説明

密封袋の製造管理方法及び装置

【課題】密封袋の個々の製袋された製品におけるヒートシールの品質保証を効率的および確実に行なうことができる密封袋の製造管理方法及び装置を提供することを目的とする。
【解決手段】被包装物Aを充填しながら重畳体9bをヒートシールして密封袋を形成する密封袋の製造管理方法において、前記重畳体9bのヒートシール部10、11、26a、26bの温度を検出する検出工程41と、前記検出工程における検出信号DSに基づいて前記重畳体のヒートシール部10、11、26a、26bの状態を判定する判定工程42と、前記判定工程において判定された個々の密封袋の良否を判断する判断工程43と、を備える構成を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動体をヒートシール部で密封包装してなる密封袋の製造管理方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スープ、ソースのような流動体の袋による包装は、例えば図5(A)(B)に示すような操作手順の繰り返しにより行われている。
【0003】
まず、フィルム状包材が長さ方向に送られつつ同方向に平行な線上で折り返され、図5(A)に示すように、同方向に伸びる縦ヒートシール部がヒートシール車2により形成されることにより、筒状の重畳体3とされる。重畳体3の進行方向にはヒートシールローラ4が配置され、このヒートシールローラ4の回転により先行横ヒートシール部5aが設けられ、これにより重畳体3に有底袋部3aが形成される。また、ヒートシールローラ4の上方では流動体の充填ノズル6が重畳体3内にその合わせ目から入り込み、この充填ノズル6が流動体Aを有底袋部3a内に一定流量で常時吐出する。
【0004】
重畳体3の進行に同期してヒートシールローラ4が回転すると、図5(B)に示すように、重畳体3の上流側が後続横ヒートシール部5bの形成によって閉じられ、定量の流動体Aが封入された密封袋8が形成される。以後、上記と同様な操作が繰り返され、流動体Aの入った密封袋8が重畳体3に一定ピッチで形成される。密封袋8はその後、横ヒートシール部5a,5b上で切断され重畳体3から分離される(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0005】
一般的に、横ヒートシール部5a,5bの品質管理は、ヒートシールローラ4の温度、ヒートシールローラ4が重畳体3を挟み込む圧力、ヒートシールローラ4が重畳体3を挟み込む時間などを管理することによって行なわれている。
【特許文献1】特開2001−354210号公報
【特許文献2】特開2002−104310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記従来の密封袋製造装置においては、連続的に製袋する場合、不良品検出のためにヒートシールローラ4の温度等の管理範囲を狭くしすぎると、ヒートシールに関して実用上問題のない(実用上しっかりと密封されている)密封袋も不良品と判定され、生産の妨げ(生産効率の悪化)となる恐れがある。逆に、ヒートシールローラ4の温度等の管理範囲を広くしすぎると、個々の製袋された製品におけるヒートシールの品質を保証するには必ずしも充分な管理とは言えなく恐れがある。
【0007】
また、更に単純なヒートシールの品質管理方法としては、個々の製品のヒートシールについて人手によって袋から内容物の漏れがあるか否かを確認する方法や、製品を箱詰め・保管後に所定の期間を置いて開梱した場合に内容物の臭気があるか否かを確認する方法もある。
【0008】
しかし、上述した何れの方法も効率および確実性という点で不十分な管理手法となっている。
【0009】
従って、本発明はこのような問題点を解消することができる密封袋の製造管理方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用する。
【0011】
すなわち、請求項1に係る発明は、被包装物(A)を充填しながら重畳体(9b)をヒートシールして密封袋を形成する密封袋の製造管理方法において、前記重畳体(9b)のヒートシール部(10、11、26a、26b)の温度を検出する検出工程(41)と、前記検出工程における検出信号(DS)に基づいて前記重畳体のヒートシール部(10、11、26a、26b)の状態を判定する判定工程(42)と、前記判定工程において判定された個々の密封袋の良否を判断する判断工程(43)と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の密封袋の製造管理方法において、 前記検出工程(41)および前記判定工程(42)における前記ヒートシール部(10、11、26a、26b)は横ヒートシール部(26a、26b)であることを特徴とする。
【0013】
また、請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の密封袋の製造管理方法において、前記判断工程(43)における個々の密封袋の良否判断は、前記判定工程(42)において前記重畳体(9b)の前記ヒートシール部(10、11、26a、26b)の少なくとも一部が異常であると判定された場合に、前記密封袋は良品ではないと判断することを特徴とする。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の密封袋の製造管理方法において、前記検出工程(41)において、前記重畳体(9b)の前記ヒートシール部(10、11、26a、26b)の温度を検出する為に赤外線(IR:Infra-Red Radiation)が用いられ、前記赤外線(IR)は前記ヒートシール部(10、11、26a、26b)の一部または全部からの赤外線(IR)であることを特徴とする。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか一項に記載の密封袋の製造管理方法において、前記検出工程(41)における前記検出信号(DS)が予め定められた閾値よりも少なくとも一部が小さい場合には、前記判断工程(43)において前記密封袋は良品ではないと判断することを特徴とする。
【0016】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れか一項に記載の密封袋の製造管理方法において、前記検出工程(41)における前記検出信号(DS)が予め定められた時間よりも長い時間に渡って、予め定められた閾値よりも少なくとも一部が小さい場合には、前記判断工程(43)において前記密封袋は良品ではないと判断することを特徴とする。
【0017】
