説明

導電性接着フィルム、導電性接着フィルムの製造方法、導電性接着フィルムを用いた電子機器、導電性接着フィルムを用いた電子機器の製造方法

【課題】導電性接着フィルムを用いた端子間の電気的な接続において、コストダウンを図って容易に端子間の接続信頼性を向上させた導電性接着フィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】絶縁性接着材料2中に複数の導電性粒子3が分散された導電性接着フィルム1であって、各導電性粒子3は、設定間隔Pを有して絶縁性接着材料2中に配列されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の端子と第2の端子との間を電気的に接続する、絶縁性接着材料中に複数の導電性粒子が分散された導電性接着フィルム、導電性接着フィルムの製造方法、導電性接着フィルムを用いた電子機器、導電性接着フィルムを用いた電子機器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、電子機器である電気光学装置、例えば光透過型の液晶装置は、ガラス基板、石英基板等からなる2枚の基板間に液晶が介在されて構成された電気光学パネルである液晶パネルが実装ケース等に収容されて構成されている。
【0003】
また、液晶装置は、液晶パネルの一方の基板に、例えば薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下、TFTと称す)等のスイッチング素子及び画素電極をマトリクス状に配置し、他方の基板に対向電極を配置して、両基板間に介在された液晶層による光学応答を画像信号に応じて変化させることで、画像表示を可能としている。
【0004】
また、TFTを配置したTFT基板と、このTFT基板に相対して配置される対向基板とは、別々に製造される。TFT基板及び対向基板は、例えば石英基板上に、所定のパターンを有する半導体薄膜、絶縁性薄膜又は導電性薄膜を積層することによって構成される。半導体薄膜、絶縁性薄膜又は導電性薄膜は、層毎に各種膜の成膜工程とフォトリソグラフィ工程を繰り返すことによって形成されるのである。
【0005】
このようにして形成されたTFT基板及び対向基板は、例えば液晶封入方式により、TFT基板と対向基板との間に液晶が介在される場合には、一部に切り欠きを有するよう略周状に塗布されたシール材を介して、パネル組立工程において高精度(例えばアライメント誤差1μ以内)に貼り合わされる。
【0006】
次いでアライメントが施されてそれぞれ圧着硬化された後、シール材の一部に設けられた切り欠きを介して液晶が封入され、切り欠きが、熱等により硬化された封止材により封止される。
【0007】
その後、例えばTFT基板が対向基板より平面視した状態で大きく形成されることによりTFT基板の対向基板が貼り合わされた面の一部に形成された張り出し部に設けられた外部接続端子に対し、プロジェクタ等の電子機器の外部回路と電気的に接続する、特定の長さを有する柔軟な図示しない薄板状基板であるフレキシブル配線基板(Flexible Printed Circuits、以下FPCと称す)の端子(以下、FPC端子と称す)が電気的に接続される。
【0008】
尚、外部接続端子に対してFPC端子は、導電性接着フィルムを介して、より具体的には導電性接着フィルムの絶縁性接着材料中に拡散された導電性粒子を介して、圧着等により電気的に接続される。最後に、液晶パネルが実装ケース等に収容されることにより、液晶装置が形成される。
【0009】
尚、外部接続端子に対して、FPC端子を電気的に接続する手法としては、作業者は、購入した汎用品の導電性接着フィルムを所定の大きさにカットした後、該所定の大きさにカットした導電性接着フィルムを外部接続端子とFPC端子とのいずれかに対して貼着することにより、該貼着した導電性接着フィルムを介して、外部接続端子に対して、FPC端子を電気的に接続する手法が周知である。また、該手法は、外部接続端子に対するFPC端子の電気的な接続に限定されず、導電性接着フィルムを用いた端子間の電気的な接続であれば、同様に一般的に用いられている。
【0010】
このように、端子間を電気的に接続する導電性接着フィルムは、例えば特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2007−211122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、通常、汎用品として市販されている導電性接着フィルムや特許文献1に開示された導電性接着フィルムの絶縁性接着材料中には、導電性粒子が高密度で分散されている。一例を挙げると、絶縁性接着材料1mm当たり、例えば3μmの粒径を有する導電性粒子が5000個分散されている。
【0012】
これは、導電性粒子を高密度で分散させることによって、端子間、例えば複数の端子部から構成された第1の端子と複数の端子部から構成された第2の端子とを、導電性接着フィルムを介して電気的に接続する場合、第1の端子及び第2の端子において対向する一対の端子部間に、導電性粒子を確実に位置させることにより、端子部間に位置させた導電性粒子を介して、対向する一対の端子部間を確実に電気的に接続するためである。
【0013】
しかしながら、導電性接着フィルムの絶縁性接着材料中に、導電性粒子が高密度で分散されていると、導電性接着フィルムを介して第1の端子に対して第2の端子を電気的に接続した際、対向する一対の端子部間以外の位置においても、導電性粒子は位置するため、即ち、絶縁性接着材料中には、端子部間の電気的な接続に用いられない導電性粒子が多数分散されているため、言い換えれば、全ての導電性粒子が端子部間の電気的な接続に用いられるわけではないため、端子部間の電気的な接続に用いられない導電性粒子が多数分散されている導電性接着フィルムを用いるのは、不経済であるといった問題もあった。
【0014】
さらには、導電性接着フィルムを作成する際、第1の端子と第2の端子との接続信頼性を向上させるため、各端子の対向する端子部間に確実に導電性粒子が位置するよう、絶縁性接着材料中に対する導電性粒子の分散密度を考慮するのは、大変煩雑であるといった問題もあった。
【0015】
本発明は上記事情に着目してなされたものであり、導電性接着フィルムを用いた端子間の電気的な接続において、コストダウンを図って容易に端子間の接続信頼性を向上させた導電性接着フィルム、導電性接着フィルムの製造方法、導電性接着フィルムを用いた電子機器、導電性接着フィルムを用いた電子機器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために本発明に係る導電性接着フィルムは、絶縁性接着材料中に複数の導電性粒子が分散された導電性接着フィルムであって、前記各導電性粒子は、設定間隔を有して前記絶縁性接着材料中に配列されていることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、導電性接着フィルムにおいて、複数の導電性粒子が、絶縁性接着材料に対し、設定間隔を有して配列されていることにより、導電性接着フィルムを介して第1の端子と第2の端子とが接着された際、第1の端子と第2の端子との間のみに、導電性粒子が確実に配置されるため、容易に導電性粒子を介した第1の端子と第2の端子との接続信頼性を向上させることができるといった効果を有する。
