説明

弾球遊技機

【課題】データ量の多いCPUの固有番号(ユニークID)を示す固有番号データを機外に出力する場合であっても、INT処理を行う割込み周期へ影響を与えることがなく、不正部品(不正主制御装置、不正CPU)への交換を監視することが可能な弾球遊技機を提供する。
【解決手段】当否判定処理の実行を契機に、識別情報送信フラグを設定し、CPUの第1アドレスから第4アドレスに記憶されたユニークIDの分割データを、次回のINT処理から4回のINT処理に分けて順次機外に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機やパチスロ機などの遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、パチンコ機やパチスロ機においては、遊技の制御を司る主制御装置の内部で定期的に更新される乱数カウンタから始動入賞やレバー操作時に応じて乱数値を取得し、該乱数値に基づいて当否判定が行われ、判定結果が当選であれば、賞球やコインの獲得に有利な特別遊技に移行する構成となっている。
【0003】
これに対して、一部の悪質な遊技者によって、前記特別遊技を不正に引き当てるために、主制御装置やそのCPUを前記当選の確率が高いものに交換したり、不正基板を取付けて、該基板により前記乱数カウンタに当り乱数値が発生するタイミングを狙って信号を発信させて当りの乱数値を始動入賞やレバー動作時に無関係に取得する(所謂、狙い撃ち)といった不正行為が行われている。
【0004】
この様な不正行為に対して、正規のCPUが交換されているか否かを判定するため、CPU毎に固有番号を付与し、遊技機に接続した監視装置に予め定められた時間間隔で固有番号のデータを出力し正規のCPUか否かを判定する発明がある<特許文献1>。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−258964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の構成では、遊技機毎に異なる固有番号(ユニークID)を付与することになるが、その場合、固有番号の種類が莫大な数になるため、固有番号自体がある程度の長い番号になると考えられる。これにより、該番号を示すデータが長くなり、そのぶん出力に時間がかかるため、一回のINT割込み内で全処理を終了できなくなる可能性がある。また、固有番号のデータを遊技機から受信することになるホールコンピュータ等の監視装置は、高速なシリアル通信には対応しておらず、長いデータを1回のINT割込みで処理しようとすると反応できない可能性がある。
【0007】
本願発明は上記した問題に鑑み、固有番号を示す長いデータを出力する場合であっても、INT処理を行う割込み周期へ影響を与えることがなく、不正部品(不正主制御装置、不正CPU)への交換を監視することが可能な弾球遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の弾球遊技機は、
主制御装置に搭載されたCPUがユーザープログラムに従って遊技の制御を行う遊技機において、
前記CPUは、前記ユーザープログラムの命令によって読取り可能なCPU固有の識別情報を記憶する識別情報記憶手段と、
所定周期のタイマ割り込みに基づいて実行されるINT処理において、所定の条件を満たしたことを契機に前記識別情報記憶手段に記憶された前記識別情報を機外に出力する識別情報出力手段と、を備え、
該識別情報出力手段は、前記識別情報記憶手段が記憶する前記識別情報を、複数回の前記INT処理に亘って上位又は下位のビットから順に出力する
ことを特徴とする弾球遊技機である。
【0009】
タイマ割込の周期は、2ms又は4msが一般的では有るが、制御上問題なく定期的な周期性を持っていれば何ら差し支えない。また、機外に識別情報を出力する場合は、遊技機が備えた外部出力端子を介して出力する構成が好適であり、他の情報を機外に出力する場合も外部出力端子を介するのが望ましい。
【0010】
識別情報記憶手段は、識別情報を分割して出力するために、識別情報を複数のアドレスに分割して記憶する構成としてもよく識別情報のデータのサイズ応じて分割して記憶するアドレスの数が変化してもよい。識別情報出力手段による出力処理はシリアル送信とし、複数回のINT処理に亘って分割した識別情報を上位又は下位のビットから順に出力するが、分割した識別情報をパラレル送信で出力し、1回のINT処理で出力処理を終了する構成としてもよい。例えば、CPU個別の識別情報が4バイトデータであった場合、識別情報出力手段による出力処理はパラレル送信としてもよく、その場合、複数回に分割してデータを出力してもよいが、1回のINT処理で送信を完了するのが望ましい。
【0011】
外部出力端子を介して機外に出力された識別情報は、ホールコンピュータ等の監視装置に入力され、入力された識別情報と監視装置が記憶している識別情報との照合を行い、遊技機に正規の部品が使用されているか否かの判定を行う構成が望ましい。
【0012】
請求項2記載の弾球遊技機は、
前記所定の条件を、遊技者にとって通常遊技状態より有利な特別遊技を生起するか否かを判定する当否判定手段の実施とする
ことを特徴とする請求項1記載の弾球遊技機である。
【0013】
当否判定手段の実施を契機に識別情報記憶手段に記憶された識別情報を分割して機外に出力する構成となるが、当否判定手段は、その実施に基づいて多くのコマンド送信が行われることから、当否判定手段を実施したINT処理内での識別情報の送信開始を避け、次回又は次々回以降のINT処理から識別情報の送信を開始する構成が好適である。
【0014】
請求項3記載の弾球遊技機は、
前記所定の条件を、前記INT処理によって演算されるデータ又はカウンタが所定値に達したこととする
ことを特徴とする請求項1記載の弾球遊技機である。
【0015】
INT処理によって演算されるデータ又はカウンタが所定値に達したことを契機に識別情報記憶手段に記憶された識別情報を分割して機外に出力する構成となり、所定期間毎に識別情報を繰り返し送信する構成も含まれる。また、遊技の進行にともなって計数される所定の入賞口への入賞数や当否判定の回数等が、所定値に達する毎に識別情報を繰り返し送信する構成も含まれる。
【0016】
請求項4記載の弾球遊技機は、
電源投入時にユーザープログラムに従って電源断時の状態に復帰させる又は電源断時の状態を消去する電源投入手段を備え、
前記所定条件を、該電源投入手段の実施とする
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の弾球遊技機である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の遊技機によれば、主制御装置が備えるCPUが正規な部品であるかどうかを確認するための識別情報信号の出力を、INT処理中に実行することで、遊技中に所定の条件を満たしたことを契機に出力することが可能となるとともに、時間を要する識別情報の送信を複数に分割することで、INT処理を行う割込み周期に影響を与えずに実施することが可能となる。
