説明

弾球遊技機

【課題】始動入賞した遊技球を貯留しておき遊技球を用いた報知演出を行う弾球遊技機が、遊技球の球切れによって遊技者に違和感を与えることを回避する。
【解決手段】始動入賞すると大当り遊技を行うか否かに関する第1の抽選と、大当り遊技開始以降の遊技の進行に関する第2の抽選とを行い、大当り遊技中の所定タイミングで、始動入賞して貯留しておいた遊技球を1球放出して、第2の抽選結果を報知する振分演出を行う。また、振分演出に先立って、貯留遊技球の有無を確認し、遊技球の貯留が検出できなかった場合には、遊技球を用いない報知演出を行うことによって、第2の抽選結果を遊技者に報知する。こうすれば、貯留されている遊技球がなくなって、遊技球を放出できなかった場合でも報知演出を行うことができるので、遊技者に違和感を与えることを回避可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機などの、遊技盤面上に向けて遊技球を発射することによって遊技を行う弾球遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の入球口が設けられた遊技盤面上に遊技球を発射して、何れかの入球口に遊技球が入球すると、所定個数の遊技球が賞球として払い出される遊技を行う遊技機には、種々の弾球遊技機が知られている。また、これら弾球遊技機の中には、通常状態では閉鎖されていて遊技球が入球し得ない特別な入球口(例えば、大入賞口)を、遊技球が容易に入球し得る開口状態とすることで、遊技者にとって有利な遊技状態(いわゆる大当り遊技)を開始するタイプの弾球遊技機も知られている。この弾球遊技機では、大当り遊技を開始するためには、次のような手順を踏む必要がある。先ず、遊技盤面上に設けられた複数の入球口のうち、大当り遊技を開始するか否かの抽選の実行契機となる入球口(例えば、始動口)に遊技球を入球させる。すると遊技機の内部では、大当り遊技を開始するか否かの抽選が行われ、そして抽選の結果が当りであった場合に、大当り遊技が開始されるようになっている。
【0003】
また、このような弾球遊技機の遊技盤面上には、図柄の変動表示および停止表示が可能な図柄表示装置も搭載されている。図柄表示装置は、始動口に遊技球が入球すると図柄の変動表示を開始して、所定時間が経過した後に、抽選結果に応じた図柄で停止表示する。こうすることで、抽選結果を遊技者に報知するとともに、抽選の様子を演出して遊技者の興趣を盛り上げることが可能となっている。また、図柄の変動中に始動口に遊技球が入球した場合には、その変動表示の終了後に新たな変動表示(大当り遊技を開始するか否かの抽選)を開始するべく、遊技球の入球が最大4個まで保留として記憶される。
【0004】
更には、始動口に入球した実際の遊技球を貯留しておき、図柄の変動表示中、あるいは変動表示が終了して大当り遊技が発生した後に、貯留しておいた遊技球を1球だけ放出して、遊技球を用いた演出を行う弾球遊技機も提案されている(特許文献1、特許文献2など)。これら提案されている弾球遊技機では、実際の遊技球を用いることで、遊技者にとってより印象的な演出を行うことが可能である。また、上述したように、図柄の変動表示や大当り遊技が行われる場合には、それに先立って、必ず始動口に遊技球が入球していることから、演出に用いる遊技球は始動口に入球した遊技球を用いることが合理的であり、従って、上記提案の何れの弾球遊技機においても、始動口に入球した遊技球を貯留しておき、演出開始時に、貯留しておいた遊技球を放出するようになっている。また、保留は最大で4個までしか蓄えることができないから、遊技球も最大4個まで貯留しておけば良い。
【0005】
【特許文献1】特開2003−38789号公報
【特許文献2】特開2006−239251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、始動口に入球した遊技球を用いて演出を行う弾球遊技機の中でも、大当り遊技が発生した後に演出を行う遊技機では、遊技機自体には何ら故障などが生じていないにも拘わらず、何故か演出ができなくなることがあり、このため遊技者に強い違和感を与え、場合によっては、遊技に対する不信感を抱かせる虞があるという問題があった。
【0007】
この発明は、従来の技術における上述した課題を解決するためになされたものであり、始動口に入球した遊技球を貯留しておき、大当り遊技が発生したら、この遊技球を用いて演出を行う弾球遊技機において、遊技者に違和感を与えることを回避可能な弾球遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の弾球遊技機は次の構成を採用した。すなわち、
図柄の変動表示が可能な図柄表示装置と複数の入球口とが設けられた遊技盤面上に遊技球を発射して、何れかの入球口に遊技球が入球すると、賞球として所定個数の遊技球が払い出される遊技を行う弾球遊技機において、
遊技球が入球し得ない閉鎖状態と、遊技球の入球が容易な開口状態とに切り替え可能に構成され、通常時は閉鎖状態となっている入球口たる可変入球口と、
前記可変入球口を開口状態とすることによって大当り遊技を実行する大当り遊技実行手段と、
前記遊技盤面上に設けられた複数の入球口の中の所定の入球口たる始動口と、
前記始動口に遊技球が入球すると、前記大当り遊技を実行するか否かについての抽選を行う第1の抽選手段と、
前記大当り遊技の開始以降の遊技条件を、予め設定された複数の遊技条件の中から抽選によって決定する第2の抽選手段と、
前記第1の抽選が行われると前記図柄表示装置で図柄を変動表示させた後、該第1の抽選の結果に応じた図柄で停止表示させる制御を行う図柄表示制御手段と、
前記図柄表示装置での図柄の変動表示中に前記始動口に遊技球が入球した場合には、該変動表示中の図柄の停止表示後に新たな変動表示を行うべく、入球した遊技球の個数を所定の上限個数の範囲内で保留数として記憶しておく保留数記憶手段と、
前記始動口に入球した遊技球を、前記保留数の上限個数を限度として貯留しておく遊技球貯留手段と、
前記大当り遊技の開始後の所定時期に、貯留されている遊技球の有無を検出する貯留遊技球検出手段と、
前記大当り遊技の開始後に前記貯留遊技球検出手段が遊技球の貯留を検出した場合には、該貯留されている遊技球を該大当り遊技の進行中に少なくとも1つ放出し、前記第2の抽選結果に対応して設けられた所定領域に遊技球を導く振分演出を行うことにより、該第2の抽選結果を遊技者に報知する振分演出手段と、
前記大当り遊技の開始後に前記貯留遊技球検出手段が遊技球の貯留を検出できなかった場合には、前記第2の抽選結果を、前記振分演出による報知よりも確度が低く且つ遊技球を用いずに報知する複数種類の演出態様の中から1つの演出態様を選択し、該選択した態様の演出を該大当り遊技の終了後に行う報知演出手段と
を備えることを特徴とする。
【0009】
かかる本発明の弾球遊技機においては、始動口に遊技球が入球すると、大当り遊技を実行するか否かについての抽選が、第1の抽選手段によって行われる。また、第2の抽選手段では、大当り遊技が開始された後の遊技の進行に関わる遊技条件が決定される。ここで、第2の抽選手段によって決定される遊技条件としては、例えば、今回開始された大当り遊技の終了後に、次回の大当り遊技が発生する確率(当否判定確率)を高確率または低確率(通常確率)の何れかに設定する大当り抽選確率条件(当否判定確率条件)や、始動口を開閉式(普通電動役物)とした場合には、今回開始された大当り遊技の終了後に、始動口(普通電動役物)の開口時間を短時間(通常状態)または長時間(延長状態)の何れかに設定する開口時間条件や、今回開始された大当り遊技の終了後から所定期間に亘って、図柄表示装置での図柄変動時間を通常時間(通常状態)または短縮時間(短縮状態)の何れかに設定する変動時間条件や、それら条件に基づく遊技の実行期間(継続期間、例えば、図柄変動回数が100回に到達するまで継続)を設定する継続条件が例示できる。また、大当り遊技中に行うラウンド遊技の回数を設定するラウンド遊技条件や、大当り遊技中あるいは大当り遊技終了後の演出態様を設定するための演出条件を、大当り遊技開始以降の遊技条件に含めることも可能である。そして、大当り遊技が開始されると、始動口に入球して貯留されていた遊技球を少なくとも1球放出して、その遊技球を、第2の抽選結果に対応して設けられた所定領域に導く振分演出を行うことによって、第2の抽選結果を遊技者に報知する。また、遊技球を放出するに先立って、貯留されている遊技球の有無を確認し、遊技球の貯留が検出できなかった場合には、次のようにして、第2の抽選結果を遊技者に報知する。すなわち、遊技球を用いずに第2の抽選結果を報知するとともに、振分演出による報知よりも確度が低い態様で報知する演出態様を複数種類設けておき、これら演出態様の中から1つの演出態様を選択する。そして、大当り遊技の終了後に、選択しておいた態様の演出を行うことによって、第2の抽選結果を遊技者に報知する。
【0010】
こうすれば、万が一、貯留されている遊技球が何らかの理由で検出できず、振分演出を正常に行うことができない状況が発生したとしても、遊技球を用いない報知演出を行うことによって第2の抽選結果を報知することができるので、振分演出が実行されないことに対する違和感を遊技者に与えることを回避することができる。加えて、遊技球を用いない報知演出は、遊技球を用いた振分演出よりも、確度の低い態様で報知している。詳細な理由については後述するが、このようにすることで、たとえ報知演出のみを行った場合でも、そのような報知態様が予め設定されているかのように、遊技者に感じさせることができる。その結果、たとえ遊技球の振り分けによる報知が行われなかった場合でも、遊技者は大きな違和感を覚えることなく遊技を継続することが可能となる。
【0011】
また、上述した本発明の弾球遊技機においては、次のようにして遊技球の振分演出を行っても良い。先ず、遊技球の振り分けによって第2の抽選結果を報知するための振分演出装置を搭載しておく。この振分演出装置の内部には、特定領域と非特定領域とが設けられており、遊技者は、遊技球が導かれる様子を視認可能となっている。また、振分演出装置の内部には、遊技球貯留手段から放出された遊技球が転動する遊技球転動部と、遊技球転動部を転動している遊技球を捕捉する複数の遊技球捕捉部と、遊技球捕捉部から特定領域あるいは非特定領域へと遊技球を誘導する遊技球誘導部などが設けられている。遊技球誘導部は、遊技球捕捉部と特定領域あるいは非特定領域との間に設けられており、遊技球捕捉部、特定領域、および非特定領域のそれぞれに対して相対位置を変化させることにより、遊技球捕捉部に捕捉された遊技球を、特定領域あるいは非特定領域の何れにも誘導可能となっている。そして、遊技球転動部で転動していた遊技球が遊技球捕捉部に捕捉されると、何れの遊技球捕捉部に捕捉されたかを検出し、その検出結果と第2の抽選結果とに応じて、遊技球誘導部を制御することにより、捕捉されている遊技球を、抽選の結果に対応して特定領域あるいは非特定領域に導くようになっている。そして、第2の抽選結果が遊技者にとって有利な所定の抽選結果であった場合には、遊技球を特定領域に導き、その他の抽選結果であった場合には遊技球を非特定領域に導くこととして、何れの領域に遊技球が導かれるかによって、第2の抽選結果を遊技者に報知するようにしても良い。
【0012】
こうすれば、第2の抽選結果に応じて、遊技球を特定領域あるいは非特定領域に何れにも、確実に誘導することができるので、第2の抽選結果を正しく遊技者に報知することが可能となる。また、遊技球は、遊技球捕捉部で捕捉されるまでの間は遊技球転動部を転動しているから、捕捉されるまでの間には種々の経路を取ることができる。加えて、遊技球捕捉部も複数設けられているから、それぞれの遊技球捕捉部に対して種々の経路が存在していることになる。このため、遊技球が、最終的に特定領域あるいは非特定領域の何れに誘導される場合でも、それまでの間に遊技球は種々の経路を取ることができるので、抽選結果を報知するための遊技球の動きが単調になることがなく、また、不自然になることもない。この結果、振分演出における遊技球の動きに関して遊技者に強い違和感を与えることを抑えることができ、また、第2の抽選結果が振分演出の実行前に決まっているにもかかわらず、遊技球の振分(振分演出装置)により第2の抽選を実行しているかの印象を遊技者に与えることができる。
【0013】
また、このような遊技球振分装置を備えた本発明の弾球遊技機では、遊技球が非特定領域に導かれた場合にも、報知演出手段によって、複数種類の演出態様の中から1つの演出態様を選択し、大当り遊技の終了後に、選択しておいた態様で報知演出を行うようにしてもよい。
【0014】
こうすれば、遊技球を用いた振分演出のみが行われる場合と、振分演出および報知演出が行われる場合とが発生するので、たとえ、振分演出が実行されないことが原因で報知演出のみが行われても、遊技者は何ら違和感を覚えることがない。その結果、たとえ貯留されている遊技球が尽きてしまい、遊技球を用いた振分演出が行えなかった場合でも、遊技者は違和感を持たずに遊技を継続することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.パチンコ機の装置構成:
A−1.装置前面側の構成:
A−2.遊技盤の構成:
A−3.中央装置の構成:
A−4.制御回路の構成:
B.遊技の概要:
C.制御の概要:
C−1.遊技制御処理:
C−2.特別図柄遊技処理:
C−3.特別電動役物遊技処理:
D.演出制御処理:
D−1.振分演出処理:
D−2.振分演出装置における遊技球の誘導方法:
D−3.報知演出処理:
【0016】
A.パチンコ機の装置構成 :
A−1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例の遊技機1の正面図である。図1に示すように、遊技機1の前面部は、大きくは、前面枠4、上皿部5、下皿部6、遊技盤10などから構成されている。なお、図1では遊技盤10の詳細な図示を省略している。前面枠4は、図示しない中枠3に取り付けられており、中枠3は図示しない本体枠2に取り付けられている。中枠3はプラスチック材料で成形されており、本体枠2の内側に取り付けられている。本体枠2は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、遊技機1の外枠を形成している。前面枠4の一端は、中枠3に対して回動可能に軸支されており、中枠3の一端は本体枠2に対して回動可能に軸支されている。遊技盤10は、中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられており、その前面側が前面枠4で覆われている。
【0017】
前面枠4は、プラスチック材料で成形されており、略中央部には、円形状の開口部4aが形成されている。この開口部4aにはガラス板等の透明板がはめ込まれており、奥側に配置される遊技盤10の盤面が視認可能となっている。また、前面枠4には、遊技効果を高めるための各種ランプ類4b〜4fが設けられている。
【0018】
前面枠4の下方には、上皿部5が設けられており、上皿部5の下方には下皿部6が設けられている。また、前面枠4の右側には施錠装置9が設けられており、前面枠4の左側にはプリペイドカード式の球貸装置13(CRユニット)が設けられている。
【0019】
上皿部5には、皿状の凹部と、凹部を取り巻くように形成された皿外縁部5aとが設けられている。遊技球は、上皿部5に形成された凹部に投入されて、発射装置ユニット12(図7参照)に供給される。また、皿外縁部5aには、遊技球の球貸スイッチ5b、返却スイッチ5c、投入した遊技球を排出するための排出ボタンなど、各種のボタン類が設けられている。さらに、上皿部5の略中央部には複数の長孔とその上部に多数の小穴が形成された第1スピーカ5yが設けられている。更に、上皿部5の手前側(遊技者側)には、2つの操作スイッチSW1,SW2が設けられている。遊技者は、このスイッチを押すことによって、遊技中に遊技条件を変更するなど、遊技の進行に介入することが可能となっている。
【0020】
下皿部6には、遊技機1の内部から遊技球を排出するための排出口6aが設けられており、排出された遊技球は下皿部6内に貯留される。また、下皿部6の下面の左右には、第2スピーカ6cが設けられている。
【0021】
下皿部6の右端には発射ハンドル8が設けられている。発射ハンドル8には、遊技者がハンドルに触れていることを検出するタッチスイッチ8aが設けられている。発射ハンドル8の回転軸は、下皿部6の奥側に搭載された図示しない発射装置ユニット12に接続されており、遊技者が発射ハンドル8を回転させると、その動きが発射装置ユニット12に伝達され、ユニットに内蔵された図示しない発射モータが回転して、回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。発射ハンドル8の左側面には、遊技者が操作して遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ8bが配置されている。
【0022】
A−2.遊技盤の構成 :
図2は、遊技盤10の盤面構成を示す説明図である。前述したように、遊技盤10は中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。図2に示すように、遊技盤10の中央には、外レール14と内レール15とによって囲まれた略円形状の遊技領域11が形成されている。
【0023】
遊技領域11の略中央には中央装置40が設けられている。中央装置40は、後述するように、遊技球を振り分ける演出を行う振分演出装置や、各種図柄の表示装置、演出用のランプ類などが組み込まれて構成されており、遊技の進行状況に応じて、遊技球の振り分けを用いた演出を行ったり、各種図柄が変動表示したり、あるいはランプ類が点灯するようになっている。中央装置40の構成については、別図を用いて詳しく説明する。
【0024】
中央装置40の上方には、始動口(普通電動役物)17が設けられている。始動口(普通電動役物)17は、左右に一対の翼片部が開閉可能に構成されたいわゆるチューリップ式の始動口である。始動口17の内部には、遊技球の通過を検出する始動口(普通電動役物)スイッチ17s(図7参照)と、翼片部を作動させるための普通電動役物(始動口)ソレノイド17m(図7参照)とが備えられている。この始動口17は、一対の翼片部が左右に開くと、遊技球の入球が可能となる開口状態となり、一対の翼片部が直立して、遊技球の入球が不可能な通常状態となるように構成されている。始動口17に遊技球が入球すると、所定個数の遊技球が賞球として払い出されるとともに、中央装置40に設けられた各種図柄の表示装置では、始動口17への入球が契機となって図柄の変動表示が開始されるようになっている。
