説明

建設機械の油圧システム

【課題】第1〜第3油圧ポンプからアクチュエータに供給される圧油の流れを制御する流量・方向制御弁にオープンセンタ方式のバルブを用いた建設機械の油圧システムにおいて、第3油圧ポンプの吐出油によって駆動する複数のアクチュエータの操作レバー装置の非操作時に、流量・方向制御弁の中立圧損による第3油圧ポンプの吐出圧力の上昇を低く抑えて、第3油圧ポンプによって消費される動力を低減する。
【解決手段】第3油圧ポンプP3の第3圧油供給油路23から分岐したバイパス油路51及びバイパス油路51に配置されたバイパス切換弁52を含むバイパス回路53と、流量・方向制御弁37,38,39の全てが中立位置Iにあるときはバイパス切換弁52を開位置とし、作動位置II又はIIIに切り換えられるとバイパス切換弁52を閉位置Vに切り換える切換制御装置54を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1〜第3油圧ポンプ(3つのメインポンプ)を有し、第1及び第2油圧ポンプが可変容量型であり、第3油圧ポンプが固定容量型であり、しかも第3油圧ポンプの吐出圧力で第1及び第2油圧ポンプの吸収トルクを減ずる制御を行うトルク制御装置を備え、かつオープンセンタ方式の流量・方向制御弁を用いてアクチュエータに供給される圧油の流れを制御する油圧ショベル等の建設機械の油圧システムに関する。
【背景技術】
【0002】
第1〜第3油圧ポンプ(3つのメインポンプ)を有し、第1〜第3油圧ポンプからアクチュエータに供給される圧油の流れを制御する流量・方向制御弁にオープンセンタ方式のバルブを用いた油圧ショベル等の建設機械の油圧システムは、オープンセンタ回路方式の3ポンプ油圧システムと呼ばれており、例えば特許文献1及び2に記載されている。
【0003】
特許文献1及び2に記載の油圧システムは、第1及び第2油圧ポンプは可変容量型であり、第3油圧ポンプが固定容量型である。
【0004】
また、特許文献2に記載の油圧システムは、第1及び第2油圧ポンプにトルク制御装置を備えている。このトルク制御装置は、第1及び第2油圧ポンプの吐出圧力だけでなく、第3油圧ポンプの吐出圧力も含めて、これらの吐出圧力が上昇するとき、第1及び第2油圧ポンプ容量を減少させることで第1〜第3油圧ポンプの吸収トルク(入力トルク)の合計が予め設定した最大トルクを超えないように制御する。これにより第1〜第3油圧ポンプの吸収トルクの合計がエンジンの許容トルクの範囲内に制御され、過負荷によるエンジンの停止(エンジンストール)が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−331011号公報
【特許文献2】特開平07−71055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び2に記載の油圧システムでは、流量・方向制御弁はオープンセンタ方式のバルブであるため、第3油圧ポンプの吐出油によって駆動する複数のアクチュエータの操作レバー装置が操作されておらず、流量・方向制御弁が中立位置にあるときは、第3油圧ポンプの吐出油はそれらの流量・方向制御弁を介してタンクへ還流している。また、第3油圧ポンプは固定容量型であるため、第3油圧ポンプの吐出油によって駆動するアクチュエータの操作レバー装置の操作の有無に係わらず、第3油圧ポンプは常に所定流量の圧油を吐出している。このため操作レバー装置の非操作時に流量・方向制御弁には無視できない大きさの中立圧損が発生しており、この流量・方向制御弁の中立圧損により第3油圧ポンプの圧油供給油路内に常時圧力がたち、動力がムダに消費されている。
【0007】
また、特許文献1及び2に記載の油圧システムを搭載した油圧ショベルで掘削作業を行う場合、掘削作業に係わるアクチュエータを駆動するのに使用するポンプは第1及び第2油圧ポンプである場合が多い。この第1及び第2油圧ポンプには、上述した如くトルク制御装置が設けられており、第1及び第2油圧ポンプの容量は、トルク制御装置により、第1〜第3油圧ポンプの吸収トルクの合計が予め設定した最大トルクを超えないように制御される。このように第1及び第2油圧ポンプの容量が第3油圧ポンプの吸収トルクも含めて制御されることと、第3油圧ポンプの吐出油によって駆動する複数のアクチュエータの操作レバー装置の操作の有無に係わらず、流量・方向制御弁の中立圧損により第3油圧ポンプの第3圧油供給油路内に常時圧力がたち、動力がムダに消費されることとにより、掘削作業時に第1及び第2油圧ポンプの吐出油によってアクチュエータを駆動するとき、第1及び第2油圧ポンプの容量は第3油圧ポンプの吐出圧力によって減少するよう制御され、第1及び第2油圧ポンプの吸収トルクすなわち馬力が減少してしまうという問題がある。
【0008】
本発明の第1の目的は、第1〜第3油圧ポンプを有し、第1〜第3油圧ポンプからアクチュエータに供給される圧油の流れを制御する流量・方向制御弁にオープンセンタ方式のバルブを用いた油圧ショベル等の建設機械の油圧システムにおいて、第3油圧ポンプの吐出油によって駆動する複数のアクチュエータの操作レバー装置の非操作時に、流量・方向制御弁の中立圧損による第3油圧ポンプの吐出圧力の上昇を低く抑えて、第3油圧ポンプによって消費される動力を低減することができる建設機械の油圧システムを提供することである。
【0009】
本発明の第2の目的は、更に、上記建設機械の油圧システムが、第1及び第2油圧ポンプの吐出圧力だけでなく、第3油圧ポンプの吐出圧力も含めて、これらの吐出圧力が上昇するとき、第1及び第2油圧ポンプの容量を減少させることで、第1〜第3油圧ポンプの吸収トルク(入力トルク)の合計が予め設定した最大トルクを超えないように制御するトルク制御装置を備える場合に、第1及び第2油圧ポンプの吐出油によって駆動するアクチュエータの操作レバー装置の操作時に、第1及び第2油圧ポンプの吸収トルクの減少を抑えることができる建設機械の油圧システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記第1の目的を達成するために、本発明は、エンジンと、このエンジンにより駆動される可変容量型の第1及び第2油圧ポンプと、前記エンジンにより駆動される固定容量型の第3油圧ポンプと、前記第1油圧ポンプから吐出された圧油により駆動される複数の第1アクチュエータと、前記第2油圧ポンプから吐出された圧油により駆動される複数の第2アクチュエータと、前記第3油圧ポンプから吐出された圧油により駆動される複数の第3アクチュエータと、前記第1油圧ポンプから前記複数の第1アクチュエータに供給される圧油の流れをそれぞれ制御する複数の流量・方向制御弁を含む第1弁装置と、前記第2油圧ポンプから前記複数の第2アクチュエータに供給される圧油の流れをそれぞれ制御する複数の流量・方向制御弁を含む第2弁装置と、前記第3油圧ポンプから前記複数の第3アクチュエータに供給される圧油の流れをそれぞれ制御する複数の流量・方向制御弁を含む第3弁装置と、前記エンジンにより駆動されるパイロットポンプと、前記複数の第1〜第3アクチュエータに対応して設けられ、前記パイロットポンプの吐出油に基づいて、前記第1〜第3弁装置のそれぞれの複数の流量・方向制御弁を切り換え操作するための指令パイロット圧を生成する複数の操作レバー装置とを備え、前記第1〜第3弁装置のそれぞれの複数の流量・方向制御弁は、それぞれ、前記第1〜第3弁装置に設けられ、上流側が前記第1〜第3油圧ポンプの吐出油が導かれる第1〜第3圧油供給油路に接続され、下流側がタンクに接続された第1〜第3センタバイパス油路上にセンタバイパス可変絞り部を有し、前記複数の流量・方向制御弁が、それぞれ、中立位置にあるとき、前記センタバイパス可変絞り部を全開とし、前記複数の流量・方向制御弁が、それぞれ、中立位置から切り換え操作されると、前記センタバイパス可変絞り部の開口面積を減少させ或いは全閉して、前記第1〜第3圧油供給油路を介して導かれた前記第1〜第3油圧ポンプからの吐出油を前記複数の第1〜第3アクチュエータに供給可能とするオープンセンタ方式のバルブである建設機械の油圧システムにおいて、前記第3油圧ポンプの吐出油が導かれる前記第3圧油供給油路から分岐し、下流側がタンクに接続されたバイパス油路及び前記バイパス油路に配置され、開位置と閉位置に切り換え可能なバイパス切換弁を含むバイパス回路と、前記第3弁装置の複数の流量・方向制御弁の全てが中立位置にあるときは、前記バイパス切換弁を前記開位置に切り換え、前記複数の流量・方向制御弁のいずれかが中立位置から作動位置に切り換えられたときは、前記バイパス切換弁を前記閉位置に切り換える切換制御装置とを備えるものとする。
