定着装置及び画像形成装置
【課題】ニップ圧の状態を正確に検知することができ、信頼性の高い定着装置を提供する。
【解決手段】本発明は、記録媒体上の未定着画像を当該記録媒体に定着させるための定着部材21と、加圧手段27によって定着部材21に加圧されて記録媒体を通過させるニップ部を形成する加圧部材22と、加圧手段27の加圧力に抗して動作して定着部材21及び加圧部材22を所定の加圧状態から減圧状態にする圧解除手段28,29と、圧解除手段28,29の減圧状態での位置と所定の加圧状態での位置とを判別するための位置検知手段とを有する。所定の加圧状態では、圧解除手段28,29が、加圧手段27の加圧力を受けないフリーな状態で保持されるように構成されている。本発明は、所定の加圧状態での圧解除手段28,29の位置を決定する位置決め手段を備える。
【解決手段】本発明は、記録媒体上の未定着画像を当該記録媒体に定着させるための定着部材21と、加圧手段27によって定着部材21に加圧されて記録媒体を通過させるニップ部を形成する加圧部材22と、加圧手段27の加圧力に抗して動作して定着部材21及び加圧部材22を所定の加圧状態から減圧状態にする圧解除手段28,29と、圧解除手段28,29の減圧状態での位置と所定の加圧状態での位置とを判別するための位置検知手段とを有する。所定の加圧状態では、圧解除手段28,29が、加圧手段27の加圧力を受けないフリーな状態で保持されるように構成されている。本発明は、所定の加圧状態での圧解除手段28,29の位置を決定する位置決め手段を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体上の未定着画像を当該記録媒体に定着する定着装置、及びその定着装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の電子写真方式の画像形成装置には、紙等の記録媒体に画像を定着させる定着装置が設けられている。定着装置は、例えば、内部に加熱源を有する定着ローラと、定着ローラに加圧される加圧ローラと、加圧ローラを定着ローラに加圧する加圧バネ等を有する。この定着ローラと加圧ローラとが互いに加圧されて形成されたニップ部に、記録媒体を通過させることによってトナー画像が記録媒体に定着される。
【0003】
ところで、この種の定着装置において、封筒のような2枚の紙が折り重なった用紙を、普通紙等の1枚の用紙と同様のニップ圧で定着処理をすると、シワが発生しやすいことが知られている。そのため、封筒等の定着処理を行う場合は、通常のニップ圧よりも低い圧力に設定する必要がある。
【0004】
また、ニップ部では通常200〜400N程度の加圧力が与えられているため、定着装置が長期間保管されていると、ニップ部において定着ローラと加圧ローラにクリープ現象による永久変形が生じて、元の形状に戻らなくなる問題がある。さらに、定着ローラと加圧ローラとの間で紙詰まりが発生した場合、定着ローラと加圧ローラとの間の加圧力が強いと、両ローラ間から詰まった紙を取り除きにくいといった問題もある。
【0005】
上記のようなニップ圧に関する問題を解決するため、従来から、封筒などに画像を定着する場合はニップ圧を低減させたり、非画像形成時あるいは紙詰まり発生時に、ニップ圧を解除する又は低減させたりすることが行われている。
【0006】
例えば、特許文献1には、ニップ圧を通常の加圧状態から減圧するための圧解除機構が提案されている。具体的には、図12に示すように、この定着装置は、定着ローラ200と加圧ローラ300のニップ圧を減圧する手段として、回動レバー400を備える。図12に示す状態では、回動レバー400によって減圧は行われていない。この状態では、加圧ローラ300を支持する支持部材500が弾性部材600のバネ力を受けることで、加圧ローラ300が定着ローラ200に加圧された通常の加圧状態となっている。
【0007】
そして、ニップ圧を減圧する場合は、図13に示すように、回動レバー400を図の時計回りに回動させ、弾性部材600のバネ力に抗して支持部材500を押し下げる。これにより、加圧ローラ300が定着ローラ200に対して離れる方向に移動し、ニップ圧が減圧される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のような圧解除機構を備える定着装置において、間違ったニップ圧で定着処理をすると、次のような不具合が生じる虞がある。例えば、ニップ圧が低い状態で普通紙の定着処理が行われた場合、加圧力が十分でないため、定着不良が発生する。また、反対に、ニップ圧が高い状態で封筒の定着処理がされた場合は、上述のように、封筒にシワが発生する。このような問題を未然に防ぐには、ニップ圧の状態(高低)を検知し、適したニップ圧で定着処理を行う必要がある。
【0009】
図12に示す従来の定着装置において、ニップ圧の状態を検知する方法としては、回動レバー400の回動位置をセンサ等の位置検知手段によって検知することが考えられる。ここで、回動レバー400の回動位置を検知することによりニップ圧の状態を正確に把握するには、回動レバー400の位置が、ニップ圧を減圧した状態での位置(図13に示す状態での位置)と減圧しない状態での位置(図12に示す状態での位置)で決定されている必要がある。
【0010】
この点、図13に示すニップ圧を減圧した状態では、回動レバー400は弾性部材600によるバネ力を受けた状態で静止されるため、その位置は決定されている。しかし、図12に示すニップ圧を減圧していない状態では、回動レバー400はフリー(回動可能)な状態であるため、その位置は決定されていない。
【0011】
このため、特許文献1に示す定着装置においては、ニップ圧を減圧していない状態での回動レバーの位置を正確に検知することができず、その結果、ニップ圧の状態を正確に把握できないといった問題がある。特に、位置検知手段として光センサを用いた場合は、その検知範囲は精々2〜3mm程度の小さい範囲であるため、上記のように回動レバーがフリーな状態となっていると、回動レバーの位置を正確に検知することが困難となる。
【0012】
そこで、本発明は、斯かる事情に鑑み、ニップ圧の状態を正確に検知することができ、信頼性の高い定着装置、及びその定着装置を備えた画像形成装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明は、記録媒体上の未定着画像を当該記録媒体に定着させるための定着部材と、加圧手段によって前記定着部材に加圧されて記録媒体を通過させるニップ部を形成する加圧部材と、前記加圧手段の加圧力に抗して動作して前記定着部材及び前記加圧部材を所定の加圧状態から減圧状態にする圧解除手段と、前記圧解除手段の前記減圧状態での位置と前記所定の加圧状態での位置とを判別するための位置検知手段とを有し、前記所定の加圧状態では、前記圧解除手段が、前記加圧手段の加圧力を受けないフリーな状態で保持されるように構成された定着装置において、前記所定の加圧状態での前記圧解除手段の位置を決定する位置決め手段を備えるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、所定の加圧状態で圧解除手段がフリーな状態となる構成においても、位置決め手段によって圧解除手段の位置決めをすることができるので、ニップ圧の状態を正確に検知することができるようになる。これにより、信頼性の高い定着装置及び画像形成装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る画像形成装置の実施の一形態を示す概略構成図である。
【図2】前記画像形成装置に搭載された定着装置の外装部を取り除いた状態の一端側の斜視図である。
【図3】前記定着装置においてニップ圧が減圧された状態の一端側の斜視図である。
【図4】前記定着装置の概略構成を示す平面図である。
【図5】前記定着装置の一方の端部側の外観斜視図である。
【図6】前記定着装置の他方の端部側の外観斜視図である。
【図7】操作レバーの位置決め手段の概略構成を示す側面図である。
【図8】前記定着装置の一方の端部側の外観斜視図である。
【図9】前記定着装置の他方の端部側の外観斜視図である。
【図10】前記定着装置の一方の端部側の外観斜視図である。
【図11】前記定着装置の他方の端部側の外観斜視図である。
【図12】従来の定着装置の概略構成図である。
【図13】前記従来の定着装置においてニップ圧が減圧された状態の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付の図面に基づき、本発明について説明する。なお、本発明を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0017】
まず、図1を参照して、本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の全体構成及び動作について説明する。
図1に示す画像形成装置は、カラーレーザープリンタであり、その装置本体100には、画像形成ユニットとしての4つのプロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkが着脱可能に装着されている。各プロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の異なる色の現像剤を収容している以外は同様の構成となっている。なお、現像剤としては、トナーから成る一成分現像剤を用いてもよいし、トナーとキャリアから成る二成分現像剤を用いても構わない。
【0018】
具体的には、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkは、潜像担持体としてのドラム状の感光体2と、感光体2の表面を帯電させる帯電ローラ3等を備えた帯電装置と、感光体2の表面にトナーを供給する現像装置4と、感光体2の表面をクリーニングするためのクリーニングブレード5等を備えたクリーニング装置などを備える。なお、感光体2は、ドラム状のものの他に、ベルト状のものを採用することも可能である。また、図1では、ブラックのプロセスユニット1Bkが備える感光体2、帯電ローラ3、現像装置4、クリーニングブレード5のみに符号を付しており、その他のプロセスユニット1Y,1C,1Mにおいては符号を省略している。
【0019】
各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの上方には、感光体2の表面を露光する露光装置6が配設されている。露光装置6は、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラー等を有し、画像データに基づいて各感光体2の表面へレーザー光を照射するようになっている。
