説明

建物のセキュリティシステム

【課題】不正な侵入の誤検知を抑制するとともに、不正な侵入があった場合にはこれをユーザに確実に知らせることのできる建物のセキュリティシステムを提供する。
【解決手段】このセキュリティシステムは、住宅の玄関ドア及び窓からの不正な侵入が検知されたときに警報を発する警戒モードを有し、玄関ドアの施解錠操作と、警戒モード切替スイッチの押圧操作とに基づいて警戒モードの設定及び解除の切り替えを実行する。そして、このセキュリティシステムは、警戒モードに設定されている状態で不正な侵入を検知したときに警報を発する。ここでは、警戒モードに設定されている状態で不正な侵入が検知された際には不正侵入履歴としてこれを記憶する。そして、不正な侵入が検知された後に玄関ドアが解錠操作された際には、記憶された不正侵入履歴に基づき警報を発したまま、警戒モードを解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅やビル等の建物に構築されて建物への不正な侵入を検知して警報を発する建物のセキュリティシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空き巣狙いや強盗などの防犯対策として、住宅やビル等に設けられた玄関ドアや窓等からの不正な侵入があった場合にこれを検知して警報を発する建物のセキュリティシステムが周知である(例えば特許文献1や特許文献2)。このようなセキュリティシステムは通常、不正な侵入があった場合に警報を発するようにする警戒モードの設定及び解除の切り替えをユーザ自身が行うようになっており、これにより例えば就寝時や外出時等、ユーザのニーズに応じた適切な状況で警報が発せられるようになっている。そして近年、例えばユーザの玄関ドアからの出入りの状況に応じてこのような警戒モードの設定及び解除の切り替えを自動的に行うようにしたセキュリティシステムが提案されている。このようなセキュリティシステムとしては、例えば特許文献3に記載のセキュリティシステムがある。
【0003】
このセキュリティシステムは、固有の識別コードを記憶するとともに同識別コードを送信する携帯機と、玄関ドアに設置されて同携帯機から送信される識別コードを受信する受信機と、ユーザの玄関ドアからの出入りを検知する検知センサとを基本的に備える構成となっている。そして、このセキュリティシステムは、ユーザが携帯機を所持した状態で玄関ドアに近づくと、警戒モードの設定のための条件が成立しているか否かを判断し、同条件が成立していると判断した場合には警戒モードとなる。ここで、警戒モードの設定のための条件は次のような条件の論理積(AND)条件からなる。すなわち、
(イ)受信機で受信した携帯機の識別コードと予め記憶されている識別コードとが一致していること。
(イ’)検知センサによりユーザが住宅内から出ることが検知されていること。
【0004】
また、このセキュリティシステムは、警戒モードの解除のための条件が成立しているか否かも判断し、同条件が成立していると判断した場合には警戒モードを解除する。ここで、警戒モードの解除のための条件は次のような条件の論理積(AND)条件からなる。すなわち、
(ロ)受信機で送信した携帯機の識別コードと予め記憶されている識別コードとが一致していること。
(ロ’)検知センサによりユーザが住宅内に入ることが検知されていること。
【0005】
セキュリティシステムとしてのこのような構成により、ユーザが携帯機を所持して玄関ドアを出入りすれば警戒モードの設定及び解除の切り替えが自動的に行われるようになるため、外出時の警戒モードの設定し忘れや、帰宅時の警戒モードの解除し忘れを防止することができるようになる。
【特許文献1】特開2004−135197
【特許文献2】特開2004−362252
【特許文献3】特開2006−350862
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、この特許文献3に記載のセキュリティシステムにあっては、不正な侵入が検知された場合には警戒モードの設定及び解除の切り替えを行わないようにしている。これにより、例えば外出中に不正な侵入があった場合には、ユーザの帰宅時に警戒モードが解除されることがないため、ユーザは警報を通じて不正な侵入があったことを知ることができるようになる。ただしこの場合、セキュリティシステムが警戒モードに設定されたままの状態となるため、例えば帰宅後、警戒モードを解除する前に、ユーザが誤って窓の開閉操作等を行うと、ユーザ自身の操作にも拘わらずセキュリティシステムは不正な侵入があったものと誤検知する懸念がある。このような問題を考慮して、例えば不正な侵入が検知されたか否かに拘わらず、上記警戒モードの解除のための条件が成立したときに一律に警戒モードを解除するといった方法も考えられる。しかしながら、このような方法を採用した場合には、ユーザが住宅内に入ることが検知されたときに警戒モードが解除され、これに伴い警報も停止してしまうため、ユーザは不正な侵入があったことを知ることができないおそれがある。このように、玄関ドアの施錠操作及び解錠操作に基づいて警戒モードの設定及び解除の切り替えを実行するセキュリティシステムにあっては、不正な侵入の誤検知を抑制することと同不正な侵入があったことをユーザに確実に知らせることとの両立を図ることが困難であるといった点で、なお改良の余地を残すものとなっている。
【0007】
なお、このような課題は、上述の条件に基づいて警戒モードの設定及び解除を行うセキュリティシステムに限らず、玄関ドアの施錠操作及び解錠操作に基づいて警戒モードの設定及び解除を行うセキュリティシステムに共通する課題である。
【0008】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、不正な侵入の誤検知を抑制するとともに、不正な侵入があった場合にはこれをユーザに確実に知らせることのできる建物のセキュリティシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、建物への不正な侵入が検知されたときに警報を発する警戒モードを有し、建物の玄関ドアの施錠操作及び解錠操作に基づいて前記警戒モードの設定及び解除の切り替えを実行し、前記警戒モードに設定されている状態で不正な侵入を検知したときに警報を発する建物のセキュリティシステムにおいて、前記警戒モードに設定されている状態で不正な侵入が検知された際には不正侵入履歴としてこれを記憶し、同不正な侵入が検知された後に前記玄関ドアが解錠操作された際には、前記不正侵入履歴を記憶したまま、前記警戒モードの解除を実行することを要旨としている。
【0010】
同構成によれば、玄関ドアの解錠操作に伴って警戒モードが解除されるため、上述のような帰宅後のユーザ自身の誤操作を不正な侵入と誤検知してしまうといった懸念が払拭されるようになる。また、同構成によれば、このような不正な侵入があった場合には、警戒モードが解除されても不正な侵入の履歴が残ることとなり、この不正侵入履歴を通じてユーザに不正な侵入があったことを確実に知らせることができるようになる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の建物のセキュリティシステムにおいて、屋内に設けられて前記不正侵入履歴を視認できるように表示する表示パネルと、同不正侵入履歴の表示をリセットするためのスイッチとが並設された操作装置とを備え、前記不正侵入履歴をリセットするための条件が、前記スイッチが押圧操作されたことであることを要旨としている。