【0018】
また、本発明に係る導電性接着フィルムは、絶縁性接着材料中に複数の導電性粒子が分散された導電性接着フィルムであって、設定間隔で、前記各導電性粒子の密度が高い領域と前記各導電性粒子の密度が低い領域とが交互に配列されていることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、導電性接着フィルムにおいて、複数の導電性粒子が、絶縁性接着材料に対し、設定間隔を有して、各導電性粒子の密度が高い領域と各導電性粒子の密度が低い領域とが交互に配列されていることにより、導電性接着フィルムを介して第1の端子と第2の端子とが接着された際、第1の端子と第2の端子との間のみに、導電性粒子が確実に配置されるため、容易に導電性粒子を介した第1の端子と第2の端子との接続信頼性を向上させることができるといった効果を有する。
【0020】
また、前記導電性接着フィルムは、第1の端子と第2の端子との間を電気的に接続し、前記第1の端子及び前記第2の端子は、それぞれ第1の方向に配列された複数の端子部から構成されているとともに、前記設定間隔は、前記第1の方向における前記各端子部間の間隔に応じて設定されていることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、導電性接着フィルムにおいて、複数の導電性粒子が、絶縁性接着材料に対し、第1の端子及び第2の端子をそれぞれ構成する複数の端子部の第1の方向における各端子部間の間隔に応じて配列されていることにより、導電性接着フィルムを介して第1の端子と第2の端子とが接着された際、第1の端子の各端子部と第2の端子の各端子部との間の対向位置のみに、導電性粒子がそれぞれ確実に配置されるため、容易に第1の端子と第2の端子との接続信頼性を向上させることができるといった効果を有する。
【0022】
また、前記導電性粒子は、前記第1の端子及び前記第2の端子の前記各端子部の前記第1の方向における幅と略同じ粒径を有していることを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、複数の導電性粒子が、第1の端子及び第2の端子の各端子部の第1の方向における幅と略同じ粒径をそれぞれ有していることにより、導電性接着フィルムを介して第1の端子と第2の端子とが接着された際、第1の端子の各端子部と第2の端子の各端子部との間の対向位置のみに、所定の粒径を有する導電性粒子が1つずつそれぞれ確実に配置されるため、容易に第1の端子と第2の端子との接続信頼性を向上させることができるといった効果を有する。
【0024】
さらに、前記導電性粒子は、金属粒子から構成されていることを特徴とする。
【0025】
本発明によれば、導電性接着フィルムにおいて、金属粒子から構成された複数の導電性粒子が、絶縁性接着材料に対し、設定間隔を有して配列されていることにより、導電性接着フィルムを介して第1の端子と第2の端子とが接着された際、第1の端子と第2の端子との間のみに、金属粒子から構成された導電性粒子が確実に配置されるため、容易に第1の端子と第2の端子との接続信頼性を向上させることができるといった効果を有する。
【0026】
また、前記導電性粒子は、樹脂に金属メッキが形成された樹脂コア粒子から構成されていることを特徴とする。
【0027】
本発明によれば、導電性接着フィルムにおいて、樹脂コア粒子から構成された複数の導電性粒子が、絶縁性接着材料に対し、設定間隔を有して配列されていることにより、導電性接着フィルムを介して第1の端子と第2の端子とが接着された際、第1の端子と第2の端子との間のみに、樹脂コア粒子から構成された導電性粒子が確実に配置されるため、容易に第1の端子と第2の端子との接続信頼性を向上させることができるといった効果を有する。
【0028】
さらに、前記導電性粒子は、該導電性粒子自在が、前記第1の端子と前記第2の端子とを電気的に接続することを特徴とする。
【0029】
本発明によれば、導電性接着フィルムを介して第1の端子と第2の端子とが接着された際、第1の端子と第2の端子との間に配置された導電性粒子自体により、容易に第1の端子と第2の端子との接続信頼性を向上させることができるといった効果を有する。
【0030】
また、前記導電性粒子は、熱の付与により溶かされて、共晶接合により前記第1の端子と前記第2の端子とを電気的に接続することを特徴とする。
【0031】
本発明によれば、導電性接着フィルムを介して第1の端子と第2の端子とが接着された際、第1の端子と第2の端子との間のみに配置された導電性粒子が溶かされることによる共晶接合により、容易に第1の端子と第2の端子との接続信頼性を向上させることができるといった効果を有する。
【0032】
本発明に係る導電性接着フィルムの製造方法は、絶縁性接着材料中に複数の導電性粒子が分散された導電性接着フィルムの製造方法であって、前記各導電性粒子が設定間隔を有して前記絶縁性接着材料中に配列されるよう、前記各導電性粒子を、前記絶縁性接着材料に対して載置する載置工程を具備することを特徴とする。
【0033】
本発明によれば、導電性接着フィルムにおいて、複数の導電性粒子が、絶縁性接着材料に対し、設定間隔を有して配列されるよう、複数の導電性粒子を載置する載置工程を有していることにより、導電性接着フィルムを介して第1の端子と第2の端子とを接着した際、第1の端子と第2の端子との間のみに、導電性粒子を確実に配置することができるため、容易に第1の端子と第2の端子との接続信頼性が向上する。また、導電性粒子を、端子間の接続に最低限必要な個数、絶縁性接着材料の設定位置に載置して導電性接着フィルムを製造して、該フィルムを、第1の端子と第2の端子との電気的な接続に用いることから、該接続に、絶縁性接着材料中に複数の導電性粒子が高密度で拡散された汎用品を用いるよりも製造コストの削減を図ることができるといった効果を有する。
【0034】
また、本発明に係る導電性接着フィルムの製造方法は、絶縁性接着材料中に複数の導電性粒子が分散された導電性接着フィルムの製造方法であって、設定間隔で、前記各導電性粒子の密度が高い領域と前記各導電性粒子の密度が低い領域とが交互に配列されるよう、前記各導電性粒子を、前記絶縁性接着材料に対して載置する載置工程を具備することを特徴とする。
【0035】
本発明によれば、導電性接着フィルムにおいて、複数の導電性粒子が、絶縁性接着材料に対し、設定間隔を有して、各導電性粒子の密度が高い領域と各導電性粒子の密度が低い領域とが交互に配列されるよう、複数の導電性粒子を載置する載置工程を有していることにより、導電性接着フィルムを介して第1の端子と第2の端子とを接着した際、第1の端子と第2の端子との間のみに、導電性粒子を確実に配置することができるため、容易に第1の端子と第2の端子との接続信頼性が向上する。
【0036】
また、前記第1の端子及び前記第2の端子は、それぞれ第1の方向に配列された複数の端子部から構成されており、前記載置工程における前記絶縁性接着材料に対する前記各導電性粒子の前記設定間隔を有した載置を、前記第1の方向における前記各端子部の間隔に応じて行うことを特徴とする。
