説明

従属同期クロック信号生成装置

【課題】従属同期クロック信号生成装置に関し、従属同期用クロック信号の系切替え時に瞬断なくクロック信号を供給し、擾乱の無い装置供給用クロック信号を供給する。
【解決手段】外部から2系統の従属同期クロック信号を入力し、該従属同期クロック信号の1周期分の信号の開始部分を検出してハイレベル信号を出力し、該従属同期クロック信号の1周期未満のタイミングでローレベル信号を出力する2系統のクロック信号生成部(#0)1−1,(#1)1−2と、該クロック信号生成部から出力される信号の論理和信号をクロック信号としてPLO部6−7出力する論理和信号出力部1−3を備える。クロック信号生成部は、内部自走クロック源1−4のクロックをカウントして従属同期クロック信号の1周期未満のタイミングでローレベル信号をフリップフロップ回路1−12,1−22のリセット端子に入力して強制的にローレベル信号を出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従属同期クロック信号生成装置に関し、特に、従属同期方式の伝送装置等において、二重化構成のクロック信号生成部から出力されるクロック信号の切り替えの際に、瞬断を伴うことなく切り替えることができる従属同期クロック信号生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図6に従来の従属同期クロック信号生成装置の構成を示す。同図において、6−10,6−11は外部から入力される二重化された従属同期用クロック信号(#0),(#1)、6−1,6−2は二重化されたクロック信号入力部(#0),(#1)、6−3,6−4は二重化されたクロック信号断検出部(#0),(#1)、6−5はクロック切替制御部、6−6はクロック選択部、6−7はPLO(Phase Locked Oscillators)部、6−12は出力される装置供給用クロック信号である。ここで、二重化構成の一方の系に「#0」、他方の系に「#1」の符号を付して記載している。
【0003】
従属同期クロック信号生成装置は、外部から入力される2系統の従属同期用クロック信号6−10,6−11から、クロック信号入力部(#0)6−1,(#1)6−2及びクロック選択部6−6を介して、一方の従属同期用クロック信号を抽出し、その従属同期用クロック信号をPLO部6−7に供給する。
【0004】
クロック信号断検出部(#0)6−3,(#1)6−4は、クロック信号入力部(#0)6−1,(#1)6−2から出力されるクロック信号の断状態を検出し、該検出情報に基づくクロック切替制御部6−5のクロック切替論理に従ってクロック選択部6−6を制御し、正常な従属同期用クロック信号をPLO部6−7に供給する。
【0005】
本発明に関連する二重化した従属同期クロック生成装置の先行技術文献として、現用系のクロック生成部で作成した装置内基準パルスに、予備系のクロック生成部で生成するパルスを従属同期させ、系の切り替え時や従属先クロックの切り替え時にデータエラーや各種アラームの発生を防ぐ従属同期方式が下記の特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開平3−272234号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
クロック信号断検出部(#0)6−3,(#1)6−4は、クロック信号入力部(#0)6−1,(#1)6−2のクロック信号の断状態を検出するまでに、或る一定の時間を必要とするため、従来の装置ではその間、クロック信号の系切り替えが行われず、PLO部6−7に供給されるクロック信号に瞬断が発生し、それによってPLO部6−7で同期が外れ、装置供給用クロック信号6−12に擾乱が発生し、伝送装置等において信号エラー等が発生する問題があった。本発明は、従属同期用クロック信号の系切り替え時に、PLO部6−7等へ瞬断なくクロック信号を供給し、PLO部6−7等から擾乱の無い装置供給用クロック信号6−12が供給されるようにすることを第1の目的とする。
【0007】
また、2系統の従属同期用クロック信号の切り替え時に瞬断することなく、一方の従属同期用クロック信号を選択して供給するとともに、非選択側の従属同期用クロック信号が選択側の従属同期用クロック信号と位相同期していない場合、及び異常波形となった場合に、選択側の従属同期用クロック信号に悪影響を与えることなく、擾乱の無いクロック信号を出力することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の従属同期クロック信号生成装置は、外部から2系統の従属同期クロック信号を入力し、各従属同期クロック信号に対して、該従属同期クロック信号の1周期分の信号の開始部分を検出して論理“1”(ハイレベル)の信号を出力し、該従属同期クロック信号の1周期未満のタイミングで論理“0”(ローレベル)の信号を出力する2系統のクロック信号生成手段と、前記2系統のクロック信号生成手段から出力される信号の論理和信号をクロック信号として出力する論理和信号出力手段と、を備えたことを第1の特徴とする。