【0011】
このように構成した本発明においては、第3油圧ポンプの吐出油によって駆動する複数の第3アクチュエータの操作レバー装置を操作したときに、第3弁装置の複数の流量・方向制御弁のいずれかが中立位置から作動位置に切り換えられ、センタバイパス可変絞り部を閉じるとともに、切換制御装置はバイパス切換弁を閉位置に切り換える。これにより第3油圧ポンプの吐出油は第3圧油供給油路を介して第3アクチュエータの流量・方向制御弁から第3アクチュエータに供給され、第3アクチュエータは通常の動作を行う。
【0012】
一方、第3油圧ポンプの吐出油によって駆動する複数の第3アクチュエータの操作レバー装置を操作していないときは、第3弁装置の複数の流量・方向制御弁は全て中立位置にあり、センタバイパス可変絞り部を全開とするとともに、切換制御装置はバイパス切換弁を開位置に切り換える。これにより 第3油圧ポンプの吐出油の大部分はバイパス油路及びバイパス切換弁を介して直接タンクに環流するため、第3弁装置の複数の流量・方向制御弁の中立圧損による第3油圧ポンプの吐出圧力の上昇が抑えられ、第3油圧ポンプによって消費される動力を低減することができる。
【0013】
(2)また、上記第1及び第2の目的を達成するために、本発明は、更に、前記第1〜第3油圧ポンプの吐出圧力が上昇するとき、前記第1〜第3油圧ポンプの吸収トルクの合計が予め設定した最大トルクを超えないように前記第1及び第2油圧ポンプの吸収トルクを制御するトルク制御装置を備えた建設機械の油圧システムにおいて、前記第3油圧ポンプの吐出油が導かれる前記第3圧油供給油路から分岐し、下流側がタンクに接続されたバイパス油路及び前記バイパス油路に配置され、開位置と閉位置に切り換え可能なバイパス切換弁を含むバイパス回路と、前記第3弁装置の複数の流量・方向制御弁の全てが中立位置にあるときは、前記バイパス切換弁を前記開位置に切り換え、前記複数の流量・方向制御弁のいずれかが中立位置から作動位置に切り換えられたときは、前記バイパス切換弁を前記閉位置に切り換える切換制御装置とを備えるものとする。
【0014】
これにより上記(1)で説明したように、第3アクチュエータの操作レバー装置が操作されておらず、第3アクチュエータが動作していないときは、第3油圧ポンプの吐出油の大部分は第3弁装置の複数の流量・方向制御弁を介さずに直接タンクに環流するため、第3弁装置の複数の流量・方向制御弁の中立圧損による第3油圧ポンプの吐出圧力の上昇が抑えられ、第3油圧ポンプによって消費される動力を低減することができる。
【0015】
また、第1及び第2油圧ポンプの吐出油によって駆動する第1及び第2アクチュエータの操作レバー装置を操作し、第1及び第2アクチュエータを作動させるとき、第1及び第2油圧ポンプの容量は、トルク制御装置により、第1〜第3油圧ポンプの吸収トルクの合計が予め設定した最大トルクを超えないように制御される。このとき、第3アクチュエータの操作レバー装置が操作されておらず、第3アクチュエータが動作していないときは、第3油圧ポンプの吐出油の大部分はバイパス油路及びバイパス切換弁を介して直接タンクに環流するため、第3弁装置の複数の流量・方向制御弁の中立圧損による第3油圧ポンプの吐出圧力の上昇が抑えられ、第1及び第2油圧ポンプの吸収トルクの減少を抑えることできる。
【0016】
(3)上記(1)又は(2)において、好ましくは、前記切換制御装置は、前記第3弁装置の複数の流量・方向制御弁の全てが中立位置にあるときは第1の油圧信号を出力し、前記複数の流量・方向制御弁のいずれかが中立位置から作動位置に切り換えられたときは第2の油圧信号を出力する中立位置検出装置と、前記中立位置検出装置から出力される油圧信号を前記バイパス切換弁に導く油圧信号伝達油路とを有し、前記バイパス切換弁は、前記油圧信号伝達油路に接続される受圧部を有し、前記バイパス切換弁は、前記受圧部に前記第1の油圧信号が導かれるときは前記開位置にあり、前記受圧部に前記第2の油圧信号が導かれると前記閉位置に切り換わる。
【0017】
これにより本発明の油圧システムを、切換制御装置及びバイパス回路を含めて純油圧的に構成することができ、油圧システムを安価かつ信頼性の高いものとすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、第1〜第3油圧ポンプを有し、第1〜第3油圧ポンプからアクチュエータに供給される圧油の流れを制御する流量・方向制御弁にオープンセンタ方式のバルブを用いた油圧ショベル等の建設機械の油圧システムにおいて、第3油圧ポンプの吐出油によって駆動する複数のアクチュエータの操作レバー装置の非操作時に、第3弁装置の複数の流量・方向制御弁の中立圧損による第3油圧ポンプの吐出圧力の上昇が抑えられ、第3油圧ポンプによって消費される動力を低減することができる。
【0019】
また、本発明によれば、更に、上記建設機械の油圧システムが、第1及び第2油圧ポンプの吐出圧力だけでなく、第3油圧ポンプの吐出圧力も含めて、これらの吐出圧力が上昇するとき、第1及び第2油圧ポンプの容量を減少させることで、第1〜第3油圧ポンプの吸収トルク(入力トルク)の合計が予め設定した最大トルクを超えないように制御するトルク制御装置を備える場合に、第1及び第2油圧ポンプの吐出油によって駆動するアクチュエータの操作レバー装置の操作時に、第1及び第2油圧ポンプの吸収トルクの減少を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わる建設機械の油圧システムの回路構成を示す図である。
【図2】油圧ショベルの外観を示す図である。
【図3】従来の油圧システムの回路構成を示す図である。
【図4】ブレード用の操作レバー操作装置の操作レバーを操作したときの指令パイロット圧と第3油圧ポンプの吐出圧力の変化を示す図である。
【図5】第3油圧ポンプの非使用時と使用時の第1及び第2油圧ポンプの最大吸収トルクの変化を、本発明の油圧システムと従来の油圧システムとで比較して示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係わる建設機械の油圧システムの回路構成を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係わる建設機械の油圧システムの回路構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に従い説明する。
<第1の実施の形態>
図1は本発明の第1の実施の形態に係わる建設機械の油圧システムの回路構成を示す図である。
【0022】
