説明

建材保持部材、これを使用した屋根構造及び壁構造

【課題】屋根下地材を簡単に取り付けて保持することができ、室内において吹き上げ荷重が発生しても屋根下地材の吹き上げを確実に防止する屋根構造を提供する。
【解決手段】建材保持部材8Aは、第1保持部材6と第2保持部材7とを備えている。第1保持部材は、第1カバー部6aと、第1挟持部6bと、第1カバー部6aからウェブ部4dの外周に沿う方向に延在しつつ、ウェブ部4dから離間する方向に膨出している第1突出部6dと、この第1突出部より下部位置に形成され、この第1突出部とで第2挟持部を構成する第2突出部6eとを備えている。また、第2保持部材は、第2カバー部7aと、第1保持部材の押圧部に係合して一体化される第2係合部7dとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨組として用いられる溝型鋼に装着されて平板形状の建材を保持する建材保持部材と、これを使用した屋根構造及び壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄骨造の屋根構造として、勾配を付けて配置したH型鋼等の垂木の上に、溝型鋼(C型鋼:リップ溝型鋼)からなる複数の屋根母屋を軒棟方向に平行に固定し、これら屋根母屋の上部に屋根下地材を敷設して取付ける構造が知られている(例えば、特許文献1)。
また、鉄骨造りの壁構造として、H鋼からなる間柱に直交するように溝型鋼からなる複数の胴縁を上下方向に平行に固定し、これら胴縁に壁下地材を取り付けた壁構造が知られている(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開平06−235246号公報(図1、図5)
【特許文献2】特開2006−152667号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1の構造は、ビスを使用して屋根母屋に屋根下地材が取付けられているが、例えば強風時に出入口の開閉の際、室内に入り込んだ風の風圧により屋根下地材に吹き上げ荷重が作用する場合には、多数のビスを使用して屋根下地材を屋根母屋に確実に取付けなければならず、屋根下地材の取付け作業に多くの時間と労力が必要となる。
また、特許文献2の壁構造も、壁下地材が胴縁にビスを打ち込むことで取付けられているが、室内に入り込んだ強風により壁下地材が風圧により押される場合には、多数のビスを使用しなければならず、壁下地材の取付け作業に多くの時間と労力が必要となる。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、屋根構造、壁構造に使用することで、室内で発生する風圧にも十分に耐えて建材を保持することができ、建材の取付けも簡単に行なうことができる建材保持部材、これを使用した屋根構造及び壁構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係る請求項1の建材保持部材は、互いに平行に配置した複数の溝型鋼にそれぞれ装着され、前記複数の溝型鋼の間に配置した平板形状の建材を保持する建材保持部材であって、前記溝型鋼の一方のフランジ部を覆いながらウェブ部の外周に沿って装着した第1保持部材と、前記溝型鋼の他方のフランジ部を覆いながら前記ウェブ部の外周に沿って延在し、前記第1保持部材の前記ウェブ部の外周に沿う部分の内側に重なり合いながら一体に係合した第2保持部材とを有し、前記第1及び第2保持部材の少なくとも一方は、前記溝型鋼の開口部に挿入した第1建材の端部側の厚さ方向の面を挟持する第1挟持部と、前記溝型鋼のウェブ部に向けて配置した第2建材の一方の端部を他方の端部に向けて面方向に押圧する押圧部と、前記第2建材の一方の端部側の厚さ方向の面を挟持する第2挟持部と、を備えていることを特徴とする。
【0006】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の建材保持部材において、前記第1保持部材は、前記ウェブ部の外周に沿う部位の端部に前記第2建材の一方の端部側の厚さ方向の一方の面に当接する第1突出部を形成し、この第1突出部から離間した位置に、前記第2建材の厚さ方向の他方の面に当接する第2突出部を形成しており、これら第1及び第2突出部を前記第2挟持部とした。
【0007】
また、請求項3記載の発明は、請求項1記載の建材保持部材において、前記第1保持部材は、前記ウェブ部の外周に沿う部位の端部に前記第2建材の一方の端部側の厚さ方向の一方の面に当接する第1突出部を形成し、前記第2保持部材と重なり合う部分にスリットを形成しており、前記第2保持部材は、前記ウェブの外周に沿う部位に、前記スリットを通過して前記第2建材の厚さ方向の他方の面に当接する第2突出部を形成し、これら第1及び第2突出部を前記第2挟持部とした。
【0008】
