微粒子除去のための方法および装置
【課題】
【解決手段】粒子状物質が付着した基板の表面を洗浄するための方法およびシステムは、結合要素を混入された液体の噴流を表面に衝突させることを特徴とする。結合要素に十分なドラッグ力が与えられることにより、結合要素は、液体に対して移動すると共に、粒子状物質を基板に対して移動させる。
【解決手段】粒子状物質が付着した基板の表面を洗浄するための方法およびシステムは、結合要素を混入された液体の噴流を表面に衝突させることを特徴とする。結合要素に十分なドラッグ力が与えられることにより、結合要素は、液体に対して移動すると共に、粒子状物質を基板に対して移動させる。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
製品における形状のクリティカルディメンションを低減することが求められている。形状のサイズが小さくなるにつれて、形状を処理する際の汚染の影響が増大し、欠陥を引き起こす場合がある。汚染物質の例としては、ポリシリコン片、フォトレジスト粒子、金属酸化物粒子、スラリ残留物、ちり、ほこり、さらには、炭素、水素、および/または、酸素などの様々な元素の分子を含む微粒子が上げられる。微粒子は、しばしば、弱い共有結合、静電力、ファンデルワールス力、水素結合、クーロン力、または、双極子間相互作用によって、表面に付着しているため、それら微粒子の除去は困難である。
【0002】
従来から、粒子状汚染物質は、化学的処理および機械的処理の組み合わせによって除去されてきた。これらの処理で利用される洗浄ツールおよび洗浄剤は、洗浄処理中に汚染物質をさらに導入する可能性がある。
【0003】
基板表面を洗浄するための別の技術は、表面を高温に曝して、そこに存在する汚染物質を蒸発させることにより、化学剤の利用を省略する。蒸気は、基板を収容したチャンバから排気することによって除去される。この処理には高温が必要なため、その利用は、汚染物質の蒸発温度に近い温度で変化する構造を有する材料を利用しない蒸着処理の後に限られる。
【0004】
米国特許No.6,881,687には、別の洗浄技術が開示されており、その技術は、レーザ洗浄により歩留まりを向上させるシステムを利用する。そのシステムは、レーザ洗浄動作と、欠陥検査動作とを組み合わせて利用することで、それらの協働によって、より初期の処理段階に、残っている欠陥の根本的な原因をフィードバックして、それら根本的な原因を修正し、その結果、歩留まりを向上させる。最も簡単な構成では、レーザ洗浄後に残る粒子は、それら特定の粒子が存在する根本的な原因を推定するために、それらの種類、サイズ、形状、密度、位置、および、化学的組成について特徴付けされる。この情報を用いて、次に処理される製品ウエハの歩留まりが、特徴付けされたウエハよりも高くなるように、ウエハの歩留まりの向上を図る。しかしながら、洗浄処理を施された表面上に粒子状汚染物質が残ることを回避するためのよりロバストな洗浄処理を提供することが望まれている。
【0005】
したがって、基板表面を洗浄するための改良技術を提供することが求められている。
【発明の開示】
【0006】
粒子状物質が付着した基板の表面を洗浄するための方法およびシステムは、結合要素を混入された液体の噴流を表面に衝突させることを特徴とする。その方法は、結合要素を混入された液体の噴流を前記表面に衝突させる工程と、前記結合要素に十分な運動量を付与して、前記液体内で移動させると共に前記運動量の内のある量を前記粒子状物質に与えさせる工程と、を備え、その量は、前記粒子状物質を前記基板に対して移動させるのに十分な大きさである。本発明は、結合要素が混入された液体が、結合要素と粒子状汚染物質との相互作用を妨げる障壁を、結合要素と粒子状汚染物質との間に形成するという考えに基づいている。これは、基板の表面から粒子状汚染物質を除去する結合要素の効果を低減すると考えられる。本発明は、液体の噴流を形成することにより、液体の障壁効果を排除しないまでも低減できる。噴流内の結合要素の運動量と、表面への液体の衝突とを組み合わせることで、結合要素が、粒子状物質と相互作用して除去する可能性を増大させると考えられる。より低い速度の液体噴流について、混入された結合要素は、流体ドラッグ力を受ける。このドラッグ力(drag force)を、結合要素との相互作用を通じて、粒子状物質に直接伝達することで、汚染物質を除去するのに十分な力を生成できる。したがって、本発明は、粘性力が優勢な流動条件でも動作できる。本発明のその他の態様および利点については、本発明を例示した添付図面との関連で行う以下の詳細な説明から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下の説明では、本発明の完全な理解を促すために、数多くの具体的な詳細事項が示されている。しかしながら、当業者には明らかなように、本発明は、これらの具体的な詳細事項の一部または全てを特定しなくても実施することが可能である。また、本発明が不必要に不明瞭となることを避けるため、周知の処理動作の説明は省略した。
【0008】
図1を参照すると、基板11の洗浄に用いられるシステム10が、クリーンルーム内に配置されており、クリーンルームの壁および床は、それぞれ、12および14の符号で示されている。システム10は、ハウジングを備えており、そのハウジングの向かい合った壁16および18が、それらの間に広がる床20と共に図示されている。システム10は、複数の処理領域22、24、および、26を備えており、それらは、トレイ28の凹部を形成された部分に位置している。基板11の洗浄を促進するために、処理領域22、24、および、26の1つに基板が存在する時に、基板11に薬剤を供給するための液体供給システム(LAS)が、処理領域22、24、および、26の各々に対して設けられている。具体的には、LAS32は処理領域22に、LAS34は処理領域34に、LAS36は処理領域26に関連している。そのために、薬剤の容器42、44、および、46が、選択的に、管路47、48、49、および、50と、質量流量コントローラ(MFC)52、54、および、56とを介して、LAS32、34、および、36の内の1または複数に対して流体連通するよう設けられている。
【0009】
容器42、44、および、46は、管路59を介して流体連通する壁面供給部58から、適切な薬剤を供給される。壁面供給部58は、クリーンルームすなわち壁12の外側に配置された適切な薬剤の貯蔵タンク(図示せず)と流体連通しており、バルブ62、64、および、66を通して容器42、44、および、46と流体連通する貯蔵タンク(図示せず)には、薬剤が選択的に収容される。3つの容器42、44、および、46、ならびに、3つのバルブ62、64、および、66だけが図示されているが、システム10で実行される処理で利用する多くの薬剤の制御を容易にするために、さらなる容器およびバルブを備えてもよい。そのために利用できる薬剤の例としては、イソプロピルアルコール(IPA)、二酸化炭素(CO2)、窒素(N2)、エチルグリコール、脱イオン水(DIW)、アンモニア(NH3)、フッ化水素(HF)、アルゴン(Ar)、酸素(O2)、過酸化水素(H2O2)、水素(H2)、塩酸(HCl)、オゾン(O3)、過酸化アンモニウム(NH4OH)、および/または、それらの組み合わせ(例えば、SC−1溶液と呼ばれる消泡剤(NH4OH/H2O2/H2O)などが挙げられる。図示されていないが、システム10は、完全に取り囲まれてチャンバ67を規定してよい。システム10内の圧力を制御するために、チャンバ67に対して、ポンプ68が流体連通されてよい。
【0010】
図1および2を参照すると、基板は、キャリアローラ70によって処理領域22内に支持されてよい。ウエハを移動させるための他の適切な技術としては、保持突起(図示せず)、移動キャリアトレイ(図示せず)、ロボット技術、および、軌道などが挙げられる。この例では、処理領域24および26への基板11の移動は、ロボット72およびキャリアサブシステムによって実現される。キャリアサブシステムは、一対の離間したレール76の両端の間を往復動して基板11を処理領域24および26に選択的に配置するように設けられた可動ステージ74を備える。そのために、可動ステージ74には、モータ78が結合されており、適切な機構(例えば、ウォームギア、または、直接駆動ギアなど)を用いて、必要な運動を提供する。ロボット72は、基板11を持ち上げて、ローラキャリア70と可動ステージ74との間で移動させるための一対の操作アーム80を備えており、モータ80の出力により軌道82に沿って処理領域22および24の間で往復動するよう取り付けられている。ロボット72の反対側には、ロボット72と同じ設計のさらなるロボット84が配置されてよい。ロボット84は、処理領域26に存在する時に、基板11を可動ステージ74から取り除くよう動作する。様々なサブシステムの動作は、プロセッサ86が、プロセッサ86とデータ通信するメモリ88に格納されたコンピュータ読み取り可能な命令に基づいて動作することによって制御される。システム10は、さらに、ローカルエリア・ネットワーク、メトロポリタンエリア・ネットワーク、および/または、広域ネットワークに接続されてもよい。具体的には、プロセッサ86は、LAS32、34、および、36、MFC52、54、および、56、モータ78、ロボット80および84、ならびに、ポンプ68、とデータ通信して、それらの動作を制御する。
【0011】
図3を参照すると、LAS32、34、および、36から供給されてよい液体の一例は、複数の領域の1つに関する流動特性が他の領域に関する流動特性と異なるような、流動特性の異なる複数の領域を有する懸濁液を含む。この例では、懸濁液90は、液体領域92と、結合要素94とを含む。液体領域92は、それに関する第1の粘度を有する。結合要素94は、剛性の固体、可鍛性の固体、または、流体の特徴を有する固体、すなわち、液体領域92の粘度よりもはるかに大きい粘度を有する固体、を含んでよい。結合要素94は、液体領域92が、基板11の表面98上に存在する粒子状汚染物質96の近くに結合要素94を配置するための結合要素94の輸送体として機能するように、液体領域92の体積全体にわたって混入される。
【0012】
結合要素94は、結合要素94を介して懸濁液90からの力(すなわち、液体領域92の運動)を汚染物質96に伝達することにより、汚染物質96を表面98から除去できる材料からなる。したがって、結合要素94には、汚染物質96を表面98から除去するのに十分な断面積を与えることが望ましい。通例、結合要素94の断面積は、汚染物質96の断面積よりも大きい。このように、結合要素94に作用するドラッグ力F→dに応じて、汚染物質96の移動が促進される。ただし、ドラッグ力F→dは、摩擦力F→fcと垂直ドラッグ力との両方を含み、垂直ドラッグ力は、モーメントを含む。ドラッグ力F→dは、液体領域92および結合要素94に関する物理特性および相対速度の関数である。
【0013】