図1において、本実施の形態に係わる油圧システムは、エンジンEと、このエンジンEに接続され、エンジンEにより駆動される第1油圧ポンプ(メインポンプ)P1、第2油圧ポンプ(メインポンプ)P2、第3油圧ポンプ(メインポンプ)P3及びパイロットポンプP4を含むポンプ装置11と、第1油圧ポンプP1から吐出された圧油により駆動される複数の第1アクチュエータ12,13,14(走行モータ12、ブームシリンダ13、バケットシリンダ14)と、第2油圧ポンプP2から吐出された圧油により駆動される複数の第2アクチュエータ15,16(走行モータ15、アームシリンダ16)と、第3油圧ポンプP3から吐出された圧油により駆動される複数の第3アクチュエータ17,18,19(スイングシリンダ17、旋回モータ18、ブレードシリンダ19)と、第1油圧ポンプP1の第1圧油供給油路21に接続され、第1油圧ポンプP1から複数の第1アクチュエータ12,13,14(走行モータ12、ブームシリンダ13、バケットシリンダ14)に供給される圧油の流れ(流量と流入・排出方向)を制御する複数の流量・方向制御弁32,33,34を含む第1弁装置CV1と、第2油圧ポンプP2の第2圧油供給油路22に接続され、第2油圧ポンプP2から複数の第2アクチュエータ15,16(走行モータ15、アームシリンダ16)に供給される圧油の流れ(流量と流入・排出方向)を制御する複数の流量・方向制御弁35,36を含む第2弁装置CV2と、第3油圧ポンプP3の第3圧油供給油路23に接続され、第3油圧ポンプP3から複数の第3アクチュエータ17,18,19(スイングシリンダ17、旋回モータ18、ブレードシリンダ19)に供給される圧油の流れ(流量と流入・排出方向)を制御する複数の流量・方向制御弁37,38,39を含む第3弁装置CV3と、パイロットポンプP4の吐出油が導かれるパイロット圧供給油路24に接続され、パイロットポンプP4の吐出圧力を一定に保つパイロットリリーフ弁25と、複数の第1アクチュエータ12,13,14(走行モータ12、ブームシリンダ13、バケットシリンダ14)に対応して設けられ、パイロット圧供給油路24に導かれるパイロットポンプP4の吐出油に基づいて、操作レバーの操作量に応じて流量・方向制御弁32,33,34を切り換えるための指令パイロット圧を生成するリモコン弁を内蔵した操作レバー装置(図示せず)と、複数の第2アクチュエータ15,16(走行モータ15、アームシリンダ16)に対応して設けられ、パイロット圧供給油路24に導かれるパイロットポンプP4の吐出油に基づいて、操作レバーの操作量に応じて流量・方向制御弁35,36を切り換えるための指令パイロット圧を生成するリモコン弁を内蔵したの操作レバー装置(図示せず)と、複数の第3アクチュエータ17,18,19(スイングシリンダ17、旋回モータ18、ブレードシリンダ19)に対応して設けられ、パイロット圧供給油路24に導かれるパイロットポンプP4の吐出油に基づいて、操作レバーの操作量に応じて流量・方向制御弁37,38,39を切り換えるための指令パイロット圧を生成するリモコン弁を内蔵した操作レバー装置26,27,28とを備えている。
【0023】
第1及び第2油圧ポンプP1,P2は可変容量型の油圧ポンプであり、第3油圧ポンプP3及びパイロットポンプP4は固定容量型の油圧ポンプである。また、第1及び第2油圧ポンプP1,P2は、例えば、1つのポンプケーシングに2つの吐出ポートを設けたスプリットフロー型の斜板ポンプであり、共通の可変容量部材(斜板)41を有している。
【0024】
また、第1及び第2油圧ポンプP1,P2は、可変容量部材(斜板)41に連結されたトルク制御装置42を有している。このトルク制御装置42は、第1〜第3油圧ポンプP1〜P3の吐出圧力が上昇するとき、第1〜第3油圧ポンプP1〜P3の吸収トルクの合計が予め設定した最大トルクを超えないように第1及び第2油圧ポンプP1,P2の吸収トルクを制御するものであり、第1油圧ポンプP1の吐出圧力が導かれ、第1油圧ポンプP1の吐出圧力が上昇すると可変容量部材41を容量減少方向に作動する第1トルク制御ピストン42aと、第2油圧ポンプP2の吐出圧力が導かれ、第2油圧ポンプP2の吐出圧力が上昇すると可変容量部材41を容量減少方向に作動する第2トルク制御ピストン42bと、第3油圧ポンプP3の吐出圧力が導かれ、第3油圧ポンプP3の吐出圧力が上昇すると可変容量部材41を容量減少方向に作動する第3トルク制御ピストン42cと、可変容量部材41を容量増加方向に付勢し、第1〜第3油圧ポンプP1〜P3が使用可能な最大トルクをを設定するバネ42dとを備えている。
【0025】
第1〜第3油圧ポンプP1〜P3の吐出圧力の合計(又は平均吐出圧力)がそれほど高くなく、第1〜第3油圧ポンプP1〜P3の吸収トルクの合計がバネ42dによって設定した最大トルクより少ないときは、第1〜第3トルク制御ピストン42a〜42cは作動せず、第1及び第2油圧ポンプP1,P2の容量は最大容量に保たれる。第1〜第3油圧ポンプP1〜P3の吐出圧力の合計(又は平均吐出圧力)が上昇し、第1〜第3油圧ポンプP1〜P3の吸収トルクの合計がバネ42dによって設定した最大トルクを超えようとすると、第1〜第3トルク制御ピストン42a〜42cは可変容量部材41を容量減少方向に作動し、第1及び第2油圧ポンプP1,P2の容量を減少させる。これによりトルク制御装置42は、第1〜第3油圧ポンプP1〜P3の吐出圧力の合計(又は平均吐出圧力)が上昇するとき、第1及び第2油圧ポンプP1,P2の容量を減少させることで、第1〜第3油圧ポンプP1〜P3の吸収トルクの合計がバネ42dによって設定した最大トルクを超えないように制御し、第1〜第3油圧ポンプの吸収トルクの合計がエンジンの許容トルクの範囲内に制御され、過負荷によるエンジンの停止(エンジンストール)が防止される。
【0026】
第1弁装置CV1の複数の流量・方向制御弁32,33,34、第2弁装置CV2の複数の流量・方向制御弁35,36及び第3弁装置CV3の複数の流量・方向制御弁37,38,39は、それぞれ、オープンセンタ方式のバルブであり、第1弁装置CV1の複数の流量・方向制御弁32,33,34は、第1弁装置CV1内に設けられた第1センタバイパス油路45上にセンタバイパス可変絞り部32a,33a,34aを有し、第2弁装置CV2の複数の流量・方向制御弁35,36は、第2弁装置CV2内に設けられた第2センタバイパス油路46上にセンタバイパス可変絞り部35a,36aを有し、第3弁装置CV3の複数の流量・方向制御弁37,38,39は、第3弁装置CV3内に設けられた第3センタバイパス油路47上にセンタバイパス可変絞り部37a,38a,39aを有している。第1〜第3センタバイパス油路45〜47の上流側は、それぞれ、第1〜第3油圧ポンプP1〜P3の圧油が導かれる第1〜第3圧油供給油路21〜23に接続され、下流側は、それぞれ、タンクTに接続されている。
【0027】
第1弁装置CV1の流量・方向制御弁32,33,34はそれぞれ中立位置Iにあるときはセンタバイパス可変絞り部32a,33a,34aは全開であり、流量・方向制御弁32,33,34がそれぞれ中立位置Iから作動位置II又はIIIに切り換えられると、センタバイパス可変絞り部32a,33a,34aは開口面積を減少させ或いは全閉となる。第2弁装置CV2の複数の流量・方向制御弁35,36及び第3弁装置CV3の複数の流量・方向制御弁37,38,39のセンタバイパス可変絞り部35a,36a;37a,38a,39aも同様であり、流量・方向制御弁35,36;37,38,39がそれぞれ中立位置Iにあるときはセンタバイパス可変絞り部35a,36a;37a,38a,39aは全開であり、流量・方向制御弁35,36;37,38,39がそれぞれ中立位置Iから作動位置II又はIIIに切り換えられると、センタバイパス可変絞り部35a,36a;37a,38a,39aは開口面積を減少させ或いは全閉となる。
【0028】
このように流量・方向制御弁32,33,34;35,36;37,38,39を中立位置Iから作動位置II又はIIIに切り換えたときにセンタバイパス可変絞り部32a,33a,34a;35a,36a;37a,38a,39aの開口面積を減少させ或いは全閉することにより、第1、第2、第3油圧ポンプP1,P2,P3の吐出圧力を上昇させ、第1、第2、第3油圧ポンプP1,P2,P3の吐出油を第1、第2、第3圧油供給油路21,22,23を介して流量・方向制御弁32,33,34;35,36;37,38,39から第1、第2、第3アクチュエータ12,13,14;15,16;17,18,19へ供給可能となる。