【0037】
本発明によれば、導電性接着フィルムにおいて、複数の導電性粒子が、絶縁性接着材料に対し、第1の端子及び第2の端子をそれぞれ構成する複数の端子部の第1の方向における各端子部間の間隔に応じて配列されるよう、複数の導電性粒子を載置する載置工程を有していることにより、導電性接着フィルムを介して第1の端子と第2の端子とを接着した際、第1の端子と第2の端子との間のみに、導電性粒子を確実に配置することができるため、容易に第1の端子と第2の端子との接続信頼性が向上する。また、導電性粒子を、端子間の接続に最低限必要な個数、絶縁性接着材料の設定位置に載置して導電性接着フィルムを製造して、該フィルムを、第1の端子と第2の端子との電気的な接続に用いることから、該接続に、絶縁性接着材料中に複数の導電性粒子が高密度で拡散された汎用品を用いるよりも製造コストの削減を図ることができるといった効果を有する。
【0038】
さらに、前記載置工程における前記導電性粒子の載置を、ディスペンサを用いて行うことを特徴とする。
【0039】
また、前記載置工程における前記導電性粒子の載置を、前記設定間隔毎に吸引孔が形成された構造体に前記導電性粒子を吸い付けて、該吸い付けた前記導電性粒子を前記構造体から前記絶縁性接着材料に対して載置していく、電子部品のパッケージ製造手法を用いて行うことを特徴とする。
【0040】
さらに、前記載置工程における前記導電性粒子の載置を、液滴吐出手段を用いて行うことを特徴とする。
【0041】
また、前記載置工程における前記導電性粒子の載置を、印刷により行うことを特徴とする。
【0042】
本発明によれば、ディスペンサ、電子部品のパッケージ製造手法、液滴吐出手段、印刷のいずれかを用いることにより、絶縁性接着材料に対し、複数の導電性粒子を、位置精度良く確実に設定間隔を有して配列させることができるといった効果を有する。
【0043】
本発明に係る導電性接着フィルムを用いた電子機器は、請求項1〜7のいずれかに記載の導電性接着フィルムが、前記第1の端子と前記第2の端子との電気的な接続に用いられたことを特徴とする。
【0044】
本発明によれば、導電性接着フィルムにおいて、複数の導電性粒子が、絶縁性接着材料に対し、設定間隔を有して配列されていることにより、導電性接着フィルムを介して第1の端子と第2の端子とが接着された際、第1の端子と第2の端子との間のみに、導電性粒子が確実に配置されるため、容易に第1の端子と第2の端子との接続信頼性が向上された電子機器を提供することができるといった効果を有する。
【0045】
本発明に係る導電性接着フィルムを用いた電子機器の製造方法は、絶縁性接着材料中に複数の導電性粒子が、設定間隔を有して配列されて分散された導電性接着フィルムを、第1の端子と第2の端子との電気的な接続に用いたことを特徴とする。
【0046】
本発明によれば、第1の端子と第2の端子とを電気的に接続させる際、複数の導電性粒子が、絶縁性接着材料に対し、設定間隔を有して配列された導電性接着フィルムを用いて行うことにより、導電性接着フィルムを介して第1の端子と第2の端子とを接着した際、第1の端子と第2の端子との間のみに、導電性粒子が確実に配置されるため、容易に第1の端子と第2の端子との接続信頼性を向上させることのできる導電性接着フィルムを用いた電子機器の製造方法を提供することができるといった効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、図面を参照にして本発明の実施の形態を説明する。尚、以下に示す実施の形態において導電性接着フィルムを用いた電子機器は、電気光学装置を例に挙げて説明する。また、電気光学装置は、光透過型の液晶装置を例に挙げて説明する。よって、電気光学装置が具備する電気光学パネルは、液晶パネルを例に挙げて説明する。
【0048】
また、液晶パネルにおいて対向配置される一対の基板の内、一方の基板は、素子基板(以下、TFT基板と称す)を、また他方の基板は、TFT基板に対向する対向基板を例に挙げて説明する。
【0049】
先ず、本実施の形態の導電性接着フィルムの構成を説明するに先立って、導電性接着フィルムを用いた液晶装置の構成を図1、図2を用いて説明する。図1は、本実施の形態の導電性接着フィルムを用いた液晶装置における液晶パネルをFPCとともに示す平面図、図2は、図1中のII-II線に沿って切断した液晶パネルをFPCとともに示す断面図である。
【0050】
図1、図2に示すように、液晶パネル100は、例えば、石英基板やガラス基板等を用いたTFT基板10と、該TFT基板10に対向配置される、例えばガラス基板や石英基板等を用いたTFT基板10よりも外形の小さい対向基板20との間の内部空間に、液晶50が介在されて構成される。対向配置されたTFT基板10と対向基板20とは、シール材52によって貼り合わされている。
【0051】
TFT基板10の液晶50と接する領域に、液晶パネル100の表示領域40を構成するTFT基板10の表示領域10hが構成されている。また、TFT基板10の対向基板20に対向する対向面となる表面10f側における表示領域10hに、画素を構成するとともに、後述する対向電極21とともに液晶50に駆動電圧を印加する画素電極9aがマトリクス状に配置されている。
【0052】
また、対向基板20の表面20f側における液晶50と接する領域に、液晶50に画素電極9aとともに駆動電圧を印加する対向電極21が設けられており、対向電極21の表示領域10hに対向する領域に、液晶パネル100の表示領域40を構成する対向基板20の表示領域20hが構成されている。
【0053】
TFT基板10の画素電極9a上に、ラビング処理が施された配向膜16が設けられており、また、対向基板20上の全面に渡って形成された対向電極21上にも、ラビング処理が施された配向膜26が設けられている。各配向膜16、26は、例えば、ポリイミド膜等の透明な有機膜からなる。
【0054】
また、TFT基板10の表示領域10hにおいては、複数本の図示しない走査線と複数本の図示しないデータ線とが交差するように配線され、走査線とデータ線とで区画された領域に画素電極9aがマトリクス状に配置される。そして、走査線とデータ線との各交差部分に対応して図示しない薄膜トランジスタ(TFT)が設けられ、このTFT毎に画素電極9aが電気的に接続されている。
【0055】
TFTは走査線のON信号によってオンとなり、これにより、データ線に供給された画像信号が画素電極9aに供給される。この画素電極9aと対向基板20に設けられた対向電極21との間の電圧が液晶50に印加される。
【0056】
対向基板20に、液晶パネル100の表示領域40を規定する額縁としての遮光膜53が設けられている。
【0057】
液晶50がTFT基板10と対向基板20との間の空間に、既知の液晶注入方式で注入される場合、シール材52は、シール材52の1辺の一部において欠落して塗布されている。
【0058】
シール材52の欠落した箇所は、該欠落した箇所から貼り合わされたTFT基板10及び対向基板20との間の空間において、シール材52により囲まれた領域に液晶50を注入するための切り欠きである液晶注入口108を構成している。液晶注入口108は、液晶注入後、封止材109によって封止される。