汚染物質96の表面における摩擦力F→fc、すなわち、ドラッグ力F→dの接線成分は、汚染物質表面におけるせん断応力と、汚染物質の表面積との積で表される関数であり、F→fc=τ→cAcと表される。結合要素に作用する摩擦力F→fは、結合要素表面におけるせん断応力と、結合要素の表面積との積、すなわち、F→f=τ→Aと表される。汚染物質96と接触した結合要素94は、直接的に、その摩擦力を伝達する。したがって、汚染物質は、結合要素94対汚染物質96の表面積の比である見掛けのせん断応力を受ける。具体的には、汚染物質が受ける見掛けのせん断応力τ→cは、以下の式で表される。
【数1】
ここで、Aは、結合要素94の断面積であり、Acは、汚染物質96の断面積である。例えば、汚染物質96の有効直径Dが、約0.1ミクロンよりも小さく、結合要素94の幅Wおよび長さLが、それぞれ、約5ミクロンないし約50ミクロンの間であるとする。そして、結合要素94の厚さtが、約1ないし約5ミクロンの間であるとすると、比(すなわち、応力の乗数)は、2,500ないし約250,000の範囲になる。この数字は、ドラッグ力F→dの計算に垂直ドラッグ力を含めた場合には増大する。図4に示す結合要素94では、簡単のために、六面体の場合に関して説明する。ただし、結合要素は、実質的に任意の形状を有しており、上述の長さL、幅W、および、厚さtは、懸濁液内の結合要素94の平均値であることを理解されたい。
【0014】
図5を参照すると、結合要素94を介した汚染物質96への力の伝達は、結合要素94が1または複数の機構によって汚染物質に結合することで起きる。そのために、液体領域92は、結合要素94が表面98上の汚染物質96に近接または接触するように、液体領域92内の結合要素94に、下向きの力F→Dを与える。結合要素94が、汚染物質96に近接または接触するよう移動されると、結合要素94と汚染物質96との間で結合が起きうる。結果として起きる結合機構は、結合要素94および汚染物質96を形成する材料と、それら材料の特性とによって決まる。結合要素94および汚染物質96は、汚染物質96および表面98の間の接着力と、結合要素94および汚染物質96の間の任意の斥力とに打ち勝つのに十分な大きさの力の伝達が起きることを十分可能にする。したがって、結合要素がせん断応力τ→によって表面98から離れる際に、それに結合された汚染物質96も、表面98から離される、すなわち、汚染物質96が表面98から除去される。
【0015】
かかる結合機構の1つは、結合要素94と汚染物質96との間の機械的接触である。そのために、結合要素94は、汚染物質96よりも可鍛性が大きいまたは小さくてよい。結合要素94が汚染物質96よりも可鍛性が大きい一実施形態では、汚染物質96に伝わる力は、汚染物質96との衝突から起きる結合要素94の変形によって低減される。その結果、汚染物質96は、結合要素94内に押し込まれる、および/または、結合要素94の網の中に巻き込まれてよい。これにより、結合要素94と汚染物質96との間の機械的結合が生じて、それらの間の相対位置が固定されてよい。機械的応力が、結合要素96から汚染物質96に伝達されてよく、それにより、汚染物質96が表面98から除去される可能性が増大する。さらに、汚染物質96と結合要素94との間の接着など、化学的結合機構が生じてもよい。
【0016】
結合要素94および汚染物質96が、十分に硬い場合には、実質的に弾性衝突が起きて、結合要素94から汚染物質96にかなりのエネルギが移動し、それにより、汚染物質96が表面98から除去される可能性が増大する。ただし、結合要素94と汚染物質96との間の接着の化学的結合機構が弱まりうるため、衝突によって増大した可能性が低下する場合がある。
【0017】
さらに、上述の機械的および化学的な結合機構に加えて、静電結合が生じうる。例えば、結合要素94および汚染物質96が逆の表面電荷を持つ場合、それらは電気的に引き付けられる。結合要素94と汚染物質96との間の静電引力は、汚染物質96を表面98に結合する力に十分に打ち勝つことができる。上述の結合機構の内の1または複数が、表面上の1または複数の汚染物質96に対して、いつでも生じうることを理解されたい。さらに、これは、異なる複数の材料で結合要素94を形成して異なる形状および硬度を持たせることにより、ランダムに生じる、すなわち、引き起こされるようにしてもよい。あるいは、接近する結合要素94と汚染物質96との間の静電的な反発相互作用が、汚染物質96を表面98から除去するのに十分な強さを有してもよい。
【0018】
懸濁液90の典型的な実施形態は、約1センチポアズ(cP)ないし約10,000cPの間の粘度を有する液体領域92を含む。さらに、液体領域92は、ニュートン流体であっても、非ニュートン流体であってもよい。液体領域92として利用できる材料の例としては、脱イオン水(DIW)、炭化水素、フッ化水素、鉱油、または、アルコールなどが挙げられる。さらに、懸濁液90は、イオン性または非イオン性溶媒と、その他の化学添加剤とを含んでよい。例えば、懸濁液90への化学添加剤は、共溶媒、pH調整剤、キレート剤、極性溶媒、界面活性剤、水酸化アンモニウム、過酸化水素、フッ化水素酸、水酸化テトラメチルアンモニウム、および、レオロジー調整剤(例えば、ポリマ、粒子状物質、ポリペプチドなど)を含んでよい。
【0019】
結合要素94は、上述の特性に加えて、表面98に近接または接触した際に表面98に付着しないような三態以外の基本的に任意の状態を示す物理特性を有してもよい。さらに、結合要素94によって表面98に引き起こされる損傷は、結合要素94と表面98との間の接着と同様、最小限であることが好ましい。一実施形態では、結合要素94の硬度は、表面98の硬度よりも小さい。さらに、結合要素94は、表面98に近接または接触した際に、表面98に付着しないことが望ましい。様々な実施形態では、結合要素94は、結晶性固体または非結晶性固体として規定されてよい。非結晶性固体の例としては、脂肪族酸、カルボン酸、パラフィン、ワックス、ポリマ、ポリスチレン、ポリペプチド、および、その他の粘弾性材料が挙げられる。そのため、懸濁液90内の結合要素94の量は、液体領域92への溶解限度を超える濃度であることが好ましい。
【0020】
脂肪族酸とは、基本的に、炭素原子が開鎖を形成している有機化合物によって規定される任意の酸を示すことを理解されたい。脂肪酸は、懸濁液90内の結合要素94として利用可能な脂肪族酸の一例である。固体成分109として利用可能な脂肪酸の例としては、特に、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ミリスチン酸、マルガリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ネルボン酸、パリナリン酸、ティムノドン酸、ブラシジン酸、クルパノドン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、および、それらの混合物が挙げられる。
【0021】
一実施形態では、結合要素94は、C−1から約C−26まで伸びる様々な炭素鎖長から形成された脂肪酸の混合物であってよい。カルボン酸は、基本的に、1または複数のカルボキシル基(COOH)を含む任意の有機酸によって規定される。結合要素94として利用される場合、カルボン酸は、C−1から約C−100まで伸びる様々な炭素鎖長の混合物を含んでよい。また、カルボン酸は、メチル基、ビニル基、アルキン基、アミド基、第1級アミン基、第2級アミン基、第3級アミン基、アゾ基、ニトリル基、ニトロ基、ニトロソ基、ピリジル基、カルボキシル基、ペルオキシ基、アルデヒド基、ケトン基、第1級イミン基、第2級イミン基、エーテル基、エステル基、ハロゲン基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、フェニル基、ベンジル基、ホスホジエステル基、スルフヒドリル基、など、他の官能基を含んでよいが、それらに限定されず、懸濁液90への不溶性が維持される。
【0022】
カルボン酸成分から形成された領域を備えた懸濁液90を形成する一方法は、脱イオン水(DIW)と、約3%ないし約5%の間、好ましくは約4%ないし約5%の間の濃度のカルボン酸の固体とから形成されたゲルとして、液体領域92を提供することを含む。その濃度は、固体を溶液にする、すなわち、溶解させるのを促進することを含め、75℃ないし約85℃に加熱することによって実現されてよい。固体が溶解すると、洗浄溶液は、冷却されてよい。冷却処理中には、針状または板状の形態の固体化合物が沈殿する。このように形成された懸濁液90の一例は、0.1/秒のせん断速度で約1000cPの粘度を有しており、その粘度は、せん断速度が1000/秒に増大すると、約10cPに下がる。すなわち、その懸濁液は、非ニュートン流体である。アルコールなど、水以外の溶媒中に、また、極性溶媒もしくは無極性溶媒中に、1または複数のカルボン酸(または、塩)を導入して、懸濁液を形成してよいことを理解されたい。
【0023】
懸濁液90の別の実施形態では、結合要素94は、加水分解された化学剤から形成されるか、または、界面活性剤を含むよう形成される。例えば、分散剤を液体領域92に含めることで、懸濁液90への結合要素94の分散を促進してもよい。そのために、懸濁液90に塩基を加えることで、化学量論的量未満で存在する材料(カルボン酸またはステアリン酸など)から、結合要素94の混入を実現することができる。塩基の一例としては、水酸化アンモニウムが挙げられるが、本明細書に記載した実施形態において、任意の市販の塩基を用いてよい。さらに、結合要素94を形成する材料の表面機能は、カルボン酸塩、リン酸塩、硫酸基、ポリオール基、エチレンオキシドなど、懸濁液90内に混和できる構成部分を備えることによって影響を与えられてもよい。このように、懸濁液90全体に結合要素94を分散させつつ、結合要素94の望ましくない集合を避ける、すなわち、ほぼ均質な懸濁液90を形成することができる。このように、結合要素94の集合により、汚染物質96への結合および/または表面98からの汚染物質96の除去に不十分な状態になることを避けることができる。
【0024】
