説明

多色の画像を印刷するためのインクジェット印刷装置および多色の画像を印刷するための方法

【課題】多色の画像を印刷するためのインクジェット印刷装置を改良して、工業的な生産設備における使用を高い自在性もしくは高い印刷速度を持って可能にするインクジェット印刷装置を提供する。
【解決手段】インクジェット印刷装置の搬送装置2の入口側の範囲に、被印刷部分3の画像を記録するためのカメラ21が配置されており、自動的な画像認識のためのソフトウェアを備えた制御装置12もしくは画像計算器11が形成されており、画像計算器は、印刷したい画像の画像データを被印刷部分の位置および向きに対応して変換するように、形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部に記載の形式の、多色の画像を印刷するためのインクジェット印刷装置、つまりほぼ水平に配置された搬送装置(2)が設けられており、該搬送装置(2)が、該搬送装置(2)に載置された、印刷を施したい被印刷部分(3)を送り方向(4)に運動させるために働き、前記搬送装置(2)の上方に配置された印刷ヘッド装置(5)が設けられており、該印刷ヘッド装置(5)が、印刷過程の間、前記搬送装置(2)に対して相対的に定位置に配置されており、印刷したい画像の画像データからの制御信号の形成のための制御装置(12)及び画像計算器(11)が設けられている形式のものに関する。
【0002】
さらに本発明は、請求項1の上位概念部に記載の、このような形式のインクジェット印刷装置を用いて多色の画像を印刷するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
複数の印刷ヘッドから構成された印刷ヘッド装置が使用されるような、多色の画像を印刷するためのインクジェット印刷装置が既に知られている。これらの印刷ヘッド装置はまとめ合わされて所定の全印刷範囲幅を形成している。印刷ヘッド装置は印刷過程の間、搬送装置に対して相対的に定位置に配置されており、この搬送装置に沿って、印刷を施したい被印刷部分が搬送される。このような印刷装置は、たとえば欧州特許第1038689号明細書に記載されている。
【0004】
米国特許第2004/0085428号明細書に記載のインクジェットプリンタの構成では、インクジェットプリンタが、全印刷範囲幅にわたって延びる複数のノズル開口から成る唯一つの列を有する印刷ヘッドを有している。さらに、このインクジェットプリンタにより、印刷ヘッドを制御するための画像データ回路がバッファ回路を備えていることが知られている。この場合、このバッファ回路には、それぞれ個々の色のための複数の部分バッファが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第1038689号明細書
【特許文献2】米国特許第2004/0085428号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、冒頭で述べた形式のインクジェット印刷装置を改良して、必要となる保守手間が減じられ得るような、多色の画像を印刷するためのインクジェット印刷装置を提供することである。さらに本発明の課題は、このようなインクジェット印刷装置を用いて多色の画像を印刷するための方法を提供することである。さらに本発明の課題は、工業的な生産設備における使用を高い自在性もしくは高い印刷速度を持って可能にするインクジェット印刷装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の課題は、請求項1の特徴部に記載の特徴を有するインクジェット印刷装置、つまり、インクジェット印刷装置の搬送装置(2)の入口側の範囲に、被印刷部分(3)の画像を記録するためのカメラ(21)が配置されており、自動的な画像認識のためのソフトウェアを備えた制御装置(12)もしくは画像計算器(11)が形成されており、画像計算器(11)は、印刷したい画像の画像データを画像データを被印刷部分3の位置および向きに対応して変換するように、形成されていることを特徴とする、多色の画像を印刷するためのインクジェット印刷装置により
解決される。この場合、印刷ヘッド装置の画像データ回路に常時十分な画像データが蓄積されているので、画像データ伝送時における短時間の遅延も、印刷過程の中断を招かなくなるという利点が得られる。
【0008】
請求項2及び請求項には、当該インクジェット印刷装置の別の有利な構成が記載されている。
【0009】
本発明の独立した解決手段は、請求項4の特徴部に記載の特徴を有する方法、つまりインクジェット印刷装置の搬送装置の入口側の範囲に、被印刷部分の画像を記録するためのカメラが配置され、制御装置もしくは画像計算器は、被印刷部分の輪郭の検出のためのソフトウェアを備えて形成され、被印刷部分の画像はカメラによって記録され、かつ画像計算器へ伝送され、画像計算器は、印刷したいモチーフもしくは印刷したい画像の画像データを、被印刷部分の位置および向きに対応して変換することにより、被印刷部分の形状および向きを考慮する。この場合、当該方法を実施するための制御装置のためのデータ処理システムの一層簡単な制御が行われるという利点が得られる。
【0010】
請求項5〜請求項6には、当該方法の別の有利な手段が記載されている。
【0011】
以下に、本発明を分かり易くするために本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】インクジェット印刷装置の全体図である。
【図2】図1に示した印刷ヘッド装置および該印刷ヘッド装置に配置された印刷ヘッドの下面を示す図である。
【図3】図1に示したノズル洗浄装置を上から見た平面図である。
【図4】被印刷部分の位置補正のための装置を備えた、図1に示したインクジェット印刷装置の一部を上から見た平面図である。
【図5】画像計算器と印刷ヘッド装置との間でのデータフローのブロック回路図である。
【図6】印刷したい色の画像情報データを中間メモリするための、図5に示した印刷ヘッド装置のバッファ回路を示す回路図である。
【図7】タイルに印刷を施すための画像原画の画像部分を選び出するための概略図である。
【図8】タイルに印刷を施すための画像原画から互いに異なる画像部分の整然とした列を選び出すための概略図である。
【図9】画像原画からの画像部分の別の整然とした選び出しの概略図である。
【図10】画像原画からの画像部分のランダムな選び出しの概略図である。
【図11】画像部分の90゜反転を有する画像原画からの画像部分の別のランダムな選び出しの概略図である。
【図12】画像部分の任意の回転を有する画像原画からの画像部分のさらに別のランダムな選び出しの概略図である。
【図13】種々異なる複数の画像原画の使用下でのインクジェット印刷装置の作動形式の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
冒頭で確認しておくと、種々異なる実施態様において同一の構成部分には同じ符号もしくは同じ構成部分名が付与され、この場合、明細書全体に含まれている開示内容は、同じ符号もしくは同じ構成部分名を有する同一の部分に適用され得る。また、明細書中で選択された向き記載、たとえば「上方」、「下方」、「側方」等も、直接に記載されかつ図示された図面に関連するものであり、向きが変えられると新しい向きに適用され得る。さらに、図示されかつ記載された種々異なる実施例からの個別特徴または特徴組合せも、それ自体独立した本発明の解決手段を成し得る。