【0018】
請求項2に記載の遊技機によれば、請求項1と同一の効果を奏しながら、当否判定を実施するごとに主制御装置が備えるCPUが正規な部品であるかどうかを判断可能とする信号が出力されるため、不正行為を容易に発見することができる。
【0019】
請求項3に記載の遊技機によれば、請求項1と同一の効果を奏しながら、INT処理によって演算されるデータ又はカウンタが所定値に達するごとに主制御装置が備えるCPUが正規な部品であるかどうかを判断可能とする信号が繰り返し出力されるため、信号内容が異なる場合、又は所定時間が経過しても該信号が出力されない場合は不正部品に交換されたと判断できるため、不正行為を容易に発見することができる。
【0020】
請求項4に記載の遊技機によれば、請求項1から3のいずれかと同一の効果を奏しながら、電源投入時に正規な部品であるかどうかを判断可能とする信号を出力する構成としたことで早期に不正行為を発見することができる。当然、電源投入時から所定期間経過しても信号が出力されない場合も、不正部品への交換が判断できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】パチンコ機50の正面図
【図2】遊技盤1の正面図。
【図3】パチンコ機50の裏面図。
【図4】遊技機の電気的構成を示すブロック図。
【図5】主制御装置80で実行される電源投入処理1を示すフローチャート。
【図6】CPUのユニークID(識別情報)の記憶構成を示す図。
【図7】主制御装置80で実行されるメインルーチンの概要を示すフローチャート。
【図8】実施例1において主制御装置80で実行される識別情報送信処理1を示すフローチャート。
【図9】実施例1において主制御装置80が実行する当否判定処理を示すフローチャート1。
【図10】実施例1において主制御装置80が実行する当否判定処理を示すフローチャート2。
【図11】実施例1において主制御装置80が実行する当否判定処理を示すフローチャート3。
【図12】実施例1において主制御装置80が実行する当否判定処理を示すフローチャート4。
【図13】電源投入処理1の変形例となる電源投入処理2を示すフローチャート1。
【図14】実施例2において主制御装置80で実行される識別情報送信処理1を示すフローチャート1。
【図15】実施例2において主制御装置80で実行される識別情報送信処理1を示すフローチャート2。
【図16】実施例2において主制御装置80が実行する当否判定処理の一部を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明の好適な実施形態について説明する。尚、本発明の実施の形態は下記の実施形態例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する種々を採ることができ、各実施例に記載された内容を適宜組み合わせることが可能なことはいうまでもない。
【実施例1】
【0023】
図1に示すように、弾球遊技機の一種であるパチンコ機50は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠51にて各部を保持する構造である。外枠51の左側上下には、ヒンジ53が設けられており、該ヒンジ53の他方側には図3に記載する内枠70が取り付けられており、内枠70は外枠51に対して開閉可能な構成になっている。前枠52には、板ガラス61が取り外し自在に設けられており、板ガラス61の奥には図2に記載する遊技盤1が内枠70に取り付けられている。
【0024】
前枠52の上側左右には、スピーカ66が設けられており、パチンコ機50から発生する遊技音が出力され、遊技者の趣向性を向上させる。また、遊技者の趣向性を向上させるために前枠52に遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ65も複数設けられている。前枠52の下方には、上皿55と下皿63が一体に形成されている。下皿63の右側には発射ハンドル64が取り付けられており、該発射ハンドル64を時計回りに回動操作することによって発射装置(図示省略)が可動して、上皿55から供給された遊技球が遊技盤1に向けて発射される。
【0025】
上皿55の上部ほぼ中央には、遊技者が操作可能な演出ボタン67と、その周囲にジョグダイヤル68とを備えている。遊技者が所定期間中に演出ボタン67やジョグダイヤル68を操作することで、後述する演出図柄表示装置6に表示される演出内容が変化したり、スピーカ66より出力される遊技音が変化したりする。なお、演出ボタン67とジョグダイヤル68を総称して演出ユニット67、68ともいう。また、このパチンコ機50はいわゆるCR機であって、プリペイドカードの読み書き等を行うためのプリペイドカードユニット(CRユニット)56が付属しており、パチンコ機50には、貸出ボタン57、精算ボタン58及び残高表示器59を有するCR精算表示装置が備わっている。
【0026】
図2は、パチンコ機の遊技盤1の正面図である。図2に示すように遊技盤1には、公知のガイドレール2a、2bによって囲まれた略円形の遊技領域3が設けられている。この遊技領域3には多数の遊技釘4が植設されている。
【0027】
遊技領域3のほぼ中央部には、センターケース5が配されている。センターケース5は、公知のものと同様に、ワープ入口、ワープ通路、ステージ、演出図柄表示装置6(液晶表示装置であり演出図柄を表示する。)の画面を臨ませる窓等を備えている。センターケース5の下には、第1始動口11と第2始動口12とが配置され、センターケース5の左方には、ゲート17が配置されている。第2始動口12は開閉可能な翼片を供えた普通電動役物を備えており、この翼片が開放しないと遊技球が第2始動口12に入球できない構成となっている。
【0028】
遊技領域の右下部には、複数個のLEDからなる普通図柄表示装置7と、普通図柄保留数表示装置8と、第1特別図柄保留数表示装置18と、第2特別図柄保留数表示装置19と、7セグメント表示装置からなる第1特別図柄表示装置9、第2特別図柄表示装置10とが配置されている。
【0029】
第2始動口12の下方にはアタッカー式の大入賞口14が配置されている。また、第1始動口11の左方には、第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33及び第4左入賞口34が設けられている。なお、この第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33、第4左入賞口34は、入球率が変化しない普通入賞口である。
【0030】
