説明

導電性フイルム及び透明発熱体

【課題】視認性と発熱性に優れた透明性の発熱体(透明発熱体)に用いて好適な導電性フイルムを提供する。
【解決手段】第1導電性フイルム10Aの導電部12は、複数の第1金属細線12aと複数の第2金属細線12bにて構成された多数の格子の交点(交差部24)を有するメッシュパターン22を有し、交差部24間の導電部12は、少なくとも1つの湾曲を有する波線形状に形成されている。平行に隣り合う第1金属細線12aのうち、一方の第1金属細線12a1の円弧の配列周期は1周期であり、他方の第1金属細線12a2の円弧の配列周期は2周期となっている。同様に、一方の第2金属細線12b1の円弧の配列周期は1周期であり、他方の第2金属細線12b2の円弧の配列周期は2周期となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のデフロスタ(霜取り装置)、窓ガラス等の一部として使用可能で、電流を流すことで発熱し発熱シートとしても機能し、また、タッチパネル用電極、無機EL素子、有機EL素子又は太陽電池の電極としても使用することができる導電性フイルムと、該導電性フイルムを備えた透明発熱体に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、例えば0.25m2以上の大面積を、高輝度発光させ、且つ、長い発光寿命を与えるエレクトロルミネッセンス素子として、特許文献1に記載の素子が提案されている。
【0003】
一方、車両用灯具の照度低下を防止した導電性フイルムを利用した車両用灯具として、特許文献2及び3が知られている。
【0004】
車両用灯具の照度低下の要因としては、以下のようなことが挙げられる。
(1)前面カバーの外周面への積雪の付着。
(2)前面カバーの外周面に雨水や洗車水が付着したまま凍結。
(3)光源として消費電力(発生熱量)が少ないにも拘わらず、光量が多いHIDランプの使用による上記(1)(2)の助長。
【0005】
特許文献2記載の構造は、導通パターンが印刷された透明な電気絶縁性のシート状部材で構成された発熱体を、レンズ成形品にインモールド成形によって固着するものであって、特に、発熱体の導通パターンを貴金属粉及び溶剤可溶な熱可塑性樹脂とを含む組成物で形成するというものである。
【0006】
特許文献3記載の構造は、車両用ランプのレンズ部内に発熱体を付着し、所定の条件下で発熱体に通電し、レンズ部を暖めるようにしている。発熱体はITO(Indium Tin Oxide)のような透明導電膜で構成することが記載されている。
【0007】
また、発電効率を顕著に低下させることなく、電磁波の反射によって生じる悪影響を軽減することができる色素増感型太陽電池として、特許文献4が提案されている。また、電磁波シールド膜の分野では、特許文献5において、モアレなどによるPDP画像の画質劣化を最小にするために、メッシュを構成する線の交点における交点太り率を規定する技術が開示されている。
【0008】
【特許文献1】特開2005−197234号公報
【特許文献2】特開2007−26989号公報
【特許文献3】特開平10−289602号公報
【特許文献4】特開2006−190585号公報
【特許文献5】特開2004−221565号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2記載の発熱体は、必要な抵抗値(例えば40オーム前後)を得るために、例えばヘッドランプの前面カバー上を1本の導線をジグザグに引き回して長い導線を形成することが考えられる。しかし、隣接する導線間に電位差を生じ、マイグレーションの原因になるという問題もある。
【0010】
一方、特許文献3記載の発熱体は、ITOのような透明導電膜を使用している。そのため、透明導電膜を曲面成形品の表面に形成する際には、真空中でスパッタする以外に方法がなく、効率やコスト等を考慮すると不利である。
【0011】
また、ITOのような透明導電膜はセラミックであることから、透明導電膜が形成されたフイルムをインモールド成形で曲げると割れるおそれがある。このため、比較的曲面のない窓ガラスには適用可能であるが、曲面成形品で形成され、且つ、透明ヒータを設けた例えば車両灯具用前面カバーに適用させることが困難である。
【0012】
このように、従来の発熱体は、車両灯具用前面カバー専用、窓ガラス専用というように、汎用性がなかった。
【0013】
また、導電性フイルムをタッチパネル用電極、無機EL素子又は有機EL素子の電極として使用する場合、バックライトによるぎらつき等を防止するために、導電部での光の屈折や光の回折を考慮して導電部を形成する必要がある。
【0014】
また、特許文献4に記載の太陽電池では、ITOのような透明導電膜を使用しているため、上述した特許文献3と同様の問題を有する。また、特許文献5記載の電磁波シールド膜の技術でも、未だ改良の余地があった。
【0015】
本発明は、かかる事情に鑑みなされたものであり、電流を流すことで発熱シートとして使用する場合に、発熱効率を向上させることができると共に車両用灯具や外灯等による光のぎらつきを防止することができ、車両灯具用前面カバー専用、窓ガラス専用というように、汎用性を持たせることができる導電性フイルム及び透明発熱体を提供することを目的とする。
【0016】
また、本発明の他の目的は、タッチパネル用電極、無機EL素子又は有機EL素子の電極として使用した場合に、バックライトによるぎらつき等を防止することができる導電性フイルムを提供することを目的とする。
【0017】
また、本発明の他の目的は、太陽電池の電極として使用した場合に、電磁波シールド膜として機能し、さらに、表面抵抗を低く保持して、発電効率の低下を防止することができる導電性フイルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者は、車両灯具用前面カバー、建物の窓ガラス、車両用の窓ガラス等に適用することが可能な、汎用性に富む透明発熱体を実現するために、先ず、複数の導電部と複数の開口部とを有する導電性フイルムであって、前記導電部と前記開口部の組み合わせ形状がメッシュ形状の導電性フイルム、特に、直線状に形成された導電部が交差するメッシュ形状を有する導電性フイルム(比較例)を検討した。
【0019】
従来のように、線状発熱体をジグザグに引き回す構成の場合は、隣接する導線間で電位差が生じ、マイグレーションの原因になるという問題があったが、メッシュ形状であれば、隣接する導電部間は初めから短絡状態であるためマイグレーションがあっても問題にならない。
【0020】
また、導電部を、展性、延性に優れた金属細線等で構成することができるため、最小曲率半径が300mm以下の三次元曲面に沿って形成することも可能である。
【0021】
しかし、この比較例に係る導電性フイルムは、直線状に延びる導電部の端部での回折光が交わる部分(回折ポイント)が交差部上に直線状に並び、干渉光として強く発光されることになることがわかった。また、導電部上においても、回折ポイントが直線状に並ぶようになることから、交差部上での干渉光ほどではないが、強く発光することとなる。つまり、窓ガラスに組み込んだ場合、回折光の干渉に伴うぎらつき等が目立つという問題があった。
【0022】
そこで、本発明では、以下のように構成して問題を解決した。
[1] 第1の本発明に係る導電性フイルムは、複数の導電部と複数の開口部とを有する導電性フイルムにおいて、前記導電部と前記開口部の組み合わせ形状がメッシュ形状であって、前記導電部は、複数の導電性の金属細線にて構成された複数の格子の交差部を有するメッシュパターンに形成され、前記複数の導電性の金属細線のうち、一部の金属細線は、前記交差部間が少なくとも1つの円弧を有し、且つ、前記円弧の向きが互い違いにして配列された波線形状に形成されていることを特徴とする。
これにより、導電部のうち、直線部分を有さない部分においては、導電部の交差部上に回折ポイントが直線状に並ぶということがなくなることから、交差部上での干渉光の強度は小さくなる。これは、導電部上でも同様であり、導電部上での干渉光の強度も小さくなる。このように、本発明は、メッシュ形状による回折光の干渉によるぎらつき等を抑制することができることから、例えば窓ガラス(建物、車両用の窓ガラス)や車両用灯具の前面カバーに取り付けられる透明発熱体として好適となる。なお、直線部分の形成は、適用する対象(窓ガラス、車両用灯具の前面カバー等)や波線形状の周期や振幅等を考慮して適宜選択すればよい。
また、本発明では、タッチパネル用電極、無機EL素子又は有機EL素子の電極として使用した場合に、バックライトによるぎらつき等を防止することができ、表示画像の視認性を損なうということがない。
さらに、太陽電池の電極として使用した場合に、電磁波シールド膜として機能させることができ、しかも、表面抵抗を低く保持することができることから、発電効率の低下を防止することができる。
[2] 第1の本発明において、前記メッシュパターンは、一方向に並ぶ複数の第1金属細線と、他方向に並ぶ複数の第2金属細線とがそれぞれ交差して形成されていることを特徴とする。
[3] 第1の本発明において、前記円弧の中心角が75°〜105°であることを特徴とする。好ましくはほぼ90°である。
[4] 第1の本発明において、少なくとも前記複数の第1金属細線は、各交差部間が少なくとも1つの湾曲を有する波線形状に形成され、平行に隣り合う前記第1金属細線の波線形状の周期がそれぞれ異なることを特徴とする。
[5] 第1の本発明において、平行に隣り合う前記第1金属細線のうち、一方の前記第1金属細線は直線状に形成され、他方の前記第1金属細線は各交差部間が少なくとも1つの湾曲を有する波線形状に形成されていることを特徴とする。
[6] 第1の本発明において、さらに、前記複数の第2金属細線は、各交差部間が少なくとも1つの湾曲を有する波線形状に形成され、平行に隣り合う前記第2金属細線の波線形状の周期がそれぞれ異なることを特徴とする。
[7] 第1の本発明において、さらに、平行に隣り合う前記第2金属細線のうち、一方の前記第2金属細線は直線状に形成され、他方の前記第2金属細線は各交差部間が少なくとも1つの湾曲を有する波線形状に形成されていることを特徴とする。
[8] 第1の本発明において、前記円弧の中心角が90°で、且つ、各前記メッシュ形状の外周線上の前記円弧の数が2k(k=1,2,3・・・)であることを特徴とする。
[9] 第1の本発明において、前記円弧の中心角が90°で、且つ、各前記メッシュ形状の外周線上の前記円弧の数が4k(k=1,2,3・・・)であることを特徴とする。