【0025】
中央装置40の下方には、大入賞口31dが設けられている。大入賞口31dは、通常時は、遊技球が入球不能な状態に閉鎖されているが、後述する所定の条件が成立すると開口状態となり、この結果、遊技球が高い確率で大入賞口31dに入球することとなって、遊技者にとって有利な遊技状態である大当り遊技状態(特別遊技状態と呼ばれることもある)が開始される。また、大入賞口31dの内部には、大入賞口スイッチ31s(図7参照)が設けられており、大入賞口31dに入賞した遊技球を検出することが可能となっている。
【0026】
また、遊技者の側から見て大入賞口31dの左右には2つずつ、合計で4つの入球口が設けられており、これらの入球口に遊技球が入球すると、所定個数の遊技球が賞球として払い出されるようになっている。尚、以下では、前述した始動口17と区別するために、始動口17ではない入球口を指す場合には、一般入球口19と呼ぶことにする。
【0027】
遊技領域11の左端(中央装置40の左側)には、始動口作動ゲート36が設けられており、このゲートの内部には、遊技球の通過を検出するゲートスイッチ36sが設けられている。また、始動口17の斜め上方左右にもランプ風車24が一つずつ設けられ、遊技領域11の下端には、アウト口35が設けられている。これら各遊技装置の間および周辺には、多数の障害釘23が設けられている。
【0028】
A−3.中央装置の構成 :
図3は、本実施例の遊技機1に搭載された中央装置40の大まかな構成を示す説明図である。本実施例の中央装置40は、枠体41が硬質樹脂によって形成されており、中央には、上側から、回数表示装置45、変動表示装置47、保留数表示装置49、振分演出部50などが組み込まれている。また、振分演出部50の左右には、それぞれに特別図柄表示部42が組み込まれ、更に、それら特別図柄表示部42の左右と、変動表示装置47の左右との合計4箇所には、演出用ランプ70が組み込まれている。
【0029】
振分演出部50の左右に組み込まれた特別図柄表示部42には、それぞれ7つずつのLEDが設けられており、それぞれのLEDの点灯パターンによって種々の特別図柄を表示することが可能である。また、始動口17に遊技球が入球すると、特別図柄表示部42を構成する各LEDが点灯あるいは点滅することによって、特別図柄の変動表示が開始され、所定時間の経過後に何れかの表示態様で停止表示するようになっている。尚、本実施例の遊技機1では、この特別図柄表示部42が、本発明における「図柄表示装置」に対応している。特別図柄表示部42の変動表示中に、始動口17に遊技球が入球すると、その入球は保留として蓄えられて、保留数表示装置49に表示される。保留数表示装置49には4つのLEDが設けられており、保留として蓄えられている入球数(保留数)に応じた数だけLEDが点灯することで、保留数を表示可能である。変動表示装置47には、3桁分の7セグメントLEDが組み込まれている。これら3桁の7セグメントLEDは、特別図柄表示部42で特別図柄が変動表示すると同時に変動表示を開始し、特別図柄とともに停止表示するようになっている。また、回数表示装置45には、2桁分の7セグメントLEDが組み込まれている。回数表示装置45は2桁の数字を表示することにより、特別図柄表示部42および変動表示装置47で行う変動表示の回数を計数するようになっている。
【0030】
振分演出部50には、遊技球が振り分けられる様子が遊技者から目視可能に構成された振分演出装置や、振分演出装置に遊技球を供給するための機構、遊技盤面に向けて発射された遊技球を取り込んで貯留しておく機構などが組み込まれている。
【0031】
図4は、本実施例の遊技機1で採用されている振分演出装置51の構成を例示した説明図である。図4(a)には、振分演出装置51の斜視図が示されている。図示されているように、本実施例の振分演出装置51は、略円形の中央回転体52を中心として、その外周に二重に設けられた円環状の内周回転体53および外周回転体54、更にその外周に設けられた環状の転動通路55、転動通路55に遊技球を供給する供給通路58などから構成されている。このうち、最外周に設けられた転動通路55は、遊技球が転動可能となっており、その内側に設けられた外周回転体54および内周回転体53には、遊技球を捕捉可能な捕捉溝が複数箇所に設けられている。また、中央に設けられた中央回転体52には、遊技球の入球可能な特定領域52aおよび非特定領域52bが設けられている。
【0032】
図4(b)は、振分演出装置51を上方から見ることによって、中央回転体52や、内周回転体53、外周回転体54などに特定領域52aや、非特定領域52b、複数の捕捉溝が設けられている様子を示した説明図である。図中の中央で細かいハッチングが付されて表示されているのは中央回転体52であり、中央回転体52に示した「V」は特定領域52aを表し、「X」は非特定領域52bを表している。中央回転体52の外側に粗いハッチングを付して表示されているのは内周回転体53であり、その外側に少し細かいハッチングを付して表示されているのは外周回転体54である。また、外周回転体54および内周回転体53に表示された「A」ないし「G」は、それぞれ遊技球を捕捉する捕捉溝を表している。図示されているように、本実施例の振分演出装置51では、外周回転体54には「A」ないし「D」の4つの捕捉溝が設けられており、内周回転体53には「E」ないし「G」の3つの捕捉溝が設けられている。また、図中に矢印で示されているように、中央回転体52は回転しており、内周回転体53および外周回転体54も、中央回転体52を中心として回転するようになっている。これら中央回転体52、内周回転体53、および外周回転体54は、それぞれ専用のステップモータ50m,50n,50o(図7参照)によって回転位置が制御された状態で回転している。また、中央回転体52、内周回転体53、および外周回転体54は、それぞれに原点位置を検出可能となっている。
【0033】
このような構成を有する本実施例の振分演出装置51では、供給通路58から遊技球を供給すると、遊技球は転動通路55を転動する。転動通路55の底面は内周側(中央回転体52側)が低くなるように傾斜して設けられているため(図4(a)を参照のこと)、供給通路58から供給された遊技球は、やがて転動通路55の内周側に設けられた外周回転体54に接しながら転動するようになり、外周回転体54に設けられた「A」ないし「D」の何れかの捕捉溝に捕捉される。外周回転体54の捕捉溝も内周側(中央回転体52側)が低くなるように傾斜して設けられているが、捕捉溝の内周側は内周回転体53が塞いでいるため、遊技球は捕捉溝に捕捉されたまま、外周回転体54とともに回転する。しかし、外周回転体54と内周回転体53とは回転速度が異なっているため、やがて、遊技球を捕捉している捕捉溝が内周回転体53に設けられた「E」ないし「G」の何れかの捕捉溝と一致して、遊技球は内周回転体53の捕捉溝に移動する。内周回転体53の捕捉溝も内周側(中央回転体52側)が低くなるように傾斜して設けられているが、捕捉溝の内周側は中央回転体52によって塞がれているため、遊技球は捕捉溝に捕捉されたまま、暫くの間、内周回転体53とともに回転する。しかし、内周回転体53も中央回転体52とは回転速度が異なっているので、遊技球を捕捉している捕捉溝が、やがては中央回転体52に設けられた特定領域52aあるいは非特定領域52bと一致して、捕捉されている遊技球が特定領域52aあるいは非特定領域52bに導かれる。また、特定領域52aおよび非特定領域52bには、それぞれ遊技球を検出する遊技球検出センサ52s,52tが設けられており(図7参照)、遊技球が何れの領域に導かれたかを検出することが可能となっている。
【0034】
尚、特定領域52aおよび非特定領域52bは、中央回転体52とともに回転しているから、遊技球が何れに入球したかを遊技者が容易に識別可能なように、中央回転体52の中心にはメダルを模した装飾部材52pが立設されている(図4(a)を参照のこと)。そして、特定領域52aの側のメダル表面には金メッキが施され、非特定領域52bの側のメダル表面には銀メッキが施されている。このため遊技者は、メダル表面に金メッキあるいは銀メッキの何れが施されているかによって、遊技球が通過した領域が、特定領域52aまたは非特定領域52bの何れであるかを容易に認識することが可能となっている。
【0035】
このように、本実施例の振分演出装置51では、供給通路58から遊技球を供給すると、その遊技球が転動通路55を転動した後、捕捉溝によって外周回転体54から内周回転体53へと移動して、最終的に、特定領域52aまたは非特定領域52bの何れかに導かれるようになっている。ここで、外周回転体54には「A」ないし「D」の4つの捕捉溝が設けられているので、転動通路55を転動した遊技球は、何れの捕捉溝にも捕捉される可能性がある。また、内周回転体53には「E」ないし「G」の3つの捕捉溝が設けられているので、外周回転体54の捕捉溝から、これら何れの捕捉溝にも遊技球が移動し得る。そして、内周回転体53に設けられた何れの捕捉溝に移動した場合でも、遊技球は、特定領域52aまたは非特定領域52bの何れにも導かれる可能性がある。すなわち、本実施例の振分演出装置51では、遊技球が特定領域52aまたは非特定領域52bの何れに導かれる場合でも、遊技球の移動経路は、遊技球が最終的に特定領域52aまたは非特定領域52bを通過するまでの間に非常に多くの経路を取り得るようになっている。
【0036】
また、本実施例の振分演出装置51には、遊技者が見つけ難い位置に、遊技球を検出する遊技球検出センサ56,57が搭載されており、遊技球が何れの捕捉溝にあるかを検出することが可能となっている。そして、詳細には後述するが、遊技球の検出結果に応じて、外周回転体54や、内周回転体53、中央回転体52の回転速度を制御することにより、遊技球を、特定領域52aまたは非特定領域52bの何れに導くかを、自由に制御することが可能となっている。このため、遊技機の内部で行われた抽選の結果を、遊技球が特定領域52aまたは非特定領域52bの何れに導かれるかによって遊技者に報知することができる。
【0037】
加えて、前述したように、遊技球が特定領域52aまたは非特定領域52bの何れに導かれる場合でも、遊技球の移動経路は、遊技球が最終的に特定領域52aまたは非特定領域52bを通過するまでの間に非常に多くの経路を取ることができるので、遊技者には、遊技球が偶然、特定領域52aあるいは非特定領域52bに振り分けられたかのように感じられるようになる。その結果、実際には振分演出装置51で行われているのは、抽選の結果を単に遊技球を用いて報知しているだけであるにも拘わらず、遊技球が特定領域52aあるいは非特定領域52bの何れに導かれるかによって、その後の遊技の進行状況が影響を受けるかのように感じられるので、いきおい遊技者は遊技球の動きに注目し、その結果、遊技に対する興趣が掻き立てられることになる。こうしたことを可能とするために行われている制御内容については、後ほど詳しく説明する。
【0038】
尚、本実施例の振分演出装置51に供給された遊技球が転動する転動通路55は、本発明における「遊技球転動部」に対応しており、転動する遊技球が捕捉される捕捉溝「A」ないし「D」は、本発明における「遊技球捕捉部」に対応している。更に、本実施例の遊技球検出センサ56,57は、本発明の「遊技球検出手段」に対応しており、本実施例の内周回転体53は、本発明の「遊技球誘導部」に対応している。
【0039】
図5は、振分演出装置51に遊技球を供給するための構成を示した説明図である。始動口17に入球した遊技球は、始動口スイッチ17sによって入球が検出された後、排出通路60を介して遊技球貯留部62に供給される。尚、後述するように本実施例の遊技機1では、特別図柄の保留を、最大4個まで蓄えることが可能であり、このことと対応して遊技球貯留部62にも、4個までの遊技球を貯留しておくことが可能となっている。また、それ以上の遊技球が遊技球貯留部62に供給された場合には、バイパス通路66から排出される。
【0040】
遊技球貯留部62の下端側には遊技球供給部64が設けられており、遊技球供給部64の内部にはカム64cが組み込まれている。そして、サブ制御基板220のCPU221の制御により球出ソレノイド64mを駆動させることでカム64cが作動し、このカム64cが作動する度に、遊技球貯留部62に貯留されている遊技球が1球ずつ放出されて、供給通路58を介して振分演出装置51に供給されるようになっている。尚、遊技球貯留部62に遊技球が貯留されていない場合は、球出ソレノイド64mを駆動させてカム64cを動かしても遊技球を放出することはできないので、図5に示されるように、遊技球貯留部62の下端には、貯留球検出センサ62sが設けられており、遊技球貯留部62に貯留されている遊技球の有無を検出することが可能となっている。
【0041】
図6は、球出ソレノイド64mによってカム64cが作動する度に、貯留されている遊技球が1球ずつ放出される様子を示した説明図である。図6(a)は、球出ソレノイド64mに通電していない通常状態を表している。図示されているように、通常状態では、カム64cは直立状態となっており、遊技球貯留部62の底面をカム64cの頂面が塞いで、遊技球貯留部62から遊技球供給部64へと遊技球が流入しないようになっている。図6(b)は、球出ソレノイド64mに通電した駆動状態を表している。球出ソレノイド64mに通電すると、図示されているようにカム64cが回転して、カム64cの頂面が移動するため、遊技球貯留部62から遊技球供給部64へと遊技球が流入し、カム64cの凹部に受け入れられる。もっとも、カム64cの凹部は遊技球1個分のスペースしかないので、遊技球は1球だけしか流入しない。この状態で、球出ソレノイド64mへの通電を切断すると、カム64cは図示しないバネの力によって元の直前状態に復帰し、その結果、カム64cの頂面によって遊技球供給部64の底部が塞がれた状態となる。このとき、カム64cの凹部に受け入れられていた遊技球は、図6(c)に太い矢印で示したように、供給通路58へと排出される。このように、本実施例の遊技機1では、サブ制御基板220のCPU221が球出ソレノイド64mを駆動する度に、遊技球貯留部62に貯留されている遊技球を1球ずつ、遊技球供給部64に供給し、遊技球供給部64から供給通路58へと放出することが可能となっている。
【0042】
尚、上述したように、遊技球貯留部62は、始動口17に入球した遊技球を、保留数の上限値に相当する4個まで貯留しておくことが可能であり、従って本実施例の遊技球貯留部62は、本発明における「遊技球貯留手段」に対応するものとなっている。また、貯留球検出センサ62sは、遊技球貯留部62に貯留されている遊技球の有無を検出していることから、本発明における「貯留遊技球検出手段」に対応している。
【0043】
A−4.制御回路の構成 :
次に、本実施例の遊技機1における制御回路の構成について説明する。図7は、本実施例の遊技機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているように遊技機1の制御回路は、多くの制御基板や、各種基板、中継端子板などから構成されているが、その機能に着目すると、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否についての制御を司る主制御基板200と、図柄やランプや効果音を用いた遊技の演出の制御を司るサブ制御基板220と、サブ制御基板220の制御の下で、回数表示装置45や、変動表示装置47や、振分演出部50(振分演出装置51)、演出用ランプ70などを用いて行われる演出の具体的な制御を行う演出制御基板230と、貸球や賞球を払い出す動作の制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に関する制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAM、周辺機器とのデータのやり取りを行うための周辺機器インターフェース(PIO)、CPUが演算を行うためのクロックを出力する発振器、CPUの暴走を監視するウォッチドッグタイマ、定期的に割り込み信号を発生させるCTC(カウンター・タイマ・サーキット)など、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。
【0044】
また、図7中に示した矢印の向きは、データあるいは信号を入出力する方向を表している。ここで、各制御基板の間でデータをやり取りする方向については、主制御基板200を最上流として、その下流にサブ制御基板220および払出制御基板240が接続されており、下流側のサブ制御基板220または払出制御基板240から上流側の主制御基板200にデータが出力されることはない。また、払出制御基板240と発射制御基板260との関係についても同様に、データは専ら上流側の払出制御基板240から下流側の発射制御基板260に向かって出力され、下流側の発射制御基板260から上流側の払出制御基板240に出力されることはない。これに対して、サブ制御基板220と演出制御基板230との関係では若干異なっており、基本的にはサブ制御基板220が上流側であり、演出制御基板230が下流側となっているが、下流側の演出制御基板230から上流側のサブ制御基板220へもデータを出力可能となっている。尚、図7では、主制御基板200に搭載されたCPU201、ROM202、サブ制御基板220に搭載されたCPU221、RAM223、および演出制御基板230に搭載されたCPU231のみが図示されている。
【0045】
