説明

強化領域及び非強化領域を有する物品を製作する方法

少なくとも1つの強化領域及び少なくとも1つの非強化領域を有する物品を製作する方法は、材料を準備するステップと、材料の一部分に対して強化剤を施工するステップと、材料を成形してプリフォームを製作するステップと、プリフォームに対して非強化樹脂を施工するステップと、非強化樹脂を施工したプリフォームを硬化させて、少なくとも1つの強化領域及び少なくとも1つの非強化領域を生成し、該強化領域が少なくとも約1.0MPa−m1/2の破壊靭性を有する強化樹脂を含むようにするステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載した実施形態は、総括的には強化及び非強化領域を有する物品を製作する方法関する。より具体的には、本明細書の実施形態は、総括的には強化及び非強化領域を有する複合材料で物品を製作する方法を記述する。
【背景技術】
【0002】
航空機エンジンのようなガスタービンエンジンでは、空気が、エンジンの前方に吸込まれ、シャフト取付け圧縮機によって加圧され、燃焼器内で燃料と混合される。次に混合気が燃焼され、高温排気ガスが、同一のシャフト上に取付けられたタービンを通って流れる。燃焼ガスの流れは、タービンを通して膨張し、次にタービンがシャフトを回転させかつ圧縮機に動力を供給する。高温排気ガスはさらに、エンジンの後部におけるノズルを通して膨張して、航空機を前方に駆動する強力な推力を発生する。
【0003】
エンジンは、様々な条件において作動するので、時には望ましくないことに異物がエンジンに流入することがある。より具体的には、大きな鳥、雹、砂及び雨のような異物がエンジンの入口内に同伴される可能性がある。その結果、これらの異物は、ファンブレードに衝突しかつ衝突されたブレードの一部分をロータから引裂き外す可能性があり、これは一般に、ファンブレードアウトとして知られている。引き外されたファンブレードは次に、衝突区域におけるファンケーシングの内面に衝突し、それによってケーシングの一部分を膨出させ又は変形させるおそれがある。このケーシングの変形により、ファンケーシングの全周に沿って大きな応力が生じるおそれがある。
【0004】
近年では、複合材料が、それらの耐久性及び比較的軽量の故に、様々な航空宇宙用途において益々盛んに使用されるようになってきた。複合材料は、優れた強度及び重量特性を備えることができかつファンブレードアウトのような衝突時にファンケーシングに対する損傷の程度を軽減することができるが、それでもなお改良の余地がある。
【0005】
ファンケーシングを製作するために使用する技術のような現在の格納技術は一般的に、高い応力領域においてより厚いケーシング設計を用いることを必要とする。より具体的には、現在のファンケーシングは、多くの場合に、遊離ファンブレードを断片化しかつ損傷の程度を最少化するのを助けることができる厚い一体構造の硬質壁設計を使用して製作される。硬質壁ファンケーシングに衝突する遊離ファンブレードによって生じるエネルギーは、樹脂微細割れ発生、複合材料層剥離及び複合材料層破損を含む幾つかの制御した破損メカニズムのいずれかによって消散させることができる。
【0006】
前述のエネルギー消散メカニズムの全ては、遊離ファンブレードの衝突時におけるファンケーシングの制御した損傷を保証するために、非強化樹脂の使用を必要とする。より具体的には、樹脂施工時に、ファンケーシング全体に対して一様に非強化エポキシ樹脂を施工することができる。硬化後に、得られた複合材料は、前述の制御した損傷メカニズムを有することになる。しかしながら、万一衝突が発生した時にケーシングの一体性を維持するためには、衝突区域から離れた区域つまり非衝突区域は、より強度があることを必要とする。従って、多くの場合に、非衝突区域内に非強化複合材料の付加的層を施工して、強度及び靭性を与えると共に非強化材料のより低い強度を補償する。これらの付加的層は、ファンケーシングに対して望ましくない重量を付加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0134251号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/041128 A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、その全体重量を増加させないで所望の領域内においてそれに大きな強度を与えることができる、物品を製作する方法に対する必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書における実施形態は、総括的には少なくとも1つの強化領域及び少なくとも1つの非強化領域を有する物品を製作する方法に関し、本方法は、材料を準備するステップと、材料の一部分に対して強化剤を施工するステップと、材料を成形してプリフォームを製作するステップと、プリフォームに対して非強化樹脂を施工するステップと、非強化樹脂を施工したプリフォームを硬化させて、少なくとも1つの強化領域及び少なくとも1つの非強化領域を生成し、該強化領域が少なくとも約1.0MPa−m1/2の破壊靭性を有する強化樹脂を含むようにするステップとを含む。