また、請求項4記載の発明は、互いに平行に配置した複数の溝型鋼にそれぞれ装着され、前記複数の溝型鋼の間に配置した平板形状の建材を保持する建材保持部材であって、前記溝型鋼の一方のフランジ部を覆いながらウェブ部の外周に沿って装着した第1保持部材と、前記溝型鋼の他方のフランジ部を覆いながら前記ウェブ部の外周に沿って延在し、前記第1保持部材の前記ウェブ部の外周に沿う部分の内側に重なり合いながら一体に係合した第2保持部材と、前記第1保持部材を覆って装着した第3保持部材とを有し、前記第1及び第2保持部材の少なくとも一方は、前記溝型鋼の開口部に挿入した第1建材の端部側の厚さ方向の面を挟持する第1挟持部と、前記溝型鋼のウェブ部に向けて配置した第2建材の一方の端部を他方の端部に向けて面方向に押圧する押圧部と、前記第2建材の一方の端部側の厚さ方向の一方の面に当接する第1突出部を形成しているとともに、前記第3保持部材は、前記第2建材の一方の端部側の厚さ方向の他方の面に当接する第2突出部を形成しており、前記第1及び第2突出部を、前記第2建材の一方の端部側の厚さ方向を挟持する第2挟持部とした。
【0009】
また、請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の建材保持部材において、前記第1及び第2保持部材は、前記ウェブ部の外周に沿って互いに重なり合う部位が弾性変形し、一方及び他方の前記フランジ部に向けて移動不可能となるように係合している。
また、請求項6記載の発明は、互いに平行に配置した複数の溝型鋼にそれぞれ装着され、前記複数の溝型鋼の間に配置した平板形状の建材を保持する建材保持部材であって、前記溝型鋼の一方のフランジ部を覆いながらウェブ部の外周に沿って装着した第1保持部材と、前記第1保持部材の一部を覆って装着した第3保持部材とを有し、前記第1保持部材は、前記溝型鋼の開口部に挿入した第1建材の端部側の厚さ方向の面を挟持する第1挟持部と、前記溝型鋼のウェブ部に向けて配置した第2建材の一方の端部を他方の端部に向けて面方向に押圧する押圧部と、前記第2建材の一方の端部側の厚さ方向の一方の面に当接する第1突出部を形成しているとともに、前記第3保持部材は、前記第2建材の一方の端部側の厚さ方向の他方の面に当接する第2突出部を形成しており、前記第1及び第2突出部を、前記第2建材の一方の端部側の厚さ方向を挟持する第2挟持部とした。
【0010】
また、請求項7記載の発明は、請求項1乃至6の何れか1項に記載の建材保持部材において、前記第1挟持部が、前記第1建材の端部側の厚さ方向の面を弾性復元力で押圧するようにした。
また、請求項8記載の発明は、請求項1乃至7の何れか1項に記載の建材保持部材において、前記押圧部が、前記第2建材の一方の端部から面方向に弾性復元力で押圧するようにした。
【0011】
また、請求項9記載の発明は、請求項1乃至8の何れか1項に記載の建材保持部材において、前記第2挟持部が、前記第2建材の一方の端部側の厚さ方向の面を弾性復元力で押圧するようにした。
また、請求項10記載の発明は、請求項1から9の何れか1項の建材保持部材を使用した屋根構造であって、勾配を付けて互いに平行に配置した複数の垂木と、複数の垂木の上部、或いは下部に、軒棟方向に平行に離間しながら桁行方向に延在するように配置した複数の屋根母屋とを備え、前記複数の垂木と前記複数の屋根母屋の一方を前記溝型鋼とし、これら溝型鋼に前記建材保持部材を装着し、隣接する一対の溝型鋼の間に配置した屋根下地材の両端部を前記建材保持部材で保持するようにした。
【0012】
さらに、請求項11記載の発明は、請求項1から9の何れか1項の建材保持部材を使用した壁構造であって、上下方向に延在しながら互いに水平方向に平行に配置されている複数の間柱と、互いに上下方向に離間しながら前記複数の間柱に固定されている複数の胴縁とを備え、前記複数の間柱と前記複数の胴縁の一方を前記溝型鋼とし、これら溝型鋼に前記建材保持部材を装着し、隣接する一対の溝型鋼の間に配置した壁下地材の両端部を前記建材保持部材で保持するようにした。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る建材保持部材によると、複数の溝型鋼にそれぞれ装着した建材保持部材は、隣接する溝型鋼の間に配置した建材を確実に保持することができる。
また、本発明に係る屋根構造によると、屋根下地材を簡単、且つ確実に保持し、例えば強風時に出入口を開閉した際に、室内に入り込んだ風の風圧により屋根下地材に吹き上げ荷重が作用しても、確実に屋根下地材の吹き上げを防止することができる。
【0014】
さらに、本発明に係る壁構造によると、例えば強風時に出入口を開閉した際に、室内に入り込んだ強風により壁下地材に風圧が作用しても、確実に壁下地材の剥がれを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明に係る建材保持部材を使用した屋根構造及び壁構造について図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態:屋根構造)
先ず、本発明に係る第1実施形態の屋根構造について図1及び図2を参照して説明する。
【0016】
図1は、鉄骨造の屋根構造の一部を斜視図で示したものである。図2は、図1のII−II線矢視図である。
図1において、符号2は、勾配を付けて配置したH型鋼からなる垂木である。
この垂木2の上部に、C型鋼(リップ溝型鋼)からなる複数の屋根母屋4,5が固定されている。屋根母屋4,5は、図示しないが、垂木2上に固定したアングル等の連結部材に連結ボルトを介して軒棟方向に平行となるように固定されており、各屋根母屋4,5の開口部4a,5aは軒棟上方を向いている。
【0017】
