説明

弾性表面波素子および通信装置

【課題】 圧電基板の他方主面に導体層が形成された弾性表面波素子をフェースダウン実装した弾性表面波装置の通過帯域外減衰量を改善する。
【解決手段】 圧電基板2の一方主面に励振電極3と入力パッド部と出力パッド部とを具備するフィルタ領域が形成され、他方主面に半導体層22が形成された弾性表面波素子1を、実装用基体上に一方主面を対面させて実装している弾性表面波装置である。弾性表面波素子1の作製工程で発生する焦電破壊を防止するために圧電基板2の他方主面に設けられていた導体層に代えて、キャリア移動度の小さい半導体層2を形成したことによって、フィルタ領域の入力パッド部および出力パッド部間に形成されていた寄生容量による入力パッド部および出力パッド部間の結合量を大幅に小さくすることができ、これにより、通過帯域外減衰量を改善することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性表面波素子および通信装置に関するものである。より詳しくは、フェースダウン実装構造の弾性表面波素子であり、特に通過帯域外減衰量を改善した弾性表面波素子およびその弾性表面波素子を用いた通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、小形化,無調整化を図ることができる弾性表面波フィルタが各種通信装置に使用されるようになり、通信装置の高周波化,高機能化の進展に伴い、バンドパスフィルタ等として用いられる弾性表面波フィルタの通過帯域外減衰量を上げる要求が益々増大してきている。例えば、900MHz帯の携帯電話用フィルタとしては、通過帯域近傍の通過帯域外減衰量を向上させ、かつ数GHzの高周波数帯域における通過帯域外減衰量も向上させた高性能な高減衰フィルタが望まれている。
【0003】
従来の弾性表面波(Surface Acoustic Wave、以下SAWと略す。)装置における弾性表面波素子の実装構造の模式的な断面図を図12に示す。図12に示す弾性表面波装置において、51は圧電基板、52は接地パッド、53はSAW素子用の圧電基板51上に形成された櫛形電極のIDT(Inter Digital Transducer)電極(励振電極)、54はパッケージ57に形成された導電パターン、55は接続用のバンプである。同図の構成では、接地パッド52およびIDT電極53を例えばAl−Cu膜で形成し、導電パターン54と接地パッド52とを例えばAuから成るバンプ55により接合して電気的に接続している。さらに、蓋体56をシーム溶接等によりパッケージ57上に接合層58を介して封止して、弾性表面波素子を収容した内部の気密性を保っている。
【0004】
このような従来のフェースダウン構造の弾性表面波装置における帯域外減衰量レベルの劣化の主原因は、例えば、弾性表面波素子の接地パッド52やIDT電極53およびパッケージ57の導電パターン54等の電極の電気抵抗の増加、あるいは寄生インダクタンスや浮遊容量(寄生容量)に起因する入出力間の電磁的結合である。特に、圧電基板51の一方主面にIDT電極53とともに接地パッド52等の入力パッド部と出力パッド部とを有するフィルタ領域が形成され、他方主面に導体層(図示せず)が形成された弾性表面波素子をフェースダウン実装した構造の弾性表面波装置の場合は、圧電基板51の他方主面にはフィルタ領域の入力パッド部および出力パッド部に対向する領域に導体層が形成されているため、入力パッド部と出力パッド部との間に容量結合が発生して入出力間が電磁的に結合してしまい、通過帯域外減衰量を劣化させてしまうという問題点がある。
【特許文献1】特開平4−313906号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
弾性表面波素子は、圧電基板上に櫛歯状の励振電極(IDT電極)を作製した素子である。通常、圧電体は急激な温度変化により焦電性を示すため、圧電基板に励振電極を有する素子を作製する際に急激な温度変化のある工程を通すと、圧電基板の焦電性のため励振電極の電極間にスパークが発生して素子を破壊してしまうこととなる。そこで、なるべく圧電基板に電荷が蓄積しないようにするために、圧電基板の裏面全体にわたって導体層を形成することが一般的に行なわれている。しかし、この裏面導電体層は、素子作製工程中は焦電破壊防止に有効であるが、上述のような理由から素子自体の構成により通過帯域外減衰量を向上させるには不利に作用するものとなる(例えば、特許文献1を参照。)。
【0006】
また、圧電基板の表面(一方主面)に励振電極,入力パッド部および出力パッド部が形成され、裏面(他方主面)に導体層が形成された弾性表面波素子を用いて、フェースアップ実装構造で、素子の裏面側がパッケージの上面に載置されて接地された構造の場合は、裏面の導体層を介した寄生容量による表面側の入力パッド部と出力パッド部との間の容量結合は問題とならないが、フェースダウン実装の場合は、裏面の導体層が接地されていないのでこの裏面の導体層を介した寄生容量による入力パッド部と出力パッド部との間の容量結合が問題となり、弾性表面波素子によるフィルタの通過帯域外減衰量を十分に確保することが難しくなるという問題点がある。
【0007】