【0020】
また、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの下方には、転写装置7が配設されている。転写装置7は、転写体としての無端状のベルトから構成される中間転写ベルト8を有する。中間転写ベルト8は、支持部材としての駆動ローラ9と従動ローラ10に張架されており、駆動ローラ9が図の反時計回りに回転することによって、中間転写ベルト8は図の矢印で示す方向に周回走行(回転)するように構成されている。
【0021】
4つの感光体2に対向した位置に、一次転写手段としての4つの一次転写ローラ11が配設されている。各一次転写ローラ11はそれぞれの位置で中間転写ベルト8の内周面を押圧しており、中間転写ベルト8の押圧された部分と各感光体2とが接触する箇所に一次転写ニップが形成されている。また、各一次転写ローラ11は、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が各一次転写ローラ11に印加されるようになっている。
【0022】
また、駆動ローラ9に対向した位置に、二次転写手段としての二次転写ローラ12が配設されている。この二次転写ローラ12は中間転写ベルト8の外周面を押圧しており、二次転写ローラ12と中間転写ベルト8とが接触する箇所に二次転写ニップが形成されている。また、二次転写ローラ12は、一次転写ローラ11と同様に、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が二次転写ローラ12に印加されるようになっている。
【0023】
また、中間転写ベルト8の図の右端側の外周面には、中間転写ベルト8の表面をクリーニングするベルトクリーニング装置13が配設されている。このベルトクリーニング装置13から伸びた図示しない廃トナー移送ホースは、転写装置7の下方に配設された廃トナー収容器14の入口部に接続されている。
【0024】
画像形成装置本体100の下部には、記録媒体としての用紙Pを収容した給紙トレイ15や、給紙トレイ15から用紙Pを搬出する給紙ローラ16等が設けてある。なお、上記用紙Pは、厚紙、はがき、封筒、普通紙、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ等を含む。さらに、記録媒体には、用紙P以外に、OHPシートもしくはOHPフィルム等のシート材も含まれる。また、図示しないが、手差し給紙機構を設けてもよい。
【0025】
一方、画像形成装置本体100の上部には、用紙を外部へ排出するための一対の排紙ローラ17と、排出された記録媒体をストックするための排紙トレイ18とが配設されている。
【0026】
また、画像形成装置本体100内には、用紙Pを給紙トレイ15から二次転写ニップを通って排紙ローラ17へ搬送するための搬送路R1が配設されている。搬送路R1において、二次転写ローラ12の位置よりも用紙搬送方向上流側には、二次転写ニップへ用紙Pを給送する給送手段としての一対のレジストローラ19が配設されている。また、二次転写ローラ12の位置よりも用紙搬送方向下流側には、用紙Pに転写された未定着画像を定着するための定着装置20が配設されている。この定着装置20は、用紙上の未定着画像を当該用紙に定着させるための定着部材(又は定着回転体)としての定着ローラ21、定着ローラ21に加圧されて用紙を通過させるニップ部を形成する加圧部材(又は加圧回転体)としての加圧ローラ22等を有する。また、定着ローラ21内には、熱源としてのヒータ23が設けられている。
【0027】
また、画像形成装置本体100内には、両面印刷を行う際に用紙を表裏反転させるための搬送路として、反転路R2が配設されている。反転路R2は、搬送路R1の搬送方向下流端部の手前側で分岐すると共に、レジストローラ19の手前側で搬送路R1に合流している。また、両面印刷を行う際、上記排紙ローラ17は、用紙Pを排出する方向とは逆方向に搬送して反転路R2へと送る、いわゆるスイッチバックローラとして機能する。
【0028】
上記画像形成装置は以下のように動作する。
作像動作が開始されると、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの感光体2が図示しない駆動装置によって図の時計回りに回転駆動され、各感光体2の表面が帯電ローラ3によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された各感光体2の表面には、露光装置6からレーザー光がそれぞれ照射されて、それぞれの感光体2の表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体2に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように感光体2上に形成された静電潜像に、各現像装置4によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像として顕像化(可視像化)される。
【0029】
続いて、中間転写ベルト8を張架する駆動ローラ9が図の反時計回りに回転駆動されることにより、中間転写ベルト8が図の矢印で示す方向に走行駆動される。また、各一次転写ローラ11に、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加される。これにより、各一次転写ローラ11と各感光体2との間の一次転写ニップにおいて転写電界が形成される。そして、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの感光体2に形成された各色のトナー画像が、上記一次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、中間転写ベルト8上に順次重ね合わせて転写される。かくして中間転写ベルト8はその表面にフルカラーのトナー画像を担持する。
【0030】
また、中間転写ベルト8に転写しきれなかった各感光体2上のトナーは、それぞれ、クリーニングブレード5によって除去される。次いで、各感光体2の表面が図示していない除電装置によって除電作用を受け、その表面電位が初期化されて次の画像形成に備えられる。
【0031】
一方、画像形成装置の下部では、給紙ローラ16が回転駆動することによって、給紙トレイ15に収容された用紙Pが搬送路R1に送り出される。搬送路R1に送り出された用紙Pは、レジストローラ19によってタイミングを計られて、二次転写ローラ12とそれに対向する駆動ローラ9との間の二次転写ニップに送られる。このとき二次転写ローラ12には、中間転写ベルト8上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加されており、これにより、二次転写ニップに転写電界が形成されている。そして、二次転写ニップに形成された転写電界によって、中間転写ベルト8上のトナー画像が用紙P上に一括して転写される。あるいは、駆動ローラ9に対しトナーの帯電極性と同極性の転写電圧を印加することにより、中間転写ベルト8上のトナー画像を用紙Pに転写するようにしてもよい。
【0032】
また、用紙Pに転写しきれなかった中間転写ベルト8上の残留するトナーは、ベルトクリーニング装置13によって除去される。そして、除去されたトナーは、図示しない廃トナー移送ホースを介して廃トナー収容器14へ搬送され回収される。
【0033】
トナー画像が転写された用紙Pは、定着装置20へと搬送され、定着ローラ21と加圧ローラ22によって用紙Pが加熱及び加圧されてトナー画像が定着される。その後、用紙Pは一対の排紙ローラ17の間へと搬送され、排紙ローラ17が用紙Pを挟持して回転することにより用紙Pが装置外へ排出される。
【0034】
また、両面印刷を行う場合は、上記定着装置20によって用紙Pの片面(表側の面)にトナー画像を定着した後、当該用紙Pは、上記排出ローラ17によって排出方向に搬送されるが、用紙Pの後端が反転路R2の分岐点を通過した時点で、排紙ローラ17を逆回転させる。これにより、用紙Pはスイッチバックされ反転路R2へと進行する。また、反転路R2への搬送路の切り換えは、反転路R2の分岐点近傍に設けられている図示しない搬送路切換爪によって行われる。そして、用紙Pは、反転路R2内を通過すると、表裏が反転された状態で再び搬送路R1へ案内される。以降、上記と同様の工程を経て、用紙Pの裏面にトナー画像が転写され、その画像が定着された後、用紙Pは装置外へ排出される。
【0035】
以上の説明は、用紙上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つのプロセスユニットを使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
【0036】
次に、上記定着装置20について詳しく説明する。
上述のように、本実施形態の定着装置20は、定着部材としての定着ローラ21と、加圧部材としての加圧ローラ22とを有する。定着ローラ21は、アルミニウム又は鉄等の金属材料からなる円筒体(肉厚が1mm、外径が30mm)と、その表面に形成されたシリコーンゴム、フッ素ゴム、又は発泡性シリコーンゴム等からなる弾性層(肉厚は1mm程度)と、さらにその表面に形成されたPFA(4フッ化エチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂)、又はPTFA(ポリテトラフルオロエチレン)等からなる離型層(厚みは数十μm程度)とを有している。
【0037】
また、上記円筒体の内部には上記ヒータ23が設けられている。本実施形態のヒータ23は、ハロゲンヒータであって、その両端部が定着装置20のフレームに固定されている。ヒータ23は、画像形成装置本体に設けられている図示しない電源部(交流電源)により出力制御され、出力制御されたヒータ23からの輻射熱によって上記円筒体が加熱されるようになっている。さらに、加熱された円筒体の熱は、弾性層、離型層へと熱が伝えられ、用紙上のトナー画像に熱が加えられる。
【0038】
また、温度検知手段としての図示しないサーモパイルが、定着ローラ21の表面に対し非接触に対向して配設されており、このサーモパイルによる温度検知結果に基づいて上記ヒータ23の出力制御が行われるようになっている。詳しくは、サーモパイルの温度検知結果に基づいて定められた通電時間だけ、ヒータ23に交流電圧が印加される。このようなヒータ23の出力制御によって、定着ローラ21の温度(定着温度)を所望の温度(目標制御温度)に調整制御することができる。また、定着ローラ21は、駆動モータ(不図示)によって回転駆動されるようになっている。
【0039】
