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工業用ゴムロール組成物
説明

工業用ゴムロール組成物

【課題】 再生ゴムを含有させた場合でも、耐摩耗性及び加工性が低下することのない、EPDMを主成分として含む工業用ゴムロール組成物を提供すること。
【解決手段】 本発明の工業用ゴムロール組成物は、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体を主成分とする硫黄加硫系のゴムロール用組成物であって、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体系再生ゴムを、ゴム成分の5〜40重量%含有する、硫黄加硫系の工業用ゴムロール組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業用ゴムロール組成物に関する。特に、再生ゴムを含有させた場合でも、耐摩耗性及び加工性が低下することのない、EPDMを主成分として含むゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴムロールは、鉄等の金属製の芯にゴム生地を接着被覆した後、加硫することにより製造されるロールであり、一般的には金属芯に接着剤を塗布し、その上にゴム生地シートを層状に巻きつけるか、又はゴム生地を押し出し機にてリボン状に押し出しそれを金属芯に巻きつける方法により製造されている。このようなゴムロールは、製紙、製鉄、印刷等の種々の用途に用いられるものである。この中でも工業用ゴムロールは、フィルム、印刷、製鉄、製紙などの製造に使用される。なお、工業用ゴムロールとは、いわゆるOA用小型ロールを除くものを意味する。
【0003】
工業用ゴムロールは、その使用用途によって、耐摩耗性、耐薬品性、耐油性、耐オゾン性、耐熱性、耐圧性などの特性が要求される。特に、耐薬品性を要求される工業用ゴムロールには、一般に、エチレン−プロピレン−ジエンゴムを配合した、いわゆるEPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)系配合が適用されている。しかし、EPDMを配合することの欠点としては一般的に耐摩耗性が劣ること、製造時の加工性が劣ることなどである。
【0004】
EPDM系配合においては、製造されるゴムロールの耐摩耗性を向上させることが従来からの大きな課題であり、そのためにEPDMポリマーの高分子化、補強充填材質の増量や、カーボン種、シリカ種等を微粒子化させる等で、耐摩耗性を向上させることが種々検討されている。しかし、これらの手段では、ゴム生地が硬くなり、製造時の加工性が劣るという欠点が発生するという問題があった。すなわち、EPDM系配合のゴムロールでは、耐摩耗性と加工性の改良とを両立化させる十分な手段がないのが現状である。
【0005】
一方、近年においては、環境問題への関心が高まりつつあり、材料の再資源化のためリサイクル化などの動きが一般工業界で進展しつつある。特に、タイヤ業界においては、使用ずみタイヤを粉砕ゴム化してそれを少量ブレンドすることによって材料を再使用することなどが行われている。このような再生ゴムは、通常は加硫ゴムの架橋構造を破壊することで再生ゴムを生成し、これを未加硫ゴムと同様の目的に使用することが提案されている。このような再生ゴムは、加硫後の品質特性として破壊伸びや強度の低下、圧縮永久歪が劣るなど加工性と品質との両面で問題が多かったため、一部特殊な領域(マット、公園や運動上の舗装など)でのみ使用されてきた。例えば、使用済みタイヤのゴムを再生ゴム化して、それを原料として道路や運動場、マットなどの製品に活用することや、使用済みタイヤのゴムをセメントキルンなどの燃料として熱リサイクル利用することが従来より実施されている(例えば、村岡ゴム工業(株)のホームページなど参照)。
また、タイヤなどの加硫ゴムを再生化して用いる試みは近年行われている(例えば、特許文献1)。このような技術によれば、物理的特性に優れたゴム組成物を得ることができることが記載されている。
【0006】
