説明

帯電装置、プロセスユニット及び画像形成装置

【課題】導電性シート9Kに対するトナー固着による感光体3Kの帯電ムラや地汚れの発生を長期間に渡って抑えることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】潜像を担持する感光体3Kの表面に当接しながらバイアスが供給される導電性シート9Kにより、感光体3Kの表面と、その表面に付着しているトナーとのうち、少なくとも一方を帯電せしめる画像形成装置において、導電性シート9Kとして、表面の純水接触角が108[°]以上であり、且つ表面のショアD硬度が65以下であるもの、を用いた。これにより、導電性シート9Kに対する転写残トナーの固着を長期間に渡って抑えるとともに、転写残トナーを感光体3Kと現像装置40Kとが対向する現像領域に搬送してしまうことによる地汚れの発生も長期間に渡って抑えることができた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体等の潜像担持体の表面に当接しながらバイアスが供給される導電性部材により、潜像担持体の表面と、この表面に付着しているトナーとのうち、少なくとも一方を帯電せしめる帯電装置に関するものである。また、かかる帯電装置を用いるプロセスユニット及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式の画像形成装置においては、次のようなプロセスで画像を形成する。即ち、まず、一様帯電せしめた感光体等の潜像担持体に対して露光走査などを施して静電潜像を形成し、この静電潜像を現像装置によって現像する。次いで、現像によって得られたトナー像を、潜像担持体上から転写紙等の記録体に直接転写するか、あるいは中間転写体を介して記録部材に転写する。
【0003】
かかる構成の画像形成装置に用いられる帯電装置としては、次のようなものが知られている。即ち、潜像担持体の表面に当接させた導電性部材たる帯電ローラ等の帯電部材に対して帯電バイアスを印加しながら潜像担持体と導電性部材との間に放電を生じせしめることで、潜像担持体の表面を一様帯電せしめる帯電装置である。
【0004】
また、特許文献1に記載の帯電装置のように、補助帯電を行うものも知られている。この種の帯電装置は、帯電ローラやスコロトロン方式の帯電チャージャーなどといった潜像担持体の一様帯電を主に行う主帯電手段の他に、補助帯電バイアスが印加される補助帯電部材を有している。そして、潜像担持体の無端移動する周面のうち、転写工程を通過した後で且つ主帯電手段による主帯電工程に進入する前の箇所に対して、その補助帯電部材を当接させている。かかる構成では、補助帯電部材からの放電あるいは電荷注入により、主帯電手段による一様帯電が施される前の潜像担持体の表面を予め補助帯電せしめたり、前記表面に付着している転写残トナーを正規帯電極性に帯電せしめたりする。これにより、潜像担持体の帯電ムラを抑えたり、低帯電量トナーや逆帯電トナーを現像領域に再搬送してしまうことによる地汚れの発生を抑えたりすることができる。
【0005】
これらの帯電装置において、潜像担持体に当接している導電性部材たる帯電部材や補助帯電部材に転写残トナーが固着してしまうと、それら部材と、転写残トナーや潜像担持体表面との間における放電や電荷注入が阻害される。そして、これにより、主帯電や補助帯電が良好に行われなくなって帯電ムラが発生したり、転写残トナーの帯電が良好に行われなくなって地汚れが発生したりしてしまう。なお、地汚れとは、潜像担持体の地肌部(一様帯電部)にトナーを付着させてしまう現象である。
【0006】
そこで、特許文献2に記載の帯電装置においては、帯電部材として、純水接触角が90[°]以上であるものを用いることで、帯電部材へのトナー固着を抑えるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、本発明者らは実験により、帯電部材等の導電性部材に対し、純水接触角が比較的大きいという条件を具備させるだけでは、導電性部材に対するトナー固着を長期間に渡って抑えることができないことを見出した。例えば、純水接触角が100[°]であったとしても、数千枚のプリントアウトを行っただけで、トナー固着を引き起こしてしまう導電性部材もあった。
【0008】
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、次のような帯電装置、並びにこれを用いるプロセスユニット及び画像形成装置を提供することである。即ち、導電性部材に対するトナー固着による帯電ムラや地汚れの発生を長期間に渡って抑えることができる帯電装置等である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、潜像を担持する潜像担持体の表面に当接しながらバイアスが供給される導電性部材により、該潜像担持体の表面と、該表面に付着しているトナーとのうち、少なくとも一方を帯電せしめる帯電装置において、上記導電性部材として、表面の純水接触角が108[°]以上であり、且つ該表面のショアD硬度が65以下であるもの、を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の帯電装置において、上記導電性部材として、表面のショアD硬度が50以上であるもの、を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の帯電装置において、上記導電性部材として、表面抵抗が10[Ω/cm]以上、10[Ω/cm]以下であるもの、を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかの帯電装置において、上記導電性部材として、体積固有抵抗率が10[Ω・cm]以上、10[Ω・cm]以下であるもの、を