【0010】
本明細書における実施形態はまた、総括的には少なくとも1つの強化領域及び少なくとも1つの非強化領域を有する物品を製作する方法に関し、本方法は、材料を準備するステップと、材料の一部分に対して強化剤を施工するステップと、材料を成形してプリフォームを製作するステップと、プリフォームに対して非強化樹脂を施工するステップと、非強化樹脂を施工したプリフォームを硬化させて、少なくとも1つの強化領域及び少なくとも1つの非強化領域を生成し、該強化領域が、強化剤を含む材料の一部分に対応し、該材料が、各強化領域及び非強化領域間に遷移領域を含み、また該強化領域が、少なくとも約1.0MPa−m1/2の破壊靭性を有する強化樹脂を含むようにするステップとを含む。
【0011】
本明細書における実施形態はまた、総括的には少なくとも1つの強化領域及び少なくとも1つの非強化領域を有するファンケーシングを製作する方法に関し、本方法は、材料を準備するステップと、材料の一部分に対して強化剤を施工するステップと、材料を成形してファンケーシングプリフォームを製作するステップと、ファンケーシングプリフォームに対して非強化樹脂を施工するステップと、非強化樹脂を施工したファンケーシングプリフォームを硬化させて、少なくとも1つの強化領域及び少なくとも1つの非強化領域を生成し、該強化領域が、強化剤を含む材料の一部分に対応し、また該強化領域が、少なくとも約1.0MPa−m1/2の破壊靭性を有する強化樹脂を含むようにするステップとを含む。
【0012】
これらの及びその他の特徴、態様及び利点は、以下の開示から当業者には明らかになるであろう。
【0013】
本明細書は、本明細書と共に提出した特許請求の範囲において本発明を具体的に指摘しかつ明確に特許請求しているが、本明細書に記載した実施形態は、同じ参照符号が同様な要素を示している添付の図と関連させてなした以下の詳細な説明から一層良好に理解されるであろうと思われる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本明細書の記載によるガスタービンエンジンの1つの実施形態の概略断面図。
【図2】本明細書の記載による材料の1つの実施形態の概略図。
【図3】本明細書の記載による、それに対して強化剤が施工された材料の1つの実施形態の概略図。
【図4】本明細書の記載による、それに対して強化剤が施工された材料の別の実施形態の概略図。
【図5】本明細書の記載による、それに対して強化剤が施工された材料のさらに別の実施形態の概略図。
【図6】本明細書の記載によるファンケーシングプリフォームの1つの実施形態の概略斜視図。
【図7】本明細書の記載によるファンケーシングの1つの実施形態の概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書に記載した実施形態は、総括的には少なくとも1つの強化領域及び少なくとも1つの非強化領域を有する物品を製作する方法に関する。一般的に、そのような方法は、材料を準備するステップと、材料の一部分に対して強化剤を施工するステップと、材料を成形して、プリフォームを製作するステップと、プリフォームに対して非強化樹脂を施工するステップと、非強化樹脂を施工したプリフォームを硬化させて、強化領域が、強化剤を含む材料の一部分に対応するようにするステップとを含むことができる。本明細書における実施形態は、総括的にはガスタービンエンジン用の複合ファンケーシングを製作する方法に焦点を当てているが、本記述は、それに限定すべきではないことが、当業者には解るであろう。当然のことながら、以下に説明するように、本明細書に記載した方法を使用して、少なくとも1つの強化領域及び少なくとも1つの非強化領域を有するあらゆる物品又は複合材料を製作又は製造することができる。
【0016】
図に移ると、図1は、一般的にファン組立体12とコアエンジン14とを含むガスタービンエンジン10の1つの実施形態の概略図である。ファン組立体12は、ファンケーシング16と、ロータディスク20から径方向外向きに延びるファンブレード18の列とを含むことができる。コアエンジン14は、高圧圧縮機22、燃焼器24、高圧タービン26及び低圧タービン28を含むことができる。エンジン10は、吸気端部30と排気端部32とを有する。
【0017】