しかし、ゴムロールの分野においては、使用した製品ロールからゴムを取り出し、このゴムを再利用することは従来から行われた例はない。この理由としては、ゴムを再利用した場合の加工性や性能上に問題が多いことなどが挙げられる。再生ゴムを用いて製造された工業用ゴムロールは、例えば、ゴムを練る時のまとまりが悪い、生地に穴あきが出易く、肌が悪いなど加工上の問題が多いという欠点を有する。そこで、工業用ロールの分野においても、加硫済みゴムを活用して再生ゴム化し、リサイクルとして利用出来る技術開発が望まれている。
【0007】
【特許文献1】特開2006−241184号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、再生ゴムを含有させた場合でも、耐摩耗性及び加工性が低下することのない、EPDMを主成分として含む工業用ゴムロール組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明者は鋭意検討した結果、特定の配合の工業用ゴムロール組成物を用いることにより、上記目的を達成し得るという知見を得、本発明を完成させた。本発明は上記目的に基づいてなされたものであり、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体を主成分とする硫黄加硫系のゴムロール用組成物であって、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体系再生ゴムを、ゴム成分の5〜40重量%含有する、硫黄加硫系の工業用ゴムロール組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記ゴムロール組成物を軸芯材に外装し、加硫してなる工業用ゴムロールを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、再生ゴムを含有させた場合でも耐摩耗性が良好であることに加え、接着性及び製造時の成形加工性が良好である、EPDMを主成分として含む工業用ゴムロール組成物が提供される。また、本発明によれば、再生ゴムの活用によって、リサイクル化、産業廃棄物削減等に寄与することのできる工業用ゴムロール組成物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、先ず本発明の工業用ゴムロール組成物について説明する。
本発明の工業用ゴムロール組成物は、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体を主成分とする硫黄加硫系のゴムロール用組成物であって、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体系再生ゴムを、ゴム成分の5〜40重量%含有する。
【0012】
本発明の工業用ゴムロール組成物は、硫黄加硫系の工業用ゴムロール組成物である。
本発明の工業用ゴムロール組成物は、硫黄加硫して工業用ゴムロールを製造するための組成物であることを意味する。すなわち、本発明の工業用ゴムロール組成物は、硫黄を含む加硫促進剤を用いて硫黄加硫して工業用ゴムロールを製造するための組成物である。
【0013】
本発明の工業用ゴムロール組成物は、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体を主成分とする。本明細書において、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体を主成分とするとは、工業用ゴムロール組成物に含有されるゴム成分の50重量%以上がエチレン−プロピレン−ジエン共重合体である(以下に説明する、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体系再生ゴムを含む)ことを意味する。好ましくは、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体はゴム成分の70重量%以上であり、更に好ましくは80重量%以上であり、更に好ましくは90重量%以上である。本発明の工業用ゴムロール組成物においては、ゴム成分の5〜40重量%がエチレン−プロピレン−ジエン共重合体系再生ゴムである。
【0014】
エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM共重合体)系再生ゴムとは、加硫済みのEPDM系ゴムを再生ゴム化処理したものをいう。再生ゴム化処理とは、加硫済みのEPDM系ゴムを含むゴムロールより、ゴムをリボン状に切り出し、それをチップ状に小さく裁断し、これをロールにて微粉砕状に押しつぶして、これに再生剤を添加して、180℃以上の温度にて熱処理してゴムの架橋部分を切断することを意味する。この処理は、一般的に知られているゴムの化学的再生化方法である。本発明に用いられる再生ゴムは、一般的に化学的処理方法で製造されるものであるが、製造方法には限定されず、どのような製造方法で得られたものであっても使用可能である。本発明の工業用ゴムロール組成物は、EPDM共重合体を主成分とし、EPDM共重合体系再生ゴムを、ゴム成分の5〜40重量%含有するものである。EPDM共重合体系再生ゴムの配合割合は、好ましくは10〜20重量%であり、品質及び加工性のいずれを優先するかで、最適量は異なってくる。
EPDM共重合体系再生ゴムの配合割合が、ゴム成分の5重量%未満であると、耐摩耗性を向上させる効果が少なく、一方、50重量部を超えると、加工性(ゴムのまとまり、生地肌、収縮性など)を悪化させたり、加硫物のゴム破断強度、伸びを悪化させるので実用上問題となる。
【0015】
本発明の工業用ゴムロール組成物は、溶解度係数(SP値)が8〜10で、分子量が900以下のフェノール系樹脂、テルペン系樹脂又はテルペンフェノール共重合樹脂を含むことが好ましい。フェノール系樹脂としては、例えば、ノボラック型フェノール樹脂が挙げられる。本発明に用いるノボラック型のフェノール樹脂は、フェノールもしくは変性フェノールとホルムアルデヒドを縮合重合させて得られる。具体的には、ストレートフェノール樹脂、アルキル置換フェノール樹脂、オイル変性フェノール樹脂等が挙げられる。
【0016】
テルペン系樹脂としては、テルペン単量体の重合体、及びこれに第2成分をポリマー鎖に含む重合体が含まれ、具体的には、テルペン樹脂の外、スチレン系テルペン樹脂、フェノール変性テルペン樹脂、更にこれらの樹脂を水素化した水添テルペン樹脂等が含まれる。
テルペン系フェノール樹脂とは、(1)環状テルペン化合物とフェノール類とを共重合させて得られる環状テルペン系フェノール樹脂、(2)環状テルペン化合物に、フェノール類を、環状テルペン化合物1分子に対しフェノール類2分子の割合で付加させてなる環状テルペン含有フェノール化合物、(3)(1)の環状テルペン系フェノール樹脂と(2)の環状テルペン含有フェノール化合物とを縮合反応させて得られる環状テルペン骨格含有フェノール樹脂、(4)環状テルペン化合物1分子に対し、フェノール類1分子を付加させて得られる環状テルペン骨格含有フェノール化合物と、アルデヒド類とを縮合反応させて得られる環状テルペン骨格含有フェノール樹脂等が挙げられる。
【0017】
前記フェノール系樹脂、テルペン系樹脂又はテルペンフェノール共重合樹脂は、その溶解度係数(SP値)が8〜10であり、好ましくは8〜9である。溶解度係数が上記範囲であるフェノール系樹脂、テルペン系樹脂又はテルペンフェノール共重合樹脂を用いることにより、EPDM共重合体に対して相溶性を示すので好ましい。また、上記フェノール系樹脂、テルペン系樹脂又はテルペンフェノール共重合樹脂の分子量は900以下であり、好ましくは800〜900である。
また、上記フェノール系樹脂、テルペン系樹脂又はテルペンフェノール共重合樹脂の配合量は、前記ゴム成分100重量部に対して、好ましくは5〜16重量部であり、更に好ましくは10〜15重量部である。上記フェノール系樹脂、テルペン系樹脂又はテルペンフェノール共重合樹脂の配合量が、ゴム成分100重量部に対し、5重量部未満であると、ゴムロールの配合生地のポリマー分散性、練り肌、タッキネスなどの加工性の改善効果が小さすぎる場合があり、20重量部を超えると、加硫反応速度や耐圧縮永久歪性が低下し実用上問題が発生する場合がある。
【0018】
本発明の工業用ゴムロール組成物には、平均粒子径が2〜6μmであり、吸油量が30〜70ml/gであり、かつ比表面積が8〜16cm/gである多孔質無機フィラーを含有させることが好ましい。上記多孔質無機フィラーの平均粒子径は好ましくは2〜4μmであり、吸油量は好ましくは40〜60ml/gであり、比表面積は好ましくは10〜14cm/gである。
このような多孔質無機フィラーを含有させることにより、再生ゴムを用いることによる欠点である、加工時の生地ワレを防止する効果が向上する。なお、本明細書において、生地ワレとは、生地をシート状にした時にシートに穴が開いたり、グリーン伸びが低下する現象を意味するものであり、上記多孔質無機フィラーは、その他、生地の収縮性をも改良する役割を有する。