【0014】
図1には、インクジェット印刷装置1の個別構成要素が概略的に図示されている。
【0015】
このインクジェット印刷装置1は、ほぼ水平方向に配置された搬送装置2を有しており、この搬送装置2は、この搬送装置2に載置された、印刷を施したい被印刷部分3を送り方向4(図1で見て左側から右側へ向かう方向)に運動させるために働く。搬送装置2の上には、印刷ヘッド装置5が設けられており、この印刷ヘッド装置5は複数の印刷ヘッド6を備えている。これらの印刷ヘッド6によって、その下で印刷ヘッド6の傍らを運動させられる被印刷部分3にインクが印刷される。
【0016】
搬送装置2はエンドレスな搬送ベルト7により形成されると有利である。この搬送ベルト7は少なくとも2つの変向ローラ8を介して案内されるか、もしくは駆動される。搬送ベルト7の、送り方向4に運動させられる上側のベルト区分は、1つまたは複数のガイドプレート9によってその下面で支持される。水平方向に互いに整合するように位置調整されたこれらのガイドプレート9にわたって搬送ベルト7がスライド式に引っ張られることにより、送り方向4における被印刷部分3の、相応して均一な水平方向運動が達成される。
【0017】
印刷ヘッド装置5は各色に対して多数の印刷ヘッド6を有しているので、印刷ヘッド装置5を送り方向4に関して側方へ運動させる必要なしに、被印刷媒体もしくは被印刷部分の全幅に一度に印刷を施すことができる。すなわち、印刷ヘッド装置5は側方の方向には不動に配置されている。鉛直方向に向けられたガイド部10により、印刷ヘッド装置5を搬送ベルト7に向かって降下させるか、もしくは持上げによって搬送ベルト7から引き離すことができる。
【0018】
印刷ヘッド装置5の印刷ヘッド6を制御するためには、印刷したい画像の画像データが、画像計算器(Bildrechner)11によって印刷ヘッド6のための制御信号に変換される。インクジェット印刷装置1全体を制御するためには、さらに制御装置12が設けられている。この制御装置12はインクジェット印刷装置1を制御するためのソフトウェアを有しており、そして画像計算器11も画像データ処理のためのソフトウェアを有している。
【0019】
本実施例では、シアン、マゼンダ、イエローおよびブラックの色を有するカラー画像の印刷が設定されており、印刷ヘッド6もしくは印刷ヘッド装置5には、対応するタンク13からインクが供給される。
【0020】
インクジェット印刷装置1は当然ながら、4種色とは異なる色種数に合わせて装備されていてもよい。
【0021】
インクジェット印刷装置1はさらにノズル洗浄装置14を有している。印刷ヘッド装置5の持上げ後にこのノズル洗浄装置14をパーキング位置から印刷ヘッド装置5の下方へ移動させることができる(破線で描かれている)。印刷ヘッド6のノズルの、場合によっては生じる詰まりを解消するために、全てのノズルを通じてインクが押し出され、これらのインクはノズル洗浄装置14によって捕集される。
【0022】
送り方向4とは反対の方向に運動させられる搬送ベルト7の下側のベルト区分の範囲には、搬送ベルト7をクリーニングするためのクリーニング装置15が配置されていると有利である。これによって、搬送ベルト7に付着したインク残分を除去することができる。クリーニング装置15を用いたクリーニングは、たとえばまだ乾燥凝固していないインク残分の掻取りもしくは吸取りにより行うことができる。搬送ベルト7に洗浄剤を噴霧し、かつこれによって、乾燥して固まったインク残分を溶かすことにより、クリーニング作用を付加的に補助することができる。
【0023】
センサ16により、被印刷部分3の上面17の鉛直方向の位置もしくは被印刷部分3の厚さが検出されるので、制御装置12によって印刷ヘッド装置5の鉛直方向の位置もしくは被印刷部分3の上面17からの印刷ヘッド装置5の間隔が自動的に調節され得る。同じく搬送装置2の入口側の範囲で印刷ヘッド装置5に前置されている別のセンサ18が設けられている。このセンサ18は被印刷部分3の前縁19を検出するために働く。これにより、印刷ヘッド装置5の印刷過程を適宜な時機に開始させることができる。
【0024】
搬送装置2の入口範囲には、さらに被印刷部分3の位置補正のための装置20が設けられている。この装置20により、搬送ベルト7上での被印刷部分3の向きが、規定された位置へもたらされる。これに対して択一的にカメラ21を設けることもできる。このカメラ21によって、自動的な画像認識と相まって、搬送ベルト7に載置された被印刷部分3の位置も向きも検出され、この情報は画像データの演算時に画像計算器11によって考慮される。
【0025】
図2には、図1に示した印刷ヘッド装置5と、この印刷ヘッド装置5に配置された多数の印刷ヘッド6とを下側から見た図が示されている。
【0026】
各印刷ヘッド6は、相並んで位置しかつ線状に位置調整された多数のノズルにより形成されたノズル列22を有している。このノズル列22はノズル列長さ23を有している。印刷ヘッド6もしくはそのノズル列22は送り方向4に関して斜めにもしくは傾けられて配置されているので、ノズル列22はそれぞれ送り方向4に関して直角に測定された、ノズル列22の印刷範囲幅24を有している。印刷範囲幅24はノズル列長さ23のよりも著しく小さく形成されている。これによって、低い解像度を有するノズルヘッド6もしくはノズル列22内のノズルの低い密度を有するノズルヘッド6を使用することにより、送り方向4に対して直角な方向に関して、著しく高い解像度を達成することができる。
【0027】
一般性を制限することなしに、本実施例では、それぞれ9個の印刷ヘッド6がまとめられて1つの印刷ヘッドモジュール25を形成している(図面を見易くする理由から、図2にはこのような印刷ヘッドモジュール25が1つしか図示されていない)。複数のこのような印刷ヘッドモジュール25(本実施例では4つの印刷ヘッドモジュール25)が、一緒になって、印刷したい色のうちのそれぞれ1種の色を印刷するための1つの印刷ヘッド列26を形成している。印刷ヘッド6はこの場合、2つの隣接し合うノズル列22のノズル列22の印刷範囲幅24が互いに隙間なく続くように配置されているので、印刷ヘッド6の数に相応して印刷ヘッド列26の全印刷範囲幅27が得られる。
【0028】
印刷したい各色に対してそれぞれ1つの印刷ヘッド列26が設けられている。本実施例では、4つの印刷ヘッド列26が送り方向4に関して相前後して配置されており、したがって印刷ヘッド列26のノズルは印刷範囲長さ28にわたって延びている。
【0029】
本実施例では、印刷ヘッド6のためにピエゾインクジェット式の印刷ヘッドが使用されると有利である。これによって、50cmよりも大きい全印刷範囲幅27を達成することができる。この場合、200〜800dpiの範囲の解像度が可能となる。
【0030】
図3には、図1に示したノズル洗浄装置14を上から見た図が示されている。
【0031】
ノズル洗浄装置14はまず4つのホッパ列101を有している。これらのホッパ列101はそれぞれ4つの捕集ホッパ102を備えている。これらの捕集ホッパ102の捕集面の形状および大きさは、ノズル洗浄装置14が印刷ヘッド装置5の下に位置決めされたときに、1つの印刷ヘッドモジュール25(図2参照)の印刷ヘッド6の全てのノズルが1つの捕集ホッパ102によってカバーされ得るように形成されている。送り方向4に関するホッパ列101の間隔は、全ての印刷ヘッド列26が同時にホッパ列101の上に位置決めされ得るように設定されている(図1)。