【0059】
TFT基板10の表面10fにおいて、シール材52の外側の領域に、TFT基板10の図示しないデータ線に画像信号を所定のタイミングで供給して該データ線を駆動するドライバであるデータ線駆動回路101と外部回路との接続のための第1の端子である外部接続端子102とが、TFT基板10の一端10t1とTFT基板10の他端10t2とを結ぶ第1の方向である幅方向Hに沿って一側面側に設けられている。
【0060】
尚、外部接続端子102は、対向基板20に設けられていても構わない。また、外部接続端子102は、複数の端子部102tから構成されており、各端子部102tは、アルミニウム、ITO等の電気的な導通性を有する材料から構成されている。
【0061】
さらに、図1には、端子部102tのpin数が省略して示してあるが、外部接続端子102の端子部102tは、通常、100pin〜1000pin程度、液晶パネルによって必要に応じた数が設けられている。
【0062】
また、各端子部102tの幅方向Hにおける幅Mは、例えば14μm程度に形成されている。尚、幅Mは、14μmに限定されない。さらに、各端子部102tのFPC112の延在方向Eにおける幅Nは、例えば500μm程度に形成されている。尚、幅Nも、500μmに限定されない。
【0063】
さらに、各端子部102t間の幅方向Hにおける間隔Pは、例えば端子部102tのpin数が500pinであって、各端子部102tの幅Mが14μmの場合、例えば50μmピッチで設定されている。尚、各端子部102t間の間隔Pも、50μmピッチに限定されない。
【0064】
外部接続端子102に、液晶パネル100を、図示しないプロジェクタ等の電子機器と電気的に接続する、特定の長さを有するFPC112の一端に構成された第2の端子であるFPC端子113(図3参照)が、導電性接着フィルム1を介して、例えば圧着により電気的に接続されている。尚、導電性接着フィルム1の構成及び外部接続端子102とFPC端子113との接続構成は後述する。FPC112の他端が外部回路に接続されることにより、液晶パネル100と外部回路とは電気的に接続される。
【0065】
また、FPC端子113も、複数の端子部113tから構成されており、該端子部113tは、外部接続端子102の端子部102tと同数のpin数を有している。即ち、外部接続端子102の端子部102tのpin数が500pinの場合、FPC端子113の端子部113tのpin数も500pinに形成されている。
【0066】
また、各端子部113tの幅方向Hにおける幅Mも、例えば14μm程度に形成されている。尚、各端子部113tの幅Mは、14μmに限定されない。さらに、各端子部113tの延在方向Eの幅Nも、例えば500μm程度に形成されている。尚、幅Nも500μmに限定されない。
【0067】
さらに、各端子部113t間の幅方向Hにおける間隔Pも、例えば端子部113tのpin数が500pinであって、各端子部113tの幅Mが14μmの場合、例えば50μmピッチで設定されている。尚、各端子部113t間の間隔Pも、50μmピッチに限定されない。
【0068】
また、各端子部113tは、FPC端子113が外部接続端子102に電気的に接続された際、各端子部102tに対して、第2の方向である液晶パネル100の厚さ方向Tにおいて、後述する図3に示すように、それぞれ対向して位置する。
【0069】
各端子部113tは、銅にニッケル金メッキが形成されたものや、銅に金メッキが形成されたもの、銅にスズメッキが形成されたもの等から構成されている。尚、端子部113tを構成する材料は、上述したものに限定されない。
【0070】
また、外部接続端子102とFPC端子113との電気的な接続を補強するため、FPC112と、TFT基板10の一側面との間には、幅方向Hに沿って直線状に、例えば光硬化型接着剤170が設けられている。
【0071】
TFT基板10の表面10fにおいて、外部接続端子102が設けられたTFT基板10の一側面に隣接する各側面に沿って、TFT基板10の図示しない走査線及びゲート電極に、走査信号を所定のタイミングで供給することにより、ゲート電極を駆動するドライバである走査線駆動回路103、104が設けられている。走査線駆動回路103、104は、シール材52の内側の遮光膜53に対向する位置において、TFT基板10の表面10f上に形成されている。
【0072】
また、TFT基板10の表面10f上に、データ線駆動回路101、走査線駆動回路103、104、外部接続端子102及び上下導通端子107を接続する配線105が、遮光膜53の3辺に対向して設けられている。
【0073】
上下導通端子107は、シール材52のコーナー部の4箇所のTFT基板10上に形成されている。そして、TFT基板10と対向基板20相互間に、下端が上下導通端子107に接触し上端が対向電極21に接触する上下導通材106が設けられており、該上下導通材106によって、TFT基板10と対向基板20との間で電気的な導通がとられている。
【0074】
また、TFT基板10の裏面10rに、カバーガラス30が貼着されている。同様に、対向基板20の裏面20rにも、カバーガラス31が貼着されている。
【0075】
各カバーガラス30、31は、TFT基板10及び対向基板20の各裏面10r、20rの少なくとも各表示領域10h、20hに塵埃等が付着するのを防止するとともに、塵埃等を、各裏面10r、20rから離間させてデフォーカスすることで、塵埃等の像を目立たなくする機能を有する。
【0076】
次に、導電性接着フィルム1の構成及び外部接続端子102とFPC端子113との接続構成を、図3〜図8を用いて示す。
【0077】
図3は、図1中のIII-III線に沿った液晶パネル100の断面図、図4は、図3の金属粒子から構成された導電性粒子を示す拡大断面図、図5は、導電性粒子を樹脂コア粒子から構成した変形例を示す拡大断面図である。
【0078】
また、図6は、導電性粒子が溶けて、外部接続端子の端子部とFPC端子の端子部とが共晶接合により電気的に接続された状態を示す断面図、図7は、金属粒子から構成された導電性粒子が溶けて、外部接続端子の端子部とFPC端子の端子部とが共晶接合により電気的に接続された状態を示す部分拡大断面図、図8は、樹脂コア粒子から構成された導電性粒子の金属メッキが溶けて、外部接続端子の端子部とFPC端子の端子部とが共晶接合により電気的に接続された状態を示す部分拡大断面図である。
【0079】
また、以下、図3、図6においては、図面を簡略化するため、外部接続端子及びFPC端子の端子部の個数を、図1よりも減らして示しているとともに、導電性粒子の個数も端子部の個数に合わせて、実際よりも減らして示している。
【0080】
図3に示すように、外部接続端子102に対してFPC端子113は、上述したように、導電性接着フィルム1を介して電気的に接続されている。
【0081】
導電性接着フィルム1は、絶縁性接着材料2と、後述する図10に示すように、該絶縁性接着材料2中に設定間隔を有して配列されて拡散された、図4に示すように、例えばニッケルや、金、銀、銅、アルミニウム、スズ、パラジウム、ITO、カーボンの金属粒子302からなる、例えば球状の導電性粒子3とを有して構成されている。