続いて、加圧ローラ22は、芯金と、その表面に形成されたシリコーンゴム、フッ素ゴム、又は発泡性シリコーンゴム等からなる弾性層(肉厚が4mm程度)とを有する。加圧ローラ22は外径が35mm程度に設定されている。なお、弾性層の表面にPFA又はPTFE等からなる離型層を設けることもできる。そして、加圧ローラ22は後述の加圧機構によって定着ローラ21に圧接する。こうして、加圧ローラ22と定着ローラ21との間に、所望のニップ部(定着ニップ)が形成される。なお、本実施形態において、加圧ローラ22を直接的に加熱するヒータ等の加熱手段を設置したり、ヒータ23の出力制御にローラ表面に接触対向するサーミスタを用いたりすることも可能である。
【0040】
また、定着ローラ21と加圧ローラ22とが当接するニップ部の入口側には、用紙の搬送を案内するガイド板(不図示)が配設されている。また、ニップ部の出口側近傍には、ニップ部から送り出された用紙(定着工程後の用紙)が定着ローラ21に巻き付く不具合を抑止する分離板(不図示)が設置されている。
【0041】
上述のように構成された定着装置20は、以下のように動作する。
画像形成装置本体の電源スイッチが投入されると、交流電源からヒータ23に交流電圧が印加(給電)されると共に、不図示の駆動モータによって定着ローラ21が回転駆動を開始されて、それと同時に加圧ローラ22が従動回転する。その後、給紙トレイ15から用紙Pが給送されて、二次転写ニップの位置で用紙P上に未定着画像が担持される。未定着画像(トナー像)が担持された用紙Pは、定着装置20に搬送されて、圧接状態にある定着ローラ21と加圧ローラ22のニップ部に送入される。そして、定着ローラ21による加熱と、定着ローラ21及び加圧ローラ22の押圧力とによって、用紙Pの表面にトナー画像が定着される。その後、回転する定着ローラ21及び加圧ローラ22によってそのニップ部から送り出された用紙Pは、排紙ローラ17によって排紙トレイ18に排出される。
【0042】
以下、本発明の特徴部分の構成について説明する。
図2は、定着装置20の外装部を取り除いた状態の一端側の斜視図である。
図2に示すように、本実施形態の定着装置20は、定着ローラ21を回転可能に支持する支持部材としての定着プレート24と、加圧ローラ22を回転可能に支持する支持部材としての加圧プレート25を有する。定着プレート24と加圧プレート25は、それぞれの下部に設けた図示しない支軸を介して連結されており、加圧プレート25はこの支軸を中心に揺動可能に構成されている。これにより、加圧ローラ22は定着ローラ21に対して接近離間可能に構成されている。
【0043】
このように本実施形態では、定着プレート24が画像形成装置本体に対して固定され、加圧プレート25が揺動するように構成されているが、この構成に限定されるものではない。反対に、加圧プレート25を固定し、定着プレート24を揺動させるように構成することも可能である。また、定着プレート24と加圧プレート25の両方を揺動可能に構成してもよい。
【0044】
定着プレート24と加圧プレート25は、加圧手段としての加圧バネ27によって、互いに接近する方向に付勢されている。これにより、両プレート24,25に支持されている定着ローラ21と加圧ローラ22も互いに接近する方向に付勢され、両ローラ21,22が互いに圧接することで両ローラ21,22間にニップ部が形成されている。ここでは、加圧バネ27として圧縮バネを用いているが、引張バネによって同様に付勢力を作用させてもよい。
【0045】
また、定着装置20は、定着ローラ21と加圧ローラ22との圧接を所定の加圧状態から減圧状態にする圧解除手段を備えている。具体的に、圧解除手段は、加圧状態を切換操作するための切換操作部材である操作レバー28と、この操作レバー28と連動してニップ圧を低減させるように動作する圧解除部材29とを有する。
【0046】
操作レバー28は、加圧プレート25に設けられた支軸26に回転可能に支持されており、操作レバー28の先端280は支軸26を中心に図2の矢印Aの方向に揺動可能となっている。詳しくは、操作レバー28は、操作者が位置する手前側Fと、それと反対側の奥側Bとに、揺動可能に構成されている。また、操作レバー28の先端280側には、操作者が指を掛けた際に指が滑りにくいように複数の凹凸30,31が形成されている。
【0047】
操作レバー28の上記先端280とは反対側の端部281側には、支軸32が設けられており、この支軸32に圧解除部材29の一端290側が取り付けられている。すなわち、圧解除部材29は、操作レバー28に設けられた支軸32を中心に回転可能に支持されている。また、圧解除部材29の他端291側には、矩形の長孔33が形成されており、この長孔33に定着プレート24に設けられた軸部34が挿入されている。
【0048】
以上、図2を参照して、定着装置20の一端側の構成のみを説明したが、それとは反対側の他端側も同様の構成となっている。
【0049】
上記圧解除手段による圧解除動作について説明する。
図2に示す状態では、定着ローラ21と加圧ローラ22とのニップ部の圧力は解除(低減)されておらず、両ローラ21,22間に通常の圧力が作用する所定の加圧状態となっている。この状態から、操作レバー28を手前側Fに揺動させて、図3に示すように操作レバー28を水平状に倒すと、操作レバー28に連動して圧解除部材29も水平状に配置される。このとき、圧解除部材29が、加圧プレート24に設けられた軸部34を支点として加圧プレート25に押圧力を作用させることで、加圧プレート25が加圧バネ27の加圧力に抗して定着プレート24に対して離間する方向へ揺動する。その結果、加圧ローラ22が定着ローラ21に対して離間する方向に移動し、定着ローラ21と加圧ローラ22との間の圧力が低減される。
【0050】
なお、本実施形態では、上記ニップ圧の解除を、定着ローラ21と加圧ローラ22を互いに接触させたままでの減圧としているが、両ローラ21,22同士を完全に離間した状態にする圧解除であってもよい。
【0051】
次に、図4〜図6に基づいて、上記圧解除手段の減圧状態での位置と所定の加圧状態(減圧していない状態)での位置とを判別するための位置検知手段の構成を説明する。
図4は、定着装置20の概略構成を示す平面図、図5は、定着装置20の一方の端部側の外観斜視図、図6は、他方の端部側の外観斜視図である。また、図4〜図6において、符号28A及び28Bは上記操作レバーである。
【0052】
図4に示すように、上記位置検知手段は、2つの回動部材35A,35Bと、1つの移動部材36と、1つの位置検知センサ37とを有する。2つの回動部材35A,35Bは、定着装置20の長手方向の異なる端部側に配設され、移動部材36は、定着装置20の長手方向に渡って配設されている。また、位置検知センサ37は、定着装置20の図4の右端部側に配設されている。また、回動部材35A,35B、移動部材36、位置検知センサ37は全て、定着装置20の外装部の上面に配設されている。
【0053】
2つの回動部材35A,35Bは、それぞれ支点38A,38Bを中心に回動可能に構成されている。また、移動部材36は、定着装置20の長手方向へ往復移動可能に構成されている。移動部材36の図4の左側の端部は、左側の回動部材35Bに連結されており、回動部材35Bが回動すると、それに伴って移動部材36が往復移動するようになっている。
【0054】
図5に示すように、右側の回動部材35Aの上面には、垂直方向に突出した凸部40が設けられている。一方、図6に示す左側の回動部材35Bには、垂直方向に突出した支軸39が設けられており、この支軸39に移動部材36の端部が回転可能に取り付けられている。
【0055】
また、図5及び図6に示すように、各回動部材35A,35Bの手前側Fには、それぞれ段差部45A,45Bが設けられている。詳しくは、段差部45A,45Bは、手前側Fに突出した下部451と、奥側Bへ窪んだ上部452とからなり、手前側Fに突出した下部451には、操作レバー28A,28Bが奥側Bへ揺動した際に当接するようになっている。すなわち、各回動部材35A,35Bの手前側Fに突出した下部451は、対応する操作レバー28A,28Bが当接する当接部となっている。
【0056】
移動部材36は、上記左側の回動部材35Bに取り付けられた本体部41と、位置検知センサ37によって検知される被検知部42とで構成されている。図5に示すように、被検知部42は、その上部に水平方向の軸挿入孔43を有しており、この軸挿入孔43に本体部41の端部に設けられた支軸44が挿入されている。すなわち、被検知部42は、本体部40によって支軸44を中心に回転可能に支持されている。
【0057】
本実施形態では、上記位置検知センサ37として、透過型光学センサであるフォトインタラプタを用いている。ただし、位置検知センサ37はこれに限定されるものではない。位置検知センサ37として、反射型光学センサや接触式のセンサ等を用いることも可能である。フォトインタラプタは、光を発する発光部とその発した光を受光する受光部とを有しており、発光部と受光部との間の光軸L(図5参照)が被検知部42によって遮断されたか否かでその位置を検知する仕組みとなっている。
【0058】
図7は、操作レバー28A,28Bの位置決め手段の概略構成を示す側面図である。
図7に示すように、画像形成装置本体100には、開閉可能な扉部材101が設けられており、この扉部材101の内側に設けられた一対の突起部46A,46Bが位置決め手段として機能する。詳しくは、各操作レバー28A,28Bを奥側Bに揺動させた状態で、扉部材101を閉じると、両突起部46A,46Bが対応する操作レバー28A,28Bに当接し、操作レバー28A,28Bの位置を決定するように構成されている。
【0059】
以下、上記圧解除手段の位置検知動作について説明する。
図5及び図6に示すように、両操作レバー28A,28Bが手前側Fに倒され、ニップ圧を低減した状態では、各回動部材35A,35Bが付勢手段としての図示しない捩りバネによって付勢され、各段差部45A,45Bの当接部451が手前側Fへ配置された状態で保持されている。
【0060】
その状態から、図8及び図9に示すように、両操作レバー28A,28Bを奥側Bへ揺動させて、所定の加圧状態にすると、各操作レバー28A,28Bは対応する回動部材35A,35Bの当接部451に当接し、回動部材35A,35Bが奥側B(各図の矢印の方向)に回動する。このとき、移動部材36は、左側の回動部材35Bの回動に伴って図9の矢印の方向へ移動する。
【0061】