従って、本発明の目的は、フェースダウン実装構造をもつ弾性表面波素子において、フィルタの通過帯域外減衰量を向上させることができ、フィルタ特性が良好で信頼性にも優れた弾性表面波素子およびそれを用いた通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の弾性表面波素子は、(1)圧電基板の一方主面に励振電極と入力パッド部と出力パッド部とを具備するフィルタ領域が形成され、他方主面に半導体層が形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の弾性表面波素子は、(2)上記(1)の構成において、前記半導体層は、シリコン,ゲルマニウム,酸化チタン,酸化亜鉛,窒化アルミニウムのうち少なくとも1つまたはそれを主成分とする材料からなることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の弾性表面波素子は、(3)上記(1)の構成において、前記半導体層は、酸素含有量が化学量論比組成より少ない、タンタル酸リチウム単結晶またはニオブ酸リチウム単結晶または四ホウ酸リチウム単結晶から成ることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の弾性表面波素子は、(4)上記(1)乃至(3)の各構成において、前記圧電基板は、前記一方主面側が圧電材料から成り、前記他方主面側が前記圧電材料より比誘電率が小さい他の材料から成ることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の通信装置は、上記(1)乃至(4)の構成のいずれかの本発明の弾性表面波素子を有する、受信回路および送信回路の少なくとも一方を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の弾性表面波素子において圧電基板の他方主面に形成されている半導体層は、直流的に見ると導体であるが、弾性表面波素子に形成されたフィルタの通過帯域付近の周波数では充分に高抵抗であるという周波数特性を持った層をいうものである。このような周波数特性は主に半導体層中のキャリアの移動度の周波数特性によるものである。キャリアの移動度の周波数特性は半導体層の結晶性,結晶粒径,不純物密度等を調整することで、所望の値に設定することができる。
【0014】
本発明の弾性表面波素子によれば、弾性表面波素子の圧電基板の他方主面に半導体層が形成されていることにより、弾性表面波素子に形成されたフィルタの通過帯域付近の周波数では半導体層の中のキャリアが応答しない移動度とすることができるため、圧電基板の一方主面上の入力パッド部および出力パッド部との間に圧電基板の他方主面を介した容量結合が形成されることがない。従って、従来、寄生容量に起因して劣化していた通過帯域外減衰量特性を大幅に改善することができる。さらに、圧電基板の他方主面に直流的には導体である半導体層が形成されていることにより、製造プロセスにおける急激な温度変化により発生する電荷を効率的に逃がすことが可能となり、圧電基板の焦電性に起因する焦電破壊等の電極へのダメージを防止する効果を得ることができる。従って、本発明の弾性表面波素子によれば、焦電破壊を良好に防止する効果と通過帯域外減衰量特性の劣化を防止する効果との両方を得ることができる。
【0015】
また、本発明の弾性表面波素子によれば、半導体層がシリコン,ゲルマニウム,酸化チタン,酸化亜鉛,窒化アルミニウムのうち少なくとも1つまたはそれを主成分とする材料からなるときには、スパッタリング法や蒸着法等の簡易な成膜方法で、成膜圧力,成膜速度,成膜温度等の成膜条件を適当に調整することにより適当なキャリア移動度を持つ半導体層を形成することができる。また、適当な元素を添加したり組成比を調整したりすることにより、直流的に適当な導電率を持つよう調整することができる。
【0016】
また、本発明の弾性表面波素子によれば、半導体層が、酸素含有量が化学量論比組成より少ない、タンタル酸リチウム単結晶またはニオブ酸リチウム単結晶または四ホウ酸リチウム単結晶から成る場合には、前述のシリコン等と同様に、直流的には導体に見えるが弾性表面波装置が使用される周波数帯ではほぼ絶縁体に見えるという性質を持つ。従って、予め少なくとも圧電基板の他方主面の酸素含有量が化学量論比組成より少ない、タンタル酸リチウム単結晶またはニオブ酸リチウム単結晶または四ホウ酸リチウム単結晶から成る圧電基板を用いる場合には、フィルタの帯域通過特性に影響を与えずに励振電極に電荷が蓄積することを防止できる。従って、圧電基板の他方主面の全面に改めてシリコン等の半導体層を形成しなくとも弾性表面波素子の焦電破壊をより確実に防止することができる。しかも、焦電破壊を防止するために弾性表面波装置の製造工程において工程数を増加させる必要がない。
【0017】
また、圧電基板が、一方主面側が圧電材料から成り、他方主面側がその圧電材料よりも比誘電率が小さい他の材料から成る場合には、フィルタの入力パッド部と出力パッド部との間の実効誘電率を小さくすることができ、これによっても寄生容量を低減することができる(これは寄生容量を形成する電極間の誘電率を小さくすることに相当する。)ので、フィルタの通過帯域外減衰特性をさらに改善することができる。特に、この圧電材料として、酸素含有量が化学量論比組成より少ない、タンタル酸リチウム単結晶またはニオブ酸リチウム単結晶または四ホウ酸リチウム単結晶を使用すると、焦電破壊を良好に防止する効果と実効誘電率を小さくする効果との両方を得ることができる。
