質量%より大きい最終濃度の架橋粒子を
与える。好ましい実施の形態では、混合物中の架橋粒子の濃度が約5質量%を超え、より
好ましくは20質量%を超える。本発明の方法には、分離ステップも含めることができ、
架橋粒子を貯蔵部内に配置するために、またはさらなる使用のために分離することができ
る。分離は、従来から知られた方法による過剰ポリマー分子、カップリング剤、活性剤な
どの除去と同様の、これまでに知られた技術により溶媒を除去することを含むものである

【0053】
本発明の他の実施の形態は、(a)複数の架橋可能な基を有する合成ポリマー分子を与
えるステップと、(b)架橋可能な基を活性化させるステップと、(c)実質的に分子間
反応を抑制させつつ、不可逆的な分子内架橋反応を生じさせる有効な条件下で溶媒に合成
ポリマー分子を添加するステップとによって架橋粒子を製造する、溶媒ベースの方法に関
するものである。上述した方法と同様に、対応するポリマー分子から単一の架橋粒子を形
成させることができる。
【0054】
活性化ステップ(b)は、添加するステップ(c)の途中、または後の添加するステッ
プ(c)に先立って行うことができる。加えて、上述した方法は、溶媒を希釈し、または
生成した架橋粒子を取り除くことなく、ステップ(a)、ステップ(b)、ステップ(c
)を繰り返すステップを含んでいてもよい。
【0055】
上述したどの溶液を使用しても、ステップ(a)において、溶液中に分子ポリマーを与
えることができる。架橋性基の活性を伴う分子間反応を実質的に抑制するために、ポリマ
ー溶液を、十分に希釈された濃度とすることが好ましい。
【0056】
分子内架橋反応が起こる速度に関連して、ポリマー分子間の分子間架橋を抑制するため
に、ステップ(c)において合成ポリマー分子を徐々に溶媒に添加することができる。同
様に、合成ポリマー分子が溶液中に与えられる場合、その後の添加するステップ(c)は
、ポリマー分子間の分子間架橋を実質的に抑制するように溶媒にポリマー分子溶液を徐々
に添加して行くことを含むことができる。
【0057】
(架橋可能な基の活性化)
使用される架橋可能な基を熱により活性化する場合には、活性化ステップを、ポリマー
分子を加熱することにより行うことができる。例えば、ポリマー分子を、架橋可能な基を
活性化するために充分に高い温度で、架橋可能な基を活性化するのに有効な温度に保った
溶媒に添加することができる。架橋可能な基を光分解により活性化する場合、活性化ステ
ップは、ポリマー分子に光子エネルギーを保持させるように放射することを含むことがで
きる。
【0058】
紫外線、電離放射線、または電子ビーム放射線により活性化される架橋可能な基に対し
ては、適切な放射線にポリマー分子を照射することにより活性化させることができる。例
えば、分子内架橋を促進するためには、ポリマー分子を放射線が照射された溶媒に徐々に
添加して行くことができる。
【0059】
化学活性剤により活性化できる架橋可能な基に対しては、適切な化学活性剤にポリマー
分子を接触させることにより活性化させることができる。例えば、分子内架橋を促進する
ためには、化学活性剤をポリマー分子に徐々に添加して行くことができる。
【0060】
本発明で使用する好適な化学活性剤としては、数多くのものを挙げることができ、例え
ば、フリーラジカル重合開始剤、酸、塩基、有機触媒、有機金属触媒、金属触媒、求核試
薬、求電子試薬を挙げることができるが、本発明においては、これらのものに限定される
ものではない。
【0061】
好適なフリーラジカル重合開始活性剤としては、ジ(トリクロロメチル)スチベニル・
トリアジン、1,1,1−トリクロロ−t−ブチル・アセトフェノン、過酸化物、パーエ
ステル(perester)、アゾ系重合開始剤および酸素を挙げることができる。
【0062】
好適な酸活性剤としては、アルキル・スルホン酸およびアリール・スルホン酸、トリハ
ロ酢酸、ルイス酸、塩酸といった強酸を挙げることができる。
【0063】
好適な塩基活性剤としては、無機水酸化物、アルコキシド、有機アミン、アンモニア、
リン酸アミド、フェノキシド、無機カーボネートを挙げることができる。
【0064】
好適な有機触媒活性剤としては、ホスフィン、アルシン、メルカプタン、チオエステル
、チオカーボネート、オキサゾール、イミダゾール、チアゾール、複素環式カルベン、ア
ルコールを挙げることができる。
【0065】
好適な有機金属触媒活性剤としては、ルテニウム、タングステン、モリブデン錯体、R
h、Ni、Pd、Snおよび希土類の錯体を挙げることができる。
【0066】
好適な金属触媒活性剤としては、Ag、Cu、Ni、Co、Pd、Mg、Zn、アルカ
リ金属およびアルカリ土類金属を挙げることができる。
【0067】
好適な求核試薬活性剤としては、メルカプタン、アゾール、無機塩化物、フェノキシド
、チオフェノキシド、炭素求核剤、カルボン酸塩、アンモニウム塩を挙げることができる

【0068】
好適な求電子試薬活性剤としては、ハロゲン、ケテン、イソシアネート、イソチオシア
ネート、カルボジイミド、無水物、酸ハロゲン化物、シリル誘導体、アルキル塩化物、ス
ルホン酸塩、トリフレート(triflate)を挙げることができる。
【0069】
本発明の架橋粒子は、マトリックス、特に誘電性マトリックスの形成に使用することが
できる。架橋粒子の分解温度は、ホスト・マトリックス材料の分解温度より低く、一度形
成されたマトリックスは、架橋粒子の分解温度まで加熱することができる。この方法にお
いて、架橋粒子は分解し、多孔質マトリックスを生成する。粒子は、プロセスの間、ドメ
インの成長を制限するように硬化して、マトリックスに結合することが理想的である。こ
れは、マトリックスと粒子とのどちらかに含まれる官能基を介して、または、硬化中のマ
トリックスと粒子とを結びつける適切なカップリング剤の添加により生じるものである。
カップリング剤は特に、ホスト・マトリックス材料および粒子の官能基に適合させること
ができる。好適なカップリング剤は、従来技術において知られたものを挙げることができ
