説明

導電性粒子、異方性導電材料及び接続構造体

【課題】導電性を高めることができ、さらに電極間を接続するのに用いられた場合、電極間の接続抵抗値を低くすることができる導電性粒子を提供する。
【解決手段】基材粒子2と、該基材粒子2の表面2aに形成された導電層4とを備え、導電層4が、ニッケルとビスマスとを含有し、ニッケルとビスマスとの合計に占めるビスマスの割合が300〜2000μg/gの範囲内にある導電性粒子1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極間の接続に使用できる導電性粒子に関し、例えば、電極間の接続に用いられた場合に、電極間の接続信頼性を高めることができる導電性粒子、並びに該導電性粒子が用いられた異方性導電材料及び接続構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
異方性導電ペースト、異方性導電インク、異方性導電粘接着剤、異方性導電フィルム、又は異方性導電シート等の異方性導電材料が広く知られている。これらの異方性導電材料では、ペースト、インク又は樹脂中に導電性粒子が分散されている。
【0003】
異方性導電材料は、ICチップとフレキシブルプリント回路基板との接続や、ICチップとITO電極を有する回路基板との接続等に使用されている。例えば、ICチップの電極と回路基板の電極との間に異方性導電材料を配置した後、加熱及び加圧することにより、これらの電極同士を接続できる。
【0004】
上記異方性導電材料に用いられる導電性粒子の一例として、下記の特許文献1,2には、樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面に形成された金属層とを備える導電性粒子が開示されている。
【0005】
特許文献1では、金属層が、ビスマスを5000μg/g以下の割合で含有する導電性粒子が記載されている。また、実施例1には、金属層がニッケルとビスマスとを含有し、かつ金属層がビスマスを120μg/g含有する導電性粒子が記載されている。ここでは、金属層のビスマスの含有量を5000μg/g以下にすることにより、樹脂粒子の表面に、均一な金属層を形成できることが記載されている。
【0006】
特許文献2では、金属層が、ビスマスを1〜1000μg/gの範囲内で含有する導電性粒子が記載されている。また、実施例1〜5には、金属層がニッケルとビスマスとを含有し、かつ金属層がビスマスを5μg/g以下の割合で含有する導電性粒子が記載されている。
【特許文献1】特開2006−049246号公報
【特許文献2】特開2004−362838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1,2に記載の導電性粒子により、電極間を接続して接続構造体を形成した場合、電極間の接続抵抗値が高くなることがあった。
【0008】
本発明の目的は、導電性を高めることができ、さらに電極間を接続するのに用いられた場合、電極間の接続抵抗値を低くすることができる導電性粒子、並びに該導電性粒子が用いられた異方性導電材料及び接続構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、基材粒子と、該基材粒子の表面に形成された導電層とを備え、前記導電層が、ニッケルとビスマスとを含有し、ニッケルとビスマスとの合計に占めるビスマスの割合が300〜2000μg/gの範囲内にある、導電性粒子が提供される。
【0010】
本発明に係る導電性粒子のある特定の局面では、前記導電層の表面に形成された金属層がさらに備えられる。
【0011】
本発明に係る異方性導電材料は、本発明に従って構成された導電性粒子と、バインダー樹脂とを含有する。
【0012】
本発明に係る接続構造体は、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、該第1,第2の接続対象部材を電気的に接続している接続部とを備え、前記接続部が本発明の導電性粒子又は該導電性粒子とバインダー樹脂とを含有する異方性導電材料により形成されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る導電性粒子は、基材粒子の表面に導電層が形成されており、該導電層がニッケルとビスマスとを含有し、ニッケルとビスマスとの合計に占めるビスマスの割合が300〜2000μg/gの範囲内にあるため、導電性を高めることができる。従って、導電性粒子が電極間の接続に用いられた場合、電極間の接続抵抗値を低くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