図6および7を参照すると、液体領域92内の潤滑層102および104によって引き起こされる潤滑層の生成に関する問題が生じる。汚染物質96と、結合要素94の内の1または複数との間の隙間106に潤滑層102および104が存在すると、問題が起こることがわかっている。具体的には、潤滑層102および104の粘性抵抗により、特に、結合要素94の運動量が拡散するために、結合要素94と汚染物質96との間の機械的結合が妨げられる。潤滑層102および104によって引き起こされる欠点を避ける一方法は、液体領域92内に乱流を引き起こす、すなわち、潤滑層102および104内に存在しうる層流の影響を低減する方法である。そのために、LAS32は、十分な速度で懸濁液90の噴流108を吐出することで、結合要素94が液体領域92内を通って汚染物質に衝突することを可能にするのに十分な運動量を結合要素94に与える。領域に与えられる運動量は、潤滑層102および104の粘性抵抗に打ち勝って、上述のように、十分なドラッグ力F→Dを与えて汚染物質を表面98から除去するのに十分であることが好ましい。具体的には、LAS32によって懸濁液90に与えられる速度に加えて、液体領域92と結合要素94との間の質量および密度の差により、懸濁液と基板98との衝突以後、結合要素94が、液体領域92よりも大きい速度で表面98に向かい続ける。その結果、潤滑層102および104に関する粘性抵抗に打ち勝って、結合要素94が、汚染物質94と結合できるようになるか、または、液体領域92を通る結合要素94の運動によって引き起こされる乱流の発生により、潤滑層102および104の粘性抵抗が低減される、と考えられる。図に示すように、噴流108は、複数の流れ(概略的に、符号110ないし114として示した)を含んでおり、それぞれの流れは、表面98の法線N→に対して異なる角度φで同時に表面98に衝突する。図に示すように、通例、角度φは鈍角である。
【0025】
図8を参照すると、別の実施形態において、LAS32は、複数の流れ210および211がほぼ平行になるように表面に衝突する(すなわち、共通の角度φで表面98に衝突する)噴流を供給するよう構成されてもよい。具体的には、流れ210および211は、軌道212に沿って方向付けられ、その結果、その軌道は、流れ210および211と平行になる。
【0026】
図9を参照すると、順次、複数の異なる角度で表面98に噴流208を衝突させることができる。そのために、基板11は、噴流208の軌道212に対して法線N→の角度φを変更できるようにするモータ222に結合された台220に取り付けられてよい。あるいは、図10に示すように、LAS332のノズル323が、モータ322に結合されて、ノズル324を表す点線で示されるように、異なる角度φで噴流208を衝突させるようにしてもよい。
【0027】
図7、8、9、10、および、11を参照すると、一実施形態において、噴流108または噴流208のいずれかが、局所的なスポット340として表面98に衝突してよい。表面98の実質的にすべての領域が、確実に、スポット340またはライン(図示せず)に曝されるように、基板11とLAS32およびノズル423との間の相対移動が行われてよい。そのために、基板11は、方向342に回転、および/または、横向きに伸びる方向344および346に沿って平行移動されてよい。それに代えて、または、それに加えて、ノズル423が、矢印348で示される方向に沿って移動し、1または複数の矢印350および352で示される横向きに伸びる方向に沿って平行移動してもよい。矢印342、344、346、および/または、352によって示された方向に沿った移動を行いつつ、噴流108または噴流208のいずれかを、法線N→を基準とした様々な角度で表面98にわたって走査できるように、角度φを変更してもよい。あるいは、1または複数の矢印342、344、346、および/または、352によって示された方向に沿った移動が行われた後に、角度φが変更されてもよい。このように、任意の所望の経路(例えば、平行な縞状の経路、蛇行した縞状の経路など)に従って、表面98の全領域、または、その任意の一部分、にわたって、スポット340またはライン(図示せず)を走査することができる。具体的には、噴流108または208のいずれかは、噴流108または噴流208に対して横向きに広がる平面、すなわち、表面98が存在する平面に沿って、表面11と噴流108または噴流208との間の相対移動を行う間に、様々な角度φで表面98に衝突してよい。
【0028】
図7、8、9、10、および、12を参照すると、噴流108または208のいずれかが、基板11の直径Dを横切って伸びるライン354として表面98に衝突する一実施形態が図示されている。ラインは、矢印356が示す方向に沿ってノズル323と基板11とを相対移動させることにより、表面の領域全体にわたって移動される。この相対移動は、基板11またはノズル423、もしくは、両方を移動させることによって実現されてよい。ライン354に曝される基板11の幅は、矢印356で示した方向に沿った相対移動に応じて変化することを理解されたい。そのために、ノズル423は、基板11とノズル423との間の相対移動が矢印356で示した方向に沿って起きるにつれて、動的に変化するよう適合されてよい。このように、ライン354は、基板11の幅と実質的に同じ幅を与えられてよい。あるいは、ライン354の幅は、基板11の最も広い領域よりも広くはないまでも、少なくとも同じ幅を有するよう構成されてよい。矢印356で示した方向に沿った移動を行いつつ、噴流108または噴流208のいずれかを、法線N→を基準とした様々な角度で表面98にわたって走査できるように、角度φを変更してよい。あるいは、1または複数の矢印342、344、346、および/または、352によって示された方向に沿った移動が行われた後に、角度φが変更されてもよい。このように、様々な角度φで、任意の所望の経路(例えば、平行な縞状の経路、蛇行した縞状の経路など)に従って、表面98の全領域、または、その任意の一部分、にわたって、スポット340またはライン(図示せず)を走査することができる。具体的には、表面11と、噴流108または噴流208との間の相対移動が、噴流108または噴流208に対して横に広がる平面、すなわち、表面98が存在する平面に沿って行われる間に、噴流108または208のいずれかが、異なる角度φで表面98に衝突してよい。
【0029】
図14を参照すると、別の実施形態において、懸濁液190は、さらなる成分、すなわち、液体領域192に混入された不混和成分111を含んでよい。不混和成分は、気相の材料、液相の材料、固相の材料、または、それらの組み合わせを含んでよい。この例では、不混和成分111は、完全に、懸濁液190の液体領域192全体にわたって分散された複数の離間したガスポケットからなる領域である。不混和成分は、懸濁液190の体積の5%ないし99.9%を構成する。あるいは、不混和成分は、懸濁液90全体の重量の50%ないし95%を構成してもよい。気相の不混和成分111の一例は、以下のガスから形成されてよい:窒素N2、アルゴンAr、酸素O2、オゾンO3、過酸化水素H2O2、空気、水素H2、アンモニウムNH3、フッ化水素酸HF。
【0030】
液相の不混和成分111は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、または、鉱油など、低分子量アルカンを含んでよい。あるいは、液相の不混和成分111は、油溶性の表面改質剤を含んでもよい。
【0031】
図3および13を参照すると、懸濁液190は、汚染物質96の除去に関して、懸濁液90と実質的に同様の機能を有しており、結合要素94は、結合要素94と実質的に同様であり、液体領域192は、液体領域92と実質的に同様である。ただし、懸濁液190では、不混和成分111が、結合要素194を汚染物質96に接触または近接させることを促進すると考えられる。そのために、汚染物質96に近接または接触した領域の内の1または複数が、汚染物質96と、1または複数の不混和成分111との間に配置される。表面張力を有するため、不混和成分111は、液体領域192における力に応じて結合要素194に作用する力(F)が、結合要素194に掛かるようにする。その力(F)は、結合要素194を表面98ひいては汚染物質96に向かって移動させる。結合要素194と汚染物質96との間の結合が、結合要素94と汚染物質96とに関して上述した任意の態様で起こってよい。
【0032】
不混和成分111は、基板11上に供給される前に、懸濁液190内に混入されてよい。あるいは、不混和成分111は、懸濁液が表面98上に供給されている時に、その場で懸濁液190に混入されてよい、および/または、懸濁液190が表面98に衝突することで、周囲環境に存在するガス(空気など)を混入する(例えば、泡を生成する)ことによって生成されてよい。一例では、不混和成分111は、懸濁液190が、懸濁液190の圧力と比べて周囲圧力が低くなる状態に曝された時に、液体領域192に溶解していたガスが溶液から出てくることによって生成されてよい。この処理の利点は、結合要素194が、重力下で表面98に向かって移動されてそこで安定しているために、不混和成分111の大部分が、結合要素194の近傍で形成されることである。これにより、結合要素194が汚染物質96と結合する可能性が増大する。
【0033】
二相の懸濁液90と同様に、三相の懸濁液190は、結合要素194と汚染物質との間の結合機構を修正および改善するために、さらなる成分を含んでよい。例えば、液体媒体のpHは、静電斥力が減少または増大されるように、固体成分および汚染物質の一方または両方における表面電荷を相殺するよう、変更されてよい。さらに、懸濁液190の温度サイクルを用いて、その特性を制御または変更してもよい。例えば、結合要素94は、その可鍛性が温度に比例または反比例して変化しうる材料から形成されてよい。このように、一旦、結合要素94が汚染物質の形状に適合すれば、懸濁液の温度を変更して、その結合要素の可鍛性を低減してよい。さらに、懸濁液190の溶解度、ひいては、結合要素94の濃度は、温度に比例または反比例して変化してよい。
【0034】
懸濁液190の一例は、70℃以上に加熱したステアリン酸の固体を、70℃以上に加熱したDIWに混ぜることによって形成される。DIWと混合するステアリン酸固体の量は、約0.1重量%ないし10重量%である。この混合は、DIW内でステアリン酸成分を分散/乳化させるのに十分である。その混合物のpHレベルは、ステアリン酸成分を中和するために、9より上に調整される。これは、0.25重量%ないし10重量%の濃度になるように、水酸化アンモニウム(NH4OH)などの塩基を追加することによって実現される。このように、酸塩基混合物が形成され、その混合物が均一になるように、20分間攪拌される。酸塩基混合物は、周囲温度に達して沈殿し、結合要素194を形成してよい。沈殿の際に形成される結合要素194は、10ないし5000ミクロンの範囲のサイズに達することが望ましい。不混和成分111は、必要に応じて、酸塩基混合物を攪拌する際に、その中に空気を混入することで形成されてよい。
【0035】
別の実施形態では、懸濁液190は、0.5ないし5000ミクロンの範囲の粒子サイズまで粉砕された粒状のステアリン酸固体から形成されてよい。粉砕された粒状のステアリン酸がDIWに加えられ、それと同時に、それらは、攪拌されて酸DIW混合物を形成する。DIWの攪拌は、振る、かき混ぜる、回転させる、など、任意の周知の手段によって実行されてよい。ステアリン酸は、酸DIW混合物の約0.1重量%ないし10重量%を形成する。ステアリン酸の解離は、塩基を加えることで酸DIW混合物のpHレベルを約9にすることによって実現される。塩基の一例としては、0.5重量%ないし10重量%の濃度の水酸化アンモニウム(NH4OH)が挙げられる。これは、ステアリン酸成分をイオン化して、凝固したステアリン酸粒子を形成する。通例、酸DIW混合物を攪拌しつつ、NH4OHを加えることで、酸DIW混合物全体に凝固したステアリン酸粒子を分散させる。これら凝固したステアリン酸粒子のサイズは、0.5ないし5,000ミクロンの範囲である。