【0009】
また、外部から入力される前記2系統の各従属同期クロック信号に対して、該従属同期クロック信号の1周期分の信号の開始部分を検出して論理“1”(ハイレベル)の信号を出力し、該従属同期クロック信号の1周期未満のタイミングで論理“0”(ローレベル)の信号を出力する2系統の他系マスクタイマーと、前記2系統の従属同期クロック信号のうちの一方の従属同期クロック信号をマスクせず、他方の従属同期クロック信号を、前記マスクしない側の系統の他系マスクタイマーから論理“1”(ハイレベル)の信号が出力されている区間でマスクするクロックマスク信号を出力する切替制御手段と、前記切替制御手段から出力されるクロックマスク信号を入力し、該クロックマスク信号に従って、前記外部から入力される2系統の従属同期クロック信号をマスクした被マスククロック信号を、前記2系統のクロック信号生成手段に出力する2系統のクロックマスク手段と、を備えたことを第2の特徴とする。
【0010】
また、前記外部から入力される2系統の各従属同期クロック信号の断状態を検出する2系統のクロック信号断検出手段を備え、前記切替制御手段は、前記2系統のクロック信号断検出手段から入力される検出結果に基づいて、前記2系統の従属同期クロック信号の何れか一方が断状態である場合、断状態でない系統の従属同期クロック信号をマスクせず、断状態の系統の従属同期クロック信号を常時マスクするクロックマスク信号を出力することを第3の特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、外部から入力される2系統の従属同期クロック信号の一方が断状態となったとき、該従属同期クロック信号をPLO部等へ無瞬断で供給することが可能となり、装置供給用クロック信号に擾乱が発生することなく、信号エラー等の発生を防ぐことができる。
【0012】
また、本発明によれば、非選択側の従属同期用クロック信号が選択側の従属同期用クロック信号と位相同期していない場合や異常波形となった場合にも、非選択側の従属同期用クロック信号の影響を受けることなく、かつ位相同期が保証されている従属同期用クロック信号が2系統入力されている場合は、PLO部等へのクロック信号を無瞬断で供給することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は本発明の従属同期クロック信号生成装置の構成を示す。同図において、1−1,1−2は二重化されたクロック信号生成部(#0),(#1)、1−11,1―21はそれぞれクロック信号生成部(#0)1−1,(#1)1−2内のカウンタ、1−12,1―22はそれぞれクロック信号生成部(#0)1−1,(#1)1−2内のフリップフロップ回路部、1−3は論理和信号出力部、1−4は内部自走クロック源である。その他の構成要素は図6に示した構成要素と同一であり、図6で説明した構成要素に図6で付した符号と同一の符号を付している。
【0014】
内部自走クロック源1−4は、従属同期用クロック信号6−10,6−11の周波数よりも十分早い周波数のクロック源である。クロック信号生成部(#0)1−1,(#1)1−2のカウンタ1−11,1−21は、クロック信号入力部(#0)6−1,(#1)6−2から出力されるクロックパルスの立ち上がりを検出したとき、ハイレベルの信号を出力するとともに内部自走クロック源1−4のクロックのカウントを開始し、従属同期用クロック信号の半周期程度のタイミングまで該クロックをカウントした後にローレベルの信号を出力する。なお、以下ではハイレベルの信号を論理“1”の信号、ローレベルの信号を論理“0”の信号として正論理回路の構成で説明するが、負論理の回路構成とすることも可能であり、その場合は、ハイレベルとローレベルとが逆になる。
【0015】
各フリップフロップ回路部1−12,1−22は、クロック信号入力部(#0)6−1,(#1)6−2から出力されるクロックパルスをセット端子(S)に入力し、その立ち上がりでセットされ、出力端子(Q)からハイレベルの信号を出力し、カウンタ1−11,1―21から出力される信号をリセット端子(R)に入力し、そのローレベルの信号が入力されたときにリセットされ、出力端子(Q)からローレベルの信号を出力する。
