説明

多層回路基板及びその製造方法

【課題】 ビアの乗り換えに伴う信号伝送距離の延長を回避しながら、ビアへの応力を低減させることができ、結果としてビアの接続信頼性の高い多層回路基板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 絶縁膜6としてデスミア液によりエッチングされやすい膜を形成し、絶縁膜7としてデスミア液にほとんどエッチングされない膜を形成する。レーザ照射により絶縁膜6及び7にビアホール8を形成する。ビアホール8の断面形状はレーザ照射の影響によりテーパ状となる。デスミア液を用いてビアホール8の形成の際に発生したスミアを除去する際に、絶縁膜6のビアホール8に露出している部分もエッチングされることで、絶縁膜6の側面が後退し、ビアホール8の形状が鼓状となる。その後、無電解めっき法によりCuシード層をビアホール8内に形成する。その後、絶縁膜6及び7のキュアを行う。続いて、電解めっき法によりCuビア9をビアホール8内に埋め込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップとマザーボードとの接続等に用いられる多層回路基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップとマザーボードとの接続等に用いられる多層回路基板の構造として、多層配線構造が採用されている。多層配線構造では、配線層と配線層とがビアにより接続されている。また、配線層及びビアの周囲には絶縁層が設けられている。ビアの形成に当たっては、配線層上に絶縁層を形成した後、この絶縁層にレーザ等によりビアホールを形成する。そして、ビアホール内にめっき等により導電物質を埋め込み、ビアを形成する。但し、従来のビアの形成方法では、ビアの断面形状がテーパ状、即ちビアの直径が下方ほど小さくなり、最も接続信頼性に問題があるパッドとビアとの接合面が最も細い形状となる。このような構造では、外部から熱が加えられると、配線材料と絶縁材料との熱膨張率の差に応じて発生した応力が、ビア根本部に集中し、ビアが配線層から剥離して断線が生じることがある。
【0003】
このような応力の集中及び断線は、最も弱いか所に集中する傾向があり直線状に積層されたビアの数が多いほど生じやすい。このため、直線状に積層するビアの段数を制限し、発生する応力を分散させるビアの乗り換えがなされている。
【0004】
しかしながら、このような構造を採用すると、応力集中を緩和させることは可能であるものの、パッケージ表面に実装したチップ及び裏面に実装したノイズ除去を目的としたキャパシタ間の伝送距離が増大する。信号伝送距離は、特にギガヘルツ以上の高周波信号の伝搬特性(遅延量、反射率等)に大きく影響を及ぼす。例えば信号伝送距離が長くなるほど高周波信号の減衰が大きくなる。このため、このような信号伝送距離の増加は、素子設計の観点からは好ましくない。
【0005】
【特許文献1】特許第3004266号公報
【特許文献2】特開2001-77533号公報
【特許文献3】国際公開第97/19579号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、ビアの乗り換えに伴う信号伝送距離の延長を回避しながら、ビアへの応力を低減させることができ、結果としてビアの接続信頼性の高い多層回路基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す発明の諸態様に想到した。
【0008】
本発明に係る多層回路基板は、絶縁材料部及び配線材料部を含む複数の配線層が積層されて構成された多層回路基板を対象とする。そして、この多層回路基板は、各配線層を相互に電気的に接続するビアの形状が、当該ビアの上端及び下端よりも該ビアの中央部位が狭い鼓状になっていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る多層回路基板の製造方法では、パッド上に、互いに異なる樹脂成分からなる第1及び第2の絶縁膜の形成及び半硬化を順次行った後、前記第1及び第2の絶縁膜を貫通するビアホールを形成する。次に、前記第2の絶縁膜の前記ビアホールに露出する側面を選択的に溶解させることにより、前記ビアホールの形状を、前記第2の絶縁膜の下端部の開口面積が前記第1の絶縁膜の下端部の開口面積より広いものに変化させる。次いで、前記ビアホール内に導電材料で埋め込むことにより、ビアを形成する。そして、前記第1及び第2の絶縁膜を完全に硬化させる。
【0010】