最初に、本明細書に記載した複合材料及び物品を製作するために、図2に示すような材料38を準備することができる。本明細書では、樹脂と組合せて複合材料を製造することができるあらゆる伝統的織物又は多軸非クリンプ織物を材料38として使用することが許容される。1つの実施形態では、材料38は、炭素繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維及びそれらの組合せから成る群から選ばれた繊維織物とすることができる。図2に示すように、材料38は一般的に、複数織合せ繊維トウ40を含むことができる。
【0018】
材料38が選択されたら、該材料38の一部分に対して強化剤42を施工することができる。強化剤42には、本明細書で以下に述べるように強化剤を施工していない状態での複合材料に存在する靭性と比べて最終複合材料に高い靭性を与えることができるあらゆるものを含むことができる。1つの実施形態では、強化剤42は、それに限定すべきではないが、ポリマー、ナノ繊維、ナノ粒子及びそれらの組合せから成る群から選ぶことができる。
【0019】
強化剤42は、材料38に対して様々な方法で施工することができる。例えば、強化剤42は、ポリマーを含むことができる。より具体的には、1つの実施形態では、強化剤42は、材料38の所望の1つ又は複数の部分に接合することができるポリマー繊維を含み、本明細書で以下に記載するように、その後に非強化樹脂を施工した時に、強化樹脂が生成されるようにすることができる。接合する方法には、例えば所望の1つ又は複数の位置において材料上に繊維を配置すること、又は材料内に繊維を織り込む(図3に示すように)ことを含むことができる。別の実施形態では、強化剤42には、所望の1つ又は複数の区域において材料38上に噴霧することができるポリマー粉末(図4に示すような)又はポリマー液を含むことができる。
【0020】
前述した実施形態では、強化樹脂は、その後に非強化樹脂を施工した時に製造することができる。強化樹脂は一般的に、ポリマー強化剤を含む材料の1つ又は複数の部分に対応することができる。本明細書で使用する場合に、「強化樹脂」というのは、硬化時に少なくとも約1.0MPa−m1/2の破壊靭性又はK1C(つまり、既に割れが存在している場合における材料の耐破壊性)を示す樹脂を意味する。
【0021】
それに代えて、図5に示すように、強化剤42は、ナノ炭素繊維のようなナノ繊維、ナノ粘土粒子のようなナノ粒子、及びそれらの組合せを含むことができる。そのような強化剤は、非強化樹脂43のゲル、粉末又は液体と組合せて強化樹脂44を製造することができる。強化樹脂44は次に、材料38の所望の1つ又は複数の部分に対して施工することができる。本明細書で使用する場合に、「非強化樹脂」というのは、硬化時に約1.0MPa−m1/2よりも小さい破壊靭性又はK1Cを示す樹脂を意味する。非強化樹脂に対する強化剤の付加により、非強化樹脂は、それが硬化した時に、本明細書に定義しているような強化樹脂を形成する。樹脂に対するナノ繊維/粒子の割合は変化させることができるが、1つの実施形態では、非強化樹脂が約80〜約95重量%を占めた状態で、ナノ繊維/粒子は、強化樹脂の約5〜約20重量%を占めることができる。
【0022】
一般的に、本明細書で以下に定義しているように、非強化樹脂は、それが硬化した時に非強化領域を生成することができ、他方、強化樹脂は、それが硬化した時に強化領域を生成することができる。理論によって限定しようとするものではないが、ポリマー強化剤(繊維、粉末、液体又はそれらの幾つかの組合せのいずれか)との関連で、施工した強化剤を有するプリフォームに対して非強化樹脂を施工する場合には、非強化樹脂は、以前に施工したポリマー強化剤と反応して、強化剤を含む材料の部分にほぼ対応する区域内の硬化複合材料に対して付加的耐破壊性を与えることができると思われる。ナノ繊維/粒子を使用する場合には、そのような強化剤は、樹脂の質を高めて、硬化後に複合材料内に強化領域を形成することができると思われる。
【0023】
材料38は、所望の物品のプリフォームを製作するような形状とすることができ、1つの実施形態では、このプリフォームは、ファンケーシングプリフォーム45を含むことができる。図6に示すように、ファンケーシングプリフォーム45は、あらゆる所望の形態を有する本体47を含むことができ、かつ当業者には公知のあらゆる工具を使用して製作することができる。例えば、Blanton他による米国特許出願第2006/0134251号を参照されたい。本明細書に記載した実施形態は一般的に、強化剤を施工した後に材料をプリフォームに成形することについて記述しているが、材料を最初に所望のプリフォームに成形した後に強化剤を施工することも許容されることが、当業者には解るであろう。
【0024】