【0016】
これにより、各フリップフロップ回路部1−12,1−22から、それぞれ従属同期用クロック信号の立ち上がりに同期してハイレベルとなり、該クロック信号の半周期程度のタイミングで必ずローレベルに落ちるパルスが再生成クロック信号として出力される。そして、各フリップフロップ回路部1−12,1−22から出力される再生成クロック信号をそれぞれ論理和信号出力部1−3に入力し、論理和信号出力部1−3は、各フリップフロップ回路部1−12,1−22からの再生成クロック信号の論理和信号をPLO部6−7に供給する。
【0017】
従属同期用クロック信号6−10,6−11の何れか一方の入力が途絶した場合の動作例として、ここでは、従属同期用クロック信号6−10の入力が途絶えた場合について説明する。従属同期用クロック信号6−10の入力が途絶えると、クロック信号生成部(#0)1−1のフリップフロップ回路部1−12のセット端子(S)にクロックパルスの立ち上がりが入力されなくなるため、フリップフロップ回路部1−12の出力(Q)はローレベルに固定されたままとなる。
【0018】
一方、正常な従属同期用クロック信号6−11が入力されるクロック信号生成部1−2のフリップフロップ回路部1−22からは、従属同期用クロック信号6−11に同期した再生成クロック信号が出力され、フリップフロップ回路部1−12,1−22の出力信号を論理和信号出力部1−3で論理和演算して合成出力することにより、PLO部6−7にクロック信号を無瞬断で供給することが可能となる。
【0019】
図2は図1の各回路部の信号波形を示した図である。同図において(a)は内部自走クロック源1−4のクロック、(b),(c)はそれぞれクロック信号生成部(#0)1−1,(#1)1−2の入力波形、(d),(e)はカウンタ(#0)1−11,(#1)1−21の出力波形、(f),(g)はクロック信号生成部(#0)1−1,(#1)1−2の出力波形、(h)は波形(f),(g)の信号の論理和出力波形である。
【0020】
同図(d),(e)に示すように、カウンタ(#0)1−11,(#1)1−21は、クロック信号入力(#0),(#1)の立ち上がりを検出した後に、内部自走クロック源1−4のクロックのカウントを開始し、該カウント値が従属同期用クロック信号の半周期程度のタイミングに相当する値に達したときに、フリップフロップ回路部1−12,1−22をリセットするパルス信号を出力する。
【0021】
ここで、(A)に示すようにクロック信号入力(#0)がハイレベルとなったまま入力が途絶えたとすると、その後、フリップフロップ回路部(#0)1−12のセット端子(S)には、クロック信号入力(#0)の立ち上がりが入力されないため、クロック信号生成部(#0)1−1から出力される再生成クロック信号は、同図(B)に示すようにローレベルのままとなる。
【0022】
クロック信号生成部(#0)1−1,(#1)1−2の出力波形(f),(g)を論理和合成することにより、クロック信号入力(#0)が断状態となっても、クロック信号入力(#1)を元に再生成される再生成クロックパルスが論理和信号出力部1−3から出力されるため、同図(C)に示すように、PLO部6−7に瞬断のないクロック信号を供給することが可能となる。
【0023】
即ち、クロック信号生成部(#0)1−1,(#1)1−2の出力波形(f),(g)を、切り替えスイッチで選択して切り替えることなく、論理和合成することにより、瞬断のないクロック信号の供給が可能となる。但し、図2の(A)に示すように、クロック信号入力がハイレベルのまま途絶えてしまった場合、そのまま論理和合成すると、論理和信号出力部1−3からハイレベルが永続的に出力されてしまう。
【0024】
そのため、カウンタ(#0)1−11,(#1)1−21及びフリップフロップ回路部(#0)1−12,(#1)1−22を用いてクロック信号生成部を構成し、クロック信号入力に同期して立ち上がり、所定の時間(カウンタでカウントした半周期程度時間)経過後に必ずローレベルとなるクロック信号を再生成し、該再生成クロック信号を論理和合成することで、上記の問題を防いでいる。
【0025】
なお、上記の説明で、カウンタ1−11,1−21は、内部自走クロック源1−4のクロックのカウントにより、従属同期用クロック信号の半周期程度のタイミングでフリップフロップ回路部(#0)1−12,(#1)1−22のリセット用の信号を出力する構成としたが、通常、PLOは入力の立ち上がり波形を使用しているものが多く、その場合、必ずしも半周期程度のタイミングである必要は無く、従属同期用クロック信号の1周期未満のタイミングでリセット用の信号を出力すればよい。
【0026】