本発明者は、基材粒子と、該基材粒子の表面に形成された導電層とを備える導電性粒子において、導電層がニッケルとビスマスとを含有し、ニッケルとビスマスとの合計に占めるビスマスの割合が300〜2000μg/gの範囲内にある構成を採用することにより、導電性が顕著に高い導電性粒子を得ることができ、さらに導電性粒子が電極間の接続に用いられた場合、電極間の接続抵抗値を低くすることができることを見出した。
【0016】
図1に、本発明の一実施形態に係る導電性粒子の断面図を示す。
【0017】
図1に示すように、導電性粒子1は、基材粒子2と、該基材粒子2の表面2aに形成された被覆層3とを備える。被覆層3は、基材粒子2の表面に形成された導電層4と、導電層4の表面4aに形成された金属層5とを有する。従って、被覆層3は、2層の積層構造を有する。ただし、金属層5は形成されていなくてもよい。被覆層3は、導電層のみにより形成されていてもよい。
【0018】
基材粒子2として、樹脂粒子、無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子又は金属粒子等が挙げられる。
【0019】
上記樹脂粒子を形成するための樹脂として、例えば、ジビニルベンゼン樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、尿素樹脂、イミド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂又は塩化ビニル樹脂等が挙げられる。上記無機粒子を形成するための無機物として、シリカ又はカーボンブラック等が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子として、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。上記金属粒子を形成するための金属として、銀、銅、ニッケル、ケイ素、金又はチタン等が挙げられる。
【0020】
基材粒子2の平均粒子径は、1〜100μmの範囲内にあることが好ましい。基材粒子の平均粒子径が1μmよりも小さいと、電極間の接続信頼性が低下することがある。基材粒子の平均粒子径が100μmよりも大きいと、電極間の間隔が大きくなりすぎることがある。
【0021】
上記「平均粒子径」とは、数平均粒子径を示す。平均粒子径は、例えばコールターカウンター(ベックマンコールター社製)を用いて測定できる。
【0022】
導電層4において、ニッケルとビスマスとの合計に占めるビスマスの割合は300〜2000μg/gの範囲内にある。ビスマスの割合が300〜2000μg/gの範囲内にあることにより、導電性粒子の導電性を顕著に高くすることができる。特に、ニッケルとビスマスとの合計に占めるビスマスの割合が300〜2000μg/gの範囲内にある導電層4の表面に、金属層として金層を形成すると、金層の結晶構造が大きくなるため、導電性粒子が電極間の接続に用いられた接続構造体の接続抵抗値を、顕著に低くすることができる。
【0023】
導電層4のビスマスの割合を上記範囲内にする方法として、例えば、無電解ニッケルめっきにより導電層を形成する際に、ニッケルめっき液中のビスマス塩の濃度を調整する方法等が挙げられる。
【0024】
上記ビスマス塩は特に限定されない。上記ビスマス塩として、硝酸ビスマス等が挙げられる。
【0025】
ニッケルとビスマスとを含有する導電層には、他の金属が含有されてもよい。該他の金属は特に限定されない。
【0026】
上記金属として、例えば、金、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、鉛、錫、アルミニウム、コバルト、インジウム、クロム、チタン、アンチモン、ゲルマニウム、カドミウム、パラジウム、錫−鉛合金、錫−銅合金、錫−銀合金又は錫−鉛−銀合金等が挙げられる。
【0027】
導電層4の表面に形成された金属層5に含有される金属は、パラジウム又は金であることが好ましく、金であることがより好ましい。これらの好ましい金属を含有する金属層が形成されていることにより、導電性粒子が電極間の接続に用いられた場合に、電極間の接続抵抗値をより一層低くすることができる。
【0028】
基材粒子2の表面2aに導電層4を形成する方法は特に限定されない。導電層4を形成する方法として、例えば、無電解めっき、電気めっき、又はスパッタリング等の方法が挙げられる。なかでも、基材粒子2の表面2aに導電層4を形成する方法は、無電解めっきにより形成する方法であることが好ましい。
【0029】
無電解めっきにより形成する方法では、一般的に、触媒化工程と、無電解めっき工程とが行われる。以下、無電解めっきにより、樹脂粒子の表面にニッケルとビスマスとを含有する導電層を形成する方法の一例を説明する。
