説明

導電性有機ポリマーと複数のナノ粒子とを含有するバッファー層を含むデバイス

【課題】 本発明は、エレクトロルミネセンスデバイスでの使用のための高抵抗バッファー層や、マイクロエレクトロニクス用途向けの改善された特性を有する有機電子デバイスを提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明は、導電性ポリマーと、そこに分散した複数のナノ粒子とを含む抵抗バッファー層を含むことを特徴とする有機電子デバイスであって、
前記ナノ粒子が、有機ポリアクリル酸、カーボンナノチューブ、およびコロイド形成スルホン酸ナノ粒子ならびに、これらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする有機電子デバイスである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイスの製造での導電性有機ポリマーの使用に関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本件出願は2003年9月24日出願の米国特許出願第10/669,422号明細書の一部継続出願である2003年9月25日出願の米国特許出願第10/670,670号明細書の一部継続出願であり、2002年9月24日出願の米国仮特許出願第60/413,114号の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0003】
導電性有機ポリマーはそもそも20年以上前に研究者たちの注目を集めた。通常の導電性材料(例えば、金属、半導体金属酸化物)と比較してこれらのポリマーによってもたらされた関心は、主として、軽量、柔軟性、耐久性、および加工の潜在的容易さのような因子のためであった。今日までに最も商業的に成功した導電性有機ポリマーは、様々な商品名で市販されているポリアニリンおよびポリチオフェンである。これらの材料は、例えば、「ポリチオフェン分散物、それらの製造およびそれらの使用(Polythiophene dispersions,their production and their use)」という表題の米国特許公報(特許文献1)に記載されているように、ポリ(スチレンスルホン酸)(PSS)のような水溶性ポリマー酸の存在下に水性溶液中でアニリンまたはジオキシチオフェンモノマーを重合させることによって製造することができる。発光ディスプレイでの使用のためのエレクトロルミネセンス(EL)デバイスと電極としての使用のための薄膜電界効果トランジスタとの最近の進展は、導電性有機ポリマーに新規分野の関心をもたらしてきた。導電性有機ポリマーを含有する有機発光ダイオード(OLED)のようなELデバイスは一般に次の構造を有する。
陽極/バッファー層/EL材料/陰極
【0004】
陽極は典型的には、例えば、インジウム/酸化錫(ITO)のようなEL材料へ正孔を注入する能力を有する任意の材料である。陽極は場合によりガラスまたはプラスチック基材上に支持される。EL材料には、蛍光染料、蛍光およびリン光性金属錯体、共役ポリマー、ならびにそれらの混合物が含まれる。陰極は典型的には、CaまたはBaのような、EL材料へ電子を注入する能力を有する任意の材料である。
【0005】
緩衝層は、典型的には、陽極からELポリマー層への正孔の注入を容易にする導電性有機ポリマーである。緩衝層はまた正孔注入層、正孔輸送層と呼ばれることもできる、または二層陽極の部分として特徴付けられるかもしれない。緩衝層として使用される典型的な水分散性の導電性有機ポリマーは、ポリアニリン(「PAni」)のエメラルド色塩形またはポリマースルホン酸でドープされたポリマー・ジオキシアルキレンチオフェンである。
【0006】
バッファー層は、電荷移動を容易にするために多少の導電性を持たなければならないが、一般に公知の水性ポリアニリンまたはポリチオフェン分散物に由来するバッファー層フィルムの最高の導電率は一般には約10−3S/cmの範囲にある。導電率は必要なものよりも約3桁高い。実際に、陽極線(またはピクセル)間のクロストークを防ぐために、バッファー層の導電率は、かかるバッファー層を含有するデバイスの発光特性に悪影響を及ぼすことなく約10−6S/cmまで最小限にされるべきである。例えば、商業的に入手可能な水性ポリ(エチレンジオキシチオフェン)(「PEDT」)分散物、独国レーベルクーセンのエッチ.シー.スターク有限責任会社(H.C.Starck,GmbH,Leverkusen,Germany)製のバイトロン(Baytron)(登録商標)−P VP AI4083から製造されたフィルムは約10−3S/cmの導電率を有する。これは余りにも高くてピクセル間のクロストークを避けられない。従って、エレクトロルミネセンスデバイスでの使用のための高抵抗バッファー層に対するニーズがある。また、マイクロエレクトロニクス用途向けの改善された特性に対するニーズもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,300,575号明細書
【特許文献2】欧州特許出願第1 026 152 A1号明細書
【特許文献3】米国特許第3,282,875号明細書
【特許文献4】米国特許第4,358,545号明細書
【特許文献5】米国特許第4,940,525号明細書
【特許文献6】米国特許第3,282,875号明細書
【特許文献7】米国特許第4,433,082号明細書
【特許文献8】米国特許第6,150,426号明細書
【特許文献9】国際公開第03/006537号パンフレット
【特許文献10】国際公開第02/02714号パンフレット
【特許文献11】米国特許出願公開第2001/0019782号明細書
【特許文献12】欧州特許第1191612号明細書
【特許文献13】国際公開第02/15645号パンフレット
【特許文献14】欧州特許第1191614号明細書
【特許文献15】米国特許第6,303,238号明細書
【特許文献16】国際公開第00/70655号パンフレット
【特許文献17】国際公開第01/41512号パンフレット
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Current Applied Physics、2000(No.2)、339〜343ページ
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
少なくとも1つの導電性有機ポリマーと複数の少なくとも1種のナノ粒子との水性分散物を含む新規組成物が提供される。本新規組成物は電子デバイスでのフィルムを提供することができる。
【0010】
一実施形態では、本新規組成物を含む少なくとも1つの層を含む電子デバイスが提供される。
【0011】
前述の一般的な説明および次の詳細な説明は、添付の特許請求の範囲に定義されるように、本発明について模範的で説明的なものであるにすぎず、本発明を限定するものではない。
【0012】
本発明は、一例として例示され、添付図に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本新規組成物を含むバッファー層を含む電子デバイスの断面図を例示する。
【図2】本新規組成物を含む電極を含む薄膜電界効果トランジスタの断面図を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
少なくとも1つの導電性有機ポリマーと複数の少なくとも1種のナノ粒子との水性分散物を含む組成物が提供される。
【0015】
本明細書で用いるところでは、用語「分散物」は微粒子の懸濁を含有する連続液体媒体を意味する。「連続媒体」は水性液体を含む。本明細書で用いるところでは、用語「水性」はかなりの部分の水を有する液体を意味し、一実施形態ではそれは少なくとも約40重量%の水である。本明細書で用いるところでは、用語「ナノ粒子」は約1000ナノメートル(nm)未満のサイズを有する粒子を意味する。本新規組成物によるナノ粒子は無機または有機であり得る。本明細書で用いるところでは、用語「無機」は、ナノ粒子が実質的に炭素なしであることを意味する。本明細書で用いるところでは、用語「有機」は、ナノ粒子が実質的に炭素よりなることを意味する。本明細書で用いるところでは、用語「コロイド」は連続媒体中に懸濁された微粒子であって、ナノメートル−スケールの粒度を有する微粒子を意味する。本明細書で用いるところでは、用語「コロイド形成」は水性溶液に分散された時に微粒子を形成する物質を意味し、すなわち、「コロイド形成」ポリマー酸は水溶性ではない。
【0016】
一実施形態では、本新規組成物は沈着されて導電性または半導体層を形成し、それは、電極、電気活性素子、光活性素子、または生物活性素子として、単独で、または他の電気活性材料と組み合わせて使用される。本明細書で用いるところでは、用語「電気活性素子」、「光活性素子」および「生物活性素子」は電磁場、電位、太陽エネルギー放射、および生物刺激場のような刺激に反応して言及された活性を示す素子を意味する。
【0017】
一実施形態では、本新規組成物は沈着されて電子デバイス中のバッファー層を形成する。用語「バッファー層」は本明細書で用いるところでは、陽極と活性有機材料との間に使用することができる導電性層または半導体層を意味することを意図される。バッファー層は、有機電子デバイスの性能を手助けするためのまたは改善するための他の態様のうち、下位層の分極、正孔輸送、正孔注入、酸素および金属イオンのような不純物の捕捉を含むが、それらに限定されない、1つまたは複数の機能を有機電子デバイスで成し遂げると考えられる。
【0018】
用語「層」または「フィルム」は所望の区域をカバーするコーティングを意味する。該区域は、全体デバイスほどに大きい、もしくは有機発光ディスプレイの製造で用いられる時に実際の目に見えるディスプレイ区域のような特定の機能区域ほどに小さい、または単一サブピクセルほどに小さいものであることができる。フィルムは、蒸着および液着をはじめとする、任意の通常の沈着技法によって形成することができる。典型的な液着技法には、スピンコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、スロット−ダイコーティング、スプレーコーティング、および連続ノズルコーティングのような連続沈着技法、ならびにインクジェット印刷、グラビア印刷、およびスクリーン印刷のような不連続沈着技法が含まれるが、それらに限定されない。
【0019】
本新規組成物を含む1つまたは複数の層を有することから恩恵を受けるかもしれない他の有機電子デバイスには、(1)電気エネルギーを放射線に変換するデバイス(例えば、発光ダイオード、発光ダイオードディスプレイ、またはダイオードレーザー)、(2)エレクトロニクスプロセスにより信号を検出するデバイス(例えば、光検出器、光導電セル、フォトレジスター、光スイッチ、フォトトランジスタ、光電管、IR検出器)、(3)放射線を電気エネルギーに変換するデバイス(例えば、光起電装置または太陽電池)、および(4)1つまたは複数の有機半導体層を含む1つまたは複数の電子部品を含むデバイス(例えば、トランジスタまたはダイオード)が含まれる。本新規組成物の他の用途には、記憶装置用のコーティング材、帯電防止フィルム、バイオセンサー、エレクトロクロミック素子、固体電解質コンデンサ、再充電可能なバッテリーのようなエネルギー蓄積装置、および電磁遮蔽材が含まれる。
【0020】
本明細書で用いるところでは、用語「含む」、「含んでいる」、「含まれる」、「はじめとする」、「有する」、「有している」またはそれらの任意の他の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図される。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、もしくは装置は、それらの要素のみに必ずしも限定されず、はっきりとリストされないまたはかかるプロセス、方法、物品、もしくは装置に固有の他の要素を含んでもよい。さらに、反対の旨が特にはっきりと述べられない限り、「または」は、包括的なまたはを意味し、排他的なまたはを意味しない。例えば、条件AまたはBは次の任意の1つによって満たされる:Aは真実であり(または存在し)そしてBは誤りである(または存在しない)、Aは誤りであり(または存在せず)そしてBは真実である(または存在する)、ならびにAおよびBの両方とも真実である(または存在する)。
【0021】
また、「a」または「an」の使用は、本発明の要素および構成要素を記載するために用いられる。これは、便宜上および本発明の一般的な意味を与えるためにのみ行われる。この記載は、1つまたは少なくとも1つおよび単数形を含むと読まれるべきであり、また、それが別なふうに意味されることが明らかでない限り複数形も含む。
【0022】
一実施形態では、無機または有機ナノ粒子を含有するバッファー層は、かかるナノ粒子なしのバッファー層よりもはるかに低い導電率を有する。一実施形態では、エレクトロルミネセンス(EL)デバイス中へ組み込まれた時に、本新規組成物によるバッファー層は、ELデバイスの改善された効率および応力寿命に貢献しながら高い抵抗を提供する。
【0023】
本新規組成物の別の実施形態に従って、本新規組成物を含むバッファー層は、有機電子デバイスの改善された性能のためにより塩基性レベルに調整されているpHを有する。
【0024】
本新規組成物の別の実施形態に従って、本新規組成物から沈着されたバッファー層を含むエレクトロルミネセンスデバイスであって、改善されたデバイス効率および応力寿命を有するデバイスが提供される。
【0025】
本新規組成物のさらなる実施形態に従って、導電性ポリマーの水性分散物から基材上に付着された導電性有機ポリマーフィルムの導電率を下げるための方法であって、水性分散物に複数のナノ粒子を添加する工程を含む方法が提供される。
【0026】
本新規組成物のもっとさらなる実施形態では、増加した厚さを有するバッファー層の製造方法であって、導電性有機ポリマーの水性分散物に複数のナノ粒子を添加する工程と、バッファー層を前記水性分散物から基材上に付着させる工程とを含む方法が提供される。
【0027】
別の実施形態では、本新規組成物は高導電性ナノ粒子をさらに含む。かかる組成物は、電極などとして薄膜トランジスタに有用であり得る。高導電性ナノ粒子には、カーボンナノチューブ、グラファイト化ナノファイバー、グラファイト化カーボンナノ粒子、金属ナノ粒子、金属ナノワイヤーなどが含まれるが、それらに限定されない。本新規組成物のさらに別の実施形態では、新規組成物水性分散物から沈着された薄膜電界効果トランジスタ電極が提供される。
【0028】
本新規組成物のもっとさらなる実施形態では、水性分散物から基材上に付着された薄膜電界効果トランジスタ電極の導電率を上げるための方法が提供される。
【0029】
別の実施形態では、本新規組成物は圧電性、焦電性、または強誘電性酸化物ナノ粒子もしくはポリマー、光導電性酸化物ナノ粒子もしくはポリマーから選択された少なくとも1つをさらに含む。
【0030】
別の実施形態では、本新規組成物は、少なくとも1つの分散剤をさらに含む少なくとも1つの有機または無機ナノ粒子を含む水性導電性ポリマー分散物をさらに含む。
【0031】
本新規組成物は典型的には、その中に少なくとも1つの導電性有機ポリマーが分散されている連続水相を含有する。一実施形態では、導電性有機ポリマーはポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、およびそれらの組合せから選択される。
【0032】
本新規組成物での使用を考慮されるポリアニリンには、例えば、ポリマーを導電性にするために酸/塩基塩を形成することができるポリアニリンのすべての形(例えば、ロイコエメラルド色、エメラルド色、ニグラニリン(nigraniline)、およびそれらの混合物)が含まれる。酸化の程度に依存して、ポリアニリンポリマーの異なる形を合成できることは周知である。ポリアニリン(「PAni」)は、一般に、下の式Iにおけるような、芳香族アミン窒素原子、および/または下の式IIにおけるような、芳香族イミン窒素原子を有するモノマー単位よりなるとして記載することができる。
【0033】
【化1】