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れかの帯電装置において、上記導電性部材として、表面粗さRaが0.1[μm]以上、0.6[μm]以下であるもの、を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像をトナーによって現像する現像手段と、該潜像担持体の表面、及び該表面に付着しているトナーのうち、少なくとも一方を帯電せしめる帯電手段とを備える画像形成装置に用いられ、少なくとも該現像手段と該帯電手段とを共通の保持体に保持しながら画像形成装置本体に対して1つのユニットとして一体的に着脱されるプロセスユニットにおいて、上記帯電手段として、請求項1乃至5の何れかの帯電装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像をトナーによって現像する現像手段と、該潜像担持体の表面、及び該表面に付着しているトナーのうち、少なくとも一方を帯電せしめる帯電手段とを備える画像形成装置に用いられ、少なくとも該潜像担持体と該帯電手段とを共通の保持体に保持しながら画像形成装置本体に対して1つのユニットとして一体的に着脱されるプロセスユニットにおいて、上記帯電手段として、請求項1乃至5の何れかの帯電装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像をトナーによって現像する現像手段と、該潜像担持体の表面、及び該表面に付着しているトナーのうち、少なくとも一方を帯電せしめる帯電手段とを備える画像形成装置において、上記帯電手段として、請求項1乃至5の何れかの帯電装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項8の画像形成装置において、上記潜像担持体と上記導電性部材との当接部における該潜像担持体の表面移動方向の長さを、2[mm]以上、7[mm]以下にしたことを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項8又は9の画像形成装置において、上記潜像担持体と上記導電性部材との当接圧力を、2[kN/m]以上、15[kN/m]以下にしたことを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項8乃至10の何れかの画像形成装置において、上記潜像担持体として、純水接触角が90[°]以上であるものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項8乃至11の何れかの画像形成装置において、上記トナーとして、トナー粒子に対して該トナー粒子の1〜4重量部の外添剤が添加されたもの、を用いることを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項8乃至12の何れかの画像形成装置において、上記トナーとして、粒径が5[μm]以下のトナー粒子の全トナー粒子に対する割合が15[%]以下であるもの、を用いることを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、請求項8乃至13の何れかの画像形成装置において、上記現像手段として、現像剤担持体の表面上に担持したトナーによって上記潜像を現像するものを用い、該現像手段による現像で上記潜像担持体の表面に形成されたトナー像を転写体に転写する転写手段を設け、且つ、該転写手段による転写工程を経た後の潜像担持体表面に付着している転写残トナーを該潜像担持体表面から該現像剤担持体の表面に回収させるようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
これらの発明においては、後述する実験によって本発明者らが明らかにしたように、導電性部材として、表面の純水接触角が108[°]以上であり、且つ表面のショアD硬度が65以下であるもの、を用いることで、導電性部材に対するトナー固着を長期間に渡って抑えることが可能である。よって、導電性部材に対するトナー固着による帯電ムラや地汚れの発生を長期間に渡って抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に係るプリンタの要部を示す概略構成図。
【図2】同プリンタのK用のプロセスユニットを中間転写ベルトとともに示す拡大構成図。
【図3】変形例装置のK用のプロセスユニットを中間転写ベルトとともに示す拡大構成図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のカラーレーザープリンタ(以下、単にプリンタという)の一実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。図1は、本実施形態に係るプリンタの要部を示す概略構成図である。このプリンタは、イエロー,マゼンダ,シアン,ブラック(以下、Y,M,C,Kと記す)の各色のトナー像を形成するための4つのプロセスユニット1Y,M,C,Kを備えている。また、光書込ユニット50、レジストローラ対54、転写ユニット60等も備えている。各符号の末尾に付された添字Y,M,C,Kは、それぞれイエロー,マゼンダ,シアン,ブラック用の部材であることを示す。
【0013】
潜像形成手段たる光書込ユニット50は、Y,M,C,Kの各色に対応する4つのレーザーダイオードからなる光源、正六面体のポリゴンミラー、これを回転駆動するためのポリゴンモータ、fθレンズ、レンズ、反射ミラー等を有している。レーザーダイオードから射出されたレーザー光Lは、ポリゴンミラーの何れか1つの面で反射してポリゴンミラーの回転に伴って偏向せしめられながら、後述する4つの感光体のうちの何れかに到達する。4つのレーザーダイオードからそれぞれ射出されるレーザー光Lにより、4つの感光体の表面がそれぞれ光走査される。