ここで、上記のように、両操作レバー28A,28Bを奥側Bへ揺動させて、所定の加圧状態に切り換えただけの状態では、各操作レバー28A,28Bは、フリー(揺動可能)な状態となっており、それらの位置は決定されていない。すなわち、図2に示すように、所定の加圧状態では、操作レバー28と圧解除部材29は加圧バネ27の加圧力を受けておらず、圧解除部材29の長孔33が定着プレート24に設けられた軸部34に対して自由に動くことができる状態となっている。このように、操作レバー28A,28Bがフリーな状態では、各回動部材35A,35Bの位置、及び移動部材36の被検知部42の位置が定まっていないため、位置検知センサ37による位置検知が確実に行われている状態とはいえない。
【0062】
そこで、操作レバー28A,28Bの位置を決定するために、図7に示す扉部材101を閉じて、それに設けられている突起部46A,46Bを操作レバー28A,28Bに当接させる。これにより、各操作レバー28A,28Bは、奥側Bへ押し込まれて所定の位置に位置決めされることとなる。
【0063】
図10及び図11は、操作レバー28A,28Bが位置決めされた状態を示す。
このように、操作レバー28A,28Bが位置決めされた状態では、回動部材35A,35Bがさらに奥側Bへ押し込まれた状態となる。それに伴い、図10に示すように、右側の回動部材35Aに設けられている凸部40が移動部材36の本体部41の下方に潜り込んで、被検知部42に当接する。その結果、凸部40によって被検知部42の位置が規制され、この状態で、被検知部42によって位置検知センサ37の光軸Lが確実に遮断された状態となる。これにより、ニップ部の加圧状態(ここでは、ニップ圧を解除していない状態)が確実に検知される。
【0064】
続いて、反対に、ニップ圧を減圧する際の圧解除手段の位置検知動作について説明する。
上記図10及び図11に示すように、操作レバー28A,28Bが位置決めされた状態から、図7に示す扉部材101を開くと、扉部材101に設けられている突起部46A,46Bが操作レバー28A,28Bから離間することで、位置決めが解除される。
【0065】
位置決めが解除されると、それまで操作レバー28A,28Bによって押し込まれていた回動部材35A,35Bが図示しない捩りバネの付勢力を受けて手前側Fに回動する。このとき、フリーな状態となっている各操作レバー28A,28Bは、回動する回動部材35A,35Bによって手前側Fに押され、加圧バネ27の加圧力を受ける位置まで揺動させられる(図8及び図9に示す状態となる)。また、同時に、右側の回動部材35Aに設けられた凸部40による被検知部42の位置規制が解除される。
【0066】
そして、加圧バネ27の加圧力に抗して、両操作レバー28A,28Bを手前側Fに揺動させて倒した状態(図5及び図6に示す状態)にすると、各操作レバー28A,28Bが対応する回動部材35A,35Bから離間する。これにより、各回動部材35A,35Bは、上記捩りバネによって手前側Fに回動され不図示のストッパによって所定の位置に位置決めされる。また、これに伴い、移動部材36が、付勢手段としての図示しない圧縮バネ又は引張バネによって図9の矢印に示す方向とは反対方向に移動し、被検知部42による位置検知センサ37の光軸の遮断状態が解除される。
【0067】
上述のように、本実施形態では、ニップ圧を減圧する際、操作レバー28A,28Bの位置決めを解除すると、手前側Fに回動される回動部材35A,35Bによって、操作レバー28A,28Bが自動的に手前側Fに押し出されるようになっているので、操作者が操作レバー28A,28Bに指を掛けやすく、操作性に優れる。
【0068】
また、本実施形態では、操作レバー28A,28Bが回動部材35A,35Bに当接した状態では、各回動部材35A,35Bの段差部45A,45Bの奥側へ窪んだ部分と操作レバー28A,28Bとの間に隙間が生じるようになっているので、操作者は、その隙間に指を差し込んで、操作レバー28A,28Bを容易に手前側Fに揺動させることが可能である。
【0069】
特に、近年では、画像形成装置や定着装置の小型化に伴って、操作レバー28A,28Bに指を掛けるためのスペースを確保しにくくなってきているが、このような小型化された装置において、上記のような操作レバー28A,28Bに指を掛けやすい構成を採用することで、操作性の向上が一層期待できる。
【0070】
なお、上記回動部材35A,35Bを手前側Fに回動させる捩りバネの付勢力は、フリーな状態となっている各操作レバー28A,28Bを加圧バネ27の加圧力を受ける位置まで揺動させることができる程度であればよい。この付勢力を大きくしすぎると、操作レバー28A,28Bと回動部材35A,35Bとの間で指が挟持され、反対に、操作しにくくなるからである。
【0071】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記構成部材の数、位置、形状等は、上述の実施形態に限定されず、本発明を実施する上で、好適な数、位置、形状等にすることが可能である。
【0072】
また、上述の実施形態では、位置検知手段としてのリンク機構を、回動部材35A,35Bと移動部材36との組み合わせで構成しているが、回動部材同士のリンク機構や、直線方向に往復移動する部材同士のリンク機構、あるいはその他のリンク機構を採用することも可能である。
【0073】
また、上述の実施形態では、定着部材と加圧部材として定着ローラと加圧ローラを用いているが、ローラの代わりに、無端状のベルト等(定着ベルト、加圧ベルト)を用いることも可能である。また、本発明を適用する画像形成装置は、図1に示すカラーレーザープリンタに限らず、モノクロプリンタや、複写機、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等とすることも可能である。
【0074】
以上説明したように、本発明によれば、所定の加圧状態で圧解除手段がフリーな状態となる構成においても、位置決め手段によって圧解除手段の位置決めをすることができるので、ニップ圧の状態を正確に検知することができるようになり、信頼性の高い定着装置及び画像形成装置を提供することが可能となる。
【0075】
また、ニップ圧の検知精度が向上することで、圧解除手段が所定の加圧状態でフリーな状態となる構成を採用することができるようになる。これにより、圧解除手段がフリーな状態となる構成であることによる利点が得られる。
【0076】
具体的には、圧解除手段がフリーな状態では、圧解除手段は加圧手段の加圧力を受けないため、圧解除手段と連動する部材も加圧力を受けずに済む。上述の実施形態では、圧解除手段と連動する部材は、回動部材35A,35Bと移動部材36であるが、これらの部材が加圧力を受けなくて済むので、回動部材35A,35Bや移動部材36を金属等の強度の高い材料で構成しなくてもよい。また、上述の実施形態では、圧解除手段を構成する圧解除部材29と操作レバー28のうち、操作レバー28は加圧バネ27の加圧力を受けないので、操作レバー28も金属等で構成しなくてもよい。
【0077】
このため、操作レバー28、回動部材35A,35B、及び移動部材36を、樹脂射出成型等で成型することができ、これらを安価で小型に生産できるようになる。なお、これらに用いる樹脂材料としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、アクリルニトリルスチレン樹脂、スチレン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルテレフタレート樹脂、又はこれらのアロイ樹脂等が挙げられる。
【0078】
以上のように、本発明によれば、ニップ圧の状態を正確に検知することができると共に、安価で小型に寄与する定着装置及び画像形成装置を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0079】
20 定着装置
21 定着ローラ(定着部材)
22 加圧ローラ(加圧部材)
27 加圧バネ(加圧手段)
28A,28B 操作レバー(切換操作部材)
29 圧解除部材
35A,35B 回動部材
36 移動部材
37 位置検知センサ
45A,45B 段差部
46A,46B 突起部
101 扉部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0080】
【特許文献1】特開2002−139948号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体上の未定着画像を当該記録媒体に定着する定着装置、及びその定着装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の電子写真方式の画像形成装置には、紙等の記録媒体に画像を定着させる定着装置が設けられている。定着装置は、例えば、内部に加熱源を有する定着ローラと、定着ローラに加圧される加圧ローラと、加圧ローラを定着ローラに加圧する加圧バネ等を有する。この定着ローラと加圧ローラとが互いに加圧されて形成されたニップ部に、記録媒体を通過させることによってトナー画像が記録媒体に定着される。
【0003】
ところで、この種の定着装置において、封筒のような2枚の紙が折り重なった用紙を、普通紙等の1枚の用紙と同様のニップ圧で定着処理をすると、シワが発生しやすいことが知られている。そのため、封筒等の定着処理を行う場合は、通常のニップ圧よりも低い圧力に設定する必要がある。
【0004】
また、ニップ部では通常200〜400N程度の加圧力が与えられているため、定着装置が長期間保管されていると、ニップ部において定着ローラと加圧ローラにクリープ現象による永久変形が生じて、元の形状に戻らなくなる問題がある。さらに、定着ローラと加圧ローラとの間で紙詰まりが発生した場合、定着ローラと加圧ローラとの間の加圧力が強いと、両ローラ間から詰まった紙を取り除きにくいといった問題もある。
【0005】
上記のようなニップ圧に関する問題を解決するため、従来から、封筒などに画像を定着する場合はニップ圧を低減させたり、非画像形成時あるいは紙詰まり発生時に、ニップ圧を解除する又は低減させたりすることが行われている。
【0006】
例えば、特許文献1には、ニップ圧を通常の加圧状態から減圧するための圧解除機構が提案されている。具体的には、図12に示すように、この定着装置は、定着ローラ200と加圧ローラ300のニップ圧を減圧する手段として、回動レバー400を備える。図12に示す状態では、回動レバー400によって減圧は行われていない。この状態では、加圧ローラ300を支持する支持部材500が弾性部材600のバネ力を受けることで、加圧ローラ300が定着ローラ200に加圧された通常の加圧状態となっている。
【0007】