【0019】
上記多孔質無機フィラーとして好ましいものは、微粒子球状クォーツと板状カオリナイトとからなる無水ケイ酸アルミニウム系縮合物が好ましく用いられる。本発明の工業用ゴムロール組成物に好ましく含まれる無機フィラーは、シランカップリング剤で表面処理したものである。無機フィラーをシランカップリング剤で表面処理する方法に特に制限はなく、従来公知の方法で実施することができる。無機フィラーをシランカップリング剤で表面処理する方法としては、例えば、未処理の無機フィラーを撹拌しながら、シランカップリング剤を滴下又は噴霧する方法、シランカップリング剤を有機溶媒に溶解して、このシランカップリング剤を溶解させた有機溶媒を撹拌しながら、無機フィラーを添加し、両者を混合した後、乾燥する方法等が挙げられる。
【0020】
多孔質無機フィラーの含有量は、上記ゴム成分100重量部に対し、5〜16重量部であり、好ましくは8〜12重量部である。
多孔質無機フィラーの含有量が、上記ゴム成分100重量部に対し、5重量部未満であると、上述の効果が得られない場合があり、一方、16重量部を超えると、加硫ゴムの圧縮永久歪みが低下したり、また、耐摩耗性が低下する場合がある。
【0021】
本発明の工業用ゴムロール組成物は、加硫促進剤を含んでいてもよい。加硫促進剤としては、下記に記載したものを用いることができる。硫黄の配合量は、通常、工業用ゴムロール組成物のゴム成分100重量部当たり1.5〜8重量部であり、目的の硬度によって異なる。硫黄とともに配合する加硫促進剤としては、以下に記す有機促進剤を使用することができる。
【0022】
有機促進剤としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェン等のチアゾール系加硫促進剤や、n−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、プロピルアミン等の脂肪族第1アミンと2−メルカプトベンゾチアゾールとの酸化縮合物、ジシクロヘキシルアミン、ピロリジン、ピペリジン等の脂肪族第2アミンと2−メルカプトベンゾチアゾールとの酸化縮合物、脂環式第1アミンと2−メルカプトベンゾチアゾールとの酸化縮合物、モルフォリン系化合物と2−メルカプトベンゾチアゾールとの酸化縮合物等のスルフェンアミド系加硫促進剤や、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジモノスルフィド(TETD)、テトラブチルチウラムジモノスルフィド(TBTD)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)等のチウラム系加硫促進剤や、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnMDC)、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnEDC)、ジ−n−ブチルカルバミン酸亜鉛(ZnBDC)等のジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤などを使用することができる。
【0023】
特に、チアゾール系加硫促進剤及びスルフェンアミド系加硫促進剤の少なくとも一方の促進剤と、チウラム系加硫促進剤及びジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤の少なくとも一方の促進剤を併用するのが好ましい。これは、チアゾール系加硫促進剤及びスルフェンアミド系加硫促進剤の少なくとも一方の促進剤を使用すると加硫速度が速くなり、チウラム系加硫促進剤及びジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤の少なくとも一方を使用すると加硫の開始が速くなり、加硫を効率良く進行させることができるためである。
【0024】
加硫促進剤の配合量は通常工業用ゴムロール組成物のゴム成分100重量部当たり1〜5重量部である。
【0025】