屋根母屋4,5には、それぞれ建材保持部材8A,8Bが装着されており、これら建材保持部材8A,8Bに保持されて屋根母屋4,5の間の領域を覆うように勾配を付けて複数の屋根下地材10が配置されている。
すなわち、屋根下地材10の軒棟下方側の端部が、屋根母屋4の開口部4aから母屋内部空間4eに挿入され、屋根下地材10の軒棟上方側の端部が、屋根母屋5のウェブ部5dに当接しながら、軒棟上方側の屋根母屋5に装着した建材保持部材8Bと、軒棟下方側の屋根母屋4に装着した建材保持部材8Aとで保持されている。なお、屋根母屋5に対して軒棟上方側に配置されている屋根下地材10は、屋根母屋5に装着した建材保持部材8Bと、屋根母屋5より軒棟上方側に位置する屋根母屋に装着した建材保持部材(図示せず)とで保持されている。また、屋根母屋4に対して軒棟下方側に配置されている屋根下地材10は、屋根母屋4に装着した建材保持部材8Aと、屋根母屋4より軒棟下方側に位置する屋根母屋に装着した建材保持部材(図示せず)とで保持されている。
【0018】
そして、屋根母屋4,5上には、屋根下地材10を外側から覆うように野地材12が固定されているとともに、野地材12を外側から覆う屋根仕上げ材14が敷設されている。野地材12は、木毛や木片などの木質原料及びセメントペーストを混ぜ合わせた混合体を板状に圧縮成形してなる木質系セメント板などの遮音性に優れた建材である。
次に、屋根母屋4,5に装着した建材保持部材8A,8Bの構造について、図2及び図3を参照して説明する。なお、建材保持部材8A,8Bは同一形状なので、建材保持部材8Aについて詳細に説明する。
【0019】
建材保持部材8Aは、図2に示すように、屋根母屋4の上部に配置された第1保持部材6と、この第1保持部材6に一部が重なり合いながら屋根母屋4の下部に配置された第2保持部材7とで構成されている。
第1保持部材6は、金属板を折曲して形成した部材であり、屋根母屋(リップ溝型鋼)4の上部の第1フランジ部4b及び第1リップ部4cの外側を覆う第1カバー部6aと、この第1カバー部6aの第1リップ部4c側から母屋内部空間4eに向けて略45°の角度を付けて折曲されている弾性保持片6bと、第1カバー部6aの第1フランジ部4b側からウェブ部4dの外周に沿う方向に延在しつつ、ウェブ部4dから離間する方向に膨出している係合膨出部6cと、この係合膨出部6cより下部位置で同一方向に膨出している押圧膨出部6dと、この押圧膨出部6dより下部位置でウェブ部4dに対して離間する方向に略直交に延在している受け部6eとで構成されている。
【0020】
また、第2保持部材7も金属板を折曲して形成した部材であり、屋根母屋4の下部の第2フランジ部4f及び第2リップ部4gの外側を覆う第2カバー部7aと、この第2カバー部7aの第2リップ部4g側から第2リップ部4gの先端部を囲むように折曲されている第1係合部7bと、第2カバー部7aの第2フランジ部4f側からウェブ部4dの外周に沿って延在するウェブ当接部7cと、ウェブ当接部7cの先端でウェブ部4dから離間する方向に鋭角形状となるように折曲されており、前述した第1保持部材6の係合膨出部6cの膨出空間に位置する第2係合部7dとで構成されている。
【0021】
そして、第1保持部材6の弾性保持片6bが第1リップ部4cの先端部に係合し、第2保持部材7の第1係合部7bが第2リップ部4gに係止し、第2保持部材7の第2係合部7dが第1保持部材の係合膨出部6cによりウェブ部4d側に押圧されることで、第1及び第2保持部材6,7は、互いに上下方向の移動が不可能となるように屋根母屋4の外周に一体的に係合されている。
【0022】
図3は、屋根母屋4に装着した上記構成の建材保持部材8Aが、軒棟上方側に配置した屋根下地材10と、軒棟下方側に配置した屋根下地材10を保持する状態を示したものである。
軒棟上方側の屋根下地材10の端部を屋根母屋4の母屋内部空間4eに挿入し、その端面をウェブ部4dの内壁に当接すると、その端部の下面を屋根母屋4の第2リップ部4gが受け、屋根下地材10の端部の挿入によって上方に変形した弾性保持片6bが下方に向けて押圧する弾性復元力F1を作用するので、軒棟上方側に配置した屋根下地材10の端部が保持される。
【0023】
屋根下地材10の端部の挿入によって膨出が矯正されるように変形した押圧膨出部6dは、屋根下地材10の端面に向けて弾性復元力F2を作用するので、軒棟下方側に配置した屋根下地材10の端部が保持される。
また、軒棟下方側の屋根下地材10の端部を屋根母屋4のウェブ部4dの外壁側に当接すると、その端部の下面を第1保持部材6の受け部6eが受け、屋根下地材10の端部の挿入によって膨出が矯正されるように変形した係合膨出部6cが、屋根下地材10の端部の上面に弾性復元力F3を作用するので、屋根下地材10の端部の上下方向の移動が拘束される。
【0024】
このように、上記構成の建材保持部材8A、8Bを屋根母屋4,5に装着すると、屋根母屋4,5の母屋内部空間4eに挿入した屋根下地材10の端部に、第1保持部材6の弾性保持片6bが弾性復元力F1を作用して保持し、屋根母屋4,5のウェブ部4dの外壁側に当接する屋根下地材10の端部に、第1保持部材6の押圧膨出部6dが弾性復元力F2を作用して保持し、さらに、屋根母屋4,5のウェブ部4dの外壁側に当接する屋根下地材10の端部に対して、第1保持部材6の係合膨出部6cが受け部6eに対して弾性復元力F3を作用して上下方向の移動を拘束するので、屋根下地材10は、建材保持部材8A、8Bを介して屋根母屋4,5に確実に保持される。