【0082】
尚、液晶パネル100に用いられる導電性接着フィルム1には、絶縁性接着材料2中に設定間隔を有して導電性粒子3が配列されたものを購入したものが用いられていても構わないし、絶縁性接着材料2中に設定間隔を有して導電性粒子3が配列するよう、後述する図11〜図15に示す手法によって形成したものが用いられていても構わない。
【0083】
また、導電性粒子3の粒径Rは、端子部102t及び端子部113tの幅方向Hの幅Mと略同じか、幅Mよりも若干小さく形成されている。具体的には、端子部102t及び端子部113tの幅方向Hの幅Mが14μmの場合、導電性粒子3の粒径Rは、約10μm程度となるよう形成されている。尚、導電性粒子3の粒径Rは、10μmに限定されない。また、導電性粒子3の形状は、球状に限定されない。
【0084】
また、導電性粒子3は、図4に示したような金属粒子302に限らず、図5に示すように、球状の樹脂301の外周に、ニッケルや、金、銀、銅、アルミニウム、スズ、パラジウム、ITO、カーボン等の金属メッキ303が形成されて構成された樹脂コア粒子304から構成されていても構わない。
【0085】
さらに、導電性粒子3は、絶縁性接着材料2中において、後述する図10に示すように、各端子部102t及び各端子部113tの幅方向Hにおける間隔Pと同じ設定間隔となるよう、幅方向Hに沿って配列されている。尚、以下、導電性粒子3の幅方向Hにおける設定間隔にも符号Pを付す。
【0086】
より具体的には、端子部102t及び端子部113tのpin数が、それぞれ例えば500pinから構成されており、幅方向Hにおける端子間隔Pが、50μmピッチで形成されている場合、導電性粒子3は、絶縁性接着材料2中において、500個、50μmピッチで幅方向Hに沿って配列されている。
【0087】
よって、図3に示すように、各端子部102t上のみに、導電性粒子3が位置するよう、外部接続端子102に対し導電性接着フィルム1が精度良く貼り付けられ、各端子部102tに各端子部113tが厚さ方向Tにおいて対向するよう、導電性接着フィルム1を介して外部接続端子102に、FPC端子113が圧着されると、各端子部102tと各端子部113tとは、幅方向Hにおいて端子部102t、113t毎に配列された導電性粒子3自体により、電気的に接続される。
【0088】
この際、上述したように、導電性粒子3は、幅方向Hにおいて、各端子部102t、各端子部113tと同じピッチに配列されていることにより、図3に示すように、導電性接着フィルム1の絶縁性接着材料2中において、端子部102tと端子部113tとが対向する位置以外には、導電性粒子3は位置していない。
【0089】
尚、各端子部102tと各端子部113tとは、図6に示すように、幅方向Hにおいて上述したように配列された導電性粒子3に熱が付与されることによって導電性粒子3が溶かされることによる共晶接合により、電気的に接続されていても構わない。
【0090】
具体的には、図7に示すように、導電性粒子3が、500℃以下の融点を有する半田、スズ等の金属粒子305から構成されている場合は、外部接続端子102に導電性接着フィルム1を介してFPC端子113が圧着された後、圧着の際の導電性接着フィルム1への熱の付与により、金属粒子305が溶けることにより、共晶接合により、各端子部102tと各端子部113tとは電気的に接続される。
【0091】
また、図8に示すように、導電性粒子3が、球状の樹脂301の外周に、500℃以下の融点を有する半田、スズ等の金属メッキ306が形成されて構成された樹脂コア粒子307から構成されている場合は、外部接続端子102に導電性接着フィルム1を介してFPC端子113が圧着された後、圧着の際の導電性接着フィルム1への熱の付与により、金属メッキ306が溶けることにより、共晶接合により、各端子部102tと各端子部113tとは電気的に接続される。
【0092】
次に、図3、図6に示した導電性接着フィルムの製造方法を、図9、図10を用いて説明する。図9は、所定の大きさにカットされた絶縁性接着材料のみから構成された導電性接着フィルムを示す平面図、図10は、図9の絶縁性接着材料中に、導電性粒子を、設定間隔を有して幅方向に沿って配列させた状態を示す平面図である。
【0093】
また、以下、図10においても、図面を簡略化するため、外部接続端子の端子部の個数を、図1よりも減らして示しているとともに、導電性粒子の個数も、外部接続端子の端子部の個数に合わせて、実際よりも減らして示している。
【0094】
図3、図6に示した導電性接着フィルム1を製造する際は、先ず、作業者は、図9に示すように、絶縁性接着材料2のみで構成された導電性接着フィルム1を、所定の大きさ、例えば導電性接着フィルム1を外部接続端子102に貼り付ける場合は、外部接続端子102の外形と略同じ大きさか、外部接続端子102の外形よりも若干大きな大きさに、幅方向Hに細長くカットする。
【0095】
次いで、作業者は、所定の大きさにカットされた導電性接着フィルム1の絶縁性接着材料2に対し、複数の導電性粒子3が、幅方向Hに沿って、設定間隔を有して配列されるよう、後述する手法により、複数の導電性粒子3を載置する載置工程を行う。
【0096】
具体的には、所定の大きさにカットされた導電性接着フィルム1の絶縁性接着材料2に対し、複数の導電性粒子3を、幅方向Hに沿って、外部接続端子102の各端子部102t及びFPC端子113の各端子部113tの幅方向Hにおける間隔Pと同じ設定間隔で載置する。
【0097】
より具体的には、例えば端子部102t、113tのpin数が500pinであって、各端子部102t、113tの幅Mが14μmの場合、各端子部102t間及び各端子部113t間は、幅方向Hにおいて、例えば50μmピッチで形成されているとしたが、この場合、絶縁性接着材料2に対して、500個の導電性粒子3を、50μmピッチで、幅方向Hに沿って載置していく。
【0098】
その結果、上述した図3、図6に示すように、絶縁性接着材料2中に、50μmピッチで導電性粒子3が幅方向Hに沿って配列された導電性接着フィルム1が形成される。
【0099】
次に、絶縁性接着材料2に対し、設定間隔に複数の導電性粒子3を載置する具体的な手法について、図11〜図15を用いて示す。図11は、ディスペンサを用いて、絶縁性接着材料に複数の導電性粒子を載置する手法を示す部分断面図、図12は、ボンディングツールに複数の導電性粒子が設定間隔を有して配列するよう各吸引孔から吸引する状態を示す斜視図、図13は、図12のボンディングツールの各吸引孔に吸引した複数の導電性粒子を、絶縁性接着材料に載置する手法を示す断面図である。
【0100】
また、図14は、インクジェット法により、絶縁性接着材料に複数の導電性粒子を載置する手法を示す断面図、図15は、マスクを用いた印刷により、絶縁性接着材料に複数の導電性粒子を載置する手法を示す部分断面図である。
【0101】
尚、図12〜図14においても、図面を簡略化するため、導電性粒子3の個数を実際よりも少なく示している。
【0102】