【0012】
同構成によるように、不正侵入履歴を表示する表示パネルと、同不正履歴の表示をリセットするためのスイッチとを並設することで、ユーザは、不正侵入履歴の表示をリセットする際に表示パネルを必ず視認するようになるため、同表示パネルを通じてユーザに不正侵入履歴を確実に知らせることができるようになる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の建物のセキュリティシステムにおいて、固有の識別コードを有する携帯機と、同携帯機との通信を通じて前記玄関ドアの施錠及び解錠を制御する電気錠装置とを更に備え、前記電気錠装置が、前記携帯機の識別コードに対応した固有の識別コードを有するとともに、前記携帯機との無線通信を通じて同携帯機の識別コードを受信するものであるとき、前記不正侵入履歴をリセットするための条件が、
a1.前記スイッチが押圧操作されたこと。及び
a2.前記電気錠装置が自身の識別コードと前記携帯機の識別コードとが一致している旨を判断して前記玄関ドアを解錠操作したこと。
の論理積条件からなることを要旨としている。
【0014】
ところで、建物のセキュリティシステムとして上記スイッチの押圧操作に基づいて不正侵入履歴をリセットするような構成を採用した場合には、例えば不正な侵入者が住宅内に侵入した後、同スイッチを押圧操作したような場合に不正侵入履歴がリセットされてしまう懸念がある。一方、玄関ドアの施錠及び解錠を制御する電気錠装置にあっては通常、玄関ドアを解錠する際に同電気錠装置の有する識別コードと携帯機の有する識別コードとを照合し、これらの識別コードが一致しているときに玄関ドアを解錠するようにしている。すなわち、電気錠装置では、これらの識別コードが一致しているときには正規のユーザであると判断して玄関ドアの解錠を行うようにしている。この点、同構成によるように、電気錠装置で正規のユーザであると判断した者がスイッチを押圧操作した場合にのみ不正侵入履歴をリセットすることとすれば、不正な侵入者による不正侵入履歴のリセットを防止することができるようになる。また、上述のようなスイッチを押圧操作した者が正規のユーザであるか否かの判定に、このような電気錠装置による玄関ドアの解錠時の識別コードの照合を利用することで、同判定を容易に行うことができるようになる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の建物のセキュリティシステムにおいて、固有の識別コードを有する携帯機を更に備え、前記操作装置が、前記携帯機の識別コードに対応した固有の識別コードを有するとともに、前記携帯機との無線通信を通じて同携帯機の識別コードを受信するものであるとき、前記不正侵入履歴をリセットするための条件が、
b1.前記スイッチが押圧操作されたこと。及び
b2.前記操作装置が自身の識別コードと前記携帯機の識別コードとが一致している旨を判断したこと。
の論理積条件からなることを要旨としている。
【0016】
建物に不正に侵入する者は通常、携帯機を所持していない者か、あるいは携帯機を所持していた場合であっても操作装置の有する識別コードとは一致しない携帯機を所持している者である。このため、同構成によれば、このような不正な侵入者が不正侵入履歴をリセットするためのスイッチを押圧操作した場合には、不正侵入履歴がリセットされることがない。換言すれば、正規のユーザが上記スイッチを押圧操作した場合にのみ、不正侵入履歴がリセットされるようになる。このため、セキュリティシステムとしてこのような構成を採用した場合であっても、不正な侵入者による不正侵入履歴のリセットを防止することができるようになる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の建物のセキュリティシステムにおいて、前記携帯機が、電気的エネルギの供給を受けて固有のトランスポンダコードを送信するトランスポンダを更に備えるものであり、前記操作装置が、前記携帯機のトランスポンダに対応した固有のトランスポンダコードを有するとともに、前記トランスポンダへ駆動電波を送信して電気的エネルギの供給を行い、前記トランスポンダから前記携帯機のトランスポンダコードを受信するものであるとき、前記不正侵入履歴をリセットするための条件が、前記条件b1及び前記条件b2の論理積条件を第1の条件として、また、
c1.前記スイッチが押圧操作されたこと。及び
c2.前記操作装置が自身のトランスポンダコードと前記携帯機のトランスポンダコードとが一致している旨を判断したこと。
の論理積条件を第2の条件として、これら第1及び第2の条件のいずれか一方の条件が満足されることであることを要旨としている。
【0018】
同構成によるように、携帯機のトランスポンダコードと操作装置のトランスポンダコードとの照合を通じて不正侵入履歴をリセットするようにすれば、例えば携帯機の電池切れ等に起因して同携帯機が識別コードを送信することができない状況下でも、ユーザは不正侵入履歴をリセットすることができるようになる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によればこのように、不正な侵入の誤検知を抑制するとともに、不正な侵入があった場合にはこれをユーザに確実に知らせることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかる建物のセキュリティシステムを具体化した第1の実施形態について図1〜図4を参照して説明する。
【0021】
まず、図1は、本第1の実施形態にかかるセキュリティシステムを備えた住宅の斜視構造を示したものである。
同図1に示されるように、この住宅10には、玄関口に玄関ドア11が、また、側壁に採光や通風のための窓12,13が設けられている。そして、このセキュリティシステムは、玄関ドア11の施錠及び解錠を制御するとともに、玄関ドア11及び窓12,13から不正な侵入があった場合に警報を発するシステムである。そして、このセキュリティシステムでは、ユーザの携帯する携帯機20と、同携帯機20との無線通信を通じて玄関ドア11の施解錠を制御する電気錠装置30とにより玄関ドア11の施錠操作及び解錠操作を実行する機構が構築されている。
【0022】
ここで、この機構において、携帯機20と電気錠装置30とは、玄関ドア11の周辺であって住宅10内外に設定されたエリアS1,S2に携帯機20が位置しているときに互いに無線通信可能となっている。そして、電気錠装置30は、携帯機20との無線通信を通じて玄関ドア11の施錠操作及び解錠操作を行う。また、この電気錠装置30は、携帯機20に設けられた施錠スイッチ21及び解錠スイッチ22がユーザにより押圧操作された場合にも、玄関ドア11の解錠操作及び施錠操作を行う。
【0023】
一方、このセキュリティシステムでは、主に、電気錠装置30と、窓12,13の開閉状態を検出する窓開閉状態検出センサ40,41と、電気錠装置30及び窓開閉状態検出センサ40,41との無線通信を通じて同システムにかかる各種制御を実行する操作装置50とから不正な侵入に対して警報を発する機構が構築されている。このうち、操作装置50は、住宅10の屋内の壁等に取り付けられている。図2に、この操作装置50の正面構造を示す。