図3は、パチンコ機50の裏面を示し、前述した遊技盤1を脱着可能に取り付ける内枠70が前述した外枠51に収納されている。この内枠70には、上方から、球タンク71、タンクレール72及び払出装置73が設けられている。この構成により、遊技盤1上の入賞口に遊技球が入球すれば球タンク71からタンクレール72を介して所定個数の遊技球を払出装置73により前述した上皿55に排出することができる。また、パチンコ機50の裏側には、主制御装置80(本発明における主制御装置に該当)、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83、発射制御装置84、電源基板85が設けられている。
【0031】
主制御装置80、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83は遊技盤1に設けられており、払出制御装置81、発射制御装置、電源基板85が内枠70に設けられている。なお、図3では、発射制御装置が描かれていないが、発射制御装置は払出制御装置81の下(裏側)に設けられている。また、球タンク71の右側には、外部接続端子78が設けられており、この外部接続端子78より、遊技状態や遊技結果を示す信号が図示しないホールコンピュータに送られる。なお、従来はホールコンピュータへ信号を送信するための外部接続端子78(外部出力端子)には、盤用(遊技盤側から出力される信号をホールコンピュータへ出力するための端子)と枠用(枠側(前枠52、内枠70、外枠51)から出力される信号をホールコンピュータへ出力するための端子)の2種類を用いているが、本実施例では、一つの外部接続端子78を介してホールコンピュータへ遊技状態や遊技結果を示す信号を送信している。
【0032】
図4は、パチンコ機50の電気的構成を示すブロック図となり、主制御装置80を中心にして構成されている。なお、このブロック図には、単に信号を中継するだけのためのいわゆる中継基板及び電源回路等は記載していない。また、詳細な図示は省略するが、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83のいずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えているが、本実施例では発射制御装置84にはCPU、ROM、RAMは設けられていない。しかし、これに限るわけではなく、発射制御装置84にCPU、ROM、RAM等を設けてもよい。
【0033】
主制御装置80が備えたCPUは、ROMに書込まれているユーザープログラムを実行し、これに従って遊技が実行される。また、主制御装置80が備えたCPUには、CPUを判別するための固有の識別情報(所謂、ユニークID)(本発明における識別情報に該当)が記憶されており、該ユニークIDは、前記ROMのユーザープログラムを書込む領域とは異なる領域に記憶されている。
【0034】
また、このユニークIDは、前記ユーザープログラムの要求に応じて読取り可能となっており、これにより、読取ったユニークIDを機外に出力し、設置機種ごとのユニークIDを予め記憶している機外の装置(ホールコンピュータ等)との照合によって、不正な交換がなされていないかと言った不正行為の発見、防止に使用される。なお、主制御装置80が備えるCPUは、上記したユニークIDとは別に、ユーザープログラムの命令では読取り不可能であり、専用機器により読取り照合させるIDナンバーも記憶している。
【0035】
主制御装置80には、第1始動口11に入球した遊技球を検出する第1始動口スイッチ11a、第2始動口12に入球した遊技球を検出する第2始動口スイッチ12a、普通図柄を作動させるゲート17に進入した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ17a、大入賞口14に入球した遊技球を計数するためのカウントスイッチ14a、第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33、第4左入賞口34に入球した遊技球を検出する左入賞口スイッチ31a等の検出信号が入力される。
【0036】
主制御装置80は搭載しているユーザープログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成して払出制御装置81及びサブ統合制御装置83に出力する。また主制御装置80は、図柄表示装置中継端子板90を介して接続されている第1特別図柄表示装置9、第2特別図柄表示装置10及び普通図柄表示装置7の表示、第1特別図柄保留数表示装置18、第2特別図柄保留数表示装置19、普通図柄保留数表示装置8の点灯を制御する。更に、主制御装置80は、大入賞口ソレノイド14bを制御することで大入賞口14の開閉を制御し、普通電動役物ソレノイド(図4では普電役物ソレノイドと表記)12bを制御することで第2始動口12の開閉を制御する。
【0037】
主制御装置80は、裏配線中継端子板75および外部接続端子板78を介して、パチンコ機外の装置であるホールコンピュータ87と電気的に接続される。これにより主制御装置80からホールコンピュータ87へ前記ユニークIDの送信が可能となっている。またホールコンピュータ87には送信されたユニークIDの真贋を判定する機能が設けられている。本実施形態では、ホールコンピュータ87にユニークIDを送信し真贋を判定する構成としているが、他の外部機器、例えば、台間機(CRユニット、現金ユニット)、特図の変動回数や大当たり回数を表示する情報表示器等にユニークIDを送信し判定する構成してもよい。
【0038】
主制御装置80と払出制御装置81とは双方向通信が行われ、払出制御装置81は、主制御装置80から送られてくるコマンドに応じて払出モータ20を制御して賞球を払い出す。本実施例においては、賞球として払い出される遊技球を計数するための払出スイッチ21の検出信号は払出制御装置81に入力され、払出制御装置81で賞球の計数が行われる構成を用いる。この他にも主制御装置80と払出制御装置81に払出スイッチ21の検出信号が入力され、主制御装置80と払出制御装置81の双方で賞球の計数を行う構成を用いることも考えられる。
【0039】
なお、払出制御装置81はガラス枠開放スイッチ35、内枠開放スイッチ36、満杯スイッチ22、球切れスイッチ23からの信号が入力され、満杯スイッチ22により下皿63が満タンであることを示す信号が入力された場合及び球切れスイッチ23により球タンクに遊技球が少ないあるいは無いことを示す信号が入力されると払出モータ20を停止させ、賞球の払出動作を停止させる。なお、満杯スイッチ22、球切れスイッチ23も、その状態が解消されるまで信号を出力し続ける構成になっており、払出制御装置81は、その信号が出力されなくなることに起因して払出モータ20の駆動を再開させる。
【0040】
また、払出制御装置81はCRユニット端子板24を介してプリペイドカードユニットと交信することで払出モータ20を作動させ、貸し球を排出する。払出された貸し球は払出スイッチ21に検出され、検出信号は払出制御装置81に入力される。なお、CRユニット端子板24は精算表示基板25とも双方向通信可能に接続されており、精算表示基板25には、遊技球の貸出しを要求するための球貸ボタン、精算を要求するための返却ボタン、残高表示器が接続されている。
【0041】