本発明の工業用ゴムロール組成物は、加硫させたときの表面電気抵抗値が10〜10Ωcmであることが好ましく、10Ωcm以下であることが更に好ましい。加硫させたときの表面電気抵抗値を上記範囲とすることにより、ロール使用時の静電気発生を防止することができるなお、加硫させたときの表面電気抵抗値を上記範囲とするには、FEF級カーボンを、工業用ゴムロール組成物中に配合させることが好ましい。なお、FEF級カーボンの配合量は、工業用ゴムロール組成物の全重量に対し、好ましくは60重量%以上である。FEF級カーボンの配合量が多いほど、電気抵抗値が低下する。
【0026】
また、本発明の工業用ゴムロール組成物は、加硫させたときの圧縮永久歪みが、好ましくは60%以下であり、更に好ましくは20%以下である。圧縮永久歪みを上記範囲とすることにより、ロール使用時のへたり耐久性を維持することができる。なお、加硫させたときの圧縮永久歪みを上記範囲とするには、工業用ゴムロール組成物中のカーボン量を制御することにより実施することができ、また、工業用ゴムロール組成物に、上述した溶解度係数(SP値)が8〜10で、分子量が900以下のフェノール系樹脂、テルペン系樹脂又はテルペンフェノール共重合樹脂を配合させ、硫黄加硫することにより実施することができる。
【0027】
本発明の工業用ゴムロール組成物には、ゴムロール組成物に、通常に配合される添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、カーボン(FEF)、酸化亜鉛、ステアリン酸、可塑剤等が挙げられる。可塑剤としては、例えば、ナフテン系オイルではダイアナプロセスオイル等が挙げられる。
【0028】
また、本発明の工業用ゴムロール組成物は、上述した、EPDM共重合体及びEPDM共重合体系再生ゴム以外の樹脂を配合させてもよい。そのような樹脂としては、例えば、エチレンエチルアクリレート樹脂、エチレンビニルアセテート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合樹脂、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。このような樹脂を配合する場合、EPDM共重合体及びEPDM共重合体系再生ゴムの全量に対し、10重量%以下とすることが好ましい。上記樹脂を多く配合すると、EPDM共重合体及びEPDM共重合体系再生ゴムとの相溶性が悪くなり、加硫時にEPDM共重合体が微分散しにくくなり、得られる工業用ゴムロールの耐久性及び摩擦係数が低下しやすくなる場合がある。
【0029】
本発明の工業用ゴムロール組成物は、後述するように、工業用ゴムロールを製造するために用いられる。具体的には、本発明の工業用ゴムロール組成物は、硫黄加硫して工業用ゴムロールを製造するために用いられる。工業用ゴムロール組成物は、上述したように、硫黄を用いて加硫される。
【0030】
本発明の工業用ゴムロール組成物を得るには、例えば、通常のミキシングロール、バンバリーミキサー、各種ニーダー等を用いて、上述した材料を混練りして得ることができるが、これらに限定されない。
本発明の工業用ゴムロール組成物は、工業用ゴムロール、すなわち、印刷用及びOA用に用いられるものを除くフィルム用、製鉄用、製紙用等の工業用材料及び製品用に用いられるゴムロールを製造するための材料として用いることができる。
【0031】
次に、本発明の工業用ゴムロールについて説明する。
本発明の工業用ゴムロールは、上述した本発明の工業用ゴムロール組成物を軸芯材に外装し、加硫してなる。
本発明の工業用ゴムロールは、上述した本発明の工業用ゴムロール組成物を材料とし、通常のバンバリーミキサーやニーダー等によって混練し、未加硫のゴムシート又は押出し機でリボン状ゴムを押出し、これを金属製の芯材に渦巻き状に巻き付けて成形し、引き続き、加硫装置で加硫を行うことによって製造することができる。用いられる金属製の芯材としては、例えば、一般には鉄、アルミニウム、ステンレス等からなるものが挙げられる。なお、混練の際の温度は、通常はMax110〜150℃であり、時間は10〜30分間程度である。
【0032】
本発明の工業用ゴムロールは、例えば、印刷用及びOA用に用いられるものを除くフィルム用、製鉄用、製紙用等の工業用材料及び製品用に用いられるゴムロールや、又はフリクションロール等として好適に用いられる。
【実施例】
【0033】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。なお、本発明の範囲は、かかる実施例に限定されないことはいうまでもない。