【0032】
ノズル洗浄装置14は次いで別のホッパ列103を有している。このホッパ列103の捕集ホッパ104は形状および大きさに関して同じく、1つの印刷ヘッドモジュール25が捕集ホッパ104の上に位置決めされたときに、印刷ヘッドモジュール25のノズル列22全体がカバーされるように設定されている。
【0033】
さらに、ノズル洗浄装置14はノズルクリーニング装置105を有している。このノズルクリーニング装置105は複数の吸込ノズル107を備えた1つの吸込ビーム106から成っていると有利である。吸込ビーム6もしくはこの吸込ビーム106に配置された吸込ノズル107は真っ直ぐな1つの列を成して送り方向4に関して直角に配置されている。吸込ノズル107の数は1つの印刷ヘッド列26における印刷ヘッド6の数に相当している。2つの隣接し合った吸込ノズル107の相対間隔は2つの隣接し合った印刷ヘッド6の間隔に等しいか、もしくはノズル列22の印刷範囲幅24に等しい。
【0034】
印刷ヘッド6のノズルをクリーニングするためには、搬送装置2もしくは搬送ベルト7を停止させることにより、印刷過程が中断される(図1)。印刷ヘッド装置5はガイド部10に沿って鉛直方向に持ち上げられ、この場合、ノズル洗浄装置14を水平方向に、つまり送り方向4に対してほぼ平行な方向に移動させて印刷ヘッド装置5の下方にまでもたらすことができる。ノズル洗浄装置14はまず、それぞれ1つのホッパ列101がそれぞれ1つの所定の印刷ヘッド列26の下に配置されかつ相応するノズル列22(図2)のノズル開口が捕集ホッパ102の捕集面によってカバーされるように位置決めされる。次いで、印刷ヘッド6は制御装置12によって制御され、この場合、全てのノズルを通じてインクが吐出される。印刷ヘッド6のノズルは、場合によっては形成された詰まりが解消されかつ除去されるように洗浄される。ノズルを通じて吐出されたインクは捕集ホッパ102内に捕集されて、相応する清浄化の後に、相応する色の各タンク13へ戻される。
【0035】
このためには、個々のホッパ列が、それぞれ別個の管路108を通じてポンプ109と、たとえばフィルタにより形成されていてよいインククリーニング装置110とを介して、相応するタンク13に接続されている。洗浄過程の際に吐出されたインクがそれぞれ別個のホッパ列101により捕集されることにより、インクをリサイクルに供給し、有用なインクの損失を十分に回避することが可能となる。
【0036】
ノズル洗浄時になお一層改善されたクリーニング作用を得るためには、ノズルヘッド6のノズルを通じてクリーニング液を導通させるか、もしくは吐出させることが考えられる。このためには、制御装置12による相応する制御によりクリーニング液がタンク111から吸い込まれて、その下にちょうどノズル洗浄装置14の別のホッパ列103が位置決めされているような印刷ヘッド列26のノズルを通じて案内される。したがって、このホッパ列103は残留インクもしくはクリーニング液を捕集しかつ廃棄タンク(図示しない)へ導出するために設けられている。したがって、ホッパ列101を通じて導出された再使用されるインクとの混合が回避される。
【0037】
特に、各色のインクが印刷ヘッド6のノズルを通じてそれぞれ対応するホッパ列101へ吐出される洗浄過程では、印刷ヘッド6のノズル開口の範囲にインク滴が付着したままとなることが生じ得る。このようなインク滴を印刷ヘッド6から除去するためには、ノズル洗浄装置14を適宜に移動させることによってノズルクリーニング装置105が印刷ヘッド6のノズル列22に近付けられるか、もしくはその下に位置決めされる。吸込ノズル107を備えた吸込ビーム106はノズル洗浄装置14に移動可能に配置されているので、1つのノズル列22の印刷範囲幅24の寸法分だけ吸込ビーム6を側方に、つまり送り方向4に関して直角な方向に運動させることが可能となる。このためには、吸込ビーム6が連行ピンもしくは連行ローラ112を有している。この連行ピンもしくは連行ローラ112を、それぞれ1つの印刷ヘッド列26に設けられた案内路(図示しない)と係合させることができる。こうして、送り方向4に対して平行なノズル洗浄装置14の運動時に個々の吸込ノズル107が、印刷ヘッド6の、斜めに向けられたノズル列22の全てのノズルを擦過することが達成される。吸込ノズル107は有利には鉛直方向において、ノズル列22に対して僅か十分の数mmの相対間隔しか存在しなくなるように位置決めされている。吸込ノズル107に負圧をかけることにより、吸込ノズル107とノズル列22との間の間隙の範囲における空気流によって残りのインクが連行され、こうして除去される。
【0038】
しかし、ノズルクリーニング装置105に対して択一的に、変向ローラを介して循環しかつ洗浄剤で含浸されたベルトを備えた拭取り装置を使用することもできる。この場合、このベルトはノズル列22に近付けられるか、もしくは印刷ヘッド6に押圧される。このような拭取り装置は、たとえば本願と同一出願人によるオーストリア国特許出願第2099/2003号明細書に開示されている。
【0039】
ノズル洗浄装置14により形成されたクリーニング装置は、僅か1〜2分間の時間を有するクリーニングサイクルの実施を可能にする。インクジェット印刷装置1が連続的な生産プロセスの構成要素として使用される場合には、搬送ベルト7が停止される間のクリーニングサイクルの時間に、到来する別の被印刷部分3が中間貯え器113に迂回されるようになっている。到来する別の被印刷部分3はクリーニングサイクルの終了後にこの中間貯え器113から再び取り出されて、搬送装置2に供給される。いずれにせよノズル洗浄装置14を用いて、クリーニングサイクルを5分よりも短い時間で実施することが可能になる。この手段の導入は制御装置12によって中間貯え器113の制御により自動化されて行われる。また特別な構成では、制御装置12が、インクジェット印刷装置1を形成する構成要素を有する製造プロセスに影響を与えるようになっており、この場合、たとえば制御装置12によって被印刷部分3のための前置された搬送ベルトもしくは後置された搬送ベルトの速度を減少させるか、もしくは必要に応じて増大させることができる。制御装置12はこのような生産設備の全制御装置の機能を引き受けることもできる。
【0040】
図4には、被印刷部分3の位置補正のための装置20を備えた、図1に示したインクジェット印刷装置1の細部を示す平面図が図示されている。
【0041】
前記装置20は、少なくとも2つの互いに平行な側縁を有する被印刷部分3の位置調整もしくは整直のために使用され得る。このことは、たとえば被印刷部分3として汎用の方形の形状を有するセラミック製のタイル151が使用される場合である。被印刷部分3の位置補正のための装置20は図面で見て左側のガイドストリップ152と右側のガイドストリップ153とを有している。両ガイドストリップ152,153は送り方向4に関して斜めに配置されているので、両ガイドストリップ152,153の間の間隔154は徐々に減じられていて、最終的にこの間隔は両ガイドストリップ152,153の最も狭い個所において被印刷部分3もしくはタイル151の幅155に等しくなる。搬送装置2の入口範囲において搬送ベルト7に最初は斜めに載置された被印刷部分3もしくはタイル151は、搬送ベルト7によって搬送方向もしくは送り方向4に引き続き運動させられることにより、ガイドストリップ152,153と接触し、そしてその位置を徐々に変化させていき、この場合、タイル151の側縁は最終的に送り方向4に対して平行に整直される。ガイドストリップ152,153は搬送ベルトの上に小さな間隔を置いて保持されており(図1)、該ガイドストリップ152,153が移動可能に取り付けられている2つの作動キャリッジ156,157を介して、両ガイドストリップ152,153の間の間隔154および両ガイドストリップ152,153の傾斜が調節され得る。