また、請求項7に係る発明は、請求項1乃至6の何れか一項に記載の密封袋の製造管理方法において、密封袋の製造方法は、フィルム状包材(9)の重畳体(9b)を長さ方向に送りながら、同方向に伸びる縦ヒートシール部(10,11)で閉じて筒状にし、この筒状になった重畳体(9b)に先行横ヒートシール部(26a)を設けて有底袋部(9c)を形成し、この有底袋部(9c)内に流動体(A)を充填し、この有底袋部(9c)内の流動体(A)を分断するように後続横ヒートシール部(26b)を設けて密封袋(7,44)を形成することを特徴とする。
【0018】
また、請求項8に係る発明は、請求項7に記載の密封袋の製造管理方法において、前記密封袋は、前記フィルム状包材(9)を長さ方向に送りながら、同方向に平行な線上で折り返した重畳体(9b)であることを特徴とする。
【0019】
また、請求項9に係る発明は、請求項8に記載の密封袋の製造管理方法において、前記密封袋は横ヒートシール部(26a、26b)上で重畳体(9b)から切り離されることを特徴とする。
【0020】
また、請求項10に係る発明は、被包装物(A)を充填しながら重畳体(9b)をヒートシールして密封袋を形成する密封袋の製造管理装置において、前記重畳体(9b)のヒートシール部(10、11、26a、26b)の温度を検出する検出手段(41)と、前記検出手段(41)において検出された検出信号(DS)に基づいて前記重畳体のヒートシール部(10、11、26a、26b)の状態を判定する判定手段(42)と、前記判定手段(42)において判定された個々の密封袋の良否を判断する判断手段(43)と、を備えることを特徴とする。
【0021】
また、請求項11に係る発明は、請求項10に記載の密封袋の製造管理装置において、前記検出手段(41)および前記判定手段(42)における前記ヒートシール部(10、11、26a、26b)は横ヒートシール部(26a、26b)であることを特徴とする。
【0022】
また、請求項12に係る発明は、請求項10または11に記載の密封袋の製造管理装置において、前記判断手段(43)における個々の密封袋の良否判断は、前記判定手段(42)において前記重畳体(9b)の前記ヒートシール部(10、11、26a、26b)の少なくとも一部が異常であると判定された場合に、前記密封袋は良品ではないと判断することを特徴とする。
【0023】
また、請求項13に係る発明は、請求項10乃至12の何れか一項に記載の密封袋の製造管理装置において、前記検出手段(41)において、前記重畳体(9b)の前記ヒートシール部(10、11、26a、26b)の温度を検出する為には赤外線(IR)が用いられ、前記赤外線(IR)は前記ヒートシール部(10、11、26a、26b)の一部または全部からの赤外線(IR)であることを特徴とする。
【0024】
また、請求項14に記載の発明は、請求項10乃至13の何れか一項に記載の密封袋の製造管理装置において、前記検出手段(41)における前記検出信号(DS)が予め定められた閾値よりも少なくとも一部が小さい場合には、前記判断手段(43)において前記密封袋は良品ではないと判断することを特徴とする。
【0025】
また、請求項15に記載の発明は、請求項10乃至14の何れか一項に記載の密封袋の製造管理装置において、前記検出手段(41)における前記検出信号(DS)が予め定められた時間よりも長い時間に渡って、予め定められた閾値よりも少なくとも一部が小さい場合には、前記判断手段(43)において前記密封袋は良品ではないと判断することを特徴とする。
【0026】
また、請求項16に記載の発明は、請求項10乃至15の何れか一項に記載の密封袋の製造管理装置において、密封袋の製造装置は、フィルム状包材(9)の重畳体(9b)を長さ方向に送りながら、同方向に伸びる縦ヒートシール部(10、11)で閉じて筒状にする縦ヒートシール手段(25)と、この重畳体(9b)に先行横ヒートシール部(26a)を設けて有底袋部(9c)を形成し、この有底袋部(9c)内の流動体(A)を分断するように後続横ヒートシール部(26b)を設けて密封袋(7,44)を形成する横ヒートシール手段(27)と、上記有底袋部(9c)内に流動体(A)を充填する充填手段(28)とを包含してなる密封袋の製造装置であることを特徴とする。
【0027】
また、請求項17に係る発明は、請求項16に記載の密封袋の製造管理装置において、前記密封袋は、前記フィルム状包材(9)を長さ方向に送りながら、同方向に平行な線上で折り返した重畳体(9b)であることを特徴とする。
【0028】
また、請求項18に係る発明は、請求項17に記載の密封袋の製造管理装置において、前記密封袋は横ヒートシール部(26a、26b)上で重畳体(9b)から切り離されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
請求項1に係る発明によれば、被包装物(A)を充填しながら重畳体(9b)をヒートシールして密封袋を形成する密封袋の製造管理方法において、前記重畳体(9b)のヒートシール部(10、11、26a、26b)の温度を検出する検出工程(41)と、前記検出工程における検出信号(DS)に基づいて前記重畳体のヒートシール部(10、11、26a、26b)の状態を判定する判定工程(42)と、前記判定工程において判定された個々の密封袋の良否を判断する判断工程(43)とを備えることから、製品となる密封袋の個別の管理が可能となった。また、従来から行なわれてきた人手による確認と異なり、機械による自動的な管理が可能となるので、より効率的および確実な管理が可能となった。
【0030】
請求項2に係る発明によれば、請求項1に記載の密封袋の製造管理方法において、 前記検出工程(41)および前記判定工程(42)における前記ヒートシール部(10、11、26a、26b)は横ヒートシール部(26a、26b)であるので、被包装物が包装袋から漏れる可能性が高い部分を確実に管理することが可能になった。
【0031】
請求項3に係る発明によれば、請求項1または2に記載の密封袋の製造管理方法において、前記判断工程(43)における個々の密封袋の良否判断は、前記判定工程(42)において前記重畳体(9b)の前記ヒートシール部(10、11、26a、26b)の少なくとも一部が異常であると判定された場合に、前記密封袋は良品ではないと判断するので、ヒートシール部の僅かな部分にでも異常な部分があれば確実に被包装物が包装袋から漏れる可能性がある部分を管理することが可能になった。
【0032】
請求項4に係る発明によれば、請求項1乃至3の何れか一項に記載の密封袋の製造管理方法において、前記検出工程(41)において、前記重畳体(9b)の前記ヒートシール部(10、11、26a、26b)の温度を検出する為に赤外線(IR)が用いられ、前記赤外線(IR)は前記ヒートシール部(10、11、26a、26b)の一部または全部からの赤外線(IR)であるので、ヒートシール部の温度を確実に検出することができ、ヒートシール部においてヒートシールが確実に行なわれたか否かを管理することが可能になった。
【0033】