【0025】
次に、本実施形態の屋根構造の施工手順の一例について、図4から図6を参照して説明する。なお、これらの図では、屋根母屋(リップ溝型鋼)5に装着した建材保持部材8B(第1保持部材6,7)が、軒棟上方側に配置した屋根下地材10の端部を保持しているものとする。
先ず、図4に示すように、第1保持部材6の第1カバー部6aを、屋根母屋(リップ溝型鋼)4の上部の第1フランジ部4b及び第1リップ部4cの外側を覆い、弾性保持片6bが第1リップ部4cの先端部に係合するように装着する。次いで、第2保持部材7の第2カバー部7aを、屋根母屋4の下部の第2フランジ部4f及び第2リップ部4gの外側を覆い、第1係合部7bが第2リップ部4gに係止するように装着する。その際、図2で示したように、第2保持部材7のウェブ当接部7cを、第1保持部材6の係合膨出部6c,押圧膨出部6dとウェブ部4dとの間に位置することで、第2保持部材7の第2係合部7dが第1保持部材の係合膨出部6cによりウェブ部4d側に押圧され、第1及び第2保持部材6,7は、互いに上下方向の移動が不可能となるように屋根母屋4,5の外周に一体に装着される。
【0026】
次いで、図5に示すように、屋根母屋4の開口部4aから電線EWを母屋内部空間4eに収納しておく。
そして、これから配置する屋根下地材10の軒棟下方側に位置する端部を屋根母屋4の開口部4aから母屋内部空間4eに挿入し、その端部の下面を屋根母屋4の第2リップ部4gで受ける。
【0027】
次いで、図6に示すように、これから配置する屋根下地材10の軒棟上方側に位置する端部を、屋根母屋5に装着されている第1保持部材6の受け部6eに当接するまで下げていく。この動作を行なうと、屋根下地材10の軒棟下方側の端部が、屋根母屋4に装着した第1保持部材6の弾性保持片6bが発生する弾性復元力F1で保持され、屋根下地材10の軒棟上方側の端部が、屋根母屋5に装着した第1保持部材6の押圧膨出部6dが発生する弾性復元力で保持され、第1保持部材6の受け部6e及び係合膨出部6cにより上下方向の移動が拘束される。
【0028】
そして、図示しない他の屋根母屋の間にも、建材保持部材に保持された屋根下地材10を配置した後、図1に示すように、屋根母屋4,5上に、複数の屋根下地材10を外側から覆うように野地材12を固定Sし、野地材12を外側から覆うように屋根仕上げ材14を敷設する。
このように、本実施形態の屋根構造によると、屋根母屋4,5にそれぞれ第1及び第2保持部材6,7を装着し、屋根下地材10を屋根母屋4,5の間に配置するだけで、屋根下地材10の軒棟下方側の端部が屋根母屋4に装着した第1保持部材6の弾性保持片6bが発生する弾性復元力で保持され、屋根下地材10の軒棟上方側の端部が、屋根母屋5に装着した第1保持部材6の押圧膨出部6dが発生する弾性復元力F2で保持され、屋根下地材10の軒棟上方側の端部が、第1保持部材6の係合膨出部6cから受け部6eに向けて発生する弾性復元力F3により上下方向の移動が拘束されるので、ビスを使用した従来の屋根構造と比較して、屋根下地材10の取付け作業に費やす時間と労力が大幅に低減し、屋根の施工コストを抑えることができる。
【0029】
また、屋根下地材10の端部が、第1保持部材6の受け部6e及び係合膨出部6cにより上下方向の移動が拘束された構造になっていることから、例えば強風時に出入口を開閉した際に、室内に入り込んだ風の風圧により屋根下地材10に吹き上げ荷重が作用しても、確実に屋根下地材10の吹き上げを防止することができる。
また、本実施形態の屋根構造では、屋根母屋4,5の下部(第2フランジ部4f,第2リップ部4g)が第2保持部材7の第2カバー部7aで覆われており、室内から天井を見ても屋根母屋4,5露出しないので、化粧性に優れた天井を提供することができる。
【0030】
さらに、図5で示したように屋根下地材10を保持する前に、屋根母屋4の母屋内部空間4eに電線EWを収納しておくことで、母屋内部空間4eを外部から隠れた電線収納空間として有効利用することができる。
なお、図1から図6で示した屋根構造では、垂木2の上部に屋根母屋4,5を固定したが、本発明の要旨がこれに限定されるものではなく、垂木2の下部に軒棟方向に平行に延在するように屋根母屋4,5を固定し、屋根母屋4,5に、それぞれ建材保持部材8A、8Bを上方から装着しても、同様の効果を得ることができる。
【0031】
また、本実施形態では、屋根母屋4,5の開口部4a,5aが軒棟上方を向いている状態を説明したが、本発明の要旨がこれに限定されるものではなく、開口部4a,5aが軒棟下方を向くように屋根母屋4,5を垂木2に固定しても、同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態では、金属板を折曲して第1保持部材6及び第2保持部材7を形成したが、本発明の要旨がこれに限定されるものではなく、例えば樹脂材料で形成しても同様の効果を得ることができる。
【0032】
また、本実施形態の第1保持部材6の押圧膨出部6dは、ウェブ部4dから離間する方向に所定の曲率半径で湾曲する形状としているが、本発明の要旨がこれに限定されるものではなく、例えばウェブ部4dから「く」字状に膨出した構造としてもよい。