【0034】
【化2】

【0035】
式中、
nは0〜4の整数であり、そして
Rは、各出現で同じまたは異なるものであるように独立して選択され、アルキル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルカノイル、アルキルチオ、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリール、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、カルボン酸、ハロゲン、シアノ、または1つまたは複数のスルホン酸、カルボン酸、ハロ、ニトロ、シアノもしくはエポキシ部分で置換されたアルキルから選択され、あるいは任意の2つのR基は一緒になって、その環が場合により1つまたは複数の二価の窒素、硫黄もしくは酸素原子を含んでもよい3、4、5、6、もしくは7員環の芳香族もしくは脂環式環を完成するアルキレンもしくはアルケニレン鎖を形成してもよい。
【0036】
式IおよびIIは非プロトン化形のモノマー単位を示すが、酸(ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)(「PAAMPSA」)、ポリ(スチレンスルホン酸)(PSS)などのような)の存在下では、塩基性窒素原子はプロトン化されて塩を形成するであろう。イミン窒素原子対アミン窒素原子の相対的比率は、増加する酸化と共に増加する。一実施形態では、ポリアニリンは、式Iを有するモノマー単位対式IIを有するものの比が2:1である、エメラルド色塩基形である。この実施形態では、アミン窒素原子対イミン窒素原子の比は1:1である。
【0037】
本新規組成物のポリアニリンはホモポリマーであることができ、またはそれらは2つ以上のアニリンモノマーの共重合体であることができる。
【0038】
別の実施形態では、導電性有機ポリマーはポリチオフェン(「PTh」)である。本新規組成物での使用を考慮されるポリチオフェンは下の式IIIを含む。
【0039】
【化3】

【0040】
式中、
は、各出現で同じまたは異なるものであるように独立して選択され、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキルチオ、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリール、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、シロキサン、アルコール、アミドスルホネート、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、スルホネート、スルホネート、およびウレタンから選択され、あるいは両R基は一緒になって、その環が場合により1つまたは複数の二価の窒素、硫黄もしくは酸素原子を含んでもよい3、4、5、6、もしくは7−員環の芳香族もしくは脂環式環を完成するアルキレンもしくはアルケニレン鎖を形成してもよく、そして
nは少なくとも約4である。
【0041】
一実施形態では、両Rは一緒になって−O−(CHY)−O−(式中、mは2または3であり、Yは各出現で同じまたは異なるものであり、水素、アルキル、アルコール、アミドスルホネート、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、スルホネート、スルホネート、およびウレタンから選択される)を形成する。一実施形態では、すべてのYは水素である。一実施形態では、ポリチオフェンはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である。一実施形態では、少なくとも1つのY基は水素ではない。一実施形態では、少なくとも1つのY基は、少なくとも1つの水素についてF置換された置換基である。一実施形態では、少なくとも1つのY基はパーフッ素化されている。
【0042】
一実施形態では、ポリチオフェンはポリ[(スルホン酸−プロピレン−エーテル−メチレン−3,4−ジオキシエチレン)チオフェン]である。一実施形態では、ポリチオフェンはポリ[(プロピル−エーテル−エチレン−3,4−ジオキシエチレン)チオフェン]である。
【0043】
本新規組成物のポリチオフェンはホモポリマーであることができ、またはそれらは2つ以上のチオフェンモノマーの共重合体であることができる。
【0044】
別の実施形態では、導電性有機ポリマーはポリピロール(「PPy」)である。本新規組成物での使用を考慮されるポリピロ−ルは下の式IVを含む。
【0045】
【化4】