請求項5に係る発明によれば、請求項1乃至4の何れか一項に記載の密封袋の製造管理方法において、前記検出工程(41)における前記検出信号(DS)が予め定められた閾値よりも少なくとも一部が小さい場合には、前記判断工程(43)において前記密封袋は良品ではないと判断する。従って、ヒートシール部が確実に融着されるべき温度(ヒートシール部が確実に融着されるべき温度は、検出工程において検出される検出信号の絶対値の大きさに対応する)を予め定められた閾値(閾値は、検出信号の絶対値として定められる)として設定しているので、ヒートシール部の一部分でも閾値に到達していない場合には、ヒートシール部の融着が確実に行なわれていない部分があることになるので、ヒートシール部の融着が確実に行なわれているか否かを確実に検出し、管理することが可能になった。
【0034】
請求項6に係る発明によれば、請求項1乃至5の何れか一項に記載の密封袋の製造管理方法において、前記検出工程(41)における前記検出信号(DS)が予め定められた時間よりも長い時間に渡って、予め定められた閾値よりも少なくとも一部が小さい場合には、前記判断工程(43)において前記密封袋は良品ではないと判断することを特徴とする。ヒートシール部が確実に融着されるべき温度(ヒートシール部が確実に融着されるべき温度は、検出工程において検出される検出信号の絶対値の大きさに対応する)として予め定められた閾値(閾値は、検出信号の絶対値として定められる)以下のヒートシール部分であっても、その予め定められた閾値以下の部分がごく僅かな領域である場合には、実質的に被包装物が包装袋から漏れる可能性が無い場合もあるので、包装袋の生産性をアップ(不良率を減少させる(過剰な品質管理とならないようにする))するために、予め定められた時間以上、融着が十分でない部分が続いたヒートシール部分がある場合にのみ、ヒートシールは確実に行なわれていない状態であるとして管理することができるようになった。
【0035】
また、請求項7に係る発明によれば、請求項1乃至6の何れか一項に記載の密封袋の製造管理方法において、密封袋の製造方法は、フィルム状包材(9)の重畳体(9b)を長さ方向に送りながら、同方向に伸びる縦ヒートシール部(10,11)で閉じて筒状にし、この筒状になった重畳体(9b)に先行横ヒートシール部(26a)を設けて有底袋部(9c)を形成し、この有底袋部(9c)内に流動体(A)を充填し、この有底袋部(9c)内の流動体(A)を分断するように後続横ヒートシール部(26b)を設けて密封袋(7,44)を形成するために、縦ヒートシール部(10、11)は、被包装物(流動体A)が包装袋(密封袋)に充填される前にヒートシールされることにより確実にヒートシールされる可能性が高く、被包装物(流動体A)が包装袋(密封袋)に充填された後の横ヒートシール部(26a、26b)はフィルム状包材(9)の重畳体(9b)に充填された被包装物(流動体A)の影響(フィルムのシワ、たるみ等の発生)があるので、横ヒートシール部(26a、26b)を重点的に管理することにより、被包装物が包装袋から漏れる可能性が高い部分について赤外線等を用いて効率的に管理することが可能になった。
【0036】
また、請求項8に係る発明は、請求項7に記載の密封袋の製造管理方法において、前記密封袋は、前記フィルム状包材(9)を長さ方向に送りながら、同方向に平行な線上で折り返した重畳体(9b)であることから、重畳体(9b)が簡易に形成された場合であっても被包装物が包装袋から漏れる可能性が高い部分について赤外線等を用いて効率的および確実に管理することが可能になった。
【0037】
また、請求項9に係る発明は、請求項8に記載の密封袋の製造管理方法において、前記密封袋は横ヒートシール部(26a、26b)上で重畳体(9b)から切り離すことから、被包装物が包装袋から漏れる可能性が高い部分について赤外線等を用いて効率的および確実に管理することが可能になった。
【0038】
請求項10に係る発明によれば、被包装物を充填しながら重畳体(9b)をヒートシールして密封袋を形成する密封袋の製造管理装置において、前記重畳体のヒートシール部(10、11、26a、26b)の温度を検出する検出手段と、前記検出手段において検出された検出信号に基づいて前記重畳体(9b)のヒートシール部(10、11、26a、26b)の状態を判定する判定手段と、前記判定手段において判定された個々の密封袋の良否を判断する判断手段とを備えることから、製品となる密封袋の個別の管理が可能となった。また、従来から行なわれてきた人手による確認と異なり、機械による自動的な管理が可能となるので、より効率的および確実な管理が可能となった。
【0039】
請求項11に係る発明によれば、請求項10に記載の密封袋の製造管理装置において、前記検出手段および前記判定手段における前記ヒートシール部(10、11、26a、26b)は横ヒートシール部(26a、26b)であることを特徴とするので、被包装物が包装袋から漏れる可能性が高い部分を確実に管理することが可能になった。
【0040】
請求項12に係る発明は、請求項10または11に記載の密封袋の製造管理装置において、前記判断手段における個々の密封袋の良否判断は、前記判定手段において前記重畳体(9b)の前記ヒートシール部(10、11、26a、26b)の少なくとも一部が異常であると判定された場合に、前記密封袋は良品ではないと判断するので、ヒートシール部(10、11、26a、26b)の僅かな部分にでも異常な部分があれば確実に被包装物が包装袋から漏れる可能性がある部分を管理することが可能になった。
【0041】
請求項13に係る発明は、請求項10乃至12の何れか一項に記載の密封袋の製造管理装置において、前記検出手段において、前記重畳体(9b)の前記ヒートシール部(10、11、26a、26b)の温度を検出する為には赤外線が用いられ、前記赤外線は前記ヒートシール部(10、11、26a、26b)の一部または全部からの赤外線である赤外線(IR)であるので、ヒートシール部(10、11、26a、26b)の温度を確実に検出することができ、ヒートシール部(10、11、26a、26b)においてヒートシールが確実に行なわれたか否かを管理することが可能になった。
【0042】
請求項14に係る発明によれば、請求項10乃至13の何れか一項に記載の密封袋の製造管理装置において、前記検出手段における前記検出信号が予め定められた閾値よりも少なくとも一部が小さい場合には、前記判断手段において前記密封袋は良品ではないと判断する。従って、ヒートシール部(10、11、26a、26b)が確実に融着されるべき温度(ヒートシール部(10、11、26a、26b)が確実に融着されるべき温度は、検出工程において検出される検出信号の絶対値の大きさに対応する)を予め定められた閾値(閾値は、検出信号の絶対値として定められる)として設定しているので、ヒートシール部(10、11、26a、26b)の一部分でも閾値に到達していない場合には、ヒートシール部(10、11、26a、26b)の融着が確実に行なわれていない部分があることになるので、ヒートシール部(10、11、26a、26b)の融着が確実に行なわれているか否かを確実に検出し、管理することが可能になった。