【0042】
以下に、上で説明したインクジェット印刷装置1の機能形式を詳しく説明する。この場合、印刷を施したい被印刷部分3はタイル151によって形成されるものと仮定する。機能形式を説明するためには、図5および図6をも参照する。本実施例において説明するような装置もしくはシステムはその使用可能性に基づき、連続的な製作プロセスの一部もしくは連続的な製作ラインの一部として「シンクロナイズド インライン プリンティング システム(Synchronized Inline Printing System; SIPS)」もしくは「Durst SIPS−シンクロナイズド インライン プリンティング システム(Durst SIPS-Synchronized Inline System)」とも呼ばれる。
【0043】
印刷ヘッド装置5を形成するための、図2につき説明したような、比較的低い解像度の多数の印刷ヘッド6の選択された配置に基づき、比較的高い解像度を有する、大面積にわたって分配された全印刷ヘッドが得られる。印刷ヘッド装置5は図2につき説明したように、使用される4種の色のための4つの印刷ヘッド列26に分割されている。その結果、比較的短いタイル151の場合には、印刷ヘッド装置5の下に複数のタイル151が同時に位置し得るようになる。さらに、1つの印刷ヘッド列26自体も最小のタイル151に関して、1つの印刷ヘッド列26の下に2つのタイル151が同時に位置し得るような大きさでもあるので、この印刷ヘッド列26によって、互いに異なるタイル151に所属する2つの部分画像が同時に印刷される。したがって、インクジェット印刷装置1の制御装置12は、該制御装置12が複数のタイル151の種々の色分解(Farbauszug)の同時印刷ならびに2種のタイル151の同時印刷もしくは1つの色分解のための2つの画像の同時印刷を可能にするように形成されている。
【0044】
インクジェット印刷装置1の制御もしくは運転形式の第1実施例では、交錯した複数のカラーチャンネル(verschraenkt.Farbkanaele)を用いた、画像計算器11と印刷ヘッド6との間の画像データ伝達が設定されている。この場合、全画像もしくは完全な画像データは画像計算器11において、全画像情報が高ビットレートの伝送区間を介してパケットの形で送られるように処理される。この場合、個々のカラーチャンネルはバイト毎に順次に、反復する順序で配置されている。したがって、画像計算器11と印刷ヘッド装置5との間には、伝送区間201が形成される(図1および図5参照)。このためにハードウェアコンポーネントはあまり必要とならないので、このような変化形はエラー発生率の低減という利点を有している。また、これにより画像計算器11と印刷ヘッド装置5との間のデータ伝送のために一層簡単な伝送プロトコルが可能となると共に、制御装置12による制御が一層簡単に行われ得ることも有利である。
【0045】
図5には、画像計算器11と印刷ヘッド装置5との間のデータフローのブロック回路図が図示されている。この場合、図面を見易くするという理由から、4つの印刷ヘッド列26のうちの1つもしくは印刷ヘッド装置5の1つの画像データ回路しか図示されていない。
【0046】
個々のタイル151のための画像もしくは画像データは、印刷シーケンスを制御する制御装置12によって要求されて、画像計算器11から伝送区間201を介して伝送される。伝送区間201は光ファイバ式のデータ伝送線路により実現されていると有利である。この場合、1つの画像は、バイト毎に互いに交錯した4つの色分解から成っている。相応する画像情報−データパケットはデータ伝送回路202において4つの色分解に分解されて、バッファ回路203に中間メモリされる。このときに、個々の色分解は画像に応じて別個に、バッファ回路203の別個のメモリバンク204(図6)に書き込まれる。図6には、図5に示したバッファ回路203のうちの1つがブロック回路図で例示的に図示されている。図6から判るように、バッファ回路203においてそれぞれ最大7つの画像(7つのタイルに対して)を中間メモリし、かつ順次に出力することができる。したがって、メモリバンク204は、相応する入力信号もしくはスタート信号において、書き込まれた画像を出力するダイナミックなリングバッファ(dynamisch.Ringpuffer)として動作する。
【0047】
さらに、バッファ回路203はさらに以下に挙げる別の役割を果たす。バッファ回路203により、到来する印刷データと、印刷ヘッドへ出力されたデータとの間のデータフローが制御される。さらに、バッファ回路203は画像計算器11からのデータフローの解除を生ぜしめる。また、バッファ回路203の働きにより、メモリバンク204(図6)において、印刷ヘッド6のノズルによってインクを吐出させたくない場合には、いわゆる「ゼロインフォメーション」が、メモリされたデータに挿入されるようになる。「ゼロにする(Nullen)」もしくは「ゼロインフォメーション」は、一方では2つの連続したタイル151の間の間隙のために必要となり、他方では1つのタイル151が印刷ヘッド列26の印刷ヘッド6の下に完全に位置しておらず、したがって印刷ヘッド6の傾斜位置に基づき、1つのタイル151の上面17の上に位置するノズルだけがインクを吐出する時間のために必要となる。
【0048】
バッファ回路203は印刷シナリオ(Druckszenarien)の管理をも行う。この場合、常に1つのタイル151が1つの印刷ヘッド列26の下に位置するか、または他方では特定の時間に2つのタイル151が同時に1つの印刷ヘッド列26の下に位置し得るようになる。
【0049】
バッファ回路203に、タイル151に印刷を施すための画像が中間メモリされる形態に関しては、2つのシナリオが区別され得る。第1の場合、複数のタイル151に印刷を施すための印刷注文は、同じサイズもしくは同じ長さを有するタイル151しか含んでいない。第2のシナリオの場合には、互いに異なる長さのタイル151に印刷が施されるようになっている。
【0050】
次に、常に同じタイル長さのタイル151を有する印刷注文のためのシナリオについて説明する。この場合には、画像計算器11が、印刷プロセスを制御する制御装置12に、タイル長さもしくはタイル1つ当たりの相応する数のデータパケットを報知する。印刷注文の開始時では、まず7つの画像がバッファ回路203のメモリバンク204にローディングされる。これらの画像は制御装置によって画像計算器11の伝送区間201もしくはデータ伝送回路202を介して要求されて、個々の色分解のバッファ回路203に伝送される。タイルが搬送ベルト7において搬送装置2の入口範囲から印刷ヘッド装置5へ近付けられない限りは、システムはさしあたり待機段階にある。第1のタイル151がスタ―トセンサもしくはセンサ18を通過するやいなや、カウント装置205がカウンタをスタートさせる。カウンタは個々の印刷ヘッド列26もしくはカラーチャンネルによる印刷過程をリリースする。カウント装置205の第1のカウンタが、検出された第1のタイル151において、センサ18の取付け個所から第1の印刷ヘッド列26(図1で見てC=シアンのための印刷ヘッド列26)までの区間等価(Streckenaequivalent)に相当するカウント数に到達すると、色シアンのためのバッファ回路203からのこのインキ分解もしくは相当するデータの出力がスタートされる。この過程は別の3色に関しても同様に行われる。印刷ヘッドインタフェース206により、画像データは相応する印刷ヘッド列26の印刷ヘッドモジュール25の印刷ヘッド6に分配される。