先ず、絶縁性接着材料2に対し、設定間隔を有して複数の導電性粒子3を載置する第1の手法としては、ディスペンサを用いた手法が挙げられる。
【0103】
具体的には、図11に示すように、既知のディスペンサ70を用いることにより、複数の導電性粒子3を、各端子部102t及び各端子部113tの幅方向Hの間隔Pと同じ間隔となるように、例えばディスペンサ70の動作位置をロボット等によって制御しながらノズル71から規定量の、例えば金属粒子302(図4参照)の吐出を行うことによって、絶縁性接着材料2に対して幅方向Hに沿って載置していけば、絶縁性接着材料2に対し、設定間隔Pを有して複数の導電性粒子3を載置することができる。
【0104】
次いで、絶縁性接着材料2に対し、設定間隔を有して複数の導電性粒子3を載置する第2の手法としては、BGA(Ball grid array)、CSP(Chip size package)等の電子部品のパッケージの製造方法を応用した手法が挙げられる。
【0105】
具体的には、図12に示すように、先ず、幅方向Hに沿って、上述した間隔Pと同じ間隔を有する吸引孔75hが形成された構造体であるボンディングツール75の各吸引孔75hに、所定の大きさ、例えば上述したように10μmの粒径Rを有する球状の導電性粒子3を吸い付ける。
【0106】
その後、図13に示すように、ボンディングツール75を、導電性接着材料2に対して押しつけ、各吸引孔75hからの吸引をやめれば、各吸引孔75hに吸引されていた各導電性粒子3を、設定間隔Pを有して絶縁性接着材料2に載置することができる。
【0107】
次いで、絶縁性接着材料2に対し、設定間隔Pを有して複数の導電性粒子3を載置する第3の手法としては、インクジェット法を用いた手法が挙げられる。
【0108】
具体的には、図14に示すように、幅方向Hに沿って、上述した間隔Pと同じ間隔を有する吐出孔80hが形成された液滴吐出手段であるインクジェットヘッド80の各吐出孔80hから、絶縁性接着材料2に対して、所定の大きさ、例えば上述したように10μmの粒径Rを有する球状の導電性粒子3を吐出することにより、絶縁性接着材料2に対し、設定間隔を有して複数の導電性粒子3を載置することができる。
【0109】
次いで、絶縁性接着材料2に対し、設定間隔Pを有して複数の導電性粒子3を載置する第4の手法としては、半田印刷を用いた手法が挙げられる。
【0110】
具体的には、図15に示すように、幅方向Hに沿って、上述した間隔Pと同じ間隔を有する所定の大きさ、例えば上述したように10μmの径を有する、端子部102tと同数の孔85hが形成されたマスク85を、絶縁性接着材料2に対して被せた後、絶縁性接着材料2に対して、各孔85hを介して、例えば金属材料を流し込む半田印刷と同等の手法を行うことにより、絶縁性接着材料2に対し、設定間隔Pを有して複数の導電性粒子3を載置することができる。
【0111】
尚、絶縁性接着材料2に対し、設定間隔に複数の導電性粒子3を載置する手法は、上述のものに限定されず、他の手法であっても構わない。
【0112】
次に、このように形成した導電性接着フィルム1を用いて、外部接続端子102にFPC112のFPC端子113を電気的に接続する手法について、図16を用いて示す。図16は、液晶パネルの外部接続端子上に導電性接着フィルムが貼着された状態を概略的に示す図である。
【0113】
尚、図16においても、図面を簡略化するため、外部接続端子の端子部の個数を、図1よりも減らして示しているとともに、導電性粒子の個数も外部接続端子の端子部に合わせて、実際よりも減らして示している。
【0114】
図10に示すように、絶縁性接着材料2に対して幅方向Hに沿って設定間隔Pを有して配列された複数の導電性粒子3を有する導電性接着フィルム1を用いて、外部接続端子102とFPC端子113とを電気的に接続する場合には、先ず、各導電性粒子3が、外部接続端子102の各端子部102t上のみに位置するよう、外部接続端子102に、位置精度良く導電性接着フィルム1を貼り付ける。尚、該貼り付けは、FPC端子113に対して、各導電性粒子3が、各端子部113t上のみに位置するよう行っても構わない。その結果、各導電性粒子3は、各端子部102t上のみに位置する。
【0115】
また、この際用いる導電性接着フィルム1は、絶縁性接着材料2に対して幅方向Hに沿って設定間隔Pを有して複数の導電性粒子3が配列されているものを購入してきて用いても構わないし、絶縁性接着材料2に対して幅方向Hに沿って設定間隔Pを有して複数の導電性粒子3が配列するよう、上述したように製造したものを用いても構わない。
【0116】
その後、図3、図6に示すように、導電性接着フィルム1を介して、FPC端子113を、外部接続端子102に対して、圧着により貼り付ける。具体的には、FPC端子113の各端子部113tが、導電性接着フィルム1を介して外部接続端子102の各端子部102tに、厚さ方向Tにおいて、それぞれ対向するよう圧着により貼り付ける。
【0117】
その結果、図3に示すように、外部接続端子102上に位置する各導電性粒子3自体により、各端子部102tと各端子部113tとは電気的に接続される。または、図6に示すように、外部接続端子102上に位置する各導電性粒子3が圧着の際の熱の付与によって溶かされることにより、共晶接合により、各端子部102tと各端子部113tとは電気的に接続される。
【0118】
尚、この際、上述したように、各導電性粒子3は、外部接続端子102の各端子部102tとFPC端子113の各端子部113tの幅方向Hにおける幅Mと略同じ粒径Rか、やや小さい粒径Rに形成されていることから、各一対の端子部102tと端子部113tとの間に、導電性粒子3が確実に、1つずつそれぞれ配置されるため、容易に第1の端子と第2の端子との接続信頼性が向上する。
【0119】
このように、本実施の形態においては、外部接続端子102に対して、FPC112のFPC端子113を電気的に接続する際、幅方向Hにおける、各端子部102t、113tの間隔Pと同じ設定間隔に、絶縁性接着材料2に対して複数の導電性粒子3が配列された導電性接着フィルム1を用いて行うと示した。
【0120】
このことによれば、導電性接着フィルム1を介して外部接続端子102とFPC端子113とが接着された際、厚さ方向Tにおける各端子部102tとFPC端子113の各端子部113tとの間の対向位置のみに、確実に導電性粒子3がそれぞれ配置されるため、容易に外部接続端子102とFPC端子113との接続信頼性が向上する。
【0121】
また、本実施の形態においては、導電性接着フィルム1を製造するに際し、所定の大きさに形成された導電性接着フィルム1の絶縁性接着材料2に対して、幅方向Hに沿って、複数の導電性粒子3が、各端子部102t、113tの幅方向Hにおける間隔Pと同じ設定間隔に配列されるよう、導電性粒子3を載置していくと示した。
【0122】
このことによれば、導電性粒子3を端子部102tと端子部113tとの電気的な接続に最低限必要な個数だけ絶縁性接着材料2に対し載置して導電性接着フィルム1を製造することから、外部接続端子102とFPC端子113との電気的な接続に、絶縁性接着材料2中に複数の導電性粒子3が高密度で拡散された汎用品の導電性接着フィルムを用いるよりも、製造コストの削減を図ることができる。