【0043】
請求項15に係る発明は、請求項10乃至14の何れか一項に記載の密封袋の製造管理装置において、前記検出手段における前記検出信号が予め定められ時間よりも長い時間に渡って、予め定められた閾値よりも少なくとも一部が小さい場合には、前記判断工程(43)において前記密封袋は良品ではないと判断することを特徴とする。ヒートシール部(10、11、26a、26b)が確実に融着されるべき温度(ヒートシール部(10、11、26a、26b)が確実に融着されるべき温度は、検出工程において検出される検出信号の絶対値の大きさに対応する)として予め定められた閾値(閾値は、検出信号の絶対値として定められる)以下のヒートシール部分(10、11、26a、26b)であっても、その予め定められた閾値以下の部分がごく僅かな領域である場合には、実質的に被包装物が包装袋から漏れる可能性が無い場合もあるので、包装袋の生産性をアップ(不良率を減少させる(過剰な品質管理とならないようにする))のために、予め定められた時間以上、融着が十分でない部分が続いたヒートシール部分(10、11、26a、26b)がある場合にのみ、ヒートシールは確実に行なわれていない状態であるとして管理することができるようになった。
【0044】
請求項16に係る発明は、請求項10乃至15の何れか一項に記載の密封袋の製造管理装置において、密封袋の製造装置は、フィルム状包材(9)の重畳体(9b)を長さ方向に送りながら、同方向に伸びる縦ヒートシール部(10、11)で閉じて筒状にする縦ヒートシール手段(25)と、この重畳体(9b)に先行横ヒートシール部(26a)を設けて有底袋部(9c)を形成し、この有底袋部(9c)内の流動体(A)を分断するように後続横ヒートシール部(26b)を設けて密封袋(7、44)を形成する横ヒートシール手段(27)と、上記有底袋部(9c)内に流動体(A)を充填する充填手段(28)とからなるので、縦ヒートシール部(10、11)は、被包装物(流動体A)が包装袋(密封袋)に充填される前にヒートシールされることにより確実にヒートシールされる可能性が高く、被包装物(流動体A)が包装袋(密封袋)に充填された後の横ヒートシール部(26a、26b)はフィルム状包材(9)の重畳体(9b)に充填された被包装物(流動体A)の影響(フィルムのシワ、たるみ等の発生)があるので、横ヒートシール部(26a、26b)を重点的に管理することにより、被包装物が包装袋から漏れる可能性が高い部分について赤外線等を用いて効率的に管理することが可能になった。
【0045】
また、請求項17に係る発明は、請求項16に記載の密封袋の製造管理装置において、前記密封袋は、前記フィルム状包材(9)を長さ方向に送りながら、同方向に平行な線上で折り返した重畳体(9b)であることから、重畳体(9b)が簡易に形成された場合であっても被包装物が包装袋から漏れる可能性が高い部分について赤外線等を用いて効率的および確実に管理することが可能になった。
【0046】
また、請求項18に係る発明は、請求項17に記載の密封袋の製造管理装置において、前記密封袋は横ヒートシール部(26a、26b)上で重畳体(9b)から切り離すことから、被包装物が包装袋から漏れる可能性が高い部分について赤外線等を用いて効率的および確実に管理することが可能になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
<密封袋の製造管理装置の実施形態1>
最初に、この密封袋の製造方法及び装置により製造される密封袋の一例について図1(A)(B)に基づき説明する。
【0048】
この密封袋7は、一辺に折り返し部が生じるようにフィルム状包材9(図2参照)を二つ折りすることにより形成される。フィルム状包材9が二つ折りで扁平に折り畳まれ、この折り畳まれた重畳体9bの開放縁を含む全周縁が縦横のヒートシール部10,11,12,13で閉じられることにより密封袋7とされる。密封袋7内には重畳体9bの一辺の開放縁が開放された状態にあるときに、そこから内容物である流動体Aが充填される。その後この開放縁がヒートシールされることにより密封袋7が完成する。
【0049】
なお、フィルム状包材9としては過酸化水素等の殺菌剤により殺菌されたものを用いることができる。このような殺菌されたフィルム状包材9を使用することにより、密封袋7の内部の無菌性を簡易に維持することができる。また、フィルム状包材9としては一枚物を折り返すのではなく、当初から分離した二条のものを重ね合わせるようにしてもよい。
【0050】
次に、上記密封袋を製造管理する方法及び装置について説明する。
【0051】
図2に示すように、密封袋の製造管理装置は、フィルム状包材の殺菌部14と、製袋部15とを具備する。
【0052】
殺菌部14では、フィルム状包材9の巻取りロール9aから繰り出されるフィルム状包材9の走行路に沿って、その上流側から下流側へと、ヒータ17、殺菌剤吐出ノズル18、ミスト排気ダクト19、温風ノズル20、冷風ノズル21等が順に配置される。この実施の形態1では、フィルム状包材9は下から上へと垂直に走行するようになっており、そのためヒータ17から冷風ノズル21に至る部分も垂直方向に配列される。巻取りロール9aとヒータ17との間には、フィルム状包材9の通過する開口を有した隔壁16が必要に応じて設けられる。また、ミスト排気ダクト19と温風ノズル20との間にも、フィルム状包材9の通過する開口を有した隔壁22が設けられる。各隔壁16,22の開口は図示しないシャッターによりそれぞれ開閉可能である。
【0053】
巻取りロール9aから繰り出されたフィルム状包材9は、各種ローラ23を経てヒータ17に至り予備加熱される。予備加熱の熱により後の殺菌剤によるフィルム状包材9の殺菌効果が高められる。予備加熱されたフィルム状包材9は、殺菌剤吐出ノズル18から殺菌剤としての過酸化水素水のミストを吹き付けられる。このミストは、過酸化水素の水溶液を噴霧し、沸点以上に加熱して気化させ、微細な粒子に凝縮させることにより生成される。殺菌剤は過酸化水素に限らず、殺菌作用を有する各種の薬液が使用可能である。ミストが吹き掛けられることにより、フィルム状包材9の表面が殺菌される。ミストの余剰分は、ミスト排気ダクト19から回収される。殺菌されたフィルム状包材9は、隔壁22を通過して温風ノズル20から温風を吹き付けられ、その熱により表面に付着した殺菌剤が気化され除去される。殺菌剤を除去されたフィルム状包材9は冷風ノズル21から冷風を吹き付けられ、これにより殺菌剤の除去が促進される。
【0054】
殺菌部14で殺菌されたフィルム状包材9は、各種ローラ24を経て次の製袋部15へと送られ、流動体Aの包装に供される。