【0029】
また、本実施の形態の油圧システムは、上記構成に加え、第3油圧ポンプP3の第3圧油供給油路23から分岐し、下流側がタンクTに接続されたバイパス油路51及びバイパス油路51に配置され、開位置IVと閉位置Vに切り換え可能なバイパス切換弁52からなるバイパス回路53と、第3弁装置CV3の複数の流量・方向制御弁37,38,39の全てが中立位置Iにあるときはバイパス切換弁52を開位置に切り換え、第3弁装置CV3の複数の流量・方向制御弁37,38,39のいずれかが中立位置Iから作動位置II又はIIIに切り換えられると、バイパス切換弁52を閉位置Vに切り換える切換制御装置54とを備えている。
【0030】
切換制御装置54は、第3弁装置CV3の複数の流量・方向制御弁37,38,39の全てが中立位置Iにあるときは油圧信号としてタンク圧(第1油圧信号)を出力し、第3弁装置CV3の複数の流量・方向制御弁37,38,39のいずれかが中立位置Iから作動位置II又はIIIに切り換えられると、油圧信号として所定の制御圧力(第2油圧信号)を出力する中立位置検出回路55と、この中立位置検出回路55が出力する油圧信号をバイパス切換弁52の受圧部52aに導く油圧信号伝達油路56とで構成されている。
【0031】
中立位置検出回路55は、上流側がパイロットポンプP4のパイロット圧供給油路24に接続され、下流側がタンクTに接続され、かつ第3弁装置CV3の複数の流量・方向制御弁37,38,39を通過する油圧信号発生油路61と、油圧信号発生油路61の第3弁装置CV3よりも上流側の位置に設けられた固定絞り62とを備え、油圧信号伝達油路56は第3弁装置CV3と固定絞り62との間の位置で油圧信号発生油路61から分岐している。
【0032】
流量・方向制御弁37,38,39には、それぞれ、油圧信号発生油路61の一部を構成する開閉可能な信号油路61a,61b,61cが形成され、流量・方向制御弁37,38,39が中立位置Iにあるときは信号油路61a,61b,61cは全開となり、中立位置Iから作動位置II又はIIIに切り換えられると、信号油路61a,61b,61cは全閉となる。
【0033】
バイパス切換弁52の受圧部52aは油圧信号伝達油路56に接続され、バイパス切換弁52は、受圧部52aにタンク圧(第1油圧信号)が導かれるときは開位置にあり、受圧部52aに所定の制御圧力(第2油圧信号)が導かれると閉位置に切り換わる。
【0034】
図2に油圧ショベルの外観を示す。
【0035】
図2において、油圧ショベルは、上部旋回体300と、下部走行体301と、スイング式フロント作業機302(ブーム306、アーム307、バケット308)とを備え、上部旋回体300は下部走行体301を旋回モータ18の回動によって旋回が可能である。上部旋回体300の前部にはスイングポスト303が取り付けられ、このスイングポスト303にフロント作業機302が上下動可能に取り付けられている。フロント作業機302はブームシリンダ13、アームシリンダ16、バケットシリンダ14の伸縮により上下方向に回動動作する。下部走行体301は中央フレーム304を備え、この中央フレーム304にはブレードシリンダ19の伸縮により上下動作を行うブレード305が取り付けられ、下部走行体301は走行モータ12,15の回転によって走行を行う。
【0036】
上部旋回体300は運転席310を備え、運転席310の周囲に前述した操作レバー装置26,27,28を含む各種操作レバー装置が配置されている。一例として、運転席310の左側に操作レバー装置27が設けられている。
【0037】
図1に示したエンジンE及びポンプ装置11とバイパス回路53は上部旋回体300の後方部分に配置され、タンクTは運転席310のオペレータから見て上部旋回体300の運転席310の右側方部分に配置され、弁装置CV1〜CV3は上部旋回体300の運転席310の下側部分に配置されている。
【0038】
図1に示した第1〜第3油圧ポンプP1,P2,P3の圧油供給油路21,22,23は第1〜第3油圧ポンプP1,P2,P3と弁装置CV1,CV2,CV3をつなげる配管(ホース)で構成され、バイパス油路51も圧油供給油路23とタンクTをつなげる配管で構成されている。一方、センタバイパス油路45,46,47は弁装置CV1〜CV3のハウジングに内部通路として形成され、流量・方向制御弁37,38,39のセンタバイパス可変絞り部37a,38a,39aも流量・方向制御弁37,38,39のスプールを通る内部通路として形成されている。
【0039】
次に、以上のように構成した本実施の形態の油圧システムの動作を、従来の油圧システムの動作と比較して説明する。
【0040】
図3は、従来の油圧システムの回路構成を示す図である。図中、図1に示した本実施の形態に係わる油圧システムと同等の要素(部材)には同じ符号を付している。図1と図3の比較から分かるように、従来の油圧システムは、本実施の形態の油圧システムに備えられているバイパス油路51、バイパス切換弁52、切換制御装置54(中立位置検出回路55及び油圧信号伝達油路56)を備えておらず、それ以外の構成は、本実施の形態の油圧システムと同じである。
【0041】
まず、図3に示す従来の油圧システムの動作を説明する。
【0042】
図3において、複数の第1アクチュエータ12,13,14(走行モータ12、ブームシリンダ13、バケットシリンダ14)の操作レバー装置がいずれも操作されず、操作レバー装置の全てが中立にあるときは、第1弁装置CV1の流量・方向制御弁32,33,34は中立位置Iにあり、センタバイパス可変絞り部32a,33a,34aは全開であり、第1油圧ポンプP1の吐出油は流量・方向制御弁32,33,34のセンタバイパス可変絞り部32a,33a,34a及びセンタバイパス油路45を介してタンクTに還流する。操作レバー装置のいずれかが操作されると、流量・方向制御弁32,33,34の対応するものが作動位置II又はIIIに切り換えられ、センタバイパス可変絞り部32a,33a又は34aが例えば閉じられ、第1油圧ポンプP1の吐出油が流量・方向制御弁32,33又は34から第1アクチュエータ12,13,14(走行モータ12、ブームシリンダ13、バケットシリンダ14)の対応するものに供給され、第1アクチュエータ12,13,14(走行モータ12、ブームシリンダ13、バケットシリンダ14)の対応するものが駆動される。
【0043】
また、複数の第2アクチュエータ15,16(走行モータ15、アームシリンダ16)の操作レバー装置がいずれも操作されず、操作レバー装置の全てが中立にあるときは、第2弁装置CV2の流量・方向制御弁35,36は中立位置Iにあり、センタバイパス可変絞り部35a,36aは全開であり、第2油圧ポンプP2の吐出油は流量・方向制御弁35,36のセンタバイパス可変絞り部35a,36a及びセンタバイパス油路46を介してタンクTに還流する。操作レバー装置のいずれかが操作されると、流量・方向制御弁35,36の対応するものが作動位置II又はIIIに切り換えられ、センタバイパス可変絞り部35a,36aが例えば閉じられ、第2油圧ポンプP2の吐出油が流量・方向制御弁35又は36から第2アクチュエータ15,16(走行モータ15、アームシリンダ16)の対応するものに供給され、第2アクチュエータ15,16(走行モータ15、アームシリンダ16)の対応するものが駆動される。
【0044】