【0046】
式中、
nは少なくとも約4であり、
は、各出現で同じまたは異なるものであるように独立して選択され、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキルチオ、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリール、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、シロキサン、アルコール、アミドスルホネート、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、スルホネート、スルホネート、およびウレタンから選択され、あるいは両R基は一緒になって、その環が場合により1つまたは複数の二価の窒素、硫黄もしくは酸素原子を含んでもよい3、4、5、6、もしくは7員環の芳香族もしくは脂環式環を完成するアルキレンもしくはアルケニレン鎖を形成してもよく、そして
は各出現で同じまたは異なるものであるように独立して選択され、水素、アルキル、アルケニル、アリール、アルカノイル、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、エポキシ、シラン、シロキサン、アルコール、アミドスルホネート、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、スルホネート、およびウレタンから選択される。
【0047】
一実施形態では、Rは各出現で同じまたは異なるものであり、独立して水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコール、アミドスルホネート、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、スルホネート、ウレタン、エポキシ、シラン、シロキサン、および1つまたは複数のスルホン酸、カルボン酸、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、またはシロキサン部分で置換されたアルキルから選択される。
【0048】
本新規組成物のポリピロールはホモポリマーであることができ、またはそれらは2つ以上のピロールモノマーの共重合体であることができる。
【0049】
本明細書で用いるところでは、用語「アルキル」は脂肪族炭化水素に由来する基を意味し、非置換または置換であってもよい線状、分岐および環式基を含む。用語「ヘテロアルキル」は、アルキル基内の炭素原子の1つまたは複数が窒素、酸素、硫黄などのような別の原子によって置換されたアルキル基を意味することを意図される。用語「アルキレン」は2ポイントの結合を有するアルキル基を意味する。
【0050】
本明細書で用いるところでは、用語「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する脂肪族炭化水素に由来する基を意味し、非置換または置換であってもよい線状、分岐および環式基を含む。用語「ヘテロアルケニル」は、アルケニル基内の炭素原子の1つまたは複数が窒素、酸素、硫黄などのような別の原子によって置換されたアルケニル基を意味することを意図される。用語「アルケニレン」は2ポイントの結合を有するアルケニル基を意味する。
【0051】
本明細書で用いるところでは、置換基についての次の用語は、下に与えられる式を意味する。
「アルコール」 −R−OH
「アミドスルホネート」 −R−C(O)N(R)R−SO
「ベンジル」 −CH−C
「カルボキシレート」 −R−C(O)O−Z
「エーテル」 −R−O−R
「エーテルカルボキシレート」 −R−O−R−C(O)O−Z
「エーテルスルホネート」 −R−SO
「スルホネート」 −R−O−R−SO
「ウレタン」 −R−O−C(O)−N(R
ここで、すべての「R」基は各出現で同じまたは異なるものであり、そして
は単結合またはアルキレン基であり、
はアルキレン基であり、
はアルキル基であり、
は水素またはアルキル基であり、
Zは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、N(RまたはRである。
上の基のいかなるものもさらに非置換または置換であってもよく、いかなる基も、パーフッ素化基をはじめとする、Fが1つまたは複数の水素に置換されていてもよい。
【0052】
一実施形態では、本新規組成物および方法に使用される導電性有機ポリマーは典型的には水溶性酸を含有する水性溶液で相当するモノマーを酸化重合させることによって製造される。一実施形態では、該酸は、ポリ(スチレンスルホン酸)(「PSSA」)、またはポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)(「PAAMPSA」)、およびそれらの混合物のような、水溶性ポリマー酸である。酸化重合は、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物のような酸化剤を使用して実施される。従って、例えば、アニリンがPAAMPSAの存在下に酸化重合される時には、導電性酸/塩基塩PAni/PAAMPSAが形成される。エチレンジオキシチオフェン(EDT)がPSSAの存在下に酸化重合される時には、導電性ポリ(エチレンジオキシチオフェン)(「PEDT」)/PSSが形成される。PEDTの共役主鎖は部分酸化され、正に帯電する。PSSAの一部は、正に帯電したPEDT主鎖とバランスするために対アニオンとして作用する。酸化重合したポリピロールもまた、酸アニオンによってバランスされている正電荷を有する。
【0053】
一実施形態では、水性溶液はまた、過硫酸アンモニウムなどより高い酸化ポテンシャルを有する、硫酸第二鉄、塩化第二鉄などのような重合触媒を含むこともできる。重合は典型的には、低温、例えば、−10℃〜30℃で実施される。重合反応の完了後に、ポリマーは場合により、ポリマーにとっての非溶媒、例えば、アセトンなどを使用して水性分散物からの沈殿によって単離される。導電性有機ポリマーが単離される時、材料は約1000nm未満のサイズを有するポリマー粒子を生み出すために典型的には精緻化される。一実施形態では、ポリマー粒子は約500nm未満である。別の実施形態では、ポリマー粒子は約50nm未満である。単離された導電性有機ポリマー粒子は次にナノ粒子の水性分散物と直接組み合わされるか、導電性有機ポリマー粒子はナノ粒子の水性分散物との組合せの前に水に再分散されるかのどちらかである。
【0054】
別の実施形態では、水性導電性ポリマー分散物は、ナノ粒子を予め分散させることなくナノ粒子と直接組み合わせることができる。
【0055】
別の実施形態では、本新規組成物は、ポリマー酸コロイド以外に、ナノ粒子の存在下に実施される酸化重合によって製造され、それによって導電性有機ポリマーを単離することなく水性分散物を製造する。例えば、ナノ粒子はアニリンモノマーを含有する水性溶液に添加されてもよく、それによって分散物を形成する。次に酸化剤を加えてナノ粒子の存在下にモノマーを重合させることができる。酸化剤には、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモンニウム、およびそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。本発明のこの実施形態は水性分散物を「ワンポット」合成で提供するので、それは経済的に魅力的である。どちらかの方法によって製造された本新規組成物の水性分散物は、例えば、ミレックス(Millex)0.45μmのHVフィルターを通して、容易に濾過されるという利点を提供する。こうして、新規組成物水性分散物は連続の滑らかなフィルムを容易に提供する。
【0056】
本新規組成物は、少なくとも1つの共分散液体もしくは少なくとも1つの共酸、またはそれらの混合物をさらに含んでもよい。
【0057】
共酸はHCl、硫酸のような無機酸、または酢酸、p−トルエンスルホン酸のような有機酸であることができる。あるいはまた、共酸はポリ(スチレンスルホン酸)のような水溶性ポリマー酸であることができる。共酸の組合せを使用することができる。
【0058】
共酸は、重合のいかなる時点でもまたは重合後のいかなる時点でも本新規組成物の製造中に添加することができる。
【0059】
好適な共分散液体には、エーテル、アルコール、アルコールエーテル、環式エーテル、ケトン、ニトリル、スルホキシド、アミド、およびそれらの組合せが含まれる。一実施形態では、共分散液体は少なくとも1つのアルコールを含む。一実施形態では、共分散液体は、n−プロパノール、イソプロパノール、t−ブタノール、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、およびそれらの混合物から選択された少なくとも1つの有機溶媒を含む。
【0060】
一実施形態では、共分散液体の量は約60容量%未満である。一実施形態では、共分散液体の量は約60容量%未満である。一実施形態では、共分散液体の量は約5〜50容量%である。
【0061】
共分散液体は、本新規組成物を製造するプロセスの任意の時点で組成物に添加することができる。
【0062】
一実施形態では、立体安定化剤または分散剤のような有機添加物が場合により酸化重合の前に水性溶液に添加されてもよい。これらの添加物は、ナノメートルサイズの粒子を有する導電性有機ポリマーの形成を容易にする。有機添加物には、例えば、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリ(2−ビニルピリジン)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルブチラール)、およびそれらの混合物が含まれる。他の添加剤には、染料、コーティング助剤、導電性インクおよびペースト、電荷移動材料、ならびに上記のすべてと下記のポリマー酸との混合物が含まれる。
【0063】
本新規組成物での使用を考慮されるナノ粒子は無機か有機かのどちらかであり得る。本新規組成物での使用を考慮される無機ナノ粒子には、アルミナ、シリカ、金属ナノ粒子、金属ナノワイヤー、半導電性金属酸化物もしくは絶縁性金属酸化物、圧電性、焦電性、または強誘電性酸化物ナノ粒子、光導電性酸化物ナノ粒子、ならびにそれらの混合物が含まれる。一実施形態では、半導電性金属酸化物は、アンチモン酸亜鉛などのような混合原子価金属酸化物から選択される。別の実施形態では、金属ナノ粒子はモリブデン・ナノ粒子である。本新規組成物での使用を考慮される有機ナノ粒子には、ポリマー酸コロイド粒子、カーボンナノ粒子、コロイド状スルホン酸(パーフルオロエチレンスルホネートなどのような)、コロイド状ポリアクリレート、コロイド状ポリホスホネート、コロイド状ポリホスフェート、カーボンナノチューブ、カーボンナノ粒子、グラファイト化カーボンナノ粒子、グラファイト化カーボンナノファイバー、圧電性ポリマー、焦電性ポリマー、強誘電性ポリマー、光導電性ポリマーおよびそれらの混合物が含まれる。
【0064】
一実施形態では、ナノ粒子はポリマー酸コロイド粒子である。コロイド形成ポリマー酸は典型的には約10,000〜約4,000,000の範囲の分子量を有する。一実施形態では、ポリマー酸は約100,000〜約2,000,000の分子量を有する。ポリマー酸コロイド粒度は典型的には2ナノメートル(nm)〜約140nmの範囲である。一実施形態では、本組成物は約2nm〜約30nmの粒度を有するポリマー酸コロイド粒子を含む。
【0065】
いかなるコロイド形成ポリマー酸も本新規組成物での使用に好適である。一実施形態では、ポリマー酸コロイドは、ポリマースルホン酸、ポリマーリン酸、ポリマーホスホン酸、ポリマーカルボン酸、ポリマーアクリル酸、およびそれらの混合物から選択された少なくとも1つの酸からのコロイドを含む。一実施形態では、少なくとも1つのポリマー酸はフッ素化されている。別の実施形態では、本新規組成物は少なくとも1つのパーフッ素化されたポリマースルホン酸、ポリマーアクリル酸、およびそれらの混合物を含む。別の実施形態では、ポリマースルホン酸はフッ素化されている。さらに別の実施形態では、コロイド形成ポリマースルホン酸はパーフッ素化されている。さらに別の実施形態では、コロイド形成ポリマースルホン酸はパーフルオロアルキレンスルホン酸を含む。
【0066】
さらに別の実施形態では、コロイド形成ポリマー酸は、高度にフッ素化されたスルホン酸ポリマー(「FSAポリマー」)を含む。「高度にフッ素化された」は、ポリマー中のハロゲンおよび水素原子の総数の少なくとも約50%、一実施形態では少なくとも約75%、そして別の実施形態では少なくとも約90%がフッ素原子であることを意味する。一実施形態では、ポリマーはパーフッ素化されている。用語「スルホネート官能基」は、スルホン酸基かスルホン酸基の塩かのどちらか、そして一実施形態では、アルカリ金属塩またはアンモニウム塩を意味する。官能基は式−SOX(ここで、Xは「対イオン」としても知られるカチオンである)で表される。XはH、Li、Na、KまたはN(R)(R)(R)(R)であってもよく、R、R、R、およびRは同じまたは異なるものであり、一実施形態ではH、CHまたはCである。別の実施形態では、XはHであり、そのケースではポリマーは「酸形」にあると言われる。Xはまた、Ca++およびAl+++のようなイオンで表されるような多価であってもよい。一般にMn+で表される多価対イオンのケースでは、対イオン当たりのスルホネート官能基の数は価数「n」に等しいであろうことは当業者には明らかである。
【0067】
一実施形態では、FSAポリマーは、主鎖に結合した繰り返し側鎖であって、カチオン交換基を有する側鎖を持ったポリマー主鎖を含む。ポリマーには、ホモポリマーまたは2つ以上のモノマーの共重合体が含まれる。共重合体は典型的には、非官能性モノマーと、カチオン交換基または後でスルホネート官能基に加水分解することができるその前駆体、例えば、スルホニルフルオリド基(−SOF)を有する第2モノマーとから形成される。例えば、第1フッ素化ビニルモノマーとスルホニルフルオリド基(−SOF)を有する第2フッ素化ビニルモノマーとの共重合体を使用することができる。可能な第1モノマーには、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、およびそれらの組合せが含まれる。TFEが好ましい第1モノマーである。
【0068】
他の実施形態では、1つの他のモノマーには、スルホネート官能基またはポリマー中に所望の側鎖を提供することができる前駆体基付きのフッ素化ビニルエーテルが含まれる。エチレン、プロピレン、およびR−CH=CH(ここで、Rは1〜10個の炭素原子のパーフッ素化アルキル基である)をはじめとする追加のモノマーを、必要ならばこれらのポリマー中へ組み込むことができる。ポリマーは、ポリマー鎖に沿ったモノマー単位の分布がそれらの相対的濃度および相対的反応性に従うように、コモノマーの相対的濃度ができるだけ一定に保たれる重合によって製造された共重合体である、本明細書でランダム共重合体と言われるタイプのものであってもよい。重合の過程でモノマーの相対的濃度を変えることによって製造された、それほどランダムでない共重合体もまた使用されてもよい。(特許文献2)に開示されているもののような、ブロック共重合体と呼ばれるタイプのポリマーもまた使用されてもよい。
【0069】
一実施形態では、本新規組成物での使用のためのFSAポリマーには、高度にフッ素化された、そして一実施形態ではパーフッ素化された炭素主鎖と式
−(O−CFCFR−O−CFCFR’SO
で表される側鎖とが含まれる。
式中、RおよびR’は独立してF、Clまたは1〜10個の炭素原子を有するパーフッ素化アルキル基から選択され、a=0、1または2であり、XはH、Li、Na、KまたはN(R)(R)(R)(R)であり、そしてR、R、R、およびRは同じまたは異なるものであり、一実施形態ではH、CHまたはCである。別の実施形態では、XはHである。上に述べられたように、Xはまた多価であってもよい。
【0070】
一実施形態では、FSAポリマーには、例えば、米国特許公報(特許文献3)にならびに米国特許公報(特許文献4)および米国特許公報(特許文献5)に開示されているポリマーが含まれる。好ましいFSAポリマーの例は、パーフルオロカーボン主鎖と式
−O−CFCF(CF)−O−CFCFSO
(ここで、Xは上に定義されたようなものである)
で表される側鎖とを含む。このタイプのFSAポリマーは米国特許公報(特許文献6)に開示されており、テトラフルオロエチレン(TFE)とパーフッ素化ビニルエーテルCF=CF−O−CFCF(CF)−O−CFCFSOF、パーフルオロ(3,6−ジオキサ−4−メチル−7−オクテンスルホニルフルオリド)(PDMOF)との共重合、引き続くスルホニルフルオリド基の加水分解によるスルホネート基への変換およびそれらを所望のイオン形へ変換するために必要ならばイオン交換によって製造することができる。米国特許公報(特許文献4)および米国特許公報(特許文献5)に開示されているタイプのポリマーの例は、側鎖−O−CFCFSOX(式中、Xは上に定義されたようなものである)を有する。このポリマーは、テトラフルオロエチレン(TFE)とパーフッ素化ビニルエーテルCF=CF−O−CFCFSOF、パーフルオロ(3−オキサ−4−ペンテンスルホニルフルオリド)(POPF)との共重合、引き続く加水分解および必要ならばさらなるイオン交換によって製造することができる。
【0071】
一実施形態では、本新規組成物での使用のためのFSAポリマーは典型的には約33未満のイオン交換比を有する。本出願では、「イオン交換比」または「IXR」は、カチオン交換基に対するポリマー主鎖中の炭素原子の数と定義される。約33未満の範囲内で、IXRは特定の用途向けに望まれるように変わることができる。一実施形態では、IXRは約3〜約33であり、別の実施形態では、約8〜約23である。
【0072】
ポリマーのカチオン交換容量はしばしば当量(EW)の観点から表される。本出願の目的のためには、当量(EW)は、1当量の水酸化ナトリウムを中和するために必要とされる酸形のポリマーの重量であると定義される。ポリマーがパーフルオロカーボン主鎖を有し、側鎖が−O−CF−CF(CF)−O−CF−CF−SOH(またはその塩)であるスルホネートポリマーのケースでは、約8〜約23のIXRに相当する当量範囲は約750EW〜約1500EWである。このポリマーについてのIXRは、式:50IXR+344=EWを用いて当量と関係づけることができる。同じIXR範囲が米国特許公報(特許文献4)および米国特許公報(特許文献5)に開示されているスルホネートポリマー、例えば、側鎖−O−CFCFSOH(またはその塩)を有するポリマーについて用いられるが、カチオン交換基を含有するモノマー単位のより低い分子量のために当量は幾分より低い。約8〜約23の好ましいIXR範囲について、相当する当量範囲は約575EW〜約1325EWである。このポリマーのIXRは、式:50IXR+178=EWを用いて当量と関係づけることができる。
【0073】
FSAポリマーはコロイド状水性分散物として製造することができる。それらはまた、その例がアルコール、テトラヒドロフランのような水溶性エーテル、水溶性エーテルの混合物、およびそれらの組合せを含むがそれらに限定されない、他の媒体中の分散物の形にあってもよい。分散物を製造する際に、ポリマーを酸形で使用することができる。米国特許公報(特許文献7)、米国特許公報(特許文献8)および(特許文献9)は、水性アルコール分散物の製造方法を開示している。分散物が製造された後に、濃度および分散液体組成物を当該技術で公知の方法によって調整することができる。
【0074】
一実施形態では、FSAポリマーをはじめとするコロイド形成ポリマー酸の水性分散物は、安定なコロイドが形成される限り、できるだけ小さい粒度およびできるだけ小さいEWを有する。
【0075】
FSAポリマーの水性分散物は、本願特許出願人からナフィオン(Nafion)(登録商標)分散物として商業的に入手可能である。
【0076】
一実施形態では、水性の導電性ポリマー分散物は、コロイド形成ポリマー酸の水性分散物と組み合わせ、成分の混合を確実にするために超音波処理または微小流動化を用いてさらにブレンドされる。
【0077】
導電性ポリマーの分散物は一般に、酸化重合プロセスでの酸の存在のためにかなり低いpHを有する。例えば、エッチ.シー.スターク有限責任会社、独国レーベルクーセンからバイトロン(登録商標)−P VP AI4083およびCH8000として商業的に入手可能な、水性ポリ(エチレンジオキシチオフェン)(「PEDT」)分散物は2より下のpHを有する。酸性は腐食性であり得るので、より高いpHの導電性ポリマーの水性分散物を有することはしばしば望ましい。バイトロン−Pで、pHをより高いレベルに調整すると、導電性ポリマーの電気的特性およびOLEDでのバッファー層としての機能的有効性に悪影響を及ぼし得る。少なくとも1つの導電性ポリマーとコロイド形成ポリマー酸のナノ粒子との水性分散物を含む新規組成物で、電気的特性を犠牲にすることなくpHを調整できることが分かった。pHは、公知の技法、例えば、イオン交換を用いてまたは水性の塩基性溶液での滴定によって調整することができる。導電性ポリマーとコロイド形成ポリマー酸との安定な分散物は、pHが1〜8に調整されて形成することができる。pHをより高い、より中性の値に調整することは、本新規組成物での導電性ポリマーの電気的特性およびデバイス性能に悪影響を及ぼさず、ほとんどのケースでそれらの特性を改善する。
【0078】
一実施形態では、導電性ポリマーとコロイド形成ポリマー酸との混合物は、安定な水性分散物を生み出すために好適な条件下に、少なくとも1つのイオン交換樹脂と接触させられる。一実施形態では、導電性ポリマーとコロイド形成ポリマー酸との混合物は第1イオン交換樹脂および第2イオン交換樹脂と接触させられる。
【0079】
別の実施形態では、第1イオン交換樹脂は、上に述べられたスルホン酸カチオン交換樹脂のような、酸性のカチオン交換樹脂であり、第2イオン交換樹脂は、第三級アミンまたは第四級交換樹脂のような、塩基性のアニオン交換樹脂である。
【0080】
イオン交換は、流体媒体(水性分散物のような)中のイオンが流体媒体に不溶である固定固体粒子に結合した類似荷電イオンと交換する可逆化学反応である。用語「イオン交換樹脂」は、すべてのかかる物質を意味するために本明細書では用いられる。該樹脂は、イオン交換基が結合しているポリマー担体の架橋性のために不溶にされている。イオン交換樹脂は、交換に利用可能な正に帯電した可動イオンを有する酸性カチオン交換体と、その交換可能なイオンが負に帯電している塩基性アニオン交換体とに分類される。
【0081】
酸性カチオン交換樹脂および塩基性アニオン交換樹脂の両方とも本新規組成物での使用を考慮される。一実施形態では、酸性カチオン交換樹脂は、スルホン酸カチオン交換樹脂のような有機酸カチオン交換樹脂である。本新規組成物での使用を考慮されるスルホン酸カチオン交換樹脂には、例えば、スルホン化スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、スルホン化架橋スチレンポリマー、フェノール−ホルムアルデヒド−スルホン酸樹脂、ベンゼン−ホルムアルデヒド−スルホン酸樹脂、およびそれらの混合物が含まれる。別の実施形態では、酸性カチオン交換樹脂は、カルボン酸、アクリル酸またはリン酸カチオン交換樹脂のような、有機酸カチオン交換樹脂である。さらに、異なるカチオン交換樹脂の混合物を使用することができる。多くのケースでは、塩基性イオン交換樹脂はpHを所望のレベルに調整するために使用することができる。幾つかのケースでは、pHは、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウムなどの溶液のような水性の塩基性溶液でさらに上げることができる。他のケースでは、pHは、高い酸性度が問題ではない用途向けには酸性イオン交換樹脂でさらに下げることができる。
【0082】
別の実施形態では、塩基性アニオン交換樹脂は第三級アミンアニオン交換樹脂である。本新規組成物での使用を考慮される第三級アミンアニオン交換樹脂には、例えば、第三級アミン化スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、第三級アミン化架橋スチレンポリマー、第三級アミン化フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、第三級アミン化ベンゼン−ホルムアルデヒド樹脂、およびそれらの混合物が含まれる。さらなる実施形態では、塩基性アニオン交換樹脂は第四級アミンアニオン交換樹脂、またはこれらと他の交換樹脂との混合物である。
【0083】
第1および第2イオン交換樹脂は、導電性ポリマーとコロイド形成ポリマー酸との混合物と同時にか、引き続いてかのどちらかで接触してもよい。例えば、一実施形態では、両樹脂が導電性ポリマーとコロイド形成ポリマー酸との混合物に同時に添加され、少なくとも約1時間、例えば、約2時間〜約20時間分散物と接触したままにされる。イオン交換樹脂は次に濾過によって分散物から除去することができる。フィルターのサイズは、比較的大きいイオン交換樹脂粒子は除去されるが、より小さい分散物粒子は通過するであろうように選ばれる。塩基性アニオン交換および/または酸性カチオン交換樹脂は酸性部位をより塩基性にし、分散物の上昇したpHをもたらす。一般に、導電性ポリマーとコロイド形成ポリマー酸との混合物中の固形分の約1グラム当たり少なくとも1グラムのイオン交換が使用される。他の実施形態では、イオン交換樹脂の使用量は、導電性ポリマーとコロイド形成ポリマー酸との混合物中の固形分に対して約5グラム以下のイオン交換樹脂の比で用いられ、達成されるべきであるpHに依存する。一実施形態では、バイエル有限責任会社(Bayer GmbH)製の約1グラムのレワチッチ(Lewatit)(登録商標)MP62WS、弱塩基性アニオン交換樹脂と、バイエル有限責任会社製の約1グラムのレワチッチ(登録商標)モノプラス(MonoPlus)S100、強塩基性ナトリウムカチオン交換樹脂とが導電性ポリマーとコロイド形成ポリマー酸との混合物中の固形分のグラム当たり使用される。
【0084】
本新規組成物での使用を考慮されるナノ粒子は、様々な形状およびサイズならびに形状およびサイズの混合物を有してもよい。一実施形態では、ナノ粒子は実質的に球形である。別の実施形態では、ナノ粒子は金属ナノワイヤーのように実質的に細長いものである。本新規組成物での使用を考慮されるナノ粒子は典型的には約500nm未満の平均粒径を有する。別の実施形態では、ナノ粒子は約100nm未満の平均粒径を有する。さらに別の実施形態では、ナノ粒子は約50nm未満の平均粒径を有する。
【0085】
別の実施形態では、細長いナノ粒子のアスペクト比は1対100よりも大きい。アスペクト比は粒子幅対粒子長さの比と定義される。細長い粒子については、「粒度」は粒子幅であると考えられる。別の実施形態では、ナノ粒子は不規則なジオメトリーを有する。不規則形状の粒子については、「粒度」は、粒子が通過する最小のスクリーン開口部のサイズであると考えられる。
【0086】
別の実施形態では、導電性ポリマーと無機ナノ粒子とを含む水性分散物から沈着されたバッファー層が提供される。導電性ポリマーおよびナノ粒子の両方とも水中に容易に分散させることができる。一実施形態では、連続の平滑なフィルムは、導電性ポリマーとナノ粒子とを含有する水性分散物から沈着することによって製造することができる。
【0087】
一実施形態では、本新規組成物を含むバッファー層は、無機ナノ粒子が存在しないことを除いて同じ組成物のバッファー層と比べて低下した導電率を有する。電気抵抗率は導電率に反比例する。従って、本明細書で用いるところでは、語句「高抵抗」および「低導電率」は、本明細書に記載されるバッファー層に関しては同義的に用いられる。本明細書で用いるところでは、語句「高抵抗」および「低導電率」は、それぞれ、商業的に入手可能なバッファー層の導電率未満、すなわち、約1.0×10−3S/cm未満の導電率レベルを意味する。別の実施形態では、抵抗率は好ましくは1.0×10−5S/cm未満である。抵抗率および導電率値は、典型的には、それぞれ、オーム−センチメートル(オーム−cm)およびセンチメートル当たりのシーメンス(Siemens)(S/cm)の単位で報告される。本明細書で用いるところでは、抵抗率値よりもむしろ導電率値が報告される(単位S/cmを用いて)。