【0014】
プロセスユニット1Y,M,C,Kは、潜像担持体としてのドラム状の感光体3Y,M,C,K、これらにそれぞれ個別に対応する現像手段たる現像装置40Y,M,C,K、帯電装置などを有している。感光体3Y,M,C,Kは、図示しない駆動手段によって所定の線速で図中時計回り方向に回転駆動せしめられる。そして、図示しないパーソナルコンピュータ等から送られてくる画像情報に基づいて変調されたレーザー光Lを発する光書込ユニット50により、暗中にて光走査されて、Y,M,C,K用の静電潜像を担持する。
【0015】
図2は、4つのプロセスユニット1Y,M,C,Kのうち、K用のプロセスユニット1Kを転写ユニット(図1の60)の中間転写ベルト61とともに示す拡大構成図である。同図において、K用のプロセスユニット1Kは、感光体3K、帯電装置、図示しない除電ランプ、現像手段たる現像装置40K等を、1つのユニットとして共通のユニットケーシング(保持体)に保持させて、プリンタ本体に対して着脱可能にしたものである。
【0016】
被帯電体であり且つ潜像担持体であるK用の感光体3Kは、アルミニウム素管からなる導電性基体の表面に、負帯電性の有機光光導電物質(OPC)からなる感光層が被覆された直径24[mm]程度のドラムであり、図示しない駆動手段によって所定の線速で図中時計回り方向に回転駆動せしめられる。これにより、感光体3Kの表面は、後述する1次転写ニップ(中間転写ベルト61との当接位置)、補助帯電ニップ、帯電ニップ、光書込位置、現像領域を順次通過する。
【0017】
K用の現像装置40Kは、ケーシング41Kに設けられた開口から周面の一部を露出させる現像ローラ42Kを有している。現像剤担持体たる現像ローラ42Kは、その長手方向の両端からそれぞれ突出している軸が図示しない軸受けによってそれぞれ回転自在に支持されている。ケーシング41Kには、Kトナーが内包されており、回転駆動されるアジテータ43Kによって図中右側から左側へと搬送される。アジテータ43Kの図中左側方には、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動されるトナー供給ローラ44Kが配設されている。このトナー供給ローラ44Kのローラ部はスポンジ等の弾性発泡体からなり、アジテータ43Kから送られてくるKトナーを良好に捕捉する。このようにして捕捉されたKトナーは、トナー供給ローラ44Kと現像ローラ42Kとの当接部で現像ローラ42Kに供給される。そして、現像剤担持体たる現像ローラ42K内の表面に担持されたKトナーは、現像ローラ42Kの図中反時計回り方向の回転駆動に伴って規制ブレード45Kとの接触位置を通過する際にその層厚が規制されたり、摩擦帯電が促されたりした後、感光体3Kと対向する現像領域に搬送される。
【0018】
この現像領域では、図示しない電源から出力される負極性の現像バイアスが印加される現像ローラ42Kと、感光体3Kの静電潜像との間に、負極性のKトナーを現像ローラ42K側から潜像側に静電移動させる現像ポテンシャルが作用する。また、現像ローラ42Kと感光体3Kの一様帯電箇所(地肌部)との間に、負極性のKトナーを地肌部側から現像ローラ42K側に静電移動させる非現像ポテンシャルが作用する。現像ローラ42K上のKトナーは、現像ポテンシャルの作用によって現像ローラ42K上から離脱して感光体3Kの静電潜像上に転移する。この転移により、感光体3K上の静電潜像がKトナー像に現像される。
【0019】
なお、本プリンタでは、現像剤としてKトナーを主成分とする一成分現像剤を用いる一成分現像方式を現像装置40Kに採用しているが、Kトナーと磁性キャリアとを含有する二成分現像剤を用いる二成分現像方式を採用してもよい。
【0020】
現像領域で現像されたKトナー像は、感光体3Kの回転に伴って感光体3Kと中間転写ベルト61とが当接するK用の1次転写ニップまで搬送され、ここで中間転写ベルト61上に中間転写される。この1次転写ニップを通過した後の感光体3K表面には、中間転写ベルト61上に転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーの処理については、後述する。
【0021】
帯電装置は、図中反時計回り方向に回転駆動されながら感光体3Kに当接して帯電ニップを形成する帯電ローラ7K、感光体3Kに当接して補助帯電ニップを形成する補助帯電部材10Kなどを有している。帯電ローラ7Kは、金属製の回転軸部材の周面上に導電性ゴム等の導電性及び弾性を発揮する材料からなるローラ部が被覆されたものである。回転軸部材には、図示しない電源等からなる帯電バイアス供給手段により、帯電バイアスが印加される。この印加により、帯電ローラ7Kと感光体3Kとの間で放電が発生することで、感光体3Kの表面がトナーの帯電極性と同極性に一様帯電せしめられる。
【0022】
補助帯電部材10Kは、スポンジ等の弾性材料からなる弾性部8Kの表面に、導電性材料からなる導電性シート9Kが被覆されたものである。そして、ホルダー部材によって感光体3Kに向けて押圧されながら、感光体3Kの周面のうち、後述する1次転写ニップを通過してから、上記帯電ニップに進入する前の箇所に対して、自らのシート被覆面を当接させている。導電性シート9Kには、図示しない電源等からなる補助帯電バイアス供給手段により、トナーの帯電極性と同極性の直流電圧、あるいはこの直流電圧が重畳された交流電圧からなる補助帯電バイアスが供給される。
【0023】
1次転写ニップを通過した後の感光体3K表面に付着している転写残トナーの中には、正規の帯電極性に帯電しているトナーの他、正規の帯電極性ではあるもののその帯電量が不足している低帯電量トナーや、逆極性に帯電している逆帯電トナーなども含まれる。そして、このような転写残トナーは、感光体3Kの回転に伴って補助帯電ニップに進入する。すると、転写残トナー中の逆帯電トナーは、補助帯電部材10Kと感光体3Kとの間の放電、あるいは補助帯電部材10Kからの電荷注入により、正規極性であるマイナス極性に十分に帯電せしめられる。また、転写残トナー中の低帯電量トナーも、放電あるいは電荷注入によってマイナス極性に十分に帯電せしめられる。これにより、転写残トナー中の逆帯電トナーや低帯電量トナーを現像領域に搬送してしまうことによる地汚れの発生が抑えられる。