本発明を実施例により更に詳細に説明する。なお、本発明の範囲は、かかる実施例に限定されないことはいうまでもない。
【0034】
製造例1
再生ゴムの製造
エチレン−プロピレン−ジエン共重合体を加硫したゴムロールから、ゴムをリボン状(幅:1〜2cm程度)に切り出し、それを短く(2cm程度)裁断する。その裁断した加硫ゴムを粉砕ロール機にて粉末状にし、この粉末ゴムに再生剤(石油系炭化水素及びクマロンインデン共重合体の混合物)を添加しミキサーで混合する。これを蒸気圧力釜(脱硫釜)にて加熱して架橋部分を切断又は解重合(脱硫)して脱硫ゴムを得る。次いで、この脱硫ゴムを締め切りロールに通して粒状のゴムをすりつぶす。このような処理をすることによりゴムに可塑性が出てくる。最後に再生ゴム中の異物を取り除くためにストレーナー(押し出し機の一種で金網を通過させて異物を取り除く機械)に通す。これを最終製品化するためにはリファイナーロールにて更に可塑性を高めると共にゴムシート状に整えて製品にする。これらの方法は一般的に再生ゴムを製造するプロセスである。本発明にて起用した再生ゴムは上記の一般的な方法で製造したものである。
なお、以下の実施例で用いる再生ゴムの配合は、ポリマーとしてEPDM100重量部に対してカーボン(FEF)63重量部、可塑剤28重量部、酸化亜鉛2種5重量部、ステアリン酸1重量部、イオウ配合の加硫ゴムに再生剤を添加して上記の方法で再生化処理をしたものである。
【0035】
本実施例では、以下の方法で、ゴムロール組成物の評価を行った。
(1)練り加工性
ニーダーでゴム配合を混練りする際、ポリマーやカーボンなどの薬品分散性、練り生地のまとまり性、生地の肌だなどを総合判断して評価を行った。
評価は以下の評価基準に従って行った。
○:分散性、まとまり性、生地肌が全体的に問題のないレベルであった。
△:分散性、まとまり性、生地肌の1つ以上がやや劣るレベルであった。
×:分散性、まとまり性、生地肌の1つ以上が実用上問題のあるレベルであった。
【0036】
(2)ムーニー粘度
ムーニー粘度とは、ゴム生地の流動特性を評価するものであり、100℃の温度にて、ムーニー粘度計(東洋精機(株)製、ムーニー・ビスコメーター)を用いて測定した。
試料をセットした後、5分後のトルク値を測定し、粘度が低い方を良と判断する(この場合は流動体が良好であると判断される)。なお、表中の数値は、トルク値に比例するJISで定めたムーニー単位であり、8.30Nmが100に相当する。
【0037】
(3)成形加工性
押し出し機にてゴム生地をリボン状に押し出し、そのリボンを鉄芯に巻きつけて製造する際に押し出されたリボン状ゴムのリボンエッジ割れ、鉄芯へのリボン巻きつけ性を評価して判定。これらの特性が悪いと精度の良い成形が出来なく、又加硫後ロール表面にリボン状模様やリボン間の融合不良(スジ)が発生し易くなる(製品不良)。
評価は以下の評価基準に従って行った。
○:リボンエッヂがシャープで、巻き付け時のタック性の両方が問題ないレベルであった。
△:リボンエッヂがシャープでないか、巻き付け時のタック性が劣るレベルであった。
×:リボンエッヂがシャープでなく実用上問題となる(製品不良)か、巻き付け時のタック性が実用上問題になる(製品不良)レベルであった。
【0038】
(4)耐摩耗性
アクロン型摩耗試験機(上島製作所(株)製)にて回転砥石に加硫ゴム試料を、回転砥石の回転方向に対して15度の角度になるように取り付け、ゴム試料が1000回転した後のゴムの摩耗減量(体積換算)を測定した。この数値が小さい方が、耐摩耗性が良好であると評価できる。
【0039】
(5)摩耗肌
(4)で試験を行った試料の摩耗肌を顕微鏡で観察し、摩耗によるアブレーション・パターン間隔(波の間隔)を測定する。この間隔が短いほど摩耗面がきれいで摩耗肌が良いと判定される。なお、摩耗肌指数は、以下のように求めた。
摩耗試験を行った後、試験片の摩耗面を100倍に拡大して観察し、アブレーション間隔を測定した。その間隔長さ(摩耗ピッチ)が小さいほど、摩耗肌が良好であり、この間隔長さ(幅)を指数化した。
【0040】
(6)破壊エネルギー
引っ張り試験機(東洋精機(株)製、ストログラフ)を用いて、加硫ゴム試料(2mm厚のスラブ)の破壊までの強度と伸びを測定し、チャート上で、伸び及び応力破壊に要したエネルギー量を換算する。概略は破壊と破壊伸びの掛け合わせて面積で評価する。値が大きい程良とする。