なお、前記第1の絶縁膜として、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、ポリイミド樹脂、セルロース樹脂及びユリア樹脂等のアルカリに対し高い溶解性を有する樹脂並びにポリエチレン、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂からなる群から選択された少なくとも1種の樹脂を含有する膜を形成することが好ましく、前記第2の絶縁膜として、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂及びポリベンゾオキサゾール樹脂からなる群から選択された少なくとも1種の樹脂を含有する膜を形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数のビアが平面視で同一の位置に形成されているため、信号伝送距離の延長を回避することができる。また、複数のビアの各々の形状が鼓状となっているため、応力が集中する部位がビアの配線層との界面から離れた位置となる。この結果、応力集中に伴うビアの剥離を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。但し、ここでは、便宜上、多層回路基板の断面構造については、その製造方法と共に説明する。図1A乃至図1Eは、本発明の実施形態に係る多層回路基板の製造方法を工程順に示す断面図である。
【0013】
本実施形態では、先ず、図1Aに示すように、コア材31上に、2種類の絶縁膜6及び7を順次形成する。コア材31には、絶縁基板1と、この絶縁基板1を貫通する導電材5とが設けられている。絶縁基板1の一方の面には、厚さが18μm程度のCu配線2及びCuパッド3が形成され、他方の面にはCuパッド4が形成されている。本実施形態では、Cu配線2及びCuパッド3が形成されている面上に、絶縁膜6及び7を形成する。
【0014】
絶縁膜6としては、デスミア液(例えば、アルカリ性過マンガン酸塩を含有する処理液、オキシアルキルアミン類を含有する処理液、酸性フェノールを含有する処理液)によりエッチングされやすい膜、例えばオレフィン系の樹脂を含有する積層用接着剤フィルムを用いる。絶縁膜6の厚さは、例えば20μm程度とする。また、絶縁膜7としては、デスミア液にほとんどエッチングされない膜、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂又はシアネート樹脂を含有する積層用接着剤フィルムを用いる。このような材料を選択した場合、絶縁膜6を構成する分子が絶縁膜7を構成する分子よりも多量のアルキル基を含むこととなる。但し、絶縁膜6よりもデスミア液によりエッチングされにくい膜であればよい絶縁膜7として用いることができる。絶縁膜7の厚さも、例えば20μm程度とする。このような絶縁膜6及び7は、ラミネートにより形成することができる。絶縁膜6及び7をラミネートした後には、180℃で30分間程度のハーフキュアを行う。
【0015】
次に、図1Bに示すように、絶縁膜6及び7にCuパッド3まで到達するビアホール8をレーザ照射により形成する。ビアホール8の直径は、例えば50μm程度とする。なお、ビアホール8の断面形状は、レーザ照射の影響により、図1Bに示すように、テーパ状となる。
【0016】
次いで、デスミア液を用いて、ビアホール8の形成の際に発生したスミアを除去する。この結果、図1Cに示すように、絶縁膜6のビアホール8に露出している部分がエッチングされ、絶縁膜6の側面が後退する。即ち、ビアホール8の形状が鼓状となる。また、絶縁膜7の表面が若干粗くなる。その後、無電解めっき法によりCuシード層(図示せず)をビアホール8内に形成する。
【0017】
その後、加熱又は光の照射によって絶縁膜6及び7を硬化させる。即ち、絶縁膜6及び7のキュアを行う。続いて、図1Dに示すように、電解フィルビアめっき法によりCuビア9をビアホール8内に埋め込むと共に、新たなCu配線2及びCuパッド3を絶縁膜7上に形成する。最後にCuシード層をエッチングする。
【0018】
そして、図1Eに示すように、絶縁膜6及び7の形成からCuビア9の形成等を繰り返し行うことにより、複数層のCu配線2を形成すると共に、複数のCuビア9を直線状に積層する。このようにして多層回路基板を完成させる。
【0019】
このような方法により製造された多層回路基板では、図2に示すように、Cuビア9の形状が鼓状になっているため、絶縁層6及び7とCuビア9との熱膨張率の差に応じて生じた内部応力はCuビア9のくびれ部10に集中する。しかし、くびれ部10はCuビア9の中間部であるため、Cuビア9がCuパッド3からの剥離により断線する可能性は低くなる。
【0020】
一方、従来の方法で製造された多層回路基板では、図3に示すように、絶縁層17とCuビア19との熱膨張率の差に応じて生じた内部応力は、Cuビア19の底部20に集中する。そして、底部20は、Cuビア19とCuパッド13との界面に相当するため、内部応力によってCuビア19がCuパッド13から剥離することがある。
【0021】