さらに、本実施形態では、リップ部を有するC型鋼(リップ溝型鋼)を屋根母屋4,5として用いたが、リップ部が存在しない横断面コ字形状の溝型鋼であっても同様の効果を奏することができる。
【0033】
(第2〜第4実施形態:第1保持部材及び第2保持部材の他の形状)
次に、図7に示すものは、建材保持部材8A,8Bを構成する第2実施形態の第1保持部材6及び第2保持部材7を示すものである。なお、図3で示した構成と同一構成部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0034】
本実施形態の第1保持部材6は、第1実施形態で示した係合膨出部6cを備えておらず、図7(a)に示すように、一辺のみを切り落とさずに残した矩形状の突出片6fを屋根母屋4のウェブ部4dから離間する方向に折曲することで矩形状の開口部6gを形成している。
また、本実施形態の第2保持部材7の第2係合部7dは、図7(b)に示すように、ウェブ当接部7cの先端側の一部をプレス機で打ち抜くことにより、ウェブ部4dから離間する方向に「く」の字形状のリブとして膨出しており、この第2係合部7dが、図7(a)に示すように、第1保持部材6の開口部6gを通過して軒棟下方に突出している。
【0035】
そして、本実施形態は、屋根母屋4のウェブ部4dの外壁側に当接させた屋根下地材10の端部に対して、その端部の下面を第1保持部材6の受け部6eが受け、「く」の字形状に膨出した第2係合部7dが変形し、受け部6eに向けて弾性復元力F3を作用して屋根下地材10の端部の上下方向の移動を拘束する。このため、例えば強風時に出入口を開閉した際に、室内に入り込んだ風の風圧により屋根下地材10に吹き上げ荷重が作用しても、確実に屋根下地材10の吹き上げを防止することができる。
【0036】
次に、図8に示すものは、第3実施形態の第1保持部材6及び第2保持部材7を示すものである。
本実施形態の第1保持部材6は、押圧膨出部6dの上部に矩形状の開口部6gが形成されている。
また、本実施形態の第2保持部材7の第2係合部7dは、ウェブ当接部7cの先端からウェブ部4dに対して直交する方向に延在している。そして、この第2係合部7dは、第1保持部材6の開口部6gに通過して軒棟下方にむけて突出させた後、ハンマー等の打撃手段でウェブ当接部7cに対して鋭角形状となるように塑性変形されている。
【0037】
そして、本実施形態は、屋根母屋4のウェブ部4dの外壁側に当接する屋根下地材10の端部に対して、その端部の下面を第1保持部材6の受け部6eが受け、ウェブ当接部7cに対して鋭角形状に突出した第2係合部7dが変形し、受け部6eに向けて弾性復元力F3を作用して屋根下地材10の端部の上下方向の移動を拘束する。このため、例えば強風時に出入口を開閉した際に、室内に入り込んだ風の風圧により屋根下地材10に吹き上げ荷重が作用しても、確実に屋根下地材10の吹き上げを防止することができる。
【0038】
次に、図9に示すものは、第4実施形態の第1保持部材6及び第2保持部材7を示すものである。
本実施形態の第1保持部材6は、図9(a)に示すように、押圧膨出部6dの上部に矩形状の開口部6gが形成されている。
また、本実施形態の第2保持部材7の第2係合部7dは、図9(b)に示すように、ウェブ当接部7cの先端からウェブ部4dから離間する方向に「く」の字形状に突出して形成されており、この第2係合部7dは、図9(a)に示すように、第1保持部材6の開口部6gを通過して軒棟下方に突出している。
【0039】
そして、本実施形態も、屋根母屋4のウェブ部4dの外壁側に当接する屋根下地材10の端部に対して、その端部の下面を第1保持部材6の受け部6eが受け、ウェブ当接部7cに対して「く」の字形状に突出した第2係合部7dが変形し、受け部6eに向けて弾性復元力F3を作用して屋根下地材10の端部の上下方向の移動を拘束する。このため、例えば強風時に出入口を開閉した際に、室内に入り込んだ風の風圧により屋根下地材10に吹き上げ荷重が作用しても、確実に屋根下地材10の吹き上げを防止することができる。
【0040】
(第5実施形態:第1〜第3保持部材を使用した屋根構造)
次に、図10に示すものは、建材保持部材8A,8Bを構成する第1保持部材6及び第2保持部材7に第3保持部材13を追加した第5実施形態の屋根構造を示すものである。
本実施形態の第3保持部材13は、金属板を折曲して形成した部材であり、第1保持部材6の第1カバー部6aの外周を覆う第3カバー部13aと、この第3カバー部13aから連続して形成され、屋根下地材10の上面に面接触状態で当接する受け部13bとを備えている。
【0041】
そして、この第3保持部材13は、屋根下地材10の取付が完了した後、屋根下地材10を上方から覆う野地材12の上方から屋根母屋4の第1フランジ部4bまで貫通したビス15により屋根母屋4に固定される。
【0042】
本実施形態によると、屋根母屋4のウェブ部4dの外壁側に当接する屋根下地材10の端部の下面を第1保持部材6の受け部6eが受け、屋根下地材10の端部の上面に第3保持部材13の受け部13bが面接触した状態で変形し、第1保持部材6の受け部6eに対して弾性復元力F3を作用して屋根下地材10の端部の上下方向の移動を拘束する。このため、例えば強風時に出入口を開閉した際に、室内に入り込んだ風の風圧により屋根下地材10に吹き上げ荷重が作用しても、確実に屋根下地材10の吹き上げを防止することができる。