【0024】
同図2に示されるように、この操作装置50は、押しボタン式の警戒モード切替スイッチ51を有しており、ユーザによる同スイッチ51の押圧操作を通じて、セキュリティシステムの警戒モードの設定及び解除を実行する。また、この警戒モード切替スイッチ51の近傍には、「警戒モード」と表示されたラベルと、赤色及び緑色のいずれかの色に発光する2色発光ダイオード(LED)52とが設けられている。このLED52は、セキュリティシステムの警戒モードが解除されているときには緑色に、また、同システムが警戒モードに設定されているときには赤色に点灯する。また、この操作装置50には、上記玄関ドア11や窓12,13といった警戒対象のそれぞれの名称が表示された表示パネル53が設けられている。なお、それぞれの警戒対象の名称について、「玄関」は玄関ドア11に、「窓1」は窓12に、「窓2」は窓13に対応している。そして、この表示パネル53には、これら警戒対象の名称の各々に対応して、赤色及び緑色のいずれかの色に発光する2色発光ダイオード(LED)53aが設けられている。ここで、このLED53aは、セキュリティシステムが警戒モードに設定されているか否かで異なった点灯状態となる。具体的には、同LED53aは、同システムの警戒モードが解除されているときに、それぞれ対応する警戒対象が閉状態である場合には緑色に、開状態である場合には赤色に点灯する。一方、同LED53aは、同システムが警戒モードに設定されているときに、それぞれ対応する警戒対象が開状態となると赤色に点滅する。さらに、この操作装置50には、不正な侵入が検知されたときに警戒音を鳴らすブザー54が設けられている。すなわち、このセキュリティシステムでは、警戒モードに設定されている状態で不正な侵入が検知されると、表示パネル53のLED53aを赤色に点滅させるとともに、ブザー54から警戒音を鳴らすことでユーザに対して警報を発する。
【0025】
図3は、このようなセキュリティシステムについてそのシステム構成をブロック図として示したものであり、次に、同図3を参照して、このセキュリティシステムの動作概要を説明する。ここで、このセキュリティシステムは、上述のように、玄関ドア11の施錠操作及び解錠操作を実行する機構と、不正な侵入に対して警報を発する機構とからなるため、まず、玄関ドア11の施錠操作及び解錠操作を実行する機構についてその動作概要を説明する。この機構は、同図3に破線で示すように、また上述のように、携帯機20及び電気錠装置30から構築されている。
【0026】
図3に示されるように、電気錠装置30では、同装置30に設けられた携帯機用送受信回路34から携帯機用送受信アンテナ34aを通じて上記エリアS1,S2へリクエスト信号を発信する。そして、例えばユーザが携帯機20を所持して住宅10から外出する際に、携帯機20がリクエスト信号を受信できる範囲内、すなわち上記エリアS1内に進入すると、このリクエスト信号が携帯機20の送受信アンテナ23aから送受信回路23に取り込まれた後、制御部25へ送信される。この制御部25は、演算処理装置(CPU)やメモリ等を有するマイクロコンピュータを備えて当該携帯機20に搭載される各種機器を統括制御する部分である。そして、この制御部25では、このようにリクエスト信号を受信すると、同携帯機20の固有の識別コードを含む応答信号を、送受信回路23から送受信アンテナ23aを通じて電気錠装置30へ送信する。この応答信号は、電気錠装置30の携帯機用送受信アンテナ34aから携帯機用送受信回路34に取り込まれた後、電気錠装置30の制御部36へ送信される。この制御部36は、演算処理装置(CPU)やメモリ等を有するマイクロコンピュータを備えて当該電気錠装置30に搭載される各種機器を統括制御する部分である。そして、この制御部36では、リクエスト信号に対してこのように応答信号を受信することができたことをもって携帯機20がエリアS1内に位置していると判断するとともに、自身のメモリに予め記憶されている識別コードと携帯機20から送信された応答信号に含まれる識別コードとを照合する。制御部36では、これらの識別コードの照合を通じて互いの識別コードが一致していると判断した場合には携帯機20を所持する正規のユーザが外出しようとしていると判断して、ドア施解錠機構32を通じて玄関ドア11の解錠操作を行う。
【0027】
こうして玄関ドア11が解錠されると、ユーザは玄関ドア11を開けることができるようになり、ユーザが玄関ドア11を開けてエリアS2へ移動した後、玄関ドア11を閉めたとする。そしてこの後、電気錠装置30では、ユーザによる以下のような操作に基づいて玄関ドア11の施錠操作及び解錠操作を行う。
【0028】
まず、ユーザが携帯機20を電気錠装置30のトランスポンダ用送受信アンテナ33aに近づけると、トランスポンダ用送受信回路33から携帯機20のトランスポンダ制御部24に駆動電波が送信される。この駆動電波によりトランスポンダ制御部24に起電力が供給されると、同トランスポンダ制御部24からトランスポンダ送信アンテナ24aを介して携帯機20のトランスポンダコードが送信される。このトランスポンダコードは、電気錠装置30のトランスポンダ用送受信アンテナ33aを介してトランスポンダ用送受信回路33に取り込まれた後、制御部36へ送信される。そして、この制御部36では、このように携帯機20からトランスポンダコードを受信すると、自身のメモリに予め記憶されているトランスポンダコードと携帯機20から送信されたトランスポンダコードとを照合する。制御部36では、これらの照合を通じて互いのトランスポンダコードが一致していると判断していると判断した後、ユーザが警戒モード設定スイッチ35を押圧操作して同スイッチ35が押圧操作された旨の信号を受信すると、同スイッチ35を押圧操作した者が正規のユーザであると判断し、ドア施解錠機構32を通じて玄関ドア11の施錠操作を行う。
【0029】
一方、この制御部36では、ユーザが玄関ドア11を閉めた後、携帯機20をトランスポンダ用送受信アンテナ33aに近づける行為を行わなかった場合、あるいは同行為を行った場合であっても警戒モード設定スイッチ35を押圧操作しなかった場合には、以下のようにして玄関ドア11の施錠操作を行う。まず、ユーザが玄関ドア11を閉めた後、エリアS2内から出ると、電気錠装置30は、携帯機20からリクエスト信号に対する応答信号を受信することができなくなる。そして、電気錠装置30の制御部36では、このように携帯機20から応答信号を受信することができなくなったことをもって携帯機20がエリアS2内から出たと判断して、ドア施解錠機構32を通じて玄関ドア11の施錠操作を行う。
【0030】
また一方、この電気錠装置30では、ユーザが外出先から帰宅した際には、以下のようにして玄関ドア11の施錠操作及び解錠操作を行う。