【0024】
また、補助帯電部材10Kの導電性シート9Kと感光体3Kとの間に放電を生じせしめる場合には、帯電ローラ7Kによる感光体3Kの主帯電処理に先立って、前記放電によって感光体3Kを補助帯電せしめることで、帯電ムラを抑えることもできる。
【0025】
帯電ニップで一様帯電せしめられたK用の感光体3Kの表面には、上述した光書込ユニット(50)による光走査でK用の静電潜像が形成され、この静電潜像はK用の現像装置40KによってKトナー像に現像される。
【0026】
K用のプロセスユニット1Kについて説明してきたが、他色用のプロセスユニット1Y,M,CはK用のプロセスユニット1Kと同様の構成になっているので説明を省略する。
【0027】
プロセスユニット1Y,M,C,Kとしては、いわゆるクリーナーレス方式のものが採用されている。クレーナーレス方式とは、感光体3Yなどの潜像担持体上に付着している転写残トナーをクリーニング回収するための専用の手段を用いることなく潜像担持体上での画像形成プロセスを実行する方式のことである。また、クリーニング回収するための専用の手段とは、具体的には、転写残トナーを潜像担持体から分離した後、再び潜像担持体に付着させることなく、廃トナー容器まで搬送して回収したり、現像装置内に搬送してリサイクル回収したりする手段である。転写残トナーを潜像担持体から掻き取るクリーニングブレードも、専用の手段に含まれる。
【0028】
かかるクリーナーレス方式について詳述する。クリーナーレス方式は、大別すると、散らし通過型と、一時捕捉型と、併用型とがある。これらのうち、散らし通過型では、潜像担持体に摺擦するブラシ等の散らし部材を用いて、潜像担持体上の転写残トナーを引っ掻くことで、転写残トナーと潜像担持体との付着力を弱める。そして、その後、現像スリーブや現像ローラ等の現像部材と潜像担持体とが対向する現像領域、あるいはその直前において、潜像担持体上の転写残トナーを現像ローラなどの現像部材に静電転移させることで、現像装置内に回収する。この回収に先立って、転写残トナーは、潜像書込のための光書込位置を通過するが、転写残トナー量が比較的少量であれば、潜像書込に悪影響を及ぼすことはない。但し、正規極性とは逆極性に帯電している逆帯電トナーが転写残トナー中に含まれていると、それは現像部材上に回収されないので、地汚れなどを引き起こしてしまう。かかる逆帯電トナーによる地汚れの発生を抑える目的で、潜像担持体上の転写残トナーを正規極性に帯電せしめるためのトナー帯電手段を、転写位置(例えば1次転写ニップ)と散らし部材による散らし位置との間、あるいは散らし位置と現像領域との間、に設けることが望ましい。散らし部材としては、板金やユニットケーシング等に貼り付けられた導電性繊維からなる複数の植毛繊維を有する固定ブラシ、金属製の回転軸部材に複数の植毛繊維を立設せしめたブラシローラ、導電性のスポンジ等からなるローラ部を有するローラ部材(例えば帯電ローラ)などを用いることができる。固定ブラシは植毛繊維の量が比較的少量で構成できるため安価であるという利点があるが、潜像担持体を一様帯電せしめるための帯電部材として兼用する場合には、十分な帯電均一性を得ることができなくなる。これに対し、ブラシローラでは、十分な帯電均一性を得ることができるので好適である。
【0029】
クリーナーレス方式における一時捕捉型では、表面を潜像担持体に接触させながら無端移動させる回転ブラシ部材などの捕捉部材によって、潜像担持体上の転写残トナーを一時的に捕捉する。そして、プリントジョブ終了後やプリントジョブ間の紙間タイミングなどにおいて、捕捉部材上の転写残トナーを吐き出させて潜像担持体に再転移させた後、現像ローラなどの現像部材に静電転移させて、現像装置内に回収する。上述した散らし通過型では、ベタ画像形成時やジャム発生後などといった転写残トナーがかなり多くなってしまう場合に現像部材への回収能力を超えて画像劣化を引き起こすおそれがあるのに対し、一時捕捉型では捕捉部材で捕捉した転写残トナーを現像部材に少しずつ回収してかかる画像劣化の発生を抑えることができる。
【0030】
クリーナーレス方式における併用型では、散らし通過型と一時捕捉型とを併用する。具体的には、潜像担持体に接触する回転ブラシ部材などを、散らし部材及び捕捉部材として併用する。回転ブラシ部材等に直流電圧だけを印加することで回転ブラシ部材等を散らし部材として機能させる一方で、必要に応じてバイアスを直流電圧から重畳電圧に切り換えることで、回転ブラシ部材等を捕捉部材として機能させる。
【0031】
本プリンタでは、散らし透過型のクリーナーレス方式を採用している。具体的には、感光体3Yは、図中時計回り方向に所定の線速で回転駆動されながら中間転写ベルト61のおもて面に接触してY用の1次転写ニップを形成している。そして、散らし部材たる補助帯電部材10Yや帯電ローラ7Yにより、感光体3Y上の転写残トナーを引っ掻くことで、転写残トナーと感光体3Yとの付着力を弱める。そして、その後、現像領域において、感光体3Y上の転写残トナーを現像装置40Yの現像ローラ42Yに静電転移させて回収する。このとき、転写残トナー中に、低帯電量トナーや逆帯電トナーが多く含まれていると、それらが現像ローラ42Y上に回収されずに、地汚れを引き起こしてしまう。
【0032】
先に示した図1において、各色のプロセスユニット1Y,M,C,Kの下方には、転写ユニット60が配設されている。この転写ユニット60は、無端状の中間転写ベルト61を、複数の張架ローラによって張架しながら、図中反時計回り方向に無端移動せしめる。複数の張架ローラとは、具体的には、従動ローラ62、駆動ローラ63、4つの1次転写バイアスローラ66Y,M,C,K等のことである。