また、払出制御装置81は、外部接続端子78を介して賞球に関する情報、枠(内枠、前枠)の開閉状態を示す情報などをホールコンピュータに送信するほか、発射制御装置84に対して発射停止信号を送信する。なお本実施例では遊技球を払い出す構成であるが、入賞等に応じて発生した賞球を払い出さずに記憶する封入式の構成にしても良い。
【0042】
発射制御装置84は発射モータ30を制御して、遊技領域3に遊技球を発射させる。なお、発射制御装置84には払出制御装置81以外に発射ハンドルからの回動量信号、タッチスイッチ28からのタッチ信号、発射停止スイッチ29から発射停止信号が入力される。回動量信号は、遊技者が発射ハンドルを操作することで出力され、タッチ信号は遊技者が発射ハンドルを触ることで出力され、発射停止スイッチ信号は、遊技者が発射停止スイッチ29を押すことで出力される。なお、タッチ信号が発射制御装置84に入力されていなければ、遊技球は発射できないほか、発射停止スイッチ信号が入力されているときには、遊技者が発射ハンドルを触っていても遊技球は発射できないようになっている。
【0043】
サブ統合制御装置83は、主制御装置80から送信されてくるデータ及びコマンドを受信し、それらを演出表示制御用、音制御用及びランプ制御用のデータに振り分けて、演出表示制御用のコマンド等は演出図柄制御装置82に送信し、音制御用及びランプ制御用は自身に含まれている各制御部位(音声制御装置及びランプ制御装置としての機能部)に分配する。そして、音声制御装置としての機能部は、音声制御用のデータに基づいて音LSIを作動させることによってスピーカからの音声出力を制御し、ランプ制御装置としての機能部はランプ制御用のデータに基づいてランプドライバを作動させることによって各種LED、ランプ26を制御する。
【0044】
また、サブ統合制御装置83には、演出ボタン67の操作を検出する演出ボタンセンサ67c、ジョグダイヤル68の回転操作を検出するジョグダイヤルセンサ68a、68bが接続されており、遊技者が演出ユニット67、68を操作した際には、その信号がサブ統合制御装置83に入力される。
【0045】
演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置80から送信されてきたものとサブ統合制御装置83が主制御装置80からの入力及び演出ボタン67a、演出ボタン67b、ジョグダイヤル68の入力に基づいて生成したものとがある)に基づく制御を行い、擬似図柄等の演出画像を演出図柄表示装置6の画面6aに表示させる。尚、サブ統合制御装置83と主制御装置80とは間に演出中継端子板65を介した主制御装置80からサブ統合制御装置83への一方向通信回路として構成され、サブ統合制御装置83と演出図柄制御装置82とはサブ統合制御装置83から演出図柄制御装置82への一方向通信回路として構成されている。
【0046】
次に、図5を用いて、電源投入時に主制御装置80のCPUにより実行される電源投入処理1について説明する。この電源投入処理1は、本発明の電源投入手段に該当する処理となる。電源スイッチが操作されてパチンコ機50が通電状態になり、リセット信号が解除され、CPU自身のセキュリティチェックが終了すると、本処理が起動され、電源投入の初期処理を実行する(S5)。そしてRWMクリア信号がオンか否かを判定する(S10)。RWMクリア信号は、リセット信号の解除時にRWMクリアスイッチがオン状態であればH(オン)になるため、これは実質的に、電源投入時にRWMクリアスイッチがオン状態だったか否かを判定している。
【0047】
S10が否定判定、即ちRWMクリア信号がオフなら(S10:no)、パチンコ機50を電源断時の状態に復旧するために、電源断時の発生情報が正常か否かを判定し(S15)、肯定判定なら(S15:yes)、RWMの判定値を算出し(S20)、その判定値が正常か否かを判定する(S25)。ここでRWMの判定値とは、電源断時にRWMに保存された値で、S25では、S20で算出された値と、RWMに保存された値が一致するか否かを判定する。判定値が正常、すなわち判定値が保存された値と一致していれば(S25:yes)、電源復帰時の処理(例えば、電源断時の発生情報をクリアしたり、サブ統合制御装置83を電源断時の遊技状態に復帰させるためのコマンドを送信したりする)を行なう(S30)。
【0048】
S10が肯定判定、即ちRWMクリア信号がオンなら(S10:yes)、パチンコ機50を初期状態に戻すために、RWMクリア時の処理として、RWMの全てを0クリアし(S35)、RAMの初期設定を行い(S40)、CPUおよびその周辺デバイスの初期設定を行なう(S45)。なお、S15、S25が否定判定の場合も、S35に進みRWMクリア時の処理を行う。S30、又はS45の処理に続いては、識別情報送信フラグに1をセットして(S50)メインルーチンに移行する。
【0049】
識別情報送信フラグは、主制御装置80が記憶する値であり、識別情報送信フラグが1なら、CPUのユニークID記憶領域の第1アドレスに記憶されたユニークIDの第1送信値を外部接続端子板78を介して機外に出力する処理を行うことを判断し、識別情報送信フラグが2なら、ユニークID記憶領域の第2アドレスに記憶された第2送信値を機外に出力する処理を行うことを判断し、識別情報送信フラグが3なら、ユニークID記憶領域の第3アドレスに記憶された第3送信値を機外に出力する処理を行うことを判断し、識別情報送信フラグが4なら、ユニークID記憶領域の第4アドレスに記憶された第4送信値を機外に出力する処理を行うことを判断する。
【0050】
図6は、本実施例において、CPUに記憶されたユニークIDの内容例と、ユニークIDの記憶構成を説明する図となり、本発明の識別情報記憶手段に該当する。本実施例では、ユニークIDは4バイトで構成され、1バイトごとに異なるアドレスで記憶領域に保持されている。具体的には、上位バイトから第1アドレス、第2アドレス、第3アドレス、第4アドレスに記憶され、これにより、ユニークIDを4分割して記憶する構成となっている。
【0051】
図6に示すように、例えばユニークIDが74F68881の4バイトデータであった場合、第1アドレスの0から7に記憶される内容は、「01110100」(74h)、第2アドレスの8から15に記憶される内容は、「11110110」(F6h)、第3アドレスの16から23に記憶される内容は、「10001000」(88h)、第4アドレスの24から31に記憶される内容は、「10000001」(81h)となる。
【0052】
上記のようにユニークIDを分割して記憶することにより、ユーザープログラムの設定に応じて任意の分割部を読み出して機外に送信することが可能になる。従って、ユーザープログラムによって所定の条件を満たした場合に、第1アドレスから第4アドレスに記憶したデータを割込み処理の周期で順次機外に送信し、ホールコンピュータ87が4個分のデータを受信することによってユーザーIDの照合が実施可能となる。
【0053】