次に本発明を更に改良した実施形態について説明する。前述したようにクロック信号生成部(#0)1−1,(#1)1−2の出力波形(f),(g)を論理和合成してクロック信号出力する構成とした場合、非選択側の従属同期用クロック信号が、選択側の従属同期用クロック信号と位相がずれて同期していない場合や、異常波形となった場合に、論理和合成後のクロック信号に擾乱が発生してしまう。
【0027】
そこで、選択側の従属同期用クロック信号の立ち上がりから若干送れたタイミングから、次周期の従属同期用クロック信号の立ち上がりの直前のタイミングまで、非選択側の従属同期用クロック信号の入力をマスクすることにより、非選択側の従属同期クロック信号からの影響を回避して論理和合成を行い、擾乱及び瞬断の無いクロック信号の供給が可能となる。
【0028】
ここで、選択側の従属同期用クロック信号の立ち上がりから若干送れたタイミングから、次周期の従属同期用クロック信号の立ち上がりの直前のタイミングまで、非選択側の従属同期用クロック信号の入力をマスクするのは、非選択側の同期した従属同期用クロック信号の立ち上がり部分はマスクせずに、クロック信号生成部(#0)1−1,(#1)1−2に入力することにより、選択側の従属同期用クロック信号が断状態となっても、論理和合成により、直ちに非選択側のクロック信号が供給されるようにするためである。
【0029】
図3に上述した本発明の改良型実施形態の構成を示す。同図において、3−1,3−2はクロックマスク部(#0),(#1)、3−3,3−4は他系マスクタイマー(#0),(#1)、3−5は切替制御部、6−3,6−4はクロック信号断検出部(#0),(#1)である。その他の構成要素は、図1又は図6に示した構成要素と同一であり、同一の構成要素に同一の符号を付している。
【0030】
他系マスクタイマー(#0)3−3は、クロック信号入力部(#0)6−1からのクロック信号の立ち上がりを検出した後、内部自走クロック源1−4のクロックをカウントし、従属同期用クロック信号の1クロック周期より僅かに短い時間分のマスクタイミング信号を生成する。他系マスクタイマー(#1)3−4も同様に、クロック信号入力部(#1)6−2からのクロック信号の立ち上がりを検出した後、内部自走クロック源1−4のクロックをカウントし、従属同期用クロック信号の1クロック周期より僅かに短い時間分のマスクタイミング信号を生成する。
【0031】
クロック信号断検出部(#0)6−3,(#1)6−4は、それぞれクロック信号入力部(#0)6−1,(#1)6−2から出力されるクロック信号の断状態を検出し、その検出結果を切替制御部3−5に出力する。
【0032】
切替制御部3−5は、他系マスクタイマー(#0)3−3,(#1)3−4及びクロック信号入力断検出部(#0)6−3,(#1)6−4の出力信号を基に、クロックマスク信号(#0),(#1)を生成する。クロックマスク部(#0)3−1,(#1)3−2は、それぞれ切替制御部3−5からのクロックマスク信号(#0),(#1)により、非選択側の従属同期用クロック信号のマスク処理を行い、非選択側の従属同期用クロック信号の異常波形が、クロック信号生成部(#0)1−1,(#1)1−2に伝播されないようにする。
【0033】
図4に図3の各回路部の信号波形を示す。(a)は内部自走クロック源1−4のクロック、(b),(c)はクロック信号入力部(#0),(#1)の出力波形、(d),(e)は他系マスクタイマー(#0),(#1)の出力波形、(f),(g)はクロックマスク信号(#0),(#1)の波形、(h),(i)はマスク処理後の従属同期用クロック信号(#0),(#1)の波形、(j),(k)はクロック信号生成部(#0),(#1)の出力波形、(l)は(j),(k)の信号の論理和出力波形である。
【0034】
ここで、(A)に示すようにクロック信号入力部(#1)からのクロック信号(c)に異常が発生し、また、(B)に示すようにクロック信号入力部(#0)からのクロック信号(b)に出力断が発生したものとする。
【0035】
他系マスクタイマー(#0)3−3は、クロック信号入力部(#0)からのクロック信号(b)のパルスの立ち上がりを検出した後、ハイレベルの信号を出力し、自走クロック源のクロック(a)のカウントを開始し、該カウント値が次周期のクロック信号(b)の立ち上がりの直前のタイミングに相当する値に達したときローレベルの信号を出力し、同図の(d)に示す波形の信号を切替制御部3−5に出力する。
【0036】