そして、ニップ圧を減圧する場合は、図13に示すように、回動レバー400を図の時計回りに回動させ、弾性部材600のバネ力に抗して支持部材500を押し下げる。これにより、加圧ローラ300が定着ローラ200に対して離れる方向に移動し、ニップ圧が減圧される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のような圧解除機構を備える定着装置において、間違ったニップ圧で定着処理をすると、次のような不具合が生じる虞がある。例えば、ニップ圧が低い状態で普通紙の定着処理が行われた場合、加圧力が十分でないため、定着不良が発生する。また、反対に、ニップ圧が高い状態で封筒の定着処理がされた場合は、上述のように、封筒にシワが発生する。このような問題を未然に防ぐには、ニップ圧の状態(高低)を検知し、適したニップ圧で定着処理を行う必要がある。
【0009】
図12に示す従来の定着装置において、ニップ圧の状態を検知する方法としては、回動レバー400の回動位置をセンサ等の位置検知手段によって検知することが考えられる。ここで、回動レバー400の回動位置を検知することによりニップ圧の状態を正確に把握するには、回動レバー400の位置が、ニップ圧を減圧した状態での位置(図13に示す状態での位置)と減圧しない状態での位置(図12に示す状態での位置)で決定されている必要がある。
【0010】
この点、図13に示すニップ圧を減圧した状態では、回動レバー400は弾性部材600によるバネ力を受けた状態で静止されるため、その位置は決定されている。しかし、図12に示すニップ圧を減圧していない状態では、回動レバー400はフリー(回動可能)な状態であるため、その位置は決定されていない。
【0011】
このため、特許文献1に示す定着装置においては、ニップ圧を減圧していない状態での回動レバーの位置を正確に検知することができず、その結果、ニップ圧の状態を正確に把握できないといった問題がある。特に、位置検知手段として光センサを用いた場合は、その検知範囲は精々2〜3mm程度の小さい範囲であるため、上記のように回動レバーがフリーな状態となっていると、回動レバーの位置を正確に検知することが困難となる。
【0012】
そこで、本発明は、斯かる事情に鑑み、ニップ圧の状態を正確に検知することができ、信頼性の高い定着装置、及びその定着装置を備えた画像形成装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明は、記録媒体上の未定着画像を当該記録媒体に定着させるための定着部材と、加圧手段によって前記定着部材に加圧されて記録媒体を通過させるニップ部を形成する加圧部材と、前記加圧手段の加圧力に抗して動作して前記定着部材及び前記加圧部材を所定の加圧状態から減圧状態にする圧解除手段と、前記圧解除手段の前記減圧状態での位置と前記所定の加圧状態での位置とを判別するための位置検知手段とを有し、前記所定の加圧状態では、前記圧解除手段が、前記加圧手段の加圧力を受けないフリーな状態で保持されるように構成された定着装置において、前記所定の加圧状態での前記圧解除手段の位置を決定する位置決め手段を備えるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、所定の加圧状態で圧解除手段がフリーな状態となる構成においても、位置決め手段によって圧解除手段の位置決めをすることができるので、ニップ圧の状態を正確に検知することができるようになる。これにより、信頼性の高い定着装置及び画像形成装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る画像形成装置の実施の一形態を示す概略構成図である。
【図2】前記画像形成装置に搭載された定着装置の外装部を取り除いた状態の一端側の斜視図である。
【図3】前記定着装置においてニップ圧が減圧された状態の一端側の斜視図である。
【図4】前記定着装置の概略構成を示す平面図である。
【図5】前記定着装置の一方の端部側の外観斜視図である。
【図6】前記定着装置の他方の端部側の外観斜視図である。
【図7】操作レバーの位置決め手段の概略構成を示す側面図である。
【図8】前記定着装置の一方の端部側の外観斜視図である。
【図9】前記定着装置の他方の端部側の外観斜視図である。
【図10】前記定着装置の一方の端部側の外観斜視図である。
【図11】前記定着装置の他方の端部側の外観斜視図である。
【図12】従来の定着装置の概略構成図である。
【図13】前記従来の定着装置においてニップ圧が減圧された状態の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付の図面に基づき、本発明について説明する。なお、本発明を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0017】
まず、図1を参照して、本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の全体構成及び動作について説明する。
図1に示す画像形成装置は、カラーレーザープリンタであり、その装置本体100には、画像形成ユニットとしての4つのプロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkが着脱可能に装着されている。各プロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の異なる色の現像剤を収容している以外は同様の構成となっている。なお、現像剤としては、トナーから成る一成分現像剤を用いてもよいし、トナーとキャリアから成る二成分現像剤を用いても構わない。
【0018】
具体的には、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkは、潜像担持体としてのドラム状の感光体2と、感光体2の表面を帯電させる帯電ローラ3等を備えた帯電装置と、感光体2の表面にトナーを供給する現像装置4と、感光体2の表面をクリーニングするためのクリーニングブレード5等を備えたクリーニング装置などを備える。なお、感光体2は、ドラム状のものの他に、ベルト状のものを採用することも可能である。また、図1では、ブラックのプロセスユニット1Bkが備える感光体2、帯電ローラ3、現像装置4、クリーニングブレード5のみに符号を付しており、その他のプロセスユニット1Y,1C,1Mにおいては符号を省略している。
【0019】
各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの上方には、感光体2の表面を露光する露光装置6が配設されている。露光装置6は、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラー等を有し、画像データに基づいて各感光体2の表面へレーザー光を照射するようになっている。
【0020】
また、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの下方には、転写装置7が配設されている。転写装置7は、転写体としての無端状のベルトから構成される中間転写ベルト8を有する。中間転写ベルト8は、支持部材としての駆動ローラ9と従動ローラ10に張架されており、駆動ローラ9が図の反時計回りに回転することによって、中間転写ベルト8は図の矢印で示す方向に周回走行(回転)するように構成されている。
【0021】
4つの感光体2に対向した位置に、一次転写手段としての4つの一次転写ローラ11が配設されている。各一次転写ローラ11はそれぞれの位置で中間転写ベルト8の内周面を押圧しており、中間転写ベルト8の押圧された部分と各感光体2とが接触する箇所に一次転写ニップが形成されている。また、各一次転写ローラ11は、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が各一次転写ローラ11に印加されるようになっている。
【0022】
また、駆動ローラ9に対向した位置に、二次転写手段としての二次転写ローラ12が配設されている。この二次転写ローラ12は中間転写ベルト8の外周面を押圧しており、二次転写ローラ12と中間転写ベルト8とが接触する箇所に二次転写ニップが形成されている。また、二次転写ローラ12は、一次転写ローラ11と同様に、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が二次転写ローラ12に印加されるようになっている。
【0023】
また、中間転写ベルト8の図の右端側の外周面には、中間転写ベルト8の表面をクリーニングするベルトクリーニング装置13が配設されている。このベルトクリーニング装置13から伸びた図示しない廃トナー移送ホースは、転写装置7の下方に配設された廃トナー収容器14の入口部に接続されている。
【0024】
画像形成装置本体100の下部には、記録媒体としての用紙Pを収容した給紙トレイ15や、給紙トレイ15から用紙Pを搬出する給紙ローラ16等が設けてある。なお、上記用紙Pは、厚紙、はがき、封筒、普通紙、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ等を含む。さらに、記録媒体には、用紙P以外に、OHPシートもしくはOHPフィルム等のシート材も含まれる。また、図示しないが、手差し給紙機構を設けてもよい。
【0025】
一方、画像形成装置本体100の上部には、用紙を外部へ排出するための一対の排紙ローラ17と、排出された記録媒体をストックするための排紙トレイ18とが配設されている。
【0026】
また、画像形成装置本体100内には、用紙Pを給紙トレイ15から二次転写ニップを通って排紙ローラ17へ搬送するための搬送路R1が配設されている。搬送路R1において、二次転写ローラ12の位置よりも用紙搬送方向上流側には、二次転写ニップへ用紙Pを給送する給送手段としての一対のレジストローラ19が配設されている。また、二次転写ローラ12の位置よりも用紙搬送方向下流側には、用紙Pに転写された未定着画像を定着するための定着装置20が配設されている。この定着装置20は、用紙上の未定着画像を当該用紙に定着させるための定着部材(又は定着回転体)としての定着ローラ21、定着ローラ21に加圧されて用紙を通過させるニップ部を形成する加圧部材(又は加圧回転体)としての加圧ローラ22等を有する。また、定着ローラ21内には、熱源としてのヒータ23が設けられている。
【0027】
また、画像形成装置本体100内には、両面印刷を行う際に用紙を表裏反転させるための搬送路として、反転路R2が配設されている。反転路R2は、搬送路R1の搬送方向下流端部の手前側で分岐すると共に、レジストローラ19の手前側で搬送路R1に合流している。また、両面印刷を行う際、上記排紙ローラ17は、用紙Pを排出する方向とは逆方向に搬送して反転路R2へと送る、いわゆるスイッチバックローラとして機能する。
【0028】
上記画像形成装置は以下のように動作する。