【0018】
そして、本発明の通信装置によれば、以上のような本発明の弾性表面波素子を通信装置の受信回路および送信回路の少なくとも一方に用いることにより、従来より要求されていた厳しい通過帯域外減衰量を満たすことができるものが得られ、また、良好な通過帯域外減衰量特性を有する弾性表面波素子でありながら小型であるので、他部品の実装面積をより大きく取ることができ、部品の選択の幅が広がるため、高機能な通信装置を実現することができる。
【0019】
以上のように、本発明によれば、圧電基板の励振電極形成面を実装用基体の主面に対向させた実装(フリップチップ実装)を行なっても、フィルタの入力パッド部と出力パッド部とが他方主面の導体層を介して容量結合することがないので、小型の弾性表面波素子でありながら通過帯域外減衰量を劣化させないものとなる。しかも、作製工程において圧電基板の他方主面の全面に導体層が無くとも弾性表面波素子の焦電破壊を防止することができる。また、近年の部品に対する小型化・低背化の要求から、弾性表面波素子に対しても圧電基板の厚みを薄くすることが求められているが、圧電基板の他方主面に導体層を形成した場合には、圧電基板の一方主面の電極と他方主面の導体層との間の容量は大きくなり、従ってフィルタの入出力パッド部間の寄生容量の結合によって起こる通過帯域外減衰量の劣化はさらに深刻化するが、これに対しても、他方主面に半導体層を形成することにより、薄型でかつ良好な通過帯域外減衰量特性を有する弾性表面波素子を得ることができる。
【0020】
そして、本発明の弾性表面波素子は、良好な通過帯域外減衰量特性を有するものでありながら小型であるので、この本発明の弾性表面波素子を有する受信回路および本発明の弾性表面波素子を有する送信回路の少なくとも一方を備えた本発明の通信装置によれば、本発明の弾性表面波装置による良好なフィルタ特性を利用しつつ他部品の実装面積を大きく取れる等により、高機能を実現できる通信装置を作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の弾性表面波素子の実施の形態の例について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下に説明する図面において同様の箇所には同じ符号を付すものとする。また、各電極の大きさや電極間の距離等、あるいは電極指の本数や間隔等については、説明のために模式的に図示したものであるので、これらに限定されるものではない。
【0022】
<実施の形態の例1>
図8に本発明の弾性表面波素子の実施の形態の例1における弾性表面波素子の一方主面の上面図を示す。また、この例1における弾性表面波素子の断面図を図1に示す。また、この例1の弾性表面波素子を実装した弾性表面波装置の断面図を図2に示す。
【0023】
図8に示すように、弾性表面波素子1の圧電基板2上にはフィルタ領域9(破線で囲んで示す。)が形成されている。フィルタ領域9には、共振器を構成する複数の励振電極3およびこれらを接続する接続電極4と、弾性表面波素子1と実装用基体31とを接続するための励振電極3に電気的に接続された入力パッド部5および出力パッド部6が形成されている。
【0024】
また、環状導体7は半田等を用いて、実装用基体31の上面にこれに対応させて形成された接地電極としても機能する基体側環状導体32と接続される。この例では、環状導体7はフィルタ領域9を取り囲むようにして一体に形成されており、フィルタ領域9のフィルタの接地電極として機能するとともに、圧電基板2と実装用基体31との間でフィルタ領域9を封止する役割を持つ。
【0025】
図1に示すように、圧電基板2の他方主面には全面に半導体層22が形成されている。
【0026】
ここで、圧電基板2としてはタンタル酸リチウム単結晶やニオブ酸リチウム単結晶や四ホウ酸リチウム単結晶等を用いることができる。
【0027】
また、圧電基板2の一方主面上の励振電極3には、アルミニウム,アルミニウム合金,銅,銅合金,金,金合金,タンタル,タンタル合金、またはこれらの材料から成る層の積層膜やこれらの材料とチタン,クロム等の材料から成る層との積層膜を用いることができる。これら積層膜の成膜方法としては、スパッタリング法や電子ビーム蒸着法を用いることができる。
【0028】
この励振電極3をパターニングする方法としては、励振電極3の成膜後にフォトリソグラフィを行ない、次いでRIE(Reactive Ion Etching)やウェットエッチングを行なう方法がある。または、励振電極3の成膜前に圧電基板2の一方主面にレジストを形成しフォトリソグラフィを行なって所望のパターンを開口した後、積層膜を成膜し、その後レジストを不要部分に成膜された積層膜ごと除去するリフトオフプロセスを行なってもよい。
【0029】
次に、圧電基板2の他方主面の全面に半導体層22を形成する。半導体層22としては、シリコン,ゲルマニウム,酸化チタン,酸化亜鉛,窒化アルミニウムのうち少なくとも1つの材料、またはこれらのうち少なくとも1つを主成分とする材料を用いることができる。これらの材料が添加物を含んでもよい。その成膜方法としてはスパッタリング法や電子ビーム蒸着法を用いることができる。