[10] 第1の本発明において、前記導電部の前記交差部の配列に沿って隣接する任意の2つのメッシュ形状の各中心を結ぶ線分のうち、一方のメッシュ形状の中心から前記交差部までの第1線分の長さと、他方のメッシュ形状の中心から前記交差部までの第2線分の長さとが同じであることを特徴とする。
[11] 第1の本発明において、一方の導電部の延在方向に沿って隣接する任意の2つのメッシュ形状の各中心を結ぶ線分のうち、一方のメッシュ形状の中心から他方の導電部までの第3線分の長さと、他方のメッシュ形状の中心から前記他方の導電部までの第4線分の長さとが同じであることを特徴とする。
[12] 第1の本発明において、前記第1金属細線及び前記第2金属細線のうち、少なくともいずれか一方の金属細線のパターンは、前記円弧の配列周期の数が最も少ない金属細線を第1番目として、該第1番目の金属細線から一方向に並ぶ金属細線の前記円弧の配列周期の数が順番に段階的に増加する形態となっていることを特徴とする。
[13] 第1の本発明において、前記第1金属細線及び前記第2金属細線のうち、少なくともいずれか一方の金属細線のパターンは、前記円弧の配列周期の数が最も少ない金属細線の両側に隣接した2つの金属細線の前記円弧の配列周期の数が共にほぼ同じで、前記円弧の配列周期の数が最も多い金属細線の両側に隣接した2つの金属細線の前記円弧の配列周期の数が共にほぼ同じとされた形態となっていることを特徴とする。
[14] 第1の本発明において、前記交差部における交差角度がほぼ90°であることを特徴とする。
[15] 第1の本発明において、前記導電部が、透明支持体上に設けられた銀塩感光層を露光して現像することによって形成された金属銀部を有することを特徴とする。
[16] 第2の本発明に係る透明発熱体は、上述した第1の本発明に係る導電性フイルムを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明に係る導電性フイルム及び透明発熱体によれば、電流を流すことで発熱シートとして使用する場合に、発熱効率を向上させることができると共に車両用灯具や外灯等による光のぎらつきを防止することができ、車両灯具用前面カバー専用、窓ガラス専用というように、汎用性を持たせることができる。
また、本発明に係る導電性フイルムによれば、タッチパネル用電極、無機EL素子又は有機EL素子の電極として使用した場合に、バックライトによるぎらつき等を防止することができる。
また、本発明に係る導電性フイルムによれば、太陽電池の電極として使用した場合に、電磁波シールド膜として機能し、さらに、表面抵抗を低く保持して、発電効率の低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係る導電性フイルム及び透明発熱体の実施の形態例を図1〜図31を参照しながら説明する。
【0025】
第1の本実施の形態に係る導電性フイルム(以下、第1導電性フイルム10Aと記す)は、図1に示すように、複数の導電部12と複数の開口部14とを有し、導電部12と開口部14の組み合わせ形状がメッシュ形状Mとなっている。ここで、メッシュ形状Mとは、1つの開口部14と、該1つの開口部14を囲む4つの導電部12の組み合わせ形状をいう。
【0026】
この第1導電性フイルム10Aは、車両のデフロスタ(霜取り装置)や、窓ガラス等の一部として使用可能な導電性フイルムである。この第1導電性フイルム10Aは、電流を流すことで発熱する透明発熱体としても機能し、図2に示すように、透明フイルム基材16と、該透明フイルム基材16上に形成された前記導電部12及び開口部14を備える。図3に示すように、この第1導電性フイルム10Aを透明発熱体18として使用する場合は、第1導電性フイルム10Aの対向する端部(例えば、図3の左右両端)に第1電極20a及び第2電極20bを形成し、第1電極20aから第2電極20bに電流を流す。これにより、透明発熱体18が発熱し、透明発熱体18に接する又は透明発熱体18を組み込んだ加熱対象物(例えば、建物の窓ガラス、車両用の窓ガラス、車両用灯具の前面カバー等)が加熱される。その結果、加熱対象物に付着していた雪等が取り除かれることになる。
【0027】
そして、図1に示すように、この第1導電性フイルム10Aの導電部12は、一方向(図1においてx方向)に第1ピッチL1で並ぶ複数の第1金属細線12aと、他方向(図1においてy方向)に第2ピッチL2で並ぶ複数の第2金属細線12bとがそれぞれ交差して形成されたメッシュパターン22を有する。なお、第1ピッチL1及び第2ピッチL2は、150μm〜6000μm(6.0mm)から選択可能である。また、第1金属細線12a及び第2金属細線12bの線幅dは、5μm〜200μm(0.2mm)から選択可能である。もちろん、透明性を向上させたい場合は、5μm〜50μmから選択してもよい。
【0028】
つまり、導電部12は、複数の第1金属細線12aと複数の第2金属細線12bにて構成された多数の格子の交点(交差部24)を有するメッシュパターン22を有し、交差部24間の導電部12は、少なくとも1つの湾曲を有する波線形状に形成されている。
【0029】
特に、複数の第1金属細線12aのうち、1つ置きの第1金属細線12a1(一方の第1金属細線12a1)は、湾曲が円弧状であって、交差部24間に2つの円弧26がそれぞれ山谷の方向を逆にして連続形成された形状を有する。複数の第1金属細線12aのうち、第1金属細線12a1以外の第1金属細線12a2(他方の第1金属細線12a2)は、湾曲が円弧状であって、交差部24間に4つの円弧26がそれぞれ山谷の方向を逆にして連続形成された形状を有する。
【0030】
ここで、円弧の配列周期、すなわち、2つの円弧26がそれぞれ山谷の方向を逆にして連続配列された長さを1周期としたとき、一方の第1金属細線12a1の交差部間の円弧の配列周期は1周期、他方の第1金属細線12a2の交差部間の円弧の配列周期は2周期となっている。
【0031】
つまり、第1導電性フイルム10Aは、平行に隣り合う第1金属細線12a(一方の第1金属細線12a1及び他方の第1金属細線12a2)の各円弧の配列周期がそれぞれ異なる。
【0032】
これは第2金属細線12bにおいても同様であり、一方の第2金属細線12b1における交差部24間の円弧の配列周期は1周期であり、他方の第2金属細線12b2における交差部24間の円弧の配列周期は2周期となっている。
【0033】
もちろん、一方の第1金属細線12a1における交差部24間の円弧の配列周期をi周期、他方の第1金属細線12a2における交差部24間の円弧の配列周期をj周期とし、一方の第2金属細線12b1における交差部24間の円弧の配列周期をp周期、他方の第2金属細線12b2における交差部24間の円弧の配列周期をq周期としたとき、以下の関係を有するようにしてもよい。
(1) i≠j、i=p、j=q
(2) i≠j、i≠p、j=q、p≠q
(3) i≠j、i=p、j≠q、p≠q
(4) i≠j、i≠p、j≠q、p≠q
【0034】
なお、各円弧26はそれぞれ中心角が75°〜105°とされている。好ましくはほぼ90°である。また、導電部12の交差角度はほぼ90°とされている。中心角の好ましい値並びに交差角度の好ましい値を「ほぼ90°」としたのは、製造ばらつきを考慮したものであって、理想的には、中心角及び交差角度は90°であることが望ましい。また、1周期は50μm〜2000μmが好ましい。
【0035】
導電部12の波線形状は、一定の振幅hを有する。振幅hは、互いに隣接する2つの交差部24を結んだ仮想線28を考えたとき、波線形状の山の頂上から仮想線28に垂線を引いたとき、山の頂上と交点(垂線と仮想線28との交点)間の距離を指す。振幅hは、10μm〜500μmが好ましい。本実施の形態では、導電部12の波線形状は、一定の振幅を有するようにしているが、交差部24間に並ぶ2つの円弧26の各振幅hをそれぞれ異ならせてもよいし、平行に隣接する波線形状の各円弧26の振幅を異ならせてもよい。
【0036】
また、この第1導電性フイルム10Aは、図4に模式的に示すように、交差部24の配列に沿って隣接する任意の2つのメッシュ形状M1及びM2の各中心C1及びC2を結ぶ線分のうち、一方のメッシュ形状M1の中心から交差部24までの第1線分の長さLaと、他方のメッシュ形状M2の中心から交差部24までの第2線分の長さLbとが同じになっている。
【0037】
また、図4に示すように、例えば第2金属細線12bの延在方向に沿って隣接する任意の2つのメッシュ形状M3及びM4の各中心C3及びC4を結ぶ線分のうち、一方のメッシュ形状M3の中心C3から第1金属細線12aまでの第3線分の長さLcと、他方のメッシュ形状M4の中心C4から第1金属細線12aまでの第4線分の長さLdとが同じである。
【0038】
第1導電性フイルム10Aの全光線透過率は70%以上99%未満であり、80%以上99%未満、さらには、85%以上99%未満を実現することができる。
【0039】
このように、第1導電性フイルム10Aの導電部12は、ほとんど直線部分を有さないことから、導電部12の交差部24上に回折ポイントが直線状に並ぶということがなくなる。さらに、平行に隣接する金属細線の波線形状の周期を違えているため、回折ポイントがばらばらに配置されるようになり、回折光の干渉によるぎらつき等をさらに低減することができる。
【0040】
このことから、交差部24上での干渉光の強度は小さくなり、併せて導電部12上での干渉光の強度も小さくなる。これにより、メッシュ形状による回折光の干渉によるぎらつき等を抑制することができる。
【0041】
また、この第1導電性フイルム10Aは、第1金属細線12aを第1ピッチL1で配列し、第2金属細線12bを第2ピッチL2で配列するようにしているため、開口部14の各開口面積がほぼ一定となる。そのため、全面的に回折光の干渉によるぎらつき等を抑制することができ、局部的にぎらつき等が目立つということがなくなる。
【0042】
従って、第1導電性フイルム10Aは、例えば窓ガラス(建物、車両用の窓ガラス)や車両用灯具の前面カバーに取り付けられる透明発熱体18として好適となる。なお、波線形状への直線部分の形成は、適用する対象(窓ガラス、車両用灯具の前面カバー等)や波線形状の周期や振幅等を考慮して適宜選択すればよい。このことから、波線形状として正弦波曲線を採用してもよい。
【0043】
また、第1導電性フイルム10Aは、1つのメッシュ形状Mの外周線上の円弧26の数が4k(k=1,2,3・・・)の関係を有する。そのため、全体の表面抵抗を低く保持することができ、透明発熱体に使用した場合の発熱効率や、太陽電池に使用した場合の発電効率をより高めることができる。
【0044】