複数の第3アクチュエータ17,18,19(スイングシリンダ17、旋回モータ18、ブレードシリンダ19)についても同様であり、操作レバー装置26,27,28がいずれも操作されず、操作レバー装置26,27,28の全てが中立にあるときは、第3弁装置CV3の流量・方向制御弁37,38,39は中立位置Iにあり、センタバイパス可変絞り部37a,38a,39aは全開であり、第3油圧ポンプP3の吐出油は流量・方向制御弁37,38,39のセンタバイパス可変絞り部37a,38a,39a及びセンタバイパス油路47を介してタンクTに還流する。操作レバー装置26,27,28のいずれかが操作されると、流量・方向制御弁37,38,39の対応するものが作動位置II又はIIIに切り換えられ、センタバイパス可変絞り部37a,38a,39aが例えば閉じられ、第3油圧ポンプP3の吐出油が流量・方向制御弁37,38,39から第3アクチュエータ17,18,19(スイングシリンダ17、旋回モータ18、ブレードシリンダ19)の対応するものに供給され、第3アクチュエータ17,18,19(スイングシリンダ17、旋回モータ18、ブレードシリンダ19)の対応するものが駆動される。
【0045】
アクチュエータの動作例として、ブレードシリンダ17の伸縮動作を説明する。
【0046】
ブレード305の操作レバー装置26の操作レバーを図示右方向に操作した場合、流量・方向制御弁37ヘ指令パイロット圧が導かれて流量・方向制御弁37は押し下げられ、流量・方向制御弁37は中立位置Iから図示上側の作動位置IIに切換えられる。その結果、流量・方向制御弁37のセンタバイパス可変絞り部37aが例えば閉じられ、第3油圧ポンプP3からの吐出油は、逆流を防止する逆止弁44を備える併設油路45からブレードシリンダ17のロッド室17aに流入し、ブレードシリンダ17のボトム室17b内の圧油が流量・方向制御弁37を介しタンクライン46を通って排出されることにより、ブレードシリンダ17が収縮する。逆に、操作レバー装置26の操作レバーを図示左方向に操作した場合、流量・方向制御弁37ヘ指令パイロット圧が導かれて流量・方向制御弁37は押し上げられ、流量・方向制御弁37は中立位置Iから図示下側の作動位置IIIに切換えられる。その結果、流量・方向制御弁37のセンタバイパス可変絞り部37aが例えば閉じられ、第3油圧ポンプP3からの吐出油は、併設油路45からブレードシリンダ17のボトム室17bに流入し、ブレードシリンダ17のロッド室17a内の圧油が流量・方向制御弁37を介しタンクライン46を通って排出されることにより、ブレードシリンダ17が伸長する。
【0047】
ところで、図3に示した従来の油圧システムでは、第3油圧ポンプP3の吐出油によって駆動する第3アクチュエータ17,18,19(スイングシリンダ17、旋回モータ18、ブレードシリンダ19)の操作レバー装置26,27,28が操作されておらず、第3弁装置CV3の流量・方向制御弁37,38,39が切り換えられていない場合は、第3油圧ポンプP3の吐出油は、その全量が流量・方向制御弁37,38,39のセンタバイパス可変絞り部37a,38a,39a及びセンタバイパス油路47を介してタンクTへ還流している。
【0048】
前述したように、弁装置CV3のセンタバイパス油路47は弁装置CV3のハウジング内に内部通路として形成されており、流量・方向制御弁37,38,39のセンタバイパス可変絞り部37a,38a,39aは流量・方向制御弁37,38,39のスプールを通る内部通路として形成されている。したがって、第3油圧ポンプP3の吐出油が流量・方向制御弁37,38,39のセンタバイパス可変絞り部37a,38a,39a及びセンタバイパス油路47を介してタンクTへ還流するとき、流量・方向制御弁37,38,39のセンタバイパス可変絞り部37a,38a,39a及びセンタバイパス油路47において無視できない大きさの圧損(以下、適宜、流量・方向制御弁37,38,39の中立圧損という)が発生し、第3油圧ポンプP3の第3圧油供給油路23内に、常時圧力がたち、動力がムダに消費されている。
【0049】
一方、油圧ショベルの作業例として掘削作業がある。この掘削作業は、通常、フロント作業機302(ブーム306、アーム307、バケット308)を動作させて行うものであり、フロント作業機302を動作させるためのアクチュエータはブームシリンダ13、アームシリンダ16、バケットシリンダ14であるため、掘削作業には第1油圧ポンプP1と第2油圧ポンプP2が使用され、第3油圧ポンプP3は使用されない。
【0050】
しかし、第1油圧ポンプP1及び第2油圧ポンプP2にはトルク制御装置42が設けられており、第1及び第2油圧ポンプP1,P2の容量は、トルク制御装置42により、第1、第2油圧ポンプP1,P2だけでなく、第3油圧ポンプP3も含めて、それらの吸収トルクの合計がバネ42dによって設定した最大トルクを超えないように制御される。また、前述したように、操作レバー装置26,27,28が操作されていない非操作時であっても、流量・方向制御弁37,38,39に無視できない大きさの中立圧損が発生して、第3油圧ポンプP3の第3圧油供給油路23内に常時圧力が立っている。このため掘削作業時には、第3油圧ポンプP3の吐出圧力によって第1及び第2油圧ポンプP1,P2の容量が減少するよう制御され、第1及び第2油圧ポンプP1,P2の吸収トルクすなわち馬力が減少し、作業効率が低下するという問題がある。
【0051】
次に、本実施の形態に係わる油圧システムの動作を説明する。
【0052】
図1において、複数の第1アクチュエータ12,13,14(走行モータ12、ブームシリンダ13、バケットシリンダ14)の操作レバー装置と複数の第2アクチュエータ15,16(走行モータ15、アームシリンダ16)の操作レバー装置を操作したときの流量・方向制御弁32〜36とアクチュエータ12〜16の動作は従来の油圧システムと同じである。
【0053】
また、複数の第3アクチュエータ17,18,19(スイングシリンダ17、旋回モータ18、ブレードシリンダ19)の操作レバー装置26,27,28がいずれも操作されず、操作レバー装置26,27,28の全てが中立にあるときは、流量・方向制御弁37,38,39も中立位置Iにあり、流量・方向制御弁37,38,39のセンタバイパス可変絞り部37a,38a,39aは全開し、かつ流量・方向制御弁37,38,39の信号油路61a,61b,61cも全開している。このため、油圧信号発生油路61に固定絞り62を介して供給されるパイロットポンプP4の吐出油はタンクTへ流れ込み、油圧信号発生油路61はタンク圧(第1油圧信号)となっている。その結果、バイパス切換弁52は図示の開位置IVにある。
【0054】
ここで、前述したように、弁装置CV3の流量・方向制御弁37,38,39のセンタバイパス可変絞り部37a,38a,39a及びセンタバイパス油路47は弁装置CV3のハウジング内に内部通路として形成されているのに対して、第3油圧ポンプP3の圧油供給油路23とバイパス油路51は配管(ホース)で構成されている。したがって、流量・方向制御弁37,38,39が中立位置Iにあるときのセンタバイパス油路47の流れ抵抗とバイパス切換弁52が開位置IVにあるときのバイパス油路51の流れ抵抗とを比較した場合、バイパス油路51の流れ抵抗の方がセンタバイパス油路47の流れ抵抗よりも小さいため、バイパス切換弁52は図示の開位置IVにあるときは、第3油圧ポンプP3の吐出油の大部分はバイパス油路51を通り、バイパス切換弁52を介してタンクTに還流する。
【0055】