【0030】
次に、励振電極3を保護するための保護膜30を図2に示すように成膜する。保護膜30の材料としては、シリコン,シリカ等を用いることができる。成膜方法としては、スパッタリング法,CVD(Chemical Vapor Deposition)法,電子ビーム蒸着法等を用いることができる。この保護膜成膜工程においては、良い膜質や密着性を得るために50〜300℃程度の温度が必要である場合があるが、そのような場合において圧電基板2の他方主面の半導体層22は焦電破壊の防止に有効に機能する。
【0031】
次に、入力パッド部5および出力パッド部6の上に新たな導体層を積層して、入力パッドおよび出力パッドを形成する。この新たな導体層は弾性表面波素子1と実装用基体31とを高い信頼性で電気的および/または構造的に接続するためのものであり、例えば接続に半田を用いる場合であれば、半田の濡れ性を確保し拡散を防止する機能を持ち、また接続に金バンプを用いる場合であれば、パッドの硬度を、金を超音波等を用いて接着できるように調整する機能を持つ。このような新たな導体層の材料・構造としては、クロム/ニッケル/金またはクロム/アルミニウムあるいはクロム/銀/金の積層膜や、金やアルミニウムの厚膜を用いることができる。成膜方法としては、スパッタリング法や電子ビーム蒸着法を用いることができる。なお、この新たな導体層成膜工程においても良い膜質や密着性を得るために50〜300℃程度の温度が必要である場合があるが、そのような場合においても圧電基板2の他方主面の半導体層22は焦電破壊の防止に有効に機能する。
【0032】
ここまでの工程で作製した圧電基板2の一方主面の励振電極3や入力パッド部5および出力パッド部6等のパターンは、図8に示したものと同様である。ただし、図8では保護膜30は図示していない。
【0033】
次に、ここまで1枚の圧電基板に多数個の弾性表面波素子領域を形成したいわゆる多数個取りの方法で作製を行なってきた場合は、圧電基板を弾性表面波素子領域毎に分離して多数個の弾性表面波素子1を得る。分離する方法としては、例えばダイシングブレードを用いたダイシング法やレーザ加工によるレーザカッティング法等を用いることができる。
【0034】
次に、図2に示すように、弾性表面波素子1を実装用基体31上に一方主面を対面させて実装する。
【0035】
実装用基体31は弾性表面波素子1が上面に実装される回路基板であり、この実装用基体31の上面には、入力パッド部5および出力パッド部6に対応した入力端子および出力端子ならびに接地端子(いずれも図示せず)と、環状導体7に対応した基体側環状導体32とが形成されている。
【0036】
このような弾性表面波素子1および実装用基体31を用いた弾性表面波装置の例によれば、弾性表面波素子1の圧電基板2の一方主面にフィルタ領域9を取り囲んで環状導体7が形成されており、弾性表面波素子1の各パッドが実装用基体31の各端子に導体バンプを介して接続されるとともに、この環状導体7が実装用基体31の上面にこれに対応させて形成された基体側環状導体32に、例えば半田等のろう材33を用いて、内側を環状に封止するようにして接続されていることにより、弾性表面波素子1の動作面側の気密性を保つことができるので、弾性表面波素子1を外装保護材等による影響なく安定して動作させることができるとともに、その動作を長期間にわたって安定して行なわせることができ、高信頼性の弾性表面波装置とすることが可能となる。
【0037】
また、これら環状導体7および基体側環状導体32により環状に気密封止された内部に、さらに例えば不活性ガスである窒素ガス等を封入することにより、各励振電極3や各パッド,各端子の酸化等による劣化を効果的に防止することができるので、さらに高信頼性とすることが可能となる。
【0038】
そして、図2に示すように、実装用基体31上に実装された弾性表面波素子1を外装樹脂34を用いて樹脂モールドし、実装用基体31を弾性表面波素子1毎に外装樹脂34とともにダイシング等により分断して、本発明の弾性表面波素子1を用いた弾性表面波装置を得る。外装樹脂34は窒化アルミニウム,銀,ニッケル等からなるフィラーを含んでいてもよい。このようなフィラーを含むことにより外装樹脂34の熱伝導率が上がり、これにより弾性表面波素子1の放熱性が改善されるため、励振電極3の耐電力性が改善される。
【0039】
以上のようにして本発明の弾性表面波装置における弾性表面波素子1は、圧電基板2の一方主面にそれぞれ励振電極3と入力パッド部5と出力パッド部6とを具備するフィルタ領域9が形成されているとともに、圧電基板2の他方主面に半導体層22が形成されているため、従来のように、圧電基板の他方主面の全面にわたって導体層が形成されている場合に比べて、弾性表面波素子1に形成されたフィルタの通過帯域付近で半導体層22のキャリアが応答しないようにすることができるため、フィルタ領域9の入力パッド部5およびフィルタ領域9の出力パッド部6の間に形成される寄生容量を大幅に小さくすることができ、その寄生容量に起因する通過帯域外減衰量特性の劣化を抑えることができ、通過帯域外減衰量特性を大幅に改善することができる。