【0030】
上記触媒化工程では、無電解めっきによりめっき層を形成するための起点となる触媒を、樹脂粒子の表面に形成させる。
【0031】
上記触媒を樹脂粒子の表面に形成させる方法として、例えば、塩化パラジウムと塩化スズとを含む溶液に、樹脂粒子を添加した後、酸溶液又はアルカリ溶液により樹脂粒子の表面を活性化させて、樹脂粒子の表面にパラジウムを析出させる方法、硫酸パラジウムとアミノピリジンとを含有する溶液に、樹脂粒子を添加した後、還元剤を含む溶液により樹脂粒子の表面を活性化させて、樹脂粒子の表面にパラジウムを析出させる方法等が挙げられる。上記還元剤として、次亜リン酸ナトリウム又はジメチルアミンボラン等が用いられる。
【0032】
上記無電解めっき工程では、ニッケル塩及び還元剤を含有するニッケルめっき浴が用いられる。ニッケルめっき浴中に樹脂粒子を浸漬することにより、触媒が表面に形成された樹脂粒子の表面に、ニッケルを析出させることができる。上記還元剤として、次亜リン酸ナトリウム、ジメチルアミンボラン又はヒトラジン等が用いられる。
【0033】
上記ニッケルめっき浴中にビスマス塩を含む安定剤を含有させることにより、樹脂粒子の表面にニッケルとビスマスとを含有する導電層を形成できる。
【0034】
上記導電層のビスマスの含有量の測定方法は、既知の種々の分析法を用いることができ特に限定されない。この測定方法として、原子吸光分析法又は原子スペクトル分析法等が挙げられる。上記原子吸光分析法では、フレーム原子吸光光度計又は電気加熱炉原子吸光光度計等が使用される。上記原子スペクトル分析法として、プラズマ発光分析法又はプラズマイオン源質量分析法等が挙げられる。
【0035】
導電層の厚みは、5〜500nmの範囲内にあることが好ましく、10〜400nmの範囲内にあることがより好ましい。導電層の厚みが5nm未満であると、導電性粒子の導電性が不足することがある。導電層の厚みが500nmを超えると、基材粒子と導電層との熱膨張率の差が大きくなり、基材粒子から導電層が剥離しやすくなることがある。導電層の表面に金属層が形成されている場合、上記導電層と上記金属層との合計の厚みは、5〜500nmの範囲内にあることが好ましく、10〜400nmの範囲内にあることがより好ましい。
【0036】
(異方性導電材料)
本発明に係る異方性導電材料は、本発明の導電性粒子と、バインダー樹脂とを含有する。
【0037】
上記バインダー樹脂は特に限定されない。バインダー樹脂として、一般的には絶縁性の樹脂が用いられる。バインダー樹脂として、例えば、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体又はエラストマー等が挙げられる。バインダー樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0038】
上記ビニル樹脂として、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂又はスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂として、例えば、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体又はポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂として、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂又は不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂又は湿気硬化型樹脂であってもよい。上記硬化性樹脂は、硬化剤と併用されてもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体として、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、又はスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーとして、例えば、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、又はアクリロニトリル−スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
【0039】
異方性導電材料は、導電性粒子及びバインダー樹脂の他に、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤又は難燃剤等の各種添加剤を含有してもよい。
【0040】