【0041】
(7)圧縮永久歪
2mm厚みの加硫サンプルを短冊状(幅1cm×長さ12cm)に切断し、サンプルを長さ方向の中心で重なるように折り曲げ(角度0)、折り曲げた中心部(10mm長さ)を一定荷重(0.2kg/cm)で圧着した。圧着した状態で、サンプルを130℃の恒温槽中に6時間入れて加熱した。6時間経過した後、サンプルを取り出し、同時に圧着力を開放して自然冷却させた。冷却した後、短冊状サンプルの中心部におけるセット量(圧着永久歪)角度を測定した。荷重を取り除いた後のセット角度が大きいほど、圧縮永久歪が良好であるといえ、180度の場合は圧着永久歪は0となる。従って、耐圧縮永久歪み性=(180−セット角度)/180で計算して評価を行った。この値(指数)が小さいほど、良好であると判断する。
【0042】
(8)表面電気抵抗
DIGITAL式MΩ HITESTER(KIOK社製)を用いて、加硫ゴム試料の250V時の表面電気抵抗値(Ωcm)を測定する。この抵抗値が小さいほど電気が通り易く静電気が発生し難く良好であると判断する。
【0043】
(9)接着性
長さ750mmΦ、外径60mmの鉄芯に接着剤(タイプライBN又はケムロック205/220)を塗布した後、シート状ゴムを渦巻き状に形成し(ゴム厚15mm)加硫してゴムロールとした。加硫した後、ゴムロールの1断面を長さ方向に鉄芯に沿って、幅20mmで鉄芯の界面5mm近くまで部分研磨した。研磨後、20mm幅の切り込みを鉄芯の長さ方向に入れて、ゴムを鉄芯の界面から剥がし、鉄芯界面のゴム付き状態によって接着性を肉眼にて外観評価(ゴム付き状態の観察)する。界面の剥がれがない場合は接着が良好であると評価した。
接着性は以下の3段階で評価を行った。
A:長さ方向の剥がれがない(ゴム付き状態が100%である)。
B:長さ方向の剥がれが部分的である(ゴム付き状態が50%以上100%未満である)。
C:長さ方向の剥がれが全面的である(ゴム付き状態が50%未満である)。
【0044】
(10)収縮性
ロールにてゴムロールシート生地を2mm圧にシーティングした後、生地幅10cm、長さ25cmの長方形に切断し、次いで、台上に自然放置して、5分後の長さ方向の収縮量を測定した。5分後の長さ方向の収縮率(%)を用いて評価を行った。この測定値が小さい方が、成形時のシートの収縮が少なく、安定な成形ができるため、加工性が良好であると判断される。
【0045】
(11)タック性(粘着性)
2mm厚のゴムロールシートの生地を台の上に固定し、そのシートに金属ローラ(30Φ×巾2mm)に、2mmの厚みのシート生地を巻き付けた後、ローラを一定荷(400g/cm)で5秒間圧着した後、ローラを引き離す時の力を測定した。測定は、明和ゴム工業社製、粘着力測定機を用いて行った。この測定値が大きいほどタック性(粘着性)が良好であると判断される。また、タック性(粘着性)が良好であるものは、成形時のゴム/ゴム間の密着が良好であり、エアー入り等も少なくなり、品質が安定し、加工性が良好であると判断される。
【0046】
実施例1〜5、比較例1〜2
表1に示す配合の工業用ゴムローム組成物を、バンバリーミキサーにてMax120℃の温度で19分間混練りして製造した。なお、以下の実施例において、表中の数字は、全て重量部を表す。得られたゴムロール組成物について、上述した評価を行った。結果を表2に示す。
【0047】
【表1】

【0048】
表1において、EPDMとしては、JSR(株)製、T7241を、EPDM再生ゴムとしては、上述した製造例で得られた再生ゴムを、FEFカーボンとしては、旭カーボン(株)製、#60を、可塑剤としては、サンセン4240(ナフテン系ラバープロセスオイル、日本興産(株)製)を、アクティシルとしては、HOFMANN(株)製、PF216(平均粒子径:2.6μm、吸油量:50ml/g、比表面積:11.6cm/g)シラン系表面処理品を、フェノール・テルペン系樹脂としては、YSレジン(ヤスハラケミカル(株)製)、芳香族変性テルペン樹脂(SP値:8.4、分子量:約700)を、酸化亜鉛(2種)は、堺化学(株)製を、硫黄としては、表面処理イオウ(鶴見化学製)を用いた。また、表1中、DM及びMは、それぞれ、加硫促進剤種を表わす。
上述したことは、表3及び表5においても同様である。
【0049】
【表2】

【0050】