【0055】
図3乃至図5に示すように、製袋部15は、上記殺菌部14から送られて来るフィルム状包材9を長さ方向に送りながら同方向に平行な中心線上で折り返して重畳体9bとする折り返し機構と、この重畳体9bを同方向に送りながら、同方向に伸びる縦ヒートシール部10,11で閉じて筒状にする縦ヒートシール手段としてのヒートシール車25と、この筒状になった重畳体9bに先行横ヒートシール部26aを設けて有底袋部9cを形成し、この有底袋部9c内の流動体Aを分断するように後続横ヒートシール部26bを設けて密封袋7を形成する横ヒートシール手段としてのヒートシールローラ27と、ヒートシール部の温度を測定する検出手段、判定手段、判断手段を含む赤外線カメラ装置と、有底袋部9c内に流動体Aを充填する充填手段としての充填ノズル28と、を含んでいる。
【0056】
製袋部15では、フィルム状包材9が上から下へと垂直に送られるようになっており、このフィルム状包材9の走行路に沿って上流側から下流側へと、折り返し機構、ヒートシール車25、充填ノズル28、ヒートシールローラ27等が順に配置される。
【0057】
折り返し機構は、殺菌部14から来るフィルム状包材9の走行方向を下方に変更するガイドローラ29と、ガイドローラ29を経て来るフィルム状包材9の中心線上に折り目を付けながら折り返すガイド棒30とを具備する。
【0058】
ヒートシール車25は二対用意され、重畳体9bの両側縁を表裏から挟むように対向配置される。各ヒートシール車25には、図示しない電気ヒータが組み込まれ、重畳体9bに接する箇所が加熱されるようになっている。
【0059】
ヒートシールローラ27は一対用意され、重畳体9bを表裏から挟むように対向配置される。この一対のヒートシールローラ27はそれぞれ回転軸27bに固定され、上記ヒートシール車25よりも下流側において重畳体9bを表裏から挟みつつ回転する。
【0060】
各ヒートシールローラ27の表面には、横ヒートシール部26a,26bを重畳体9bの長さ方向に繰り返し形成するべく、ヒートシールバー27aが回転軸27bと平行に固定される。ヒートシールバー27aは密封袋7の長さに応じて各ヒートシールローラ27の表面に回転軸27bと平行に一本又は複数本固定される。各ヒートシールローラ27には、図示しない電気ヒータが組み込まれ、各ヒートシールバー27aが加熱されるようになっている。また、ヒートシールバー27aは各ヒートシールローラ27の表面に固定ネジ等により着脱可能に固定され、密封袋7の幅等に応じて各種用意された長さの異なるものと適宜交換可能である。
【0061】
ヒートシールローラ27が駆動され、図4中矢印方向に回転することにより、重畳体9bには横ヒートシール部26a,26bが一密封袋7分のピッチごとに繰り返し形成される。ヒートシールローラ27は横ヒートシール部26a,26bを形成するときにだけ重畳体9bの走行速度と同期して回転し、重畳体9bを横切るように横ヒートシール部26a,26bを形成する。
【0062】
なお、ヒートシールローラ27に代えて一対の板状のヒートシール盤を用いることも可能である。その場合は、重畳体9bを間に挟んで一対のヒートシール盤を間欠的に接離運動させ、重畳体9bをヒートシール盤間で間欠走行させることになる。
【0063】
赤外線カメラ装置は、横ヒートシール部26a、26bから放出される赤外線を赤外線カメラで検出し、横ヒートシール部26a、26bの温度を演算する。横ヒートシール部26a、26bの温度が予め定められた温度に達していない場合には、予め定められた温度に達していない横ヒートシール部26a、26bを含む重畳体9bから製造された密封袋を取り除く為の制御信号を出力する。
【0064】
密封袋の製造管理装置は、この制御信号に基づいて、予め定められた温度に達していないヒートシール部を含む密封袋を赤外線カメラ装置よりも下流側において取り除く(不良密封袋除去部分:図示せず)。予め定められた温度に達していないヒートシール部を含む密封袋を取り除く方法の一例として、赤外線カメラ装置よりも下流側の不良密封袋除去部分において、赤外線カメラ装置から出力された制御信号を受信してから、予め定められた時間(赤外線カメラ装置によって不良密封袋からの赤外線が検出されてから、密封袋の製造管理装置において不良密封袋が不良密封袋除去部分に到達するまでの時間)が経過してから、不良密封袋除去部分に到達した密封袋を除去する方法(遅延時間による不良密封袋の特定および除去)がある。
【0065】
なお、赤外線カメラ装置は、横ヒートシール部26a、26bから放出される赤外線と、縦ヒートシール部10、11から放出される赤外線とを同時に又は別々に検知することができ、予め定められた温度に達していない横ヒートシール部26a、26bのみならず、予め定められた温度に達していない縦ヒートシール部10、11を含む重畳体9bから製造された密封袋を取り除く為の制御信号を出力する。
【0066】
充填ノズル28は、ヒートシールローラ27の上流側において形成される重畳体9bの有底袋部9cの底に向かって配置される。流動体Aを流す導管28aがヒートシール車25の上流側から重畳体9b内へと重畳体9bの合わせ目から入り込み、左右のヒートシール車25,25間を通ってヒートシールローラ27,27間へと伸び、その先端に充填ノズル28が設けられる。導管28aは、外部に接続されており、無菌殺菌部28bにおいて流動体Aが供給される。図5(A)(B)に示すように、ヒートシールローラ27による先行横ヒートシール部26aの形成によって生じる有底袋部9c内に向かって、充填ノズル28から流動体Aが一定流量で常時吐出される。この流動体Aの吐出量は、重畳体9bの走行速度に応じてポンプ(図示せず)の回転数が加減されることにより調整可能である。
【0067】
図2乃至図4に示すように、ヒートシールローラ27よりも下流側には、密封袋7の切り離し手段であるロータリカッター35が設置される。
【0068】
ロータリカッター35は回転刃35aとこの回転刃35aに対向する固定刃35bとを有する。回転刃35aは固定刃35bとの間で重畳体9bを挟み込む剪断作用により、重畳体9bから密封袋7を横ヒートシール部26a,26bの上で切り離すようになっている。ロータリカッター35の回転刃35aは重畳体9bから密封袋7を横ヒートシール部26の上で切り離す時点でのみ回転する。
【0069】
もちろん、回転刃35aは重畳体9bの走行と同期的に連続回転させて重畳体9bから密封袋7を横ヒートシール部26a,26bの上で切り離すようにしてもよい。また、このロータリカッター35に代えて例えばギロチン式の切断機を設けることも可能である。この切断機は重畳体9bが密封袋7のピッチごとに間欠送りされる場合に適する。
【0070】
図2に示すように、ロータリカッター35よりも下流側は隔壁37で閉じられ、この隔壁37には密封袋7の通り道に対応する開口と、この開口を開閉する図示しないシャッターとが設けられる。