【0088】
一実施形態では、有機電子デバイスは、デバイスの層の少なくとも1つが本新規バッファー層を含む、2つの電気接触層の間に置かれた電気活性層を含む。一実施形態は、陽極層110、バッファー層120、エレクトロルミネセンス層130、および陰極層150を有するデバイスである、図1に示されるような、OLEDデバイスの1つのタイプで例示される。任意の電子注入/輸送層140が陰極層150に隣接している。バッファー層120と陰極層150(または任意の電子注入/輸送層140)との間にエレクトロルミネセンス層130がある。
【0089】
デバイスは、陽極層110または陰極層150に隣接することができるサポートまたは基材(示されていない)を含んでもよい。最も頻繁には、サポートは陽極層110に隣接している。サポートは柔軟なまたは堅い、有機または無機であり得る。一般に、ガラスまたは柔軟な有機フィルムがサポートとして使用される。陽極層110は、陰極層150よりも正孔を注入するのにより効率的である電極である。陽極は、金属、混合金属、合金、金属酸化物または混合酸化物を含有する材料を含むことができる。好適な材料には、2族元素(すなわち、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra)、11族元素、4、5、および6族元素、ならびに8〜10族遷移元素の混合酸化物が含まれる。陽極層110が光伝達性であるべきである場合には、インジウム−錫酸化物のような、12、13および14族元素の混合酸化物が使用されてもよい。本明細書で用いるところでは、語句「混合酸化物」は、2族元素または12、13、もしくは14族元素から選択される2つ以上の異なる陽イオンを有する酸化物を意味する。陽極層110用材料の幾つかの非限定的な具体例には、インジウム錫酸化物(「ITO」)、アルミニウム錫酸化物、金、銀、銅、およびニッケルが挙げられるが、それらに限定されない。陽極はまた、ポリアニリンまたはポリチオフェンのような有機材料を含んでなってもよい。
【0090】
陽極層110は、化学もしくは物理蒸着法またはスピン蒸着法によって形成されてもよい。化学蒸着は、プラズマ強化化学蒸着(「PECVD」)または金属有機化学蒸着(「MOCVD」)として行われてもよい。物理蒸着には、e−ビーム蒸発および抵抗蒸発だけでなく、イオンビームスパッタリングをはじめとする、すべての形のスパッタリングが含まれ得る。物理蒸着の具体的形態には、無線周波数(rf)マグネトロンスパッタリングおよび誘導結合プラズマ物理蒸着(「IMP−PVD」)が含まれる。これらの蒸着技術は半導体製造技術内では周知である。
【0091】
大抵、陽極層110はリソグラフィック操作中にパターン化される。パターンは要望通り変わってもよい。層は、例えば、第1電気接触層材料を付着する前にパターン化マスクまたはレジストを第1の柔軟な複合バリア構造物上に置くことによってパターンで形成することができる。あるいはまた、層は、全体層(また全面的被覆物とも呼ばれる)として付着し、その次に、例えば、パターン化レジスト層および湿式化学または乾式エッチング技術を用いてパターン化することができる。当該技術で周知であるパターン化の他の方法もまた用いることができる。電子デバイスがアレイ内に置かれる場合、陽極層110は、実質的に同じ方向に伸びる長さを有する実質的に平行のストリップへと典型的に形成される。
【0092】
バッファー層120は、当業者に周知の任意の技法を用いて基材上に付着させることができる。
【0093】
エレクトロルミネセンス(EL)層130は典型的には、蛍光染料、蛍光およびリン光性金属錯体、共役ポリマー、ならびにそれらの混合物を含むが、それらに限定されない任意の有機EL材料であってもよい。蛍光染料の例には、ピレン、ペリレン、ルブレン、それらの誘導体、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。金属錯体の例には、トリス(8−ヒドロキシキノレート)アルミニウム(Alq3)のような金属キレート化オキシノイド化合物、ペトロフ(Petrov)らの(特許文献10)に開示されているようなイリジウムとフェニルピリジン、フェニルキノリン、またはフェニルピリミジン配位子との錯体のようなシクロ金属化(cyclometalated)イリジウムおよび白金エレクトロルミネセンス化合物、および例えば米国特許公報(特許文献11)、(特許文献12)、(特許文献13)、および(特許文献14)に記載されている有機金属化合物、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。電荷を有するホスト材料および金属錯体を含むエレクトロルミネセンス放出層は、トンプソン(Thompson)らによって米国特許公報(特許文献15)に、ならびにバローズ(Burrows)およびトンプソンによって(特許文献16)および(特許文献17)に記載された。共役ポリマーの例には、ポリ(フェニレンビニレン)、ポリフルオレン、ポリ(スピロビフルオレン)、ポリチオフェン、ポリ(p−フェニレン)、それらの共重合体、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0094】
選ばれる特定の材料は、具体的な用途、操作中に用いられる電位、または他の因子に依存するかもしれない。エレクトロルミネセンス有機材料を含有するEL層130は、蒸着、溶液処理技法または熱転写をはじめとする様々な技法を用いて付着することができる。別の実施形態では、ELポリマー前駆体を付着し、次に典型的には熱または他の外部エネルギー源(例えば、可視光、またはUV放射線)によってポリマーに変換することができる。
【0095】
任意選択的な層140は、電子注入/輸送を促進する両方の機能を果たすことができ、かつ、層界面で反応をクエンチするのを防ぐための閉じ込め層としてもまた働くことができる。より具体的には、層140は、電子易動度を高め、かつ、層130と150とがさもなければ直接接触する場合に反応をクエンチする可能性を低下させるかもしれない。任意選択的な層140用の材料の例には、金属−キレート化オキシノイド化合物(例えば、Alqなど)、フェナントロリン−ベース化合物(例えば、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(「DDPA」)、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(「DPA」)など)、アゾール化合物(例えば、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(「PBD」など)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(「TAZ」など))、他の類似の化合物、またはそれらの任意の1つまたは複数の組合せが挙げられる。あるいはまた、任意選択的な層140は無機であり、BaO、LiF、LiOなどを含んでなってもよい。
【0096】
陰極層150は、電子または負電荷キャリアを注入するのに特に効率的である電極である。陰極層150は、第1電気接触層(この場合、陽極層110)よりも低い仕事関数を有する任意の金属または非金属であり得る。本明細書で用いるところでは、用語「より低い仕事関数」は、約4.4eV以下の仕事関数を有する材料を意味することを意図される。本明細書で用いるところでは、「より高い仕事関数」は、少なくともおおよそ4.4eVの仕事関数を有する材料を意味することを意図される。
【0097】
陰極層用の材料は、1族のアルカリ金属(例えば、Li、Na、K、Rb、Cs)、2族金属(例えば、Mg、Ca、Baなど)、12族金属、ランタニド(例えば、Ce、Sm、Euなど)、およびアクチニド(例えば、Th、Uなど)から選択することができる。アルミニウム、インジウム、イットリウム、およびそれらの組合せのような金属もまた使用されてもよい。陰極層150用の材料の具体的な非限定例には、バリウム、リチウム、セリウム、セシウム、ユーロピウム、ルビジウム、イットリウム、マグネシウム、およびサマリウムが挙げられる。
【0098】
陰極層150は通常化学または物理蒸着法によって形成される。一般に、陰極層は、陽極層110に関して上に議論されたようにパターン化されるであろう。デバイスがアレイ内に位置する場合、陰極層150は実質的に平行のストリップへパターン化されてもよく、そこでは、陰極層ストリップの長さは実質的に同じ方向におよび陽極層ストリップの長さに実質的に垂直に伸びている。ピクセルと呼ばれる電子要素は交差点(そこで、アレイが平面図または上面図から見られる時に陽極層ストリップが陰極層ストリップと交差する)で形成される。
【0099】
他の実施形態では、追加の層は有機電子デバイス内に存在してもよい。例えば、緩衝層120とEL層130との間の層(示されていない)は、正電荷輸送、層のバンド−ギャップ整合、保護層としての機能などを容易にするかもしれない。同様に、EL層130と陰極層150との間の追加の層(示されていない)は、負電荷輸送、層間のバンド−ギャップ整合、保護層としての機能などを容易にするかもしれない。当該技術で公知である層を使用することができる。さらに、上記層の任意のものは、2つ以上の層から製造され得る。あるいはまた、無機陽極層110、緩衝層120、EL層130、および陰極層150の幾つかまたはすべてが電荷キャリア輸送効率を増大させるために表面処理されてもよい。成分層のそれぞれのための材料の選択は、デバイスに高いデバイス効率を提供するという目標を、製造コスト、製造複雑性、または潜在的に他の因子とバランスさせることによって決定されてもよい。
【0100】
電子デバイスの意図される用途に依存して、EL層130は、信号によって活性化される発光層(発光ダイオードにおけるような)または印可電圧ありもしくはなしで、放射エネルギーに応答し、信号を発する材料の層(検出器またはボルタ電池のような)であり得る。放射エネルギーに応答するかもしれない電子デバイスの例は、光導電素子、フォトレジスター、光スイッチ、フォトトランジスタ、および光電管、ならびに光電池から選択される。本明細書を読んだ後に、当業者は、彼らの特殊用途に好適である材料を選択することができるであろう。発光材料は、添加物ありまたはなしで、別の材料のマトリックス中に分散されてもよいが、好ましくは層だけを形成する。EL層130は一般におおよそ50〜500nmの範囲の厚さを有する。
【0101】
有機発光ダイオード(OLED)において、それぞれ、陰極層150および陽極層110からEL層130へ注入される電子および正孔は、ポリマー中に負および正に帯電したポーラロンを形成する。これらのポーラロンは印可電場の影響下に移動し、逆に帯電した種とポーラロン励起子を形成し、その次に放射再結合を受ける。通常おおよそ12ボルト未満、多くの場合おおよそ5ボルト以下の、陽極と陰極との間の十分な電位差がデバイスに印可されてもよい。実際の電位差は、より大きな電子部品でのデバイスの使用に依存するかもしれない。多くの実施形態では、陽極層110は正の電圧にバイアスをかけられ、陰極層150は電子デバイスの動作の間ずっと実質的に地電位またはゼロボルトである。バッテリーまたは他の電源が回路の部品としての電子デバイスに電気的に接続されてもよいが、図1には例示されていない。
【0102】
別の実施形態では、薄膜電界効果トランジスタ電極もまた提供される。薄膜電界効果トランジスタでは、誘電性ポリマーまたは誘電性酸化物薄膜は、一側面にゲート電極を、反対側にドレインおよびソース電極を備えている。ドレイン電極とソース電極との間に、有機半導体フィルムが沈着される。有機半導体ポリマーフィルムは典型的には、トルエンのような芳香族溶媒、またはクロロホルムのような塩素化有機溶媒を使用した有機溶液から沈着される。電極用途に有用であるためには、導電性ポリマーおよび導電性ポリマーを分散させるまたは溶解するための液体は、導電性ポリマーか半導体ポリマーかのどちらかの再溶解を回避するために、半導体ポリマーおよび半導体ポリマー用の溶媒と相溶性でなければならない。導電性ポリマーから製造された薄膜電界効果トランジスタ電極は10S/cmよりも大きい導電率を有するべきである。しかしながら、ポリマー酸ありで製造された導電性ポリマーは約10−3S/cmまたはそれよりも低い範囲の導電率を提供するにすぎない。加工性(沈着、スピン−コーティングなど)を危うくすることなしに導電性ポリマーの導電率を高めるために、高導電性添加物が必要とされる。従って、別の実施形態では、薄膜電界効果トランジスタ電極が提供される。新規電極は、導電性ポリマーとナノ粒子とを含有する水性分散物から沈着される。この実施形態では、ナノ粒子は典型的には、約10S/cmよりも大きい導電率を有する電極をもたらすカーボンナノチューブ、金属ナノ粒子、または金属ナノワイヤーである。さらなる実施形態では、導電性ポリマーは、ポリマー酸が水溶性である、ポリアニリン/ポリマー酸、ポリジオキシアルキレンチオフェン/ポリマー酸、ポリピロール/ポリマー酸などである。
【0103】
新規電極を含有する薄膜電界効果トランジスタもまた提供される。図2に示されるような薄膜電界効果トランジスタは典型的には次の方法で製造される。誘電性ポリマーまたは誘電性酸化物薄膜210は、一側面にゲート電極220、反対側に、それぞれ、ドレインおよびソース電極、230および240を有する。ドレイン電極とソース電極との間に、有機半導体フィルム250が沈着される。金属ナノワイヤー、金属ナノ粒子、またはカーボンナノチューブ、グラファイト化カーボンを含有する新規水性分散物は、溶液薄膜沈着での有機ベース誘電性ポリマーおよび半導体ポリマーとのそれらの相溶性のために、ゲート、ドレインおよびソース電極の用途にとって理想的である。
【0104】
別の実施形態では、本新規組成物を含む電界効果抵抗デバイスが提供される。電界効果抵抗デバイスは、(非特許文献1)に例示されるようにゲート電圧のパルスにさらされた時に導電性ポリマーフィルムで抵抗の可逆的変化を受ける。
【0105】
別の実施形態に従って、水性分散物から基材上への導電性有機ポリマーフィルム沈着物の導電率を約1×10−5S/cm未満の値まで下げるための方法が提供される。かかる方法は、例えば、複数のナノ粒子を導電性ポリマーの水性分散物に添加することによって行うことができる。驚くべきことに、半導電性無機ナノ粒子でさえも、本明細書に記載されるような導電性有機ポリマーフィルム中へ組み込まれた時に、ポリマーフィルムの導電性を下げることが発見された。一実施形態では、導電性有機ポリマーフィルムは、エレクトロルミネセンスデバイスでバッファー層として使用することができる。別の実施形態では、導電性ポリマーフィルムはPAni/PAAMPSA、PAni/PSSA、PPy/PSSA、PEDT/PSSAなどである。
【0106】
もっとさらなる実施形態では、増加した厚さを有するバッファー層の製造方法が提供される。かかる方法は、例えば、導電性有機ポリマーの水性分散物に複数のナノ粒子を添加する工程と、バッファー層を前記水性分散物から基材上に付着させる工程とによって行うことができる。導電性ポリマーの水性分散物へのナノ粒子の添加は、増加した粘度を有する水性分散物を生み出す。この高められた粘度は、該水性溶液からの層沈着物の厚さの増加した制御を提供する。適切に機能するバッファー層の適切な厚さはその上へバッファー層が沈着される金属導電性層の表面粗さにある程度依存するので、バッファー層厚さの制御は望ましい。
【0107】
本発明は今、次の非限定的な実施例を参照することによってより詳細に説明されるであろう。
【実施例】
【0108】
(比較例1)
本比較例は、PAni/PAAMPSAの製造とその導電率および緩衝層としての発光デバイス特性とを例示する。
【0109】
PAni/PAAMPSAの合成は次のように実施した。アニリン(4.08g)を、PAAMPSA(6.35g、PAAMPSAは米国ミズーリ州セントルイスのシグマ−アルドリッチ社(Sigma−Aldrich Corp.,St.Louis,MO,USA)から15重量%水溶液の形態で入手した。PAAMPSAの重量平均分子量は2,000,000である)を含有する150mL水溶液に溶解した。アニリンとPAAMPSAとを含有する水溶液を4首500mL丸底フラスコ中へ入れ、氷/水浴で約4℃に冷却した。溶液を電磁撹拌機で連続的に撹拌した。冷やしたアニリン/PAAMPSA水溶液に、4.235gPAAMPSAと2.36g過硫酸アンモニウムとを含有する100mL水溶液を1時間にわたって一定速度で加えた。重合を198分間進行させた。
【0110】
次に反応混合物を2つの遠心分離機ボトル中へ注ぎ込み、15℃で8000rpmで30分間遠心分離した。遠心分離後に、上澄液をゆっくりとアセトンに加えてポリマー生成物を沈殿させた。沈殿後に、固体ポリマーをアセトン中で繰り返し洗浄し、濾過し、真空オーブン中(約18Hg、Nブリード、周囲温度)で一晩乾燥した。収量は7.03gである。
【0111】
上で製造したままのPAni/PAAMPSA(1.21g)を、水溶液中3.0重量%固形物を構成する、39.12g脱イオン水に分散させた。分散物を導電率および発光特性について試験した。厚さが100〜150nmのITO層を有する商業的に入手可能なインジウム錫酸化物(ITO)/ガラス板をサイズが30×30mmの試料へとカットした。その次にITO層を酸素プラズマでエッチングした。導電率測定に用いられるべきガラス基材上のITOを、電極として用いられるべきITOの一連の平行線へとエッチングした。発光測定用のLEDにされるべき基材上のITOを、陽極として働くためのITOの15×20mm層へとエッチングした。次に水性分散物を1,200rpmの回転速度でITO/ガラス基材のそれぞれ上へスピンコートした。生じたPAni/PAAMPSA層は厚さが約137nmであった。
【0112】
粘度測定用の試料は次の通り製造した。0.0989gのPAni/PAAMPSAを、分散物中0.99重量%PAni/PAAMPSAを構成する、9.9081g脱イオン水と混合した。混合物を一晩磁気撹拌した。より低いスピンコーティング速度(1,200rpm対6,000rpm)にもかかわらず発明実施例4と比較した時にコーティング厚さがより小さい(137nm対300nm)ことに留意すべきである。該比較は、分散物が発明実施例4の分散物よりも低い粘度を有することを示す。
【0113】
PAni/PAAMPSAでコートしたITO/ガラス基材を導電率について測る前に窒素中90℃で30分間乾燥した。導電率は、2電極間の抵抗を測ることによって測定し、抵抗、導電層の厚さおよび抵抗を測るために用いた2電極間の距離に基づいて3.6×10−5S/cmであると計算された。導電率を表1に示す。
【0114】
発光測定のために、発光ダイオード(LED)中へ組み込まれた場合に、PAni/PAAMPSA層を、活性エレクトロルミネセンス(EL)層として働くためのスーパー−イエロー発光体ポリ(置換フェニレンビニレン)(独国フランクフルトのコビオン・カンパニー(Covion Company,Frankfurt,Germany)から入手したPDY131)でトップコートした。EL層の厚さはおおよそ70nmであった。総フィルム厚さはテンコール500表面プロファイラー(TENCOR 500 Surface Profiler)で測定した。陰極については、BaおよびAl層を1.3×10−4Paの圧力下にEL層上へ蒸着した。Ba層の最終厚さは3nmであり、Ba層のトップ上のAl層の厚さは300nmであった。LEDデバイス性能は次の通り試験した。電流対印可電圧、発光輝度対印可電圧、および発光効率(カンデラ/アンペア−c/A)の測定値は、ケイスレー・インスツルメント社(Keithley Instrument Inc.)(オハイオ州クリーブランド(Cleveland,OH))製のケイスレイ236光源−測定装置(Keithley 236 source−measure unit)、および較正シリコンフォトダイオード付きS370オプトメーター(Optometer)(カリフォルニア州ホーソーンのUDTセンサー社(UDT Sensor,Inc.,Hawthorne,CA))で測定した。電流を室温で8.3mA/cmの電流密度で5つのLEDのそれぞれに通した。表1にまとめるように、該電流密度を達成するための平均電圧は4.2ボルトであり、平均光効率および発光輝度は、それぞれ、8.3cd/Aおよび115cd/mであった。表1はまた、80℃および3.3mA/cm電流密度でのデバイス半減期が12時間であったことを示す。
【0115】
(実施例1)
本実施例は、シリカ・ナノ粒子入りの水性PAni/PAAMPSA分散物の製造と緩衝層としてのその導電率および発光特性とを例示する。
【0116】
比較例1でのように製造したPAni/PAAMPSA(0.63g)を、0.152gシリカ・ナノ粒子を含有する、0.75gスノーテックス−UP(Snowtex−UP)(登録商標)(0.75g、日本国東京の日産化学工業株式会社)および24.07g脱イオン水と組み合わせた。スノーテックス−UP(登録商標)は、9.0〜10.5のpHを有し、かつ、幅が約5〜20nmで、長さが約40〜300nmのシリカ粒度を有する水性分散物である。シリカ:PAni/PAAMPSA重量比は4.1:1である。
【0117】
分散物を、比較例1に記載したのと同じやり方で導電率および発光特性について試験した。表1にまとめた結果に示すように、発明実施例1の分散物から沈着された緩衝層は、比較例1と比較した時に、より低い導電率(8.2×10−7S/cm対3.6×10−5S/cm)およびより高い半減期(29時間対12時間)を有する。本実施例は、高められたデバイス寿命と共に導電率の低下に及ぼすナノ粒子の影響を実証している。
【0118】
(実施例2)
本実施例は、コロイド状シリカ入りの水性PAni/PAAMPSA分散物の製造と緩衝層としてのその導電率および発光特性とを例示する。
【0119】
比較例1で製造したようなPAni/PAAMPSA(0.61g)を、0.153gシリカ・ナノ粒子を含有する、スノーテックス−O(登録商標)(0.75g、日本国東京の日産化学工業株式会社製)および23.47g脱イオン水と組み合わせた。スノーテックス−O(登録商標)は、2〜4のpH範囲を有し、かつ、10〜20nmのシリカ粒度を有する水性分散物である。シリカ:PAni/PAAMPSA重量比は3.99:1である。
【0120】
分散物を、比較例1に記載したのと同じやり方で導電率および発光特性について試験した。表1にまとめた結果に示すように、発明実施例2の分散物から沈着された緩衝層は、比較例1と比較した時に、より低い導電率(7.6×10−7S/cm対3.6×10−5S/cm)およびより高い半減期(30時間対12時間)を有する。本実施例は、再び、高められたデバイス寿命と共に導電率の低下に及ぼすナノ粒子の影響を実証している。
【0121】
(実施例3)
本実施例は、半導電性酸化物入りの水性PAni/PAAMPSA分散物の製造と緩衝層としてのその導電率および発光特性とを例示する。
【0122】
比較例1で製造したようなPAni/PAAMPSA(0.90g)を、0.601g導電性酸化物粒子を含有する、セルナックス(Celnax)CX−Z300H(登録商標)(1.97g、日本国東京の日産化学工業株式会社製の亜アンチモン酸亜鉛)および48.53g脱イオン水と組み合わせた。セルナックスCX−Z300H(登録商標)は、6.85のpHを有し、かつ、20nm酸化物ナノ粒子を有する水性分散物である。酸化物粉末の導電率は、160Kg/cmの圧力で圧縮乾燥ペレットについて測って3.6S/cmである。酸化物:PAni/PAAMPSA重量比は1.50:1である。
【0123】
分散物を、比較例1に記載したのと同じやり方で導電率および発光特性について試験した。表1にまとめた結果に示すように、発明実施例3の分散物から沈着された緩衝層は、比較例1と比較した時に、より低い導電率(8.3×10−8S/cm対3.6×10−5S/cm)およびより高い半減期(61時間対12時間)を有する。本実施例は、再び、高められたデバイス寿命と共に導電率の低下に及ぼすナノ粒子の影響を実証している。
【0124】
(実施例4)
本実施例は、SiOナノ粒子の存在下でのPAni/PAAMPSAの水性分散物の製造と緩衝層としてのその導電率および発光特性とを例示する。
【0125】
SiOナノ粒子の存在下でのPAni/PAAMPSAの合成は次のように実施した。PAAMPSA(36.32gの米国ミズーリ州セントルイスのシグマ−アルドリッチ社製の15重量%水溶液)を250ナルゲネ(Nalgene)(登録商標)プラスチックボトルに入れた。PAAMPSA溶液にスノーテックス−UP(登録商標)(日本国東京の日産化学工業株式会社製の34.33g)を加えた。スノーテックス−UP(登録商標)は、幅が5〜20nm、長さが40〜300nmのサイズのシリカを含有する、9.0〜10.5のpHの水性分散物である。PAAMPSA/スノーテックス−UP(登録商標)シリカ混合物を脱イオン水(150mL)中に分散させた。この分散物にアニリン(4.08g)を加えた。水性PAAMPSA/スノーテックス−UP(登録商標)/アニリン混合物を4首500mL丸底フラスコに入れ、次に氷/水混合物で約4℃に冷却した。溶液を電磁撹拌機で連続的に撹拌した。冷やしたPAAMPSA/スノーテックス−UP(登録商標)/アニリン分散物に、4.493gPAAMPSA(上記のような)と過硫酸アンモニウム(2.33g)とを含有する100mL水溶液を1時間にわたって加えた。反応を180分間進行させた。
【0126】
次に反応混合物を2つの遠心分離機ボトル中へ注ぎ込み、15℃で8000rpmで30分間遠心分離した。遠心分離後に、上澄液をゆっくりとアセトンに加えてポリマー生成物を沈殿させた。沈殿後に、固体ポリマーをアセトン中で繰り返し洗浄し、濾過し、真空オーブン中(約18Hg、Nブリード、周囲温度)で一晩乾燥した(収量は14.19gであった)。収量が比較例1での収量のほぼ2倍であることに留意すべきである。収量の増加は、SiOナノ粒子がPAni/PAAMPSA内に存在することを示唆する。
【0127】
PAni/PAAMPSA/SiO(1.20g、上で製造したままの)を、その分散物が水中3.0重量%固形物を構成する、38.80g脱イオン水に分散させた。緩衝層を前の実施例でのようにITO基材上に付着した。発光測定のために、次にPAni/PAAMPSA/シリカ層を、LEDデバイスで活性エレクトロルミネセンス(EL)層として働くためのスーパー−イエロー発光体ポリ(置換フェニレンビニレン)(独国フランクフルトのコビオン・カンパニーから入手したPDY131)でトップコートした。EL層の厚さはおおよそ70nmであった。総フィルムの厚さはテンコール500表面プロファイラーで測定した。陰極については、BaおよびAl層を1.3×10−4Paの真空下にEL層のトップ上に蒸着した。Ba層の最終厚さは3nmであり、Ba層のトップ上のAl層の厚さは300nmであった。LEDデバイス性能は次の通り試験した。電流対印可電圧、発光輝度対印可電圧、および発光効率(カンデラ/アンペア−c/A)の測定値は、ケイスレー・インスツルメント社(オハイオ州クリーブランド)製のケイスレイ236光源−測定装置、および較正シリコンフォトダイオード付きS370オプトメーター(カリフォルニア州ホーソーンのUDTセンサー社)で測定した。電流を室温で8.3mA/cmの電流密度で5つのLEDのそれぞれに通した。表1にまとめるように、該電流密度を達成するための平均電圧は4.3ボルトであり、平均光効率および発光輝度は、それぞれ、5.3cd/Aおよび130cd/mであった。表1はまた、80℃および3.3mA/cm電流密度でのデバイス半減期が42時間であったことをも示す。厚さが比較例1に例示された厚さの2.2倍であるにもかかわらずシリカなしPAni/PAAMPSAと比較した時に半減期が4倍に高められ、発光強度がより高い(130cd/m対115cd/m)ことに留意すべきである。
【0128】
【表1】