次に、プリフォーム全体に対して、非強化樹脂を施工することができる。1つの実施形態では、非強化樹脂には、ビニルエステル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリイミド樹脂及びそれらの組合せから成る群から選ばれた樹脂を含むことができる。非強化樹脂は、これまで強化樹脂を生成するために強化剤と組合せて使用されてきたあらゆる非強化樹脂と同じもの又はそれら非強化樹脂とは異なるものとすることができる。あらゆる従来型の樹脂施工方法は、本明細書では非強化樹脂をプリフォームに対して施工するために使用することができる。
【0025】
非強化樹脂を施工したプリフォームは次に、硬化させて、図7に示すファンケーシング16のような物品を製作することができる。硬化させる方法は一般的に、前述したように材料又はプリフォームに対して樹脂を施工し、その後樹脂施工したプリフォーム又は材料を高い温度及び圧力に曝すことを含むことができる。本明細書では、当業者に公知のあらゆる従来型の硬化法使用するのを許容することができる。幾つかの硬化法の実施例には、それに限定されないが、樹脂フィルム注入法、樹脂トランスファ成形法及び真空補助樹脂トランスファ成形法を含むことができる。
【0026】
図7に示すように、得られたファンケーシング16の硬化複合材料46は、少なくとも1つの強化領域48と、少なくとも1つの非強化領域50と、各強化領域48及び非強化領域50間の遷移領域51とを有することができる。本明細書で使用する場合に、「非強化領域」50というのは、非強化樹脂43を含む材料の部分にほぼ対応する複合材料46の区域を意味する。「強化領域」48は、強化樹脂44を含む材料の部分にほぼ対応する複合材料の区域を意味する。強化領域48は、非強化領域と比べた時に、高い耐破壊性を示すことができる。強化領域48は、強化剤と非強化樹脂との間の前述した相互作用により、強化剤が施工された材料の部分とほぼ対応することができることが、当業者には解るであろう。強化領域48は、ファンケーシング16に対してあらゆる方向に配向させることができる。
【0027】
遷移領域51は一般的に、強化領域48及び非強化領域50間に設置することができ、また強化領域48と非強化領域50との間の転換を可能にするために変化する靭性の程度示すようにすることができる。さらに、遷移領域51は、例えばファンケーシングに対して平面方向(図7において参照符号Aで示すような)、その平面に対する垂直方向(図7において参照符号Bで示すような)、及びそれらの組合せの方向とすることができることが、当業者には解るであろう。
【0028】
加えて、図7に示す1つの実施形態では、ファンケーシング16は、衝突区域52及び非衝突区域54を含むことができる。「衝突区域」52は、遊離ファンブレードによる衝突を最も受け易いファンケーシング16の部分を指し、他方、「非衝突区域」54は、遊離ファンブレードによる衝突損傷をより受け難いファンケーシング16の部分を指している。樹脂微細割れ発生及び複合材料層剥離の両方は遊離ファンブレードによる衝突エネルギーの消散を可能にすることができるので、制御した樹脂微細割れ発生及び複合材料層剥離を形成するように衝突区域52内に非強化領域50を配置することが望ましいと言える。対照的に、強化領域48は耐破壊性が一層大きいので、そのような強化領域48を非衝突区域54内に配置することが望ましいと言える。さらに、ファンケーシング16の強化領域48は現在のファンケーシングと比べて減少した構造厚さを有することができかつ依然として所望の耐破壊性を示すことができるので、ファンケーシング16は、現在の設計と比べて軽減した重量を有することができる。従って、例示的な実施形態は、強化及び非強化領域を採用して、破損及び重量軽減の制御を行うことができる。
【0029】
加えて、本明細書に記載した選択的強化方法の概念はまた、金銭的節減を可能にすることができる。一般的に、強化樹脂(つまり、強化剤を含むそれら樹脂)は、非強化樹脂よりもコスト高である。しかしながら、所望の耐破壊性を得るためには、非強化樹脂を有する複数の複合材料層を使用しなくてはならず、このことにより、物品を製作するコストが上昇するおそれがある。耐破壊性の増大を必要とする選択領域においてのみ強化樹脂を使用しかつその他の領域には非強化樹脂を使用することによって、必要とされる複合材料層がより少なくなる。このことは、物品を製作する上での全体コストの節減をもたらすことができる。
【0030】
任意選択的に、強化領域48に対して、少なくとも1つの強化フランジ56を結合することができる。強化フランジ56は、取付けフランジ、取付け端部フランジ(図7に示すような)及びそれらの組合せから成る群から選ぶことができる。「強化フランジ56」は、ファンケーシング16の強化領域48と同一の又は同様な材料で製作することができるフランジを指している。より具体的には、強化フランジ56は、本明細書で前述したように、その少なくとも一部分に対して強化剤が施工された複合材料で製作することができる。加えて、強化フランジ56は、ファンケーシング16の強化領域48に結合することができる。「結合」という用語によって、ファンケーシングプリフォームのレイアップ完了後に又はファンケーシングのレイアップと同時にかのいずれかに、強化フランジが最終硬化ファンケーシングの一体形部分となるように、該強化フランジをファンケーシングに対して作動連結することができることを意味している。強化材料を使用して強化フランジ56を構成することにより、フランジ56に対する並びにフランジ56と強化領域48との間の取付け部分に対する付加的強度を得ることができる。