【0071】
また、図2に示すように、フィルム状包材9が殺菌部14の隔壁22の位置から製袋部15のロータリカッター35に至り密封袋7とされるまでの経路、すなわち図2中砂目部分は、無菌室38で囲まれている。無菌室38内は、無菌エアが常時吹き込まれることにより陽圧に維持され、外部からの菌類の侵入が阻まれる。
【0072】
次に、上記密封袋の製造管理装置を使用した密封袋の製造管理方法について説明する。
(1)流動体Aの包装開始に先立ち、図2に示す無菌室38内の滅菌処理が行われる。この滅菌処理時には、各隔壁22,37の開口がシャッターにより閉じられ無菌室38内が密閉され、例えば過酸化水素のミストが無菌室38内に導入される。
【0073】
滅菌処理後、無菌室38内は無菌エアが常時供給されることにより陽圧に保持され、滅菌状態が維持される。また、シャッターが開かれ、そこから無菌エアが無菌室38外に吹き出る。
【0074】
殺菌部14から製袋部15へと伸びる図示しない無端ベルト或いは人手により、フィルム状包材9が巻取りロール9aから繰り出され、その先端が殺菌部14を通って製袋部15へと送られる。これにより、フィルム状包材9のセッティングが完了する。
(2)流動体Aの包装が開始されると、巻取りロール9aから繰り出されるフィルム状包材9は各種ローラ23を経て隔壁16の開口を通過し、ヒータ17により予備加熱され、殺菌剤吐出ノズル18から例えば過酸化水素のミストを吹き掛けられる。殺菌剤吐出ノズル18から吐出される過酸化水素のミストの余剰分はミスト排気ダクト19により吸引除去される。過酸化水素のミストにより殺菌されたフィルム状包材9は、次の隔壁22の開口を通って無菌室38内に入り、温風ノズル20及び冷風ノズル21から温風と冷風を順次吹き付けられ過酸化水素を除去される。この乾燥処理されたフィルム状包材9は各種ローラ24を経て製袋部15に導入される。以後、フィルム状包材9は密封袋7とされるまで無菌の雰囲気下において加工される。
(3)図3及び図4に示すように、製袋部15内では、フィルム状包材9は長さ方向に送られながらガイド棒30により同方向に平行な線上で折り返され二つ折りの重畳体9bとされる。
(4)二つ折りされたフィルム状包材9の重畳体9bは、その片側の折り返し部と反対側の開放部とをそれぞれ縦ヒートシール部10,11によりシールされ、扁平な筒状の重畳体9bとされる。
【0075】
この二本の縦ヒートシール部10,11は、重畳体9bの両側縁が表裏からヒートシール車25に挟まれることにより形成される。ヒートシール車25は図4中矢印方向に連続回転し、重畳体9bはヒートシール車25,25間を連続走行することにより両側に連続的に縦ヒートシール部10,11が形成される。もちろん、ヒートシール車25に代えて板状のヒートシール盤を用いることも可能である。その場合は、縦ヒートシール部10,11を間欠的に形成するので、重畳体9bもヒートシール盤間を間欠走行することになる。
(5)両側が縦ヒートシール部10,11で閉じられた重畳体9bは、その長さ方向に交差する方向に伸びる横ヒートシール部26a,26bにより下流側で閉じられる。横ヒートシール部26a,26bは図1(A)に示す上下の横ヒートシール部12,13が重畳体9bの長さ方向に連なった形状及び大きさに形成される。
【0076】
この横ヒートシール部26a,26bは、重畳体9bが表裏から一対のヒートシールローラ27,27に挟まれることにより形成される。一対のヒートシールローラ27,27はそれぞれ回転軸27bに固定され、上記ヒートシール車25よりも下流側において重畳体9bを表裏から挟むように対向配置される。
【0077】
ヒートシールローラ27が駆動され図4中矢印方向に回転することにより、重畳体9bには横ヒートシール部26a,26bが形成される。
【0078】
ヒートシールローラ27,27は連続回転し、重畳体9bはヒートシールローラ27,27間を連続走行することにより一個の密封袋7における縦方向の長さごとに横ヒートシール部26a,26bで閉じられる。もちろん、ヒートシールローラ27に代えて一対の板状のヒートシール盤を用いることも可能である。その場合は、重畳体9bを間に挟んで一対のヒートシール盤を間欠的に接離運動させ、重畳体9bをヒートシール盤間で間欠走行させることになる。
(6)図5(A)に示すように、筒状になった重畳体9bに先行横ヒートシール部26aが設けられることにより形成される有底袋部9c内に、充填ノズル28から流動体Aが常時一定流量で連続的に流入する。流動体Aの流量は例えば重畳体9bの走行速度に応じて加減される。
(7)図5(A)、(B)に示すように、流動体Aが充填された重畳体9bは、赤外線カメラ装置40の前面に到達すると、赤外線カメラ装置に含まれる赤外線カメラ41(図6参照)によって、重畳体9bから放出される赤外線が検出される。赤外線カメラ41は、検出された赤外線を電気信号に変換し(赤外線の放射エネルギー量(赤外線受光量)が大きいほど、その赤外線を放出している部分の温度が高いので、絶対値として大きな信号値を持つ信号(振幅が大きい信号)を出力する。また、赤外線の放射エネルギー量が小さいほど、その赤外線を放出している部分の温度が低いので、絶対値として小さな信号値を持つ信号(振幅が小さい信号)を出力する。)、検出信号DS(Detected Signal)として、信号処理部42へ出力する。
【0079】
なお、赤外線カメラ41は重畳体9bのヒートシール部(10、11、26a、26b)の平面に対して略直交する方向(ヒートシール部(10、11、26a、26b)の平面に対する法線ベクトルに近い方向)に配置されるが、これに限定されるわけではなく、ヒートシール部の平面に対して斜め方向に配置されてもヒートシール部を含む重畳体9bの温度を測定することが可能である。また、赤外線カメラ41はヒートシール部を含む重畳体9bにおいて縦横それぞれ数百画素に分割して赤外線の放射エネルギー量を計測することができる。一例として、赤外線カメラ41は縦横320×240画素でヒートシール部を含む重畳体9bの赤外線の放射エネルギー量を計測することができる。
【0080】
信号処理部42では、重畳体9bの放射率の補正等を行い、重畳体9bから放射される赤外線のエネルギー量に基づいて、重畳体9bの温度分布の信号処理を実行する。信号処理部42では、リアルタイムに重畳体9bの温度を測定するために、おおよそ1秒間に60回まで、重畳体9bの温度分布を測定することが可能となっている。1秒間の重畳体9bの温度測定回数は任意に調整することができ、重畳体9bの送り速度と同期させ、同一重畳体9bを少なくとも1回以上測定することが可能に調整することができる。また、信号処理部で処理された検出信号DSは、図示しない記憶部に記憶しておき、重畳体9bが包装袋として出荷された後も一定期間保存しておくことが可能に構成されている。このようにして包装袋のヒートシール部の温度分布履歴は、包装袋が製品としてとして出荷された後も追跡調査可能になっている。