次に、主制御装置80が実行するメインルーチンを図7に示したフローチャートに従って説明する。なお、図5では、メインルーチンを電源投処理1に引き続き実行する処理として示したが、実際のメインルーチンは、約2ms毎のハード割り込みにより定期的に実行される。本実施形態では、S110〜S170までの1回だけ実行される処理を「本処理」と称し、この本処理を実行して余った時間内に時間の許す限り繰り返し実行されるS175の処理を「残余処理」と称する。「本処理」は上記割り込みにより定期的に実行されることになる。
【0054】
マイコンによるハード割り込みが実行されると、まず正常割り込みであるか否かが判断される(S110)。この判断処理は、メモリとしてのRWMの所定領域の値が所定値であるか否かを判断することにより行われ、マイコンにより実行される処理が本処理に移行したとき、通常の処理を実行して良いか否かを判断するための処理である。正常割り込みでない場合としては、電源投入時又はノイズ等によるマイコンの暴走等が考えられるが、マイコンの暴走は近年の技術の向上によりほとんど無いものと考えて良いので、たいていが電源投入時である。電源投入時にはRAMの所定領域の値が所定値と異なる値となっている。
【0055】
S110が否定判定、即ち正常割り込みでないと判断されると(S110:no)、初期設定(例えば前記メモリの所定領域への所定値を書き込み、特別図柄及び普通図柄を初期図柄とする等のメモリの作業領域への各初期値の書き込み等)を行い(S115)、残余処理に移行する。
【0056】
S110が肯定判定、即ち正常割り込みと判定されると(S110:yes)、初期値乱数更新処理が実行される(S120)。この処理は、初期値乱数の値についてこの処理を実行する毎に+1するインクリメント処理であり、この処理実行前の初期値乱数の値に+1するが、この処理を実行する前の乱数値が最大値である「3966」のときには次回の処理で初めの値である「0」に戻り、「0」〜「3966」までの3967個の整数を繰り返し昇順に作成する。
【0057】
S120に続く大当り決定用乱数更新処理(S125)は、初期値乱数更新処理と同様に処理を実行する毎に+1するインクリメント処理であり、最大値である「3966」のときは次回の処理で初めの値である「0」に戻り、「0」〜「3966」までの3967個の整数を繰り返し昇順に作成する。なお、大当り決定用乱数の最初の値は、初期値乱数設定処理で設定された値となる。例えば、この値が250であったとすると、大当り決定用乱数は「250」「251」「252」・・・「3966」「0」「1」・・・と更新されていく。
【0058】
なお、大当り決定用乱数が1巡(3967回、更新されること)すると、そのときの前記初期値乱数の値を大当り決定用乱数の初期値にし、大当り決定用乱数は、その初期値から+1するインクリメント処理を行う。そして、再び大当り決定用乱数が1巡すると、その時の初期値乱数の値を大当り決定用乱数の初期値にする動作を行なう。つまり、この一連の動作を繰り返し続けることになる。前述の例では大当り決定用乱数が「249」になると1巡であるから、「249」の次は前記初期値乱数の値となる。仮に初期値乱数の値が「87」だったとすると、「249」「87」「88」・・・「3966」「0」「1」・・・「86」と変化していき、「86」の次は新たな前記初期値乱数の値となる。
【0059】
大当り図柄決定用乱数更新処理(S130)は「0」〜「99」の100個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎に+1され最大値を超えると初めの値である「0」に戻る。
【0060】
S130に続く当り決定用乱数更新処理(S135)は、「0」〜「996」の997個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎で+1され最大値を超えると初めの値である「0」に戻る。なお、当選することとなる値は通常確率状態では31〜40、高確率状態では31〜996である。なお、この当り決定用乱数更新処理は普通図柄の抽選に使用し、その他の初期値乱数、大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数は特別図柄の抽選に使用する。
【0061】
リーチ判定用乱数更新処理(S140)は、「0」〜「228」の229個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎で+1され最大値を超えると初めの値である「0」に戻る。なお、通常確率状態時で変動時間短縮機能未作動時にリーチとなる値の数は21で、値は「0」〜「20」であり、通常確率状態時で変動時間短縮機能作動時にリーチとなる値の数は5で、値は「0」〜「4」であり、高確率状態時にリーチとなる値の数は6で、値は「0」〜「5」である。
【0062】
変動パターン決定用乱数更新処理(S145)は、「0」〜「1020」の1021個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎で+1され最大値を超えると初めの値である「0」に戻る。
【0063】
続く入賞確認処理(S150)では、第1始動口11、第2始動口12の入賞の確認及びパチンコ機50に設けられ主制御装置80に接続された各スイッチ類の入力処理が実行される。本実施例では、遊技球が第1始動口11、第2始動口12に入賞すると大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、変動パターン決定用乱数、リーチ判定用乱数など複数の乱数を取得されるのだが、保留記憶できる数を第1始動口11と第2始動口12でそれぞれ4個までとしており、保留記憶が満タンである4個のときに遊技球が第1始動口11又は第2始動口12に入賞しても賞球が払出されるだけで、前記複数の乱数は保留記憶されない構成になっている。
【0064】
次に、識別情報送信処理(本発明の識別情報出力手段に該当)を行い(S155)、主制御装置80のCPUが記憶するユニークIDを機外に出力する処理を行うが、識別情報送信処理の詳細な説明は図8を用いて後述する。
【0065】
続いて、大当りか否かを判定する条件成立判定手段としての当否判定処理(S160)を行う。この当否判定処理(S160)が終了すると、続いて画像出力処理等の各出力処理(S165)が実行される。各出力処理(S165)では、遊技の進行に応じて主制御装置80は演出図柄制御装置82、払出制御装置81、発射制御装置84、サブ統合制御装置83、大入賞口ソレノイド14b等に対して各々出力処理を実行する。即ち、入賞確認処理(S150)により遊技盤1上の各入賞口に遊技球が入賞したことを検知したときには、賞球としての遊技球を払い出すべく払出制御装置81に賞球データを出力する処理を、遊技状態に対応したサウンドデータをサブ統合制御装置83に出力する処理を、パチンコ機50に異常があるときにはエラー中であることを報知すべく演出図柄制御装置82にエラー信号を出力する処理を各々実行する。
【0066】