【0040】
さらに、この例1では、圧電基板2の他方主面の全面に半導体層22が形成されていることにより、製造プロセスにおける急激な温度変化により発生する電荷を効率的に逃がすことが可能となり、圧電基板2の焦電性に起因する焦電破壊等の電極へのダメージを防止する効果を得ることができる。従って、本例1によれば、焦電破壊を良好に防止する効果と弾性表面波素子1に形成されたフィルタの通過帯域付近の周波数でキャリアが応答しないようにすることにより通過帯域外減衰量特性の劣化を防止する効果との両方を合わせ持つ弾性表面波素子1およびそれを用いた弾性表面波装置を提供することができる。
【0041】
<実施の形態の例2>
例1では圧電基板2の他方主面の全面に半導体層22が形成されている場合を示したが、半導体層22のキャリア移動度を充分に下げることができない場合には、半導体層22をパターニングして、他方主面の一部に半導体層22の非形成領域を設けることが有効である。通過帯域外減衰量特性を改善し、かつ焦電破壊を防止するのに有効な非形成領域のパターンとしては、例えば、図3に他方主面の上面図で示すような、圧電基板2の一方主面上の入力パッド部5や出力パッド部6に対向する他方主面の領域5aや6aを非形成領域として半導体層22を形成しないものや、図4に同様の上面図で示すような、これらの領域5a,6aを周りの半導体層22から分離するように非形成領域を設けるものや、図5に同様の上面図で示すように、圧電基板2の一方主面のフィルタ領域9の入力パッド部5から共振器の励振電極3まで直流的に接続されている部分の全体に対向する領域5bおよびフィルタ領域9の出力パッド部6から共振器の励振電極3まで直流的に接続されている部分の全体に対向する領域6bを除いた単純なパターンのものや、図6に同様の上面図で示すように、寄生容量を介した容量的な結合をさらに確実に抑えるために、圧電基板2の一方主面のフィルタ領域9に対向する領域9aを除いて、圧電基板2の他方主面に半導体層22を形成したものや、図7に同様の上面図で示すような、半導体層22の非形成領域を複数点在させて寄生容量を形成する可能性のある面積を小さくしたものが挙げられる。
【0042】
半導体層22に非形成領域を設けるためにパターニングする方法としては、半導体層22の成膜後にフォトリソグラフィを行ない、次いでRIE,ウェットエッチング,サンドブラスト等を行なう方法がある。または、半導体層22の成膜前に圧電基板2の一方主面にレジストを形成しフォトリソグラフィを行なって所望のパターンを開口した後、半導体層22を成膜し、その後レジストを不要部分に成膜された半導体層22ごと除去するリフトオフプロセスを行なってもよい。または、フォトリソグラフィを行なわず、リューター等を用いて所望のパターンに半導体層22を除去して非形成領域を直接形成してもよい。このとき、主として化学的な作用により半導体層22をエッチングして除去する方法を用いると、圧電基板2に大きなダメージを与えずに他方主面の半導体層22を部分的に確実に除去することができる。また、主として物理的な作用により半導体層22を研削して除去する方法を用いると、半導体層22を除去すると同時にその部分の圧電基板2の他方主面を元々の状態よりも粗くすることができ、これにより、フィルタ領域9から圧電基板2の内部を伝搬し、圧電基板2の他方主面で反射され、フィルタ領域9に形成されている励振電極3に結合して通過帯域外減衰量特性を劣化させていたバルク波を、圧電基板2の他方主面のこの部分で散乱させることができ、さらに通過帯域外減衰量特性を改善することができる。
【0043】
なお、半導体層22のうち圧電基板2の一方主面のフィルタ領域9に対向する領域9aを除くときには、圧電基板2の他方主面の半導体層22が除かれている領域9aの表面粗さを、半導体層22が形成されている領域の表面粗さよりも大きくするときにも、より広い面積で表面粗さを大きくしてバルク波の伝搬をより確実に抑制することができ、通過帯域外減衰量特性の劣化のうち、バルク波の伝搬により劣化していた分も効果的に低減することができるので、通過帯域外減衰量特性をさらに大幅に改善するのに有利なものとなる。
【0044】
<実施の形態の例3>
図9に本発明の弾性表面波素子の実施の形態の例3における弾性表面波素子の一方主面を示す上面図を示す。本例では、圧電基板2の他方主面側の構成は図8に示す例と同様とし、圧電基板2の一方主面側で全ての励振電極3が環状導体7と直流的に導通するように、共振器を形成する励振電極3と環状導体7とを抵抗体10を介して接続した。また、環状電極7は実装用基体31の基体側環状導体32に接続して接地電位としている。このように、励振電極3が抵抗体10を介して環状導体7に電気的に接続されており、この環状導体7が接地電位とされているものとすることにより、圧電基板2の一方主面から実装用基体31の接地電極に電荷を逃がすことができるため、弾性表面波素子1の焦電破壊を効果的に防止することができる。
【0045】
なお、この抵抗体10は、フィルタが使用される周波数帯においては十分に高抵抗で、ほとんど絶縁体に見える抵抗値となるように選択する。抵抗体10の材料としては、シリコンや酸化チタン等の高抵抗半導体を用いるのが好適である。これらの材料は、微量にホウ素等の元素を添加したり、組成比を調整したりすることにより、抵抗値を適正な値に制御することができる。