、Hawkerらによる米国特許第6,107,357号に記載されており、これらを本願に含
ませることができる。典型的なホスト・マトリックス材料としては、ポリイミド、ポリベ
ンザゾール、ポリアリーレン(polyarylene)、ポリアリーレン・エーテル(polyarylene
ether)およびポリキノリンといった高温熱可塑性ポリマーを挙げることができる。また
、シルセスキオキサン(silsesquioxane)、ゾル−ゲル・シリケート、エポキシ樹脂、イ
ソシアネート、ポリアセチレン、ポリアリーレン(polyarylene)、ポリアリーレン・エ
ーテル(polyarylene ether)といった高温熱硬化性ポリマーを利用することもできる。
熱硬化は、熱または触媒の使用によって誘導することができる。
【0070】
上述したポリマー・ベースの誘電性材料は、無機材料より低い誘電定数を与える。不都
合なことに、小さいポア・サイズを有する有機誘電性材料を製造するのは困難であった。
有機マトリックス・ホスト材料と結合した本発明の架橋粒子を使用することにより、直径
が実質的に2nm〜25nmの範囲、より好ましくは2nm〜10nmの範囲に揃ったク
ローズド・セル・ポアを有する多孔質有機誘電性マトリックスが得られる。集積回路は、
一度パターン化され、平坦化された金属膜が結合された誘電性マトリックスにより作製す
ることができる。粒子サイズに関連して本発明において使用されている、「実質的に」と
いう用語は、かなりの数のポアが指定された範囲内の直径を有することを意味する。「か
なりの」という用語は、ポアの約90%を超えることを意味し、好ましくは95%を超え
、さらに好ましくは99%を超えることを意味する。
【0071】
ホスト・マトリックス材料としてSiLK(ダウ・ケミカル社製)(商標)というブラ
ンド名の半導体誘電性樹脂といった有機材料を使用することは、特に興味深いものである
。典型的なSiLK材料は、Godschalxらによる米国特許第5,965,679号および
米国特許第6,288,188号に記載されるポリフェニレン・オリゴマーおよびポリフ
ェニレン・ポリマーを含み、これらの開示は、本願に含めることができる。これらの材料
は、2以上のシクロペンタジエノン基を含む少なくとも1つの多官能性化合物、および2
以上の芳香族アセチレン基を含む少なくとも1つの多官能性化合物の反応生成物であるオ
リゴマー、硬化していないポリマー、または硬化したポリマーであって、少なくとも1つ
の多官能性化合物がアセチレン基およびシクロペンタジエノン基といった3個以上の反応
基を含んでいる。
【0072】
誘電性化合物を製造するために架橋粒子を使用することは、多くの有利な特性を有する
多孔質重合マトリックスを与える。このマトリックスは、25℃で、誘電定数(k)が3
.0より小さいことが好ましく、2.8より小さいことがより好ましく、2.5より小さ
いことがさらに好ましい。加えて、上記マトリックスは、クローズド・セル・ポアの直径
が、概ね25nmより小さい(例えば、250Åより小さい)ことが好ましく、10nm
より小さい(例えば、100Åより小さい)ことがより好ましい。上記マトリックスは、
概ね約5%〜35%の範囲の空隙率を有し、機械的強度を向上させ、かつクラック抵抗と
改善された等方性の光学特性を付与する。誘電性組成物(例えば、100ppmより小さ
く、好ましくは40ppmより小さく、さらに好ましくは30ppmより小さい。)は、
温度上昇につれて熱膨張係数が低くなり、熱プロセスの間、フィルム・クラッキングを回
避し易くさせる。さらに、誘電性組成物は、多層集積回路デバイスにおいて化学的/機械
的な平坦化を可能とする機械的特性を有するので、多数の回路レベルのリソグラフ形成を
容易にする。誘電性組成物は、視覚的に透明で、基板に良好に接着する。
【0073】
本発明の架橋粒子を使用して製造される誘電性組成物は、電子デバイス、特に集積回路
デバイスの製造において特定の用途に使用することができる。本発明による集積回路デバ
イスを図1に例示的に示す。図1に示したデバイスは、基板2、金属回路配線4、および
本発明の誘電材料6が内部に形成されている。基板2には、鉛直方向金属スタッド8が内
部に形成されている。回路配線は、デバイス内の電気信号を分配し、デバイスからの信号
出力、デバイスへの入力を与えるために機能する。集積回路デバイスは、概ね鉛直方向金
属スタッドにより相互に連結された多層の回路配線を含むことが好ましい。
【0074】
好適な基板2としては、シリコン、酸化シリコン、シリコン−ゲルマニウム、ガラス、
窒化シリコン、セラミックス、アルミニウム、銅およびガリウムヒ素を挙げることができ
る。回路配線は、一般に、銅、アルミニウム、タングステン、金、銀、またはこれらの合
金といった金属であることが好ましく、導電性材料も好ましい。状況に応じて、回路配線
は、ニッケル、タンタルまたはクロムといった金属ライナ、またはバリア層または接着層
(例えば、SiN、TiN、または類似のもの)といった他の層でコーティングすること
ができる。
【0075】
本発明は、本発明において開示するように誘電性組成物を含む集積回路デバイスを製造
する方法に関するものである。図2に示すように、プロセスの実施の形態の1つでは、第
1のステップは、上述したように、(i)本発明の架橋粒子とホスト・マトリックス材料
との混合物の層10を、基板2上に配設するステップを含む。混合物は、スピン・コーテ
ィング、スプレー・コーティング、またはドクター・ブレーディングといった、従来から
知られた方法により基板に塗布することができる。層10は、架橋粒子を効果的に分解す
る温度になるまで加熱され、層10が本発明の誘電性組成物に変化する。
【0076】
図3に示すように、プロセスの第2のステップでは、誘電性組成物の層10をリソグラ
フィによりパターン化して、トレンチ12(くぼみ)を形成することを含んでいる。図3
で示されるトレンチ12は、基板2および金属スタッド8に伸びている。リソグラフィに