また、他系マスクタイマー(#1)3−4も同様に、クロック信号入力部(#1)からのクロック信号(c)のパルスの立ち上がりを検出した後、ハイレベルの信号を出力し、自走クロック源のクロック(a)のカウントを開始し、該カウント値が次周期のクロック信号(c)の立ち上がりの直前のタイミングに相当する値に達したときローレベルの信号を出力し、同図の(e)に示す波形の信号を切替制御部3−5に出力する。
【0037】
切替制御部3−5は、クロック信号断検出部(#0)6−3,(#1)6−4から入力されるクロック信号断の検出結果の情報を基に、内部に予め格納している出力論理表を参照して、各系のクロック信号に与えるクロックマスク信号及び選択するクロック信号を決定する。
【0038】
図4に示す例の場合、最初、両系ともクロック信号断の発生がなく、クロック信号断に関して正常である旨の検出結果がクロック信号断検出部(#0)6−3,(#1)6−4から入力され、切替制御部3−5は該検出結果の情報を基に、同図の出力論理表を参照し、現在の選択状態がクロック信号(#0)を選択している場合、クロック信号(#0)に対しては同図(f)に示すマスク無し(ローレベル)のクロックマスク信号(#0)を出力し、クロック信号(#1)に対しては、他系マスクタイマー(#0)3−3から出力される信号(d)を、クロックマスク信号(#1)として出力する(同図(g)参照)。
【0039】
クロックマスク部(#0)3−1は、切替制御部3−5から出力されるマスク無しのクロックマスク信号(#0)(同図(f)参照)により、クロック信号入力部(#0)6−1から出力されるクロック信号(#0)を、マスクすることなくそのままクロック信号生成部(#0)1−1出力する(同図(h)参照)。但し、クロック信号(#0)の信号断の発生(B)前までである。
【0040】
一方、クロックマスク部(#1)3−2は、切替制御部3−5から出力されるクロックマスク信号(#1)(同図(g)参照)のハイレベル区間で、クロック信号入力部(#1)6−2から出力されるクロック信号(#1)を、1クロック周期の先頭部分(パルスの立ち上がり部分)を除いてマスクし、同図(i)に示す被マスククロック信号(#1)をクロック信号生成部(#1)1−2に出力する。
【0041】
クロック信号生成部(#0)1−1は、前述したとおり、入力されたクロック信号(#0)(同図(h)参照)の立ち上がりを検出してハイレベルとなり、1クロックの半周期程度経過したタイミングでローレベルとなる信号を生成して出力する(同図(j)参照)。
【0042】
同様に、クロック信号生成部(#1)1−2も、前述したとおり、入力されたクロック信号(#1)(同図(i)参照)の立ち上がりを検出してハイレベルとなり、1クロックの半周期程度経過したタイミングでローレベルとなる信号を生成して出力する(同図(k)参照)。
【0043】
クロック信号生成部(#0)1−1,(#1)1−2で生成されたクロック信号(同図(j),(k)参照)を論理和信号出力部1−3で論理和合成することにより、同図(l)の区間(C)に示すように、非選択側のクロック信号(#1)の波形異常の影響の無いクロック信号を供給することが可能となる。
【0044】
次に、図4の(B)に示すようにクロック信号入力部(#0)からのクロック信号(b)が断状態になった場合、クロック信号断検出部(#0)6−3は、クロック信号入力部(#0)のクロック信号断を検出し、該検出結果を切替制御部3−5に出力する。切替制御部3−5は、出力論理表を参照し、クロック信号(#0)が異常でクロック信号(#1)が正常の場合のクロックマスク信号及び選択するクロック信号を決定して出力する。
【0045】
この場合、クロック信号(#0)を常時マスクするクロックマスク信号(#0)(図(f)参照)、及びクロック信号(#1)をマスク無しとするクロックマスク信号(#1)(図(g)参照)を出力する。該クロックマスク信号(#0)により、クロックマスク部(#0)3−1は、クロック信号入力部(#0)からのクロック信号(b)をマスクし、同図の(h)に示す被マスククロック信号(#0)をクロック信号生成部(#0)1−1に出力する。
【0046】
一方、マスク無しのクロックマスク信号(#1)により、クロックマスク部(#1)3−2は、クロック信号入力部(#1)からのクロック信号(c)をマスクすることなく、同図の(i)に示す被マスククロック信号(#1)をクロック信号生成部(#1)1−2に出力する。
【0047】
クロック信号生成部(#0)1−1は、クロック信号(#0)の断発生(B)以降、クロック信号(#0)(同図(h)参照)の立ち上がりを検出することなく、従ってハイレベルとなることなく、ローレベルのままの信号を出力する(同図(j)参照)。一方、クロック信号生成部(#1)1−2は、入力されたクロック信号(#1)(同図(i)参照)の立ち上がりを検出してハイレベルとなり、1クロックの半周期程度経過したタイミングでローレベルとなる信号を生成して出力する(同図(k)参照)。