【0033】
従動ローラ62、1次転写バイアスローラ66Y〜K、駆動ローラ63は、何れも中間転写ベルト61の裏面(ループ内周面)に接触している。そして、4つの1次転写バイアスローラ66Y,M,C,Kは、金属製の芯金にスポンジ等の弾性体が被覆されたローラであり、それぞれY,M,C,K用の感光体3Y,M,C,Kに向けて押圧されて、中間転写ベルト61を挟み込んでいる。これにより、4つの感光体3Y,M,C,Kと中間転写ベルト61のおもて面とがベルト移動方向において所定の長さで接触するY,M,C,K用の4つの1次転写ニップが形成されている。
【0034】
4つの1次転写バイアスローラ66Y,M,C,Kの芯金には、それぞれ図示しない転写バイアス電源によって定電流制御される1次転写バイアスが印加されている。これにより、4つの1次転写バイアスローラ66Y,M,C,Kを介して中間転写ベルト61の裏面に転写電荷が付与され、各1次転写ニップにおいて中間転写ベルト61と感光体3Y,M,C,Kとの間に転写電界が形成される。なお、本プリンタにおいては、1次転写手段として1次転写バイアスローラ66Y,M,C,Kを設けているが、ローラに代えて、ブラシやブレード等のものを用いてもよい。また、転写チャージャーなどを用いてもよい。
【0035】
各色の感光体3Y,M,C,K上に形成されたY,M,C,Kトナー像は、各色の1次転写ニップで中間転写ベルト61上に重ね合わせて1次転写される。これにより、中間転写ベルト61上には4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
【0036】
中間転写ベルト61における駆動ローラ63に対する掛け回し箇所には、2次転写バイアスローラ67がベルトおもて面側から当接しており、これによって2次転写ニップが形成されている。この2次転写バイアスローラ67には、図示しない電源や配線からなる電圧印加手段によって2次転写バイアスが印加されている。これにより、2次転写バイアスローラ67と接地された2次転写ニップ裏側ローラ64との間に2次転写電界が形成されている。中間転写ベルト61上に形成された4色トナー像は、ベルトの無端移動に伴って2次転写ニップに進入する。
【0037】
本プリンタは、図示しない給紙カセットを備えており、その中に記録紙Pを複数枚重ねた記録紙束の状態で収容している。そして、一番上の記録紙Pを所定のタイミングで給紙路に送り出す。送り出された記録紙Pは、給紙路の末端に配設されたレジストローラ対54のレジストニップ内に挟み込まれる。
【0038】
レジストローラ対54は、給紙カセットから送られてきた記録紙Pをレジストニップに挟み込むために両ローラを回転駆動させているが、記録紙Pの先端を挟み込むとすぐに両ローラの回転駆動を停止させる。そして、記録紙Pを中間転写ベルト61上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで2次転写ニップに向けて送り出す。2次転写ニップでは、中間転写ベルト61上の4色トナー像が2次転写電界やニップ圧の作用によって記録紙P上に一括2次転写されて、記録紙Pの白色と相まってフルカラー画像となる。
【0039】
このようにしてフルカラー画像が形成された記録紙Pは、2次転写ニップから排出された後、図示しない定着装置に送られてフルカラー画像が定着せしめられる。
【0040】
2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト61表面に付着している2次転写残トナーは、ベルトクリーニング装置68によってベルト表面から除去される。
【0041】
なお、実施形態に係るプリンタは、Y,M,C,Kトナーとして、それぞれマイナス帯電性のものを用いている。そして、各色の感光体3Y,M,C,Kをそれぞれ帯電装置によってマイナス極性に一様帯電せしめた後、光走査による静電潜像のマイナス電位を地肌部よりも減衰せしめる。このように電位が減衰した静電潜像にマイナス極性のトナーを付着させるネガポジ現像方式を採用している。
【0042】
次に、本プリンタの特徴的な構成について説明する。
本発明者らは、先に図1に示した実施形態に係るプリンタと同様の構成の試験機を用意した。また、図2に示したK用のプロセスユニット1Kにおける補助帯電部材10Kの導電性シート9Kとして、純水接触角やショアD硬度が互いに異なる複数種類のものを用意した。そして、試験機に搭載する導電性シート9Kをこれらの中で順次交換しながら、各シートでそれぞれモノクロのハーフチャート(ツー・バイ・ツーのハーフトーン階調画像)を1万枚のA4用紙に5[%]の画像面積率で連続プリントした。
【0043】
導電性シート9Kの純水接触角については、協和界面科学社製の接触角計CA−DT・A型を用いた液滴法(同接触角計の取り扱い説明書に準拠)によって測定することが可能である。
【0044】
導電性シート9KのショアD硬度については、ASTM D−2240に準拠する方法にて、基体の25℃におけるショアD硬度を測定した。
【0045】
帯電ローラ7Kに印加する帯電バイアスとしては、−1100[V]の直流電圧を採用した。また、補助帯電部材10Kの導電性シート9Kに印加する補助帯電バイアスとしては、−700[V]の補助帯電バイアスを採用した。かかる構成では、導電性シート9Kでの補助帯電により、転写残トナー中の低帯電量トナーや逆帯電トナーを正規極性のマイナスに帯電せしめて、地汚れの発生を抑えることができる。また、帯電ローラ7Kによる主帯電に先立って、帯電バイアスよりも低い補助帯電バイアスで感光体3Kを補助帯電しておくことで、帯電ムラの発生を抑えることができる。導電性シート9KにKトナーが固着すると、補助帯電が良好に行われなくなって、帯電ムラが起こる。そして、これにより、画像に縦黒スジが目立つようになる。