表2から、以下のことがわかる。EPDM共重合体系再生ゴムを添加すると、練り加工性、成形加工性、耐摩耗性等に効果があることがわかる。増量するほど効果が上昇するが、一方で、破壊エネルギーが低下するという欠点が発生する。従って、EPDM共重合体系再生ゴムを50重量部超えて添加すると破壊ネネルギーレベル大きく低下し、実用上問題となり使えなくなると共に、電気抵抗値が大きくなり、問題である。
【0051】
実施例6〜8、比較例3〜4
表3に示す配合の工業用ゴムローム組成物を、バンバリーミキサーにてMax120℃の温度で19分間混練りして製造した。なお、以下の実施例において、表中の数字は、全て重量部を表す。得られたゴムロール組成物について、上述した評価を行った。結果を表4に示す。
【0052】
【表3】

【0053】
【表4】

【0054】
表4から、以下のことがわかる。系に、フェノール・テルペン系樹脂を加えることにより成形加工性、タック性が向上するが、添加量が多くなり、20重量部になると耐圧縮永久歪が低下して実用上問題のあるレベルとなる。また、接着性も低下傾向となる。タック性が向上すると、リボン間のエアー入り低減や成形加工性にも向上する。但しフェノール・テルペン系樹脂量の添加量が20重量部近くに多くなると、耐圧縮永久歪は低下するので、実用上4〜16重量部が加工性と品質を両立させる領域である。
【0055】
実施例9〜11、比較例5〜6
表5に示す配合の工業用ゴムローム組成物を、バンバリーミキサーにてMax120℃の温度で19分間混練りして製造した。なお、以下の実施例において、表中の数字は、全て重量部を表す。得られたゴムロール組成物について、上述した評価を行った。結果を表4に示す。
【0056】
【表5】

【0057】
【表6】

【0058】
表4から、以下のことがわかる。系に、無機多孔質フィラー(アクテイシル)を添加することによりにより生地の収縮性が改良され、同時に練り加工性も向上する。無機多孔質フィラー添加量5重量部で収縮を小さくする効果があるが、多くなると圧縮永久歪が悪くなるので、その添加量は18重量部以下とすることが望ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン−プロピレン−ジエン共重合体を主成分とする硫黄加硫系のゴムロール用組成物であって、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体系再生ゴムを、ゴム成分の5〜40重量%含有する、硫黄加硫系の工業用ゴムロール組成物。
【請求項2】
溶解度係数(SP値)が8〜10で、分子量が900以下のフェノール系樹脂、テルペン系樹脂又はテルペンフェノール共重合樹脂を、前記ゴム成分100重量部に対して5〜16重量部含有する、請求項1に記載の工業用ゴムロール組成物。
【請求項3】
平均粒子径が2〜6μmであり、吸油量が30〜70ml/gであり、かつ比表面積が8〜16cm/gである多孔質無機フィラーを、前記ゴム成分100重量部に対して5〜18重量部含有する、請求項1又は2に記載の工業用ゴムロール組成物。
【請求項4】
加硫させたときの表面電気抵抗値が10Ω〜10Ωcmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の工業用ゴムロール組成物。
【請求項5】
加硫させたときの圧縮永久歪みが60%以下である、請求項1〜4のいずれか1項記載の工業用ゴムロール組成物。
【請求項6】
加硫促進剤を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の工業用ゴムロール組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の工業用ゴムロール組成物を軸芯材に外装し、加硫してなる工業用ゴムロール。

【公開番号】特開2008−201973(P2008−201973A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−41734(P2007−41734)
【出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(390015152)明和ゴム工業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】