上記バインダー樹脂中に導電性粒子を分散させる方法は、従来公知の分散方法を用いることができ特に限定されない。上記バインダー樹脂中に導電性粒子を分散させる方法として、例えば、バインダー樹脂中に導電性粒子を添加した後、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、導電性粒子を水や有機溶剤中にホモジナイザー等を用いて均一に分散させた後、バインダー樹脂中へ添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、又はバインダー樹脂を水や有機溶剤等で希釈した後、導電性粒子を添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法等が挙げられる。
【0041】
本発明の異方性導電材料は、異方性導電ペースト、異方性導電インク、異方性導電粘接着剤、異方性導電フィルム、又は異方性導電シート等として使用され得る。本発明の導電性粒子を含む異方性導電材料が、異方性導電フィルムや異方性導電シート等のフィルム状の接着剤として使用される場合には、該導電性粒子を含むフィルム状の接着剤に、導電性粒子を含まないフィルム状の接着剤が積層されていてもよい。
【0042】
(接続構造体)
図2は、本発明の一実施形態に係る導電性粒子が用いられた接続構造体を模式的に示す正面断面図である。
【0043】
図2に示す接続構造体21は、第1の接続対象部材22と、第2の接続対象部材23と、第1,第2の接続対象部材22,23とを電気的に接続している接続部24とを備える。接続部24は、導電性粒子25を含有する異方性導電フィルムにより形成されている。
【0044】
第1の接続対象部材22の上面22aに、複数の電極22bが設けられている。第2の接続対象部材23の下面23aに、複数の電極23bが設けられている。第1の接続対象部材22の上面22aに、導電性粒子25を含有する異方性導電フィルムを介して、第2の接続対象部材23が積層されている。電極22bと電極23bとが、導電性粒子25により電気的に接続されている。図2では、導電性粒子25は略図的に示されている。
【0045】
第1,第2の接続対象部材22,23として、具体的には、半導体チップ、コンデンサもしくはダイオード等の電子部品、又はプリント基板、フレキシブルプリント基板もしくはガラス基板等の回路基板等が挙げられる。
【0046】
接続構造体21の製造方法は特に限定されない。接続構造体21の製造方法の一例として、第1の接続対象部材22と第2の接続対象部材23との間に、上記異方性導電フィルムを配置して、積層体を得た後、該積層体を加熱し、加圧する方法が挙げられる。
【0047】
以下、本発明について、実施例および比較例を挙げて具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0048】
(実施例1)
平均粒子径が5.0μm、変動係数が4.9%であるジビニルベンゼン樹脂粒子(積水化学工業社製「ミクロパールSP−205」)を用意した。
【0049】
パラジウム触媒液を5重量%含有するアルカリ溶液100重量部に、上記樹脂粒子10重量部を、超音波分散器を用いて分散させた後、溶液を濾過することにより、樹脂粒子を取り出した。次いで、樹脂粒子をジメチルアミンボラン1重量%溶液100重量部に添加し、樹脂粒子の表面を活性化させた。表面が活性化された樹脂粒子を十分に水洗した後、蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、懸濁液を得た。
【0050】
また、硫酸ニッケル0.23mol/L、次亜リン酸ナトリウム0.5mol/L、クエン酸ナトリウム0.5mol/L、及び硝酸ビスマス360mg/Lを含有するニッケルめっき液(pH8.5)を用意した。
【0051】
得られた懸濁液を60℃にて攪拌しながら、上記ニッケルめっき液を懸濁液に徐々に滴下し、無電解ニッケルめっきを行った。樹脂粒子の表面に、厚み0.08μm程度の導電層(ビスマスを含有するニッケルめっき層)が形成されたときに、無電解めっき液の滴下を終了した。その後、懸濁液を濾過することにより、粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、樹脂粒子の表面に導電層(ビスマスを含有するニッケルめっき層)が形成された粒子を得た。
【0052】
5g/Lのシアン化金カリウムを含有する置換金めっき液に、得られた粒子を加え、80℃で攪拌しながら、厚み0.04μm程度の金属層(金めっき層)が形成されるまで、金めっきを行った。このようにして、樹脂粒子の表面に導電層(ビスマスを含有するニッケルめっき層)が形成されており、該導電層の表面に金属層(金めっき層)が形成されている導電性粒子を得た。