まず、携帯機20を所持したユーザがエリアS2内に進入すると、携帯機20は電気錠装置30からのリクエスト信号を受信することができるようになる。そして、携帯機20は、このように電気錠装置30からのリクエスト信号を受信すると、電気錠装置30に応答信号を送信する。電気錠装置30の制御部36では、携帯機20から応答信号を受信することができたことをもって、携帯機20がエリアS2内に位置している判断するとともに、自身のメモリに予め記憶されている識別コードと携帯機20から送信された応答信号に含まれる識別コードとを照合する。そして、制御部36では、これらの識別コードの照合を通じて、互いの識別コードが一致していると判断した場合には、携帯機20を所持する正規のユーザが帰宅したものと判断して、ドア施解錠機構32を通じて玄関ドア11の解錠操作を行う。このようにして玄関ドア11が解錠されると、ユーザは玄関ドア11を開けることができるようになり、ユーザが玄関ドア11を開けてエリアS1内に移動した後、同玄関ドア11を閉めて同エリアS1から出ると、電気錠装置30は、携帯機20からリクエスト信号に対する応答信号を受信することができなくなる。そして、電気錠装置30の制御部36では、このように携帯機20から応答信号を受信することができなくなったことをもって携帯機20がエリアS1内から出たと判断して、ドア施解錠機構32を通じて玄関ドア11の施錠操作を行う。
【0031】
ところで、上述のように、携帯機20には、ユーザによって押圧操作される施錠スイッチ21及び解錠スイッチ22が設けられている。これら施錠スイッチ21及び解錠スイッチ22は、押圧操作されたときに、これらのスイッチ21,22が押圧操作されたことを示す信号を携帯機20の制御部25へそれぞれ送信する。そして、制御部25では、これら施錠スイッチ21及び解錠スイッチ22が押圧操作されたことを示す信号を受信すると、これらの信号を同携帯機20の識別コードとともに送受信回路23から送受信アンテナ23aを通じて電気錠装置30へ送信する。これらの信号も、電気錠装置30の携帯機用送受信アンテナ34aから携帯機用送受信回路34に取り込まれた後、制御部36へ送信される。そして、電気錠装置30の制御部36では、携帯機20の識別コードと電気錠装置30の識別コードとが一致するか否かを判断し、互いに識別コードが一致していると判断した場合には、施錠スイッチ21及び解錠スイッチ22のいずれのスイッチが押圧操作されたのかを判断してドア施解錠機構32を通じて玄関ドア11の施錠操作及び解錠操作を行う。
【0032】
次に、不正な侵入に対して警報を発する機構についてその動作を説明する。この機構は、同図3で一点鎖線で示すように、また上述のように、電気錠装置30、窓開閉状態検出センサ40,41、及び操作装置50から構成されている。
【0033】
同図3に示されるように、電気錠装置30には、玄関ドア11の開閉状態を検出するドア開閉状態検出センサ31が設けられている。このセンサ31は、玄関ドア11の開閉状態に基づいて、玄関ドア11が開状態であることを示す信号、あるいは閉状態であることを示す信号を電気錠装置30の制御部36へ送信する。そして、同制御部36では、これらの信号を受信すると、配線60を通じて操作装置50の制御部56へ同信号を送信する。この制御部56は、演算処理装置(CPU)やメモリ等を有するマイクロコンピュータを備えて当該操作装置50に搭載される各種機器を統括制御する部分である。そして、同制御部56では、このようにして受信した信号に基づいて玄関ドア11の開閉状態を判断する。
【0034】
一方、窓12の開閉状態を検出する窓開閉状態検出センサ40は、同窓12の開閉状態に基づいて、窓12が開状態であることを示す信号、あるいは閉状態であることを示す信号を送信用アンテナ40aを通じて操作装置50へ送信する。これに対し、窓13の開閉状態を検出する窓開閉状態検出センサ41は、同窓13の開閉状態に基づいて、窓13が開状態であることを示す信号、あるいは閉状態であることを示す信号を送信用アンテナ41aを通じて操作装置50へ送信する。送信用アンテナ40a,41aから送信されるこれらの信号は、操作装置50の窓用受信アンテナ55aから窓用受信回路55に取り込まれた後、操作装置50の制御部56へ送信される。そして、同制御部56では、こうして受信した信号に基づいて窓12,13のそれぞれの開閉状態を検知する。
【0035】
そして、操作装置50の制御部56では、セキュリティシステムを警戒モードに設定しているときに、これら玄関ドア11の施解錠状態、及び窓12,13のそれぞれの開閉状態に基づいて住宅10内への不正な侵入の有無を監視する。具体的には、例えばセキュリティシステムを警戒モードに設定しているときに、玄関ドア11が解錠状態となった旨を検知した場合には、玄関ドア11から不正な侵入があったものと判断する。同様に、同システムを警戒モードに設定しているときに、窓12,13のいずれかの窓が開状態となった旨を検知した場合には、窓12,13のいずれかの場所から不正な侵入があったものと判断する。そして、この制御部56では、このように不正な侵入を検知すると、表示パネル53のLED53aうち、不正な侵入があった場所に対応したLED53aを赤色に点滅させるとともに、ブザー54から警告音を鳴らす。
【0036】
ところで、前述のように、電気錠装置30では、例えばユーザの外出時に際して、携帯機20のトランスポンダ制御部24及び電気錠装置30の制御部36のトランスポンダコードがそれぞれ一致している旨が判断された上で電気錠装置30の警戒モード設定スイッチ35が押圧操作された旨を検知した場合に玄関ドア11を施錠する。そして、この電気錠装置30の制御部36では、こうして玄関ドア11を施錠した後、再び警戒モード設定スイッチ35が押圧操作された場合に、セキュリティシステムを警戒モードに設定すべき旨を示す信号を操作装置50の制御部56に送信する。一方、これも前述のように、電気錠装置30では、例えばユーザの帰宅時に携帯機20がエリアS2内に進入すると、同携帯機20から送信される識別コードと自身の識別コードとが一致しているか否かを判断し、互いの識別コードが一致していると判断した場合に玄関ドア11を解錠する。また、電気錠装置30では、例えば携帯機20の解錠スイッチ22が押圧操作された場合に、同携帯機20から送信される識別コードと自身の識別コードとが一致しているか否かを判断し、互いの識別コードが一致していると判断した場合にも玄関ドア11を解錠することも前述のとおりである。そして、電気錠装置30の制御部36では、このようにして玄関ドア11を解錠した場合に、セキュリティシステムの警戒モードを解除すべき旨を示す信号を操作装置50の制御部56に送信する。一方、操作装置50では、同装置50に設けられる警戒モード切替スイッチ51が押圧操作されたときに、同スイッチ51が押圧操作されたことを示す信号を制御部56へ送信する。そして、制御部56では、これらセキュリティシステムを警戒モードに設定すべき旨を示す信号、セキュリティシステムの警戒モードを解除すべき旨を示す信号、及び警戒モード切替スイッチ51が押圧操作されたことを示す信号に基づいてセキュリティシステムの警戒モードの設定と、その解除とを行う。ここで、図4に、このようなセキュリティシステムの警戒モードの設定及び解除の状態遷移を示す。
【0037】