なお、Cuパッド4側にも多層配線を形成してもよい。また、ビアホール8の形成は、レーザ照射以外の方法によって行ってもよい。更に、絶縁膜6及び7の材料並びに絶縁膜6の側面を後退させる際に用いる溶液の種類も特定のものに限定されない。例えば、絶縁膜6としては、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、ポリイミド樹脂、セルロース樹脂及びユリア樹脂等のアルカリに対し高い溶解性を有する樹脂並びにポリエチレン、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂からなる群から選択された少なくとも1種の樹脂を含有する膜を形成することが好ましい。また、絶縁膜7としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂及びポリベンゾオキサゾール樹脂からなる群から選択された少なくとも1種の樹脂を含有する膜を形成することが好ましい。但し、絶縁膜6の溶解速度が絶縁膜7の溶解速度よりも速くなる溶液を用いる必要はある。
【0022】
次に、本願発明者が実際に行った実験の結果について説明する。
【0023】
(実施例)
先ず、両面銅張りコア材に対して、過硫酸アンモニウム系銅エッチング液を用いた処理を行うことにより、直径が100μmで、厚さが18μmのCuパッドを形成した。次に、2枚の絶縁フィルムからなる複合材を130℃でコア材上にラミネートした。ラミネートに要する時間は60分であった。2枚の絶縁フィルムの厚さはいずれも20μmであった。また、複合材のラミネートに当たっては、後述のデスミア液に対してエッチングされやすい絶縁フィルムをコア材側に配置し、デスミア液にほとんどエッチングされないが表面は粗化される絶縁フィルムをその上に配置した。次いで、180℃で30分間のハーフキュアを行った。その後、レーザ照射により、直径が50μmでCuパッドまで到達するビアホールを2枚の絶縁フィルムに形成した。このときのレーザの波長は9.3μmとし、周波数は148Hzとした。
【0024】
続いて、デスミア液を用いてスミアを除去すると共に、コア材側の絶縁フィルムをエッチングしてその側面を後退させた。次に、無電解めっき液を用いてCuシード層、Cuビア及びCu配線を形成した。
【0025】
その後、同様の処理を繰り返すことにより、4段のCuビアを備えたビルドアップ構造の多層回路基板を作成した。このとき、Cuビアの上方に上層のCuビアが位置するようにし、4個のCuビアの平面視での位置はすべて一致させた。
【0026】
そして、このように構成された多層回路基板のビア部のインダクタンスを測定したところ、57pHであった。また、125℃から−65℃までの温度変化を1000サイクル行う熱サイクル試験を行ったところ、ビアの断線は生じなかった。このように、この実施例では、低インダクタンス及びビアの接続信頼性を両立したスタックビアを形成することができた。
【0027】
(比較例1)
先ず、上述の実施例と同様にして、Cuパッドを形成した。次に、1枚の絶縁フィルム(厚さ:40μm)を130℃でコア材上にラミネートした。ラミネートに要する時間は60分であった。この絶縁フィルムとしては、上述の実施例における上側の絶縁フィルム(デスミア液にほとんどエッチングされない絶縁フィルム)と同じものを用いた。次いで、180℃で30分間のハーフキュアを行った。その後、レーザ照射により、直径が50μmでCuパッドまで到達するビアホールを絶縁フィルムに形成した。このときのレーザの波長は9.3μmとし、周波数は148Hzとした。続いて、デスミア液を用いてスミアを除去した。次に、無電解めっき液を用いてCuシード層、Cuビア及びCu配線を形成した。
【0028】
その後、同様の処理を繰り返すことにより、3段のCuビアを形成した。このとき、Cuビアの上方に上層のCuビアが位置するようにし、3個のCuビアの平面視での位置はすべて一致させた。続いて、これらの3個のビアとは相違する位置に1段のビアを形成し、総計で4個のCuビアを備えたビルドアップ構造の多層回路基板を作成した。
【0029】
そして、このように構成された多層回路基板のビア部のインダクタンスを測定したところ、69pHであった。また、125℃から−65℃までの温度変化を1000サイクル行う熱サイクル試験を行ったところ、ビアの断線は生じなかった。このように、この比較例1では、インダクタンスが実施例よりも高くなった。
【0030】
(比較例2)
先ず、上述の実施例と同様にして、Cuパッドを形成した。次に、1枚の絶縁フィルム(厚さ:40μm)を130℃でコア材上にラミネートした。ラミネートに要する時間は60分であった。この絶縁フィルムとしては、上述の実施例における上側の絶縁フィルム(デスミア液にほとんどエッチングされない絶縁フィルム)と同じものを用いた。次いで、180℃で30分間のハーフキュアを行った。その後、レーザ照射により、直径が50μmでCuパッドまで到達するビアホールを絶縁フィルムに形成した。このときのレーザの波長は9.3μmとし、周波数は148Hzとした。続いて、デスミア液を用いてスミアを除去した。次に、無電解めっき液を用いてCuシード層、Cuビア及びCu配線を形成した。