続く不正監視処理(S170)は、普通入賞口(第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33、第4左入賞口34)に対する不正が行われていないか監視する処理であり、所定時間内における入賞口への遊技球の入球が予め決定された規定数よりも多いか否かを判断し、多い場合には不正と判断して、その旨を報知する処理である。つまり、不正判断手段は、主制御装置80に設けている。
【0067】
本処理に続く前述の残余処理は、初期値乱数更新処理(S175)から構成されるが、前述したS120と全く同じ処理である。この処理は無限ループを形成し、次の割り込みが実行されるまで時間の許される限り繰り返し実行される。前述したS110〜S170までの本処理を実行するのに必要とされる時間は、大当り処理を実行するか否か、特別図柄の表示態様の相違等により割り込み毎に異なる。この結果、残余処理を実行する回数も割り込み毎に異なり、図7に示された割り込み処理が1回実行されることにより初期値乱数に更新される値も一律ではなくなる。これにより、初期値乱数が大当り決定用乱数と同期する可能性は極めて小さくなる。大当り決定用乱数が1巡したときの、初期値乱数の値(0〜3966の3967通り)が、同程度に発生するとすれば、同期する確率はわずか1/3967である。また、前述した当り決定用乱数更新処理(S135)も残余処理内において実行するよう構成しても良い。
【0068】
次に、図7の識別情報送信処理(S155)として本実施例で実行する識別情報送信処理1を図8に示したフローチャートを用いて説明する。この処理は、本発明における識別情報出力手段に該当する処理となる。識別情報送信処理1を開始すると、識別情報送信フラグが0ではないか否か判定する(S200)。否定判定なら(S200:no)、リターンし、肯定判定なら(S200:yes)、識別情報送信フラグが1か否か判定する(S205)。
【0069】
S205が肯定判定なら(S205:yes)、図6を用いて説明した第1アドレスに記憶したユニークIDの分割データを読み出して外部接続端子板78を介してホールコンピュータ87に送信し(S210)、識別情報送信フラグに2を設定し(S215)リターンする。
【0070】
S205が否定判定なら(S205:no)、識別情報送信フラグが2か否か判定する(S220)。肯定判定なら(S220:yes)、第2アドレスに記憶したユニークIDの分割データを読み出して外部接続端子板78を介してホールコンピュータ87に送信し(S225)、識別情報送信フラグに3を設定し(S230)リターンする。
【0071】
S220が否定判定なら(S220:no)、識別情報送信フラグが3か否か判定する(S235)。肯定判定なら(S235:yes)、第3アドレスに記憶したユニークIDの分割データを読み出して外部接続端子板78を介してホールコンピュータ87に送信し(S240)、識別情報送信フラグに4を設定し(S245)リターンする。
【0072】
S235が否定判定なら(S235:no)、第4アドレスに記憶したユニークIDの分割データを読み出して外部接続端子板78を介してホールコンピュータ87に送信し(S250)、識別情報送信フラグに0を設定し(S255)リターンする。
【0073】
以上が識別情報送信処理1となる。この処理構成により、上述した電源投入処理1で識別情報送信フラグに1がセットされると、以降の正常な割込処理が実施される毎に、S155の処理としてCPUのユニークIDの分割データ(ユニークIDの1/4のデータ量)が機外に順次出力される。本実施例のユニークIDは、本来4バイトデータで構成されているため、該データの送信を1回の送信処理で完了させようとすると、送信するデータ量の多さから割込み処理の周期(本実施例では2ms)に影響を与えてしまうが、ユニークIDを分割して送信することにより、割込処理に無理が発生せず基本制御に影響を与えずに不正な部品に交換されていないか否かが判定可能となる。
【0074】
更に、CPU又は主制御装置を不正な部品に交換する場合、電源を落とした状態で不正部品の交換が行われ、電源の再投入が行われるため、電源投入処理時に識別情報送信フラグを立てることで、不正部品への交換を早期に発見することができる。
【0075】
次に、図9から図12に示すフローチャートを用いて、主制御装置80が実行する当否判定処理を説明する。この処理は、本発明の当否判定手段に該当する。図9で当否判定処理を開始すると、主制御装置80は、特別電動役物が作動中か否かを大当りフラグに基づいて判断する(S300)。S300の判定が否定判断で(S300:no)、特別図柄が変動中でなく(S305:no)、確定図柄の表示中でもなければ(S310:no)、図10のS350に進み、第2保留記憶(第2始動口12への遊技球入球に応じて記憶された各種乱数値)があるか否かを判断する(S350)。
【0076】
肯定判定なら(S350:yes)、第2保留記憶数をデクリメントし(S355)、S370に進む。否定判定、即ち第2保留記憶がなければ(S350:no)、第1保留記憶(第1始動口11への遊技球入球に応じて記憶された各種乱数値)があるか否かを判断する(S360)。肯定判定なら(S360:yes)、第1保留記憶数をデクリメントし(S365)、S370に進む。
【0077】
S370では、第2保留記憶(又はS365から移行した場合は第1保留記憶)の中で最も古い保留記憶を読み込んで(その保留記憶は消去する)、確変フラグが1か否かを判定する(S370)。確変フラグが1であれば、現在の遊技状態が高確率遊技状態であることを主制御装置80が判断する。
【0078】
S370が肯定判断なら(S370:yes)、読み込んだ大当り決定用乱数を確変テーブル(高確率状態で用いる当否判定テーブル)に記録されている当り値と照合する(S375)。ここで当り値の数は100で、758〜777、1314〜1333、1758〜1777、2758〜2777、3314〜3333である。つまり当たり確率は1/39.67となる。否定判断であれば(S370:no)、読み込んだ大当り決定用乱数を通常テーブルに記録されている当り値と照合する(S380)。ここで当り値の数は10で、775〜777、1775〜1777、2774〜2777である。つまり当たり確率は1/396.7となる。
【0079】
続いて、S375、またはS380の判定に基づき、大当りか否かを判定し(S385)、肯定判定であれば(S385:yes)、大当り図柄決定用乱数によって当り図柄を決定し(S390)、読み込んだ変動パターン決定用乱数によって変動パターンを決定し(S395)、大当り設定処理を行う(S400)。大当り設定処理とは、S390で決定した大当り図柄によって、大当り後の遊技状態(確変や開放延長の有無等)や大当り遊技にかかる情報(大当りのオープニング時間、開放パターン、大当りのエンディング時間、ラウンド数等)を取得する処理である。
【0080】