複数の第3アクチュエータ17,18,19(スイングシリンダ17、旋回モータ18、ブレードシリンダ19)の操作レバー装置26,27,28のどれかひとつ、例えば、ブレードシリンダ17の操作レバー装置26の操作レバーを図示右方向に操作したときは、指令パイロット圧が流量・方向制御弁37へ導かれ、流量・方向制御弁37は押し下げられ中立位置Iから作動位置IIへ切換わり、流量・方向制御弁37のセンタバイパス可変絞り部37aは例えば閉じられ、かつ流量・方向制御弁37の信号油路61aも閉じられる。信号油路61aが閉じられることによって、油圧信号発生油路61に固定絞り62を介して供給されるパイロットポンプP4の吐出油により油圧信号発生油路61内に所定の制御圧力(第2油圧信号)が発生し、この制御圧力が油圧信号伝達油路56を通りバイパス切換弁52の受圧部52aに導かれ、バイパス切換弁52が図示の開位置IVから閉位置Vへ切換えられ、バイパス油路51が閉じられる。バイパス油路51が閉じられることで第3油圧ポンプP3の吐出油は第3圧油供給油路23を通り、流量・方向制御弁37へと導かれ、流量・方向制御弁37を介してブレードシリンダ17のロッド室17aに流入する。また、ブレードシリンダ17のボトム室17b内の圧油は流量・方向制御弁37を介してタンクライン46を通って排出される。これによりブレードシリンダ17が収縮する。
【0056】
逆に、操作レバー装置26の操作レバーを図示左方向に操作した場合は、指令パイロット圧が流量・方向制御弁37へ導かれ、流量・方向制御弁37は押し上げられ中立位置Iから作動位置IIIへ切換わり、流量・方向制御弁37のセンタバイパス可変絞り部37aは例えば閉じられ、かつ流量・方向制御弁37の信号油路61aが閉じられる。信号油路61aが閉じられることによって、油圧信号発生油路61に固定絞り62を介して供給されるパイロットポンプP4の吐出油により油圧信号発生油路61内に所定の制御圧力(第2油圧信号)が発生し、この制御圧力が油圧信号伝達油路56を通りバイパス切換弁52の受圧部52aに導かれ、バイパス切換弁52が図示の開位置IVから閉位置Vへ切換えられ、バイパス油路51が閉じられる。バイパス油路51が閉じられることで第3油圧ポンプP3の吐出油は第3圧油供給油路23を通り、流量・方向制御弁37へと導かれ、流量・方向制御弁37を介してブレードシリンダ17のボトム室17bに流入する。また、ブレードシリンダ17のロッド室17a内の圧油が流量・方向制御弁37を介しタンクライン46を通って排出される。これによりブレードシリンダ17が伸長する。
【0057】
図4は、上記動作における指令パイロット圧と第3油圧ポンプP3の吐出圧力(第3圧油供給油路23の圧力)の変化を示す図である。
【0058】
図4において、(1)は操作レバー装置26の操作レバーが中立にある場合の指令パイロット圧(中段)と第3油圧ポンプP3の吐出圧力(上段)と建設機械(油圧ショベル)の動作イメージ(下段)を示し、(2)は操作レバー装置26の操作レバーが操作された場合の指令パイロット圧(中段)と第3油圧ポンプP3の吐出圧力(上段)と建設機械(油圧ショベル)の動作イメージ(下段)を示している。操作レバー装置26の操作レバーが中立にあるとき、従来の油圧システムでは、第3油圧ポンプP3の吐出油は全て流量・方向制御弁37〜39を通過してタンクTに環流するため、前述した流量・方向制御弁37〜39の中立圧損により第3油圧ポンプP3の吐出圧力はP0となる。このときのP0は例えば10Kgf/cm程度となる。これに対し、本発明の油圧システムでは、バイパス切換弁52が図示の開位置IVにあり、第3油圧ポンプP3の吐出油の大部分は、バイパス油路51とバイパス切換弁52からなるバイパス回路53を通過してタンクTに環流するため、第3油圧ポンプP3の吐出圧力はP0よりも低いP1となる。このときのP1は例えば3Kgf/cm程度である。
【0059】
これにより、従来の油圧システムにおける流量・方向制御弁37〜39の中立圧損10Kgf/cmが、バイパス回路53の圧損の3Kgf/cm程度に減少し、70%の圧損(エネルギの)低減となる。
【0060】
図5は、第1及び第2油圧ポンプP1,P2の吐出油によってアクチュエータ13,14,16を駆動する作業である掘削作業時に、操作レバー装置26が中立にある図4の(1)の場合(第3油圧ポンプP3の非使用時)と操作レバー装置26を操作した図4の(2)の場合(第3油圧ポンプP3の使用時)における第1及び第2油圧ポンプP1,P2の最大吸収トルク(トルク制御装置42によって制御される第1及び第2油圧ポンプP1,P2の最大吸収トルク)の変化を、本発明の油圧システムと従来の油圧システムとで比較して示す図である。
【0061】
図5において、T00は、操作レバー装置26が中立にあるとき(第3油圧ポンプP3の非使用時)の従来の油圧システムにおける第1及び第2油圧ポンプP1,P2の最大吸収トルクであり、T01は、操作レバー装置26が中立にあるとき(第3油圧ポンプP3の非使用時)の本発明の油圧システムにおける第1及び第2油圧ポンプP1,P2の最大吸収トルクである。T11は、操作レバー装置26を操作したとき(第3油圧ポンプP3の使用時)の従来及び本発明の油圧システムにおける第1及び第2油圧ポンプP1,P2の最大吸収トルクである。
【0062】
従来及び本発明のいずれの油圧システムにおいても、操作レバー装置26を操作した図4の(2)の場合は、第3油圧ポンプP3の吐出圧力が第3アクチュエータ17(ブレードシリンダ17)の負荷圧に応じて上昇し、その吐出圧力がトルク制御装置42の第3トルク制御ピストン42cに作用して可変容量部材41を容量減少方向に作動するため、第1及び第2油圧ポンプP1,P2の最大吸収トルクはT1に減少する。
【0063】
一方、操作レバー装置26が中立にある図4の(1)の場合は、第3油圧ポンプP3の吐出圧力は上記の如くP0(従来)又はP1(本発明)であり、操作レバー装置26を操作した図4の(2)の場合の第3油圧ポンプP3の吐出圧力に比べて低いため、第1及び第2油圧ポンプP1,P2の最大吸収トルクは、T00(従来),T01(本発明)と、従来及び本発明のいずれの油圧システムにおいても、操作レバー装置26を操作した図4の(2)の場合のT1に比べて増加する。
【0064】
しかも、従来の油圧システムでは、第3油圧ポンプP3の吐出油は全て流量・方向制御弁37〜39を通過してタンクTに環流するため、流量・方向制御弁37〜39の中立圧損によって第3油圧ポンプP3の吐出圧力はP0(例えば10Kgf/cm程度)となるのに対して、本発明の油圧システムでは、バイパス切換弁52が図示の開位置IVにあり、第3油圧ポンプP3の吐出油の大部分はバイパス回路53を通過してタンクTに環流するため、第3油圧ポンプP3の吐出圧力はP0よりも低いP1(例えば3Kgf/cm程度)となる。このため、従来の油圧システムでは、第1及び第2油圧ポンプP1,P2の最大吸収トルクは図5のT00であったものが、本発明の油圧システムでは、T01となり、第1及び第2油圧ポンプP1,P2の最大吸収トルクは従来の油圧システムのT00に比べて増加する。
【0065】
このように第3油圧ポンプP3の吐出油によって駆動する複数のアクチュエータ17,18,19の操作レバー装置26,27,28が操作されておらず、アクチュエータ17,18,19が動作していないときは、第3油圧ポンプP3の吐出油の大部分はバイパス回路53を介して直接タンクに環流するため、流量・方向制御弁37,38,39の中立圧損による第3油圧ポンプP3の吐出圧力の上昇が抑えられ、第1及び第2油圧ポンプの吸収トルクの減少を抑えることできる。
【0066】
以上のように本実施の形態によれば、第1〜第3油圧ポンプP1,P2,P3を有し、第1〜第3油圧ポンプP1,P2,P3からアクチュエータ12〜19に供給される圧油の流れを制御する流量・方向制御弁32〜39にオープンセンタ方式のバルブを用いた油圧ショベルの油圧システムにおいて、第3油圧ポンプP3の吐出油によって駆動する複数のアクチュエータ17,18,19の操作レバー装置26,27,28の非操作時に、流量・方向制御弁37,38,39の中立圧損による第3油圧ポンプP3の吐出圧力の上昇を低く抑えて、第3油圧ポンプP3によって消費される動力を低減することができ、これによりエンジンEの燃費を向上させることができる。
【0067】