ここで、第1導電性フイルム10Aを1つの物品、例えば導電シート(第1導電シート100と記す)に使用した例について図5〜図12も参照しながら説明する。図5は、第1導電シート100を示す正面図であり、図6は、第1導電シート100を示す背面図であり、図7は、第1導電シート100を示す平面図であり、図8は、第1導電シート100を示す底面図であり、図9は、第1導電シート100を示す左側面図であり、図10は、第1導電シート100を示す右側面図である。また、図11は、第1導電シート100を示す斜視図であり、図12は、第1導電シート100の使用状態を示す正面図である。
【0045】
この第1導電シート100は、透明フイルム基材16と、透明フイルム基材16上に形成された波形の導電パターン12(導電部)とを備える。なお、第1導電シート100に表現されたデザインは、正面図において上下及び左右に連続するものである。また、この第1導電シート100において、透明フイルム基材16は無色透明であり、導電パターン12(導電部)は黒色である。
【0046】
この第1導電シート100は、車両のデフロスタ(霜取り装置)、窓ガラス等の一部として使用可能な導電シートである。この第1導電シート100は、電流を流すことで発熱し発熱シートとしても機能するものである。また、第1導電シート100は、タッチパネル用電極、無機EL素子、有機EL素子又は太陽電池の電極としても使用できる。例えば第1導電シート100の対向する端部(例えば、図12の左右両端)に電極を形成し、一方の電極から他方の電極に電流を流すことにより、導電パターン12が発熱する。これにより、第1導電シート100に接する又は第1導電シート100を組み込んだ加熱対象物(例えば、雪が付着した車両のヘッドライト)が加熱される(その結果、雪が溶けてヘッドライトから取り除かれる。)。導電パターン12のピッチ(図5の寸法L1、L2)は、例えば、0.1mm〜6.0mm(より好ましくは0.3mm〜6.0mm)から選択可能であり、ここでは、約5.8mmである(なお、L1=L2である。)。導電パターン12の線幅(図5中の寸法d)は、例えば、0.01mm〜0.2mmから選択可能であり、ここでは、約0.1mmである。また、透明フイルム基材16の厚み(図8の寸法t2)は、例えば、0.01mm〜2.0mmから選択可能であり、ここでは、約0.6mmである。導電パターン12の厚み(図8の寸法t1)は、例えば、0.001mm〜0.2mmから選択可能であり、ここでは、約0.1mmである。
【0047】
次に、第2の実施の形態に係る導電性フイルム(以下、第2導電性フイルム10Bと記す)について図13を参照しながら説明する。
【0048】
この第2導電性フイルム10Bは、図13に示すように、上述した第1導電性フイルム10Aとほぼ同様の構成を有するが、以下の点で異なる。
【0049】
すなわち、この第2導電性フイルム10Bは、平行に隣り合う第1金属細線12a1及び12a2のうち、一方の第1金属細線12a1は各交差部24間が少なくとも1つの湾曲(例えば円弧26)を有する波線形状に形成され、他方の前記第1金属細線は直線状に形成されている。
【0050】
同様に、平行に隣り合う第2金属細線12b1及び12b2のうち、一方の第2金属細線12b1は各交差部24間が少なくとも1つの湾曲(例えば円弧26)を有する波線形状に形成され、他方の第2金属細線12b2は直線状に形成されている。
【0051】
なお、一方の第1金属細線12a1及び一方の第2金属細線12b1の各波線形状の周期は1周期となっている。
【0052】
この第2導電性フイルム10Bにおいても、図示しないが、透明発熱体18として使用する場合は、第2導電性フイルム10Bの対向する端部に第1電極及び第2電極を形成し、第1電極から第2電極に電流を流す。その結果、透明発熱体18が発熱することとなる。
【0053】
このように、第2導電性フイルム10Bにおいては、導電部12のうち、直線部分を有さない部分においては、導電部12の交差部24上に回折ポイントが直線状に並ぶということがなくなることから、メッシュ形状による回折光の干渉によるぎらつき等を抑制することができ、例えば窓ガラス(建物、車両用の窓ガラス)や車両用灯具の前面カバーに取り付けられる透明発熱体18として好適となる。
【0054】
上述した第1導電性フイルム10A及び第2導電性フイルム10Bは、第1金属細線12aを一方向に第1ピッチL1で配列し、第2金属細線12bを他方向に第2ピッチL2で配列するようにしたが、その他、局部的にピッチを狭くしたり、広くしたりしてもよい。すなわち、局部的に開口部14の開口面積を変えるようにしてもよい。これにより、局部的にピッチを狭くした部分(開口部14の開口面積が小さい部分)は発熱効率が高くなり、局部的にピッチを広くした部分(開口部14の開口面積が大きい部分)は透光性が向上することから、透明発熱体18を例えば窓ガラスに適用する場合は、窓ガラスのうち、雪の溶解を早めたい箇所、透明性が必要な箇所等に応じてピッチを決定すればよい。特に、車両の窓ガラス(前面ガラス)に適用した場合は、運転者と対向する部分は、雪の溶解を早めたい箇所で、且つ、透明性が必要な箇所であり、しかも、電流の経路が長くなることから、局部的にピッチを広げた箇所と局部的にピッチを狭くした箇所を複合的に配置することが好ましい。
【0055】
次に、第3の実施の形態に係る導電性フイルム(以下、第3導電性フイルム10Cと記す)について図14を参照しながら説明する。
【0056】
この第3導電性フイルム10Cは、図14に模式的に示すように、上述した第1導電性フイルム10Aとほぼ同様の構成を有するが、以下の点で異なる。
【0057】
すなわち、例えば第1金属細線12aについてみたとき、円弧26の配列周期の数が最も少ない(円弧26の配列周期の長さが最も長い)第1金属細線12aを第1番目として、該第1番目の第1金属細線12a(1)から一方向に並ぶ第1金属細線12aの円弧26の配列周期の数が順番に段階的に増加する(円弧26の配列周期の長さが段階的に短くなる)形態となっている。図11の例では、第1番目の第1金属細線12a(1)の円弧26の配列周期の数は1であり、該第1番目の第1金属細線12a(1)に一方向に隣接する第2番目の第1金属細線12a(2)の円弧26の配列周期の数は2、該第2番目の第1金属細線12a(2)に一方向に隣接する第3番目の第1金属細線12a(3)の円弧26の配列周期の数は3となっており、この組み合わせが一方向に配列された形態となっている。従って、第1番目の第1金属細線12a(1)に他方向に隣接する第1金属細線12aの円弧26の配列周期の数は3となる。つまり、円弧26の配列周期の数が最大の第1金属細線12aと、円弧26の配列周期の数が最小の第1金属細線12aとが隣接した形態となる。これは第2金属細線12bでも同様である。
【0058】
この第3導電性フイルム10Cにおいても、ほとんど直線部分を有さないことから、導電部12の交差部24上に回折ポイントが直線状に並ぶということがなくなる。さらに、平行に隣接する金属細線12の波線形状の周期を違えているため、回折ポイントがばらばらに配置されるようになり、回折光の干渉によるぎらつき等をさらに低減することができる。
【0059】
なお、1つのメッシュ形状Mの外周線上の円弧26の数が2k(k=1,2,3・・・)の関係を有することから、上述した4kを満足する第1導電性フイルム10Aよりも表面抵抗を低下させる効果は低いが、透明発熱体に使用した場合の発熱効率や、太陽電池に使用した場合の発電効率を高めることができる。
【0060】
ここで、第3導電性フイルム10Cを1つの物品、例えば導電シート(以下、第2導電シート200と記す)に使用した例について図15〜図22も参照しながら説明する。図15は、第2導電シート200を示す正面図であり、図16は、第2導電シート200を示す背面図であり、図17は、第2導電シート200を示す平面図であり、図18は、第2導電シート200を示す底面図であり、図19は、第2導電シート200を示す左側面図であり、図20は、第2導電シート200を示す右側面図である。また、図21は、第2導電シート200を示す斜視図であり、図22は、第2導電シート200の使用状態を示す正面図である。
【0061】
この第2導電シート200は、透明フイルム基材16と、透明フイルム基材16上に形成された波形の導電パターン12(導電部)とを備える。なお、第2導電シート200に表現されたデザインは、正面図において上下及び左右に連続するものである。また、この第2導電シート200において、透明フイルム基材16は無色透明であり、導電パターン12(導電部)は黒色である。
【0062】
この第2導電シート200は、車両のデフロスタ(霜取り装置)、窓ガラス等の一部として使用可能な導電シートである。この第2導電シート200は、電流を流すことで発熱し発熱シートとしても機能するものである。また、第2導電シート200は、タッチパネル用電極、無機EL素子、有機EL素子又は太陽電池の電極としても使用できる。例えば第2導電シート200の対向する端部(例えば、図22の左右両端)に電極を形成し、一方の電極から他方の電極に電流を流すことにより、導電パターン12が発熱する。これにより、第2導電シート200に接する又は第2導電シート200を組み込んだ加熱対象物(例えば、雪が付着した車両のヘッドライト)が加熱される(その結果、雪が溶けてヘッドライトから取り除かれる。)。導電パターン12のピッチ(図15の寸法L1、L2)は、例えば、0.15mm〜6.0mmから選択可能であり、ここでは、約5.8mmである(なお、L1=L2である。)。導電パターン12の線幅(図15中の寸法d)は、例えば、0.01mm〜0.2mmから選択可能であり、ここでは、約0.1mmである。また、透明フイルム基材16の厚み(図18の寸法t2)は、例えば、0.01mm〜2.0mmから選択可能であり、ここでは、約0.6mmである。導電パターン12の厚み(図18の寸法t1)は、例えば、0.001mm〜0.2mmから選択可能であり、ここでは、約0.1mmである。
【0063】
次に、第4の実施の形態に係る導電性フイルム(以下、第4導電性フイルム10Dと記す)について図23を参照しながら説明する。
【0064】
この第4導電性フイルム10Dは、図23に模式的に示すように、上述した第3導電性フイルム10Cとほぼ同様の構成を有するが、以下の点で異なる。
【0065】
すなわち、例えば第1金属細線12aについてみたとき、円弧の配列周期の数が最も少ない(円弧の配列周期の長さが最も長い)第1金属細線12aの両側に隣接した2つの第1金属細線12aの円弧の配列周期の数が共に同じであり、円弧の配列周期の数が最も多い(円弧の配列周期の長さが最も短い)第1金属細線12aの両側に隣接した2つの第1金属細線12aの円弧の配列周期の数が共に同じになっている。これは第2金属細線12bでも同様である。