【0036】
さらに別の実施形態では、上述のように、懸濁液190は、IPAを攪拌しつつ、イソプロピルアルコール(IPA)に溶解されたステアリン酸・パルミチン酸混合物から形成される。これにより、2重量%ないし20重量%の範囲の濃度で溶解した脂肪酸が得られる。沸騰しないようにIPAを加熱する、および/または、アセトン、ベンゼン、または、それらの混合物などの有機溶媒を加えることにより、脂肪酸の溶解度を高めてもよい。溶解後に溶液内に残った任意の固体を、濾過技術または遠心分離技術により除去して、固体を含まない溶液を生成してよい。固体を含まない溶液は、脂肪酸の固体を沈殿させるために、脂肪酸に対する非溶媒(水など)である液体と混合されてよい。沈殿した脂肪酸は、0.5ないし5,000ミクロンの範囲のサイズ分布で溶液内に懸濁される。ステアリン酸成分は、上述のようにイオン化されてよい。
【0037】
本発明は、いくつかの実施形態に沿って説明されているが、当業者が、これまでの明細書および図面から、様々な変更、追加、置き換え、および等価物を実現することは明らかである。したがって、本発明は、本発明の真の趣旨および範囲内での変更、追加、置き換え、および等価物の全てを含むよう意図されている。特許請求の範囲においては、要素および/または工程は、請求項の中で特に言及しない限り、動作に関する特定の順序を示すものではない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態を組み込むことが可能な基板洗浄システムの一例を示す概略側面図。
【図2】本発明の一実施形態を組み込むことが可能な基板洗浄システムの一例を示す概略上面図。
【図3】本発明の一実施形態に従って、基板表面から粒子状汚染物質を除去するために用いられる液体を示す平面図。
【図4】本発明の一実施形態に従って、図中の汚染物質に対して、懸濁液内の可鍛性領域の相対的な断面積を示す図。
【図5】本発明の一実施形態に従って、図4に示した液体について、ウエハ表面から粒子状汚染物質を除去するために微粒子に力を掛ける様子を示す平面図。
【図6】図4および図5に示した液体について、混入された結合要素に対して液体が障壁領域をもたらす様子を示す平面図。
【図7】本発明の一実施形態に従って、図1に示したLASの動作を示す詳細図。
【図8】本発明の第1の別の実施形態に従って、図1に示したLASの動作を示す詳細図。
【図9】本発明の第2の別の実施形態に従って、図1に示したLASの動作を示す詳細図。
【図10】本発明の第3の別の実施形態に従って、図1に示したLASの動作を示す詳細図。
【図11】本発明の第4の別の実施形態に従って、図1に示したLASの動作を示す詳細図。
【図12】本発明の第5の別の実施形態に従って、図1に示したLASの動作を示す詳細図。
【図13】本発明の別の実施形態に従って、基板表面から粒子状汚染物質を除去するために用いられる液体を示す平面図。
【背景技術】
【0001】
製品における形状のクリティカルディメンションを低減することが求められている。形状のサイズが小さくなるにつれて、形状を処理する際の汚染の影響が増大し、欠陥を引き起こす場合がある。汚染物質の例としては、ポリシリコン片、フォトレジスト粒子、金属酸化物粒子、スラリ残留物、ちり、ほこり、さらには、炭素、水素、および/または、酸素などの様々な元素の分子を含む微粒子が上げられる。微粒子は、しばしば、弱い共有結合、静電力、ファンデルワールス力、水素結合、クーロン力、または、双極子間相互作用によって、表面に付着しているため、それら微粒子の除去は困難である。
【0002】
従来から、粒子状汚染物質は、化学的処理および機械的処理の組み合わせによって除去されてきた。これらの処理で利用される洗浄ツールおよび洗浄剤は、洗浄処理中に汚染物質をさらに導入する可能性がある。
【0003】
基板表面を洗浄するための別の技術は、表面を高温に曝して、そこに存在する汚染物質を蒸発させることにより、化学剤の利用を省略する。蒸気は、基板を収容したチャンバから排気することによって除去される。この処理には高温が必要なため、その利用は、汚染物質の蒸発温度に近い温度で変化する構造を有する材料を利用しない蒸着処理の後に限られる。
【0004】
米国特許No.6,881,687には、別の洗浄技術が開示されており、その技術は、レーザ洗浄により歩留まりを向上させるシステムを利用する。そのシステムは、レーザ洗浄動作と、欠陥検査動作とを組み合わせて利用することで、それらの協働によって、より初期の処理段階に、残っている欠陥の根本的な原因をフィードバックして、それら根本的な原因を修正し、その結果、歩留まりを向上させる。最も簡単な構成では、レーザ洗浄後に残る粒子は、それら特定の粒子が存在する根本的な原因を推定するために、それらの種類、サイズ、形状、密度、位置、および、化学的組成について特徴付けされる。この情報を用いて、次に処理される製品ウエハの歩留まりが、特徴付けされたウエハよりも高くなるように、ウエハの歩留まりの向上を図る。しかしながら、洗浄処理を施された表面上に粒子状汚染物質が残ることを回避するためのよりロバストな洗浄処理を提供することが望まれている。
【0005】
したがって、基板表面を洗浄するための改良技術を提供することが求められている。
【発明の開示】
【0006】
粒子状物質が付着した基板の表面を洗浄するための方法およびシステムは、結合要素を混入された液体の噴流を表面に衝突させることを特徴とする。その方法は、結合要素を混入された液体の噴流を前記表面に衝突させる工程と、前記結合要素に十分な運動量を付与して、前記液体内で移動させると共に前記運動量の内のある量を前記粒子状物質に与えさせる工程と、を備え、その量は、前記粒子状物質を前記基板に対して移動させるのに十分な大きさである。本発明は、結合要素が混入された液体が、結合要素と粒子状汚染物質との相互作用を妨げる障壁を、結合要素と粒子状汚染物質との間に形成するという考えに基づいている。これは、基板の表面から粒子状汚染物質を除去する結合要素の効果を低減すると考えられる。本発明は、液体の噴流を形成することにより、液体の障壁効果を排除しないまでも低減できる。噴流内の結合要素の運動量と、表面への液体の衝突とを組み合わせることで、結合要素が、粒子状物質と相互作用して除去する可能性を増大させると考えられる。より低い速度の液体噴流について、混入された結合要素は、流体ドラッグ力を受ける。このドラッグ力(drag force)を、結合要素との相互作用を通じて、粒子状物質に直接伝達することで、汚染物質を除去するのに十分な力を生成できる。したがって、本発明は、粘性力が優勢な流動条件でも動作できる。本発明のその他の態様および利点については、本発明を例示した添付図面との関連で行う以下の詳細な説明から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下の説明では、本発明の完全な理解を促すために、数多くの具体的な詳細事項が示されている。しかしながら、当業者には明らかなように、本発明は、これらの具体的な詳細事項の一部または全てを特定しなくても実施することが可能である。また、本発明が不必要に不明瞭となることを避けるため、周知の処理動作の説明は省略した。
【0008】
図1を参照すると、基板11の洗浄に用いられるシステム10が、クリーンルーム内に配置されており、クリーンルームの壁および床は、それぞれ、12および14の符号で示されている。システム10は、ハウジングを備えており、そのハウジングの向かい合った壁16および18が、それらの間に広がる床20と共に図示されている。システム10は、複数の処理領域22、24、および、26を備えており、それらは、トレイ28の凹部を形成された部分に位置している。基板11の洗浄を促進するために、処理領域22、24、および、26の1つに基板が存在する時に、基板11に薬剤を供給するための液体供給システム(LAS)が、処理領域22、24、および、26の各々に対して設けられている。具体的には、LAS32は処理領域22に、LAS34は処理領域34に、LAS36は処理領域26に関連している。そのために、薬剤の容器42、44、および、46が、選択的に、管路47、48、49、および、50と、質量流量コントローラ(MFC)52、54、および、56とを介して、LAS32、34、および、36の内の1または複数に対して流体連通するよう設けられている。
【0009】
容器42、44、および、46は、管路59を介して流体連通する壁面供給部58から、適切な薬剤を供給される。壁面供給部58は、クリーンルームすなわち壁12の外側に配置された適切な薬剤の貯蔵タンク(図示せず)と流体連通しており、バルブ62、64、および、66を通して容器42、44、および、46と流体連通する貯蔵タンク(図示せず)には、薬剤が選択的に収容される。3つの容器42、44、および、46、ならびに、3つのバルブ62、64、および、66だけが図示されているが、システム10で実行される処理で利用する多くの薬剤の制御を容易にするために、さらなる容器およびバルブを備えてもよい。そのために利用できる薬剤の例としては、イソプロピルアルコール(IPA)、二酸化炭素(CO2)、窒素(N2)、エチルグリコール、脱イオン水(DIW)、アンモニア(NH3)、フッ化水素(HF)、アルゴン(Ar)、酸素(O2)、過酸化水素(H2O2)、水素(H2)、塩酸(HCl)、オゾン(O3)、過酸化アンモニウム(NH4OH)、および/または、それらの組み合わせ(例えば、SC−1溶液と呼ばれる消泡剤(NH4OH/H2O2/H2O)などが挙げられる。図示されていないが、システム10は、完全に取り囲まれてチャンバ67を規定してよい。システム10内の圧力を制御するために、チャンバ67に対して、ポンプ68が流体連通されてよい。
【0010】
図1および2を参照すると、基板は、キャリアローラ70によって処理領域22内に支持されてよい。ウエハを移動させるための他の適切な技術としては、保持突起(図示せず)、移動キャリアトレイ(図示せず)、ロボット技術、および、軌道などが挙げられる。この例では、処理領域24および26への基板11の移動は、ロボット72およびキャリアサブシステムによって実現される。キャリアサブシステムは、一対の離間したレール76の両端の間を往復動して基板11を処理領域24および26に選択的に配置するように設けられた可動ステージ74を備える。そのために、可動ステージ74には、モータ78が結合されており、適切な機構(例えば、ウォームギア、または、直接駆動ギアなど)を用いて、必要な運動を提供する。ロボット72は、基板11を持ち上げて、ローラキャリア70と可動ステージ74との間で移動させるための一対の操作アーム80を備えており、モータ80の出力により軌道82に沿って処理領域22および24の間で往復動するよう取り付けられている。ロボット72の反対側には、ロボット72と同じ設計のさらなるロボット84が配置されてよい。ロボット84は、処理領域26に存在する時に、基板11を可動ステージ74から取り除くよう動作する。様々なサブシステムの動作は、プロセッサ86が、プロセッサ86とデータ通信するメモリ88に格納されたコンピュータ読み取り可能な命令に基づいて動作することによって制御される。システム10は、さらに、ローカルエリア・ネットワーク、メトロポリタンエリア・ネットワーク、および/または、広域ネットワークに接続されてもよい。具体的には、プロセッサ86は、LAS32、34、および、36、MFC52、54、および、56、モータ78、ロボット80および84、ならびに、ポンプ68、とデータ通信して、それらの動作を制御する。