【0031】
その後、同様の処理を繰り返すことにより、4段のCuビアを備えたビルドアップ構造の多層回路基板を作成した。このとき、Cuビアの上方に上層のCuビアが位置するようにし、4個のCuビアの平面視での位置はすべて一致させた。
【0032】
そして、このように構成された多層回路基板のビア部のインダクタンスを測定したところ、59pHであった。また、125℃から−65℃までの温度変化を1000サイクル行う熱サイクル試験を行ったところ、ビアの断線が生じた。このように、この比較例2では、インダクタンスが実施例と同程度であるものの、ビアの断線による接続不良が発生した。
【0033】
これらの実施例、比較例1及び比較例2の実験結果を下記表1に示す。
【0034】
【表1】

【0035】
なお、特許文献1には、ビアホールの寸法の精度を向上させることを目的として、基板の裏面側にレーザを反射する物質を配置した状態でレーザの照射を行うことにより、
レーザを反射させて鼓状のビアホールを形成することが開示されている。しかし、このような加工は、基板の裏面まで貫通する孔を形成する際にのみ可能であり、複数のビアの積層に応用することはできない。
【0036】
また、特許文献2には、2枚の両面銅張り板を貼り合わせる際に、これらの間に鼓状のビアを形成することが開示されている。しかし、この方法では、鼓状のビアを設けることができる位置は絶縁層の間のみであり、鼓状のビアを直線状に積層することはできない。従って、この方法を採用した場合には、少なくとも信号伝送距離が長くなるという問題が残る。
【0037】
また、特許文献3には、次のようにして鼓状のビアを形成する方法が開示されている。先ず、銅箔上に三角錐状の銀ペーストピラーを形成し、これにプリプレグを押圧することにより、ピラーにプリプレグを貫通させる。次に、プリプレグ上にピラーと接する銅箔をおき、これらを熱硬化することにより、2枚の銅箔に挟まれた鼓状のビアを形成する。そして、これらを繰り返すことにより、スタックビアを形成する。しかし、最終的なビアの形状は、ピラーの形状及びプリプレグの押圧方法等により大きく変形するため、所望の形状のビアを得ることは困難である。
【0038】
以下、本発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0039】
(付記1)
絶縁材料部及び配線材料部を含む複数の配線層が積層されて構成された多層回路基板において、
各配線層を相互に電気的に接続するビアの形状が、当該ビアの上端及び下端よりも該ビアの中央部位が狭い鼓状になっていることを特徴とする多層回路基板。
【0040】
(付記2)
前記絶縁材料部の各々は、前記鼓状のビアの最も窪んでいる位置よりも下側に形成された第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜上に形成された第2の絶縁膜と、
を有することを特徴とする付記1に記載の多層回路基板。
【0041】
(付記3)
前記第1の絶縁膜を構成する分子は、前記第2の絶縁膜を構成する分子よりも多量のアルキル基を含むことを特徴とする付記1又は2に記載の多層回路基板。
【0042】
(付記4)
前記第1の絶縁膜は、アルカリに対し高い溶解性を有する樹脂及び熱可塑性樹脂からなる群から選択された少なくとも1種の樹脂を含有し、
前記第2の絶縁膜は、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂及びポリベンゾオキサゾール樹脂からなる群から選択された少なくとも1種の樹脂を含有することを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項に記載の多層回路基板。
【0043】
(付記5)
パッド上に、互いに異なる樹脂成分からなる第1及び第2の絶縁膜の形成及び半硬化を順次行う工程と、
前記第1及び第2の絶縁膜を貫通するビアホールを形成する工程と、
前記第2の絶縁膜の前記ビアホールに露出する側面を選択的に溶解させることにより、前記ビアホールの形状を、前記第2の絶縁膜の下端部の開口面積が前記第1の絶縁膜の下端部の開口面積より広いものに変化させる工程と、
前記ビアホール内に導電材料で埋め込むことにより、ビアを形成する工程と、
前記第1及び第2の絶縁膜を完全に硬化させる工程と、
を有することを特徴とする多層回路基板の製造方法。
【0044】
(付記6)
前記ビアホールの形状を変化させる工程と前記ビアを形成する工程との間に、
前記第1及び第2の絶縁膜を硬化させる工程を有することを特徴とする付記5に記載の多層回路基板の製造方法。
【0045】
(付記7)
前記第1の絶縁膜として、それを構成する分子が前記第2の絶縁膜を構成する分子よりも多量のアルキル基を含む膜を形成することを特徴とする付記5又は6に記載の多層回路基板の製造方法。