【0129】
表2に示すように、発明実施例4の水性分散物は6.000rpmの回転速度で300nmコーティング厚さを生み出す。より高いスピンコーティング速度(6,000rpm対1,200rpm)にもかかわらず、コーティング厚さは比較例1のそれよりもはるかに高い(300nm対137nm)。該比較は、シリカ・ナノ粒子ありで重合したPAni/PAAMPSAがシリカ・ナノ粒子なしで重合したPAni/PAAMPSAよりも高い粘度を有することを示す。表2に示すように、この増加した粘度は、増加した厚さを有する緩衝層を生み出す。粘度測定用の分散物は次の通り製造した。0.0999gのPAni/PAAMPSA/シリカを、分散物中1.00重量%PAni/PAAMPSA/シリカを構成する、9.9164g脱イオン水と混合した。
【0130】
【表2】

【0131】
(実施例5)
本実施例は、市販の水性PEDT分散物から製造された固体フィルムの有機溶剤中での完全性を実証する。
【0132】
本実施例では、約10−3S/cmの導電率を有する、商業的に入手可能な水性PEDT分散物(独国レーベルクーセンのエッチ.シー.スタルク有限責任会社製のバイトロン−P VP AI 4083)を、室温で窒素気流下ガラスビーカー中で固体フィルムに乾燥した。乾燥フィルムを、薄膜電界効果トランジスタの製造で有機半導体ポリマーを溶解するのに使用される一般的な有機溶剤(トルエン、クロロホルム、ジクロロメタンなどのような)と混合した。フィルムフレークは、有機液体のどれによっても膨潤しなかったし、また、液体を変色させもしなかった。この結果は、バイトロン−Pから製造されたPEDTフィルムが半導体ポリマー用の有機溶剤と相溶性であることを明らかに実証し、それによって薄膜電界効果トランジスタ用の電極としての有用性を実証している。
【0133】
(実施例6)
本実施例は、PAni/PAAMPSAの水性分散物から製造された固体フィルムの有機溶剤中での完全性を実証する。
【0134】
本実施例では、比較例1で製造したPAni/PAAMPSAの水性分散物を室温で窒素気流下ガラスビーカー中で固体フィルムに乾燥した。乾燥フィルムを、薄膜電界効果トランジスタの製造で有機半導体ポリマーを溶解するのに使用される一般的な有機溶剤(トルエン、クロロホルム、ジクロロメタンなどのような)と混合した。フィルムフレークは有機液体のどれによっても膨潤しなかったし、また、液体を変色させもしなかった。この結果は、PAni/PAAMPSAの水性分散物から製造されたPAni/PAAMPSAフィルムが半導体ポリマー用の有機溶剤と相溶性であることを明らかに実証し、それによって薄膜電界効果トランジスタ用の電極としての有用性を実証している。
【0135】
(実施例7)
本実施例は、ポリアニリン/ポリマー酸またはポリ(ジオキシエチレンチオフェン)/ポリマー酸と高導電性ナノ粒子とを含有する水性分散物の製造を例示する。
【0136】
比較例1に示すように、PAni/PAAMPSAの水性分散物から沈着されたPAni/PAAMPSAの導電率は、薄膜電界効果トランジスタのゲート、ドレインまたはソース電極としての用途にとって十分ではない、たったの3.6×10−5S/cmにすぎない。例えばオーメコン(Ormecon)(独国アムメルスベック(Ammersbeck,Germany))製のPAniの水性分散物からまたはPEDT、例えばバイトロン−Pからこれまでに達成された最高の導電率は約10−3S/cmであり、それは該用途にとってはまだ低すぎる。しかしながら、金属のナノ−ワイヤもしくはナノ−粒子またはカーボンナノチューブのようなナノ粒子を含有する水性導電性ポリマー分散物の使用は、これらの水性分散物から沈着された電極の導電性を劇的に増加させる。例えば、15nmの直径および1.7×10S/cmの導電率を有する金属モリブデンワイヤを、高められた導電率のために使用することができる。8nm直径および20μm長さならびに60S/cmの導電率を有するカーボンナノチューブもまた導電率を高めるために使用することができる。ナノ粒子の高い導電率および水中での粒子の分散性のために、導電性ポリマーと高導電性ナノ粒子とよりなる複合水性分散物は、薄膜電界効果トランジスタでのドレイン、ソースまたはゲート電極として連続の滑らかなフォルムを製造するために容易に製造することができる。
【0137】
(実施例8)
本実施例は、超音波処理によるナフィオン(登録商標)とバイトロン−P(登録商標)AI4083とのブレンド化、および高いpHを達成するためのイオン交換樹脂処理を例示する。
【0138】
本実施例では、特別グレードのバイトロン−P(登録商標)AI4083(LVW 186、固形分:2.6%、pH=1.67)を使用してナフィオン(登録商標)とのブレンドを形成した。AI4083はエッチ.シー.スターク有限責任会社、独国レーベルクーセン製のPEDOT/PSSAである。PEDOT/PSSAのw/w比は1:6である。ブレンド化のために使用したナフィオン(登録商標)は、1050のEWの26.5%(w/w)水性コロイド状パーフルオロエチレンスルホン酸分散物であり、温度がおおよそ270℃であったことを除いて、米国特許公報(特許文献8)、実施例1、パート2の手順と類似の手順を用いて製造した。
【0139】
19.74gのナフィオン(登録商標)を先ず183.99gの脱イオン水と混合した。希釈したナフィオン(登録商標)を次に、磁気撹拌機で撹拌しながらドリップさせ、500mLの丸底フラスコ中で96.84gのバイトロン−P(登録商標)と混合した。添加を完了するのに約2.5時間を要した。生じた分散物は2.57%固形分を含有し、その中でナフィオン(登録商標)/PEDT/PSSA間の当量比は2.0/1.0/4.6であった。「当量比」は本明細書で用いるところでは、コロイド形成ポリマー酸の酸当量の数対導電性ポリマーおよび/またはポリマー酸アニオンのモノマー単位の数の比を意味することを意図される。全体分散物を次に、パワー7にセットしたウルトラソニック・プロセッサー(Ultrasonic Processor)XL(ヒート・システムズ社、米国ニューヨーク州ファーミンデール(Heat Systems,Inc.,Farmingdale,NY,USA))を用いる超音波処理に合計30秒の「オン」時間(15秒オン/15秒オフ)さらした。分散物を次に、アキュサイザー・モデル(AccuSizer Model)780A(パーティクル・サイジング・システムズ、カリフォルニア州サンタバーバラ(Particle Sizing Systems,Santa Barbara,CA))を用いて粒度についてチェックした。粒度カウント(「PSC」)は、粒子が0.75μmより大きい状態で分散物の1mL中に281,329粒子であった。超音波処理の前に、PSCは331,329であった。分散物をさらに追加の30秒の超音波処理にさらした。PSCは75,901であった。しかしながら、追加の30秒はPSCのいかなる低下も示さなかった。
【0140】
分散物の全体量を1/3部分と2/3部分とに分割した。pHの調整なしの、製造したままの1/3部分(「サンプル8a」)は、1.8のpHおよび6×10−5S/cmの導電率を有し、それは出発原料AI4083の導電率(約10−3S/cm)よりもはるかに低かった。
【0141】
2/3部分を、底部に9gのモノプラス(Monoplus)S100および上部に9gのMP62WSを充填した100mLのカラムに通した。モノプラスS100は、バイエル有限責任会社(ペンシルバニア州ピッツバーグ)(Bayer GmbH(Pittsburgh,PA))製の架橋ポリスチレンのスルホン酸ナトリウム、カチオン交換樹脂の商品名である。MP62WSは、バイエル製の架橋ポリスチレンの第三級/第四級アミンの遊離塩基/塩化物、アニオン交換樹脂の商品名である。2つの樹脂は使用前に先ず別々に脱イオン水で水中に何の色もなくなるまで洗浄した。樹脂処理した分散物の半分をそのままに保った(「サンプル8b」)。サンプル8bのpHは3.8であり、導電率は2.0×10−4S/cmであった。樹脂処理した分散物の他の半分(「サンプル8c」)は水酸化ナトリウムでさらに処理してpHを6.5に上げた。それは1.8×10−4S/cmの導電率を有した。
【0142】
バイトロン−P(登録商標)/ナフィオン(登録商標)ブレンドの3サンプルおよびバイトロン−P(登録商標)を次にデバイス性能について試験した。それぞれを、発光バックライト基材用の100〜150nmのITO厚さおよび15mm×20mmITO面積を有するガラス/ITO基材(30mm×30mm)上にスピンし、空気中200℃で3分間ベークした。バッファー層の厚さを下の表3に示す。発光層のために、ダウ・ケミカルズ(ミシガン州ミッドランド)(Dow Chemicals(Midland,MI))製のルミネーション・グリーン(Lumination Green)の1%(w/v)トルエン溶液をバッファー層フィルムの上面上に775Åの厚さにスピンコートし、その後真空中100℃で30分間ベークした。その後直ちに、陰極として機能するために3nm厚さのバリウム層および350〜400nmのアルミニウム層をルミネーション・グリーン・フィルム上に沈着させた。表3にまとめたデバイスデータは、バイトロン−P(登録商標)/ナフィオン(登録商標)ブレンドで製造したデバイスがバイトロン−P(登録商標)のみで製造したデバイスよりもはるかに良好なデバイス性能を有することを明らかに示す。さらに、高いpH(3.8および6.5)のバイトロン−P(登録商標)/ナフィオン(登録商標)ブレンドで製造したデバイスはより高いデバイス効率およびはるかにより高いデバイス寿命を有する。寿命は、輝度が初期レベルの半分に下がるための時間単位の時間と定義される。
【0143】
【表3】