【0011】
図3を参照すると、LAS32、34、および、36から供給されてよい液体の一例は、複数の領域の1つに関する流動特性が他の領域に関する流動特性と異なるような、流動特性の異なる複数の領域を有する懸濁液を含む。この例では、懸濁液90は、液体領域92と、結合要素94とを含む。液体領域92は、それに関する第1の粘度を有する。結合要素94は、剛性の固体、可鍛性の固体、または、流体の特徴を有する固体、すなわち、液体領域92の粘度よりもはるかに大きい粘度を有する固体、を含んでよい。結合要素94は、液体領域92が、基板11の表面98上に存在する粒子状汚染物質96の近くに結合要素94を配置するための結合要素94の輸送体として機能するように、液体領域92の体積全体にわたって混入される。
【0012】
結合要素94は、結合要素94を介して懸濁液90からの力(すなわち、液体領域92の運動)を汚染物質96に伝達することにより、汚染物質96を表面98から除去できる材料からなる。したがって、結合要素94には、汚染物質96を表面98から除去するのに十分な断面積を与えることが望ましい。通例、結合要素94の断面積は、汚染物質96の断面積よりも大きい。このように、結合要素94に作用するドラッグ力F→dに応じて、汚染物質96の移動が促進される。ただし、ドラッグ力F→dは、摩擦力F→fcと垂直ドラッグ力との両方を含み、垂直ドラッグ力は、モーメントを含む。ドラッグ力F→dは、液体領域92および結合要素94に関する物理特性および相対速度の関数である。
【0013】
汚染物質96の表面における摩擦力F→fc、すなわち、ドラッグ力F→dの接線成分は、汚染物質表面におけるせん断応力と、汚染物質の表面積との積で表される関数であり、F→fc=τ→cAcと表される。結合要素に作用する摩擦力F→fは、結合要素表面におけるせん断応力と、結合要素の表面積との積、すなわち、F→f=τ→Aと表される。汚染物質96と接触した結合要素94は、直接的に、その摩擦力を伝達する。したがって、汚染物質は、結合要素94対汚染物質96の表面積の比である見掛けのせん断応力を受ける。具体的には、汚染物質が受ける見掛けのせん断応力τ→cは、以下の式で表される。
【数1】
ここで、Aは、結合要素94の断面積であり、Acは、汚染物質96の断面積である。例えば、汚染物質96の有効直径Dが、約0.1ミクロンよりも小さく、結合要素94の幅Wおよび長さLが、それぞれ、約5ミクロンないし約50ミクロンの間であるとする。そして、結合要素94の厚さtが、約1ないし約5ミクロンの間であるとすると、比(すなわち、応力の乗数)は、2,500ないし約250,000の範囲になる。この数字は、ドラッグ力F→dの計算に垂直ドラッグ力を含めた場合には増大する。図4に示す結合要素94では、簡単のために、六面体の場合に関して説明する。ただし、結合要素は、実質的に任意の形状を有しており、上述の長さL、幅W、および、厚さtは、懸濁液内の結合要素94の平均値であることを理解されたい。
【0014】
図5を参照すると、結合要素94を介した汚染物質96への力の伝達は、結合要素94が1または複数の機構によって汚染物質に結合することで起きる。そのために、液体領域92は、結合要素94が表面98上の汚染物質96に近接または接触するように、液体領域92内の結合要素94に、下向きの力F→Dを与える。結合要素94が、汚染物質96に近接または接触するよう移動されると、結合要素94と汚染物質96との間で結合が起きうる。結果として起きる結合機構は、結合要素94および汚染物質96を形成する材料と、それら材料の特性とによって決まる。結合要素94および汚染物質96は、汚染物質96および表面98の間の接着力と、結合要素94および汚染物質96の間の任意の斥力とに打ち勝つのに十分な大きさの力の伝達が起きることを十分可能にする。したがって、結合要素がせん断応力τ→によって表面98から離れる際に、それに結合された汚染物質96も、表面98から離される、すなわち、汚染物質96が表面98から除去される。
【0015】
かかる結合機構の1つは、結合要素94と汚染物質96との間の機械的接触である。そのために、結合要素94は、汚染物質96よりも可鍛性が大きいまたは小さくてよい。結合要素94が汚染物質96よりも可鍛性が大きい一実施形態では、汚染物質96に伝わる力は、汚染物質96との衝突から起きる結合要素94の変形によって低減される。その結果、汚染物質96は、結合要素94内に押し込まれる、および/または、結合要素94の網の中に巻き込まれてよい。これにより、結合要素94と汚染物質96との間の機械的結合が生じて、それらの間の相対位置が固定されてよい。機械的応力が、結合要素96から汚染物質96に伝達されてよく、それにより、汚染物質96が表面98から除去される可能性が増大する。さらに、汚染物質96と結合要素94との間の接着など、化学的結合機構が生じてもよい。
【0016】
結合要素94および汚染物質96が、十分に硬い場合には、実質的に弾性衝突が起きて、結合要素94から汚染物質96にかなりのエネルギが移動し、それにより、汚染物質96が表面98から除去される可能性が増大する。ただし、結合要素94と汚染物質96との間の接着の化学的結合機構が弱まりうるため、衝突によって増大した可能性が低下する場合がある。
【0017】
さらに、上述の機械的および化学的な結合機構に加えて、静電結合が生じうる。例えば、結合要素94および汚染物質96が逆の表面電荷を持つ場合、それらは電気的に引き付けられる。結合要素94と汚染物質96との間の静電引力は、汚染物質96を表面98に結合する力に十分に打ち勝つことができる。上述の結合機構の内の1または複数が、表面上の1または複数の汚染物質96に対して、いつでも生じうることを理解されたい。さらに、これは、異なる複数の材料で結合要素94を形成して異なる形状および硬度を持たせることにより、ランダムに生じる、すなわち、引き起こされるようにしてもよい。あるいは、接近する結合要素94と汚染物質96との間の静電的な反発相互作用が、汚染物質96を表面98から除去するのに十分な強さを有してもよい。
【0018】
懸濁液90の典型的な実施形態は、約1センチポアズ(cP)ないし約10,000cPの間の粘度を有する液体領域92を含む。さらに、液体領域92は、ニュートン流体であっても、非ニュートン流体であってもよい。液体領域92として利用できる材料の例としては、脱イオン水(DIW)、炭化水素、フッ化水素、鉱油、または、アルコールなどが挙げられる。さらに、懸濁液90は、イオン性または非イオン性溶媒と、その他の化学添加剤とを含んでよい。例えば、懸濁液90への化学添加剤は、共溶媒、pH調整剤、キレート剤、極性溶媒、界面活性剤、水酸化アンモニウム、過酸化水素、フッ化水素酸、水酸化テトラメチルアンモニウム、および、レオロジー調整剤(例えば、ポリマ、粒子状物質、ポリペプチドなど)を含んでよい。
【0019】
結合要素94は、上述の特性に加えて、表面98に近接または接触した際に表面98に付着しないような三態以外の基本的に任意の状態を示す物理特性を有してもよい。さらに、結合要素94によって表面98に引き起こされる損傷は、結合要素94と表面98との間の接着と同様、最小限であることが好ましい。一実施形態では、結合要素94の硬度は、表面98の硬度よりも小さい。さらに、結合要素94は、表面98に近接または接触した際に、表面98に付着しないことが望ましい。様々な実施形態では、結合要素94は、結晶性固体または非結晶性固体として規定されてよい。非結晶性固体の例としては、脂肪族酸、カルボン酸、パラフィン、ワックス、ポリマ、ポリスチレン、ポリペプチド、および、その他の粘弾性材料が挙げられる。そのため、懸濁液90内の結合要素94の量は、液体領域92への溶解限度を超える濃度であることが好ましい。
【0020】
脂肪族酸とは、基本的に、炭素原子が開鎖を形成している有機化合物によって規定される任意の酸を示すことを理解されたい。脂肪酸は、懸濁液90内の結合要素94として利用可能な脂肪族酸の一例である。固体成分109として利用可能な脂肪酸の例としては、特に、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ミリスチン酸、マルガリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ネルボン酸、パリナリン酸、ティムノドン酸、ブラシジン酸、クルパノドン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、および、それらの混合物が挙げられる。
【0021】
一実施形態では、結合要素94は、C−1から約C−26まで伸びる様々な炭素鎖長から形成された脂肪酸の混合物であってよい。カルボン酸は、基本的に、1または複数のカルボキシル基(COOH)を含む任意の有機酸によって規定される。結合要素94として利用される場合、カルボン酸は、C−1から約C−100まで伸びる様々な炭素鎖長の混合物を含んでよい。また、カルボン酸は、メチル基、ビニル基、アルキン基、アミド基、第1級アミン基、第2級アミン基、第3級アミン基、アゾ基、ニトリル基、ニトロ基、ニトロソ基、ピリジル基、カルボキシル基、ペルオキシ基、アルデヒド基、ケトン基、第1級イミン基、第2級イミン基、エーテル基、エステル基、ハロゲン基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、フェニル基、ベンジル基、ホスホジエステル基、スルフヒドリル基、など、他の官能基を含んでよいが、それらに限定されず、懸濁液90への不溶性が維持される。
【0022】
カルボン酸成分から形成された領域を備えた懸濁液90を形成する一方法は、脱イオン水(DIW)と、約3%ないし約5%の間、好ましくは約4%ないし約5%の間の濃度のカルボン酸の固体とから形成されたゲルとして、液体領域92を提供することを含む。その濃度は、固体を溶液にする、すなわち、溶解させるのを促進することを含め、75℃ないし約85℃に加熱することによって実現されてよい。固体が溶解すると、洗浄溶液は、冷却されてよい。冷却処理中には、針状または板状の形態の固体化合物が沈殿する。このように形成された懸濁液90の一例は、0.1/秒のせん断速度で約1000cPの粘度を有しており、その粘度は、せん断速度が1000/秒に増大すると、約10cPに下がる。すなわち、その懸濁液は、非ニュートン流体である。アルコールなど、水以外の溶媒中に、また、極性溶媒もしくは無極性溶媒中に、1または複数のカルボン酸(または、塩)を導入して、懸濁液を形成してよいことを理解されたい。