作像動作が開始されると、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの感光体2が図示しない駆動装置によって図の時計回りに回転駆動され、各感光体2の表面が帯電ローラ3によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された各感光体2の表面には、露光装置6からレーザー光がそれぞれ照射されて、それぞれの感光体2の表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体2に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように感光体2上に形成された静電潜像に、各現像装置4によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像として顕像化(可視像化)される。
【0029】
続いて、中間転写ベルト8を張架する駆動ローラ9が図の反時計回りに回転駆動されることにより、中間転写ベルト8が図の矢印で示す方向に走行駆動される。また、各一次転写ローラ11に、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加される。これにより、各一次転写ローラ11と各感光体2との間の一次転写ニップにおいて転写電界が形成される。そして、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの感光体2に形成された各色のトナー画像が、上記一次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、中間転写ベルト8上に順次重ね合わせて転写される。かくして中間転写ベルト8はその表面にフルカラーのトナー画像を担持する。
【0030】
また、中間転写ベルト8に転写しきれなかった各感光体2上のトナーは、それぞれ、クリーニングブレード5によって除去される。次いで、各感光体2の表面が図示していない除電装置によって除電作用を受け、その表面電位が初期化されて次の画像形成に備えられる。
【0031】
一方、画像形成装置の下部では、給紙ローラ16が回転駆動することによって、給紙トレイ15に収容された用紙Pが搬送路R1に送り出される。搬送路R1に送り出された用紙Pは、レジストローラ19によってタイミングを計られて、二次転写ローラ12とそれに対向する駆動ローラ9との間の二次転写ニップに送られる。このとき二次転写ローラ12には、中間転写ベルト8上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加されており、これにより、二次転写ニップに転写電界が形成されている。そして、二次転写ニップに形成された転写電界によって、中間転写ベルト8上のトナー画像が用紙P上に一括して転写される。あるいは、駆動ローラ9に対しトナーの帯電極性と同極性の転写電圧を印加することにより、中間転写ベルト8上のトナー画像を用紙Pに転写するようにしてもよい。
【0032】
また、用紙Pに転写しきれなかった中間転写ベルト8上の残留するトナーは、ベルトクリーニング装置13によって除去される。そして、除去されたトナーは、図示しない廃トナー移送ホースを介して廃トナー収容器14へ搬送され回収される。
【0033】
トナー画像が転写された用紙Pは、定着装置20へと搬送され、定着ローラ21と加圧ローラ22によって用紙Pが加熱及び加圧されてトナー画像が定着される。その後、用紙Pは一対の排紙ローラ17の間へと搬送され、排紙ローラ17が用紙Pを挟持して回転することにより用紙Pが装置外へ排出される。
【0034】
また、両面印刷を行う場合は、上記定着装置20によって用紙Pの片面(表側の面)にトナー画像を定着した後、当該用紙Pは、上記排出ローラ17によって排出方向に搬送されるが、用紙Pの後端が反転路R2の分岐点を通過した時点で、排紙ローラ17を逆回転させる。これにより、用紙Pはスイッチバックされ反転路R2へと進行する。また、反転路R2への搬送路の切り換えは、反転路R2の分岐点近傍に設けられている図示しない搬送路切換爪によって行われる。そして、用紙Pは、反転路R2内を通過すると、表裏が反転された状態で再び搬送路R1へ案内される。以降、上記と同様の工程を経て、用紙Pの裏面にトナー画像が転写され、その画像が定着された後、用紙Pは装置外へ排出される。
【0035】
以上の説明は、用紙上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つのプロセスユニットを使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
【0036】
次に、上記定着装置20について詳しく説明する。
上述のように、本実施形態の定着装置20は、定着部材としての定着ローラ21と、加圧部材としての加圧ローラ22とを有する。定着ローラ21は、アルミニウム又は鉄等の金属材料からなる円筒体(肉厚が1mm、外径が30mm)と、その表面に形成されたシリコーンゴム、フッ素ゴム、又は発泡性シリコーンゴム等からなる弾性層(肉厚は1mm程度)と、さらにその表面に形成されたPFA(4フッ化エチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂)、又はPTFA(ポリテトラフルオロエチレン)等からなる離型層(厚みは数十μm程度)とを有している。
【0037】
また、上記円筒体の内部には上記ヒータ23が設けられている。本実施形態のヒータ23は、ハロゲンヒータであって、その両端部が定着装置20のフレームに固定されている。ヒータ23は、画像形成装置本体に設けられている図示しない電源部(交流電源)により出力制御され、出力制御されたヒータ23からの輻射熱によって上記円筒体が加熱されるようになっている。さらに、加熱された円筒体の熱は、弾性層、離型層へと熱が伝えられ、用紙上のトナー画像に熱が加えられる。
【0038】
また、温度検知手段としての図示しないサーモパイルが、定着ローラ21の表面に対し非接触に対向して配設されており、このサーモパイルによる温度検知結果に基づいて上記ヒータ23の出力制御が行われるようになっている。詳しくは、サーモパイルの温度検知結果に基づいて定められた通電時間だけ、ヒータ23に交流電圧が印加される。このようなヒータ23の出力制御によって、定着ローラ21の温度(定着温度)を所望の温度(目標制御温度)に調整制御することができる。また、定着ローラ21は、駆動モータ(不図示)によって回転駆動されるようになっている。
【0039】
続いて、加圧ローラ22は、芯金と、その表面に形成されたシリコーンゴム、フッ素ゴム、又は発泡性シリコーンゴム等からなる弾性層(肉厚が4mm程度)とを有する。加圧ローラ22は外径が35mm程度に設定されている。なお、弾性層の表面にPFA又はPTFE等からなる離型層を設けることもできる。そして、加圧ローラ22は後述の加圧機構によって定着ローラ21に圧接する。こうして、加圧ローラ22と定着ローラ21との間に、所望のニップ部(定着ニップ)が形成される。なお、本実施形態において、加圧ローラ22を直接的に加熱するヒータ等の加熱手段を設置したり、ヒータ23の出力制御にローラ表面に接触対向するサーミスタを用いたりすることも可能である。
【0040】
また、定着ローラ21と加圧ローラ22とが当接するニップ部の入口側には、用紙の搬送を案内するガイド板(不図示)が配設されている。また、ニップ部の出口側近傍には、ニップ部から送り出された用紙(定着工程後の用紙)が定着ローラ21に巻き付く不具合を抑止する分離板(不図示)が設置されている。
【0041】
上述のように構成された定着装置20は、以下のように動作する。
画像形成装置本体の電源スイッチが投入されると、交流電源からヒータ23に交流電圧が印加(給電)されると共に、不図示の駆動モータによって定着ローラ21が回転駆動を開始されて、それと同時に加圧ローラ22が従動回転する。その後、給紙トレイ15から用紙Pが給送されて、二次転写ニップの位置で用紙P上に未定着画像が担持される。未定着画像(トナー像)が担持された用紙Pは、定着装置20に搬送されて、圧接状態にある定着ローラ21と加圧ローラ22のニップ部に送入される。そして、定着ローラ21による加熱と、定着ローラ21及び加圧ローラ22の押圧力とによって、用紙Pの表面にトナー画像が定着される。その後、回転する定着ローラ21及び加圧ローラ22によってそのニップ部から送り出された用紙Pは、排紙ローラ17によって排紙トレイ18に排出される。
【0042】
以下、本発明の特徴部分の構成について説明する。
図2は、定着装置20の外装部を取り除いた状態の一端側の斜視図である。
図2に示すように、本実施形態の定着装置20は、定着ローラ21を回転可能に支持する支持部材としての定着プレート24と、加圧ローラ22を回転可能に支持する支持部材としての加圧プレート25を有する。定着プレート24と加圧プレート25は、それぞれの下部に設けた図示しない支軸を介して連結されており、加圧プレート25はこの支軸を中心に揺動可能に構成されている。これにより、加圧ローラ22は定着ローラ21に対して接近離間可能に構成されている。
【0043】
このように本実施形態では、定着プレート24が画像形成装置本体に対して固定され、加圧プレート25が揺動するように構成されているが、この構成に限定されるものではない。反対に、加圧プレート25を固定し、定着プレート24を揺動させるように構成することも可能である。また、定着プレート24と加圧プレート25の両方を揺動可能に構成してもよい。
【0044】
定着プレート24と加圧プレート25は、加圧手段としての加圧バネ27によって、互いに接近する方向に付勢されている。これにより、両プレート24,25に支持されている定着ローラ21と加圧ローラ22も互いに接近する方向に付勢され、両ローラ21,22が互いに圧接することで両ローラ21,22間にニップ部が形成されている。ここでは、加圧バネ27として圧縮バネを用いているが、引張バネによって同様に付勢力を作用させてもよい。
【0045】
また、定着装置20は、定着ローラ21と加圧ローラ22との圧接を所定の加圧状態から減圧状態にする圧解除手段を備えている。具体的に、圧解除手段は、加圧状態を切換操作するための切換操作部材である操作レバー28と、この操作レバー28と連動してニップ圧を低減させるように動作する圧解除部材29とを有する。
【0046】
操作レバー28は、加圧プレート25に設けられた支軸26に回転可能に支持されており、操作レバー28の先端280は支軸26を中心に図2の矢印Aの方向に揺動可能となっている。詳しくは、操作レバー28は、操作者が位置する手前側Fと、それと反対側の奥側Bとに、揺動可能に構成されている。また、操作レバー28の先端280側には、操作者が指を掛けた際に指が滑りにくいように複数の凹凸30,31が形成されている。