【0046】
(K)トナーとしては、平均粒径が8.5[μm]に調整された粉砕法によるトナーであって、外添剤を添加したものを用いた。
【0047】
ハーフチャートのプリント時には、各色の感光体を120[mm/sec]の線速で回転駆動した。
【0048】
各色の帯電ブラシローラ(例えば7K)としては、直径6[mm]の金属製の回転軸部材上に導電性ゴム層の被覆によるローラ部を形成した(φ)10[mm]のものを使用した。
【0049】
補助帯電部材10Kの導電性シート9Kとしては、上述のように、純水接触角やショアD硬度が互いに異なる複数種類のものを用いたが、それらの表面抵抗、厚みは何れも10[Ω/□]、0.1[mm]である。
【0050】
補助帯電部材10Kの弾性部8Kとしては、スポンジからなる厚み5[mm]のものを用い、これを2[mm]の厚みまで圧縮する当接圧で、補助帯電部材10Kを感光体3Kに当接させた。
【0051】
互いに異なる種類の導電性シート9Kを用いた複数回のプリントテストにおいて、それぞれ1万枚のプリント画像を全て観察して、凝集トナー塊による画像汚れの有無を調べた。この凝集トナー塊とは、先に図2に示した導電性シート9Kと感光体3Kとの当接部で堰き止められたKトナーが当接部入口で滞留して塊になったものである。この塊がある程度成長すると、当接部入口から重力落下してK用の1次転写ニップに進入する。そして、中間転写ベルト61を介して、あるいは直接的に記録紙Pに付着して画像汚れとなる。この画像汚れについては、×(トナー付着によるφ0.5mm以上の斑点を100点以上/10枚の割合で確認)、○(トナー付着によるφ0.5mm以上の斑点を10点以上/100枚の割合で確認)、◎(トナー付着による斑点を100枚のプリントで確認できない)の3段階で評価した。なお、通常の普及機における画像汚れの許容範囲は、○や◎である。
【0052】
また、それぞれのプリントテストにおいて、1万枚目のプリント画像を観察して、縦黒スジの有無を観察した。この縦黒スジは、導電性シート9Kに対するKトナーの固着に起因して感光体3Kに帯電ムラが発生したことによって発生するものである。この縦黒スジについては、×(複数の大きなスジ帯が容易に視認される)、○(目を凝らすと10本以下の小さなスジや薄いスジが観察される)、◎(縦黒スジが認められない)の3段階で評価した。なお、通常の普及機における縦黒スジの許容範囲は○又は◎である。
【0053】
以上の実験の結果を次の表1に示す。
【表1】

【0054】
表1に示すように、導電性シート9Kとして、純水接触角が108[°]以上であり、且つ、ショアD硬度が50〜65であるものを用いた場合に、1万枚のプリントにおける画像汚れ、縦黒スジを何れも許容範囲に留めることができた。これに対し、ショアD硬度が50未満であると、1万枚のテストプリント中に、許容範囲を超える画像汚れが発生した。これは次に説明する理由によるものと考えられる。即ち、ショアD硬度が50未満であると、導電性シート9Kの柔らかさに起因して、シートと感光体3Kとの密着性が過剰に高まって、シートと感光体3Kとの当接部にKトナーを良好にすり抜けさせることが困難になったと考えられる。
【0055】
また、表1に示すように、ショアD硬度が65よりも高いと、たとえ純水接触角が108[°]以上であったとしても、1万枚のプリントの途中で許容範囲を超える縦黒スジが発生してしまう。つまり、導電性シート9Kに対するトナー固着を長期間に渡って抑えることができなくなる。これは次に説明する理由によるものと考えられる。即ち、ショアD硬度が65よりも高いと、導電性シート9Kの硬さに起因して、その表面に形成されているnm〜数μmオーダーの微妙な突起が回転中の感光体3Kと接触していてもそれに追従して連れ回ろうとせず、単に擦れている状態になる。すると、導電性シート9Kの表面に感光体3Kとの摺擦に伴う微振動が良好に発生しなくなる。これに対し、導電性シート9KのショアD硬度が65以下であると、その柔らかさに起因して、シート表面が感光体3Kとの摺擦に伴って良好に微振動し、この微振動により、シート表面に付着したトナーがふるい落とされて、シートと感光体3Kとの当接部を短時間ですり抜けるようになると考えられる。
【0056】
以上の実験結果に鑑みて、実施形態に係るプリンタにおいては、各色のプロセスユニット1Y,M,C,Kの補助帯電部材の導電性シートとして、表面の純水接触角が108[°]以上であり、且つ表面のショアD硬度が50以上、65以下であるもの、を用いている。
【0057】
なお、上述した実験では、補助帯電部材として、導電性シートを弾性部によって感光体に押し当てる方式のものを用いたが、本発明者らが行った他の実験によれば、導電性シートと同じ性状の導電性ブレードを片持ち支持して感光体に当接させても、表1と同様の結果が得られた。
【0058】
また、帯電バイアスとして、直流電圧を採用した例について説明したが、直流電圧に交流電圧を重畳したものを採用してもよい。更には、補助帯電バイアスとして、直流電圧を採用した例について説明したが、直流電圧に交流電圧を重畳したものを採用してもよい。
【0059】
補助帯電部材の導電性シートとしては、厚みが50[μm]〜2[mm]のものを用いることが望ましい。厚みが50[μm]未満になると、普及機に求められる耐久性が得られなくなるからである。また、厚みが2[mm]を超えると、シートの可撓性が不足することにより、シートと感光体との密着不良が起こるからである。
【0060】
導電性シートと感光体との摺擦によって発生するトルクについては、感光体軸線方向における摺擦長さが240[mm]の場合で、0.2〜1.2[N.m]程度に留めることが望ましい。トルクが1.2[N.m]を超え始めると、シートの摩耗性が急激に高まり始めるからである。また、トルクが0.2[N.m]未満であると、シートと感光体との摺擦力の弱さにより、シートに対するトナー固着性が急激に高まり始めるからである。