よるパターニングは、一般に、(i)例えば、ShipleyまたはHoechst Celanese(AZフ
ォトレジスト)として販売されるポジ型フォトレジストまたはネガ型フォトレジストを有
する誘電性組成物の層10をコーティングするステップと、(ii)電磁気、例えば、U
Vまたは深UVといった放射線にフォトレジストを(マスクを介して)露光するステップ
と、(iii)例えば、好適な塩基性現像液を用いてレジスト内のイメージを現像するス
テップと、(iv)反応性イオン・ブランケットまたはビーム・エッチングといった好適
な転写技術を用いて基板2に誘電性組成物の層10を介してイメージを転写するステップ
とを含む。好適なリソグラフィによるパターニング技術は、ThompsonによるIntroduction
to Microlithography, 2 nd Ed.,eds.(Washington,D.C.:American Chemical Society
, 1994)に開示されるように、従来からよく知られた技術である。
【0077】
図4に示すように、本発明の集積回路を形成する方法の第3のステップでは、金属膜1
4がパターン化された誘電層10に付着される。好ましい金属材料としては、銅、タング
ステンおよびアルミニウムを挙げることができる。金属は、化学的蒸着(CVD)、プラ
ズマ−エンハンスドCVD、電解めっき、無電解めっき(シード−触媒反応による原位置
還元)、スパッタリングなどといった従来から知られた技術によりパターン化された誘電
層上に付着されることが好ましい。
【0078】
図5に示すように、プロセスの最終ステップにおいては、膜がパターン化された誘電層
10とともに、概ね略面一となるように、金属膜14を「平坦化する」ことにより、余分
な金属材料を除去することを含む。平坦化は、化学的/機械的ポリッシング、または選択
的ウェットまたはドライ・エッチングを使用して実行することができる。化学的/機械的
ポリッシングのための好適な方法は、当業者により従来から知られたものである。
【0079】
図6〜図8には、本発明の集積回路デバイスを作製する別の方法を示す。この実施の形
態のプロセスにおける第1のステップは、基板18上に金属膜16を付着することを含ん
でいる。基板18には、鉛直方向金属スタッド20も設けられている。図7に示すプロセ
スの第2のステップでは、金属膜をマスクを介してリソグラフィによりパターン化し、ト
レンチ22が形成されている。図8に示すプロセスの第3のステップでは、本発明の架橋
粒子およびホスト・マトリックス材料の層24をパターン化した金属膜16上に付着させ
る。プロセスの最終ステップでは、混合物を加熱して、架橋粒子を分解する。状況に応じ
て、上述したようにして与えられる誘電層は、多層集積回路において後続のプロセスにお
いて必要に応じ、平坦化することができる。
【0080】
本発明は、加えて、1以上の集積回路チップに信号および電流を供給するための集積回
路パッケージング・デバイス(多チップ・モジュール)にも関するものであり、集積回路
パッケージング・デバイスは、(i)回路ボードに接続するための導電手段を有する基板
と、(ii)少なくとも1つの層が本発明の誘電性材料の膜を含む基板上に交互に配置さ
れる複数の絶縁層および導電層と、(iii)導電手段と導電層と集積回路チップとに電
気的に内部接続するための複数のバイアとを含んでいる。
【0081】
集積回路パッケージング・デバイスは、集積回路チップと回路ボードとの間の中間レベ
ルのパッケージングに相当する。集積回路チップは、集積回路パッケージング・デバイス
に搭載され、これはまた、回路ボードに搭載される。
【0082】
パッケージング・デバイスの基板は、概ね、ガラス、シリコンまたはセラミックスとい
った不活性基板とされ、好適な不活性基板としては、エポキシ組成物、ポリイミド、フェ
ノール類ポリマー、高融点ポリマーなどを挙げることができる。基板は、典型的には、配
置された集積回路を備えている。基板には、入力/出力ピン(I/Oピン)といった導電
手段が与えられており、回路ボードにパッケージング・デバイスを電気的に接続させてい
る。複数の絶縁層および導電層(誘電絶縁材料内に配置された導電回路を有する層)は、
基板上に交互に積層されている。これらの層は、概ね、別々のプロセス・ステップで形成
されるそれぞれの層を、層ごとに基板上に形成される。
【0083】
パッケージング・デバイスは、集積回路チップを収容するための収容手段も含んでいる
。好適な収容手段としては、チップI/Oピンを収容するためのピン・ボード、またはチ
ップにはんだ接続するための金属パッドを挙げることができる。概ね、パッケージング・
デバイスは、I/Oピン、導電層、収容手段に配置される集積回路チップに電気的に内部
接続する鉛直方向に配列された複数の電気的バイアを含んでいる。その機能、構造および
上述した集積回路パッケージ・デバイスの製造方法は、従来から知られており、例えば、
米国特許第4,489,364号、米国特許第4,508,981号、米国特許第4,6
28,411号、米国特許第4,811,082号に開示されている。
【0084】
以下に示す実施例は、本発明において開示したオリゴマーおよびポリマーの使用方法お
よび製造方法の完全な開示と内容とを、当業者に提供するために提示するものである。特
に示さない限り、質量を単位とするものであり、温度は℃、圧力は略大気圧である。
【0085】
(実施例)
市販の試薬を、Aldrich社から入手し、精製することなく使用した。シリカゲルGF(
0.24mm厚さ)でコーティングされた市販のメルク・プレート上で、TLCを行い、
分析した。フラッシュ・クロマトグラフィに使用するシリカゲルは、Merck Kieselgel 60
(230〜400メッシュ、ASTM)である。重水素を含む溶媒とリファレンスのため
の溶媒ピークとを使用し、バルカーAM200FT−NMRスペクトロメータ上で核磁気
共鳴分析を行った。ポア・サイズが増加するように(100Å、1,000Å、100,