【0066】
この第4導電性フイルム10Dにおいても、ほとんど直線部分を有さないことから、導電部12の交差部24上に回折ポイントが直線状に並ぶということがなくなる。さらに、平行に隣接する金属細線12の波線形状の周期を違えているため、回折ポイントがばらばらに配置されるようになり、回折光の干渉によるぎらつき等をさらに低減することができる。
【0067】
この第4導電性フイルム10Dでは、1つのメッシュ形状Mの外周線上の円弧26の数が4k(k=1,2,3・・・)の関係を有することから、透明発熱体に使用した場合の発熱効率や、太陽電池に使用した場合の発電効率をより高めることができる。
【0068】
なお、図示は省略するが、例えば第1金属細線12aのパターンについて、第3導電性フイルム10Cと同様に、円弧の配列周期の数が最も少ない第1金属細線12aを第1番目として、該第1番目の第1金属細線12aから一方向に並ぶ第1金属細線12aの円弧の配列周期の数が順番に段階的に増加する形態とし、第2金属細線12bのパターンについて、第4導電性フイルム10Dと同様に、円弧の配列周期の数が最も少ない第2金属細線12bの両側に隣接した2つの第2金属細線12bの円弧の配列周期の数が共に同じで、円弧の配列周期の数が最も多い第2金属細線12bの両側に隣接した2つの第2金属細線12bの円弧の配列周期の数が共に同じにした形態にしてもよい。もちろん、これらの逆の形態でもよい。すなわち、第1金属細線12aのパターンを、第4導電性フイルム10Dと同様の形態にし、第2金属細線12bのパターンを、第3導電性フイルム10Cと同様の形態にしてもよい。
【0069】
次に、第5実施の形態に係る導電性フイルム(以下、第5導電性フイルム10Eと記す)について図24を参照しながら説明する。
【0070】
この第5導電性フイルム10Eは、図24に模式的に示すように、上述した第1導電性フイルム10Aとほぼ同様の構成を有するが、以下の点で異なる。
【0071】
すなわち、導電部12の波線形状が一定の周期を有する。図1の例では、交差部24間の円弧の配列周期を1周期とした例を示している。
【0072】
また、第1線分の長さLaと第2線分の長さLbが同じ点、第3線分の長さLcと第4線分の長さLdが同じ点は第1導電性フイルムと同様であるが、図8に示すように、各メッシュ形状Mの外周線上であって、且つ、メッシュ形状Mの中心Cに対して点対称の位置にある任意の一対の接線が互いに平行となっている。具体的には、図24において、例えば第1の一対の接線(1)(1)、第2の一対の接線(2)(2)、第3の一対の接線(3)(3)が挙げられているが、各一対の接線がそれぞれ互いに平行となっており、しかも、接線の方向は、第1の一対の接線(1)(1)、第2の一対の接線(2)(2)、第3の一対の接線(3)(3)でそれぞれ異なっている。光の屈折や回折は接線方向に強く現れるが、第5導電性フイルム10Eでは、異なった接線方向が多数組み合わされた形態となるため、光の屈折や回折が拡散され、これにより、ぎらつきが目立たなくなる。
【0073】
しかも、この第5導電性フイルム10Eでは、開口部14の各開口面積がほぼ一定にしてあることから、。これにより、全面的に回折光の干渉によるぎらつき等を抑制することができ、局部的にぎらつき等が目立つということがなくなる。
【0074】
また、1つのメッシュ形状Mの外周線上の円弧26の数が4k(k=1,2,3・・・)の関係を有することから、透明発熱体に使用した場合の発熱効率や、太陽電池に使用した場合の発電効率をより高めることができる。
【0075】
次に、第6の実施の形態に係る導電性フイルム(以下、第6導電性フイルム10Fと記す)について図25を参照しながら説明する。
【0076】
この第6導電性フイルム10Fは、図25に模式的に示すように、上述した第5導電性フイルム10Eとほぼ同様の構成を有する。
【0077】
すなわち、第5導電性フイルム10Eと同様に、第1線分の長さLaと第2線分の長さLbとが同じになっている。また、各メッシュ形状Mの外周線上であって、且つ、メッシュ形状Mの中心Cに対して点対称の位置にある任意の一対の接線が互いに平行となっている。
【0078】
しかし、第5導電性フイルム10Eと異なり、例えば第2金属細線12bの延在方向に沿って隣接する任意の2つのメッシュ形状M3及びM4の各中心C3及びC4を結ぶ線分のうち、一方のメッシュ形状M3の中心C3から第1金属細線12aまでの第3線分の長さLcと、他方のメッシュ形状M4の中心C4から第1金属細線12aまでの第4線分の長さLdとが異なっている。図25の例では、長さLc>長さLdとなっている。なお、交差部24間を0.5周期とした例を示している。
【0079】
この第6導電性フイルム10Fにおいても、第5導電性フイルム10Eと同様に、異なった接線方向が多数組み合わされた形態となるため、光の屈折や回折が拡散され、これにより、ぎらつきが目立たなくなる。しかも、開口部14の各開口面積がほぼ一定にしてあることから、全面的に回折光の干渉によるぎらつき等を抑制することができ、局部的にぎらつき等が目立つということがなくなる。
【0080】
次に、第7の実施の形態に係る導電性フイルム(以下、第7導電性フイルム10Gと記す)について図26を参照しながら説明する。
【0081】
この第7導電性フイルム10Gは、図26に模式的に示すように、上述した第6導電性フイルム10Fとほぼ同様の構成を有する。
【0082】
すなわち、距離LaとLbは同じであり、距離LcとLdは異なり、各メッシュ形状Mの外周線上であって、且つ、メッシュ形状Mの中心Cに対して点対称の位置にある任意の一対の接線が互いに平行となっている。
【0083】
第6導電性フイルム10Fと異なっているのは、交差部24間の円弧の配列周期を1.5周期とした点である。
【0084】
この場合も、光の屈折や回折が拡散され、これにより、ぎらつきが目立たなくなる。しかも、開口部14の各開口面積がほぼ一定にしてあることから、全面的に回折光の干渉によるぎらつき等を抑制することができ、局部的にぎらつき等が目立つということがなくなる。
【0085】
次に、第8の実施の形態に係る導電性フイルム(以下、第8導電性フイルム10Hと記す)について図27を参照しながら説明する。
【0086】
この第8導電性フイルム10Hは、図27に模式的に示すように、上述した第6導電性フイルム10Fとほぼ同様の構成を有する。
【0087】
すなわち、距離LaとLbは同じであり、距離LcとLdは異なり、各メッシュ形状Mの外周線上であって、且つ、メッシュ形状Mの中心Cに対して点対称の位置にある任意の一対の接線が互いに平行となっている。
【0088】
第6導電性フイルム10Fと異なっているのは、1つの交差部24と、該交差部24から例えば第1金属細線12aの延在方向に沿って一方に隣接する第1交差部24aとの間に形成される円弧の配列周期と、1つの交差部24と、他方に隣接する第2交差部24bとの間に形成される円弧の配列周期とが異なる。図27の例では、交差部24と第1交差部24a間の円弧の配列周期が0.5周期であり、交差部24と第2交差部24b間の円弧の配列周期が1.5周期となっている。
【0089】
同様に、1つの交差部24と、該交差部24から第2金属細線12bの延在方向に沿って一方に隣接する第3交差部24cとの間に形成される円弧の配列周期と、1つの交差部24と、他方に隣接する第4交差部24dとの間に形成される円弧の配列周期とが異なる。図9の例では、交差部24と第3交差部24c間の円弧の配列周期が1.5周期であり、交差部24と第4交差部24d間の円弧の配列周期が0.5周期となっている。
【0090】
この場合も、光の屈折や回折が拡散され、これにより、ぎらつきが目立たなくなる。
【0091】
上述した第5導電性フイルム10E〜第8導電性フイルム10Hは、第1導電性フイルム10Aと同様に、1つのメッシュ形状Mの外周線上の円弧26の数が4k(k=1,2,3・・・)の関係を有する。そのため、全体の表面抵抗を低く保持することができ、透明発熱体に使用した場合の発熱効率や、太陽電池に使用した場合の発電効率をより高めることができる。
【0092】
次に、第1導電性フイルム10A〜第8導電性フイルム10H(総称して導電性フイルム10と記す)の製造方法について図28A〜図31を参照しながら説明する。
【0093】
第1の製造方法は、透明フイルム基材16上に設けられた銀塩感光層を露光し、現像、定着することによって形成された金属銀部と、該金属銀部に担持された導電性金属にてメッシュパターン22を形成する。
【0094】
具体的には、図28Aに示すように、ハロゲン化銀31(例えば臭化銀粒子、塩臭化銀粒子や沃臭化銀粒子)をゼラチン33に混ぜてなる銀塩感光層34を透明フイルム基材16上に塗布する。なお、図28A〜図28Cでは、ハロゲン化銀31を「粒々」として表記してあるが、あくまでも本発明の理解を助けるために誇張して示したものであって、大きさや濃度等を示したものではない。
【0095】
その後、図28Bに示すように、銀塩感光層34に対してメッシュパターン22の形成に必要な露光を行う。ハロゲン化銀31は、光エネルギーを受けると感光して「潜像」と称される肉眼では観察できない微小な銀核を生成する。
【0096】
その後、潜像を肉眼で観察できる可視化された画像に増幅するために、図28Cに示すように、現像処理を行う。具体的には、潜像が形成された銀塩感光層34を現像液(アルカリ性溶液と酸性溶液のどちらもあるが通常はアルカリ性溶液が多い)にて現像処理する。この現像処理とは、ハロゲン化銀粒子ないし現像液から供給された銀イオンが現像液中の現像主薬と呼ばれる還元剤により潜像銀核を触媒核として金属銀に還元されて、その結果として潜像銀核が増幅されて可視化された銀画像(現像銀35)を形成する。
【0097】
現像処理を終えたあとに銀塩感光層34中には光に感光できるハロゲン化銀31が残存するのでこれを除去するために図28Dに示すように定着処理液(酸性溶液とアルカリ性溶液のどちらもあるが通常は酸性溶液が多い)により定着を行う。
【0098】
この定着処理を行うことによって、露光された部位には金属銀部36が形成され、露光されていない部位にはゼラチン33のみが残存し、光透過性部38となる。すなわち、透明フイルム基材16上に金属銀部36と光透過性部38との組み合わせが形成されることになる。
【0099】
ハロゲン化銀31として臭化銀を用い、チオ硫酸塩で定着処理した場合の定着処理の反応式は以下の通りである。
AgBr(固体)+2個のS23イオン → Ag(S232
(易水溶性錯体)
【0100】