【0051】
到来するタイル151の長さが短くなればなるほど、1つの画像の完全な出力が完了する前にセンサ18によるカウント装置205のカウンタのスタートがますます頻繁に行われる。最も短いタイル151の場合、同時に合計6つのタイル151が印刷ヘッド装置の下に位置し得るので、カウント装置205は7つのカウンタを有しており、これらのカウンタはそれぞれセンサ18により検出された各1つのタイル151のために順次にスタートされる。カウント装置205の個々のカウンタが、個々の色が出力されるカウント数に到達すると、このカウント装置205によってバッファ回路203のメモリバンク204からのデータの出力がリリースされる。
【0052】
カウント装置205のカウンタが最大カウント数に到達すると、これらのカウンタは再びリセットされて、センサ18により新たなスタートがリリースされるまでこの状態に留まる。インクジェット印刷装置1のこのような制御形式により、タイル151が、互いに種々異なる相互間隔を持って印刷ヘッド装置5に到着し得ることが可能となる。
【0053】
送り方向4に関する印刷ヘッド6の傾斜位置に基づき(図2)、バッファ回路203のメモリバンク204からのデータの出力の、相応して交錯した編成が必要となる。1つの印刷ヘッド列26内部における複数の印刷ヘッド6の配置の他に、画像データは画像計算器11によって再仕分けされなければならない。この場合さらに、画像計算器11によって実効データだけが送られるようになっている。すなわち、印刷ヘッド6の、実際にインク吐出が行われ得るノズルもしくは画素のためにだけデータが送られる。このことには、伝送区間201の容量を最大限利用することができるという利点がある。
【0054】
まず、最大1つのタイル151が1つの印刷ヘッド列26の下に位置している場合に関する印刷ヘッド装置5の制御について説明する。この場合、到来するタイル151の相互間隔は、1つの印刷ヘッド列26の下に2つのタイル151が決して同時に位置しないような大きさに設定されている。
【0055】
印刷ヘッド6によるインクの各吐出過程のためには、まずこの印刷ヘッド6のノズル列22の全てのノズルのために、当該ノズルによるインク吐出を行うべきか(「1」)、あるいはインク吐出を行わないべきか(「0」)どうかの情報が提供されなければならない。印刷ヘッド列26内での印刷ヘッド6の斜めの位置調整に基づき、1つのタイル151が1つの印刷ヘッド列26の下に進入する際に個々の印刷ヘッド6にさしあたり順次にインク吐出の各リリース過程のために実効情報(Nutzinformation)がローディングされることが必要となる。この場合、タイル151の上面17の上には位置していないノズル列22のノズルに対しては、情報として「0」が設定されなければならない。したがって、印刷ヘッド列26の下へのタイル151の進入度合いが増すにつれて、「ゼロにする」の数は減ってゆき、逆に、印刷したい画像情報の数が増えてゆく。バッファ回路203は、タイル151が完全に1つの印刷ヘッド列26の下へ進入するまで、当該バッファ回路203が印刷ヘッド6の各ローディングサイクルにおいてまず「ゼロにする」を出力し、次いで、目下印刷したいメモリバンク204からの実効情報を出力しなければならないことを自立的(autark)に認識する。この場合、「ゼロにする」の数は減少し、そして実効バイトの数が増大してゆき、そして最終的に印刷ヘッドには実効バイトしかローディングされなくなる。タイル151が印刷ヘッド列26から進出すると、同じ過程が逆の順序で実施される。
【0056】
印刷ヘッド装置5の制御についての以下の説明においては、位相的に2つのタイル151が同時に1つの印刷ヘッド列26の下に位置してもよいものと仮定される。この場合には、到来するタイルの相互間隔は、2つのタイル151が同時に1つの印刷ヘッド列26の下に送られることも起こり得るように小さく形成されている。この場合、1つの印刷ヘッド6に提供された情報は同時に、第1のタイル151に印刷を施すための第1の画像の情報と、第2のタイル151の第2の画像の情報とを含んでいる。第1のタイル151が印刷ヘッド列26から進出し始めると、バッファ回路203は実効情報の後に既に説明したゼロビットを挿入する。ゼロビットの数はリリース過程毎に増大する。次いで、まだ第1のタイル151が印刷ヘッド列26から進出する前に、次のタイル151が印刷ヘッド列26の下に進入すると、バッファ回路203はインクを吐出するためのリリース過程のための印刷ヘッド6に:
印刷ヘッド列26から進出しかつ目下処理された色分解がほとんど完全に印刷されているタイル151のためのメモリバンク204nからのデータと;
タイル151の間の間隔を考慮するためのゼロビットと;
印刷ヘッド列26の下に進入した第2のタイル151のためのメモリバンク204n+1からのデータバンクと
を順次ローディングする:
この場合には、2つの画像の画像情報が同時にバッファ回路203の2つの互いに異なるメモリバンク204(nもしくはn+1)によって読み取られて、当該印刷ヘッド列26の印刷ヘッド6により印刷される。
【0057】
この場合、選択された解像度により種々異なる数のゼロビットがタイル151の進入時もしくは2つの連続したタイル151の間(小さなタイル間隔の場合)に挿入されなければならないこともバッファ回路203によって考慮される。100、200、300、400、500、600および800DPIの解像度ステップで印刷を行うことができる。
【0058】
前で説明した機能形式は4色すべてのために役立つが、しかし異なる色数のためにも適用され得る。この場合、印刷ヘッド列26の数もバッファ回路203の数も相応して変更されなければならない。
【0059】
したがって、1つのタイル151への画像の印刷のための印刷過程は、個々の色に関して次のように行われる。カウント装置205の、タイル151に対応するカウンタが、「印刷 シアン」のためのカウント数に到達すると、シアンのための印刷過程がスタートされる。カウント装置205のカウンタが「印刷 マゼンタ」のためのカウント数に到達すると、マゼンタのための印刷過程がスタートされる(以降、他の色に関しても同様に)。各色の出力のための閾値カウント数は画像計算器11によって印刷ヘッド装置5の電子装置に報知され、そしてこの電子装置にメモリされる。
【0060】
次に、それぞれ互いに異なるタイル長さのタイル151を用いた印刷注文のためのシナリオについて説明する。このような場合、当該システムは2つのセンサを必要とし、両センサを用いてタイル151が検出される。搬送装置2の入口範囲に配置された第1のセンサ16はタイル151を検出して、その長さを測定する。測定された長さに関連して、印刷過程を制御する制御装置12は画像計算器11の、測定されたタイル151に対応する数のデータパケットを要求する。画像計算器11は対応するサイズの画像を計算し、この画像をデータ伝送回路202へ送る。タイル151が、いわゆるスタートセンサとして機能する第2のセンサ18に到達すると、カウント装置205のカウンタがスタートされる。相応する印刷ヘッド列26による所定の色分解の印刷の開始は既に上で説明したように、相応する色もしくは印刷ヘッド列26のための相応する閾値カウント数への到達後にリリースされる。