000Å、1,000,000Å)、直列に接続した4つの5μmWatersカラム(300
mm×7.7mm)を備えるWaters社のクロマトグラフを使用してTHFによりゲル・パ
ーミエーション・クロマトグラフィ分析を行った。Waters410示差屈折率検出器および
996フォトダイオード・アレイ検出器を使用した。ポリ(n−ブチル・アクリレート)
の分子量は、ポリ(n−ブチル・アクリレート)スタンダードを基準にして計算し、ポリ
スチレンの分子量は、直鎖状ポリスチレンを基準にして計算した。
【0086】
<符号>
BCB ベンゾシクロブテン
nBuLi n−ブチル・リチウム
DCM ジクロロメタン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
MeOH メタノール
PD 多分散性指数
THF テトラヒドロフラン
RT 室温
SEC サイズ・エグゼキューション・クロマトグラフィ
【0087】
<4−ビニル−ベンゾシクロブテン・モノマー(3)の合成>
【0088】
【化2】

【0089】
<4−ホルムアルデヒド−ベンゾシクロブテン(2)>
500mlフラスコに、ジブロモエタン4滴とともに、50mlの無水THFと2.8
8g(120mmol)のMg薄片とを加えた。その後、反応混合物を15分間、還流下
で加熱し、25mlのTHFで希釈した20g(108mmol)の4−ブロモベンゾシ
クロブテン(1)を、グリニャール試薬に滴下漏斗を使用して添加した。添加後、25m
lの無水THFで滴下漏斗を洗浄し、反応混合物を還流下でさらに45分間加熱して、緑
茶色の溶液を得た。反応混合物をRTまで冷却し、その後、0℃まで冷却し、15ml(
210mmol)のDMFを溶液に滴下して加え、その反応混合物をさらに15分間、還
流下で加熱した。反応混合物を150gの氷に注いでpH=4の酸性とし、飽和NaHC
溶液で中和した。酢酸エチルで抽出し、有機相をセライト上で濾過し、溶媒を蒸発さ
せて粗生成物を得た。その粗生成物を、抽出溶媒として10%のジエチルエーテル/ヘキ
サンを使用してカラム・クロマトグラフィによって分離し、キューゲルロール蒸留(Kuge
lrohr distillation)により最終的に精製した。無色の液体(2)の収率は、81%であ
った。
【0090】
H−NMR(250MHz、CDCl)は、9.9(s、1H、CHO)、7.6
5(dd、1H、J=7.4Hz、J’=1.2Hz、ArH)、7.50(s、1H、
ArH)、7.14(dd、1H、J=7.4Hz、J’=1.2Hz、ArH)、3.
15(s、4H、CH)であった。
【0091】
<4−ビニル−ベンゾシクロブテン(3)>
500mlの丸底フラスコに、24.3g(68.1mmol)の(Ph)PCH
Brと110mlの無水THFとを加え、−78℃まで冷却した。26.4ml(66m
mol)のnBuLi(ヘキサン中、2.5M)を滴下して加え、反応混合物をRTまで
暖めた。黄−オレンジ色の溶液を再度−78℃まで冷却し、34mlの無水THFで希釈
した7.16g(54.2mmol)の化合物2を徐々に加え、RTで2時間撹拌した。
終了後、飽和NHCl溶液および飽和NaHCO溶液で順次、反応物を処理した。セ
ライト上で濾過し、ジエチル・エーテル/ヘキサン(1:1)を使用して抽出し、(加熱
なしで)溶媒を蒸発させることにより粗生成物(3)を得た。抽出溶媒として5%のジエ
チル・エーテル/ヘキサンを使用し、カラム・クロマトグラフィ、キューゲルロール蒸留
(Kugelrohr distillation)により、さらに精製して、収率78%の無色の液体の純粋な
生成物(3)を得た。
【0092】
H−NMR(250MHz、CDCl)は、7.26(d、1H、J=7.4Hz
、ArH)、7.20(s、1H、ArH)、7.04(d、1H、J=7.4Hz、A
rH)、6.74(dd、1H、J=17.5Hz、J’=10.8Hz、CH)、5.
70(d、1H、J=17.5Hz、CH)、5.20(d、1H、J=10.8Hz
、CH)、3.19(s、4H、CH)であった。
【0093】
<ナノ粒子形成に使用するポリマー>
<スチレン(90%スチレン/10%BCB(60K))を用いたビニル−ベンゾシクロ
ブテンのランダム共重合体>
【0094】
【化3】

【0095】
【化4】

【0096】
アルコキシアミン重合開始剤(4)を、撹拌バーを備えたガラス・アンプル内の540
当量のスチレンおよび60当量の化合物3に溶解した。凍結および解凍を3度繰り返した
後、アルゴン下でアンプルをシールし、125℃で9時間加熱した。生じたポリマーをD
CMで溶解し、MeOHに沈殿させることにより精製し、Mn=57,000、PD=1
.10の無色の粉末を得た。
【0097】
H−NMR(250MHz、CDCl)は、7.24−6.57(m、45H、A
rH)、3.05(bs、4H、CH)、1.83−1.26(m、39H、CH
CH)であった。
【0098】
<スチレン(95%スチレン/5%BCB(80K))を用いたビニル−ベンゾシクロブ
テンのランダム共重合体>
【0099】
【化5】

【0100】
90%スチレン/10%BCBポリマーについての上述した手順と同様にして、簡単な
合成(上記化学式5に示す。)により95:5のスチレン/BCBランダム共重合体(M
w=80,000、PD=1.11)(6)を得た。
【0101】
<PEG重合開始剤(5)(90%のスチレン/10%BCB/10%PEG(60K))
を使用したスチレンを用いたビニル−ベンゾシクロブテンのブロック共重合体>
【0102】
【化6】

【0103】
ポリ(エチレン・グルコール)末端アルコキシアミン重合開始剤を、撹拌バーを備えた
ガラス・アンプル内の540当量のスチレンおよび60当量の化合物3に溶解した。凍結
および解凍を3度繰り返した後、アルゴン下でアンプルをシールし、125℃で3時間加
熱した。生じたポリマーをジクロロメタンに溶解し、メタノールに沈殿させて精製し、M