【0031】
以上の記述は、あらゆる複合材料の製造及び該複合材料で製作したあらゆる物品の製作に等しく適用することができ、またファンケーシングに限定されるべきではないことが、当業者には解るであろう。事実、複合材料で構成したあらゆるガスタービンエンジン構成部品は、本明細書に記載した方法及び材料を用いて製作することができる。例えば、以上の記述は、少なくとも1つの強化領域及び少なくとも1つの非強化領域を有する複合材料翼形部を製作するために使用することができる。
【0032】
本明細書は最良の形態を含む幾つかの実施例を使用して、本発明を開示し、またさらに当業者が本発明を製作しかつ使用するのを可能にする。本発明の特許性がある技術的範囲は、特許請求の範囲によって定まり、また当業者が想到するその他の実施例を含むことができる。そのようなその他の実施例は、それらが特許請求の範囲の文言と相違しない構造的要素を有するか又はそれらが特許請求の範囲の文言と本質的でない相違を有する均等な構造的要素を含む場合には、特許請求の範囲の技術的範囲内に属することになることを意図している。
【符号の説明】
【0033】
10 ガスタービンエンジン
12 ファン組立体
14 コアエンジン
16 ファンケーシング
18 ファンブレード
20 ロータディスク
22 高圧圧縮機
24 燃焼器
26 高圧タービン
28 低圧タービン
30 吸気端部
32 排気端部
38 材料
40 繊維トウ
42 強化剤
43 非強化樹脂
44 強化樹脂
45 ファンケーシングプリフォーム
46 複合材料
47 本体
48 強化領域
50 非強化領域
51 遷移領域
52 衝突区域
54 非衝突区域
56 強化フランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの強化領域及び少なくとも1つの非強化領域を有する物品を製作する方法であって、
材料を準備するステップと、
前記材料の一部分に対して強化剤を施工するステップと、
前記材料を成形して、プリフォームを製作するステップと、
前記プリフォームに対して非強化樹脂を施工するステップと、
前記非強化樹脂を施工した前記プリフォームを硬化させて、前記少なくとも1つの強化領域及び少なくとも1つの非強化領域を生成し、該強化領域が少なくとも約1.0MPa−m1/2の破壊靭性を有する強化樹脂を含むようにするステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記強化剤が、ポリマー、ナノ繊維、ナノ粒子及びそれらの組合せから成る群から選ばれる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記材料が、炭素繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維及びそれらの組合せから成る群から選ばれる、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記非強化樹脂が、ビニルエステル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリイミド樹脂及びそれらの組合せから成る群から選ばれた樹脂である、請求項1乃至3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記強化剤を施工するステップが、前記材料に対して該強化剤を接合して、前記非強化樹脂が施工されると該強化剤を含む該材料の一部分内に前記強化樹脂が生成されるようにするステップを含む、請求項1乃至4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記強化剤を施工するステップが、
該強化剤を前記非強化樹脂と組合せるステップと、
前記材料の一部分に対して強化樹脂を施工するステップと、を含む、
請求項1乃至4のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記物品が、ファンケーシング及び翼形部から成る群から選ばれたタービンエンジン構成部品である、請求項1乃至6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