図示されているように主制御基板200は、始動口17の内部に組み込まれた始動口スイッチ17sや、一般入球口19の内部に組み込まれた一般入球口19スイッチs、大入賞口スイッチ31s、ゲートスイッチ36sなどから遊技球の検出信号を受け取って、遊技の基本的な進行や各種の当否を決定した後、サブ制御基板220や払出制御基板240に向かって、各種の動作を指令するコマンドを出力する。また、主制御基板200には、始動口17に設けられた一対の翼片部を開閉させるための普通電動役物ソレノイド17mや、大入賞口31dを開閉させるための大入賞口ソレノイド31m、更には、中央装置40に組み込まれた特別図柄表示部42や保留数表示装置49などが中継端子板を介して接続されており、これら各種ソレノイド17m,31mや、特別図柄表示部42や保留数表示装置49などに向かって信号を出力することにより、これらの動作の制御も行っている。
【0046】
サブ制御基板220は、主制御基板200からの各種コマンドを受け取ると、コマンドの内容を解析して、その結果に応じた遊技の演出を行う。例えば、中央装置40に組み込まれた回数表示装置45や、変動表示装置47、振分演出部50、演出用ランプ70などの制御を行う演出制御基板230に対して演出内容を指定するコマンドを出力したり、各種のスピーカ5y、6cを駆動するアンプ基板224、装飾用の各種LEDやランプを駆動する装飾駆動基板226に駆動信号を出力することによって遊技の演出を行う。また、振分演出部50の振分演出装置51には、中央回転体52を回転駆動するためのステップモータ50mや、内周回転体53を回転駆動するためのステップモータ50n,外周回転体54を回転駆動するためのステップモータ50oなどが搭載されているが、これらのステップモータ50m,50n,50oは演出制御基板230に接続されており、サブ制御基板220からのコマンドを受けて、演出制御基板230によって駆動(回転)制御されるようになっている。また、遊技球検出センサ56,57による遊技球の検出信号も演出制御基板230に入力され、この検出信号に基づいて、演出制御基板230のCPU231は、ステップモータ50m,50n,50oの回転制御を行う。そして、演出制御基板230のCPU231は、ステップモータ50m,50n,50oの回転状況(ステップモータ50m,50n,50oの回転ステップ数や回転速度など)を監視して、ステップモータ50m,50n,50oが正常に作動(回転)しているか否かを判断し、その判断結果をサブ制御基板220に出力している。この判断結果に基づいて、サブ制御基板220のCPU221は、振分演出装置51(中央回転体52,内周回転体53,外周回転体54)が正常に作動しているか否かを判断するように構成されている。
【0047】
一方、遊技球貯留部62に貯留されている遊技球の有無を検出する貯留球検出センサ62sや、特定領域52aあるいは非特定領域52bを通過した遊技球を検出するための遊技球検出センサ52s,52tはサブ制御基板220に接続されており、それらセンサ62s,52s,52tなどからの信号はサブ制御基板220に入力される。そして、サブ制御基板220では、これら3つの検出センサ62s,52s,52tからの信号を演出の制御に反映させるとともに、その結果に基づいて、演出制御基板230にコマンドを出力するようになっている。
【0048】
払出制御基板240は、いわゆる貸球や賞球の払い出しに関する各種の制御を司っている。例えば、遊技者が前述した上皿部5に設けられた球貸スイッチ5bや返却スイッチ5cを操作すると、この信号は、球貸表示基板242から中継端子板を介して、球貸装置13に伝達される。球貸装置13は、払出制御基板240とデータをやり取りしながら、貸球の払出を行う。また、主制御基板200が賞球の払出コマンドを出力すると、このコマンドを払出制御基板240が受け取って、払出モータ109mに駆動信号を出力することによって賞球の払い出しが行われる。
【0049】
B.遊技の概要 :
次に、上述した構成を有する本実施例の遊技機1で行われる遊技の概要について簡単に説明しておく。本実施例の遊技機1では、次のようにして遊技が行われる。先ず、遊技者が上皿部5の凹部に遊技球を投入して発射ハンドル8を回転させると、上皿部5に投入された遊技球が、1球ずつ発射装置ユニット12に供給されて、図2を用いて前述した遊技領域11に発射される。遊技球を打ち出す強さは、発射ハンドル8の回転角度によって調整することが可能となっており、遊技者は発射ハンドル8の回転角度を変化させることによって、遊技球の狙いを付けることができる。
【0050】
発射した遊技球が、遊技領域11の左側に設けられた始動口作動ゲート36を通過すると、始動口17が所定時間(例えば0.5秒間)だけ開口状態となる。次いで、開口状態となった始動口17に遊技球が入球すると、今度は、中央装置40に組み込まれた特別図柄表示部42において特別図柄の変動表示が開始される。図3を用いて前述したように、特別図柄表示部42は、中央装置40の左右にそれぞれ7つずつ設けられたLEDによって構成されており、これら合計14個のLEDのうち、何れのLEDを点灯させるかによって種々の特別図柄を表示することが可能となっている。始動口17に遊技球が入球すると、特別図柄表示部42に表示された特別図柄が次々と切り換わり、そして所定時間が経過すると何れかの図柄の状態で停止表示される。このとき、所定の点灯状態(当り図柄)で停止表示されると、いわゆる特別図柄の当りとなって、遊技者にとって有利な遊技状態である特別遊技状態が開始される。特別遊技状態では、大入賞口31dが開口状態となる遊技状態(ラウンド)が、所定ラウンドだけ繰り返されるように構成されている。大入賞口31dは大きく開口するために、遊技球が高い確率で入球する。その結果、所定回数のラウンドが繰り返される間に遊技者は多くの賞球を獲得することが可能となっている。
【0051】
また、特別図柄表示部42に表示される当り図柄には、「通常当り図柄」と「確変当り図柄」が設けられている。特別図柄が「通常当り図柄」で停止表示されると、特別遊技の終了後、特別図柄の変動表示が所定回数(本実施例では100回)行われるか、若しくは次回の特別遊技状態が開始されるまでの間、特別図柄の変動時間が短くなるとともに、始動口17の開口時間が長くなるように設定されている。このような遊技状態は、変動時間短縮状態(若しくは、時短状態)と呼ばれる。
【0052】
これに対して、特別図柄が「確変当り図柄」で停止表示された場合には、特別遊技が終了してから次の特別遊技が開始されるまでの間、何れかの当り図柄で停止表示される確率が通常の状態よりも高くなる。このように、当り図柄で停止表示される確率が高くなっている遊技状態は、確変遊技状態(若しくは、単に確変状態)と呼ばれる。また、「確変当り図柄」が停止表示されたことによる特別遊技が終了した後は、次の特別遊技が開始されるまでの間(確変状態中)は、上述の時短状態と同様に特別図柄の変動時間が短くなるとともに、始動口17の開口時間が長くなる。
【0053】
このように、特別図柄表示部42で停止表示される特別図柄が「当り図柄」であるか否か、「当り図柄」の場合は、「通常当り図柄」あるいは「確変当り図柄」の何れであるかによって、その後の遊技の進行が大きく左右される。もっとも、特別図柄表示部42は、遊技者の目に付き易い態様で設けられているわけではなく、加えて、停止表示される図柄も遊技者にとって分かり易い態様で表示されるわけではない。そこで、特別図柄表示部42で行われる特別図柄の変動表示に合わせて、変動表示装置47では、3つの7セグメントLEDの変動表示が開始され、特別図柄が「通常当り図柄」または「確変当り図柄」の何れかで停止表示される場合には、3つの7セグメントLEDが「7」のゾロ目で停止表示され、特別図柄が「外れ図柄」で停止表示される場合は、3つの7セグメントLEDが何れも異なる数字で停止表示される。すなわち遊技者は、変動表示装置47の停止図柄を見ている限りでは、当りか外れかは分かるものの、当りの場合に、その当り態様が、通常当りあるいは確変当りの何れであるかまでは分からない。そして、当り態様の報知は、次のように、振分演出部50を用いて行われるようになっている。
【0054】
先ず、大当り遊技が開始されると、大当り遊技中の所定のタイミングで、遊技球が1球だけ振分演出装置51に供給される。図4を用いて前述したように、振分演出装置51に供給された遊技球は、転動通路55から、外周回転体54に設けられた何れかの捕捉溝に捕捉され、次いで、内周回転体53の何れかの捕捉溝に移動し、最後に、中央回転体52に設けられた特定領域52aまたは非特定領域52bの何れかに導かれる。そして、遊技球が特定領域52aを通過した場合には、大当り遊技の終了後は確変状態になることが確定した旨が報知され、これに対して、遊技球が非特定領域52bを通過した場合には、大当り遊技の終了後に確変状態になるか否かは未確定である旨が報知される。尚、本実施例の遊技機1では、これらの報知は、後述するように変動表示装置47の7セグメントLEDを特殊な態様で点灯させることによって行っているが、これに限らず、例えば、液晶画面を搭載した遊技機であれば、液晶画面上で所定の図柄を表示させることによって報知しても良いし、あるいは、音声や特殊な効果音を出力することによって報知することとしても良い。
【0055】
実際には、大当り遊技の終了後に確変状態になるか否かは、その大当り遊技が「通常当り図柄」あるいは「確変当り図柄」の何れによって開始されたかによって決定されており、従って、大当り遊技が発生した段階で既に決まっている。そして、「確変当り図柄」で大当り遊技が開始されていた場合は、振分演出装置51に供給された遊技球を特定領域52aに誘導し、「通常当り図柄」で大当り遊技が開始されていた場合は、非特定領域52bに誘導しているに過ぎない。しかし、特別図柄表示部42に表示された図柄が、「通常当り図柄」あるいは「確変当り図柄」の何れであるかを遊技者が判別することは、遊技者にとって困難なので、遊技者は、遊技球が特定領域52aに振り分けられることによって確変が確定するように感じることとなる。このため、遊技者は、振分演出装置51で遊技球が振り分けられる様子に注目するようになる。特に、本実施例の振分演出装置51では、遊技球が特定領域52aまたは非特定領域52bに導かれるまでには、遊技球は種々の経路を取り得るので、遊技者には、遊技球が偶然に特定領域52aまたは非特定領域52bに導かれたかのように感じられ、遊技球が振り分けられる動きに思わず引き込まれることになる。
【0056】
更に加えて、本実施例の遊技機1では、確変状態になるか否かが未確定である旨が報知された場合でも、大当り遊技の終了後に、確変状態になるか否かを示唆する演出(すなわち、遊技球を用いた振り分けによる演出ほどには確度は高くないものの、確変状態の可能性があるか否かを報知する演出)が実行される場合があるようになっている。詳細には後述するが、大当り遊技の終了後に、このような遊技球を用いない態様の報知を行うことで、たとえ振分演出装置51に遊技球を放出することができず、遊技球の振り分けによる報知を行えない事態が生じた場合でも、遊技者に違和感を与えることなく遊技を継続することが可能となっている。
【0057】
C.遊技機の制御内容 :
以下では、上述した遊技を実現するために、本実施例の遊技機1が行っている制御内容について詳しく説明する。
【0058】
C−1.遊技制御処理 :
図8は、主制御基板200に搭載されたCPU201が、遊技の進行を制御するために行う遊技制御処理の大まかな流れを示したフローチャートである。図示されているように、遊技制御処理では、賞球関連処理、普通電動役物遊技処理、普通電動役物停止処理、特別図柄遊技処理、特別電動役物遊技処理などの各処理が繰り返し実行されている。一周の処理に要する時間は、ほぼ4msecとなっており、従って、これら各種の処理は約4msec毎に繰り返し実行されることになる。そして、これら各処理中で、サブ制御基板220を初めとする各種制御基板に向けて、主制御基板200から各種コマンドを送信する。こうすることにより、遊技機1全体の遊技が進行するとともに、サブ制御基板220では、遊技の進行に合わせた演出の制御が行われることになる。以下、フローチャートに従って、主制御基板200に搭載されたCPU201が行う遊技制御処理について説明する。
【0059】
主制御基板200に搭載されたCPU201は、遊技制御処理を開始すると、遊技球を賞球として払い出すための処理(賞球関連処理)を行う(S50)。かかる処理では、主制御基板200に接続された各種スイッチの中で、遊技球の入賞に関わるスイッチ(始動口スイッチ17sや、一般入球口スイッチ19s、大入賞口スイッチ31sなど)で、遊技球の入球が検出されたか否かを判断する。そして、遊技球の入球が検出された場合には、払い出すべき賞球数を算出した後、払出制御基板240に向かって賞球数指定コマンドを出力する処理を行う。払出制御基板240は、主制御基板200から出力された賞球数指定コマンドを受け取るとコマンドの内容を解釈し、その結果に従って、払出装置109に搭載された払出モータ109mに駆動信号を出力することにより、実際に賞球を払い出す処理を行う。
【0060】
主制御基板200のCPU201は、賞球数指定コマンドを出力すると(S50)、今度は、普通電動役物遊技処理を行うか否かを判断する(S100)。かかる判断は、普通電動役物が作動中であるか否か、換言すると始動口17が開口中であるか否かを検出することによって行う。普通電動役物が作動中でなければ普通電動役物遊技処理を行うものと判断し(S100:yes)、普通電動役物が作動中であれば普通電動役物遊技処理は行わないものと判断する(S100:no)。そして、普通電動役物遊技処理を行うと判断された場合は(S100:yes)、以下に説明する普通電動役物遊技処理を行う(S150)。一方、普通電動役物遊技処理を行わないと判断された場合は(S100:no)、普通電動役物遊技処理(S150)はスキップする。
【0061】
普通電動役物遊技処理(S150)では、遊技球が始動口作動ゲート36を通過したか否か、すなわち、ゲートスイッチ36sが遊技球を検出したか否かを判断し、遊技球が始動口作動ゲート36を通過した(ゲートスイッチ36sが遊技球を検出した)と判断されると、普通電動役物の作動を開始させる。こうして普通電動役物が作動すると、始動口17に設けられた一対の翼片部が外側に向かって回動し、始動口17が開口状態となる。
【0062】
以上のようにして普通電動役物遊技処理を終了したら、普通電動役物が作動中か否かを判断する(S190)。そして、作動中である場合は(S190:yes)、普通電動役物を停止させるための処理(普通電動役物停止処理)を行う(S200)。一方、普通電動役物が作動していない場合は(S190:no)、普通電動役物停止処理を行う必要はないのでスキップする。
【0063】
図9は、普通電動役物停止処理の流れを示すフローチャートである。図示されているように普通電動役物停止処理を開始すると、先ず初めに、普通電動役物の所定の作動時間が経過したか否かを判断する(S202)。前述したように、普通電動役物が作動すると始動口17が開口状態となるが、所定時間が経過すると、再び一対の翼片部が直立した通常の状態に復帰する。そこで、S202では、普通電動役物が予め設定しておいた作動時間に達したか否かを判断するのである。そして、作動時間に達したと判断された場合は(S202:yes)、普通電動役物の作動を停止した後(S206)、普通電動役物遊技処理を終了して図8に示した遊技制御処理に復帰する。尚、普通電動役物作動時間(すなわち、始動口17の開口時間)は、通常の遊技状態では約0.5秒間に設定されているが、後述する開口時間延長機能が作動すると約1.5秒間に延長される。
【0064】
一方、始動口17は開口中に規定数の遊技球が入球すると、開口時間が設定時間に達していない場合でも、通常状態に復帰してしまう。このことと対応して、普通電動役物の作動時間が所定時間に達していない場合は(S202:no)、普通電動役物に規定数の遊技球が入球したか否かを判断し(S204)、規定数の遊技球が入球したと判断された場合は(S204:yes)、普通電動役物の作動を停止して(S206)、図9に示した普通電動役物停止処理を終了する。逆に、規定数の入球がないと判断された場合は(S204:no)、普通電動役物を作動させたまま、図9に示した普通電動役物停止処理を終了して、図8に示した遊技制御処理に復帰する。
【0065】
遊技制御処理では、普通電動役物停止処理から復帰すると、特別図柄に関連する処理を開始する。かかる処理では、後述する特別図柄遊技処理を行うための所定の条件を満足しているか否かを判断した後、所定の条件を満足していた場合には、特別図柄遊技処理を開始する。
【0066】
図10は、特別図柄遊技処理を開始するか否かを判断するために行う処理(特別図柄遊技開始判断処理)の流れを示すフローチャートである。特別図柄遊技処理を開始するか否かの判断に当たっては、先ず初めに、始動口17に遊技球が入球したか否かを判断する(S252)。前述したように、始動口17の内部には、遊技球の入球を検出する始動口スイッチ17sが設けられており、遊技球が入球したことを検出することができる。
【0067】
遊技球が始動口17に入球している場合は(S252:yes)、特別図柄の保留数が上限値(本実施例では「4」)に達しているか否かを判断する(S254)。図3を用いて前述したように特別図柄の保留数は、保留数表示装置49に設けられたLEDが点灯することによって表示されている。特別図柄の保留数が上限値に達していなければ(S254:no)、特別図柄当否判定乱数、および特別図柄の図柄決定乱数を取得する(S256)。ここで、特別図柄当否判定乱数は、中央装置40の特別図柄表示部42で変動表示される特別図柄の当否判定を行うために用いられる乱数であり、特別図柄の図柄決定乱数は、特別図柄の当否判定結果に応じて、停止表示させる特別図柄を決定するための乱数である。このように特別図柄の保留数が「4」に達していない場合は(S254:no)、各種の乱数を取得した後(S256)、特別図柄の保留数に「1」を加算する(S258)。一方、特別図柄の保留数が「4」に達している場合は(S254:no)、これら各種乱数を取得して、保留数に「1」を加算する処理は行わない。尚、特別図柄の変動表示中に始動口17に遊技球が入球した場合に、これを保留数として記憶しておく動作は、主制御基板200のCPU201が、上述した特別図柄遊技開始判断処理を実行することによって実現されている。従って、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、本発明における「保留数記憶手段」に対応するものとなっている。
【0068】