【0048】
クロック信号生成部(#0)1−1,(#1)1−2で生成されたクロック信号(同図(j),(k)参照)を論理和信号出力部1−3で論理和合成することにより、同図(l)の区間(D)に示すように、クロック信号生成部(#0)1−1で生成されたクロック信号(#0)から、クロック信号生成部(#1)1−2で生成されたクロック信号(#1)へ、瞬断の無いクロック信号の切り替えを行うことが可能となる。
【0049】
この構成により、非選択側の従属同期用クロック信号が、選択側の従属同期用クロック信号と位相同期が取れない場合や、異常波形となった場合にも、クロックマスク部3−1,3−2で非選択側の従属同期用クロック信号をマスクし、選択側の従属同期用クロック信号へ影響を無くすことが可能となる。
【0050】
また、位相同期が保証されている2系統の従属同期用クロック信号が入力されている場合は、何れかの従属同期用クロック信号が入力断になった場合、入力断になったクロック信号生成部(#0)1−1又は(#1)1−2は、入力信号の立ち上がりが検出されなくなるため、ローレベルの信号を出力したままとなり、正常な従属同期用クロック信号が入力される側のクロック信号生成部(#0)1−1又は(#1)1−2のみからクロック信号が生成されるため、論理和信号出力部1−3でその論理和信号を出力することにより、PLO部6−7に供給するクロック信号を瞬断の無いものにすることができる。
【0051】
切替制御部3−5の機能として、図4に示した動作例について説明したが、切替制御部3−5の出力論理表には、図4の動作例以外の出力論理として、クロック信号(#0)及び(#1)がともに正常で、現在、クロック信号(#1)を選択している場合は、クロック信号(#0)に対するクロックマスク信号(#0)として、他系マスクカウンタ(#1)3−4の出力信号を送出し、クロック信号(#1)に対してはマスク無しのクロックマスク信号(#1)を出力する。
【0052】
また、クロック信号(#1)が断状態となり、クロック信号(#0)が正常の場合は、クロック信号(#0)に対してはマスク無しのクロックマスク信号(#0)を出力し、クロック信号(#1)に対しては常時マスクのクロックマスク信号(#1)を出力する。
【0053】
なお、切替制御部3−5の出力論理表として、クロック信号(#0)又はクロック信号(#1)の何れか一方が断状態のとき、断状態のクロック信号に対して常時マスクを行うクロックマスク信号をクロックマスク部(#0)3−1,(#1)3−2に出力する構成としたが、このように構成した場合、断状態となった系のクロックマスク部(#0)3−1又は(#1)3−2からは、常にローレベルの信号が出力されるため、必ずしもクロック信号生成部(#0)1−1,(#1)1−2を設ける必要が無く、クロックマスク部(#0)3−1,(#1)3−2の出力信号を直接論理和信号出力部1−3に入力する構成としても同等に作用する。
【0054】
図3に示した実施形態のように、クロックマスク部(#0)3−1,(#1)3−2の出力信号を、クロック信号生成部(#0)1−1,(#1)1−2に入力する構成とした場合には、クロック信号(#0)又はクロック信号(#1)の何れか一方が断状態のとき、断状態のクロック信号に対して必ずしも常時マスクを行うクロックマスク信号をクロックマスク部(#0)3−1,(#1)3−2に出力しなくてもよく、この場合、両系に対してマスクを行わないクロックマスク信号を出力する構成としても良い。
【0055】
図3に示した実施形態の構成では、クロック信号(#0)又はクロック信号(#1)の何れか一方が断状態となったとき、クロックマスク部(#0)3−1,(#1)3−2及びクロック信号生成部(#0)1−1,(#1)1−2の双方で、断状態のクロック信号をローレベルの信号として出力するため、論理和信号出力部1−3で論理和合成したときの悪影響を二重に回避する構成となり、より信頼性の高い従属同期クロック信号生成装置を実現することができる。なお、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の構成上の変形が可能である。
【実施例1】
【0056】
図5は本発明を適用した実施例の構成を示す。同図において、5−10,5−11は第1の伝送装置5−1に配信される64Kビット+8Kビットのバイオレーションクロック信号、5−12,5−13は第2の伝送装置5−2に配信される64Kビット+8Kビットのバイオレーションクロック信号、5−3,5−4は本発明による従属同期クロック信号生成装置、5−5,5−6は装置供給用クロック信号、5−7,5−8は多重化装置、5−9は伝送路である。