【0061】
補助帯電部材の導電性部材たる導電性シートとしては、表面抵抗が10[Ω/cm]以上、10[Ω/cm]以下であるもの、を用いることが望ましい。10[Ω/cm]未満になると、シートと感光体との間で電流が良好に流れて両者間での放電が得られなくなることにより、帯電ムラや地汚れを良好に抑えることが困難になるからである。また、表面抵抗が10[Ω/cm]を超えると、両者間での放電均一性が著しく悪化し始めて、帯電ムラを良好に抑えることが困難になるからである。
【0062】
補助帯電部材の導電性シートとしては、体積固有抵抗率が10[Ω・cm]以上、10[Ω・cm]以下であるもの、を用いることが望ましい。体積固有抵抗率は放電均一性の観点から、表面抵抗よりもやや低い方が有利だからである。また、体積固有抵抗率が10[Ω・cm]未満であると、シートと感光体との間で電流が良好に流れて両者間での放電が得られなくなるからである。
【0063】
補助帯電部材の導電性シートの表面粗さRaについては、0.1[μm]以上、0.6[μm]以下とすることが望ましい。表面粗さRaが0.6[μm]よりも大きくなり始めると、表面の微妙な凹凸における凹部に対してトナーが急激に滞留、付着及び固着し易くなるからである。また、表面粗さRaが0.1よりも小さくなり始めると、感光体との密着不良による画像汚れが急激に発生し易くなり始めるからである。
【0064】
補助帯電部材の導電性シートと感光体との当接部における感光体表面移動方向の長さ(以下、補助帯電ニップ幅という)については、2[mm]以上、7[mm]以下にすることが望ましい。補助帯電ニップ幅が2[mm]を下回り始めると、転写残トナーや感光体の帯電不良が急激に起こり易くなり始めるからである。また、補助帯電ニップ幅が7[mm]を超え始めると、装置の大型化によるコストアップを引き起こしてしまうからである。
【0065】
感光体と補助帯電部材の導電性シートとの当接圧力については、2[kN/m]以上、15[kN/m]以下にすることが望ましい。当接圧力が2[kN/m]を下回り始めると、当接が急激に不安定になり始めるからである。また、当接圧力が2[kN/m]を上回り始めると、感光体が急激に傷付きやすくなり始めるからである。
【0066】
感光体としては、純水接触角が90[°]以上であるものを用いることが望ましい。純水接触角が90[°]を下回り始めると、感光体に対するトナー固着が急激に起こり易くなり始めるからである。
【0067】
トナーとしては、トナー粒子に対してトナー粒子の1〜4重量部の外添剤が添加されたもの、を用いることが望ましい。かかるトナーでは、補助帯電部材の導電性シートと感光体との当接部に進入しても、トナー粒子と導電性シートとの間に外添剤を介在させることで、導電性シートに対する固着を抑えることができるからである。なお、外添剤の添加量が4重量部を上回ると、外添剤の各種部材への転移による悪影響が急激に出始める。
【0068】
また、トナーとしては、粒径が5[μm]以下のトナー粒子の全トナー粒子に対する割合が15[%]以下であるもの、を用いることが望ましい。割合が15[%]を超え始めると、導電性シートに対するトナー固着が急激に起こり易くなり始めるからである。
【0069】
図3は、実施形態に係るプリンタの変形例装置を示す概略構成図である。この変形例装置においては、帯電部材として、帯電ローラの代わりに、帯電ブラシローラ4Kを有している。この帯電ブラシローラ4Kは、図示しない軸受けによって回転可能に受けられる金属製の回転軸部材5Kと、これの表面に立設せしめられた複数の導電性の植毛繊維6Kとを有している。そして、回転軸部材5Kを中心にして図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動されながら、それぞれの植毛繊維6Kの先端側を感光体3Kに摺擦させる。金属製の回転軸部材5Kには、図示しない電源や配線等からなる帯電バイアス供給手段が接続されており、これによって重畳電圧(交流電圧に直流電圧を重畳)からなる帯電バイアスが印加される。帯電ブラシローラ4Kの複数の植毛繊維6Kからなるブラシと、感光体3Kとが当接する帯電ニップやその近傍では、各植毛繊維6Kと感光体3Kとの間に放電が発生して、感光体3Kの表面を例えば負極性に一様帯電せしめる。
【0070】
この変形例装置では、一時捕捉型のクリーナーレス方式を採用している。具体的には、上述の帯電ニップでは、植毛繊維6Kと感光体3Kとの間に放電を生じせしめて、感光体3K表面をマイナス極性に一様帯電せしめる。同時に、感光体3K上に付着している転写残トナーを前述の帯電バイアスの作用によって複数の植毛繊維6Kに転移させて一時的に捕捉する。そして、プリントジョブ終了後や紙間タイミングなどに、帯電バイアスを重畳電圧から直流電圧に切り換えて、植毛繊維6K上に捕捉しておいた転写残トナーを感光体3K上に再転移させた後、感光体3K上から現像ローラ42Kを経て現像装置40K内に回収する。
【0071】
これまで、クリーナーレス方式のプロセスユニットを採用したプリンタについて説明したが、1次転写ニップを通過した後、帯電ニップに進入する前の感光体表面から転写残トナーを除去するクリーニング手段を設けた構成にも、本発明の適用が可能である。
【符号の説明】
【0072】
1Y,M,C,K:プロセスユニット
3Y,M,C,K:感光体(潜像担持体)
4K:帯電ブラシローラ(帯電部材、帯電装置の一部)
7K:帯電ローラ(帯電部材、帯電装置の一部)
9K:導電性シート(導電性部材、帯電装置の一部)
10K:補助帯電部材(帯電装置の一部)
40Y,M,C,K:現像装置(現像手段)
50:光書込ユニット(潜像形成手段)