同図4に示されるように、制御部56では、セキュリティシステムの警戒モードを解除している状態、すなわち同システムを非警戒モードに設定している状態で、例えば住宅10内にいるユーザが警戒モード切替スイッチ51を押圧操作して、同スイッチ51が押圧操作されたことを示す信号を受信した場合には、同システムを警戒モードに設定する。一方、同制御部56では、セキュリティシステムを警戒モードに設定している状態で、警戒モード切替スイッチ51が押圧操作されたことを示す信号を受信した場合には、セキュリティシステムの警戒モードを解除する。そして、同制御部56では、セキュリティシステムを警戒モードに設定している状態で、例えば窓12からの不正な侵入を検知した場合には、同システムを警戒モードに設定したまま、窓12に対応するLED53aを赤色に点滅させるとともに、ブザー54から警告音を鳴らす。ユーザは、このようにブザー54から警告音が鳴ることで不正な侵入があったことに気付くとともに、その後、操作装置50の場所まで移動して表示パネル53のLED53aを視認することでどの場所から不正な侵入があったのかを知ることができる。そして、制御部56では、不正な侵入が検知されている状態で、どの場所から不正な侵入があったのかを確認したユーザが警戒モード切替スイッチ51を押圧操作して、同スイッチ51が押圧操作された旨を示す信号を受信した場合には、セキュリティシステムの警戒モードを解除する。また、制御部56では、セキュリティシステムの警戒モードを解除する際に、例えば不正な侵入の検知された窓12がいまだ開状態である場合には、同窓12に対応したLED53aを赤色の点滅状態から点灯状態に変更するとともに、ブザー54からの警告音を停止する。
【0038】
一方、制御部56では、セキュリティシステムを非警戒モードに設定している状態で、例えば住宅10内にいるユーザが外出する際の玄関ドア11の施錠操作に伴い、上記セキュリティシステムを警戒モードに設定すべき旨を示す信号を受信した場合には、セキュリティシステムを警戒モードに設定する。これに対し、制御部56では、セキュリティシステムを警戒モードに設定している状態で、玄関ドア11の解錠操作に伴い、上記セキュリティシステムの警戒モードを解除すべき旨を示す信号を受信した場合には、セキュリティシステムの警戒モードを解除する。そして、制御部56では、セキュリティシステムを警戒モードに設定している状態で、例えば窓12からの不正な侵入を検知した場合には、同システムを警戒モードに設定したまま、窓12に対応するLED53aを赤色に点滅させるとともに、ブザー54から警告音を鳴らす。
【0039】
そして、制御部56では、このように不正な侵入が検知されている状態で、玄関ドア11の解錠操作に伴い、上記セキュリティシステムの警戒モードを解除すべき旨を示す信号を受信した場合には、不正侵入履歴を自身のメモリに記憶し、セキュリティシステムの警戒モードを解除する。具体的には、例えば窓12から不正な侵入があった場合には、制御部56では、窓12から不正な侵入があったことを示す不正侵入履歴を自身のメモリに記憶する。そして、制御部56では、窓12に対応した表示パネル53のLED53aを赤色に点滅させつつ、ブザー54から警告音を鳴らした状態を維持したまま、セキュリティシステムの警戒モードを解除する。これにより、例えばユーザの帰宅時にあっては、玄関ドア11の解錠操作に伴いセキュリティシステムの警戒モードが解除されるため、同システムが前述のような帰宅後のユーザ自身の誤操作を不正な侵入と誤検知してしまうといった懸念が解消される。また、このセキュリティシステムでは、一旦不正な侵入を検知すれば、不正侵入履歴が制御部56のメモリに記憶されてブザー54から警告音が鳴ったままの状態となるため、ユーザは、同ブザー54からの警告音を通じて不正な侵入があったことを確実に知ることができる。しかも、このセキュリティシステムでは、表示パネル53のLED53aを赤色に点滅させた状態を維持するため、ユーザは、同表示パネル53を視認することでいずれの場所から不正な侵入があったのかを確実に知ることができる。
【0040】
また、制御部56では、セキュリティシステムの警戒モードを解除している状態で、玄関ドア11の施錠に伴い、上記セキュリティシステムを警戒モードに設定すべき旨を示す信号を受信した場合には、不正な侵入の履歴をメモリに記憶したまま、セキュリティシステムを警戒モードに設定する。これにより、不正な侵入が検知されているときに非警戒モードから警戒モードとなった場合であっても、表示パネル53の表示、あるいはブザー54からの警告音を通じて、ユーザはいずれの場所から不正な侵入があったのかを確実に知ることができる。
【0041】
さらに、制御部56では、このように不正侵入履歴がメモリに記憶されているときには、セキュリティシステムの警戒モードが解除されている状態で警戒モード切替スイッチ51が押圧操作された場合に、不正侵入履歴をリセットする。換言すれば、不正侵入履歴をリセットするための条件は以下の条件A1及び条件A2の論理積条件からなる。すなわち、
(A1)警戒モード切替スイッチ51が押圧操作されたこと。
(A2)セキュリティシステムの警戒モードが解除されていること。
ここで、条件A2が満たされるためには、以下の条件A2’が満たされることが十分条件となる。すなわち、
(A2’)電気錠装置30が自身の識別コードと携帯機20の識別コードとが一致している旨を判断して玄関ドア11を解錠したこと。
したがって、不正侵入履歴をリセットするための条件は、結局、以下の条件a1及びa2の論理積条件からなる。
(a1)警戒モード切替スイッチ51が押圧操作されたこと。
(a2)電気錠装置30が自身の識別コードと携帯機20の識別コードとが一致している旨を判断して玄関ドア11を解錠したこと。
【0042】
そして、電気錠装置30では、同電気錠装置30の識別コードと携帯機20の識別コードとが一致することをもって携帯機20を所持した者が正規のユーザであると判断するようにしている。そこで、操作装置50の制御部56では、条件a1及び条件a2の論理積条件が満たされた場合には、正規のユーザが警戒モード切替スイッチ51を押圧操作しているものと判断して不正侵入履歴をリセットする。このように、このセキュリティシステムでは、同スイッチ51を押圧操作している者が正規のユーザであるか否かの判定に、電気錠装置30による玄関ドア11の解錠時の識別コードの照合を利用するようにした。このため、同判定を容易に行うことができるようになる。また、同システムでは、正規のユーザが同スイッチ51を押圧操作した場合にのみ、不正侵入履歴がリセットされるようになるため、不正な侵入者による不正侵入履歴のリセットを防止することができるようになる。
【0043】
またさらに、このセキュリティシステムでは、このように警戒モード切替スイッチ51の押圧操作基づいて不正侵入履歴をリセットするようにした。このように、警戒モード切替スイッチ51の押圧操作に基づいて不正侵入履歴をリセットするようにすることで、同不正侵入履歴をリセットするためのスイッチを新たに設ける必要がなくなり、同操作装置50の構造を簡素なものとすることができるようになる。また、不正侵入履歴をリセットするための操作としてユーザによる警戒モード切替スイッチ51の押圧操作といった方法を採用することでユーザは同スイッチ51に並設された表示パネル53を必ず視認するようになるため、ユーザに不正侵入履歴を確実に知らせることができる。
【0044】
以上説明したように、本第1の実施形態かかるセキュリティシステムによれば、以下のような効果が得られるようになる。