S385が否定判定なら(S385:no)、小当りか否か判定する(S405)。ここで大当り決定用乱数が、301〜361のときに小当りとする。つまり小当たり確率は約1/65である。肯定判定なら(S405:yes)、小当り図柄を決定し(S410)、変動パターン決定用乱数によって変動パターンを決定する(S415)。S405が否定判定なら(S405:no)、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数に基づいてハズレ時の変動パターンを決定する(S420)。S415またはS420に続いては、ハズレ設定処理を行なう(S425)。ハズレ設定処理では、時短回数または確変回数がプラスであれば、それぞれ−1する。
【0081】
S400又はS425に続いては、上述の抽選結果を示すデータ、具体的には通常大当り、確変大当り、リーチ外れ(外れであるがリーチ表示有り)、小当り、リーチ表示無しの外れのいずれかを示すデータと変動時間を指定する変動パターンのデータが含まれる変動指示コマンド(表示制御コマンド)をサブ統合制御装置83に出力し(4330)、識別情報送信フラグに1をセット(S435)して特別遊技処理に進む。S435の識別情報送信フラグセット処理は、電源投入処理1のS50と同じ処理であり、この当否判定処理の実施を契機に、詳しくは、当否判定処理実施後の次の割込処理からCPUのユニークIDの分割データの送信を開始する。
【0082】
なお、本実施例では、当否判定処理実施後の次回の割込み周期で実施されるINT処理からユニークIDの分割送信を開始するが、当否判定処理は、その実施に応じて送信するコマンドが多くなることから、2回のINT処理に分けてコマンドが送信されることも想定され、当否判定処理実施後の次々回の割込み周期で実施されるINT処理からユニークIDの分割送信を開始することによって、割込み周期への影響を避ける構成も考えられる。
【0083】
図10、S430の処理により演出図柄表示装置6では演出図柄の変動表示が開始されるが、ほぼ同時に特別図柄の変動も主制御装置80によって開始される。
【0084】
図9のS305が肯定判定、即ち特別図柄が変動中なら(S305:yes)、図11に進み、図柄変動時間(S395、S415、又はS420で決定した変動パターンに基づく)が経過したか否か判定する(S440)。否定判定なら(S440:no)、特別遊技処理に進み、肯定判定なら(S440:yes)、確定図柄表示処理を行なって(S445)、特別遊技処理に進む。確定図柄表示処理では、確定図柄を表示する旨のコマンド(図柄確定コマンド)をサブ統合制御装置83に出力するとともに、第1特別図柄表示装置9又は第2特別図柄表示装置10を制御して確定図柄を停止させる。
【0085】
図9のS310において確定図柄を表示中と判定された場合には、図12のフローチャートに進み、確定図柄の表示時間が終了したか否かを判定する(S450)。否定判定なら(S450:no)、特別遊技処理に進み、肯定判定なら(S450:yes)、確定図柄の表示を終了し(S455)、確定表示された特別図柄が大当りになる組み合わせ(配列)か否かを判定する(S460)。肯定判断なら(S460:yes)、確変フラグが1か否か判定し(S465)、否定判定なら(S465:no)、S475に進み、肯定判断なら(S465:yes)、確変フラグを0にし(S470)、S475に進む。
【0086】
S475では、時短フラグが1か否かを判定し(S475)、否定判定なら(S475:no)、S485に進み、肯定判定なら(S475:yes)、時短フラグを0にし(S480)、S485に進む。S485では条件装置作動開始処理により、大当りフラグをセットし(S485)(大当りフラグ=1)役物連続作動装置を作動させ(S490)、大当り開始演出処理を行なう(S495)。大当り開始演出処理では、大当り遊技を開始するコマンド及び大当り遊技に係る情報(大当りのオープニング時間、開放パターン、大当りのエンディング時間、ラウンド数等)をサブ統合制御装置83に送信する。大当り開始演出処理が終了すると、特別遊技処理に進む。
【0087】
S460が否定判定、即ち、確定表示させた特別図柄が大当りになる表示ではなければ(S460:no)、確変フラグが1か否か判定し(S500)、肯定判定なら(S500:yes)、確変回数(確変時の特図変動回数をカウントする確変カウンタの値)が0か否かを判定する(S505)。肯定判定なら(S505:yes)、確変フラグに0をセットして(S510)S515に進む。S500、又はS505が否定判定なら(S500:no、S505:no)はそのままS515に進む。S515では、時短フラグが1か否かを判定し(S515)、肯定判定なら(S515:yes)、時短回数が0か否か判定する(S520)。肯定判定なら(S520:yes)、時短フラグに0をセットして(S525)S530に進む。時短フラグが1でないとき(S515:no)又は時短回数が0ではないとき(S520:no)はそのままS530に移行する。
【0088】
S530では、現在の遊技状態が確変中であるか否か、時短中であるか否か等の状態を示す状態指定コマンドをサブ統合制御装置83に送信し、確定表示させた特別図柄が小当りになる組み合わせ(配列)か否かを判定する(S535)。肯定判定なら(S535:yes)、特別電動役物開始処理(S540)を行い、小当り開始演出処理を行なう(S545)。小当り開始演出処理では、小当り遊技を開始するコマンド及び小当り遊技に係る情報(小当りのオープニング時間、小当りのエンディング時間等)をサブ統合制御装置83に送信する。小当り開始演出処理が終了すると、特別遊技処理に進む。S535が否定判定なら(S535:no)、そのまま特別遊技処理を実行する。
【0089】
以上が実施例1の説明となるが、図5を用いて説明した電源投入処理1は、図13に示す電源投入処理2のような構成に変形することも考えられる。具体的には、図5の電源投入処理1では、基本的な電源投入処理の後に識別情報送信フラグの設定処理(S50)を行い、次回のINT処理からユーザーIDの分割データを送信可能とする構成としたが、図13の電源投入処理2は、基本的な電源投入処理の後に同一ルーチン内で第1アドレスに記憶したユニークIDの分割データの送信を実施し(S645)、次回のINT処理から第2アドレスに記憶したユーザーIDの分割データを順次送信する構成となる。また、本実施例では当否判定処理を実施するごとに毎回CPUのユニークIDデータを送信したが、所定回数の当否判定処理を実施するごとに該送信を実施する構成としてもよい。
【0090】
電源投入処理2の構成にする場合、ユーザーIDの分割データの出力をシリアル送信とし、ハイレベル信号とロウレベル信号の出力時間を異ならせることにより、遊技状態を初期化して最初にカウントする大当り判定となる乱数値を直接狙う不正行為の実行をし辛くする効果がある。
【実施例2】
【0091】
次に実施例2について説明する。本実施例に於いて遊技機を構成する部品とその電気的接続は実施例1と共通である。従って、重複する部分は実施例1を援用して説明を進める。
【0092】