【0043】
(第6実施形態:第1及び第3保持部材を使用した屋根構造)
次に、図11に示すものは、建材保持部材8A,8Bとして第1保持部材6及び第3保持部材13を使用した第6実施形態の屋根構造を示すものである。この実施形態は、室内から天井を見て屋根母屋4の第2フランジ部4f,第2リップ部4gが露出していても、天井の化粧性に問題がない場合の屋根構造である。
【0044】
本実施形態によると、屋根母屋4に第1及び第3保持部材6,13を装着したことで、屋根下地材10の軒棟下方側の端部が第1保持部材6の弾性保持片6bが発生する弾性復元力で保持され、屋根下地材10の軒棟上方側の端部が、第1保持部材6の押圧膨出部6dが発生する弾性復元力で保持され、屋根下地材10の軒棟上方側の端部が、第1保持部材6の受け部6eに対して第3保持部材13の受け部13bが弾性復元力F3を作用することで上下方向の移動が拘束され、屋根下地材10の取付け作業に費やす時間と労力が大幅に低減して屋根の施工コストを抑えることができるとともに、室内に入り込んだ風の風圧により屋根下地材10に吹き上げ荷重が作用しても、確実に屋根下地材10の吹き上げを防止することができる。
【0045】
(第7実施形態:壁構造)
次に、本発明に係る第7実施形態の壁構造について図12及び図13を参照して説明する。図12は、鉄骨造の壁構造の一部を斜視図で示したものであり、図13は、図12のB−B線矢視図である。
【0046】
図12において、符号50a〜50cは、上下方向に延在しながら互いに水平方向に平行に配置されているH型鋼からなる間柱である。ここで、間柱50a〜50cの室内側に沿って配置されている符号70で示す部材は、室内下地材である。
これら間柱50a〜50cの室外側には、水平方向に延在したC型鋼(リップ溝型鋼)からなる複数の胴縁52a、52bが互いに上下方向に平行に固定されている。胴縁52a、52bは、図示しないが、間柱50a〜50cに固定したアングル等の連結部材に連結ボルトを介して固定されている。
【0047】
また、図14に示すように、C型鋼からなる胴縁52a,52bの開口部54は、下方を向いている。
胴縁52aには、第6実施形態で示した建材保持部材8Aが室外側から装着されており、胴縁52a,52bの上下間の領域を覆うように配置した壁下地材56の上下端部が建材保持部材8A,8Bに支持されている。
【0048】
そして、胴縁52a,52bには、壁下地材56を室外側から覆うように壁材58が配置されているとともに、壁材58の室外側に壁仕上げ材60が敷設されている。
建材保持部材8Aの第1保持部材6は、図13に示すように、第1カバー部6aが胴縁52aの第1フランジ部62及び第1リップ部64を覆い、弾性保持片6bが胴縁空間66に向けて略45°の角度を付けて折曲され、押圧膨出部6dが胴縁52aのウェブ部68から離間する方向に上方に膨出し、受け部6eがウェブ部68から離間する上方向に略直角に折曲されている。
【0049】
また、建材保持部材8Aの第3保持部材13は、第3カバー部13aが第1保持部材6の第1カバー部6aの外周を覆い、第3カバー部13aから連続して形成された受け部13bが、第1保持部材6の受け部6eに対して離間した位置で上方に延在している。
そして、胴縁52aに壁下地材56を取付ける場合には、壁下地材56の上端を、胴縁52aの開口部54から胴縁空間66に挿入し、その端面を胴縁52aのウェブ部68の内壁に当接すると、壁下地材56の上端側側面を胴縁52aの第2リップ部65が受け、変形した第1保持部材6の弾性保持片6bが、壁下地材56の上端側を第2リップ部65に押圧する弾性復元力を作用するので、壁下地材56の上端が保持される。
【0050】
また、壁下地材56の下端を胴縁52bのウェブ部68側に当接すると、壁下地材56の下端側の一方の側面を第1保持部材6の受け部6eが受け、壁下地材56の下端側の他方の側面に第3保持部材13の受け部13bが変形しながら当接し、この受け部13bが第1保持部材6の受け部6eに向けて弾性復元力F3を作用し、押圧膨出部6dが、壁下地材56の下端を上方に押圧する弾性復元力を作用する。
【0051】
そして、第3保持部材13は、壁材58の室外側から胴縁52aの第1フランジ部62まで貫通したビス72により胴縁52aに固定する。
したがって、上記構成の建材保持部材8A,8Bを胴縁52a,52bに装着すると、隣接する胴縁52a,52bの間に上下に配置した壁下地材56の上端を、第1保持部材6の弾性保持片6bの弾性復元力F1により押圧して保持するとともに、壁下地材56の下端を、第1保持部材6の押圧膨出部6dの弾性復元力F2により押圧して保持し、壁下地材56の下端側の両側面を、第3保持部材13の受け部13bが第1保持部材6の受け部6eに向けて弾性復元力F3を作用して保持し、壁下地材56を確実に保持する。
【0052】
したがって、本実施形態の壁施工を行なうと、建材保持部材8A,8Bを構成する第1保持部材6及び第3保持部材13を胴縁52a,52bに装着するだけで、簡単に壁下地材56を胴縁52a,52bに装着することができ、ビスを使用する従来の壁構造と比較して、壁下地材56の取付け作業に費やす時間と労力が大幅に低減し、壁の施工コストを抑えることができる。