次いで、特別図柄遊技処理を行うか否かを判断するために、現在、大当り遊技中か否かを判断する(S260)。後述する特別図柄遊技処理は、特別図柄を変動表示させ、当り図柄が停止表示された場合には、遊技者にとって有利な特別遊技である大当り遊技を開始する処理である。そして、現在、大当り遊技を行っているのであれば、重ねて大当り遊技を開始する必要はない。そこで、上述した特別図柄の保留に関わる処理を終了したら、大当り遊技中であるか否かを判断し(S260)、大当り遊技中で無かった場合には(S260:no)、後述する特別図柄遊技処理を開始すると判断する(すなわち、S250:yes)。一方、現在、既に大当り遊技中であった場合は(S278:yes)、特別図柄遊技処理は開始しないと判断する(すなわち、S250:no)。
【0069】
以上のようにして、特別図柄遊技処理を行うと判断された場合は(S250:yes)、以下に説明する特別図柄遊技処理を行う(S320)。一方、特別図柄遊技処理を行わないと判断された場合は(S250:no)、特別図柄遊技処理(S320)はスキップする。
【0070】
C−2.特別図柄遊技処理 :
図11は、特別図柄遊技処理の一部を示したフローチャートである。また、図12は、特別図柄遊技処理の残りの部分を示したフローチャートである。特別図柄遊技処理を開始すると、先ず初めに、特別図柄が変動中か否かを判断する(S322)。図3を用いて前述したように、本実施例の遊技機1では中央装置40に特別図柄表示部42が設けられており、特別図柄を変動表示可能となっている。
【0071】
特別図柄表示部42の特別図柄が変動中でない場合は(S322:no)、特別図柄の停止図柄を表示させる停止表示時間中であるか否かを判断する(S324)。すなわち、特別図柄の変動表示が終了してしばらくの期間は、特別図柄が停止表示されたことを遊技者が確認するための停止表示時間が設けられているので、この停止表示時間中か否かを判断するのである。特別図柄が変動表示されておらず且つ特別図柄の停止図柄を表示している停止表示時間も経過している場合は(S324:no)、特別図柄の保留数が「0」であるか否かを判断する(S326)。そして、特別図柄の保留数が「0」であれば(S326:yes)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して図8に示す遊技制御処理に復帰する。一方、特別図柄の保留数が「0」でない場合、換言すれば、特別図柄の保留が残っている場合は(S326:no)、特別図柄の当否判定を行う処理(特別図柄当否判定処理)を開始する(S330)。
【0072】
図13は、特別図柄の当否判定を行う処理の流れを示したフローチャートである。図示するように、特別図柄当否判定処理を開始すると、先ず初めに、特別図柄当否判定乱数を読み出す処理を行う(S3300)。特別図柄当否判定乱数とは、図10を用いて前述した特別図柄遊技開始判断処理の中で、遊技球が始動口17に入球したと判断されると、特別図柄の保留数が4個に達するまで、4個を限度として取得される乱数である。図13に示した特別図柄当否判定処理では、先ず初めに、予め記憶しておいた特別図柄当否判定乱数を1つ読み出す処理を行う。
【0073】
次いで、現在の遊技状態が確変状態か否かを判断し(S3302)、確変状態であれば(S3302:yes)、確変用の当否判定テーブルを選択し(S3304)、確変状態でなければ(S3302:no)、非確変用の当否判定テーブルを選択する(S3306)。ここで当否判定テーブルとは、特別図柄の当否判定乱数に対応付けて、特別図柄の当否判定結果が設定されているテーブルであり、主制御基板200のROM202に予め記憶されている。
【0074】
図14は、本実施例の遊技機1に記憶されている特別図柄の当否判定テーブルを例示した説明図である。図14(a)には非確変用の当否判定テーブルが示されており、図14(b)には確変用の当否判定テーブルが示されている。図示するように、当否判定テーブルには、特別図柄の当否判定乱数に対応付けて、「当り」あるいは「外れ」の特別図柄の当否判定結果が設定されている。また、図14(a)と図14(b)とを比較すれば明らかなように、図14(b)に示した確変用の当否判定テーブルは、図14(a)に示した非確変用の当否判定テーブルよりも多くの乱数に、「当り」の当否判定結果が設定されている。
【0075】
次いで、先に読み出した特別図柄当否判定乱数に基づいて、選択した当否判定テーブルを参照することにより、特別図柄の当否判定結果が「当り」であるか否かを判断する(図13のS3308)。上述したように、確変状態の時に参照する確変用の当否判定テーブルは、確変状態ではないときに参照する非確変用の当否判定テーブルに比べて、多くの特別図柄当否判定乱数に「当り」の当否判定結果が設定されていることから、確変中は非確変中よりも高い確率で「当り」の当否判定結果が発生することになる。
【0076】
そして、特別図柄の当否判定結果が当りと判断された場合には(S3308:yes)、特別図柄の図柄決定乱数を読み出した後(S3310)、特別図柄の大当り図柄を決定する処理を行う(S3312)。ここで、特別図柄の図柄決定乱数とは、始動口に遊技球が入球すると、図10に示した特別図柄遊技開始判断処理の中で、特別図柄当否判定乱数とともに取得される乱数である。主制御基板200のROM202には、特別図柄の図柄決定乱数に対応付けて、特別図柄の当り図柄が予め記憶されており、図柄決定乱数に基づいて、当り図柄を容易に決定することができる。また、決定された当り図柄に応じて、「通常当り」あるいは「確変当り」の当り態様も決定されるようになっている。
【0077】
一方、特別図柄の当否判定結果が「外れ」であった場合は(S3308:no)、「当り」の場合と同様に図柄決定乱数を読み出した後(S3314)、特別図柄の外れ図柄を決定する処理を行う(S3316)。外れ図柄を決定する処理も、図柄決定乱数に基づいて行う。
【0078】
以上に説明したように、図13に示した特別図柄当否判定処理では、先に取得しておいた特別図柄当否判定乱数および図柄決定乱数を読み出して、特別図柄の当否判定を行うとともに、当否判定結果に応じて、特別図柄の大当り図柄あるいは外れ図柄を決定する処理を行う(S3312またはS3316)。そして、大当り図柄あるいは外れ図柄を決定したら、特別図柄当否判定処理を終了して、図11の特別図柄遊技処理に復帰する。
【0079】
尚、上述した特別図柄当否判定処理では、特別図柄当否判定乱数を用いて特別図柄の当否判定を行い、判定結果が当りであった場合には大当り遊技が開始される。本実施例では、かかる特別図柄当否判定処理は主制御基板200に搭載されたCPU201によって実行されていることから、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、本発明における「第1の抽選手段」に対応している。また、当否判定結果が当りであると判断された場合に、当り態様が「確変当り」または「通常当り」の何れであるかについても、上述した特別図柄当否判定処理の中で、図柄決定乱数を用いて決定されており、確変当りであった場合には、大当り遊技終了後、大当りが発生し易い遊技状態(確変状態)となる。従って、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、本発明における「第2の抽選手段」にも対応している。
【0080】
図11に示されているように、特別図柄遊技処理では、特別図柄当否判定処理(S330)から復帰すると、続いて、今度は、特別図柄の変動パターンを設定する処理を開始する(S338)。
【0081】
図15は、特別図柄遊技処理の中で特別図柄の変動パターンを設定する処理(特別図柄変動パターン設定処理)の流れを示すフローチャートである。かかる処理も特別図柄遊技処理と同様に、主制御基板200のCPU201によって実行される処理である。
【0082】
主制御基板200のCPU201は、特別図柄変動パターン設定処理を開始すると、先ず初めに、特別図柄の当否判定結果が当りであるか否かを判断する(S3380)。特別図柄の当否判定は、特別図柄変動パターン設定処理に先立って、図13を用いて前述した特別図柄当否判定処理において既に行われているので、主制御基板200のCPU201は、当否判定結果が当りであるか否かを直ちに判断することができる。そして、特別図柄の当否判定結果が当りであった場合には(S3380:yes)、現在の遊技状態が時短中(すなわち時短機能の作動中)であるか否かを判断し(S3382)、時短中であれば(S3382:yes)、当否判定結果が当りで且つ時短中の場合に用いられる変動パターンテーブル(当り・時短用変動パターンテーブル)を選択する(S3384)。これに対して、時短中でない場合は(S3382:no)、当否判定結果が当りで且つ時短中ではない場合に用いられる変動パターンテーブル(当り・非時短用変動パターンテーブル)を選択する(S3386)。これらの変動パターンテーブルは、主制御基板200に搭載されたROM202に予め設定されている。なお、ここで言う「時短中」とは、変動時間短縮機能(時短機能)が作動している状態を指すもので、確変遊技中を含んでいる。
【0083】
図16は、主制御基板200のROM202に設定されている当り・時短用の変動パターンテーブルを概念的に示した説明図である。図示されているように変動パターンテーブルには、変動パターン決定乱数の値に対応付けて、特別図柄の変動パターンが設定されている。ここで、変動パターン決定乱数とは、特別図柄の変動パターンを決定するために取得される乱数である。また、それぞれの変動パターンには、特別図柄の変動時間が予め設定されている。例えば、変動パターン決定乱数が「0〜85」の範囲の値に対しては、「パターン特3」という変動パターンが設定されており、この変動パターンは、特別図柄の変動時間が25.1秒間の変動パターンである旨が設定されている。同様に、「86〜172」の範囲の乱数値に対しては、「パターン特3」という変動パターンが設定され、この変動パターンは、特別図柄の変動時間が35.2秒間である旨が設定されている。
【0084】
また、図17は、当り・非時短用の変動パターンテーブルを概念的に示した説明図である。図16に示した当り・時短用の変動パターンテーブルと同様に、当り・非時短用の変動パターンテーブルについても、変動パターン決定乱数に対応付けて、特別図柄の変動パターンと変動時間とが設定されている。尚、図16の変動パターンテーブルは時短用のテーブルであり、図17の変動パターンテーブルは非時短用のテーブルであることに対応して、図16に設定されている変動パターンは、図17に設定されている変動パターンよりも、変動時間が短めのパターンが設定されている。
【0085】
以上に説明したように、特別図柄の当否判定結果が当りであると判断された場合には(図15のS3380:yes)、時短中か否かに応じて、当り・時短用の変動パターンテーブルまたは当り・非時短用の変動パターンテーブルの何れかを選択する。続いて、変動パターン決定乱数を取得する(S3388)。そして、取得した変動パターン決定乱数に基づいて変動パターンテーブルを参照することにより、当否判定結果が「当り」の場合の特別図柄の変動パターンを決定する(S3390)。
【0086】
以上、特別図柄の当否判定結果が当りの場合に(S3380:yes)、特別図柄の変動パターンを決定する処理について説明したが、当否判定結果が外れの場合には(S3380:no)、次のようにして特別図柄の変動パターンを決定する。
【0087】
特別図柄の当否判定結果が外れと判断された場合にも(S3380:no)、当りと判断された場合と同様に、現在の遊技状態が時短中か否かを判断する(S3392)。そして、時短中であれば(S3392:yes)。当否判定結果が外れで且つ時短中の場合に用いられる変動パターンテーブル(外れ・時短用変動パターンテーブル)を選択し(S3394)、一方、時短中でなければ(S3392:no)、当否判定結果が外れで且つ時短中ではない場合に用いられる変動パターンテーブル(外れ・非時短用変動パターンテーブル)を選択する(S3396)。これら外れの場合に用いられる変動パターンテーブルも、当りの場合の変動パターンテーブルと同様に、主制御基板200のROM222に設定されている。
【0088】
図18は、主制御基板200のROM202に設定されている外れ・時短用の変動パターンテーブルを概念的に示した説明図である。また、図19は、外れ・非時短用の変動パターンテーブルを概念的に示した説明図である。図示されているように、当否判定結果が外れの場合の変動パターンテーブルにも、特別図柄の変動パターンおよび変動時間が、変動パターン決定乱数に対応付けて設定されている。
【0089】
このように、特別図柄の当否判定結果が外れの場合にも(S3380:no)、時短中か否かに応じて、外れ・時短用の変動パターンテーブルまたは外れ・非時短用の変動パターンテーブルの何れかを選択する。続いて、変動パターン決定乱数を取得した後(S3398)、選択した変動パターンテーブルを参照することにより、当否判定結果が「外れ」の場合の特別図柄の変動パターンを決定する(S3400)。
【0090】
図15に示した特別図柄変動パターン設定処理では、以上のようにして、特別図柄の当否判定結果に応じて、特別図柄の変動パターンを決定した後、図11の特別図柄遊技処理に復帰する。
【0091】
図11に示されているように、特別図柄変動パターン設定処理から復帰すると、主制御基板200のCPU201は特別図柄表示部42における特別図柄の変動表示を開始した後(S340)、特別図柄の保留数から1を減算する処理を行う(S342)。すなわち、特別図柄の変動表示が開始されると特別図柄の保留数が1つ消化されるので、特別図柄の保留数を1つだけ減算しておくのである。そして、先に決定しておいた特別図柄の変動パターンを指定するコマンド(特別図柄変動パターン指定コマンド)を、サブ制御基板220に向かって出力した後(S344)、特別図柄の停止図柄を指定するコマンド(特別図柄停止情報指定コマンド)を、同じくサブ制御基板220に向かって出力する(S346)。
【0092】
サブ制御基板220のCPU221は、このようにして特別図柄変動パターン指定コマンドおよび特別図柄停止情報指定コマンドを受け取ることにより、特別図柄表示部42で変動表示される特別図柄の変動時間、および特別図柄の停止図柄についての情報を知ることができる。そして、これらの情報に応じて、変動表示装置47や、振分演出部50などで行う演出態様を決定した後、決定した演出態様を指示する制御コマンドを演出制御基板230へ向けて出力する。こうすることにより、特別図柄表示部42で行われる特別図柄の変動表示および停止表示に合わせて、変動表示装置47や、振分演出部50などにおいても、各種の演出が行われることになる。
【0093】
主制御基板200のCPU201は、以上のようにして、特別図柄の変動パターンと停止図柄とを決定し、変動パターン指定コマンド、特別図柄停止情報指定コマンドをサブ制御基板220に向けて出力したら、図11に示した特別図柄遊技処理を終了して、図8に示す遊技制御処理に復帰する。
【0094】
以上、特別図柄が変動表示していない場合(すなわち、図11のS322:noの場合)に、特別図柄遊技処理で行われる詳細な処理について説明した。一方、特別図柄が変動中に、図11の特別図柄遊技処理が開始された場合は、最初に行うS322の判断で、特別図柄が変動中であると判断される(S322:yes)。この場合は、既に、特別図柄の変動パターンと停止図柄とが決定されて、特別図柄の変動が開始されている場合に該当する。そこで、特別図柄変動時間が経過したか否かを判断する(S348)。すなわち、特別図柄の変動時間は変動パターンに応じて予め定められているので、特別図柄の変動を開始すると同時にタイマをセットすることにより、所定の変動時間が経過したかを判断するのである。そして、未だ変動時間が経過していない場合は(S348:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して、図8に示す遊技制御処理に復帰する。
【0095】
これに対して、変動時間が経過したと判断された場合は(S348:yes)、特別図柄を停止表示させることを示すコマンド(図柄停止コマンド)をサブ制御基板220に向かって出力する(S350)とともに、特別図柄表示部42で変動表示されている特別図柄を、予め設定しておいた図柄で停止表示させる(S352)。次いで、特別図柄を停止表示させる時間(停止表示時間)を設定した後(S354)、設定した表示時間が経過したか否かを判断する(S356)。そして、表示時間が経過していなければ(S356:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して図8に示す遊技制御処理に復帰する。尚、特別図柄表示部42で特別図柄を変動表示させた後、当否判定結果に応じた図柄で停止表示させる処理は、主制御基板200のCPU201が特別図柄遊技処理を実行することによって実現されている。従って、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、本発明における「図柄表示制御手段」に対応するものとなっている。
【0096】
一方、特別図柄の停止表示時間が経過した場合は(S356:yes)、停止表示された特別図柄が条件装置を作動させることとなる図柄であるか否かを判断する(図12のS358)。ここで、条件装置を作動させることとなる図柄とは、前述した当り図柄である。図12のS358では、特別図柄表示部42で停止表示された特別図柄が、これら当り図柄であるか否かを判断する。
【0097】
停止表示された図柄が、条件装置を作動させることとなる図柄であった場合は(S358:yes)、大入賞口の開口時間(大入賞口開口時間)、および役物連続作動装置の連続作動回数(所謂ラウンド数)を設定する(S359)。本実施例では、大入賞口の開口時間(大入賞口開口時間)は約26秒間、連続作動回数は15回に設定される。もちろん、連続作動回数は固定回数である必要はなく、予め複数設定しておいた作動回数(例えば2回、5回、8回、15回など)の中から抽選を行うことによって、連続作動回数を決定しても良い。
【0098】