【0046】
<実施の形態の例4>
本例4の断面図および上面図は例1と同様であるが、半導体層22の作製方法が異なる。
【0047】
実施の形態の例1では圧電基板2の他方主面に改めて半導体層22を成膜によって形成したが、圧電基板2の他方主面を還元処理することにより酸素含有量が化学量論比組成より少ない状態とすることができ、このような状態ではタンタル酸リチウム単結晶またはニオブ酸リチウム単結晶または四ホウ酸リチウム単結晶は、直流においては導電性を持つが、弾性表面波素子1に形成されたフィルタの通過帯域付近ではほとんど絶縁体に見えるという性質を持つ。従って、例1で述べたような成膜によって形成した半導体層22と同様の効果を持つ半導体層を、圧電基板2の他方主面をあらかじめ還元処理することにより形成することができる。この例4では圧電基板2自体が半導体層22を持っていることから、IDT電極等の励振電極3を形成する工程に半導体層22を形成する工程を加える必要がない。他の工程は例1と同様である。
【0048】
<実施の形態の例5>
例2では寄生容量を形成する可能性のある半導体層22の形成面積を小さくすることで通過帯域外減衰量特性を改善したが、圧電基板2として、一方主面側が圧電材料から成り、他方主面がこの圧電材料よりも比誘電率が小さい他の材料から成る複合基板を用いると、半導体層22と圧電基板2の一方主面に形成されたパッド部5,6との間の実効比誘電率を小さくできるため、寄生容量を小さくすることができ、通過帯域外減衰量特性を改善することができる。
【0049】
圧電基板2の圧電材料よりも比誘電率の小さい他の材料としては、シリコン(比誘電率3.4),サファイア(比誘電率9.4),石英(比誘電率3.8),水晶(比誘電率3.8),ガラス基板(比誘電率3.8程度),アルミナ(比誘電率8.5程度)等のセラミック基板、ポリイミド,液晶ポリマー(いずれも比誘電率が10以下のものが存在する。)等の樹脂基板等を用いることができる。
【0050】
また、圧電基板2を、圧電材料からなる第1の基板にシリコン,ガラス,サファイア,石英,水晶,樹脂等の圧電材料より熱膨張率が小さい他の材料からなる第2の基板を接合した複合基板とした場合には、温度変化による圧電基板2の歪み等に起因する弾性表面波素子1の周波数温度特性を改善することも可能となる。さらに、圧電基板2を、サファイア,石英,水晶,セラミックス等の、圧電材料からなる第1の基板よりも熱伝導率の高い他の材料から成る第2の基板を接合した複合基板とした場合には、フィルタ領域9で発生した熱を効率的に逃がすことが可能となるため、圧電基板2自身の昇温を抑えることができ、これによって周波数温度特性を改善することができるとともに、温度により加速される励振電極3の劣化を抑えることもできる。
【0051】
本発明の弾性表面波素子は、通信装置に適用することができる。すなわち、少なくとも受信回路または送信回路の一方を備える通信装置において、本発明の弾性表面波素子をこれらの回路に含まれるバンドパスフィルタとして用いる。例えば、送信回路から出力された送信信号をミキサでキャリア周波数にのせて、不要信号をバンドパスフィルタで減衰させ、その後、パワーアンプで送信信号を増幅して、デュプレクサを通ってアンテナより送信することができる送信回路を備えた通信装置や、受信信号をアンテナで受信し、デュプレクサを通って、受信信号をローノイズアンプで増幅し、その後、バンドパスフィルタで不要信号を減衰して、ミキサでキャリア周波数から信号を分離し、この信号を取り出す受信回路へ伝送するような受信回路を備えた通信装置に適用可能であり、これら受信回路および送信回路の少なくとも一方に本発明の弾性表面波素子を採用すれば、伝送特性が向上した優れた本発明の通信装置を提供できる。
【実施例】
【0052】
<第1の実施例>
まず、38.7°YカットX伝搬タンタル酸リチウム単結晶基板から成る圧電基板2(基板厚みは250μm)の一方主面にスパッタリング法により基板側からTi/Al−1質量%Cu/Ti/Al−1質量%Cuからなる4層の導体層を成膜した。層厚はそれぞれ6nm/209nm/6nm/209nmである。次に、この導体層をフォトリソグラフィとRIEとによりパターニングして、それぞれ励振電極3と入力パッド部5と出力パッド部6とを具備するフィルタ領域9を有する多数の弾性表面波素子領域を形成した。このときのエッチングガスにはBClおよびClの混合ガスを用いた。励振電極3を形成する櫛歯状電極の電極指の線幅および隣り合う電極指間の距離はどちらも約1μmである。
【0053】
次に、スパッタリング法により圧電基板2の他方主面の全面にホウ素を微量に添加したシリコンから成る半導体層22を形成した。この半導体層22の厚みは200nmである。
【0054】
次に、入力パッド部5および出力パッド部6の上に新たなCr/Ni/Auから成る導体層を積層して入力パッドおよび出力パッドを形成した。この新たな導体層の厚みはそれぞれ6nm/1000nm/100nmである。
【0055】
次に、圧電基板2を弾性表面波素子領域毎にダイシングによって分離して多数個の弾性表面波素子1を得た。
【0056】