【0053】
また、壁下地材56の端部両側面が、第3保持部材13の受け部13bが第1保持部材6の受け部6eに向けて弾性復元力F3を作用することで壁厚方向の移動が拘束される構造になっていることから、例えば強風時に出入口を開閉した際に、室内に入り込んだ強風により壁下地材56に風圧が作用しても、確実に壁下地材56の剥がれを防止することができる。
【0054】
また、図示しないが、壁下地材56を保持する前に、C型鋼である胴縁52a,52bの何れかの胴縁空間66に電線EW(図5及び図6参照)を収納すると、胴縁空間66を外部から隠れた電線収納空間として有効利用することができる。
なお、本実施形態の建材保持部材8A,8Bは、第1保持部材6及び第3保持部材1を使用した構造としたが、前述した屋根構造の第1実施形態から第5実施形態で示した構造を採用しても、同様の効果を奏することができる。
【0055】
また、本実施形態では、間柱50a,50b,50cの室外側に固定された胴縁52a,52bに装着するものとして説明したが、本発明の要旨がこれに限定されるものではなく、間柱50a,50b,50cの室内側に胴縁52a,52bを固定し、この胴縁52a,52bに建材保持部材8A,8Bを装着しても、同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態では、胴縁52a,52bの開口部54が下方を向いている状態で説明したが、本発明の要旨がこれに限定されるものではなく、開口部54が上方を向くように胴縁52a,52bを間柱50a〜50cに固定しても、同様の効果を得ることができる。
【0056】
また、本実施形態では、間柱50a〜50cをH型鋼、胴縁52a,52bをC型鋼として説明したが、間柱を溝型鋼、胴縁をH型鋼とし、間柱に建材保持部材を装着して壁下地材56を保持するようにしてもよい。
さらにまた、本実施形態では、リップを有するC型鋼(リップ溝型鋼)を溝型鋼として用いたが、リップが存在しない横断面コ字形状の溝型鋼であっても、同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係る第1実施形態の屋根構造を示す斜視図である。
【図2】図2のII−II線矢視図である。
【図3】第1実施形態の屋根構造で使用している建材保持部材が屋根下地材を保持している状態を示す図である。
【図4】第1実施形態の屋根構造において建材保持部材の装着状態を示す図である。
【図5】第1実施形態の屋根構造において屋根下地材の端部を屋根母屋の母屋内部空間に挿入する状態を示す図である。
【図6】第1実施形態の屋根構造において屋根下地材を取り付ける状態を示す図である。
【図7】第2実施形態の建材保持部材を示す図である。
【図8】第3実施形態の建材保持部材を示す図である。
【図9】第4実施形態の建材保持部材を示す図である。
【図10】第5実施形態の建材保持部材を示す図である。
【図11】第6実施形態の建材保持部材を示す図である。
【図12】第7実施形態の壁構造を示す斜視図である。
【図13】図12のB−B線矢視図である。
【符号の説明】
【0058】
2…垂木、4,5…屋根母屋、4a,5…開口部、4b…第1フランジ部、4c…第1リップ部、4d,5d…ウェブ部、4e…母屋内部空間、4f…第2フランジ部、4g…第2リップ部、6…第1保持部材、6a…第1カバー部、6b…弾性保持片(第1挟持部)、6c…係合膨出部(第1突出部)、6d…押圧膨出部(押圧部)、6e…受け部(第2突出部)、6f…突出片、6g…開口部(スリット)、7…第2保持部材、7a…第2カバー部、7b…第1係合部、7c…ウェブ当接部、7d…第2係合部(第2突出部)、8A,8B…建材保持部材、10…屋根下地材、12…野地材、13…第3保持部材、13a…第3カバー部、13b…受け部(第2突出部)、14…屋根仕上材、15…ビス、50a,50b,50c…間柱、52a,52b…胴縁、54…開口部、56…壁下地材、58…壁材、60…壁仕上材、62…第1フランジ部、64…第1リップ部、65…第2リップ部、66…胴縁空間、68…ウェブ部、70…室内下地材、72…ビス、EW…電線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行に配置した複数の溝型鋼にそれぞれ装着され、前記複数の溝型鋼の間に配置した平板形状の建材を保持する建材保持部材であって、
前記溝型鋼の一方のフランジ部を覆いながらウェブ部の外周に沿って装着した第1保持部材と、前記溝型鋼の他方のフランジ部を覆いながら前記ウェブ部の外周に沿って延在し、前記第1保持部材の前記ウェブ部の外周に沿う部分の内側に重なり合いながら一体に係合した第2保持部材とを有し、
前記第1及び第2保持部材の少なくとも一方は、前記溝型鋼の開口部に挿入した第1建材の端部側の厚さ方向の面を挟持する第1挟持部と、前記溝型鋼のウェブ部に向けて配置した第2建材の一方の端部を他方の端部に向けて面方向に押圧する押圧部と、前記第2建材の一方の端部側の厚さ方向の面を挟持する第2挟持部と、を備えていることを特徴とする建材保持部材。
【請求項2】
前記第1保持部材は、前記ウェブ部の外周に沿う部位の端部に前記第2建材の一方の端部側の厚さ方向の一方の面に当接する第1突出部を形成し、この第1突出部から離間した位置に、前記第2建材の厚さ方向の他方の面に当接する第2突出部を形成しており、これら第1及び第2突出部を前記第2挟持部としたことを特徴とする請求項1記載の建材保持部材。
