【課題】ネガ型平版印刷版原版を用いて、水溶性樹脂を含有する水溶液による現像を採用するにあたって、良好な現像性を発揮し、細線再現性に優れ、現像カスの発生を抑制し、さらにＵＶインキ（紫外線硬化インキ）を用いた印刷を行っても細線に挟まれた非画像部が汚れ難く、耐刷性も備えた、平版印刷版の製版方法を提供する。そのように製版された平版印刷版を用いた平版印刷方法を提供する。
【解決手段】親水性支持体上に、マレイミド由来の環状構造及び親水性基を分子内に有する高分子化合物を含有する光重合層を有することを特徴とするネガ型平版印刷版原版を、レーザーで画像様に露光した後、水溶性樹脂を有する水溶液を接触させブラシで擦る現像処理を施して光重合層の未露光部分を除去することを特徴とする平版印刷版の製版方法；上記のように製版された平版印刷版を、印刷機に取り付け、該平版印刷版に油性インキと水性成分とを供給して印刷する平版印刷方法。

【特許請求の範囲】
【請求項１】
親水性支持体上に、マレイミド由来の環状構造及び親水性基を分子内に有する高分子化合物を含有する光重合層を有することを特徴とするネガ型平版印刷版原版を、レーザーで画像様に露光した後、水溶性樹脂を有する水溶液を接触させブラシで擦る現像処理を施して光重合層の未露光部分を除去することを特徴とする平版印刷版の製版方法。
【請求項２】
前記高分子化合物は更に、側鎖にエチレン性不飽和結合を有する、請求項１記載の平版印刷版の製版方法。
【請求項３】
前記マレイミド由来の環状構造が、下記一般式(Ｉ)で示される構造であることを特徴とする請求項１又は２記載の平版印刷版の製版方法。
【化１】

（式中、Ｒ¹は水素原子又は置換基を有してもよい１価の有機基を表す。）
【請求項４】
前記一般式（Ｉ）のＲ¹が置換基を有してもよいアリール基である、請求項３記載の平版印刷版の製版方法。
【請求項５】
前記水溶性樹脂を有する水溶液のｐＨが８．５〜１０．８の範囲内である、請求項１〜４のいずれか１項記載の平版印刷版の製版方法。
【請求項６】
前記水溶性樹脂を有する水溶液が更に、炭酸イオン及び炭酸水素イオンを含有する、請求項１〜５のいずれか１項記載の平版印刷版の製版方法。
【請求項７】
前記親水性基が酸基である、請求項１〜６のいずれか１項記載の平版印刷版の製版方法。
【請求項８】
前記酸基がカルボキシル基である、請求項７に記載の平版印刷版の製版方法。
【請求項９】
前記親水性基が、下記一般式（II）で示されるアルキレンオキサイド構造である、請求項１〜８のいずれか１項記載の平版印刷版の製版方法。
【化２】


（式中、Ｒは水素原子又はメチル基を表し、ａは１、３又は５であり、ｌは１〜９の整数を表す。
【請求項１０】
前記エチレン性不飽和結合が下記一般式（１）、（２）又は（３）で示される、請求項２〜９のいずれか１項に記載の平版印刷版の製版方法。
【化３】


（式中、Ｘ、Ｙはそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子または−Ｎ(Ｒ¹²)−を表す。Ｚは酸素原子、硫黄原子、−Ｎ(Ｒ¹²)−またはフェニレン基を表す。Ｒ¹〜Ｒ¹²はそれぞれ独立に１価の置換基を表す。）
【請求項１１】
マレイミド由来の環状構造及び親水性基を有する高分子化合物がバインダーであることを特徴とする請求項１〜１０のいずれか１項記載の平版印刷版の製版方法。
【請求項１２】
該光重合層が、増感色素、重合開始剤及び重合性モノマーを含有する、請求項１〜１１のいずれか１項に記載の平版印刷版の製版方法。
【請求項１３】
該光重合層が、赤外線吸収剤、重合開始剤及び重合性モノマーを含有する、請求項１〜１１のいずれか１項に記載の平版印刷版の製版方法。
【請求項１４】
該光重合層が、マイクロカプセル又はミクロゲルを含有することを特徴する請求項１〜１３のいずれか１項に記載の平版印刷版の製版方法。
【請求項１５】
該光重合層において、マレイミド由来の環状構造及び親水性基を有する高分子化合物を含むバインダーポリマーと重合性モノマーの質量比が、３／２〜１／３であることを特徴とする、請求項１〜１４のいずれか一項に記載の平版印刷版の製版方法。
【請求項１６】
請求項１〜１５のいずれか１項記載の方法により製版された平版印刷版を、印刷機に取り付け、該ネガ型平版印刷版に油性インキと水性成分とを供給して印刷する平版印刷方法。

【図１】

【図２】

【図３】

【公開番号】特開２００９−２５８５９４（Ｐ２００９−２５８５９４Ａ）
【公開日】平成２１年１１月５日（２００９．１１．５）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−２２１１７４（Ｐ２００８−２２１１７４）
【出願日】平成２０年８月２９日（２００８．８．２９）
【出願人】（３０６０３７３１１）富士フイルム株式会社 (25,513)
【Ｆターム（参考）】