次に、弾性表面波素子1をLTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)基板からなる実装用基体31上に一方主面を対面させて実装した。ここで、LTCC基板は圧電基板2の一方主面に形成した環状導体7に対応する基体側環状導体32および弾性表面波素子1の入出力パッドと接続されるパッド電極を有しており、予めこれら基体側環状導体32およびパッド電極には半田を印刷しておいた。これに弾性表面波素子1を実装するにおいては、これら半田パターンに一致するように弾性表面波素子1を配置して超音波を印加することにより仮固定し、その後、加熱することにより半田を溶融することによって環状導体7と基体側環状導体32とを、および入出力パッドとパッド電極とを接続した。これにより、弾性表面波素子1のフィルタ領域9はLTCC基板の基体側環状導体32とこれに接続された環状導体7とによって完全に気密封止される。なお、弾性表面波素子1の実装工程は窒素雰囲気下で行なった。
【0057】
次に、樹脂モールドを行ない、弾性表面波素子1の他方主面(裏面)を外装樹脂34で保護し、最後に実装用基体31を各弾性表面波素子1間でダイシングすることにより、本発明の弾性表面波装置を得た。
【0058】
また、比較例として、従来のように圧電基板の一方主面に励振電極と入力パッド部と出力パッド部とを具備するフィルタ領域を形成し、他方主面の全面に導体層を形成した弾性表面波素子を、実装用基体上に一方主面を対面させて実装させた弾性表面波装置を作製した。本比較例の上面図は図8と同様である。
【0059】
このようにして作製した本発明の実施例と比較例について、図10にその周波数特性を線図で示す。図10の線図において、横軸は周波数(単位:MHz)を、縦軸は減衰量(単位:dB)を表し、点線の特性曲線はLT基板の他方主面の全面に導体層を形成した比較例の結果を示し、実線の特性曲線はLT基板の他方主面の全面に半導体層を形成した実施例の結果を示している。図10に示す結果から分かるように、この本発明の実施例の弾性表面波装置は、比較例のものに比べて非常に良好な通過帯域外減衰量を有している。特に、比較例のものと比べて、通過帯域近傍の通過帯域外減衰量が大幅に改善されている。
【0060】
また、実施例に対して半導体層22を図3〜図7に示すようにパターニングしたものについても作製して同様に周波数特性を評価したところ、同じく通過帯域近傍の通過帯域外減衰量が大幅に改善されていることが確認できた。
【0061】
<第2の実施例>
本実施例では、弾性表面波素子1の上面図は環状導体7を設けないことを除いて図8と同様であるが、封止構造が異なっている。本実施例では、図11に断面図で示したように、環状導体7を用いる代わりに励振電極3を局部的に保護するための環状絶縁体41およびカバー部材42からなる封止構造を用いて励振電極3を保護し、その周りを外装樹脂34によって保護し、外装樹脂34の上面から入力パッド部5、出力パッド部6および接地電極パッド部(図示せず)に達する貫通孔を設け、その中に導体柱43を充填することにより接続電極とした。このような構造とすることにより、環状導体7を用いる場合よりも小型な弾性表面波装置40とすることができる。
【0062】
ここで、環状絶縁体41は感光性ポリイミドと通常のフォトリソグラフィの工程を用いて形成した。また、カバー部材42にはガラスを用い、熱可塑性樹脂を用いて環状絶縁体41に接着した。外装樹脂34は感光性ポリイミドであり、フォトリソグラフィ工程によって貫通孔を形成した後、メッキにて導体柱43を形成し端子電極(接続電極)とした。
【0063】
また、比較例として、本実施例と同様の封止構造であるが、裏面に半導体層22を設けない弾性表面波素子を用いた弾性表面波装置を作製した。
【0064】
このように作製した本発明の実施例および比較例について歩留まりを比較した結果、比較例のものについては封止工程中に焦電効果が原因となって起こったスパークによって全体の約2%が不良となったが、本発明の実施例のものについてはスパークによる不良は発生せず、封止工程の前後で歩留まりの低下は見られなかった。
【0065】
なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることは何ら差し支えない。例えば、2個以上のフィルタ領域を同一の圧電基板上に設けてもよい。その場合には複数の弾性表面波素子を別々に作製した場合に比べて全体の占める面積を小型にすることができる。
【0066】
また、図8等ではラダー型フィルタを構成した場合の例を示したが、本発明はフィルタの構造を限定するものではなく、DMS型やIIDT型のフィルタを用いてもよい。また、入出力パッド部の配置も図8等に示した例に限定されるものではなく、入出力パッド部が圧電基板の対角上に位置するように配置されていても構わない。
【0067】
また、励振電極の材料も実施例に挙げた材料に限定されるものではなく、単層のAl,Au,Ta,W,Mo,Ti,Cuやその合金を用いたり、これらと圧電基板の間に密着層を挿入した構造としても構わない。
【0068】
また、図2等では本発明の弾性表面波素子を実装用基体にフリップチップ実装した例を示したが、セラミックスや樹脂からなるパッケージにフリップチップ実装しても構わない。
【0069】