(1)セキュリティシステムが警戒モードに設定されている状態で不正な侵入が検知された際には、不正侵入履歴としてこれを記憶するようにした。そして、不正な侵入が検知された後に玄関ドア11が解錠操作された際には、記憶された不正侵入履歴に基づき、不正な侵入が検知された場所に対応したLED53aを赤色に点滅させつつ、ブザー54から警告音を鳴らした状態を維持したまま、警戒モードを解除するようにした。これにより、例えばユーザの帰宅時にあっては、玄関ドア11の解錠操作に伴って警戒モードが解除されるようになるため、前述のような帰宅後のユーザ自身の誤操作を不正な侵入と誤検知してしまうといった懸念が解消されるようになる。また、このような不正な侵入があった場合には、警戒モードが解除されても、不正な侵入が検知された場所に対応したLED53aが赤色に点滅したままの状態、及びブザー54から警告音がなったままの状態が維持されるため、表示パネル53及びブザー54を通じてユーザに不正な侵入があったことを確実に知らせることができるようになる。
【0045】
(2)また、不正侵入履歴を記憶したまま警戒モードを解除した後、セキュリティシステムが再び警戒モードに設定された際にも、不正侵入履歴を記憶したままの状態を維持するようにした。これにより、警戒モードが解除された後であって不正侵入履歴がリセットされる前に、玄関ドア11の施錠操作を通じてセキュリティシステムが警戒モードに設定された場合であっても不正侵入履歴が残ることとなるため、このような場合にもユーザに不正な侵入があったことを確実に知らせることができるようになる。
【0046】
(3)不正な侵入が検知された場所を表示する表示パネル53と、同パネル53の表示をリセットするためのスイッチ、すなわち警戒モード切替スイッチ51とを並設するようにした。このため、ユーザは、表示パネル53の表示をリセットする際に同パネル53を必ず視認するようになるため、同表示パネル53を通じてユーザに不正な侵入が検知された場所を確実に知らせることができるようになる。
【0047】
(4)警戒モードの設定及び解除の切り替えを実行するための警戒モード切替スイッチ51の押圧操作に基づいて不正侵入履歴をリセットするようにした。これにより、不正侵入履歴をリセットするためのスイッチと、警戒モードの設定及び解除の切り替えを実行するためのスイッチとを別々に設ける必要がなくなるため、操作装置50の構造を簡素なものとすることができ、ひいてはセキュリティシステム自身の構成を簡素なものとすることができるようになる。
【0048】
(5)以下の条件a1及び条件a2の論理積条件が満たされたときに、不正侵入履歴をリセットするようにした。
(a1)警戒モード切替スイッチ51が押圧操作されたこと。
(a2)電気錠装置30が自身の識別コードと携帯機20の識別コードとが一致している旨を判断して玄関ドア11を解錠したこと。
【0049】
そして、このb2の条件に基づいて警戒モード切替スイッチ51を押圧操作している者が正規のユーザであるか否かを判定するようにした。すなわち、スイッチ51を押圧操作している者が正規のユーザであるか否かの判定に、電気錠装置30による玄関ドア11の解錠時の識別コードの照合を利用するようにした。このため、同判定を容易に行うことができるようになる。また、正規のユーザが同スイッチ51を押圧操作した場合にのみ、不正侵入履歴がリセットされるようになるため、不正な侵入者による不正侵入履歴のリセットを防止することができるようになる。
【0050】
(第2の実施形態)
続いて、本発明にかかる建物のセキュリティシステムを具体化した第2の実施形態について図5〜図7を参照して説明する。なお、この第2の実施形態もセキュリティシステムとしての基本構造は先の図1〜図3に準ずるものであり、ここでは先の図1に対応する図として、セキュリティシステムを備えた住宅の斜視構造を図5に示す。また、先の図3に対応する図として、セキュリティシステムのシステム構成をブロック図として図6に、さらに、先の図4に対応する図として、セキュリティシステムの警戒モードの設定及び解除の状態遷移を図7にそれぞれ示す。また、これら図5及び図6において、先の図1及び図3に示した要素と同一の要素にはそれぞれ同一符号を付すことにより重複する説明を割愛し、以下では、両者の相違点を中心に説明する。
【0051】
上記第1の実施形態にかかるセキュリティシステムでは、警戒モード切替スイッチ51を押圧操作している者が正規のユーザであるか否かの判定に、電気錠装置30による玄関ドア11の解錠時の識別コードの照合を利用するようにした。これに対し、この第2の実施形態にかかるセキュリティシステムでは、警戒モード切替スイッチ51を押圧操作している者が正規のユーザであるか否かの判定を、操作装置50と携帯機20との間の識別コードの照合を通じて行うようにしている。
【0052】
図5は、上述のように、本実施形態にかかるセキュリティシステムを備えた住宅の斜視構造を示したものである。
同図5に示されるように、このセキュリティシステムにおいて、携帯機20と操作装置50とは、同操作装置50の周辺に設定されたエリアS3に携帯機20が位置しているときに互いに無線通信可能となっている。続いて、図6を参照して、このセキュリティシステムのシステム構成の詳細について説明する。図6は、上述のように、同セキュリティシステムのシステム構成をブロック図として示したものである。
【0053】
同図6に示されるように、このセキュリティシステムでは、その操作装置50に、携帯機用送受信アンテナ57aを通じて上記エリアS3内にリクエスト信号を発信する携帯機用送受信回路57が設けられている。そして、例えば携帯機20を所持するユーザが帰宅して住宅10内に入った後、エリアS3内に進入すると、このリクエスト信号が携帯機20の送受信アンテナ23aから送受信回路23に取り込まれた後、制御部25へ送信される。携帯機20の制御部25では、このようにリクエスト信号を受信すると、同携帯機20の固有の識別コードを含む応答信号を、送受信回路23から送受信アンテナ23aを通じて操作装置50へ送信する。この応答信号は、操作装置の携帯機用送受信アンテナ57aから携帯機用送受信回路57に取り込まれた後、操作装置50の制御部56へ送信される。そして、この制御部56では、リクエスト信号に対してこのように応答信号を受信することができたことをもって携帯機20がエリアS3内に位置していると判断するとともに、自身のメモリに予め記憶されている識別コードと携帯機20から送信された応答信号に含まれる識別コードとを照合する。制御部56では、これらの識別コードの照合を通じて互いの識別コードが一致していると判断した場合には、携帯機20を所持する者が正規のユーザであると判断する。続いて、図7を参照して、本実施形態にかかるセキュリティシステムの警戒モードの設定及び解除の状態遷移について説明する。
【0054】
図7に示されるように、制御部56では、上記第1の実施形態にかかるセキュリティシステムと同様に、不正な侵入が検知されている状態で、玄関ドア11の解錠に伴い上記セキュリティシステムの警戒モードを解除すべき旨を示す信号を受信した場合には、不正侵入履歴を操作装置50の制御部56のメモリに記憶したまま、警戒モードを解除する。そして、この制御部56では、こうして警戒モードを解除した後、以下の条件b1及び条件b2の論理積条件が満たされたときに不正侵入履歴をリセットする。
(b1)警戒モード切替スイッチ51が押圧操作されたこと。
(b2)操作装置50が自身の識別コードと携帯機20の識別コードとが一致している旨を判断したこと。
【0055】