【0046】
(付記8)
前記第1の絶縁膜として、アルカリに対し高い溶解性を有する樹脂及び熱可塑性樹脂からなる群から選択された少なくとも1種の樹脂を含有する膜を形成し、
前記第2の絶縁膜として、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂及びポリベンゾオキサゾール樹脂からなる群から選択された少なくとも1種の樹脂を含有する膜を形成することを特徴とする付記5乃至7のいずれか1項に記載の多層回路基板の製造方法。
【0047】
(付記9)
前記ビアホールの形状を変化させる工程において、アルカリ性過マンガン酸塩、オキシアルキルアミン類及び酸性フェノールからなる群から選択された1種を含有する溶液で前記第2の絶縁膜の側面を選択的に溶解させことを特徴とする付記5乃至8のいずれか1項に記載の多層回路基板の製造方法。
【0048】
(付記10)
前記ビアホールを形成する工程において、前記ビアホールの形状をテーパ状とすることを特徴とする付記5乃至9のいずれか1項に記載の多層回路基板の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1A】本発明の実施形態に係る多層回路基板の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図1B】図1Aに引き続き、多層回路基板の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図1C】図1Bに引き続き、多層回路基板の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図1D】図1Cに引き続き、多層回路基板の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図1E】図1Dに引き続き、多層回路基板の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る多層回路基板の構造を示す断面図である。
【図3】従来の多層回路基板の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1:絶縁基板
2:Cu配線
3、4:Cuパッド
5:導電材
6、7:絶縁膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁材料部及び配線材料部を含む複数の配線層が積層されて構成された多層回路基板において、
各配線層を相互に電気的に接続するビアの形状が、当該ビアの上端及び下端よりも該ビアの中央部位が狭い鼓状になっていることを特徴とする多層回路基板。
【請求項2】
パッド上に、互いに異なる樹脂成分からなる第1及び第2の絶縁膜の形成及び半硬化を順次行う工程と、
前記第1及び第2の絶縁膜を貫通するビアホールを形成する工程と、
前記第2の絶縁膜の前記ビアホールに露出する側面を選択的に溶解させることにより、前記ビアホールの形状を、前記第2の絶縁膜の下端部の開口面積が前記第1の絶縁膜の下端部の開口面積より広いものに変化させる工程と、
前記ビアホール内に導電材料で埋め込むことにより、ビアを形成する工程と、
前記第1及び第2の絶縁膜を完全に硬化させる工程と、
を有することを特徴とする多層回路基板の製造方法。
【請求項3】
前記第1の絶縁膜として、アルカリに対し高い溶解性を有する樹脂及び熱可塑性樹脂からなる群から選択された少なくとも1種の樹脂を含有する膜を形成し、
前記第2の絶縁膜として、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂及びポリベンゾオキサゾール樹脂からなる群から選択された少なくとも1種の樹脂を含有する膜を形成することを特徴とする請求項2に記載の多層回路基板の製造方法。
【請求項4】
前記ビアホールの形状を変化させる工程において、アルカリ性過マンガン酸塩、オキシアルキルアミン類及び酸性フェノールからなる群から選択された1種を含有する溶液で前記第2の絶縁膜の側面を選択的に溶解させことを特徴とする請求項2又は3に記載の多層回路基板の製造方法。
【請求項5】
前記ビアホールを形成する工程において、前記ビアホールの形状をテーパ状とすることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の多層回路基板の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−253189(P2006−253189A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−63751(P2005−63751)
【出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】