n=61,000、PD=1.10の無色の粉末を得た。
【0104】
H−NMR(250MHz、CDCl)は、7.24−6.57(m、45H、A
rH)、3.65(s、4H、OCH)、3.05(bs、4H、CH)、1.83
−1.26(m、39H、CH、CH)であった。
【0105】
<n−ブチルアクリレートを用いたビニル−ベンゾシクロブテンのランダム共重合体>
【0106】
【化7】

【0107】
アルコキシアミン重合開始剤を撹拌バーを備えたガラス・アンプル内の540当量のn
−ブチル・アクリレートおよび60当量の化合物3に溶解した。凍結および解凍を3度繰
り返した後、アルゴン下でアンプルをシールし、125℃で15時間加熱した。生じたポ
リマーをDCMに溶解し、MeOH/HO(3:1)に沈殿させて、Mn=54,00
0、PD=1.08の無色の粘性物質を得た。
【0108】
H−NMR(250MHz、CDCl)は、6.83−6.63(m、3H、Ar
H)、4.10−3.83(m、9H、CHCH)、3.05(bs、4H、CH
、2.22−1.01(m、55H、CH、CH)であった。
【0109】
<ナノ粒子を形成する基本手順>
次に、本発明のナノ粒子を提供するための分子内架橋反応の基本手順の概略を説明する

【0110】
20mlのベンジル・エーテルを、内部温度計、冷却器および隔壁を備える500ml
の三つ口フラスコ内で250℃まで加熱した。ベンジル・エーテル(40ml)(架橋す
る基の合計に応じて1〜10質量%)に溶解した、望ましいベンゾシクロブテン官能性線
状ポリマーの溶液を、アルゴン下で強制的に撹拌し、約12.8ml/hrでシリンジ・
ポンプを使用して添加した。添加後、減圧下
で溶媒を留去し、MeOH中に残留した粗生成物を沈殿させた。無色の沈殿物を濾過し、
真空下で乾燥した。
【0111】
H−NMR(250MHz、CDCl)における顕著な変化は、架橋粒子の形成に
おいて、3.05でベンゾシクロブテンのプロトンが消失することである。
【0112】
<分子間架橋レベルの比較>
従来の高希釈法の手順に従い、ベンジル・エーテル内の95:5スチレン/BCBラン
ダム共重合体(6)の溶液を、種々の濃度で、250℃で8時間、シールしたチューブ内
で加熱した。低濃度(約2.5×10−4M)でさえ、かなりの量の分子間架橋が生じる
ことが観測され、ナノ粒子の分子量の増加によって証明された。約9.0×10−3Mの
濃度で、膨潤したゲルへと架橋が急速(約1分)に発生した。
【0113】
これらの濃度は、他の従来の超高希釈技術を用いて得られた結果と同様のものであるが
、ベンジル・エーテル内の同じ開始線状ポリマーの0.2M溶液を、250℃に加熱した
ベンジル・エーテルに連続的に供給する本発明の擬似高希釈法とは正反対に、これらの条
件の下では、架橋は観察されず、従来の高希釈法と比較した場合に2ケタ大きい、最終的
に全体濃度3.0×10−2Mでのみ、わずかな量の分子間架橋が観察された。
【0114】
<流体力学的容積の比較>
ナノ粒子の流体力学的容積は、分子内架橋によって減少する。元の直鎖状ポリマー(6)
は、分子量が80,000であった。従来の高希釈法による場合、ポリマーは、分子内架
橋においてサイズ収縮を受け、流体力学的容積が約20%減少したMw=65,000の
ポリスチレンと等しいナノ粒子が得られた。
【0115】
本発明の擬似高希釈法は、分子間架橋を実質的に排除することを可能にするため、その
技術は、流体力学的容積と架橋する基の数との間の関係を評価する機会を与える。直鎖状
ポリスチレン誘導体は、同じ分子量のものを製造することができるものの、2.5モル%
〜20モル%の範囲でBCB結合レベルが異なるものであった。観察された流体力学的容
積の変化は、飛躍的であり、BCB結合レベルとナノ粒子の最終サイズとの間には、ほぼ
直線関係が得られた。
【0116】
<ポリマー分子と架橋粒子との割合>
本発明の方法は、初期の直鎖状ポリマーの長さを増加させることにより、または官能基
を含有させることにより、ナノ粒子の官能性およびサイズの正確な制御を可能とする。分
子量Mn=270,000、PD=1.13を有する90%/10%のスチレン/BCB
ランダム共重合体を製造した。ポリマー分子から、分子内架橋後、ポリスチレンの分子量
110,000、PD=1.08を有する単分子ナノ粒子を得た。これは、ナノ粒子/分
子につき、約140の分子内架橋が存在し、かつ分子間架橋がないことにより、サイズが
約60%収縮することを示している。開始材料(ポリマー)と製品(架橋粒子)とのSE
Cトレースの比較において最終ナノ粒子の分散度を観察した。
【0117】
本明細書の中に記載されている、または参照されている特許、出版物、その他の公表文
書の各々は、その全体を参照することにより本明細書に含めることができるものである。
【0118】
本発明は、特定の実施の形態を参照して説明してきたが、本発明の範囲から逸脱するも
のでない限り、種々の変更例、均等な置換が可能であることは、当業者により理解される
であろう。加えて、本発明の範囲であれば、多くの変形例は特定の状況、材料、物質の成
分、プロセス、プロセスのステップに適合するようになされうるものである。したがって
、本発明の範囲は、権利範囲と均等な最大の範囲である、添付の特許請求の範囲に基づい
て決定されるべきものである。
【0119】
以下に、本発明をまとめて開示する。
(1)架橋粒子を製造する方法であって、
(a)活性化されるまで不活性であり、活性化された場合に、不可逆的に分子内架橋反
応する複数の架橋可能な基を有する合成ポリマー分子を与えるステップと、
(b)前記ポリマー分子の不可逆な分子内架橋が起こる架橋条件下で前記架橋可能な基
を活性化させて、架橋粒子を形成するステップと、
を含む方法。
(2)前記架橋粒子は、分子間架橋に関して前記架橋条件下で前記ポリマー分子に対して
不活性である、上記(1)に記載の方法。
(3)前記架橋粒子は、分子間の架橋に関して前記架橋条件下で互いに不活性である、上