【0081】
また、信号処理部42では、重畳体9bのヒートシール部の温度が予め定められた温度(ヒートシール部の融着が正常に行なわれ、流動体Aがヒートシール部を介して重畳体9b(製品としては包装袋)の外部に漏れ出さない為に必要とされる温度)と比較して高いか低いかを表す情報をCPU(Central Processing Unit)43(判断手段)へ出力する。例えば、重畳体9bのヒートシール部の温度が予め定められた温度よりも低い温度である(ヒートシール部の状態が異常である)と判定した場合(重畳体9bのヒートシール部の状態判定)には、信号処理部42は、予め定められた温度よりも検出されたヒートシール部の温度が低いことを表す情報(ヒートシール部の状態が異常であることを表す情報)をCPU43(判断手段)へ出力する。
【0082】
また、信号処理部42では、重畳体9bのヒートシール部の温度および温度分布だけではなく、温度および温度分布の時間変化を演算することができる。例えば、重畳体9bのヒートシール部の温度が予め定められた温度(ヒートシール部の融着が正常に行なわれ、流動体Aがヒートシール部を介して重畳体9b(製品としては包装袋)の外部に漏れ出さない為に必要とされる温度)、予め定められた温度を超える温度、または予め定められた温度よりも低い温度がどの程度の時間続いたか(維持時間)を演算することが可能である。信号処理部42は維持時間を維持時間情報としてCPU43へ出力する。この維持時間は、赤外線カメラ装置が1秒間に重畳体9bの温度を何回測定するかに基づいて演算することが可能となる。
【0083】
CPU43は、信号処理部42から入力された温度情報、維持時間情報、ヒートシール部の状態を表す情報に基づいて、ヒートシール部のヒートシールが良好に実施されたか否かを判断する。一例として、ヒートシール部の全部または一部の赤外線カメラ41による検出温度が、予め定められた温度よりも低い場合には、CPU43は、ヒートシール部のヒートシールが正常に行なわれなかったとして、制御信号CSをアクティブ状態にする。
【0084】
また、他の一例として、ヒートシール部の一部の赤外線カメラ41による検出温度が、予め定められた温度よりも低い場合であっても、その予め定められた温度以下の部分(ヒートシール部の一部)がごく僅かな領域である場合には、実質的に流動体Aである被包装物が包装袋から漏れる可能性が無い場合もある。この場合には、包装袋の生産性をアップ(不良率を減少させる(過剰な品質管理とならないようにする))するために、予め定められた時間以上、予め定められた温度以下の温度が続いたヒートシール部分(10、11、26a、26b)がある場合にのみ、ヒートシールは確実に行なわれていない状態であるとして、CPU43は制御信号CSをアクティブ状態にする。なお、予め定められた時間は重畳体9bの送り速度の関数として示される。
(8)ヒートシール車25及びヒートシールローラ27の回転により、密封袋7が重畳体9bに連続的に形成される。図3及び図4に示すように、重畳体9bがロータリカッター35に到達すると、密封袋7が重畳体9bから横ヒートシール部26a,26b上でロータリカッター35により切り離され、完成品とされる。この密封袋7の重畳体9bからの切り離しは、上記製袋工程と切り離した他の場所で行うことも可能である。
【0085】
また、密封袋の製造管理装置は、ロータリカッター35によって切り離された密封袋7を、アクティブ状態の制御信号CSを受信した後、予め定められた時間経過後(密封袋7が、赤外線カメラ装置40で検出された後、ロータリカッター35によって切り離されるまでの遅延時間に相当する)に、ライン外に排出する(図示せず)ことによって、ヒートシールが適切に実施された良品と分別される。
<密封袋の製造管理装置の実施形態2>
図6に示すように、この実施の形態2に係る密封袋44は、実施の形態1の場合と同様に、一辺が折り返し部であり、三辺が開放縁であるフィルム状包材9の重畳体9b(図7参照)で形成され、折り返し部と反対側の開放縁と、折り返し部に交差する方向における二辺の開放縁とがヒートシール部10,12,13で閉じられる。
【0086】
この密封袋44の製造管理方法について説明すると、図7に示すように、実施の形態1と同様にして、フィルム状包材9を長さ方向に送りながら同方向に平行な線上で折り返しつつ、同方向に伸びる縦ヒートシール部10を設けて筒状の重畳体9bを形成し、同方向に交差する方向に伸びる先行横ヒートシール部26aにより重畳体9bを下流側で閉じ、上流側から流動体Aを重畳体9b内に充填し、後続横ヒートシール部26bにより重畳体9bを上流側で閉じて先行と後行の横ヒートシール部26a,26b間に流動体Aを密封し、しかる後重畳体9bから密封袋44を横ヒートシール部26a,26b上で切り離すようにする。横ヒートシール部26a,26bは、図16に示した上下の横ヒートシール部12,13を重畳体9bの長さ方向に連接した形状及び大きさを有する。
【0087】
また、左右二対のヒートシール車25,25のうち、重畳体9bの右側の折り返し部に対応したものは単なる摩擦車と交換するか、内蔵ヒータへの通電を遮断するか、右側の折り返し部に対応したものを重畳体9bから外れた箇所に移動させることで、重畳体9bの右端のヒートシールが回避される。
【0088】
なお、この実施の形態2において実施の形態1におけるものと同じ部分には同一符号を用いて示すことにより重複した説明を省略する。
【0089】
本発明は以上説明したように構成されるが、上記実施の形態1および2に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】図Aは本発明の実施の形態1に係る方法又は装置により作ることが出来る密封袋の斜視図、Bは図A中、B−B線矢視断面図である。
【図2】本発明に係る密封袋の製造管理装置の概略立面図である。
【図3】図2中、殺菌部を省略して示した密封袋の製造管理装置の正面図である。
【図4】図3に示した密封袋の製造管理装置の左側面図である。
【図5】図4中、要部の拡大断面図であり、図Aは流動体の充填段階を示し、図Bは横ヒートシール段階を示す。
【図6】本発明の実施の形態2に係る方法又は装置により作ることが出来る密封袋の斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る装置の正面図である。
【図8】本発明の実施形態の係る赤外線カメラ装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0091】
A…流動体
7,44…密封袋
9…フィルム状包材
9b…重畳体
10,11…縦ヒートシール部
14…殺菌部
25…ヒートシール車
26a…先行横ヒートシール部