【0057】
同期クロック網から二重化された従属同期用クロック信号の64Kビット+8Kビットのバイオレーションクロック信号5−10,5−11及び5−12,5−13が入力される第1の伝送装置5−1及び第2の伝送装置5−2において、本発明による従属同期クロック信号生成装置5−3,5−4を適用することにより、二重化された従属同期用クロック信号の片系が断状態となっても、装置供給用クロック信号5−5,5−6に瞬断及び擾乱が発生せず、多重化装置5−7,5−8は伝送信号にクロック断の影響を与えることなく、多重化データ伝送が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の従属同期クロック信号生成装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の従属同期クロック信号生成装置の各回路部の信号波形を示す図である。
【図3】本発明の改良型実施形態の構成を示す図である。
【図4】本発明の改良型実施形態の各回路部の信号波形を示す図である。
【図5】本発明を適用した実施例の構成を示す図である。
【図6】従来の従属同期クロック信号生成装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
1−1,1−2 クロック信号生成部(#0),(#1)
1−11,1―21 クロック信号生成部(#0),(#1)内のカウンタ
1−12,1―22 クロック信号生成部(#0),(#1)内のフリップフリップ回路部
1−3 論理和信号出力部
1−4 内部自走クロック源
6−10,6−11 従属同期用クロック信号(#0),(#1)
6−1,6−2 クロック信号入力部(#0),(#1)
6−7 PLO(Phase Locked Oscillators)部
6−12 装置供給用クロック信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から2系統の従属同期クロック信号を入力し、各従属同期クロック信号に対して、該従属同期クロック信号の1周期分の信号の開始部分を検出して論理“1”の信号を出力し、該従属同期クロック信号の1周期未満のタイミングで論理“0”の信号を出力する2系統のクロック信号生成手段と、
前記2系統のクロック信号生成手段から出力される信号の論理和信号をクロック信号として出力する論理和信号出力手段と、
を備えたことを特徴とする従属同期クロック信号生成装置。
【請求項2】
外部から入力される前記2系統の各従属同期クロック信号に対して、該従属同期クロック信号の1周期分の信号の開始部分を検出して論理“1”の信号を出力し、該従属同期クロック信号の1周期未満のタイミングで論理“0”の信号を出力する2系統の他系マスクタイマーと、
前記2系統の従属同期クロック信号のうちの一方の従属同期クロック信号をマスクせず、他方の従属同期クロック信号を、前記マスクしない側の系統の他系マスクタイマーから論理“1”の信号が出力されている区間でマスクするクロックマスク信号を出力する切替制御手段と、
前記切替制御手段から出力されるクロックマスク信号を入力し、該クロックマスク信号に従って、前記外部から入力される2系統の従属同期クロック信号をマスクした被マスククロック信号を、前記2系統のクロック信号生成手段に出力する2系統のクロックマスク手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の従属同期クロック信号生成装置。
【請求項3】
前記外部から入力される2系統の各従属同期クロック信号の断状態を検出する2系統のクロック信号断検出手段を備え、
前記切替制御手段は、前記2系統のクロック信号断検出手段から入力される検出結果に基づいて、前記2系統の従属同期クロック信号の何れか一方が断状態である場合、断状態でない系統の従属同期クロック信号をマスクせず、断状態の系統の従属同期クロック信号を常時マスクするクロックマスク信号を出力することを特徴とする請求項2に記載の従属同期クロック信号生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−17071(P2009−17071A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−174788(P2007−174788)
【出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【出願人】(000237662)富士通テレコムネットワークス株式会社 (682)
【Fターム(参考)】