記(1)に記載の方法。
(4)前記ポリマー分子は、前記架橋可能な基を活性化する前に、ポリマー分子溶液を形
成するために溶媒に加えられ、前記架橋可能な基が前記溶媒中で活性化され、前記溶媒中
において前記架橋粒子が形成される、上記(1)に記載の方法。
(5)前記(b)のステップは、分子内架橋を促進するように、前記ポリマー分子溶液に
カップリング剤を添加して行くことにより行われる、上記(4)に記載の方法。
(6)前記架橋可能な基は、熱により活性化され、前記(b)のステップが前記ポリマー
分子を加熱することにより行われる、上記(1)に記載の方法。
(7)前記(b)のステップは、前記架橋可能な基に高い活性を与える温度に保った溶媒
に前記ポリマー分子を添加することにより行われる、上記(6)に記載の方法。
(8)前記架橋可能な基は、光分解により活性化され、前記(b)のステップが前記ポリ
マー分子に放射線照射することにより行われる、上記(1)に記載の方法。
(9)前記架橋可能な基は、紫外線、電離放射線、または電子ビーム放射線を用いて活性
化される、上記(1)に記載の方法。
(10)前記(b)のステップは、分子内の架橋を促進するために、放射線照射された溶
媒に前記ポリマー分子を添加して行くことにより行われる、上記(9)に記載の方法。
(11)前記架橋可能な基は、化学活性剤により活性化され、前記(b)のステップが前
記化学活性剤を前記ポリマー分子に接触させることにより行われる、上記(1)に記載の
方法。
(12)前記(b)のステップは、分子内の架橋を促進するために、前記ポリマー分子に
前記化学活性剤を添加して行くことにより行われる、上記(11)に記載の方法。
(13)前記(b)のステップは、分子内の架橋を促進するために、前記化学活性剤に前
記ポリマー分子を添加して行くことにより行われる、上記(11)に記載の方法。
(14)前記化学活性剤は、フリー・ラジカル重合開始剤、酸、塩基、有機触媒、有機金
属触媒、金属触媒、求核試薬、求電子試薬からなる群から選択される、上記(11)に記
載の方法。
(15)前記ポリマー分子の分子量を選択して、直径2nm〜100nmの架橋粒子を与
える、上記(1)に記載の方法。
(16)前記ポリマー分子の前記分子量を選択して、直径2nm〜25nmの架橋粒子を
与える、上記(15)に記載の方法。
(17)前記ポリマー分子の前記分子量を選択して、直径2nm〜10nmの架橋粒子を
与える、上記(16)に記載の方法。
(18)前記ポリマー分子の架橋可能な基の数を選択して、直径2nm〜100nmの架
橋粒子を与える、上記(1)に記載の方法。
(19)前記ポリマー分子の架橋可能な基の数を選択して、直径2nm〜25nmの架橋
粒子を与える、上記(18)に記載の方法。
(20)前記ポリマー分子の架橋可能な基の数を選択して、直径2nm〜10nmの架橋
粒子を与える、上記(19)に記載の方法。
(21)前記ポリマーの架橋密度を選択して、直径2nm〜100nmの架橋粒子を与え
る、上記(1)に記載の方法。
(22)前記ポリマーの架橋密度を選択して、直径2nm〜25nmの架橋粒子を与える
、上記(21)に記載の方法。
(23)前記ポリマーの架橋密度を選択して、直径2nm〜10nmの架橋粒子を与える
、上記(22)に記載の方法。
(24)前記ポリマー分子および前記ポリマー分子の架橋可能な基を、前記溶媒中の前記
架橋粒子の流体力学的容積が架橋する前の前記ポリマー分子の流体力学的容積の80%以
下となるように選択する、上記(4)に記載の方法。
(25)前記流体力学的容積は、架橋する前の前記ポリマー分子の前記流体力学的容積の
5%〜60%とされる、上記(24)に記載の方法。
(26)前記流体力学的容積は、架橋する前の前記ポリマー分子の前記流体力学的容積の
35%〜50%とされる、上記(25)に記載の方法。
(27)前記流体力学的容積は、架橋する前の前記ポリマー分子の前記流体力学的容積の
5%〜30%とされる、上記(25)に記載の方法。
(28)前記ポリマー分子が直鎖状ポリマーである、上記(1)に記載の方法。(29)
前記ポリマー分子が分枝鎖ポリマーである、上記(1)に記載の方法。(30)前記ポリ
マー分子が星状ポリマー、高分枝鎖ポリマー、グラフト・ポリマー、または樹枝状ポリマ
ーである、上記(29)に記載の方法。
(31)前記ポリマー分子は、ブロック共重合体であり、前記架橋可能な基は、前記ポリ
マー分子の少なくとも1つのブロックに含まれる、上記(1)に記載の方法。
(32)前記ポリマー分子は、エチレン不飽和重合モノマー、含窒素ポリマー、オレフィ
ン、縮合性モノマー、開環重合性モノマー、エステル、スルホン、ラクチド、ラクトン、
カーボネート、イミド、アリーレン、アミド、プロピレン、エーテル、ウレタン、ビニル
、ビニル誘導体、有機ポリシリカからなる群から選択されるモノマー単位を含む骨格を有
する、上記(1)に記載の方法。
(33)各架橋可能な基は、モノマー単位に直接結合される、上記(32)に記載の方法

(34)各架橋可能な基は、連結基を介してモノマー単位に結合される、上記(32)に
記載の方法。
(35)前記架橋可能な基は、アクリロイル基、低アルキル置換アクリロイル基、ビニル
基、置換ビニル基、環状エーテル基、環状エステル基、活性エステル基、シクロアルケニ
ル基、酸ハロゲン化物基、アミノ基、アルコール基、フェノール基、カルボン酸基、ジア
セチレン基、非置換および置換アセチレン基、エオノフィル基、ジエノフィル基、置換お
よび非置換ビシクロ(4.2.0)オクタ−1,3,5−トリエニル基からなる群から選
択される、上記(1)に記載の方法。
(36)前記架橋粒子は、ランダムに形成される、上記(1)に記載の方法。
(37)前記ポリマー分子は、化学官能基をさらに含む、上記(1)に記載の方法。
(38)前記化学官能基は、医薬物質、触媒、官能基、界面活性剤、センサー群、または
光応答単位である、上記(37)に記載の方法。
(39)前記(b)のステップは、化学官能基の存在中で行われ、前記化学官能基が前記
架橋粒子に結合される、上記(1)に記載の方法。