また、油圧システムが、第1及び第2油圧ポンプP1,P2の吐出圧力だけでなく、第3油圧ポンプP3の吐出圧力も含めて、これらの吐出圧力が上昇するとき、第1及び第2油圧ポンプP1,P2の容量を減少させることで、第1〜第3油圧ポンプP1,P2の吸収トルクの合計が予め設定した最大トルクを超えないように制御するトルク制御装置42を備える場合でも、第1及び第2油圧ポンプP1,P2の吐出油によって駆動するアクチュエータ12〜16の操作レバー装置の操作時に、第1及び第2油圧ポンプP1,P2の吸収トルクの減少を抑えることができ、これによりアクチュエータ12〜16の駆動力を増大し、作業効率を向上することができる。
【0068】
更に、本実施の形態では、油圧システムを、切換制御装置54及びバイパス回路53を含めて純油圧的に構成したため、油圧システムを安価かつ信頼性の高いものとすることができる。
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態を図6を用いて説明する。図6は第2の実施の形態に係わる建設機械の油圧システムの回路構成を示す図である。図中、図1に示した要素と同等の要素には同じ符号を付している。本実施の形態は切換制御装置の中立位置検出回路55の他の例を示すものである。
【0069】
図6において、本実施の形態に係わる油圧システムは、中立位置検出回路55Aと油圧信号伝達油路56とで構成された切換制御装置54Aを備えている。
【0070】
中立位置検出回路55Aは、トーナメント方式に接続された複数のシャトル弁71a〜71eで構成されている。シャトル弁71aは操作レバー装置26の2つのリモコン弁26a,26bが出力する指令パイロット圧の高圧側を選択して出力し、シャトル弁71bは、操作レバー装置27の2つのリモコン弁27a,27bが出力する指令パイロット圧の高圧側を選択して出力し、シャトル弁71cは、 操作レバー装置28の2つのリモコン弁28a,28bが出力する指令パイロット圧の高圧側を選択して出力し、シャトル弁71dは、シャトル弁71bの出力圧とシャトル弁71cの出力圧の高圧側を選択して出力し、シャトル弁71eは、シャトル弁71aの出力圧とシャトル弁71dの出力圧の高圧側を選択して出力する。シャトル弁71eの出力圧は、バイパス切換弁52を切り換えるための油圧信号として、油圧信号伝達油路56を介してバイパス切換弁52の受圧部52aに導かれる。
【0071】
操作レバー装置26,27,28がいずれも操作されず、操作レバー装置26,27,28の全てが中立にあるときは、それぞれのリモコン弁が出力する指令パイロット圧はタンク圧であり、中立位置検出回路55Aはそのタンク圧を第1油圧信号として出力し、バイパス切換弁52の受圧部52aにはその第1油圧信号(タンク圧)が導かれる。このためバイパス切換弁52は図示の開位置IVにあり、第1の実施の形態と同様、第3油圧ポンプP3の吐出油の大部分はバイパス油路51を通り、バイパス切換弁52を介してタンクTに還流する。
【0072】
操作レバー装置26,27,28のどれかひとつ、例えば、ブレードシリンダ17の操作レバー装置26の操作レバーを図示右方向に操作したときは、操作レバー装置26のリモコン弁26aが出力する指令パイロット圧はタンク圧より高い操作量に応じた所定の圧力となり、中立位置検出回路55Aはその所定圧力の指令パイロット圧を制御圧力(第2油圧信号)として出力し、バイパス切換弁52の受圧部52aにはその制御圧力(第2油圧信号)が導かれる。このためバイパス切換弁52は閉位置Vに切り換えられ、バイパス油路51が閉じられる。これにより第3油圧ポンプP3の吐出油は第3圧油供給油路23を通り、流量・方向制御弁37へと導かれ、流量・方向制御弁37を介してブレードシリンダ17のロッド室17aに流入し、ブレードシリンダ17が収縮する。
【0073】
操作レバー装置26の操作レバーを図示左方向に操作した場合も、同様に、中立位置検出回路55Aは所定圧力の指令パイロット圧を制御圧力(第2油圧信号)として出力し、バイパス切換弁52は閉位置Vに切り換えられ、3油圧ポンプP3の吐出油は第3圧油供給油路23を通り、流量・方向制御弁37からブレードシリンダ17のボトム室17bに流入し、ブレードシリンダ17が伸長する。
【0074】
したがって、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様、第3油圧ポンプP3の吐出油によって駆動する複数のアクチュエータ17,18,19の操作レバー装置26,27,28の非操作時に、流量・方向制御弁37,38,39の中立圧損による第3油圧ポンプP3の吐出圧力の上昇を低く抑えて、第3油圧ポンプP3によって消費される動力を低減することができ、これによりエンジンEの燃費を向上させることができるとともに、第1及び第2油圧ポンプP1,P2の吸収トルクの減少を抑えることができ、アクチュエータ12〜16の駆動力を増大し、作業効率を向上することができる。
【0075】
また、油圧システムを、切換制御装置54A及びバイパス回路53を含めて純油圧的に構成したため、油圧システムを安価かつ信頼性の高いものとすることができる。
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態を図7を用いて説明する。図7は第3の実施の形態に係わる建設機械の油圧システムの回路構成を示す図である。図中、図1に示した要素と同等の要素には同じ符号を付している。本実施の形態は、切換制御装置に電気機器を介在させた例を示すものである。
【0076】
図7において、本実施の形態に係わる油圧システムは、中立位置検出回路55Bと、制御装置73とで構成された切換制御装置54Bを備えている。バイパス切換弁52Bは電磁切換弁であり、制御装置73に電気的に接続されたソレノイド52bを有している。
【0077】
中立位置検出回路55Bは、第2の実施の形態における中立位置検出回路55Aと同様にトーナメント方式に接続された複数のシャトル弁71a〜71eを有し、更に、圧力センサ72を有している。圧力センサ72は中立位置検出回路55Bの出力圧、つまり最後段のシャトル弁71eの出力圧を検出し、検出信号を制御装置73に出力する。制御装置73は、圧力センサ72の検出信号がタンク圧であるときは、電磁切換弁52Bのソレノイド52bにOFFの電気信号を出力し、圧力センサ72の検出信号がタンク圧より高い所定圧力の指令パイロット圧であるときは、電磁切換弁52Bのソレノイド52bにONの電気信号を出力する。電磁切換弁52bは、制御装置73から出力される電気信号がOFFであるときは、図示の開位置IVにあり、制御装置73から出力される電気信号がONになると、閉位置Vに切り換えられられる。
【0078】
以上のように構成した本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、第3油圧ポンプP3によって消費される動力を低減する効果と、第1及び第2油圧ポンプP1,P2の吸収トルクの減少を抑制する効果を得ることができる。
【0079】
なお、以上の実施の形態は本発明の精神の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、建設機械が油圧ショベルである場合について説明したが、油圧ショベル以外建設機械(例えば油圧クレーン、ホイール式ショベル等)に本発明を適用してもよく、その場合も上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0080】
E エンジン
P1 第1油圧ポンプ
P2 第2油圧ポンプ
P3 第3油圧ポンプ
P4 パイロットポンプ
CV1 第1弁装置
CV2 第2弁装置
CV3 第3弁装置
11 ポンプ装置
12,13,14 第1アクチュエータ
15,16 第2アクチュエータ
17,18,19 第3アクチュエータ
21 第1圧油供給油路