【0047】
操作レバー28の上記先端280とは反対側の端部281側には、支軸32が設けられており、この支軸32に圧解除部材29の一端290側が取り付けられている。すなわち、圧解除部材29は、操作レバー28に設けられた支軸32を中心に回転可能に支持されている。また、圧解除部材29の他端291側には、矩形の長孔33が形成されており、この長孔33に定着プレート24に設けられた軸部34が挿入されている。
【0048】
以上、図2を参照して、定着装置20の一端側の構成のみを説明したが、それとは反対側の他端側も同様の構成となっている。
【0049】
上記圧解除手段による圧解除動作について説明する。
図2に示す状態では、定着ローラ21と加圧ローラ22とのニップ部の圧力は解除(低減)されておらず、両ローラ21,22間に通常の圧力が作用する所定の加圧状態となっている。この状態から、操作レバー28を手前側Fに揺動させて、図3に示すように操作レバー28を水平状に倒すと、操作レバー28に連動して圧解除部材29も水平状に配置される。このとき、圧解除部材29が、加圧プレート24に設けられた軸部34を支点として加圧プレート25に押圧力を作用させることで、加圧プレート25が加圧バネ27の加圧力に抗して定着プレート24に対して離間する方向へ揺動する。その結果、加圧ローラ22が定着ローラ21に対して離間する方向に移動し、定着ローラ21と加圧ローラ22との間の圧力が低減される。
【0050】
なお、本実施形態では、上記ニップ圧の解除を、定着ローラ21と加圧ローラ22を互いに接触させたままでの減圧としているが、両ローラ21,22同士を完全に離間した状態にする圧解除であってもよい。
【0051】
次に、図4〜図6に基づいて、上記圧解除手段の減圧状態での位置と所定の加圧状態(減圧していない状態)での位置とを判別するための位置検知手段の構成を説明する。
図4は、定着装置20の概略構成を示す平面図、図5は、定着装置20の一方の端部側の外観斜視図、図6は、他方の端部側の外観斜視図である。また、図4〜図6において、符号28A及び28Bは上記操作レバーである。
【0052】
図4に示すように、上記位置検知手段は、2つの回動部材35A,35Bと、1つの移動部材36と、1つの位置検知センサ37とを有する。2つの回動部材35A,35Bは、定着装置20の長手方向の異なる端部側に配設され、移動部材36は、定着装置20の長手方向に渡って配設されている。また、位置検知センサ37は、定着装置20の図4の右端部側に配設されている。また、回動部材35A,35B、移動部材36、位置検知センサ37は全て、定着装置20の外装部の上面に配設されている。
【0053】
2つの回動部材35A,35Bは、それぞれ支点38A,38Bを中心に回動可能に構成されている。また、移動部材36は、定着装置20の長手方向へ往復移動可能に構成されている。移動部材36の図4の左側の端部は、左側の回動部材35Bに連結されており、回動部材35Bが回動すると、それに伴って移動部材36が往復移動するようになっている。
【0054】
図5に示すように、右側の回動部材35Aの上面には、垂直方向に突出した凸部40が設けられている。一方、図6に示す左側の回動部材35Bには、垂直方向に突出した支軸39が設けられており、この支軸39に移動部材36の端部が回転可能に取り付けられている。
【0055】
また、図5及び図6に示すように、各回動部材35A,35Bの手前側Fには、それぞれ段差部45A,45Bが設けられている。詳しくは、段差部45A,45Bは、手前側Fに突出した下部451と、奥側Bへ窪んだ上部452とからなり、手前側Fに突出した下部451には、操作レバー28A,28Bが奥側Bへ揺動した際に当接するようになっている。すなわち、各回動部材35A,35Bの手前側Fに突出した下部451は、対応する操作レバー28A,28Bが当接する当接部となっている。
【0056】
移動部材36は、上記左側の回動部材35Bに取り付けられた本体部41と、位置検知センサ37によって検知される被検知部42とで構成されている。図5に示すように、被検知部42は、その上部に水平方向の軸挿入孔43を有しており、この軸挿入孔43に本体部41の端部に設けられた支軸44が挿入されている。すなわち、被検知部42は、本体部40によって支軸44を中心に回転可能に支持されている。
【0057】
本実施形態では、上記位置検知センサ37として、透過型光学センサであるフォトインタラプタを用いている。ただし、位置検知センサ37はこれに限定されるものではない。位置検知センサ37として、反射型光学センサや接触式のセンサ等を用いることも可能である。フォトインタラプタは、光を発する発光部とその発した光を受光する受光部とを有しており、発光部と受光部との間の光軸L(図5参照)が被検知部42によって遮断されたか否かでその位置を検知する仕組みとなっている。
【0058】
図7は、操作レバー28A,28Bの位置決め手段の概略構成を示す側面図である。
図7に示すように、画像形成装置本体100には、開閉可能な扉部材101が設けられており、この扉部材101の内側に設けられた一対の突起部46A,46Bが位置決め手段として機能する。詳しくは、各操作レバー28A,28Bを奥側Bに揺動させた状態で、扉部材101を閉じると、両突起部46A,46Bが対応する操作レバー28A,28Bに当接し、操作レバー28A,28Bの位置を決定するように構成されている。
【0059】
以下、上記圧解除手段の位置検知動作について説明する。
図5及び図6に示すように、両操作レバー28A,28Bが手前側Fに倒され、ニップ圧を低減した状態では、各回動部材35A,35Bが付勢手段としての図示しない捩りバネによって付勢され、各段差部45A,45Bの当接部451が手前側Fへ配置された状態で保持されている。
【0060】
その状態から、図8及び図9に示すように、両操作レバー28A,28Bを奥側Bへ揺動させて、所定の加圧状態にすると、各操作レバー28A,28Bは対応する回動部材35A,35Bの当接部451に当接し、回動部材35A,35Bが奥側B(各図の矢印の方向)に回動する。このとき、移動部材36は、左側の回動部材35Bの回動に伴って図9の矢印の方向へ移動する。
【0061】
ここで、上記のように、両操作レバー28A,28Bを奥側Bへ揺動させて、所定の加圧状態に切り換えただけの状態では、各操作レバー28A,28Bは、フリー(揺動可能)な状態となっており、それらの位置は決定されていない。すなわち、図2に示すように、所定の加圧状態では、操作レバー28と圧解除部材29は加圧バネ27の加圧力を受けておらず、圧解除部材29の長孔33が定着プレート24に設けられた軸部34に対して自由に動くことができる状態となっている。このように、操作レバー28A,28Bがフリーな状態では、各回動部材35A,35Bの位置、及び移動部材36の被検知部42の位置が定まっていないため、位置検知センサ37による位置検知が確実に行われている状態とはいえない。
【0062】
そこで、操作レバー28A,28Bの位置を決定するために、図7に示す扉部材101を閉じて、それに設けられている突起部46A,46Bを操作レバー28A,28Bに当接させる。これにより、各操作レバー28A,28Bは、奥側Bへ押し込まれて所定の位置に位置決めされることとなる。
【0063】
図10及び図11は、操作レバー28A,28Bが位置決めされた状態を示す。
このように、操作レバー28A,28Bが位置決めされた状態では、回動部材35A,35Bがさらに奥側Bへ押し込まれた状態となる。それに伴い、図10に示すように、右側の回動部材35Aに設けられている凸部40が移動部材36の本体部41の下方に潜り込んで、被検知部42に当接する。その結果、凸部40によって被検知部42の位置が規制され、この状態で、被検知部42によって位置検知センサ37の光軸Lが確実に遮断された状態となる。これにより、ニップ部の加圧状態(ここでは、ニップ圧を解除していない状態)が確実に検知される。
【0064】
続いて、反対に、ニップ圧を減圧する際の圧解除手段の位置検知動作について説明する。
上記図10及び図11に示すように、操作レバー28A,28Bが位置決めされた状態から、図7に示す扉部材101を開くと、扉部材101に設けられている突起部46A,46Bが操作レバー28A,28Bから離間することで、位置決めが解除される。
【0065】
位置決めが解除されると、それまで操作レバー28A,28Bによって押し込まれていた回動部材35A,35Bが図示しない捩りバネの付勢力を受けて手前側Fに回動する。このとき、フリーな状態となっている各操作レバー28A,28Bは、回動する回動部材35A,35Bによって手前側Fに押され、加圧バネ27の加圧力を受ける位置まで揺動させられる(図8及び図9に示す状態となる)。また、同時に、右側の回動部材35Aに設けられた凸部40による被検知部42の位置規制が解除される。
【0066】
そして、加圧バネ27の加圧力に抗して、両操作レバー28A,28Bを手前側Fに揺動させて倒した状態(図5及び図6に示す状態)にすると、各操作レバー28A,28Bが対応する回動部材35A,35Bから離間する。これにより、各回動部材35A,35Bは、上記捩りバネによって手前側Fに回動され不図示のストッパによって所定の位置に位置決めされる。また、これに伴い、移動部材36が、付勢手段としての図示しない圧縮バネ又は引張バネによって図9の矢印に示す方向とは反対方向に移動し、被検知部42による位置検知センサ37の光軸の遮断状態が解除される。
【0067】
上述のように、本実施形態では、ニップ圧を減圧する際、操作レバー28A,28Bの位置決めを解除すると、手前側Fに回動される回動部材35A,35Bによって、操作レバー28A,28Bが自動的に手前側Fに押し出されるようになっているので、操作者が操作レバー28A,28Bに指を掛けやすく、操作性に優れる。
【0068】
また、本実施形態では、操作レバー28A,28Bが回動部材35A,35Bに当接した状態では、各回動部材35A,35Bの段差部45A,45Bの奥側へ窪んだ部分と操作レバー28A,28Bとの間に隙間が生じるようになっているので、操作者は、その隙間に指を差し込んで、操作レバー28A,28Bを容易に手前側Fに揺動させることが可能である。
【0069】
特に、近年では、画像形成装置や定着装置の小型化に伴って、操作レバー28A,28Bに指を掛けるためのスペースを確保しにくくなってきているが、このような小型化された装置において、上記のような操作レバー28A,28Bに指を掛けやすい構成を採用することで、操作性の向上が一層期待できる。