【0123】
また、絶縁性接着材料2に対する導電性粒子3の載置は、ディスペンサ70を用いた手法、電子部品のパッケージの製造方法を応用した手法、インクジェット法を用いた手法、印刷を用いた手法のいずれかにより行う例を示した。
【0124】
このことによれば、絶縁性接着材料2に対し、複数の導電性粒子3を、位置精度良く確実に設定間隔を有して配列させることができる。
【0125】
尚、以下、変形例を示す。本実施の形態においては、複数の導電性粒子3が設定間隔を有して幅方向Hに配列された導電性接着フィルム1を、外部接続端子102とFPC端子113との電気的な接続に用いると示した。即ち、第1の端子は、外部接続端子102であるとし、第2の端子は、FPC端子113であるとした。
【0126】
また、複数の導電性粒子3は、絶縁性接着材料2中において、外部接続端子102の端子部102tの端子の幅方向Hの間隔、及びFPC端子113の端子部113tの幅方向Hの間隔Pと同じ設定間隔を有して配列されていると示した。
【0127】
これに限らず、電子機器の他の第1の端子と第2の端子との電気的な接続に、本実施の形態の導電性接着フィルム1を用いても本実施の形態と同様の効果を得ることができる。尚、この場合、導電性接着フィルムには、複数の導電性粒子3の幅方向Hにおける設定間隔が、第1の端子及び第2の端子の幅方向Hの間隔と同じ間隔に設定されたものを用いれば良い。
【0128】
また、導電性接着フィルムを製造する場合には、複数の導電性粒子3の幅方向Hにおける設定間隔が、第1の端子及び第2の端子の幅方向Hの間隔と同じ設定間隔となるよう、複数の導電性粒子3を絶縁性接着材料2に対して載置すればよい。
【0129】
また、本実施の形態においては、接続対象としての外部接続端子102、FPC端子113は、各端子部102t、113tが、幅方向Hにおいて1列に並んだものを例に挙げて示したが、これに限らず、複数列に並んだものや、不規則に並んだものにも適用可能である。
【0130】
この場合、いずれかの端子102、113に対し導電性接着フィルムを貼り付けた際、端子部102tまたは端子部113t上のみに、導電性粒子3が位置するよう、導電性粒子3が配列されている導電性接着フィルムを用いれば、または上述のように配列されている導電性接着フィルムを製造すれば、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0131】
さらに、本実施の形態においては、対向する一対の端子部102tと端子部113tとの間には、図10に示すように、1個の導電性粒子3が位置すると示したが、導電性粒子3の粒径Rが10μmであるとし、端子部102t及び端子部113tの延在方向Eに対する幅Nが500μmであることを考慮すると、2個以上の導電性粒子3が、対向する一対の端子部102tと端子部113tとの間に位置することにより、2個以上の導電性粒子3により、端子部102tと端子部113tとの間を電気的に接続しても構わない。
【0132】
また、本実施の形態においては、各導電性粒子3は、設定間隔Pを有して絶縁性接着材料2中に配列されていると示した。また、各導電性粒子3を、絶縁性接着材料2に対して設定間隔Pを有して配列させると示した。
【0133】
これに限らず、設定間隔Pで、各導電性粒子3の密度が高い領域と各導電性粒子3の密度が低い領域とが交互に配列されるよう、各導電性粒子3は、絶縁性接着材料2中に配列されていても構わない。言い換えれば、上述した載置工程において各導電性粒子3を、絶縁性接着材料2中に配列させても構わない。
【0134】
即ち、導電性粒子3が設定密度で拡散された導電性接着フィルム1に対し、さらに、各導電性粒子3が、本実施の形態同様、設定間隔Pを有して絶縁性接着材料2中に配列されていても構わない。言い換えれば、上述した載置工程において、導電性粒子3を、設定間隔Pを有して導電性粒子3が設定密度で拡散された導電性接着フィルム1に対し配列させても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0135】
また、液晶パネルは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上述した液晶パネルは、TFT(薄膜トランジスタ)等のアクティブ素子(能動素子)を用いたアクティブマトリクス方式の液晶表示モジュールを例に挙げて説明したが、これに限らず、TFD(薄膜ダイオード)等のアクティブ素子(能動素子)を用いたアクティブマトリクス方式の液晶表示モジュールであっても構わない。
【0136】
さらに、本実施の形態においては、電気光学装置は、液晶装置を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、エレクトロルミネッセンス装置、特に、有機エレクトロルミネッセンス装置、無機エレクトロルミネッセンス装置等や、プラズマディスプレイ装置、FED(Field Emission Display)装置、SED(Surface−Conduction Electron−Emitter Display)装置、LED(発光ダイオード)表示装置、電気泳動表示装置、薄型のブラウン管または液晶シャッター等を用いた装置などの各種の電気光学装置に適用できる。
【0137】
また、電気光学装置は、半導体基板に素子を形成する表示用デバイス、例えばLCOS(Liquid Crystal On Silicon)等であっても構わない。LCOSでは、素子基板として単結晶シリコン基板を用い、画素や周辺回路に用いるスイッチング素子としてトランジスタを単結晶シリコン基板に形成する。また、画素には、反射型の画素電極を用い、画素電極の下層に画素の各素子を形成する。
【0138】
また、電気光学装置は、片側の基板の同一層に、一対の電極が形成される表示用デバイス、例えばIPS(In-Plane Switching)や、片側の基板において、絶縁膜を介して一対の電極が形成される表示用デバイスFFS(Fringe Field Switching)等であっても構わない。
【0139】
さらに、電子機器は、電気光学装置を例に挙げて示したが、他の装置であっても適用可能であるといったことは云うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】本実施の形態の導電性接着フィルムを用いた液晶装置における液晶パネルをFPCとともに示す平面図。
【図2】図1中のII-II線に沿って切断した液晶パネルをFPCとともに示す断面図。
【図3】図1中のIII-III線に沿った液晶パネル100の断面図。
【図4】図3の金属粒子から構成された導電性粒子を示す拡大断面図。
【図5】導電性粒子を樹脂コア粒子から構成した変形例を示す拡大断面図。
【図6】導電性粒子が溶けて、外部接続端子の端子部とFPC端子の端子部とが共晶接合により電気的に接続された状態を示す断面図。
【図7】金属粒子から構成された導電性粒子が溶けて、外部接続端子の端子部とFPC端子の端子部とが共晶接合により電気的に接続された状態を示す部分拡大断面図。
【図8】樹脂コア粒子から構成された導電性粒子の金属メッキが溶けて、外部接続端子の端子部とFPC端子の端子部とが共晶接合により電気的に接続された状態を示す部分拡大断面図。