【0061】
インクジェット印刷装置1の運転形式の第2実施例では、分離されたカラーチャンネルもしくは分解されたカラーチャンネルを用いた、画像計算器11と印刷ヘッド6との間の画像データ伝送が設定されている。この場合、画像計算器11には4種類の色分解が保持されて、画像データ処理システムを制御する制御装置12によって必要に応じて要求され得る。この場合やはり2種の変化形、つまり第1に画像計算器11と印刷ヘッド装置5との間で唯一つの伝送区間201を使用すること、第2に各1つの色分解のために4つの平行な伝送区間201を使用することが可能となる。
【0062】
唯一つの伝送区間201が使用される場合には、タイル151が、相応する印刷ヘッド列26の下に位置するやいなや、分離された色分解が制御装置12によって要求される。このときに、複数のタイル151の個々の色分解のためのデータが画像計算器11に中間バッファされて、一義的に対応付けられなければならない。この場合、たとえば第6のタイル151の最初の色分解が既に印刷されたあとでしか第1のタイル151の最後の色分解が要求されないことが生じる。この変化形の場合には、1色当たりに存在するリングバッファのために少数のメモリバンク204しか必要とならず、個々の色のデータが直接に印刷される場合にしか、これら個々の色のためのデータが要求されないので有利である。
【0063】
4つの平行な伝送区間201の変化形の場合には、画像計算器11において各色分解のために相応するインタフェースカードが必要となる。システムはこの変化形では、個々の色分解のための別個の物理的なチャンネルを用いて作動する。
【0064】
インクジェット印刷装置1は、セラミック製のタイル151に画像もしくはモチーフを印刷するために設定されていると有利である。タイル151への印刷時に余白のままとなる縁部が視覚的な印象を損なう恐れがあるので、画像計算器11による印刷ヘッド装置5の制御のための画像データの作成時に、タイル151の縁部から少なくとも少しだけはみ出して印刷が行われるように、相応する画像部分(Bildausschnitt)が選択されるようになっている。しかし、画像計算器11による画像情報データの計算時に、印刷したい画像部分のサイズを決定する際に、ブランク(素材)として提供されたタイル151の収縮をも考慮することができる。
【0065】
しかし、画像計算器11は、多数のタイル151の面をカバーする画像の分割および対応する数のタイルへの部分画像の印刷をも可能にする。したがって、それぞれ1つの部分画像を備えた個々のタイル151の適当な組合せの後に、極めて大きな全体画像を簡単に形成することができる。このことは特に手間のかかる印刷原画の製造なしに可能となる。
【0066】
多種多様の使用可能性のうちの1つの別の例は、できるだけ種々異なる模様を付与されたタイル151の形成である。このことは、たとえば石構造の石目もしくは石の破面の石目を表す印刷原画から画像計算器11によって、ランダムに選ばれた画像部分が決定されて、タイル151に印刷画像を形成するためのベースとして使用されることにより達成される。しかし、画像計算器11によりランダムに選び出されたこれらの画像部分はそれぞれ唯一つのタイル151への印刷付与のためにしか使用されないので、各タイル151はそれぞれ独自の外観を有していて、これらの外観の組合せ後に、得られた全体画像には反復パターンが認められない。石構造の、再現された模様はこれにより、全体的に極めて自然な印象を与える。
【0067】
また、画像計算器11は、たとえば凹部を有していてよい、平坦な上面17とは異なる表面構造を考慮することも可能にする。上面17のこのような表面構造は、該表面構造により、選び出されたモチーフが、たとえばタイル151の凹部の範囲にしか印刷されないことが規定される場合に考慮され得る。
【0068】
画像計算器11から印刷ヘッド装置5へデータを伝送するためには、特に伝送区間201を介して30MB/s〜70MB/s、有利には50MB/sが伝送され得るようになっている。伝送区間201を介した画像計算器11からのデータの伝送を、50MB/s(メガバイト/秒)または50MB/sよりも高い伝送速度で実施することが特に有利であることが判っている。したがって、インクジェット印刷装置1の運転時では、搬送装置2による被印刷部分3の送りを最大70m/min(メートル/分)までの速度で行うことが可能となる。特に、最大70m/minまでの可変の速度を持って被印刷部分3の運動を行うことができるようになっている。
【0069】
上で説明したように、方形のタイル151に印刷を施すためには被印刷部分3の位置補正のための装置20が設けられている。この装置20によって、タイル151を規定の位置もしくは規定の向きにもたらすことができる。また、インクジェット印刷装置1により、任意の外側輪郭もしくは外側形状の被印刷部分3に印刷を施すことも、位置調整することも可能となる。このためには、搬送装置2の入口範囲でカメラ21が、搬送ベルト7に載置された被印刷部分3の画像を記録するようになっている。この画像はカメラ21から制御装置12へ伝送され、自動的な画像認識のためのソフトウェアを用いて被印刷部分3の輪郭が求められる。被印刷部分3の輪郭は最終的に画像計算器11へ引き渡される。画像計算器11は、印刷したいモチーフもしくは相応する画像データを変換することにより、つまり位置および向きを適合させることにより、被印刷部分3の形状および向きを考慮する。
【0070】
また、インクジェット印刷装置1の性能を向上させるためには、印刷注文のための画像データを計算するためのネットワークの別のコンピュータを画像計算器11に接続することも考えられる。この場合、それ自体コンピュータにより構成されていてよい制御装置12と、画像計算器11とが、コンピュータネットワークのクライアント・サーバー・アーキテクチャー(Client-Server-Architektur)の構成要素であると特に有利である。この場合、コンピュータネットワークでは画像計算器11の他に画像データを計算するための別のクライアント計算器が提供されている。このクライアント計算器により、連続的な印刷過程の間、付加的なクライアント計算器によって既にあとからの使用のための印刷ジョブを準備するか、もしくは計算することができるようになる。
【0071】
後続の図7〜図13につき、インクジェット印刷装置1を用いたタイル151への印刷の種々の作動モードについて詳しく説明する。
【0072】
本発明によるインクジェット印刷装置1を用いると、連続的な印刷「オンザフライ(on-the-fly)」の間、より大きな画像データから選択的に、秩序付けられた整然としたシーケンスに従うか、またはランダム−乱数原理に従って(両事例において複数の作動モードが可能である)、できれば印刷を施されたいずれの原画(たとえばタイル)も異なる模様を有し、ひいては最も良好に自然感覚に近付けられるように種々異なる画像部分を自動的に印刷することが可能となる。「オンザフライ」とは、既に印刷ヘッド装置5の印刷ヘッド6により画像の第1の部分の刷込みが行われている間、画像もしくは画像データの別の部分のための印刷ヘッド装置を制御するための画像データの計算も実行されるように、印刷したい画像データの画像データ処理を行うことができることを意味している。したがって、画像データ処理はこの意味ではリアルタイムで行われる。