すなわち、2個のチオ硫酸イオンS23とゼラチン33中の銀イオン(AgBrからの銀イオン)が、チオ硫酸銀錯体を生成する。チオ硫酸銀錯体は水溶性が高いのでゼラチン33中から溶出されることになる。その結果、現像銀35が金属銀部36として定着されて残ることになる。
【0101】
従って、現像工程は、潜像に対し還元剤を反応させて現像銀35を析出させる工程であり、定着工程は、現像銀35にならなかったハロゲン化銀31を水に溶出させる工程である。詳細は、T.H.James, The Theory of the Photographic Process, 4th ed., Macmillian Publishing Co.,Inc, NY,Chapter15, pp.438−442. 1977を参照されたい。
【0102】
なお、現像処理は多くの場合アルカリ性溶液で行われることから、現像処理工程から定着処理工程に入る際に、現像処理にて付着したアルカリ溶液が定着処理溶液(多くの場合は酸性溶液である)に持ち込まれるため、定着処理液の活性が変わるといった問題がある。また、現像処理槽を出た後、膜に残留した現像液により意図しない現像反応が更に進行する懸念もある。そこで、現像処理後で、定着処理工程に入る前に、酢酸(酢)溶液等の停止液で銀塩感光層34を中和もしくは酸性化することが好ましい。
【0103】
そして、図28Eに示すように、例えばめっき処理(無電解めっきや電気めっきを単独ないし組み合わせる)を行って、金属銀部36のみに導電性金属40を担持させることによって、透明フイルム基材16上に金属銀部36と、該金属銀部36に担持された導電性金属40にてメッシュパターン22が形成されることになる。
【0104】
ここで、上述した銀塩感光層34を用いた方法(銀塩写真技術)と、フォトレジストを用いた方法(レジスト技術)との違いを説明する。
【0105】
レジスト技術では、露光処理により光重合開始剤が光を吸収して反応が始まりフォトレジスト膜(樹脂)自体が重合反応して現像液に対する溶解性の増大又は減少させ、現像処理により露光部分又は未露光部分の樹脂を除去する。なお、レジスト技術で現像液とよばれる液は還元剤を含まず、未反応の樹脂成分を溶解する例えばアルカリ性溶液である。一方、本発明の銀塩写真技術の露光処理では上記に記載したように、光を受けた部位のハロゲン化銀31内において発生した光電子と銀イオンからいわゆる「潜像」と呼ばれる微小な銀核が形成され、その潜像銀核が現像処理(この場合の現像液は必ず現像主薬と呼ばれる還元剤を含む)により増幅されて可視化された銀画像になる。このように、レジスト技術と銀塩写真技術とでは、露光処理から現像処理での反応が全く異なる。
【0106】
レジスト技術の現像処理では露光部分又は未露光部分の重合反応しなかった樹脂部分が除去される。一方、銀塩写真技術の現像処理では、潜像を触媒核にして現像液に含まれる現像主薬と呼ばれる還元剤により還元反応がおこり、目に見える大きさまで現像銀35が成長するものであって、未露光部分のゼラチン33の除去は行われない。このように、レジスト技術と銀塩写真技術とでは、現像処理での反応も全く異なる。
【0107】
なお、未露光部分のゼラチン33に含まれるハロゲン化銀31は、その後の定着処理によって溶出されるものであって、ゼラチン33自体の除去は行われない。
【0108】
このように、銀塩写真技術では反応(感光)主体がハロゲン化銀であるのに対し、レジスト技術では光重合開始剤である。また、現像処理では、銀塩写真技術ではバインダー(ゼラチン33)は残存するが、レジスト技術ではバインダーがなくなる。このような点で、銀塩写真技術とフォトレジスト技術は大きく相違する。
【0109】
そして、銀塩感光層34に対する露光にて使用されるマスクは、メッシュパターン22、すなわち、交差部24間の導電部12が少なくとも1つの湾曲を有する波線形状に形成されたメッシュパターン22に対応したマスクパターンを有するようにしてもよい。
【0110】
その他の製造方法(第2の製造方法)としては、図29Aに示すように、例えば透明フイルム基材16上に形成された銅箔42上のフォトレジスト膜44を露光、現像処理してレジストパターン46を形成し、図29Bに示すように、レジストパターン46から露出する銅箔42をエッチングすることによって、メッシュパターン22を形成するようにしてもよい。この場合、フォトレジスト膜44に対する露光にて使用されるマスクは、メッシュパターン22に対応したマスクパターンを有するようにしてもよい。
【0111】
また、第3の製造方法としては、図30Aに示すように、透明フイルム基材16上に金属微粒子を含むペースト48を印刷し、図30Bに示すように、ペースト48に金属めっき50を行うことによって、メッシュパターン22を形成するようにしてもよい。
【0112】
あるいは、第4の製造方法として、図31に示すように、透明フイルム基材16に、メッシュパターン22をスクリーン印刷版又はグラビア印刷版によって印刷形成するようにしてもよい。
【0113】
次に、本実施の形態に係る導電性フイルム10において、特に好ましい態様であるハロゲン化銀写真感光材料を用いる導電性金属薄膜の作製方法を中心にして述べる。
【0114】
本実施の形態に係る導電性フイルム10は、上述したように、透明フイルム基材16上に感光性ハロゲン化銀塩を含有する乳剤層を有する感光材料を露光し、現像処理を施すことによって露光部及び未露光部に、それぞれ金属銀部36及び光透過性部38を形成し、さらに金属銀部36に物理現像及び/又はめっき処理を施すことによって金属銀部36に導電性金属40を担持させることで製造することができる。
【0115】
本実施の形態に係る導電性フイルム10の形成方法は、感光材料と現像処理の形態によって、次の3通りの形態が含まれる。
(1) 物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を化学現像又は熱現像して金属銀部36を該感光材料上に形成させる態様。
(2) 物理現像核をハロゲン化銀乳剤層中に含む感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を溶解物理現像して金属銀部36を該感光材料上に形成させる態様。
(3) 物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料と、物理現像核を含む非感光性層を有する受像シートを重ね合わせて拡散転写現像して金属銀部36を非感光性受像シート上に形成させる態様。
【0116】
上記(1)の態様は、一体型黒白現像タイプであり、感光材料上に電磁波シールドフイルムや光透過性導電膜等の透光性導電性膜が形成される。得られる現像銀は化学現像銀又は熱現像銀であり、高比表面のフィラメントである点で後続するめっき又は物理現像過程で活性が高い。
【0117】
上記(2)の態様は、露光部では、物理現像核近縁のハロゲン化銀粒子が溶解されて現像核上に沈積することによって感光材料上に透光性電磁波シールド膜や光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。これも一体型黒白現像タイプである。現像作用が、物理現像核上への析出であるので高活性であるが、現像銀は比表面は小さい球形である。
【0118】
上記(3)の態様は、未露光部においてハロゲン化銀粒子が溶解されて拡散して受像シート上の現像核上に沈積することによって受像シート上に電磁波シールドフイルムや光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。いわゆるセパレートタイプであって、受像シートを感光材料から剥離して用いる態様である。
【0119】
いずれの態様もネガ型現像処理及び反転現像処理のいずれの現像を選択することもできる(拡散転写方式の場合は、感光材料としてオートポジ型感光材料を用いることによってネガ型現像処理が可能となる)。
【0120】
ここでいう化学現像、熱現像、溶解物理現像、拡散転写現像は、当業界で通常用いられている用語どおりの意味であり、写真化学の一般教科書、例えば菊地真一著「写真化学」(共立出版社、1955年刊行)、C.E.K.Mees編「The Theory of Photographic Processes, 4th ed.」(Mcmillan社、1977年刊行)に解説されている。本件は液処理に係る発明であるが、その他の現像方式として熱現像方式を適用する技術も参考にすることができる。例えば、特開2004−184693号、同2004−334077号、同2005−010752号の各公報、特願2004−244080号、同2004−085655号の各明細書に記載された技術を適用することができる。
【0121】
(感光材料)
[透明支持体]
本実施の形態の製造方法に用いられる感光材料の透明フイルム基材16としては、プラスチックフイルム等を用いることができる。
【0122】
本実施の形態においては、透光性、耐熱性、取り扱い易さ及び価格の点から、上記プラスチックフイルムはポリエチレンテレフタレートフイルム又はトリアセチルセルロース(TAC)であることが好ましい。
【0123】
窓ガラス用の透明発熱体では透光性が要求されるため、透明フイルム基材16の透光性は高いことが望ましい。この場合におけるプラスチックフイルムの全可視光透過率は70〜100%が好ましく、さらに好ましくは85〜100%であり、特に好ましくは90〜100%である。また、本発明では、前記プラスチックフイルムとして本発明の目的を妨げない程度に着色したものを用いることもできる。
【0124】
[保護層]
用いられる感光材料は、後述する乳剤層上に保護層を設けていてもよい。本実施の形態において「保護層」とは、ゼラチンや高分子ポリマーといったバインダからなる層を意味し、擦り傷防止や力学特性を改良する効果を発現するために感光性を有する乳剤層に形成される。
【0125】
[乳剤層]
本実施の形態の製造方法に用いられる感光材料は、透明フイルム基材16上に、光センサとして銀塩を含む乳剤層(銀塩含有層)を有することが好ましい。本実施の形態における乳剤層には、銀塩のほか、必要に応じて、染料、バインダ、溶媒等を含有することができる。
【0126】
上記乳剤層中における染料の含有量は、イラジエーション防止等の効果と、添加量増加による感度低下の観点から、全固形分に対して0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がさらに好ましい。
【0127】
<銀塩>
本実施の形態で用いられる銀塩としては、ハロゲン化銀等の無機銀塩が好ましく、特に銀塩がハロゲン化銀写真感光材料用ハロゲン化銀粒子の形で用いられるのが好ましい。ハロゲン化銀は、光センサとしての特性に優れている。
【0128】