(40)前記架橋粒子は、骨格に少なくとも1つの官能基を有し、前記化学官能基が前記
官能基において前記架橋粒子に結合される、上記(39)に記載の方法。
(41)前記化学官能基は、医薬物質、触媒、官能基、界面活性剤、センサー群、光応答
単位である、上記(40)に記載の方法。
(42)マトリックス中に前記架橋粒子を結合するステップをさらに含む、上記(1)に
記載の方法。
(43)前記架橋粒子の分解温度は、前記マトリックスの前記分解温度より低く、前記方
法は、前記架橋粒子の前記分解温度まで前記マトリックスを加熱するステップを含み、前
記架橋粒子を分解して多孔質マトリックスを生成する、上記(42)に記載の方法。
(44)架橋粒子を製造する方法であって、
(a)活性化されるまで不活性であり、活性化された場合に、不可逆的に分子内架橋反
応する複数の架橋可能な基を有する合成ポリマー分子を与えるステップと、
(b)前記分子内架橋反応を促進する条件下で前記架橋可能な基を活性化させて、架橋
粒子を形成するステップと
を含み、前記(b)のステップの前記条件は、前記ポリマー分子間の分子間架橋を抑制す
るものであり、前記(b)のステップでは、単一の対応するポリマー分子からの単一の架
橋粒子を形成する方法。
(45)前記ポリマー分子の10%未満が分子間架橋に関与する、上記(44)に記載の
方法。
(46)前記ポリマー分子の5%未満が分子間架橋に関与する、上記(45)に記載の方
法。
(47)前記架橋可能な基は、熱により活性化され、光分解により活性化され、紫外線、
電離放射線、または電子ビーム放射線を用いて活性化され、または化学活性剤により活性
化される、上記(44)に記載の方法。
(48)前記ポリマー分子は、エチレン不飽和重合モノマー、含窒素ポリマー、オレフィ
ン、縮合性モノマー、開環重合性モノマー、エステル、スルホン、ラクチド、ラクトン、
カーボネート、イミド、アリーレン、アミド、プロピレン、エーテル、ウレタン、ビニル
、ビニル誘導体、有機ポリシリカからなる群から選択されるモノマー単位を含む骨格を有
する、上記(44)に記載の方法。
(49)前記架橋可能な基は、アクリロイル基、低アルキル置換アクリロイル基、ビニル
基、置換ビニル基、環状エーテル基、環状エステル基、活性エステル基、シクロアルケニ
ル基、酸ハロゲン化物基、アミノ基、アルコール基、フェノール基、カルボン酸基、ジア
セチレン基、非置換および置換アセチレン基、エオノフィル基、ジエノフィル基、置換お
よび非置換ビシクロ(4.2.0)オクタ−1,3,5−トリエニル基からなる群から選
択される、上記(44)に記載の方法。
(50)前記架橋粒子は、ランダムに形成される、上記(44)に記載の方法。(51)
マトリックス中に前記架橋粒子を結合するステップをさらに含む、上記(44)に記載の
方法。
(52)前記架橋粒子の分解温度は、前記マトリックスの分解温度より低く、前記方法は
、前記架橋粒子の前記分解温度まで前記マトリックスを加熱するステップをさらに含み、
前記架橋粒子を分解して多孔質マトリックスを生成する、上記(51)に記載の方法。
(53)溶媒中で架橋粒子を製造する方法であって、
(a)活性化されるまで不活性であり、活性化された場合に、不可逆的に分子内架橋反
応する複数の架橋可能な基を有する合成ポリマー分子を与えるステップと、
(b)前記架橋可能な基を活性化させるステップと、
(c)前記不可逆的な分子内架橋反応が可能な条件下で溶媒に合成ポリマー分子を加え
、分子間反応を抑制させつつ、前記溶媒中の対応するポリマー分子からの単一の架橋粒子
の形成を開始させるステップとを含む方法。
(54)前記(b)のステップは、前記(c)のステップより前に行われる、上記(53
)に記載の方法。
(55)前記(b)のステップは、前記(c)のステップ中、または前記(c)のステッ
プに続いて行われる、上記(53)に記載の方法。
(56)前記溶媒を希釈し、または架橋粒子を除去せずに、前記(a)のステップ、前記
(b)のステップおよび前記(c)のステップを繰り返すステップを含む、上記(53)
に記載の方法。
(57)前記(a)のステップにおいて、前記合成ポリマー分子が溶液中に与えられる、
上記(53)に記載の方法。
(58)前記条件は、低濃度の前記溶液を使用することにより、前記架橋する基の活性に
伴って分子間反応を抑制する、上記(57)に記載の方法。
(59)前記条件は、前記溶媒に前記合成ポリマー分子を添加して、前記分子内架橋反応
が生じる速度に関連して前記ポリマー分子間の分子間架橋を抑制するステップを含む、上
記(53)に記載の方法。
(60)前記条件は、前記溶媒に前記合成ポリマー分子溶液を添加して、前記ポリマー分
子間の分子間架橋を抑制するステップを含む、上記(53)に記載の方法。
(61)前記溶媒は、ベンジル・エーテル、N−シクロヘキシルピロリジノン、N−メチ
ルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルフェニル・ウレア、N
,N−ジメチルトリメチレン・ウレア、ブチル・アセテート、2−エトキシエタ
ノール、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチルロラクトン、ラクテート・エ
ステル、エトキシエチル・プロピオネート、アルキレン・グリコール・アルキル・エーテ
ル・エステル、アルキレン・グリコール・アルキル・エーテル、アルキレン・グリコール
・モノアルキル・エステル、ブチル・アセテート、2−エトキシエタノール、エチル・3
−エトキシプロピオネート、ポリエチレン・グリコール、アルキル誘導体、アリール誘導
体、ジフェニル・エーテル、ジフェニル・スルホン、エチレン・カーボネート、およびこ
れらの混合物からなる群から選択される、上記(53)に記載の方法。
(62)前記架橋可能な基は、熱により活性化され、前記溶媒は、前記架橋可能な基に高
い活性を与える温度とされる、上記(53)に記載の方法。
(63)マトリックスの中に前記架橋粒子を結合するステップをさらに含む、上記(53