【0073】
図7には、装飾的なモチーフを有する一列のタイル151の製造がシンボリック的に簡素化されて図示されている。このためには、画像原画251が、画像計算器11(図1)の画像データ処理のソフトウェアを用いてオペレータにより1つの画像部分252が選び出される。画像原画251としては、たとえば石もしくは石構造の破面のデジタル画像が使用される。この画像原画251のサイズは、たとえば約1m×2mの辺長さの実際サイズに相当していて、タイル151に相応するサイズの適当な画像部分252の選び出しを可能にする。最も簡単な方法では、同じ画像部分252が、予め選択された個数のタイル151にインクジェット印刷装置1により付与される。タイル151の列は図7では、印刷完了した状態で、インクジェット印刷装置1から進出する形で図示されている。タイル151にはそれぞれ同じ画像部分252(文字「A」によりシンボル化)が印刷されている。
【0074】
図8には、画像原画251からの画像部分252の、秩序付けされた整然とした選び出しを有する一列のタイル151への印刷付与が示されている。この実施例では、画像原画251から相並んで位置する12個の画像部分252(数字「1」〜「12」によりシンボル化)が選び出されている。したがって、それぞれ12個のタイル151には、それぞれ個別に互いに異なる画像部分252を印刷することができる。これによって、相応して種々様々に形成された多様のタイル151が得られる。
【0075】
図9には、タイル151に印刷もしくは装飾を施すための画像原画251から、個々に互いに異なる画像部分252を選び出すための別の実施例が図示されている。この場合には、まず画像原画251から第1の画像部分252が選択される。付加的にX方向もしくはY方向で間隔253および間隔254が選択される。次いで、第1の画像部分252の輪郭制限部をX方向もしくはY方向でX方向における相応する間隔253もしくはY方向における相応する間隔254だけ移動させることにより、第2の画像部分255が得られる。次いで、第2の画像部分255の輪郭制限部をさらにX方向もしくはY方向に間隔253もしくは間隔254だけ移動させていくことにより、第3の画像部分256もしくは第4の画像部分257が得られる。画像部分252を選び出す際のこの過程は少なくとも、画像原画251の輪郭制限部全体が達成されるまでの間、継続され得る。これら全ての画像部分251,255,256等の量は、画像計算器11により準備されて、相応する個数のタイルに印刷を施すために提供される。
【0076】
図10、図11および図12には、画像原画251からの画像部分252のランダムな選び出しのための例が図示されている。
【0077】
図10に示した方法では、まず第1の画像部分252が選択される。その後に、間隔253,254のために信頼性の良い値対が決定され、次いでこの値対に関連して第2の画像部分255が決定される。次いで、X方向もしくはY方向にずらすための間隔253,254のための別のランダムな値対を用いて、別の画像部分256,257等が決定される。
【0078】
図11に示した画像部分252のための選び出し方法では、付加的に、間隔253もしくは間隔254のランダムな選び出しの他に、第2の画像部分255もしくは後続の画像部分256,257等の輪郭制限線のランダムな90゜反転が行われるようになっている。
【0079】
図12にシンボリックに図示されているような選び出し方法では、別の画像部分255,256,257等を決定するために第1の画像部分252から出発してX方向もしくはY方向におけるランダムに選択された間隔253;254分のずらしも、XY平面内での任意の角度での信頼性良く選択された反転も設定されている。
【0080】
こうして、図8〜図12につき説明した画像部分252の選び出し方法は、種々異なる模様を付与されたタイル151の形成を可能にするので、各タイル151はできるだけ独自の外観を有し、こうして極めて自然な印象が達成され得る。
【0081】
インクジェット印刷装置の作動モードの付加的な変化実施例としては、次のような構成も考えられる。すなわち、制御装置12もしくは画像計算器11により、画像部分252に続く個々の画像部分252,255,256等(図8〜図12)にそれぞれ百分率で表した頻度(h,h等)の値を対応させることができる。これにより、製造されるタイル151が大きな個数である場合に、刷込みによって画像部分252「A」に対応する刷込みを有するタイルが頻度hで、かつ画像部分255「B」を有するタイルが頻度(%)hで、それぞれ印刷を施されたタイル151の量に含まれている(図12)ことを達成することができる。
【0082】
図13につき、できるだけ種々様々に装飾的なモチーフを施与されたタイル151を製造するためのインクジェット印刷装置1の作動形式のためのさらに別の変化形について説明する。第1の画像原画251の一連の画像部分252,254,255等(A,B,C,D等)の他に、画像計算器11によるか、もしくは画像計算器11もしくは制御装置12に接続されているコンピュータネットワークの別のクライアント計算器により、第2の画像原画258から別の一連の画像部分259,260,261等(O,P,Q,R等)が計算される。したがって、第1の印刷注文もしくは第1の印刷ジョブは画像部分252,255,256等(A,B,C,D等)を用いて、そして第2の印刷注文もしくは第2の印刷ジョブは画像部分259,260,261等(O,P,Q,R等)を用いて、それぞれ画像計算器11によって形成されて、タイル151への印刷のために準備される。別の変化形としては、第1の印刷注文の画像部分252,255等と第2の印刷注文の画像部分259,260等とのランダムな混合を行うことも考えられる。インクジェット印刷装置1を用いた連続的な印刷過程の間、制御装置12によってランダムに、互いに異なる画像原画251,258からの画像部分のデータが選択されて、タイル151への印刷のために使用される。
【0083】
しかし、インクジェット印刷装置1を用いて、レリーフ状の表面構造を有するタイル151に対してこの表面構造に相当する画像部分をぴたりと合うように印刷することも可能である。このためには、インクジェット印刷装置1(図1)の搬送装置2の入口範囲に配置されたカメラ21によって被印刷部分3もしくはタイル151が識別される。択一的には、タイル151の認識を、たとえばタイル151の下面に取り付けられた、所定のコードを備えたマーキングによって行い、そしてこのコードの検出を適当なセンサ(図示しない)によって行うこともできる。次いで制御装置12の働きによって、画像計算器11によりタイル151もしくはその表面構造に対応する画像が印刷のために提供されるようになる。その結果、タイル151の種類ならびにその向きをカメラ21によって検出することにより、相応する画像の、隆起部もしくは凸設部に相当する部分が、タイル151の相応して隆起した個所もしくは凸設された個所に印刷され、前記画像の、凹設部に相当する部分が、タイル151の相応して凹設された個所に印刷されることを確保することができる。被印刷部分3もしくはタイル151に所定のコードを設けるか、もしくはカメラ21を用いて検出および識別を行うことにより、互いに異なる表面構造を備えている種々異なるタイル151を1つの共通の印刷注文において処理し得ることが可能となる。どのような種類のタイル151がカメラ21によって検出されるか、もしくは検知されるのかに応じて、制御装置12もしくは画像計算器11によって相応する画像が印刷のために準備され、印刷ヘッド装置5の印刷ヘッドが、相応する制御信号によって制御される。