ハロゲン化銀写真感光材料の写真乳剤の形で好ましく用いられるハロゲン化銀について説明する。
【0129】
本実施の形態では、光センサとして機能させるためにハロゲン化銀を使用することが好ましく、ハロゲン化銀に関する銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等で用いられる技術は、本実施の形態においても用いることができる。
【0130】
上記ハロゲン化銀に含有されるハロゲン元素は、塩素、臭素、ヨウ素及びフッ素のいずれであってもよく、これらの組み合わせでもよい。例えば、AgCl、AgBr、AgIを主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられ、さらにAgBrやAgClを主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられる。塩臭化銀、沃塩臭化銀、沃臭化銀もまた好ましく用いられる。より好ましくは、塩臭化銀、臭化銀、沃塩臭化銀、沃臭化銀であり、最も好ましくは、塩化銀50モル%以上を含有する塩臭化銀、沃塩臭化銀が用いられる。
【0131】
なお、ここで、「AgBr(臭化銀)を主体としたハロゲン化銀」とは、ハロゲン化銀組成中に占める臭化物イオンのモル分率が50%以上のハロゲン化銀をいう。このAgBrを主体としたハロゲン化銀粒子は、臭化物イオンのほかに沃化物イオン、塩化物イオンを含有していてもよい。
【0132】
本実施の形態に用いられる乳剤層用塗布液であるハロゲン化銀乳剤は、P.Glafkides著 Chimie etPhysique Photographique(Paul Montel社刊、1967年)、G.F.Dufin著 Photographic Emulsion Chemistry(The Forcal Press刊、1966年)、V.L.Zelikmanほか著 Making and Coating Photographic Emulsion(The ForcalPress刊、1964年)等に記載された方法を用いて調製することができる。
【0133】
<バインダ>
乳剤層には、銀塩粒子を均一に分散させ、且つ、乳剤層と支持体との密着を補助する目的でバインダを用いることができる。本発明において、上記バインダとしては、非水溶性ポリマー及び水溶性ポリマーのいずれもバインダとして用いることができるが、水溶性ポリマーを用いることが好ましい。
【0134】
上記バインダとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロース及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリサッカライド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース等が挙げられる。これらは、官能基のイオン性によって中性、陰イオン性、陽イオン性の性質を有する。
【0135】
<溶媒>
上記乳剤層の形成に用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、酢酸エチル等のエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。
【0136】
本発明の乳剤層に用いられる溶媒の含有量は、前記乳剤層に含まれる銀塩、バインダ等の合計の質量に対して30〜90質量%の範囲であり、50〜80質量%の範囲であることが好ましい。
【0137】
次に、導電性フイルム作製の各工程について説明する。
【0138】
[露光]
本実施の形態では、メッシュパターン22を印刷方式によって施す場合を含むが、印刷方式以外は、メッシュパターン22を露光と現像等によって形成する。すなわち、透明フイルム基材16上に設けられた銀塩含有層を有する感光材料又はフォトリソグラフィ用フォトポリマーを塗工した感光材料への露光を行う。露光は、電磁波を用いて行うことができる。電磁波としては、例えば、可視光線、紫外線等の光、X線等の放射線等が挙げられる。さらに露光には波長分布を有する光源を利用してもよく、特定の波長の光源を用いてもよい。
【0139】
[現像処理]
本実施の形態では、乳剤層を露光した後、さらに現像処理が行われる。現像処理は、銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の現像処理の技術を用いることができる。現像液については特に限定はしないが、PQ現像液、MQ現像液、MAA現像液等を用いることもでき、市販品では、例えば、富士フイルム社処方のCN−16、CR−56、CP45X、FD−3、パピトール、KODAK社処方のC−41、E−6、RA−4、D−19、D−72等の現像液、又はそのキットに含まれる現像液を用いることができる。また、リス現像液を用いることもできる。
【0140】
本発明における現像処理は、未露光部分の銀塩を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を含むことができる。本発明における定着処理は、銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる定着処理の技術を用いることができる。
【0141】
上記定着工程における定着温度は、約20℃〜約50℃が好ましく、さらに好ましくは25〜45℃である。また、定着時間は5秒〜1分が好ましく、さらに好ましくは7秒〜50秒である。定着液の補充量は、感光材料の処理量に対して600ml/m2以下が好ましく、500ml/m2以下がさらに好ましく、300ml/m2以下が特に好ましい。
【0142】
現像、定着処理を施した感光材料は、水洗処理や安定化処理を施されるのが好ましい。上記水洗処理又は安定化処理においては、水洗水量は通常感光材料1m2当り、20リットル以下で行われ、3リットル以下の補充量(0も含む、すなわちため水水洗)で行うこともできる。
【0143】
現像処理後の露光部に含まれる金属銀の質量は、露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上の含有率であることが好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。露光部に含まれる銀の質量が露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上であれば、高い導電性を得ることができるため好ましい。
【0144】
本実施の形態における現像処理後の階調は、特に限定されるものではないが、4.0を超えることが好ましい。現像処理後の階調が4.0を超えると、光透過性部の透光性を高く保ったまま、導電性金属部の導電性を高めることができる。階調を4.0以上にする手段としては、例えば、前述のロジウムイオン、イリジウムイオンのドープが挙げられる。
【0145】
[物理現像及びめっき処理]
本実施の形態では、前記露光及び現像処理により形成された金属銀部に導電性を付与する目的で、前記金属銀部に導電性金属粒子を担持させるための物理現像及び/又はめっき処理を行う。本発明では物理現像又はめっき処理のいずれか一方のみで導電性金属粒子を金属性銀部に担持させることが可能であるが、さらに物理現像とめっき処理とを組み合わせて導電性金属粒子を金属銀部に担持させることもできる。なお、金属銀部に物理現像及び/又はめっき処理を施したものを「導電性金属部」と称する。
【0146】
本実施の形態における「物理現像」とは、金属や金属化合物の核上に、銀イオン等の金属イオンを還元剤で還元して金属粒子を析出させることをいう。この物理現象は、インスタントB&Wフイルム、インスタントスライドフイルムや、印刷版製造等に利用されており、本発明ではその技術を用いることができる。
【0147】
また、物理現像は、露光後の現像処理と同時に行っても、現像処理後に別途行ってもよい。
【0148】
本実施の形態において、めっき処理は、無電解めっき(化学還元めっきや置換めっき)、電解めっき、又は無電解めっきと電解めっきの両方を用いることができる。本実施の形態における無電解めっきは、公知の無電解めっき技術を用いることができ、例えば、プリント配線板等で用いられている無電解めっき技術を用いることができ、無電解めっきは無電解銅めっきであることが好ましい。
【0149】
[酸化処理]
本実施の形態では、現像処理後の金属銀部、並びに、物理現像及び/又はめっき処理によって形成された導電性金属部には、酸化処理を施すことが好ましい。酸化処理を行うことにより、例えば、光透過性部に金属が僅かに沈着していた場合に、該金属を除去し、光透過性部の透過性をほぼ100%にすることができる。
【0150】
[導電性金属部]
本実施の形態の導電性金属部の線幅は、5μm以上200μm(0.2mm)以下から選択可能であるが、透明発熱体の材料としての用途である場合、5μm以上50μm以下が好ましい。さらに好ましくは5μm以上30μm以下、最も好ましくは10μm以上25μm以下である。線間隔は50μm以上500μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは200μm以上400μm以下、最も好ましくは250μm以上350μm以下である。
【0151】
また、導電性金属部は、アース接続等の目的においては、線幅は20μmより広い部分を有していてもよい。
【0152】
本実施の形態における導電性金属部は、可視光透過率の点から開口率は85%以上であることが好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることが最も好ましい。開口率とは、メッシュパターン22をなす金属部を除いた透光性部分が全体に占める割合であり、例えば、線幅15μm、ピッチ300μmの正方形の格子状メッシュの開口率は、90%である。
【0153】
[光透過性部]
本実施の形態における「光透過性部」とは、導電性フイルム10のうち導電性金属部以外の透光性を有する部分を意味する。光透過性部における透過率は、前述のとおり、透明フイルム機材6の光吸収及び反射の寄与を除いた380〜780nmの波長領域における透過率の最小値で示される透過率が90%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上であり、さらにより好ましくは98%以上であり、最も好ましくは99%以上である。
【0154】