22 第2圧油供給油路
23 第3圧油供給油路
24 パイロット圧供給油路
25 パイロットリリーフ弁
26,27,28 操作レバー装置
32,33,34 流量・方向制御弁
32a,33a,34a センタバイパス可変絞り部
35,36 流量・方向制御弁
35a,36a センタバイパス可変絞り部
37,38,39 流量・方向制御弁
37a,38a,39a センタバイパス可変絞り部
41 斜板
42 トルク制御装置
42a 第1トルク制御ピストン
42b 第2トルク制御ピストン
42c 第3トルク制御ピストン
42d バネ
45 第1センタバイパス油路
46 第2センタバイパス油路
47 第3センタバイパス油路
51 バイパス油路
52 バイパス切換弁
52a 受圧部
53 バイパス回路
54 切換制御装置
55 中立位置検出回路
56 油圧信号伝達油路
61 油圧信号発生油路
61a,61b,61c 信号油路
71a〜71e シャトル弁
72 圧力センサ
73 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
このエンジンにより駆動される可変容量型の第1及び第2油圧ポンプと、
前記エンジンにより駆動される固定容量型の第3油圧ポンプと、
前記第1油圧ポンプから吐出された圧油により駆動される複数の第1アクチュエータと、
前記第2油圧ポンプから吐出された圧油により駆動される複数の第2アクチュエータと、
前記第3油圧ポンプから吐出された圧油により駆動される複数の第3アクチュエータと、
前記第1油圧ポンプから前記複数の第1アクチュエータに供給される圧油の流れをそれぞれ制御する複数の流量・方向制御弁を含む第1弁装置と、
前記第2油圧ポンプから前記複数の第2アクチュエータに供給される圧油の流れをそれぞれ制御する複数の流量・方向制御弁を含む第2弁装置と、
前記第3油圧ポンプから前記複数の第3アクチュエータに供給される圧油の流れをそれぞれ制御する複数の流量・方向制御弁を含む第3弁装置と、
前記エンジンにより駆動されるパイロットポンプと、
前記複数の第1〜第3アクチュエータに対応して設けられ、前記パイロットポンプの吐出油に基づいて、前記第1〜第3弁装置のそれぞれの複数の流量・方向制御弁を切り換え操作するための指令パイロット圧を生成する複数の操作レバー装置とを備え、
前記第1〜第3弁装置のそれぞれの複数の流量・方向制御弁は、それぞれ、前記第1〜第3弁装置に設けられ、上流側が前記第1〜第3油圧ポンプの吐出油が導かれる第1〜第3圧油供給油路に接続され、下流側がタンクに接続された第1〜第3センタバイパス油路上にセンタバイパス可変絞り部を有し、前記複数の流量・方向制御弁が、それぞれ、中立位置にあるとき、前記センタバイパス可変絞り部を全開とし、前記複数の流量・方向制御弁が、それぞれ、中立位置から切り換え操作されると、前記センタバイパス可変絞り部の開口面積を減少させ或いは全閉して、前記第1〜第3圧油供給油路を介して導かれた前記第1〜第3油圧ポンプからの吐出油を前記複数の第1〜第3アクチュエータに供給可能とするオープンセンタ方式のバルブである建設機械の油圧システムにおいて、
前記第3油圧ポンプの吐出油が導かれる前記第3圧油供給油路から分岐し、下流側がタンクに接続されたバイパス油路及び前記バイパス油路に配置され、開位置と閉位置に切り換え可能なバイパス切換弁を含むバイパス回路と、
前記第3弁装置の複数の流量・方向制御弁の全てが中立位置にあるときは、前記バイパス切換弁を前記開位置に切り換え、前記複数の流量・方向制御弁のいずれかが中立位置から作動位置に切り換えられたときは、前記バイパス切換弁を前記閉位置に切り換える切換制御装置とを備えることを特徴とする建設機械の油圧システム。
【請求項2】
エンジンと、
このエンジンにより駆動される可変容量型の第1及び第2油圧ポンプと、
前記エンジンにより駆動される固定容量型の第3油圧ポンプと、
前記第1油圧ポンプから吐出された圧油により駆動される複数の第1アクチュエータと、
前記第2油圧ポンプから吐出された圧油により駆動される複数の第2アクチュエータと、
前記第3油圧ポンプから吐出された圧油により駆動される複数の第3アクチュエータと、
前記第1油圧ポンプから前記複数の第1アクチュエータに供給される圧油の流れをそれぞれ制御する複数の流量・方向制御弁を含む第1弁装置と、
前記第2油圧ポンプから前記複数の第2アクチュエータに供給される圧油の流れをそれぞれ制御する複数の流量・方向制御弁を含む第2弁装置と、
前記第3油圧ポンプから前記複数の第3アクチュエータに供給される圧油の流れをそれぞれ制御する複数の流量・方向制御弁を含む第3弁装置と、
前記エンジンにより駆動されるパイロットポンプと、
前記複数の第1〜第3アクチュエータに対応して設けられ、前記パイロットポンプの吐出油に基づいて、前記第1〜第3弁装置のそれぞれの複数の流量・方向制御弁を切り換え操作するための指令パイロット圧を生成する複数の操作レバー装置とを備え、
前記第1〜第3弁装置のそれぞれの複数の流量・方向制御弁は、それぞれ、前記第1〜第3弁装置に設けられ、上流側が前記第1〜第3油圧ポンプの吐出油が導かれる第1〜第3圧油供給油路に接続され、下流側がタンクに接続された第1〜第3センタバイパス油路上にセンタバイパス可変絞り部を有し、前記複数の流量・方向制御弁が、それぞれ、中立位置にあるとき、前記センタバイパス可変絞り部を全開とし、前記複数の流量・方向制御弁が、それぞれ、中立位置から切り換え操作されると、前記センタバイパス可変絞り部の開口面積を減少させ或いは全閉して、前記第1〜第3圧油供給油路を介して導かれた前記第1〜第3油圧ポンプからの吐出油を前記複数の第1〜第3アクチュエータに供給可能とするオープンセンタ方式のバルブであり、かつ
前記第1〜第3油圧ポンプの吐出圧力が上昇するとき、前記第1〜第3油圧ポンプの吸収トルクの合計が予め設定した最大トルクを超えないように前記第1及び第2油圧ポンプの吸収トルクを制御するトルク制御装置を備えた建設機械の油圧システムにおいて、
前記第3油圧ポンプの吐出油が導かれる前記第3圧油供給油路から分岐し、下流側がタンクに接続されたバイパス油路及び前記バイパス油路に配置され、開位置と閉位置に切り換え可能なバイパス切換弁を含むバイパス回路と、
前記第3弁装置の複数の流量・方向制御弁の全てが中立位置にあるときは、前記バイパス切換弁を前記開位置に切り換え、前記複数の流量・方向制御弁のいずれかが中立位置から作動位置に切り換えられたときは、前記バイパス切換弁を前記閉位置に切り換える切換制御装置とを備えることを特徴とする建設機械の油圧システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の建設機械の油圧システムにおいて、
前記切換制御装置は、
前記第3弁装置の複数の流量・方向制御弁の全てが中立位置にあるときは第1の油圧信号を出力し、前記複数の流量・方向制御弁のいずれかが中立位置から作動位置に切り換えられたときは第2の油圧信号を出力する中立位置検出装置と、
前記中立位置検出装置から出力される油圧信号を前記バイパス切換弁に導く油圧信号伝達油路とを有し、
前記バイパス切換弁は、前記油圧信号伝達油路に接続される受圧部を有し、
前記バイパス切換弁は、前記受圧部に前記第1の油圧信号が導かれるときは前記開位置にあり、前記受圧部に前記第2の油圧信号が導かれると前記閉位置に切り換わることを特徴とする建設機械の油圧システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−112466(P2012−112466A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262710(P2010−262710)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】