こうして、大入賞口の開口時間および連続作動回数を設定した後、条件装置および役物連続作動装置を作動させる(S360)。ここで条件装置とは、後述する役物連続作動装置が作動するための条件となる装置であり、特別図柄が当り図柄で停止表示されると作動を開始して大入賞口31dを開口状態とする装置である。また、役物連続作動装置とは、一旦閉鎖された大入賞口31dを再び開口させる装置である。条件装置および役物連続作動装置は、何れも主制御基板200に搭載されたCPU201によって主に構成されている。詳細には後述するが、こうして条件装置および役物連続作動装置を作動させることにより、特別図柄遊技処理を抜けて図8の遊技制御処理に復帰すると特別電動役物遊技処理が開始され、特別遊技状態が開始されることになる。
【0099】
また、本実施例の遊技機1では、条件装置および役物連続作動装置の作動時(特別遊技中)は、確変機能や時短機能は働かないこととしている。尚、時短機能とは、特別図柄表示部42および変動表示装置47で図柄が変動表示される時間を短縮する機能である。そこで、図12のS360において条件装置および役物連続作動装置を作動させたら、現在の遊技状態が確変中か否かを判断する(S362)。そして、確変中であれば(S362:yes)、確変機能および時短機能が作動しているので、これらの機能を停止させる(S364,S366)。一方、現在の遊技状態が確変中ではなかった場合は(S362:no)、続いて、時短中か否かを確認し(S368)、時短中であった場合は(S368:yes)、時短機能を停止させる(S366)。また、本実施例の遊技機1では、時短機能が作動している場合は、始動口17(普通電動役物)の開口時間を延長する機能も働いているので、時短機能を停止したら(S366)、普通電動役物開口時間の延長機能も停止させた後(S368)、図11および図12に示した特別図柄遊技処理を抜けて、図8の遊技制御処理に復帰する。一方、条件装置および役物連続作動装置を作動させたときの遊技状態が確変中でも時短中でもなかった場合は(S368:no)、そのまま特別図柄遊技処理を抜けて、遊技制御処理に復帰する。
【0100】
以上、特別図柄表示部42で停止表示された特別図柄が、条件装置を作動させることとなる図柄(当り図柄)であった場合(S358:yes)の処理について説明したが、停止表示された特別図柄が条件装置を作動させる図柄でなかった場合(外れ図柄であった場合)は(S358:no)、次のような処理を行う。
【0101】
まず、現在の遊技状態が時短中か否かを判断する(S374)。そして、時短中と判断された場合は(S374:yes)、時短中の特別図柄の変動回数を計数した後(S376)、変動回数が所定回数に達したか否かを判断する(S378)。前述したように本実施例の遊技機1では、「確変当り」または「通常当り」の何れの当り態様の場合にも特別遊技の終了後に時短状態が開始され、次の大当り遊技状態が発生するか、もしくは特別図柄が所定回数変動するまでは継続する設定となっている。そこで、現在の遊技状態が時短中と判断された場合は(S374:yes)、特別図柄の変動回数を計数した後(S376)、変動回数の計数値が所定回数に達したか否かを判断するのである。そして、所定回数に達していれば(S378:yes)、時短機能を停止させ(S380)、続いて、普通電動役物開口時間の延長機能も停止させた後(S368)、図11および図12に示した特別図柄遊技処理を抜けて、図8の遊技制御処理に復帰する。一方、特別図柄の変動回数が、未だ所定回数に達していなければ(S378:no)、時短状態を維持したまま、特別図柄遊技処理を抜けて、図8の遊技制御処理に復帰する。
【0102】
図8に示すように、遊技制御処理では、特別図柄遊技処理から復帰すると、条件装置が作動中か否かを判断する(S390)。前述したように条件装置は、役物連続作動装置を作動させることにより、特別遊技状態(大当り遊技状態)を開始させる装置である。そこで、主制御基板200に搭載されたCPU201は、条件装置が作動中であれば、以下に説明する特別電動役物遊技処理を開始する(S400)。一方、条件装置が作動中でなければ(S390:no)、特別電動役物遊技処理(S400)はスキップして、遊技制御処理の先頭に戻り、前述した賞球関連処理(S50)以降の一連の処理を繰り返す。
【0103】
C−3.特別電動役物遊技処理 :
図20は、特別電動役物遊技処理の流れを示すフローチャートである。このような特別電動役物遊技処理が実行されることによって、いわゆる特別遊技状態が発生する。以下、図20を参照しながら特別電動役物遊技処理について説明するが、その準備として、特別遊技状態(大当り遊技状態)と呼ばれる遊技の内容について簡単に説明しておく。
【0104】
図2を用いて前述したように、遊技盤の下方には大入賞口31dが設けられており、この大入賞口31dは通常の遊技状態では閉鎖されているが、特別遊技が開始されると開口状態となる。大入賞口31dは他の入賞口に比べて大きく開口するため、大入賞口31dが開口状態になると、遊技球を高い確率で入球させることができる。開口された大入賞口31dは、所定の開口時間が経過するか、あるいは所定数の遊技球が入球すると一旦閉鎖されるが、所定の閉鎖時間が経過すると再び開口状態となる。また、大入賞口31dが開口してから閉鎖するまでの遊技は、「ラウンド」と呼ばれる。こうしたラウンドを繰り返して、所定回数のラウンドを消化したら特別遊技状態が終了する。以下、上述した特別遊技を実行するために、主制御基板200のCPU201が行う特別電動役物遊技処理について、図20を参照しながら説明する。
【0105】
主制御基板200のCPU201は、特別電動役物遊技処理(S400)を開始すると先ず初めに、大入賞口31dが開口中か否かを判断する(S402)。大入賞口31dは、通常の遊技状態では閉鎖されており、従って特別遊技の開始直後は、大入賞口31dは閉鎖状態となっている。そこで、大入賞口は開口中ではないと判断して(S402:no)、特別電動役物の連続作動回数が所定回数に達したか否かを判断する(S404)。前述したように特別電動役物とは、大入賞口31dを開口させる装置であり、特別遊技状態が発生すると特別電動役物が所定回数だけ作動して、所定回数のラウンドが繰り返されることになっている。このことに対応して、大入賞口31dが閉鎖されている場合は(S402:no)、特別電動役物の作動回数が所定回数に達したか否か、換言すれば、所定回数のラウンドが終了したか否かを判断する(S404)。
【0106】
当然のことながら、特別遊技が開始された直後は、特別電動役物の作動回数が所定回数に達していないから(S404:no)、大入賞口の閉鎖時間が経過したか否かを判断する(S406)。大入賞口の閉鎖時間とは、ラウンドとラウンドとの間で大入賞口31dが閉鎖状態となっている時間である。特別遊技が開始された直後は、大入賞口31dは閉鎖状態となっているから、当然、大入賞口31dの閉鎖時間が経過していると判断され(S406:yes)、大入賞口31dを開口させた後(S408)、図20に示した特別電動役物遊技処理を一旦終了して、図8の遊技制御処理に復帰する。
【0107】
主制御基板200のCPU201は遊技制御処理に復帰すると、図8に示したように、賞球関連処理(S50)以降の一連の各種処理を行った後、再び特別電動役物遊技処理(S400)を開始する。前述したように、図8に示した遊技制御処理を、主制御基板200のCPU201が一回、実行するために要する時間は、約4msecとなっている。従って、図20に示した特別電動役物遊技処理も、約4msec毎に実行されることになる。そして、特別遊技が開始されて、特別電動役物遊技処理が初めて実行された場合には、前述したようにS408において大入賞口31dを開口させて、そのまま処理を終了するが、約4msec後に2周目の処理を行う場合には、S402にて、大入賞口31dが開口中(S402:yes)と判断されることになる。
【0108】
次いで、大入賞口31dの開口時間が所定時間に達したか否かを判断する(S410)。前述したように、特別遊技では、大入賞口31dが開口状態となるが、開口時間が所定時間に達するか、または大入賞口31dに所定数の遊技球が入球すると閉鎖される。このことに対応して、S410では大入賞口31dの開口時間が所定時間に達したか否かを判断する。そして、開口時間が所定時間に達していれば(S410:yes)、大入賞口31dを閉鎖した後(S414)、図20に示した特別電動役物遊技処理を抜けて、図8の遊技制御処理に復帰する。一方、開口時間が所定時間に達していない場合は(S410:no)、大入賞口31dに入球した遊技球が規定数に達しているか否かを判断する(S412)。そして、遊技球が規定数に達した場合は(S412:yes)、大入賞口31dを閉鎖する(S414)。これに対して、規定数に達していない場合は(S412:no)、大入賞口31dの開口時間が未だ所定時間に達しておらず、しかも大入賞口31dに入球した遊技球も規定数に達していないことになるので、大入賞口31dを開口させたまま、図20に示した特別電動役物遊技処理を抜けて、図8の遊技制御処理に復帰する。
【0109】
図8の遊技制御処理を何回も繰り返し実行しているうちに、大入賞口31dの開口時間が所定時間に達するか(S410:yes)、もしくは大入賞口31dに規定数数の遊技球が入球して(S412:yes)、大入賞口31dが閉鎖される(S414)。こうして、1ラウンドの遊技が終了する。そして、次に特別電動役物遊技処理が実行された時には、S402において大入賞口31dが閉鎖中と判断され(S402:no)、所定回数のラウンドが終了したか否かが判断され(S404)、全てのラウンドが終了していなければ(S404:no)、大入賞口の閉鎖時間が所定時間に達したことを確認した後(S406:yes)、再び大入賞口31dを開口状態として新たなラウンドを開始する(S408)。一方、S404において、所定回数のラウンドが終了したと判断された場合は(S404:yes)、特別遊技状態(大当り遊技状態)を終了させるべく、条件装置および役物連続作動装置の作動を停止させた後(S416)、大当り遊技が終了したことを示す大当り遊技終了コマンドをサブ制御基板220に向かって出力する(S417)。
【0110】
以上のようにして特別遊技が終了したら、条件装置を作動させることとなった当り図柄の態様が「確変当り」であったか否かを判断する(S418)。そして、確変当りであったと判断された場合は(S418:yes)、確変機能の作動を開始する(S420)。こうして確変機能の作動が開始されると、いわゆる確変状態となって、次回以降に行われる特別図柄の当否判定において、通常の状態よりも、当りの判定が高い確率で発生する高確率状態となる。これに対して、条件装置を作動させた当り図柄の態様が「確変当り」ではないと判断された場合は(S418:no)、確変機能を作動させる処理(S420)は行わない。
【0111】
次いで、時短機能の作動を開始し(S422)、更に、普通電動役物の開口時間延長機能の作動を開始した後(S424)、図20に示した特別電動役物遊技処理を終了して、図8の遊技制御処理に復帰する。いわゆる大当り遊技(特別遊技)は、主制御基板200に搭載されたCPU201が、以上のような特別電動役物遊技処理を実行することによって行われている。従って、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、本発明における「大当り遊技実行手段」に対応するものとなっている。
【0112】
主制御基板200に搭載されたCPU201は、以上のような遊技制御処理を繰り返し行う。その結果、始動口17に遊技球が入球すると、特別図柄の当否判定が行われ、判定結果が当りの場合には、「通常当り」あるいは「確変当り」の何れかの当り態様が決定されるとともに、いわゆる大当り遊技が開始される。そして、大当り遊技の終了後は、当り態様に応じて、時短状態あるいは確変状態での遊技が開始される。主制御基板200のCPU201は、こうした処理を繰り返し実行している。
【0113】
遊技者は、遊技を開始すると、先ずは大当りが発生して特別遊技が開始されることを願って遊技を継続するが、大当りが発生したことが分かると、次は、その大当り遊技の終了後は、できれば確変状態になって欲しいと強く願うものである。こうした遊技者の心理を活用して、遊技者が遊技を一層楽しめるようにするために、本実施例の遊技機1では、遊技の進行に合わせて、次のような演出を行っている。以下では、遊技の進行に合わせた演出を行うために、サブ制御基板220が行っている演出制御処理について説明する。
【0114】
D.演出制御処理 :
図21は、本実施例のサブ制御基板220が実行する演出制御処理の流れを示すフローチャートである。サブ制御基板220は、遊技の進行に合わせて演出を行うために、主制御基板200から出力されるコマンドに基づいて、以下に説明するような演出制御処理を行う。
【0115】
図示されているように、演出制御処理では、先ず初めに、主制御基板200から特別図柄の変動パターン指定コマンドを受信したか否かを判断する(S1002)。特別図柄の変動パターンは、始動口17への入球が検出されると、図15を用いて前述した特別図柄変動パターン設定処理の中で決定されて、主制御基板200からサブ制御基板220に向かって出力される。サブ制御基板220が未だ変動パターン指定コマンドを受信していないと判断した場合は(図21のS1002:no)、コマンドを監視しながら待機状態となる。そして、遊技を続けている間に、始動口17に遊技球が入球して、主制御基板200から変動パターン指定コマンドが出力され、このコマンドをサブ制御基板220が受信したら(S1002:yes)、続いて、主制御基板200から特別図柄停止情報指定コマンドを受信したか否かを判断する(S1004)。図11を用いて前述した特別図柄遊技処理では、主制御基板200は特別図柄の変動パターン指定コマンドを出力すると(図11のS344)、直ぐに続いて、特別図柄停止情報指定コマンドも出力するので(S346)、サブ制御基板220のCPU221は、特別図柄変動パターン指定コマンドを受信すると、やがて特別図柄の停止情報指定コマンドも受信することができる。
【0116】
こうして、特別図柄の変動パターン指定コマンドおよび特別図柄停止情報指定コマンドを受信したら(S1004:yes)、受け取った変動パターンに従って、変動表示装置47に組み込まれた3つの7セグメントLEDの変動表示を開始する(S1006)。図16ないし図19に示したように、変動パターンに応じて特別図柄の変動時間が決まっており、変動表示装置47における7セグメントLEDも、変動パターンに応じた時間だけ変動表示するようになっている。
【0117】
変動表示装置47の7セグメントLEDの変動表示を開始すると、サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200から図柄停止コマンドを受信したか否かを判断する(S1008)。図11を用いて説明したように、主制御基板200で行われる特別図柄遊技処理では、特別図柄の変動表示を開始してから、変動パターンに応じて定まる変動時間が経過すると、サブ制御基板220に向かって図柄停止コマンドを出力する(S350)。そこで、サブ制御基板220で行う演出制御処理では、変動表示装置47での変動表示を開始したら(図21のS1006)、主制御基板200から図柄停止コマンドが送られてきたか否かを確認し(S1008)、未だ送られて来ていない場合は(S1008:no)、そのまま待機状態となる。
【0118】
そして、図柄停止コマンドの受信を確認したら(S1008:yes)、変動表示装置47で変動表示中の7セグメントLEDを、先に受け取っていた特別図柄停止情報指定コマンドによって指定された図柄で停止表示させる(S1010)。すなわち、特別図柄停止情報指定コマンドで指定された図柄が当り図柄であった場合は、その当り図柄が通常当り図柄であるが、確変当り図柄であるかに拘わらず、変動表示装置47に組み込まれた3つの7セグメントLEDを何れも「7」で停止表示させる。これに対して、特別図柄停止情報指定コマンドによって指定された図柄が当り図柄ではなかった場合は、3つの7セグメントLEDを何れも異なる数字で停止表示させる。
【0119】
こうして変動表示装置47を停止表示させた後、表示された図柄が当り図柄(すなわち、7のゾロ目)か否かを判断して(S1012)、当り図柄であれば(S1012:yes)、主制御基板200で大当り遊技が開始されるのに合わせて、サブ制御基板220でも大当り遊技の演出を開始した後(S1014)、振分演出処理を行う(S2000)。詳細については後述するが、振分演出処理では、大当り遊技の開始後、所定のタイミング(例えば、大当り遊技の1ラウンド目)で振分演出装置51に遊技球を供給し、その遊技球が特定領域52aまたは非特定領域52bの何れに振り分けられるかによって、大当り遊技の終了後、確変状態になるか否かを遊技者に報知する演出が行われる。
【0120】
そして振分演出を行った後は、大当り遊技が終了したか否かを判断する(S1016)。前述したように、大当り遊技の終了時には、主制御基板200からサブ制御基板220に向かって、大当り遊技終了コマンドが出力されるので(図20のS417参照)、サブ制御基板220のCPU221は、大当り遊技終了コマンドを受け取ったか否かに基づいて、大当り遊技が終了したか否かを判断することができる。そして、大当り遊技が終了していないと判断された場合、すなわち大当り遊技終了コマンドを受け取っていない場合は(S1016:no)、大当り遊技が終了するまで待機状態となる。
【0121】
その後、大当り遊技が終了したと判断されたら(S1016:yes)、今度は、演出実行フラグがオンに設定されているか否かを判断する(S1018)。演出実行フラグとは、後述する振分演出処理(S2000)の中で、所定の条件が成立した場合にオンに設定されるフラグであり、サブ制御基板220に搭載されたRAM223の所定アドレスに設定される。そして、演出実行フラグがオンに設定されていた場合は(S1018:yes)、後述する報知演出処理を行った後(S3000)、演出制御処理の先頭に戻って、続く一連の上述した処理を実行する。これに対して、演出実行フラグがオンに設定されていなかった場合は(S1018:no)、報知演出処理を行うことなく、演出制御処理の先頭に戻って、続く一連の処理を行う。一方、変動表示装置47で停止表示された図柄が当り図柄でなかった場合は(S1012:no)、大当り遊技に伴う演出や振分演出処理などは行わずに、直ちに演出制御処理の先頭に戻って、続く一連の処理を行う。