【0053】
(実施例2)
ニッケルめっき液の硝酸ビスマスの含有量を、360mg/Lから960mg/Lに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
【0054】
(実施例3)
ニッケルめっき液の硝酸ビスマスの含有量を、360mg/Lから1995mg/Lに変更したこと、並びに懸濁液を70℃にて攪拌しながら、ニッケルめっき液を懸濁液に滴下したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
【0055】
(比較例1)
ニッケルめっき液の硝酸ビスマスの含有量を、360mg/Lから295mg/Lに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
【0056】
(比較例2)
ニッケルめっき液の硝酸ビスマスの含有量を、360mg/Lから2100mg/Lに変更したこと、並びに懸濁液を70℃にて攪拌しながら、ニッケルめっき液を懸濁液に滴下したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
【0057】
(評価)
(1)ビスマスの割合
60%硝酸5mLと37%塩酸10mLとの混合液に、導電性粒子5gを加え、導電層及び金属層を完全に溶解させ、溶液を得た。得られた溶液を用いて、ニッケル及びビスマスの含有量をICP−MS分析器(日立製作所社製)により分析し、下記式により、ニッケルとビスマスとの合計に占めるビスマスの割合を算出した。
【0058】
ビスマスの割合(μg/g)=(ビスマスの含有量(μg))/(ニッケルとビスマスとの合計量(g))
(2)めっき状態
得られた導電性粒子50個のめっき状態を、走査型電子顕微鏡により観察した。めっき割れ又はめっき剥がれ等のめっきむらの有無を観察した。めっきむらが確認された導電性粒子が4個以下の場合を「良好」、めっきむらが確認された導電性粒子が5個以上の場合を「不良」として、結果を下記の表1に示した。
【0059】
(3)抵抗値(1)
微小圧縮試験機(島津製作所社製「DUH−200」)を、抵抗値が測定できるように用いて、得られた導電性粒子を圧縮しながら通電を行い、50個の導電性粒子の抵抗値を測定した。得られた測定値の平均値を抵抗値(1)とした。なお、抵抗値が3.0Ω以下の導電性粒子を合格とした。
【0060】
(4)抵抗値(2)
粉体抵抗測定器(三井化学社製「MCP−PD51型」)を用いて、得られた導電性粒子の体積抵抗率を測定した。得られた測定値を抵抗値(2)とした。なお、体積抵抗率が0.0015Ω・cm以下の導電性粒子を合格とした。
【0061】
結果を下記の表1に示す。
【0062】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係る導電性粒子が用いられた接続構造体を模式的に示す正面断面図である。
【符号の説明】
【0064】
1…導電性粒子
2…基材粒子
2a…表面
3…被覆層
4…導電層
4a…表面
5…金属層
21…接続構造体
22…第1の接続対象部材
22a…上面
22b…電極
23…第2の接続対象部材
23a…下面
23b…電極
24…接続部
25…導電性粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材粒子と、該基材粒子の表面に形成された導電層とを備え、
前記導電層が、ニッケルとビスマスとを含有し、
ニッケルとビスマスとの合計に占めるビスマスの割合が300〜2000μg/gの範囲内にある、導電性粒子。
【請求項2】
前記導電層の表面に形成された金属層をさらに備える、請求項1に記載の導電性粒子。
【請求項3】
請求項1または2に記載の導電性粒子と、バインダー樹脂とを含有する、異方性導電材料。
【請求項4】
第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、該第1,第2の接続対象部材を電気的に接続している接続部とを備え、
前記接続部が請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性粒子又は該導電性粒子とバインダー樹脂とを含有する異方性導電材料により形成されている、接続構造体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−80408(P2010−80408A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−250509(P2008−250509)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】