【0023】
懸濁液90の別の実施形態では、結合要素94は、加水分解された化学剤から形成されるか、または、界面活性剤を含むよう形成される。例えば、分散剤を液体領域92に含めることで、懸濁液90への結合要素94の分散を促進してもよい。そのために、懸濁液90に塩基を加えることで、化学量論的量未満で存在する材料(カルボン酸またはステアリン酸など)から、結合要素94の混入を実現することができる。塩基の一例としては、水酸化アンモニウムが挙げられるが、本明細書に記載した実施形態において、任意の市販の塩基を用いてよい。さらに、結合要素94を形成する材料の表面機能は、カルボン酸塩、リン酸塩、硫酸基、ポリオール基、エチレンオキシドなど、懸濁液90内に混和できる構成部分を備えることによって影響を与えられてもよい。このように、懸濁液90全体に結合要素94を分散させつつ、結合要素94の望ましくない集合を避ける、すなわち、ほぼ均質な懸濁液90を形成することができる。このように、結合要素94の集合により、汚染物質96への結合および/または表面98からの汚染物質96の除去に不十分な状態になることを避けることができる。
【0024】
図6および7を参照すると、液体領域92内の潤滑層102および104によって引き起こされる潤滑層の生成に関する問題が生じる。汚染物質96と、結合要素94の内の1または複数との間の隙間106に潤滑層102および104が存在すると、問題が起こることがわかっている。具体的には、潤滑層102および104の粘性抵抗により、特に、結合要素94の運動量が拡散するために、結合要素94と汚染物質96との間の機械的結合が妨げられる。潤滑層102および104によって引き起こされる欠点を避ける一方法は、液体領域92内に乱流を引き起こす、すなわち、潤滑層102および104内に存在しうる層流の影響を低減する方法である。そのために、LAS32は、十分な速度で懸濁液90の噴流108を吐出することで、結合要素94が液体領域92内を通って汚染物質に衝突することを可能にするのに十分な運動量を結合要素94に与える。領域に与えられる運動量は、潤滑層102および104の粘性抵抗に打ち勝って、上述のように、十分なドラッグ力F→Dを与えて汚染物質を表面98から除去するのに十分であることが好ましい。具体的には、LAS32によって懸濁液90に与えられる速度に加えて、液体領域92と結合要素94との間の質量および密度の差により、懸濁液と基板98との衝突以後、結合要素94が、液体領域92よりも大きい速度で表面98に向かい続ける。その結果、潤滑層102および104に関する粘性抵抗に打ち勝って、結合要素94が、汚染物質94と結合できるようになるか、または、液体領域92を通る結合要素94の運動によって引き起こされる乱流の発生により、潤滑層102および104の粘性抵抗が低減される、と考えられる。図に示すように、噴流108は、複数の流れ(概略的に、符号110ないし114として示した)を含んでおり、それぞれの流れは、表面98の法線N→に対して異なる角度φで同時に表面98に衝突する。図に示すように、通例、角度φは鈍角である。
【0025】
図8を参照すると、別の実施形態において、LAS32は、複数の流れ210および211がほぼ平行になるように表面に衝突する(すなわち、共通の角度φで表面98に衝突する)噴流を供給するよう構成されてもよい。具体的には、流れ210および211は、軌道212に沿って方向付けられ、その結果、その軌道は、流れ210および211と平行になる。
【0026】
図9を参照すると、順次、複数の異なる角度で表面98に噴流208を衝突させることができる。そのために、基板11は、噴流208の軌道212に対して法線N→の角度φを変更できるようにするモータ222に結合された台220に取り付けられてよい。あるいは、図10に示すように、LAS332のノズル323が、モータ322に結合されて、ノズル324を表す点線で示されるように、異なる角度φで噴流208を衝突させるようにしてもよい。
【0027】
図7、8、9、10、および、11を参照すると、一実施形態において、噴流108または噴流208のいずれかが、局所的なスポット340として表面98に衝突してよい。表面98の実質的にすべての領域が、確実に、スポット340またはライン(図示せず)に曝されるように、基板11とLAS32およびノズル423との間の相対移動が行われてよい。そのために、基板11は、方向342に回転、および/または、横向きに伸びる方向344および346に沿って平行移動されてよい。それに代えて、または、それに加えて、ノズル423が、矢印348で示される方向に沿って移動し、1または複数の矢印350および352で示される横向きに伸びる方向に沿って平行移動してもよい。矢印342、344、346、および/または、352によって示された方向に沿った移動を行いつつ、噴流108または噴流208のいずれかを、法線N→を基準とした様々な角度で表面98にわたって走査できるように、角度φを変更してもよい。あるいは、1または複数の矢印342、344、346、および/または、352によって示された方向に沿った移動が行われた後に、角度φが変更されてもよい。このように、任意の所望の経路(例えば、平行な縞状の経路、蛇行した縞状の経路など)に従って、表面98の全領域、または、その任意の一部分、にわたって、スポット340またはライン(図示せず)を走査することができる。具体的には、噴流108または208のいずれかは、噴流108または噴流208に対して横向きに広がる平面、すなわち、表面98が存在する平面に沿って、表面11と噴流108または噴流208との間の相対移動を行う間に、様々な角度φで表面98に衝突してよい。
【0028】
図7、8、9、10、および、12を参照すると、噴流108または208のいずれかが、基板11の直径Dを横切って伸びるライン354として表面98に衝突する一実施形態が図示されている。ラインは、矢印356が示す方向に沿ってノズル323と基板11とを相対移動させることにより、表面の領域全体にわたって移動される。この相対移動は、基板11またはノズル423、もしくは、両方を移動させることによって実現されてよい。ライン354に曝される基板11の幅は、矢印356で示した方向に沿った相対移動に応じて変化することを理解されたい。そのために、ノズル423は、基板11とノズル423との間の相対移動が矢印356で示した方向に沿って起きるにつれて、動的に変化するよう適合されてよい。このように、ライン354は、基板11の幅と実質的に同じ幅を与えられてよい。あるいは、ライン354の幅は、基板11の最も広い領域よりも広くはないまでも、少なくとも同じ幅を有するよう構成されてよい。矢印356で示した方向に沿った移動を行いつつ、噴流108または噴流208のいずれかを、法線N→を基準とした様々な角度で表面98にわたって走査できるように、角度φを変更してよい。あるいは、1または複数の矢印342、344、346、および/または、352によって示された方向に沿った移動が行われた後に、角度φが変更されてもよい。このように、様々な角度φで、任意の所望の経路(例えば、平行な縞状の経路、蛇行した縞状の経路など)に従って、表面98の全領域、または、その任意の一部分、にわたって、スポット340またはライン(図示せず)を走査することができる。具体的には、表面11と、噴流108または噴流208との間の相対移動が、噴流108または噴流208に対して横に広がる平面、すなわち、表面98が存在する平面に沿って行われる間に、噴流108または208のいずれかが、異なる角度φで表面98に衝突してよい。
【0029】
図14を参照すると、別の実施形態において、懸濁液190は、さらなる成分、すなわち、液体領域192に混入された不混和成分111を含んでよい。不混和成分は、気相の材料、液相の材料、固相の材料、または、それらの組み合わせを含んでよい。この例では、不混和成分111は、完全に、懸濁液190の液体領域192全体にわたって分散された複数の離間したガスポケットからなる領域である。不混和成分は、懸濁液190の体積の5%ないし99.9%を構成する。あるいは、不混和成分は、懸濁液90全体の重量の50%ないし95%を構成してもよい。気相の不混和成分111の一例は、以下のガスから形成されてよい:窒素N2、アルゴンAr、酸素O2、オゾンO3、過酸化水素H2O2、空気、水素H2、アンモニウムNH3、フッ化水素酸HF。
【0030】
液相の不混和成分111は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、または、鉱油など、低分子量アルカンを含んでよい。あるいは、液相の不混和成分111は、油溶性の表面改質剤を含んでもよい。
【0031】
図3および13を参照すると、懸濁液190は、汚染物質96の除去に関して、懸濁液90と実質的に同様の機能を有しており、結合要素94は、結合要素94と実質的に同様であり、液体領域192は、液体領域92と実質的に同様である。ただし、懸濁液190では、不混和成分111が、結合要素194を汚染物質96に接触または近接させることを促進すると考えられる。そのために、汚染物質96に近接または接触した領域の内の1または複数が、汚染物質96と、1または複数の不混和成分111との間に配置される。表面張力を有するため、不混和成分111は、液体領域192における力に応じて結合要素194に作用する力(F)が、結合要素194に掛かるようにする。その力(F)は、結合要素194を表面98ひいては汚染物質96に向かって移動させる。結合要素194と汚染物質96との間の結合が、結合要素94と汚染物質96とに関して上述した任意の態様で起こってよい。
【0032】
不混和成分111は、基板11上に供給される前に、懸濁液190内に混入されてよい。あるいは、不混和成分111は、懸濁液が表面98上に供給されている時に、その場で懸濁液190に混入されてよい、および/または、懸濁液190が表面98に衝突することで、周囲環境に存在するガス(空気など)を混入する(例えば、泡を生成する)ことによって生成されてよい。一例では、不混和成分111は、懸濁液190が、懸濁液190の圧力と比べて周囲圧力が低くなる状態に曝された時に、液体領域192に溶解していたガスが溶液から出てくることによって生成されてよい。この処理の利点は、結合要素194が、重力下で表面98に向かって移動されてそこで安定しているために、不混和成分111の大部分が、結合要素194の近傍で形成されることである。これにより、結合要素194が汚染物質96と結合する可能性が増大する。
【0033】