各強化領域及び非強化領域間に遷移領域をさらに含む、請求項1乃至7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記強化領域が、前記強化剤を含む前記材料の一部分に対応する、請求項1乃至8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
取付けフランジ、取付け端部フランジ及びそれらの組合せから成る群から選ばれた少なくとも1つの強化フランジを前記少なくとも1つの強化領域に結合するステップをさらに含む、請求項1乃至9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記強化剤を施工するステップが、前記材料上に該強化剤を噴霧して、前記非強化樹脂が施工されると該強化剤を含む該材料の一部分内に前記強化樹脂が生成されるようにするステップを含む、請求項1乃至4のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記物品の非強化領域が、衝突区域を含む、請求項1乃至11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記強化樹脂が、前記強化剤の約5〜約20重量%を含む、請求項6記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つの強化領域及び少なくとも1つの非強化領域を有する物品を製作する方法であって、
材料を準備するステップと、
前記材料の一部分に対して強化剤を施工するステップと、
前記材料を成形して、プリフォームを製作するステップと、
前記プリフォームに対して非強化樹脂を施工するステップと、
前記非強化樹脂を施工した前記プリフォームを硬化させて、前記少なくとも1つの強化領域及び少なくとも1つの非強化領域を生成し、該強化領域が、前記強化剤を含む該材料の一部分に対応し、該材料が、各強化領域及び非強化領域間に遷移領域を含み、また該強化領域が、少なくとも約1.0MPa−m1/2の破壊靭性を有する強化樹脂を含むようにするステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記強化剤が、ポリマー、ナノ繊維、ナノ粒子及びそれらの組合せから成る群から選ばれる、請求項14記載の方法。
【請求項16】
各遷移領域が、平面方向、該平面に対する垂直方向、及びそれらの組合せから成る群から選ばれた配向で配置される、請求項14または15記載の方法。
【請求項17】
前記材料が、炭素繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維及びそれらの組合せから成る群から選ばれる、請求項14乃至16のいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
前記材料の一部分に対して強化剤を施工するステップ及び材料を成形するステップが、同時に行われる、請求項14乃至17のいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
取付けフランジ、取付け端部フランジ及びそれらの組合せから成る群から選ばれた少なくとも1つの強化フランジを前記少なくとも1つの強化領域に結合するステップをさらに含む、請求項14乃至18のいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1つの強化領域及び少なくとも1つの非強化領域を有するファンケーシングを製作する方法であって、
材料を準備するステップと、
前記材料の一部分に対して強化剤を施工するステップと、
前記材料を成形して、ファンケーシングプリフォームを製作するステップと、
前記ファンケーシングプリフォームに対して非強化樹脂を施工するステップと、
前記非強化樹脂を施工した前記ファンケーシングプリフォームを硬化させて、前記少なくとも1つの強化領域及び少なくとも1つの非強化領域を生成し、該強化領域が、前記強化剤を含む該材料の一部分に対応し、また該強化領域が、少なくとも約1.0MPa−m1/2の破壊靭性を有する強化樹脂を含むようにするステップと、
を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−531244(P2010−531244A)
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504128(P2010−504128)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【国際出願番号】PCT/US2008/055645
【国際公開番号】WO2008/130738
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】