ところで、住宅10内に不正侵入する者は通常、携帯機20を所持していない者であるか、あるいは携帯機20を所持していた場合であっても操作装置50の識別コードとは異なる識別コードを有する携帯機を所持する者である。したがって、このような不正な侵入者が不正侵入履歴をリセットすべく警戒モード切替スイッチ51を操作しても、上記b2の条件が満たされることはない。このため、このような構成からなるセキュリティシステムによれば、不正な侵入者による不正侵入履歴のリセットを防止することができるようになる。
【0056】
以上説明したように、本実施形態によれば、先の第1の実施形態による前記(1)〜(4)の効果に加え、さらに以下の効果が得られるようになる。
(6)以下の条件b1及び条件b2の論理積条件が満たされたときに、不正侵入履歴をリセットするようにした。
(b1)警戒モード切替スイッチ51が押圧操作されたこと。
(b2)操作装置50が自身の識別コードと携帯機20の識別コードとが一致している旨を判断したこと。
【0057】
これにより、不正な侵入者による不正侵入履歴のリセットを防止することができるようになる。
なお、この第2の実施形態にかかるセキュリティシステムは、例えば以下の変形例のごとく、これを適宜変更して実施することもできる。
【0058】
(変形例)
図8に、上記第2の実施形態にかかるセキュリティシステムの変形例を示す。
同図8に示されるように、この変形例では、操作装置50に、押圧操作されるトランスポンダ用トリガスイッチ59と、同トリガスイッチ59の押圧操作に基づいて駆動電波を発信して上記携帯機20からトランスポンダコードを受信するトランスポンダ用送受信回路58とがそれぞれ設けられている。なお、同トランスポンダ用送受信回路58は、上記電気錠装置30のトランスポンダ用送受信回路33と同様の原理にて携帯機20のトランスポンダコードを受信する。
【0059】
そして、このセキュリティシステムでは、警戒モード切替スイッチ51を押圧操作している者が正規のユーザであるか否かの判定を、操作装置50と携帯機20との間の識別コードの照合ばかりでなく、操作装置50と携帯機20との間のトランスポンダコードの照合を通じて行うようにしている。すなわち、上記条件b1及び条件の論理積条件が満たされた場合ばかりでなく、以下の条件c1及び条件c2の論理積条件が満たされた場合にも不正侵入履歴をリセットする。
(c1)警戒モード切替スイッチ51が押圧操作されたこと。
(c2)操作装置50が自身のトランスポンダコードと携帯機20のトランスポンダコードとが一致している旨を判断したこと。
【0060】
これにより、例えば携帯機20の電池切れ等に起因して同携帯機20が識別コードを送信できない状況下でも、ユーザは不正侵入履歴をリセットすることができるようになる。
(他の実施の形態)
なお、上記各実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
【0061】
・上記各実施形態では、操作装置50において、警戒モード切替スイッチ51と表示パネル53とを並設するようにしたが、ユーザの利便性を考慮して、これらを別々の場所に設けてもよい。
【0062】
・上記各実施形態では、警戒モード切替スイッチ51が、セキュリティシステムの警戒モードの設定及び解除を切り替える機能、及び不正侵入履歴をリセットする機能の2つの機能を有していた。これに対し、ユーザの操作性を考慮して、例えばセキュリティシステムの警戒モードの設定及び解除を切り替えるためのスイッチと、不正侵入履歴をリセットするためのスイッチとを別々に設けてもよい。
【0063】
・上記各実施形態では、記憶した不正侵入履歴に基づき、不正な侵入が検知された場所に対応したLED53aを赤色に点滅させつつ、ブザー54から警告音を鳴らすことでユーザに警報を発するようにしたが、例えばブザー54から警告音を鳴らすことのみでユーザに警報を発するようにしてもよい。また、例えば不正な侵入が検知された場所に対応したLED53aを赤色に点滅させることのみでユーザに警報を発するようにしてもよい。さらに、ブザー54からの警告音を所定時間だけ鳴るように設定してもよい。なお、例えばブザー54から警告音を鳴らすことのみでユーザに警報を発するようにした場合には、操作装置50として、表示パネル53を省略した構成を採用してもよい。また、例えばLED53aを赤色に点滅させることのみでユーザに警報を発するようにした場合には、操作装置50として、ブザー54を省略した構成を採用してもよい。要は、どのような方法であれ、記憶した不正侵入履歴に基づいてユーザに警報を発するものであればよい。
【0064】
・上記各実施形態では、警戒モード切替スイッチ51を押圧操作することで不正侵入履歴をリセットするようにしたが、このようなスイッチの他、例えばユーザの音声に基づき不正侵入履歴をリセットするようにしてもよい。
【0065】
・上記各実施形態では、セキュリティシステムが、玄関ドア11及び窓12,13からの不正な侵入を検知したときに警報を発するものであったが、例えば、窓12,13からの不正な侵入を検知したときにのみ警報を発するようなものであってもよい。
【0066】
・上記各実施形態では、本発明にかかるセキュリティシステムを住宅に適用する場合について例示したが、この他、例えば倉庫やビル等の建物に適用してもよい。
・上記各実施形態では、操作装置50が、電気錠装置30との有線通信を通じて玄関ドア11の施錠操作及び解錠操作を検知する場合について例示したが、電気錠装置との無線通信を通じて玄関ドア11の施錠操作及び解錠操作を検知するようにしてもよい。
【0067】
・上記各実施形態では、警戒モードにおいて不正な侵入が検知されている状況で玄関ドア11が解錠操作されたときに不正侵入履歴を記憶するようにしたが、警戒モードにおいて不正な侵入が検知された段階で不正侵入履歴を記憶するようにしてもよい。
【0068】
・不正侵入履歴をリセットするための条件を、第1の実施形態では条件a1及び条件a2の論理積条件、第2の実施形態では条件b1及び条件b2の論理積条件としたが、条件a1、条件a2、及び条件b2の論理積条件としてもよい。さらに、不正侵入履歴をリセットするための条件を、条件a1、条件a2、条件b2、及び条件c2の論理積条件としてもよい。
【0069】
・例えば玄関ドアがキーシリンダーを有するものであり、同キーシリンダーにメカニカルキーを挿入することによって施錠操作及び解錠操作が実行される玄関ドアにあっては、同施錠操作及び解錠操作を検知するためのセンサを玄関ドアに別途設け、同センサから送信される信号に基づいて玄関ドアの施錠操作及び解錠操作を検知する。そして、玄関ドアの施錠操作が検知された場合には警戒モードを解除するとともに、玄関ドアの解錠操作が検知された場合には警戒モードに設定するようにしてもよい。さらにこの場合において、非警戒モードに設定されている状態で上記警戒モード切替スイッチ51が押圧操作されたとき不正侵入履歴をリセットするようにしてもよい。
【0070】
(付記)
次に、上記実施形態及びその変形例から把握できる技術的思想について追記する。