60:転写ユニット(転写手段)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0073】
【特許文献1】特開2005−62737号公報
【特許文献2】特開11−352752号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像を担持する潜像担持体の表面に当接しながらバイアスが供給される導電性部材により、該潜像担持体の表面と、該表面に付着しているトナーとのうち、少なくとも一方を帯電せしめる帯電装置において、
上記導電性部材として、表面の純水接触角が108[°]以上であり、且つ該表面のショアD硬度が65以下であるもの、を用いたことを特徴とする帯電装置。
【請求項2】
請求項1の帯電装置において、
上記導電性部材として、表面のショアD硬度が50以上であるもの、を用いたことを特徴とする帯電装置。
【請求項3】
請求項1又は2の帯電装置において、
上記導電性部材として、表面抵抗が10[Ω/cm]以上、10[Ω/cm]以下であるもの、を用いたことを特徴とする帯電装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかの帯電装置において、
上記導電性部材として、体積固有抵抗率が10[Ω・cm]以上、10[Ω・cm]以下であるもの、を用いたことを特徴とする帯電装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかの帯電装置において、
上記導電性部材として、表面粗さRaが0.1[μm]以上、0.6[μm]以下であるもの、を用いたことを特徴とする帯電装置。
【請求項6】
潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像をトナーによって現像する現像手段と、該潜像担持体の表面、及び該表面に付着しているトナーのうち、少なくとも一方を帯電せしめる帯電手段とを備える画像形成装置に用いられ、少なくとも該現像手段と該帯電手段とを共通の保持体に保持しながら画像形成装置本体に対して1つのユニットとして一体的に着脱されるプロセスユニットにおいて、
上記帯電手段として、請求項1乃至5の何れかの帯電装置を用いたことを特徴とするプロセスユニット。
【請求項7】
潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像をトナーによって現像する現像手段と、該潜像担持体の表面、及び該表面に付着しているトナーのうち、少なくとも一方を帯電せしめる帯電手段とを備える画像形成装置に用いられ、少なくとも該潜像担持体と該帯電手段とを共通の保持体に保持しながら画像形成装置本体に対して1つのユニットとして一体的に着脱されるプロセスユニットにおいて、
上記帯電手段として、請求項1乃至5の何れかの帯電装置を用いたことを特徴とするプロセスユニット。
【請求項8】
潜像を担持する潜像担持体と、
該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、
該潜像担持体上の潜像をトナーによって現像する現像手段と、
該潜像担持体の表面、及び該表面に付着しているトナーのうち、少なくとも一方を帯電せしめる帯電手段とを備える画像形成装置において、
上記帯電手段として、請求項1乃至5の何れかの帯電装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8の画像形成装置において、
上記潜像担持体と上記導電性部材との当接部における該潜像担持体の表面移動方向の長さを、2[mm]以上、7[mm]以下にしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項8又は9の画像形成装置において、
上記潜像担持体と上記導電性部材との当接圧力を、2[kN/m]以上、15[kN/m]以下にしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項8乃至10の何れかの画像形成装置において、
上記潜像担持体として、純水接触角が90[°]以上であるものを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項8乃至11の何れかの画像形成装置において、
上記トナーとして、トナー粒子に対して該トナー粒子の1〜4重量部の外添剤が添加されたもの、を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項8乃至12の何れかの画像形成装置において、
上記トナーとして、粒径が5[μm]以下のトナー粒子の全トナー粒子に対する割合が15[%]以下であるもの、を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項8乃至13の何れかの画像形成装置において、
上記現像手段として、現像剤担持体の表面上に担持したトナーによって上記潜像を現像するものを用い、該現像手段による現像で上記潜像担持体の表面に形成されたトナー像を転写体に転写する転写手段を設け、且つ、該転写手段による転写工程を経た後の潜像担持体表面に付着している転写残トナーを該潜像担持体表面から該現像剤担持体の表面に回収させるようにしたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−155338(P2012−155338A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−88948(P2012−88948)
【出願日】平成24年4月10日(2012.4.10)
【分割の表示】特願2006−345331(P2006−345331)の分割
【原出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】