【0144】
(実施例9)
本実施例は、微小流動化によるナフィオン(登録商標)とバイトロン−P(登録商標)AI4083とのブレンド化、および高いpHを達成するためのイオン交換樹脂処理を例示する。
【0145】
本実施例では、バイトロン−P(登録商標)AI4083(ロット#CHDSPS0006、固形分:1.48%、pH=1.77)を使用してナフィオン(登録商標)とのブレンドを形成した。AI4083はエッチ.シー.スターク有限責任会社、独国レーベルクーセン製のPEDOT/PSSAである。PEDOT/PSSAのw/w比は1:6である。ブレンド化のために使用したナフィオン(登録商標)は、1050のEWの12.3%(w/w)水性コロイド状分散物である。25%(w/w)ナフィオン(登録商標)を先ず、温度がおおよそ270℃であったことを除いて、米国特許公報(特許文献8)、実施例1、パート2の手順と類似の手順を用いて製造した。ナフィオン(登録商標)分散物を水で希釈して本発明の使用のための12.3%(w/w)分散物を形成した。
【0146】
141.39gのナフィオン(登録商標)を、磁気撹拌機で撹拌しながらドリップさせて1000mLのフラスコ中で558.28gのバイトロン−P(登録商標)と混合した。添加を完了するのに6時間より多くを要した。生じた分散物は3.67%固形分を含有し、その中でナフィオン(登録商標)/PEDT/PSSAの当量比は2.0/1.0/4.6であった。
【0147】
さらなる処理なしの分散物の小部分を原子間力顕微鏡(AFM)をとるために保有した。それは1.6のpHおよび1.0×10−4S/cmのフィルム(90℃で40分間ベークされた)導電率を有した。AFMは、フィルムが大量の広い隆起(50〜60nm高さ)よりなることを示した。多くの用途でこのモルホロジーは望ましくないかもしれない。
【0148】
分散物の残りは、マイクロフリューダイザー・プロセッサー(Microfluidizer Processor)M−110EH(マイクロフリューディックス、米国マサチューセッツ州(Microfluidics,Massachusetts,USA))で8,000psiの圧力を用いてさらに処理した(「サンプル9a」)。第1チャンバーおよび第2チャンバーの直径はそれぞれ、200μm(H30Zモデル)、および87μm(G10Z)であった。ワンパスで、PSCは693,000〜240,000に減少した。それは1.7のpHを有し、フィルム(90℃で40分間ベークされた)導電率は9.8×10−6S/cmであると測定された。AFMは、フィルムがブレンドされたままのフィルムよりもはるかに平滑であることを示す。
【0149】
100mLの微小流動化分散物を、底部に9gのモノプラスS100および上部に9gのMP62WSを充填した100mLのカラムに通した(「サンプル9b」)。2つの樹脂は使用前に先ず別々に脱イオン水で水中に何の色もなくなるまで洗浄した。樹脂処理した分散物のpHは3.7であり、2.3×10−5S/cmのフィルム(90℃で40分間ベークされた)導電率を有する。
【0150】
バイトロン−P(登録商標)/ナフィオン(登録商標)ブレンドの2サンプルおよびバイトロン−P(登録商標)を次にデバイス性能について試験した。それぞれをガラス/ITOバックライト基材(30mm×30mm)上にスピンし、空気中200℃で3分間ベークした。基材は、発光のための100〜150nmのITO厚さおよび15mm×20mmITOのITO面積を有した。バッファー層の厚さを下の表4に示す。発光層のために、ダウ・ケミカルズ(ミシガン州ミッドランド)製のルミネーション・グリーンの1%(w/v)トルエン溶液をバッファー層フィルムの上面上にスピンコートし、その後真空中100℃で30分間ベークした。最終厚さは740Åであった。その後直ちに、陰極として機能するために3nm厚さのバリウム層および350〜400nmのアルミニウム層をルミネーション・グリーン・フィルム上に沈着させた。デバイスデータは、バイトロン−P(登録商標)/ナフィオン(登録商標)ブレンドで製造したデバイスがバイトロン−Pのみで製造したものよりもはるかに良好なデバイス特性を有することを明らかに示す。さらに、3.7pHバイトロン−P/ナフィオン(登録商標)ブレンドで製造したデバイスははるかにより良好なデバイス寿命を有する。
【0151】
【表4】