【図9】所定の大きさにカットされた絶縁性接着材料のみから構成された導電性接着フィルムを示す平面図。
【図10】図9の絶縁性接着材料中に、導電性粒子を、設定間隔を有して幅方向に沿って配列させた状態を示す平面図。
【図11】ディスペンサを用いて、絶縁性接着材料に複数の導電性粒子を載置する手法を示す部分断面図。
【図12】ボンディングツールに複数の導電性粒子が設定間隔を有して配列するよう各吸引孔から吸引する状態を示す斜視図。
【図13】図12のボンディングツールの各吸引孔に吸引した複数の導電性粒子を、絶縁性接着材料に載置する手法を示す断面図。
【図14】インクジェット法により、絶縁性接着材料に複数の導電性粒子を載置する手法を示す断面図。
【図15】マスクを用いた印刷により、絶縁性接着材料に複数の導電性粒子を載置する手法を示す部分断面図。
【図16】液晶パネルの外部接続端子上に導電性接着フィルムが貼着された状態を概略的に示す図。
【符号の説明】
【0141】
1…導電性接着フィルム、2…絶縁性接着材料、3…導電性粒子、70…ディスペンサ、75…ボンディングツール(構造体)、75h…吸引孔(構造体)、80…インクジェットヘッド(液滴吐出手段)、100…液晶パネル(電子機器)、102…外部接続端子(第1の端子)、102t…端子部、113…FPC端子(第2の端子)、113t…端子部、301…樹脂、302…金属粒子、303…金属メッキ、304…樹脂コア粒子、305…金属粒子、306…金属メッキ、307…樹脂コア粒子、H…幅方向(第1の方向)、M…端子部の幅方向の幅、P…設定間隔(端子部の間隔)、R…導電性粒子の粒径、T…厚さ方向(第2の方向)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性接着材料中に複数の導電性粒子が分散された導電性接着フィルムであって、
前記各導電性粒子は、設定間隔を有して前記絶縁性接着材料中に配列されていることを特徴とする導電性接着フィルム。
【請求項2】
絶縁性接着材料中に複数の導電性粒子が分散された導電性接着フィルムであって、
設定間隔で、前記各導電性粒子の密度が高い領域と前記各導電性粒子の密度が低い領域とが交互に配列されていることを特徴とする導電性接着フィルム。
【請求項3】
前記導電性接着フィルムは、第1の端子と第2の端子との間を電気的に接続し、
前記第1の端子及び前記第2の端子は、それぞれ第1の方向に配列された複数の端子部から構成されているとともに、
前記設定間隔は、前記第1の方向における前記各端子部間の間隔に応じて設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の導電性接着フィルム。
【請求項4】
前記導電性粒子は、前記第1の端子及び前記第2の端子の前記各端子部の前記第1の方向における幅と略同じ粒径を有していることを特徴とする請求項3に記載の導電性接着フィルム。
【請求項5】
前記導電性粒子は、金属粒子から構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の導電性接着フィルム。
【請求項6】
前記導電性粒子は、樹脂に金属メッキが形成された樹脂コア粒子から構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の導電性接着フィルム。
【請求項7】
前記導電性粒子は、該導電性粒子自在が、前記第1の端子と前記第2の端子とを電気的に接続することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電性接着フィルム。
【請求項8】
前記導電性粒子は、熱の付与により溶かされて、共晶接合により前記第1の端子と前記第2の端子とを電気的に接続することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電性接着フィルム。
【請求項9】
絶縁性接着材料中に複数の導電性粒子が分散された導電性接着フィルムの製造方法であって、
前記各導電性粒子が設定間隔を有して前記絶縁性接着材料中に配列されるよう、前記各導電性粒子を、前記絶縁性接着材料に対して載置する載置工程を具備することを特徴とする導電性接着フィルムの製造方法。
【請求項10】
絶縁性接着材料中に複数の導電性粒子が分散された導電性接着フィルムの製造方法であって、
設定間隔で、前記各導電性粒子の密度が高い領域と前記各導電性粒子の密度が低い領域とが交互に配列されるよう、前記各導電性粒子を、前記絶縁性接着材料に対して載置する載置工程を具備することを特徴とする導電性接着フィルムの製造方法。
【請求項11】
前記第1の端子及び前記第2の端子は、それぞれ第1の方向に配列された複数の端子部から構成されており、
前記載置工程における前記絶縁性接着材料に対する前記各導電性粒子の前記設定間隔を有した載置を、前記第1の方向における前記各端子部の間隔に応じて行うことを特徴とする請求項9または10に記載の導電性接着フィルムの製造方法。
【請求項12】
前記載置工程における前記導電性粒子の載置を、ディスペンサを用いて行うことを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の導電性接着フィルムの製造方法。
【請求項13】
前記載置工程における前記導電性粒子の載置を、前記設定間隔毎に吸引孔が形成された構造体に前記導電性粒子を吸い付けて、該吸い付けた前記導電性粒子を前記構造体から前記絶縁性接着材料に対して載置していく、電子部品のパッケージ製造手法を用いて行うことを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の導電性接着フィルムの製造方法。
【請求項14】
前記載置工程における前記導電性粒子の載置を、液滴吐出手段を用いて行うことを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の導電性接着フィルムの製造方法。
【請求項15】
前記載置工程における前記導電性粒子の載置を、印刷により行うことを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の導電性接着フィルムの製造方法。
【請求項16】
請求項1〜8のいずれかに記載の導電性接着フィルムが、前記第1の端子と前記第2の端子との電気的な接続に用いられたことを特徴とする導電性接着フィルムを用いた電子機器。
【請求項17】
絶縁性接着材料中に複数の導電性粒子が、設定間隔を有して配列されて分散された導電性接着フィルムを、第1の端子と第2の端子との電気的な接続に用いたことを特徴とする導電性接着フィルムを用いた電子機器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−191185(P2009−191185A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−34119(P2008−34119)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】