説明

多層銅張積層板の製造方法、多層銅張積層板及び高さ変動型位置ずれ防止治具

【課題】積層成形後の積層体の銅箔の位置ずれを抑制することが可能である多層銅張積層板の製造方法、多層銅張積層板及び高さ変動型位置ずれ防止治具を提供する。
【解決手段】予め回路形成された内層板とプリプレグと銅箔とを組合せ積層し、それら積層体を金属板を用いてプレスにより加熱加圧し多層化接着する多層銅張積層板の製造方法において、プレス段内の範囲内で積層体と金属板を交互に積載し上蓋を被せ加熱加圧する前に、予め積層体及び金属板全体の厚みと、同等の厚み(高さ)を有する高さ変動型位置ずれ防止治具を、積層体及び金属板と、上蓋の側面板間に挿入することで、積層成形後の積層体の銅箔の位置ずれを抑制することが可能である多層銅張積層板の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層銅張積層板の製造方法、多層銅張積層板及び高さ変動型位置ずれ防止治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の位置ずれ防止治具は、積層成形後の製品高さを予め考慮した高さとなっており、それを加熱加圧前に製品と上蓋間に挿入した場合、位置ずれ防止治具に干渉していない部分が生じ、その干渉していない部分において加熱加圧中の製品(積層体)位置ずれが発生してしまう恐れがある。また、積層板の製造方法において、ダブルスプレスにおける連続ベルトの加圧有効幅内に挿入される帯状樹脂含浸基材と帯状金属箔との積層材料の両側に、帯状金属薄板を配置する方法などが開示されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−116165号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
積層成形後の積層体の銅箔の位置ずれを抑制することが可能である多層銅張積層板の製造方法、多層銅張積層板及び高さ変動型位置ずれ防止治具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は以下に関する。
1. 予め回路形成された内層板とプリプレグと銅箔とを組合せ積層し、それら積層体4を金属板3を用いてプレスにより加熱加圧し多層化接着する多層銅張積層板の製造方法において、プレス段内の範囲内で積層体4と金属板3を交互に積載し上蓋2を被せ加熱加圧する前に、予め積層体4及び金属板3全体の厚みと、同等の厚み(高さ)を有する高さ変動型位置ずれ防止治具1を、積層体4及び金属板3と、上蓋2の側面板5間に挿入することで、積層成形後の積層体4の銅箔の位置ずれを抑制することが可能である多層銅張積層板の製造方法。
2. 項1記載の多層銅張積層板の製造方法により製造された多層銅張積層板。
3. 予め回路形成された内層板とプリプレグと銅箔とを組合せ積層し、それら積層体4を金属板3を用いてプレスにより加熱加圧し多層化接着する多層銅張積層板の製造方法に用いられる高さ変動型位置ずれ防止治具1であって、加熱加圧による積層体4厚み変動においても常時、積層体4及び金属板3全体の厚みと、同等の厚み(高さ)を確保することが可能であり、プレス段内の範囲内に積載された積層体4の銅箔の位置ずれを抑制することが可能である高さ変動型位置ずれ防止治具。
【発明の効果】
【0005】
本発明により、積層成形後の積層体の銅箔の位置ずれを抑制することが可能である多層銅張積層板の製造方法、多層銅張積層板及び高さ変動型位置ずれ防止治具を提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
前記の本発明の多層銅張積層板の製造方法の形態について詳述する。予め回路形成された内層板とプリプレグと銅箔とを組合せ積層し、それら積層体4を金属板3を用いてプレスにより加熱加圧し多層化接着する多層銅張積層板の製造方法において、まず、高さ変動型位置ずれ防止治具1の材質についてはSUSを使用し、厚みは0.5t以上が望ましく、幅については製品(積層体)4と上蓋2の側面板5の間隔より1〜2mm狭めた寸法が望ましい。それらを扇型に組合せ片側のみ接着した形態とすることが好ましい。組合せ後の高さについては加熱加圧前の製品(積層体)及び金属板全体の高さ(厚み)よりも10mm程度高くすることで加圧中の製品(積層体)厚み変動が生じても常時、製品(積層体)及び金属板全体の高さ(厚み)と同等の高さを確保できる。
【0007】
製品(積層体)と上蓋間への高さ変動型位置ずれ防止治具の挿入方法は、予め製品(積層体)及び金属板全体の高さ(厚み)よりも10mm程度高い形態になっているが、それらを人的圧力により加熱加圧前の製品(積層体)及び金属板全体の高さ(厚み)と同等の高さに合わせ挿入し、製品(積層体)4辺の各2箇所に挿入することが望ましい。
【実施例】
【0008】
本発明においては、予め回路形成された内層板をプリプレグと組合せ、銅箔と積層し、それら製品(積層体)を金属板を用いて加熱加圧し多層化接着する多層板の製造方法において、製品(積層体)の位置ずれを抑制することを可能とするため、高さ変動型位置ずれ防止治具の高さは、加熱加圧前の製品(積層体)及び金属板全体の高さ(厚み)よりも10mm程度高くした形態とし、それを人的圧力で加熱加圧前の製品(積層体)及び金属板全体の高さ(厚み)と同等にして挿入する。
【0009】
高さ変動型位置ずれ防止治具により、予め回路形成された内層板をプリプレグと組合せ、銅箔と積層し、それらを金属板を用いて加熱加圧し多層化接着する多層板の製造方法において、積層成形後の位置ずれを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】高さ変動型位置ずれ防止治具の形態の断面図である。
【図2】製品と金属板を交互に積載し上蓋を被せた形態を示すための斜視図である。
【図3】製品と金属板を交互に積載し上蓋を被せた状態で、高さ変動型位置ずれ防止治具を挿入した形態について示した断面図である。
【図4】製品と金属板を交互に積載し上蓋を被せた状態で、高さ変動型位置ずれ防止治具を挿入した形態について示した断面図である。
【符号の説明】
【0011】
1.高さ変動型位置ずれ防止治具
2.上蓋
3.金属板
4.積層体(製品)
5.側面板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め回路形成された内層板とプリプレグと銅箔とを組合せ積層し、それら積層体(4)を金属板(3)を用いてプレスにより加熱加圧し多層化接着する多層銅張積層板の製造方法において、プレス段内の範囲内で積層体(4)と金属板(3)を交互に積載し上蓋(2)を被せ加熱加圧する前に、予め積層体(4)及び金属板(3)全体の厚みと、同等の厚み(高さ)を有する高さ変動型位置ずれ防止治具(1)を、積層体(4)及び金属板(3)と、上蓋(2)の側面板(5)間に挿入することで、積層成形後の積層体(4)の銅箔の位置ずれを抑制することが可能である多層銅張積層板の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の多層銅張積層板の製造方法により製造された多層銅張積層板。
【請求項3】
予め回路形成された内層板とプリプレグと銅箔とを組合せ積層し、それら積層体(4)を金属板(3)を用いてプレスにより加熱加圧し多層化接着する多層銅張積層板の製造方法に用いられる高さ変動型位置ずれ防止治具(1)であって、加熱加圧による積層体(4)厚み変動においても常時、積層体(4)及び金属板(3)全体の厚みと、同等の厚み(高さ)を確保することが可能であり、プレス段内の範囲内に積載された積層体(4)の銅箔の位置ずれを抑制することが可能である高さ変動型位置ずれ防止治具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−80616(P2008−80616A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−262450(P2006−262450)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】