また、図11等では導体柱43を弾性表面波素子1の主面上に設けて端子電極としたが、圧電基板2に貫通孔を設け、この貫通孔の壁面に導体層を設けたり、この貫通孔に導体を充填したりすることによって端子電極を形成しても構わない。この場合、回路基板への実装はフェースアップ実装となるが、弾性表面波素子1自体のサイズが非常に小型になっているため、端子電極間の距離が非常に小さくなっている。これを端子電極の接続に半田を用いて回路基板に実装すると、弾性表面波素子の裏面(他方主面)に充分に焦電破壊防止の効果が得られる面積の接地電極を形成した場合には端子電極と接地電極が短絡してしまうという問題が発生するが、本発明のように半導体層22が形成されたものとすることにより、焦電破壊と短絡の問題とを同時に解決することができる。
【0070】
さらに、以上の例では半導体層に非形成領域を設ける場合については、圧電基板の他方主面に半導体層を一旦形成してから所望の領域の半導体層を除去することを主に説明したが、半導体層を形成しない領域を予め設定しておいて、その領域以外に半導体層を形成するようにして所望の半導体非形成領域を配置するようにしても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の弾性表面波素子の実施の形態の例1における弾性表面波素子を示す断面図である。
【図2】本発明の弾性表面波素子の実施の形態の例1の断面図である。
【図3】本発明の弾性表面波素子の実施の形態の例2における弾性表面波素子の圧電基板の他方主面(半導体層の非形成領域のパターン)を示す上面図である。
【図4】本発明の弾性表面波素子の実施の形態の例2における弾性表面波素子の圧電基板の他方主面(半導体層の非形成領域のパターン)を示す上面図である。
【図5】本発明の弾性表面波素子の実施の形態の例2における弾性表面波素子の圧電基板の他方主面(半導体層の非形成領域のパターン)を示す上面図である。
【図6】本発明の弾性表面波素子の実施の形態の例2における弾性表面波素子の圧電基板の他方主面(半導体層の非形成領域のパターン)を示す上面図である。
【図7】本発明の弾性表面波素子の実施の形態の例2における弾性表面波素子の圧電基板の他方主面(半導体層の非形成領域のパターン)を示す上面図である。
【図8】本発明の弾性表面波素子の一例を表す弾性表面波素子の圧電基板の一方主面を示す上面図である。
【図9】本発明の弾性表面波素子の他の例を表す弾性表面波素子の圧電基板の一方主面を示す上面図である。
【図10】本発明の実施例で作製した弾性表面波装置の帯域通過特性を示す線図である。
【図11】本発明の弾性表面波素子の第2の実施例の断面図である。
【図12】従来の弾性表面波装置の実装構造を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0072】
1:弾性表面波素子
2:圧電基板
3:励振電極
4:接続電極
5:入力パッド部
6:出力パッド部
7:環状導体
8:接地電極パッド
9:フィルタ領域
10:抵抗体
22:半導体層
30:保護膜
31:実装用基体
32:基体側環状導体
33:ろう材
34:外装樹脂
40:弾性表面波装置
41:環状絶縁体
42:カバー部材
43:導体柱
5a:入力パッド部に対向する領域
5b:入力パッド部から前記励振電極まで直流的に接続されている部分に対向する領域
6a:出力パッド部に対向する領域
6b:出力パッド部から前記励振電極まで直流的に接続されている部分に対向する領域
9a:フィルタ領域に対向する領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電基板の一方主面に励振電極と入力パッド部と出力パッド部とを具備するフィルタ領域が形成され、他方主面に半導体層が形成されていることを特徴とする弾性表面波素子。
【請求項2】
前記半導体層は、シリコン,ゲルマニウム,酸化チタン,酸化亜鉛,窒化アルミニウムのうち少なくとも1つまたはそれを主成分とする材料からなることを特徴とする請求項1記載の弾性表面波素子。
【請求項3】
前記半導体層は、酸素含有量が化学量論比組成より少ない、タンタル酸リチウム単結晶またはニオブ酸リチウム単結晶または四ホウ酸リチウム単結晶から成ることを特徴とする請求項1記載の弾性表面波素子。
【請求項4】
前記圧電基板は、前記一方主面側が圧電材料から成り、前記他方主面側が前記圧電材料より比誘電率が小さい他の材料から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の弾性表面波素子。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の弾性表面波素子を有する、受信回路および送信回路の少なくとも一方を備えたことを特徴とする通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−128809(P2006−128809A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−311245(P2004−311245)
【出願日】平成16年10月26日(2004.10.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】