)に記載の方法。
(64)前記架橋粒子の分解温度は、前記マトリックスの分解温度より低く、前記方法は
、前記架橋粒子の前記分解温度まで前記マトリックスを加熱するステップをさらに含み、
前記架橋粒子を分解して多孔質マトリックスを生成する、上記(63)に記載の方法。
(65)多孔質誘電性材料を製造する方法であって、
(a)活性化されるまで不活性であり、活性化された場合に、不可逆的に分子内架橋反
応する複数の架橋可能な基を有する合成ポリマー分子を与えるステップと、
(b)前記ポリマー分子の不可逆的な分子内架橋が起こる架橋条件下で前記架橋可能な
基を活性化させて、架橋粒子を形成するステップと、
(c)前記架橋粒子の分解温度がホスト・マトリックス材料の分解温度より低い該架橋
粒子を前記ホスト・マトリックス材料と混合して混合物を形成するステップと、
(d)前記架橋粒子の前記分解温度まで前記混合物を加熱し、前記架橋粒子を分解して
多孔質誘電性材料を生成するステップとを含む方法。
(66)2nm〜25nmの直径を有するクローズド・セル・ポアを与えることを特徴と
する、上記(65)に記載の方法。
(67)集積回路を形成する方法であって、
(a)架橋粒子の分解温度がホスト・マトリックス材料の分解温度より低い25nm未
満の直径を有する該架橋粒子と前記ホスト・マトリックス材料との混合物の層を基板上に
配置するステップと、
(b)前記架橋粒子の分解温度まで前記混合物を加熱して該架橋粒子を分解し、多孔質
誘電層を生成するステップと、
(c)前記誘電層をリソグラフィによりパターニングするステップと、
(d)前記パターニングした誘電層上に金属膜を付着するステップと、
(e)前記膜を平坦化して集積回路を形成するステップと
を含む方法。
(68)有機材料を含み、直径が2nm〜25nmの範囲のクローズド・セル・ポアを有
する、多孔質誘電性マトリックス。
(69)前記直径が2nm〜10nmの範囲である、上記(68)に記載の多孔質誘電性
マトリックス。
(70)前記有機材料は、ポリフェニレン・オリゴマー、またはポリフェニレン・ポリマ
ーである、上記(68)に記載の多孔質誘電性マトリックス。
(71)パターン化された誘電層と、平坦化された金属膜とを含み、誘電性マトリックス
には、有機材料が含まれ、直径が2nm〜25nmの範囲のクローズド・セル・ポアを有
することを特徴とする、集積回路。
(72)前記マトリックスは、直径が2nm〜10nmの範囲のクローズド・セル・ポア
を有する、上記(71)に記載の集積回路。
(73)前記有機材料は、ポリフェニレン・オリゴマー、またはポリフェニレン・ポリマ
ーである、上記(72)に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】架橋粒子を使用して形成される多孔質誘電性マトリックスを使用して作製される集積回路製品の断面図。
【図2】本発明の誘電性マトリックスを使用した集積回路を作製するためのプロセスを示した概略図。
【図3】本発明の誘電性マトリックスを使用した集積回路を作製するためのプロセスを示した概略図。
【図4】本発明の誘電性マトリックスを使用した集積回路を作製するためのプロセスを示した概略図。
【図5】本発明の誘電性マトリックスを使用した集積回路を作製するためのプロセスを示した概略図。
【図6】本発明の誘電性マトリックスを使用した集積回路を作製するための別のプロセスを示した概略図。
【図7】本発明の誘電性マトリックスを使用した集積回路を作製するための別のプロセスを示した概略図。
【図8】本発明の誘電性マトリックスを使用した集積回路を作製するための別のプロセスを示した概略図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質誘電性材料を製造する方法であって、
(a)活性化されるまで不活性であり、活性化された場合に、不可逆的に分子内架橋反応する複数の架橋可能な基を有する合成ポリマー分子を用意するステップと、
(b)前記ポリマー分子の不可逆的な分子内架橋が起こる架橋条件下で前記架橋可能な基を活性化させて、架橋粒子を形成するステップと、
(c)前記架橋粒子の分解温度がホスト・マトリックス材料の分解温度より低い該架橋粒子を前記ホスト・マトリックス材料と混合して混合物を形成するステップと、
(d)前記架橋粒子の前記分解温度まで前記混合物を加熱し、前記架橋粒子を分解して多孔質誘電性材料を生成するステップとを含む方法。
【請求項2】
2nm〜25nmの直径を有するクローズド・セル・ポアを与えることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
集積回路を形成する方法であって、
(a)分子内架橋された粒子の分解温度がホスト・マトリックス材料の分解温度より低い25nm未満の直径を有する該分子内架橋された粒子と前記ホスト・マトリックス材料との混合物の層を基板上に配置するステップと、
(b)前記分子内架橋された粒子の分解温度まで前記混合物を加熱して該分子内架橋された粒子を分解し、多孔質誘電層を生成するステップと、
(c)前記誘電層をリソグラフィによりパターニングするステップと、
(d)前記パターニングした誘電層上に金属膜を付着するステップと、
(e)前記膜を平坦化して集積回路を形成するステップとを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−120843(P2009−120843A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−329614(P2008−329614)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【分割の表示】特願2005−215082(P2005−215082)の分割
【原出願日】平成15年2月28日(2003.2.28)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】