本実施例は、実施例1で図8を用いて説明した識別情報送信処理1の構成と、当否判定処理の一部が異なる内容となり、それ以外は実施例1と共通となるため共通部の説明は援用とする。
【0093】
図14は、実施例2で主制御装置80が実行する識別情報送信処理2の内容を示すフローチャートとなる。この識別情報送信処理2も、実施例1のメインルーチンで説明した識別情報送信処理(S155)でコールされる処理となる。識別情報送信処理2を開始すると、識別情報送信処理1と同様に識別情報送信フラグが0ではないか否かの判定を行うが(S700)、この判定が肯定判定であった場合(S700:yes)、以降の処理は識別情報送信処理1と同一内容であるため説明は援用とする。
【0094】
S700が否定判定なら、即ち識別情報送信フラグが0であり、CPUのユニークIDの分割データを出力するタイミングではない場合は(S700:no)、図15のフローチャートに進み、タイマを構成するカウンタの値が0ではないか否か判定する(S800)。肯定判定なら(S800:yes)、カウンタから−1するデクリメント処理を行い(S805)、S805の処理によってカウンタ値が0になったか否か判定する(S810)。肯定判定なら、即ち所定の時間が経過していれば(S810:yes)、識別情報送信フラグに1をセットして(S815)、リターンする。S800が否定判定、即ちカウンタ値が0なら(S800:no)、繰り返しタイマ計測を実施するためにカウンタにタイマ計測の初期値(本実施例では5分だがこの時間に限るものではない)をセットして(S820)リターンする。
【0095】
以上が実施例2における識別情報送信処理2となるが、この処理によって、S820でセットする所定時間が経過する毎にCPUが記憶するユニークIDの分割データの出力を開始する構成となり、分割データを受信するホールコンピュータ87等の外部機器において、ユニークIDのデータが異なること、若しくユニークIDのデータが出力されないことで不正基板へ交換されたと判断される。
【0096】
図16は、本実施例で主制御装置80が実行する当否判定処理の一部の処理構成を示すフローチャートとなるが、この箇所は、実施例1で図10を用いて説明した処理構成に該当する箇所となる。具体的な変更箇所は、図10のS435「識別情報送信フラグのセット処理」が削除されており、本実施例では、当否判定処理の実施を契機にCPUのユニークIDの分割データを送信する処理は実施されない。
【0097】
以上が実施例2の説明となる。本実施例では、識別情報送信処理2のS820で設定されたタイマカウンタの計時によって、所定期間毎にCPUのユニークIDの分割データを順次送信する構成となる。なお、CPUのユニークIDの分割データを送信する方法は、実施例1と同様の内容となっている。
【0098】
以上が実施例の説明となる。実施例1、2では、電源投入時もユニークIDの分割データを送信する契機(電源投入処理1のS50で識別情報送信フラグに1をセット)としていたが、少なくともRAMクリア(S10:yes)をともなう電源投入処理が実施された場合は、送信するCPUのユニークIDの分割データはシリアル通信で送信され、HIレベル信号とLOWレベル信号の出力時間を異なる時間で送信する構成も考えられる。
【0099】
この構成とすることで、少なくともRAMクリアをともなって行われる電源投入処理を契機としたCPUのユニークIDの分割データ送信では、HIレベル信号とLOWレベル信号の出力時間が異なり、また、設置機ごとにユニークID自体が異なるため、出力されるHIレベル信号とLOWレベル信号の組合せが異なることによって分割データの送信時間が設置機全てに共通ではなくなる。これにより、不正にRAMクリアを実行して大当り乱数を取得する不正行為が実行し辛くなるという効果がある。更に、電源投入処理時においては、割込み時間への影響を考慮せずに、ユニークIDを分割することなく一括送信してもよい。
【0100】
また、ユニークIDの分割データ送信の契機を普通図柄の当り判定処理とする構成も考えられ、遊技の進行にともなって特別図柄の当否判定処理よりも容易に実施される普通図柄の当り判定処理を契機に実施することで、更に容易に不正行為を発見することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
以上のように、本発明の弾球遊技機によれば、機外に出力するCPUのユニークIDのデータ量が多くても、INT処理を行う割込み周期へ影響を与えずに、不正部品(不正主制御装置、不正CPU)への交換を監視することが可能なとなる。従って、正規のCPUか否かを判定するためにCPU毎の固有番号(ユニークID)を機外に出力する機能を備えた弾球遊技機に適用することができる。
【符号の説明】
【0102】
1 遊技盤
11 第1始動口
11a 第1始動口スイッチ
12 第2始動口
12a 第2始動口スイッチ
14 大入賞口
14a カウントスイッチ
17 ゲート
17a 普通図柄作動スイッチ
80 主制御装置
82 演出図柄制御装置
83 サブ統合制御装置
87 ホールコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主制御装置に搭載されたCPUがユーザープログラムに従って遊技の制御を行う遊技機において、
前記CPUは、前記ユーザープログラムの命令によって読取り可能なCPU固有の識別情報を記憶する識別情報記憶手段と、
所定周期のタイマ割り込みに基づいて実行されるINT処理において、所定の条件を満たしたことを契機に前記識別情報記憶手段に記憶された前記識別情報を機外に出力する識別情報出力手段と、を備え、
該識別情報出力手段は、前記識別情報記憶手段が記憶する前記識別情報を、複数回の前記INT処理に亘って上位又は下位のビットから順に出力する
ことを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
前記所定の条件を、遊技者にとって通常遊技状態より有利な特別遊技を生起するか否かを判定する当否判定手段の実施とする
ことを特徴とする請求項1記載の弾球遊技機。
【請求項3】
前記所定の条件を、前記INT処理によって演算されるデータ又はカウンタが所定値に達したこととする
ことを特徴とする請求項1記載の弾球遊技機。
【請求項4】
電源投入時にユーザープログラムに従って電源断時の状態に復帰させる又は電源断時の状態を消去する電源投入手段を備え、
前記所定条件を、該電源投入手段の実施とする
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の弾球遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−70850(P2013−70850A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212213(P2011−212213)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(395018239)株式会社高尾 (550)
【Fターム(参考)】