本実施の形態におけるメッシュパターン22は、3m以上連続していることが導電性フイルム10の生産性を高く維持するのに好都合である。メッシュパターン22の連続数が多いほどその効果は大きく、従って、透明発熱体を生産する場合のロスが低減できる優れた態様であるといえる。交差部24間の導電部12が少なくとも1つの湾曲を有する波線形状に形成されたメッシュパターン22の長尺ロールへの焼き付け露光の方法は、上述したようにパターンマスクを介して一様照射露光を行う方法と搬送移動される長尺ロールへレーザービームを照射する走査露光のいずれで行うこともできる。
【0155】
連続して焼き付けられるメッシュパターン22の升目(メッシュ形状M)が多いと、ロール状にした場合にロール径が大きくなる、ロールの重量が重くなる、ロールの中心部の圧力が強くなり接着や変形等の問題を生じ易くなる等の理由で2000m以下であることが好ましい。好ましくは3m以上、より好ましくは100m以上1000m以下、さらに好ましくは200m以上800m以下、最も好ましくは300m以上500m以下である。
【0156】
透明フイルム基材16の厚みは、例えば、0.01mm〜2.0mmから選択可能であるが、上述したように、ロールに巻き付けた際の重量や接着、変形等を考慮した場合、透明フイルム基材16の厚みは200μm以下が好ましく、さらに好ましくは20μm以上180μm以下、最も好ましくは50μm以上120μm以下である。
【0157】
本実施の形態において、図1に示す第1導電性フイルム10Aの場合、例えば第1金属細線12aの交差部24を結ぶ仮想線に注目したとき、隣り合う仮想線が平行又は平行±2°以内であることが好ましい。
【0158】
該光ビームの走査方法としては、搬送方向に対して実質的に垂直な方向に配列したライン状の光源又は回転ポリゴンミラーによって露光する方法が好ましい。この場合、光ビームは2値以上の強度変調を行う必要があり、直線はドットの連続としてパターニングされる。ドットの連続であるため一ドットの細線の縁は階段状になるが、細線の太さはくびれた部分の一番狭い長さを意味する。
【0159】
本実施の形態においてメッシュパターン22は搬送方向に対して30°から60°傾かせることが好ましい。より好ましくは40°から50°であり、最も好ましくは43°から47°である。これはメッシュパターンが枠に対して45°程度の傾きとなるマスクの作成が一般的に難しく、ムラが出やすいあるいは価格が高い等の問題を生じやすいのに対して、本方式はむしろ45°付近にてムラが出にくいため、本実施の形態の効果がマスク密着露光方式のフォトリソグラフィやスクリーン印刷によるパターニングに対してより顕著な効果がある。
【0160】
[導電性フイルム]
本実施の形態に係る導電性フイルム10における透明フイルム基材16の厚さは、上述したように、0.01mm〜2.0mmから選択可能であるが、5〜200μmであることが好ましく、30〜150μmであることがさらに好ましい。5〜200μmの範囲であれば所望の可視光の透過率が得られ、且つ、取り扱いも容易である。
【0161】
物理現像及び/又はめっき処理前の支持体上に設けられる金属銀部36の厚さは、透明フイルム基材16上に塗布される銀塩含有層用塗料の塗布厚みに応じて適宜決定することができる。金属銀部36の厚さは、0.001mm〜0.2mmから選択可能であるが、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、0.01〜9μmであることがさらに好ましく、0.05〜5μmであることが最も好ましい。また、金属銀部36はパターン状であることが好ましい。金属銀部36は1層でもよく、2層以上の重層構成であってもよい。金属銀部36がパターン状であり、且つ、2層以上の重層構成である場合、異なる波長に感光できるように、異なる感色性を付与することができる。これにより、露光波長を変えて露光すると、各層において異なるパターンを形成することができる。
【0162】
導電性金属部の厚さは、透明発熱体の用途としては、薄いほど窓ガラスの視野角が広がるため好ましく、発熱効率の点で薄膜化が要求される。このような観点から、導電性金属部に担持された導電性金属40からなる層の厚さは、9μm未満であることが好ましく、0.1μm以上5μm未満であることがより好ましく、0.1μm以上3μm未満であることがさらに好ましい。
【0163】
本実施の形態では、上述した銀塩含有層の塗布厚みをコントロールすることにより所望の厚さの金属銀部36を形成し、さらに物理現像及び/又はめっき処理により導電性金属粒子からなる層の厚みを自在にコントロールできるため、5μm未満、好ましくは3μm未満の厚みを有する導電性フイルム10であっても容易に形成することができる。
【0164】
なお、従来のエッチングを用いた方法では、金属薄膜の大部分をエッチングで除去、廃棄する必要があったが、本実施の形態では必要な量だけの導電性金属を含むパターンを透明フイルム基材16上に設けることができるため、必要最低限の金属量だけを用いればよく、製造コストの削減及び金属廃棄物の量の削減という両面から利点がある。
【0165】
<接着剤層>
本実施の形態に係る導電性フイルム10は、窓ガラス等に接着剤層を介して貼着するようにしてもよい。
【0166】
接着剤層における接着剤の屈折率は1.40〜1.70のものを使用することが好ましい。これは、本実施の形態で使用するプラスチックフイルム等の透明基材と接着剤の屈折率との関係で、その差を小さくして、可視光透過率が低下するのを防ぐためであり、屈折率が1.40〜1.70であると可視光透過率の低下が少なく良好である。
【実施例1】
【0167】
以下に、本発明の実施例1及び実施例2を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例1及び実施例2に示される材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0168】
(ハロゲン化銀感光材料:実施例1及び実施例2)
水媒体中のAg60gに対してゼラチン10.0gを含む、球相当径平均0.1μmの沃臭塩化銀粒子(I=0.2モル%、Br=40モル%)を含有する乳剤を調製した。
【0169】
また、この乳剤中にはK3Rh2Br9及びK2IrCl6を濃度が10-7(モル/モル銀)になるように添加し、臭化銀粒子にRhイオンとIrイオンをドープした。この乳剤にNa2PdCl4を添加し、さらに塩化金酸とチオ硫酸ナトリウムを用いて金硫黄増感を行った後、ゼラチン硬膜剤と共に、銀の塗布量が1g/m2となるようにポリエチレンテレフタレート(PET)上に塗布した。この際、Ag/ゼラチン体積比は1/2とした。
【0170】
幅30cmのPET支持体に25cmの幅で20m分塗布を行ない、塗布の中央部24cmを残すように両端を3cmずつ切り落としてロール状のハロゲン化銀感光材料を得た。
【0171】
(露光)
ハロゲン化銀感光材料の露光は特開2004−1224号公報の発明の実施の形態記載のDMD(デジタル・ミラー・デバイス)を用いた露光ヘッドを25cm幅になるように並べ、感光材料の感光層上にレーザ光が結像するように露光ヘッド及び露光ステージを湾曲させて配置し、感材送り出し機構及び巻取り機構を取り付けた上、露光面のテンション制御及び巻取り、送り出し機構の速度変動が露光部分の速度に影響しないようにバッファ作用を有する撓みを設けた連続露光装置にて行った。露光の波長は400nmで、ビーム形は12μmの略正方形、及びレーザ光源の出力は100μJであった。
【0172】
露光のパターンは表1に示すパターンで幅24cm長さ10m連続するように行った。露光は、メッシュパターン22を焼き付けられるように、下記の設定に従って行った。メッシュパターン22を構成する交差部24間の波線形状の周期、第1ピッチL1(第1金属細線12aのピッチ)、第2ピッチL2(第2金属細線12bのピッチ)、導電部12の線幅h等は表1に示した。
【0173】
感光層に、メッシュパターン22が形成されるように露光を行うには、2個の露光ヘッドを連動させる露光方式を採用した。
【0174】
すなわち、第1の露光ヘッドは、レーザービームが感光層の搬送方向に直角の方向に往復運動しながら単一のビームを照射して感光層上に露光パターン(第1金属細線12aのための露光パターン)を描画する。従って、ビームは感光層の搬送速度と搬送方向と直角方向へのヘッドの移動速度の比に応じた斜線状に感光層に45°斜め描画を行い、感光層の端部に達するとヘッドの往復運動に連動して反転斜め方向に描画を行う。
【0175】
特に、実施例1では、図1に示す第1金属細線12aのための露光パターンを描画し、実施例2では、図4に示す第1金属細線12aのための露光パターンを描画する。
【0176】
第2の露光ヘッドは、レーザービームが感光層の搬送方向に直角の方向に往復運動しながら単一のビームを照射して感光層上に露光パターン(第2金属細線12bのための露光パターン)を描画する点では第1の露光ヘッドと同じであるが、ヘッドの移動開始期が第1のヘッドと移動開始期と180度又はその倍数周期だけ隔たっている。従って、第1の露光ヘッドが感光層の一方の端部から斜め描画するときに、第2の露光ヘッドが感光層の他方の端部から第1の露光ヘッドの移動方向と逆の方向に移動しつつ、感光層上に逆斜め描画する。このようにして、メッシュパターン22が形成される。
【0177】
特に、実施例1では、図1に示す第2金属細線12bのための露光パターンを描画し、実施例2では、図4に示す第2金属細線12bのための露光パターンを描画する。
【0178】
(現像処理)
・現像液1L処方
ハイドロキノン 20 g
亜硫酸ナトリウム 50 g
炭酸カリウム 40 g
エチレンジアミン・四酢酸 2 g
臭化カリウム 3 g
ポリエチレングリコール2000 1 g
水酸化カリウム 4 g
pH 10.3に調整
【0179】
・定着液1L処方
チオ硫酸アンモニウム液(75%) 300 ml
亜硫酸アンモニウム・1水塩 25 g
1,3−ジアミノプロパン・四酢酸 8 g
酢酸 5 g
アンモニア水(27%) 1 g
pH 6.2に調整
【0180】
上記処理剤を用いて露光済み感材を、富士フイルム社製自動現像機 FG−710PTSを用いて処理条件:現像35℃ 30秒、定着34℃ 23秒、水洗 流水(5L/分)の20秒処理で行った。
【0181】
ランニング条件として、感材の処理量を100m2/日で現像液の補充を500ml/m2、定着液を640ml/m2で3日間行った。このとき、めっき処理後の銅のパターンが12μm線幅300ミクロンピッチであることが確認された。
【0182】
さらに、めっき液(硫酸銅0.06モル/L,ホルマリン0.22モル/L,トリエタノールアミン0.12モル/L,ポリエチレングリコール100ppm、黄血塩50ppm、α、α‘−ビピリジン20ppmを含有する、pH=12.5の無電解Cuめっき液)を用い、45℃にて無電解銅めっき処理を行った後、10ppmのFe(III)イオンを含有する水溶液で酸化処理を行ない、導電性フイルムの各試料を得た。