二相の懸濁液90と同様に、三相の懸濁液190は、結合要素194と汚染物質との間の結合機構を修正および改善するために、さらなる成分を含んでよい。例えば、液体媒体のpHは、静電斥力が減少または増大されるように、固体成分および汚染物質の一方または両方における表面電荷を相殺するよう、変更されてよい。さらに、懸濁液190の温度サイクルを用いて、その特性を制御または変更してもよい。例えば、結合要素94は、その可鍛性が温度に比例または反比例して変化しうる材料から形成されてよい。このように、一旦、結合要素94が汚染物質の形状に適合すれば、懸濁液の温度を変更して、その結合要素の可鍛性を低減してよい。さらに、懸濁液190の溶解度、ひいては、結合要素94の濃度は、温度に比例または反比例して変化してよい。
【0034】
懸濁液190の一例は、70℃以上に加熱したステアリン酸の固体を、70℃以上に加熱したDIWに混ぜることによって形成される。DIWと混合するステアリン酸固体の量は、約0.1重量%ないし10重量%である。この混合は、DIW内でステアリン酸成分を分散/乳化させるのに十分である。その混合物のpHレベルは、ステアリン酸成分を中和するために、9より上に調整される。これは、0.25重量%ないし10重量%の濃度になるように、水酸化アンモニウム(NH4OH)などの塩基を追加することによって実現される。このように、酸塩基混合物が形成され、その混合物が均一になるように、20分間攪拌される。酸塩基混合物は、周囲温度に達して沈殿し、結合要素194を形成してよい。沈殿の際に形成される結合要素194は、10ないし5000ミクロンの範囲のサイズに達することが望ましい。不混和成分111は、必要に応じて、酸塩基混合物を攪拌する際に、その中に空気を混入することで形成されてよい。
【0035】
別の実施形態では、懸濁液190は、0.5ないし5000ミクロンの範囲の粒子サイズまで粉砕された粒状のステアリン酸固体から形成されてよい。粉砕された粒状のステアリン酸がDIWに加えられ、それと同時に、それらは、攪拌されて酸DIW混合物を形成する。DIWの攪拌は、振る、かき混ぜる、回転させる、など、任意の周知の手段によって実行されてよい。ステアリン酸は、酸DIW混合物の約0.1重量%ないし10重量%を形成する。ステアリン酸の解離は、塩基を加えることで酸DIW混合物のpHレベルを約9にすることによって実現される。塩基の一例としては、0.5重量%ないし10重量%の濃度の水酸化アンモニウム(NH4OH)が挙げられる。これは、ステアリン酸成分をイオン化して、凝固したステアリン酸粒子を形成する。通例、酸DIW混合物を攪拌しつつ、NH4OHを加えることで、酸DIW混合物全体に凝固したステアリン酸粒子を分散させる。これら凝固したステアリン酸粒子のサイズは、0.5ないし5,000ミクロンの範囲である。
【0036】
さらに別の実施形態では、上述のように、懸濁液190は、IPAを攪拌しつつ、イソプロピルアルコール(IPA)に溶解されたステアリン酸・パルミチン酸混合物から形成される。これにより、2重量%ないし20重量%の範囲の濃度で溶解した脂肪酸が得られる。沸騰しないようにIPAを加熱する、および/または、アセトン、ベンゼン、または、それらの混合物などの有機溶媒を加えることにより、脂肪酸の溶解度を高めてもよい。溶解後に溶液内に残った任意の固体を、濾過技術または遠心分離技術により除去して、固体を含まない溶液を生成してよい。固体を含まない溶液は、脂肪酸の固体を沈殿させるために、脂肪酸に対する非溶媒(水など)である液体と混合されてよい。沈殿した脂肪酸は、0.5ないし5,000ミクロンの範囲のサイズ分布で溶液内に懸濁される。ステアリン酸成分は、上述のようにイオン化されてよい。
【0037】
本発明は、いくつかの実施形態に沿って説明されているが、当業者が、これまでの明細書および図面から、様々な変更、追加、置き換え、および等価物を実現することは明らかである。したがって、本発明は、本発明の真の趣旨および範囲内での変更、追加、置き換え、および等価物の全てを含むよう意図されている。特許請求の範囲においては、要素および/または工程は、請求項の中で特に言及しない限り、動作に関する特定の順序を示すものではない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態を組み込むことが可能な基板洗浄システムの一例を示す概略側面図。
【図2】本発明の一実施形態を組み込むことが可能な基板洗浄システムの一例を示す概略上面図。
【図3】本発明の一実施形態に従って、基板表面から粒子状汚染物質を除去するために用いられる液体を示す平面図。
【図4】本発明の一実施形態に従って、図中の汚染物質に対して、懸濁液内の可鍛性領域の相対的な断面積を示す図。
【図5】本発明の一実施形態に従って、図4に示した液体について、ウエハ表面から粒子状汚染物質を除去するために微粒子に力を掛ける様子を示す平面図。
【図6】図4および図5に示した液体について、混入された結合要素に対して液体が障壁領域をもたらす様子を示す平面図。
【図7】本発明の一実施形態に従って、図1に示したLASの動作を示す詳細図。
【図8】本発明の第1の別の実施形態に従って、図1に示したLASの動作を示す詳細図。
【図9】本発明の第2の別の実施形態に従って、図1に示したLASの動作を示す詳細図。
【図10】本発明の第3の別の実施形態に従って、図1に示したLASの動作を示す詳細図。
【図11】本発明の第4の別の実施形態に従って、図1に示したLASの動作を示す詳細図。
【図12】本発明の第5の別の実施形態に従って、図1に示したLASの動作を示す詳細図。
【図13】本発明の別の実施形態に従って、基板表面から粒子状汚染物質を除去するために用いられる液体を示す平面図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子状物質が付着した基板の表面を洗浄するための方法であって、
結合要素を混入された液体を前記表面に衝突させる工程と、
前記結合要素に十分なドラッグ力を付与して、前記液体内で移動させると共に前記ドラッグ力の内のある量を前記粒子状物質に与えさせる工程と、
を備え、
前記ドラッグ力の量は、前記粒子状物質を前記基板に対して移動させるのに十分な大きさである、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記付与工程は、さらに、前記結合要素および前記液体に相対的な運動量を提供して、前記結合要素が前記粒子状物質と接触することを促進し、前記粒子状物質を前記基板に対して移動させる工程を備える、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記付与工程は、さらに、前記液体の噴流を前記表面にわたって走査する工程を備える、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記付与工程は、さらに、前記液体が、前記表面の法線を基準とした様々な角度で前記表面に衝突するように、噴流を走査する工程を備える、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記付与工程は、さらに、前記液体が、前記表面の法線を基準とした様々な角度で前記表面に衝突するように、第1の方向に沿って噴流を走査しつつ、前記噴流に対して横向きに広がる平面に沿って、前記噴流と前記表面との間の相対移動を行う工程を備える、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記衝突工程は、さらに、前記液体が前記表面に衝突するように、軌道に沿って噴流を方向付けると共に、前記軌道と前記表面の法線との間の様々な角度を実現する工程を備え、前記法線は、前記表面と直交して広がる平面内に存在し、前記軌道は、前記平面に対する様々な角度で配置される、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
前記表面上で前記液体の泡を生成する工程を備える、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記衝突工程は、さらに、
前記表面上で前記流体の噴流を方向付ける工程と、
前記噴流を停止する工程と、前記表面上で前記液体から泡を生成する工程と、
を備える、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記衝突工程は、さらに、
前記表面上で前記流体の噴流を方向付ける工程と、
前記噴流を停止する工程と、
前記表面上で前記液体の泡を生成する工程と、
前記泡を流体に曝して前記表面から前記泡を除去する工程と、
前記流体を真空に曝して、ある量の前記流体を除去する工程と、
を備える、方法。
【請求項10】
粒子状物質が付着した基板の表面を洗浄するための方法であって、
前記表面の法線を基準とした様々な角度で前記表面に衝突するように、結合要素を混入された液体の噴流を、第1の方向に沿って走査しつつ、前記法線に対して横向きに広がる平面に沿って、前記噴流と前記表面との間の相対移動を行うことで、前記結合要素に十分なドラッグ力を与えて、前記液体内で移動させて前記ドラッグ力の内のある量を前記粒子状物質に与えさせる工程を備え、前記ドラッグ力の量は、前記粒子状物質を前記基板に対して移動させるのに十分な大きさである、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、
前記法線は、前記表面と直交して広がる平面内に存在し、前記走査する工程は、さらに、前記平面に対して様々な角度で軌道を方向付ける工程を備える、方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法であって、さらに、
前記表面上で前記液体の泡を生成する工程を備える、方法。
【請求項13】
請求項10に記載の方法であって、さらに、
前記噴流を停止する工程と、
前記表面上で前記液体の泡を生成する工程と、
を備える、方法。
【請求項14】
請求項10に記載の方法であって、さらに、
前記噴流を停止する工程と、
前記表面上で前記液体の泡を生成する工程と、
前記泡を流体に曝して前記表面から前記泡を除去する工程と、
前記流体を真空に曝して、ある量の前記流体を除去する工程と、
を備える、方法。
【請求項15】
基板の表面から粒子状物質を除去するための処理領域を有するシステムであって、
流体供給サブシステムと、
前記基板を支持するためのキャリアと、
噴射サブシステムと、
前記流体供給サブシステム、前記キャリアサブシステム、および、前記噴射サブシステム、とデータ通信を行うプロセッサと、
前記プロセッサとデータ通信するメモリと、
を備え、
前記メモリは、前記プロセッサによって実行されるコンピュータ読み取り可能な命令を格納しており、