【0152】
(比較例9)
本比較例は、ナフィオン(登録商標)のようなコロイド形成ポリマー酸の包含なしのバイトロン−P(登録商標)AI4083(ロット#CHDSPS0006、固形分:1.48%、pH=1.8)のデバイス性能へのpHの影響を実証する。
【0153】
80gのAI4083に各4gのレワチッチS100およびMP62WSを20分間で加えた。樹脂をVWR#417濾紙(40μm)による濾過によって除去した。pHは2.2であると測定され、1.0MのNaOH水溶液の添加によって3.95に調整した。サンプルの半分を組成物9aと称する(表5を参照されたい)。他の半分はさらに1.0MのNaOH溶液で7のpHに調整した。このサンプルを組成物9bと称する。
【0154】
組成物9aおよび9bならびにAI4083を次にデバイス性能について試験した。それぞれをガラス/ITOバックライト基材(30mm×30mm)上にスピンし、空気中200℃で3分間ベークした。基材は発光のための100〜150nmのITO厚さおよび15mm×20mmのITO面積を有した。バッファー層の厚さを下の表5に示す。発光層のために、ダウ・ケミカルズ(ミシガン州ミッドランド)製のルミネーション・グリーンの1%(w/v)トルエン溶液をバッファー層フィルムの上面上にスピンコートし、その後真空中100℃で30分間ベークした。最終厚さは740Åであった。その後直ちに、陰極として機能するために3nm厚さのバリウム層および300〜500nmのアルミニウム層をルミネーション・グリーン・フィルム上に沈着させた。表5にまとめたデバイスデータは、pHが1.8から4または7に上げられた時にバイトロン−P(登録商標)AI4083がはるかにより高い電圧およびはるかにより低い効率を有することを明らかに示す。この結果は、バイトロン−P(登録商標)が約2より大きいpHに調整された時にバッファー層としての有効性を失い始めることを明らかに示す。
【0155】
【表5】

【0156】
(実施例10)
本実施例は、異なる濃度およびpHでのナフィオン(登録商標)とバイトロン−P(登録商標)とのブレンドの形成、ならびにデバイス性能への影響を例示する。
【0157】
本実施例で使用されるバイトロン−P(登録商標)AI4083(ロット#CHDSPS0006、固形分:1.48%、pH=1.8)は、ナフィオン(登録商標)とのブレンドを形成するための実施例9および比較例9でと同じロットからのものである。ブレンド化に使用されるナフィオン(登録商標)は、本願特許出願人から商業的に入手可能なDE1021である。それは1050のEWの11.1%(w/w)水性コロイド状分散物である。
【0158】
1.32gのナフィオン(登録商標)を手動によるピペットで移し、磁気撹拌機で撹拌しながら250mLのフラスコ中で98.68gのバイトロン−Pと混合した。それを15分間撹拌されるままにした。生じた分散物は1.6%固形分を含有し、その中でナフィオン(登録商標)/PEDT/PSSAの当量比および重量比は、それぞれ、0.1/1.0/4.6および0.15/0.21/1.25であった。
【0159】
全体分散物を撹拌バー付き125mLのプラスチックボトルに移し、次にパワー7にセットしたウルトラソニック・プロセッサーXL(ヒート・システムズ社、米国ニューヨーク州ファーミンデール)を用いる超音波処理に合計30秒の「オン」時間(15秒オン/15秒オフ)さらした。分散物を次に、アキュサイザー・モデル780A(パーティクル・サイジング・システムズ、カリフォルニア州サンタバーバラ)を用いて粒度についてチェックした。PSCは、粒子が0.75μmより大きい状態で分散物の1mL中に419,141粒子であった。超音波処理の前に、PSCは423,543であった。
【0160】
分散物の全体量を2つの等しい部分に分割した。調整なしの製造したままの半分部分(「サンプル10a」)は、1.74のpHおよび8.6×10−4S/cmの導電率を有し、それは出発原料AI4083の導電率(約10−3S/cm)よりもはるかに低かった。
【0161】
他の半分部分を、底部に7.5gのモノプラスS100および上部に7.5gのMP62WSを充填した100mLのカラムに通した。モノプラスS100は、バイエル有限責任会社(ペンシルバニア州ピッツバーグ)製の架橋ポリスチレンのスルホン酸ナトリウム、カチオン交換樹脂の商品名である。MP62WSは、バイエル製の架橋ポリスチレンの第三級/第四級アミンの遊離塩基/塩化物、アニオン交換樹脂の商品名である。2つの樹脂は使用前に先ず別々に脱イオン水で水中に何の色もなくなるまで洗浄した。樹脂処理した分散物をサンプル10bと称した。それは3.8のpHおよび7.3×10−4S/cm導電率を有した。
【0162】
1.7および3.8のpHのバイトロン−P(登録商標)/ナフィオン(登録商標)ブレンドの2サンプルを次にデバイス性能について試験した。それぞれを、ガラス/ITOバックライト基材(30mm×30mm)上にスピンし、空気中200℃で3分間ベークした。基材は、発光のための100〜150nmのITO厚さおよび15mm×20mmのITO面積を有した。バッファー層の厚さを下の表6に示す。発光層のために、ダウ・ケミカルズ(ミシガン州ミッドランド)製のルミネーション・グリーンの1%(w/v)トルエン溶液をバッファー層フィルムの上面上にスピンコートし、その後真空中100℃で30分間ベークした。最終厚さは740Åであった。その後直ちに、陰極として機能するために3nm厚さのバリウム層および350〜400nmのアルミニウム層をルミネーション・グリーン・フィルム上に沈着させた。デバイスデータは、ナフィオン(登録商標)対バイトロン−P(登録商標)の低い当量比を有するバイトロン−P(登録商標)/ナフィオン(登録商標)ブレンドで製造したデバイスについて、より高いpHのブレンドがはるかにより低いデバイス効率およびより高い電圧を有することを明らかに示す。この傾向は、ナフィオン(登録商標)対バイトロン−P(登録商標)のより高い当量比のブレンドがpHを上げるにつれてより良好な寿命および効率をもたらした実施例9での傾向とは正反対である。
【0163】
【表6】

【0164】
(実施例11)
本実施例は、超音波処理によるナフィオン(登録商標)とポリアニリンとのブレンド化、および高いpHを達成するためのイオン交換樹脂処理を例示する。
【0165】
本実施例では、下に記載されるように製造したポリアニリン/(ポリスチレンスルホン酸)、PSSAを使用してナフィオン(登録商標)とのブレンドを形成した。ブレンド化に使用したナフィオン(登録商標)は、1050のEWの12.0%(w/w)水性コロイド状分散物であった。25%(w/w)ナフィオン(登録商標)を先ず、温度がおおよそ270℃であったことを除いて、米国特許公報(特許文献8)、実施例1、パート2の手順と類似の手順を用いて製造した。ナフィオン(登録商標)分散物を水で希釈して本発明の使用のための12.0%(w/w)分散物を形成した。
【0166】
PAni/PSSAを次の通り製造した。343.03gの脱イオン水、189.45gのn−プロパノールおよび13.28gの水性30%(w/w)ポリ(スチレンスルホン酸)(ポリサイエンス(Polysciences)製の70,000M.W.)を1L反応器に加えた。混合物はPSSAの色による黄色であった。混合物を5分間撹拌するに任せた。アニリンを加え、1.97gの過硫酸アンモニウム/50gの脱イオン水を50mL/時の速度で加える前に5分間撹拌した。添加は1時間で完了した。14gのアンバーリスト(Amberlyst)15(ローム・アンド・ハース・カンパニー、米国ペンシルバニア州(Rohm & Haas Company,PA,USA)製のプロトンイオン交換樹脂)を加える前にそれを約もう1時間続行させた。樹脂処理を一晩続行させ、次にスチール・スクリーンを通して濾過した。生じた分散物は、アニリン対PSSAの1:1当量比を有する1%PAni/PSSAを含有した。それは、1.4のpHおよび2.1×10−3S/cmのフィルム(90℃で30分間ベークされた)導電率を有した。該分散物の小部分を、パワー7にセットしたウルトラソニック・プロセッサーXL(ヒート・システムズ社、米国ニューヨーク州ファーミンデール)を用いる超音波処理に合計60秒「オン」時間(15秒オン/15秒オフ)さらした。
【0167】
13.75gのナフィオン(登録商標)を、磁気撹拌機で撹拌しながらドリップさせて500mLの丸底フラスコ中で86.26gのPAni/PSSAと混合した。添加を完了するのに約1.5時間を要した。生じた分散物は2.51%固形分を含有し、その中でナフィオン(登録商標)/アニリン/PSSA間の当量比は0.5/1.0/1.0であった。ブレンドの一部(「サンプル11a」)を、パワー7にセットしたウルトラソニック・プロセッサーを用いる超音波処理に合計60秒の「オン」時間(15秒オン/15秒オフ)さらした。PSCは、分散物の1mL中に0.75μmより大きい219,749粒子から82,133粒子に減少した。分散物は1.58のpHおよび5.0×10−5S/cmのフィルム(90℃で30分間ベークされた)導電率を有した。
【0168】
上記のように製造した35gの超音波処理ブレンドを3.4gのアンバージェット(Amberjet)塩基性樹脂(ローム・アンド・ハース・カンパニー、米国ペンシルバニア州製の強塩基性交換樹脂)で処理したが、pHは2に上がったにすぎなかった。水酸化セシウム水溶液を次に使用して分散物を3.9のpHに滴定した(「サンプル11b」)。それは、9.6×10−7S/cmのフィルム(90℃で30分間ベークされた)導電率を有した。
【0169】
pH1.58および3.9の超音波処理したPAni/PSSAおよびPAni/PSSA/ナフィオン(登録商標)ブレンドをデバイス性能について試験した。それぞれをガラス/ITOバックライト基材(30mm×30mm)上にスピンし、ドライボックス中130℃で5分間ベークした。基材は、発光のための100〜150nmのITO厚さおよび15mm×20mmITOのITO面積を有した。バッファー層の厚さは約40nmであった。発光層のために、ダウ・ケミカルズ(ミシガン州ミッドランド)製のルミネーション・グリーンの1%(w/v)トルエン溶液をバッファー層フィルムの上面上にスピンコートし、その後真空中130℃で5分間ベークした。発光ポリマーの厚さは約80nmであった。その後直ちに、陰極として機能するために6nm厚さのバリウム層および200nmのアルミニウム層をルミネーション・グリーン・フィルム上に沈着させた。表7にまとめたデバイスデータは、PAni/PSSA/ナフィオン(登録商標)ブレンドで製造したデバイスがPAni/PSSAのみで製造したデバイスよりもはるかに良好な特性を有することを明らかに示す。さらに、より高いpH(3.8対1.58)のPAni/PSSA/ナフィオン(登録商標)ブレンドは、1000ニットではるかにより良好なデバイス効率およびより低い電圧をもたらす。
【0170】
【表7】