【0183】
ここで、表1に示すように、実施例1(図1参照)は、交差部24間の一方の第1金属細線12a1及び一方の第2金属細線12b1の波線形状の各周期が1周期、交差部24間の他方の第1金属細線12a2及び他方の第2金属細線12b2の波線形状の各周期が2周期、第1ピッチL1及び第2ピッチL2が共に400μm、導電部12の線幅hが18μmである場合を示す。実施例2(図4参照)は、交差部24間の一方の第1金属細線12a1及び一方の第2金属細線12b1の波線形状の各周期が1周期、第1ピッチL1及び第2ピッチL2が共に400μm、導電部12の線幅hが18μmである場合を示す。
【0184】
〔評価〕
(表面抵抗測定)
表面抵抗率の均一性を評価するために、導電性フイルム10の表面抵抗率をダイアインスツルメンツ社製ロレスターGP(型番MCP−T610)直列4探針プローブ(ASP)にて任意の10箇所測定した値の平均値である。
【0185】
(ぎらつきの評価)
導電性フイルム10を設置するための透明板を配置する。透明板は厚さ5mmのガラスでできており、窓ガラスを模している。透明板に導電性フイルムを貼り付け、部屋を暗室にし、透明板から3mの距離に白熱灯(40ワット球)を点灯させ、透明板越しに光を観察し、回折光の干渉によるぎらつきの目視観察・評価を行った。ぎらつきの視認性は透明板の正面(導電性フイルム10が設置された面)から観察距離1mで行い、ぎらつきが顕在化しなかった場合を◎、ぎらつきが問題のないレベルでほんの少し見られた場合を○、ぎらつきが顕在化した場合を×として評価した。
【0186】
(評価結果)
表1に示すように、実施例1及び実施例2は共に、ぎらつきは顕在化せず、表面抵抗率も透明発熱体として十分に実用化できるレベルであり、透光性も良好であった。また、実施例1においてメッシュパターン形状を図14及び図23の形状に変更した以外は、実施例1と同様にして導電性フイルムを作製した。これらの導電性フイルムでも、ぎらつきは顕在化せず、表面抵抗率も透明発熱体として十分に実用化できるレベルであり、透光性も良好であった。
【0187】
【表1】

【0188】
なお、本発明に係る導電性フイルム及び透明発熱体は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0189】
【図1】第1導電性フイルムを一部省略して示す平面図である。
【図2】図1におけるII−II線上の断面図である。
【図3】第1導電性フイルムを透明発熱体とした場合の一構成例を示す平面図である。
【図4】第1導電性フイルムのメッシュパターンを模式的に示す説明図である。
【図5】第1導電性フイルムを1つの物品(導電シート)に適用した場合における第1導電シートを示す正面図である。
【図6】第1導電シートを示す背面図である。
【図7】第1導電シートを示す平面図である。
【図8】第1導電シートを示す底面図である。
【図9】第1導電シートを示す左側面図である。
【図10】第1導電シートを示す右側面図である。
【図11】第1導電シートを示す斜視図である。
【図12】第1導電シートの使用状態を示す正面図である。
【図13】第2導電性フイルムを一部省略して示す平面図である。
【図14】第3導電性フイルムのメッシュパターンを模式的に示す説明図である。
【図15】第3導電性フイルムを1つの物品(導電シート)に適用した場合における第2導電シートを示す正面図である。
【図16】第3導電シートを示す背面図である。
【図17】第3導電シートを示す平面図である。
【図18】第3導電シートを示す底面図である。
【図19】第3導電シートを示す左側面図である。
【図20】第3導電シートを示す右側面図である。
【図21】第3導電シートを示す斜視図である。
【図22】第3導電シートの使用状態を示す正面図である。
【図23】第4導電性フイルムのメッシュパターンを模式的に示す説明図である。
【図24】第5導電性フイルムのメッシュパターンを模式的に示す説明図である。
【図25】第6導電性フイルムのメッシュパターンを模式的に示す説明図である。
【図26】第7導電性フイルムのメッシュパターンを模式的に示す説明図である。
【図27】第8導電性フイルムのメッシュパターンを模式的に示す説明図である。
【図28】図28A〜図28Eは本実施の形態に係る導電性フイルムの第1の製造方法を示す工程図である。
【図29】図29A及び図29Bは本実施の形態に係る導電性フイルムの第2の製造方法を示す工程図である。
【図30】図30A及び図30Bは本実施の形態に係る導電性フイルムの第3の製造方法を示す工程図である。
【図31】本実施の形態に係る導電性フイルムの第4の製造方法を示す工程図である。
【符号の説明】
【0190】
10、10A〜10H…導電性フイルム
12…導電部
12a、12a1、12a2…第1金属細線
12b、12b1、12b2…第2金属細線
14…開口部
16…透明フイルム基材
18…透明発熱体
20a…第1電極
20b…第2電極
22…メッシュパターン
24…交差部
26…円弧
34…銀塩感光層
36…金属銀部
38…光透過性部
40…導電性金属
100…第1導電シート
200…第2導電シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導電部と複数の開口部とを有する導電性フイルムにおいて、
前記導電部と前記開口部の組み合わせ形状がメッシュ形状であって、
前記導電部は、複数の導電性の金属細線にて構成された複数の格子の交差部を有するメッシュパターンに形成され、
前記複数の導電性の金属細線のうち、一部の金属細線は、前記交差部間が少なくとも1つの円弧を有し、且つ、前記円弧の向きが互い違いにして配列された波線形状に形成されていることを特徴とする導電性フイルム。
【請求項2】
請求項1記載の導電性フイルムにおいて、
前記メッシュパターンは、一方向に並ぶ複数の第1金属細線と、他方向に並ぶ複数の第2金属細線とがそれぞれ交差して形成されていることを特徴とする導電性フイルム。
【請求項3】
請求項1記載の導電性フイルムにおいて、
前記円弧の中心角が75〜105°であることを特徴とする導電性フイルム。
【請求項4】
請求項2記載の導電性フイルムにおいて、
少なくとも前記複数の第1金属細線は、各交差部間が少なくとも1つの湾曲を有する波線形状に形成され、
平行に隣り合う前記第1金属細線の波線形状の周期がそれぞれ異なることを特徴とする導電性フイルム。
【請求項5】
請求項2記載の導電性フイルムにおいて、
平行に隣り合う前記第1金属細線のうち、一方の前記第1金属細線は直線状に形成され、他方の前記第1金属細線は各交差部間が少なくとも1つの湾曲を有する波線形状に形成されていることを特徴とする導電性フイルム。
【請求項6】
請求項4又は5記載の導電性フイルムにおいて、
さらに、前記複数の第2金属細線は、各交差部間が少なくとも1つの湾曲を有する波線形状に形成され、
平行に隣り合う前記第2金属細線の波線形状の周期がそれぞれ異なることを特徴とする導電性フイルム。
【請求項7】
請求項4又は5記載の導電性フイルムにおいて、
さらに、平行に隣り合う前記第2金属細線のうち、一方の前記第2金属細線は直線状に形成され、他方の前記第2金属細線は各交差部間が少なくとも1つの湾曲を有する波線形状に形成されていることを特徴とする導電性フイルム。
【請求項8】
請求項2記載の導電性フイルムにおいて、
前記円弧の中心角が90°で、且つ、各前記メッシュ形状の外周線上の前記円弧の数が2k(k=1,2,3・・・)であることを特徴とする導電性フイルム。
【請求項9】
請求項2記載の導電性フイルムにおいて、
前記円弧の中心角が90°で、且つ、各前記メッシュ形状の外周線上の前記円弧の数が4k(k=1,2,3・・・)であることを特徴とする導電性フイルム。
【請求項10】
請求項1記載の導電性フイルムにおいて、
前記導電部の前記交差部の配列に沿って隣接する任意の2つのメッシュ形状の各中心を結ぶ線分のうち、一方のメッシュ形状の中心から前記交差部までの第1線分の長さと、他方のメッシュ形状の中心から前記交差部までの第2線分の長さとが同じであることを特徴とする導電性フイルム。
【請求項11】
請求項1記載の導電性フイルムにおいて、
一方の導電部の延在方向に沿って隣接する任意の2つのメッシュ形状の各中心を結ぶ線分のうち、一方のメッシュ形状の中心から他方の導電部までの第3線分の長さと、他方のメッシュ形状の中心から前記他方の導電部までの第4線分の長さとが同じであることを特徴とする導電性フイルム。
【請求項12】
請求項2記載の導電性フイルムにおいて、
前記第1金属細線及び前記第2金属細線のうち、少なくともいずれか一方の金属細線のパターンは、前記円弧の配列周期の数が最も少ない金属細線を第1番目として、該第1番目の金属細線から一方向に並ぶ金属細線の前記円弧の配列周期の数が順番に段階的に増加する形態となっていることを特徴とする導電性フイルム。
【請求項13】
請求項2記載の導電性フイルムにおいて、
前記第1金属細線及び前記第2金属細線のうち、少なくともいずれか一方の金属細線のパターンは、前記円弧の配列周期の数が最も少ない金属細線の両側に隣接した2つの金属細線の前記円弧の配列周期の数が共にほぼ同じで、前記円弧の配列周期の数が最も多い金属細線の両側に隣接した2つの金属細線の前記円弧の配列周期の数が共にほぼ同じとされた形態となっていることを特徴とする導電性フイルム。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の導電性フイルムにおいて、
前記交差部における交差角度がほぼ90°であることを特徴とする導電性フイルム。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の導電性フイルムにおいて、
前記導電部が、透明支持体上に設けられた銀塩感光層を露光して現像することによって形成された金属銀部を有することを特徴とする導電性フイルム。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれかに記載の導電性フイルムを備えたことを特徴とする透明発熱体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2010−3667(P2010−3667A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−326512(P2008−326512)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】