【0122】
以上に説明したように、本実施例の遊技機1では、大当り遊技の開始に合わせて、大当り遊技に対応する演出を開始する。大当り遊技が開始されるまでは、遊技者は、大当り遊技の開始を期待しながら遊技を行っているから、大当り遊技の開始に合わせて対応する演出を行うことで、遊技者の興趣を盛り上げることができる。そして、大当り遊技が開始されると、遊技者の興味は、その大当り遊技の終了後に確変状態になるか否かという点に移るから、この点について、遊技球の振り分け結果によって遊技者に報知する演出を、大当り遊技中に開始する。前述したように、大当り遊技の終了後、確変状態になるか否かは、大当り遊技が開始された時点で既に決まっているが、遊技球の振り分け結果によって確変状態が確定するかのような演出を行うことで、遊技者は遊技球の動きを注視するため、思わず遊技に引き込まれ、遊技に対する興趣が大きく掻き立てられることになる。
【0123】
もちろん、遊技球は勝手に振り分けられているのではなく、確変状態になる場合には特定領域52aに導かれ、確変状態にならない場合には非特定領域52bに導かれているのであるが、遊技者には、こうしたことは全く感じさせず、偶然に、特定領域52aまたは非特定領域52bに振り分けられたと感じられるような態様で導かれるようになっている。以下では、このような演出を行うための処理および、遊技者には遊技球が振り分けられているように見せながら、特定領域52aまたは非特定領域52bに導くための具体的な制御内容について説明する。
【0124】
D−1.振分演出処理 :
図22は、本実施例の遊技機1で行われる振分演出処理の流れを示すフローチャートである。かかる処理は、大当り遊技が開始された後、サブ制御基板220に搭載されたCPU221と演出制御基板230に搭載されたCPU231とが協働して実行する処理である。
【0125】
振分演出処理を開始すると、先ず初めに、振分演出の開始時期か否かを判断する(S2002)。すなわち、遊技球を用いた振分演出は、大当り遊技中の所定のタイミングで開始されることになっているので、大当り遊技が開始されて図22の振分演出処理が開始されると、遊技球を用いた振分演出を行うタイミングに達したか否かを判断するのである。そして、未だ振分演出を開始するタイミングに達していないと判断された場合は(S2002:no)、かかる判断を繰り返しながら、開始時期になるまで待機する。
【0126】
そして、遊技球を用いた振分演出の開始時期に達したと判断された場合は(S2002:yes)、遊技球が貯留されているか否かを判断する(S2004)。図5を用いて前述したように、本実施例の遊技機1では、始動口17に入球した遊技球を貯留する遊技球貯留部62が設けられており、遊技球貯留部62には、特別図柄の保留数の上限値に対応する最大4個まで遊技球を貯留しておくことができる。また、遊技球貯留部62には貯留球検出センサ62sが設けられており、貯留されている遊技球の有無を検出することが可能となっている。図22に示した振分演出処理のS2004では、貯留球検出センサ62sからの出力に基づいて、遊技球貯留部62に遊技球が貯留されているか否かを判断する。尚、図7に示したように、貯留球検出センサ62sの出力はサブ制御基板220に直接入力されるので、サブ制御基板220のCPU221は、遊技球貯留部62に貯留されている遊技球の有無を判断することが可能となっている。
【0127】
前述したように大当り遊技は、始動口17に遊技球が入球して、特別図柄の当否判定が行われ、判定結果が「当り」であった場合に開始される。すなわち、大当り遊技の開始前には必ず始動口17に遊技球が入球していることになるので、S2004では、原則的に、遊技球が貯留されていると判断される(S2004:yes)。尚、ここで「原則的に」と断っているのは、後述するような特殊な条件では、遊技球が貯留されていないと判断される場合が起こり得るためである。この点については後ほど詳しく説明する。
【0128】
遊技球貯留部62に遊技球が貯留されていると判断された場合は(S2004:yes)、今度は、大当りの態様が「確変当り」であるか否かを判断する(S2006)。前述したように、サブ制御基板220のCPU221は、特別図柄が何れの図柄で停止表示されるかを示す特別図柄停止情報指定コマンドを、主制御基板200から受け取っているので、かかるコマンドに基づいて、大当りの態様が「確変当り」か否かを判断することが可能である。
【0129】
大当りの態様が「確変当り」であると判断された場合は(S2006:yes)、実行中の大当り遊技の終了後、確変状態になることが確定している旨を報知するか否かを、抽選(乱数抽選)によって決定する(S2008)。本実施例では、大部分の場合が、確変確定を報知する旨の結果となるが、確変確定を報知しない旨の結果も稀に発生するような抽選が行われる。次いで、抽選の結果として、確変確定を報知することになったか否かを判断し(S2010)、確変を報知することになった場合には(S2010:yes)、遊技球の誘導目標をV領域(特定領域52a)に設定する(S2012)。一方、確変を報知しないことになった場合は(S2010:no)、遊技球の誘導目標を非V領域(非特定領域52b)に設定する(S2014)。これに対して大当りの態様が「確変当り」ではないと判断された場合は(S2006:no)、遊技球の誘導目標を非V領域(非特定領域52b)に設定する(S2014)。
【0130】
以上に説明したように、本実施例の振分演出処理では、遊技球を用いた演出の開始時期になると、遊技球貯留部62に遊技球が貯留されていることを確認し、遊技球の貯留が確認できた場合には、その遊技球を、V領域(特定領域52a)または非V領域(非特定領域52b)の何れに誘導するかを、予め設定しておく。こうして、遊技球を何れの領域に誘導するかを設定したら、遊技球貯留部62に貯留されている遊技球を1個放出して、目標とする領域に誘導する処理を開始する(S2016)。図5および図6を用いて前述したように、球出ソレノイド64mに1回だけ通電すると、カム64cが駆動されて、遊技球貯留部62から遊技球が1球だけ遊技球供給部64に取り込まれ、供給通路58を介して振分演出装置51に供給される。また、振分演出装置51では、外周回転体54や、内周回転体53、中央回転体52の回転制御が演出制御基板230のCPU231によって実行されることで、目標に設定された領域に遊技球を確実に誘導することが可能となっている。遊技球を誘導する様子については別図を用いて詳しく説明する。
【0131】
図22に示した振分演出処理では、遊技球貯留部62に貯留されている遊技球を1球だけ放出すると(S2016)、遊技球が非V領域(非特定領域52b)を通過したか否かを判断し(S2018)、通過していなければ(S2018:no)、V領域(特定領域52a)を通過したか否かを判断する(S2020)。そして、V領域も通過していない場合は(S2020:no)、再び非V領域を通過したか否かを判断する(S2018)。前述したように、V領域52aあるいは非特定領域52bには、それぞれ遊技球検出センサ52s,52tが設けられており、何れかの領域を遊技球が通過すれば、対応するセンサの出力によって、これを検出することが可能である。サブ制御基板220のCPU221は、遊技球を放出すると、その遊技球が、V領域(特定領域52a)または非V領域(非特定領域52b)の何れかを通過するまで、上述した判断を繰り返す。尚、図7に示したように、本実施例の遊技機1では、遊技球検出センサ52s,52tは何れもサブ制御基板220に接続されているので、サブ制御基板220のCPU221は、放出された遊技球が通過した領域を検出することが可能である。
【0132】
そして、遊技球がV領域(特定領域52a)を通過したと判断された場合は(S2020:yes)、確変になることが確定した旨の表示を行う(S2022)。確変が確定した旨の表示は、どのような態様で行うこともできるが、本実施例の遊技機1では、図23に示すように、変動表示装置47で「HHH」の図柄を表示することによって、確変確定した旨の表示を行う。もちろん、液晶画面やドットマトリックス画面、更にはランプを点灯させて、確変が確定した旨の文字や図形を表示するようにしても良いし、あるいは確変が確定した旨の音声を出力するようにしてもよい。
【0133】
一方、遊技球が非V領域(非特定領域52b)を通過したと判断された場合は(S2018:yes)、確変になるか否かは未確定である旨を表示する(S2024)。確変が未確定である旨の表示も、どのような態様で行うことも可能であるが、本実施例の遊技機1では、図24に示したように、変動表示装置47の7セグメントLEDを用いて、回転しているような図柄を表示することで、確変が未確定である旨を表示する。もちろん、このような態様ではなく、液晶画面やドットマトリックス画面、ランプ等を用いて、確変が未確定である旨を表示したり、あるいは、音声を出力するようにしてもよい。
【0134】
そして、確変が未確定である旨を表示したら(S2024)、演出実行フラグをオンに設定した後(S2026)、図22に示す振分演出処理を終了し、図21の演出制御処理に復帰する。ここで演出実行フラグとは、後述する報知演出を行うか否かを指定するフラグであり、演出実行フラグがオンに設定されている場合には、図21のS1018で「yes」と判断されて報知演出処理が実行される。
【0135】
一方、大当り遊技の開始後、遊技球貯留部62に貯留されている遊技球の有無を確認したときに、遊技球が貯留されていないと判断された場合には(S2004:no)、演出実行フラグをオンに設定した後(S2026)、直ちに振分演出処理を終了して、図21の演出制御処理に復帰するようになっている。結局、図22に示した振分演出処理では、遊技球が非V領域(非特定領域52b)に誘導されて、確変になるか否かが未だ確定していない旨が表示された場合(S2024)、あるいは、遊技球貯留部62に遊技球が貯留されていないと判断された場合(S2004:no)の何れかの場合に、後述する報知演出処理が行われるようになっている。尚、上述した振分演出処理を実行しているサブ制御基板220のCPU221および演出制御基板230のCPU231は、本発明における「振分演出手段」に対応するものとなっている。
【0136】
また、前述したように、大当り遊技が開始される場合には、それに先立って必ず始動口17に遊技球が入球しているので、本来であれば、遊技球貯留部62に遊技球が貯留されている筈である。しかし、本実施例の遊技機1では、大当り遊技が開始されて、遊技球を用いた振分演出を行うために遊技球貯留部62から遊技球を放出しようとしても、遊技球が貯留されておらず、振分演出を実施できない事態が、ごく稀に発生することが見出された。そして、この原因を究明した結果、次のような特殊な条件では、大当り遊技中に遊技球を放出しようとしても、遊技球貯留部62の遊技球が無くなってしまうことが分かった。すなわち、特別図柄の保留数が上限値(4個)に達した状態で、大当り遊技が開始されたとする。この時点では、遊技球貯留部62には、4個の遊技球が貯留されている。そして、大当り遊技の開始後、所定のタイミングになると、貯留されている遊技球を1個放出して、遊技球の振分演出が行われ、その結果、貯留されている遊技球は3個であるが、特別図柄の保留数は4個記憶されている状態、換言すれば、保留数に対して貯留されている遊技球の個数が不足した状態となる。もちろん、大当り遊技中に始動口17に遊技球が入球すれば、遊技球が不足する状態は解消されるが、大当り遊技中に遊技者が狙いをつけて遊技球を発射する大入賞口31dは、始動口17とは離れた位置に設けられており、しかも大当り遊技中は、始動口17の開口時間は延長されておらず、始動口17は遊技球が入球し難くなっている。このため、大当り遊技中に遊技球が始動口17に入球せず、遊技球の不足が解消しないまま大当り遊技を終了する場合も起こり得る。
【0137】
そして、特別図柄の保留に基づいて行われる次の変動表示で、再び大当り遊技が発生して、貯留されている遊技球が1球放出されると、遊技球の不足が解消しないまま、特別図柄の保留数および貯留されている遊技球の個数が、1個ずつ減少することになるので、保留数は3個、貯留されている遊技球は2個となる。こうして開始された2回目の大当り遊技中に、遊技球が始動口17に入球すれば、貯留されている遊技球の不足は解消されるが、遊技球が始動口17に入球しなかった場合には、依然と遊技球の不足が解消されないまま、2回目の大当り遊技が終了してしまうことも起こり得る。そして、続いて行われる特別図柄の変動表示で、また連続して大当り遊技が発生した場合には、その大当り遊技でも始動口17に遊技球が入球せず、遊技球の不足が解消しないまま大当り遊技を終了してしまうことが生じ得る。こうして、特別図柄の保留が上限値(4個)記憶されている状態から、大当り遊技が連続して発生し、しかも、それぞれの大当り遊技中には、始動口17に遊技球が1球も入球しなかった場合には、最終的には、特別図柄の保留が1個残っているにも拘わらず、貯留されている遊技球は残っていない事態が生じ得る。
【0138】
もちろん、このような状態が発生する確率は決して高いものではないが、遊技中に、このようなことが発生すると、遊技者に強い違和感を与えて、遊技に対する興趣を冷ましてしまう。更には、遊技機の動作に対する不信感を抱かせてしまう虞すらあることを考えると、発生確率が低いからといって放置しておくことは好ましくない。そこで、本実施例の遊技機1では、遊技球を用いた前述の振分演出に加えて、遊技球を用いずに行う後述の報知演出を設け、たとえ振分演出によって確変確定が報知されなかった場合でも、続いて行われる報知演出で、確変確定が報知される場合も起こり得るようにしている。こうすることで、たとえ大当り遊技中に遊技球貯留部62に貯留されている遊技球を放出できなかった場合でも、遊技者に違和感を与えることなく、遊技を継続させることが可能となっている。この点については、後ほど報知演出処理について説明する際に、より詳しく説明する。
【0139】
また、前述したように、本実施例の遊技機1では、遊技球貯留部62から放出された遊技球が、偶然に、特定領域52aまたは非特定領域52bに振り分けられたように遊技者には思わせながら、実際には、特定領域52aまたは非特定領域52bの予め設定しておいた側に確実に誘導することが可能となっている。こうしたことは、振分演出装置51に設けられた外周回転体54、内周回転体53、中央回転体52の回転速度を適切に制御することによって実現されている。そこで以下では、本実施例の振分演出装置51が、予め設定された領域に遊技球を誘導する方法について説明する。
【0140】
D−2.振分演出装置における遊技球の誘導方法 :
図25は、本実施例の振分演出装置51が、遊技球をV領域(特定領域52a)あるいは非V領域(非特定領域52b)に誘導する様子の前半部分を示した説明図である。図4を用いて前述したように、本実施例の振分演出装置51には、中央回転体52と、内周回転体53と、外周回転体54とが設けられており、これらはそれぞれ別個の回転速度で回転可能となっている。また、特定領域52aおよび非特定領域52bは中央回転体52に設けられており、内周回転体53や外周回転体54には、遊技球を捕捉する捕捉溝が設けられている。通常の状態(すなわち、遊技球貯留部62から遊技球を放出する前の状態)では、中央回転体52、内周回転体53、外周回転体54は、それぞれ任意の速度で回転している。特に、外側で回転する外周回転体54の回転速度と、その内側で回転する内周回転体53の回転速度とは、一方が他方より速くなる期間が続くかと思えば、両者同じ速度で回転する期間がしばらく続き、その後は、一方が他方より遅くなる期間が続くといった種々の状態を繰り返すようになっている。尚、内周回転体53と中央回転体52とについては、同じ様な態様で回転するようにしても良いし、一方の回転体の回転速度が他方の回転体の回転速度よりも徐々に速くなったり、逆に徐々に遅くなったりする状態を交互に繰り返すようにしても良い。
【0141】
本実施例の振分演出装置51は、遊技球貯留部62から供給通路58を介して遊技球が供給されるまでは、このような状態となっており、その結果、外周回転体54と内周回転体53と中央回転体52とは、互いの相対的な位置関係が種々の状態に変化している。図25(a)には、供給通路58から遊技球が供給されるまでの間、外周回転体54と内周回転体53と中央回転体52とが、互いの相対的な位置関係を種々に変化させながら回転する様子が概念的に示されている。
【0142】
尚、図4および図7を用いて前述したように、振分演出装置51に設けられた中央回転体52、内周回転体53、および外周回転体54は、それぞれ専用のステップモータ50m,50n,50oによって駆動されており、これらステップモータは演出制御基板230によって制御されている。従って、中央回転体52、内周回転体53、外周回転体54が、互いの位置関係を制御しながら回転させる制御は、演出制御基板230に搭載されたCPU231が、中央回転体52、内周回転体53、外周回転体54の原点位置を検出しながら、ステップモータ50m,50n,50oの駆動を制御することによって実現されている。従って、本実施例の演出制御基板230に搭載されたCPU231は、本発明における「遊技球誘導制御手段」に対応するものとなっている。
【0143】
遊技球貯留部62から供給通路58を介して遊技球が供給されると、外側で回転する外周回転体54と、その内側で回転する内周回転体53とは、互いに設けられた捕捉溝の位置が一致しない状態となり、そのままの状態を保ったまま回転するようになる。図25(b)には、外周回転体54と内周回転体53とが、それぞれに設けられた捕捉溝が何れも一致しない状態で回転する様子が、概念的に示されている。尚、外周回転体54と内周回転体53とは、互いの捕捉溝が一致しないように回転していれば十分であり、従って、図25(b)に示すような位置関係を保ったまま同じ速度で回転しても良いし、あるいは、互いの捕捉溝が一致しない範囲で回転速度を変更させて、互いの位置関係を変えながら回転していても良い。また、遊技球が供給された瞬間に、外周回転体54に設けられた「A」ないし「D」の何れかの捕捉溝と、内周回転体53に設けられた「E」ないし「G」の何れかの捕捉溝とがたまたま一致した場合には、何れの捕捉溝についても位置が一致しない状態となるまで、外周回転体54と内周回転体53とが互いの相対位置を速やかに変化させた後、その状態で回転する。