【0070】
なお、上記回動部材35A,35Bを手前側Fに回動させる捩りバネの付勢力は、フリーな状態となっている各操作レバー28A,28Bを加圧バネ27の加圧力を受ける位置まで揺動させることができる程度であればよい。この付勢力を大きくしすぎると、操作レバー28A,28Bと回動部材35A,35Bとの間で指が挟持され、反対に、操作しにくくなるからである。
【0071】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記構成部材の数、位置、形状等は、上述の実施形態に限定されず、本発明を実施する上で、好適な数、位置、形状等にすることが可能である。
【0072】
また、上述の実施形態では、位置検知手段としてのリンク機構を、回動部材35A,35Bと移動部材36との組み合わせで構成しているが、回動部材同士のリンク機構や、直線方向に往復移動する部材同士のリンク機構、あるいはその他のリンク機構を採用することも可能である。
【0073】
また、上述の実施形態では、定着部材と加圧部材として定着ローラと加圧ローラを用いているが、ローラの代わりに、無端状のベルト等(定着ベルト、加圧ベルト)を用いることも可能である。また、本発明を適用する画像形成装置は、図1に示すカラーレーザープリンタに限らず、モノクロプリンタや、複写機、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等とすることも可能である。
【0074】
以上説明したように、本発明によれば、所定の加圧状態で圧解除手段がフリーな状態となる構成においても、位置決め手段によって圧解除手段の位置決めをすることができるので、ニップ圧の状態を正確に検知することができるようになり、信頼性の高い定着装置及び画像形成装置を提供することが可能となる。
【0075】
また、ニップ圧の検知精度が向上することで、圧解除手段が所定の加圧状態でフリーな状態となる構成を採用することができるようになる。これにより、圧解除手段がフリーな状態となる構成であることによる利点が得られる。
【0076】
具体的には、圧解除手段がフリーな状態では、圧解除手段は加圧手段の加圧力を受けないため、圧解除手段と連動する部材も加圧力を受けずに済む。上述の実施形態では、圧解除手段と連動する部材は、回動部材35A,35Bと移動部材36であるが、これらの部材が加圧力を受けなくて済むので、回動部材35A,35Bや移動部材36を金属等の強度の高い材料で構成しなくてもよい。また、上述の実施形態では、圧解除手段を構成する圧解除部材29と操作レバー28のうち、操作レバー28は加圧バネ27の加圧力を受けないので、操作レバー28も金属等で構成しなくてもよい。
【0077】
このため、操作レバー28、回動部材35A,35B、及び移動部材36を、樹脂射出成型等で成型することができ、これらを安価で小型に生産できるようになる。なお、これらに用いる樹脂材料としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、アクリルニトリルスチレン樹脂、スチレン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルテレフタレート樹脂、又はこれらのアロイ樹脂等が挙げられる。
【0078】
以上のように、本発明によれば、ニップ圧の状態を正確に検知することができると共に、安価で小型に寄与する定着装置及び画像形成装置を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0079】
20 定着装置
21 定着ローラ(定着部材)
22 加圧ローラ(加圧部材)
27 加圧バネ(加圧手段)
28A,28B 操作レバー(切換操作部材)
29 圧解除部材
35A,35B 回動部材
36 移動部材
37 位置検知センサ
45A,45B 段差部
46A,46B 突起部
101 扉部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0080】
【特許文献1】特開2002−139948号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体上の未定着画像を当該記録媒体に定着させるための定着部材と、
加圧手段によって前記定着部材に加圧されて記録媒体を通過させるニップ部を形成する加圧部材と、
前記加圧手段の加圧力に抗して動作して前記定着部材及び前記加圧部材を所定の加圧状態から減圧状態にする圧解除手段と、
前記圧解除手段の前記減圧状態での位置と前記所定の加圧状態での位置とを判別するための位置検知手段とを有し、
前記所定の加圧状態では、前記圧解除手段が、前記加圧手段の加圧力を受けないフリーな状態で保持されるように構成された定着装置において、
前記所定の加圧状態での前記圧解除手段の位置を決定する位置決め手段を備えることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記圧解除手段は、前記所定の加圧状態と前記減圧状態とに切換操作するための切換操作部材を有し、
前記位置検知手段は、前記切換操作部材を所定の加圧状態へ切換操作する際に当該切換操作部材に押されて回動する回動部材と、
前記回動部材の回動に伴って移動する移動部材と、
前記移動部材の移動に伴う位置変化を検知する位置検知センサとを有し、
前記切換操作部材を減圧状態に切換操作した際に、前記回動部材を減圧状態の位置へ回動させる付勢手段を備える請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記切換操作部材を操作者が位置する手前側に揺動させた場合は前記減圧状態となり、反対に、前記切換操作部材を奥側に揺動させた場合は前記所定の加圧状態となるように構成し、
前記位置決め手段による位置決めが解除された際、前記付勢手段によって回動される前記回動部材によって、前記切換操作部材を手前側に押して前記加圧手段の加圧力を受ける位置まで揺動させるように構成した請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記回動部材の手前側に段差部を設け、当該段差部の手前側に突出した部分を前記切換操作部材が当接する当接部とし、当該当接部に切換操作部材が当接した状態で、段差部の奥側へ窪んだ部分と切換操作部材との間に隙間が生じるように構成した請求項3に記載の定着装置。
【請求項5】
前記位置決め手段は、開閉可能な扉部材に設けられた突起部を有し、
前記扉部材を閉じる際に、前記突起部が前記圧解除手段に当接して前記所定の加圧状態での圧解除手段の位置を決定するように構成した請求項1から4のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項6】
前記切換操作部材と前記回動部材と前記移動部材を樹脂材料で形成した請求項2に記載の定着装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の定着装置を備える画像形成装置。
【請求項1】
記録媒体上の未定着画像を当該記録媒体に定着させるための定着部材と、
加圧手段によって前記定着部材に加圧されて記録媒体を通過させるニップ部を形成する加圧部材と、
前記加圧手段の加圧力に抗して動作して前記定着部材及び前記加圧部材を所定の加圧状態から減圧状態にする圧解除手段と、
前記圧解除手段の前記減圧状態での位置と前記所定の加圧状態での位置とを判別するための位置検知手段とを有し、
前記所定の加圧状態では、前記圧解除手段が、前記加圧手段の加圧力を受けないフリーな状態で保持されるように構成された定着装置において、
前記所定の加圧状態での前記圧解除手段の位置を決定する位置決め手段を備えることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記圧解除手段は、前記所定の加圧状態と前記減圧状態とに切換操作するための切換操作部材を有し、
前記位置検知手段は、前記切換操作部材を所定の加圧状態へ切換操作する際に当該切換操作部材に押されて回動する回動部材と、
前記回動部材の回動に伴って移動する移動部材と、
前記移動部材の移動に伴う位置変化を検知する位置検知センサとを有し、
前記切換操作部材を減圧状態に切換操作した際に、前記回動部材を減圧状態の位置へ回動させる付勢手段を備える請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記切換操作部材を操作者が位置する手前側に揺動させた場合は前記減圧状態となり、反対に、前記切換操作部材を奥側に揺動させた場合は前記所定の加圧状態となるように構成し、
前記位置決め手段による位置決めが解除された際、前記付勢手段によって回動される前記回動部材によって、前記切換操作部材を手前側に押して前記加圧手段の加圧力を受ける位置まで揺動させるように構成した請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記回動部材の手前側に段差部を設け、当該段差部の手前側に突出した部分を前記切換操作部材が当接する当接部とし、当該当接部に切換操作部材が当接した状態で、段差部の奥側へ窪んだ部分と切換操作部材との間に隙間が生じるように構成した請求項3に記載の定着装置。
【請求項5】
前記位置決め手段は、開閉可能な扉部材に設けられた突起部を有し、
前記扉部材を閉じる際に、前記突起部が前記圧解除手段に当接して前記所定の加圧状態での圧解除手段の位置を決定するように構成した請求項1から4のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項6】
前記切換操作部材と前記回動部材と前記移動部材を樹脂材料で形成した請求項2に記載の定着装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の定着装置を備える画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
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【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−15549(P2013−15549A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146128(P2011−146128)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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