前記コンピュータ読み取り可能な命令は、結合要素を混入された液体の噴流に十分なドラッグ力を付与しつつ前記表面に衝突させることで、前記結合要素が前記液体内で移動して前記ドラッグ力の内のある量を前記粒子状物質に与えるようにして、それにより前記粒子状物質を前記基板に対して移動させるように、前記流体供給サブシステムと前記噴射サブシステムとを制御するコードを備える、システム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムであって、さらに、
ポンプシステムを備え、
前記コンピュータ読み取り可能な命令は、さらに、前記液体の前記噴流を前記表面にわたって走査するように、前記噴射サブシステムの動作を制御するコードを備える、システム。
【請求項17】
請求項15に記載のシステムであって、
前記コンピュータ読み取り可能な命令は、さらに、前記表面の法線を基準とした様々な角度で前記表面に衝突するよう前記噴流を走査するように、前記噴射サブシステムの動作を制御するコードを備える、システム。
【請求項18】
請求項15に記載のシステムであって、
前記コンピュータ読み取り可能な命令は、さらに、前記表面の法線を基準とした様々な角度で前記表面に衝突するよう前記噴流を第1の方向に沿って走査しつつ、前記噴流に対して横向きに広がる平面に沿って、前記噴流と前記表面との間の相対移動を行うように、前記噴射サブシステムおよび前記キャリアサブシステムの動作を制御するコードを備える、システム。
【請求項19】
請求項15に記載のシステムであって、
前記コンピュータ読み取り可能な命令は、さらに、前記表面の法線を基準とした様々な角度で前記表面に衝突するよう前記噴流を第1の方向に沿って走査しつつ、前記噴流に対して横向きに広がる平面に沿って、前記噴流と前記表面との間の相対移動を行うように、前記噴射サブシステムの動作を制御するコードを備える、システム。
【請求項20】
請求項15に記載のシステムであって、
前記コンピュータ読み取り可能な命令は、さらに、前記表面に衝突するよう前記噴流を軌道に沿って方向付けつつ、前記軌道と前記表面の法線との間の様々な角度を実現するように、前記噴射サブシステムの動作を制御するコードを備え、
前記法線は、前記表面と直交して広がる平面内に存在し、
前記制御するコードは、さらに、前記噴射サブシステムに、前記軌道と前記平面との間の角度を変更させる命令を備える、システム。
【請求項1】
粒子状物質が付着した基板の表面を洗浄するための方法であって、
結合要素を混入された液体を前記表面に衝突させる工程と、
前記結合要素に十分なドラッグ力を付与して、前記液体内で移動させると共に前記ドラッグ力の内のある量を前記粒子状物質に与えさせる工程と、
を備え、
前記ドラッグ力の量は、前記粒子状物質を前記基板に対して移動させるのに十分な大きさである、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記付与工程は、さらに、前記結合要素および前記液体に相対的な運動量を提供して、前記結合要素が前記粒子状物質と接触することを促進し、前記粒子状物質を前記基板に対して移動させる工程を備える、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記付与工程は、さらに、前記液体の噴流を前記表面にわたって走査する工程を備える、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記付与工程は、さらに、前記液体が、前記表面の法線を基準とした様々な角度で前記表面に衝突するように、噴流を走査する工程を備える、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記付与工程は、さらに、前記液体が、前記表面の法線を基準とした様々な角度で前記表面に衝突するように、第1の方向に沿って噴流を走査しつつ、前記噴流に対して横向きに広がる平面に沿って、前記噴流と前記表面との間の相対移動を行う工程を備える、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記衝突工程は、さらに、前記液体が前記表面に衝突するように、軌道に沿って噴流を方向付けると共に、前記軌道と前記表面の法線との間の様々な角度を実現する工程を備え、前記法線は、前記表面と直交して広がる平面内に存在し、前記軌道は、前記平面に対する様々な角度で配置される、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
前記表面上で前記液体の泡を生成する工程を備える、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記衝突工程は、さらに、
前記表面上で前記流体の噴流を方向付ける工程と、
前記噴流を停止する工程と、前記表面上で前記液体から泡を生成する工程と、
を備える、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記衝突工程は、さらに、
前記表面上で前記流体の噴流を方向付ける工程と、
前記噴流を停止する工程と、
前記表面上で前記液体の泡を生成する工程と、
前記泡を流体に曝して前記表面から前記泡を除去する工程と、
前記流体を真空に曝して、ある量の前記流体を除去する工程と、
を備える、方法。
【請求項10】
粒子状物質が付着した基板の表面を洗浄するための方法であって、
前記表面の法線を基準とした様々な角度で前記表面に衝突するように、結合要素を混入された液体の噴流を、第1の方向に沿って走査しつつ、前記法線に対して横向きに広がる平面に沿って、前記噴流と前記表面との間の相対移動を行うことで、前記結合要素に十分なドラッグ力を与えて、前記液体内で移動させて前記ドラッグ力の内のある量を前記粒子状物質に与えさせる工程を備え、前記ドラッグ力の量は、前記粒子状物質を前記基板に対して移動させるのに十分な大きさである、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、
前記法線は、前記表面と直交して広がる平面内に存在し、前記走査する工程は、さらに、前記平面に対して様々な角度で軌道を方向付ける工程を備える、方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法であって、さらに、
前記表面上で前記液体の泡を生成する工程を備える、方法。
【請求項13】
請求項10に記載の方法であって、さらに、
前記噴流を停止する工程と、
前記表面上で前記液体の泡を生成する工程と、
を備える、方法。
【請求項14】
請求項10に記載の方法であって、さらに、
前記噴流を停止する工程と、
前記表面上で前記液体の泡を生成する工程と、
前記泡を流体に曝して前記表面から前記泡を除去する工程と、
前記流体を真空に曝して、ある量の前記流体を除去する工程と、
を備える、方法。
【請求項15】
基板の表面から粒子状物質を除去するための処理領域を有するシステムであって、
流体供給サブシステムと、
前記基板を支持するためのキャリアと、
噴射サブシステムと、
前記流体供給サブシステム、前記キャリアサブシステム、および、前記噴射サブシステム、とデータ通信を行うプロセッサと、
前記プロセッサとデータ通信するメモリと、
を備え、
前記メモリは、前記プロセッサによって実行されるコンピュータ読み取り可能な命令を格納しており、
前記コンピュータ読み取り可能な命令は、結合要素を混入された液体の噴流に十分なドラッグ力を付与しつつ前記表面に衝突させることで、前記結合要素が前記液体内で移動して前記ドラッグ力の内のある量を前記粒子状物質に与えるようにして、それにより前記粒子状物質を前記基板に対して移動させるように、前記流体供給サブシステムと前記噴射サブシステムとを制御するコードを備える、システム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムであって、さらに、
ポンプシステムを備え、
前記コンピュータ読み取り可能な命令は、さらに、前記液体の前記噴流を前記表面にわたって走査するように、前記噴射サブシステムの動作を制御するコードを備える、システム。
【請求項17】
請求項15に記載のシステムであって、
前記コンピュータ読み取り可能な命令は、さらに、前記表面の法線を基準とした様々な角度で前記表面に衝突するよう前記噴流を走査するように、前記噴射サブシステムの動作を制御するコードを備える、システム。
【請求項18】
請求項15に記載のシステムであって、
前記コンピュータ読み取り可能な命令は、さらに、前記表面の法線を基準とした様々な角度で前記表面に衝突するよう前記噴流を第1の方向に沿って走査しつつ、前記噴流に対して横向きに広がる平面に沿って、前記噴流と前記表面との間の相対移動を行うように、前記噴射サブシステムおよび前記キャリアサブシステムの動作を制御するコードを備える、システム。
【請求項19】
請求項15に記載のシステムであって、
前記コンピュータ読み取り可能な命令は、さらに、前記表面の法線を基準とした様々な角度で前記表面に衝突するよう前記噴流を第1の方向に沿って走査しつつ、前記噴流に対して横向きに広がる平面に沿って、前記噴流と前記表面との間の相対移動を行うように、前記噴射サブシステムの動作を制御するコードを備える、システム。
【請求項20】
請求項15に記載のシステムであって、
前記コンピュータ読み取り可能な命令は、さらに、前記表面に衝突するよう前記噴流を軌道に沿って方向付けつつ、前記軌道と前記表面の法線との間の様々な角度を実現するように、前記噴射サブシステムの動作を制御するコードを備え、
前記法線は、前記表面と直交して広がる平面内に存在し、
前記制御するコードは、さらに、前記噴射サブシステムに、前記軌道と前記平面との間の角度を変更させる命令を備える、システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2009−522778(P2009−522778A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548613(P2008−548613)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/048552
【国際公開番号】WO2007/078956
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(592010081)ラム リサーチ コーポレーション (467)
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/048552
【国際公開番号】WO2007/078956
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(592010081)ラム リサーチ コーポレーション (467)
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
【Fターム(参考)】
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