【0171】
(実施例12)
本実施例は、超音波処理によるナフィオン(登録商標)とバイトロン−P(登録商標)CH8000とのブレンド化、および高いpHを達成するためのイオン交換樹脂処理ならびに改善されたデバイス性能を例示する。
【0172】
本実施例では、バイトロン−P(登録商標)CH8000(ロット#BPSS0007、固形分:2.8%;pH約1.7)を使用してナフィオン(登録商標)とのブレンドを形成した。重合のために使用されるナフィオン(登録商標)は、DE1021、ナフィオン(登録商標)の商用銘柄である。それは、999のEWを有する11.8%(w/w)水性コロイド状分散物である。
【0173】
3.33gのDE1021ナフィオン(登録商標)を、磁気撹拌機で撹拌しながら196.67gのバイトロン−P(登録商標)CH8000を含有する500mLの丸底フラスコ中へドリップさせた。添加を完了するのに約30分を要した。混合物を4時間撹拌されるままにし、次に250mLのプラスチックボトルに移した。生じた分散物は2.94%固形分を含有し、その中でナフィオン(登録商標)/PEDT/PSSA間の当量比は0.2/1.0/15.4であった。全体分散物を次に、パワー7にセットしたウルトラソニック・プロセッサーXL(ヒート・システムズ社、米国ニューヨーク州ファーミンデール)を用いる超音波処理に合計30秒の「オン」時間(15秒オン/15秒オフ)さらした。それを同じ条件を用いてもう1時間超音波処理した。分散物を次に、アキュサイザー・モデル780A(パーティクル・サイジング・システムズ、カリフォルニア州サンタバーバラ)を用いて粒度についてチェックした。粒度カウント(「PSC」)は、粒子が1.51μmより大きい状態で分散物の1mL中に31,302粒子であった。超音波処理の前に、PSCは113,760であった。
【0174】
超音波処理した全体分散物を2つの部分、各約100gに分割した。pHの調整なしの超音波処理したままの部分(「サンプル12a」)は、1.4のpHおよび3.3×10−6S/cmの導電率を有し、それは出発原料の導電率(約10−5S/cm)より低かった。
【0175】
他の半分部分を、底部に15gのモノプラスS100および上部に15gのMP62WSを充填した100mLのカラムに通した。モノプラスS100は、バイエル有限責任会社(ペンシルバニア州ピッツバーグ)製の架橋ポリスチレンのスルホン酸ナトリウム、カチオン交換樹脂の商品名である。MP62WSは、バイエル製の架橋ポリスチレンの第三級/第四級アミンの遊離塩基/塩化物、アニオン交換樹脂の商品名である。2つの樹脂は使用前に先ず別々に脱イオン水で水中に何の色もなくなるまで洗浄した。樹脂処理したサンプル(12b)のpHは3.7であり、導電率は2.3×10−6S/cmであった。粒度カウント(「PSC」)は、粒子が1.51μmより大きい状態で分散物の1mL中に27,275粒子であった。
【0176】
バイトロン−P(登録商標)/ナフィオン(登録商標)ブレンドの2サンプルを次にデバイス性能について試験した。それぞれを、発光バックライト基材用の100〜150nmのITO厚さおよび15mm×20mmITO面積を有するガラス/ITO基材(30mm×30mm)上にスピンし、空気中200℃で5分間ベークした。バッファー層の厚さを下の表7に示す。発光層のために、ダウ・ケミカルズ(ミシガン州ミッドランド)製のルミネーション・グリーンの1%(w/v)トルエン溶液をバッファー層フィルムの上面上に約700Åの厚さにスピンコートし、その後ドライボックス中180℃で10分間ベークした。その後直ちに、陰極として機能するために3nm厚さのバリウム層および300〜500nmのアルミニウム層をルミネーション・グリーン・フィルム上に沈着させた。表8にまとめたデバイスデータは、より高いpH(3.8対1.4)のバイトロン−P(登録商標)/ナフィオン(登録商標)ブレンドで製造したデバイスが1,000cd/mおよび25℃で、より低い電圧、およびより高い効率を有することを明らかに示す。
【0177】
【表8】

【0178】
(実施例13)
本実施例は、超音波処理によるより高い百分率のナフィオン(登録商標)とバイトロン−P(登録商標)CH8000とのブレンド化、乾燥した固形分の水への再分散性、および高いpHを達成するためのイオン交換樹脂処理ならびに改善されたデバイス性能を例示する。
【0179】
本実施例では、バイトロン−P(登録商標)CH8000(ロット#BPSS0007、固形分:2.8%、pH約1.7)を使用してナフィオン(登録商標)とのブレンドを形成した。重合のために使用されるナフィオン(登録商標)は、DE1021、ナフィオン(登録商標)の商用銘柄である。それは、999のEWを有する11.8%(w/w)水性コロイド状分散物である。
【0180】
15.59gのDE1021ナフィオン(登録商標)を、磁気撹拌機で撹拌しながら184.40gのバイトロン−P(登録商標)CH8000を含有する500mLの丸底フラスコ中へドリップさせた。添加を完了するのに約30分を要した。混合物を4時間撹拌されるままにし、次に250mLのプラスチックボトルに移した。生じた分散物は3.45%固形分を含有し、その中でナフィオン(登録商標)/PEDT/PSSA間の当量比は1.0/1.0/15.4であった。全体分散物を次に、パワー7にセットしたウルトラソニック・プロセッサーXL(ヒート・システムズ社、米国ニューヨーク州ファーミンデール)を用いる超音波処理に合計30秒の「オン」時間(15秒オン/15秒オフ)さらした。それを同じ条件を用いてもう1時間超音波処理した。分散物を次に、アキュサイザー・モデル780A(パーティクル・サイジング・システムズ、カリフォルニア州サンタバーバラ)を用いて粒度についてチェックした。粒度カウント(「PSC」)は、粒子が1.51μmより大きい状態で分散物の1mL中に83,227粒子であった。超音波処理の前に、PSCは745,311であった。
【0181】
超音波処理した全体分散物を2つの部分、各約100gに分割した。pHの調整なしの超音波処理したままの部分(「サンプル13a」)は、1.4のpHおよび2.0×10−6S/cmの導電率を有し、それは出発原料の導電率(約10−5S/cm)より低かった。2,3滴の水性分散物を不活性環境中で室温での乾燥のために顕微鏡スライド上に置いた。乾燥した固形分は、それらが水中に浸漬されるや否や水中に容易に再分散可能であった。
【0182】
他の半分部分を、底部に15gのモノプラスS100および上部に15gのMP62WSを充填した100mLのカラムに通した。モノプラスS100は、バイエル有限責任会社(ペンシルバニア州ピッツバーグ)製の架橋ポリスチレンのスルホン酸ナトリウム、カチオン交換樹脂の商品名である。MP62WSは、バイエル製の架橋ポリスチレンの第三級/第四級アミンの遊離塩基/塩化物、アニオン交換樹脂の商品名である。2つの樹脂は使用前に先ず別々に脱イオン水で水中に何の色もなくなるまで洗浄した。樹脂処理したサンプル(13b)のpHは3.8であり、導電率は2.7×10−6S/cmであった。
【0183】
バイトロン−P/ナフィオン(登録商標)ブレンドの2サンプルを次にデバイス性能について試験した。それぞれを、発光バックライト基材用の100〜150nmのITO厚さおよび15mm×20mmITO面積を有するガラス/ITO基材(30mm×30mm)上にスピンし、空気中200℃で5分間ベークした。バッファー層の厚さを下の表8に示す。発光層のために、ダウ・ケミカルズ(ミシガン州ミッドランド)製のルミネーション・グリーンの1%(w/v)トルエン溶液をバッファー層フィルムの上面上に約700Å厚さにスピンコートし、その後ドライボックス中180℃で10分間ベークした。その後直ちに、陰極として機能するために3nm厚さのバリウム層および300〜500nmのアルミニウム層をルミネーション・グリーン・フィルム上に沈着させた。表9にまとめたデバイスデータは、より高いpH(3.8対1.4)のバイトロン−P(登録商標)/ナフィオン(登録商標)ブレンドで製造したデバイスが1,000cd/mおよび25℃で、より低い電圧およびより高い効率を有することを明らかに示す。
【0184】
【表9】

【0185】
本発明はそのある種の好ましい実施形態に関して詳細に説明されてきたが、修正および変形は説明されるおよび特許請求されるものの精神および範囲内であることは理解されるであろう。
なお、本発明は、特許請求の範囲を含め、以下の発明を包含する
1.ポリマー酸でドープした導電性有機ポリマーと複数のナノ粒子との水性分散物を含むことを特徴とする組成物。
2.前記導電性有機ポリマーがポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、およびそれらの組合せから選択されることを特徴とする1に記載の組成物。
3.pHが1〜8に調整されることを特徴とする1に記載の組成物。
4.前記ナノ粒子が無機ナノ粒子であることを特徴とする1に記載の組成物。
5.前記無機ナノ粒子がシリカ、アルミナ、半導性無機酸化物粒子、絶縁性無機酸化物粒子、圧電性酸化物ナノ粒子、焦電性酸化物ナノ粒子、強誘電性酸化物ナノ粒子、光導電性酸化物ナノ粒子、導電性金属酸化物、導電性金属ナノワイヤー、および導電性金属ナノ粒子から選択されることを特徴とする4に記載の組成物。
6.前記ナノ粒子が有機ナノ粒子であることを特徴とする1に記載の組成物。
7.前記有機ナノ粒子がコロイド形成ポリマー酸、カーボンナノチューブ、カーボンナノ粒子、グラファイト化カーボンナノ粒子、グラファイト化カーボンナノファイバー、圧電性ポリマー、焦電性ポリマー、強誘電性ポリマー、および光導電性ポリマーから選択されることを特徴とする6に記載の組成物。
8.前記コロイド形成ポリマー酸がパーフルオロエチレンスルホン酸であることを特徴とする7に記載の組成物。
9.前記ナノ粒子が約500nm未満の粒度を有することを特徴とする1に記載の組成物。
10.前記ナノ粒子が約250nm未満の粒度を有することを特徴とする1に記載の組成物。
11.前記ナノ粒子が約50nm未満の粒度を有することを特徴とする1に記載の組成物。
12.シリカ:導電性ポリマーの重量比が約4:1であることを特徴とする5に記載の組成物。
13.ナノ粒子が半導電性酸化物であり、かつ、半導電性酸化物対導電性ポリマーの重量比が約1.5対1であることを特徴とする5に記載の組成物。
14.導電性ポリマーと複数のナノ粒子とを含むことを特徴とするバッファー層。
15.前記導電性ポリマーがポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、およびそれらの組合せから選択されることを特徴とする14に記載のバッファー層。
16.前記導電性ポリマーがPAni/PAAMPSA、PAni/PSSA、PEDT/PSSA、PEDT/PAAMPSA、PPy/PSSA、およびPPy/PAAMPSAから選択されることを特徴とする15に記載のバッファー層。
17.前記ナノ粒子が無機ナノ粒子であることを特徴とする14に記載のバッファー層。
18.前記無機ナノ粒子がシリカ、アルミナ、および半導電性金属酸化物から選択されることを特徴とする14に記載のバッファー層。
19.前記ナノ粒子が有機ナノ粒子であることを特徴とする14に記載のバッファー層。
20.前記有機ナノ粒子がコロイド形成ポリマースルホン酸、コロイド形成ポリマーアクリル酸、コロイド形成ポリマーホスホン酸、およびコロイド形成ポリマーリン酸から選択されることを特徴とする14に記載のバッファー層。
21.前記有機ナノ粒子がパーフルオロエチレンスルホン酸を含むことを特徴とする14に記載のバッファー層。
22.ポリ(3,4−チレンジオキシチオフェン)およびポリマーパーフルオロエチレンスルホン酸を含む水性分散物から製造されたバッファー層であって、水性分散物が2より大きいpHおよび0.1より大きいポリマーパーフルオロエチレンスルホン酸対ポリ(3,4−チレンジオキシチオフェン)の当量比を有することを特徴とするバッファー層。
23.約1×10−3S/cm未満の導電率を有することを特徴とする14に記載のバッファー層。
24.約1×10−5S/cm未満の導電率を有することを特徴とする14に記載のバッファー層。
25.導電性ポリマーと複数のナノ粒子とを含むバッファー層を含むことを特徴とする有機電子デバイス。
26.前記導電性ポリマーがポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、およびそれらの組合せから選択されることを特徴とする25に記載のデバイス。
27.前記導電性ポリマーがPAni/PAAMPSA、PAni/PSSA、PEDT/PAAMPSA、PEDT/PSS、PPy/PSSA、およびPPy/PAAMPSAから選択されることを特徴とする26に記載のデバイス。
28.前記ナノ粒子が無機ナノ粒子であることを特徴とする25に記載のデバイス。
29.前記無機ナノ粒子がシリカ、アルミナ、または半導電性金属酸化物から選択されることを特徴とする25に記載のデバイス。
30.前記ナノ粒子が有機ナノ粒子であることを特徴とする25に記載のデバイス。
31.前記有機ナノ粒子がコロイド形成ポリマー酸から選択されることを特徴とする25に記載のデバイス。
32.前記バッファー層が約1×10−3S/cm未満の導電率を有することを特徴とする25に記載のデバイス。
33.導電性ポリマーと複数のナノ粒子とを含むことを特徴とする薄膜電界効果トランジスタ電極。
34.前記導電性ポリマーがポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、およびそれらの組合せから選択されることを特徴とする33に記載の薄膜電界効果トランジスタ電極。
35.前記ナノ粒子が無機ナノ粒子であることを特徴とする33に記載の薄膜電界効果トランジスタ電極。
36.前記無機ナノ粒子が金属ナノ粒子であることを特徴とする33に記載の薄膜電界効果トランジスタ電極。
37.前記金属ナノ粒子がモリブデン−ナノ粒子であることを特徴とする33に記載の薄膜電界効果トランジスタ電極。
38.前記ナノ粒子が有機ナノ粒子であることを特徴とする33に記載の薄膜電界効果トランジスタ電極。
39.前記有機ナノ粒子がカーボンナノチューブ、グラファイト化カーボン粒子、およびグラファイト化カーボンナノファイバーから選択されることを特徴とする33に記載の薄膜電界効果トランジスタ電極。
40.33に記載の電極を含むことを特徴とする薄膜電界効果トランジスタ。
41.約10S/cmより大きい導電率を有することを特徴とする40に記載の薄膜電界効果トランジスタ。
42.水性分散物から基材上に付着された導電性ポリマーフィルムの導電率を約1×10−3S/cm未満の値に下げるための方法であって、前記水性溶液に複数のナノ粒子を添加する工程を含むことを特徴とする方法。
43.光導電セル、フォトレジスター、光スイッチ、フォトトランジスタ、光電管、IR検出器、光起電装置、記憶装置用の太陽電池コーティング材、電界効果抵抗デバイス、帯電防止フィルム、バイオセンサー、エレクトロクロミック素子、固体電解質コンデンサ、エネルギー蓄積装置、および電磁遮蔽材から選択されることを特徴とする25に記載の電子デバイス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性ポリマーと、そこに分散した複数のナノ粒子とを含む高抵抗バッファー層を含むことを特徴とする有機電子デバイスであって、
前記ナノ粒子が、有機ポリアクリル酸、カーボンナノチューブ、およびコロイド形成スルホン酸ナノ粒子ならびに、これらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする有機電子デバイス。
【請求項2】
前記導電性ポリマーがPAni/PAAMPSA、および、PEDT/PSSから選択されることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−193002(P2011−193002A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80069(P2011−80069)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【分割の表示】特願2007−504026(P2007−504026)の分割
【原出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】