【0084】
前記実施例はインクジェット印刷装置の可能な変化実施例を示すものであるが、ただし念のため付言しておくと、本発明は特に図示された変化実施例に限定されるものではなく、むしろ個々の変化実施例の種々異なる組合せも可能であり、このような変化可能性は客観的な発明による工業的な行為のための思想に基づいて、当該技術分野に従事する当業者の能力の範ちゅうにある。すなわち、図示の前記変化実施例の個々の細部の組合せにより可能となる、考えられ得る全ての変化実施例も本発明の枠内にある。
【0085】
最後に念のため付言しておくと、インクジェット印刷装置の構造を分かり易くするためにインクジェット印刷装置もしくはその構成要素は部分的に縮尺通りではなく、かつ/または拡大されて、かつ/または縮小されて図示されている。
【0086】
本発明固有の解決手段の根底を成す課題は明細書本文から明らかである。
【0087】
とりわけ、図1;図2;図3;図4;図5;図6;図7;図8;図9;図10、図11、図12および図13に示した個々の構成は本発明固有の解決手段の対象を形成することができる。これに関する本発明の課題および解決手段はこれらの図面に対する詳細な説明から明らかとなる。
【符号の説明】
【0088】
1 インクジェット印刷装置
2 搬送方向
3 被印刷部分
4 送り方向
5 印刷ヘッド装置
6 印刷ヘッド
7 搬送ベルト
8 変向ローラ
9 ガイドプレート
10 ガイド部
11 画像計算器
12 制御装置
13 タンク
14 ノズル洗浄装置
15 クリーニング装置
16 センサ
17 上面
18 センサ
19 前縁
20 装置
21 カメラ
22 ノズル列
23 ノズル列長さ
24 印刷範囲幅
25 印刷ヘッドモジュール
26 印刷ヘッド列
27 全印刷範囲幅
28 印刷範囲長さ
101 ホッパ列
102 捕集ホッパ
103 ホッパ列
104 捕集ホッパ
105 ノズルクリーニング装置
106 吸込ビーム
107 吸込ノズル
108 管路
109 ポンプ
110 インククリーニング装置
111 タンク
112 連行ローラ
113 中間貯え器
151 タイル
152,153 ガイドストリップ
154 間隔
155 幅
156,157 作動キャリッジ
201 伝送区間
202 データ伝送回路
203 バッファ回路
204 メモリバンク
205 カウント装置
206 印刷ヘッドインタフェース
251 画像原画
252 画像部分
253 間隔
254 間隔
255 画像部分
256 画像部分
257 画像部分
258 画像原画
259 画像部分
260 画像部分
261 画像部分
262 画像部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多色の画像を印刷するためのインクジェット印刷装置(1)であって、ほぼ水平に配置された搬送装置(2)が設けられており、該搬送装置(2)が、該搬送装置(2)に載置された、印刷を施したい被印刷部分(3)を送り方向(4)に運動させるために働き、前記搬送装置(2)の上方に配置された印刷ヘッド装置(5)が設けられており、該印刷ヘッド装置(5)が、印刷過程の間、前記搬送装置(2)に対して相対的に定位置に配置されており、印刷したい画像の画像データからの制御信号の形成のための制御装置(12)及び画像計算器(11)が設けられている形式のものにおいて、インクジェット印刷装置の搬送装置(2)の入口側の範囲に、被印刷部分(3)の画像を記録するためのカメラ(21)が配置されており、自動的な画像認識のためのソフトウェアを備えた制御装置(12)もしくは画像計算器(11)が形成されており、画像計算器(11)は、印刷したい画像の画像データを画像データを被印刷部分(3)の位置および向きに対応して変換するように、形成されていることを特徴とする、多色の画像を印刷するためのインクジェット印刷装置。
【請求項2】
画像計算器(11)は、被印刷部分(3)の輪郭の検出のためのソフトウェアを備えて形成されている、請求項1記載のインクジェット印刷装置。
【請求項3】
インクジェット印刷装置の搬送装置(2)の入口側の範囲に、被印刷部分(3)の下面に取り付けられたマーキングの検出のためのセンサが設けられている、請求項1又は2記載のインクジェット印刷装置。
【請求項4】
インクジェット印刷装置(1)を用いて多色の画像を印刷するための方法であって、インクジェット印刷装置は、ほぼ水平に配置された搬送装置(2)が設けられ、該搬送装置(2)が、該搬送装置(2)に載置された、印刷を施したい被印刷部分(3)を送り方向(4)に運動させるために働き、前記搬送装置(2)の上方に配置された印刷ヘッド装置(5)が設けられるように形成される形式のものにおいて、インクジェット印刷装置の搬送装置(2)の入口側の範囲に、被印刷部分(3)の画像を記録するためのカメラ(21)が配置され、制御装置(12)もしくは画像計算器(11)は、被印刷部分(3)の輪郭の検出のためのソフトウェアを備えて形成され、被印刷部分(3)の画像はカメラ(21)によって記録され、かつ画像計算器(11)へ伝送され、画像計算器(11)は、印刷したいモチーフもしくは印刷したい画像の画像データを、被印刷部分(3)の位置および向きに対応して変換することにより、被印刷部分(3)の形状および向きを考慮することを特徴とする、インクジェット印刷装置を用いて多色の画像を印刷するための方法。
【請求項5】
画像計算器(11)によって被印刷部分(3)の輪郭を検出する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
インクジェット印刷装置の搬送装置(2)の入口側の範囲に、被印刷部分(3)の下面に取り付けられたマーキングの検出のためのセンサが設けられている、請求項4又は5記載の方法。
【請求項7】
被印刷部分(3)は、レリーフ状の表面構造を有しており、カメラ(21)によって被印刷部分(3)が識別され、被印刷部分(3)の表面構造に対応する画像が被印刷部分(3)に印刷される請求項4から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
被印刷部分(3)は、レリーフ状の表面構造及び下面に取り付けられたマーキングを有しており、センサによって該マーキングを検出し、被印刷部分(3)の表面構造に対応する画像が被印刷部分(3)に印刷される、請求項6記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−51371(P2012−51371A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179254(P2011−179254)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【分割の表示】特願2007−554474(P2007−554474)の分割
【原出願日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【出願人】(503102179)ダースト フォトテヒニーク アクチエンゲゼルシャフト (3)
【氏名又は名称原語表記】Durst Phototechnik − A. G.
【住所又は居所原語表記】Julius Durst−Strasse 4, I−39042 Brixen, Italy
【Fターム(参考)】