26b…後続横ヒートシール部
27…ヒートシールローラ
28…充填ノズル
38…無菌室
40…赤外線カメラ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物を充填しながら重畳体をヒートシールして密封袋を形成する密封袋の製造管理方法において、
前記重畳体のヒートシール部の温度を検出する検出工程と、
前記検出工程における検出信号に基づいて前記重畳体のヒートシール部の状態を判定する判定工程と、
前記判定工程において判定された個々の密封袋の良否を判断する判断工程と、
を備えることを特徴とする密封袋の製造管理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の密封袋の製造管理方法において、
前記検出工程および前記判定工程における前記ヒートシール部は横ヒートシール部であることを特徴とする密封袋の製造管理方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の密封袋の製造管理方法において、
前記判断工程における個々の密封袋の良否判断は、前記判定工程において前記重畳体の前記ヒートシール部の少なくとも一部が異常であると判定された場合に、前記密封袋は良品ではないと判断することを特徴とする密封袋の製造管理方法。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の密封袋の製造管理方法において、
前記検出工程において、前記重畳体の前記ヒートシール部の温度を検出する為に赤外線が用いられ、前記赤外線は前記ヒートシール部の一部または全部からの赤外線であることを特徴とする密封袋の製造管理方法。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の密封袋の製造管理方法において、
前記検出工程における前記検出信号が予め定められた閾値よりも少なくとも一部が小さい場合には、前記判断工程において前記密封袋は良品ではないと判断することを特徴とする密封袋の製造管理方法。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の密封袋の製造管理方法において、
前記検出工程における前記検出信号が予め定められ時間よりも長い時間に渡って、予め定められた閾値よりも少なくとも一部が小さい場合には、前記判断工程において前記密封袋は良品ではないと判断することを特徴とする密封袋の製造管理方法。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の密封袋の製造管理方法において、
密封袋の製造方法は、フィルム状包材の重畳体を長さ方向に送りながら、同方向に伸びる縦ヒートシール部で閉じて筒状にし、この筒状になった重畳体に先行横ヒートシール部を設けて有底袋部を形成し、この有底袋部内に流動体を充填し、この有底袋部内の流動体を分断するように後続横ヒートシール部を設けて密封袋を形成する密封袋の製造方法であることを特徴とする密封袋の製造管理方法。
【請求項8】
請求項7に記載の密封袋の製造管理方法において、前記密封袋は、前記フィルム状包材を長さ方向に送りながら、同方向に平行な線上で折り返した重畳体であることを特徴とする密封袋の製造管理方法。
【請求項9】
請求項8に記載の密封袋の製造管理方法において、前記密封袋は横ヒートシール部上で重畳体から切り離されることを特徴とする密封袋の製造管理方法。
【請求項10】
被包装物を充填しながら重畳体をヒートシールして密封袋を形成する密封袋の製造管理装置において、
前記重畳体のヒートシール部の温度を検出する検出手段と、
前記検出手段において検出された検出信号に基づいて前記重畳体のヒートシール部の状態を判定する判定手段と、
前記判定手段において判定された個々の密封袋の良否を判断する判断手段と、
を備えることを特徴とする密封袋の製造管理装置。
【請求項11】
請求項10に記載の密封袋の製造管理装置において、
前記検出手段および前記判定手段における前記ヒートシール部は横ヒートシール部であることを特徴とする密封袋の製造管理装置。
【請求項12】
請求項10または11に記載の密封袋の製造管理装置において、
前記判断手段における個々の密封袋の良否判断は、前記判定手段において前記重畳体の前記ヒートシール部の少なくとも一部が異常であると判定された場合に、前記密封袋は良品ではないと判断することを特徴とする密封袋の製造管理装置。
【請求項13】
請求項10乃至12の何れか一項に記載の密封袋の製造管理装置において、
前記検出手段において、前記重畳体の前記ヒートシール部の温度を検出する為には赤外線が用いられ、前記赤外線は前記ヒートシール部の一部または全部からの赤外線であることを特徴とする密封袋の製造管理装置。
【請求項14】
請求項10乃至13の何れか一項に記載の密封袋の製造管理装置において、
前記検出手段における前記検出信号が予め定められた閾値よりも少なくとも一部が小さい場合には、前記判断手段において前記密封袋は良品ではないと判断することを特徴とする密封袋の製造管理方法。
【請求項15】
請求項10乃至14の何れか一項に記載の密封袋の製造管理装置において、
前記検出手段における前記検出信号が予め定められ時間よりも長い時間に渡って、予め定められた閾値よりも少なくとも一部が小さい場合には、前記判断手段において前記密封袋は良品ではないと判断することを特徴とする密封袋の製造管理装置。
【請求項16】
請求項10乃至15の何れか一項に記載の密封袋の製造管理装置において、
密封袋の製造装置は、フィルム状包材の重畳体を長さ方向に送りながら、同方向に伸びる縦ヒートシール部で閉じて筒状にする縦ヒートシール手段と、この重畳体に先行横ヒートシール部を設けて有底袋部を形成し、この有底袋部内の流動体を分断するように後続横ヒートシール部を設けて密封袋を形成する横ヒートシール手段と、上記有底袋部内に流動体を充填する充填手段とを包含してなる密封袋の製造装置であることを特徴とする密封袋の製造管理装置方法。
【請求項17】
請求項16に記載の密封袋の製造管理装置において、
前記密封袋は、前記フィルム状包材を長さ方向に送りながら、同方向に平行な線上で折り返した重畳体であることを特徴とする密封袋の製造管理装置。
【請求項18】
請求項17に記載の密封袋の製造管理装置において、
前記密封袋は横ヒートシール部上で重畳体から切り離されることを特徴とする密封袋の製造管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−83857(P2009−83857A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−251604(P2007−251604)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】