【0144】
一方、図4を用いて前述したように、供給通路58から供給された遊技球は、暫くの間、転動通路55を転動しているが、やがて、外周回転体54に設けられた「A」ないし「D」の何れかの捕捉溝に捕捉される。上述したように、外周回転体54と内周回転体53とは、互いの捕捉溝が一致しない状態で回転しているから、外周回転体54の捕捉溝に捕捉された遊技球は、そのままの状態で外周回転体54と共に回転して、遊技球検出センサ56、57によって検出される。図25(c)は、外周回転体54の捕捉溝「A」に捕捉された遊技球が、遊技球検出センサ56によって検出された様子を概念的に表している。
【0145】
尚、上述したように、供給通路58から遊技球が供給された後は、外周回転体54と内周回転体53とは互いの捕捉溝の位置が一致しない状態を保ったまま回転するので、多少の相対位置の変化は許容されるものの、基本的には同じような位置関係を保ったまま回転する。また、遊技球が供給されたときに、外周回転体54の捕捉溝の位置と内周回転体53の捕捉溝の位置とがたまたま一致していた場合は、捕捉溝がズレた位置となるように外周回転体54と内周回転体53との相対位置が変化し、その後は、基本的にはほぼ同じ位置関係を保ったまま回転することになる。このように、遊技球が供給されてから遊技球検出センサ56,57の何れかで検出されるまでの間は、外周回転体54および内周回転体53は独特の動きをする。しかし、遊技球が供給される前から、外周回転体54と内周回転体53とは、一方の回転速度が他方の回転速度よりも速くなる期間が続くかと思えば、両者同じ速度で回転する期間がしばらく続き、その後は、一方の回転速度が他方の回転速度よりも遅くなる期間が続くといった種々の状態を繰り返しながら回転している。このため、遊技球が供給された後に、外周回転体54と内周回転体53とがほぼ同じ位置関係を保ったまま回転しても、あるいは遊技球が供給された直後に、捕捉溝の位置が一致しないように外周回転体54と内周回転体53との位置関係が変わっても、遊技者にとっては、遊技球が供給される前の動きがそのまま継続している様に感じられる。このため、遊技球が供給されると、外周回転体54および内周回転体53が独特の動きをしていることが、遊技者には悟られないようになっている。
【0146】
また、遊技球が供給された後は、外周回転体54の捕捉溝と内周回転体53の捕捉溝とは互いに一致しない状態に保たれている。このため、図25(c)に示されているように、遊技球を捕捉している外周回転体54の捕捉溝は、必ず内周回転体53に設けられた捕捉溝に挟まれた状態となっている。図25(c)に示した例では、遊技球を捕捉している捕捉溝「A」が、内周回転体53の捕捉溝「E」と捕捉溝「F」とに挟まれている。また、外周回転体54、内周回転体53、中央回転体52の動きは演出制御基板230によって制御されているから、演出制御基板230は遊技球検出センサ56,57で遊技球が検出されると、その遊技球が外周回転体54の何れの捕捉溝に捕捉されているのか、および、その捕捉溝が、内周回転体53に設けられた何れの捕捉溝の間に位置しているかを認識することが可能である。
【0147】
そして、その認識結果に基づいて、外周回転体54と内周回転体53とを、相対的な回転速度差を付けて駆動することにより、外周回転体54の捕捉溝「A」に捕捉されている遊技球を、内周回転体53に設けられた捕捉溝「E」または捕捉溝「F」の何れにも移動させることができる。例えば、捕捉溝「E」に遊技球を移動させるのであれば、外周回転体54の回転速度を増加させるか、あるいは内周回転体53の回転速度を減少させることで、遊技球を捕捉している捕捉溝「A」と捕捉溝「E」とが一致するので、遊技球を捕捉溝「E」に移動させることができる。逆に、遊技球を捕捉溝「F」に移動させるのであれば、外周回転体54の回転速度を減少させるか、あるいは内周回転体53の回転速度を増加させればよい。
【0148】
また、内周回転体53と中央回転体52との関係においても、同様な方法を適用することにより、内周回転体53の何れかの捕捉溝に捕捉されている遊技球を、中央回転体52に設けられた特定領域52aあるいは非特定領域52bの何れにも導くことが可能である。すなわち、演出制御基板230は、外周回転体54に捕捉された遊技球が内周回転体53の何れの捕捉溝に移動するかを把握しており、しかも、内周回転体53および中央回転体52の回転位置も把握している。従って、内周回転体53の捕捉溝に遊技球を移動させた後、その遊技球を特定領域52aに導くためには、内周回転体53と中央回転体52との相対的な位置関係をどのように制御すればよいか、あるいは遊技球を非特定領域52bに導くためには、内周回転体53と中央回転体52との相対的な位置関係をどのように制御すればよいかを容易に把握することが可能である。このことから、図25(c)に示したように遊技球が検出されると、その遊技球をV領域(特定領域52a)あるいは非V領域(非特定領域52b)の何れに導けばよいかに応じて、内周回転体53の捕捉溝「E」または捕捉溝「F」の中で、より容易に遊技球を導くことが可能な方の捕捉溝に遊技球を移動させ、そして、移動させた捕捉溝から、特定領域52aあるいは非特定領域52bに遊技球を導いてやればよい。この点について、もう少し具体的に説明する。
【0149】
図26は、本実施例の振分演出装置51が、遊技球を特定領域52aあるいは非特定領域52bに誘導する様子の後半部分(すなわち、遊技球を検出してから、特定領域52aまたは非特定領域52bへと誘導するまで)を示した説明図である。一例として、図26(a)には、図中に「X」と表示した非V領域(非特定領域52b)に遊技球を誘導する場合が示されている。図示されているように、外周回転体54の捕捉溝「A」の遊技球が検出されたタイミングでは、捕捉溝「A」は内周回転体53に設けられた捕捉溝「E」と捕捉溝「F」とに挟まれている。この2つの捕捉溝のうち、遊技球を誘導しようとしている非特定領域52bには、捕捉溝「E」の方が近いから、捕捉溝「A」の遊技球を捕捉溝「E」に移動させることにする。捕捉溝「A」の遊技球を捕捉溝「E」に移動させるためには、捕捉溝「A」が設けられている外周回転体54を、捕捉溝「E」が設けられている内周回転体53が追い抜くように、外周回転体54および内周回転体53の回転速度を制御すればよい。実際の制御は、外周回転体54の回転速度を遅くしても良いし、内周回転体53の回転速度を速くしても良い。
【0150】
また、このようにして捕捉溝「A」から捕捉溝「E」へと遊技球を移動させる間は、中央回転体52は次のように制御しておく。最終的に遊技球を導こうとしている非特定領域52bは、捕捉溝「E」の直ぐ前方にあるから、この関係が保たれるように、中央回転体52も内周回転体53とほぼ同じ速度で回転させておく。このとき、捕捉溝「E」と非特定領域52bとの距離が近すぎる場合は、距離を確保するために、中央回転体52の方が多少は速く回転させても良いが、逆に、内周回転体53の方が速く回転して捕捉溝「E」と非特定領域52bとが一致することはないように制御しておく。
【0151】
遊技球が捕捉溝「E」に移動したら、今度は、捕捉溝「E」が設けられた内周回転体53の回転速度が、中央回転体52の回転速度よりも速くなるように、内周回転体53および中央回転体52の回転速度を制御する。ここでも、実際の制御は、内周回転体53の回転速度を速くしても良いし、中央回転体52の回転速度を遅くしても良い。何れの方法を採るにせよ、内周回転体53を、中央回転体52よりも速い速度で回転させれば、捕捉溝「E」の遊技球を非特定領域52bに確実に誘導することが可能となる。図26(a)には、以上のようにして、捕捉溝「A」に捕捉された遊技球が、捕捉溝「E」に移動した後、非特定領域52bに導かれる様子が、破線の矢印によって表されている。
【0152】
一方、図26(b)には、図中に「V」と表示したV領域(特定領域52a)に遊技球を誘導する場合が示されている。上述したように、外周回転体54の捕捉溝「A」の遊技球が検出されたタイミングでは、捕捉溝「A」は内周回転体53に設けられた捕捉溝「E」と捕捉溝「F」とに挟まれているが、目的とする特定領域52aには、捕捉溝「F」の方が若干近いから、捕捉溝「A」の遊技球を捕捉溝「F」に移動させる。捕捉溝「A」の遊技球を捕捉溝「F」に移動させるためには、外周回転体54の回転速度が内周回転体53の回転速度よりも遅くなるように、外周回転体54および内周回転体53の回転速度を制御すればよい。また、捕捉溝「F」と最終的な目標の特定領域52aとはかなり隔たっているから、捕捉溝「A」から捕捉溝「F」へと遊技球を移動させる間に、捕捉溝「F」と特定領域52aとの距離が多少近付くように、中央回転体52の回転速度を制御する。尚、この場合でも、捕捉溝「F」と特定領域52aとが一致することはないように制御しておく。
【0153】
こうして遊技球を捕捉溝「F」に移動させたら、今度は、捕捉溝「F」が設けられた内周回転体53が、中央回転体52を追い抜くように、内周回転体53および中央回転体52の回転速度を制御する。ここでも、実際の制御は、内周回転体53の回転速度を速くしても良いし、中央回転体52の回転速度を遅くしても良い。こうすれば、やがて捕捉溝「F」が特定領域52aと一致するので、捕捉溝「F」から特定領域52aへと遊技球を確実に誘導することが可能となる。図26(b)には、以上のようにして、捕捉溝「A」に捕捉された遊技球が、捕捉溝「F」に移動した後、特定領域52aに導かれる様子が、破線の矢印によって表されている。
【0154】
以上に説明したように、本実施例の振分演出装置51では、遊技球貯留部62から供給通路58を介して供給された遊技球は、転動通路55を転動した後、外周回転体54に設けられた4つの捕捉溝の何れかに捕捉される。このとき、何れの捕捉溝に捕捉されるかは、全くの偶然によって決定されるが、何れの捕捉溝に捕捉されたかについては、遊技球検出センサ56,57によって検出することが可能となっている。また、外周回転体54の捕捉溝に捕捉された遊技球は、その内側の内周回転体53に設けられた捕捉溝に移動した後、その捕捉溝から、中央回転体52に設けられたV領域(特定領域52a)または非V領域(非特定領域52b)の何れかに導かれる。外周回転体54、内周回転体53、および中央回転体52の回転は、演出制御基板230によって制御されている。そして、実際には、外周回転体54の何れの捕捉溝に遊技球が捕捉されたかを検出して、その結果に基づいて外周回転体54、内周回転体53、および中央回転体52の回転を制御することにより、特定領域52aあるいは非特定領域52bの目的とする側に遊技球を誘導している。しかし、外周回転体54や、内周回転体53、中央回転体52は、遊技球が供給される前から互いの相対位置を変化させながら回転しているため、遊技者は、遊技球が特定領域52aあるいは非特定領域52bの目的の側に誘導されたのではなく、たまたま何れかに振り分けられたかのように感じることとなる。
【0155】
加えて、振分演出装置51に供給された遊技球は、初めは転動通路55を転動した後に外周回転体54の捕捉溝に捕捉されるので、外周回転体54に設けられた複数の捕捉溝の何れに捕捉されるかは、全くの偶然によって決定されている。その後は、上述したように、遊技球の位置を検出して、特定領域52aあるいは非特定領域52bの目的とする側に誘導しているのであるが、遊技球が最初に捕捉される位置が偶然によって決定されているために、その後、遊技球がどのような経路を通るかも、当然ながら偶然によって決まっているように感じられ、その結果、遊技者には遊技球が偶然、特定領域52aまたは非特定領域52bに振り分けられているかのように見えることになる。
【0156】
更に加えて、遊技球検出センサ56,57は遊技者の目に付き難いところに設けられているため、遊技球の位置を検出していることに遊技者が気付くことはない。このため、遊技球の位置を検出した結果に基づいて、外周回転体54、内周回転体53、中央回転体52の回転速度を制御することにより、遊技球を目的とする側に搬送していることが、遊技者に悟られることはない。
【0157】
本実施例の振分演出装置51では、以上に説明した方法を用いることにより、遊技者には、偶然、特定領域52aあるいは非特定領域52bに遊技球が振り分けられたようにしか見えないようにしながら、それでいて、特定領域52aあるいは非特定領域52bの予め定められた側に、遊技球を確実に誘導することが可能となっているのである。
【0158】
本実施例の遊技機1では、上述した振分演出装置51を用いることによって、このような遊技球の振分演出(実際には、遊技球の誘導)が可能になることを利用して、大当り遊技中に遊技球を用いた振分演出を行うことにより、その大当り遊技の終了後に確変状態になるか否かを、遊技球の振り分け結果によって遊技者に報知している。そして、図22を用いて前述した振分演出処理では、大当り遊技が確変当り図柄によって開始されたものであれば(S2006:yes)、遊技球をV領域(特定領域52a)に誘導して確変が確定した旨の報知を行い(S2022)、一方、大当り遊技が確変当り図柄によって開始されたものではなかった場合には(S2006:no)、遊技球を非V領域(非特定領域52b)に誘導して確変が未確定である旨の報知を行うのである(S2026)。そして、確変が未確定である旨が報知された場合には、以下に説明する報知演出を行うというように、確変の報知を二段構えで行うようになっている。
【0159】
また、図22を用いて前述したように、大当り遊技が確変当り図柄によって開始されたものであっても、抽選によって(S2010)、遊技球が非V領域(非特定領域52b)に導かれる場合も起こり得るようになっている。このため、たとえ振分演出で確変が未確定である旨が報知されても、遊技者は、続いて行われる後述の報知演出を、期待感を持って見守ることになる。そして、このために、遊技球貯留部62の遊技球が足りなくなって振分演出を実行できない事態が発生した場合でも、遊技者に違和感を与えることなく遊技を継続させることが可能となる。以下では、振分演出後に行われる報知演出の内容について説明し、その後、このような報知演出を設けておくことで、遊技者に違和感を与えることなく遊技を継続させることが可能な理由について説明する。
【0160】
D−3.報知演出処理 :
図27は、遊技球を用いた振分演出で確変が未確定である旨が報知された場合に行われる報知演出処理の流れを示したフローチャートである。かかる処理は、図22を用いて前述した振分演出処理の中で演出実行フラグがオンに設定されると、大当り遊技の終了後に、サブ制御基板220のCPU221によって実行される処理である(図21参照)。
【0161】
図27に示されているように、報知演出処理を開始すると、先ず初めに、遊技状態が確変状態か否かを判断する(S3002)。図21を用いて前述したように、サブ制御基板220には、主制御基板200から変動パターン指定コマンドおよび特別図柄停止情報指定コマンドが出力されているから、サブ制御基板220のCPU221は、これらコマンドに基づいて、大当り遊技終了後の遊技状態が確変状態になっているか否かを直ちに判断することが可能である。
【0162】
そして、確変状態ではないと判断された場合は(S3002:no)、直ちに報知演出処理を終了して、図21に示した演出制御処理に復帰する。すなわち、先に行われた振分演出において確変未確定である旨が報知された理由が、大当りの態様が通常当りであり、大当り遊技が終了しても確変状態にはならないためであった場合には、報知演出は行わずに、直ちに処理を終了する。
【0163】
これに対して、大当り態様が確変当りであったにも拘わらず、先に行われた振分演出で確変未確定である旨が報知されていた場合には、大当り遊技後は確変状態になっていると判断されるので(S3002:yes)、確変を報知するか否か、および報知する場合の報知態様を抽選によって決定する(S3004)。そして、抽選の結果、確変を報知することになったか否かを判断し(S3006)、確変を報知しないことになっていた場合は(S3006:no)、そのまま報知演出処理を終了する。すなわち、この場合は、確変状態であることが遊技者には分からない状態(確変潜伏状態)で遊技が継続することになる。
【0164】
一方、抽選の結果、確変を報知することになった場合は(S3006:yes)、報知態様がカウントダウン報知か否かを判断する(S3008)。ここで、カウントダウン報知とは、中央装置40に設けられた回数表示装置45に所定の数値を表示し、特別図柄の変動表示が開始される度に、表示された数値を1つずつカウントダウンしていく演出である。図28には、カウントダウン報知を開始するために回数表示装置45に所定の数値(図示した例では「30」)が設定された様子が示されている。このようなカウントダウン報知は、実際には、特別図柄の変動回数をカウントダウン表示しているだけであり、例えばカウントダウンが終了すると確変状態に切り換わるといった類の報知(すなわち、確変に切り換わることを遊技者が確信できる報知)ではない。しかし、カウントダウン報知は確変状態で行われることから、カウントダウンが終了するまでに大当りが発生する場合が多いので、遊技者にとっては、かなりの確度で大当り発生を期待可能な、いわば確変確定報知に準じた報知となっている。
【0165】
これに対して、報知態様がカウントダウン報知ではないと判断された場合は(S3008:no)、中央装置40に搭載されている演出用ランプ70を、短時間だけ一斉に点灯させることによって、フラッシュ報知を行う(S3012)。すなわち、大当り遊技の終了後、中央装置40の4箇所に設けられた演出用ランプ70を、一斉に一瞬だけ点灯させるのである。図29には、中央装置40に設けられた演出用ランプ70を一斉に点灯させて、フラッシュ報知を行っている様子が示されている。このようなフラッシュ報知は、遊技者の目を引きはするものの、報知の内容が明確ではなく、また、一瞬で終了してしまうために、遊技者は何かの報知であることに気付くことなく遊技を継続する。しかし、フラッシュ報知も確変状態で行われることから、フラッシュ報知後、しばらくすると大当りが発生することが多く、従って遊技を続けているうちに遊技者は、「ひょっとしたら何かの報知かも知れない。もしかしたら確変状態の報知かも知れない」と思うようになる。もちろん、推測の域を出ないので遊技者も確信が持てるわけではなく、従って、カウントダウン報知ほどには確度は高くないものの、それでも、大当り遊技の発生をある程度、期待しながら遊技を継続するようになる。すなわち、フラッシュ報知は、カウントダウン報知よりも更に角度は低いものの、カウントダウン報知と同様に、確変確定の報知に準じた報知となっている。