【請求項3】
前記第1保持部材は、前記ウェブ部の外周に沿う部位の端部に前記第2建材の一方の端部側の厚さ方向の一方の面に当接する第1突出部を形成し、前記第2保持部材と重なり合う部分にスリットを形成しており、
前記第2保持部材は、前記ウェブの外周に沿う部位に、前記スリットを通過して前記第2建材の厚さ方向の他方の面に当接する第2突出部を形成し、これら第1及び第2突出部を前記第2挟持部としたことを特徴とする請求項1記載の建材保持部材。
【請求項4】
互いに平行に配置した複数の溝型鋼にそれぞれ装着され、前記複数の溝型鋼の間に配置した平板形状の建材を保持する建材保持部材であって、
前記溝型鋼の一方のフランジ部を覆いながらウェブ部の外周に沿って装着した第1保持部材と、前記溝型鋼の他方のフランジ部を覆いながら前記ウェブ部の外周に沿って延在し、前記第1保持部材の前記ウェブ部の外周に沿う部分の内側に重なり合いながら一体に係合した第2保持部材と、前記第1保持部材を覆って装着した第3保持部材とを有し、
前記第1及び第2保持部材の少なくとも一方は、前記溝型鋼の開口部に挿入した第1建材の端部側の厚さ方向の面を挟持する第1挟持部と、前記溝型鋼のウェブ部に向けて配置した第2建材の一方の端部を他方の端部に向けて面方向に押圧する押圧部と、前記第2建材の一方の端部側の厚さ方向の一方の面に当接する第1突出部を形成しているとともに、
前記第3保持部材は、前記第2建材の一方の端部側の厚さ方向の他方の面に当接する第2突出部を形成しており、
前記第1及び第2突出部を、前記第2建材の一方の端部側の厚さ方向を挟持する第2挟持部としたことを特徴とする建材保持部材。
【請求項5】
前記第1及び第2保持部材は、前記ウェブ部の外周に沿って互いに重なり合う部位が弾性変形し、一方及び他方の前記フランジ部に向けて移動不可能となるように係合していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の建材保持部材。
【請求項6】
互いに平行に配置した複数の溝型鋼にそれぞれ装着され、前記複数の溝型鋼の間に配置した平板形状の建材を保持する建材保持部材であって、
前記溝型鋼の一方のフランジ部を覆いながらウェブ部の外周に沿って装着した第1保持部材と、前記第1保持部材の一部を覆って装着した第3保持部材とを有し、
前記第1保持部材は、前記溝型鋼の開口部に挿入した第1建材の端部側の厚さ方向の面を挟持する第1挟持部と、前記溝型鋼のウェブ部に向けて配置した第2建材の一方の端部を他方の端部に向けて面方向に押圧する押圧部と、前記第2建材の一方の端部側の厚さ方向の一方の面に当接する第1突出部を形成しているとともに、
前記第3保持部材は、前記第2建材の一方の端部側の厚さ方向の他方の面に当接する第2突出部を形成しており、
前記第1及び第2突出部を、前記第2建材の一方の端部側の厚さ方向を挟持する第2挟持部としたことを特徴とする建材保持部材。
【請求項7】
前記第1挟持部は、前記第1建材の端部側の厚さ方向の面を弾性復元力で押圧することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の建材保持部材。
【請求項8】
前記押圧部は、前記第2建材の一方の端部から面方向に弾性復元力で押圧することを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の建材保持部材。
【請求項9】
前記第2挟持部は、前記第2建材の一方の端部側の厚さ方向の面を弾性復元力で押圧することを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の建材保持部材。
【請求項10】
請求項1から9の何れか1項の建材保持部材を使用した屋根構造であって、
勾配を付けて互いに平行に配置した複数の垂木と、複数の垂木の上部、或いは下部に、軒棟方向に平行に離間しながら桁行方向に延在するように配置した複数の屋根母屋とを備え、
前記複数の垂木と前記複数の屋根母屋の一方を前記溝型鋼とし、これら溝型鋼に前記建材保持部材を装着し、隣接する一対の溝型鋼の間に配置した屋根下地材の両端部を前記建材保持部材で保持するようにしたことを特徴とする屋根構造。
【請求項11】
請求項1から9の何れか1項の建材保持部材を使用した壁構造であって、
上下方向に延在しながら互いに水平方向に平行に配置されている複数の間柱と、互いに上下方向に離間しながら前記複数の間柱に固定されている複数の胴縁とを備え、
前記複数の間柱と前記複数の胴縁の一方を前記溝型鋼とし、これら溝型鋼に前記建材保持部材を装着し、隣接する一対の溝型鋼の間に配置した壁下地材の両端部を前記建材保持部材で保持するようにしたことを特徴とする壁構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−114758(P2009−114758A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−289846(P2007−289846)
【出願日】平成19年11月7日(2007.11.7)
【出願人】(306034789)コンフォートテック株式会社 (5)
【Fターム(参考)】