(イ)請求項2に記載の建物のセキュリティシステムにおいて、前記不正侵入履歴を記憶したまま、前記警戒モードの解除を実行した後、前記不正侵入履歴の表示をリセットするためのスイッチを押圧操作する前に前記玄関ドアが施錠操作された際には、前記不正侵入履歴を記憶したまま、前記警戒モードの設定を実行することを特徴とする建物のセキュリティシステム。同構成によれば、警戒モードが解除された後であって不正侵入履歴の表示がリセットされる前に、玄関ドアの施錠操作を通じてセキュリティシステムが警戒モードに設定された場合であっても不正侵入履歴が残ることとなるため、このような場合にもユーザに不正な侵入があったことを確実に知らせることができるようになる。
【0071】
(ロ)請求項2又は付記イに記載の建物のセキュリティシステムにおいて、前記不正侵入履歴の表示をリセットするためのスイッチは、前記警戒モードの設定及び解除の切り替えを実行するためのスイッチとしての機能も有していることを特徴とする建物のセキュリティシステム。同構成によれば、不正侵入履歴の表示をリセットするためのスイッチと、警戒モードの設定及び解除の切り替えを実行するためのスイッチとを別々に設ける必要がなくなるため、表示パネルの構造が簡素なものとすることができ、ひいては、セキュリティシステム自身の構成を簡素なものとすることができるようになる
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明にかかる建物のセキュリティシステムの第1の実施形態について同システムを備えた住宅の斜視構造を示した斜視図。
【図2】同第1の実施形態のセキュリティシステムについてその操作装置の正面構造を示す正面図。
【図3】同第1の実施形態のセキュリティシステムについてそのシステム構成を示すブロック図。
【図4】同第1の実施形態のセキュリティシステムについてその警戒モードの設定及び解除と、玄関ドアの施解錠操作、及び警戒モード切替スイッチの押圧操作との関係を示す状態遷移図。
【図5】本発明にかかる建物のセキュリティシステムの第2の実施形態について同システムを備えた住宅の斜視構造を示した斜視図。
【図6】同第2の実施形態のセキュリティシステムについてそのシステム構成を示すブロック図。
【図7】同第2の実施形態のセキュリティシステムについてその警戒モードの設定及び解除と、玄関ドアの施解錠操作、及び警戒モード切替スイッチの押圧操作との関係を示す状態遷移図。
【図8】同第2の実施形態の変形例についてそのシステム構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0073】
10…住宅、11…玄関ドア、12,13…窓、13…窓、20…携帯機、21…施錠スイッチ、22…解錠スイッチ、23…送受信回路、23a…送受信アンテナ、24…トランスポンダ制御部、24a…トランスポンダ送信アンテナ、25…携帯機の制御部、30…電気錠装置、31…ドア開閉状態検出センサ、32…ドア施解錠機構、33…トランスポンダ用送受信回路、33a…トランスポンダ用送受信アンテナ、34…携帯機用送受信回路、34a…携帯機用送受信アンテナ、35…警戒モード設定スイッチ、36…電気錠装置の制御部、40,41…窓開閉状態検出センサ、40a,41a…送信用アンテナ、50…操作装置、51…警戒モード切替スイッチ、52,53a…発光ダイオード(LED)、53…表示パネル、54…ブザー、55…窓用受信回路、55a…窓用受信アンテナ、56…操作装置の制御部、57…携帯機用送受信回路、57a…携帯機用送受信アンテナ、58…トランスポンダ用送受信回路、59…トランスポンダ用トリガスイッチ、60…配線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物への不正な侵入が検知されたときに警報を発する警戒モードを有し、建物の玄関ドアの施錠操作及び解錠操作に基づいて前記警戒モードの設定及び解除の切り替えを実行し、前記警戒モードに設定されている状態で不正な侵入を検知したときに警報を発する建物のセキュリティシステムにおいて、
前記警戒モードに設定されている状態で不正な侵入が検知された際には不正侵入履歴としてこれを記憶し、同不正な侵入が検知された後に前記玄関ドアが解錠操作された際には、前記不正侵入履歴を記憶したまま、前記警戒モードの解除を実行する
ことを特徴とする建物のセキュリティシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の建物のセキュリティシステムにおいて、
屋内に設けられて前記不正侵入履歴を視認できるように表示する表示パネルと、同不正侵入履歴の表示をリセットするためのスイッチとが並設された操作装置とを備え、前記不正侵入履歴をリセットするための条件が、前記スイッチが押圧操作されたことである
ことを特徴とする建物のセキュリティシステム。
【請求項3】
請求項2に記載の建物のセキュリティシステムにおいて、
固有の識別コードを有する携帯機と、同携帯機との通信を通じて前記玄関ドアの施錠及び解錠を制御する電気錠装置とを更に備え、前記電気錠装置が、前記携帯機の識別コードに対応した固有の識別コードを有するとともに、前記携帯機との無線通信を通じて同携帯機の識別コードを受信するものであるとき、前記不正侵入履歴をリセットするための条件が、
a1.前記スイッチが押圧操作されたこと。及び
a2.前記電気錠装置が自身の識別コードと前記携帯機の識別コードとが一致している旨を判断して前記玄関ドアを解錠操作したこと。
の論理積条件からなる
ことを特徴とする建物のセキュリティシステム。
【請求項4】
請求項2に記載の建物のセキュリティシステムにおいて、
固有の識別コードを有する携帯機を更に備え、前記操作装置が、前記携帯機の識別コードに対応した固有の識別コードを有するとともに、前記携帯機との無線通信を通じて同携帯機の識別コードを受信するものであるとき、前記不正侵入履歴をリセットするための条件が、
b1.前記スイッチが押圧操作されたこと。及び
b2.前記操作装置が自身の識別コードと前記携帯機の識別コードとが一致している旨を判断したこと。
の論理積条件からなる
ことを特徴とする建物のセキュリティシステム。
【請求項5】
請求項4に記載の建物のセキュリティシステムにおいて、
前記携帯機が、電気的エネルギの供給を受けて固有のトランスポンダコードを送信するトランスポンダを更に備えるものであり、前記操作装置が、前記携帯機のトランスポンダに対応した固有のトランスポンダコードを有するとともに、前記トランスポンダへ駆動電波を送信して電気的エネルギの供給を行い、前記トランスポンダから前記携帯機のトランスポンダコードを受信するものであるとき、前記不正侵入履歴をリセットするための条件が、前記条件b1及び前記条件b2の論理積条件を第1の条件として、また、
c1.前記スイッチが押圧操作されたこと。及び
c2.前記操作装置が自身のトランスポンダコードと前記携帯機のトランスポンダコードとが一致している旨を判断したこと。
の論理積条件を第2の条件として、これら第1及び第2の条件のいずれか一方の条件が満足されることである
ことを特徴とする建物のセキュリティシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−48481(P2009−48481A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−215071(P2007−215071)
【出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】