【0166】
以上に説明したように、図27に示した本実施例の報知演出処理では、大当り態様が確変当りであったにも拘わらず、振分演出で確変確定の報知が行われなかった場合に、遊技者にとってはある程度の確度を有するカウントダウン報知を行うのか、カウントダウン報知よりも確度の低いフラッシュ報知を行うのか、あるいは確変潜伏状態とするのかを抽選によって決定する。そして、抽選結果に従った報知を行った後、図27の報知演出処理を終了して、図21の演出制御処理に復帰する。尚、上述した報知演出処理を実行しているサブ制御基板220のCPU221は、本発明における「報知演出手段」に対応するものとなっている。
【0167】
このように、本実施例の遊技機1では、確変状態の報知を、図22に示した振分演出と、図27に示した報知演出との二段構えで行っている。そして、振分演出による報知は、遊技球を使用して確度の高い報知を行うが、報知演出では遊技球を使用せずに、しかも振分演出よりは確度が低い態様で、確変の報知を行っている。こうすることで、たとえ、遊技球貯留部62の遊技球が無くなっていて振分演出が実行できない事態が発生した場合でも、遊技者に違和感を与えることなく遊技を継続することが可能となっている。以下、この点について説明する。
【0168】
図30は、確変の報知を振分演出および報知演出の二段構えで行うことで、遊技球貯留部62に遊技球が貯留されていない場合でも、遊技者に違和感を与えずに遊技を継続させることが可能となる理由を示す説明図である。図の最上段には、貯留されている遊技球の有無が表示されている。図示されているように、遊技球貯留部62に遊技球が貯留されている条件下では、遊技球を用いた振分演出のみが行われる場合と、振分演出に加えて報知演出も行われる場合とが発生し得る。このため、報知演出のみが行われたとしても、遊技者は、そのような報知態様も設けられているものと考えて、何ら違和感なく遊技を継続することができる。
【0169】
また、振分演出のみが行われる場合の中にも、遊技球がV領域(特定領域52a)を通過して確変が確定した旨が報知される場合と、非V領域(非特定領域52b)を通過して確変が未確定である旨が報知されたにも拘わらず、報知演出を行うことなく、そのまま終了してしまう場合(図27のS3002:no、あるいはS3006:noの場合)とが存在している。すなわち、遊技者にとっては、確変報知は振分演出と報知演出との二段構えで行われるものの、必ず二段階の報知が行われるとは限らず、一方のみが行われる場合もしばしば発生するように感じられるようになっている。このため、仮に遊技球貯留部62に貯留されている遊技球が無くなってしまい、振分演出が行えない場合であっても、遊技者に不自然な感じを与えることなく、報知演出のみを行うことが可能となっている。
【0170】
更に、本実施例では、振分演出と報知演出とで、確変確定に対する確度を、遊技者が違って感じるようになっており、このことも遊技者に違和感を与えることなく、報知演出のみを実行可能な一因となっている。すなわち、振分演出は、遊技者にとっては確度の高い報知演出であり、振分演出で遊技球がV領域(特定領域52a)に振り分けられて確変が確定した場合に限らず、非V領域(非特定領域52b)に振り分けられて確変未確定となった場合でも、実際には確変にならない確率が高い。従って、遊技者にとっては、振分演出は、かなりの確度を有する報知となっている。これに対して、報知演出は、確変に成るとか成らないとかいった直接的な報知ではなく、確変になっているのかも知れないと遊技者に期待あるいは示唆するような、いわば間接的な報知となっている。とは言うものの、遊技者にとっては確度が高く感じられる振分演出で、遊技球が非V領域(非特定領域52b)に振り分けられている以上、遊技者心理としては確変の可能性は低いように感じるものである。これに対して、振分演出が行われずに報知演出のみが行われると、遊技球が非V領域(非特定領域52b)に振り分けられていない分だけ、遊技者にとっては確変になっている可能性が高いように感じ、そのような特別は報知態様が設定されているものと考えるようになる。このため、振分演出を開始しようとしたときに遊技球貯留部62の遊技球が無くなってしまっていて、振分演出が行えなかった場合でも、遊技者に何ら違和感を与えることなく報知演出を行って、遊技を継続することが可能となっているのである。
【0171】
以上、本発明について各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
【0172】
例えば、上述した各種の実施例では、振分演出装置51における遊技球の振り分け結果によって、大当り遊技終了後に確変状態になるか否かを報知するものとして説明した。しかし、振分演出以降の遊技の進行に関わるものであれば、確変以外の内容を報知することとしても良い。例えば、大当り遊技中に実行可能なラウンド数が固定ではなく、複数種類設定されている場合には、遊技球の振り分け結果によって、ラウンド数を報知するようにしても良い。あるいは、大当り遊技終了後の時短回数に複数種類の回数を設定しておき、遊技球の振り分け結果によって時短回数を報知するようにしても良い。
【0173】
また、上述した実施例では、遊技球貯留部62に遊技球が貯留されているか否かを検出し、遊技球が貯留されていない場合には報知演出のみを行うものとして説明した。しかし、これに替えて、遊技球供給部64から遊技球が放出されたか否かを検出することとして、遊技球の放出動作を行っても、遊技球の放出が検出されなかった場合には、振分演出を注視して、報知演出のみを行うようにしても良い。こうすれば、遊技球貯留部62の遊技球が尽きてしまった場合に加えて、何らかの理由で、遊技球貯留部62への遊技球通路あるいは遊技球供給部64からの遊技球通路で球詰まりなどが発生したため、遊技球を放出できなくなった場合でも、遊技を継続することが可能である。遊技球が放出できなかった原因が軽微な理由によるものであれば、しばらく遊技を継続している間に放出可能な状態に復帰することが考えられるし、しばらく遊技を行っても遊技球を放出可能な状態に復帰しなければ、エラー発生を報知するようにすればよい。
【0174】
また、上述した実施例では、振分演出開始の際に、遊技球供給部64から遊技球を1個放出して、その1個の遊技球を用いて振分演出を行う例を説明した。しかし、これに替えて、振分演出開始の際に、遊技球供給部64から遊技球を2個、あるいは3個といったように複数個放出するようにしてもよい。この場合、遊技者には、遊技球が特定領域52a(V領域)に振り分けられる可能性が遊技球1個の場合に比べて高くなる印象を与えることができる。あるいは、複数の遊技球のうち1個の遊技球が確実に特定領域52a(V領域)に誘導されるようにすることで、振分演出開始時に複数個の遊技球が放出された場合には、その時点で「確変確定」とすることができる。このような「確変確定」となる態様は、発生頻度が極めて低い所謂「プレミア演出」とするのが好ましい。
【0175】
また、振分演出開始の際に、遊技球供給部64から放出される遊技球の数を抽選(乱数抽選)によって決定するようにしてもよい。これにより、振分演出の演出パターンを多様化することができ、振分演出の興趣を一層高めることができる。
【0176】
なお、振分演出において遊技球供給部64から放出される遊技球が複数個の場合には、大当り遊技が連続して発生すると、振分演出開始タイミングにおいて遊技球貯留部62に貯留される遊技球が存在しない(不足する)可能性が高くなるが、上述した実施例のように、確変の報知を振分演出および報知演出の二段構えで行う構成を採用することで、振分演出開始タイミングにおいて遊技球貯留部62に貯留球が存在しない(不足する)状態が発生したとしても、何ら問題なく遊技を進行させることができる。
【0177】
また、上述した実施例では、図27に示した報知演出処理において、中央装置40に設けられた演出用ランプ70を一斉に短時間(一瞬)点灯させる「フラッシュ報知」を行うこととして説明した。この「フラッシュ報知」は、中央装置40に設けられた演出用ランプ70だけでなく、前面枠4に設けられた各種ランプ類4b〜4f(図1参照)を用いて行ってもよい。
【0178】
また、「フラッシュ報知」のランプ点灯パターンを予め複数設定しておき、「フラッシュ報知」の実行時に、一の点灯パターンを抽選(乱数抽選)によって決定することとしてもよい。この場合、点灯パターンの抽選確率を、特別図柄の当否判定確率(大当り抽選確率)に対応させて設定しておくことが好ましい。このように「フラッシュ報知」のランプ点灯パターンを抽選(乱数抽選)によって決定することで、「フラッシュ報知」のランプ点灯パターンに基づき現在の遊技状態(確率状態)を推測するといった楽しみ(遊技性)を遊技者に与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0179】
【図1】本実施例の遊技機の正面図である。
【図2】遊技盤の盤面構成を示す説明図である。
【図3】本実施例の遊技機に搭載された中央装置の大まかな構成を示す説明図である。
【図4】本実施例の遊技機で採用されている振分演出装置の構成を例示した説明図である。
【図5】遊技球を取り込んで貯留するとともに振分演出装置に遊技球を供給するための構成を示した説明図である。
【図6】球出ソレノイドによってカムが駆動される度に遊技球が1球ずつ放出される様子を示した説明図である。
【図7】本実施例の遊技機における制御回路の構成を示したブロック図である。
【図8】主制御基板に搭載されたCPUが遊技の進行を制御するために行う遊技制御処理の大まかな流れを示したフローチャートである。
【図9】普通電動役物停止処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】特別図柄遊技処理を開始するか否かを判断するために行う特別図柄遊技開始判断処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】特別図柄遊技処理の一部を示したフローチャートである。
【図12】特別図柄遊技処理の残りの部分を示したフローチャートである。
【図13】特別図柄の当否判定を行う処理の流れを示したフローチャートである。
【図14】本実施例の遊技機に記憶されている特別図柄の当否判定テーブルを例示した説明図である。
【図15】特別図柄遊技処理の中で特別図柄の変動パターンを設定する特別図柄変動パターン設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】主制御基板のROMに設定されている当り・時短用の変動パターンテーブルを概念的に示した説明図である。
【図17】主制御基板のROMに設定されている当り・非時短用の変動パターンテーブルを概念的に示した説明図である。
【図18】主制御基板のROMに設定されている外れ・時短用の変動パターンテーブルを概念的に示した説明図である。
【図19】主制御基板のROMに設定されている外れ・非時短用の変動パターンテーブルを概念的に示した説明図である。
【図20】特別電動役物遊技処理の流れを示すフローチャートである。
【図21】本実施例のサブ制御基板が主制御基板からのコマンドに基づいて実行する演出制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図22】本実施例の遊技機で行われる振分演出処理の流れを示すフローチャートである。
【図23】変動表示装置が確変確定の表示を行っている様子を例示した説明図である。
【図24】変動表示装置が確変未確定の表示を行っている様子を例示した説明図である。
【図25】振分演出装置が遊技球をV領域あるいは非V領域に誘導する様子の前半部分を示した説明図である。
【図26】振分演出装置が遊技球をV領域あるいは非V領域に誘導する様子の後半部分を示した説明図である。
【図27】遊技球を用いた振分演出で確変が未確定である旨が報知された場合に行われる報知演出処理の流れを示したフローチャートである。
【図28】カウントダウン報知を開始するために回数表示装置に所定の数値が設定された様子を例示した説明図である。
【図29】中央装置に設けられた演出用ランプを一斉に点灯させてフラッシュ報知を行っている様子を例示した説明図である。
【図30】確変の報知を振分演出および報知演出の二段構えで行うことで、遊技球が貯留されていない場合でも遊技者に違和感を与えずに遊技を継続可能となる理由を示す説明図である。
【符号の説明】
【0180】
1…遊技機、 17…始動口、 31d…大入賞口(可変入球口)、
42…特別図柄表示部(図柄表示装置)、
51…振分演出装置、 52a…特定領域、 52b…非特定領域、
53…内周回転体(遊技球誘導部)、 54…外周回転体、
55…転動通路(遊技球転動部)、
56、57…遊技球検出センサ(遊技球検出手段)、
62…遊技球貯留部(遊技球貯留手段)、
62s…貯留球検出センサ(貯留遊技球検出手段)、
64…遊技球供給部、 200…主制御基板、
201…CPU(大当り遊技実行手段、第1の抽選手段、第2の抽選手段、図柄表示制御手段、保留数記憶手段)、 220…サブ制御基板、
221…CPU(振分演出手段、報知演出手段)、
230…演出制御基板、 231…CPU(振分演出手段、遊技球誘導制御手段)、
A,B,C,D…捕捉溝(遊技球捕捉部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
図柄の変動表示が可能な図柄表示装置と複数の入球口とが設けられた遊技盤面上に遊技球を発射して、何れかの入球口に遊技球が入球すると、賞球として所定個数の遊技球が払い出される遊技を行う弾球遊技機において、
遊技球が入球し得ない閉鎖状態と、遊技球の入球が容易な開口状態とに切り替え可能に構成され、通常時は閉鎖状態となっている入球口たる可変入球口と、
前記可変入球口を開口状態とすることによって大当り遊技を実行する大当り遊技実行手段と、
前記遊技盤面上に設けられた複数の入球口の中の所定の入球口たる始動口と、
前記始動口に遊技球が入球すると、前記大当り遊技を実行するか否かについての抽選を行う第1の抽選手段と、
前記大当り遊技の開始以降の遊技条件を、予め設定された複数の遊技条件の中から抽選によって決定する第2の抽選手段と、
前記第1の抽選が行われると前記図柄表示装置で図柄を変動表示させた後、該第1の抽選の結果に応じた図柄で停止表示させる制御を行う図柄表示制御手段と、
前記図柄表示装置での図柄の変動表示中に前記始動口に遊技球が入球した場合には、該変動表示中の図柄の停止表示後に新たな変動表示を行うべく、入球した遊技球の個数を所定の上限個数の範囲内で保留数として記憶しておく保留数記憶手段と、
前記始動口に入球した遊技球を、前記保留数の上限個数を限度として貯留しておく遊技球貯留手段と、
前記大当り遊技の開始後の所定時期に、貯留されている遊技球の有無を検出する貯留遊技球検出手段と、
前記大当り遊技の開始後に前記貯留遊技球検出手段が遊技球の貯留を検出した場合には、該貯留されている遊技球を該大当り遊技の進行中に少なくとも1つ放出し、前記第2の抽選結果に対応して設けられた所定領域に遊技球を導く振分演出を行うことにより、該第2の抽選結果を遊技者に報知する振分演出手段と、
前記大当り遊技の開始後に前記貯留遊技球検出手段が遊技球の貯留を検出できなかった場合には、前記第2の抽選結果を、前記振分演出による報知よりも確度が低く且つ遊技球を用いずに報知する複数種類の演出態様の中から1つの演出態様を選択し、該選択した態様の演出を該大当り遊技の終了後に行う報知演出手段と
を備えることを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
請求項1に記載の弾球遊技機において、
前記振分演出手段は、遊技球が通過可能な特定領域および非特定領域が内部に設けられ、該特定領域あるいは該非特定領域に遊技球が振り分けられる様子が、遊技者から視認可能に構成された振分演出装置を含んで構成され、
前記振分演出装置は、
前記遊技球貯留手段から放出された遊技球が転動する遊技球転動部と、
前記遊技球転動部に隣接して複数箇所に設けられ、該遊技球転動部を転動する遊技球を捕捉する遊技球捕捉部と、
複数の前記遊技球捕捉部の何れに遊技球が捕捉されたかを検出する遊技球検出手段と、
前記遊技球捕捉部と前記特定領域あるいは前記非特定領域との間に設けられ、該遊技球捕捉部、該特定領域、および該非特定領域のそれぞれに対して相対位置を変化させることにより、該遊技球捕捉部に捕捉された遊技球を、該特定領域あるいは該非特定領域の何れにも誘導可能な遊技球誘導部と、
前記遊技球捕捉部、前記特定領域、および前記非特定領域に対する前記遊技球誘導部の相対位置を、前記捕捉された遊技球の検出結果と前記第2の抽選結果とに応じて制御しながら変化させることにより、該遊技球捕捉部に捕捉された遊技球を、該前記第2の抽選結果に対応して該特定領域あるいは該非特定領域に導く遊技球誘導制御手段とを有し、
前記遊技球誘導制御手段は、前記第2の抽選結果が遊技者にとって有利な結果であった場合には、遊技球を前記特定領域に導き、前記第2の抽選結果がその他の結果であった場合には、遊技球を前記非特定領域に導くことによって、該第2の抽選結果を遊技者に報知することを特徴とする弾球遊技機。
【請求項3】
請求項2に記載の弾球遊技機において、
前記報知演出手段は、前記遊技球貯留手段から放出された遊技球が前記非特定領域に導かれた場合にも、前記複数種類の演出態様の中から1つの演出態様を選択して、該選択した態様の演出を前記大当り遊技の終了後に行うことを特徴とする弾球遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2008−307137(P2008−307137A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−155793(P2007−155793)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【出願人】(000204262)タイヨーエレック株式会社 (1,095)
【Fターム(参考)】